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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成14年度実施課題 事後評価報告書



平成16年4月
研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 22 超小型光チョッパ及び光チョッパを用いたロックインアンプの開発(H14-0102)

企業名 :有限会社 ヤマキ
研究者(研究機関名) :興梠 元伸(東京工業大学大学院 総合理工学研究科大津研究室 助手)

1 ) モデル化の概要および成果
 従来、微弱光計測あるいは精密光計測には、光を断続(チョッピング)させてからフォトダイオード(PD)で断続光を受け、この出力信号をロックインアンプで同期をとり背景の外乱(ノイズ)を消し去る方法で、ターゲット光のみに特定した光パワー計測法が一般的に行われている。しかし、この方法は、システム自体の機構上の問題から小型化が困難で、ポータブルタイプ光計測器に組込むことが出来ない。 本モデル化は音叉型水晶振動子に規格以上の電圧を加えると10μm程度の振動振幅が得られるという特性に着目して超小型・高精度な光チョッパの可能性を実証した。すなわち、光束を波長無依存レンズで集光させ、集光させたビームウエスト領域内に音叉型水晶振動子を配置して光をチョッピング周波数32.73kHzで断続させ、PDで受光した信号をロックインアンプと同期させ、解析ノイズ中に埋もれた微弱ターゲット信号を分解能100フェムトアンペア(fA)、読みとり精度0.5ピコアンペア(pA)まで読取可能とすることができた。これにより、他に類の無い超小型な微弱光計測器の試作が出来た。今後、更なる小型化と高性能化を図るとともに低価格製品化に向けた検討を進める。本製品化は赤外パワーメータ、変角、分光、偏光、複屈折測定器、レーザー量子分析装置等の、各種光計測に貢献できる。当面は、光周波数測定器の制御帰還回路内の利用を目指している。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 試作ロックインアンプの性能が当初目標に若干及ばない等の課題は残るが、目標はほぼ達成されている。
知的財産権等の発生
 発生なし。チョッパ、ロックインアンプ、PDの小型一体化で特許出願可能。
企業化開発の可能性
 動作安定性の品質保証が確認できれば、小型高速光機器として企業化の可能性は期待される。
新産業、新事業創出の期待度
 所期目標である小型軽量・高速・高精度な製品になれば、広い範囲に展開活用が期待できる。 ただし、研究用機器から着実に事業化を目指すことが望ましい。
3 ) 評価のまとめ
 試作ロックインアンプの性能が当初目標に若干及ばないが、超小型光チョッパおよび光チョッパを用いたロックインアンプのコンセプトは実証でき、所期目標はほぼ達成した。今後、作動保証範囲、品質保証範囲等の確認があれば、小型高速の光機器または部品として企業化の可能性は期待できる。


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This page updated on May 19, 2004

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