報告書 > 評価結果(2)研究開発課題の個別評価

研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成14年度実施課題 事後評価報告書



平成16年4月
研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 21 臨床・産業への応用を目的とした赤外線CCDカメラを用いた眼球運動解析システムの試作(H14-0097)

企業名 :株式会社 埼玉空調メンテナンス
研究者(研究機関名) :國弘 幸伸(慶應義塾大学 医学部 講師)

1 ) モデル化の概要および成果
 これまで、眼球運動の測定はメニエール病等に起因するめまいの診断として臨床で行なわれてきた。しかし、比較的簡単に上下・左右の眼球運動が測定できるため広く用いられてきた電気眼振計は、その原理上、眼球運動回旋成分の記録解析が行えなかった。眼球運動回旋成分解析は臨床において極めて重要な分野である。回旋成分の解析法はいくつか報告されているが、いずれの手法も煩雑であり、臨床への実用には至っていない。本システムは、赤外線CCDカメラを用いて、上下・左右・回旋運動の眼球運動を記録し、異常眼球運動記録画像(眼球運動撮像装置部)を、動画像解析(独自のアルゴリズム開発のプログラムソフトウェア部)し、臨床・解剖学的知見と照らし合わせ(異常眼球運動モデルの構築)、めまい解析診断を行う眼球運動解析システムである。本開発は、眼球運動撮像装置部においては、暗室ケース(ゴーグル状の測定器接眼部)を軽量化し、負担のない眼球面の撮像、光源の影響にて誤作動しないための光遮蔽性の向上、暗室ケース内にて近赤外線と赤外線の合成波長光源の開発、移動XY軸調節機能による操作の簡易化、プログラムソフトウェア部においては、瞳孔運動認識ソフト、上下・左右・回旋運動解析ソフトの製作を行った。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 眼球運動解析システムとしての基本性能は、当初の目標をほぼ達成されている。今後、医療用具としての実用性、軽量化等が課題である。
知的財産権等の発生
 
企業化開発の可能性
 眼球運動解析システムとしてのデータは十分得られているが、今後医療用として実用化するためには、認可までさらに多くの臨床試験データが必要となる。
新産業、新事業創出の期待度
 医療機器の開発であるため、商品化にあたっては病院と連携して長期に渡る臨床データの蓄積を行なうとともに、医療関連の協力企業との提携が必要となる。
3 ) 評価のまとめ
 基本性能を備えた試作品は完成した。今後、モデル化企業の事業体制、営業体制の整備、また、長期に渡る臨床試験を行う必要がある。


一覧に戻る 次へ

目次に戻る


This page updated on May 19, 2004

Copyright©2004 Japan Science and Technology Agency.