報告書 > 評価結果(2)研究開発課題の個別評価

研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成14年度実施課題 事後評価報告書



平成16年4月
研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 8 慢性関節リウマチを自然発症するマウスモデル(SKGマウス)の開発(H14-0039)

企業名 :日本クレア株式会社
研究者(研究機関名) :坂口 志文(京都大学 再生医科学研究所生体機能調節学分野 教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 慢性関節リウマチ(RA)は原因不明の慢性炎症性疾患であり、頻度の高い膠原病であることから、その研究に利用できる実験モデル動物の開発が待たれている。従来のRA実験モデルや遺伝子操作モデルは、ヒトRAの病態の一部を模してはいるが、原因・発症機構を解明するのに適当なモデルとは言い難く、実用性が低かった。自己免疫性関節炎を自然発症する本マウスモデル(SKGマウス)の特徴は、1)関節炎の発症は、単一遺伝子の異常によるもので、その異常は、標的となる関節ではなく免疫系に発現し、その結果、正常関節組織を認識・攻撃する自己反応性T細胞の産生・活性化に到り、また、2)その発症には環境因子が重要であり、免疫系を非特異的に賦活化する化学物質の投与により関節炎を促進させ得ることから、ヒトRAとの病態の酷似性や高い発症頻度を有するモデル動物として実用性が期待できる点にある。そこで本モデル化では、実験用動物に求められる病原性微生物を除去した(SPF)環境下において生産した場合でも、その特性を維持できる生産システムを新たに確立するとともに、病原性微生物の感染事故等に対応するための受精卵採取・凍結保存を行った。また、有用性を高める為にRAの早期発症を促す投与物質の検討も行ったが、顕著な効果は見られず、今後の継続開発を要する。本モデル動物の開発は、RAの診断・治療法の研究分野、創薬分野の促進に寄与するものと思われる。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 SKGマウスを、病原性微生物を除去した(SPF)環境下で安定的に生産できることが確認されており、モデル化の目標は、ほぼ達成されている。
知的財産権等の発生
 現在まで発生なし。今後の取得の可能性あり。
企業化開発の可能性
 マウスの生産コロニーに慢性リュウマチの発生が確認できたので、企業化の可能性は高い。原種マウスに比べ生産コロニーのリュウマチ発生時期は遅れるが、今後の検討により解決されるものと思われる。
新産業、新事業創出の期待度
 目標通りSPF環境下でSKGマウスの大量供給が可能となれば、創薬分野での潜在的な需要が見込め、慢性関節リュウマチの研究分野、創薬分野での開発事業の促進に寄与するものと期待される。
3 ) 評価のまとめ
 SKGマウスを、病原性微生物を除去した(SPF)環境下で安定的に生産できることが確認でき、マウスの生産コロニーに慢性リュウマチの発生が確認できたので、モデル化の目標は、ほぼ達成されており、企業化の可能性も高い。


一覧に戻る 次へ

目次に戻る


This page updated on May 19, 2004

Copyright©2004 Japan Science and Technology Agency.