報告書 > 評価結果(2)研究開発課題の個別評価

研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成14年度実施課題 事後評価報告書



平成16年4月
研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 9 インプリント技術を用いたナノメートル構造一括転写装置(H14-0040)

企業名 :明昌機工株式会社
研究者(研究機関名) :松井 真二(姫路工業大学 高度産業科学技術研究所 教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 次世代新デバイス作製には、新機能を発現させるために量子効果が期待される10nmサイズのパターン形成技術が要求されており、半導体デバイスで用いられている光露光パターン形成技術では70~100nm領域が限界で、さらに微細構造の形成を目指すには、設備が大きくなりコスト高をまねく。ナノ構造を形成するには通常電子ビーム直接描画技術が用いられる。しかし、電子ビーム直接描画は一筆書きであり、一括転写方式でなく、スループットが極端に悪く実用性が乏しい。本新技術は、10nmレベルのナノメートルパターンを高スループット一括転写できる新技術である。開発項目は 刻印マスクの構造設計及び製作 刻印プレス機構設計及び製作 制御システムの設計及び製作 処理装置の設計及び製作とした。刻印マスクは、シリコン基板を用い電子ビーム描画技術およびドライエッチング技術で作製し、それを被加工シリコン基板上に形成したレプリカ材料上に、ソフトインプリント機構を用い圧力制御、昇温制御、プレス時間をプログラミングにより自動化された高精度全面均一プレス機でプレス印刷する事で、ナノパターン形成の量産技術を実現するものである。目標とする10nm構造は評価中であるが、50nm構造はすでに転写が確認されており、均一性及び最小転写構造の検証を行う必要がある。この技術を確立することによりマイクロマシン、マイクロ光学部品、バイオチップ製造等への応用展開が可能である。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 当初目標の10nm幅のパターンの転写は達成できなかったが、50nm幅の一括転写に成功した。均一転写面積は、現状の10mm×10mmでは不満であり拡大の必要がある。
知的財産権等の発生
 特許出願の予定あり。
企業化開発の可能性
 重要技術として、現状でも企業化の可能性は十分ある。
新産業、新事業創出の期待度
 プロセス開発のための小型汎用システムの実用化を目指し、現状の解像度で均一転写面積の拡大に努力して、新事業を立ち上げてほしい。
3 ) 評価のまとめ
 目標の10nm幅の転写はできなかったが、実用化可能な技術として50nm幅のパターンの一括転写に成功し、特許出願の予定もある。当初目標の達成には長期間を要するが、現状の若干の改良で企業化可能であり、企業化されればプロセス開発の他、波及効果が大きく、産業界への影響が大である。現状の解像度で均一転写面積の拡大に努力して、新事業を立ち上げてほしい。


一覧に戻る 次へ

目次に戻る


This page updated on May 19, 2004

Copyright©2004 Japan Science and Technology Agency.