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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成14年度実施課題 事後評価報告書



平成16年4月
研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 4 マイクロマシニングと半導体製造技術の融合による、エンコーダ用小型検出素子の開発(H14-0025)

企業名 :株式会社 ハーモニック・ドライブ・システムズ
研究者(研究機関名) :羽根 一博(東北大学大学院 工学研究科機械電子工学専攻 教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 本エンコーダ素子は、3枚格子の光学理論に基づく投影型エンコーダの検出素子で、高精度・高分解能エンコーダを容易かつ安価に実現する。
エンコーダは回転検出や位置検出に広く用いられており、その性能も千差万別であるが、中でも高精度エンコーダは計測器や基準器として用いられてきた。しかし産業機械の高精度化、検査精度の向上に伴い、高精度エンコーダを直接機械装置に組み込む需要が増加しており、エンコーダ組み付けの容易性・低価格化が大きな課題となってきた。これに対し従来技術の高精度エンコーダは、部品点数が多く、複雑である 組立調整工数が多い 機械部品に高い加工精度が求められるなどの点から、価格面や取り扱いにおいて問題があった。
これらの問題解決を目指した本エンコーダ素子は、MEMS技術を用いてシリコンウェハ上に光学格子と受光素子を形成したもので、高い信号精度と組み付けの容易性を実現している。次にその素子を組み込んだ回転型のエンコーダを試作したところ、回転検出分解能3,600,000分割(0.36 arc-sec) 位置読取精度±2 arc-sec 応答周波数4MHzと十分な性能を得た。今後さらに分解能を7,200,000分割(0.18 arc-sec)以上、精度に関しては±1 arc-sec以下、応答周波数は10MHz以上への改善を図っていく。
素子の実現によって、今後は産業機械・検査装置など従来市場への需要拡大のみならず、宇宙産業・医療器械など、新規市場への応用も視野にいれ、開発を進める。
※ arc-sec(秒角):角度の単位、1/3600度


2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 目標は完全に達成された。量産化の課題及びその対策の立案もなされている。
知的財産権等の発生
 なし。但し、周辺技術から発生が見込まれる。
企業化開発の可能性
 可能性大である。製品化にむけての課題がはっきりしている。
新産業、新事業創出の期待度
 実現した性能は市販されている高分解能・高輝度エンコーダとほぼ同程度とみられるが、従来製品に取って替わる要素や、この製品でなければ適用できない新分野もあり、新規市場の開拓が期待される。
3 ) 評価のまとめ
 目標は完全に達成され、企業化まであと一歩である。量産化の課題及びその対策の立案もなされており、熱意大である。実現した性能は市販の高分解能・高輝度エンコーダとほぼ同程度とみられるが、従来製品に取って代わる要素や、この製品でなければ適用できない新分野もあり、新規市場の開拓が期待される。今後、課題の解決とともに周辺技術の権利化が望まれる。


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This page updated on May 19, 2004

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