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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成14年度実施課題 事後評価報告書



平成16年4月
研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 2 電気的書換可能型共振RFIDシステムの研究開発(H14-0003)

企業名 :エヌアイエス株式会社
研究者(研究機関名) :小南 昌信(大阪電気通信大学 工学部通信工学科情報通信ネットワーク研究室 教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 IC型RFID(Radio Frequency Identification)は非接触自動認識技術として視野外にあっても識別でき、扱える情報量も多いなどのメリットを有するため、バーコードにとって替わる技術といわれる。しかし、ICを使用するので、コストが高くなるという点から実用化が進んでいない。一方、扱う情報量は少ないが、使い捨てにできる程度の超低コストが要求される需要がある。共振RFIDはICを使わないので超低コストなRFID技術になるが、従来は「ある/なし」という単一の情報を扱うのみであり、複数の情報を扱う方法としては共振周波数が相違する共振RFIDを用いる方法に留まっていた。
 本研究では、1つの共振RFIDで複数の共振周波数(情報)を設定でき、かつ、非接触で変更(書き換え)もできる共振RFIDおよびその識別・書換装置を試作した。その結果、5~15MHzの範囲で8つの共振周波数まで設定でき、非接触で共振周波数を変更(情報の書き換え)ができることを確認した。識別・書換装置は、1ボード化(組み込み型化)したものを試作し、上記周波数範囲で識別・書き換えできることを確認した。これによって、使い捨て分野などでのRFIDの普及が見込まれる。
 今後は、共振RFIDの書換特性の安定化の検討、量産方法の確立、識別・書換精度の向上などにより、新盗難防止システムおよび新物品識別システムとして実用化を図る。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 モデル化の目標はほぼ達成している。
知的財産権等の発生
 出願済。
企業化開発の可能性
 事業化目的、コンセプトの応用、需要先の目標・焦点等を明確にし、生産方法の検討により、これらに適合した商品の企業化の可能性は期待出来る。
新産業、新事業創出の期待度
 自社単独では限界があるので、有力なパートナーと共同して市場開発、応用商品開発を展開していくことが出来れば、新事業創出の可能性は期待できる。
3 ) 評価のまとめ
 基本コンセプトは本モデル化によってほぼ実証できたが、企業化のためには商品化の目的・目標を明確にし、焦点をしぼることが必要であり、それに対応した技術改良並びに知的財産権の早期確立が必要である。企業化の今後の推進が期待される。


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This page updated on May 19, 2004

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