JSTトッププレス一覧科学技術振興機構報 第579号 > 【用語解説】

【用語解説】

注1)蛍光顕微鏡
 生物試料に紫外線などの特定の波長の光を当てて、試料が発する蛍光像を顕微鏡で観察するもの。一般的に生物分子は青緑色の蛍光を発する色素で染色して観察することが行われる。発生する蛍光の強度が微弱なので、観察のためには光学系にさまざまな工夫が必要。共焦点蛍光顕微鏡は蛍光顕微鏡で、試料の全面にわたって焦点が合った画像を得るような光学系を備え、コンピューター画面上で画像再構成する方式のもの。

注2)CARS(コヒーレント・アンチストークス・ラマン散乱)
 3次の非線形光学現象によるラマン散乱。通常のラマン散乱とは異なり、分子数の2乗に比例した信号が得られるため、高感度な計測ができる。CARSを効率よく発生させるためには高いピーク強度の光源が必要。本開発のシステムでは2波長のピコ秒パルスのレーザーを用い、それらの周波数の差が生体分子の振動数と一致したときに発生するCARSを利用する。

注3)マイクロレンズアレイ
 透明な平面材料上に多数の微細レンズを所定のパターンに分布させたもの。

注4)ラマン効果
 物質にある波長の光を当てた時、散乱光の大部分は入射光と同じ波長を持つ(レイリー散乱)。しかし一部の散乱光は物質を構成する分子の振動数に応じて、波長が変化する。これをラマン効果という。波長が長く、振動数が減るストークス散乱と、波長が短く、振動数が高まるアンチ・ストークス散乱がある。通常は強度の高いストークス散乱を用いて分光分析が行われる。

注5)空間分解能
 近い距離にある2つの物体を2つのものとして区別できる最小の距離。この距離が小さいほど空間分解能が高く、微細な画像の観測が可能。

注6)信号分離
 複数の発生源から出た光などの信号が重なって観測される場合に、観測方法や演算処理によって発生源別の信号を区別すること。

注7)時間分解能
 観測する画像に識別可能な変化を生じさせる最小の時間変化量。最小時間変化量が小さいほど時間分解能が高く、高速度で変化する画像の識別が可能となる。