JSTトッププレス一覧科学技術振興機構報 第452号 > <用語解説>

<用語解説>

注1)アドレノメデュリン
アドレノメデュリン(adrenomedullin:AM) は、1993年、ヒトの副腎の腫瘍から分離された物質です。副腎髄質(adrenal medulla)に高濃度存在することよりアドレノメデュリン(AM: adrenomedullin)と命名されましたが、実際には全身に広く分布し、特に血管において多く産生されます。AMは当初、血管拡張作用を有する生理活性物質として注目されましたが、その後の研究から、血管拡張作用以外にも、細胞増殖、分化、遊走の調節作用、抗炎症作用、抗アポトーシス作用、ホルモン分泌調節作用、など多彩な生理活性を持つ生理活性物質であることが分かってきました。新藤らはAMノックアウトマウスを樹立し、出血や胎児水腫により致死となることから、AMが血管の発生に必須であることを報告しました。

注2)RAMP(receptor-activity-modifying protein)およびCRLR(calcitonin-receptor like receptor)
AMと、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide : CGRP)は、別の生理活性物質でありながら、CRLRという受容体を共有しています。そして、CRLRと一緒に受容体活性調節たんぱく質のRAMPが存在します。ほ乳類では、RAMP1から3までの3種類のRAMPが存在するとされています。CRLRとRAMP1の組み合わせは、主としてCGRPに対する受容体として、CRLRとRAMP2あるいはRAMP 3の組合せでは、主としてAMの受容体として機能すると考えられています。