科学技術振興機構報 第36号
平成16年3月17日
埼玉県川口市本町4-1-8
独立行政法人 科学技術振興機構
電話(048)226-5606(総務部広報室)
URL:http://www.jst.go.jp/

皮膚に優しく 早く傷を治す創傷被覆材の開発に成功


 独立行政法人科学技術振興機構(理事長 沖村憲樹)は、ニチバン株式会社(代表取締役社長 草賀淳、本社 東京都文京区関口2-3-3、資本金5,451百万円、電話:03-5978-5601)に、当機構の委託開発事業の課題として委託していた「ハイドロゲル剤型創傷被覆材」の開発を成功と認定しました。
 本開発課題は、日本原子力研究所(理事長 岡﨑俊雄)の研究成果であり、平成8年3月から平成14年9月にかけてニチバン株式会社に開発を(開発費約300百万円)委託したものです。本新技術による創傷被覆材は、平成16年2月26日に厚生労働省より医療用具として製造承認されました。

(開発の背景)

 最近、熱傷や褥瘡(床ずれ)、外傷などの傷の治療において、傷口から出る液(滲出液)の成分を利用して傷の治りを促す治療法(ウエットヒーリング)が広まっております。その際、過剰な滲出液を吸収して傷口を適度な湿潤状態に保ち、傷の治りを早める医療用具を創傷被覆材と呼んでおります。従来のものは多量に滲出液を吸収すると溶解することや、不透明で傷口が見えない等の問題点があり、これらを改善することが求められていました。

(開発の内容)

 高分子水溶液に電子線を照射することにより、適度な滲出液吸収性と、取り扱いやすい強度を持つ、透明なハイドロゲル創傷被覆材を量産する製造技術を開発しました。

(開発の効果)

 医療用具の創傷被覆材として、医療機関において熱傷や褥瘡、外傷などの傷に使用される事が期待されます。

本新技術の背景、内容、効果の詳細
【用語解説】
図1 湿潤環境と乾燥環境における傷の治療
図2 ハイドロゲルのできかた
図3 本開発技術による製造方法
図4 開発品
開発を終了した課題の評価


また、本件についての問い合わせは以下の通りです。
独立行政法人科学技術振興機構
開発部開発推進課 住本研一、菊地博道 (TEL:03-5214-8995)
日本原子力研究所 高崎研究所
     材料開発部環境機能材料研究グループ 吉井文男 (TEL:027-346-9380)
ニチバン株式会社 製品開発グループ
斎藤淳次郎 (TEL:03-5978-5637)

■ 戻る ■


This page updated on March 17, 2004

Copyright©2003 Japan Science and Technology Agency.