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科学技術振興機構報 第1267号

平成29年7月24日

東京都千代田区四番町5番地3
科学技術振興機構(JST)

戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)
熊本地震からの復旧・復興に向けた、研究開発成果の被災地への社会実装

JST(理事長 濵口 道成)は、社会技術研究開発センター(RISTEX)が推進する戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)において、熊本地震のからの復旧・復興に向けて、これまで得られた研究開発成果を被災地に速やかに導入しました。

社会技術研究開発では、人文・社会科学、自然科学にわたる科学的知見を用い、社会の具体的な問題を解決するための研究開発を推進しており、その中から、震災からの復旧・復興に貢献しうる研究開発成果が創出されています。

今回、研究開発成果の社会実装に向け、熊本地震の発生から1年間に被災地での活動を支援しました。社会実装された成果は、地元の方々、ボランティア、自治体などに引き継がれ、復旧・復興に向けた活動につながっています。

○被災地の状況

平成28年(2016年)熊本地震では、約19万戸を超える住宅が被害を受け、最大18万人を越える避難者が発生しました。土砂崩れによる水田や農業用水路の被害により農業の継続が困難になり、城下町では地元に伝わる歴史的建造物が被害を受け、町の再興に打撃を与えています。

その中で、応急仮設住宅などの提供の前提となる罹災証明書の発行など、熊本県下の市町村による被災者への迅速かつ漏れのない生活再建支援が望まれました。

しかし、地元の住民が自力で生活再建を目指すも災害からの復旧・復興の知識や経験が十分ではなく、人手も不足していました。また県外からのボランティアと意思疎通し作業を円滑に進めることは容易ではありません。加えて地元の住民にとってはそもそも何から復旧・復興を始めるべきか戸惑う様子もみられ、特に歴史的建造物の修復などには専門的知識が重要となりました。

○実装した研究開発成果

戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)において創出された研究開発成果のうち、熊本地震で即効性のある効果が見込まれる4件の成果の社会実装を支援し、復旧・復興への貢献を目指しました(別紙1別紙2)。

具体的には、迅速な生活再建のためのICTシステムの導入とその運用のための自治体職員などへの研修(別紙3-1)、避難所の生活の質の向上のために活動するボランティアの育成方法(別紙3-2)、歴史的建造物の修復を通じて被災者の復興への意欲を促すワークショップ(別紙3-3)、さらに、ボランティアへの訓練の後に地元の人たちと連携して農地・農業施設の復旧に取り組む仕組み(別紙3-4)などの研究開発成果を被災地にて導入しました。

○復旧・復興に向けた成果

○今後の取り組み

複数の自治体に導入された生活再建のためのICTシステムは各自治体で引き続き運用される予定であり、迅速な生活再建支援に貢献することが期待されます。

住民主体の復旧・復興に向けたボランティアへの指導や育成支援などの活動は、地元の団体やNPO法人に引き継がれるなどにより、継続した活動につながっています。

<添付資料>

別紙1:熊本地震社会実装推進(概要)

別紙2:平成28年度熊本地震社会実装推進 課題一覧

別紙3-1:熊本地震における「被災者台帳を用いた生活再建支援システム」の実装

別紙3-2:2016年熊本地震における被災者の住まいと暮らしの再建に関わる緊急実装

別紙3-3:コミュニティに依拠する歴史的市街地の震災復興

別紙3-4:熊本地震における農業支援・農地等復旧ボランティア実装支援

<お問い合わせ先>

<社会実装活動に関すること>

課題名「熊本地震における「被災者台帳を用いた生活再建支援システム」の実装」
新潟大学 危機管理本部 危機管理室・事務担当
〒950-2181 新潟市西区五十嵐二の町8050
Tel:025-262-6178
E-mail:

課題名「2016年熊本地震における被災者の住まいと暮らしの再建に関わる緊急実装」
立命館大学 産業社会学部・准教授 丹波 史紀(タンバ フミノリ)
〒603-8577 京都市北区等持院北町56-1
Tel:075-466-3058
E-mail:

課題名「コミュニティに依拠する歴史的市街地の震災復興」
小山工業高等専門学校 建築学科・准教授 横内 基(ヨコウチ ハジメ)
〒323-0806 栃木県小山市中久喜771
Tel:0285-20-2837
E-mail:

課題名「熊本地震における農業支援・農地等復旧ボランティア実装支援」
九州大学大学院芸術工学研究院・准教授 朝廣 和夫(アサヒロ カズオ)
〒815-8540 福岡市南区塩原四丁目9番1号
Tel/Fax:092-553-4480

<JST事業に関すること>

科学技術振興機構 社会技術研究開発センター 企画運営室
〒102-8666 東京都千代田区四番町5番地3 加藤 豪(カトウ ゴウ)、木谷 徹(キタニ トオル)、古屋 貴司(フルヤ タカシ)
Tel:03-5214-0133 Fax:03-5214-0140
E-mail: