独立行政法人科学技術振興機構が
中期目標を達成するための計画(中期計画)

平成15年10月
独立行政法人科学技術振興機構

I 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置
【個別事項】
2.新技術の企業化開発
(1) 委託による企業化開発の推進
  • 開発課題は、科学技術基本計画に示された重点分野に関する大学、公的研究機関等の研究成果で、開発リスクが大きいものを積極的に取り上げるとともに、経済的、社会的に大きな波及効果が期待できるものを対象とし、技術開発力、経営基盤等を有する企業等に開発を委託する。
  • 大学・公的研究機関等に対して開発課題を広く募集し、外部専門家・有識者により事前評価を行い、優れた開発課題を選定して開発を委託する。開発が5年を越える課題については中間評価を行う。開発終了後は事後評価を行い、開発目標の達成度等の評価を行う。さらに、成果の実施状況等につき追跡調査を実施する。評価結果については知的財産等に配慮しつつ公表する。
  • 開発が成功した場合には、開発実施企業に支出した開発費の返済を求めるが、不成功の場合には開発費の返済を求めないことで開発リスクを負担し、新たな開発への取り組みを推進する。
  • 実施料、優先実施期間、開発費の返済条件等については研究者や開発企業のインセンティブを配慮して調整を行うとともに、開発期間や開発費等を柔軟且つ弾力的に運用する。
  • 開発終了課題について、成果を普及するため、企業において成果を実施するように促すほか、技術交流会等により広く開発成果を紹介する。
(2) 研究成果の移転に向けた効率的な技術開発等の推進
研究成果の実用化に向けた技術開発
イ. 研究成果の実用化プランの作成、育成手段の助言
  • 有望な研究成果をビジネスラインまで載せることの出来るスキルと実績を有する人材を技術移転プランナーとして配置し、育成候補課題を対象に、研究者等との面接、種々の調査を参考に、実施すべき試験研究内容や企業探索等の技術移転方策(実用化プラン)を策定し、最適な育成手段を研究者に助言する。また、実用化が有望であるがデータが不足している研究成果については、研究者又は企業の協力を得て追加の調査研究を行う。
ロ. 成果育成プログラムの実施
  • 大学・公的研究機関の研究者や企業等から成果育成のための試験研究を行うプログラムの課題提案を公募し、外部専門家・有識者による事前評価を行って選定、実施する。実施期間終了後、新産業創出の期待度等について外部専門家・有識者による事後評価を行い、引き続き追跡調査を実施する。評価結果については知的財産等に配慮しつつ公表する。
  • 事業終了後の企業化に向けた研究開発継続率を85%【平成14年度:85%】以上とする。
    研究開発継続率:事業終了後1年後に調査を行い、企業が実用化に向けて当該研究開発を継続している比率
研究成果のあっせん・実施許諾
イ. 研究成果の収集・公開業務の推進
  • 大学、公的研究機関等から提案のあった研究成果の収集件数の増加を図り、公開可能なものについては特許出願公開前でも概略等を研究成果展開総合データベース(J-STORE)等に掲載し、技術移転に関して経験を有する専門家による企業への紹介を行う。特許公開後は、詳細情報のJ-STOREへの掲載、新技術説明会等での公開、技術移転に関して経験を有する専門家による企業への情報提供等を行い、企業が関心を示したものは、あっせん・実施許諾等の段階に移行させる。
ロ. 開発あっせん・実施許諾業務の推進
  • 大学、公的研究機関及び機構の研究成果について、技術移転に関して経験を有する専門家等を活用して企業等への紹介、企業化開発のあっせん・実施許諾を行う。なお、大学等の研究成果については、当該大学等及び当該大学等が有する技術移転機関(TLO)等との相互補完的な連携を図りつつ、我が国全体として研究成果の社会還元を促進するように配慮する。また、技術移転に関して経験を有する専門家によるあっせんの成功報酬などの仲介者のインセンティブを向上させるとともに、仲介者ネットワークの拡充に努めることにより、あっせん件数を増加させる。
  • 開発あっせん・実施許諾の件数は特許ベース120件/年【平成14年度:121件/年】、企業ベース60件/年【平成14年度:64件/年】以上を実施する。
    件数にはTLOによる機構所有特許のライセンス件数、機構所有特許の発明者への返還の後にライセンスにつながった件数、大学、公的研究機関及びTLOに対して機構が行った特許化支援の後に当該機関が行ったライセンス件数を含む。
(3) 大学発ベンチャー創出の推進
  • 大学・公的研究機関等の研究成果のうち、大学発ベンチャーの創出が期待される研究課題を公募し、外部専門家・有識者による事前評価を行って選定、実施する。実施に当たっては、ベンチャー企業の設立が促進されるよう適切な研究開発等マネジメントのもと実施計画を策定し、研究開発を進める。また、実施期間終了後には事後評価を行い、研究開発計画の達成度等の評価を行う。さらに、研究成果に基づく起業化及び事業展開の状況につき追跡調査を実施する。評価結果については知的財産等に配慮しつつ公表する。
(4) 技術移転の支援の推進
研究成果特許化支援業務の推進
  • 大学、公的研究機関、TLO、企業、一般等からの技術移転に関する問い合わせに対し、各種技術移転制度等の紹介や、個別の技術相談を実施する。このため年間300件以上の相談件数に対応できるように体制を強化する。
  • 大学、公的研究機関や研究者個人等から情報を収集し、実用化が期待される研究成果について、大学・TLO等において適正な評価が行われていることを確認のうえ、当該機関からの要請に十分応えられるような特許化支援の体制を整備する。特に国際特許出願に重点を置く。
技術移転のための人材育成業務の推進
  • 知的財産活用等に係る人材を対象に、技術移転のための人材育成プログラム研修を行う。
  • 人材研修は、200人/年【平成14年度:105人/年】以上に対し実施する。
(5) 研究成果活用プラザを拠点とした事業の展開
  • 平成16年3月までに研究成果活用プラザを8館とする。
  • 各地域の自治体や関係機関との連携を図り、地域の現状を考慮し策定した運営方針の下に各プラザの運営を行う。
  • 科学技術コーディネータを各プラザに原則として4人配置する。【平成14年度:各プラザに4人】
  • 科学技術コーディネータは、技術動向調査等を通して、地域の大学、企業等における研究ニーズ、シーズを探索するとともに、研究開発促進拠点支援事業の成果等を活用して、大学等の独創的な研究者を中心とした研究会、セミナーをプラザにおいて開催する。
  • プラザにおけるコーディネート活動を通じて、次世代の人材育成に努めるとともに、より効果をあげるために、他の制度におけるコーディネート活動従事者との連携を図る。
  • 機構の各事業を紹介する機能を強化する。
  • 各プラザにおいて大学、企業及び機構が共同して育成研究を実施する。共同育成研究課題の選定は、各プラザ地域の産学官の有識者を含む委員会を組織して評価を行う。また、成果の有効活用のために、文部科学省及びその他関係行政機関等と有機的連携を行う。
  • 研究終了後3年以内に共同育成研究課題の20%【新規事業につき、平成14年度実績なし】程度を企業化開発又は企業化へつなげる。
  • 機構の他の制度と連携するなど、プラザ内の研究室について有効活用する。

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This page updated on October 3, 2003
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