独立行政法人科学技術振興機構が
中期目標を達成するための計画(中期計画)

平成15年10月
独立行政法人科学技術振興機構

I 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置
【個別事項】
1.新技術の創出に資する研究
(1) 戦略的な基礎研究の推進
国が定めた戦略目標の達成に向けた基礎研究の推進
イ. 研究領域、研究総括の選定
  • 研究領域、研究総括の選定は、機構による内外の研究動向等の調査・分析をもとに、戦略目標の達成に向けた多様なアプローチを確保することに留意しつつ、外部専門家の評価を踏まえてこれを行う。また、評価の結果を公表する。
ロ. 研究領域の迅速な立ち上げ(バーチャルラボの構築)
  • 公募型の研究領域及び研究総括を戦略目標の通知を受けてから1ヶ月程度以内に選定する。
  • 研究総括のイニシアティヴの下、産学官の研究者から研究課題又は研究者等を公募するなどにより適切な研究体制を迅速に構築し、研究に着手する。
  • 研究課題の事前評価は、研究総括が領域アドバイザーの協力を得て行う。
  • 適切な研究準備期間の確保のため研究領域、研究総括の決定及び公募の早期化の推進等を行う。
  • 公募による研究提案の受付について平成17年度を目途に、電子システムの導入を図る。
ハ. 研究領域の効果的運営(バーチャルラボの効果的運営)
  • 研究者個人で行う小規模な研究から共同研究チームや米国をはじめとする海外との連携を含んだプロジェクトを編成して行うものまで、様々な研究実施体制を考慮した運営に留意する。
  • 研究総括が研究代表者等とのコミュニケーションを通じて、研究の進捗状況等の把握を行うとともに、研究の進め方、方向性等について助言等を行う。
  • 研究総括のマネジメントの下、研究者の属する組織を越えた柔軟かつ機動的な資源配分を行うため原則として機構が予算を直接執行する。
  • 公募による研究課題を推進する研究機関に対しては、十分な直接研究費を確保しつつ、研究費総額の30%の間接経費に相当する経費を措置できるよう努力する。
  • 外国の研究機関との共同研究については、主要国の科学技術に関する動向を把握して、カウンターパートと連携してプロジェクトを構築することに留意する。
ニ. 研究の評価及びフォローアップ
  • 研究課題については、研究総括及び研究総括に協力する領域アドバイザー又は外部専門家が中間評価を行い、評価の結果を研究チーム編成の見直しや資源配分へ反映させるとともに、事後評価を行い、当初の研究目的の達成状況を明らかにして公表し、事業運営の改善に資する。
  • 優れた成果が期待されかつ発展の見込まれる研究課題については、当初の研究期間終了の6ヶ月以上前から引き続き新たな研究期間を設定するための評価を行った上で、当初の研究期間を越えて切れ目無く研究が継続できるよう措置する。
  • 研究領域の外部専門家による中間・事後評価により、研究成果及び戦略目標の達成状況を明らかにするとともに、事業運営の改善に資する。さらに、研究領域終了後5年後を目途とした追跡調査により、研究成果の社会還元の状況等を明らかにし、これらの結果を国民に分かりやすい形で公表する。
  • 研究課題が終了した研究者に対してアンケート調査を実施し、その結果を制度の改善に反映させる。
卓越した人物を総括責任者とする独創性に富んだ基礎研究の推進
  • 研究主題毎に各界から優れた研究者の参加を求め、総括責任者の下に創造的な研究を推進する。なお、新たな課題は採択しない。
  • 研究主題については、外部専門家が中間評価を行い、評価の結果を研究チーム編成の見直しや資源配分へ反映させるとともに事後評価を行い、当初の研究目的の達成状況を明らかにして公表し、事業運営の改善に資する。
  • 研究終了後5年後を目途に追跡調査を実施し、研究成果の社会還元の状況等を明らかにし、これらの結果を国民に分かりやすい形で公表する。
基礎的分野における世界の英知を集めた国際共同研究の推進
  • 我が国の得意な研究分野と外国の得意な研究分野とをそれぞれ持ち寄って、一体的に国際共同研究を実施し、基礎的研究分野において国際貢献を果たすとともに、複合化、学際化が進む基礎的研究の効率的推進を目的として国際共同研究を推進する。なお、新たな課題は採択しない。
  • 研究課題については、外部専門家が中間評価を行い、評価の結果を研究チーム編成の見直しや資源配分へ反映させるとともに事後評価を行い、当初の研究目的の達成状況を明らかにして公表し、事業運営の改善に資する。
  • 研究終了後5年後を目途に追跡調査を実施し、研究成果の社会還元の状況等を明らかにし、これらの結果を国民に分かりやすい形で公表する。
特定分野におけるシミュレーション等計算科学技術を活用した研究開発の推進
  • 公募により発足した課題についてシミュレーション等計算科学技術を活用した研究開発を実施する。なお、新たな課題は採択しない。
  • 研究課題については、外部専門家により、事後評価を行う。評価の結果に基づいて当初の研究目的の達成状況を明らかにするとともに、事業運営の改善に資する。
  • 研究終了後5年後を目途に追跡調査を実施し、研究成果の社会還元の状況等を明らかにし、これらの結果を国民に分かりやすい形で公表する。
総合的な評価
  • 海外の有識者を含む評価委員会を開催し、機構が実施する基礎研究事業全体についての総合的な評価を中期計画終了時までにとりまとめる。
研究成果の公表、普及
  • 研究成果は、レベルの高い国際誌を中心に研究論文として積極的に投稿し、公表する。
  • 成果の公表・普及のために報告会、シンポジウム等を開催する。シンポジウム等の開催数は以下とする。
    戦略的創造研究推進事業
     研究成果報告会 2回/年【平成14年度:2回/年】
    このほか、研究領域毎のシンポジウム等を開催する。
  • 研究成果のデータベース化を進めるとともに、知的財産に配慮しつつホームページ等により公開する。研究成果のうち、ソフトウエアについては、ソフトウエアライブラリーへの搭載を進め、広く公開・流通を図る。ソフトウエアライブラリーへの搭載件数は、105件【平成14年度時点の累積:61件】とする。
  • 知的財産権の取得を奨励するとともに、研究成果については、機構が実施する技術移転制度やTLO等による社会還元を促進する。
  • 研究成果は、日本科学未来館等の活動への協力や計量的な手法を用いるなど国民に解りやすく紹介する。
(2) 社会技術研究の推進
  • 社会技術研究の推進のため「社会技術研究フォーラム」、「ミッション・プログラム」、「公募型プログラム」を実施する。
  • 「社会技術研究フォーラム」については、社会問題の本質を認識し、その解決を図る研究のあり方を継続的に議論する。
  • 「ミッション・プログラム」については、社会問題の解決を図るために重要と考えられるミッションを設定し、その目標達成に必要な研究チームを組織して研究を実施する。
  • 「公募型プログラム」については、社会問題の解決を図るために重要と考えられる着眼点を踏まえて、研究領域を設定し、広範な層からの課題の発掘とその解決を目的として、公募研究を実施する。
  • 新規ミッション、新規研究課題、新規研究領域の設定に向け、必要な調査を実施する。
  • 研究課題については、外部専門家が、事前評価、中間評価を行い、評価の結果を研究チーム編成の見直しや資源配分に反映するとともに、事後評価を実施し、その結果を公表する。
  • 研究成果の公表や意見交換等を目的として、以下の活動を実施する。
      国際シンポジウム 1回/2~3年 【平成14年度: 0回/年】
      公開シンポジウム 2回/年 【平成14年度: 4回/年】
      ワークショップ 12回/年 【平成14年度:15回/年】
      学会発表等   20件/年 【平成14年度:20件/年】
  • 研究終了後、現実社会の諸問題の解決や社会における新たなシステムの構築に資する研究成果について公表するとともに、5年後を目途に追跡調査を実施し、その結果を国民にわかりやすい形で公表し、研究成果の実社会での適用・実践を推進する。
(3) 対人地雷探知・除去技術の研究開発の推進
  • 人道的観点からの対人地雷の探知・除去活動を支援するセンシング技術、アクセス・制御技術の研究開発を行う。
  • 研究開発全体を統括する研究総括を置き、その下に産学官からなる研究開発チームを組織して試作機の開発を実施する。なお、研究総括を技術面で補佐するスタッフを配置するとともに、各研究チームへの支援スタッフの派遣、試験研究用材料等の購入等により、研究を支援する。
  • 研究開発期間が比較的短期的な技術(対人地雷の構成物と土壌の物性の違いに着目した探知技術等)は平成17年度を目途に、中期的な研究開発期間が必要となる技術(対人地雷自体の物性に着目した探知技術等)は平成19年度を目途に地雷被埋設国等における実証試験に供しうる技術を開発し、実証試験に技術を供する。
  • 研究課題については、民間及び大学の研究者、地雷除去機関等の外部専門家による、中間評価及び事後評価を行い、評価の結果を研究チーム編成の見直しや資源配分に反映する。
(4) 研究開発戦略の立案
  • 大学、民間等において、研究開発やその企画・運営の経験のある者等を任期付きで雇用し、体制を整備する。
  • 内外の研究開発動向及び社会的・経済的ニーズ等を調査・分析し、今後必要となる研究開発領域や課題等を体系的に抽出する。
  • 今後の研究開発戦略の形成を目的として、ワークショップ、シンポジウム等の開催により、広範な関係者の参加を得て、オピニオンの形成と集約を行う。
  • 上記をもとに、機構の基礎研究事業において重点的に推進すべき研究領域等の企画・立案を行う。
  • 機構は、上記の活動を通じて得られた成果を事業全般において活用する。
  • 研究領域等の評価を推進する。

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