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<用語解説>

注1)IpaBたんぱく質:
赤痢菌が持つ針状のIII型分泌装置から菌体外へ分泌される病原たんぱく質。

注2)APC(Anaphase promoting complex, 分裂後期促進複合体)ユビキチンリガーゼ:
細胞周期の進行を調節するユビキチンリガーゼ。分子量2,000以上の巨大なたんぱく質複合体であり、脊椎動物では少なくとも13種類のたんぱく質により構成されています。

注3)Mad2L2(Mitotic arrest deficient 2-Like 2)たんぱく質:
APCユビキチンリガーゼの阻害因子であり、姉妹染色体分離を阻害する紡錘体形成チェックポイント(Spindle assembly checkpoint, SAC)であるMad2の相同性たんぱく質。

注4)多剤耐性を示す赤痢菌:
赤痢菌の治療薬としては、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、アンピシリン、ストレプトマイシンなどの古典的な薬剤が使われましたが、現在はニューキノロンが治療の主体となっています。現在多くの赤痢菌は古典的な抗生剤に対する多剤耐性と共にニューキノロン耐性菌も次第に増加しつつあります。

注5)III型分泌装置:
赤痢菌、O-157、サルモネラ属菌などの病原体が持つ、宿主細胞へのエフェクターを注入するための針状の分泌器官。なお、ヘリコバクター・ピロリなどの病原体が持つ繊毛に似た分泌器官はIV型分泌装置と呼ばれています。

注6)エフェクター:
病原細菌のIII型分泌装置やIV型分泌装置など特殊な分泌装置により、宿主細胞に移行して宿主に様々な影響を与える細菌のたんぱく質。

注7)Cdh1(Cdc20 homolog 1)たんぱく質:
APCユビキチンリガーゼの活性化因子。APCの活性化する時期の決定および基質の認識に関与しています。

注8)サイクリンB1たんぱく質:
M期を誘起できるサイクリンで、M期終了後分解されます。サイクリン依存性キナーゼと複合体を形成し、M期促進因子として働きます。

注9)Cdc20たんぱく質:
APCユビキチンリガーゼの活性化因子。APCの活性化する時期の決定および基質の認識に関与しています。

注10)Plk1(Polo like kinase 1)たんぱく質:
M期への進入から細胞質分裂に至る局面に関与しているキナーゼ。中心体の形成に寄与する他、様々な生物活性を有することが報告されています。