平成16年5月14日 |
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白血病の有力な治療法である骨髄移植は、MHCクラスI分子(2)と呼ばれる白血球の型が、ドナーと患者(レシピエント(3))の間で一致していることが成功の鍵を握っている。骨髄移植は、レシピエントの免疫作用を弱めてから行われるため、もしMHCクラスI分子の型が一致していないと、移植されたドナーのT細胞を中心とした白血球が、レシピエント側のMHCクラスI分子の型が違うことを認識して、臓器を攻撃し、移植片対宿主病と呼ばれる、時にはレシピエントの死に至る強い不適合反応を起こしてしまう。しかしながら、人には多くのMHCクラスI分子の型があるために、ドナーとレシピエントの間で完全にその型を一致させることは難しい。そこで実際の骨髄移植では、移植片対宿主病に代表される不適合反応をいかに抑えるかが治療の中心となっている。高井教授らは免疫細胞上の受容体を調べ、その中でT細胞受容体以外に樹状細胞上のPIR-AとPIR-BもMHCクラスI分子を認識していることを突き止めた(図1)。さらにPIR-Bが無いマウスの免疫機能を弱めてから骨髄移植をすると移植片対宿主反応が強くなり、全例が死亡したこと(図2)、さらに移植後のマウスでドナー細胞を活性化するはたらきを持つ樹状細胞の表面にPIR-Aが強く誘導されていることから(図3)、PIRがこの反応の強さを調節していると結論付けた。 | ||||||||||||||||||||
抑制にはたらくPIR-Bの作用を強めたり、逆に免疫活性化にはたらくPIR-Aの作用を抑えるような薬剤を開発することで、骨髄移植の成功率を上げたり、ドナーと患者間の白血球型のマッチングの厳格さを緩めたりできる可能性があり、ひいては慢性的なドナー不足の解消に役立つことが期待される。 | ||||||||||||||||||||
doi :10.1038/ni1074 この研究テーマが含まれる研究領域、研究期間は以下の通りである。
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<解説> | ||||||||||||||||||||
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