原子力システム研究開発事業
目次III. 技術開発課題 → 【課題11】セル内遠隔設備開発
平成18年度募集要項― 特別推進分野 ―

III. 技術開発課題

○ 簡素化ペレット法燃料製造に関する技術開発課題

【課題11】セル内遠隔設備開発
(1)研究開発項目
・セル内遠隔保守対応モジュールの開発及び遠隔ハンドリング設備(モジュール交換装置及びモジュール分解・除染用高自由度マニプレータ)の開発
・ペレットの検査技術の開発
・TRU燃料粉末の分析技術の開発
(2)目的
1 セル内遠隔保守対応モジュールの開発及び遠隔ハンドリング設備の開発
 FSフェーズIIで想定する燃料製造施設では、低除染TRU燃料を製造する。これは高い放射能や発熱性を有するため、従来のグローブボックス方式とは異なり燃料製造機器設備は全てセル内設置となる。そのため、遠隔によるセル内機器設備の保守補修に係わる手順・手法を含めたシステム技術開発が必要である。ここで、ペレット成型設備(整列部を含む)を代表設備として、コールドモックアップ試験に基づく遠隔対応機器設備の基本的な構成要素の開発を実施するとともに、遠隔ハンドリング設備側の開発と整合させながら最適な組合せシステムを構築する。
2 ペレットの検査技術の開発
 ペレット検査工程は、他の工程設備同様セル内に設置され、遠隔保守補修の対象として、セル内での遠隔操作によるモジュール交換と保守グローブボックスでの直接保守が基本となる。設備の性能として燃料仕様を満足する検査精度、必要生産量を満足する検査速度を有する遠隔保守補修対応のペレット検査技術を開発する。
3 TRU燃料粉末の分析技術の開発
 成型工程での粉末特性を改善するため、低除染TRU燃料の原料粉末に水分を添加して造粒する設計としている。成型以降の工程ではプラントの量産性を高めるため乾燥系での取扱いとしており、臨界管理上、燃料粉末の含水率管理が必要である。また、安定操業の観点からは、粉末特性の異常を早い段階で検知する必要がある。この要求を満たすため、インラインで燃料粉末の移送を妨げることなく迅速に含水率、粒度分布、粉末流動性を測定できる技術を開発する。また、発熱によるO/M比変化を管理するため遠隔にてO/M比を測定できる技術開発を行う。
(3)達成目標
 本技術開発課題において期待される成果は、システムの概念図、仕様及び技術的成立性の根拠となるデータを提出することである。本技術開発課題における具体的な開発要件は以下のとおりである。
1 セル内遠隔保守対応モジュールの開発及び遠隔ハンドリング設備の開発
・保守対象部品の遠隔交換が可能な部品構成(モジュール)による遠隔保守補修対応のペレット成型設備開発を行う。併せて、モジュール交換装置及びモジュールの分解・除染作業が可能な遠隔ハンドリング設備を開発する。
・工程セル内での各モジュールの交換作業は6時間以下を目標とする。また、工程内移送中のペレット転倒を保守対象に含め、修復は10分以下を目標とする。
・装置内の仕掛かり粉末及び成型体を飛散させることなく閉じ込めまたは回収できるシステムとする。
・モジュール側と遠隔ハンドリング設備側との取り合い部分の開発にあたっては、共通構造のコネクターバンク等、原則として汎用性を持たせ、他の工程設備との共用を図れる機構とする。
2 ペレットの検査技術の開発
・検査項目:外観検査(欠け、割れ)、寸法検査、密度検査(重量測定)
・処理能力:1日70,000個全数検査(測定は原則1系列とする。)
・測定精度:重量:±5mg、寸法:±0.01mm(測定点は軸方向5点、径方向5点程度)、欠け:φ0.1mm程度の小さな空孔を除外できること、割れ:幅0.1mm以上の割れが識別できること。
・遠隔保守補修性:セル内の遠隔操作では通常人手で行うような微妙な操作が困難であることから、設置位置での微調整を要さない自動位置決め、自動調整が可能であること。セル内での遠隔操作によるモジュール交換が可能なこと。また、装置内で搬送不良が生じた場合に、容易にペレットを排出できること。
3 TRU燃料粉末の分析技術の開発
・測定項目:含水率、粒度分布、粉末流動性、O/M比
・測定精度:含水率±0.1%、粉末流動性(Carrの流動性指数換算)±5、
O/M比±0.005(目標)
・粒度分解能:粒径差20%以内
・遠隔保守補修性:セル内での遠隔操作によるモジュール交換が可能なこと。非破壊分析の測定後の試料は全量を工程に戻すこと。
・分析時間:30分以内(O/M比はオフライン測定とし、3時間程度とする。)
(4)前提条件
・セル内クレーンの最大取扱い荷重:5t
・焼結ペレットの概略仕様
寸法:外径 8.74±0.04mm
内径 2.60±0.05mm
高さ 約10mm
重量:約4.5g
・TRU-MOX粉末の概略仕様
かさ密度:約4g/cm3
含水率:5%以下
粒径:〜100μm
(5)関連技術情報
・技術検討書 - (2)燃料サイクルシステム - 第III編4.1.1節
戻る← →【課題12】

Japan Science and Technology Agency
科学技術振興機構 原子力システム研究開発事業 原子力業務室