原子力システム研究開発事業
目次III. 技術開発課題 → 【課題10】抽出クロマトグラフィ法によるMA回収技術の開発
平成18年度募集要項― 特別推進分野 ―

III. 技術開発課題

○ 先進湿式法再処理に関する技術開発課題

【課題10】抽出クロマトグラフィ法によるMA回収技術の開発
(1)研究開発項目
・アメリシウム及びキュリウム回収用抽出クロマトグラフィ塔の開発
・クロマトグラフィ塔の遠隔運転保守技術の開発
(2)目的
 FSフェーズIIでは、高速増殖炉使用済燃料再処理における高レベル放射性廃液(簡素化溶媒抽出工程よりラフィネートとして発生するもの)からのMA回収技術として溶媒抽出法に対し、廃液の大幅な低減化及び経済性の向上が期待できる抽出クロマトグラフィ法を検討している。
 本技術開発課題では、この抽出クロマトグラフィ法について、実用規模(処理量40kgHM/hの先進湿式再処理プラントにおける高レベル放射性廃液処理量に相当)システムの概念構築のため、工学規模での基本性能の実証を行う。なお、工学規模とは、FSフェーズIIで革新技術の実証のための試験機の容量とされている10kgHM/hの再処理プラントにおける高レベル放射性廃液処理量に相当する規模とする。
(3)達成目標
 本技術開発課題において期待される成果は以下のとおりである。
・工学規模試験装置等による試験にてMA回収技術の成立性を示す。
具体的には
・FSフェーズIIにおいて主に基本性能の確認を行ったCMPOを担持させた吸着材に対して、より経済性や安全性に優れたMA回収工程を構築するため、種々の抽出剤を担持させた吸着材について、比較評価を行い、有望な抽出剤の選定を行うこと。
・工学規模における吸着塔の設計を行うとともに、異常時(分離塔内における高レベル放射性廃液滞留時等)の挙動解析による安全性評価を行うこと。
・以上の結果を踏まえて、計装・制御方法や遠隔運転保守方法を検討、決定し、工学規模の試験装置あるいはスケールアップによる影響を考慮した適切な評価手法(分離性能など、ビーカースケールにおける結果(RIもしくは化学的性質の類似性を考慮した適切な模擬物質を用いた試験、評価等から得られるもの)をもととした評価に基づくもの)により、その基本性能を実証すること。
・実用規模のMA回収システムの概念構築に資するシステム性能データを取得する。
 本技術開発課題における具体的な開発要件は以下のとおりである。
・分離性能
− 回収率:Am、Cmともに99.9%以上とすること。
− 除染係数:希土類元素を含め、各元素について100以上とすること。
 なお、MA製品は硝酸溶液を基本とする(燃料(酸化物)への脱硝、転換に際して前処理が不要なものとする)。
・安全性
− 運転時及び異常時における火災、爆発防止を考慮したものとすること。
・計装・制御
− 運転制御系の自動化を考慮したものとすること。
・遠隔運転保守
−作業、交換頻度、機器重量等を考慮し、モジュール交換、機器一括交換、ユニット交換の何れかの方式が可能なものとすること。
(4)前提条件
・対象とする溶液
先進湿式再処理プラント(処理量40kgHM/h (200tHM/y))における簡素化溶媒抽出工程よりラフィネートとして発生するものとする。
・実用規模システムの処理能力
約3,000L/d
・吸着材
多孔性SiO2粒子にポリマーを被覆し抽出剤を担持させたものとする。
(5)関連技術情報
・技術検討書 - (2)燃料サイクルシステム - 第II編4.7.1節及び4.9.1節
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科学技術振興機構 原子力システム研究開発事業 原子力業務室