低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2017-PP-19

民生家庭部門におけるCO2排出量の中長期予測モデル構築に向けた検討

概要

 民生家庭部門におけるCO2排出量の将来予測は、最終エネルギー消費量の将来予測に基づいて算出できる。しかしながら、将来予測に関する従来の研究においては、最終エネルギー消費量の算出根拠となる家庭のエネルギー需要量について、過去の傾向を維持するかもしくは現状値を将来に渡り固定するという条件下での検討しか行われていなかった。

 本報では、機器普及率や機器エネルギー効率の変化だけでなく、空調に関するライフスタイルの変化を含めた、現状から想定可能なシナリオを複数設定することにより、2050年における家庭部門の最終エネルギー消費量を約1,145PJ/y~1,831PJ/yと予想した。また、2050年における電力消費量は929PJ/y(≒258TWh)~964PJ/y(≒268TWh)、ガスその他消費量は216PJ/y~867PJ/yと推計された。我が国は2050年時にCO2排出量を80%削減する必要があるため、本推計結果により一定量残ることが予想されたガスその他の化石燃料消費量を、より一層削減する必要があることが明らかとなった。この結果は逆に言えば、現状から想定されるシナリオだけではなく、よりダイナミックなライフスタイルの変化を想定しない限り、CO2削減目標の達成が不可能であることを示唆している。化石燃料消費量が最小となるシナリオにおいて、暖房・給湯・厨房用として化石燃料(ガス)はほぼ均等に消費されるという結果を得た。今後はこれらの用途において化石燃料消費量の削減に貢献し得るライフスタイル変化について検討する必要がある。

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