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この研究領域は、ナノサイズの材料や構造を、原子・分子レベルでの制御を基礎に造り上げる科学技術に、これまでにない新しい考え方や手法を導入し、欲しい構造を欲しいタイミングで欲しい場所に積み上げて造ることを目指す挑戦的な研究を対象とするものです。 |
例えば、原子・分子レベルでの制御によりナノサイズの物質、組織、空間などを創製し、必要な分子構造、空間構造、テンプレート構造、デバイス構造などを、様々なスケールで起こる現象と結びつけて設計し構築するプロセス、およびその応用を目指した機能探索などの研究が含まれます。
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「プログラムされたビルドアップ型ナノ構造の構築と機能の探索」
【達成目標】
原子レベルからのプログラムされた積み上げによってナノレベルの材料や構造を造り上げる技術を開発し、以下に例示するような領域に関する材料や構造の創製及びその機能の探索を行う。 |
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プログラムされた原子・分子からの積み上げによるナノサイズの組織体の創製、およびナノデバイスに向けた機能の探索 |
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プログラムされた原子・分子からの積み上げによるナノサイズ空間の創製、およびナノ触媒・ナノリアクターに向けた機能の探索 | |
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物質・材料をナノサイズとすることによりこれまでにはない機能を発現することが期待される「ナノテクノロジー」は、我が国が信頼性の高い工業製品を生み出し、国際競争力を維持する担い手としての使命を負っています。
ナノテクノロジーとしては、トップダウン型ナノテクノロジーと呼ばれる微細加工技術が、情報通信デバイス分野を中心に、既に産業化に近いレベルで推し進められています。しかしながら、この技術では数10ナノメートルが限度と予想され、それより小さいナノサイズを実現する技術としては、原子レベルから積み上げていく技術(ビルドアップ型ナノテクノロジー)の確立が期待されています。
原子や分子からの積み上げを行う技術として、初めは、局所プローブを用いて1つ1つ操作する方法が研究されましたが、より量産化に向いた方法として、原子や分子の自己集積化または自己組織化を利用して構造を形成させる技術の研究が注目されています。しかしながら、現状の技術には、「作りたい所に作りたいものを実現する」技術が欠如していることから未だ産業への応用に大きな限界があります。このような問題のブレ−クスルーを図り、目的通りに設計しプログラムすることのできるビルドアップ型ナノテクノロジーの確立が強く求められています。
米国では、2004年12月版NNI戦略プランにおいて、ナノマニュファクチャリング(ナノ製造技術)が最重要研究領域の1つとして挙げられ、その中の研究課題としてボトムアップ型あるいは自己組織型プロセスの重要性が強調されています。我が国は、トップダウン型ナノテクノロジーとその産業への応用において、これまで世界をリードしてきましたが、上述のような背景や要請を踏まえ、更に本目標に向けた研究について、多分野の先進的な研究者による独創的な研究を国レベルで推進する必要があります。 |
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1)ビルドアップ型ナノ構造構築の基礎 |
ビルドアップ型のナノ構造構築の基礎となる技術として、金属、半導体、磁性体などによりナノサイズの制御された組織体を創製し、それらを集積させて量子ドットなどのナノデバイス構造を形成させる研究が行われています。また、分子系材料においては、原子からの積み上げにより、フラーレン、カーボンナノチューブなど代表的なナノ物質や、大環状化合物、デンドリマーなど超分子、更にはブロックコポリマーなど高分子の創製の研究も行われています。また、ナノサイズの空間を内部に持った物質・材料の創製が研究されており、これらのナノサイズの空間は、高い触媒能を発現する等の機能が確認されています。 |
2)プログラムされたビルドアップ型ナノ構造構築 |
プログラムされたビルドアップ型ナノ構造構築としては、DNAやたんぱく質、バイオミネラルなど、生体系物質における自己組織化の研究が最も盛んに行われています。
人工的材料におけるナノ構造構築に設計とプログラムの機能・プロセスを持たせるための1つの方法として、上記の生体系物質における集積化のプロセスを利用することができる。例えば、DNAの塩基配列の規則性を利用して、それを鋳型とした化学反応により、金属・無機系物質のナノ構造の設計・制御とプログラミングを行う技術は、重要な研究領域であると考えられる。
また、生体系物質を利用せずに、無機系あるいは有機系物質自身の生成プロセスを利用して、精密に設計・制御されプログラムされたナノ構造体を生成させる技術も重要な研究領域を形成する。
今後、ビルドアップ型ナノテクノロジーについて、サイエンスおよびテクノロジーの両面からの重点的・体系的な研究を行っていくことが必要である。特に、トップダウン型ナノ構造構築に比べた場合、ビルドアップ型ナノ構造構築は、技術確立に向けた原理的なブレークスルーが更に求められており、独創的な着想に基づく研究がより一層望まれる。 | |