戦略的創造研究推進事業 ナノテクノロジー分野別バーチャルラボ(CREST)

研究領域「医療に向けた化学・生物系分子を利用したバイオ素子・システムの創製」

平成19年度 研究終了報告書(平成14年度、15年度及び平成16年度採択研究課題)

巻頭言
研究領域
「医療に向けた化学・生物系分子を利用したバイオ素子・システムの創製」
平成14年度、15年度及び16年度採択課題 研究終了にあたって

研究総括 雀部 博之

本研究領域は、平成13年度にCRESTプログラムとして発足し、平成14年度にナノテクノロジー分野別バーチャルラボに併合された。そのため、平成13年度採択の研究課題(「化学・生物系の新材料等の創製」)と平成14年度以降の採択課題とでは、戦略目標、研究領域名が異なっている。平成19年度に終了した研究課題は、14年度採択7課題(うち1課題は平成15年度で研究辞退、1課題は平成18年度で研究中止)、15年度採択1課題及び16年度採択1課題の7つである。

  本研究領域がカバーする範囲は極めて広範であり、ともすると課題が発散する惧れもあることから、ナノスケールにおける融合的革新技術の構築を目指し、医療への応用分野では医学と工学の融合を促進するもの、ナノメディシン・医薬送達等のナノ・バイオシステムの創製に関わるもの、バイオセンサ等のナノ・バイオ素子の創製に関わるもの、ナノ計測技術の革新的展開を図るものが主たる対象課題となった。各研究代表者のリーダーシップの下、研究チームの運営も順調に推移し、極めて多彩で優れた研究成果が多数挙げられたことは大変喜ばしい。成果の詳細は本報告書をご覧頂くとして、生分解性ナノ粒子による免疫誘導の研究(明石チーム)、拡張ナノ空間における水の物理化学の解析及び再生医療への応用(北森チーム)、ナノケミカルプローブの創製(鈴木チーム)、塩基部無保護法による新規核酸合成法の確立(関根チーム)、疾患モデル細胞ライブラリーの作製(松岡チーム)、安定性の高い錯体遅延蛍光によるバイオイメージング(松本チーム)、細胞内シグナルに応答し遺伝子を発現させる分子システムの構築(片山チーム)、蛋白超分子構造のシミュレーション(由良チーム)等の成果は国際的にも注目を集めており、これらの研究の先見性・先導性を物語っている。なお、誠に残念な事ではあるが、松本チームの取組みは不適切な経理処理等の事由により平成18年度で研究中止となった。評価に関しては平成19年度に行われたことから本報告書に掲載されている。

  本研究領域は相澤益男研究総括の下でスタートし数多くの成果を上げてきたが、相澤研究総括が平成19年1月より総合科学技術会議議員に就任されたため、雀部がその後の研究総括を拝任した。相澤前総括の卓越した指導力と一貫してご指導を賜った領域アドバイザーの諸先生方のご協力により無事に研究終了を迎えられたことを心より感謝いたします。また、科学技術振興機構本部及び領域事務所の皆様に深く感謝いたします。