研究課題別中間評価結果

1.研究課題名
高次構造天然物の全合成:制癌活性物質の探索と創製
2.研究代表者
研究代表者 桑嶋 功 北里大学 生命科学研究所 教授
3.研究概要
 本研究では、興味深い生理活性を示し、特徴的な炭素骨格を含むタキソール、マシンドリン、インゲノール、アリスガシン、ナフレジン、カズサマイシン、ハーキュリン、テルペンドール、F0-7711-CC5などの全合成研究を行う。これらの標的物質の全合成を効率的に達成するには、各々の特異な基本炭素骨格構築の適切な設計が鍵となるので、その開発を基盤とした合成計画を立て、全合成研究を実施する。
4.中間評価結果
4−1.研究の進捗状況と今後の見込み
 CREST採用時にすでに合成されていたもの、ほぼ完成していたものを含め上記の目標化合物のいくつかの合成が達成されている。現在、高ひずみ化合物などを鍵化合物とした合成戦略に基づき全合成を行っている。今後さらにいくつかは合成されるであろう。
4−2.研究成果の現状と今後の見込み
 このチームの技術的な完成度は高く、少人数の割には世界一流の成果を上げているといえよう。(米国などでは多数の研究員を擁し、massiveな研究を行っているグループがあるが)。しかし、採用時に提言された、博士研究員などの雇用による人的戦力の拡充がなされていないのは残念である。今後改善されることを望みたい。
4−3.今後の研究に向けて
 投入された研究費に比べて、研究成果の発表が、論文、口頭発表、特許等で多いとは言えない。採用時に謳われた生理活性評価グループとの連携も余り見えないのは残念である。今後、誘導体合成を含めこの方向を改善したい。
4−4.戦略目標に向けての展望
 採用時に提案された戦略目標の実現に向かっての努力を望みたい。
4−5.総合的評価
 採用時の戦略目標は妥当であったし、研究代表者の実績も高く評価されていた。しかしここにきて、大量の有機溶媒を使用し、従来方法の踏襲の方法論であるなど、研究代表者の研究ビジョンが一時代前のものであることが明らかになってきた。我が国の天然有機化合物合成レベルの維持という観点から、また、タキソールなどの制ガン剤としての可能性からも、本研究の実施が支持されたので、今後の発展を大いに望みたい。
<<分子複合系トップ


This page updated on September 12, 2003
Copyright(C)2003 Japan Science and Technology Corporation