GIES Global Innovation Ecosystem

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シンポジウム

サマリー

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Part I 終わりのまとめ

司会:石倉 洋子

 北澤氏の講演は、基調講演の2人とは違った視点からの具体的な提案であった。

  イノベーション25は、「出る杭」、多様性、国民の視点、エコ・システムを重視するという点が従来の政策とは全く違って斬新である。しかし海外の若者に比べて、日本の若者が夢を持っていないという日本の現状とあわせて考えると、地球レベルの課題を解決しようという高い目標を立て、それを実行することによってこそ、イノベーション25の精神がいかされ、若者にも夢が与えられるはずだと提案された。その前の黒川、ウィンス・スミス両氏の基調講演でも指摘されていた内容に通じるものである。

  さらに、実際に活動を進めるために具体的な事例として、リニア・モーターカーの話が紹介された。東京大阪間にリニア・モーターカーを建設するなど個々の技術としてとらえると膨大な投資でとてもできないと思われても、経済全体の規模からみるとそれほどでもないことや、新しい技術を社会に浸透させるために、経済的インセンティブを作る方法は沢山あることを提案された。たとえば規制、寄付に対する税制が経済的インセンティブになりうる、ドイツの太陽光電池推進策なども長期的な政府の政策なので、本当にこのやり方で太陽光電池が新しいエネルギー源として定着するか、他により良い技術があるのではないか、など不確定要素は多々あるが、技術を経済的価値に変換する一例。こう考えれば、地球レベルの課題も解決できる。そうすれば夢を持っていない若者にも夢を与えられるのではないか、と結論づけられた。

  イノベーティブな代表的な会社のひとつとしてよく例にあげられるアップルの創業者スティーブ・ジョブズが、スタンフォード大学の卒業式で2年前にしたスピーチに、「あまり先を見越して、これもだめ、あれもだめといっていては、世の中をあっといわせるような新しいことは何も始まらない。新しいアイディアをもっていたら、信じてやってみることだ。常にとてつもないことに挑戦する心を持ち続けよう。」といっていた。イノベーションにはリスクがつきものだ。リスクを恐れていては、イノベーションはできない。革新はいつの時代にも「変人」によって始まる。

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