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平成21年度シーズ発掘試験 研究概要(ものづくり技術、社会基盤、フロンティア)

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 研究者、コーディネータはH21年10月における情報を掲載しています

 高精度技術:21件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
189 X線量計測用高品質ZnO系電極膜の開発 越後谷 淳一 岩手大学 小川 薫 岩手大学 医療用の電離箱は、透明導電膜で被覆されたプラスチックの電極板3枚が空気層を介し二重構造を形成している。X線が通過すると電離効果で、電極板間に電流が流れ2つの電流でX線量が計測される。現在ITO透明導電膜が用いられているが、X線吸収量の低減化、高感度化等が要請されている。本研究では、X線吸収係数の小さな材料系で、低温成膜・高均一膜厚スパッタ技術を駆使し、電離箱用高品質電極膜の開発を行う。
382 精密制御のための高精度デジタルタコメータの開発 辻 俊明 埼玉大学 永井 忠男 埼玉大学 精密なモーション制御の実現には、(1)速度演算の高精度化、(2)サンプリング時間の短縮化、が重要な課題となっている。研究代表者らはこれまでに同期計数法と呼ばれる高精度速度計測法を提案しているが、サンプリング時間の短縮化の課題が残されていた。そこで本研究課題では同期計数法を実装した高精度デジタルタコメータの演算を高速化することにより、高精度制御の極限性能を獲得することを目標とする。
451 超小型原子発振器の低消費電力化に関する研究 五箇 繁善 首都大学東京 柏原 繁郎 首都大学東京 現在、水晶発振器の安定度を大きく上まわる超小型原子発振器の実現化が切望されている。本研究では、携帯利用可能な原子発振器の実現化を最終目標とし、消費電力の低減を可能とする新たな方法を提案する。アルカリ元素および励起用レーザ波長の最適化を行い、共鳴に必要なマイクロ波周波数を低下させ、大幅な電力削減を可能とする。マイクロ波周波数低下は周辺回路設計の容易化とレーザ選択性の向上に繋がり、コスト削減にも非常に有効である。
495 光を用いた微小気泡除去装置の開発 元祐 昌廣 東京理科大学 川原 隆幸 東京理科大学 微細化・高集積化が進む中、薬液塗布や洗浄の工程において、10μm〜1mm程度の微小溝や間隙、流路内に混入、発生した微小気泡は壁面に付着し易く、塗布や洗浄のムラや圧力損失、品質低下等のトラブルの源となる。本研究では光熱効果を用いて気泡を操作する技術を開発し、微小気泡を光照射により非接触で除去する装置のプロトタイプを製作し,適用範囲を明らかにして設計指針を確立する。
597 超精密非球面形状測定のためのバリアブル・シア・デバイスの開発 野村 俊 富山県立大学 定村 茂 富山県立大学 ラテラル・シアリング干渉計は、測定面で反射した光をラテラル(横方向)にシア(ずらす)して干渉縞を生成することから、特別な参照面なしに非球面を測定することが可能である。しかし、干渉縞は測定面の傾きを表しているため、形状への変換には干渉縞解析が必須である。本研究では、シア量を可変することで得られる複数の干渉縞を利用して、空間分解能を向上させる干渉縞解析手法に適用するためのシアデバイスの開発を行う。
615 細胞単位の非破壊断層撮影を可能にする超精細計測技術の開発 廣林 茂樹 富山大学 岩瀬 洋一 富山大学 透明でなくても生体や試料を採取・破壊することなく、内部構造を可視化できる断層撮影技術には、X線CT、MRI、超音波、共焦点顕微鏡などあり、医療現場で広く利用されている。これまで、そのような計測装置の精度向上においては、ハードウエアの原理機能拡大が最も有効な手段となっている。そこで、本研究では、申請者が発明した次世代型信号解析法のソフトウェア技術を使って、このような既存の医療用計測装置の飛躍的精度向上を目指すものである。
729 圧電式ジャークセンサの実用開発に向けた試験研究 辺見 信彦 信州大学 宮坂 秀明 信州大学 本研究は研究者が考案した新しい測定法によってジャークを測定するシステムの開発研究であり、圧電素子を用いた簡易な小型センサの実用化を目的としている。助成期間中に達成する目標は昨年末に試作した試験素子で実用化のための問題点を明らかにし実用化の目処を立て、実用的なレベルで測定可能にすることである。
747 超精密加工のための熱変形推定システムの開発 下平 隆 長野県工業技術総合センター 酒井 伸 長野県工業技術総合センター 6箇所の温度変化を0.001℃の分解能で測定する技術を開発し、この測定装置により分析した結果、ナノメートル分解能の加工機では加工機各部の1℃程度の僅かな温度変化が加工精度に直接影響することが判明した。
精密加工において問題となる温度変形を推定するシステム実現のために、50箇所程度の温度測定装置、及び、多点の温度変化情報から加工機の熱変形を推定する知識処理ソフトウエアを開発する。
816 パラレルメカニズムを用いた小形光学顕微鏡システム用駆動装置の開発 大岩 孝彰 静岡大学 藤田 武男 静岡大学 焦点調整機能と標本移動機能を小型化して対物レンズに組み込んだ小形顕微鏡システムを成立させるため、標本移動機能としてZ方向に垂直な2方向(X・Y方向)の合計3自由度並進運動が可能な小形で低振動なXYZ微動機構を研究開発する.具体的には平行リンクを3組用いた3自由度パラレルメカニズムを開発する.またこのメカニズム用のアクチュエータとして,小形ボイスコイルモータの変位を変位縮小する方式のインチワーム機構を開発する。
856 高速・高精度注湯を実現する状態適応型自動注湯ロボットの開発 野田 善之 豊橋技術科学大学 永森 茂 豊橋技術科学大学 鋳造産業における注湯工程は、高温の溶湯を鋳型内へ注ぐ工程であることから、過酷な労働環境であり、注湯ロボットによる自動化が進められている。注湯ロボットの精度は歩留りに大きく影響する。一方で、溶湯の温度低下は鋳物品質に影響することから、迅速に注湯することが望まれている。非線形注湯数理モデルをシーズ技術として、注湯状態に応じて、制御システムを更新する状態適応型自動注湯ロボットを開発し、注湯充填重量誤差率1%以内を実現する。
862 ダイレクトインプリントリソグラフィによる高密度配線パターン形成技術の開発 柴田 隆行 豊橋技術科学大学 冨田 充 豊橋技術科学大学 携帯電話をはじめとする電子情報機器の小型化・高機能化にともない、半導体や機能素子を搭載する電子モジュール用の銅配線基板の微細化・高密度化の要求が高まっている。本研究では、微細パターンを低コストで量産し得る次世代のものづくり技術として、新規なダイレクトインプリントリソグラフィ(DIL)技術を提案し、最小線幅10μmの高密度配線基板の製造法への適用を検討する。
869 新摩擦制御法を用いたサブナノメートル位置決め精度を有する装置開発 田中 淑晴 豊田工業高等専門学校 橋本 正俊 豊田工業高等専門学校 超精密位置決め装置では、微小変位領域での制御ゲインを極めて大きくすることが一般的である一方、高速移動時などでは振動的にならないためゲインは低目に設定をする。そのため、高速移動時などでは位置決め装置の性能を活かしきれず余分なタスク時間がかかってしまう。そこで、摩擦挙動をモデル化した非線形摩擦モデルを用いた制御方法を提案し、サブナノメートル精度と長ストローク・高速移動を両立させることを目的とする。
900 準剛体回転流による高精密微粉分級における高処理量化法の開発 土田 陽一 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 本研究は、サブミクロン域にわたる広い粒度分布をもつ、流体に不溶な種々の微粉体を、高速回転でも層流を保つ準剛体回転流中で、粒子に作用する遠心力と流体抗力の、粒度による差を利用して、極めて高い精度でほぼ均一粒度の複数の微粉体に分ける湿式遠心分級方式の開発・実用化を目指す。この分級方式は流れ場の生成条件に由来して少処理量向きであるが、高い精度を維持したまま、産業界の高処理量化の要望に応えるべく、高処理量化法を開発する。
1001 単色赤外線照射による固体間潤滑液体層の制御 小竹 茂夫 三重大学 新原 英雄 三重大学 エンジンや機械駆動部品の潤滑特性や耐久性に不可欠な、固体間真実接触界面における潤滑液体の分子層厚さの変化を特定波長の赤外線で制御する技術開発を行う。特定波長の赤外線を放出する赤外線フォトニック結晶を作製評価し、ここから出る赤外線により、種々の潤滑油や液晶分子が作る分子層の安定性や経時変化を計測する。以上の研究により、潤滑液体特性評価技術の高度化を目指し、エンジンや機械摺動材の摩擦係数や摩耗特性の制御技術へとつなげる。
1252 コンベア上の物体精密重量測定技術の開発 梅本 敏孝 大阪府立工業高等専門学校 鈴木 義彦 和歌山大学 製造ラインではオートチェッカと呼ばれる自動重量選別器が利用されており、小型化が求められている。しかし、機械的外乱が選別精度に影響を及ぼし、小型化が充分果たせない現状にある。代表研究者らは適応ノッチフィルタを提案した。製品化するためには、外乱の周波数成分を精度良く求める必要がある。そこで、この外乱の中で最も測定精度に影響を及ぼす計測コンベアの固有振動の周波数同定に着目し、信号圧縮法によるシステム同定を行い、選別能力を調べる。
1256 ポリマー電着法によるフルカラーマイクロレンズアレイの開発 櫻井 芳昭 大阪府立産業技術総合研究所 武井 廣見 独立行政法人科学技術振興機構 現在の光システムでは、光学部品の小型・高密度化が進み、発光、受光効率が著しく低下するため、光の利用効率の向上が課題となっている。本課題に寄与するため、集光と色彩機能を併せ持つフルカラーマイクロレンズアレイを空気中で紫外光をパターン照射したポリシラン膜の水溶液に対する選択的膨潤性と青、緑、赤色顔料分散型イオン性ポリマー溶液を用いた電着法を組み合わせて、透明導電性フィルム上に作製する。
1330 反共振を利用した高回転精度の回転工具設計法の開発 安達 和彦 神戸大学 中井 哲男 神戸大学 深穴加工に対応できる長尺型で高回転精度の回転工具の形状設計法を開発することが目的である。加工時と非加工時の回転工具の振動特性を計測して被削材と回転工具の接触剛性を実験的に同定し、回転工具の振動特性を「一端固定−他端ばね支持のはり」でモデル化する。構築したモデルを元に加工時の回転工具の振動状態が反共振状態となる回転工具の形状を創出する。創出した形状を有する回転工具を試作し、回転精度などを実測評価する。
1396 テーパシャンク部構造の最適化による高耐びびり性ツールホルダの開発 小幡 文雄 鳥取大学 和田 肇 鳥取大学 回転主軸を有する工作機械を用いて金属材料を高速切削する場合の大きな課題は、主軸高速回転時に主軸先端部が遠心力で拡張するために主軸のツールホルダ把持力が減少してびびり振動が発生しやすくなり、加工精度・加工能率が低下することである。本研究では、ツールホルダテーパシャンク部の材料および内部構造を最適化することで、減衰能が高くかつ主軸高速回転時でも主軸テーパ面と良好な接触状態が保持されるBTシャンクツールホルダを開発する。
1492 制御入力飽和に強い高速サーボ制御装置の開発 佐伯 正美 広島大学 三原 博道 広島大学 モーターの能力を最大限活用するには入力電圧の飽和領域までの有効利用が必須であるが、サーボ制御器の積分特性と飽和特性の相互作用により制御系が不安定化するワインドアップ現象が障害となり、性能が十分に引き出せない。これに対して従来のアンチワンドアップ補償器は安定化に有効であるが目標値追従はあまり良くない。本研究では、新しい補償方式を提示し、確立のためにシミュレーションおよびモーター制御実験により特性評価し有用性を検討する。
1718 FPGAを用いた超高精度ディジタルハードウェア制御系の開発 花本 剛士 九州工業大学 猪ノ口 博文 (財)福岡県産業・科学技術振興財団 PWMインバータを用いたモータ制御系では、スイッチングによる電流脈動やデッドタイムによる非線形特性等の影響により、トルク脈動が生じる。本研究では、制御部に超高速演算(ディジタルハードウェア制御)を適用し、電気的要因によるトルク脈動を生じないモータ駆動装置を開発する。ここでは、モータ駆動用リニアサーボアンプとFPGAを用いたディジタルハードウェア制御を組合せ、高速制御周期5μs以下のディジタル制御を行う超高精度トルク制御の実現を目指す。
20(B) 大型可能・動物対応高速ピンポイント電子スピン共鳴装置の開発 伊藤 智博 山形大学 浦山 隆 山形大学 本研究の目的は、大型化および動物に対応し、3秒程度でスキャンできる高速ピンポイント電子スピン共鳴システムの開発である。具体的には、ESR共振器のシールドケースを「メッシュ構造」にし、かつ、磁場勾配コイルをシールドケースの外側に取り付けるなどの方法をお試み、低渦電流シールドケースおよび低干渉磁場勾配コイルの2つの技術要素を確立し、大型化が容易かつ動物に対応したピンポイント電子スピン共鳴装置の基盤技術の開発である。

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 精密部品加工:16件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
188 迅速安価で簡単なマイクロ金型の製造に関する研究 清水 健司 岩手大学 小川 薫 岩手大学 近年、バイオ関連機器、医療機器、光学機器などの分野において、精度の高い微細パターン付き成形品を成形加工する要望が増え、それに伴って微細パターン成形用の精密金型の製造法の開発が切望されている。本研究では、本研究グループのこれまでの独創的な接着技術、露光技術、結晶化技術及び重合技術を用いて部分的な有機皮膜と基板材料のメッキにより、安価で迅速に簡単な方法でマイクロ流路などの簡易金型(使用回数:100以上)を開発することが目的である。
389 光学ガラスの高速鏡面研削技術の開発 澁谷 秀雄 埼玉大学 大久保 俊彦 埼玉大学 21世紀はオプトエレクトロニクスの時代といわれ、レンズやミラーといった光学部品の重要性が増している。特に高い光学特性・環境安定性が求められるハイエンド向けや最先端理化学機器用部品には光学ガラスが用いられている。しかしながら、光学ガラスの研磨加工には非常に長い時間がかかる.そこで本研究では、砥石を用いて光学ガラスに対してnm〜Åオーダーの鏡面を数分程度の加工時間で創成する高速鏡面研削技術の開発を行う。
473 サファイアの高能率高品位微細切削加工機の開発 松村 隆 東京電機大学 中田 英夫 東京電機大学 化学プラント、海洋・宇宙開発の分野では、極限環境材料としてサファイアのニーズが多く、その微細加工に対する関心が高まりつつある。この課題では、高能率で高品位なサファイアの微細切削を対象とし切削特性を明らかにする。ノズルや高圧高温下の極限環境部品の製造を目的として、(1)微細切削加工機の設計・開発、(2)サファイアの各結晶面における切削特性の評価、(3)最適切削条件および工具の選定指針を示す。
629 汎用レーザによる表面周期構造の創成と気体軸受への応用 古本 達明 金沢大学 奥野 信男 金沢大学 製品の小型・軽量・高効率化は、情報通信や医療など様々な分野で進められており、また、環境問題の視点においても省エネルギを実現する上で不可欠な事項として認識されている。本研究では、汎用的に用いられているYAGレーザを用いて、透明樹脂板表面にミクロンオーダの円筒状レンズアレイを製作し、同アレイを用いて気体軸受表面にマイクロオーダの周期構造物を加工して、高い運動性や剛性を有し、かつ環境負荷の少ない動圧溝付き気体軸受を製作する技術を確立する。
665 位相差のある調和駆動発生可能なピエゾ素子レイアウト微小搬送機構の研究 記州 智美 石川工業高等専門学校 割澤 泰 石川工業高等専門学校 互いに角度をなす2ヶ所のピエゾ素子面を位相差をつけて調和駆動し、搬送面をだ円振動させる機構の開発を目指す。だ円振動させることで、従来の直線振動に比べ物体をより円滑に、高速度での搬送が可能となる。また、だ円振動の主軸長と長短軸の比率を変化させることで搬送速度も制御可能である。この制御法は回数の繰り返し(振動数)により、高速度が実現する効果が得られるとともに、微小搬送を活かして一定速度や円滑な搬送の実現が期待できる。
817 焼入部品のX線非破壊硬さ検査のための評価基準データベース化技術の開発 坂井田 喜久 静岡大学 藤田 武男 静岡大学 焼入れ部品の硬化状態をインラインで検査できることを目的に、X線による非破壊硬さ検査の実用化に不可欠な「評価基準データベース化技術」を確立させるため、合格品のデータ取得を処理条件毎に高効率かつ高精度に取得する手法を検討し、計測点の高精度位置決めを可能とする共通治具の具体化を図る。
938 マイクロ・ナノ機能性表面の創成加工技術の開発 鈴木 教和 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 本研究では、難削材料の超精密切削において優れた加工特性を持つ超音波楕円振動切削に対して、振動振幅をマイクロ・ナノメートルオーダで高速制御することにより能動的に切込み量を制御する加工システムの開発を行う。これにより、従来技術では不可能であった難削材料の自由曲面に対する超精密・微細なマイクロ・ナノ機能表面の加工を、高能率で創成することのできる実用的な加工技術の開発を目指す。
1254 軸付き電着ダイヤモンド砥石の放電ツルーイング技術の開発 南 久 大阪府立産業技術総合研究所 山口 勝己 大阪府立産業技術総合研究所 電着ダイヤモンド砥石は、優れた研削性と耐摩耗性を有し、複雑・微小径砥石の製作が比較的容易なことから、様々な加工分野で利用されている。しかし、切れ刃となる砥粒の突き出し高さを揃える適切なツルーイング法がないため、高精度な加工には適用されていない。本研究では、非導電体のダイヤモンド砥粒自体を直接放電加工するツルーイング法(放電ツルーイング法)を提案し、その実用化を目指した検討を行う。
1266 高分散性ナノ粒子触媒を用いた無電解めっき法による微細金型作製プロセスの開発 岡本 尚樹 大阪府立大学 稲池 稔弘 大阪府立大学 ナノインプリンティング技術をはじめとする各種微細金型を利用する分野においては、より複雑かつ微細な、高強度・離型性に富んだ金型を低コストに作製できる電鋳プロセスが求められている。そのプロセスの開発・高度化のためには、高精細かつ複雑な形状への均一性に富んだシード層の形成方法および電鋳構造物の形状制御が課題となる。本研究では、それらの課題を解決すべく、ナノ粒子触媒を用いる無電解めっき法と組成・形状制御能を有した電気めっき法を用いた微細金型作製プロセスを開発する。
1454 超硬材料の鏡面加工を簡単に実現する正面研削専用工具及び工具調整装置の開発 藤原 貴典 岡山大学 東 英男 岡山大学 高い硬度や耐熱強度を有する超硬合金は、典型的な加工の困難な材料である。
そこで、これを能率良く平面形状に加工するためには、カップ型の工具である砥石の円周面に多数分布するダイヤモンド砥粒切れ刃を、有効に活用する「正面研削方式」が好適である。
本課題の目的は、従来にない概念に基づく正面研削工具及び砥粒切れ刃の幾何学的形状精度調整装置を開発することで、難加工材料である超硬の鏡面加工を簡単に実現するための技術確立である。
1456 EBポリッシングによる生体材料コンポーネントの超高能率表面仕上げ法の開発 岡田 晃 岡山大学 東 英男 岡山大学 生体インプラント材として使用されるチタン合金、コバルトクロム合金等の表面仕上げを大面積電子ビーム照射法(EBポリッシング)によって短時間に精度よく行う革新的手法を確立することを目的とし、表面平滑化特性の解明、表面改質効果についての検討を行う。
1476 溶射法による超微粒メタルボンドダイヤモンド砥石の開発 竹保 義博 広島県立総合技術研究所 古川 昇 広島県立総合技術研究所 高硬度材の精密研削加工に用いられるメタルボンドダイヤモンド砥石は、金属粉末とダイヤモンド砥粒の焼結により製造するため、大型砥石の製造に課題がある。本提案者らは、広い面積に短時間で金属皮膜を形成可能な溶射法を利用した製造方法により、平均砥粒径が15-35μm程度の砥石製作に実用化のめどをつけた。本研究では、この手法により平均砥粒径が1μm以下までの超微粒メタルダイヤモンド砥石の製造を試みる。
1499 高剛性多孔質絞り静圧空気ベアリングの開発 山田 啓司 広島大学 松井 亨景 広島大学 多孔質絞り静圧空気軸受は,粉体を焼結して作製した軸受面全体に給気口が均一に分布した構造となっており,高剛性という特長を有している.静圧軸受の剛性は軸受面のすきまhが変動した際の軸受面の圧力Poの変動量によって表され,設計仕様通りの軸受性能を実現するためには,絞りの通気抵抗Rcを調整しなければならない.
応募研究課題では,上記の絞り調整のため多孔質体の通気性を制御する新方法を開発し,優れた性能の多孔質絞り静圧空気軸受を製作する.
本研究課題における具体的な目標は,レーザ表面処理によって絞り効果の調整を行うとともに,研削加工によって焼結多孔質体の形状精度を高めて軸受性能を制御することである.
1600 ファイバーレーザを用いた微細接合に関する研究 宮内 創 香川県産業技術センター 白川 武志 香川県産業技術センター 本研究では、ファイバーレーザを用いた精密微細溶接に関する基礎的研究を行う。主なターゲットは、熱影響が問題になりやすい電気電子関連の微細部品である。これらを想定したモデルに、ファイバーレーザを用いた高速シーム溶接およびスポット溶接を適用し、微細レーザ溶接における加工特性を把握するとともに、熱影響を最小限に抑えた信頼性の高い接合を実現するための手法の確立を図る。
1713 小型薄型高トルク遊星歯車減速機の開発 山本 耕之 久留米工業大学 田中 邦明 株式会社久留米リサーチ・パーク 標準歯車の組み合わせで高トルク発生を可能にする小型薄型で高減速比を持つ積層式遊星歯車減速機構の実用化を目指すものである。本装置は減速比を自由に決定でき、しかも小型化、軽量化および薄型化が可能になることから、駆動の効率改善とシリーズ化が進めば、様々な産業機械の省エネや省スペース化が可能となり、社会貢献が期待できるテーマである。
1808 マスクレスで化学洗浄が不要なプリント基板配線パターン作製法の開発 田中 博樹 長崎県工業技術センター 山中 孝友 長崎総合科学大学 プリント基板の配線パターン作製において、試作や多品種少量生産のように回路パターンを頻繁に変更する必要がある場合には、通常のマスクパターンを用いた手法ではマスクの作製コストが割高となるため、マスクレスでパターンを形成することが望まれる。そこで、上記の課題を解決するために、レーザープロセシング技術を応用し、マスクレスかつ化学洗浄不要で、必要最小限の金属材料を用いてプリント基板の配線パターンを作製する手法を開発する。

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 高付加価値極限技術(マイクロマシン等):18件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
161 生体分子操作用の原子間力顕微鏡マルチプローブの開発 峯田 貴 弘前大学 野呂 治 弘前大学 原子間力顕微鏡(AFM)技術を応用し、生体高分子の分子像を高解像に観察しながら、近接した別プローブを用いて狙った箇所の分子鎖の切断(分子サージャリ)操作を行うナノプローブ技術を確立することが本研究の目的である。シリコンのエッチングをベースにしたナノマシニングの技術シーズを活用し、積層シリコン(SOI)基板を微細加工し、探針、カンチレバー、および上下動作用の熱型アクチュエータを一括形成し、先端をサブミクロンの間隔で近接させた複数の探針とカンチレバーで構成されるAFMマルチプローブを開発する。
309 微細めっき法による微小磁気レンズの開発 山口 克彦 福島大学 森本 進治 福島大学 UV-LIGA(Lithographie Galvanoformung Abformung)めっき法を用いて、微細構造をもつ磁性体のマイクロブロックを基板上に複数立体配置し任意の局所磁場を生成できる技術を確立することで、磁気センサーの感度を大幅に向上させ、また多機能化を実現しうる微小磁気レンズを開発する。従来型のホールセンサーにおいて感度を10 倍に、またセンサー面に平行な磁場を面直方向に導くことで同一平面上のセンサーにおいて3 軸同時測定を可能にすることが目標である。
440 微生物捕集デバイスへの応用を目指した集束陽子線描画による三次元微細構造体の開発 西川 宏之 芝浦工業大学 村松 瑞 芝浦工業大学 集束陽子線描画(Proton Beam Writing、PBW)による微生物捕集デバイスへの三次元微細構造体の導入により、高効率化の可能性を見出した。本研究開発は、低コストかつ高効率な微生物捕集デバイスの実現のため、PBWを用いた三次元微細構造体の開発と応用を目的とする。病原性大腸菌による食中毒の予防やウイルスによる疾病予防の観点から、PBWによる微細加工技術の微生物濃縮デバイスへの応用を狙う。
591 バイオチップ用レジストの開発とマイクロデバイスへの応用 横山 義之 富山県工業技術センター 谷野 克巳 富山県工業技術センター 温度によって体積を変化させる温度応答性ポリマーや、親水・疎水表面を作り出すポリマーなど様々な特性を持つポリマーが、高機能バイオマテリアルとして提案されている。本研究では、これらのポリマーに感光性や熱架橋性を付与し、フォトリソグラフィー法や熱ナノインプリント法によって直接微細加工可能なバイオチップ用レジスト“バイオレジスト”の開発を目指す。さらに、開発した種々の“バイオレジスト”を組み合わせた高機能バイオチップ・マイクロデバイスへの応用を試みる。
810 音による液滴搬送・混合技術を利用したマイクロ実験室の開発 近藤 淳 静岡大学 出崎 一石 静岡大学 本研究では,センサ基板/マッチング層/圧電結晶からなる3層構造デバイスを開発し、センサ基板を使い捨てとする新しい構造のマイクロ実験室の実現を目指す。具体的には、 3層構造内の伝搬モード解析と構造・材料の最適化、本構造に適した光センサの開発を行う。
872 高感度ねじり振動型MEMS赤外線センサ 佐々木 実 豊田工業大学 後藤 文夫 豊田工業大学 高感度でありながら非冷却で動作するセンサを、非線形性が強いバネと組み合わせて、ねじり振動子を応用して実現する。波長感度が広く一定な熱型センサの特徴と、小さな振動子の一次元アレイ化によって、赤外分光をハンディな小型システムで可能にする。物質の有無・特定・濃度の、その場測定を可能にすることで、環境モニタリング、食品への異物混入検査、人体からの微量ガス測定による無侵襲医療などの応用を開く。
942 MOSトランジスタによる薄膜構造体の応力検出技術の開発 安藤 妙子 立命館大学 金子 靖 名古屋大学 薄膜構造体上に形成したMOSトランジスタを利用し、薄膜変形時における電気特性の変化から局所的な応力検出を実現する、新たな薄膜材料用機械的特性評価の方法を開発する。このためトランジスタを組み込んだ薄膜の引張試験を実施し、トランジスタのキャリア移動度と薄膜表面に生じる応力の関係を明確にする。トランジスタを応用することで、局所応力の測定が可能となる高空間分解能な応力検出センサの実現が期待できる。
1171 蚊の口器構造と穿刺動作を模倣した低侵襲マイクロニードルの開発 青柳 誠司 関西大学 柴山 耕三郎 関西大学 本研究は、MEMS技術を援用した低侵襲マイクロニードルの開発を目的とする。その際、蚊を無痛針のモデルとする。拡大光学系と高速度カメラを用いて蚊の口器構造・穿刺動作を詳細に観察し、有限要素法解析を用いて蚊を模倣した微細針の刺入における皮膚組織の変形・破壊を検討する。これらの結果に基づいて蚊の穿刺メカニズムを解明し、その成果をマイクロニードルの設計・製作にフィードバックする。
1334 MEMS・CNT融合プロセスによるナノセンサデバイスの開発 磯野 吉正 神戸大学 中井 哲男 神戸大学 当研究の研究目的は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術、ナノ加工技術およびカーボンナノチューブ形成技術を融合して「極微小質量センサデバイス」を開発することにより、タンパク質に代表されるバイオ分子の質量や抗原抗体過程を検知する、新規なバイオ分子質量計測技術を確立することである。シリコンMEMS技術とCNT形成技術を融合することで、ディスポーザルで低コストなナノセンサデバイスの製造を目指す。
1464 顕微作業支援装置の開発 野村 健作 津山工業高等専門学校 梶谷 浩一 岡山大学 本研究課題は、顕微鏡下の微細作業を支援する装置をゴムと電磁石を用いた駆動機構で構成する。基盤要素となる精密アクチュエータは、柔軟性や除振効果が高く、現在多用されているピエゾにはない特徴を発揮する。これらの特徴を生かした精密ステージや精密ピンセットによって精密機器の分野で新たな市場開拓が期待できる。とくに精密ステージは、顕微鏡操作者のニーズを考慮して薄型化するなど、様々な工夫を施すことにより、実用化の可能性は高い。
1500 安心・安全な社会構築のためのTRIP鋼を利用した高性能衝撃吸収部材の開発 岩本 剛 広島大学 松井 亨景 広島大学 輸送機器の安全性向上の観点から、衝突時、ある部材にのみに衝撃を吸収させるという衝撃吸収部材が主にドア部等に用いられている。一般に衝撃エネルギー吸収(IEA)特性向上と軽量化を両立させることは大変難しく、設計する部材の構造が複雑となるため、加工し難く、大量生産が実現しても高価になる。本試験では、部材の構造を簡単化し、軽量化を図る代わりに、高IEA特性を持つTRIP鋼を用いて、低加工コストで構造・材料の両者で高IEA特性を保証可能な軽量部材を開発する。
1578 透明固体基板の内部微細加工技術の拡張 松尾 繁樹 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 申請者らは、フェムト秒レーザーを用いてガラス等の透明固体材料の内部にマイクロメートルオーダーの空間分解能で自由な形状の空洞を作製する技術に関する研究を行ってきた。この技術を用いてシリカガラス内部に可動構造物を内包する空洞を作製し、その可動構造物を非接触で回転させることに成功した。本申請研究では、この技術をさらに発展させるため、より安全なエッチング液を用いての加工技術の確立と、新しい被加工材料の開拓を目指す。
1593 レーザー微細加工による光ジャイロセンサの開発 三輪 昌史 徳島大学 牧野 正 徳島大学 微小構造物を作製する手法であるマイクロ光造形法やレーザーアブレーションといったレーザー微細加工法を用い、光路長が2〜5kmに相当するフォトニック結晶構造を製作し、光ファイバージャイロに変わるサニャック効果を用いた光ジャイロセンサを開発する。光ジャイロセンサの目標としては、検出精度は現行の光ファイバージャイロ相当で、そのサイズ・重量を小型・軽量化し市販の振動型ジャイロセンサに近づけることを目指す。
1679 液晶を使った小型モバイル機器向け超低消費電力アクチュエータの開発 三枝 嘉孝 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 現在、携帯電話などモバイル機器の小型化に伴い、低電圧駆動、低消費電力のデバイス装置が必要とされている。すでに、ディスプレイ用バックライトやアンテナなど省電力化の進んだ分野もあるが、アクチュエータやモータなど動力発生装置の省電力化は遅れている。本研究では、液晶を用いた超低電圧駆動、小型モバイル機器向けアクチュエータの開発を目的とし、プリント基板上に液晶セルを作成し低消費電力駆動が可能かを検討する。
1730 薬剤添加用微小孔を有する細胞刺激デバイスの開発 安田 隆 九州工業大学 末松 正典 独立行政法人科学技術振興機構 疾患モデル細胞を用いた新薬研究開発用ツールとして、内径数100μm程度の多数の微小な細胞培養ウェルを有し、各ウェル内に単一の3次元細胞凝集塊を培養する細胞アレイデバイスが実用化されている。しかし、1つのデバイスで解析できる薬効項目は1つに限られ、解析効率が悪いという問題がある。本応募課題では、この問題を解決するため、細胞培養ウェル底面に薬剤添加用の微小孔を多数形成し、その直下にマイクロ流路を構築して、マイクロ流路に導入した薬剤を微小孔より各ウェル内に個別添加する技術を開発する。
30(B) 微細パターニングギャップを有する超広帯域エレクトレット音響素子の開発 蔭山 健介 埼玉大学 角田 敦 埼玉大学 本研究では、ナノ・マイクロレベルの微細プリンティングにより表面に微細パターニングを施した絶縁高分子フィルムを積層し、フィルム層間に制御されたナノ・マイクロギャップを形成する。そして、強誘電体または高分子フィルムを加熱やコロナ放電により高電界を放出するエレクトレットとし、これらを組み合わせ、周波数・音圧の帯域を飛躍的に広げた音響素子の開発を目指す。
31(B) 可変キャパシタを利用した静電浮上機構のセルフセンシング制御システム 水野 毅 埼玉大学 東海林 義和 埼玉大学 可変キャパシタを利用した容量型アクチュエータ制御システムを静電浮上に適用し、従来は不可欠であった変位センサを用いずに安定な浮上を達成する。適用する制御システムでは、浮上用アクチュエータと可変キャパシタとを直列に接続し、その両端に一定の直流電圧を印加する。そして、可変キャパシタによってアクチュエータに印加される電圧を制御する。本課題では、可変キャパシタに印加される電圧から浮上対象物の変位を推定する。
66(B) ナノ微粒子堆積塗付装置による3次元立体造形法の開発 岩田 太 静岡大学 斉藤 久男 静岡大学 本研究は、レーザトラップで補足したナノ微粒子のみを電気泳動を用いて平面的な堆積のみでなく、3次元立体造形技術を開発し、高精度・高安定化を実現せんとするものである。堆積量は1アトリットルの精度で制御・塗布でき、様々なナノ微粒子の堆積加工に適用可能である。ナノ微粒子やナノ材料を基板表面に制御良く高速に堆積させる技術は電子デバイスやMEMS、バイオチップなど様々な分野において大変有望である。

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 環境負荷最小化:18件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
183 マルチ超伝導バルク磁石を用いた高精度磁気分離技術の開発 藤代 博之 岩手大学 近藤 孝 岩手大学 Nd-Fe-B系永久磁石の10倍以上強力な数テスラの磁場を捕捉出来る超伝導バルク磁石は、小型、可搬、強磁場かつ高磁気勾配、漏れ磁場が少ない、などの利点を有する。これまでに開発した列状に5個のバルク磁石を配置した装置を用いて、液体、気体、粉体中から磁気的性質の異なる物質相を高精度に分離・回収するための装置設計、前処理技術、システム化に対する付加価値の高い工学的応用を目指した研究開発を行う。
335 ファイバー単結晶による無鉛強誘電体デバイスの開発 木村 秀夫 独立行政法人物質・材料研究機構 中野 義知 独立行政法人物質・材料研究機構 鉛の有害性から無鉛強誘電体の研究開発が行われているが、性能的に鉛系を超えることは難しい。大多数の無鉛強誘電体には多くの添加元素を必要とし、元素の使用量を減らそうというトレンドに反する。応募課題は単結晶を利用して少ない元素で高性能の無鉛強誘電体デバイスを開発しようとするもので、従来のセラミックスとは異なり単結晶であることから化学的にも安定で、ファイバー単結晶の利用により生産効率の向上も期待できる。
601 廃木材からのクエン酸処理による不純物除去による木炭の開発 立田 真文 富山県立大学短期大学部 山田 恵宣 富山県立大学 廃木材に含有される不純物(重金属類やアルカリ金属など)を有機酸であるクエン酸により除去(洗浄)処理後、粉砕、高圧成型を行ない、燃焼時のダイオキシン類等発生させない安全安心な「高付加価値木炭」を製造する研究である。特に、食品を直接加熱する料理燃料を目指す開発である。なお、不純物を取り除くことで、焼却灰の発生量も抑えられる効果も確認しており環境に優しい開発研究である。
775 効率的縮合反応による疎水化技術の開発 小村 賢一 岐阜大学 丸井 肇 岐阜大学 代表研究者は、長鎖脂肪酸に対する直接的エステル化やアミド化反応において、塩化第二鉄六水和物に代表される金属塩が非常に有用な触媒であることを見出しており、クリーンなプロセスへの転換が期待される技術として研究を行っている。本研究課題としては、親水性化合物に対して長鎖脂肪酸や長鎖アルコールを導入する疎水化に焦点を絞り、本技術を応用した新しい合成手法の提案を目指す。また同時に、芳香族溶媒を使用しない環境負担性を低減した合成プロセスの開発を目的とする。
798 固体を混合するだけで進行する無溶媒鈴木−宮浦反応 門口 泰也 岐阜薬科大学 大森 茂嘉 (財)名古屋産業科学研究所 廃溶媒を出さない無溶媒条件下での工業プロセスの構築は経済性や環境調和の観点から望まれている。最近、全く液体を使用しない、固体(基質)−固体(触媒)−固体(塩基)の組み合わせで鈴木−宮浦反応が進行することを見出した。鈴木−宮浦反応は医薬品など生物活性物質や液晶材料等機能性材料の部分構造であるビアリール骨格の構築に不可欠な反応である。本助成研究では固相鈴木−宮浦反応を一般法として確立し、工業的プロセスの構築を目指す。
1028 貴金属イオン選択捕集を目的としたガラス表面のペプチドによる機能化 谷本 智史 滋賀県立大学 安田 昌司 滋賀県立大学 ペプチドとポリエチレングリコールとのブロック共重合体(ペプチドコポリマー)をガラス基板に固定化し、水溶液中の貴金属イオンを選択的に分別回収するための材料とし、最終的には電気電子工業からの廃水をターゲットとした金属資源の循環システムを構築することを目標とする。本計画内においては、ペプチドコポリマーをガラス表面に固定化し表面密度を制御すること、及び、それを用いて貴金属イオン(特に金イオン)の混合水溶液からの選択捕集実験を行い、ペプチドコポリマーの表面密度と貴金属イオンに対する選択性の関係を明らかにする予定である。
1209 マクロリガンド系バナジウム触媒を用いたアミドからの環境調和型ニトリル合成反応 實川 浩一郎 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 重要な有機官能基であるニトリル基の環境調和型の合成法は未開発であり、本代表研究者らはハイドロタルサイト(HT)の表面水酸基がマクロリガンドとしてバナジウム(V)と直接結合し、基質活性化と脱水反応を協奏的に進行させる新規固体触媒(V/HT)を設計して、アミド化合物の脱水によるニトリルへの変換反応を開発した。この触媒を用いたプロセスよって、従来法では達成が困難であった有害なシアン化合物を用いない、環境に調和したニトリル合成方法の確立を目指す。
1211 触媒的エステル-アミド交換反応による環境調和型アミド化反応の開発 大嶋 孝志 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 一般的にアミドの合成は対応するカルボン酸とアミンを等モル量以上の縮合剤と反応させて行われているが、取扱容易なエステルとアミンから直接アミドを合成することができれば、環境調和性および経済性に優れたアミドの実用的な合成法となり得る。そこで本研究課題では、最近代表研究者らが開発した亜鉛四核クラスター触媒のチューニングを行い触媒の窒素親和性を高めることで、協奏的機構で進行する新規触媒的アミド化反応を開発することを目的とする。
1292 社会環境に調和した導電性銅合金の開発 千星 聡 大阪府立大学 竹崎 寿夫 大阪府立大学 エレクトロニクス技術の更なる発展のためには、リードフレームやコネクタなどの基盤素子を構成する導電性銅合金の高性能化が必須である。本研究では、銅(Cu)-チタン(Ti)合金に、従来までの熱処理プロセスと水素化プロセスを組み合せた「水素雰囲気中での時効処理法」を採用することによって、従来法では実現できなかった微細組織制御を行い、強度と導電性とを両立した新規の導電性銅合金の実現を目指す。
1333 水ストレス低減に貢献する低バイオファウリング中空糸膜の開発と浄水処理へ応用 松山 秀人 神戸大学 中井 哲男 神戸大学 世界の広範な地域での水不足が予測されている。水不足を解決する手段としては膜技術がその根幹を担うものと言えるが、既存膜では膜の表面で原水中の微生物が繁殖するため、膜が閉塞し性能が低下する「バイオファウリング」という大きな問題があった。本研究では、中空糸膜の表面に親水性の高分子をグラフトし、膜の親水性化により、フミン酸等の有機物に対するファウリングを抑制することに加え、グラフト鎖内に銀ナノ粒子を形成させ、バクテリアの死滅機能を有した低バイオファウリング性をも併せ持つ中空糸膜の開発を行う。
1471 局所耕うん栽培に適用するチェーンポット苗移植機の開発 樹野 淳也 近畿大学 隅田 誠 近畿大学 自然エネルギーで電源供給されるロボットが最小耕うんによる栽培を行う新しい農作業の形態を検討している。これまでに、局所耕うん栽培法を提案し、栽培試験によりその有効性を確認したことをふまえ、車両型ロボットとセル成型苗用の移植機の製作を行い、ハウス内での全自動植付作業を実現した。本研究は、ロボットシステムの汎用性を高めるために、チェーンポット苗を移植可能な作業機の開発に取り組むものである。
1497 追加ガス型伸長流動ノズルを用いたPGSS法による高分子微粒子製造法の開発 木原 伸一 広島大学 松井 亨景 広島大学 高分子微粒子は、有機溶媒を使った重合プロセスや機械的破砕研磨などから製造されているが、有機溶媒除去のコスト、熱劣化しやすい成分を扱う場合の他、地球環境の点でも問題が多い。一方、高分子溶融体にCO2を飽和溶解し急減圧により微粒子化するPGSS法はこれら問題点を克服する方法であるが、粒子径やモルフォロジーを制御する点で問題がある。本研究課題では、従来のPGSS法に追加ガスを導入し、粒子径とモルフォロジーを制御する新規プロセスを開発する。
1514 元素戦略を考慮した耐摩耗・高強度特性をもつバインダー改良型超硬合金の開発 松木 一弘 広島大学 榧木 高男 広島大学 各種液中での軸受のメカニカルシールは過酷な腐食環境下での使用が余儀なくされるため、耐摩耗性と高強度特性を有したWC系超硬合金が要求される。目標を達成するには、摩耗下で高強度を保つバインダーを有し、母相のWCとバインダー相間で充分な焼結促進の結果、高い界面強度を示す事が要求される。一方、稀少金属元素の使用量制限も迫られている。破壊の起点の一つとなるWC粒同士の接触を避けるため、WC粒表面にNiを均一に無電解めっきする。バインダー相をNiへと変更することで、摩耗下で耐酸化特性や耐環境腐食特性向上につながる。Niの一部をユビキタス元素であるFeで代替することで、WC粉末に存在するCもFe中に固溶できるため、界面強度の向上が期待できる。本粉末に放電焼結法を適用して真密度焼結体を作製し、静的・動的機械強度や摩擦・摩耗特性を評価する。
1554 非接触磁気歯車の高トルク化と各種伝動装置の非接触高機能化への応用 原野 智哉 阿南工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 本研究の目的は、鋼材製歯車をネオジム製リング磁石でサンドイッチすることにより、磁気引力を歯面間に発生させ、摩耗ゼロ・高伝達効率・メンテナンスフリー・無潤滑であり、高トルクおよび高減速比の非接触ウォーム歯車対および非接触平歯車対(遊星歯車機構)の開発を行うことである。さらに、磁気歯車の非接触動力伝達技術を応用し、軸心のミスアライメントが吸収可能で非接触かつ高トルク伝達軸継手などへの適用も試みる。
1574 鉄−ケイ素複合型酸化物触媒の開発と炭化水素類の官能基化プロセスへの展開 菊池 淳 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 シリカゲルに金属種を担持した触媒は安価かつ入手容易なため、多く報告されている.しかし,一般的に再利用や触媒効率の観点から問題が残されている。本試験は耐久性・反応活性ともに優位なシリカ系触媒創製を目指し開発を行う。資源の有効活用の観点から石油類、特に単純な炭化水素類の官能基化やこれらの炭素-炭素結合生成をターゲットとし、工業的に基盤となる有用物質の合成プロセスの提案を目的とする。
1770 安価で環境負荷の少ない医農薬原料合成:鉄触媒によるアニリン類の合成 砂田 祐輔 九州大学 坪内 寛 九州大学 アニリン誘導体は医薬・農薬における重要な合成中間体であるが、従来は白金触媒やパラジウム触媒を用いた合成が多く行われてきた。これまで申請者らは、鉄触媒存在下で、安価かつ安全で取扱い容易なヒドロシランを還元剤にし、様々なニトロ化合物のアニリン合成反応を開発してきた。本課題では、鉄触媒のカプセル化による生成物からの容易かつ完全な分離へとさらに展開し、触媒金属残存量が人体への許容量以下になる簡便で実用的なアニリン合成プロセスを実現する。
1830 高繰り返しパルスパワーを用いた水環境浄化の研究 佐久川 貴志 熊本大学 草野 民三 (財)くまもとテクノ産業財団 高繰り返しパルスパワー発生装置を用いて水中ストリーマ放電や高電界、衝撃波、オゾン、活性種等を効率よく生成し、これらの作用で水中に存在する大腸菌やレジオネラ菌、さらに水源で大発生するミクロキスティス類(アオコ)等を対象に水環境浄化処理について最適な処理方法を開発する。薬品を用いず水中残留物がないことを活かして、二次的な水質汚染を生ぜず、環境や人体に負荷のない水環境浄化方法を見いだすのが目標である。
94(B) グリーンかつ高効率なアルコール酸化によるカルボニル化合物製造法の開発 満留 敬人 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 アルコール酸化によるカルボニル化合物の合成は重要な工業反応である。しかしながら、従来の反応系では有害な酸化剤を用いた量論反応にて行われ、反応後に生成する廃棄物の処理や原子効率の低さに問題があった。代表者のグループは、無機化合物上に創製した銅ナノ粒子をアルコール中に加え撹拌するだけで効率良くカルボニル化合物を製造できる、酸化剤を必要としない触媒プロセスを開発した。本研究では、開発した触媒プロセスを応用し、多種多用なカルボニル化合物製造法を開発する。

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 品質管理・製造現場安全確保:10件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
201 オンタイム金型加工品質診断技術の研究_ 清水 友治 岩手大学 中戸川 明広 岩手大学 本研究では、金型の長寿命化とそれを使用した安定した生産のために、金型加工時にオンタイムで部品の品質診断を行う高効率品質管理・検査技術の構築を目的とする。金型の最終的な仕上げ加工として使用されることが多い研削加工中に発生するAE(アコースティックエミッション)波を測定し、解析することで、前加工で受けた表面のダメージの評価を行う。解析方法として、測定されたAE波の特徴を抽出し、品質工学のMTシステムを適用する。
449 集積回路における配線ベース故障カバレージの高精度化手法の開発 岩崎 一彦 首都大学東京 宗木 好一郎 首都大学東京 量産選別工程で良品と判断された半導体チップが市場で不良を生じるテストエスケープが深刻な問題となっている。本研究では、セル内のビア/コンタクトに生じる抵抗性配線故障を対象とすることにより、高精度故障カバレージ98%を達成する。半導体の微細化プロセスに対して、より現実に即した新しい尺度を提案しているところに特徴がある。ゲートごとのパラメータ抽出後、拡充ルールを開発する。
683 判定基準国際規格化に向けた簡便で高精度な潤滑油用劣化診断装置の試作 本田 知己 福井大学 奥野 信男 福井大学 潤滑油は発電所などの回転機器に欠くべからざるもので、劣化管理が定期的に行われている。しかし、従来の測定方法は測定者の経験に依存するため、容易で確実な劣化診断法が業界共通の課題として切望されてきた。本研究では、申請者が開発したメンブランフィルタろ過残渣色相法に、特定波長による、潤滑油の透過率や反射率による劣化度の判定基準を加えることで高度化し、更には判定基準の国際規格化を目指した、潤滑油劣化度判定測定装置の試作を目的とする。
834 ニューロ・ダイナミックプログラミングによる最適保全システムの構築 大野 勝久 愛知工業大学 山田 義憲 (財)名古屋産業科学研究所 生産ラインの停止、工場火災等々、保全が適切に行われていれば起こり得ない事故が、生産現場で多発している。本研究は、限られた資源のもとで、これらの事故を未然に防止する最適保全システムの構築問題を、マルコフ決定過程として定式化し、「次元の呪い」を克服すべく、代表研究者が開発しているニューロ・ダイナミックプログラミングの新しいアルゴリズムを適用して解こうとするものである。これにより、時々刻々変化する状況に応じた最適な保全政策を決定することができる。
855 蛍光性有機色素を利用した油中水分分析システムの構築 加藤 亮 豊橋技術科学大学 濱口 康典 株式会社豊橋キャンパスイノベーション 機械装置の駆動部において常に適正な潤滑管理を行なうことは、装置寿命や製品精度を維持する重要な要素である。特に潤滑油に周辺の切削液や大気水分が混濁すると、重大な事故につながる為、この混濁を現場レベルで迅速かつ早期に検出する携帯型水分検出システムの構築を目指す。本課題では要となる水分量測定用分光分析チップの水分マーカーに油中の水分量に応じて異なる蛍光応答を示す有機色素を用いることで、水分応答特性と繰返し耐久性を向上させた検出システムを完成させる。
889 近赤外線を利用した微生物検出システムの開発 吉野 明広 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 食品の安心・安全を確保するための微生物検出の要素技術開発である。目的は近赤外線を利用した分光法による細菌定量分析技術の確立であり、大腸菌のふき取り検査に代わる検査システムを構築する事である。実施内容としては①大腸菌検出での様々な問題点を抽出する。②リアルタイム検出用の測定プローブを開発する。目標としてはふき取り検査に対応する大腸菌数を迅速に数値化することである。
933 治療用細胞のリスクゼロ評価システムの開発 加藤 竜司 名古屋大学 近藤 良治 名古屋大学 本研究課題は、再生医療などに用いられる治療用細胞の安全性を完全に維持しながら、その活性評価を行うためのシステムの開発を目指すものである。従来の破壊的な細胞評価法にとって代わる「1度も外気にサンプルを接触させない細胞評価」というコンセプトの元、既に市販されている簡易型位相差観察装置(密閉容器付)と、得られる観察画像の解析手法を融合することによって、臨床現場において培養中の治療用細胞の増殖度などの活性を簡易に数値化できるプロトタイプシステムの構築を行う。
1222 電磁超音波共鳴を用いた表面改質層の非接触定量化法の確立 平尾 雅彦 大阪大学 中村 邦夫 大阪大学 本研究においては焼入不良や腐食・脆化による車軸やパイプなどの軸対称物の内外表層近傍の材質変化を定量的かつ迅速に評価することのできる手法を確立する。電磁超音波法によって軸対称SH波という音響モードの超音波を送受信し、異なる共鳴モードから音速と減衰を測定することにより、部材の半径方向の機械的性質の分布を逆問題として抽出する。電磁超音波センサは非接触での計測が可能であり、実用性と精度の両者を飛躍的に向上させることが可能となる。
1378 画像解析手法を用いたマーセル化綿の迅速・簡便な品質管理技術の開発 宮本 昌幸 和歌山県工業技術センター 前畑 進 (財)わかやま産業振興財団 マーセル化処理は綿繊維の結晶構造、形状、諸性質を大きく変えるため、綿繊維の染色性、加工性向上のプロセスとして用いられており、マーセル化の度合いを評価することは品質管理上重要である。繊維側面の顕微鏡像から、客観的に繊維幅を測定する画像処理技術と、繊維幅の統計解析から形状の特徴を数値化する技術を応用し、マーセル化による綿繊維の形状変化の特徴を数値化し、生産現場でも利用可能な、迅速、簡便なマーセル化綿の品質管理技術の開発を行う。
1382 実環境鉄鋼構造物に対する表面SH波音弾性残留応力評価システムの開発 村田 頼信 和歌山大学 湯崎 真梨子 和歌山大学 高経年構造物の変形や倒壊事故を未然に防ぐために残留応力を正確に測定することが切望されているが、このためには初期値(組織異方性等の構造物建設時に知り得る値)が必要であり、既存の構造物に対し残留応力を正確にその場測定できる装置は未だ実用化されていない。本研究では、表面SH波音弾性に着目し、新たに開発したT形表面SH波センサを適用することで、実環境鉄鋼構造物の残留応力に対するその場評価システムの実現を試みる。

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 先進的ものづくり:63件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
40 鋳型急速凍結法による精密極薄肉球状黒鉛鋳鉄の開発 桃野 正 室蘭工業大学 石坂 淳二 室蘭工業大学 本研究は、肉厚1〜2mmの球状黒鉛鋳鉄を、高い精度で溶製することをねらいとする。凍結鋳型は-40℃に急速冷却した砂型であり、溶湯の流れが良いことが知られている。一方、薄肉鋳物は湯流れ性が良いこと、高精度の仕上がりが要求されることから、従来法よりも凍結鋳型のメリットが期待され、これらの特長を生かし、自動車部品への応用を実証する。
53 3次元CAD・機構解析ソフトを利用したビートタッパの高速化技術の開発 佐藤 禎稔 帯広畜産大学 田中 一郎 帯広畜産大学 てん菜収穫は晩秋に行われるため高能率作業が求められる。しかし、その収穫はタッピングを必要とし、切断精度は農家収入や製糖効率に影響を及ぼすことから、高速作業が困難である。近年、十勝地方では規模拡大が進み、高速高精度なビートタッパが望まれている。本研究は3次元CADと機構解析ソフトを利用し、コンピュータシミュレーションによって高速高精度作業を可能にするビートタッパの開発手法を究明する。
75 地域を活かす次世代型生産ネットワーク構造設計・検証システムの開発 川上 敬 北海道工業大学 坂井 俊文 北海道工業大学 本研究の目的は、ものづくり企業が地方・地域に立地しながらグローバルな生産環境の中で、製品の付加価値創出の意味で地理的距離の隔たりを超越できるような、次世代型生産ネットワーク構造を設計・検証するシステムを構築し実用化することである。その結果から、地方企業が大都市圏に立地するのと同じかそれ以上の強みを発揮できる生産ネットワーク構造を提示し、地域活性化へと導くものである。
194 高透明性有機・無機自発的交互積層厚膜の開発と応用 土岐 規仁 岩手大学 小川 薫 岩手大学 近年、無機化合物の熱安定性および有機化合物の発光特性を併せ持つ無機・有機ハイブリッド結晶が光学材料として注目されている。これまでに環境低負荷物質を用い、ホスト−ゲスト錯体形成の制御により光特性に優れた結晶の創製法とその微粒子配向制御理論を構築している。そこで、本研究では、無機ナノ粒子と有機化合物を用いた新規有機・無機自発的交互積層厚膜の開発と、その高透明性を特徴とした光電変換素子への応用を目指す。
214 β-酸化ガリウムとZnOを用いた自立GaN膜の形成技術の開発 中込 真二 石巻専修大学 斉藤 方達 株式会社 テクノプラザみやぎ
サファイア基板を用いて自立GaN単結晶(サファイア基板が付いていない状態を自立と呼ぶ)を得る新しい方法を開発するのが目的である。犠牲層としてZnOを用い、結晶性向上の為の中間層として (201配向β-酸化ガリウム(Ga2O3)層を用いる。酸素プラズマ中のZn蒸着、Ga蒸着、窒素プラズマ中のGa蒸着により、ZnO層、β-Ga2O3層、GaN層を形成する。結晶性の良い最上層GaNを得る条件を研究する。)
223 大面積X線CT用Nd:LuLiF4単結晶の量産化技術の開発 横田 有為 東北大学 町田 博 (財)みやぎ産業振興機構 真空紫外域で発光する固体素子は、高位置分解能、高計数率、さらには大面積化が可能なガス受光素子と組み合わせて大面積X線CTの実現が望まれているが、現在Nd:LaF3結晶、Gd2O2Sセラミックス材料以外に見出されていない。マイクロ引き下げ(μ-PD)法を用い物質探索を行った結果、真空紫外での高輝度の発光を示すNd添加LuLiF4(Nd:LuLiF4)を新たに見出し、ユーザー側で非常に高い評価を得られ、従来材料より優れていることが分かった。本課題では、真空紫外発光材料Nd:LuLiF4の次世代X線CTでの実用化を目指し、量産化条件として重要となる、本結晶の直径2インチ大型単結晶化技術の確立を目的とした。
297 低速小動力運転除雪ロボットの開発 水戸部 和久 山形大学 渡辺 裕 山形大学 本課題は低速小動力の小型除雪ロボットの開発を目的とし、基本ユニットとなる雪取り込み機構をおよびその制御方法を開発する。通常の除雪機械に対して大幅に低速回転かつ小型のスクリュー運転による雪のハンドリングを行うため、雪取り込み機構装置を構成するスクリュー負荷の監視による力制御により安定に制御する方法を検討する。スクリュー回転パターンおよび走行ユニットとの協調運転について、試作機を製作し実験的に開発研究を行う。
305 インサート成形による電極付マイクロバイオチップの作製方法の確立 安齋 弘樹 福島県ハイテクプラザ 大越 正弘 福島県ハイテクプラザ プラスチック成形による電極付マイクロバイオチップの作製方法として、電極を形成した基板上に、インサート成形により樹脂部を作製する方法を検討し、金型構造を検討することによりφ200μm、深さ200μmの樹脂容器底面に電極を配置することが可能となった。しかしながら、成形時に樹脂が電極上に回り込み、電極が露出していない状態にある。そこで本試験では、金型構造等を改良することで、インサート成形による電極の露出した電極付マイクロバイオチップの作製方法を確立する。
315 小型化と高性能化を同時に実現可能な5軸制御セルフベアリングモータの開発 松田 健一 茨城大学 佐川 克雄 茨城大学 近年、磁気軸受の小型化や高性能化のために、磁気軸受とモータの機能を合わせ持つセルフベアリングモータが提案されている。しかし、能動制御がラジアルX-Y方向の2軸のみであるため、単体での安定な運転は不可能であり、5軸制御システムとしての十分な小型化が達成されていない。本研究では、磁気軸受システムの飛躍的な小型化実現のため、ロータ単体の5軸を能動的に制御可能な5軸制御セルフベアリングモータを開発する。
324 SiC単結晶の放電加工ワイヤー技術開発と応用 加藤 智久 独立行政法人産業技術総合研究所 山崎 宏之 独立行政法人産業技術総合研究所 次世代パワーデバイス半導体材料であるSiC単結晶の難加工性を解決する新しい放電加工切断技術のための切断用ワイヤーおよびそのワイヤーシステムの開発を主な研究テーマとする。本研究にて、高能率・高精度・低損傷・低価格を実現する放電加工ワイヤー切断技術開発の促進を図り、従来技術であるダイヤモンドマルチワイヤーソーの代替化を狙う。
325 デジタル音源のための多重アンプPCデジタル音響装置の開発 長嶋 雲兵 独立行政法人産業技術総合研究所 山崎 宏之 独立行政法人産業技術総合研究所 本研究ではCDやPCなどに格納されているデジタルデータの多様なデジタルフォーマットに対応し、従来アナログ返還後に行われていたチャネル分割処理をデジタルデータのままPC上で実行し、装置によるノイズや歪みを極端に除いたデジタル音源のための高性能多重アンプPCデジタル音響装置を作成する。これにより、家庭から音楽ホール等の広範囲な場所における高品位音響装置を安価に実現する。
361 低コストアルミニウム−高強度マグネシウム合金クラッド材料の開発 渡利 久規 群馬大学 小暮 広行 群馬大学 自動車用に使用されるMg-Al合金クラッド材を想定し,Mg合金とAl合金の溶湯から双ロール法を使用して直接的にMg-Al合金のクラッドキャスト材を製造し,これを温間圧延して,塑性加工用のクラッド材を製造するプロセスの構築およびクラッド材の成形性の調査を行う。具体的な数値目標としては,温間圧延後の平均結晶粒径が30μm以下,引張強度300MPa,破断伸び15%のMg-Al合金クラッド材の低コスト製造である。
385 中小製造業向けバーチャルデザインレビューシステムの開発と応用 綿貫 啓一 埼玉大学 角田 敦 埼玉大学 本研究では、高度な技術、高品質、短納期などが要求される製品の設計・製造を効果的に行うため、その際に必要となる形式知と暗黙知とを連携して設計・製造知識の技能伝承・デザインレビュー支援を行うシステムを開発する。複合現実感技術を用いて現場と仮想空間を融合し、視覚情報・力覚情報・聴覚情報を統合した高精度没入型仮想共有環境システムおよびデザインレビュー支援システムの実用化に向けた開発・実証検証を行う。
410 フロー反応システムによる実用的C-Hホウ素化反応の開発 西田 篤司 千葉大学 井上 里志 千葉大学 医農薬や機能性材料として有用なビアリール誘導体製造原料である芳香族ホウ酸誘導体の実用的合成法が求められている。C-Hホウ素化反応は高い原子効率、安全性から有用であるが、希少金属であるイリジウムを触媒として用いるため、工業化に問題を残していた。本研究では我々が開発した固体イリジウム触媒開発技術を発展させ、フロー反応系に組み込み、触媒を損なうこと無く芳香族ホウ酸誘導体の連続合成システムを開発する。
452 希少金属を必要としない機能性磁性材料の開発研究 藤田 渉 首都大学東京 柏原 繁郎 首都大学東京 本課題ではネオジムやサマリウム等の希少金属元素に頼らず、豊富な元素(炭素、窒素、硫黄、水素、鉄等)を資源とした高機能磁性材料の開発に取り組む。分子性物質を元に高い磁気秩序転移温度が見込まれるフェリ磁性体の構築を目指して、有機分子磁性カチオンと金属錯アニオン種の合成研究を行う。それらを組み合わせて結晶内配列制御を行い、なおかつ強い反強磁性的相互作用を導入するための方法論を確立する。
455 ゴム人工筋肉を用いた固液混合流体の搬送を可能にする蠕動運動ポンプの開発 中村 太郎 中央大学 今井 文明 中央大学 空気圧人工筋肉を用いた蠕動運動ポンプを開発する。本ポンプは、人工筋肉で構成されたユニットを相互に駆動させることにより、腸の蠕動運動のような運動を引き起こすことができ、液体、固体、固液混合流体、粉体等を垂直搬送することができる。本テーマでは特に、搬送効率向上、曲管ユニットの作成、搬送物体に応じたゴム材料の選定をおこなう。
588 超音波温度センシング手法を用いた高温成形加工のプロセスモニタリング 井原 郁夫 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 本研究は、超音波を用いた物体内部の温度分布センシング手法を開発し、これを高温加工プロセスに適用することを目的とする。このような革新的計測手法を開発することで、従来技術では成し得なかった物体内部の温度分布の定量的計測を実現するとともに、金属、セラミックス、ポリマーなどの高温成形・加工プロセスの加工機内のオンライン温度モニタリングを可能にすることで当該分野の加工プロセスの高信頼性化に一石を投じる。本試験研究では、超音波パラメータを指標とした温度分布同定手法を開発し、その実用化検証実験を行う。
593 軽金属用ダイカスト用崩壊性中子の開発 林 千歳 富山県工業技術センター 谷野 克巳 富山県工業技術センター 本研究は、アンダーカットを有する軽金属ダイカスト品の製造に適用できる崩壊性中子を開発するもので、この崩壊性中子には、鋳造時に高温高圧で射出される熔湯との接触に耐えながらも、鋳造後には鋳品を損傷することなく容易に除去できることが求められる。本研究では、種々の配合で中子試験片を作成し、それらの強度、耐熱性、寸法精度等の評価を行い、ダイカスト用中子として最適な組成およびその製造条件等について検討を行う。
649 ローラ式高性能バドミントンマシンの開発 酒井 忍 金沢大学 分部 博 金沢大学 本課題では、一流のバドミントン選手の使用に十分耐え得る実用的で高性能つまり、シャトルの発射速度や発射精度が高いローラ式バドミントンマシンの開発を行う。また、シャトル発射時、その羽根が損傷しないようにするために、シャトルとマシンの解析モデルを作成し、その機構解析や発射シミュレーションを行う。これら一連の解析結果を踏まえながらマシンの設計・開発を進め、マシンの高性能化を図る
662 プリント基板ファインピッチ化に対応可能な銅マイグレーション防止技術の開発 筒口 善央 石川県工業試験場 奥野 孝 (財)石川県産業創出支援機構 プリント基板配線のファインピッチ化が進み、銅マイグレーション防止対策が重要視されている。従来研究では、はんだレジストの無い基板を用いて、基礎的な発生メカニズムがほぼ解明された。本研究では、多くの製品基板において保護膜として用いられているレジストに着目して、そのマイグレーションへの影響要因を分析し、レジスト起因のマイグレーション抑制方法を検討する。
700 放射線照射と生物化学的処理を組み合わせたエコフレンドリーな繊維加工技術 末 信一朗 福井大学 蓑輪 泰造 福井大学 現在、セルローストリアセテート(TCA)のような半合成繊維の風合いを得るための減量加工法については、生物化学的(酵素)処理法では処理時間や減量率などが問題となっている。そこで、生物化学的処理の前工程として、TCAへの電子線照射による低分子化などの表面改質による生物学的親和性の向上を検討すると共に、TCAの酵素分解の第一段階となるリパーゼへの遺伝子工学的手法による変異導入でTCAに対する活性付与を試みる。
717 高輝度ランプを用いた傾斜鏡型浮遊帯域溶融法の開発 綿打 敏司 山梨大学 還田 隆 山梨大学 大口径の単結晶を育成するための方法として、白金などの希少金属を坩堝に用いる従来の引き上げ法とは異なる浮遊帯域溶解法を実用化すべく、高輝度ランプを用いた結晶成長界面形状制御技術を結晶製造産業で利用できるように開発することが研究の目的である。実用化にあたっては結晶大口径化が重要課題であるが、今までの加熱光源では限界があったため、高輝度光源を用い界面形状の変化と溶融可能な大口径化の評価を行う。
735 音波による噴流制御技術の開発 飯尾 昭一郎 信州大学 田草川 信雄 信州大学 本試験は、孔から噴出する噴流の特性(混合拡散、熱・物質輸送)を、噴流せん断層に空気振動を与えることで制御する技術に関するものである。噴流は、食品加熱、半田づけ加熱、食品冷凍など様々な産業分野で利用されており、本制御技術の用途は幅広い。これまでに試作した噴流制御装置を用いて、噴流を制御する空気振動の周波数、振幅、モードと噴流特性の関係を正確に把握することにより、効率的な噴流制御方法の実現を図りたい。
753 形状異方性粒子を用いた鋳込み成形における配向制御技術の開発 伊藤 正剛 岐阜県セラミックス研究所 水野 正敏 岐阜県セラミックス研究所 石膏型などの多孔質型を用いた鋳込み成形は、寸法精度が悪いことが一つの問題になっている。不均一な充填密度分布や粒子配向構造により、焼成時における焼成収縮率の異方性を生じ、材料変形を引き起こす。特に、形状異方性をもつ粒子の鋳込み成形では粒子配向の影響が顕著に現れる。その結果、焼成体の厚さ方向の収縮率が中央部と縁部において大きな違いを生じ、焼成体の変形要因になっている。そこで、形状異方性の鋳込み成形において、成形体の厚さ方向の収縮率変動を低減させる粒子配向制御技術を開発する。
772 FSSW用渦溝ツールの実用化と高強度Mg-Feスポット重ね継手の開発 植松 美彦 岐阜大学 安井 秀夫 岐阜大学 摩擦攪拌スポット接合(FSSW)では通常プローブのある汎用ツールを用いるが、プローブの代わりにショルダー面に施す特殊形状で塑性流動を発生させることで、プローブ穴の残らない接合手法を実用化する。また、同ツールを用いてマグネシウム(Mg)合金と鉄(Fe)系合金の高強度異種金属スポット重ね継手を開発する。異種金属継手で、一般的なアルミニウム(Al)合金同士の同種金属継手と同レベルの静的強度と疲労強度を達成する。
802 固定化オキソ金属触媒の開発と酵素触媒動的光学分割への応用 赤井 周司 静岡県立大学 鈴木 次郎 静岡県立大学 アリルアルコールの水酸基1,3-転位反応とラセミ化を高速に進行させる新規な固定化オキソ金属触媒を開発する。本触媒と加水分解酵素を併用することで、ラセミ体アリルアルコール類の実用的な動的光学分割法を開発する。本法によって、医農薬や香料の合成中間体として重要な光学活性アリルエステルを効率良く合成する。また、工業化に向けたスケールアップ検討も行う。
823 低温焼成可能なステアタイト含有強化磁器の開発 林 直宏 愛知県産業技術研究所 菅沼 幹裕 愛知県産業技術研究所 強化磁器として代表的なアルミナ強化磁器は一般磁器より機械的強度(曲げ強度、衝撃強度)に優れているものの、焼成温度が高くコスト面で大きな課題となっている。そのうえ、重くて熱が伝わりやすいという問題点が指摘されている。これらの改質技術として、本研究では、ステアタイト含有磁器素地に焼結助剤・添加剤などを検討をすることにより低温焼成が可能でかつ実用的な強化磁器素地の開発を目指すものである。
826 絞り技法を応用した立体構造物の製造支援ソフトの開発 福田 ゆか 愛知県産業技術研究所 齊藤 秀夫 愛知県産業技術研究所 平面状の布地に立体的な柄を出す手法の一つとして用いられている伝統技術の絞り技法には十数種類の方法があるが、絞る箇所、異なる種類の絞りの技法を組み合わせることにより、用途に合わせた3次元的な形状を作ることが可能であると考えられる。本研究では、立体構造物に沿うような3次元形状を作るために、どのように絞りを施せばよいか設計するソフトウェアを開発し、試作して検証する。
857 強い鏡面反射を有する金属表面の欠陥検査システムの開発 章 忠 豊橋技術科学大学 永森 茂 豊橋技術科学大学 表面検査は、品質管理に関わる重要な最終生産工程である。しかし、金属めっき、特にクロムめっき表面は鏡面反射光が強く、画像処理では有用なランダム反射光を検出しにくく、自動化にむけた実用技術はまだ見受けられない。これに対し、代表研究者らは世界初の金属表面反射モデルと複素数離散ウェーブレット変換により、微小な傷でも敏感に検出できる欠陥検出手法を提案している。本試験研究ではこの手法を実用化し、表面欠陥自動検査システムを構築する。
937 凝固中無磁場通電による鋳造材料の新規微細化技術の開発 岩井 一彦 名古屋大学 近藤 良治 名古屋大学 組織を微細化することで鋳造製品の機械特性が向上することは良く知られている。一方、電磁気力印加は鋳造組織をデンドライトから等軸晶へ変化させ、かつ結晶粒を微細化させるための有望な方法である。このうち、凝固中通電は磁石が不要なので簡便な装置構成でよく、工業化に適した技術である。そこで、鋳造工程において凝固中通電により組織微細化を行うプロセスを開発・最適化することで実用化を目指す。
1004 仮想オーダーメイドシステムによる服づくりのための「ゆとり設計」の基礎的開発 増田 智恵 三重大学 平林 典久 三重大学 個々の3次元人体形状に対応した仮想立体裁断による“密着衣服”の自動型紙作成から、さらに着用目的に適した「ゆとり設計」を組み込むための3次元動作情報を実際のモデルを使用して抽出する。それを基に型紙の自動作成を行い実験服の試作と着用実験を行い、3次元着装シミュレ−ション上で視覚的試着体験による着心地の確認情報としてシステムに組み込み、仮想オーダーメイドシステムによる服づくりの基礎的開発を展開する。
1038 高機能水中ハンドリングのための姿勢調整機構の開発 川村 貞夫 立命館大学 市原 岳洋 立命館大学 本研究では、潜水士のように水中で浮遊状態にいても高機能なハンドリングが可能なロボットを開発する。アーム搭載型水中ロボットによるハンドリングを高機能化するためには、ロボット本体の姿勢を静的および動的に制御することが効果的である。そこで、本研究では、ハンドリング高機能化のための姿勢調整機構を開発する。具体的には、浮力体位置をモータ制御する機構をロボットに取り付け、姿勢を変化させる。
1085 バイオマス材料と微生物発酵を用いる射出・押出成形技術の開発 北島 佐紀人 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 伝統家屋の土壁材は、粘土・砂・稲ワラを混合しさらに一定期間熟成させてつくる。これまでの研究で、稲ワラを栄養源として微生物発酵により生じた粘性物質が土壁の構造を強固にしていることを明らかにした(Kitajima et al. Biosci, Biotechnol,Biochem.(2008) 72;557-56)。本研究では、セラミック製品の成型にこの土壁技術を応用する。
1216 大型構造物のテイラード部分表面硬化技術の開発 藤井 英俊 大阪大学 多田 英昭 大阪大学 鉄鋼材料上へ粉末状の炭素を塗布した後、その上から高速回転する円柱状の工具の底面を押し当てながら移動させることで、表面の硬度を部分的に上昇させる手法を開発する。これより、鋼基地中へ黒鉛粉末を攪拌・分散させることによって表面を硬化させる。従来法では不可能な、「材料を選ばず、必要に応じて(テイラード)、ごく短時間で、しかも従来より硬く、安定的に硬化できる手法」を確立する。
1217 鉄鋼スラグからのハイドロキシアパタイト−ゼオライト複合吸着剤の製造と応用 山下 弘巳 大阪大学 多田 英昭 大阪大学 産業廃棄物である鉄鋼スラグから、簡易かつ安価な方法で、吸着剤として有用なハイドロキシアパタイトとゼオライトとの複合体を合成する製造法を開発する。鉄鋼スラグを原料としてハイドロキシアパタイト−ゼオライト複合体を製造し、吸着剤または触媒担体としての応用を検討する。スラグの主成分でありゼオライト生成を妨げるカルシウム成分の除去や不足成分の添加を必要とせず、簡便かつ経済的な再資源化合成プロセスの確立を目指す。
1218 キラル配位子修飾磁性ナノ粒子の新規合成と不斉触媒反応への応用 森 浩亮 大阪大学 多田 英昭 大阪大学 真に実用的な触媒の開発を目指し、不斉反応を達成するための『キラル反応場』、高い触媒効率を発揮させるための『高表面積』、触媒の磁石分離を可能とするための『磁性』を同時に兼ね備えた多機能付与型触媒を開発する。具体的には、磁性粒子を核、その表面を触媒活性金属であるPd、Ptで被覆し、さらに不斉配位子で修飾した磁性金属ナノ粒子を提案する。反応後、触媒は磁石により容易に分離・回収できるため、操作性、安全性、経済性を兼ね備えた新規光触媒プロセスが構築できる。
1231 中性条件下での不飽和アルコールへの常圧二酸化炭素固定 南方 聖司 大阪大学 樋口 堅太 大阪大学 古くから二酸化炭素は有機合成(ものづくり)に利用されてきた。しかし、その固定化には、強い塩基や加圧条件が必要不可欠であった。合成化学におけるエネルギーについて、原料物質の製造および反応条件などトータルで考慮すれば、塩基の調製や加圧には多くのエネルギーを要し、たとえ二酸化炭素を固定してもその分あるいはそれ以上に排出している場合が多い。そこで、単純な(入手容易な)物質から有用な物質への変換において、塩基の添加や加圧条件を全く必要としない二酸化炭素の固定化法の確立を目指し、本研究では不飽和アルコールへの二酸化炭素固定による環状カーボネート合成について検討する。
1253 高出力レーザ加工用回折型光学素子の開発 萩野 秀樹 大阪府立産業技術総合研究所 山口 勝己 大阪府立産業技術総合研究所 本研究は、レーザ表面処理の高品質化と高能率化を目的として、高出力半導体レーザ光の強度分布を任意の分布に整形する回折型光学素子を開発する試みである。工業用刃物のレーザ焼入れを研究対象に取り上げ、刃先形状に応じたレーザ光強度分布の設計、回折型光学素子の製作、素子を用いた加工実験を通して、焼入れ形状の制御、焼入れひずみの低下、加工速度の向上に取り組み、本素子の設計・製作手法の確立と実用化を目指す。
1259 構造解析を可能とする可搬型質量分析計の開発 早川 滋雄 大阪府立大学 阿部 敏郎 大阪府立大学 質量分析計は、感度の良さから環境や生体関連物質など多くの分野の微量分析に利用されている。現在の小型の質量分析計の重量は数十kgで大きさはデスクトップパソコン程度であり、持ち運びが容易ではない。小型軽量の可搬型タイプの質量分析計を実現できれは、測定したい現場において分析が可能となり、その利用範囲は飛躍的に増大する。本課題では、構造解析が可能な可搬型質量分析計を開発することを目的とする。
1279 脂肪酸分析用の連結キャピラリーカラムの開発 山本 公平 大阪府立大学 金澤 廣継 大阪府立大学 脂肪酸組成分析にはガスクロマトグラフィー(GC)が不可欠である。現在そのGCカラム種は中極性カラムや強極性カラムが汎用されている。本研究では、弱極性カラム(BPX50)をGCの注入口側に、強極性カラム(BPX70あるいはBPX90)を検出器側に配置する連結カラムを試作し、従来得られなかった炭素数別、不飽和度別、二重結合幾何・位置異性体別に脂肪酸を高分解能で分離するカラムシステムの構築を目指す。
1347 大気圧グロー放電によるアモルファスカーボン膜の高速成膜技術の開発 八束 充保 兵庫県立大学 松井 康明 兵庫県立大学 廃液処理や生産環境等に課題があるめっきに代わる環境適応型ドライプロセスによる高速表面処理技術の開発ニーズは大きい。プラズマCVD、スパッタリング等、従来型ドライプロセス成膜法は、低気圧放電プラズマを利用するものであり、その成膜速度は0.02μm/min程度と遅く生産効率が高くない。また、高真空を必要とするため装置コストも高い。本研究では、安定な大面積大気圧グロー放電プラズマの生成と、これを用いた高品質カーボン膜の高速成膜技術を開発する。
1424 高純度ヒト・トランスポーターのハイスループット機能測定法 森山 芳則 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 ヒト・トランスポーターは創薬ターゲットとして未開の分野である。機能を維持したトランスポーターを大量に調製し利用する技術がないためである。私たちは、最近、機能を維持したトランスポーターを大量に調製するブレイクスルー技術を確立した。
この技術を基盤として、神経伝達を司る2つのトランスポーターを対象に、ハイスループット機能測定法のプロトタイプを開発する。
1453 高能率・高品位電解アシステッド放電スライシング法の開発 岡本 康寛 岡山大学 東 英男 岡山大学 シリコン等の材料に対してワイヤ放電技術を用いたマルチワイヤ放電スライシング法を適用した場合、ワイヤ電極の外周方向全てが切れ刃となることから加工溝形状が良好に保たれない場合があり、実用化に向けて課題となっていた。そこで、加工進行方向のみに加工現象を選択的に集中させるワイヤ材料と走行システム技術を開発し、放電加工に電解作用を付与することで高効率・高精度な加工が可能なシステムの開発を目指すものである。
1459 遷移金属触媒を用いるフッ素化合物の合成法の開拓 村橋 俊一 岡山理科大学 安井 茂男 岡山理科大学 トリフルオロメチルを有する化合物は医薬品、農薬、マテリアルサイエンスで重要である。しかしその一般的合成法は未開拓である。その理由はトリフルオロメチル基を有するカルボアニオンが容易にフッ化水素を脱離して分解するからである。遷移金属錯体触媒を用いてC-H結合の活性化を行い、精製する活性中間体を捕獲することにより炭素ー炭素結合を形成させたい。これは困難な課題であるが、新しい原理がうまれ、フッ素化合物の工業化プロセスへの展開が期待できる。
1498 多孔質積層構造を有するプレス成形用新規軽量板材の開発と最適設計 日野 隆太郎 広島大学 松井 亨景 広島大学 本研究では、板材プレス成形における製品の軽量化と成形性の改善を低コストで両立・実現する新たな板材として、多孔質積層構造を有する板材の開発とその最適設計を目標とする。多孔質積層構造とはコア層とそれを挟むスキン層から成る3層構造を想定しており、コア層に小さな円孔を適切に配列することで製品機能を損なわない範囲で軽量化とプレス成形性の制御(成形性の維持あるいは向上)を達成しようとするものである。
1520 金属ガラスを用いた高減衰能を有するバネの開発 藤田 和孝 宇部工業高等専門学校 大高 聰 山口大学 研究代表者らにより発見され、特許取得されている金属ガラスに特有なせん断応力下の顕著な擬弾性発現現象を利用して、 減衰器がなくても優れた振動吸収能を有するつるまきバネとねじりバネを実現しようとするものである。具体的には(1)負荷除荷1 サイクル中の吸収エネルギーが高い金属ガラスの探査、(2)この金属ガラスでつるまきバネとねじりバネが作製できる技術の開発、(3)それらの減衰特性を明らかにすることを目標とする。
1545 反応性プラズマ溶射法を用いたSi系粉末からの透明石英膜の合成 崎山 智司 山口大学 森 健太郎 有限会社山口ティー・エル・オー これまで申請者らは、強制伸張型プラズマジェット発生器を基礎とした新しいプロセシング装置を開発し、ダイヤモンド合成や高効率遠赤外線放射体の作製など、熱プラズマ利用した新素材開発を行ってきた。本研究では、これまでの知見をもとに、直流プラズマジェット中にシリコン系の材料粉末を注入し、膜状の透明石英ガラスを合成する新しい反応性プラズマ溶射技術を確立することを目的とする。
1586 新しい歯科用ハンドピース拡張デバイスの開発 伊藤 照明 徳島大学 平岡 功 徳島大学 歯科用ドリルを用いた治療では治療対象部位に対するドリルの操作角度を高度な技術で制御しながら治療を行っているが、この操作角度を物理データとして正確に計測し、治療に適応したいという要望が強まっている。本申請では、歯科治療におけるドリルの操作角度を連続的に計測し、操作を行う歯科医にリアルタイムにフィードバックするための方位情報提示デバイスを新規開発する。
1629 電磁波を受けて発熱する新規陶磁器製品の研究開発 大塚 和弘 愛媛県産業技術研究所 安岡 史朗 愛媛県産業技術研究所 平成17年度JSTシーズ育成試験で明らかとなった問題点を解決した、電磁波で発熱する特性を有する新たな陶磁器製品を開発する。過去のシーズ育成試験においては、電磁波による発熱陶磁器とはなったものの、焼成条件が特殊、かつ釉薬の施釉が困難などの問題が明らかとなっていた。本研究では、陶磁器原料に新たな金属系発熱材を混練し、食器等への成形技術、一般的な条件下での焼成について検討すると共に、熱膨張を抑制する素材等を活用し、より実用的な耐熱性陶磁器を開発する。
1674 紫外線カット性・断熱性・耐久性を併せ持つ無機系球状体複合シートの開発 澤村 淳二 高知県立紙産業技術センター 関 正純 高知県立紙産業技術センター 近年、オゾン層破壊や地球温暖化から生活環境を守るため、有害紫外線のカット機能、断熱・遮熱機能の必要性が叫ばれているとともに、これらの機能をより強化した新しいシート状製品が求められている。そこで、本研究では、紙及び不織布の表面に、無機系球状体を敷き詰め固定化することで、紙や不織布の雰囲気を損なわず、紫外線や赤外線を吸収・乱反射させて遮蔽するだけでなく、耐久性も高い機能紙を提供する技術を開発する。
1678 駆動方向制御が可能な液晶マイクロアクチュエータの開発 蝶野 成臣 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 「液晶」=「ディスプレイ」という図式が成り立つほど、液晶の応用はディスプレイに限定されてきた。しかし液晶は、本来固体と液体の中間の状態にある物質の総称である。従って固体や液体と同程度、またはそれ以上の応用例があってしかるべきである。本研究は、これまで一方向駆動に限定されてきた液晶アクチュエータに、壁面の分子配向状態を複合化して方向制御機能を持たせることにより、実用化を視野に入れたマイクロアクチュエータの開発を目指す。
1703 SoC論理設計とレイアウト設計データの継承型ECO設計法の研究開発 豊永 昌彦 高知大学 石塚 悟史 高知大学 大規模電子回路の製造微細化により高性能SoC 設計は、論理修正とレイアウト修正の繰り返しによりタイミング調整をする設計フロー(ECO設計フロー)が不可欠である。しかし、回路修正は新たなタイミング問題を生じるため収束が困難である。本研究は、修正前後の論理とレイアウト設計のデータ継承を保証した新ECO設計法の確立により、この設計収束の問題解決図る。
1706 近赤外品質評価スキャナーを用いたインテリジェントスーパードライヤーの開発 河野 俊夫 高知大学 北添 英矩 高知大学 本研究課題では、旨味と香りの両面に優れた高品位の輸出用乾物を生産することを目的として、高温乾燥に対応した近赤外品質評価システムを装備するインテリジェントスーパードライヤー(NIQUES Assisted Intelligent Super Dryer、NAI型スーパー乾燥機)の開発を行う。この新型ドライヤーは、乾燥の進行に伴う乾物の旨味と香りの関連成分を、近赤外分光法により非接触で感知して乾物の品質を瞬時に判断し、内蔵する最適乾燥プロセス推論プログラムにより乾燥条件をインテリジェント制御して高品質の乾物に仕上げる。
1751 ゾルーゲルプロセッシングによる金属ナノ粒子内包薄膜の創製 本山 幸弘 九州大学 坂本 剛 九州大学 本申請者らは、表面構造がナノレベルで制御された炭素ナノ繊維(CNF)上にナノサイズの金属粒子を高分散かつサイズ制御して担持することに成功し、得られた炭素ナノ繊維担持金属ナノ粒子(M/CNF)が高い活性、繰返し耐久性ならびに官能基耐性を示す水素化触媒となることを明らかとした。本研究では、アルコキシシランや金属アルコキシドのゾル−ゲルプロセッシングにより、これらM/CNFを高分散に内包したガラス薄膜や金属酸化物薄膜の合成法を確立する。
1791 次世代PCB配線におけるBGA引き出し整列配線技術開発 梶谷 洋司 北九州市立大学 大田 俊彦 (財)北九州産業学術推進機構 本技術開発は次世代PCB配線技術開発一環の一つである。本技術開発の目的はPCB配線における最大の難点である配線交差の問題を解決しようとしていることにある。技術実施の内容は、BGAから引き出された配線を、デバイスの端子に配線するにあたって、二つの要求、すなわち①所要面積の最小化、及び②領域適応、を実現できる配線アルゴリズムの確立にある。
1833 フェイルセーフ機能を有するバイオミメティックベアリングの開発 中西 義孝 熊本大学 古家 達也 熊本大学 本研究は、緊急時や機器故障時に必要となる非常ブレーキ機能を軸受自体が担う、簡便、コンパクトかつ高次機能を有する軸受システムの開発を目的とする。
本申請では、自動搬送ロボット、工場内物流装置、遊具用/施設内移動用電動カートなど、コスト・空間的に非常ブレーキシステムの追加搭載を避けたい移動機器で、かつ、サスペンション機能の充実が必ずしも必要でない機器での適用を目指す。
1885 高い接合強度を有する円曲面溶着技術の確立 高橋 明宏 都城工業高等専門学校 和田 翼 宮崎大学 シリンダー円筒部材内を通る油などの液体の潤滑や流れを分岐させるため、ろう付け法やアーク溶接を用いて、円筒部材のまるい側面に第二の円筒部材が半径方向に接続されることが多い。これを抵抗溶接原理による新溶着法によって接合させ、第二円筒の端面に簡単な加工を施すだけで高い接合強度が得られる円曲面溶着技術の確立を目指す。
37(B) 磁気プロセスの高意匠性印刷技術への応用 山登 正文 首都大学東京 宗木 好一郎 首都大学東京 強磁場を用いると有機材料や無機材料が示すわずかな磁気的性質を利用して、配向や位置制御が可能である。本研究ではモジュレータと呼んでいる磁気回路を用いて磁力線分布を制御し、微結晶の空間的配向分布および濃度分布を連続プロセスで制御する手法を確立する。さらに、この手法をパール顔料に適用することで配向や濃度を制御した新規高意匠印刷技術への応用を目指す。
54(B) 液晶配向印刷法によるシームレスLCD作製工程 木村 宗弘 長岡技術科学大学 定塚 哲夫 長岡技術科学大学 液晶表示素子を作製するには、液晶分子を基板上で配向させる必要があるために、その処理法として「ラビング法」と呼ばれる機械的な手法が長年採られてきた。しかし、発塵や静電気の発生が問題となっている。我々は、印刷法をベースに液晶の”配向”を対向界面に印刷転写することによって界面分子配向を形成する手法を探索してきた。本研究では、配向印刷を連続的に行える技法を確立し、タクトタイムがばらばらであったLCD工程を抜本的に変革し、シームレスなLCD製作法を提供するものである。
89(B) セリシン定着ハイドラフト生糸を用いた製品の実用化研究 徳本 幸紘 京都府織物・機械金属振興センター 西村 敏弘 独立行政法人科学技術振興機構 シーズ発掘試験(発掘型)で開発したセリシン定着ハイドラフト生糸は、織物に用いるとハリ・コシ感のある新しい風合いや寸法安定性が得られる一方で、加工コスト高や熱処理工程で生糸が黄変する等の問題が生じていた。
本研究では、これらの問題を解消するとともに、新しく開発した生糸と従来からある製織技術を組み合わせることにより、幅広いニーズに対応した全く新しいシルク素材や製品の実用化を目指すものである。
100(B) 新規機能性過熱水蒸気を得るためのボイラーレス過熱水蒸気発生装置 宮武 和孝 大阪府立大学 阿部 敏郎 大阪府立大学 省エネと新規な機能性過熱水蒸気を作成するため、(A)振動子を用いて微細ミストを作り、直接誘導加熱装置に導入して過熱水蒸気にする装置、すなわちボイラーレス装置を新たに開発し、さらに(B)水のもつ機能性を、ナノからミクロのサイズミスト過熱水蒸気とすることで、これまでの過熱水蒸気にない機能を付加し、制御性は無論、殺菌効果、加熱調理、洗浄効果など目的別効果を理論的に解析し、応用展開することを目的とした。
122(B) 金属ストロンチウムを用いる簡便な機能性材料合成手法の開発 三好 徳和 徳島大学 平岡 功 徳島大学 アルキル化剤としてとても有用なGrignard試薬(R-Mg-X)は、予め調製する必要があるが、One-potで行えるBarbier型手法で同様の反応が進行すれば、工程をかなり省くことが出来、コスト削減の面からもより有用である。発掘型では、種々のエステルに対するBarbier型ジアルキル化の簡便合成手法を提供した。そこで今回、金属ストロンチウムを用いるアルキル化反応の工業的実用レベルのブッラッシュアップと、本手法の汎用性の検討として、有用医薬品或いは機能性材料の前駆体の合成手法の確立を目指す。
140(B) 新たな可変剛性型動吸振器による振動・騒音抑制技術の開発 劉 孝宏 大分大学 近藤 晋一 大分大学 本技術は、機械系や建築構造物等の有害な振動を抑制するための動吸振器の固有振動数を、はりの回転角のみで自動制御し、チューニングの高精度化および単体装着可能な自立化を実現する新たな可変剛性型動吸振器の開発を目的としている。本課題では、技術の実用化をめざすにあたり、従来と比較して質量比約1/2に小型・軽量化するとともに、簡単な装着のみで強制振動系の振幅を1/10に低減したり、自励振動系を完全制振できる装置プロトタイプを開発試作し、有効性を実験により検証する。

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 医療・福祉機器:105件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
17 受動歩行理論により歩行転倒防止を実現する安定靴底形状の研究開発 三上 貞芳 公立はこだて未来大学 宮嶋 克己 公立はこだて未来大学 高齢者や、歩行に関してハンディキャップを持つ方々を転倒などから守る道具として、靴の側に安定性を確保するアプローチを提案する。我々は人間の歩行に近い原理である受動歩行の2足ロボットの高い歩行安定性を実現する足裏の形状とその簡便な制御法を見出しており、この原理を人間の歩行の安定化サポートに適用することで、日常の歩行の不安定さを低減させる新しい靴形状、および靴底の軽量な動的制御技術の開発を目指す。
19 糖尿病患者の個人特徴に追従できるインスリン量の予測器の開発 Hartono Pitoyo 公立はこだて未来大学 宮嶋 克己 公立はこだて未来大学 本研究は糖尿病患者の個人的な体質や食事などの生活パターンに適応し、その患者が必要とするインスリン投与量の目安を予測する医療支援システムの開発を目的とする。一般的な予測モデルを構築せず、1人1人の患者の個人モデルを機械学習手法によって構築することで、より個人への適用性と信頼性の高い予測器の実現を目指す。機械学習を取り入れることで、常に患者の変化に追従し、長期的な支援ツールとして効果的であると考える。
27 心拍変動に基づく睡眠時無呼吸症監視装置の開発 高塚 伸太朗 札幌医科大学 一瀬 信敏 札幌医科大学 睡眠時無呼吸症は潜在的な患者が国内で200万人程度いるといわれている。しかし、症状の割に、検査に一泊以上かかるという煩雑さから、その多くが検査を行っていない。我々は、在宅で簡易的な検査を行うための監視装置の開発を目指し研究を進めてきた。それにより心電図からの心拍変動に基づく解析で成果が得られたことから、実用化に向け、パルスオキシメータから心拍変動を求め、睡眠時無呼吸を検出するアルゴリズムの開発を行う。
30 記憶と興味の相互作用を利用した記憶障害に対する訓練機器の開発 竹田 里江 札幌医科大学 一瀬 信敏 札幌医科大学 本研究では、認知症の中核症状である記憶障害を改善に導く訓練機器を開発する。従来の記憶訓練は、同一課題の繰り返しで楽しさや意欲の向上に繋がりにくく、継続に至らないことが多かった。本訓練機器は、個人の能力や興味という認知・情動面に合わせて課題を自由に作成でき、慣れや飽きを防げる利点を持つ。今回、本訓練機器を臨床で誰もが簡便に利用できる仕様に改良し、機器の有効性の検討を行うことで、実用化に結びつける。
31 臨床応用可能な高精度反応時間計測システムの研究開発 大柳 俊夫 札幌医科大学 一瀬 信敏 札幌医科大学 心理学、脳科学、リハビリテーション等における患者・被験者の評価では、刺激の提示から患者・被験者による応答までの反応時間を用いる場合が多くある。近年、パソコンを利用して高精度で反応時間を計測する研究が進められ、さまざまなシステムが開発されているが、臨床での利用は困難な状況にある。本研究では、最近の高機能・高性能マイクロプロセッサとセンサ技術を利用し、臨床応用可能な高精度反応時間計測システムを開発する。
45 心の健康問題を早期発見するためのWebカメラシステムの開発 沖井 廣宣 室蘭工業大学 鈴木 雍宏 室蘭工業大学 本研究では、パソコンに付随したWebカメラにより、利用者の顔表情を定時的に観測し、微少な表情変化の解析から、表情というノンバーバル情報を新しい生体情報指標として活用する、非侵襲的な心理評価技術を確立することを目的としている。 本手法により、就業者等の抱える内面的な悩み(こころの健康問題)を早期に明らかにして、適切なケアへと向かわせる、精神面でのQOL向上を目的とした「こころの健康支援」が可能となる。
66 身障者用在宅運転技術訓練システムの開発 小山 慎哉 函館工業高等専門学校 東藤 勇 苫小牧工業高等専門学校 遠隔地における物体接触時の力覚を操作者に提示することが可能な遠隔制御システムを利用して、遠隔地にいる運転指導者からの力覚を提示して操作方法をより分かりやすく理解できるような、身体障害者向け運転技術訓練システムを試作する。本研究はアクセルおよびブレーキを1つのハンドルで操作する部分について試作し、在宅での運転技術訓練システムの実用化について検討する。
70 超音波検査プローブの口腔内用多機能密着カバーの開発 大西 隆 北海道医療大学 蛸島 武広 北海道大学 口腔内用の超音波検査プローブを使用するとき、唾液量が少ないと、空隙が発生して、画像が安定しない。そこで、人工唾液を注入したり、空気を吸引・除去するためのカテーテルを組み込んだ口腔内用多機能密着カバーが開発できれば、技術的な問題が解決でき、プローブの汚染を防止する感染対策にもなる。本研究では、この口腔内多機能密着プローブカバーの試作を行い、実用化に向けての第一段階の研究を行なう。
71 閉塞性唾液腺炎の治療のためのステント療法の開発 杉浦 一考 北海道医療大学 蛸島 武広 北海道大学 閉塞性唾液腺炎の治療法としては薬剤による保存的治療法が一般的には行われているが、反復性に再燃することが多く、現時点では確固たる治療法の確立がなされていない。心血管系、胆管などの管腔に生じた狭窄を金属製の拡張ステントを用いて非侵襲的に治療する方法が効果を上げているが、唾液腺管への応用例はない。そこで、心血管用拡張ステントを唾液腺管に応用し、閉塞性唾液腺炎に対する非侵襲的な治療法に用いる唾液腺専用の拡張ステントを開発する。
73 微細径唾液腺内視鏡に挿入できる超微細バスケット鉗子の開発 中山 英二 北海道医療大学 蛸島 武広 北海道大学 生体結石である唾石は手術により摘出するのが標準的であるが、唾石を非観血的に摘出できる「唾液腺内視鏡下唾石摘出システム」を開発してきた。外径が1.1mmの微細径唾液腺内視鏡と専用の外径0.4mm弱の超微細径のバスケット鉗子を独自に開発し、世界で最も低侵襲的なシステムを構築した。今回の研究は、バスケット鉗子の実用化をめざし、外径0.4mm弱のバスケット鉗子の実用試作品を国内金属加工メーカーに依頼し製作する。
109 抗酸化性・耐摩耗性を強化した人工関節用ポリエチレンの開発 西村 生哉 北海道大学 栗原 正仁 北海道大学 人工関節が再置換に至る原因の一つに「ゆるみ」がある。「ゆるみ」の大きな原因は摺動面に用いられるポリエチレンの摩耗である。本研究ではこの摩耗を減らすためにポリエチレンに新しい添加剤を加え、高い抗酸化性・耐摩耗性の獲得を期待する。本研究の目的は抗酸化性・耐摩耗性を強化した人工関節用ポリエチレンを開発すること、最終的にはそれによって人工関節の寿命を延ばし患者のQOL(quality of life)を向上させることである。
115 MRアーチファクトフリーのインプラント材設計手法の確立 山本 徹 北海道大学 須佐 太樹 北海道大学 常磁性体および反磁性体の組み合わせ構造により、MRアーチファクトが発生しないインプラントを設計する手法を確立することを目的とする。まず、三次元磁界解析により常磁性材料と反磁材料の磁化率および組み合わせ形状の最適設計を行なう。次に、この解析結果に基づき、生体適合性に優れる磁性材料を選択し、組み合わせインプラントを試作してMRI撮像を行いアーチファクトの低減効果を評価する。
123 直径1インチ大口径高性能GPSシンチレータ単結晶の合成 金子 純一 北海道大学 奈良林 直 北海道大学 核医学診断装置への応用を目指し、直径1"クラスの高性能Ce:GPS(Ce:Gd2Si2O7)シンチレータ単結晶の合成を行う。GPSシンチレータは一般的なBGOシンチレータと比較して、7.5倍の大発光量と50ns程度の高速減衰時間を持ち、創薬用動物PET/SPECTや心臓病診断用SPECTへの応用が期待される。本試験では組成的過冷却の抑制と単結晶種結晶使用により装置メーカーへのサンプル提供に必要な直径1"単結晶の合成を試みる。
132 農作業軽労化支援スーツの開発 吉成 哲 北海道立工業試験場 長尾 信一 北海道立工業試験場 農業の機械化は徐々に進んでいるが、人手による作業も少なからず残っている。中でも収穫作業の前かがみ姿勢や出荷時の重量物運搬等には問題が多い。研究者らは、農作業時の生体情報計測及び疲労度調査等により、足元バランス向上や腰部筋力補助を軽労化のポイントとした。そこで本研究では、装着時の負担が少なく必要十分な筋補助力を発揮する軽労化支援スーツを試作開発し、補助機能の最適化を図ることにより実用化見通しを得る。
160 内視鏡手術への応用を目指した生体接触圧力の分布測定システムの開発 笹川 和彦 弘前大学 野呂 治 弘前大学 関節における骨と骨、腹腔における臓器と臓器、各種生体組織と治療器具との間など生体内の接触圧力を直接に測定することは、外科的な臨床治療において医師が病態の検査・診断・治療を行うに際し貴重な情報をもたらす。本課題では生体内の接触圧力の分布を測定するための薄くてしなやかな圧力センサを新たに考案し、臨床応用、特に内視鏡手術への適用が可能な生体用接触圧力測定システムを開発する。
215 大変形ヒンジを用いた多重球面連鎖関節機構の内視鏡先端関節への応用 大泉 哲哉 仙台電波工業高等専門学校 庄司 彰 宮城工業高等専門学校 多重球面連鎖を用いた機構の設計と解析を行いながら、関節機構の試作開発研究を行ってきた。柔軟なプラスチックで、立体連鎖を一体成形して、空間的に動作する機構を実現しようと試みている。この関節機構は、現在の内視鏡先端関節より大幅に小さな曲率半径で屈曲できる。また、プラスチック射出成形で安価に大量に作ることができるため、現在の問題を解決できれば、使い捨てできる内視鏡という、医用分野に必須の価値を付与した新商品を世に出せる。
221 携帯型Brain-Computer Interface (BCI) システムの開発と実用化 加納 慎一郎 東北大学 引地 智 (財)みやぎ産業振興機構 脳波など脳活動を反映した計測信号からユーザの意図を読み取り、それを外部機器の制御に用いる技術であるBCI(Brain-Computer Interface)のための携帯型システムを開発し、実用化に供するための研究を行う。本研究では、製品化を視野に入れて提案システムを携帯型システムとして実装し、同時にその性能を日常生活環境下でテストすることで実用性を実証する。この結果に基づいて運動機能麻痺患者のためのインターフェースシステムとしての実用化を目指す。
222 低侵襲治療実現へ向けたニッケルフリー形状記憶合金を応用したカテーテルナビゲーションシステムの開発 金高 弘恭 東北大学 引地 智 (財)みやぎ産業振興機構 生体安全性の高い金属のみを構成元素とする新規開発の生体用ニッケルフリーチタン基形状記憶合金の中から、カテーテルガイドワイヤーとして最も適した組成を選択し、新合金でワイヤー試作を行う。さらに、ガイドワイヤー先端部に小型のワイヤレスLC共振型磁気マーカを設置し、磁気式モーションキャプチャシステムにより位置検出を補完しナビゲーションとしても利用することで、X線被爆量を大幅に減少させ、より安全で操作の容易な新しいカテーテルナビゲーションシステムの開発を行う。
229 中耳・内耳疾患診断用「新生児難聴スクリーニング装置」の開発 和田 仁 東北大学 芝山 多香子 東北大学 本試験では、内耳に存在する感覚細胞を発生源とする、"耳から音が出てくる現象"、すなわち「耳音響放射」に着目し、代表研究者がこれまでに開発した中耳疾患を診断するための装置(Sweep Frequency Impedance :(SFI) meter)に耳音響放射計測機能を組み入れ、一台の診断装置で中耳・内耳の両方の疾患のスクリーニングを可能とする世界初の診断装置の開発を目指す。
240 FPD搭載IVR用X線装置のための品質保証管理法の開発 千田 浩一 東北大学 渡邉 君子 東北大学 カテーテル治療(IVR)用X線装置の被曝線量、およびその画像等の品質保証管理(QAQC)は重要な問題である。最近、フラットパネル検出器(FPD)搭載のIVR用X線装置が普及しつつあるが、その被曝線量と画質の最適化やQAQC手法は確立されておらず、さらにFPD機種間の性能差が大きい。本課題ではFPD搭載IVR用X線装置の画像特性を、簡単に評価できる新しいFPD用のファントムを開発する。さらにファントム画像の客観的評価システムの構築を目指す。
246 ハイラディアルフォース(高拡張力)Ti−Ni合金ステント 山内 清 東北大学 平泉 健 東北大学 近年、「ステント療法」が盛んに行われている。その中でも超弾性を有するTi-Ni形状記憶合金を用いた自己拡張型は、注目されるステントのひとつであり、胆道のほか、下肢部等の抹消血管系でも適用症例が増加している。しかし、抹消系ではステントへより大きな歪がかかるため折損する場合があり、問題となっている。本研究では、Ti−Niコア材の大幅な強度向上によってステントを薄肉化し、ステントに作用する歪を緩和する手法により、ステントのラディアルフォースを落とさずに耐折損性の向上を図る。
247 肺コンプライアンスの新しい非侵襲的計測方法の開発と実用化 出口 真次 東北大学 平泉 健 東北大学 正常な呼吸を行うには、肺組織が適度なコンプライアンス(組織の柔らかさ)を有することが必要である。肺疾患時にはコンプライアンスが著しく変化するため、診断や術後の定量評価のために古くからその非侵襲的計測が試みられている。本研究の目的は、肺コンプライアンスを体外から計測可能な特殊機構とバイオメカニクス解析に基づいた新しい方法を開発することである。実用化を念頭においた装置の設計と性能評価データを取得する。
255 大気圧水蒸気プラズマ滅菌法による次世代オートクレーブの開発 佐藤 岳彦 東北大学 大野 健一 独立行政法人科学技術振興機構 近年、低耐熱性材料を利用した医療器具の開発が進んでいるが、これらの滅菌は従来の高圧蒸気滅菌装置では困難なため、安全簡便で低コストな滅菌装置の開発が期待されている。研究代表者は、誘電体バリア放電を利用した大気圧水蒸気プラズマ流による滅菌法を既に開発している。本研究では、この技術を基盤とし、より滅菌効率の高い大気圧水蒸気プラズマ生成条件の最適化とOHラジカルの生成輸送機構の解明を行うことを目的とする。
269 脳卒中リハビリにおける上肢訓練装置の開発 荒巻 晋治 秋田県立リハビリテーション・精神医療センター 佐々木 揚 秋田県学術国際部科学技術課医工連携プロジェクトチーム 脳卒中は依然、日本人の死亡原因第三位であり、根治せずに障害を残す事例が多い。脳卒中片麻痺上肢に対してのリハビリは、時間的制約や作業療法士などの人的制限により十分行うことができず、利き手交換や片手動作訓練など、健側上肢による麻痺肢の機能補完に力点が置かれているのが現状である。しかし、日常生活では両手動作の必要な場面が多く、麻痺側上肢機能の改善が強く望まれている。本研究によって脳卒中患者の自立化を促進し、QOLを高める新たなリハビリ支援ロボットを開発する。
270 ディジタル型点字読み取りセンサシステム 高梨 宏之 秋田県立大学 小川 斗鴻 秋田県立大学 本課題は点字突起(1文字は3行2列)を検出するセンサを提案する。屈曲した先端部を持つ三枚の平板ばねを点字面に平行に走査させ、突起との接触で生じる平板の曲げひずみから突起配列を検出するセンサである。突起の有無を2値(1と0)に割り当て、その判定結果を文字・音声として出力可能なシステムを構築する。後天的視覚障害者の点字習熟度は低く、本センサが視覚障害者の点字学習・習得支援ツールとなることが期待できる。
273 視覚障害者用歩行補助器具の商品化 岡安 光博 秋田県立大学 小川 斗鴻 秋田県立大学 国内の視覚障害者は60万人といわれてる。多くは白杖・盲導犬の助けを借りて生活してますが、これでは充分とはいえません。白杖から得られる情報は少なく、事故につながりやすい。また盲導犬は頭数が少なく高価である。本研究は多くの視覚障害者の生活に安心を与える補助機器の商品化を目指すものである。白杖の先端からの情報は勿論のこと、進行方向の複数の非接触情報を得られる事は実証済みであり、コンパクト化と製作コスト低減が最大の課題である。
278 ハイパーサミアのための高効率磁束印加ユニットの研究開発 水戸部 一孝 秋田大学 仙波 日出夫 秋田大学 ハイパーサミアは、ガン細胞が43℃に達するとアポトーシスする性質を利用した治療法で、腫瘍部に埋め込まれた感温磁性体のインプラントを非侵襲的に体外から高周波磁場により誘導加熱する手法である。しかし、100kW級の電源が必要となり、病室での利用は不向きであった。そこで、高精度な深部温度の検知技術の実現と磁束密度印加装置の低消費電力化に必要な「高効率磁束印加ユニット」の開発を目標としている。
308 多自由度ミリサイズ・マニピュレータのためのノンバックラッシュ精密関節 高橋 隆行 福島大学 森本 進治 福島大学 代表研究者らが開発した立体カムは、2つの非平行三次元カム面のそれぞれにフォロアを挟むように接触(線接触)させることでバックラッシュを除去しており、高精度位置決めが可能で小型化に適する。本研究では、この立体カム機構を用いて、直径数mmの高精度多自由度ミリサイズ・マニピュレータを実現することを最終目標として、機構の小型化に大きく寄与する、フォロアリンクがカムに対して自動的に最適な位置に配置調整されるような特性の実現を目指す。
317 高齢者・軽度下肢障害者のための簡易操作伸縮杖の開発 森 善一 茨城大学 相澤 淳一 茨城大学 本課題では、簡単なレバー操作で即座に杖の長さの長・短が切り替わることを特長とする伸縮杖を提案する。本課題で提案する伸縮ロフストランドクラッチは、足の弱った高齢者や軽度下肢障害者(片麻痺患者を含む)の方を対象としており、屋内外での立位移動のサポート(杖長さは“長”)のみならず、伸縮動作が簡単に行えるため、日常生活に不可欠な起立・着座動作(杖長さ“短・長”を切り替える)を容易に行えるようになる。
337 生体末梢血管抵抗の近赤外光血管可視化による非侵襲計測 嶋脇 聡 宇都宮大学 山下 信 宇都宮大学 生活習慣病などの予防に対して関心が高まっている。各個人が手軽に扱えて、かつ非侵襲な計測機器が必要である。近赤外光を用いた血管可視化画像より血管硬度を計測した研究結果から、収縮期血圧および静脈血圧の新計測方法が考えられた。この2つの血圧から末梢血管抵抗が計測できると推測できる。末梢血管抵抗の非侵襲計測手法を開発する。現行の電子血圧計測器に加えて、末梢血管抵抗を計測できる家庭用健康機器開発を目指す。
351 内視鏡手術・鏡視下手術の処置法を革新する超常磁性体アンカーの開発 大平 猛 九州大学 松枝 健一 自治医科大学 内科領域の内視鏡下粘膜下切除術や外科領域である鏡視下手術(消化器・呼吸器・婦人科・泌尿器の各領域)における病変部位あるいは切除用に牽引が必要な各種臓器に今回開発する小型超常磁性体アンカーを、現存あるいは新たに開発するクリップを使用し設置することによって、従来不可能であった手術視野の展開と病変部位の同定および切除支援を可能とするコンセプトである。
407 チューブワイヤ駆動式小型腹腔内移動手術補助ロボット 兪 文偉 千葉大学 波田 靖夫 (財)千葉県産業振興センター 腹腔鏡手術、NOTES手術(自然開口部からの経管的腹腔鏡手術)に代表される低侵襲手術の普及が進められているが、術具の動きに制限を受け、術者に高い医療技術を要することから、制限がなく容易に操作できるようなシステムが求められている。本提案は鉗子・カメラの搭載、鉗子のガイドが可能で、腹腔内で自在に運動するロボットの制御と評価を行い、その実用化を目指す。
438 ダンパーと弾性素材を使用した底屈筋低下者のための短下肢装具の開発 山本 澄子 国際医療福祉大学 田野 健一 国際医療福祉大学 短下肢装具(AFO)は主に足関節まわりの筋力低下者に使用される歩行補助具であり、従来は足関節の動きを止めるものが主流であった。しかし近年、歩行中の筋の働きを考慮して関節の動きに制動をかけるAFOの有用性が明らかになりつつある。本研究では、つま先を下げる筋である底屈筋力低下者を対象に、必要な機能をもち、かつ実用的なAFOの開発を目的とする。
446 パーキンソン病患者の起立支援のための移動手すりの開発と実用化 青村 茂 首都大学東京 宗木 好一郎 首都大学東京 パーキンソン病患者は、立ち上がりに際し、そのための筋力はあるが身体全体の運動バランスがとれないために起立に失敗する場合が多い。本研究では、立ち上がり時の初速と離床位置に着目し、これらの量から立ち上がりの可否を予測し、立ち上がり不可と予測した場合にもに移動型支援手摺による最小限の起立補助を行う。手摺の開発では、起立可否の予測、最小限の支援のための軌跡および速度の算出を行い、効率のよい起立支援を行う。
448 体内埋め込み医療用界面活用型マイクロ送液機構の開発 小原 弘道 首都大学東京 宗木 好一郎 首都大学東京 本研究では、次世代の医療技術として重要な、生体適応性が高く、耐久性・信頼性高い、体内埋込使用可能な医療・投薬向けマイクロ送液システムのための界面活用型マイクロ送液機構の開発をおこなう。この機構は、マイクロスケールにおいて支配的となる表面張力を積極的・効果的に活用し、界面位置を制御により送液が可能な機構であり、生体に優しく、弁体などの可動部を用いず制御送液可能な耐久性・信頼性高い機構である。
456 脳波指令で動く車椅子システムの開発 田中 一男 電気通信大学 高橋 めぐみ 株式会社キャンパスクリエイト 本研究では、搭乗者の脳波指令により建物内やオフィス内を移動できる車椅子システムの開発を行う。とくに、実用性を重視し、1台のノートパソコンのみで駆動する携帯型ブレーンマシンインタフェースを試作し、手や足などの運動器官を一切介すことなく脳波指令により車椅子の直接操作を実現することを目指す。最終的には、筋萎縮性側索硬化症患者等への適用も視野に入れているため、ユニバーサルなBMIシステム構築を目指す。
481 微量血液からの白血球診断マイクロ流体デバイスの開発 新垣 篤史 東京農工大学 田中 公 東京農工大学 末梢血や骨髄液からの腫瘍細胞の検出においては、患者への負担を考えると、より少量のサンプルから目的白血球細胞のみを分離・検出することが望まれる。本課題では、マイクロリットルオーダーの血液サンプルから、抗原マーカーを指標とした細胞分離・解析の行程を同一基板上で行えるマイクロ流体デバイスの開発を行う。
499 3次元歯科用小型X線CTによる難治性開口障害治療システムの開発 新井 嘉則 日本大学 渡辺 麻裕 日本大学 顎関節の異常が原因で開口障害になる患者はストレスおよび高齢化社会を反映し、現代病のひとつに数えられている。これらの患者で症状が悪化すると関節が変形し難治性の開口障害を発症する。3次元歯科X線CTを利用して、この変形した顎関節を再現し、それに対応した理想的な“かみ合わせの関係”を患者に対して整形することによって、開口障害を治癒させるために必要な一連のシステムを開発する。
523 スマートフォンを活用した革新的な障害者支援ICTアプリケーションの開発 牛場 潤一 慶應義塾大学 佐藤 修 慶應義塾大学 多機能携帯電話(スマートフォン)を用いて、肢体不自由者のためのコミュニケーション・デバイスを開発する。具体的には、スマートフォンに搭載されているモーションセンサやタッチセンサ等を活用して、肢体不自由者の僅かな残存機能に反応する環境制御装置を開発する。モデルとなる患者宅に本試作機を試験導入し、テレビ、エアコン、照明、電動ベッドの操作と、コンピュータへの文字入力およびハンズフリー通話を実証する。
559 ハイブリッド6分力計による四次元触覚センシングシステムの開発 尾田 雅文 新潟大学 後藤 隆夫 新潟大学 マイクロサージェリーは、これまで困難であった手術法を臨床の場に提供している一方で、顕微鏡下の限られた視覚情報での手術は術者の疲労を招き、よって、操作ミスに起因する合併症や、重篤な場合は死亡例も報告されている。本課題は、小型な6分力荷重計を用いたマニピュレータやロボット用途の触覚センシングシステムを提供する事により、前述の医療の現場のみならず老々介護が問題視される福祉の現場に、安心・安全なシステム構築環境を提供することを目的としている。
562 動物の粉砕骨折固定インスツルメンツ開発 原 利昭 新潟大学 長濱 勝介 新潟大学 犬猫等四足動物が事故等で粉砕骨折した場合、元々骨が細いため、粉砕骨片は散在状態となり、骨片を寄せ集めて骨折部をスクリューやプレートで固定し、術後にキャストを巻いた場合でも、固定した骨折部では体重を支える事が出来ず、崩れる等の例が見られる。本研究では、これらの問題を解決し、荷重支持性と初期固定性を確保しつつ治療中のQOLを保証し得る粉砕骨折の確実な治療を可能とするインスツルメンツ開発を行う。
565 脊椎立位3次元構造評価システムの開発 小林 公一 新潟大学 長濱 勝介 新潟大学 脊柱側弯症や椎間板ヘルニア腰椎すべり症は脊椎構造の3次元変形を伴うので、これら疾患の診断・治療において脊椎構造を立位で3次元評価することが重要である。脊椎構造の評価はCTやMRIによる臥位(寝た状態)評価か、単純X線による立位2次元評価が一般的である。そこで本課題では、2方向X線像と、MR画像を用いて構築した3次元骨形状モデルを用いたイメージマッチングによる3次元位置推定法により、脊椎構造を立位で3次元評価するシステムを開発することを目的とする。
570 ピエゾフィルムを応用した簡便な嚥下機能評価装置の開発 櫻井 直樹 新潟大学 定塚 哲夫 新潟大学 高齢者では嚥下障害患者が増加している。しかし、ゴールドスタンダードとされるX線TV嚥下造影検査はX線被曝があり、装置は高価であるため検査機関が限定される。そこで非侵襲で簡便な嚥下機能評価装置を開発することを目的としている。これを製品化することにより、老人保健施設等で嚥下障害患者に対し嚥下評価に安全かつ簡便に用いることが可能になる。
598 マイクロ流体チップのメカニカル・リソグラフィー製造技術の開発 前田 幸男 富山県立大学 定村 茂 富山県立大学 本提案は、多品種少量生産に対応できるマイクロ流体チップの製造技術の開発である。ここでは、マイクロ工具によりステンレス鋼表面に直接機械加工する金型製造プロセスを提案し、メカニカルな加工方法でフォトリソグラフィー技術と同等な微細凹凸形状(幅10〜100μm×高さ10〜100μm)を加工精度±0.5μmで形成することを目標とし、金型コストの低減と製作期間の短縮が可能なメカニカル・リソグラフィー製造技術を開発する。
606 肢体不自由者用ハンズフリーポインティングシステムの開発 塚田 章 富山商船高等専門学校 赤座 治郎 富山商船高等専門学校 本課題のベースとなる技術は、レーザポインタが指し示す液晶モニタ上の照射点をUSBカメラで撮影した画像から高精度、かつ高速に検出し、照射点に対応するモニタ座標を算出する技術である。本課題は、この技術を利用し肢体不自由者がパソコンを使いこなすことを支援するという社会的課題に応えることを目的としている。このため、ポインティング後の適切なクリック手段の開発を行い、文字入力速度、疲労度、ユーザの自由度において優れたシステムの実現を目指す。
609 入浴事故防止のための呼吸の無意識評価法創成 中島 一樹 富山大学 永井 嘉隆 富山大学 高齢者の家庭内における不慮の事故で、浴槽内における溺死及び溺水が一番多い。入浴中のバイタルサイン評価は、事故防止に非常に有効である。本研究では、自由な入浴を妨げる電極・センサや電線を身体に取りつけ無い状態で、ヒトを含む湯の電気インピーダンスを計測し、呼吸運動に伴い変化する電流の流れ易さから、入浴時の事故につながる異常呼吸を検出する。本課題では、最適な計測周波数と電極配置などの決定を研究目的とする。
682 生体リズム障害を予防・緩和する超小型体内時計光受容センサーの開発 明石 行生 福井大学 奥野 信男 福井大学 本研究では、ヒトの生体リズム障害の予防と緩和に貢献するため、超小型体内時計光受容センサーを開発する。ヒトの生体リズムを調査(診断)するためには、日常網膜に浴びている光の質と量およびタイミングを測定し、その測定値と理想的な光受容スケジュールとのギャップを把握することが重要である。具体的には、(1)眼鏡フレームなどに違和感なく固定できる超小型軽量光受容センサーの試作、(2)3つのセンサーの開発とそれらを用いたフィールド実験の実施、(3)体内時計の光受容量の過不足を判断するアルゴリズムの開発を目指す。
703 植物由来色素を用いた皮膚疾患治療薬の開発 吉井 裕 福井大学 蓑輪 泰造 福井大学 光線力学療法(Photodynamic therapy: PDT)は、光増感物質(PDT薬剤)を体内に投与し、これに光線を照射することで光毒性反応を誘発し表層性の悪性腫瘍や皮膚疾患を消失させるものである。現在、PDT薬剤としてポルフィリン類とその前駆物質が利用されているが、申請者らは植物から抽出される天然色素であるカロテノイドのPDT薬剤としての有用性を明らかにしてきた。本研究では、カロテノイドを用いたPDTの実用化を目指し、作用機序の解明および最適な投与方法の検討を行う。
723 口腔ケアのための簡易式リップオープナー(開口唇器)の開発 松尾 浩一郎 松本歯科大学 百瀬 傳一 信州大学 リップオープナーは口腔ケアの際に要介護者やケアに非協力な患者の口唇を開くための口腔ケア補助用具である。リップオープナーの使用により口腔ケア時の口腔内観察と手技が容易になる。今回の研究では、医療・介護現場で普及しやすい簡便で低コストのリップオープナーの開発を目的とする。研究期間内に検討したリップオープナーの作成と実際の臨床場面での試用を目標とする。
806 人工内耳の音声変換プロセッサの調整方法の開発と応用 北澤 茂良 静岡大学 伊藤 悟 静岡大学 聴力を失った患者の蝸牛内に電極を埋めこみ、体外の音声変換プロセッサより電極刺激信号を送ることによって聴力回復する医療機器である人工内耳システムについて、音声処理方式(CSPE )によるプロセッサの調整法を応用するものである。これにより自然な音声として聴き取れることで、人工内耳の聴取精度と装着感の改善を図る。
837 抗菌・超撥水性材料の開発と応用 山内 五郎 大同大学 清水 孝純 大同大学 生活における大気環境の重要性が叫ばれている。本研究では、抗菌・超撥水性材料を建物の壁面等に適用し、冬季または寒冷地では室内壁への結露を防ぎ、また汚れ成分そのものの付着防止によって、光触媒の効果を最大限に発揮することを目指す。可視光応答型光触媒Cu/WO3の添加により、屋内外を問わず、防汚抗菌機能を実現する。 病院、老人介護施設、文化財保護施設、一般住居などへの広範な応用が期待できる。
854 酸化チタン殺菌皮膜の大気中高速成膜技術の開発 山田 基宏 豊橋技術科学大学 濱口 康典 株式会社豊橋キャンパスイノベーション インフルエンザなどのウイルスや病原菌への感染は人類にとって大きな脅威である。これらウイルスや菌を短時間で死滅させ、かつ人体に無害な技術として、銅担持酸化チタンの光触媒作用を用いた殺菌特性付与がある。これを、病院の壁など大面積へ成膜する技術の確立が求められている。本研究では大気中で原料粉末を吹き付けるのみの簡便な成膜技術であり、かつ原料粉末と同等以上の特性が期待できるコールドスプレー法による銅担持酸化チタン成膜技術の実用化を図る。
870 携帯電話を利用した聴覚障がい者向け情報保障システムの構築 木村 勉 豊田工業高等専門学校 橋本 正俊 豊田工業高等専門学校 本研究の目的は携帯電話を用いて、いつでもどこでも誰でも手軽に情報保障が受けられるシステムを構築することである。例えば美術館などでは、作品の解説は書記日本語や音声によるものが中心である。聴覚障がい者にとっては、音声による解説は聞くことができない。また、多くの聴覚障がい者は、手話が第一言語であるので、書記日本語による解説も不十分である。このような問題を解決するために、携帯電話の動画配信機能を用いた手話による情報保障システムを構築する。
892 体性感覚回復トレーニング装置の開発 森田 良文 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 加齢や脊髄損傷によって触圧覚などの体性感覚が低下すると、転倒事故の増加や歩行障害など日常生活動作に支障をきたす。体性感覚を回復・向上させるには感覚トレーニングが最も有効であるとされているが、療法士の時間的制約などの理由から診療では行えていない。また、回復具合の定量化は現代医療の至上命題である。本課題の目的は、各種感覚トレーニングならびに回復具合の定量化を実現させたトレーニング装置の開発である。感覚トレーニングの一部は、試作機を開発し、現在臨床試験中である。
956 腹腔鏡下手術用トロッカー挿入・バーチャルリアリティ・シミュレータの開発 藤原 道隆 名古屋大学 石山 慎一 名古屋大学 内視鏡下手術治療が急速な発展、普及をみせているが、腹部の疾患に対する腹腔鏡下手術では、最初に腹腔内にアクセスする第1トロッカー(ポート)挿入時の腹腔内臓器損傷が以前より報告されており、実際、当科においてもトロッカー挿入による事故が起こっている。実際の手術において訓練するのに代わって、腹腔鏡下基本操作やいくつかの基本的な手術手技に関して、バーチャルリアリティ(VR)・シミュレータが開発されてきているが、最も基本的かつ重要なトロッカー挿入手技に関しては未だVRシミュレーションは実現していない。研究担当者は、本研究において、トロッカー挿入法を訓練するVRシミュレータの開発を行う。
962 血液の凝固付着を抑制する複合材電気メスチップの開発 梅原 徳次 名古屋大学 野崎 彰子 名古屋大学 電気メスは,高周波電流を用いて、組織を切開するとともに、微小血管を凝固により閉鎖することで出血させないで手術ができる機器である。しかし,微細血管の豊富な肝臓の手術等において微細血管の封止のために使用する電気メス先端に、血液及び細胞が凝固し焦げ付くため、放電が不可能となり、電気メスが使用不可となり大きな問題となっている。本研究ではこの問題を複合材により解決する。
1003 3次元網膜断層像を対象とする次世代OCT診断支援システムの開発 鶴岡 信治 三重大学 八神 寿徳 三重大学 光干渉断層計(OCT)により3次元断層像が撮影可能となり、眼科専門医が疾患部を正確に特定することが可能となった。しかし現在、診断を定量化することはできておらず、評価に個人差がある。そこで、本研究では、コンピュータで3次元画像解析を行い、疾患部の大きさや組織性状について客観的な指標を提案し、医師の臨床経験による医学的知識と統合して、高性能な診断支援システムを構築することを目的とする。
1012 安全な静脈血採血を可能にする新しい採血枕と採血枕教材の開発研究 加藤 圭子 滋賀医科大学 宮本 健二郎 滋賀医科大学 本研究の第一の目的は、病院等の外来や健康診査等における椅坐位での静脈血採血時の真空採血管による採血事故を防止し、安全な静脈血採血の実施を可能にするために、被採血者が安定した上肢の肢位を保持できる新たな採血枕の考案・開発・実用化を図ることである。第二の目的は、看護を学ぶ学生が椅坐位での安全な静脈血採血技術を習得し、学生や新卒看護師にも椅坐位での安全な静脈血採血が実施できる新たな採血枕教材の考案・開発・実用化を図ることである。
1018 腹腔内視鏡手術に用いる吸着型集積触覚センサの開発 藤井 利徳 滋賀県工業技術総合センター 月瀬 寛二 滋賀県工業技術総合センター 腹腔内視鏡手術において術者の指のかわりに触診をおこなうためには、臓器表面の硬さなどの触覚情報を検出する必要がある。超音波を用いた診断用触覚センサ等が研究されているが、正確な診断のためには臓器を固定しながら測定しなければならない。上記の課題を解決するために、本研究では、臓器表面の硬さを検出するための吸着機構を有する小型触覚センサを開発する。
1023 要介助者の単独移乗を可能とする自立支援型移乗介助ロボットの開発 安田 寿彦 滋賀県立大学 安田 昌司 滋賀県立大学 身体能力が低下している人および身体障害等をもつ人の移動の手段として車椅子が使われることが多い。車椅子利用者にとって、ベッド・トイレなどへの移乗は容易ではなく、介護者の援助を必要とすることがある。移乗は「動くことに介護支援が必要な人」の寝たきりや座りきりを防止し、日常生活を活性化するために必要不可欠である。本研究では、要介護者の自立のために、要介護者が単独で移乗することを可能とする移乗介助ロボットを試作し、実機性能試験によって、その実用性を示す。
1030 要介護高齢者を対象とする運動・認知リハビリテーション用ゲームの開発 渡部 雅之 滋賀大学 宇佐美 照夫 滋賀大学 認知症や脳卒中による要介護高齢者にとって、機能の回復や維持には継続的なリハビリテーションが欠かせない。楽しくやりがいに満ちた作業でありながら、運動機能と認知機能の回復を同時に保証できるリハビリテーション用ゲームがあれば、医療現場にとって大いなる助けとなるだろう。体感式コントローラーを操作して解答する一種のゲームでありながら、同時に運動・認知機能双方の改善を期することのできる、新たなツールの開発を目指す。
1039 人と共存するロボットのための冗長駆動関節 永井 清 立命館大学 市原 岳洋 立命館大学 本研究課題は、柔らかい動作(順応動作)を生成するロボットや、高い安全性を有するロボットを実現することを目的として、アクチュエータ(モータなど)を二つ有する冗長駆動関節と呼ぶ新たなロボット関節の機構設計技術と制御系設計技術を確立することである。この冗長駆動関節は、リハビリロボットやアシストロボットなど、人と共存するロボットを実現するための重要技術となる。
1048 睡眠時無呼吸症候群診断システムの開発 福水 洋平 立命館大学 安川 竜二 立命館大学 シリコンマイクロフォンアレイ、マイクロコントローラ、フラッシュメモリチップ、およびシート型一次電池をフィルム基板上に実装した超薄型「体音センサ」と、体音を解析するソフトウェアからなる、睡眠時無呼吸症候群診断システムを開発する。体温センサは睡眠時に鎖骨下に貼り付けることで最長12時間の複合体音(呼吸音と心音の複合音)をステレオ記録する。この記録をサーバに転送し、独立成分分析処理を行って呼吸音を分離・抽出した上で、統計処理を用いて呼吸の異常分類を行う。これを医師に供することにより診断を支援する。
1074 認知症高齢者および発達障害児の認知機能評価システムの開発 小堀 聡 龍谷大学 中山 勝一 龍谷大学 ボタン押し課題という簡便な検査課題を用いることにより、認知症高齢者および発達障害児の認知機能を評価するシステムを開発する。ボタン押し課題とは、ディスプレイ上を移動するターゲットが指定枠に入ったらボタンを押すというものである。この検査を実施し、データ蓄積とデータ解析の結果を踏まえて、重症度や障害の程度を評価するソフトウェアを開発する。さらに認知機能を評価し、訓練や教育により認知機能を改善する評価・訓練支援システムを開発し、検証する。
1081 中,軽度の認知症者用,排泄動作支援システムの開発 桑原 教彰 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 高齢認知症者の排泄の問題は、身体的機能の衰えに関係する問題(身体的問題)と排泄に必要な動作、手順を理解できない問題(認知的問題)に分類できる。本研究では特に認知的問題に焦点を当て、患者の自立排泄を可能とするシステム構築を目標とする。システムは患者のプライバシーを考慮した人物計測を行う「人物計測部」、患者の状態を推定する「状態推定部」、状態に応じた動作指示をする「動作指示部」から構成される。特に「動作指示部」では、患者の視線や注意をトイレットペーパなどの対象物に適切に誘導するインタフェースを開発する。
1147 術中微小リンパ節転移可視化装置の開発 原田 義規 京都府立医科大学 羽室 淳爾 京都府立医科大学 本研究においては、リンパ節転移の術中診断に適したベッドサイドで使用可能な小型蛍光観察装置を開発する。消化器癌手術ではリンパ節郭清が行われるが、より低侵襲で確実な手術を行うには、正確な術中リンパ節転移診断が必要である。それが実現されれば病期の術中診断が可能となり、必要十分なリンパ節郭清を含めたオーダーメイドの合理的手術が実現されうる。
1165 腓腹筋電気刺激で蹴り出し強化を行う歩行補助装置の開発 鈴木 立人 舞鶴工業高等専門学校 辻 正 舞鶴工業高等専門学校 高齢者や歩行障害者は蹴り出し動作が弱く歩行速度が遅くなり,左右へ身体がぶれるため,転倒危険性が非常に高い.そこで,腓腹筋電気刺激を用いて蹴り出し動作を強化することにより,膝関節及び股関節の運動を誘発して歩容を改善する.同時に転倒危険性を低下でき,歩行速度も増加させ得る歩行補助装置を高齢者や歩行障害者に提供できる.
1191 高輝度紫外発光ダイオードによる核スピン偏極技術の開発 熊谷 寛 大阪市立大学 中島 宏 大阪市立大学 被爆の無い偏極ガスによるMRI技術の進展に注目が集まっている。代表研究者は独自の波長変換技術を駆使して、389nm光を高効率に発生できる技術を開発し、その389nm光を用いた試みで初めてHe-3原子の偏極に成功した。本研究ではフォトンコストの安い高輝度紫外発光ダイオードに注目し、389nm光を用いたHe-3原子の高効率な核スピン偏極技術の開発を目指す。
1227 機能的電気刺激を用いた歩行支援システムの開発 平井 宏明 大阪大学 藤原 昌平 大阪大学 近年、脳卒中や脊髄損傷により身体に麻痺を抱えた患者の運動支援へ向けた研究が盛んである。特に末梢筋系への直接電気刺激により筋活動を活性化し問題の解決を図る機能的電気刺激 FES は重度の麻痺にも適用可能な手法として多くの注目を集めている。しかし、身体の運動制御法が確立されていない現在、その適用範囲は単純動作のみである。そこで本研究では、FESの多チャンネル化により、限られた動作の幅を広げ、複数筋群を同時刺激した身体制御法の確立および身体協調動作支援を行う。
1241 骨力学機能を模倣した新規概念からなる骨インプラントの創製 石本 卓也 大阪大学 武井 廣見 独立行政法人科学技術振興機構 骨代替用インプラントは、その力学的信頼性から金属材料により大部分が構成されている。しかし、生体骨に比べ、現状の金属製インプラントは高ヤング率(生体骨の5〜10倍程度)である。その結果、インプラント周囲での応力遮蔽効果による骨吸収や骨質劣化等の問題が発生する。本研究では、生体骨類似の低ヤング率を有し、骨類似の力学機能を発揮できる、新規概念からなる金属製インプラントを創製することを目的とする。
1281 中高年者用視覚機能測定・トレーニング機器の開発 吉井 泉 大阪府立大学 植嶌 陸男 大阪府立大学 本研究では、既存の機器を使用した動作解析や視線解析などを行い、視覚刺激に対する応答を詳細に分析し、その結果を基に中高年者の「視て・動く」ことを、測定・評価・トレーニングする機器の開発を目指すものである。さらに本研究を、機能障害を持った方へのリハビリ適用へも発展させ、広く普及させることによって、高齢者医療や寝たきり防止への貢献など、QOLの向上に貢献することも目指していきたい。
1310 腹腔臓器MRイメージングのための消化管内設置型RFコイル開発 松岡 雄一郎 神戸大学 小野 英男 神戸大学 MRIで膵臓、胆嚢およびそれらの管壁の高空間分解能撮像を目的に、これらの臓器に近接する胃や十二指腸などの消化管内に設置できるRFコイルを開発するものである。MRI信号はRFコイル近傍で高信号となるため、撮像対象にRFコイルを近接させて信号強度の向上を図る。消化管内へのコイル挿入や配置調整は、経口的に内視鏡で行う。RFコイルの電気特性調整を含めた最適化は、まずファントムモデルや摘出組織で行い、最終調整とMRI撮像は動物実験で行う。
1331 非侵襲な複合光計測応用における健康機能イメージング 仁田 功一 神戸大学 中井 哲男 神戸大学 本研究では、近赤外光を用いた生体光計測を一般人が気軽に利用できる簡易健康診断に適用することを目的とする。具体的には現在研究を進めているファイバ型光干渉計を用いる複合型光生体計測において、分光イメージングと断層撮影データを行える簡易プローブを試作する。試作するプローブを用いて検証を行い予防医学に貢献する健康モニタリング装置としての有効性を評価する。
1372 デジタルカメラを使用した発展途上国向け白内障スクリーニング装置の開発 波部 斉 奈良先端科学技術大学院大学 萩原 史朗 奈良先端科学技術大学院大学 白内障は眼球の水晶体が白濁する疾患であり、視力の低下を引き起こし最終的には失明につながる。日本など医療体制が整った先進国では早期発見が可能となっているが、発展途上国では人的・物的リソースの不足によって十分な検査が行えていない。
本研究では、このような状況に対して、民生用のデジタルカメラを用いて被験者の眼の画像を撮影し、その画像を解析することで、専門家以外でも簡便に白内障のスクリーニングが可能なシステムの開発を目指す。
1380 次世代補聴器のための聴覚特性精密推定と難聴模擬システムの開発 入野 俊夫 和歌山大学 湯崎 真梨子 和歌山大学 世界に例を見ない超高齢化社会を迎え、誰でも簡単に使える高性能な補聴器の開発が急務となっている。このためには、難聴の原因となる聴覚末梢系の周波数選択性や圧縮特性の劣化を、できるだけ簡便かつ精密に推定する必要がある。本研究では、代表研究者が開発した圧縮型ガンマチャープ聴覚フィルタを用いて特性の高精度推定を実現させる。さらに、計算処理時間を短縮させ、患者の難聴状態の模擬を臨床現場でも即座にできるようなシステムの構築に貢献する。
1386 美しい曲線を用いた耳介形成再建外科手術支援システムの開発と応用 原田 利宣 和歌山大学 湯崎 真梨子 和歌山大学 形成外科手術における耳介創生(フレームワーク作り)へ適用するための美しい曲線を用いた手術支援システムの開発と、それを応用した冶具製作が目的である。①耳介に存在する美しい曲線の収集、分析/同定、分類、ならびにアーカイブ化 ②患者の耳介形状に適した曲線(面)を検索、創成する支援システムの開発 ③創成された曲線(面)から手術用治具やテンプレートを創成するシステムの開発、である。本システムにより、形成再建外科医は人の耳介の曲線(面)アーカイブを参照しながら、手術支援システムや冶具を利用し、患者に対応した美しい曲線(面)を持つ耳介のフレームワークを短時間に効率よく創生することが可能となる。
1405 発達障害児の意思受容を支援するコミュニケーションエイドの研究開発 廣冨 哲也 島根大学 丹生 晃隆 島根大学 自閉症やアスペルガー症候群等を有する発達障害児は、神経心理学的検査により「見て答えること」に比べ、「聞いて答えること」の発達が遅れていることが明らかになる場合が多い。そのため可視化した会話内容を適切なタイミングで障害児に提示する支援が必要となる。本研究では、音声認識結果に含まれる単語群を「いつ」「どこで」等の5W1Hの観点で分類・可視化することにより、発達障害児の意思受容を支援するコミュニケーションエイドを研究開発する。
1448 装着者の位置エネルギーを活用した空気式歩行支援靴の開発 高岩 昌弘 岡山大学 薦田 哲男 岡山大学 高齢者のつまづきによる転倒防止、および歩行リハビリ訓練の補助のため、足首部の背屈動作を支援する機能を有する靴を開発する。歩行時の踵接地時に装着者の体重で足踏みポンプを踏み、生成した圧縮空気により駆動される空気圧シリンダで足関節周りに背屈モーメントを与える。テコの原理を応用した空気ポンプと、エネルギーを蓄積するスプリング内含型シリンダを用い、電気エネルギーを一切使用しない支援機構を構築する。
1463 オーダーメイド医療のためのマイクロ調合システムの開発 谷口 浩成 津山工業高等専門学校 梶谷 浩一 岡山大学 オーダーメイド医療は、21世紀の新しい医療として注目されている。本研究は、オンデマンドな薬剤調合が可能なマイクロ調合システムの開発を目指して研究を進めている。本システムはマイクロリアクタ技術を応用しており、複数台の流体制御デバイスを搭載し、薬品を調合して精製するまで一貫して実施することを目的とする。本年度は、各流体制御デバイスの高性能化を目指すとともに,システムの最適設計および制御手法を検討する。
1468 軽量で低価格を実現する4節リンク機構を用いた歩行補助機の開発 井上 浩行 津山工業高等専門学校 梶谷 浩一 岡山大学 低価格の歩行補助機を実現するためには、アクチュエータの数を少なくして制御システムをシンプルにする必要がある。本研究では、一つのアクチュエータで股関節・膝関節・足関節の筋力補助を行うため、4節リンク機構を用いた歩行補助機を開発する。リンク機構を用いることで、各関節にアクチュエータを配置する方法に比べ、アクチュエータを1/3に削減することができる。また、使用者の脚の長さや歩幅に基づいてリンク長を決定する手法を確立する。
1489 マイクロポンプ集積化バイオトランジスタのモノリシック製造技術に関する研究 坂本 憲児 広島大学 三原 博道 広島大学 バイオトランジスタは遺伝子解析ツールとして大変有益であるが、試薬や洗浄液を流すためのポンプを外部から接続する必要があり、装置全体の小型化、高速化を阻む課題となっている。本研究ではマイクロポンプとバイオトランジスタを一体化したマイクロポンプ集積化バイオトランジスタを提案し、電気浸透流を用いたポンプ構造の研究とCMOSプロセスと親和性の高いモノシリック製造技術に関する研究を行う。
1529 動脈硬化診断支援システムの実用化 内野 英治 山口大学 大高 聰 山口大学 心筋梗塞は冠動脈内部にできたプラークの破綻により引き起こされる。本課題では、冠動脈内部に超音波カテーテルを挿入し、血管壁から反射した超音波RF信号をソフトコンピューティングの技法を用い、血管内壁にできたプラークの組織性状(構造)を正確に3Dで描画し、医師が手術室のベッドサイドでプラークの組織性状を瞬時に把握できるシステムを開発する。 未だこの分野で、実用に耐えるこのような診断支援システムは存在しない。
1572 ガン治療用シードの品質検定システムの開発と応用 中山 信太郎 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 ガン治療用に体内永久刺入する小放射線源(シード)の品質検定システムの開発を目指す。前立腺ガン治癒のためシードを100本ほど体内に埋め込む治療がなされ、効果を発揮している。シードの放射線源強度は約15MBqと強いために、臨床での線源強度の計測は容易に行えない。シードの品質検定システムとして重要なことは、滅菌状態のままで一括して品質検定ができ、低コストでしかも省力化(全自動一括測定)できることである。シード品質検定システムを試作し、測定装置としての問題点を探る。臨床現場で使用可能な品質検定システムを完成させることを目標にする。
1584 優れた抗菌性を有するティッシュコンディショナーの開発 内藤 禎人 徳島大学 平岡 功 徳島大学 全身疾患を有する高齢者においては、義歯と接する口腔粘膜の変化が著しく、軟性裏装材であるティッシュコンディショナーを使用する頻度が高い。また、カンジダ菌に代表される口腔内細菌による誤嚥性肺炎の発症率は高くなっている。そこで生物由来の材料を添加することによって、抗菌性を有するティッシュコンディショナーの開発を試みるものである。
1588 経験の少ない医師でもマスク換気が容易な麻酔用マスクの開発 田中 克哉 徳島大学 平岡 功 徳島大学 最近の人口の高齢化に伴い、高齢者で全身麻酔を必要とする患者が増加しているが、高齢者は無歯顎の人が多くマスクと顔面に間隙が生じ、人工呼吸が困難なことがある。我々は、安心安全な全身麻酔導入を行うため、従来のマスクの持ち方とマスクの形状の概念と全く異なる方法を考案した。この研究で新しい形状の麻酔用マスクを試作しその有用性を評価する。
1616 形状記憶合金ワイヤを用いた携帯型点字ディスプレイの開発 澤田 秀之 香川大学 渡辺 利光 香川大学 形状記憶合金(SMA)の細線に微弱パルス電流を流すことによって微小振動を生成する、超省電力振動アクチュエータを利用した触覚ディスプレイの技術を応用し、視覚障がい者のための携帯型点字ディスプレイの研究開発をおこなう。本アクチュエータは、数μm程度の身体部位に300Hzまでの機械的振動を生成できることから、皮膚下の触覚受容器を個々に刺激することが可能である。SMAアクチュエータを点字ピンに割り当てることにより、点の有無を振動のON/OFFによって呈示する点字ディスプレイを構築する。
1640 プラズマを利用した医療用治療装置の開発 野村 信福 愛媛大学 瀬野 英二 愛媛大学 研究の最終目的は、カテーテル内に挿入したワイヤーに超音波振動を伝播させると同時にそのワイヤー先端にプラズマを発生させる医療用治療装置を作ることである。この装置が実現できれば腫瘍細胞の凝固壊死、止血、血栓症等に対してのカテーテル治療が可能となる。この目的達成のため、血管内部などの狭隘空間の中で、超音波振動とプラズマが発生可能な装置を開発する。
1676 重度患者も安全・快適に使用できる新型歩行訓練機の開発 王 碩玉 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 理学療法士の負担低減可能な且つ早期回復できる「全方向移動型歩行訓練機」を開発して、2年間の臨床試験によりその有用性が認められた。しかし直位姿勢保持筋力の無い重度患者には適用できない。そこで、重度の患者でも、使用可能な「新型歩行訓練機」を開発する。三大特長がある。①上半身のガードで訓練中の転倒を防止し安全性を確保する。②高低調整により楽な姿勢で訓練できる。③全方向移動メカニズムを備えたことで、早期回復効果が得られる。
1682 減衰可変とエネルギー回生を実現するインテリジェント短下肢装具の開発 芝田 京子 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 片麻痺患者が使用する従来型の短下肢装具は転倒防止を目的として足首を固定しているため、なめらかな歩行が困難となり、患者への負担も大きい。そこで、歩行のタイミングにあわせて足首の抵抗を変化させることで患者が自然な歩行を行えるように可変制御を行う。このとき必要なエネルギーを抵抗となるアクチュエータで回生することで、バッテリーの交換なしで長時間自然な歩行を支援できる軽量の短下肢装具を開発する。
1698 複合的光力学診断に基づく人工知能を用いた癌判定内視鏡システムの新規開発 井上 啓史 高知大学 石塚 悟史 高知大学 本課題は、膀胱癌に対する内視鏡診断において、従来の白色光観察に加え、蛍光観察および狭帯域光観察という合計3種の異なる波長域の特殊光による同一部位の光力学的観察を複合的に画像情報とし、さらに従来は確定診断に十分活用されなかった膨大な臨床情報を併せて、人工知能に包括的に学習させ、これら学習結果を内視鏡診断に直接かつ即時に活かす最高精度の癌判定内視鏡システムの新規開発を目指すものである。
1731 身体動作の制約を補う多自由度操作デバイスの開発 榊 泰輔 九州産業大学 藤本 敏樹 九州産業大学 上肢障害者や身体能力の低下した要介護高齢者における上肢の動作を介助し、電動車椅子等の複雑な操作を可能にする指用操作デバイスを開発する。具体的には、手指にフィットし操作感が軽くユニバーサルデザインを考慮した手指装着機構と、ロボット技術を駆使し指単軸の操作を機械の複雑な動作へ変換する操作アルゴリズムを開発する。装着性や操作性に優れた電動車椅子やシニアカー等を身障者等に提供することにも繋がるものである。
1752 人工歯根膜機能を有する新規インプラントの開発 新川 和夫 九州大学 坂本 剛 九州大学 インプラントに咀嚼力の調節機能と感知機能を付与させるため、以下のような試作、試験を行う。1.人工歯根膜(圧電性高分子)を緩衝材およびセンサーとしてインプラント内部に挿入する。2.天然歯の咬合力に対する力学応答を高分子が模擬できるようにする。3.咬合力に応じて高分子から微弱電流を発生させる。
4.微弱電流を歯肉や歯槽骨に存在する神経に伝える。これによりインプラントに作用する咬合力を知覚できるばかりでなく、天然歯と同様に感知できるようにする。
1754 大型動物用生体レドックス複合共振器システムの開発と応用 市川 和洋 九州大学 山本 英樹 九州大学 本研究は、局所生体レドックス(酸化還元状態)をウサギ等の大型動物において計測可視化するための生体レドックス複合共振器システム開発を目的とする。具体的には、大型励起共振コイルを設計・製作し、その共振コイル方式の検討、感度分布・形状特性解明を行う。これら検討に基づき製作した共振器システムをウサギ等の動物モデルへ応用し、その有用性を検証することで、局所生体レドックス可視化実用化のための基盤を確立する。
1795 歩行できない学齢期前身体障害児の自立移動装置の開発と安全性に関する研究 松尾 清美 佐賀大学 奥田 あゆみ 佐賀大学 自分の足では歩行できない学齢期前(特に3歳未満)の身体障害児が自立して移動できるようにするため、本人が所有している姿勢保持装置や車いす等と結合させて自立移動できるようにした自立移動装置の開発および姿勢保持装置の固定方法の開発を行う。また、この自立移動装置を使用した場合の衝突時の安全性やコントロール性能、段差や障害物の乗り越え性能の向上を目指し改良していくことを本研究の目的とする。
1804 特定の菌種を選択的に滅菌できるプラズマ滅菌装置の開発 柳生 義人 佐世保工業高等専門学校 永田 良人 (財)長崎県産業振興財団 特異的な環境を実現することのできるプラズマは様々な分野で応用されており,特に近年では、代替滅菌技術として「プラズマ滅菌」が注目されている。本提案は、プラズマが有する高い反応性を利用し、特定の菌種を選択的に滅菌するプラズマ滅菌装置の開発を目的とする。滅菌対象へのプラズマの影響は,プラズマの生成条件に依存することから、有害な菌を選択的に殺滅する(言い換えると、有益な菌を選択的に生かす)という選択的滅菌の実現が期待される。
1886 補助人工心臓用アキシャルセルフベアリングモータの開発 栗田 伸幸 群馬大学 大澤 隆男 群馬大学 代表研究者らによる基礎研究で、補助人工心臓のプロトタイプを製作し、1500 min-1までの範囲での安定した浮上回転に成功した。しかし、消費電力は15 Wと大きかった。そこで本課題では消費電力10 W以下にする事を目標とする。そして、上下永久磁石の吸引力が平衡する点で位置制御できる、新しいプロトタイプを製作し、基本特性を確認する。また、製品化に向けて実験装置の最適なサイズを明らかにする。
8(B) 医薬合成重要中間体「光学活性シアン化物質」の高純度合成法の開発 大熊 毅 北海道大学 吉田 光則 北海道大学 光学活性シアン化物質はa-ヒドロキシ酸、g-アミノケトン等の医薬品・医薬原体の優れた合成原料である。アルデヒド類およびa,b-不飽和ケトン類の不斉ヒドロシアノ化は、そのもっとも直接的かつ効率的な合成法の一つとして知られている。本研究では、研究代表者らが独自に開発した不斉ヒドロシアノ化触媒の基質適用範囲の拡大を目指した検討を行い、将来医薬品合成プロセスで実用化できる見通しを得る。
40(B) 縫合・吻合を代替する小型生体接合装置の開発 岸田 晶夫 東京医科歯科大学 前田 裕子 東京医科歯科大学 超音波メスの融着モードの解析の結果、熱・ナノ振動・圧着を組み合わせることで生体組織が接着できることを見いだした。この新しい技術を応用し、超小型の生体接合装置の開発を行う。小口径血管、神経など高度な技術が必要な縫合を、迅速・簡易に達成することで、外科医の負担を軽減し、手術のQOLを向上させる。また応用として、肺や肝臓、静脈など従来、縫合が困難であった臓器の接合についても検討する。
70(B) 動脈硬化度の精密測定を目指した血管平滑筋機能評価装置の開発 松本 健郎 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 早期動脈硬化の診断には,血流を数分間遮断した後の上腕動脈の拡張度合いを測定するFMD検査が用いられる。しかし血管拡張は血管内皮の血管拡張因子分泌能と平滑筋の弛緩能の両方に依存する。そこで本研究では平滑筋機能を独立して計測する手法の確立を目指す。即ち、血管外圧を階段状に変化させた後に生じる平滑筋の能動収縮・弛緩による径変化を計測することにより、平滑筋の収縮・弛緩能を推定する新たな手法の研究開発を行う。
77(B) 医薬品・食品の嚥下機能評価システムの開発 松岡 敏生 三重県工業研究所 河合 真 三重県工業研究所 セルフメディケーション意識の高まりにより、医薬品を服用する機会は増大し、服用しやすい医薬品が求められている。これまでに、医薬品や食品を嚥下する時の咽喉部の挙動に着目し、錠剤の嚥下動態(飲み込み動作)を客観的に評価するシステムの試作を行っている。さらに、計測精度の向上やユーザーインターフェースの改良を図り、評価システムの試作開発を進めるとともに、その有効性を検証する。
90(B) 生体電気インピーダンス式筋肉量測定と運動処方連携システムの開発 米井 嘉一 同志社大学 永田 和彦 同志社大学 (1)筋肉量・運動量・睡眠の質・ストレスに関する生体情報の非浸襲的検査、(2)携帯電話よりリアルタイムデータ収集、(3)生活指導ガイドラインに基づく音声画像コンテンツ作成、(4)健康指導コンプライアンスの管理可能な電子カルテシステムの開発、(5)双方向性ネットワークシステムの構築。 (1)(2)については既存機器をもちいる。(3)について医学的見地から作成し、(4)(5)を構築する。 具体的には、(1)研究施設にて左右上腕、左右前腕、左右大腿、左右下腿、体幹の9区域の筋肉量の精密測定。(2)結果に基づいて運動処方を指示。動画に従いながら運動できるコンテンツを提供。(3)小型測定器を貸与し身体活動量、睡眠の質を記録し、1日単位でデータ送信、解析。(4)解析データを基に定期的アドバイス。(5)研究施設にて12ヶ月後筋肉量を再評価。本システムの有効性を解析を行う。
92(B) ペプチドのβ―シート構造を利用した組織工学用足場の創出 平野 義明 関西大学 柴山 耕三郎 関西大学 本研究は、ペプチドの特徴的な二次構造であるβ-シート構造を用いてその自己組織化能を利用することにより、組織工学用材料として3次元の細胞接着性足場を創生することを目的とする。そのためにβ-シート構造を形成するペプチドと細胞接着活性を有するペプチドを融合することにより、多機能な3次元ペプチドファイバーを創出する。本研究課題は、ペプチドの合成・構造・細胞接着性足場の評価をはじめ、組織工学用材料としての機能を実験・理論の両面から系統的に行うことが特徴である。
106(B) 重度難聴者のための新型補聴器の開発:両耳装用方式による音像定位能の付加 中川 誠司 独立行政法人産業技術総合研究所 佐藤 義幸 独立行政法人産業技術総合研究所 骨伝導で周波数 20 kHz 以上の高周波音(骨導超音波)であれば、重度感音性難聴者にも知覚される場合がある。代表研究者らは骨導超音波の両耳知覚特性は通常の音(気導音)とはやや異なる特性を持つものの、ある程度の音像定位が可能であることを示した。本研究課題では、基礎的検討の成果を発展させ、両耳装用方式の骨導超音波補聴器の開発を行う。
142(B) 人工透析シミュレータ臨床システムの開発 竹澤 真吾 九州保健福祉大学 竹下 義隆 (財)宮崎県産業支援財団 日本で年間4,200万回行われている人工透析治療時の操作は患者生命に直接係わる重要な内容を含んでいるが、現状では手技を学習するシミュレータが存在しないため、技術習得を臨床以外で行うことは不可能である。操作者の未熟さが原因と考えられる透析中の事故例も年間数百例報告されている。
そこで、臨床以外で透析治療時に起こりうる異常事態やトラブルを再現し、基本的な操作技術の習得と突発事故の対処方法を学習するためのシミュレータ装置およびソフトの開発を行い、実用化へとつなげる。
146(B) 障害者用インテリジェント・コンピュータ・インタフェース 比嘉 広樹 琉球大学 宮里 大八 琉球大学 筋ジストロフィーや筋萎縮性側索硬化症の疾患では、次第に筋力が低下し、最終段階では寝たきり状態になる。本研究では、これらの進行性の疾患により筋力低下をきたす人を対象に、患者から筋電信号、眼球運動、脳波等の多元的な生体情報を取得し、信号処理してコンピュータ等のIT機器に情報入力を行い、それによって患者のQOL(生活の質)を向上させるためのユーザフレンドリなコンピュータ・インタフェースの開発を行う。

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 アセンブリープロセス:2件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
538 炭素繊維を介した異種金属接合技術の開発 西 義武 東海大学 加藤 博光 東海大学 本研究は、航空宇宙やレジャー・スポーツ産業で使用されているチタンとアルミニウム合金に代表される高比強度金属材料において、溶接やロウ付けはもとより、接着剤など助剤を介さずに、高強度を維持したままの比表面積の大きい炭素繊維を介して強固に接合することを目的とする。実施内容は溶融金属との反応を抑制した炭素繊維を介してチタンとアルミニウムの接合を行う。さらに接合強度の評価には、引張試験を行い接合強度や信頼性を評価する。
1383 シームレスマニピュレーションのための多指ハンドロボット制御技術の開発 長瀬 賢二 和歌山大学 湯崎 真梨子 和歌山大学 本研究では、接触・非接触など、環境との接触状況が動的に変化する多指ハンドロボットを、シームレスに(継ぎ目なく滑らかに)自動制御するための、「モデル化法」と「制御系設計法」の開発を目的する。本研究課題では、特に、吊り下げ物体などの移動物体を捕捉〜運搬〜設置する一連の作業を想定し、上記問題を考える。

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 システム:12件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
65 傾斜シックナーの供給面を改良した高効率沈降分離装置の開発 平野 博人 苫小牧工業高等専門学校 東藤 勇 苫小牧工業高等専門学校 固液分離装置のひとつである傾斜シックナーでは、処理量は理論的に沈降高さに比例するが、従来型の供給方法では装置の断面積の制約を受け、固体処理量には限界がある。そこで、装置全体の高さを活かした供給方法へと改良することにより、固体処理量を多くできることを示し、供給面改良型沈降分離装置の設計が可能であることを検証する。
140 大型氷単結晶を育成する簡易装置の開発 百武 欣二 北見工業大学 鞘師 守 北見工業大学 異方性のある結晶の性質を理解するためには、身近にある氷についてチンダル像生成や劈開割れ、音速異方性などを、実際に観察してみるのが判りやすい。本開発は、物理教材として優れた大型単結晶氷を、誰でも容易に作成できるようにする試みである。冷却源にペルティエ素子を用いて装置をコンパクト化し、最適な育成条件(冷却速度、引き上げ速度等)を実験的に求めて、コンピューター制御された育成システムの構築を目指している。
296 リアルタイム波数分光型スペクトル干渉断層計の開発 渡部 裕輝 山形大学 長谷川 宏哉 山形大学 通常、スペクトル干渉断層計では、回折格子により波長に等間隔にスペクトル分光された光をラインカメラで検出し、それをコンピュータ上で、波長(λ)から波数(2π/λ)軸への補間処理と高速フーリエ変換(FFT)の計算により深さ情報を得る。本研究では、回折格子とプリズムを組合せた波数分光器を構築し、波数軸で検出された光スペクトルを並列処理技術GPU(Graphics Processing Unit)でFFT演算し、リアルタイムにその結果を表示できるシステムの開発を行う。
650 剛性可変の表面構造を持つロボットハンドの開発 渡辺 哲陽 金沢大学 分部 博 金沢大学 一般家庭や医療現場などの現場では、様々な形状や硬さを持つ未知対象物を扱うことができるロボットハンドが必要である。そのような対象物を掴む上でキーとなるのが、ロボット表面の柔らかさである。表面柔らかさは掴む対象の情報の不確かさを吸収する。衝撃も吸収するため、安全性においても優れている。しかしながら物体を操るという点では不利である。滑りにくい、動かし難いためである。そこで、本研究では、必要に応じて表面の硬さを変化できるロボットハンドを開発する。
932 柔軟構造物搬送用パワーアシストシステムの開発 原 進 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 最近パワーアシスト機器の導入が注目されている。今後、大型パネルなど柔軟な構造物や精密機械も対象となると思われる。しかし、構造物の柔軟性を考慮したパワーアシストシステムはほとんど見られない。本研究課題では柔軟構造物搬送用パワーアシストシステムを開発する。アクチュエーションタイプが異なる2ケースを想定し、それぞれプロトタイプを用意し、各タイプの特徴にあったセンシング、制御則を明確にする。最終的に固有周波数数Hz程度の対象を容易に位置決めできることを目標とする。
1034 船舶等の浮遊移動体の超高精度運動制御システムの開発 金岡 克弥 立命館大学 市原 岳洋 立命館大学 本研究においては、船舶・航空機・宇宙船・ホバークラフト等の固定支持点を持たない移動体一般に対して、研究代表者がロボット制御技術に基づき案出した制御手法「推力伝達ゲートシステム」を適用し、ハードウェアの構造を大きく改変することなく飛躍的に高精度な運動制御を行なうことを目指す。
まずは船舶を対象に、波浪・潮流等の外乱下においても、サブメートル〜センチメートルの精度での自動船位保持、および操縦を正確に反映する位置・速度制御が可能であることを示す。
1166 多種加工用フレキシブル超短パルス光源の開発 古瀬 裕章 (財)レーザー技術総合研究所 武井 廣見 独立行政法人科学技術振興機構 本研究課題は、50 fs 〜 10 psの広範囲においてパルス幅を制御できるフレキシブル超短パルス光源を開発することである。フェムト秒の超短パルスレーザーは非熱加工が可能であり、精密部品加工、低耐熱性材料へ利用できる。しかし市販されている超短パルス光源は仕様範囲が狭く汎用性に欠ける。本課題を達成できれば、多種多様な加工応用を1台の光源で利用可能となり、加工技術、生産技術向上に繋がると期待できる。
1194 超広域湿度センサを用いた湿度制御による高性能過熱水蒸気処理装置の開発 伊與田 浩志 大阪市立大学 渡辺 敏郎 大阪市立大学 乾燥、食品加工、殺菌、洗浄装置など、過熱水蒸気や高湿度空気を使用した各種装置の省エネルギー化と高性能化のためには、高温、高湿度下で長時間の連続使用ができ、しかも高い応答性を有する湿度(水蒸気モル分率)測定装置が必要不可欠である。本研究では、乾湿球温度計の原理を利用した超広域温湿度の計測・制御システムを開発し、高度な制御性能と高いエネルギー効率を有する熱処理装置の実用化を目指す。
1294 センサアレイによる高精度匂い識別・合成と簡易小型匂い検査器の開発 大松 繁 大阪府立大学 田中 政行 大阪府立大学 本研究の目的は匂いの識別・合成を行う手法の提案と簡易小型匂い識別器を開発することである。まず、センサアレイからの匂い計測データを用いた電子鼻を構築し、匂いの基本要素を抽出し、その化学組成を同定する。つぎに、匂いデータを基本要素に分解し、その係数を匂い特徴量とするニューラルネットワークを用いて、匂い識別・合成を行う。最後に、簡易型小型軽量な匂い識別器を開発し産業分野や食品分野での匂い検査へ応用する。
1350 国際標準対応の電子カタログ生成アルゴリズムの構築に関する研究 白川 功 兵庫県立大学 瀧澤 精一 兵庫県立大学 本研究は、ISO に準拠した製品辞書(PLIB辞書)の生成手法に基づいて、電子カタログの自動生成に必要な情報処理アルゴリズムを開発するものである。ISO13584(PLIB)に準拠することは、情報ネットワーク社会において異なるシステム間の意味共有および多言語化を可能とし、企業活動のグローバル化に寄与するものである。
1413 画像処理と3次元モデルを組み合わせたロケーションシステムの開発 神代 充 岡山県立大学 湯浅 光行 岡山県立大学 近年、住居内で人間と共存・協調して生活を支援するロボットへの期待が高まってきている。これらのロボットが住居内を自由に移動するためには、ロボットに住居内での自己位置を推定する機能が必要となる。そこで、本研究課題では住居内の環境を対象として、画像処理と3次元モデルとを組み合わせることで、環境に新たな設備を導入することなく、ロボットの自己位置を推定するロケーションシステムを開発する。
9(B) 業種別対応型コマンド予測システムによる高速3次元モデリングツールの開発 安田 星季 北海道立工業試験場 長尾 信一 北海道立工業試験場 3次元CADは、多機能化に伴いコマンド数が増大しているために、操作性が悪くなっている。これまでに研究者は、ユーザーの操作履歴を学習し、同ユーザーが使いやすい作業環境を構築できる試作版ソフトを開発した。しかし、効果が発揮されるまでに一定の学習時間を要するという問題があった。そこで本課題では、市販の3次元CADにインストールするとすぐにユーザーの業種に合った適切なコマンドが予測可能となるソフトの開発を目指す。

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 共通基礎研究(ものづくり技術):11件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
336 ハイドロフォーミングによる小径高効率管継手形状成形技術の開発と応用 白寄 篤 宇都宮大学 山下 信 宇都宮大学 チューブハイドロフォーミング技術(金属管材の液圧成形加工技術)を外径10mm以下の小径部品に適用する。中空小径部品は、現状、冷媒の流路や半導体部品製造装置などに使用されているが、継手の分岐部をさらに長く成形することができれば成形形状の多様化や配管自由度の増加に繋がる。技術課題を出願済みの特許技術で克服し、中空小径部品の適用範囲の拡大(燃料電池配管部品等への応用)や部品機能の向上を目指す。
468 磁歪材料を用いたマイクロ球面モータの開発とその応用 上野 敏幸 金沢大学 分部 博 金沢大学 鉄ガリウム合金は、鉄をベースにした延性の磁歪材料で、その良好な加工性と高い機械強度からマイクロアクチュエータに適した材料と考えられている。我々はこのFe-Ga合金を磁気ヨークかつ駆動源として利用した球面モータを開発してきた。これは従来の電磁力や圧電材料を利用するものに比べ、ロータの保持機構を含む単純な構成で小型化が容易なものである。本研究ではFe-Gaの加工性を生かし、微小コイル、永久磁石を含む、従来にないマイクロ球面モータを開発、その医療・情報機器への応用を行う。
602 自己学習機構を有するインテリジェンスモータドライバの開発 金子 慎一郎 富山工業高等専門学校 上坂 摂 富山工業高等専門学校 ロボットの運動制御を目的として、フィードバック制御機構およびニューラルネットワークによる自己学習機構をマイコンに内蔵したインテリジェンスモータドライバモジュールの開発を目的とする。従来の集中管理されたトップダウン型ロボット制御システムに対して、マイコンに代表される組込デバイスを主制御コントローラとして用い、これをロボットの各部に分散的に配置することで分散制御システムを構成する。各モジュールの相互連携・学習によって、ロボットの柔軟な動作制御の実現を目指すものであり、また同時に、トータルとして制御システムのスケールダウンを図り、システム構成のコストダウン、パフォーマンス向上を目指すものである。
669 高効率高速スクリーニングを可能にするNMR部品の開発 大木 進野 北陸先端科学技術大学院大学 山本 外茂男 北陸先端科学技術大学院大学 核磁気共鳴分光(NMR)法は、研究対象試料の構造やダイナミクスを分析する有力な手法である。近年では、特に環境や生命科学分野で、研究対象の試料と相互作用する物質を発見するためのスクリーニングに活用されている。本採択課題では、これを迅速に行うための部品を開発し、既存のNMR装置に組み込む。新しい部品で、使用する試料量の低減と実験時間の短縮を達成する。
797 効率的H−D交換反応の開発と機能性重水素標識化合物の合成 佐治木 弘尚 岐阜薬科大学 大森 茂嘉 (財)名古屋産業科学研究所 重水を重水素源とするPd/C触媒・加熱条件下における芳香族アルキル化合物や芳香環等の多重重水素標識法では、穏和な条件下、芳香族化合物への重水素導入が可能である。本反応は当初、分子内に芳香環を持つ基質にのみ適用可能であると考えられていたが、今回触媒を詳細に吟味することで、活性官能基を持たない脂肪族アルカンのすべての水素原子(C-Hが全てC-Dに変換する)並びに脂肪族アルコールのα位のみを選択的に重水素化できることを併せて見いだした。本研究ではこれらの反応を一般性ある重水素標識化法として確立するとともに、社会が必要とする重水素標識体の合成を鋭意検討する。
980 1100℃で磁器化する磁器素地の成形性の向上 新島 聖治 三重県工業研究所 河合 真 三重県工業研究所 代表研究者者は、従来の磁器よりも200℃程度低い1100℃(酸化焼成)で磁器化する素地を開発した。この素地を実用化できれば、燃料費の低減及び二酸化炭素排出量を抑制し、環境に優しい陶磁器製品が得られることが期待できる。しかし、この素地は粘土成分として可塑性の低いニュージーランドカオリンを使用しているため、素地としての可塑性がやや低く成形性が劣るといった課題がある。本研究では、各種陶磁器成形方法に適応する素地の開発を目的として、原料組成の最適化及び可塑剤添加により成形性の向上を図る。
1029 楕円振動を利用した分別搬送 栗田 裕 滋賀県立大学 安田 昌司 滋賀県立大学 楕円振動機械の水平振動と垂直振動を適切に設定することで、振動台上の物体を左右に分別することができる。これまで、84Hzに共振点をもつ楕円振動機械を用いて、摩擦係数の違いや隙間の有無により、分別搬送できることを明らかにした。本課題では、加振周波数、水平振幅、垂直振幅、位相差を自由に変えることができる楕円振動機械を製作し、種々の大きさ・形状をもつ部品の分別可能性や分別搬送最適条件を探索する。
1262 デジタル画像相関法による高精度三次元溶接固有変形同定システムの開発 柴原 正和 大阪府立大学 伊達 晴行 大阪府立大学 当研究課題では、代表研究者が独自に開発した画像処理による三次元サブピクセル変形計測法を用いて、溶接時に構造物に発生する三次元溶接固有変形(塑性歪等の永久歪の積分値)の主要4成分(縦曲り・横曲り・縦収縮・横収縮、以下、固有変形量)を、計測対象物の寸法によらず、原子炉容器・配管や船体ブロック等の大型で複雑な構造物でも簡易かつ高精度に同定する手法を開発する。
1358 大面積化・高輝度化可能な沿面放電形面発光UVランプの開発 上野 秀樹 兵庫県立大学 八束 充保 兵庫県立大学 紫外線(UV)ランプは液晶ディスプレイの表面処理、印刷、殺菌、医療装置など広く利用され、ものづくりや医療、環境分野では不可欠である。大型・大面積な新たなUVランプに対する期待は大きい。現在のUVランプは、円筒状放電管内でのグロー放電を利用しており、大面積化や面発光に対して、構造や効率など問題が多い。本試験研究では、ストライプ背後電極を利用し、面状に拡がった沿面放電を発生させた面発光を用いて大面積化・高輝度化が可能なUVランプの要素技術の開発を行い、数10mm角の均一な面発光を目指す。
1670 近傍情報を用いた複数アクチュエータの同調制御法の開発 刈谷 学 高知県工業技術センター 本川 高男 高知県工業技術センター 産業機器においてN台のアクチュエータの同調を考えた場合、あるアクチュエータは残りのN−1台との関係を考慮して制御出力を決定する必要があり、システム全体ではN×(N−1)個の関係を考慮する必要がある。これでは、アクチュエータの増加に伴い演算量が増加し、その調整則も複雑化する。応募課題では、自律分散型の制御構造を考え、各アクチュエータの制御出力を近傍の情報と自情報から決める方法を検討し、制御出力の決定の要する演算量の低減と調整則の簡単化をはかる。
1794 導電性厚膜用の新しい積層印刷技術の開発に関する研究 川原 昭彦 佐賀県窯業技術センター 安田 誠二 財団法人佐賀県地域産業支援センター 現在の厚膜印刷分野では一般にスクリーン印刷がよく用いられているが、多孔質のような軟弱層の場合、基板材料層が印圧により破損したり、凹凸パターンの精密な積層が困難とされている。本研究では、これらの問題を解決するために転写印刷による導電性厚膜の積層を行い、歪がない積層印刷条件を検討する。また、この技術を用いて作製した積層厚膜素子の温度・ガス環境変化に対する耐久性や電気化学的特性の変化を測定し、機能性厚膜素子としての評価を行う。

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 その他(ものづくり技術):8件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
430 籾殻セラミクスにより強化された成形プラスチック歯車の開発 高橋 秀雄 木更津工業高等専門学校 正木 昭弘 木更津工業高等専門学校 一般的な成形プラスチック歯車の強度向上方法は、プラスチック母材にガラス繊維などの補強材を混入させる。一方、農業副産物の籾殻は年間約260万トン排出され、この内の約90万トンは廃棄処理される。そこで、その有効利用方法がいろいろと検討されている。その中の一つに籾殻焼成体(RHSC)が有る。本研究では、このRHSCをプラスチックに混入し、成形プラスチック歯車の強度向上を図ろうと考えている。
761 座り心地予測に特化した人体モデルの開発と応用 藤巻 吾朗 岐阜県生活技術研究所 前田 喜朗 独立行政法人科学技術振興機構 家具製造業において、椅子の座り心地は製品の価値を決めるものである。従来、椅子の座り心地は職人の勘や経験に頼られていたが、職人数の減少や試作のコスト、開発にかかる期間の短縮などの理由から、座り心地を科学的に分析し、試作前段階での椅子の座り心地評価や設計へフィードバックする技術が必要となっている。そこで本研究では、その技術基盤として、着座条件に応じて姿勢や体表面の形状が変化する人体モデルの開発を行う。
868 複数の磁極部を有する高推力な電磁比例バルブアクチュエータの試作研究 近藤 尚生 豊田工業高等専門学校 橋本 正俊 豊田工業高等専門学校 油圧システムにおいて、入力電気信号に比例して油圧回路中の圧力や流量を制御する油圧比例制御弁を直動で駆動できる、小型で高推力な電磁比例バルブアクチュエータが要望されている。本研究では、複数の磁極部を有し、それらが同時に吸引力を発生することにより、従来のアクチュエータに比較して2倍以上の高い推力が得られるバルブアクチュエータを新たに考案し、試作して推力特性の評価を行い、このアクチュエータの設計法の確立を目指す。
1504 モアレ縞を用いた力可視化シールの開発 高木 健 広島大学 榧木 高男 広島大学 本研究課題では力情報を取得したいところに貼るだけで,力の情報を数字にて提示できるシールを開発する.一般に力の計測には,力が加わることによって生じる微小な変位を計測しており,提案するシールはモアレ縞を用い視覚的に変位を拡大することにより力情報を提示するものである.事前研究にて開発した力可視化メカニズムを簡素化しシールとし実用化することを目的とする.
1553 LED製品開発支援のためのLED最適配置自動計算プログラムの開発 上原 信知 阿南工業高等専門学校 宮城 勢治 阿南工業高等専門学校 現状では、LEDを用いた看板や照明において、必要とする照度に対していかにLEDを配置するかという部分は、技術者の経験と勘に頼っている。そのため、照度過多、照度不足や照度むらといった問題がおきがちである。本研究課題では、LEDの最適配置を理論的に計算で割り出す方法を確立し、配置データからCADデータを出力することでLED看板や照明の開発コストを低減することを目的とする。
1631 高機能繊維を用いた多層構造織物の開発と液体用フィルター素材への応用に関する研究 玉井 浩二 愛媛県産業技術研究所 石丸 尚志 愛媛県産業技術研究所 耐熱性・耐薬品性などに優れた各種高機能繊維の製織技術を確立し、今治タオル産地特有のタオル用二重ビーム織機を活用して開発した多層織り技術を基に、各層の密度・たて糸張力が異なる多層構造織物を開発する。実用性能として、寸法安定性・強伸度・耐薬品性などを評価し、目詰まりのしにくい液体用フィルター素材として展開する。
1697 省エネルギー型生産に適する優良菌床シイタケ菌の開発 大谷 慶人 高知大学 石塚 悟史 高知大学 元来シイタケ菌は冷涼な条件での生育に適するもので、夏場に30℃を超える高知県などの地域では栽培管理が難しい。そこで温暖な高知県などでも温度調節を必要とせず、形質、風味、味覚などの品質の優れた菌床栽培用のシイタケ菌を品種交配により作製することを目的とする。
1857 ベルト摩擦の自己締結性を利用したクラッチの開発 今戸 啓二 大分大学 鎌田 正誠 大分大学 ベルトと軸との摩擦係数に対してベルト同士の摩擦係数の小さいベルトを重ね巻きしてベルトに張力を与えると、ベルトはある条件下では自己締結状態となり軸にロックされる。このベルトの自己締結性を応用すれば、簡単な構造をしたクラッチを作ることができる。組み付け時に問題となる軸心にズレがある場合でも、ベルトの巻き付け角が自動的に変化するため、無理することなくトルク伝動可能なクラッチの開発を目指している。

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 異常自然現象発生メカニズムの研究と予測技術:5件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
412 ライフライン予防・防災システムへの適用を目指した電位観測によるリアルタイム斜面崩壊監視・予測技術の開発 服部 克巳 千葉大学 三位 信夫 千葉大学 斜面崩壊は、人命や土地家屋等の財産を一瞬にして奪い、道路・鉄道・電気・ガス・水道等のライフラインにとって脅威的な死産災害であり、地震などの地殻変動や豪雨に伴って発生することが多い。本プロジェクトでは、降雨による斜面崩壊の過程を電磁気的に把握し、地下水流動や地盤変位と斜面崩壊の関係を解明し、ライフライン予防・防災システム適用を目指した斜面崩壊のリアルタイム監視システムと予測技術の開発を実施する。
1064 地盤内の間隙水圧および間隙空気圧計測に関する研究 酒匂 一成 立命館大学 柳瀬 圭志 立命館大学 古くから、河川堤防の崩壊時に内部から気泡が発生したとの目撃情報があり、近年、間隙空気の挙動を解明することの重要性に関する議論が増えつつある。本申請課題では、間隙水圧および間隙空気圧が同時に計測できるテンシオメータを試作し、一次元カラム試験、室内土槽試験および実斜面において間隙空気圧の計測を実施する。土中の間隙空気圧の変化傾向、間隙水圧との相関関係、斜面崩壊との関係(室内土槽試験)などについて考察を行い、地盤内の水分状態の測定精度向上に生かす。
1232 超小型サーバを活用した環境情報収集および異常パターンの抽出分析システムの開発 山中 千博 大阪大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 地滑りや大地震前の前駆的な諸現象など、多様かつ異常を示す環境情報について、これを系統的に収集・分析し、災害の発生前にその前兆情報を抽出することは、学術面の興味とともに実利上からも重要な開発課題である。本研究では、認知情報の収集システムと広く分散して計測されている理化学的データを汎用的に収集できる超小型サーバーを用いた情報システムの開発を進める。また情報の確度測定や、情報の時空相関性をみる重畳処理システムの基礎開発も行なう。
34(B) ダウンバースト・鳥から航空機を守る高分解能レーダシステムの開発 鷹野 敏明 千葉大学 竹内 延夫 千葉大学 空港での霧やダウンバーストの構造と運動状態、鳥や昆虫などの大気浮遊物などを詳細に把握することは、過密な航空機の離着陸を、安全・安心かつ効率よく行なう為に不可欠である。そのため、我々が開発してきた高い感度と空間分解能を有するミリ波レーダを基礎にして、高感度高分解能かつ耐久性に優れた、霧等のモニター観測用の走査型レーダの実用化へ向けたプロトタイプを開発・研究する。
86(B) 地盤環境物理探査と赤外線計測の結合による斜面崩壊予測技術の開発 小杉 賢一朗 京都大学 門林 剛士 京都大学 豪雨時のがけ崩れや、がけ崩れを発端とする土石流の被害を軽減するには、個々の斜面の崩壊危険度と崩壊規模を予測する必要がある。本研究では、土層構造や土層内の地下水流動経路を高精度で探査する浅層地盤物理探査技術と、赤外線サーモグラフィを用いたリモートセンシング技術を組み合わせることにより、崩壊の虞のある斜面を効率よく抽出し、崩壊危険度と崩壊規模を正確に予測する技術を開発することを目的とする。

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 災害被害最小化応用技術研究:19件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
249 高靭性ハイブリッド型繊維補強セメント複合材料を用いた耐震補強要素の開発と応用 三橋 博三 東北大学 平塚 洋一 東北大学 実用性のある高靭性ハイブリッド型繊維補強セメント複合材料製造技術を確立すると共に、耐震補強要素としての応用技術を開発することを目的とする。そのために、これまでの研究で開発した既往の材料よりもコスト低減と施工性の向上をもたらす新材料の選定並びに調合の研究を実施する。合わせて、改良された材料を用いた柱部材並びに壁部材のせん断加力実験を行い、耐震補強への利用法を検討する。
320 準天頂衛星および無線メッシュLANを利用した被災情報伝送法の開発 張 勇兵 筑波大学 根本 揚水 筑波大学 本研究の目的は,大規模被災地において、準天頂衛星および無線メッシュLANを利用して、GPS機能と無線LAN機能付携帯電話をもつ被災者の情報を外部に伝送し、また、被災者の位置を把握する手段を開発することにある。ここで、GPSと互換性のある準天頂衛星補強信号を利用して被災者を無線メッシュLANへの接続を誘導し、無線メッシュLANに設置されたサーバが被災情報を管理し、かつ外部に伝送する手段を確立することを目指す。
688 微動の観測空間自己相関係数に基づく地下構造の直接探査法の開発と実用化 小嶋 啓介 福井大学 吉田 芳元 福井大学 既存の微動観測と空間自己相関法に基づく地下構造推定法は、①微動アレイ観測、②空間自己相関係数の算出、③Rayleigh波位相速度の算出、④観測位相速度をターゲットとする地下構造の同定、という4段階を要していた。本研究では、アレイ観測の主目的が地下構造評価にあるとの視点から、算出に時間を要する表面波の位相速度ではなく、観測から直接求められる空間自己相関係数を直接ターゲットとすることにより、信頼性の高い地下構造を迅速に推定できる方法を導出し、実用化する。
689 脆弱建物に取付け可能な簡易耐震補強制震壁パネルと接合部材の開発 小林 克巳 福井大学 吉田 芳元 福井大学 地震エネルギー吸収能力の高い壁パネルをプレキャスト部材として製作し、柱に袖壁として取り付け、地震応答を低減する制振構造の開発を目的としている。接合部材を介して壁パネルを袖壁として取り付けた柱試験体の加力実験を行い、壁パネルと接合部材の効果を把握する。さらに、壁パネルと接合部材の特性をモデル化して地震応答解析を行う。実験と解析の結果から本研究で提案する制振構造の有効性を示し、各種構造に適した壁パネルと接合部材の開発を目指す。
690 大地震を受ける在来軸組構法木造住宅の無損傷化を目指した応答制御システムの開発と実用的検証法の構築 石川 浩一郎 福井大学 吉田 芳元 福井大学 在来軸組構法木造住宅およびダンパー付き耐力壁を有する制震住宅は、従来の住宅の必要壁枚数を減らすことが可能である。また耐力および靭性を兼ね備えた優れた性能を保有していることを構造力学的に解明する。
本研究で提案する時刻歴応答解析による応答予測に基づき、限界耐力計算法、エネルギー法等の適用性を検討するとともに、簡略な検証法も整備する。さらに、本研究の成果に基づき実用的な計算シートを作成することも試みる。
778 土構造物(補強土)と杭基礎との新たなハイブリッド構造の開発と応用 原 隆史 岐阜大学 荒賀 年美 岐阜大学 本研究は、防災対策として用いられる補強土擁壁へ杭基礎を適用し、水平抵抗を増加することにより、さらに合理的な補強土擁壁の実現を目的とする。具体的には、杭基礎を用いることで斜面といった狭小地でも施工可能な補強土擁壁の実用化を目指し、実験でその有効性や実用性を確認し設計法を策定する。すなわち、本研究では合理的な補強土擁壁の実現から、合理的な防災対策の実現へ貢献することを目標とする。
今年度は、実験を主体とした研究を行い、設計法の素案を提案する。
787 地盤振動の検知による落石検知システムの開発 馬 貴臣 岐阜大学 竹内 正治 岐阜大学 斜面災害のうち、落石災害は突発的かつ高確率であり、時によって2次災害も伴う。落石災害を最小限に抑えるには落石検知システムの研究と開発は必要不可欠である。本研究は、落石が地盤に衝突した時の地盤振動を加速度センサーで検知する落石検知システムを開発することを目標とする。そこで、高精度地震計を用いた現場実験を実施し、落石の衝突による地盤衝動及び様々な雑振動を同時に計測し、各種振動の振動特性の解析により落石時の地盤振動の振動特性を抽出する。これに基づいて、落石時の地盤振動のみを検知する安価な加速度センサーを開発する。
882 無損傷構造を実現する機能性金属材料の複合による自己復元ダンパーの開発 後藤 芳顯 名古屋工業大学 小澤 理夫 (財)名古屋産業科学研究所 土木構造物の耐震性能向上を目的として、機能性金属材料の複合によるメンテナンスフリーの自己復元型制震ダンパーの開発を行う。本ダンパーは、地震時の繰り返し荷重に対する耐劣化性を持つエネルギ吸収材料と地震後の残留変形を抑制する自己復元材料からなる。制震ダンパーのプロトタイプを製作し構造の妥当性と力学特性を実験的に検証するとともに、地震時終局挙動予測解析により構造全体系レベルでの制震性能を確認する。
966 木造住宅のリアルタイム応急危険度判定システムの開発 古川 忠稔 名古屋大学 野崎 彰子 名古屋大学 日本各地の人口密集地域では、木造住宅が巨大地震発生時に被害を受け、住民は公共施設に避難するが、収容人数は住民数に対して圧倒的に不足している。そこで建物応急危険度判定を地震発生後速やかに実施し、倒壊の危険がある住居の住民のみを収容する仕組みを構築せねばならない。
現状では、木造住宅の応急危険度判定は専門家の目視で行われ、巨大地震発生後は十分に機能できない。本応募はこの問題を解決するため、開発中の可変振り子センサをベースに可搬型の応急危険度判定システムを開発するものである。
1063 津波に対する橋梁の安全性確保を目的とした高度数値解析技術の開発 伊津野 和行 立命館大学 柳瀬 圭志 立命館大学 数年前のスマトラ沖地震による津波では、多くの橋梁が流失した。日本でも近い将来に発生が危惧される海洋型地震では大きな津波が発生すると予想される。橋梁は都市のライフラインを構成する重要な構造物であり、災害後の復旧を考えても津波による被害は避けなければならない。本応募課題では、橋梁に作用する津波の力を精度よくかつ効率的に解析する手法を開発することによって、災害被害を最小化することに寄与することを目指す。
1198 初期変位付与型TMDを用いた建築構造の振動制御 吉中 進 大阪市立大学 堀部 秀雄 大阪市立大学 地震が多発する今日、高層建物や戸建て木造住宅などでは安価で簡易な制振技術が求められている。本課題は、通常のTMDが苦手とする過渡応答初期の制振効果を向上させるために、初期変位を付与したTMDを新たに提案し、その設計法を確立するための基礎的な検討を行うものである。具体的には、まず1自由度系の基本モデルを用いて衝撃力を対象外力とし、設計パラメーターや初期変位の大きさと制振効果の関係などの基本原理を解析的に検討し、設計式を提案する。次に提案した設計式を用いて衝撃的な地震力に対する制振効果を確認する。必要に応じて簡易な模型実験を行う予定である。
1272 ノズル加圧噴霧法により生成した帯電水ミストによる火炎抑制の評価 足立 元明 大阪府立大学 亀井 政之 大阪府立大学 現在、初期消火は、スプリンクラーによる大量の水や化学薬剤の散布あるいは不活性ガスの放出により、行われている。しかし、パーソナルコンピュータなどの情報機器がオフィスに普及した今、従来の消火法は、これら情報機器に大きなダメージを与え、また、不活性ガスは吸引した人に健康被害を与えるなどの問題を持つ。これら問題を解決するために、極微小の帯電水ミストによる初期消火技術の開発を目指す。
1332 波動・破壊力学に基づいた実用的な構造物爆破解析手法の開発 上西 幸司 神戸大学 中井 哲男 神戸大学 意図、もしくは意図せぬ爆破により発生する構造物の衝撃的な変形や破壊は一秒にも満たない短時間で起こり、その詳細については肉眼で追うことは決してできない。さらに、昨今の世界事情を鑑みれば、甚大な人的・物的被害をもたらしうる上記物理現象を定量的に解析するツール(ソフトウェア)を開発することが急務であると考えられる。本研究で行う、確固とした基礎物理理論に基づいたツールの開発は我々の日常生活そのものの安全・安心を守るためにきわめて重要である。
1340 高減衰型粘弾性ダンパーを用いたRC造校舎の耐震改修 藤谷 秀雄 神戸大学 熱田 稔雄 兵庫県立工業技術センター 学校校舎の耐震改修において、高性能で低コストの耐震改修技術が期待されている。本課題では、エネルギー吸収装置の1つである粘弾性ダンパーの中でも特に減衰性能の高いものを使用して、鉄筋コンクリート造(RC造)の校舎を耐震改修する技術の実用化を図るものである。その耐震改修の効果を構造耐震指標(Is値)によって表現できる評価方法を開発し、耐震改修実務に使用できることを目的としている。
1351 災害時要援護者避難支援システムの開発 有馬 昌宏 兵庫県立大学 瀧澤 精一 兵庫県立大学 高齢者や要介護度3以上の介護保険受給者などの災害時要援護者の避難所への避難支援に関して、①避難所への避難完了確認、②避難未完了者の安否確認、を迅速かつ効果的に行うためのICTを応用した情報システムを構築する。基礎となる技術は、1)個人識別のための2次元バーコード、2)コードの携帯電話への個別配信、3)地理情報システムによる要援護者の位置確認、の3つである。災害接近あるいは災害発生時に、要援護者の避難完了をリアルタイムに把握し、避難所入所手続きを簡略化し、未避難者の所在と安否確認を支援するシステムを構築する。
1384 不安定な通信状況における防災情報共有技術の開発と応用 塚田 晃司 和歌山大学 湯崎 真梨子 和歌山大学 災害時の山間部の通信孤立対策には無線アドホックネットワークを用いるアプローチがあるが、無線通信は不安定であるという問題点がある。本課題では、無線通信の不安定さを前提とし、そのような状況下でも効率の良い情報配信方式の開発と小型情報配信端末への応用を図る。実現手段には幾つかのアプローチがあるが、それらのいずれが災害時に有効か明らかではない。そこで、シミュレーション評価とプロトタイプシステムによる実機評価を行う。
1684 土佐漆喰壁の耐震性能評価 村本 真 高知工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 高知県において発展してきた土佐漆喰壁を耐震要素として用いることを目標に、耐力評価のための繰り返し載荷実験を行う。土佐漆喰壁はその構築方法も様々であり、それらの耐力性能についても調査が必要である。伝統技術である土佐漆喰壁の積極的な利用を推進するためにも基礎的な実験データの蓄積が必要である。本研究では、まず土佐漆喰壁の耐力評価を目標とし、次に荷重変形関係のモデル化を検討する。
1781 超音波を利用した送電線監視装置の実用化開発研究 谷口 泰敏 福岡工業大学 宮崎 賢 福岡工業大学 このシステムは、送電線上に設置した超音波の発・受信用の子機により、子機間で捕捉した送電線上のキズ等の測定結果を、地上の親機に無線で送信するしくみである。親機1台で数百基の子機を制御する。また送電状態の送電線を使用するため、他に電源を必要とせず電池レスで、しかも高度な絶縁対策が不要という特徴を持っている。管轄する送電線すべての監視を一ヶ所で行うことが可能である。
79(B) 災害予知を目的とした超音波による地中水分水位モニタリングの実用化研究 深川 良一 立命館大学 柳瀬 圭志 立命館大学 降雨による地盤崩壊の予知システムでは、降雨量と併せて地中の水分・水位のモニタリングが重要である。これまでに超音波を用いた非接触計測によるモニタリング法を提案した。これを発展させて野外における多地点モニタリングシステムとしての実用化を図るために、野外計測システムの構築とその実証試験を行う。この方法は地中の水分と地下水位の両方を一台の検出器で計測できる利点があり、また素子も安価であるため広域の多地点モニタリングに適している。

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 超高度防災支援システム:3件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
771 市町村レベルの詳細地震被害想定システムの開発 久世 益充 岐阜大学 安井 秀夫 岐阜大学 将来発生する地震を想定し、その被害程度を予測するには、想定地震の選定、地域の表層地盤データベースの整備、地震動のシミュレーション、各種被害の予測など、多くの作業が必要である。さらに、防災担当者や地域住民が有用な情報となるよう、想定結果に避難所などの情報を加えた地震防災マップを作成する必要がある。そこで市町村レベルの詳細な地震防災マップの作成を目的に、地域の基礎的な情報のデータベース化と、シミュレーションやマップ表示が可能なシステム開発を行うものである。
1097 地域防災システム構築に向けた都市地盤の三次元地下構造モデル構築スキームの開発 三村 衛 京都大学 佐竹 星爾 関西ティー・エル・オー株式会社 都市部に存在する大量のボーリング調査による地下のデータをデータベース化し,これに基づいた都市地盤の三次元構造モデルを構築するスキームを開発する。本研究では,地質,地形,工学といった異なる学問領域を融合した学際的研究を行い,地下構造の影響を考慮した地盤の強震動のゾーニング,地盤沈下の発生ポイントと長期予測,詳細な液状化被害マップの作成を介して,都市地盤の災害ポテンシャル評価ときめ細かい地域防災計画を行うことを目的とする。
1610 Web-DB連携サーバーを用いた中小企業のBCP策定支援システムの開発 白木 渡 香川大学 倉増 敬三郎 香川大学 地震やテロ等の不測の事態においても、企業が中核となる事業の継続を可能とするためには、緊急時対策方法や手段を取り決めておく事業継続計画(BCP)の策定が必要である。本研究では、危機管理対策に専任の人材を確保できずその対応が遅れている中小企業のために、ウェッブ(Web)とデーターベース(DB)の2つの機能を有するサーバーを構築し、対話型で容易にBCPを構築・活用できる支援システムを構築する。

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 事故対策技術:11件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
302 自動車へ救急機能を搭載するための新しい救命アルゴリズム 西本 哲也 日本大学 松岡 義人 日本大学 現状の自動車交通事故における救急活動では、交通事故の覚知から救助、治療までに時間的ロスを生じており、また正確な事故情報が医師に伝達されにくいため、防ぎ得る交通事故死亡者が存在している。そこで本研究では、救命救急センターで収集された交通事故データの解析を行い、衝撃加速度の大きさ、衝突入力方向、予測される傷害の大きさを知らせる機能を自動車へ搭載するための予測アルゴリズムを開発する。そして、傷害予測アルゴリズムを救急救命ドライブレコーダへ搭載することで被害者の早期救済を目指す。
429 レール状態診断装置 綱島 均 日本大学 渡辺 麻裕 日本大学 レール状態の定期的な診断は、鉄道の安全性を確保するため重要である。特に、地方路線では経済的な問題から十分な保守がおこなわれていないため、放置すれば重大な事故に直結する可能性があり、早急な対策が求められている。本研究では、営業車両で検出した動揺や騒音からレールの状態を診断する装置を製作し、レールの保守が十分行われていない複数の地方路線を対象として検証実験を行い、装置の有効性を検証し実用化する。
500 荷重制御アタッチメントを適用したCFRP実機構造の衝突エネルギー吸収 上田 政人 日本大学 渡辺 麻裕 日本大学 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を用いた衝突エネルギー吸収材に対する荷重制御アタッチメントの有効性を、衝撃圧縮試験によって実証する。本アタッチメントを装着することにより、形状や積層構成に関係なく、CFRPのエネルギー吸収能力を任意に制御できることを示し、実機構造への有効性を明確にする。以上により、CFRP構造の衝突安全に対する新しい設計指針を提案する。
691 路線滑り摩擦係数予測手法の開発と精度検証 藤本 明宏 福井大学 吉田 芳元 福井大学 本研究では、冬期道路の交通安全性の確保と冬期道路管理の適正化を支援するツールとして、空間的・時間的に変化する路面滑り摩擦係数(μ)を予測するモデル(路線μ予測モデル)の開発を行う。
本課題では、モデルの予測範囲を従来の点から線へ拡張させるためのアルゴリズムを構築するとともに、野外試験で得られる路面温度およびμの路線分布との比較から路線μ予測モデルの的中率を検証する。
716 ヘリウムガスによる自然循環流のパッシブ制御法の開発 武田 哲明 山梨大学 還田 隆 山梨大学 逆U字型またはループ型の流路で構成される一方の流路を加熱することによって発生する特定気体の自然循環流を、ヘリウムガスを一定量もしくは連続的に受動的な方法で注入することにより停止させ、流量を制御する方法の開発に関するものである。本課題では、自然循環流の流動・制御特性を調べ、受動的な自然循環流制御方法の開発に目処をつけ、工業プラントでの異常事象時における受動的安全設備の開発に役立てる。
766 ボルト締結体の緩み評価診断を目的としたスマートワッシャの開発 奥川 雅之 愛知工業大学 杉山 正晴 岐阜工業高等専門学校 現在、ボルト締結部の緩み評価および診断は、検査者が計測器を使いボルト毎に実施されている。しかし、人件費や効率的な問題からほとんど行われていない。本課題の目的は、自己励振および自己測定が可能な知的化されたワッシャによるボルト締結部の緩み評価診断の実現である。具体的には、実環境実験を通して、緩み検知感度の向上や汎用性、耐環境・耐久性等を評価し、実用化技術の確立を目指す。
881 安全な交差点車両走行を支援するカウントダウン情報システム開発 藤田 素弘 名古屋工業大学 小澤 理夫 (財)名古屋産業科学研究所 カウントダウン情報とは、車両用信号機の青黄赤の切り替わりまでの秒数を様々な方法で情報提供するものである。信号交差点では事故が多発しているが、本研究では、この情報が無い状態よりも、有る状態の方がより安全性が高まる車両用信号機用のカウントダウンシステムについて検討する。よって、車両挙動調査や試験走行実験を通して分析検討し、カウントダウン情報の制御方法など、より安全になる新たな情報提供システムの構築を目指す。
896 切土および掘削地盤の合理的な健全性診断と対策工決定法の開発 中井 照夫 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 社会基盤整備でしばしば行われる地盤の掘削を伴う切土工事では、施工時だけでなく工事完了後も構造物および地山の安定性が確保される必要がある。本課題では、地盤の力学挙動を適切に表せる構成モデルを用いた応力・変形解析法と原地盤のリアルタイム且つ高精度な3次元変位計測法を組み合わせることにより、切土および掘削地盤の短期および長期的な変形・安定性を診断し、その対策工も合理的に判断できるシステム開発する。
904 運転者の心拍・呼吸を用いた自動車運転時覚醒度維持・向上システムの開発 横山 清子 名古屋市立大学 片山 恵美子 名古屋市立大学 心拍や呼吸など自動車運転中での測定可能性を持つ生体信号を用いて運転者の眠気度を推定し、覚醒度低下検出時に覚醒度を高めるため、運転者自身の生体信号から作成した振動や圧力刺激を車のシート、ハンドル等から伝達する覚醒度維持・向上システムの開発を行う。
目的は、①心拍と呼吸を用い連続的に眠気度を推定する数理モデルの作成と、②心拍と呼吸を利用し、運転を妨げずまた負担が少なく快適に覚醒度が向上できる刺激の生成とその効果評価である。
1484 動揺データに基づく航行船舶の復原性判定システムの開発 寺田 大介 広島商船高等専門学校 長谷川 尚道 広島商船高等専門学校 航行船舶の転覆は重心上メタセンタ高さ(GM)が負になることによって生じる。これを防止するためには、船舶の動揺を計測し、そのデータの時系列解析を実施することによってGMを推定し、GMが変動しない針路・速力での操船を航海士が実施すれば良い。そのためには、研究代表者が開発した時系列解析による船舶の動揺パラメータの直接推定法を応用すれば良い。本課題では、実船実験などの実施により、動揺データに基づく復原性判定システムの開発の目途をつける。
1550 屋根仮設作業の作業性を改善する従来比1/4軽量化足場板の開発 原 隆 徳山工業高等専門学校 加治 哲徳 徳山工業高等専門学校 本課題では、凹凸のある屋根材(例:波板)専用の、軽量(従来比1/4目標)で、作業性がよく移動可能で絶縁性の足場板を開発する。GFRPの板厚と折れ板形状、発泡材の充填率をパラメータとし、強度と軽量化を共に満足できる最適な組み合わせを数値解析により分析し実験的に検証する。その後、軽量足場板を開発し、実証試験により特性を定量的に確認する。この軽量足場板は一般的な仮設材として転用可能で、仮設作業の省力・安全性・信頼性に寄与できる。

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 社会基盤の劣化対策:15件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
77 画像解析による道路区画塗り直し診断システムの開発 亀山 修一 北海道工業大学 鴨田 秀一 北海道立工業試験場 北海道では、除雪作業等によって道路区画線が損傷するため、毎年、区画線の塗り直しに約20億円を費やしている。本研究では、走行車両に設置したカメラによって20m間隔で撮影した画像から区画線の損傷度を連続的に求める手法を確立するとともに、WEBアンケート調査によって道路利用者の要求水準を明らかにし、区画線の塗り直しを診断するシステムを開発する。
219 コンクリートに埋め込めるマイクロ磁気センサを用いた配線フリー振動診断ユニットの開発 芳賀 昭 東北学院大学 村上 雄一 (財)仙台市産業振興事業団 地下構造の振動の測定や超高層建築物、橋などに多数の振動計を設置しモード測定を行い、地下鉄振動や風や地盤振動の影響、地震後の変形を診断するために、小型軽量な磁気センサをコンクリート内に埋め込み、振動情報を磁気信号の変化として捉える。また無線により振動信号の送信を行うとともに、無接点電力伝送による電力供給が可能な、磁気センサを用いた配線フリー振動診断ユニットを開発する。
422 高精度3次元画像変位計測を用いた社会インフラ保全センシング技術の開発 新津 靖 東京電機大学 小松原 進 東京電機大学 本研究では建造物の3次元的変形を精密に計測し長期間記録する技術を開発する。さらに、鉄道橋を対象に実際に3次元計測を行い、電車の通過や風、地震などにより鉄橋に加わる負荷と変形の関係を調査する。その成果をもとに、3次元精密画像計測技術を、建造物の補強や建て替えの必要性の有無、余寿命の評価、劣化箇所の同定などを可能な計測技術にすることが目的である。
444 CFRP板接着による疲労き裂補修のための表面処理方法とストップホールの穿孔条件 中村 一史 首都大学東京 国府 勝郎 首都大学東京 本研究は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)板の接着による疲労き裂の補修工法の実用化へ向けた設計資料を得ることを目的としたものである。まず、鋼部材の素地調整が接着の品質に大きな影響を及ぼすことから、現場の施工性を考慮した具体的な表面処理方法を実験的に検討する。さらに、従来工法であるストップホール法にCFRP板接着工法を併用した場合におけるストップホールの穿孔条件や、疲労耐久性を明らかにする。
581 シールドテール内グリス流動抵抗把握によるシールドトンネル長期耐久性の向上 杉本 光隆 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 シールドトンネルの長期耐久性に支配的な影響を与える覆工の損傷(ひび割れ,欠け等)は、掘進中にシールド機と覆工が直接接触したり、両者の間に介在する止水用グリスがワイヤブラシ内で圧縮されたりすることが主な原因であると推定される。そこで、本課題では、ワイヤブラシとグリスを用いた要素実験を実施し、地下水圧・テールクリアランスと、ワイヤブラシを透過するグリスの流動抵抗、発生するグリス圧の関係を定量的に明らかにする。
701 アラミドロッドユニット筋を用いた高性能・高耐久住宅用布基礎の開発 磯 雅人 福井大学 蓑輪 泰造 福井大学 近年、性能設計の導入や住宅の品確法の施行により、高性能・高耐久な住宅用布基礎の開発が求められている。本研究では住宅用布基礎を高耐久化させるために、鉄筋の代替としてアラミドロッドを使用する。また、施工を合理化し、高精度とするため、アラミドロッドの主筋とせん断補強筋を工場でユニット化させる。以上、本研究では、住宅用布基礎の補強材となる「アラミドロッドユニット筋」を開発し、それらを住宅用布基礎に適用するための設計手法を開発する。
835 溶解性アルミ含有物質を用いたアルカリ骨材反応の抑制方法の開発 岩月 栄治 愛知工業大学 熊沢 英博 愛知工業大学 本課題は、コンクリートにひび割れを発生させるアルカリ骨材反応の容易な抑制方法を開発にするために実施する。現在の抑制方法は高炉水砕スラグ粉末やフライアッシュなどをセメントに大量に混合するため、様々な問題があり、あまり普及していない。よって薬品などを少量添加するような容易な抑制手法の開発が望まれている。実験では数種類の溶解性アルミ含有物をセメントモルタルに添加して抑制効果を調べる。そして、抑制効果とそのメカニズムを検討し、抑制剤として最適なアルミ含有物質を選定する。
1032 AAF方式による大規模構造物の自動き裂検出システムの開発 日下 貴之 立命館大学 服部 華代 立命館大学 近年,経年劣化や使用環境の変化に伴って,インフラ構造物の維持・管理の重要性がクローズアップされている.このことから,研究代表者らは,コンクリート構造物に発生するき裂をリアルタイムに監視する技術を開発し,その有用性を立証した.しかし,実用に供するためには,広範な領域を迅速に監視することが不可欠であり,その点において,開発したシステムは不完全なものであるという認識を持っている.そこで,本研究では,AAF(Auto Area Focusing)という新技術(き裂が発生しそうな領域を自動判別し詳細診断する技術)を提案し,大規模コンクリート構造物のき裂発生・成長を高効率かつ高精度に監視できるシステムの開発を目指す.
1061 EPMAによるコンクリート構造物の高精度な劣化予測手法の確立 水田 真紀 立命館大学 柳瀬 圭志 立命館大学 本研究は既存ストックを長期供用していくことで環境保全に寄与することを目的とし、コンクリート構造物の劣化進行を高精度で予測できる手法の確立を目指す。①微小範囲(□100μm以下)の元素分析、②定量分析、③面分析を可能とする、X線分析の一つであるEPMAでは、ミクロな分析を得意とする半面、コンクリートのような不均質材料に適用する場合、分析範囲の決定や結果から構造全体の状態を推定し、将来を予測する手法の確立が課題であった。そこで、統計解析を取り入れた理論展開からコンクリートに適した分析範囲を決定し、高精度な劣化予測手法を提案する。
1247 橋梁用小型レーザピーニング装置開発のための最適ピーニング条件の検討 崎野 良比呂 大阪大学 武井 廣見 独立行政法人科学技術振興機構 近年、鋼橋に予想を遙かに超えた数と長さのき裂が見つかり、疲労強度強化の重要性が広く認識されている。研究代表者は疲労強度向上手法として、表面に圧縮の残留応力を生成させることにより疲労強度の向上を図るレーザピーニングに注目した。本研究の目的は、鋼橋溶接部に対するレーザピーニングの最適なピーニング条件を明らかにすることである。よりレーザ出力の小さな条件が明らかになると、小型軽量な橋梁用レーザピーニング装置が開発できる。
1319 常温から高温域のアスファルト混合物の耐流動性評価に関する研究 吉田 信之 神戸大学 西原 圭志 神戸大学 本課題では、アスファルト混合物の耐流動性を常温から60℃程度の温度領域で評価する方法を開発することを目的とする。アスファルト混合物の供試体を繰返しねじるときの応答にもとづいて耐流動性を評価する方法を提案する。さらに、代表的な数種類のアスファルト混合物の耐流動性の評価を行ない、評価方法の感度について検討する。なお、試験装置は代表研究者がこれまで試作してきた装置を改良して用いる。
1399 簡易材質診断法による緑化樹木等の危険木診断技術の開発 陶山 大志 島根県中山間地域研究センター 生田 祐介 島根県中山間地域研究センター 街路樹・公園木等では腐朽菌などによって空洞化した樹木が倒木し、人身・物損事故が問題になっている。我々はこのような危険木を、打撃音(共振周波数)を指標として簡易かつ非破壊に診断する技術の開発を進めてきた。しかし、樹形が複雑な木では打撃音にノイズ周波数が発生し、誤診断を招く要因となっていた。そこで、本研究では振動シミュレーションを行なって、ノイズ除去フィルター(プログラム)を考案し、またその検証を野外で行なう。
1642 即発γ線を用いたコンクリート構造物の耐久性能診断手法の開発 岡崎 慎一郎 愛媛大学 瀬野 英二 愛媛大学 都市基盤を形成する既設のコンクリート構造物の耐久性能診断の重要性は現在高まる一方であり、非破壊検査のハード面は充実しつつあるものの、検査結果の有用な活用ができていない。これは、各種検査結果は、コンクリートのわずかな含水率の違いに大きく影響を受けることによる。本申請では、即発γ線を用いたコンクリート構造物の耐久性能診断手法の開発を行い、含水の影響を排除した計測手法の実現を目指す。この手法は透過性にも優れているため、表層と内部で大きく品質の異なるコンクリート構造物への適用に優れており、実用化すれば構造物の耐久性能診断の大きな進歩となりうる。
1813 ボルト接合による冷間成形角形鋼管柱の局部座屈拘束方法の開発 安井 信行 長崎総合科学大学 山中 孝友 長崎総合科学大学 本研究は,角形鋼管柱に発生する局部座屈を拘束することにより,柱耐力を高めて建物全体の耐震性能を向上させるための具体的補強方法と,その補強による効果を部材レベルの実験と建物全体の地震応答解析によって検証する.補強によって高められた柱の耐力が,中低層鉄骨造建物の耐震性能を向上させていることを検証する地震応答解析を行う.この解析により,補強度合いが建物の耐震安全性に与える影響を明らかにし,適切な補強量を明示する。
1861 改質石炭灰を活用した高耐久補修材料の開発 佐藤 嘉昭 大分大学 小林 茂 大分大学 平均粒径が3〜5μmのJIST種相当(JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」)の微粒子の改質石炭灰CfFA(Carbon-free Fly Ash)の用途開発の一環として、CfFAにコンクリートスラッジを乾燥・微粉砕処理して得られる微粉砕乾燥スラッジ(PDS、平均粒径3μm)や高炉スラグ微粉末(BFS、平均粒径3μm)などを適切に組み合わせたコンクリート用補修材料の可能性を探る。

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 有害危険・危惧物質等安全対策:6件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
43 廃棄物処分場温度による温暖化ガス発生予測手法と排出削減シナリオの構築 吉田 英樹 室蘭工業大学 朝日 秀定 室蘭工業大学 廃棄物最終処分場から発生する地球温暖化ガス発生量予測を表面温度を用いて行い、ガス発生削減及び回収のシナリオを構築することを目的としている。表面温度とガス濃度に関する現場観測及び数値シミュレーションを通じて、表面温度から地球温暖化ガス発生量の大きいエリアを特定し、ガス抜き管設置による地球温暖化ガス排出削減及びエネルギー利用も可能なメタンガス回収のシナリオを構築し、その評価を行えるようにする。
508 アスベスト飛散防止剤の開発 本田 清 横浜国立大学 西川 羚二 横浜国立大学 アスベストは優れた特性を有することから古くから様々な分野で用いられてきた。しかし、悪性中皮腫などの健康被害を引き起こし、使用禁止の措置がとられている。無害化の方法としては、高温での溶融法のみが知られている。年間100万トンを処理するには規模的に不可能であり、大量に処理出来る方法と技術が渇望され、本課題はアスベスト及びアスベスト含有スレートを容易に非繊維化及び非飛散化することを目的とする。
521 長距離音響発生装置を用いた極浅層地中探査システムの開発と応用 杉本 恒美 桐蔭横浜大学 寺内 隆道 桐蔭横浜大学 遠方特定領域に音響振動を伝えることができる長距離音響発生装置と高感度のレーザードップラ振動計を組み合わせることにより、極浅層地中(深さ15cm程度以内)に存在する小型埋設物を非接触かつ広範囲(数m〜10数m)で探査可能なシステムの開発が目的。広域探査用として、探査映像化可能な埋設深度、大きさおよび形状について実験的検討を加えた上で実用的な探査システムとして運用できるかどうかについて評価を行なう。
864 室内環境において微生物(菌、細菌類)を簡単・高速・高精度に計測できる装置の開発 安田 八郎 豊橋技術科学大学 野中 尋史 豊橋技術科学大学 短時間で精度よく微生物による室内汚染状況が把握できるシステムの構築を行う。ウイルスから細菌、カビ胞子、花粉にいたるまで、すべてのバイオパーティクルが核酸を持っていることに着目し、核酸の検出による計測技術を開発してきた。具体的には、電気集塵による微粒子の捕集、放電プラズマによる微粒子の破壊と核酸の抽出、電気泳動による核酸のテープ表面への固定、核酸の蛍光染色と計数を行うものである。本研究では、この手法を実用化するため、簡単、短時間、正確に微生物汚染状況を把握する小型計測システムの開発を行う。
925 超音波キャビテーションを利用した殺菌システムの開発 香田 忍 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 水あるいは水溶液に超音波を照射したときに発生するキャビテーションに由来する高温・高圧反応場を利用した超音波殺菌法は、環境の観点から、塩素等薬品を必要とせずかつ暗所で利用可能な新しい方法である。本研究課題では、高い殺菌効果を示す500kHzの高周波数の超音波を利用したプロトタイプの流通型超音波殺菌装置を試作し、効率的な殺菌効果を示す超音波照射条件(強度、照射方法、液流速)を明らかにする。
1337 環境保全技術としての抗生物質の磁気分離法の開発 井原 一高 神戸大学 柘原 岳人 神戸大学 抗生物質は人間への投与だけではなく、畜産業においては家畜の治療・予防等にも広く使われている。しかし、薬剤が代謝分解されず廃棄物を通じて環境への拡散が懸念されている。本研究では、環境保全技術としての抗生物質の磁気分離法の開発を行うものである。抗生物質の磁性は小さく、そのままでは磁気力による分離除去は困難である。そこで、多くの抗生物質が金属錯体を生成しやすい性質を活用し、電気化学反応による磁気シーディング法の開発を行う。

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 自然と共生した美しい生活空間の再構築:6件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
405 森林浴効果が期待される病院屋上森林の開発 朴 範鎭 千葉大学 中島 康彦 (財)千葉県産業振興センター 本研究の目的は要介護者ならびに入院患者の生活の質を改善するため、生理的リラックス効果を有する病院屋上森林を開発することである。要介護者は病院という閉鎖的な空間で生活するため、精神的・生理的な活動が低下して生活意欲の減退が見られる。本研究においては生理指標(心拍変動性、心拍数、血圧、唾液中アミラーゼ活性)を用いて、病院屋上森林の効果を明らかにし、要介護者ならびに入院患者の生活の質の改善を目指す。
871 材料強度試験に基づいた土壁耐力推定技術の開発 山田 耕司 豊田工業高等専門学校 橋本 正俊 豊田工業高等専門学校 伝統木造構造は、土と木を用いた日本に根ざした環境負荷の小さい建築技術である。その耐震性能は、土壁の寄与が大きい。しかし、土壁の耐震性能は、壁土性能、土壁構成技術の地域性により、大きく異なるが、全国一律の強度が法律で定められており、壁土性能などを考慮されていない。そこで、本研究では、壁土強度から土壁の耐震性能予測技術を開発することを目的とし、異なる強度の壁土を用いた土壁を製作実験することにより、その予測技術の精度を検証する。
1176 下水汚泥焼却灰のコンクリートへの有効利用用途開発と環境への影響評価 鶴田 浩章 関西大学 松井 由樹 関西大学 本研究は、下水汚泥焼却灰を使用したコンクリートの特徴を利用して、自然との共生が可能な用途を開発し、さらにそれらからの有害物の溶出性状を明確にしようとするものである。年々増加する下水汚泥は、将来的に埋立量をさらに削減するために新たな用途開発を望まれている。また、関西地区は海砂の採取規制の影響で、良質の細骨材の確保が困難になる可能性がある。そこで、下水汚泥焼却灰を細骨材の一部として利用し、新たな用途開発と懸念されている環境への影響について検討することとした。
1352 海岸・河川砂の浄化に用いる固液ジェットポンプの性能評価・開発 伊藤 和宏 兵庫県立大学 瀧澤 精一 兵庫県立大学 重油汚染や、漂着ごみ等による重金属類汚染から海岸・河川の砂を浄化し、速やかに生態系を再生することを目標とし、ジェットポンプを用いて汚染砂を大量に吸引し、洗浄するシステムの開発を行う。固液二相流のジェットポンプ特性は明らかにされていないため、幾つかのポンプ形状に対して、粒径等の異なる様々な砂を吸引させた場合の性能を明らかにし、単相流に対する設計式と比較することにより、環境浄化装置の設計指針を得る。
1900 自然との親和性に優れた高剛性・高耐力・高エネルギー吸収型の木造ラーメンの開発 塩屋 晋一 鹿児島大学 中武 貞文 鹿児島大学 大断面集成材を用いる木造建築を対象にし、高い水平剛性と水平耐力および豊富なエネルギー吸収性能を発揮する木造剛節ラーメン構造を実現する目的で、柱と梁の剛接合方法、部材の補強方法および設計方法に関する技術の開発を目指している。
今回の研究ではこれまで開発してき接合方法を実用化に向けて、製造加工過程での省力化を目的とする接合部の合理化と、力学的性能の向上をはかる改良方法の検証試験を行い、設計方法を整備する。
87(B) 圧縮木材製接合具を用いた高剛性・高靱性な木質ラーメン架構の開発 小松 幸平 京都大学 笹田 滋 独立行政法人科学技術振興機構 「引きボルト接合法」は低コストかつ施工容易であるが、座金部分のめり込み変形が大きく、剛性が低いことが大きな欠点である。本課題では、「圧縮木材製楔」を座金部分に挿入することによって、初期剛性と、靱性を向上させることが可能で、新築・中古住宅、あるいは、戸建て住宅・文化財建築等を問わず、最小限の加工で、現場施工可能な低コスト・性能向上が大幅に期待できる引きボルト式ラーメン架構を提案する。

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 広域地域研究:2件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
60 オーガニック畜養システムを用いた流氷接岸期におけるオホーツク産魚介類の地場活用 松原 創 東京農業大学 西澤 信 東京農業大学 オホーツク海沿岸地域では流氷接岸期に観光客の入り込みが最も多くなるが、この時期は出漁できないためどの店にも名物である地場産鮮魚が並ばない。観光客や地元住民にこの時期に望むことをアンケートしたところ、「地場産鮮魚を食べる」であった。そこで本研究ではサケ漁等で混獲された未利用魚類を研究者が開発した水圏生物では初であるオーガニックな畜養法で長期飼育し、流氷接岸期に地場への活魚提供を試みる。
793 実用的な外出時の服装に関する生活気象情報提供システムの開発 石井 仁 岐阜大学 馬場 大輔 岐阜大学 生活に根ざした気象情報として外出時の服装に関する情報を提供することは、健康な生活を送るうえで有用である。そのためには人間と屋外環境との熱収支に関与する都市気候特性を考慮して情報を数量化することが不可欠である。そこで本課題は、実用的な外出時の服装に関する生活気象情報を提供することを目指し、都市気候の実測結果から気候特性を分析して都市密度による類型化を行い、それらを考慮したアルゴリズムを構築する。

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 水循環系健全化・総合水管理:7件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
33 農業用水の地下かんがいシステム用簡易流量測定装置の開発 大平 勇一 室蘭工業大学 加賀 壽 室蘭工業大学 国営農地再編整備事業等により広域にわたる計画的な農業生産基盤の整備が進められているが、地下かんがいシステムの機能を最大限引き出すには、流量測定が不可欠である。これまでに見出された理論に基づく測定装置を設計・作製し、流量測定試験を行い、実験室レベルの試験で基本性能に関する評価試験を行う。さらに現地試験を行い、スケールアップ時の理論補正を行う。
590 機能遺伝子のmRNAを標的とした脱窒素細菌群の網羅的検出技術の開発 荒木 信夫 長岡工業高等専門学校 友野 健士 (財)にいがた産業創造機構 本研究では、脱窒素細菌群が共通して保有する脱窒素反応機能遺伝子のmRNA を標的とした蛍光検出法を開発することにより、処理プロセス内の活性汚泥から脱窒素機能を発揮している細菌群を、細胞を破壊することなく、かつin-situ で、網羅して検出する技術を開発する。
674 有機色素クラスター形成による高効率金属検出−凝集技術の開発 松井 栄樹 福井工業高等専門学校 奥野 信男 福井大学 重金属類はプラスチックおよび化学製品生産時の触媒として広く活用され、凝集沈殿法、樹脂吸着法等による回収が行われている。福井県の基幹産業である繊維業界でも、PET製造時の触媒や難燃助剤として、要監視項目に区分される強い毒性を持つアンチモン化合物を用いており、ICP法に代わる、迅速・簡便・低コストで判定できる検出法と有効な回収法の開発が重要な課題である。そこで、有機色素の金属原子を取り込んだクラスター形成による重金属イオン検出と凝集を達成し、高効率の検出−凝集技術の開発を行う。
732 地下水流動経路分離型年代測定法の開発 中屋 眞司 信州大学 宮坂 秀明 信州大学 複数の井戸水の化学分析から、都市域の地下水の流動経路を探索し、流れの移動・滞留時間や流動履歴を高精度で測定する方法を開発する。汚染対策、水資源の利用、工事による流動阻害対策、地下水管理などに適用する。ガスクロマトグラフを改良し、水中のCFC類の濃度を測定し、ヘンリーの法則を用いてCFC類の濃度を大気条件に換算し、大気中の過去のCFC濃度-時間記録と地下水流動経路分離技術を組み合わせて構築する。
733 振動波を用いたアオコ駆除方法の開発 朴 虎東 信州大学 山崎 淑夫 信州大学 外乱の影響を排除した小規模の室内実験(低周振動波)でアオコの原因藍藻類の生長を抑制するメカニズムを明らかにする。 その結果に基づき、小型実験機を水槽等に設置して操作条件等を調整し、効果を確認する。次いで、中規模用の振動発生実験機の試作と条件出し振動波発生装置を湖沼で使用できる大きさに製作した場合に室内実験結果と同じ結果を得られるように装置の規模と作用を調整する。
1887 超微細気泡と高濃度酸素水による湖沼の大規模水質浄化技術 吉岡 修哉 立命館大学 服部 華代 立命館大学 本課題の技術シーズは、高濃度酸素水を低コストで大量に生成する技術である。本技術は、予め空気塊を混入した水に対し、回転羽根車等を利用して、強制的に、強いせん断応力を、繰り返し機械的に与える。これにより混入空気塊がマイクロスケール以下の超微細気泡に裁断され、その広い気液界面を経由して気泡内部の酸素が急速に水中に溶解する。これにより高濃度酸素水を高効率で大量生成可能である。本課題ではこの技術シーズを、低コスト高効率な、大規模な湖沼水質浄化技術に応用、実用化することを目指す。
119(B) 水を用いるイオンクロマトグラフィーによる水質モニタリング法の開発 田中 一彦 広島大学 伊藤 勇喜 広島大学 様々な環境水の水質評価や各種産業の工程・水質管理等における陰イオン、陽イオン、有機酸及び有機塩基等のモニタリングは重要であり、一般に汎用性の点で有機試薬を用いる比色法(公定法)が適応されるが、測定対象に応じた発色剤の選定や測定条件の最適化のための煩雑な操作を必要とすることから、これらに代わり得る水質モニタリング法の開発が要請されていた。そこで、効率化・省力化の観点から簡便・迅速・無公害・低コストな多成分同時分離計測を可能にする水質モニタリング法として、平成18及び19年度の「シーズ発掘試験研究」で得られた成果を踏まえ、水だけを溶離液に用いてイオン交換樹脂分離カラムの有するイオン排除作用や両性イオン物質により修飾した分離カラムの有する静電作用を各々利用した新規なイオンクロマトグラフィーの様々な適応分野における有用性を実証し、実用化する。

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 新しい人と物の流れに対応する交通システム:4件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
794 デマンド応答型交通システム導入計画支援システムの開発 倉内 文孝 岐阜大学 馬場 大輔 岐阜大学 移動需要の薄い地域には、デマンド応答型交通システム(DRT)が低運行コストでサービス可能ということで注目されているが、思ったよりコスト削減が図れないなど課題も多い。本研究においてはDRT導入検討を事前に検討可能とするための導入計画支援システムの開発を試みる。GISを活用し、地域の人口や年齢分布、公的施設の位置などの社会経済指標をインプットとし、所与の運行条件を指定することで利便性やその効果を試算できるシステムの構築をめざす。
1050 動線の時間推移系列に観る移動体の流動と移動場の評価 高山 茂 立命館大学 安川 竜二 立命館大学 本研究は、屋内外の共用空間を行き交う移動体(歩行者や自動車)の混雑さや危険度、移動場の施設配置等を動的な観点により評価する「移動場のダイナミズム観測システム」の構成を目的としている。本研究では、動画像からリアルタイムに構成される移動体動線の方向分布、速度分布、密度分布のパラメータの時間的動特性を観ることにより、移動場の動的混雑度や潜在的な危険性のモデリングを行い、移動場の動的環境を客観評価する。
1142 スウィング機構付きトラック輸送用除振台の開発 松久 寛 京都大学 笹田 滋 独立行政法人科学技術振興機構 精密機器などをトラックや鉄道で輸送するときの路面凹凸による鉛直方向振動の除振と急制動のときの前方への転倒を防ぐ除振台を開発する.鉛直方向の除振には,自重を支えかつ固有振動数の低い,負ばね併用のリンク機構および空気ばねを用いる.また、制動時に台が傾くことによって前方への転倒を防ぐスウィング機構を開発する.これらを2段に重ねることによって,鉛直方向の加速度を1/3に,前後方向の転倒モーメントを1/2に低減する.
107(B) レーザースキャナを用いた歩行者および車両動態計測システム 田中 雅博 甲南大学 安田 耕三 甲南大学 本研究課題では、微小癌のMRIによる検出と、癌病巣の術中蛍光イメージングを同時に達成可能な、バイモーダル腫瘍造影剤の開発を目指すものである。本造影剤は、微細な腫瘍組織をMRIと蛍光イメージングの双方から検出可能であるため、MRIにより陽性と認められた患者の外科手術の腫瘍摘出蛍光ガイド試薬として用いることができる。本研究課題では、蛍光標識された腫瘍血管特異抗体と独自の金磁性ナノ粒子からなる新規の造影剤を設計し、マウスおよびラット腫瘍モデルを用いてその複合造影剤としての有用性を評価する。

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 バリアフリー:4件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
596 視覚障害者のための遠隔からの移動支援システムの開発 松本 三千人 富山県立大学 山田 恵宣 富山県立大学 高速・モバイルネットワークや携帯型情報処理端末、GPS、電子タグ等を活用し、移動に困難を感じている視覚障害者のための移動支援システムを開発する。具体的には、歩行時に必要な情報や道順などを言葉で説明した音声地図と視覚障害者が携帯するカメラ付情報端末(PDA、携帯電話等)から送られてくる映像や位置情報を活用して、視覚障害者の移動に必要な情報を遠隔地から的確に提供する技術と手法を開発する。
879 LED 信号機の可視光通信機能を活用した弱視者横断支援システムの開発 鈴木 弘司 名古屋工業大学 小澤 理夫 (財)名古屋産業科学研究所 本課題では、弱視者、特に全盲の方が正しく横断歩道を進んでいることを理解でき、安全な誘導支援が可能となるLED信号機の可視光通信機能を活用した弱視者横断支援システムの実用化を目指し、以下の2点について検討する。まず、利用者を空間認知能力に基づく歩行能力から分類し、システムの仕様を検討する。次に、実際の道路構造と同じ実験施設において、歩行実験を行い、利用しやすい受光端末の形状、軌道修正方法、情報の伝え方を明確にする。
955 ヒトにやさしい新世代スポーツ人工芝の開発 布目 寛幸 名古屋大学 石山 慎一 名古屋大学 近年、天然芝にくらべ維持管理がしやすいスポーツ用ロングパイル人工芝(毛足の長い人工芝に砂・ゴムチップ等を充填したもの)の普及がめざましい。しかしながら、現行の安全性評価基準には、人工芝がヒトに対してどのような負担を与えるのかという視点が欠如しており、一般に人工芝が天然芝に比べて、捻挫や骨折などスポーツに関連した傷害がより起こりやすいと考えられている。本研究は、バイオメカニクス的観点から天然芝がヒトの衝撃力を緩衝するしくみを詳細に明らかにし、それらの結果をもとにヒトにやさしい新世代スポーツ用人工芝の開発を目指す。
1193 完全前方開放型歩行器の開発と円背防止効果の検証 三浦 研 大阪市立大学 渡辺 敏郎 大阪市立大学 従来の歩行器は、歩行器を押し出すことにより前進するため、1)歩行時の姿勢が前傾となり、背筋を伸ばした正しい歩行姿勢が崩れ、円背(えんぱい)となる、2)着座の際、前方に位置する歩行器を旋回させる面積が必要なため、わが国の狭い家屋では使いにくい(例えば障害者用トイレを除く一般的トイレのブースでは、歩行器は使いづらい)。そこで、特許申請中の前方移乗可能な歩行器の、①安全性と課題を改良し、②わが国の家屋や生活場面における使いやすい形態サイズ等の検証を行い、③高齢者への試用試験により、円背予防(正しい姿勢の維持)に及ぼす効果の検証実験を行うことを目的とする。

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 ユニバーサルデザイン化:3件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1344 小型圧力センサ付試作品を用いた「製品の使いやすさ評価」に関する研究 平田 一郎 兵庫県立工業技術センター 富田 友樹 兵庫県立工業技術センター 製品と手との適合性の観点から、「使いやすさ」の数値化を図る。3次元造形機による試作品に小型圧力センサを多数取り付け、採取した圧力データ分布と従来方式の官能評価データとの関係を明らかにする。具体的には、下記の2点を実施する。1.圧力センサ付試作品の作製および圧力データの3次元的可視化2.試作品を把持した際の、「持ちやすさ」「握りやすさ」について、圧力分布データと官能評価による分析を行い、使いやすさを評価。
1557 年齢性別による体格差体形差の測定分析と、それを生かした家具の開発 中瀬 博幸 徳島県立工業技術センター 福田 和弘 徳島県立工業技術センター 衣服や靴にはS、M、L等のサイズがあるのに家具にはサイズ対応が無く、使用者や使用目的に対するサイズ調整機能も無い。しかも従来の基準値は欧米人や日本人の20〜30歳代男性を基準とし、女性や高齢者の体格を考慮されていなかったため、特に高齢の女性にとっては使いにくいものであった。そこで今回は、年齢・性別等による体格差・体形差等を測定するとともに、それらのデータを集計分析し、それに対応できる家具インテリア用品のモデル開発から試用実験までを行う。
109(B) 自閉症者・知的障がい者の音声・画像処理による個人適応型支援機器の開発 滝口 哲也 神戸大学 中井 哲男 神戸大学 障がい者においては、筋肉の緊張により不随意運動が生じ、発話スタイルの変動が大きく、発話内容を健常者が聞き取る事は困難な場合がある。本試験研究では、代表研究者がこれまでに研究してきた音声特徴量抽出法、唇画像抽出法を基にして、多様な障がい特性に対応可能な個人の音韻特性を表現する音素部分空間法を実現し、及び画像処理による顔追跡手法との統合を実現し、その有効性を支援機器にて評価するものである。

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 共通基礎研究(社会基盤):2件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1528 動画像を用いた応力変位評価システムの開発 近久 博志 山口大学 大高 聰 山口大学 供試体の載荷試験や現場計測の時に撮影している動画像から、対象物の応力・ひずみ分布や力学特性の変化などを同定し、可視化するシステムを開発する。このシステムは、つぎのような技術からなっている。
① 動画像中の標点の自動認識技術
② 標点の移動量を算定する精密写真測量技術
③ 標点の移動量から対象物の物性変化等を同定する応力変形問題の逆解析システム
④ 同定結果を可視化する複合現実感(Mixed Reality)システム
1567 多点式高精度静電容量計の土木計測への応用 上野 勝利 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 これまでに開発した高精度で高安定な静電容量計を元に、地盤や土構造物の変状計測のための各種静電容量型センサの開発を行うとともに、高密度センシングを実現するために、安価な多点計測に対応した計測システムを開発する。公共工事のみでなく、たとえば土砂災害が頻発する中山間地に暮らす個人宅のモニタリングへの活用や、高密度な地盤センシング、遠心模型実験用の小型センサなどへの応用を目指す。

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 その他(社会基盤):6件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
447 検疫時における有病者の高速・非接触スクリーニングシステムに関する研究 松井 岳巳 首都大学東京 宗木 好一郎 首都大学東京 従来検疫で用いられているサーモグラフィによる有熱者判定に加え、マイクロ波レーダーを用い心拍数・呼吸数を衣服の上から皮膚に触れずに計測し、サーモグラフィ・心拍数・呼吸数等のデータを併用して客観的且つ高精度で感染症の疑いのある人を短時間(5秒)で判別する非接触・高速スクリーニングシステムの高精度化とその実用実験を目的とし、得られたデータからインフルエンザや風邪等の疾患を判別する手法開発の調査研究も行う。
661 公共空間における音情報伝達システムのデザイン研究。 寺井 剛敏 金沢美術工芸大学 藤野 雅 金沢美術工芸大学 (辞退)
675 木質材料による住宅用可動式耐震壁の開発 川島 洋一 福井工業大学 佐々木 博 福井工業大学 一般に住宅における間仕切壁は、耐震壁と非耐震壁とに分類される。すでに建設された住宅では、耐震壁の移動や撤去は容易ではない。リフォームや用途変更の際に、改修工事の対象となるのは、通常は非耐震壁に限定される。本研究では、住宅建築に適用できる可動式耐震壁を開発し、住まい手が自力で容易にプランや空間の更新が可能な住宅の構造システムを開発することを目的とする。これにより、既存の住宅の寿命を最大限に活用し、資源・資産の有効利用と地球環境に優しい住宅のあり方を提案する。
1070 配水管網の総合管理支援プロトタイプシステムの開発 宇土 顕彦 龍谷大学 上條 榮治 龍谷大学 本開発研究は、配水管網の運用・管理における課題の解決を総合的に支援するプロトタイプシステムの開発を行うもので、①消火栓へのホース直結による放水時やポンプ車による取水時の流況解析、②配管工事や消火栓開放時に、流れの反転あるいは流速の増加により、管路内壁の錆が剥がれ水に混ざる、いわゆる赤水発生の抑制策、③水道水の最低残留塩素濃度を確保しつつ、塩素注入量を削減する等の課題を検討するシミュレーションシステムを構築する。
1180 防災用変位量計測システムの開発とその応用 河島 信樹 近畿大学 根津 俊一 近畿大学 可搬式のレーザー照射装置により離れた場所に設置した位置検知体の移動量を計測するシステムを開発する。位置検知体としては、多数のコーナーリフレクターを用いた姿勢に依存しない全姿勢型反射体を設置し、その位置を時間を置いて計測することで、反射装置の移動量を知るシステムである。定期的に位置検知体を観測することで、その移動量から崖の崩壊具合や波消しブロック等の移動量を知り、災害を未然に防ぐことを目指す。
1197 鉛直循環流誘起堤体による底層への酸素供給に関する模擬実験と効果予測 遠藤 徹 大阪市立大学 堀部 秀雄 大阪市立大学 本研究は、港湾海域における底層の貧酸素化の改善のために開発した「鉛直循環流誘起堤体」の環境改善効果を予測するものである。実海域において酸素供給の模擬実験を実施し、実海域における酸素の供給量と消費量を明らかにし、その後、酸素供給実験で得られた結果に基づいて海域の酸素動態を予測できる数値モデルを構築し、堤体を現地適用した場合の溶存酸素濃度の回復具合について定量的な予測評価を実施するものである。

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 宇宙科学(天文を含む):1件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1118 衛星ビーコン・ディジタル受信機の自律観測システム開発 山本 衛 京都大学 冨松 亮介 関西ティー・エル・オー株式会社 衛星から発射される2波のビーコン電波を地上で観測することで、電離圏の全電子密度が観測される。代表研究者らはソフトウエア無線専用のフリーウエアGNU Radioを利用して、既存品に対して価格1/10で高性能のディジタル受信機の開発に成功してきたが、本研究では、更にビーコン電波を自動的に発見し記録する機能を付加することを目指す。これによって、衛星の飛行スケジュールを知らずに自律的に観測可能という、世界初の機能を持つ衛星ビーコン受信機が完成する。

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 宇宙開発利用:5件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
450 20Kg級超小型衛星搭載用一液式推進系モジュールの開発 佐原 宏典 首都大学東京 柏原 繁郎 首都大学東京 20kg級超小型衛星に搭載可能な低毒性推進剤を用いた一液式推進系モジュールの開発を行う。これにより超小型衛星は編隊飛行や軌道変換の能力を持つことが出来、様々な宇宙ミッションの他、使用済人工衛星のデブリ化を防ぐための自主廃棄も可能となる。代表研究者所有の低毒性一液式推進系のノウハウを活かし、20kg級に搭載可能な容積に収まり、汎用的な機械的・電気的インタフェースを有するモジュールとしてまとめる。
726 自律型移動ロボットのためのステアリング性の高い変形型車輪の開発 飯塚 浩二郎 信州大学 瀬在 啓明 (財)長野県テクノ財団 本課題は整備されていない軟弱地盤上や災害地域において、耐熱性や耐すべり性、耐沈下性に優れた自律型移動ロボット用の変形型車輪の開発を目標とする。 本車輪は、外円と外円をつなぐ内円にばね鋼を用いることにより地面との接地面積を増加させ、沈下することなく移動することができる。ここでは車輪のステアリング時における車輪表面材料のねじれ要素を抑制した走行を確立し、フィールド実験を行う。
773 高与圧かつ高可動性を有する宇宙服要素の開発と検証 田中 邦彦 岐阜大学 丸井 肇 岐阜大学 通常我々は1気圧下で生活しているが現在の船外活動用宇宙服(以下、宇宙服)は膨張による可動性低下を極力避けるため、内圧を約0.3気圧としている。この低圧曝露に伴う減圧症予防のため、作業前に長時間の予備呼吸を必要とする。本研究では伸縮性素材を使用することで0.6気圧以上の与圧でも可動性を確保し、減圧症の予防、予備呼吸時間短縮を目的とする。まず、活動に最も重要なグローブ・スリーブを作成し、耐圧性を確認の後、可動性、巧緻性などを生理学的・人間工学的に検証し、その有用性、改善点などを明らかにする。
1726 衛星表面帯電モニタの開発を目指した地上民生用表面電位計の宇宙環境適合性能評価試験研究 趙 孟佑 九州工業大学 田中 洋征 九州工業大学 静止軌道の通信放送衛星は帯電に起因した放電の被害を受け、金銭的損失と社会インフラの中断につながっている。衛星の不具合の原因を究明し対策を講じるために、衛星の帯電状態を常時モニタする機器が望まれている。商業衛星への搭載を目指して、既存の衛星表面帯電モニタを、地上用の非接触型表面電位計を小型・簡素化し、宇宙環境に適応できるものに作りかえることを目的とする。今年度は試作品を地上で真空・打上げ振動・高温・低温等の宇宙模擬環境に曝露し、次年度以降の改良に向けた問題点の洗い出しを行なう。
124(B) 最先端民生技術を用いた地域宇宙開発の加速化 能見 公博 香川大学 渡辺 利光 香川大学 宇宙システムでは開発期間が長いために,民間企業の最先端技術は用いられていないことが指摘されているが,開発技術をすぐに宇宙利用へ転用できれば,宇宙利用が大きく加速することは間違いない.本研究では,宇宙開発従来の信頼性と,民生技術の信頼性の考え方を融合し,最先端民生技術による宇宙開発を実現し,宇宙利用を加速化させる.具体的には,量産品として信頼性を持つ地域企業の民生品を宇宙環境実証を通して開発する.

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 海洋科学:2件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1321 GPS衛星信号による局所波浪情報ローカルリモートセンシング技術の開発 河口 信義 神戸大学 西原 圭志 神戸大学 ローカルな海域付近における高精度な海洋波浪の情報(波高・波向き)を得るために、GPS衛星から送信された直接受信信号と海面反射信号を比較することによって、海面の詳細な海洋波浪情報を得るリモートセンシング法を提案する。さらに、ソフトウェアー方式GPS受信機を新たに開発し、そのソフトウェアーGPS受信機から波浪情報を取得するための最適な信号処理方式を考案することでシステムの実用化を目指す。
1605 波浪エネルギー吸収型動揺抑制装置の開発と応用 末永 慶寛 香川大学 永冨 太一 香川大学 大型船舶の航行や自然災害が原因の異常波浪により、養殖生簀が動揺し、有用稚魚が全滅する被害に対処するため、既存の魚類養殖生簀に装着し、波浪による生簀の動揺を抑制できる技術の開発が求められている。
そこで本研究では、U字管内の単一水柱の固有周期が、水柱の長さで決定される特性に着目し、不規則波の持つ広い周波数帯に対応した、固有周期の異なる複数の振動水柱を有する波浪エネルギー吸収型動揺抑制装置を開発する。

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 海洋開発:2件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
461 センサーネットワークによる水中ロボットの高精度位置計測技術の研究 伊藤 雅則 東京海洋大学 石井 宏明 東京海洋大学 水中ロボットの正確な位置計測は、水中探査や資源採掘・施設構築等、水中利用に不可欠な技術であるが、従来の慣性航法やトランスポンダによる方式は、複雑・高価・低精度と実用上多くの問題を抱えていた。本研究は、G P S と小型コンピュータ及び音響センサーを備えた浮体を分散させ、各センサーで測定したロボットの状態をコンピュータネットワークにより補正して正確な位置を得る、安価・高精度・簡易で広域測定の可能なシステムを開発するものである。
727 動的可変剛性フィンの開発と環境負荷を低減する水中推進機構へ応用 小林 俊一 信州大学 瀬在 啓明 (財)長野県テクノ財団 本課題は剛性を実時間で変化できるフィンを開発し、環境に配慮した新たな水中推進機構を開発することを目標とする。本課題はフィン内部で断面形状が楕円の弾性棒の設置方向を変化させ、その曲げ方向に対する断面係数を変化させることによって、フィンの剛性を実時間で変化させるものである。この原理を基にしたフィンを開発し、その曲げ剛性の変化範囲や時間応答性を評価し、水中推進機構に取り付け、推進特性を評価する。

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 共通基礎研究(フロンティア):1件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1693 ヘリウム4のみを冷媒とする1K以下の小型冷凍機の開発 西岡 孝 高知大学 土取 孝弘 株式会社テクノネットワーク四国 絶対温度1K以下の極低温環境は基礎研究やテラヘルツ産業に重要な技術であるが、現状では極低温を冷凍機で実現するためには高価な3Heを冷媒としたジュール=トムソン(JT)回路を用いている。我々は今までの研究でJT回路を使用せずに1K以下を実現する方法に成功した。本研究の目的は、冷媒として3Heの数万分の1の価格の4Heのみを用いて、さらに液体ヘリウムフリーで1K以下を実現することである。これは、コストパフォーマンスを大幅に向上させ、テラヘルツ産業などへの利用を促進することが期待される。

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 人文・社会:5件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
394 これからの小中学校における科学技術教育を支える計測制御インタフェースモジュールの開発 野村 泰朗 埼玉大学 東海林 義和 埼玉大学 本研究開発では、多くのパソコンが備える標準インタフェースを介してセンサー(入力装置)やモーター等(出力装置)を有線や無線で接続し、小中学生が日常的に理科の観察実験や技術科の計測制御の学習を深化させることができる安価な計測制御インタフェースモジュールを開発する。また開発したインタフェースを使ってセンサーやモーター等の入出力機器を用いて手軽に計測制御システムを構築できるソフトウェアを開発する。
397 脳情報から人間の選考を判別する方法およびその装置の開発 下川 哲矢 東京理科大学 川原 隆幸 東京理科大学 脳情報計測技術の発展は、人間の報酬系にかかわる情報の抽出を可能にし、その結果、各種工業製品やサービスに対する人々の選好を数値化することを可能にしつつある。このような研究はニューロエコノミクスと呼ばれ、近年急速に発展している。本課題では、申請者グループのこれまでの研究を発展させ、実用において直面すると予想される学習データが十分でない状況において、高精度の選好判別を実現する手法を確立することを目標とする。
1305 日本語教育のための単語レベル判定システムの開発と評価 北村 達也 甲南大学 安田 耕三 甲南大学 本研究では世界中の日本語学習者のための教材作成支援を目的として、利用者が入力した文章中の単語レベルを単語の(1)重要度と(2)難易度に基づいて判定するシステムを開発し、評価する。単語の重要度は、文書集合(教科書や新聞記事など)において当該単語が現れる文書数により求め、単語の難易度は、当該単語中に含まれる文字の総画数により求める。本研究では、これらの基準の最適な組合せ法を開発し、システムを構築することを目標とする。
1316 少量アルコール飲用による人間の抑制機能低下の検出 嶋田 博行 神戸大学 西原 圭志 神戸大学 飲酒運転が重大事故の引き金となっているが、運転者の危険に対する自覚がないためである。小量のアルコールはむしろ運動機能が促進するが、その抑制やコントロールが出来ないことが問題であるが、そのことを手軽にドライバーに周知させる手段がなかった。本研究では、飲酒のアルコール度数と運動抑制機能との関係をグラフィック表示できる装置を開発するための標準化データを採集し、勘弁に移動可能装置開発のための基礎研究を行う。
1778 小学生用読書評価ツールの開発と実証 氏間 和仁 福岡教育大学 坂本 好夫 (財)九州先端科学技術研究所 読書障害などの発達障害や弱視による学習の困難性は、小学生時期に見出され適切な時期に必要な措置を施すことが重要であるが、科学的根拠に基づいた標準的検査方法が確立されていないことが教育現場での大きな課題となっている。本課題では、小学生が学習する教育漢字の学年配当に則って、各学年用に調査文章を作成し、読書評価を行うソフトウェアを開発する。さらに小学校各学年の漢字の読み能力を調査することで、読み能力の標準化データを策定する。

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 自然科学一般:4件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
388 エネルギに基づく新型摩擦ダンパの開発に関する基礎研究 渡邉 鉄也 埼玉大学 大久保 俊彦 埼玉大学 近年、大規模な地震が発生しており、耐震・免震対策の重要性が指摘されている。免震構造物では、系を長周期化することにより、地震荷重の伝達を低減させているが、地盤との相対変位が大きくなるために、ダンパ等の設置が必要となる。本研究課題では、エネルギに基づいた設計指針を提案するとともに、適切な摩擦力を得る方法を解明していく。そして、適切な摩擦力を実現できる新型摩擦ダンパを開発していく。
704 中学校高等学校物理授業のための微小ビーズ実験装置の開発 石井 恭子 福井大学 坪内 彰 福井大学 福井大学教育地域科学部理数教育講座の香川喜一郎教授とともに、微小ビーズを使用した力学実験装置を開発した。この実験台は、平坦なガラス板の上に直径0.3mmの微小プラスチックビーズをまくことによって、摩擦が非常に小さくなり、従来は困難であった力学実験を手軽に行うことができる。大学におけるその学習効果が明らかとなったため、中学・高等学校の力学授業における先行実施を行い、その学習効果を調べるとともに、運搬や設置しやすく、授業で手軽に使用できる実験装置の開発を進める。
946 遺伝子治療用プラスミドDNA精製装置の開発 片桐 誠之 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 近年、先天性疾患等に対する遺伝子治療法の開発が活発に行われるようになっており、それに伴い医療品純度のプラスミドDNAを大量生産するのに適した産業レベルでの分離・精製法の開発が求められている。本研究では、スケールアップが可能なプラスミドDNAの精製および濃縮法としてアフィニティ膜濾過法に着目し、プラスミドDNAと親和性のあるリガンドと分離膜とを利用して微生物から高純度のプラスミドDNAを得る、一連のプラスミドDNA精製プロセスを構築し、装置開発を行う。
1570 層状複水酸化物を用いた高利用率リン酸肥料の開発 倉科 昌 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 リン酸は農作物に重要な養分であるが、土壌に施用されると農作物に吸収されにくい化学形態となるため他の養分に比べて利用率が低い。そこで本研究では陰イオン交換能を持つ層状複水酸化物にリン酸をインターカレーションさせることにより、農作物への高利用率なリン酸供給肥料の開発を目的とする。リン酸が層状複水酸化物の層間に静電的相互作用で取り込まれることを利用し、既存の肥料よりも高い肥効率を有するリン酸肥料の実用化を目指す。

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