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平成21年度シーズ発掘試験 研究概要(ナノテク・材料2、エネルギー)

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 計測技術・標準:72件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
42 構造用温度補償リアルタイムFBG歪センサシステムの開発 佐藤 信也 室蘭工業大学 朝日 秀定 室蘭工業大学 土木・建築分野における構造物の崩落等の事故を未然に防ぐための常時監視システムを安価に構築できる新しい計測手法を確立する。本研究による計測方法では、光スペクトラムアナライザで反射スペクトルを測定する従来のFBGセンサシステムよりも低コストでシステム構築でき、且つ高速(ほぼリアルタイム)に歪量の測定が可能である。さらに従来方法では困難だった温度による歪み測定量の誤差を補償して、正確に測定することが可能となる。
68 広帯域ホワイトノイズ発生器の高感度刺激検出システムへの応用 高田 明雄 函館工業高等専門学校 東藤 勇 苫小牧工業高等専門学校 研究者は電子回路のカオス現象に基づいて、高品質、広帯域、および高レベルのホワイトノイズを発生させることに成功した。この回路は小型ICチップ製品とすることも可能な上、従来品と比較して大幅なコストダウンが見込まれる。カオスノイズを使った、従来にない確率共鳴現象の検知システムを考案し、人間やロボットの知覚感度以下の微弱刺激検出に応用できることを、圧力センター等を用いた電子回路で明らかにする。
172 高輝度変調LED光源を活用したプラスチック種類判別器の開発 貝原 巳樹雄 一関工業高等専門学校 佐々木 蔵寿 (財)いわて産業振興センター 3R(Reduce、Reuse、Recycle)促進を目的として廃棄物の分別回収が広く展開されている。プラスチックの場合、仮に、大量に利用されている10種類程度(PP,PE、PET、ABS等)が正確に分類できれば、ほぼ85%程度のプラスチックに相当する。そこで、高輝度変調LED光源を活用し、これらを簡易に判別することができる低コストプラスチック判別器の開発を行うものである。
248 X線点集光モノクロメータの短焦点化・高効率化 中嶋 一雄 東北大学 平塚 洋一 東北大学 従来のX線モノクロメータは、角度分解能(分析性能)と取込角(X線の利用効率)を両立させることが困難であった。近年、申請者は半導体単結晶を結晶性を維持しつつ任意形状に成型可能な独自の高温高圧加工技術を用いてこれらを両立するX線点集光結晶レンズを開発した。本課題では、開発したX線点集光結晶レンズの実用化を目指して、さらなる短焦点化・高効率化を行いコンパクト光学系や集光強度の増大を実現する。
267 磁気光学効果を利用した磁気顕微鏡のための反射光学系の開発 近藤 祐治 秋田県産業技術総合研究センター 高橋 慎吾 秋田県産業技術総合研究センター 次世代メモリー技術としてビットパターン媒体や磁気抵抗メモリが注目されている。そこで、ナノサイズ磁性構造体の高感度・高空間分解能で磁気評価できる技術が重要になり、これまで放射光による顕微磁気円二色性が利用されたが、使用上の制約が大きかった。本研究では簡便に磁気評価が可能なテーブルトップ型高感度・高分解能磁気計測システムの実用化を目指して、偏光面が磁場に左右されない直入射型光学系を開発することを目的とする。
284 局在表面プラズモン共鳴を利用した携帯可搬型ウイルス・細菌センサーの開発 藤原 一彦 秋田大学 仙波 日出夫 秋田大学 インフルエンザウイルスのパンデミックが懸念される近年、迅速かつ簡易に利用可能なウイルスおよび病原性細菌の検知技術は、ますます重要である。金ナノ粒子の局在表面プラズモン共鳴(LSPR)は、被検体を標識化なしで測定できるほか、センシング領域を微小化できるなどの利点を有している。本課題では、飛行機内や車内の狭空間でも容易に使用可能な可搬型ウイルス細菌用LSPRセンサーの開発を行う。
322 X線分析装置用透過型多層膜集光レンズの開発 安本 正人 独立行政法人産業技術総合研究所 岡田 三郎 独立行政法人産業技術総合研究所 ナノテク・材料研究においては、X線を用いて材料組成を分析する技術は非常に重要である。放射光など高輝度光源のみならず、既存のX線源を用いて高感度・高分解能で分析する技術の開発が期待されている。そのために、本研究課題では、測定位置でのX線強度の向上を目指して、いままで培ってきた多層薄膜積層法を用いて、透過型X線集光レンズの開発を行う。
323 高出力光周波数コム発振器の開発 植村 禎夫 独立行政法人産業技術総合研究所 岡田 三郎 独立行政法人産業技術総合研究所 小型高性能の光シンセサイザーの実現に資するため、1ミクロン波長帯において、LD励起カーレンズモード同期レーザーの特質を生かして、光周波数コムモード1個当りのパワーが実用に耐えるサブmWレベルの高出力な光周波数コム発振器の技術開発を目指す。レーザー媒質Yb:YAG中の熱レンズとカーレンズ効果を分析評価し、波長幅を10 nm 以上に保ちつつ、モード同期の繰り返し周波数を1 GHz以上にして開発を行う。
350 超高周波回路用低損失誘電体材料のW帯特性評価システムの開発 清水 隆志 宇都宮大学 荘司 弘樹 宇都宮大学 無線通信技術の発達により、60GHz帯ギガビット級無線通信機器が実用化目前となってきた。一方、無線通信の高速・大容量性の追求や電波資源状況を鑑みると、より高い周波数資源開拓が重要である。そのためには、機器開発や材料開発の基礎技術となる材料特性評価技術の確立が急務となる。本研究では、W帯(75-110GHz帯)における複素比誘電率測定評価システムを確立し、その有効性を実証することが目的である。
363 サブミクロン粒子の非接触光学粒径計測法の開発と応用 荒木 幹也 群馬大学 小暮 広行 群馬大学 自動車排気に含まれる粒子状物質や、汚染物質を吸着し飛来する黄砂といった、1nm 〜 1000nmオーダのサブミクロン粒子が、人体に及ぼす影響が危惧されている。その生成過程や飛行挙動を把握する上で、粒径計測法の確立が急務である。本開発では、従来の光学・電子顕微鏡や遠心沈降法といった採取法による粒径計測法とは大きく異なる、「非接触」かつ「2次元」のサブミクロン粒径計測法の開発と、その応用を目論む。
368 蛍光・りん光同時測定による酸素濃度計測法の開発と応用 吉原 利忠 群馬大学 小暮 広行 群馬大学 本課題では、気体や不透明液体中の酸素分圧(濃度)を簡便に測定するために、酸素濃度によって発光強度が変化しない蛍光と、酸素濃度に依存して発光強度が著しく変化するりん光を用いた分子酸素計を設計・開発する。この分子酸素計に光を照射し、得られる蛍光とりん光を小型分光器およびCCDディテクタを用いて同時測定し、その発光強度比から酸素濃度のリアルタイム計測を行う。
380 オンサイト金属材種判定用ゲルの開発 廣木 章博 独立行政法人日本原子力研究開発機構 笠井 昇 独立行政法人日本原子力研究開発機構 金属スクラップ材をリサイクルして製品化する鋳造業の各現場(オンサイト)では、高価な分析機器を使用せずに、簡易にスクラップ材中の金属組成を判定する技術が求められている。本研究では、放射線橋かけ技術により作製したゲルに金属との錯形成により発色する試薬を保持させることで、オンサイトでスクラップ材に貼り付けるだけで成分を目視簡易定量できる金属材種判定用ゲルの開発を行う。
432 潅水栽培のための刺入型植物水分量センサの開発 三木 則尚 慶應義塾大学 湯浅 洋二郎 慶應義塾大学 植物を水の欠乏状態におくと(水ストレスとよぶ)糖分を貯めるため、適切な水ストレスを付与する潅水栽培により糖度が極めて高い高品質作物が生産できる。一方で水ストレスが大きすぎると作物の生育に悪影響を及ぼすため、水ストレスの精確な把握が必要である。本研究では、植物内の水分量を直接的かつ継続的に検出するための、感水性高分子ポリマであるポリエーテルサルフォンを有する刺入型植物水分量センサを開発する。
457 カメラ撮影時の振動計測および評価法の開発 西 一樹 電気通信大学 須藤 慎 株式会社キャンパスクリエイト カメラ撮影では、たとえ三脚を使用しても、シャッター時の様々な振動によって画像の実質的な解像力は低下する。特に撮像素子の高画素化・高感度化が進む昨今では、この影響は無視できないものになっている。本課題では、カメラに加わる様々な振動が撮影画像に及ぼす影響を測定し定量的に評価するシステムを開発する。我が国のカメラ技術の世界的競争力をより一層強化すべく、カメラ振動に対する測定・評価法を確立する。
463 積層構造基板の偏光特性を利用した抗原抗体反応の高感度検出 秋元 卓央 東京工科大学 塚本 勝 東京工科大学 金属と誘電体を積層した基板上(積層構造基板)で蛍光を観察すると、通常のガラス基板上で蛍光を観察するよりも100倍程度蛍光が強く観察される。また、このときの蛍光の増強は、励起光の偏光に強く依存する。そこで本研究では、偏光した励起光を利用した蛍光の高感度検出装置の開発と、開発した光学装置を用いた抗原抗体反応の高感度検出を行なう。
470 骨の癒合強度の定量化方法の開発と応用 五味 健二 東京電機大学 中田 英夫 東京電機大学 骨折治療中の骨の癒合度合いを、荷重前と荷重中の2枚のX線写真のみから算出する方法を確立する。具体的には、骨折固定のために骨にねじ込まれたネジの、荷重に対する微小移動を画像処理により定量化し、「健常骨のひずみ」に対する「仮骨のひずみ」を百分率で表すことで癒合率の推定値を提示する。従来のX線撮影設備とパーソナルコンピュータしか用いないために、経済的負担が高まる医療現場においても普及する可能性が高い。
472 大型・高精度レーザ干渉計システム用直角参照鏡誤差校正システムの開発 古谷 涼秋 東京電機大学 中田 英夫 東京電機大学 一般に直角参照鏡を使った二軸のレーザー干渉計によって、二次元ステージの変位が高精度に測定されている。直角参照鏡に形状誤差があると、レーザー干渉計の出力は、二次元ステージの軸の形状誤差と直角参照鏡の形状誤差の複合した信号となる。これらの信号から二種類の誤差をステージの再現性と自己校正テクニックにより分離し、参照鏡の形状誤差を測定することを目的とする。
485 セラミック超微粒子感圧塗料による変動圧計測の高精度化 亀田 正治 東京農工大学 島村 太郎 東京農工大学 非定常空気力計測のための、超微粒子セラミックを用いた高速応答型感圧塗料(PSP)の温度補償法を確立する。感温塗料(TSP)膜の上に本PSPを塗布することで、PSP/TSP二層膜を形成し、圧力、温度を同時に計測する。測定温度をもとにPSPの温度依存性を補償する。数kHzの変動圧力を0.1 kPaでとらえ、かつ、0.1℃の精度で温度を計測することを目標に、適切な塗料材料の選定、性能試験を進める。
496 分子修飾ダイヤモンド電極の高感度電解検出器への応用 近藤 剛史 東京理科大学 川原 隆幸 東京理科大学 電気化学検出器(ECD)を用いる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の信頼性・操作性の向上を目的として、表面修飾ダイヤモンド電極の応用を検討する。HPLC-ECD法は、コエンザイムQ10などの生体中の微量成分を最も感度よく分離分析する手法であり、その需要拡大が見込まれる。本研究では、ダイヤモンド電極の表面官能基を種々検討し、分析対象物質に特化したECD用電極を作製し、その性能を確認する。
502 光変調技術による高感度粒子径・ゼータ電位計測装置の開発 須藤 誠一 東京都市大学 高田 茂樹 (財)神奈川科学技術アカデミー マイクロチップ固体レーザを用いた高光感度の動的光散乱計測システムを構築し、超低濃度のナノサイズ分子の分散液からの分子の検出、粒子径・ゼータ電位計測による粒子のキャラクタリゼーションを簡便・精確に行える計測器の開発を目的とする。簡便な光検出器と電気系で構成されるため、従来の光計測手法に比べ格段に安価なシステムが構築できる。
528 誘電泳動を利用する細胞機能の識別デバイスの開発 宮田 昌悟 慶應義塾大学 湯浅 洋二郎 慶應義塾大学 再生医療や細胞ワクチン療法などの細胞を用いた治療技術の広範な臨床応用には、治療に適した機能を発現した細胞を効率よく識別・回収する技術が必要不可欠である。本申請課題では前述の再生医療や細胞ワクチン療法に資する細胞診断デバイスの開発を目的とする。具体的には細胞膜の表現系に着目し、誘電泳動を用いた細胞機能の識別デバイスを試作し、デバイスの性能評価を行う。
574 核酸アプタマーを用いたD-アミノ酸の迅速・高感度分析技術の開発 高橋 祥司 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 遊離D-アミノ酸は、脳などにおいて重要な役割を担っており、統合失調症やアルツハイマー病などの疾患のマーカーとしての利用が期待されている。また、食品品質の指標になることも示された。本課題では、各種D-アミノ酸に特異的に結合する核酸アプタマーを開発し、それをリガンドとして固定化したD-アミノ酸センサーチップを作成し、表面プラズモン共鳴測定装置と組み合わせて用いることで、様々な試料中における各種遊離D-アミノ酸を迅速,簡便かつ高感度に測定できる技術の開発を目指す。
577 液中でのDLC膜の損傷評価法の開発 赤坂 大樹 長岡技術科学大学 山田 明文 長岡技術科学大学 金属膜裏面への光照射によって発生するエバネッセント波と金属表面で発生する表面プラズモン波が共鳴する表面プラズモン共鳴(SPR)現象は金属膜上の誘電率変化に依存して共鳴の発生するレーザ入射角度が敏捷に変化する。このことから膜の表面状態を膜の裏面より高感度に検出可能で、液中での膜の変化を捉えることができると考えられる。本技術を液体中で使用されるDLC膜の損傷のその場評価へ応用するため、DLC膜を積層したSPR素子を用いて液中での膜損傷の評価を行う技術を開発する。
586 せん断と伸張が複合する流れ場における複雑流体の粘度評価法の開発 高橋 勉 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 プラスチック材料や生体液などの複雑流体は構成方程式が不明で、せん断変形特性と伸張変形特性は個別に測定する必要がある。せん断と伸張が複合した流れ場は拡大・縮小管、曲り管など工業的に幅広く用いられるのに対し、せん断と伸張の相互効果についてはそれぞれを任意に制御する方法がなかったため世界的に全く検討されていない。本応募課題はせん断速度と伸張速度を任意に設定できる流れ場を発生させ、複合流動場における流動特性を簡単に評価できる方法を開発する。
595 準マイクロ波スペクトル計測によるコンクリート内部検査装置の開発 岡田 敏美 富山県立大学 山田 恵宣 富山県立大学 鉄筋コンクリート構造物の施工時における内部の品質検査や既存構造物における経年劣化や地震等によるコンクリート内部損傷状況の検査が必要である。コンクリート構造物の品質劣化要因である空洞、ジャンカ、密実性(きめ細かさ)の不揃い、塩ビ管や鉄筋などを弁別するために、本研究では、3波共用のアンテナによる「コンクリート内部探査装置」を開発し、品質の異なるコンクリートモデルを用いてその性能を検証する。
651 高速高密度自由曲面板厚評価システムの開発 浅川 直紀 金沢大学 分部 博 金沢大学 板金プレス加工などによる製品の板厚の全自動測定と評価を行うシステムである。従来は測定物への接触による測定などが一般的であり、深い自由曲面などは非破壊測定が不可能だったが、自由度の高いロボットとレーザを用いて測定するため、様々な自由曲面製品が測定可能。従来の100倍程度の測定速度と密度を持ち、立体的に表示と評価を行うソフトにより詳細な板厚分布評価を短時間で行う。
671 組成分析と画像撮影機能を持つ可搬型蛍光X線分析装置の開発 安田 啓介 (財)若狭湾エネルギー研究センター 祝 一裕 (財)若狭湾エネルギー研究センター 蛍光X線組成分析とX線透過像撮影機能を兼ね備え、屋外でも使用可能な可搬型分析機器の試作を行う。構成は、①小型X線発生装置、②小型X線検出器、③X線カメラおよびノートPCを組み合わせ、漏洩対策としてケ−シングを施し、商用電源なしで動作する小型X線分析・撮影装置を試作し、埋蔵遺物、岩石などの現地スクリ-ニング・真偽判定用途を想定している。
696 動的核偏極を用いた高感度核磁気共鳴技術の開発 藤井 裕 福井大学 巽 信夫 福井大学 核磁気共鳴(NMR)はタンパク質の構造解析や量子コンピューティングなど、様々に応用されている測定手段である。また、NMRと同時に電子スピン共鳴(ESR)を施すと、動的核偏極(DNP)が起き、NMR信号強度が飛躍的に増大する。このDNP効果をNMR装置に適用することで測定の短時間化やその他の応用に役立つと期待される。本研究ではDNP-NMR測定を行うための装置開発を行うとともに、DNPが起きるメカニズムを解明する。
706 全人工膝関節置換術のための圧力センサ内蔵インサートの開発 長宗 高樹 福井大学 坪内 彰 福井大学 本研究は、全人工膝関節置換術における人工関節にかかる圧力分布を術中に計測できるシステムの開発を目的とする。人工膝関節置換術を行う際に、側副靭帯や関節包等の軟部組織による張力によって、膝関節のバランスに影響を与える。術者は軟部組織の切除によって、この内外のバランスを均等になるように調整するが、現状では医師の主観に頼っている。不適切な内外のバランスは変形性膝関節症を引き起こす。本研究では、この内外にかかる圧力を定量的に評価し、術中に医師にその指標を提供する事を目標とする。
777 獣毛由来タンパク質解析による獣毛製品品質鑑定法の開発 大野 敏 岐阜大学 丸井 肇 岐阜大学 近年、獣毛繊維製品の品質表示偽装が相次いで発覚している。本研究に於いては、製品としてよく用いられているカシミヤ(ヤギ毛)やウール(ヒツジ毛)、そしてカシミヤへの混入が疑われるヤク毛の3種について毛由来タンパク質を回収し、網羅的に解析する事で基準データを作成する。これを基に製品に用いられている獣毛がどの動物に由来するのかを判別する手法の開発を行う。
782 新規な分離機構に基づく高機能イオンクロマトグラフ法の確立 竹内 豊英 岐阜大学 荒賀 年美 岐阜大学 本研究では、独自のポリオキシエチレン系陰イオン交換カラムの調製条件を最適化し、新規な分離システムに基づいたイオンクロマトグラフ(IC)法を確立する。本ポリオキシエチレン系充填剤は本課題の陰イオンのクロマト分離だけでなく、溶離液を変えることにより、親水性相互作用あるいは疎水性相互作用に基づいた分離モードの選択が可能であり、将来的には従来にない多機能な分離・分析装置への発展の可能性がある。
796 膜流動性を保持したタンパク質固定化技術を用いた標的抗原検出技術の開発 近藤 伸一 岐阜薬科大学 羽田野 泰彦 (財)名古屋産業科学研究所 代表研究者はプレート等の基板上にリン脂質膜を形成させ、基板上に酵素、抗体等を流動性を保持した状態で固定化する方法を開発した。本研究は、高分子基材表面に構築したリン脂質膜の上に異なる蛍光標識をした2種類の捕捉抗体(1次抗体と2次抗体)を結合させ、標的抗原を2種類の抗体で捕捉し、抗体の蛍光標識部位間での蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)により、ワンステップで抗原を検出・定量する技術の開発を目指すものである。
808 位相分解蛍光寿命測定法を用いたイオン濃度定量測定法の開発 居波 渉 静岡大学 伊藤 悟 静岡大学 本技術は、位相分解蛍光寿命測定の細胞内イオン濃度の定量測定への応用である。細胞の特定部位をイオン濃度感受性の蛍光色素で標識し、その蛍光寿命を測定する。そして、その蛍光寿命からイオン濃度を求める。蛍光寿命の測定には、位相分解蛍光寿命測定を用いる。この手法によるイオン濃度測定の特徴は、非侵襲、短い測定時間、高い定量性である。イオン濃度は、神経細胞のシグナル伝達に関わっており非常に重要である。そのため、共焦点レーザー顕微鏡に本技術を導入すれば、生体細胞のカルシウムイオン濃度の三次元分布測定が可能となる。
815 果実の硬度の非接触低侵襲測定法の実用化 犬塚 博 静岡大学 斉藤 久男 静岡大学 近年、果実は甘さよる選別が行われ初めているが、林檎・梨等では、多くの消費者に硬い果実が好まれておりその選別も実施したい。しかし、既存の硬度測定法は、果実を損傷するか、精度が十分でなくほとんど実用にならなかった。そこで、圧縮空気とレーザ非接触距離センサを組み合わせた手法で、果実の硬さ測定のスタンダードである接触針による硬度計による測定と同程度の精度の非接触・低侵襲の果実の硬さの測定法を実現する。
884 SH型SAW薄膜デバイスの開発と生体計測への応用 柳谷 隆彦 名古屋工業大学 堀 伸一 (財)名古屋産業科学研究所 本課題は、薄膜を用いた横波型の弾性表面波(SH型SAW)の発生と液体中質量負荷計測への応用を目的としている。通常の弾性波(レイリー型SAW)型センサを液体中で使用すると、音波エネルギーが液体中に漏れてしまい動作しない。そのためSH型SAWが必要となるが、この波の発生は単結晶板でしか成功していなかった。研究担当者は、近年初めて横波を発生する薄膜の合成に成功した。この膜は理論的にSH型SAWも発生する。本研究ではこのシーズを利用して、SH型SAWを発生させ、質量計測への応用を目指す。
941 標準添加レーザー誘起蛍光法による燃焼ガス中一酸化窒素のその場濃度計測 吉川 典彦 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 燃焼過程で生成される窒素酸化物の大部分は一酸化窒素(NO)であり、その濃度計測は重要である。レーザー誘起蛍光法(LIF)は、レーザー吸収によってNOを電子励起させ、下の準位に落ちる時に放射される蛍光強度を計測する方法である。既知濃度のNOを添加して、モル分率と蛍光強度の線形関係から、添加しない場のNO濃度を決定する(標準添加法)。今回の研究では、計測法の精度や計測法の適用範囲・限界を明らかにすることに注力して、多くの燃焼機器に適用できる実用計測法への発展を目指す。測定下限界1ppm、相対誤差5〜10%以下の確立を目指す。
943 誘電体微細構造と表面極性の同時観察法の開発 佐々木 勝寛 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 電子・光学デバイスに用いられている誘電体材料は、ナノ領域での誘電分極を制御して作製されている。しかし、誘電分極を直接測定する方法は限られている。本研究では、研究代表者により考案された透過電子顕微鏡内電場測定法の影像歪法と透過電子顕微鏡内デバイス観察用ホルダーを用い、レーザー波長変換誘電体素子の誘電分極による表面極性の直接測定と微細構造観察を同時に行うことの出来る装置を開発する。
999 顕微X線発生のための高輝度液体リチウム電子源の開発 畑 浩一 三重大学 新原 英雄 三重大学 X線顕微鏡法は、試料の内部構造を非破壊で直接観察できる、他に類を見ない顕微観察手法であるが、X線を励起発生する一次電子線の輝度不足のため現状では必ずしも満足のいく分解能は得られていない。そこで本研究は、代表研究者らが独自開発してきた高輝度液体リチウム電子源を新たな励起源に用い、ソースサイズ100nm以下の顕微X線発生を実証すると共に、これを搭載した高分解能X線顕微鏡の実用化を検討するものである。
1033 MEMS技術を利用した超小型真空計の開発 木股 雅章 立命館大学 近藤 光行 立命館大学 本研究では、赤外線センサなど真空パッケージ評価や分析装置内の微小空間の真空度を0.01Pa〜10000Paの範囲で計測することできる1mm角以内の大きさの超小型熱伝導方式マイクロ真空計を開発する。この超小型真空計を用いることで、真空封止されたマイクロデバイスの信頼性試験データの取得が可能になり、局所的に真空度をコントロールする必要のある分析装置への適用が期待できる。さらに、量産性のあるMEMS技術を利用することから、従来の真空計の代替品としての普及も期待できる
1044 高圧環境下における広周波数帯域超音波計測用センサー・アセンブリの開発 川方 裕則 立命館大学 松田 文雄 立命館大学 地震発生機構の研究で実施される岩石破壊試験では、超音波センサーによる微小破壊や弾性波透過特性の計測が実施される。しかし、感度帯域の広い超音波センサーは高圧環境下では使用できず、波形を用いた解析を行える良質の計測は実施されてこなかった。本課題では、100MPa程度の高圧下で使用でき、岩石試料に直接貼ることにより任意の配置で広帯域の超音波計測が行えるセンサー・アセンブリを開発する。
1073 蛍光発光で簡便に検出できる分子センサーの開発 宮武 智弘 龍谷大学 石原 英昭 龍谷大学 食品中の味覚成分や薬効成分などの特定成分を評価・探索するシステムの構築を目標とする。酵素の高い基質選択性を利用して分子を認識し、その酵素活性を蛍光性リポソームを用いて簡便に蛍光強度の変化として検出することで、分子のセンシングシステムを開発する。この成果を食品等に含まれる特定物質の検出へ応用することを目指す。
1104 ツインプローブ顕微鏡による局所電子物性評価装置の開発 佐藤 宣夫 京都大学 石田 政隆 関西ティー・エル・オー株式会社 ナノスケールサイズで組み込まれた高性能デバイスの評価手法として、二探針を有する(ツイン)プローブ顕微鏡を応用したナノスケール電子物性評価の手法および装置の開発を行う。本研究装置の大きな特徴は、互いのプローブに働く相互作用力を逐次検出し、その間隔が精密に制御された状態下において、プローバ間での極微小な電圧-電流計測(局所電子物性評価)を行えることにある。
1162 ハイパーソニック圧電顕微鏡の開発 松川 真美 同志社大学 平尾 正三 同志社大学 圧電材料に応力が加わるとひずみが生じ、内部に圧電分極が発生する。この分極の内部電界は逆圧電効果により、元のひずみと逆方向にひずみが発生させ、ひずみ量を減少させる。つまり圧電性のある材料に応力を加えると、圧電性がない材料に比べて弾性が高くなる。したがって、この弾性変化を測定すれば圧電定数を評価できる。また、材料の弾性は縦波・横波音速から測定可能である。本研究は、このような発想と代表研究者の「顕微ブリユアン光散乱測定技術」を組み合わせ、超高周波超音波(ハイパーソニック)領域であるGHz域の非接触・非破壊、縦波・横波同時測定により圧電薄膜の局所的な圧電定数測定を目指す。
1229 ボールペン型共振ヤング率テスタの開発 荻 博次 大阪大学 藤原 昌平 大阪大学 聴診器のように、プローブを材料に軽く接触させるだけで、その材料のヤング率が測定できるヤング率テスタを開発する。圧電性と温度安定性に優れたランガサイト結晶を振動子に用いる。振動子の共振周波数は接触材料のヤング率に依存して変化するため、接触時の共振周波数の周波数変化からヤング率を測定する。キーポイントは振動子の音響的孤立化である。振動の節部を保持し、アンテナにより非接触で無電極の振動子を励振させることでこれを実現する。広い分野において普及し、標準の計測ツールとして定着することが期待される。
1251 超伝導テラヘルツ波検出器の開発 川山 巌 大阪大学 鈴木 義彦 和歌山大学 テラヘルツ電磁波は、禁止薬物、生体物質などの分析・検査に非常に有効であることが明らかにされ、近年非常に注目を浴びている。計測には、半導体光スイッチを検出器として用い、パルス電磁波(THzパルス)の波形を計測するテラヘルツ時間領域分光法(THz-TDS)が広く用いられている。本研究では、1ピコ秒程度のパルス幅をもつTHzパルスに対する超伝導検出器の応答を明らかにし、新規なTHzパルス検出器としての性能を検証する。
1261 金属キャピラリーを用いた原子ビーム生成方法の開発 梅澤 憲司 大阪府立大学 伊達 晴行 大阪府立大学 本研究は、金属キャピラリーを用いて、①イオンビームを電気的に中性化し、②ミクロンオーダのビーム径に絞り、③真空中での表面分析への応用や、④大気中での微生物照射を行うための技術開発を行うものである。電子線やイオンビームなどの荷電粒子などではなく、電気的に中性な原子ビームを照射することで試料の導電性に関係なく分析、改質できることが期待できる。金属を用いる理由は、10keV以下の入射エネルギーでは金属固体表面原子との1回散乱で100%近い中性化効率を期待できるからである。
1317 インテリジェント・サーモグラフィー計測法の開発と応用 若林 正彦 神戸大学 西原 圭志 神戸大学 き裂の新しい非接触測定法として、インテリジェント・サーモグラフィー計測法の開発を行なう。この方法は、き裂を含む構造体に非定常温度場を与え、赤外線サーモグラフィーカメラを用いて撮影したサーモグラフィー画像にリアルタイム処理を行なうことにより、き裂位置をリアルタイムで可視化する手法である。各種機器・構造物の監視・安全診断への応用の有効性や、さらにそれを高めるチューニングの方向性などについて調べる。
1323 カンチレバーによる超高感度パルス強磁場電子スピン共鳴技術の開発 太田 仁 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 将来の発光素子として期待される有機金属EL素子、量子コンピューターへの応用が期待されるナノ磁石、微量の生体試料の評価は、従来のX-band(9 GHz)ESR測定では不可能である。そこで、このような系の測定を可能にする将来のナノ技術評価装置として、カンチレバーを用いた高感度のテラヘルツ(0.1-10 THz)電子スピン共鳴(ESR)の開発を行う。
1393 界面近傍の細菌運動を三次元高速度撮影可能な顕微鏡システムの開発 中井 唱 鳥取大学 清水 克彦 鳥取大学 本課題では、細菌の界面近傍での遊泳運動を詳細に調査することで、一般に微小対象物の高速運動を三次元解析可能な顕微鏡システムの開発を目指す。微小物体の運動を拡大観察するには高速度撮影が必要であり、また三次元観察が有益であるのは、大抵は自由な三次元運動が界面の影響を受ける場合である。そこで本課題では、(1)高速度カメラを用いた細菌運動の2方向同時撮影、(2)壁面や水面など界面近傍での撮影、に取り組む。
1444 中間赤外イメージング分光法の開発 川口 建太郎 岡山大学 秋田 直宏 岡山大学 本研究では、多重サンプリング・フーリエ変換分光法を対象サンプルにおける-CH,-OH等官能基の分布画像を得るための中間赤外イメージング分光法の開発に応用する。分子の基準振動が観測される波長2.5 - 30ミクロンに現れる官能基に特有な振動バンドを測定し、物質の状態を各振動バンドの画像として出力できるようにする。赤外光の通過位置を制御し位置の関数としてデータを取得できるように光学系を製作し、分子振動に対応した赤外スペクトルの画像を得るプロトタイプ分光系を製作する。
1481 大気中観測電子顕微鏡における高解像画像化の研究 上月 具挙 広島国際大学 山崎 均 (財)くれ産業振興センター 完全な大気圧下で観測できる電子顕微鏡を開発することが、本研究の最終目標である。我々は、試料(大気圧)と電子線源(真空)を分離するための電子透過膜として、軽元素で生体適合性の高いDLC(diamond-like carbon)膜を適用した。しかし、DLC膜を透過した電子の広がりが大きく、観察試料を画像化するまでには至っていない。本課題は画像化に効果的なDLC 膜の作製、電子線の抽出、及び透過した電子による画像評価を行うものである。
1562 生体内低酸素環境で選択的に機能する蛍光性pHプローブの開発 中田 栄司 徳島大学 斎藤 祐一 徳島大学 癌組織には、癌細胞の無秩序な増殖と未熟な腫瘍血管の不規則な新生が原因で、正常組織には存在しない低酸素・低pH・低グルコースなどに特徴づけられる癌の基本環境が形成されている。このような癌基本環境は、癌細胞であれば由来に関係なく存在しているため、これに応答する検出プローブの開発は、普遍的な癌の診断用プローブとして有用である。そこで、このような癌の基本環境である低酸素環境に応答し、同時に周辺のpH環境を検出できる蛍光プローブの開発をおこなっている。
1651 超音波の伝搬映像を利用した複合材接着構造の損傷画像化技術の開発 矢代 茂樹 愛媛大学 入野 和朗 愛媛大学 近年、航空機・ロケットをはじめ、自動車へも複合材料の使用量・率が拡大する中、部材の接合部で接着継手の増加が見込まれる。本課題では、超音波の伝搬を映像化する技術を利用し、接着継手の安全性を評価する技術を開発する。具体的には、超音波の伝搬映像から接合部の接着はがれを短時間で検出すると同時に、損傷を画像化して表示し、保守検査において損傷を容易に発見できる技術の開発を目的とする。特に、疲労損傷に対する超音波映像化試験と損傷の画像化手法(ソフト)の開発を行う。
1663 画像の同時性補償をした超高速度X線フレーミングカメラの開発 伊藤 芳浩 弓削商船高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 一般的な超高速度カメラは、光電効果を用いて光画像を電子の空間密度に変換し、パルス状の電界を加えることで、ナノ秒、ピコ秒の超高速シャッタリング動作を行う。本課題の目的は、超高速度X線フレーミングカメラの画像の同時性を光電子の走行時間を制御することで補償することである。目的の走行時間を得るためには、光電面を僅かに傾けるだけでよく、可視光ではこれで同時性補償は達成できる。X線の場合には透過力が高いため、全てが光電面で変換されずに一部が透過してしまうので、このアプローチだけではうまくいかない。そこでキャピラリプレートを用いて透過する不要なX線を減衰させる。
1666 CPT信号を用いた小型原子発振器の開発と応用 福田 京也 新居浜工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 レーザー光による量子干渉効果(CPT信号)を用いると、マイクロ波共振器が不要となるため原子発振器の小型化が可能である。今回、マイクロ波周波数で変調された二つの波長のレーザー光をセシウム原子セルに照射することでCPT信号を取得し、この信号を用いて小型原子発振器を開発、周波数安定度を評価する。発振周波数は外部環境磁場に依存する。そこでこの発振周波数の変化を観測し、非常に高感度な磁気センサーへの応用を模索する。
1712 テラヘルツ分光計測によるゴム評価法の開発 平川 靖之 久留米工業高等専門学校 末松 正典 独立行政法人科学技術振興機構 ゴムは実用に供されている身近な工業製品であるが、その開発・製造の大部分は経験に基づいており、必ずしも効率的であるとは言い難い。これは、ゴムの加硫反応や構造の科学的な解明が十分ではなく、製造時の状態評価も難しいためである。本課題では、新しい分光法として注目されているテラヘルツ(THz)分光法を用いたゴム評価法を開発することで、ゴム製造で重要な「練り」を光学・電気的に評価し、ゴム開発・製造の効率化に資することを目的とする。
1720 機能性銀ナノ粒子を用いた高感度芽胞検出システムの開発 池野 慎也 九州工業大学 北井 三正 (財)北九州産業学術推進機構 バチルス属等の食中毒原因菌が形成する芽胞を、機能性銀ナノ粒子を用いて高感度に検出する手法を開発し、食品・医薬製造における安全管理手法の改善を目的とする。具体的には、芽胞に特有の成分であるジピコリン酸(DPA)を独自手法で芽胞から抽出、その抽出液をDPAと特異的に結合する銀ナノ粒子と反応、その表面増強ラマン散乱光を分析することで、従来法では不可能であった迅速・特異的かつ高感度な芽胞検出法を構築する。
1738 高機能反発硬さ試験機の開発 松田 健次 九州工業大学 波多江 俊一 九州工業大学 これまで「反発硬さ」試験は、バルク材の単なる硬さ比較法に過ぎなかった。本研究は、衝突時に生じる物理現象を正しく理解し、その発生機構を定量的に解明する事によって、皮膜の評価にも使用可能な汎用性および利便性の高い反発硬さ試験法を確立するものである。
すなわち、当研究は現存する硬さ試験機(D型ショア硬度計およびビッカース硬さ試験機)が保有する特長を単独の装置で満足できる測定装置の開発である。
1759 高温融液における非平衡・準安定相その場構造解析装置の開発 藤野 茂 九州大学 出田 光太郎 九州大学 新規な機能性ガラスセラミックス材料を開発するためには、融液からガラス(固体)状態に達するまで、冷却過程、雰囲気、組成の制御によって、種々の非平衡・準安定相(相分離も含む)の発見やこれらの新しい相を利用することは重要である。従来用いられていた大きな坩堝容器を用いることなく、少ないサンプル量で、迅速に、高温における液体状態の“その場観察・構造解析システム”を開発することを目的とする。
1761 マイクロリットルサンプルの熱伝導率測定センサの開発 高松 洋 九州大学 出田 光太郎 九州大学 本研究は、流体の熱伝導率の新しい測定法とセンサの開発を目的としたものである。この方法は、シリコン基板上に梁状に形成した微細なMEMSセンサを用いるものであり、わずか1μl程度のサンプルの測定を1ms以下の極短時間でかつ定常状態で行える優れた特徴を有している。本研究では、センサの試作とそれを用いた液体の熱伝導率測定の実証を行い、実用化のための問題点を明らかにする。
1762 固相分光法のための簡易吸光光度計の開発と応用 吉村 和久 九州大学 出田 光太郎 九州大学 固相分光法とは、呈色した/する物質をイオン交換体に付着させ、その吸光度、或いは、蛍光強度の直接測定から対象物質の濃度を求めるものである。イオン交換体上では、測定対象物質が濃縮されているので、通常法の数百倍もの高感度測定が可能となり、さらに、様々な測定手法を比較的容易に高感度化できる。ICP-MSと同等の感度で化学分析を可能とする、固相分光法に特化して最適化を図った簡易測定装置を製作する。
1812 ビピリジル骨格を有する新規亜鉛/カドミウム選択的検出型蛍光センサーの開発 萩森 政頼 長崎国際大学 石川 宗晴 独立行政法人科学技術振興機構 亜鉛は酵素の活性制御、免疫能の賦活等、生体における必須微量元素である。また、カドミウムは、発がん性などの強い毒性を持ち多くの生物種で蓄積性がみられる。この2つの金属は同じ12族に属し、性質が類似しているため、2波長測定や比率測定を利用した従来の蛍光センサーでは、それぞれの金属に対する選択性は十分ではない。本研究では、蛍光性ビピリジル誘導体を利用して、亜鉛とカドミウムの選択的検出が可能な蛍光センサーの開発を目的とする。
1821 食品が有する各種活性酸素消去能の簡便・迅速な完全自動測定法の開発と応用 大山 要 長崎大学 藤原 雄介 長崎大学 本研究者はこれまでに、有効成分が有する活性酸素消去能を種別に連続測定できる手法の開発を目指し、小型化と連続分析が可能なシーケンシャルインジェクション装置、化学発光検出器及び各種活性酸素 (O2-/H2O2/OH・/1O2/OCl-/NO) 発生系を組み合わせた自動測定法の開発に成功している。本研究では、長崎県産農産物・海産物を対象に本法を用いた活性酸素消去能の測定を行い、実測定における本法のプロトコールの完全構築を目指す。他品との差別化志向が強く大きな需要が見込める食品分野で本法を実用化し、活性酸素消去能測定の標準法としての地位の早期確立を図る。
1848 光加熱プロセス(極短時間)における固体表面温度のリアルタイム測定法の開発 中宮 俊幸 東海大学 草野 民三 (財)くまもとテクノ産業財団 パルスレーザ光を中心とした極短時間の光プロセスは、微細加工、薄膜形成、超微粒子の創生、医学への応用(角膜形成、動脈硬化病変、歯科治療、整形外科)など多くの分野で用いられている。本課題では、最適な光プロセスを行うため、パルスレーザ光を固体に照射したとき、極めて短時間(ナノ秒)で進行する表面温度変化を常時モニター計測・把握する技術を開発する。
1866 広帯域周波数掃引方式巨大試料計測用 電磁ホーン型ESR装置の開発と応用 小林 正 大分大学 森岡 勝彦 大分大学 実用に供する電磁ホーン型電子スピン共鳴(ESR)装置を開発・整備している。当該装置のマイクロ波発振器を周波数掃引仕様にして、大型試料でも誘電ロスの大きな試料でも計測可能な周波数掃引方式の電磁ホーン型ESR装置を開発する。また試料設置部にMRIコイルを設置して、3次元ESRイメージング装置も開発する。これらの仕様・特徴を生かしたESR応用計測法も併せて開発する。
1868 金属表面膜の光学式膜厚計の開発と応用 井上 高教 大分大学 森岡 勝彦 大分大学 金属表面などに付着している異種の膜の厚さを精密に計測する機器を開発し、手法を確立する。操作性に優れた光ファイバーを用いる装置であり、膜厚数10nm以下の感度、測定エリア0.1mm以下の性能を目指し、様々な分野(半導体産業、自動車産業、金属産業)での応用可能な装置の開発を行う。具体的な対象として、まずはアルミニウム金属の表面の酸化物アルミニウムを行う。
1903 金属蒸着光ファイバーSPR屈折率センサーを用いるガソリン中のバイオエタノール分析法の開発 満塩 勝 鹿児島大学 中武 貞文 鹿児島大学 高屈折率媒体表面に形成した厚さ数十 nmの金属薄膜は、周囲の屈折率に鋭敏に応答して光を吸収する表面プラズモン共鳴(SPR)現象を誘起するため、高感度な屈折率センサーを構築することができる。本課題は、金属薄膜層を形成した光ファイバーコアまたはガラス棒を利用して、小型で単純な構造を持ち、高感度の屈折率測定装置を開発し、これを用いてバイオエタノール添加ガソリンの分析に関する研究を行うものである。
21(B) 超伝導・磁性薄膜のJc,μ評価装置の開発 大嶋 重利 山形大学 小野 浩幸 山形大学 超伝導薄膜や磁性薄膜の臨界電流密度(Jc)や透磁率(μ)を非破壊、非接触で測定できるシステムの開発は重要である。我々は、永久磁石を用いた新しい測定システムを提案し、その測定機器を開発している。試料を2次元的に移動させること或いは、測定素子を2次元的に移動させることにより、Jcやμの2次元マッピングが容易に測定できる。また、操作が容易なこと、スペースを取らないことなどを考慮し、パソコンで操作可能な、卓上型システムを開発する。
78(B) 生体臓器における酸化ストレスの可視化イメージング技術の開発 寺西 克倫 三重大学 中野 昭彦 (財)三重県産業支援センター 近赤外化学発光化合物を用いたリアルタイムで低侵襲的な研究用小動物を対象とした生体臓器におけるスーパーオキサイドの可視化二次元イメージング技術の構築を行ために、①小動物臓器からの微弱近赤外化学発光を検出するための検出装置の作製、②疾患小動物の各種臓器表面からの近赤外化学発光の検出法の最適条件の検討、③発光化合物の性能向上の検討、等を実施する。
81(B) レーザー駆動浸透クロマトグラフィーの開発と応用 一ノ瀬 暢之 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 本研究課題は、キャピラリー中へ熱可溶性ゲルに担持したナノメートルサイズの分子・粒子を試料として導入し、ゲルの熱溶解による試料の遊離、パルスレーザーの集光による衝撃波発生―試料の移動・分離、試料分子・粒子の分布密度―移動距離の画像測定、クロマトグラムの構築までを行う装置の試作を行う。これにより、核酸やタンパクなどの生体分子やナノ粒子の分析装置として必要な、サイズ(分子量)―移動距離に関するデータを取得する。
103(B) 固体触媒‐高温溶液系の紫外可視マイクロフロー吸光分光計の開発 川村 邦男 大阪府立大学 植嶌 陸男 大阪府立大学 本課題では化学工業界に現存する多くの古典的製造プロセスを高効率・省エネ・無公害の新プロセスに置き換えていくための研究開発ツールとして、固体触媒を伴う高温溶液反応の過程を、研究開発者が容易にその場で高速追跡できる紫外可視吸光分光計の実用化を目指す。これによって、これまで困難であった高温液相反応を直接観測することを可能にし、多大な労力を必要としてきた反応メカニズムの解明・触媒設計に大いに寄与する。
104(B) 磁場に不感な極低温汎用温度計の開発 四谷 任 大阪府立大学 巴月 康彦 大阪府立大学 極低温下で高磁場環境はSiウエハーの成長に使われるなど、最先端の科学技術を支える有用な環境である。このような環境や装置開発には室温から極低温まで合理的な感度と磁場に不感な温度計が不可欠である。研究代表者はCernox(Zr-N-O)を開発した経験から、Cernoxの欠点を改良した、小型で高速応答を備えた新たな温度計の開発を試みる。

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 加工・合成・プロセス:102件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
15 リサイクルアルミニウムを用いた硬質化合物分散ポーラス素材の開発 岩渕 義孝 釧路工業高等専門学校 東藤 勇 苫小牧工業高等専門学校 鉄や銅などを含有するため、カスケードリサイクルされる廃棄アルミニウムを再利用して、ポーラス素材を開発するもので、さらに一歩進んで、これらの有害金属を除去することなく、積極的に利用することで、金属間化合物を晶出形成させ、気泡の均一分散核および硬質相として活用した素材を製造するプロセスを確立するものであり、開発する素材は、アルミニウム基地中に、硬質の微細金属間化合物が均一分散している。
35 省資源・省エネ型高抵抗電熱薄帯の開発 桑野 壽 室蘭工業大学 加賀 壽 室蘭工業大学 現有の電熱素材は80%Ni-20%Crのニッケルクロム系か、72%Fe-22%Cr-6%Alのカンタル系に大別される。これら電熱素材には希少金属であるNiおよびCrが大量に含有されている。希少金属が少ない、安価な素材で、より高い電気抵抗を発現させることにより電気量が節約できる電熱素材を開発する。
64 放電プラズマ焼結法による高強度炭化ホウ素セラミックスの開発 高澤 幸治 苫小牧工業高等専門学校 東藤 勇 苫小牧工業高等専門学校 ダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素に次ぐ硬さを有する炭化ホウ素を、放電プラズマ焼結法特有の焼結機構と適切な焼結助剤の添加により、短時間で高密度・高強度なバルク体に焼結する技術の開発を目的としている。焼結体の各種特性に及ぼす焼結条件、焼結助剤および焼結助剤添加量の影響を検討し、目的達成のための知見を得る。
81 輝度向上フィルムを目指した光応答性キラル液晶の実用化開発 玉置 信之 北海道大学 佐藤 完二 独立行政法人科学技術振興機構 光応答性液晶は、光反応により、高精細に平面内、厚さ方向の光学異方性を誘起できるため、次世代の高性能光学材料として期待される。本研究では、独自に開発した光応答性キラル添加剤の光反応に伴う、ねじり力変化を利用して、液晶表示素子の重要な部材である。輝度向上フィルムを筒便に作製するための材料および作製方法を開発する。
103 中温作動型薄膜燃料電池のための電解質薄膜/金属アノード接合技術の開発 青木 芳尚 北海道大学 吉田 光則 北海道大学 FC自動車および汎用小型電源への本格展開に向け、次世代燃料電池は200−500℃の中温領域で作動することが望ましいとされる。本研究では、従来のセラミックス材料に代わり、緻密薄膜形成に適したアモルファス構造のプロトン伝導性酸化物薄膜を電解質に用い、水素透過合金平板アノードと組み合わせた薄膜セルを試作する。これにより、良好な発電特性を得るための薄膜/金属アノード接合を設計する。
106 フルオロアダマンタンの合成と医薬、機能性材料原料への利用 原 正治 北海道大学 吉田 光則 北海道大学 アミノアダマンタン類は抗ウイルス剤、あるいはアルツハイマー病やパーキンソン病の薬として利用されている。また、アダマンタン骨格を持ったポリマーは次世代フォトレジスト材料として期待されている。研究者は、電解法あるいはIF5をフッ素化剤として用いることにより、アダマンタンに選択的にフッ素を導入できることを見出した。本提案では、この方法で合成するフルオロアダマンタン類を利用して新規の医薬品や機能性材料への実用化を拓く。
164 エアロゲル型酸化チタン光触媒フィルターの開発研究 本間 哲雄 八戸工業高等専門学校 庄司 彰 宮城工業高等専門学校 本研究はゾル−ゲル法と超臨界乾燥法を組み合わせることで酸化チタンエアロゲル光触媒を作成し、空気清浄機フィルターとして利用することで粉末状光触媒の固定化課題を解決することを目的としている。全体構想として空気清浄機への実装に必要な前処理・乾燥工程における要素技術を確立し、各工程において亀裂・収縮のないゲルを作成する。また、ゲル作成時における化学組成を操作・添加剤を加えることで、エアロゲルの光触媒としての能力の向上を目指す。
186 高機能組織制御鋳鉄材料の複合化技術開発と応用 平塚 貞人 岩手大学 酒井原 啓人 岩手大学 鋳鉄を溶融接合すると急冷により溶接金属部と母材の境界部にセメンタイト(チル)が形成され、このチル組織が機械的性質を低下させる問題がある。省エネルギー、高性能化、軽量化の観点から自動車部品における「鉄系材料と異種材料との無チル化接合による複合化」が技術課題の1つである。本事業では、高炭素鉄系材料とステンレス鋼との接合界面組織の無チル化を試みるもので、異種材料との複合化方法を提案するものである。
200 ナノ複合フード材料としての香味成分/層状複水酸化物複合体の創製 成田 榮一 岩手大学 小川 薫 岩手大学 生体への親和性に優れた無機粉末材料として層状複水酸化物(LDH)が知られており、その基本層間に交換可能な陰イオンをもつため、分子コンテナとしての機能が考えられる。本研究では、一般に揮発しやすく、熱安定性が低いバニラやアニス、シナモンなどの香味成分(食味添加剤や香料)を化学的手法によりLDH層間に取り込み、熱安定性を有するナノ複合フード材料としての香味成分/層状複水酸化物複合体の創製を目指す。
216 アセチルアセトン錯体の配位子の脱離反応機構を制御した高品質MO-CVD 原料の開発 關 成之 仙台電波工業高等専門学校 山口 一良 独立行政法人科学技術振興機構 本研究課題は、金属アセチルアセトン(acac)錯体が有する配位子の脱離反応機構を制御し、半導体薄膜形成法の中で最も量産性の高い有機金属気相成長(MO-CVD)法で使用する高品質なファイバー状の錯体原料を開発することをにあり、①ZnO薄膜原料であるZn(acac)2を中心に、n型不純物およびp型不純物原料を含めた配位子の脱離反応機構を制御すること、②ZnO薄膜の作製に最適な、高純度、安定結晶構造を有するMO-CVD原料の製法を実現することを目標とする。
228 高強度レーザー場による「サブナノ合金粒子」の作製・評価 中村 貴宏 東北大学 芝山 多香子 東北大学 金属ナノ粒子は現在幅広い分野で用いられているが、その特性は表面に露出した配位不飽和状態の原子に大きく依存し、粒子径が小さいほど反応性が飛躍的に向上する。現在微粒子作製法の主流である還元手法では様々な化学物質の添加や複雑過程が必要であることに加え、作製される粒子の粒径は数nm程度である。本課題では、光照射だけでサブナノメートルで単分散合金超微粒子の作製が可能であることを実証し、高機能・高性能な微粒子のクリーンプロセスの基礎を確立する。
232 紫外線遮蔽機能を有する新規「有色光輝性体質顔料」の開発 佐藤 次雄 東北大学 芝山 多香子 東北大学 「雲母」等の板状ミクロン粒子は、肌のシミや皺を隠蔽し滑らかで美しい肌合いを得る「体質顔料」として化粧料に配合されているが、これらは「紫外線遮蔽機能」を持たず無色である。近年、太陽光による日焼け、加齢促進、皮膚癌の誘発を避けるために体質顔料に紫外線遮蔽機能を付与するとともに、着色と光輝性を付与することが望まれている。そこで、紫外光を吸収可能なチタン酸リチウムカリウム基単分散板状ミクロン粒子を「フラックス法」で作成し、その光化学特性を明らかにすることで紫外線遮蔽機能を有する新規有色光輝性体質顔料の開発を図る。
250 Mo基複合材料で得られた鉄鋼用摩擦攪拌ツールの高性能化 佐藤 裕 東北大学 平塚 洋一 東北大学 鉄鋼に対する摩擦攪拌接合に対する社会的ニーズは高まりつつあるものの、攪拌ツールの信頼性と耐久性の問題が残されている。本研究では、安価で高性能な鉄鋼用摩擦攪拌ツール材として高いポテンシャルを有するMo基複合材料のミクロ組織制御と攪拌プロセス最適化を行うことにより、既存ツールと同等もしくはそれ以上のパフォーマンスを示す安価な鉄鋼用摩擦攪拌ツール開発への指針を得ることを目的とする。
271 籾殻と炭素繊維端材からバインダレスで製造する高性能エコ摺動材料 熊谷 誠治 秋田県立大学 小川 斗鴻 秋田県立大学 農業廃棄物の籾殻と近年需要が急激に伸びる炭素繊維の廃棄端材から、フェノール樹脂などバインダを全く使用せず優れた摺動特性を有する複合体の製造技術を開発する。加熱および圧縮パターンを工夫したホットプレス法を用いて、籾殻粉末と切断炭素繊維の混合物から炭素・シリカ・炭素繊維複合体を得る。複合体の製造条件と摩擦係数および耐摩耗性の関係を明らかにし、先行開発されたRBやRHセラミックスを超える摺動特性を達成する。
288 星形イオウポリマーによる高屈折率フォトレジスト材料の開発 平田 充弘 山形県工業技術センター 中川 郁太郎 山形県工業技術センター 本試験では、ポリマー鎖末端に光硬化性基を有する分子量分布1.20以下の星形ポリチオエーテルを用い、精密光架橋反応による高感度フォトレジスト材料の開発を目的とする。具体的には、架橋剤に含イオウ化合物を使用し高屈折率化および基板との高接着性を図る。①架橋剤の種類・割合などに対する架橋効率が向上する系の模索、②基板への金属表面処理による剥離強度が向上する系の模索、③EB硬化による高精細パターンの達成を試みる。
289 溶融加工性を有する導電性ポリアニリンの創製とその応用 高橋 辰宏 山形大学 浦山 隆 山形大学 導電性ポリアニリンに、溶融加工性を付与できる機能性ドーパントなどを用いて、高導電性と溶融加工性の両方の特性を発現させる導電性ポリアニリンを作製する。導電特性、分光学的特性、溶融粘弾性、熱的特性、X線構造解析などをおこない、制御された溶融加工特性を有する高導電性ポリアニリンに関する基盤技術開拓と、その応用を検討することを目的とする。
290 血液-脳関門を通過するスピン剤の新規な製造法開発 波多野 豊平 山形大学 加藤 博良 山形大学 生体内の活性酸素種を生体が生きたまま視覚的にイメージングできる点において、電子スピン共鳴法(ESR)は優れている。しかし、核磁気共鳴画像法(MRI)を利用した画像化法に比べ、ESRイメージング法は十分な利用・普及には至っていない。それは、本法で必要となるスピン剤の経済的製造法がないためである。そこで本研究では、『血液−脳関門を通過するスピン剤に着目し、ESR研究者が使い易い価格での供給を可能とする新規な製造法の開発』を行う。
321 カソード界面用新規導電性ポリマー材料の開発 木島 正志 筑波大学 根本 揚水 筑波大学 高分子系の発光や光電変換素子を実用化するためには、素子の安定化、長寿命化、高効率化が必須でそのための優れたカソード界面バッファー層材料の開発が必要である。本研究では発光層とカソード電極間にスピンコート法等で被膜導入でき、発光性共役系高分子への効率のよい電子注入・輸送と素子安定化を実現する新しいカソード界面用新規導電性ポリマー材料を開発する。
341 新規複合酸化物触媒の開発による地球温暖化ガスの有用資源への高効率変換 江川 千佳司 宇都宮大学 山村 正明 宇都宮大学 地球温暖化をもたらすメタンと二酸化炭素を高効率に有用な合成ガス(水素と一酸化炭素)に変換する改質反応のための新しい触媒の開発であり、メタンの有効利用と二酸化炭素の削減再資源化を同時に実現できる技術である。本研究課題では、600℃以下でも高効率に変換できる新規な複合酸化物触媒による一層の効率化を図り実用化を目指すものである。
355 大気液相前駆体溶射を用いた光触媒セラミックス高速成膜法の開発 安藤 康高 足利工業大学 君島 好信 足利工業大学 液相前駆体溶射は、液相原料を熱プラズマ中に投入し、熱プラズマ中の化学反応により合成された微粒子を基材上に堆積させる成膜法である。本研究では、本プロセスの開放大気下での施工を可能にするため、プラズマトーチ先端に再加熱ノズルを設置し、合成した微粒子を溶融・活性化させた状態で基材へ輸送する。形成される皮膜の引っかき強度(JIS K 5600鉛筆法)は6H以上、基材との密着力は25MPa以上を目標値とする。
395 強発光性含カルコゲン複素環化合物の開発と発光材料への応用 中田 憲男 埼玉大学 東海林 義和 埼玉大学 本研究では、独自に開発したカルコゲナプラチナサイクルあるいは含カルコゲン複素環化合物の薄膜状態における多彩な発光特性の発現を目指した適切な化学修飾反応(配位子交換反応、金属交換反応、置換基効果)から一連の新規誘導体を開発し、π共役系化合物に代わる新たな次世代発光素子に応用可能な薄膜材料としての実用化を検討する。
431 フォトリソグラフィー技術を指向した高分子表面のフルオロアルキル化法の開発 矢島 知子 お茶の水女子大学 河村 哲也 お茶の水女子大学 デバイス製造におけるリソグラフィー技術の中で、インクジェット方式によるパターンの構築は簡便な方法として注目されている。そのパターン構築の微細化にはフッ素コートされた表面を削り取る方法が取られているが、望む表面への光処理による直接フッ素化が可能となれば、フッ素コート、型の作成、削取の工程が不要となり、極めて効率的である。そこで本課題では、高分子材料表面の光反応によるフルオロアルキル化の開発を行う。
490 高分子に固定したシクロデキストリンを利用したポリオレフィン用超分子型添加剤の開発 豊田 昭徳 東京農工大学 堀野 康夫 東京農工大学 ポリオレフィン(PO)材料は安価・軽量という特徴を持ち自動車をはじめ多くの製品に使用されているがPOには極性基がないため易帯電性、難塗装性、難接着性などの弱点がある。シクロデキストリン(CD)を固定したPOを合成した後、CDに極性をもつ各種化合物を包接させることで高い極性を付与した高分子型添加剤を開発し、極性を飛躍的に向上させ、長期持続性をもつ超分子型高分子添加剤の開発を行う。
501 超臨界二酸化炭素を用いた表面特性を制御したポリオレフィン系複合体の開発とその製造方法 星 徹 日本大学 峯崎 隆司 日本大学 本技術は超臨界二酸化炭素(scCO2)中で調製したポリオレフィンと異種高分子との複合体の表面修飾により機能性表面を有するポリオレフィン系複合体を作成でき、従来のプラズマ処理技術などでは達成できない内径300μm、長さ5mの非常に細長いチューブのような成形加工された基材の表面を直接修飾することが可能である。本提案では一連の工程をscCO2中で行うことで有機溶剤を使用しない環境低付加型材料創製技術の構築を目指す。
511 連鎖反応を利用した汎用性常温アミン合成法の開発 星野 雄二郎 横浜国立大学 西川 羚二 横浜国立大学 最近我々は塩基のみでヒドロキサム酸(RCONHOH)が転位してアミン化合物が高収率で得られる反応を見出した。本技術をさらに改良すれば、常温でのカルボン酸誘導体の転位反応による簡便なアミン合成法が可能となる。本研究課題では、汎用性の高い溶媒中で、少量の活性化剤導入を引き金に常温で連鎖型転位反応を達成することを目標とする。この実現により、大量合成を含めた実用的なプロセス合成へと展開が期待される。
524 ソーラー駆動チップ・コンビナートによるレアメタル粒子回収システムの開発 佐藤 洋平 慶應義塾大学 佐藤 修 慶應義塾大学 環境・資源保全の観点からレアメタル回収のニーズが高まっており、高い費用対効果を達成するために、400個のマイクロ化学チップを連結したチップ・コンビナートによるレアメタル粒子回収システムの開発を行う。手の平サイズの交流誘電泳動チップによって溶液中のレアメタル粒子の回収を行うが、供給電源としてCO2排出ゼロのソーラー発電を本研究では採用し、助成期間内に年間約0.4 kgのレアメタルの回収を目標とする。
536 摩擦低減用高耐熱硬質TiN−MoS2複合膜の開発 神崎 昌郎 東海大学 加藤 博光 東海大学 本研究においては、スパッタリング法により高硬度で耐熱性に優れるTiNにMoS2を添加し、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜と同等以上の摩擦特性(摩擦係数0.1以下)を有するTiN−MoS2複合膜の開発を目的とする。また、耐熱性に優れる新規潤滑性硬質膜として、DLC膜の適用が困難なエンジンの摺動部品(アペックスシール)や難削材加工用切削工具表面にTiN−MoS2複合膜をコーティングし、フリクションロス低減や切削抵抗低減を実現させる。
576 Mg合金切削屑の高機能金属間化合物へのリサイクル 南口 誠 長岡技術科学大学 塩浦 時宗 長岡技術科学大学 Mg合金切削屑をSiなどと反応させて高機能金属間化合物としてアップグレードリサイクルする手法を確立する.ここでは特に熱電変換材料として期待されているMg2Siの合成について検討し,リサイクル製造プロセスの最適化と特性評価,熱電素子を試作する.熱電変換素子の利点を生かすため,アウトドアや災害時の電源として利用できるような携帯型発電ユニットを想定し,使用温度である600℃前後での高温酸化特性や熱衝撃特性についても検討する.
592 ドライエッチングによるポリマー3次元ナノ構造形成技術の開発 鍋澤 浩文 富山県工業技術センター 谷野 克巳 富山県工業技術センター マイクロ流体デバイスにおいては、複雑な流体制御や集積化された機能性タンパク質を利用した高感度分析を実現するために、マイクロ流路表面の局所に100nm〜1000nm程度の微細な構造を正確かつ簡便に構築し、表面の吸着性や濡れ性を制御することが望まれている。そこで、本研究では、ドライエッチングと微粒子配列技術を融合することにより周期的な3次元ナノ構造を形成する技術を開発し、生体高分子の高感度検出を目的としたマイクロ流体デバイスへの応用を図る。
614 次世代SiC半導体デバイス開発に向けた短パルス金属イオンビーム技術の確立 伊藤 弘昭 富山大学 岩瀬 洋一 富山大学 次世代型SiCデバイスの実用化を目指し、イオン注入とアニール処理が同時にできるSiCへの新しいイオン注入法の研究を行ってきた。イオン注入法では、n型・p型ドーパントが必要であり、n型ドーパント用の大電流パルスイオンビームの開発には成功した。本課題は、これまで開発してきたパルスイオンビーム技術に真空アーク放電を利用した金属イオン発生技術を融合することで、p型ドーパントとして機能するアルミニウムイオンビームの発生技術の確立を目指す。
653 電磁場変動形熱プラズマによるナノ粒子の新しい高速選択生成法の開発 田中 康規 金沢大学 平野 武嗣 金沢大学 本研究では、申請者らが開発した「高気圧変調誘導熱プラズマ」を用いた、新しい熱プラズマナノ粒子高速生成技術の開発を目的とする。高気圧変調型誘導熱プラズマは、不純物のない誘導熱プラズマを意図的に時間変動させ、熱プラズマの温度・ラジカル密度の時間平均値を制御し、高気圧プラズマにも非平衡性を導入する新手法である。ここでは高気圧変調誘導熱プラズマでセラミックナノ粒子の生成を行い、変調条件、特にDuty factorに対する生成粒子への影響を検討する。
714 高導電性を有するITO代替酸化物の大口径高品質単結晶育成技術の開発 田中 功 山梨大学 還田 隆 山梨大学 アルミン酸カルシウム(Ca12Al14O33; C12A7)単結晶は、熱処理によりUV感応透明導電性や1,500S/cm以上の高導電性を有することから、ITOに代わる次世代の透明導電性材料として有望である。本研究では、傾斜ミラー型赤外線集光加熱式FZ法により結晶成長界面の形状を制御するとともに溶融帯の安定化を図ることで、大口径で良質なC12A7単結晶を育成する技術を確立する。
736 超臨界二酸化炭素を利用した高分子エマルションの微粒化技術の開発 内田 博久 信州大学 田草川 信雄 信州大学 本課題は、O/W型高分子エマルションの微粒化技術に関するものであって、超臨界二酸化炭素の高分子に対する高溶解性と高拡散性を利用し、水(連続相)中に分散している高分子微粒子(分散相)に超臨界二酸化炭素を溶解させた高分子エマルションを微細ノズルを通して大気中に急速放出し、この際に生じる剪断力と分散相内の二酸化炭素の膨張による破裂効果により分散相を微細化させる手法である。本課題では、試験レベルがほぼ終了した本技術の医薬・化粧品分野での実用展開を目指して、「技術の汎用性の強化」と「分散相粒径の自由設計の実現」を目標とする。
751 小型高性能モーター開発のための金属粉末マイクロ波磁気加熱の研究 田中 基彦 核融合科学研究所 佐藤 元泰 核融合科学研究所 マイクロ波の磁気成分は、磁性金属及びその酸化物粉末を、高いエネルギー効率で加熱し、焼結物は優れた連続非晶質(ナノドメイン構造)の素材特性をもつ。車載用モーターには小型・高性能化が要求されており、この素材を用いることで、従来の2倍の磁気特性が予想される。マイクロ波による磁気加熱の機構は代表研究者により解明されつつあるが、加熱電力吸収式の妥当性や種々の材料における加熱特性など、応用にとって必要なデータが欠如している。この研究課題では、マイクロ波磁気加熱特性のデータを実験により収得、その過程を分子動力学法などで理論的に解明し、連続非晶質を再現性よく安定的に作り出し将来の製品開発につなげる。
754 ポリマーブレンドによる染色可能な改質ポリプロピレン繊維の開発 林 浩司 岐阜県産業技術センター 梅村 澄夫 岐阜県産業技術センター 本研究では、ポリマーブレンド法によりPPを改質してPP繊維に染色性を付与する検討を行う。具体的には「PP(海成分)/染色可能な高分子(島成分)」において、最適な染色可能高分子を調査し、そして溶融紡糸時においてそのブレンド体の海島構造を制御する。この技術により、4大汎用樹脂の一つでありながら、ほとんど繊維素材としては利用されていなかったPP繊維について、一般衣料、スポーツ衣料、インテリア製品などへの応用が期待できる。
799 木をテンプレートとした新規多孔体セラミックス複合材料の開発 安達 信泰 名古屋工業大学 箕浦 秀樹 (財)岐阜県研究開発財団 本研究では、木をテンプレートとして得られたセラミックス多孔体の1次元細孔に有機物や他の機能を有するセラミックスを充填、あるいはコーティングすることにより、新たな複合機能材料を開発することを目的とする。具体的には、多孔体フェライト磁性体の1次元細孔に誘電体有機物を充填した磁性−誘電体材料を作製し、磁性と誘電性の評価を行う。また、異なる電磁波吸収特性を持つ磁性体を充填して、ブロードバンドに対応した電磁波吸収材としての可能性を評価する。
801 炭酸ガスレーザーによるアラミド繊維の染色 三浦 清 静岡県工業技術研究所浜松工業技術支援センター 磯部 賢二 静岡県工業技術研究所浜松工業技術支援センター 本技術は、材料の性質上染色が困難なアラミド繊維の染色に、レーザーによる急速加熱によりプリントした染料を拡散させて繊維の染色を行う方法である。これまで、半導体レーザーと、赤外光吸収性のある染料の組み合わせで染色してきたが、本提案では、繊維そのものに吸収能のある炭酸ガスレーザーを用いることで、より多様な染色を可能にするものである。
827 グレージングへの応用を目指した重合開始剤フリーの紫外線硬化型樹脂の開発 藤原 梨斉 愛知県産業技術研究所 齊藤 秀夫 愛知県産業技術研究所 樹脂ウインドウ(グレージング)は、自動車の軽量化の有望な手法として研究開発が進められているが、ガラスに較べ、樹脂表面は傷つきやすく、耐候性も劣るという問題がある。本研究では、マレイミド化合物を含有し、光重合開始剤を添加しなくても紫外線照射により光重合反応が誘起され、硬度や耐熱性の優れたネットワークポリマーを形成する紫外線硬化型樹脂組成物を開発し、グレージングなどへの応用を目指す。
828 無機・有機繊維複合化不織布の機能性発現に関する研究 山田 卓司 愛知県産業技術研究所 齊藤 秀夫 愛知県産業技術研究所 現在、産業資材として使われている不織布は、製造が容易な有機繊維不織布が汎用的に用いられているが、難燃性など機能性に関して課題が多いのが現状である。これに対して、難燃性や高強度を有する無機繊維の不織布は高機能である反面、製造が困難な不織布である。そこで、有機繊維と無機繊維の特徴を生かした不織布を開発する。無機繊維に有機繊維を混綿することにより、不織布の製造を簡便にし、無機繊維の特徴も兼ね備えた不織布の開発を目指す。
852 フッ素ゴムの気体透過低減コーティングの研究開発 池山 雅美 独立行政法人産業技術総合研究所 渡村 信治 独立行政法人産業技術総合研究所 フッ素ゴムは種々の真空装置に広く用いられている。フッ素ゴムの気体透過率を低減出来れば、到達真空度や排気速度の向上し、不純物低減やプロセス時間短縮が出来る。気体透過率低減技術としては、既にダイヤモンド状炭素(DLC)膜形成が実用化されているが、フッ素ゴムではその透過率低減効果は僅かしかない。それは、フッ素ゴム表面の分子間に大きな隙間があるためである。本課題では、隙間を埋める工夫とより低温でDLC成膜する技術を開発する。
859 高機能性有機分子自動合成用高分子不斉触媒の開発 伊津野 真一 豊橋技術科学大学 村田 勝英 豊橋技術科学大学 医薬品等の高機能性有機化合物の開発には、多種類の光学活性有機分子を効率よく合成するプロセスが必須である。本研究では高分子に高活性不斉触媒を組み込み、不斉反応に利用する。高分子組み込み型不斉触媒は、自動合成装置のリアクター部に装着して使用することができる。高分子の疎水性−親水性のバランスを調整し、有機基質分子を効果的に取り込むことで、従来の高分子触媒では達成されなかった高活性高分子不斉触媒を開発する。
880 チタン/生体高分子系新規傾斜機能材料の開発と生体材料への応用 渡辺 義見 名古屋工業大学 小澤 理夫 (財)名古屋産業科学研究所 TiとNaClの混合粉末を放電プラズマにより焼結し、その複合材料を熱湯にて処理することにより、貫通孔を有するポーラスチタンが製造できることを見いだしている。このポーラスチタンには、溶融した生体高分子に浸し、減圧、常圧復帰のサイクルを繰り返すことにより生体高分子の含浸が可能であり、これらは特許として出願済みである。しかし,従来法は①含浸に手間と時間が掛かり、また、②高分子によっては材料中心部までの含浸が困難であるという問題点を有している。本研究では特許出願予定の新規手法で高分子含浸を試みる。
885 大気圧プラズマを用いた低温高速加工処理システムの開発 木村 高志 名古屋工業大学 堀 伸一 (財)名古屋産業科学研究所 低温高速加工処理は、研削や研磨といった機械加工と異なる、半導体製造プロセスでの基板材料の加工に代表される非接触かつ低温での加工処理技術として需要があるものである。本加工処理は、従来の低圧プラズマに比べ、大気圧プラズマによるプロセスが非等方性の点では劣るものの高速化は容易にできる。そこで、本研究では、大気圧プラズマ中で生成された活性粒子をプラズマリアクタ下流部に設置した材料に照射することで、より低温で高速に加工処理できるシステムの開発をする。
912 亜鉛-グリニャール反応剤によるアルコール、アミンの工業的製造法の開発 波多野 学 名古屋大学 大森 茂嘉 (財)名古屋産業科学研究所 アルコールやアミンは、アルデヒド、ケトン、イミンのアルキル化が主たる工業的合成法である。しかし、工業的に汎用されているアルキル化試薬は、反応の制御が困難で、過剰量の試薬が必要な上、多くの副反応が併発する。本研究課題では、氷温から室温程度の温和な条件下で、アルコールおよびアミンを安価に製造できる高活性亜鉛触媒を用いたアルコールやアミンの合成技術をブラッシュアップし、実用可能な大量製造法を開発することを達成目標とする。
924 降温圧縮ねじり加工による高強度・高加工性マグネシウム合金の開発 久米 裕二 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 降温圧縮ねじり加工を用いて、マグネシウム合金の結晶粒径や結晶配向、析出物の形状・分散状態などの微視組織を高度に制御することにより、高強度・高加工性マグネシウム合金を開発することを目的としている。具体的には、圧縮応力下で連続的にせん断変形を付与できる「圧縮ねじり加工」の加工温度を高温から連続的に低下させ、今まで不可能であった低温での加工を可能にし、高度な微視組織制御を行い、高強度・高加工性を実現させる。
940 非水溶媒中溶媒和電子を用いた新規金属ナノ微粒子創製プロセスの開発 寺門 修 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 ナノサイズの金属微粒子は特異な物性を示すことから、その応用が期待されている。アルカリ金属などはアンモニアなどの非水溶媒に溶解し、溶媒和電子を放出して準安定な均一溶液を生成する。本課題においては、強力な還元剤として知られるこの溶媒和電子を用い、磁性材料等の金属ナノ微粒子合成プロセスの開発を目的とする。物性測定のために代表研究者がこれまで培ってきた溶液作成技術を用い、粒径を制御した製造プロセスの開発を狙う。
1000 ナノ材料精密成長のためのパルス変調ガス導入型高真空CVD装置の開発 佐藤 英樹 三重大学 新原 英雄 三重大学 本研究では、複数の原料ガスをパルス状に変調してリアクタ内に導入することを特徴とする高品質ナノ材料(カーボンナノチューブ:CNT)生成法の開発を行う。本方法では、CVDリアクタ内へのガス流量制御を従来方法よりも精密に行うことが可能である。これにより、各原料ガスの機能をより明瞭に発現させることができ、従来よりも高効率な精密CNTプロセスの構築が可能となる。
1021 超臨界流体を用いた表面処理技術に関する研究 中島 啓嗣 滋賀県東北部工業技術センター 川嶋 眞生 大津市 ポリオレフィン系樹脂は、潤滑性、耐摩耗性に優れるとされているが、長時間の使用においては摩擦熱による表面溶融により十分な性能が得られず、使用環境・条件が制限されているのが現状である。そこで、架橋性物質(熱硬化性樹脂モノマー等)を超臨界二酸化炭素中でポリオレフィン系樹脂に含浸・反応させることにより、表面硬化・物性の改善を図り、長時間使用に耐えうるための後加工技術を確立する。
1040 高圧処理によるリサイクル可能な耐熱ポリブテン樹脂の性能強化 山下 基 立命館大学 松田 純 立命館大学 ポリブテン樹脂は高い力学性能と耐熱性をもち、数十回以上の再成型加工が可能なリサイクル性能を有する次世代の環境調和型ポリオレフィンである。しかしながらポリブテン樹脂をメルト状態から成型加工すると不安定結晶が生成され、その後安定結晶へと結晶相転移を起こし、これに伴ってひずみを生じることが実用化を行う上での大きな問題となっている。本試験では、高温ならびに高圧アニール処理を行うことにより耐熱性能をさらに強化させたポリブテン樹脂の結晶化および成型加工技術の実用化を目的とする。
1079 少工程による薄肉・均一・背高のフランジ付きステンレス容器の作製法の開発 飯塚 高志 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 薄肉・均一・背高なフランジ付き容器を一工程で作製する方法として考案した“圧縮張出し・しごき加工”を軟鋼板およびステンレス鋼板の加工適用し、これら材料の基礎的な加工特性を把握するとともに本加工法の可能性および有効性に関して検討する。この加工法は他の加工法に比べて少工程の加工であり、これまでに軟質アルミニウム材に適用可能であることが確認できている。さらに強度の高い材料の加工に適用できれば汎用性を示すことができる。
1094 薄型テレビの高品位廃ガラスを用いたセラミックス基板材料の開発 高石 大吾 京都市産業技術研究所 河島 俊一郎 独立行政法人科学技術振興機構 薄型テレビが急速に普及する中で、液晶ディスプレイの廃ガラスの有効利用技術は確立されていない。組成が特殊なためカレットとして再利用できず産廃処理されており、有効な利用技術の開発が強く望まれている。当該ガラスは厳しい品質管理の下で生産された高品位かつ特徴的な組成の原料であることに着目し、当センターが独自開発した低温焼成ガラスセラミックス作製技術を基に、高周波特性に優れた低誘電率セラミックス基板材料を開発する。
1096 繊維表面共有結合法によるノンハロリバーシブル撥水加工 上甲 恭平 京都女子大学 加藤 眞行 独立行政法人科学技術振興機構 現在、繊維の撥水加工はフッ素を含有した加工剤による樹脂コーティング法が中心である。最近では、蓮の葉表面の原理を組み合わせたNano-Tex加工と称した方法で繊維だけでなく和紙などにも応用され、水の接触角が150°以上の超撥水を実現させている。本発掘試験研究は、フッ素を含まない炭化水素化合物のみを繊維表面に共有結合させることによりNano-Tex加工繊維で得られた同等あるいはそれ以上の撥水性が得られたことから、炭化水素鎖長と撥水性との関係、異種炭化水素の順次加工と撥水性との関係などを詳細に検討することにより、撥水度の制御を可能としたノンハロリバーシブル撥水加工法の実用化を目指す。
1103 電解重合によるカーボンリッチデンドリマーの創成 野上 敏材 京都大学 石田 政隆 関西ティー・エル・オー株式会社 本研究は樹状高分子の主鎖が炭素と水素のみからなるカーボンリッチデンドリマーを電気化学的手法(電解重合反応)によって効率的に作り出すことを目的としている。本研究課題の目標は①「電解重合可能なモノマーの基質範囲の拡張」と②「高分子量のポリマーを与える電解重合条件の確立」である。具体的な実施内容としてはケイ素置換基によって活性化させたモノマー分子の合成と電解酸化条件下における重合反応について詳細な検討を予定している。
1116 花弁状表面形態を有する酸化チタンファイバーの開発と光触媒への応用 長嶺 信輔 京都大学 冨松 亮介 関西ティー・エル・オー株式会社 本研究は、ハンドリング性、触媒活性を併せ持つ光触媒ナノファイバーを作製することを目的とする。研究代表者らは、静電紡糸法を利用した酸化チタン中空ナノファイバーを作製する手法を開発している。また、酸化チタン微粒子の表面にナノスケールの花弁状形態を付与する技術を開発した。本研究ではこれらの技術を組み合わせ、花弁状表面形態を有する酸化チタンナノファイバーを作製し、その光触媒としての実用性について評価する。
1140 2液迅速脈動混合マイクロ流体デバイスの開発とナノ粒子合成への応用 菅野 公二 京都大学 河島 俊一郎 独立行政法人科学技術振興機構 2種の溶液を十字混合流路へ交互に送液する新しい脈動混合用マイクロ流体デバイスを作製し、従来より2桁高速な数ミリ秒での混合を実現する。さらに,本手法を粒子径分散が混合速度に支配される2液混合液相還元法による金ナノ粒子合成に応用し、高感度な表面増強ラマン分光(SERS)に適した直径60 nmの金ナノ粒子を従来法より1桁小さい粒子径標準偏差2 %以下で合成することで本手法の有用性を実証し、SERSによる化学分析の実用化に重要な分析の再現性向上を実現する。
1173 磁気ディスククリーン化プロセスへの高密度高配向カーボンナノチューブの応用 谷 弘詞 関西大学 柴山 耕三郎 関西大学 ハードディスク装置(HDD)の高記録密度化のためのクリーニング(塵埃除去)として、クリーニングヘッドに高密度・高配向カーボンナノチューブ(CNT)をSiC表面分解法で形成する。そしてCNTの接触摺動時の柔軟性と均一性を利用して、塵埃や突起を除去するクリーン化プロセスへ応用する。目標は磁気ディスク上の塵埃除去率(CNTクリーニング後/クリーニング前)を90%以上とする。
1199 機能性ポリゲルマン合成のための新規なゲルマニウムカップリング法の開発 板崎 真澄 大阪市立大学 立川 正治 大阪市立大学 ポリゲルマンは、特異な光吸収や電荷移動を示すため、次世代の光学材料として期待されている。従来法ではクロロゲルマンを金属ナトリウムやカリウムと反応させるため、非常に危険を伴うだけでなく、基質が制限される、高分子量のポリマーが得られないなどの問題があった。本課題は、安価な鉄を金属中心にもつ錯体を触媒とすることで、安定なヒドロゲルマンを脱水素縮合させることにより、高分子量の機能性ポリゲルマンを安全かつ簡便に合成しようというものである。
1207 超音波照射により発光制御する新規白金錯体の開発 小宮 成義 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 代表研究者らは、短いメチレン鎖で架橋された環状2核パラジウム錯体を含む安定な有機溶液が、わずか数秒間の超音波照射により分子集合を起こし、溶液が瞬時に固まる新現象を見出している。本課題では、短いメチレン鎖で架橋することにより金属配位平面に歪を発生させた環状2核・単核白金錯体の合成を行い、外部刺激により発光波長や発光強度の制御可能な分子の開発を行う。その分子構造・電子構造を明らかにし、発光性材料への展開の基礎を築く。
1212 パラジウム2価−4価サイクルを経る新規不斉触媒反応の開発 笹井 宏明 大阪大学 清水 裕一 大阪大学 これまで実現が困難であったパラジウム2価−4価(PdII/PdIV)サイクルを経るエナンチオ選択的触媒反応を創出し、有用な生理活性物質の効率的合成法へと発展させる。酸性条件や酸化条件に対し安定なキラルスピロビスイソオキサゾリン配位子(SPRIX)を最大限に活用し、ラクトンやラクタムといった医薬品などへの応用が期待できる光学活性化合物の実用的な合成を行う。
1242 高空冷能を有する直線気孔ポーラスアルミニウムヒートシンクの開発 中嶋 英雄 大阪大学 武井 廣見 独立行政法人科学技術振興機構 大容量化による発熱量の増大で期待される水冷ヒートシンクは水や液体漏れの危険性、腐食性、液体循環の駆動装置の設置のデメリットなどを抱えている。この難点を克服するために本研究では、大きな貫通気孔を有する高気孔率の直線気孔ポーラスアルミニウムを開発しこれを用いた超軽量のコンパクト性に優れた高熱伝達性、高冷却能を有する、パワーモジュール用空冷ヒートシンクの開発を目指す。
1249 ハロゲンフリー高純度エポキシド化合物の製造法 市原 潤子 大阪大学 武井 廣見 独立行政法人科学技術振興機構 電子産業分野では電子部品の小型化や高機能化に伴い、エポキシ樹脂はハロゲンフリーの高純度品が要求される。この要求を満たす省資源・省エネルギー型の新しい酸化技術を開発した。アルケンと過酸化水素水をアパタイトなどの無機固体粉体に染み込ませ粉体状態でハロゲンフリーのエポキシドを効率良く合成する。本技術を用いて、電子分野で必要とされるエポキシ樹脂原料グリシジルエーテル型エポキシ化合物をハロゲンフリー高純度品として製造する。
1258 照明用LED応用を目指した酸化亜鉛基板の大径化 芦田 淳 大阪府立大学 阿部 敏郎 大阪府立大学 酸化亜鉛はGaN系白色LED用基板結晶の最有力候補であるが、現行市販品は極めて高価である。代表研究者はこれまでに、電気化学的手法による高品位ZnO薄膜の成長に成功した。その際、原料溶液中で成長反応に伴って生じる過剰水酸基が結晶粒の大型化を阻害していることを見出した。本研究は、電気化学的プロセスにおいて溶液組成の厳密制御を行うことで低コスト・高純度・高品位ZnO単結晶育成を実現し、低環境負荷LED照明の高効率化・低価格化の手段を提供する。
1264 メカノケミカル効果を利用した医療用マグネタイトナノ粒子の低環境負荷合成 岩ア 智宏 大阪府立大学 稲池 稔弘 大阪府立大学 マグネタイトナノ粒子の合成反応場として機械的エネルギー場を利用した新規な低環境負荷型の合成プロセスを構築し、メカノケミカル効果によって熱エネルギーの付加では進行しない中性溶液での合成反応を室温で促進させる。溶液に作用させる機械的エネルギーの制御と溶液中で共存するアニオンの鉄イオンとの錯形成を利用することで、界面活性剤を使用することなく粒子径と凝集状態を制御したマグネタイトナノ粒子を短時間で合成する。
1276 アクティブフィラー法による耐食性セラミックス厚膜の新規低温コートプロセスの開発 成澤 雅紀 大阪府立大学 亀井 政之 大阪府立大学 本研究は市販シリコーン樹脂の一種であるポリメチルシルセスキオキサン(以下PMSQ)と金属アルミニウムとの複合体シートをステンレス等の金属基板上でプレス、焼成することにより、耐熱耐食性セラミックスコート層を厚膜で形成させるという、独自的なプロセスの開発を目的としている。ステンレスを例にとるならば、弱点とされる高温塩水環境を始めとする過酷な化学腐食条件下での飛躍的な性能向上が期待される。
1277 改良コロイド法による貴金属/酸化物ナノ粒子触媒の創製とガス拡散電極への応用 樋口 栄次 大阪府立大学 亀井 政之 大阪府立大学 本研究課題では、食塩電解用の高活性なガス拡散電極を創製することを目的として、本研究者らが開発した改良コロイド法を利用して種々の貴金属/酸化物ナノ粒子を調製し、食塩電解用のガス拡散電極としての性能を評価する。改良コロイド法の特徴は、1段階の反応で金属と酸化物のナノ粒子が同時合成可能であり、得られる触媒は、貴金属と酸化物がナノ粒子であることから表面積の増大が得られるとともに、粒径分布も狭いため、高い触媒活性を維持したまま触媒量を低減できる。
1306 Fmoc法による水中固相合成法の基盤技術への展開 北條 恵子 神戸学院大学 岡野 敏和 神戸大学 ペプチド合成では大量の有機用溶媒を必要とし、この有機溶媒は最終的に燃焼処理されるため環境への負荷が大きく、使用の低減化が望まれている。有機溶媒の使用は、ペプチド合成のbuilding blockである保護アミノ酸が水に難溶なことに起因する。しかし、代表研究者は保護アミノ酸の水分散型ナノ粒子化により、水中合成が可能であることを見出した。本課題では、この技術をペプチド合成におけるグリーンケミストリーの基盤技術とするため、安定性の優れる水分散型ナノ粒子調製法の確立、水中固相反応の効率化を目指す。
1307 非水媒体を用いた機能性核酸の高効率生産プロセスの開発 丸山 達生 神戸大学 塩野 悟 神戸大学 核酸の酵素的合成の課題であった分離技術について、最近代表研究者らは、非水媒体液液抽出により目的塩基配列の核酸だけを選択的に分離する技術を開発した。本研究では、その実用性を証明するために、有用な機能を持つ核酸を酵素反応により大量合成し、その機能性核酸をダメージを与えることなく高効率に分離・精製できることを実証する。これにより、酵素反応による核酸合成と非水媒体液液抽出を組合せた、産業応用可能な新規核酸生産プロセスを提案する。
1327 励起・制御光パルスを用いた光異性化反応の制御方法の開発 和田 昭英 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 本研究では、複数の光パルスを使って、従来の光化学ではできなかった反応選択性を実現する手法を開発することを最終目的とする。従来の光化学では、光励起のみを行っているため、励起後は反応系の緩和任せになり様々な副生成物が生成している。本研究では、励起パルスに続いて制御パルスを系に照射することで、励起パルスによって始まった反応を制御パルスにより制御する新しい光化学的手法の可能性を検証する。
1348 金属ドメイン内包タングステン炭化物の開発と省資源超硬合金の実用化 森下 政夫 兵庫県立大学 松井 康明 兵庫県立大学 超硬合金はWCを結合相Coで焼結した合金であり、各種工具や金型として、機械産業を中心にして大量に使用されている。最近、タングステン価格が乱高下し、超硬合金の安定供給が困難となっている。本研究では、 WC骨格中に金属Co相、あるいはFe、Mnを含むCo固溶体相をナノ・メゾサイズで微細に形成した新規炭化物の作製を試み、従来の性能を維持したまま、しかし、タングステン含有量を削減した超硬合金原料の製造法を検討した。
1354 高熱伝導・低熱膨張を特長とする新規複合材料の開発 八重 真治 兵庫県立大学 瀧澤 精一 兵庫県立大学 水溶液に浸すだけの簡便で低コストなウェットプロセスにより、シリコン表面から内部に微細立体構造を形成し、さらにその表面に金属被覆・充填を行う。これにより、パワーデバイスなどの高出力半導体素子のヒートシンクなどとして利用可能な、高熱伝導性を持つ低熱膨張性複合材料を開発する。
1357 溶液プロセスによるCa系新規ヘキサゴナルフェライトの合成 菊池 丈幸 兵庫県立大学 八束 充保 兵庫県立大学 近年になって、不定比性の大きい化学組成ではあるが合成の報告がなされたCa系ヘキサゴナルフェライトは、従来の一般的なヘキサゴナルフェライト(Ba、Sr、Pb系)と比較して高い磁気特性を有することから、より強力な永久磁石や、強磁性体メモリー等の新規な磁気デバイスへの応用が期待されている。そこで本研究では、通常の手法では合成が困難なCa系ヘキサゴナルフェライトについて、種々の溶液プロセス(主として錯体重合法)を駆使した合成を試みる。
1365 保存可能な調製済み固体不斉触媒の開発 杉村 高志 兵庫県立大学 八束 充保 兵庫県立大学 固体不斉触媒は使用する反応スケールに関わらず操作が簡便であり、生成物への触媒金属の混入が少ないなどの優れた特性を持つが、実際の使用例は少ない。これは触媒調製に特殊な技術を必要とすることに起因する。キラル修飾パラジウム炭素は最近代表研究者が開発した固体不斉水素化触媒であり、本研究計画案はこの触媒を改良し、その保存性、取り扱い易さを高め、調製済み不斉固体触媒として上市することを目的とする。
1370 金属ポルフィリンを構成単位とする単一超分子ワイヤーの電極間配線と機能評価 佐竹 彰治 奈良先端科学技術大学院大学 戸所 義博 奈良先端科学技術大学院大学 光・電子特性に優れた金属ポルフィリンの配位結合に基づく自己組織化を利用して、サブマイクロメートルのギャップを有する金属電極間を、溶液法を用いて配線する技術を検討する。チオール基を有する亜鉛ポルフィリンを接続分子として用い、これに二方向性のビス亜鉛ポルフィリン溶液を添加することによって、電極間の自己組織配線を行う。配線の評価は走査プローブ顕微鏡を用いる。また作成した素子の伝導度測定をおこなう予定である。
1429 界面制御ラジカル重合による機能性微粒子の創製 小野 努 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 ナノ〜マイクロサイズのカプセルは,内部に異なる性質の流体を封入可能なことから付加価値の高い微粒子材料である。しかしながら,カプセル調製は安定な液滴調製とカプセル膜付与の多段プロセスを必要とする。本研究では,界面活性を有するニトロキシド誘導体を合成し,界面での制御ラジカル重合を行うことで,一段階の重合反応でカプセル化を行い,マイクロリアクターを利用することで単分散カプセルを高効率で製造できる新規プロセスの開発を目的としている。
1455 離型性および耐久性に優れる金型表面改質技術の開発 長谷川 裕之 岡山大学 東 英男 岡山大学 樹脂製機械部品の成形に用いられる鋳造金型・プレ金型には,1970年代より開発されているTiN等のセラミック膜が金型に被覆されてきたが,膜厚分布・耐摩耗性・離型性等の膜機能に問題が残されており,近年では,高面圧に耐えうる機能性が環境保全の観点から求められている.本課題では,複雑形状基板に対応する成膜法の構築と膜の機械的性質,表面特性の一種である離型性の最適化を図り,金型を対象とした表面改質技術の実用化を展開する.
1457 有機合成上の重要な反応を触媒する新規遷移金属固体触媒の創製 野上 潤造 岡山理科大学 安井 茂男 岡山理科大学 有機工業化学では遷移金属触媒による「反応の促進」が有効であるが、ほとんどの触媒反応は均一系触媒を用いるもので、有機リン化合物などの配位子が不可欠である上に厳密な条件設定を必要とする。また、触媒の回収は困難で生成物から配位子などの除去操作が必須である。それに対し本研究では、これらの均一系触媒の欠点の多くを一挙に解決すべく、種々の新しい「固体触媒」を開発する。例えば、種々の遷移金属を含有するペロブスカイト型酸化物を創製し、有機合成上重要な反応のグリーン・サステナブル触媒を提供する。
1516 白色LED用途の安価な酸窒化物蛍光体材料の開発 Iskandar Ferry 広島大学 榧木 高男 広島大学 白色発光LEDは一般照明機用途の蛍光灯や白熱電球等にとって代わることが期待されている。候補の材料として、SiAlON:Eu酸窒化物蛍光体が注目を浴びている。しかし、SiAlON:Eu蛍光体の合成には、高温、高圧といった条件が必要であり、さらに高価な希土類金属などを使用することより、合成された材料が高額となる。そこで本研究では、低コストプロセス、安価な原料で、希土類金属を添加しない安価な酸窒化物蛍光体を開発することを目的としている。
1517 多官能性有機ホウ素化合物の実用合成に向けた高効率プロセス開発 吉田 拡人 広島大学 榧木 高男 広島大学 有機ホウ素化合物は医薬・農薬・エレクトロニクス材料等の有用分子創製において中核的役割を果たす合成中間体である。本課題は、代表研究者が独自に開発した触媒反応を機軸とし、従来法では合成至難な一群の多官能性有機ホウ素化合物を自在合成することを目的としている。特に本研究では、大量合成・省資源にも対応した工業生産レベルの高効率プロセスとして完成することを目標とする。
1547 低温焼成による陶磁器製造プロセスの省エネルギー化 小松 隆一 山口大学 森 健太郎 有限会社山口ティー・エル・オー 陶磁器の焼成温度低減を目指した研究である。原料(粘土)の結晶成長を促進する添加物を加えて焼成することで、焼成温度の低温化及び焼成時間の促進を行う。陶磁器の焼成温度を100℃程度低減することを目的とする。温暖化ガスの低減にも寄与できる。
1594 安全かつ環境影響低減型有機・無機ハイブリット抗菌剤の開発と応用研究 白井 昭博 徳島大学 牧野 正 徳島大学 H20年度の研究において、ハイブリット抗菌剤の合成法を確立し、層間導入抗菌化合物(ハイジェニア)の徐放、徐放的抗菌性そして耐熱性を確認した。H21年度は、徐放機能の改良及びその評価、そしてかび、藻類に対する生育抑制効果と抗菌力の耐候性を評価する。次に、ハイブリット抗菌剤配合塗料・シーリング材の塗膜・樹脂表面の抗微生物活性及びその持続性、耐候性、海中防汚性、魚毒性を検討する。
1599 藍色発色に対する光学的影響を考慮した阿波藍染木材の開発 尾ア 士郎 鳴門教育大学 木下 凱文 鳴門教育大学 徳島県の伝統産業である藍染技術による徳島県産スギ等木材の新しい着色技術の開発を実施する。藍による木材の着色では、藍の酸化・還元や太陽光受光等環境によるバラツキがあり、期待する着色を得るのはかなり難しい。本研究では特に、光照射による材表面および表層の藍色着色の変化、すなわち藍色発色に対する光学的影響を考慮した阿波藍染木材の開発に関する試験研究を行って、従来の木質材料にはない価値や性能を有する新素材の開発を目指す。
1624 耐塩性・耐アルカリ性を有する銀系無機抗菌剤の開発と持続性向上に関する研究 槇田 洋二 独立行政法人産業技術総合研究所 和田 英男 独立行政法人産業技術総合研究所 銀系無機抗菌剤は、抗菌性に優れ人体への安全性も高いため、幅広く使用されている。しかし、水系においては、抗菌成分の銀イオンが水系に含まれる塩化物イオンと即座に反応して塩化銀となり、抗菌性が著しく低下する。また、水系のpHが高い場合には酸化銀が生成し、抗菌効果が著しく低下する。本課題では、特定の銀イオン錯体を抗菌成分とする耐塩性・耐アルカリ性を有する銀系無機抗菌剤を開発する。また、抗菌成分の徐放制御を行い、水系における抗菌効果の持続性の向上を図る。
1641 液中プラズマによる化合物半導体結晶の形成法の開発 豊田 洋通 愛媛大学 瀬野 英二 愛媛大学 本研究では、液中プラズマ化学蒸着法を用いて、従来では大がかりな真空プロセス装置を用いて行われてきた化合物半導体結晶の形成を、安全で簡単な装置によって、形成することを目標とする。液中プラズマ化学蒸着法を用いた時の化学結合における結合電子の授受を決定し、優先する化学反応から順に一連のプロセス反応を決定し、設計を行う。その液中プラズマプロセスを用いて高純度化合物半導体の形成実験を行い検証する。
1644 マイクロ波反応プロセスの実用化技術の開発 小島 秀子 愛媛大学 瀬野 英二 愛媛大学 マイクロ波加熱は、有機合成反応を高速で進行させ、高収率、高選択的で生成物を得る画期的な加熱法であり、各種有機化合物の合成への利用が期待されている。しかし現在のところ実用化は進んでいない。その理由の一つは、どのような化合物の反応に適するかという指標が明らかでないことである。そこで本研究では、反応基質の極性などのパラメータに基づいたマイクロ波合成反応における指標を作成する。具体的には機能性色素などについて検討し、クリーンでエネルギーコストの低いマイクロ波合成法の実用化の促進を図る。
1680 SEM 中マイクロプラズマ処理装置の開発 八田 章光 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 本課題は走査型電子顕微鏡中で試料を観察しながら、局所的にマイクロプラズマ処理を行う技術の開発である。マニピュレーター先端に取りつけたマイクロオリフィスから試料の近傍にマイクロガスジェットを噴射し、オリフィスを電極として直流、パルス、および高周波の放電によってマイクロプラズマを生成する。反射電子像を観察しながら、その場でガスの選択により局所的な薄膜コーティングやエッチングなどの微細加工が可能となる。
1683 プラズマ気相成長法による微結晶シリコン初期成長制御に関する研究 古田 守 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 本研究は、気相成長法による微結晶シリコン薄膜の初期成長(インキュベーション)制御を行い、高効率太陽電池や高性能薄膜トランジスタに使用可能、かつ大面積基板への展開が容易な高品質微結晶シリコン薄膜形成手法を開発するものである。
1724 大型構造物の溶接部強化による寿命延伸法 西尾 一政 九州工業大学 長田 純夫 九州工業大学 橋梁、高速道路、高層ビル、輸送機械など大型構造物は必ず鋼材の溶接構造になっている。よく知られているように、溶接時に発生する三大欠陥、①溶接熱影響部(HAZ)の結晶粒肥大化②HAZに存在する残留引張応力③溶着金属と母材間に発生する応力集中クラック、は母材および溶接棒の強度と無関係に発生するので、事後改良するしか方法がない。①に対しては昨年同様レーザービーム照射で対応し、②および③の欠陥に対しては超音波衝撃処理(UIT)で対応する。
1758 金を用いない陶磁器用金呈色顔料の実用指向基礎研究 寺岡 靖剛 九州大学 出田 光太郎 九州大学 陶磁器に高級感を与える金彩には、専ら「金」が用いられている。安価で安全かつ陶磁器用として必須の耐熱性を持つ金呈色無機顔料の開発を目的として、「黄・赤系無機顔料と金属光沢をもつ呈色補助材との組み合わせによる金色発色」を戦略として取り組み、金の輝きを発現できることを始めて見出した。本研究では、金を用いない陶磁器用金呈色顔料の実用化への道を拓くことを目指す。
1775 応用プロセス用大口径・高密度・低アスペクト比化されたヘリコンプラズマ源の開発 篠原 俊二郎 九州大学 直居 哲 独立行政法人科学技術振興機構 LSI用のシリコンウエハ、液晶表示、太陽電池などの大型化のための半導体薄膜の形成やエッチングなどの産業応用およびプラズマロケット等には、15インチ以上の大口径・高密度のプラズマ源が不可欠である。特にヘリコンプラズマは高密度が容易に得られるため、次世代プラズマ源として注目を集めている。本研究では、直径40cmと74cmの世界最大級の大口径装置で、0.5以下の低アスペクト比でも1012cm-3以上の高密度ヘリコンプラズマを生成できるかという可能性に挑戦し、その特性を評価する。
1792 導電性ダイヤモンド電極を用いた有機電解反応によるアルカンの部分酸化に関する研究 藤本 大輔 有明工業高等専門学校 大田 信一 (財)福岡県産業・科学技術振興財団 アルカンは反応性の低さから、大部分は燃焼による熱エネルギー源として消費されており、資源の有効活用の視点からは勿体ない。 導電性ダイヤモンド電極は、有機物との親和性が高く、また小さい残余電流や高い電位窓など、電極として最適な特性を持つことが分かっており、これをアルカンに適用し、有機電解反応により、ケトンやアルコールなどの有用物質の生成方法を研究開発する。
1873 油中分散法を利用したプロテインナノ粒子作製法の開発 西片 奈保子 (財)宮崎県産業支援財団 竹下 義隆 (財)宮崎県産業支援財団 蛋白質等の水溶性高分子水溶液と油との乳化物を脱水し、水溶成分を油中分散させるSolid-in-Oilサスペンション法(S/O化法)を利用して、プロテインナノ粒子の作製法を確立し、ナノ粒子のバイオマテリアル素材やDDSキャリアとしての有用性を評価する。すでに様々な蛋白質等のS/O化や、抗がん剤などとの複合体のS/O化技術を開発している。封入物質の平均粒子径は40〜50nm程度まで微細化でき、この封入物質を、形態を維持したまま抽出する。
1879 沿面放電プラズマを用いたマスクレス高速エッチング技術の開発 迫田 達也 宮崎大学 新城 裕司 宮崎大学 近年、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)や各種半導体作製工程においては、処理プロセスが簡易であると共にマスクレスの微細加工技術が強く望まれている。本研究では、誘電体電極の側面で、任意の領域にのみ限定して沿面放電プラズマを生成し、マスク材料を必要としない新しいタイプのマスクレスプラズマエッチング技術を開発する。本手法によれば、低コスト化が最も大きな課題である太陽電池の製造プロセスへの応用も可能であり、提案手法の開発及び実現化によりに、高効率型太陽電池の低コスト・大量生産化にも道を大きく広げることが期待される。
1890 高効率成形によるマグネシウム合金製マイクロピンの試作 松田 豪彦 鹿児島県工業技術センター 前野 一朗 鹿児島県工業技術センター 各種機器に欠かせないマイクロピンは、生産性の良い加圧成形(鍛造)により生産されている。今後、軽量性から利用が増えつつあるマグネシウム合金部品との使用を考えると、同合金製のマイクロピンが必要となってくる。しかし、硬くて脆い性質のため、金型及び材料全体を電気炉等で数百度まで昇温させて加圧する温間成形が避けられない。そのため、本研究では加熱方法を見直して、エネルギ消費を押さえた成形法でマグネシウム合金製マイクロピンを試作する。
1901 合成ガス製造用メタン接触部分酸化触媒の多孔質化に関する研究 中里 勉 鹿児島大学 中武 貞文 鹿児島大学 合成ガスの製造にはニッケル系触媒が安価で有望視されているが、炭素析出を起こしやすいため触媒構造に着目した様々な検討がなされている。本課題では触媒微粉末を一段のプロセスで合成する独自の手法にて触媒特性上有理となる多孔質化を図るとともに、非酸化物系母材とニッケルをナノレベルで複合化した触媒劣化の少ない触媒粒子の開発を試みる。メタン部分酸化反応特性について、同様の基材を用いた他の合成法や担持型の触媒についても検討する。
1906 糖鎖固定化蛍光性ナノ粒子の新規合成法の開発と応用 若尾 雅広 鹿児島大学 中武 貞文 鹿児島大学 糖鎖は、生体の主要な構成成分で細胞の分化・増殖をはじめ、癌化、免疫応答、ウイルス感染などの様々な生命現象に関与している。糖鎖の機能は構造と密接に関係しているため、その構造と機能の解析は重要である。本研究では、糖鎖の構造機能解析に応用できる糖鎖プローブを創製するため、量子ドットと呼ばれる蛍光性ナノ粒子の機能性に着目し、これに糖鎖を固定化した糖鎖固定化蛍光性ナノ粒子の開発を行う。
1914 月桃繊維を利用した抗菌性プラスチック複合材料の射出成形加工 福本 功 琉球大学 宮里 大八 琉球大学 現在、環境保護の立場から天然繊維を利用したプラスチック複合材料の研究が盛んであるが、本研究では、天然の月桃繊維が抗菌性を有することから、その機能を付加したプラスチック複合材料の作製を射出成形により行う。射出成形は複雑形状の大量生産が可能であることから付加価値の高い加工技術である。月桃繊維をプラスチックに複合化する目的は、月桃繊維による強化作用と改質効果を期待している。
4(B) 間欠液パルスインジェクション法によるカーボンナノチューブの高効率製造システムの構築 向井 紳 北海道大学 佐藤 完二 独立行政法人科学技術振興機構 代表研究者らはカーボンナノファイバーの高効率製造が可能な間欠液パルスインジェクション法の開発に成功している。この手法を用いることで80%以上の炭素収率でアスペクト比が高いカーボンナノファイバーを製造可能である。そこで本研究ではこの手法を改良することで、より付加価値の高いカーボンナノチューブの高効率製造法を確立することを目的に実施する。
41(B) 光感応性有機薄膜を用いた蒸着マスクレスパターン形成とデバイス応用 臼井 博明 東京農工大学 田中 公 東京農工大学 次世代有機デバイスでは微細パターンを大面積に形成する必要があるが、現在のシャドウマスクを通した蒸着法では限界がある。そこで本研究では機能性有機材料と光重合開始剤の共蒸着により光感応性有機薄膜を形成し、次いで紫外線露光及び現像を行うことにより、蒸着マスクを用いずにデバイスパターンを形成する。さらに、このプロセスを逐次組み合わせ、3色の画素を光描画してパターン形成・集積し、多色発光素子を試作する。
53(B) 輸送機器用マグネシウム合金製張出し構造の拡張と機械的性質の評価 本間 智之 長岡技術科学大学 吉野 好男 (財)にいがた産業創造機構 輸送機器の軽量化を見据え、コンテナトラック、電車の構体やディンプル床、航空機部材への応用を目指して試験を実施する。実用金属中最も軽いMg合金板材に複数個の三角錐台構造(もしくはディンプル構造)を張出し成形し、2枚重ね合わせ、スポット溶接等で接合する。具体的には、(1)素材をAZ31合金等マグネシウム合金板材とし、(2)加工温度、加工速度を変化させ、(3)得られた板材に対して溶接条件をふり、溶接性を向上させる。最終製品に対して板面の法線方向の圧縮試験および3点曲げ疲労試験を行い、(1)圧縮特性の限界値を見出し、(2)3点曲げ疲労試験時に、どこから破壊が生じるのか検証する。
95(B) タグ法による合成ペプチド精製 相本 三郎 大阪大学 土居 幹生 大阪大学 逆相HPLCによる精製だけで高純度の化学合成ペプチドを得ることは、しばしば困難である。このことが化学合成法でのペプチド生産の大きな障害となっている。本研究では、様々な類似した性質をもつ不純物を含む合成長鎖ペプチドや会合性の高いガン抗原ペプチドなどを想定し、精製困難なペプチドであっても、効率的に目的物を単離することが出来るよう、ペプチド精製用タグ並びに精製用樹脂を開発し、ペプチド精製プロセスとして完成させる。
105(B) 高強度・高弾性チタンクラッドマグネシウム合金薄板成形品の開発 井上 博史 大阪府立大学 巴月 康彦 大阪府立大学 低密度・高比強度のMg合金は様々な産業への応用が期待されているが、耐食性に乏しく、高温での成形加工が必要である。これまで、AZ31Mg合金表面に軽量で耐食性・意匠性の良好なTiを圧延接合した新規軽量クラッド板を創製し、AZ31Mg単板よりも優れた強度と成形性を見出してきた。本課題では、強度と成形性のバランスがとれたAZ61Mg/Tiクラッド薄板を最適圧延・熱処理条件下で作製するとともに、比較的低温での絞り成形性および常温での曲げ成形性と強度・弾性率を評価し、軽量性と意匠性を重視した各種電子・電気機器への実用化を目指す。
110(B) 生体自己組織化構造リポソームの高効率生成装置の開発 鈴木 洋 神戸大学 中井 哲男 神戸大学 本研究は、医薬製剤等素材としての利用が期待される生体自己組織化構造リポソームの、これまで提案してきたマイクロ流路を用いた高収率生成法を発展させ、時間律速となる乾燥工程を省略する方法について検討し、より高効率にリポソームを生成させる装置の開発を目指す。具体的には溶融リン脂質を、多管合流型マイクロ流路に直接流動化させる直接型生成法を開発し、連続工程によって均一な粒度を有するリポソームを高収率に大量に生成させる装置を開発する。

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 基礎物性:8件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
333 高圧を利用したサイクロデキストラン-フラボノイド包接化合物の開発 舟根 和美 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 森 勝美 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 サイクロデキストラン(CI)はグルコースのα-1,6結合環状体である。その構造から脂溶性物質を環内に取り込み可溶化・安定化させる包接機能が期待されている。申請者は予備的に、高分子CIが高温下でフラボノイド類を可溶化することを見いだした。本研究では、高温処理を回避して安定なフラボノイド包接化合物を得るために、高圧装置を用いて低温下で効果的にCI−フラボノイド包接化合物を生産する技術開発を目的とする。
687 ポリマーアロイの絶対分子特性値を簡便に測定できるシステムの開発 瀬 和則 福井大学 吉田 芳元 福井大学 非相溶系の高分子ブレンドを相溶化させるには、ブロック共重合体のような高分子相溶化剤が必要である。それも含めたこの様なポリマーアロイの分子量や分子量分布や組成比のような絶対分子特性値を今までは容易に求められなかった。そこで「ゲルパーミィエーションクロマトグラフィの分別原理」と「3つの検出器の併用」と「新たな解析式」と「パソコンによるシステム化」により、絶対分子特性値を精密かつ簡便に測定できるシステムを開発する。
967 高周波用マイクロ波誘電体材料とそのLTCCの開発 菅 章紀 名城大学 松吉 恭裕 名城大学 本課題では、マイクロ波・ミリ波帯など次世代通信において必要とされる高Qマイクロ波誘電体の創成を目的とし、従来のセラミックより遙かに高い品質係数(Q・f)とゼロに近い共振周波数の温度係数(τf)を持つ誘電体材料を低温領域にて合成可能な誘電体材料の創成とその合成プロセスの確立を行う。さらに、それらの高Q材料を用いて積層デバイスに必要不可欠な低温同時焼成セラミックス(LTCC)の開発を行う。
989 複合負荷試験機による鉄系形状記憶合金の変形挙動計測システムの構築 吉川 高正 三重大学 加藤 貴也 三重大学 従来のTiNi系形状記憶合金よりも加工性に優れ、材料コストが低い鉄系形状記憶合金に関して、強度設計や加工などの応用のために不可欠な、複合負荷条件化における変形挙動の解明と多軸構成方程式の確立を目指す。変態温度が高温である鉄系形状記憶合金に対して、代表研究者らの所有する電気炉付複合負荷試験機を用いると共に、本研究で構築する高温ひずみ計測システムによって各種温度域における多軸の変形挙動を実験的に解明するものである。
1123 超伝導パイ接合素子 前野 悦輝 京都大学 松下 良昭 京都大学 接合部の超伝導位相差がゼロではなくπになるパイ接合の超伝導量子干渉素子(SQUID)は、従来のSQUIDと同様に超高感度の磁気センサーとして有用であるだけでなく、正または負の半整数磁束量子を閉じ込める性質を用いた量子ビットとしての応用も期待される。本課題はスピン三重項超伝導を用いた新奇な原理に基づくイントリンジック(内因的)なパイ接合SQUIDを製作し、その動作を実証しようとするものである。
1361 光機能性RNA核酸を利用した高感度センサーの開発 中村 光伸 兵庫県立大学 八束 充保 兵庫県立大学 光電気化学センサーへの応用を目標に、多数の色素分子を合成化学的手法によってRNA核酸上に集積させた色素アレイRNAを金表面に固定化した修飾電極を作成し、この修飾電極による光電変換システムの構築および生体分子をはじめとする種々の有機分子を検出可能なセンサーへの応用を目指す。具体的には電極への色素アレイRNAを均質に担持する手法の確立と光電変換効率を向上させるための必要条件の探索を行い、有機分子の選択的補足と検出について評価する。
1474 スクッテルダイト型熱起電能材料の育成とフェルミエネルギー近傍の電子状態の解析 植田 義文 呉工業高等専門学校 土井 章慈 呉工業高等専門学校 物質の熱起電能を利用する熱電発電は、環境に対する負荷が少なく自然エネルギー利用の有効な方法の一つである。本研究では、大きな熱起電能の発現が期待されるスクッテルダイト型結晶構造を有する試料の育成と、光電子分光法によりフェルミエネルギー近傍の電子状態を測定し、量子力学的手法により熱起電能に寄与する電子状態を解明していく。研究成果は、家電機器や宇宙航空分野への組込み型熱発電デバイス等への応用が期待される。
1912 維管束形態が異なるC3,C4型光合成植物の炭化と構造特性の解明 川満 芳信 琉球大学 宮里 大八 琉球大学 本研究では、沖縄地域で入手できる各種バイオマスを炭化し、その構造を電子顕微鏡とICP、比表面積計を用いて詳細に調べ、利用価値の高い植物の選定を行う。一般にC4型光合成を行う草本類はC3型植物や木本類に比べて茎の維管束の数やサイズが著しく異なるため、炭化後にその構造が維持され、特徴的な構造を有することが期待される。植物の器官、根、茎、葉、葉鞘など構造が著しく異なるため、分けて炭化し、その特徴を明らかにする。

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 計算・理論・シミュレーション:7件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
527 電界共役流体の流動モデルに基づく高機能マイクロ液圧源の開発 竹村 研治郎 慶應義塾大学 佐藤 修 慶應義塾大学 電界共役流体は直流高電圧の印加によって活発なジェット流を発生する機能性流体であり、マイクロ液圧源としての利用が期待されている。しかし、流動のメカニズムが不明であるため実用化に対して理論体系の構築が強く望まれている。このため、本課題では本流体の流動モデルを構築し、これを利用した電極形状の最適設計法を開発することによって新たな高性能マイクロ液圧源を実現する。
600 高効率ネットワーク構造形成による高熱伝導性ポリマー系複合材料の開発 真田 和昭 富山県立大学 定村 茂 富山県立大学 近年、銅・アルミニウム等の金属材料代替のヒートシンク用放熱材料としてポリマー系複合材料が注目され、複雑な形状でも成形可能な複合材料開発のニーズが高まっている。本課題は、数値シミュレーションと実験の両面から、熱を効率良く伝えるネットワーク構造(ナノ・ミクロフィラーの複合微視構造)を見出し、成形性に優れた高熱伝導性ポリマー系複合材料を開発するもので、高性能で軽量・低コストの電子機器実現に寄与することを目的とする。
1051 高精度・高効率な高位消費電力シミュレータの開発 福井 正博 立命館大学 安川 竜二 立命館大学 情報機器、自動車やロボット等の知的制御の核となるシステムLSIは、ロボット等では数百〜数千個が搭載され、その消費電力をいかに下げるかが課題となる。このような大規模システムに対して、高精度・高効率な電力シミュレータは低電力化のための有効な解析手段を提供する。本提案では、論理レベルより高抽象度(高位レベル)で電力解析を行う。研究代表者が保有する電力モデル化技術を核として、高精度・高効率な高位電力シミュレータの開発を行う。 従来と比べ、1/10の解析時間で、解析誤差を1/10に高精度化を目指す。
1297 電子ビーム照射によるナノカーボン改質シミュレーション 安田 雅昭 大阪府立大学 辻 公志 独立行政法人科学技術振興機構 電子ビーム照射によるナノ材料の構造変化は、所望の機械的特性あるいは電気的特性をもつ材料にテーラーメイド改質する技術として期待されている。本研究は代表研究者が開発した電子ビーム照射効果を組み込んだ分子動力学シミュレーションに、相対論効果の導入や原子間ポテンシャル関数の高精度化を行うことにより、ナノカーボン材料を対象とした実用的な電子ビーム改質シミュレーションを開発するものである。
1377 異なる計測法により測定した形状データ間の3次元位置合わせ高精度化技術の開発 徳本 真一 和歌山県工業技術センター 前畑 進 (財)わかやま産業振興財団 X線は比重の重い金属系の物質に高い感度を持つのに対して、中性子線は水素等の軽元素に対して高い感度を持つため相補的関係にある。X線CTでは工業製品の高精度な3次元形状の計測、中性子線CTでは燃料電池内の水の観察など産業界のニーズが高まりつつあり、2つのデータを融合することは、さまざまな解析を行う上で重要なキーテクノロジーになると考えられる。本研究では、X線CTと中性子線CTの3次元データの高精度位置決め技術の開発を行う。
1466 性能評価機能を有するPID制御システムの開発 八木 秀幸 津山工業高等専門学校 梶谷 浩一 岡山大学 プロセス産業界では、高品質維持と運用コスト低減などの要求を満たすプラント運用が求められている。本研究では、非線形性を有するプラントシステムを対象とし、過渡状態および定常状態の両方の観点から所望の制御性能が得られるコントローラを開発するために、知的情報処理を用いた制御性能評価に基づくPIDパラメータ調整法について提案を行い、定常状態における制御性能の検証を行う。
1910 医療の超広帯域光源用高非線形フォトニック結晶ファイバの最適設計 波平 宜敬 琉球大学 宮里 大八 琉球大学 光コヒーレンストモグラフィ(OCT)は、生体組織表面から数mmに渡って組織深部の断面を3次元的に可視化する技術である。本研究の最大の目的は、高価なフェムト秒レーザを用いなくてもピコ秒ファイバレーザ等で超広帯域SC(スーパーコンティニューム)光を発生できるような高非線形フォトニック結晶(PCF)の最適設計を行い実用化することで安価な高分解能のOCTシステムを確立することである。

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 安全空間創成材料:24件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
358 高靱性・高強度を有する環境調和性複合材料の開発 宋 東烈 群馬県立産業技術センター 小畑 剛志 群馬県立産業技術センター 本研究は、マトリクスに生分解性プラスチックであるポリブチレンサクシネート(PBS)を用い、これに大きな破断ひずみ特性を有する絹繊維を強化材として混入した環境親和性複合材料を、自動車の内装構造材等の用途向けに開発しようとするものである。その際に絹繊維の表面処理及び加工方法、また、成型サイクルにより、その力学特性が変化することから、各種条件設定を行い、分析評価及び解析学的検討を加えることにより最適化を図り、新しい複合材料を開発する。
413 可視光応答金属ナノ粒子の規則細孔内構築と選択酸化触媒の開発 泉 康雄 千葉大学 三位 信夫 千葉大学 燃料ガス改質用貴金属触媒が開発されているが、燃料電池用途を初めとして反応低温化が求められている。本研究では無機規則反応場を利用して、1〜3 nmの微細なFe, Rh, Pt, Au粒子を均一径分散させる技術を確立する。紫外可視光照射により触媒表面に生ずる・OHラジカル種の強い酸化力を利用して選択光酸化を起こす金属粒子を最適化し、その反応過程をX線分光法他でモニターする。
479 アレルギーの予防と治療を目指した免疫寛容の誘導機構の解明 好田 正 東京農工大学 江口 元 東京農工大学 ある抗原に対する免疫系の不応答化(免疫寛容)を任意に誘導することができれば副作用のリスクを伴わずにアレルギーを治療することが可能である。その為には、免疫系が出会った抗原に対して免疫寛容状態になるか活性化状態になるかを決定しているメカニズムを細胞レベル・分子レベルで解明することが必須である。本研究では免疫寛容の誘導時に活性化される転写因子の種類やバランスに着目して免疫寛容の誘導機構を解明する。
525 高導電性・高透明性を有するロール型交互積層薄膜の開発と応用 白鳥 世明 慶應義塾大学 佐藤 修 慶應義塾大学 近年、タッチパネルをはじめとするディスプレイ表面には透明導電膜が多用され、酸化インジウムを主とするレアメタルにより真空プロセスで作製されている。同材は輸入に依存している為、国内産業においては、国際競争に耐えうる安価な材料・製膜方法の開発が求められる。本課題では1kΩ以下の高導電性、可視光透過率85%以上の高透明性をもつ透明導電フィルムを交互積層法により、導電性高分子を用いて作製し、物性を評価する。
673 カーボンナノチュ−ブを用いた脳波電極の開発 川本 昂 福井工業高等専門学校 吉田 徳寧 (財)ふくい産業支援センター 脳の外科手術を安全に行うために、X線CTやMRI画像の観測と銀皿電極による脳波計測を同時に行うと電極から放射状に白い線が現れ、画像が乱れる。また、また、脳波電極は高価で、繰り返し使用されている。これらの問題を解決する多層カーボンナノチュブ分散高分子膜を使ったプロトタイプの脳波電極を開発した。本研究では、人工臓器材料として実績のあるポリウレタン(高分子材料)を用い、より高感度で、安全安価な使い捨て脳波電極の実用化を目指す。
708 キトサン系ナノファイバーを用いる床ずれ治癒用人工皮膚の開発 桜井 謙資 福井大学 坪内 彰 福井大学 新たに水溶性キトサン誘導体を合成し、キトサン(誘導体)/セリシン複合ナノファイバーを電界紡糸法により作製する。これを電子線照射等により架橋処理して複合ナノファイバーの新規ゲルを作製する。In vivo、 in vitro の両面からの研究、即ち、皮膚細胞培養と動物実験を行い新規ゲル作製条件の最適化を進め、床ずれ皮膚の正常皮膚への治癒性能を有するゲル状複合ナノファイバー型人工皮膚を創製する。
725 カーボンナノチューブの制御による高強度CDS-合金の開発 金 翼水 信州大学 瀬在 啓明 (財)長野県テクノ財団 本研究は、従来から不可能とされていたCNTを溶融金属中に均一に直接に分散させることに対し、鋳造法を用いてCNTを金属母材に均一に分散させたCDS-合金(Carbon nanotube Dispersion Strengthened)を開発することを目的とするものである。これを達成するために、本研究においては、CNT強化材が鋳造工程いわゆる液相金属内で直接分散される際、均一に分散できるように凝集防止および分散安定化技術を開発する。
829 機能素材組み込みのための立体空間を有するからみ織り技法の開発 大野 博 愛知県産業技術研究所 齊藤 秀夫 愛知県産業技術研究所 感覚機能低下を補完するスマートテキスタイル等の開発を推進するための要素技術として、織物内に機能素材を組み込むための数mm径の連続立体空間をからみ織り技法を活用して創成する技術を開発する。
この技術開発により、感覚機能低下等を補うための感知、制御、耐衝撃性向上等の様々な機能素材を織物内に組み込むことが容易となる。
845 リン酸塩ガラス系透明電気発熱体材料の開発 後藤 英雄 中部大学 小田中 文雄 中部大学 代表研究者らは、これまでにスズを含むリン酸塩化合物で耐湿性に優れた透明な0.2Ωmの電気伝導性を示すガラス体を得ている。本材料は、量産に優れたゾル-ゲル法による作製が可能で、電気伝導度が0.01Ωmまで向上すれば、視界を妨げない透明な電気発熱体材料として、融霜・融氷・除曇機能を持つ車輌用フロントガラスとしての実用が期待される。本研究は、実用化を目指して、リン酸塩ガラス体の電気伝導度を向上させることを目的とする。
1017 赤外線再帰性反射タイルの生産技術に関する研究 川澄 一司 滋賀県工業技術総合センター 横井川 正美 滋賀県工業技術総合センター 夏季における室内温度および路面温度の上昇を防ぐために、太陽から放射される赤外線を太陽の方向へと再帰性反射する外壁タイルが要望されている。過年度の研究においては赤外線を反射するセラミック素地と、コーナーキューブと呼ばれる凹凸を連続的に表面に有するタイルを試作した。本研究においては再帰性反射性能がさらに高く、しかも日本工業規格の建材としての条件を満たす同タイルを量産することが可能な生産技術を開発する。
1098 近赤外分光法によるドライバーの脳血流動態測定による道路の走りやすさ評価システムの開発 谷口 栄一 京都大学 佐竹 星爾 関西ティー・エル・オー株式会社 道路の走りやすさについての従来の客観的評価手法は、国土交通省「道路の走りやすさマップ」など、道路の構造特性に基づいたものである。これに対し、本研究では、ドライバーの前頭前野における脳血流動態について近赤外分光法(NIRS: Near Infra-Red Spectroscopy)を用いて直接測定する。NIRSは、ポータブルかつ低コストで脳血流動態を測定可能である。これにより自動車運転中におけるドライバーの前頭前野の負荷と、道路構造・交通状況などとの関連を分析し、道路の走りやすさをドライバーへの生理的負荷という観点から客観的に定量的に評価する。
1120 木質表面の陰影画像からの粗さパラメータおよび視覚ざらつき度の導出 藤井 義久 京都大学 冨松 亮介 関西ティー・エル・オー株式会社 本研究は、高速で非接触かつ全数検査を可能にする表面凹凸の評価手法の提案を目的としている。木材など微細な表面の凹凸パターンや色調変化のある表面について、そのデジタル二次元画像から表面凹凸に関するパラメータを導出するアルゴリズムを導出する。その際、凹凸情報を画像情報に落とし込むための手法として、斜光照明によって生じる表面の陰影パターンを利用する。また官能検査も行い、表面の視覚的ざらつき度に対応した粗さパラメータを求める。また陰影のある画像処理において問題となる凹凸に関係のない色調の変動や地模様の影響の排除方法も明らかにする。
1160 オープンキャピラリーチューブを用いたマイクロフロー分離システムの開発 塚越 一彦 同志社大学 永田 和彦 同志社大学 キャピラリーチューブ内のマイクロ空間を流動する溶媒中に見いだされた新たな溶質分離挙動に基づき、簡便・迅速かつ安価な新しいマイクロフロー分離システムを開発する。即ち、従来のキャピラリークロマトグラフィーやキャピラリー電気泳動法につづく、キャピラリーチューブを用いたこれまでに例のない全く新しい分離技術として、本マイクロフロー分離システムの技術確立をはかる。具体的には、下記4項目を研究実施計画とし、マイクロ空間を流動する溶媒中に見いだされた溶質分離挙動に基づく新規「マイクロフロー分離システム」を開発する。(1)キャピラリーチューブの材質(フューズドシリカ、ポリエチレン、テフロン等)が分離に与える影響を調べる。(2)キャピラリーチューブ内での分離挙動を蛍光可視化画像から観察し、分離メカニズムについて考察する。(3)蛍光検出および化学発光検出(ルミノール発光系および過シュウ酸エステル発光系)を導入し、分析対照範囲を拡張する。(4)光学異性体分離へ応用を検討する。
1185 生体吸収性を有し骨再生に優れた生体内多孔体化リン酸カルシウムペーストの開発 傍島 聰 大阪医科大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 本研究はリン酸カルシウムペーストがある程度の強度をもった骨再生の足場(scaffold)になるように、生体吸収性高分子を複合することで、生体内で吸収され多孔体化し、細胞進入を促し、骨置換され得る新規骨再生型補填材料を開発することが目的である。
1462 抗インフルエンザ薬タミフルの新規合成法の開発 萬代 忠勝 倉敷芸術科学大学 安井 茂男 岡山理科大学 最近の新型インフルエンザの大流行に直面して、抗インフルエンザ薬タミフルの需要は極めて高い状況となっている。しかし、入手が容易ではないシキミ酸に原料を依存している現在の生産法では、緊急且つ急増する需要に対応できない状況にある。我々は、砂糖から潤沢に得られる単糖であるマンニトールを原料としたタミフルの新規合成法の開発に成功した。今後、各工程の改良を行ないつつ、より安全な反応条件を確立する予定である。
1509 ポリリン酸蓄積微生物を使った省リン施肥技術の開発 廣田 隆一 広島大学 榧木 高男 広島大学 リンは食料およびバイオ燃料生産にとって必須の資源であり、天然のリン鉱石から作られる。しかし、現在リン鉱石は枯渇することが懸念されている。従って、我が国においてもリン資源の確保が重要であると同時に、消費量を抑えた省リン技術の開発が急務である。本研究では、微生物細胞内にリン酸のポリマー(ポリリン酸)を大量に蓄積させ、この菌体自体をリン肥料として利用し、その肥効を検討するとともに、効率的な省リン施肥技術が可能かどうか検討する。
1518 蛍光性水センサー色素の開発と漏水検出シーリング材料への応用 大山 陽介 広島大学 榧木 高男 広島大学 本課題は、有機溶剤や固体材料中に含まれる微量水分を光誘起電子移動特性(Photo-induced Electron Transfer: PET)を利用して検出できる新規なPET型蛍光性水センサー色素を用いた漏水検出シーリング材料の開発に取り組むものである。到達目標は、トンネルなどの構造物や下水道管の損傷劣化の感知・修復を可能とする本色素を高吸水性ポリマーに分散させた漏水検出シーリング材料の開発である。
1727 緩み難く破損抵抗が高い高強度ボルト締結体の開発 野田 尚昭 九州工業大学 田中 洋征 九州工業大学 ねじ締結体は、使用頻度、重要度が高い機械要素であるが、課題は破損しやすいことと緩みやすいことである。破損はねじ底の高い応力集中であり,緩みは、摩擦力で防止しているため、振動により戻り回転力が発生するためである。このため、破損やゆるみの原因を定量解析し、応力の集中を軽減するとともに,ボルト・ナットのピッチ差を利用して、緩み防止機能を強化した高強度で優れたゆるみ止め効果がある新しいボルト締結体を開発する。
1737 超音波振動高速回転主軸の実用化基礎開発 鬼鞍 宏猷 九州大学 猪ノ口 博文 (財)福岡県産業・科学技術振興財団 自動車・化学・情報・バイオ関連の延性・脆性材料部品を高能率高精度微細加工する際の有効な手段である超音波振動主軸の実用化を目的として、主軸回転速度の高速化(30,000min-1)を目指した給電装置の改良、および工具の振れ抑制と寿命向上を図るための振動ホーンと工具チャックの1体化を実施する。基礎試験により22年3月までに実用化技術を確立し、超音波振動高速回転主軸の実用化を23年度に完了させる。
1760 酸化マグネシウムの固体塩基特性と環境中の陰イオンとの反応機構 笹木 圭子 九州大学 出田 光太郎 九州大学 地下水の原位置浄化技術である透過型浄化壁(Permeable Reactive Barriers,PRB)は、従来法に比べはるかに低コスト・省エネルギー型であり、様々な有機・無機汚染物質に対して実用化されているが、フッ化物イオン(F-)やホウ酸(H3BO3)の除去には、有効な活性物質が見つかっていない。酸化マグネシウムにはこれらを迅速に除去する性質があり、それぞれの反応機構を解明し、さらに酸化マグネシウムより効果的な活性物質を類似の天然鉱物を低コストで改良するだけで得る条件を見出す。
1817 ダイナミック吸着燃焼を利用した高性能VOCセンサ 兵頭 健生 長崎大学 竹下 哲史 長崎大学 低温で揮発性有機化合物 (VOC) ガスを吸着したのちミリ秒オーダーで急速昇温することで作動する吸着燃焼式ガスセンサは、極低濃度VOCを検知可能な新方式のセンサデバイスとして期待されている。そこで本申請では、吸着燃焼式ガスセンサのガス感応膜に用いるPd担持燃焼触媒の貴金属微粒子の合金化および担持状態の最適化や、酸化物担体の熱伝導性を改善することで、VOC検知特性が劇的に高性能化されたリアルタイムガス検知デバイスの実用化を狙う。
1904 血清・尿中マイクロRNA同定による尿路上皮がん診断 榎田 英樹 鹿児島大学 中武 貞文 鹿児島大学 マイクロRNA(miRNA)は19〜21塩基のタンパクをコードしないRNA分子であり、その機能は、遺伝子発現を翻訳後あるいは転写レベルで制御している。最近、ヒト癌細胞において発現が変動しているmiRNAの報告が相次いでなされている。我々はすでに尿路上皮がんにおいて特異的に発現が上昇するmiRNAのスクリーニングを行いプロファイルを作成した。本研究において、血清・尿中の特定のmiRNAの発現量の変動を測定することによって、尿路上皮がん診断マーカーとしての感度・特異度を評価し診断キットの開発を目指す。
24(B) 「軽薄<炭>省」自動車難プレス材用「オーダメイド」複合表面改質金型の開発 鈴木 秀人 茨城大学 伊藤 勝彦 茨城大学 本研究は、「軽薄<炭>省」自動車難プレス加工材用の耐熱性超硬金型を開発するために、「オーダーメイド」OM複合表面改質技術を適正に高機能化することである。例えば達成性能の目標として、(1)傾斜機能性による界面強度の100MPa以上保証に加えて、(2)プレス用金型の硬質被膜として耐熱性、すなわち摩擦による500℃以上の昇温で2000Hv以上の硬さを保つこと、(3)さらにDLC被膜による金型を寿命を改善に係わる凝着防止機能を発現させる。
111(B) マイクロクラスタービームの開発 持地 広造 兵庫県立大学 瀧澤 精一 兵庫県立大学 本応募課題の目的は、数千個の気体原子で構成されるクラスターイオンを一次イオンに利用した低損傷二次イオン質量分析技術の実現である。1eV程度の低エネルギークラスター原子との衝突により、タンパク質などの生体分子を解離させずに計測できる。本応募課題では、本技術を生体試料の局所計測に応用するため一次イオンビームサイズの微小化を行う。ガラスキャピラリーを利用して、クラスターイオンビームのサイズを直径10μm以下に収束させることを目標とする。

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 共通基礎研究(ナノテク・材料):13件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
202 MgB2超伝導バルク体を用いた超強力磁石開発 内藤 智之 岩手大学 中戸川 明広 岩手大学 超伝導現象の四大特徴のひとつである磁束の量子化を利用して超伝導バルク体に磁場(磁束)を捕捉させると超伝導バルク体はテスラ級の“疑似”永久磁石(超伝導バルク磁石)になる。超伝導バルク磁石の最大の利点は一般的なコイル型超伝導電磁石と異なり、開放空間で超強力磁場を利用可能にすることにある。本研究では、金属系超伝導体MgB2バルクを用いた超強力磁石を開発する。
354 再利用可能なエンドトキシン除去フィルターの開発 田中 孝国 小山工業高等専門学校 山下 信 宇都宮大学 医療現場における、エンドトキシンフリー医療用水作製のコスト高が問題となっているが、現在は寿命が短く再利用が困難である高分子系膜が主体である。そこで本研究では、強い生体物質吸着能を持つハイドロキシアパタイトをプラズマ溶射した金属複合膜による除去法を考えている。この複合膜は、使用後もエンドトキシン失活操作である乾熱滅菌(250℃)を行うことで、吸着能を復活させ、再利用が可能である利点を持っている。
401 磁気ビーズ上に異種金属を配列した有機−無機ハイブリッドポリマー被覆型新規触媒の開発 荒井 孝義 千葉大学 間野 純一 (財)千葉県産業振興センター 近年、特異な表面活性の発現が期待される高機能固体触媒の開発が注目を集めている。本研究では、複数の異種金属を原子・分子レベルで精密に配列し、それら金属間の協調的な作用の発現によって実現する機能集積型の高活性触媒の開発を行う。更に、磁性ナノ粒子を複合金属含有有機−無機ハイブリッドポリマーで覆った(コーティングした)磁性ナノカプセルを開発し、磁気分離可能な新規触媒の創製を行う。
498 超音波照射によるナノカルシウム化合物の開発と応用 小嶋 芳行 日本大学 渡辺 麻裕 日本大学 本研究では、20〜40kHzの超音波を照射しながら液相反応を行うことにより、ナノサイズのカルシウム化合物を合成することを目的とし、このときの反応時間、温度などの合成条件について検討を行う。低周波数帯ではキャビテーションが生じるため、これを用いることにより撹拌では得られない対流が生じ、イオンどうしの接触回数が増大する。これにより、これまで報告例のない二水セッコウ、水酸化カルシウムおよびリン酸カルシウムのナノサイズ化を目指す。
608 電子スピンを利用した磁気断熱消磁による極低温生成技術の開発 石川 義和 富山大学 永井 嘉隆 富山大学 希土類金属の電子の磁気スピンエントロピーを利用して、極低温である絶対温度1K近傍での極低温を生成する技術を構築する。希土類金属等を含む新たな化合物デバイスを製作し、電子スピンの磁気断熱消磁により極低温を生成する。ヘリウム3元素を利用した冷却技術は既に確立されているが、我々の冷却技術は、人工元素であるヘリウム3元素を必要としない方法であること、デバイスは線材やバルク材への加工が容易なこと等、応用が期待できる。
749 超音波振動による自動車アルミホイール用320MPa級合金鋳物の開発 長坂 明彦 長野工業高等専門学校 坪井 開 (財)長野県テクノ財団 本研究は、アルミニウム合金の溶融段階での超音波振動付加による凝固組織の微細化を利用し、強靭なアルミニウム合金鋳物を製造するものである。超音波振動により瞬時に組織の微細化をはかることで高強度で低コストな製品を開発することを目的としている。具体的な目標としてはロボットアームや自動車鋳物部品などの320MPa級の高強度化と軽量化の両立を確立することである。
783 耐酸性貴金属イオン捕捉剤の開発 村井 利昭 岐阜大学 小田 博久 岐阜大学 Rh、Pd、Ptなどの貴金属を回収、再利用できるシステムの開発は、これらの資源を持たない我が国にとっては重要な研究課題の一つである。しかし自動車廃材などには、鉄などの卑金属が主に含まれ、多くの金属が使われており、これらの混合物から選択的にある特定の金属のみを捕捉する新しい方法の開発が急務である。そこでこれら自動車用触媒に用いられる金属を酸性条件下、上述貴金属イオン捕捉剤の開発を行う。
822 X線照射を利用した可逆性着色ガラスの開発 福原 徹 愛知県産業技術研究所 菅沼 幹裕 愛知県産業技術研究所 多量のFe,Co等の着色剤を含んだ着色ガラスや一般的な透明ガラスにX線を照射して着色したガラスがあるが、色を消せないことや色が薄く安定性が低いことなどの問題があり、一般的なガラス瓶のリサイクルなどの用途に限られている。本研究では、ガラス基板やセラミックスコーティングしたガラス基板を対象に、それらの組成や着色条件をを検討し、色が濃く安定した、パターン形成も可能な熱可逆性のある着色ガラスの開発を行う。
1210 超長寿命の光誘起電荷分離状態を有する純有機開殻分子システムの開発 森田 靖 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 代表研究者らは、独自に開発した15π電子系の縮合多環構造を有する中性ラジカルに電子ドナー部を連結したスピン非局在型の開殻有機分子を設計・合成した。そしてこの中性ラジカルが、光誘起分子内電子移動反応により長寿命の電荷分離状態に変化することを見出した。本研究では、電子スピンが分子骨格全体に広く非局在化した開殻有機分子の光誘起分子内電子移動やフォトクロミズムに関する基礎的知見を蓄積する。
1575 機能性材料としてのイオン液体ナノカプセルの設計 平野 朋広 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 これまでに、ジビニルベンゼンなどの多官能性モノマーのラジカル重合を多量の開始剤を用いて行うことで、溶媒に可溶な高分岐ポリマーが得られることを見出している。本課題では、多官能性モノマーとアクリル酸tert-ブチルなどとの共重合を行い、得られた高分岐ポリマーを脱保護し、イオン液体化試薬と反応させることで、イオン液体ナノカプセルの合成を行う。高分岐構造とイオン液体の性質を併せ持った、新しい機能性材料としての開発を目的とする。
1617 二珪化鉄熱発電モジュールを利用した充電器の開発 相馬 岳 高松工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 熱電発電モジュールは、駆動部を持たずに廃熱を直接電力に変換できるので、次世代型エネルギー回収方法として期待されている。二珪化鉄(FeSi2)は資源的に豊富であり、かつ環境汚染の少ない熱電材料であることが知られていたが、性能が低いためこれまで具体的な産業的応用がなされなかった。本研究においては,二珪化鉄を利用した熱電発電モジュールを作製し、それを利用したプロトタイプの充電器を開発することを目的とする。
1658 独自のリン−炭素結合変換反応を用いる機能性物質の創成 林 実 愛媛大学 安田 崇 株式会社テクノネットワーク四国 本研究は、代表研究者らが最近発見したカルボン酸から有機リン化合物への新しい触媒的変換反応を利用して、機能分子材料の創成を目指すものである。既に見出している素反応により、これまでとは全く異なる方法で官能性有機リン化合物合成を達成することで、新たな分子設計・合成設計が可能となり、触媒や金属捕集材料、難燃材料などを指向した新たな有機リン系機能材料開発における大きな波及効果が期待できるものである。
1883 発光性シクロフォスファゼン系イオン液体による新規発光材料の開発と応用 白上 努 宮崎大学 和田 翼 宮崎大学 シクロフォスファゼン(CP)骨格を持つアンモニウムカチオンとビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンから構成されるイオン化合物は常温イオン液体(CP-IL)となる。さらにCP-ILは発光性を示し、励起波長によってCP-ILの会合数の変化と関連した7色の発光色が得られる。本研究では、無機および有機高分子担体とCP-ILとのハイブリッド化を図り、CP-ILの会合数を制御することによるマルチカラー発光材料の開発を目指す。

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 その他(ナノテク・材料):13件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
12 温度応答性・形状記憶能を有するゲルの物質送達材料としての応用 沼田 ゆかり 旭川工業高等専門学校 東藤 勇 苫小牧工業高等専門学校 バクテリアセルロースゲルを水の代わりにポリエチレングリコール(PEG)で膨潤すると、PEG分子量に依存して白色固体から透明ゲルへ可逆的に変化する温度応答性および形状記憶能を有する機能性ゲルが得られる。バクテリアセルロースゲルとPEGともに生体適合性をもつことから、ドラッグデリバリーシステムや化粧品材料(パック剤)などの物質送達材料としての応用を検討し、実用化の見通しを得る。
129 エレクトロスピニング法によるナノファイバーチューブ自動成形機構の開発 吉川 毅 北海道立工業試験場 長尾 信一 北海道立工業試験場 エレクトロスピニング法により作製されるナノファイバーを捕集し、小径不織布チューブを自動成形する機構を開発する。具体的には、神経再生チューブ等の生体用チューブ素材および産業用エアフィルター素材を対象として、自動的にチューブ形状に成形する機構の実用化を目指す。
159 セルラーゼ阻害剤及び抗菌活性に基づく抗シロアリ木材の開発 橋本 勝 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 木造中心の日本家屋ではシロアリの被害は深刻で、発生が不快であるばかりでなく、時に家屋倒壊をもたらすことも少なくない。シロアリに耐性、あるいはシロアリの忌避する木材の開発は、その駆除にかかる費用を大きく軽減させることができる。シロアリは共生微生物を利用してセルロースをグルコースに変換してエネルギーとしていることに注目し、セルラーゼ阻害活性、抗菌活性の両面から有効物質の探索を行い、さらに木質に安定に浸潤させることで抗シロアリ木材の開発を行う。
304 不溶化柿渋を利用した金めっき洗浄水からの金回収ゲルの開発 杉内 重夫 福島県ハイテクプラザ 大越 正弘 福島県ハイテクプラザ ポリフェノールの一種である柿渋の特性である還元性と金属イオン結合性を利用し、金めっき洗浄液に含まれる数ppmの金を効率よく回収するための研究である。本来、水溶性である柿渋を高分子化することによりフェノール活性を残したまま不溶化し、アルギン酸ゲルと分散・固定化させ金回収ゲルを製造する。今回は柿渋を固定する母材となるアルギン酸ゲルの高強度化と、柿渋の凝集を抑制したゲル中への分散方法、および回収槽の設計について研究する。
564 環境に応答する生分解性を持つ高強度高分子の開発 青木 俊樹 新潟大学 長濱 勝介 新潟大学 本研究は、高い強度を持つ生分解性合成高分子の開発に関するもので、ある環境刺激に応答して、高強度高分子から分解性高分子へと変化する代表者らが開発した合成高分子を用いる。具体的には、この新規合成高分子は剛直な芳香族共役系高分子構造を持つため丈夫な材料を与え、かつ、水あるいは特定の光にさらすとその分子構造を変化させて、分解性を増し、速やかに低分子に分解するという極めて特殊な性質を持つ。本研究はこの材料の実用化研究である。
594 ビスマス系セラミックス材料を用いたマイクロ圧力センサの開発 角田 龍則 富山県工業技術センター 谷野 克巳 富山県工業技術センター キュリー点Tcの高い圧電体材料であるビスマス系セラミックスを用いて、高感度な圧力センサの開発を行うことが研究目的である。非鉛系のセラミックス材料のBi4Ti3O12はTcが800℃以上であり、代表的な圧電材料であるPZTよりも高く、高温の条件で使用される電子部品に応用可能である。また、セラミックス厚膜を作製したシリコン基板の裏面をエッチングすることによってキャビティ構造を形成して、センサの感度向上への影響も調査する。
670 マイクロ・ナノジェット式高度感性繊維のデザイン開発 永井 由佳里 北陸先端科学技術大学院大学 山本 外茂男 北陸先端科学技術大学院大学 「機能に富み、かつ感性にフィットする繊維」開発を導く感性デザイン用の知識ベース・ネットワークを構成し、高度繊維機能を人間に親和させるための感性デザインシステムを開発する。具体的内容は①表層・深層感性データベースの構築 ②視覚・触感ネットワーク感性評価システム ③高度感性親和型繊維デザイン材料の開発に寄与する高機能触感を実現するマイクロナノインクジェット技術とのブリッジングである。
681 非線形材料を用いた広帯域超短パルス全固体イッテルビウムレーザーの研究開発 川戸 栄 福井大学 奥野 信男 福井大学 複雑・大型でコストの高い励起用固体レーザーや増幅器を用いずに高出力動作が可能な、レーザーダイオード励起のレーザー発振器に関して、共振器内部に非線形材料を用いた超短パルス化と広帯域スペクトル化を行う。
1161 紫外領域で動作する高分子有機ELの開発 大谷 直毅 同志社大学 平尾 正三 同志社大学 従来成果により紫外領域で動作する高分子有機ELは実現しているが、寿命の点で実用化に問題がある。そこで本研究は、長寿命化が可能な高分子材料を新規に開拓し、有機ELによる紫外発光を実現することを目的とする。また将来のフレキシブル素子への応用を視野に入れ、フィルム基板上での発光実現も目指す。
1181 有機無機複合キラルナノチューブを用いたナノ空間材料の創製と触媒機能 藤原 尚 近畿大学 松本 守 近畿大学 本課題では、グリーンケミストリーを指向する環境調和型物質変換を高効率で達成させるため、内部・表面構造やサイズを自在に制御できる不斉ナノ空間材料として未開拓の金属ナノ粒子−ポリマーナノチューブキラル複合体(有機無機複合キラルナノチューブ)を創製し、均一系、不均一系の触媒概念をナノ界面で融合することにより実現するキラルナノ触媒の創出を目指すとともに、実用レベルへの展開を図る。
1346 扁平状セルロース微粒子を利用した高機能化粧品の開発 長谷 朝博 兵庫県立工業技術センター 富田 友樹 兵庫県立工業技術センター セルロース系物質に脂肪酸などの特定の物質を適量添加混合し、その混合物を機械的に粉砕することによって扁平状セルロース微粒子が生成することを見出した。この微粒子は、その形状および素材自身の特性を活かすことによって高機能化粧品の体質顔料へ応用できる可能性が高い。本課題では、同粒子の化粧品分野への応用展開を図ることを目的とし、同粒子の大量生産技術を確立するとともにその実用特性評価を行う。
1458 マイクロチャンネルを用いた新規のミキシング技術の開発と応用 平野 博之 岡山理科大学 安井 茂男 岡山理科大学 水と有機溶媒、あるいは、気体と液体といった、相互に溶解しない2種類の流体を、1mm以下のスケールの流路において合流させると、各々の相のセグメントが交互に出現することがある。これは交互流とよばれ、マイクロスケール特有の流動様相である。本研究では、交互流を成す各セグメントを独自の技術にてアクティブな状態にさせ、さらにこれを用いて新規の高効率なミキシングを行うものである。
33(B) 革新的金属マトリックス圧電センサ・アクチュエータの開発と応用 浅沼 博 千葉大学 村上 武志 千葉大学 金属コア・中空圧電ファイバを独創的手法によりアルミニウムに複合化し、強度、応答性、耐久性を損なう樹脂系材料や複雑な電極システムが不要な画期的圧電複合材料を実現した。その成果はJSTの支援により米国、欧州6ヶ国、韓国に特許出願済である。本研究では、それらのセンサ・アクチュエータとしての完成度を高め、NASAを始め複数の企業、研究機関から提案のあった各種応用のためのデータ収集とプロトタイプ試作を目的とする。

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 化石燃料・加工燃料:2件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
78 含酸素物質を混合した際の微粒子抑制に関する基礎研究 亘理 修 北海道自動車短期大学 山崎 信行 北海道自動車短期大学 ディーゼル機関排出微粒子(PM)は、含酸素物質を混合した燃料を用いることで、大幅な低減が可能であると報告されているが、その抑制機構は十分解明されてはいない。また、含酸素物質の性状と微粒子抑制特性、抑制機構の関連についても解明されていない。本研究では、微粒子生成機構・生成特性の異なる燃料、ならびに含酸素物質を混合した燃料を対象に、微粒子抑制機構・抑制特性の関連を解明し、微粒子低減を図るための知見を見出すことを目的としている。
1527 酸化カルシウム触媒による油脂からのバイオディーゼル燃料製造プロセスの開発 福永 公寿 山口大学 大高 聰 山口大学 高活性の酸化カルシウム(CaO)を調製して廃食油等の油脂のメタノリシス触媒として用い、生成メチルエステルからのCaの完全除去処理、そして、原料油脂又は生成メチルエステルからの遊離脂肪酸のメチルエステル化処理プロセスを組合わせたOne-Potの回分方式による、簡便でクリーンなバイオディーゼル燃料(BDF)製造法を開発し、実用化に目途をつける。

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 原子力エネルギー:1件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
399 加速器質量分析によるクリアランス対象物のI-129測定法の開発 天野 光 (財)日本分析センター 池内 嘉宏 (財)日本分析センター 原子力施設の解体等で発生する資機材等のうち、放射能レベルが極めて低いものは、普通の産業廃棄物として再利用または処分できるクリアランス制度がある。I-129(半減期:1450万年)は、クリアランスレベルが極めて低く、最も分析の困難な放射性核種の一つである。加速器質量分析法は検出感度が高く、クリアランス検認上、大変有効な手段となる。今回は加速器質量分析法の前処理を中心に技術開発を行う。

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 自然エネルギー:16件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
139 廃棄物系バイオマスによる木質ペレットの高カロリー化の検討 山田 敦 北海道立林産試験場 加藤 幸浩 北海道立林産試験場 木質ペレット燃料は単位重量当たりの発熱量が灯油の1/2程度しかないため、輸送や貯蔵に係るコストが大きい。また、原料となる木質系バイオマスは山村地域に偏在するため、原料調達に要するコストも大きい。そこで、これらのコストを低減するため、廃棄物系バイオマスを混入したカロリーの高い木質ペレット燃料を開発する。さらにペレットストーブを用いた燃焼試験を行うとともに、排ガス等の安全性を調査する。
225 小型風力発電用超多極永久磁石リラクタンスジェネレータの開発 中村 健二 東北大学 仙石 正行 株式会社東北テクノアーチ 小型風力発電では、数m/s程度の低風速が主な動作領域であり、これを発電機の回転数に換算すると数十〜数百r/minと極めて低速になる。そのため、発電機は多極にする必要があるが、部品点数や工数が増えるため、コスト増につながる。これに対して、永久磁石リラクタンスジェネレータ(PMRG)は、構造が簡素で多極化も容易であるため、小型風力用発電機として有望である。本研究では、低風速でも高効率な発電が可能な多極PMRGの開発と、極形状の工夫によるトルクリプルの低減を目標とする。
310 ブリッジ結合磁路を用いた可変出力磁気発振型正弦波インバータの開発 岡沼 信一 福島大学 森本 進治 福島大学 励磁巻線と直列に交流電圧源を接続した磁気発振回路は、制御巻線の交流信号電流により交流電圧源に供給する電力が制御可能であるため、構成が簡単な電力系統連系装置への応用が期待できる。本研究では、この磁気発振回路と磁心の最大磁束値が制御可能なブリッジ結合磁路を組み合わせて、直流電流により出力電力を連続的に制御できる、磁気発振型正弦波インバータを試作し、実証試験を行う。数値目標を、最大出力3 kW、電力変換効率95%以上とする。
357 太陽光発電のための直列コンバーターの開発 梶原 篤 群馬県立産業技術センター 小畑 剛志 群馬県立産業技術センター 現在の太陽光発電システムは、その一部が日陰に入るなど不均一な光照射条件下では著しく発電量が低下する。本研究で提案するシステムでは、複数ある太陽電池モジュールのストリング毎に太陽電池を最適制御したうえで直列接続し、それらの電力を同一の電流経路に流す手法で、従来取り出せなかった部分の電力を出力として取り出すことを可能とする。新しい直列コンバーター回路を開発しようというものである。
557 温泉熱駆動スターリング発電の小規模独立型高機能農業用ハウス制御への適用 小浦方 格 新潟大学 後藤 隆夫 新潟大学 再生可能エネルギーとスターリング機関による発電に関する研究例や実施例は既に多い。しかしそれらのほとんどは大出力、高効率を指向し、容易に利用可能な温泉熱によって動作する小型かつ安価な機関についての報告はあまり例がない。本研究では、自噴する100℃近くの温泉熱を駆動熱源とした小形スターリング機関の長期安定的稼働を実現し、山間地等で商用電源の利用が困難な地域において、高機能農業用ハウスの制御に用いるためのプロトタイプを開発する。
587 河川監視装置電源用の縦渦励振駆動型マイクロ発電機の開発 白樫 正高 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 中小河川の急激な増水や洪水による災害を避けるため、対象河川に沿った多数の観測点において流速を監視する装置の開発を推進している。本研究は、この装置において対象河川の流れを利用して電力を自給するための発電機を開発するものである。河川の劣悪な条件に対応するため、十字交差配置円柱/帯状平板で発生する縦渦による振動を利用する。そのため、縦渦励振の流体力学的特性を明らかにして設計指針を確立し,これに基づいて試験機を製作してその実用性を確認する。
894 化学修飾カーボンナノチューブを正極とする新規色素増感太陽電池 川崎 晋司 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 低コスト、カラフルな色素増感太陽電池は次世代太陽電池として期待されている。現状では、光エネルギーの変換効率が既存のシリコン太陽電池に及ばないことからこれを改良しようとする負極の研究が盛んである。しかし、あまり注目されていないが実用化を目指す上では、正極にも重大な問題点がある。現在、正極には高価な白金が導電性ガラスに塗布されたものが使用されており、コストと安定性に大きな問題を抱えている。今回これを解決するため、ナノチューブを分散させた透明導電ガラスを正極に使用することを提案する。ガラスマトリックスに分散したナノチューブは低コストであり、かつ剥落などの恐れがなく安定であると期待される。
917 色素増感太陽電池用β-ジケトナートルテニウム錯体含有高分子色素の開発 松見 紀佳 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 クルクミンと二官能性ジクロリドとの重縮合により合成されたベータジケトン構造を有するポリエステルを高分子配位子として、今日の色素増感太陽電池において最も優れた色素の一つであるベータジケトナートルテニウム錯体を高分子化する。レアメタルであるルテニウムの分離回収に役立つと考えられるほか、有機色素であるクルクミンを含有することにより光捕集効果も期待される。また、高分子効果による酸化チタン電極との接着の改善により、色素溶出の防止や電子移動速度の向上も期待される。
988 空力騒音を低減する風力タービン翼端形状の開発 前田 太佳夫 三重大学 加藤 貴也 三重大学 風力タービンの出力向上と騒音低減は相反するもので大きな課題となっている。そこで本研究では、風力タービンのブレード先端から発生する翼端渦のスケールを微細化することにより、空力騒音の低下を達成できる翼端形状の開発を行う。本課題においては翼先端近傍の速度場と音響場の数値解析を行うことにより翼先端形状の最適化を行い、決定した形状の翼端をフィールド風力タービンに取り付け騒音測定を行い、騒音低減効果を評価する。
1245 酸化物ナノインプリント法を用いたナノ超構造増感太陽電池の開発 Cha Nam-Goo 大阪大学 武井 廣見 独立行政法人科学技術振興機構 環境に調和し、光に対して巨大な応答を示す金属酸化物を対象とし、10nm級の超高分解能と超高集積(10Tbit/cm2)を実現し、大面積ナノ構造一括生産が期待される“ナノインプリント法”と“酸化物人工ヘテロ構造形成技術”のナノプロセス融合により、従来困難であったナノ量子構造の規則的・超高集積な3次元的配置制御を実現することにより、超高効率の第3世代量子ドット太陽電池を創出する。
1366 ポーラスカップ型蒸発計を用いた太陽熱蒸留・水輸送装置 高見 晋一 近畿大学 根津 俊一 近畿大学 日射エネルギーでポーラスカップ型蒸発管から、蒸発を起こし、蒸発面を被う凝結装置によって蒸留水として回収する。よって、海水等から真水が得ることができる。本課題では、これまで得られた成果に基づき、どのようにすれば実用規模の装置が得られるかを数値モデルを併用して、実験的に明らかにする。
1465 大型風車の落雷故障診断システムの開発 鳥家 秀昭 津山工業高等専門学校 梶谷 浩一 岡山大学 近年,大型風車(風力発電機)で落雷による風車ブレードの不具合の発生事例が報告されている。風車の点検は数日間、風車の運転を停止して目視検査で行う。しかし、風車ブレードの取替作業にはこれより長期間の停止が必要である。そこで、本応募では、大型風車を使用して落雷時に発生する故障の診断システムの開発を目的として、試験研究を行う。
1573 如何なる強風下においても安全に発電可能な直線翼垂直軸風車の開発 野田 稔 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 高層建物の屋上や山岳地などの極端に風の強い場所への導入を前提に小型の直線翼垂直軸風車の特性を考えた場合、回転制御が難しく過回転現象を起こす可能性を無視できない点はこの種の風車の弱点といえる。そこで、本研究では、可変ピッチ機構を備えた自律制御型の直線翼垂直軸風車を実用レベルに引き上げることを目標とし、如何なる強風下においても過回転状態に陥らずに発電が継続可能な小型風車の提供を目指す。
1753 風力発電普及のための各種GPVデータの有効活用 内田 孝紀 九州大学 山内 恒 九州大学 本研究では、各国の政府機関(日本の場合は気象庁)が提供する各種GPVデータを統一的に取り扱うことが可能なデータ解析システムを開発し、陸上および洋上の風力発電導入可能地域を絞り込む。同時に、風車から出力される電力の系統連携に関連して、ウィンドファーム建設後の日々の発電量予測への応用も検討する。また、地球温暖化に伴い指摘されている風況の経年変化も統計的に明らかにする。
1898 配向金属テープを利用した単結晶シリコン薄膜太陽電池の開発 土井 俊哉 鹿児島大学 遠矢 良太郎 鹿児島大学 Cu、Al等の金属は安価で取り扱いも容易であり、一般に広く普及させる太陽電池の基材としては最適である。これらの金属を適切な条件で圧延と熱処理することで単結晶的に結晶方向を揃えたテープを作製し、その上にSi薄膜をエピタキシャル成長させることで、アモルファスSi太陽電池と同等以下び低コストで、単結晶Si太陽電池に近い高効率の太陽電池が作製できる可能性がある。本研究では、配向金属テープ上に単結晶のように結晶方位が揃った3軸配向シリコン薄膜を作製する。
55(B) アドバンスド集光型太陽電池の開発 山田 昇 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 進化的計算アルゴリズムによって高度に最適化された集光形態を有するアドバンスト集光型太陽電池の実用化に向けた開発を行う。生物の進化メカニズムである交叉・突然変異・淘汰・免疫機構を模擬した計算アルゴリズムを用いて、各種太陽電池の特性、集光器などの組み合わせにおいて最大の発電効率を実現する薄型・低コストな集光型太陽電池の実用化に向けた設計・試作と、実用に近い条件下での性能試験による検証を行う。

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 省エネルギー・エネルギー利用技術:49件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1 寒冷地で通年利用可能なバイオディーゼル燃料の開発 西條 大輔 (財)十勝圏振興機構 飛川 剛 (財)十勝圏振興機構 バイオディーゼル燃料は環境負荷の低い軽油代替燃料として注目を浴びているが、低温での流動性が悪く、北海道のような寒冷地(特に十勝地域では最低気温が-20℃を下回る)において冬期間利用するためには、低温特性の改善が望まれている。本研究では、開発事例の少ない低温晶析技術(ウィンタリング)について検討し、-20℃以下で使用可能な燃料の精製方法を確立する。
14 スチーム回収に伴う温度差発電の制御システム 浦家 淳博 釧路工業高等専門学校 東藤 勇 苫小牧工業高等専門学校 ゼーベック効果を利用した熱電変換素子を中心として構成した温度差発電装置によって、未利用エネルギーの活用技術を開拓する。具体的には、工場等で発生する余剰スチームを液化回収する際の、スチームと低温水の接触部分で得られる温度差を電力として取り出す。断続的に行われるスチーム回収から、安定した電力供給システムを実現し、実用化を目指す。
38 LNGの冷熱を利用した高性能ガスタービン発電システムの小型化 吹場 活佳 室蘭工業大学 花岡 裕 室蘭工業大学 LNGを使用したガスタービン発電システムにおいて、吸入する主流空気を燃料であるLNGの冷熱を利用して冷却することにより発電能力を高めるシステムの構築を目的とする。コンパクトな熱交換器および除霜装置を利用することにより、システムとしての小型・軽量化を目指す。本研究ではケロシン系燃料を用いた小型ガスタービンの主流空気を液体窒素を冷媒として冷却することにより、冷却時の性能向上、熱交換器への着霜の状況、システムとしての成立性などを確認する。
128 磁気冷凍ヒートポンプにおける充填構造体の熱移動特性に関する研究 平野 繁樹 北海道立工業試験場 作田 庸一 北海道立工業試験場 磁気冷凍ヒートポンプ(HP)は,粉体あるいは粒状の磁気作業物質(MCM)充填層への励磁・消磁により、その物質が直接発熱・吸熱するシステムであり,フロン等の温室効果ガスを使用しない環境負荷の小さな次世代冷凍技術の一つである。MCM充填層は微細構造を有し、充填層と流体との熱移動特性は、システムの性能を大きく左右する。本研究では、磁気冷凍HPシステムの高効率化について,回転形実機を用いて検討を行う。
256 熱音響エネルギー変換を用いた冷却技術開発 琵琶 哲志 東北大学 大野 健一 独立行政法人科学技術振興機構 フロンを一切使用しない環境調和型の冷却技術として発展させるために、熱と音波の相互変換(熱音響エネルギー変換)を利用した新規のノンフロン冷却技術開発を行う。試作する音波クーラーは逆スターリングサイクルを利用するが、スターリングクーラーとは異なって音波がエネルギー変換を実行するという利点を有する。試作機の開発を通して、小型で持ち運び可能なサイズの小型冷却装置へ発展させるための課題を明らかにする。
279 珪藻土と籾殻を利用した低メンテナンス・高機能屋上緑化システムの開発 村上 英樹 秋田大学 仙波 日出夫 秋田大学 本県に多産する珪藻土と籾殻を用いて、軽量・高断熱・高吸水屋上緑化ボードを作製する。更に、本ボードの内部を縦横に走る給水管にも工夫を加え、低メンテナンス・高機能屋上緑化システムの開発を行う。珪藻土は、軽量で高断熱であり、熱や化学薬品にも強い性質を備えている。また、ほぼ純粋な二酸化珪素で構成されるため、日射(特に紫外線)による劣化も無く、半永久的に使用できる。不要になっても天然素材のため、廃棄物になり難い。
318 SiC−JFETの実用化に向けた高性能パッケージの開発 岡村 勝也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 小松 民邦 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 SiCデバイスはワイドギャップ半導体であるために、低損失かつ高温動作が可能でありSiデバイスに置き換わる次世代デバイスとして期待されている。しかし、現状では素子開発の進む一方でその性能に見合うパッケージの開発が遅れているために一部のダイオードを除いては実用化されているとは言い難い。本研究では高温動作に耐え、熱伝導性に優れたパッケージを開発することにより、本デバイスの実用化を加速するものである。
345 小型新エネルギー用系統連係電力変換器の開発 船渡 寛人 宇都宮大学 荘司 弘樹 宇都宮大学 新エネルギーの発電電力は変動する直流であり、実際に使用するには商用系統に連系するため安定した交流電力に変換する。小規模連系の場合は単相交流を使用するが、偏差の無い電流制御を実現するには工夫を要する。本課題では、単相系統連係インバータにおいて、特に出力にLCフィルタを持つ場合に適用可能な高性能で簡単な回路構成である新しいディジタルヒステリシス電流制御系の開発を目的とする。
386 電気自動車用高効率ペルチェクーラーの開発 長谷川 靖洋 埼玉大学 角田 敦 埼玉大学 コンプレッサーを利用しない冷暖房(エアコン)として、電気冷熱効果を利用したペルチェ素子(通電すると物を冷やすことのできる素子)を使ったクーラーの実用化が期待されている。そこで本研究では、ナノワイヤー構造を用い量子効果を導入し、大幅なエネルギー効率向上が期待できるナノワイヤー構造ペルチェ素子を用いて、車載用の小型で高効率ペルチェクーラーの開発を行う。
402 燃料電池反応に高活性な表面構造をもつナノ触媒の開発 中村 将志 千葉大学 行木 勝美 (財)千葉県産業振興センター 触媒反応は表面構造により活性が大きく異なることが知られている。従来の触媒表面は様々な構造が露出している。そこで高活性な構造だけが露出した触媒を開発することができれば、触媒使用量を劇的に減らすことができる。本研究では、従来の合成法と電位パルス法を組み合わせたハイブリット合成法により燃料電池用触媒として高活性な表面構造をもつナノ微粒子触媒の合成を行なう。
443 新型流動床バイオマスガス化装置の開発と太陽エネルギー加熱源の適用 村上 和彦 首都大学東京 栗田 良夫 首都大学東京 従来方式の流動床における流動ガスの不要化および加熱時間の短縮によるタール発生抑制を可能とするバイオマスのガス化のための独自な新方式流動床を開発する。さらに、入力エネルギー源として太陽光を適用することで再生可能エネルギーと自然エネルギーを組み合わせた地球に優しい脱化石燃料社会化に貢献できる製品を開発する。
491 吸着冷凍機の小型化・高性能化につながる多点接触型伝熱面の開発 宮崎 隆彦 東京農工大学 堀野 康夫 東京農工大学 吸着冷凍機の小型化を目的に、吸着材-熱媒間の伝熱特性を改善する伝熱面を開発する。吸着材熱交換器の伝熱特性は、吸着冷凍機の性能に支配的な要因である。伝熱面に凹型やV型の溝を加工することによって、伝熱面と吸着材との接触点を増やし接触熱抵抗を低減させる。数値シミュレーションによって吸着材充填状態と接触熱抵抗との関係を明らかにし、効果的な伝熱面形状を見出した後、実験によって接触熱抵抗の低減を実証する。
513 含水多孔質を用いた瞬間過熱水蒸気生成器の開発 奥山 邦人 横浜国立大学 村富 洋一 横浜国立大学 本技術は、含水多孔質表面を電熱コイルで強く加熱することにより瞬間的に高温の過熱水蒸気を生成する方法を提案し、高温蒸気生成のメカニズム解明のため、多孔質細孔部内のマイクロチャンネル熱伝達と細孔部流出後のマクロチャンネル熱伝達とを切り分けた要素実験を行うとともに、水蒸気生成温度、生成速度並びに効率に与える主要パラメータの影響を検討し、実用化する場合の設計の指針を得ることを目的とする。
514 高温塑性加工による高配向層状コバルト酸化物熱電変換材料多結晶体の開発 福富 洋志 横浜国立大学 村富 洋一 横浜国立大学 600℃〜800℃の温度域の熱電変換材料として、単結晶層状コバルト酸化物が実用水準の性能を示すことが知られている。多結晶体の性能を如何に単結晶に近づけるかは大きな技術的課題であり、このため、本研究では電気伝導面(001)面が高く板面に配向した材料を高温塑性加工により実現することを目的としている。具体的には、融点近傍の高温での加工により、結晶すべり変形による結晶回転を促進してこれを実現する技術を確立しようとするものである。
584 高効率化絶縁型DC/DCコンバータを実現する直列補償技術の開発 伊東 淳一 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 絶縁形DCDCコンバータは通信用電源、コンピュータ、各種制御電源として様々なところで使用されており、高効率化、小形化を強く求められている。本研究では、絶縁形DCDCコンバータの高効率、小形化を目的とし、入力電圧変動はある範囲内であることに着目し、入力電圧の変動分だけ電圧を直列に補償することで、出力電圧を安定化する「直列補償技術」を開発する。
585 フレキシブル熱電変換素子の高性能化 武田 雅敏 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 低温排熱からの電力回収への応用を目指し、薄く、折り曲げ可能なフレキシブル熱電変換素子の研究開発を行っている。本応募課題では特に、素子の内部構造の改善を行い変換効率の向上を目指す。本研究で開発する素子は、従来の熱電変換素子(ペルチェ素子)とは異なり、柔軟で軽量、また大量生産に適した構造を持っており、より多様な熱源に設置して発電が行えるものと期待される。
589 発光強度の時系列解析を利用したメタン火炎挙動同定技術の開発 門脇 敏 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 火炎のゆらぎ計測に関して、発光強度のカオス時系列解析が利用できることを示し、特許を取得している。この手法では、安価で小型のセンサーを用いるので、低価格でコンパクトな装置の作製が可能である。これまで、本手法を種々の火炎挙動の計測に適用し、良好な結果を得ている。本手法をメタン火炎挙動の同定に適用することにより、メタン燃焼の最適条件を時々刻々設定することができる。
684 建物熱負荷を削減する簡易ルーフポンドの最適設計法に関する研究 吉田 伸治 福井大学 吉田 芳元 福井大学 既存のRC建物に簡易に設置可能な水槽(ルーフポンド)の熱負荷緩和効果をその熱収支メカニズムに基づく詳細な分析とその最適設計に必要な知見を明らかとすることを目標とする。
具体的には本課題期間において、①実測によるルーフポンド底面の色、水層の厚さの違いが性能に及ぼす影響の分析、②数値解析によるルーフポンド敷設時の期間冷房負荷削減効果の分析、の2つの点に関する調査分析を行う。
750 炭酸ガス排出抑制を特徴とするマイクロ波溶鉱炉の開発 佐藤 元泰 核融合科学研究所 大森 茂嘉 (財)名古屋産業科学研究所 在来の高炉の基本構造を踏襲しながら、(イ)エネルギー供給を、炭素の燃焼とその高温ガスではなくマイクロ波電力に置き換えることにより、(ロ)炭酸ガス排出量を半減し、(ハ)高純度銑鉄を連続的に生産できる効率の高いマイクロ波高炉を実証する。原料に強度を要求せず劣質原料を利用でき、また、操業の停止と開始が容易である。原子力や自然エネルギーによる電力を使用して、CO2排出を1/2にできる。現在の製鉄業が抱える問題を抜本的に解決し、基幹産業中の基幹産業である製鉄を脱炭素社会へ適合させる。
765 メタノール排水に適用可能な新規メタン発酵処理法の開発 角野 晴彦 岐阜工業高等専門学校 杉山 正晴 岐阜工業高等専門学校 メタノールは、パルプ製造排水に代表される各種の工業排水に含まれている。省・創エネルギー型である既存のメタン発酵処理法によって、メタノール排水を処理した場合、性能発揮の鍵である自己凝集型微生物集塊体(グラニュール)の形成・維持が困難である。そこで、このような問題点を回避できる新たな微生物の集塊法および利用法が必要と考え、メタン発酵型散水ろ床を開発した。本研究では、開発したろ床の連続処理特性と生物学的指標を実験的に明らかにする。
788 赤色発光ダイオード電球の電照菊栽培への適用技術開発 福井 博一 岐阜大学 竹内 正治 岐阜大学 キクなどの花芽分化抑制に使用されている白熱電球が地球温暖化対策から製造販売中止となった。植物の花芽抑制に関係する660nmの波長の光を発するLEDが開発され始めており、本研究では電照栽培用白熱電球代替光源として注目した。本研究ではキクを供試材料とし、花芽分化抑制効果を持つ660nmの最低光強度を明らかにするとともに、品種間差異について検討を行う。また、圃場試験用の実証型LED光源を用いて、圃場における実証データを収集する。
846 任意の発熱分布を実現する面加熱デバイスの開発 平沢 太郎 中部大学 牧野 琢磨 中部大学 任意の「発熱分布」を実現する平面加熱デバイスを提供するため、マイクロ火炎をアレイ化する技術を開発した。この技術により実現されたマイクロフレームアレイは、電気ヒーターに比べ、達成温度範囲が高温側で広く、発熱応答性が高く、一次エネルギー削減効果があるといった優位性がある。この技術を用いて、「局所的な熱容量差」がある場合でも、対象全体の温度を一様に上昇させる加熱技術の実現を目指す。
888 商用電源駆動される高効率一定速モータ制御措置の開発 竹下 隆晴 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 ファン、ブロアなどの商用一定周波数電源で駆動する一定速用途モータとしては、起動器を必要としない誘導電動機が使用されている。誘導電動機に比較してモータ損失を低減できる永久磁石同期電動機は、その駆動にインバータなどの可変周波数電源を必要とし高価になるので、一定速用途にはほとんど使用されていない。本研究では、商用電源でPM同期電動機を駆動するための起動器を用いて、一定速制御時における損失低減と安定駆動制御法を開発する。
930 レーザ計測を用いた燃焼場の可視化と乱流燃焼モデルの実証 林 直樹 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 省資源および地球環境問題の両面から、高性能・低環境負荷の燃焼器の開発は重要である。実際に用いられる燃焼の多くは乱流であり、構造が極めて複雑で、予測が非常に困難であることから、より高性能なシミュレーションのツールが必要となる。
本研究課題では、乱流火炎に対して、研究担当者が独自に提案している「拡張Laminar Flamelet Model」に基づく組み合せ法を用いた精密科学的な乱流燃焼モデルを用いた数値解析コードの開発、実証を行うために、複数のレーザを用いた火炎の発熱量、濃度場の同時計測を行う。
939 大面積居室における個別分散型空調システムの統合制御の開発 齋藤 輝幸 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 近年、比較的規模の大きい事務所建築においても個別分散熱源空調システムの採用が増加しているが、広いオフィス空間に多数の室内機が設置されている場合の適切な運用方法や設計基準は整備されていない。また、室内へ直接的に導入される外気が室内環境に与える影響に関しても十分に検討がなされていない。本研究課題ではオフィス空間における空調システムの運用状況と室内温熱・空気質環境の実測調査に基づき、省エネルギー性と室内環境制御の点から適切な設計・運用方法に関する検討を行う。
987 アルミ電解コンデンサーの高機能化に向けた新規長鎖分岐二塩基酸の開発 清水 真 三重大学 横森 万 三重大学 アルミ電解コンデンサーの用途は幅広く、特にハイブリッド車、鉄道車両分野では、高耐電圧、高耐久性、小型化が求められている。最も重要な構成要素は電解質であり、中でも電解質として用いられるニ塩基酸の構造でコンデンサー特性が大きく変わり、分岐ニ塩基酸の構造が高性能化へのポイントとなることが明らかになっている。本研究では、選択的有機変換反応を活用し、多様な新規分岐ニ塩基酸を創成して、高性能アルミ電解コンデンサー開発を目指す。
1026 インバータ大容量化技術の開発とその応用 稲葉 博美 滋賀県立大学 安田 昌司 滋賀県立大学 インバータの大容量化(高出力)方式には、インバータを構成するスイッチ素子自体の大容量化や素子の直接並列接続数を増加させる方策があるが、素子電流均等化の為の対称配置構造の容積制約から容量限界に到達しつつある。本研究では、インバータとして組み上げたセットを2組以上並列接続するセット並列方式において、インバータ出力のうち、セット間を還流し出力に寄与しない横流成分を抑制し、出力効率を向上させうる制御法を開発する。
1049 一方向通電形新型ブラシレスDCモータによる新型電動発電機を用いた系統連系分散電源システムの開発 小松 康廣 立命館大学 安川 竜二 立命館大学 太陽光発電システムなどの分散形電源を系統連系するための電動発電機システムの開発として、従来の市販インバータに比して安価で故障しにくく、各家庭で設置可能な、動力も利用できるシステムの開発が目的である。実施内容は、交流電圧出力巻線を備えた、一方向通電形のブラシレスDCモータによる新形電動発電機を用いた開発である。なお、本装置を独立システムとして用いることも可能であり、定格出力800Wにおいて総合効率を約90%とし、低振動化、静音化、小形化を目指す。
1087 太陽熱温水器への適用を考慮した微細気泡利用型伝熱促進法の確立 北川 石英 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 本研究の目的は、微細な気泡を利用した伝熱促進法を確立し、太陽熱温水器への適用を検討することである。具体的には、熱電対を用いた多点温度計測と粒子追跡速度計測法を用いた気液二相速度計測を行い、微細気泡を含んだ自然対流場の熱伝達および流動特性を包括的に明らかにする。最後に、本研究から得られた知見をデータベース化し、実用化に向けた最適条件を見出す。
1095 光拡散性能素材等を利用した新しいコンセプトのLED照明器具の開発 池上 俊郎 京都市立芸術大学 笹田 滋 独立行政法人科学技術振興機構 目的:身近な生活領域の効率の良い小型LED照明器具の開発。実施内容:1:照明装置の製作;小型携帯型装置の開発/高効率な発光装置モデルの製作 . 目標:1:開発可能パターンの明確化と汎用性の形成。2:小型化による軽量、シンプル、省エネルギー、環境負荷の少ない市場流通商品モデルの形成。
1100 中性エステルを用いた油脂からの新規な超臨界バイオディーゼル製造法の確立 坂 志朗 京都大学 石田 政隆 関西ティー・エル・オー株式会社 ヨーロッパを中心にアルカリ触媒法による油脂とメタノールからの脂肪酸メチルエステル(バイオディーゼル)が製造されている。しかし、副産するグリセリンの世界市場は年間70-80万トン程度であるのに対し、バイオディーゼルの増産により、150万トンヘと過剰な状況にある。そこで本研究では、メタノールに替わる溶媒として炭酸ジメチルなどの中性エステルを用いグリセリンを出さない新規な超臨界バイオディーゼルの製造法を開拓する。
1163 DME予混合吸気−水素直噴デュアル燃料ディーゼル機関の開発研究 千田 二郎 同志社大学 平尾 正三 同志社大学 急速圧縮膨張機実験においてDME予混合気場に水素を直接噴射して、DMEの低温酸化反応に起因する分解成分であるH2O2経由でのOHラジカルによる水素の自着火過程を実現し、反応動力学を用いてもこの着火過程の反応を確認した。本課題では、実機関を用いて、予混合DME濃度と水素直接噴射時期を独立に制御することによって最適な燃焼形態・排気特性を究明できる。
1240 人間型ロボット用非接触磁気減速機構の開発 平田 勝弘 大阪大学 辻 公志 独立行政法人科学技術振興機構 現在、人間型ロボットの駆動源として、電動モータと機械式減速機のユニットが複数搭載されているが、機械的な接触に伴う摩擦のため、機械損失・振動・騒音・寿命などの問題がある。本研究では、永久磁石の磁力を用いて、非接触で動力伝達可能な新しい動作原理の磁気減速機の開発を目指して、磁気波動を利用した原理モデルを基に磁気構造の最適化を図ると共に、更なる高性能化のために、不思議遊星歯車とのハイブリッド化を検討する。解析シミュレーションによる最適設計、及び試作機による実験検証を行い、人間型ロボット上肢部駆動源としての実用化の可能性を見極める。
1293 CO2ヒートポンプ給湯システムの可動断熱板付き貯湯槽による性能向上 横山 良平 大阪府立大学 竹崎 寿夫 大阪府立大学 CO2ヒートポンプ給湯システムにおいては、貯湯槽に熱伝導によって生じる温度中間槽の増大に伴うシステム性能の低下が重大な問題となっている。本課題では、水の密度の温度依存性を利用して温度中間層とともに鉛直方向に移動し得る可動断熱板を挿入した貯湯槽を有するシステムの性能分析を行い、断熱板が温度中間層の増大を抑制することによってシステム性能を向上させる効果を明らかにし、今後の実用化への展開の基盤を築くことを目的とする。
1356 表面改質酸化チタンナノチューブと混合媒体を用いた革新的排熱技術の開発 河南 治 兵庫県立大学 瀧澤 精一 兵庫県立大学 電力損失低減という視点から省エネルギーに貢献できる大型半導体冷却においては、発熱部面積が大きい上に、発熱密度の増大や、さらなる大型化が見込まれており、冷却が著しく困難な対象の一つであり、大面積・高発熱密度に対応できる高性能な排熱システムの開発が望まれる。本研究では、表面改質酸化チタンナノチューブのコーティングによって伝熱面の濡れ性を制御し、さらに混合媒体を活用することで、沸騰熱伝達の促進かつ限界熱流束の増大を両立する革新的排熱技術を開発する。
1400 促成イチゴ高設ベンチ栽培用のハウス内空気と培地の一括加温システムの開発 笹川 悦世 島根県農業技術センター 春木 和久 島根県農業技術センター 促成イチゴ高設ベンチ栽培における加温について、燃油消費量を抑制するため、温風暖房機だけでハウス内空気と培地の両方を加温するシステムを創出し、燃油消費量を最小にできる機器制御方法を解明する。
1426 バイオ水素を製造する「創エネ型」化学触媒プロセスの開発 押木 俊之 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 低炭素社会づくりに資する非枯渇資源からのクリーンエネルギー確保は、我が国に課せられた緊急課題である。本課題では、代表研究者が進めてきた加水分解触媒の開発中に、偶然に発見した新規脱水素触媒をバイオ水素製造へ適用し、「創エネ型」化学触媒プロセスの基礎を構築する。
1450 火花誘起ブレイクダウン分光法を利用した点火プラグ実装型燃料濃度計測装置の開発 河原 伸幸 岡山大学 薦田 哲男 岡山大学 本課題は、研究代表者の発明である火花誘起ブレイクダウン分光法(SIBS)を利用した燃料濃度計測装置の実用化に向けて、実用エンジンに装着できる点火プラグ実装型センサ、高応答・小型分光器を試作し、その測定精度・耐久性を評価するものである。この手法を用いれば、炭化水素系燃料だけではなく、既存の方法ではリアルタイム計測が困難な水素燃料への適用も可能となり、将来の水素社会へ向けて、水素エンジン着火時期の適正化や燃焼改善に大きく貢献できる。本研究では次のステップとして、(1)光ファイバ組込点火プラグの耐久性評価、(2)分光器の高応答・小型化、(3)ガソリン、水素でのデータベース構築、を実施する。
1483 高温超伝導バルク磁石に適したパルス磁場による着磁技術の開発 井田 徹哉 広島商船高等専門学校 長谷川 尚道 広島商船高等専門学校 高温超伝導バルク材料をモータなど電磁機器へ組み込み使用するためにパルス着磁を行うと、パルスの立ち上がりにおける急激な侵入磁束の増加が捕捉磁場特性の劣化を引き起こす。本研究では高温超伝導体の物性に適したパルス磁場をパルス波形の制御によって得て、バルク材料へ短時間で効率よく強磁場を着磁するパルス着磁技術を開発する。電力制御機能を有する着磁装置によって整形したパルス磁場によって捕捉磁場特性を大きく改善することを目標とする。
1501 微生物燃料電池による廃水からの水素エネルギー生成技術 大橋 晶良 広島大学 鈴藤 正史 広島大学 未利用資源の廃水等からのエネルギー回収には、メタン発酵処理によるメタンエネルギーの生成、あるいはメタンではなく直接に電気エネルギーとして回収する廃水処理・微生物燃料電池が注目を浴びている。しかし本研究では、エネルギーの回収効率、利用性の観点から、液状の有機性廃棄物を適切に処理すると共に、微生物燃料電池を改良した新規の水素生成型微生物燃料電池による水素としてエネルギー回収する技術を開発する。
1538 廃熱利用のための水吸着式ヒートポンプ用吸着材の開発 中山 則昭 山口大学 浜本 俊一 山口大学 100℃以下で、従来のゼオライトやシリカゲルより高い能力を示す、廃熱利用水吸着式ヒートポンプ用吸着材の開発を目的とする。基礎研究により、細孔構造を有するチタノシリケート微粒子が、100℃以下で高い水和熱を示し、良好な吸水 脱水サイクル特性を示すことを明らかにした。この新規微粒子吸着材について、イオン交換反応および粒子サイズ制御による材料改質を試み、特性向上を図る。500kJ/kg以上の蓄熱能力を目標とする。
1539 鉄技研方式に比較し主スイッチ数を半減した電鉄用パワーラインコンディショナ 田中 俊彦 山口大学 浜本 俊一 山口大学 新幹線に代表される交流電気鉄道では、列車がダイヤに従って頻繁に加減速を繰り返すため、“電力品質”が悪化した状態となっている。この問題を解決するために、鉄道技術研究所の研究グループは主スイッチを8個用いたパワーラインコンディショナを提案しているが、主スイッチ数の低減は低価格化と信頼性向上に不可欠である。本課題では、鉄道技術研究所方式に対して主スイッチ数を半減したパワーラインコンディショナを提案し、その有用性をシミュレーションと縮小実験装置により明らかにする。
1540 産業応用を目的とした高出力密度高周波誘導加熱用電源の開発 平木 英治 山口大学 浜本 俊一 山口大学 高出力でクリーンかつ安全性の高い高周波誘導加熱を従来比で圧倒的な小型システムで実現すべく、新規方式の三相入力AC-高周波ACダイレクトコンバータを提案する。試作実験装置による実証的評価により出力制御特性、電力変換効率といった基本動作特性を明らかにすることで、従来技術と比べて提案方式が産業用高周波誘導加熱用電源装置としてはるかに効果的であることを示す。
1549 長方形切欠による噴流制御技術を用いた家庭用エアカーテンの開発 張間 貴史 徳山工業高等専門学校 加治 哲徳 徳山工業高等専門学校 本課題は、長方形形状のノズルに長方形切欠を直交させることにより、噴流到達距離を延伸させることができる噴流制御技術を応用し、省エネルギーにて高性能なエアカーテンの開発を目指す。二次元噴流あるいは長方形噴流に長方形切欠を付加すると、長方形切欠軸上で噴流中心向きの二次流れが発生し、ポテンシャルコア長さが大幅に伸びる。この技術を冷暖房効率向上のための門型横吹き循環型エアカーテンに応用することで、静穏でかつ低消費電力の特徴を生かすことが可能となる。これは吸い込みも備えたエアカーテンであり、本課題では長方形切欠および吸い込みによるエアカーテン噴流の速度の減衰と拡散の抑制効果を明らかにする。
1595 省エネルギー二重反転形小型ファンの研究開発 重光 亨 徳島大学 牧野 正 徳島大学 ユビキタスネットワーク社会の構築や電子機器の高度化に伴い高風量な空冷ファンへのニーズが高まっている。一方、データセンター等での消費電力量は急激に増加しており、空冷ファンの省エネルギーに対する要望も日々強まっている。本研究課題は、二重反転形小型ファンの羽根車に翼形を採用し、相対速度に着目した独自設計法により、高風量・高効率な小型ファンの実現を目指す。これまでの基礎研究の中で、本供試二重反転形小型ファンは高風量でかつ高効率を実現でき、従来小型ファンと比較しても格段に効率が改善されることを示した。
1664 農業生産に関する省エネルギー技術開発 ダワァ ガンバット 弓削商船高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 農産物の農業生産性を維持しつつ、暖房経費を節減する方法の一つに、温室内の気温を低めに設定し、地温を部分的に高める技術が知られている。しかし、品種ごとの最適気温、地温の温度など、実用化に向けた研究は進んでいない。本研究は土壌や培地内の水の動きや流量及び温度分布を熱工学的なアプローチにより、各品種ごとの最適条件を定量的に導き出し、天候に左右されない高品質の農産物を、低コストで生産することを目指す。
1862 二酸化炭素を原料とした光で作動するバイオ燃料電池の開発 天尾 豊 大分大学 小林 茂 大分大学 二酸化炭素を原料とし、光で作動するバイオ燃料電池の作動原理は、光合成色素誘導体、電子伝達分子および脱水素酵素を固定したデバイスに二酸化炭素を含む溶液を流通させ可視光照射することによって生成したギ酸を、ギ酸脱水素酵素固定電極、白金電極で構成されるバイオ燃料電池の作動媒体とすることで発電する。本技術は、二酸化炭素の削減、有効利用、エネルギー創製へつながる技術であり、二酸化炭素と光エネルギーで発電する画期的な光電変換システムである。
1892 省エネ用インバータ超小型化のためのSiCパワー素子応用技術の開発 本部 光幸 鹿児島工業高等専門学校 中原 義毅 鹿児島工業高等専門学校 地球温暖化対策の核となるハイブリッド自動車、電気自動車、太陽光発電などではインバータが必須であり、一層の小型化が不可欠である。SiCパワー素子は高温動作、高電圧・低損失の素子であり、これを用いることによるインバータの超小型化への期待が非常に大きい。
インバータの容量は数十VAから数千kVAにも及び、素子単体の高電圧・大電流化のみでは対応できない。
本研究では、SiCパワー素子の直列・並列接続技術を検討し、インバータの超小型化を実現する基本技術を確立する。
74(B) 金属切削屑の省エネ固相リサイクル技術の確立と実用化 金武 直幸 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 切削屑など再利用可能なチップ状金属屑を、再溶解することなく固相のまま固体金属に再生する固相リサイクル技術の確立を目的とする。具体的には、アルミニウム合金、マグネシウム合金、銅合金などの切削屑を対象にして、圧縮負荷と回転ねじり負荷を同時に付与できる「圧縮ねじり加工法」によって、これら切削屑を直接固化成形すると同時に、組織微細化や加工硬化による機械的特性の向上を可能にするアップグレードリサイクル技術を確立する。

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 環境に対する負荷の軽減:24件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
37 廃アルミニウムを利用したグリーン水素製造法の開発 杉岡 正敏 室蘭工業大学 加賀 壽 室蘭工業大学 自動車製造業及びアルミ缶製造業などで大量に排出される産業廃棄物である廃アルミニウム(Al)と水との化学反応により、廃アルミニウムの安全な処理を兼ねた新たなグリーン水素製造技術を開発する。具体的には、アルミニウム粉末の粒子系による安全性、水素発生量に対する原料粉末の粒子径、撹拌条件、粉砕媒体の影響および反応試薬の種類などから最適水素発生条件などを検討する。
39 超音波の音響放射力を利用した低温燃焼システムの開発と応用 廣田 光智 室蘭工業大学 花岡 裕 室蘭工業大学 次世代燃焼技術である超希薄燃焼は、燃焼が不安定になりやすく極端に燃料濃度を薄く出来ない。本研究では、超音波の音響放射力を作用させた低温燃焼システムを提案し、限界の燃料濃度でも安定に燃焼できることを実証したい。メタン・空気噴流浮き上がり火炎を対象に、流入する燃料濃度を計測しながら、超音波の作動条件を変えて、希薄可燃限界付近での安定燃焼を実現できる条件を確立する。
122 電極表面の炭素析出浄化機能を有する革新的SOFCシステムの開発 中村 祐二 北海道大学 奈良林 直 北海道大学 高効率が期待される内部改質型固体酸化物形燃料電池(SOFC)は「陽電極上の炭素析出」により耐久性や出力が著しく低下するため実用化が進まない。本研究はこれを解決する技術シーズである。本研究においては、研究者の技術シーズである重力の影響を受けずに安定した構造を持つマイクロフレームの特徴を利用したin-situ(その場)析出炭素除去システムの可能性について模索する。
252 石炭からのフッ化水素の発生速度の定量化と排出抑制法の開発 坪内 直人 東北大学 山口 一良 独立行政法人科学技術振興機構 石炭ガス化複合発電は、CO2 排出量を大幅に削減できる次世代型のシステムとして開発が推し進められているが、発生する HF は材料の腐食や燃料電池の性能劣化を引き起こすので、生成速度の定式化と除去対策が課題となっている。そこで本研究では、HF の発生速度の定量化と安価な除去法の確立を目的とする。特に石炭加熱時の HF 生成に及ぼす支配要因を明確にする一方、容易に入手可能な原料から除去剤を作成し、その性能を制御する因子を詳細に検討する。
330 紫外レーザーによる白金族元素の分離回収技術の開発 田村 浩司 独立行政法人日本原子力研究開発機構 飯塚 隆行 独立行政法人日本原子力研究開発機構 原子力発電の使用済み燃料に含まれる貴金属元素は再処理時の障害となっている。しかし、これを研究代表者が開発した高選択性波長可変光源を用いて、白金族元素のみ分離できれば、触媒等として希少貴金属資源の再利用や、環境負荷低減につながる可能性がある。本試験研究により、本光源発振光の短波長化により白金族元素分離へも適応可能な紫外波長可変レーザー光源の構築を行い、その特性を測定評価するものである。
339 高含水廃棄バイオマスの高温高圧水ガス化による無害化処理とエネルギー製造 佐藤 剛史 宇都宮大学 山村 正明 宇都宮大学 高含水バイオマスを高温高圧水中にて触媒ガス化することで、乾燥工程を経ずに燃料ガスのメタンや水素を製造する研究を行う。実験では、試料としてバイオマスやバイオマスモデル物質、触媒に坦持金属触媒を用い、高温高圧水中にて回分式反応器でのガス化反応を行う。反応温度や反応圧力がバイオマス分解率、燃料ガス生成量および回収液炭素濃度におよぼす影響を明らかとする。
477 茎葉散布型プラントアクチベーター実用化に向けた光環境実証実験 有江 力 東京農工大学 江口 元 東京農工大学 土壌病害に対し、茎葉散布型薬剤は理想的な防除技術である。病害に対する抵抗性を植物に誘導することを機作とするプラントアクチベーターは低環境負荷と考えられ、新世代農薬として期待が高い。本課題は、両特長を併せ持つ土壌病害防除用茎葉散布型プラントアクチベーターの実用化に向け、欠点である薬害の低減を目的とする。そのため、抵抗性誘導と薬害を分離し、抵抗性のみを効率的に誘導する、好適光環境条件等を明らかにする。
605 温度差発電を伴う温水の温度制御システムの開発 義岡 秀晃 石川工業高等専門学校 赤座 治郎 富山商船高等専門学校 温泉や工場排水に代表される温水の適温制御においては、多かれ少なかれ電力及び上水の消費を伴い、折角の有効エネルギーを利用せずに浪費することを余儀なくされている。これらの問題を打破し、質は低いが多量にある低温かつ小温度差熱源の有効利用と環境負荷低減に資するため、本研究では、熱電変換素子を用いた発電を伴う熱交換器の開発、ならびにそれを利用した温度調整システムを構築し、実用化の可能性を追究する。
640 木質バイオマスを利用した天然保存料ポリリジン発酵プロセスの開発 国本 浩喜 金沢大学 渡辺 良成 金沢大学 木質バイオマスをエネルギー源とする放線菌Streptomyces albulus発酵により、天然保存料ε‐ポリリジン(ε-PL)を高効率で生産するプロセスを確立する。電磁波などのエネルギー供給を酵素反応と組み合わせることにより、従来、利用が困難であった木質系バイオマスを微生物発酵のエネルギー源として有効活用する。本プロセスの確立により、再生可能資源である木質系バイオマスをエネルギー源とする機能性ファインケミカルの発酵生産への応用が期待される。
652 環境に優しい新規強誘電/圧電材料の開発と応用 川江 健 金沢大学 分部 博 金沢大学 現在の強誘電/圧電デバイス分野で幅広く使用されているPb(Zr,Ti)O3に代わるPbを含まない新規低環境負荷材料BiFeO3(BFO)がおおいに期待されるが、室温での安定動作を阻害するリーク電流がある。本課題は、BFOの各サイトを異なる元素で同時置換したBFOを提案し、リーク電流抑制と室温での安定動作を目指している。また、「生産性に優れた手法による同時置換BFOの作製」および「実用化要求に耐えうる各種特性の改善」を行い、低環境負荷材料の実用化を目指す。
657 高い安定性とエネルギー変換効率を有するフレキシブル有機薄膜太陽電池の開発 桑原 貴之 金沢大学 五十嵐 泰蔵 有限会社金沢大学ティ・エル・オー 我々はこれまで、酸化チタン薄膜や金薄膜のような、化学的に安定で酸素や水によって腐食されない素材を電極として用いることで高耐久性を有する有機薄膜太陽電池を開発している。しかし、これらの研究は全てガラス基板上での素子作製であり、有機薄膜太陽電池の実用化にあたり、有機物の軽量かつ柔軟という特徴を生かすためにはフィルム化が重要である。本研究において、エネルギー変換効率(PCE)が3%以上のフィルム型有機薄膜太陽電池、即ち実用化を視野に入れた電池素子の開発を目指す。
767 ラジカル反応制御による無触媒亜酸化窒素分解装置の開発 神原 信志 岐阜大学 安井 秀夫 岐阜大学 下水処理プロセス(ばっき槽)から排出されるガスは、亜酸化窒素(N2O)を含んでいる。N2Oは温暖化係数310の温室効果ガスであるため、その分解法の開発は急務の課題である。本研究は、大気圧非平衡プラズマによる電離およびラジカル反応の制御によって、大気温度かつ無触媒で効率良くN2Oを分解・還元する反応装置の開発を行う。本研究では、その反応条件を探索し、実用化装置設計のための定量的指針を得ることを目標とする。
1002 静かで快適な環境を実現するモータ振動抑制の新開発 残間 忠直 三重大学 八神 寿徳 三重大学 近年、高性能な永久磁石同期モータが、産業・家電分野を問わず中小容量機用可変速モータとして数多く使用されている。しかしながら、制御系の不完全性などにより脈動トルクが発生する。この脈動トルクは振動や騒音を招くため、その対策が望まれている。そこで本研究では、デジタルフィルタによる振動抑制手法を開発する。本手法により振動や騒音を抑制するとともに、電力の高効率利用を達成し、環境へ対する負荷を軽減することで静かで快適な環境を実現する。
1027 電気化学的手法による鉛含有ガラスからの鉛分離 吉田 智 滋賀県立大学 安田 昌司 滋賀県立大学 本研究は、ブラウン管ガラスなど鉛含有ガラスのリサイクル技術の実用化に向けた基礎研究である。高温ガラス融液を電気分解することにより、ガラス融液中の鉛イオンを還元させるとともに、金属鉛を分離する実験条件を確立する。種々の導電性固体を電極とし、鉛ガラス融液中の鉛の還元電位を様々な組成のガラス融液中で決定する。さらに、高温電気分解により電極表面で鉛の還元反応を進行させ、ガラス中の鉛を高効率で分離することを目的としている。
1175 低原子価ニオブ触媒を用いた高難度有機変換手法の開発 大洞 康嗣 関西大学 柴山 耕三郎 関西大学 本課題は、従来その達成が困難であった低原子価前周期金属錯体の均一系触媒としての利用を図り、不飽和炭化水素類を基質とした高付加価値的な有機変換手法の開発を行うことを目的としている。本課題は、低原子価ニオブ錯体が有する高い還元剤としての機能を触媒反応に付与した新規均一触媒系を提供するものである。具体的な反応例としてアルキンとアルケンの高化学選択的クロス環化付加反応、単純アルケンのヒドロアミノ化、ヒドロアミノメチル化等の有機変換反応を挙げる。
1263 バラスト水をなくした超省エネルギー型タンカー&バルクキャリアの開発 池田 良穂 大阪府立大学 伊達 晴行 大阪府立大学 日本の輸出入貨物の99.7%を運ぶ船舶は長い歴史の中で技術的に進化して、究極の姿にまで達しておりイノベーティブな改良は難しいとされている。しかし、その姿は各種の制約条件に縛られた中での最適化が行なわれた結果であり、例えばパナマ運河の幅の拡張だけでドラスティックに変化する。本研究ではこれまでの船舶の固定観念から脱却して、必然とされていたバラスト水をなくし、また船尾の流線型化を徹底することで、従来のタンカーとバルクキャリアに比べて30%以上の省エネの船舶の開発を行なう。
1275 バイオジーゼル燃料製造のためのクリーンプロセスの構築 前田 泰昭 大阪府立大学 亀井 政之 大阪府立大学 地球温暖化防止のための石油代替燃料として注目されているバイオジーゼル燃料製造を、新しく開発した有機溶媒添加均一反応法を用いて、廃棄物を排出しない、消費エネルギーの少ないクリーンプロセスとして確立する。そのために最適溶媒の選択、反応過程の解明、製造過程のコストの評価を検討する。さらに適切な原料の検討を行い、本製造法のさらなる広範囲な実用化を目指す。
1395 化学反応を用いない廃食用油を活用したディーゼル発電燃料の開発 田中 俊行 鳥取大学 足森 雅己 鳥取大学 本研究は、研究代表者らの発明になる吸着濾過シート、バイオディーゼル燃料(BDF)作成等研究成果を利用して、濾過精製・性状調整剤添加方式により、ディーゼル発電用に、廃食用油からBDFを製造する技術の実用化に向けて取り組むものである。現在までに、濾過精製装置の試作、発電実験を行い、本法の信頼性は確認してきているが、今回は以下の目標に取り組む。
① 燃料を迅速に製造できる燃料油製造装置の製造 ②安価な性状調整剤の開発
1525 部分予混合噴霧燃焼法を用いた低エミッション化技術の開発 三上 真人 山口大学 井本 良 山口大学 ボイラーやガスタービンなどの石油を用いたバーナーにおいては,環境負荷の低減の観点から排気ガス中の窒素酸化物(NOx)・スモークの排出量の低減化が可能な燃焼技術が望まれている.本提案では,火炎内に導入される噴霧流の当量比と微粒化状態および空気温度などをコントロールすることで拡散燃焼と予混合燃焼の両要素を含む部分予混合噴霧燃焼領域における低エミッション化技術を多様な燃料に対して適用する技術の開発を目指す.
1621 マイクロ波―固体触媒を用いたバイオETBEの迅速製造技術開発の検討 キタイン アルマンド 財団法人かがわ産業支援財団 加藤 俊作 財団法人かがわ産業支援財団 地球温暖化対策として、バイオマスエネルギーの活用が注目されている。その一つとして、バイオエタノールがあるが、ガソリンに直接混合すると、蒸気圧の上昇やエミッション増加などが懸念される。この観点において、エタノールよりエチル第三ブチルエテール(ETBE)が優れている。本研究では、マイクロ波加熱と固体触媒を併用して、バイオマスから生産可能なアルコール(ブタノールとエタノール)を原料にしたバイオETBEの迅速な製造技術の開発を検討する。
1639 水上パルス沿面放電への音波重畳効果を利用した高度水処理技術開発 門脇 一則 愛媛大学 神野 俊一郎 愛媛大学 流水上でのパルスストリーマ放電を用いた水中難分解性有機化合物の高効率分解を目的として、大気圧プラズマと超音波の重畳とによる効率向上を目指す。パルス形成線路内を極性反転して伝搬する進行波を用いて、容易に大気圧プラズマを引き起こすと共に、超音波の重畳による活性種と難分解性物質との反応促進を試みる。処理過程における水中有機物の分子構造を分析すると共に、COD値の低減に要するエネルギー効率を評価する。
1723 資源枯渇を配慮した溶射材料設計(普通鋼の表面特殊鋼化技術) 恵良 秀則 九州工業大学 長田 純夫 九州工業大学 Ni、Cr、Moなどのレアメタルを含む特殊鋼は普通高より強度、耐食性、耐熱性に優れている。レアメタル節約法の一つに、普通鋼の表面だけをこれらの特殊鋼で被覆する溶射法がある。本研究では基材(普通鋼)と被覆材(特殊鋼)との高密着性を得るための必要条件、すなわち、合金組成、溶射粒子サイズ、粒子衝突速度、ガス雰囲気、凝固組織等について検討し、印刷用ドラムへの応用を実証研究する。
1725 自己回復性ヒューズ素子のサージ防護デバイス適用に向けた開発 大塚 信也 九州工業大学 田中 洋征 九州工業大学 本研究は、配電用システムを対象とした雷サージ保護用のデバイスであるSPDの課題を、申請者らがこれまで開発してきた自己回復性ヒューズSRF素子を適用することで解決することを目的としている。現在のSPDは、雷サージ保護のために設置されているが、続流により素子が焼損することが問題であるため、SPDにSRF素子を適用し、20マイクロ秒内で最大20kAの電流を遮断できるようなSRF素子をヒューズエレメントの構造と素子構成を改良する。
1849 省エネを考慮した閉鎖循環型の多段式養殖システムの開発 井山 裕文 八代工業高等専門学校 野田 耕右 熊本大学 省エネや環境に配慮し、低コストで導入できる鼈(スッポン)などの養殖システムの開発が目的である。 本研究では、屋内養殖が可能な多段式水槽で水を排水せずに閉鎖的に循環させるシステムの設計・製作及び評価を行う。具体的には水の循環量を調節できる配管を施した多段式の水槽に、養殖水中の溶存酸素量を一定に保つエアレーターや、光触媒を利用した汚水処理システムを構築する。なお、これらの動力には太陽光発電を用いる。

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 その他(エネルギー):1件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1867 水素貯蔵用メラミン-アラン付加化合物の開発 津村 朋樹 大分大学 森岡 勝彦 大分大学 アラン(AlH3)はその重量の約10 %もの水素を保持している化合物であり、約160 ℃で水素を放出し、アルミニウムに分解されることから、水素貯蔵材料として注目されている。我々はメラミンにアランを付加させることで水素放出温度を低下させ、再水素化の可能性の検討を行ってきた。本課題では不安定なメラミン-アラン付加化合物の合成システムを確立し、メラミン-アラン付加化合物の同定とその再水素化を目的とする。

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