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平成21年度シーズ発掘試験 研究概要(ライフサイエンス2)

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 研究者、コーディネータはH21年10月における情報を掲載しています

 食料科学・技術:153件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
2 長いもを原料とした有用乳酸菌保護剤の開発 川原 美香 (財)十勝圏振興機構 飛川 剛 (財)十勝圏振興機構 北海道・十勝の代表的な作物である長いもに含まれる特有の粘性物質には体内の粘膜組織を保護する作用があり、外因性のダメージ緩和能が期待されている。一方、特定保健用食品の約4%が乳酸菌の腸内改善効果に基づくが、有用乳酸菌の多くが摂取後に消化器官内で死滅しやすく、現状では限られた菌種しか活用できていない。本課題では、幅広い有用乳酸菌をコーティングして腸まで到達可能にする、長いもを原料とした乳酸菌保護剤の開発を目的とする。
3 低酸素ストレスを応用した水産軟体動物の呈味強化技術の開発 吉岡 武也 (財)函館地域産業振興財団 沢谷 拓治 (財)函館地域産業振興財団 水産軟体動物は生育環境の変化への耐性として、低酸素下において生き延びるための特徴的な嫌気的代謝機構をもち、その結果として正常時とは異なった代謝物が産生される。本研究は活きた二枚貝(ホタテ貝、ホッキ貝)を実験材料に用い、種々の低酸素環境下で保管した際の嫌気的代謝により生成した特異成分よる呈味性の変化を、呈味成分の理化学分析と官能評価を通して評価し、低酸素ストレスによる自発的呈味強化の技術開発を目指す。
4 水分種分布・燻煙ハイブリッド制御による食品設計技術の開発 小西 靖之 (財)函館地域産業振興財団 沢谷 拓治 (財)函館地域産業振興財団 燻煙粒子をマイナス帯電し、数分で燻製処理が出来る「電子スモーク」法は、多様な製品開発に有効である。この電子スモーク法を様々な製品設計に適応するために、(1)燻煙成分吸着機構と食材複合水分種分布との定量的評価、(2)燻煙成分の食材内部拡散機構と食材水分種分布の定量的評価、(3)燻煙加工の最適操作法のための操作パラメータの可視化を行う。
24 車葉草を利用した地域ブランド食品の開発 美馬 のゆり 公立はこだて未来大学 宮嶋 克己 公立はこだて未来大学 北海道に多く自生する車葉草を利用した地域ブランド食品の開発を目指す。そのために、北海道の森林における車葉草の植生についての現地調査、日本およびドイツにおける車葉草の調理法、利用法の調査を行う。これらの結果をもとに、車葉草を利用した飲料、菓子、水産物などについて調理実験を実施し、嗜好性の検証を行う。食料科学・技術、食品加工技術を活かしつつ、北海道という地域環境に配慮した地域ブランド食品の開発を行う。
29 コンブに付着する刺胞動物ヒドロゾアの生活史解明とその対策 高橋 延昭 札幌医科大学 一瀬 信敏 札幌医科大学 コンブに刺胞動物ヒドロゾアが付着するとその商品価値が半減する。ヒドロゾアは種によりポリプ型とクラゲ型の両方あるいは片方単独の生活史を営むことが知られている。コンブに付着するそのヒドロゾア(モハネガヤと云われている)の生活史は、いまだ不明で、その付着対策も練られていない。本研究はそれを立案するため、そのヒドロゾアの全生活史を解明するために、生態学・環境調査および培養法の確立を目指すものである。
48 北海道産希少肉用品種のおいしさ評価に関する研究 口田 圭吾 帯広畜産大学 田中 一郎 帯広畜産大学 北海道内には日本短角種、褐毛和種、アンガス種等の希少な肉牛品種が飼養されている。霜降り中心の流通体系において、非常に低く評価されているこれら希少肉牛品種に対して、画像解析により脂肪交雑の詳細評価を実施し、また、脂肪酸組成を理化学的に分析するなどして、そのおいしさを再評価する。これらの結果を活用し、北海道ならではの希少品種における生産体系について検討し、ブランド化を推進する。
49 ナガイモからの大腸ガン抑制素材の開発 木下 幹朗 帯広畜産大学 田中 一郎 帯広畜産大学 ナガイモは,古来より胃腸虚弱や滋養強壮、消化促進効果等の機能性が伝承されている。研究者は、昨年度に化学発癌モデルマウス(1,2-ジメチルヒドラジン(DMH)投与マウス)おいて食餌性のナガイモが大腸腺腫(いわゆる大腸ポリープ)を抑制すること見いだした。そこで,本研究において、大腸ガンを予防する機能性成分についての同定を行い、ナガイモの規格外品等の利用と高付加価値化の道筋をつける。
50 豆煮汁オリゴマー型ポリフェノールを利用した高肥満作用のある健康食品の開発 小嶋 道之 帯広畜産大学 田中 一郎 帯広畜産大学 豆煮汁から調製したオリゴマー型ポリフェノールを正常および肥満マウスに与え、高脂肪食事を与えた時の抗肥満効果について総合的に評価・検討する。また、牛乳消費の拡大推進の一環となるように、生乳・乳加工品とオリゴマー型ポリフェノールを融合した新規健康食品の開発を行い、その食品の生理作用についても評価する。
58 魚類の腸内発酵生理を利用した魚類体表面粘液増加飼料の開発 木原 稔 東海大学 加藤 博光 東海大学 研究者は魚類の腸内発酵とその生理作用の研究をすすめており、そのなかで魚類に給与した腸内発酵物質が、腸の粘液産生細胞を増加させることを見出した。健康な魚類には体表面に粘液が多いことからこの研究では、腸の粘液分泌を増加するような腸内発酵物質と、体表面粘液の増加との関係を究明し、腸内発酵物質を利用した養殖魚の体表面粘液増加飼料を開発する。
62 ソバ幼植物の高度利用に関する研究 山崎 雅夫 東京農業大学 清水 條資 独立行政法人科学技術振興機構 北海道で広く栽培されているソバの幼少植物(スプラウト)には、健康増進に関わると考えられるフィトケミカル成分を多く含み、主要フラボノイドであるフラボン配糖体は天然抗酸化物質である。ソバフラボンの有用性は未解明な点が有る一方、熱や光に安定であり、ソバの高付加価値利用として機能性天然色素生産体としての活用が考えられる。効率的な色素生産を行うための基礎知見を得るとともに、天然色素としての有用性を解明する。
82 スルメイカ内臓の酵素を利用した水産残渣からのペプチド生産 今野 久仁彦 北海道大学 三井 良一 独立行政法人科学技術振興機構 水産加工残渣には未利用有用成分を含んでいる。本研究では、イカの肝臓の強いプロテアーゼを水産残渣に付着、残存しているタンパク質成分に作用させ、有用ポリペプチドを製造することを目的とする。現在、蓄肉由来のタンパク成分の食品への添加が敬遠されており、安全・安心な水産物由来のポリペプチドの利用が期待されており、北海道はその生産基地として、有利な点が多く、実用化に最も近い地域である。
84 酢および発酵食材の体内での生理機能と付加価値化 岩永 敏彦 北海道大学 清水 條資 独立行政法人科学技術振興機構 酢や発酵食材の効用は知られているが、その科学的根拠は乏しい。また、乳酸菌飲料は善玉である乳酸菌の補給こそが重要であるとされ、乳酸が人体に与える影響は知られていない。本研究では、ヒトを含めた動物の体内における、酢酸や乳酸などのモノカルボン酸に特異的な輸送体の発現を調べることより、モノカルボン酸の動態と利用組織を解明する。目標は、発酵食品の利用価値を高め、新規食材の開発につなげることである。
89 ミガキニシンに含まれるこく味の付与物質 高橋 是太郎 北海道大学 清水 條資 独立行政法人科学技術振興機構 赤身魚に多いクレアチン、ドコサヘキサエン酸(DHA)及びニコチン酸アミド類縁体のめんつゆに対するこく味の付与作用について、アディションテスト、オミッションテストを併用したモデル実験によって解析し、こく味形成のメカニズムを明らかにすることを通じて、こく味付与製品の開発に繋げる。
92 水産物由来の血糖値上昇抑制剤の開発と応用 岸村 栄毅 北海道大学 清水 條資 独立行政法人科学技術振興機構 先に研究代表者は、スルメイカ由来トリプシンインヒビターの調製法を考案し、本インヒビターが新規ペプチドであり、2型糖尿病ラットに対して血糖値上昇抑制作用を有することを見出した。本課題では、2型糖尿病予防用の特定保健用食品の開発を目的とし、本インヒビターの血糖値上昇抑制作用機構および安全性を検討し、実用化の見通しを得る。
93 抗糖尿病作用を示すキサントフィルの簡易濃縮法の開発 細川 雅史 北海道大学 清水 條資 独立行政法人科学技術振興機構 ワカメなどに含まれるキサントフィルは、血糖値改善効果を有し、抗糖尿病効果が期待される。本研究では、キサントフィルとその他の成分の溶媒への溶解性の差を利用した簡便な濃縮法を開発する。具体的には、水産物から抽出した脂溶性成分を、溶媒混合物に溶解して二層分離した後、一方からキサントフィル濃縮物を回収するという極めて簡便な方法である。これにより、10-30%以上まで濃縮したキサントフィル素材の調製法を開発する。
96 RNAサイレンシング促進剤によるアスパラガスのウイルスフリー化技術の開発 鈴木 正彦 北海道大学 土方 健二 独立行政法人科学技術振興機構 アスパラガスは、数年の連作により収量や品質が急激に落ち込む。この原因の一つはアスパラガスに複数のウイルスが潜在感染したことである。本研究では、アスパラガスの収量や品質向上を目的に、安定したウイルスフリー化種子を供給するための技術開発を行う。具体的には成長点で誘導されるRNAサイレンシングによるウイルス分解を促進するための手法を開発する。
101 ノリの無性生殖強化による簡便・高効率生産技術の開発 水田 浩之 北海道大学 東 陽介 独立行政法人科学技術振興機構 ノリ養殖過程は、次年度の栽培のため糸状体(ノリの微小世代)を培養し、採苗を経て漁場へ展開するため、時間やコストもかかる。また、その過程では病気等の問題も発生しており、短時間での種苗補充が必要となる場合がある。そこで、多くの有用物質を含み社会的需要の高いノリについて、再生可能な遊離細胞の獲得機構の解明を進めると共に、連続的な種苗採取を念頭に置いた高効率かつ高効率の生産技術の開発を目指す。
110 魚肉タンパク質由来の抗炎症機能素材の開発 佐伯 宏樹 北海道大学 小川 晴也 北海道大学 タンパク質消化法を用いた魚肉からの新規な抗炎症ペプチドの生産技術の確立を行う。具体的には、既に細胞系で得られている知見に基づいて産卵回帰サケ肉を酵素分解し、抗炎症機能をもつ消化物を調製する。これを各種クロマトグラフィーに供して抗炎症画分を分取し、機能ペプチドの単離と構造決定を試みる。また動物実験によって、当該成分の生体系での抗炎症効果を検証する。
112 ドコサヘキサンエン酸含有ホスファチジルセリンの発酵生産技術の開発 奥山 英登志 北海道大学 須佐 太樹 北海道大学 脳機能に関わるDHAは有用な健康食品成分である。最近はDHAの分子形態による差別化が進み、DHA含有リン脂質、中でもDHA含有ホスファチジルセリン(DHA-PS)が注目されている。本研究では高いDHA蓄積能をもつラビリンチュラ類微生物によるDHA含有リン脂質の発酵生産過程に代謝調節を施し、PSの割合を現在の5%から20%程度まで上げ、DHA含量が40%以上のDHA-PS製造法の開発を目指す。
133 二酸化炭素ガス弱加圧処理の殺菌スペクトル評価 八十川 大輔 北海道立食品加工研究センター 長島 浩二 北海道立食品加工研究センター 高圧二酸化炭素ガスによる殺菌は安価、入手が容易、酸化の影響が少ない、という点で注目されている。当課題は(独)産業技術総合研究所で開発された、二酸化炭素を用いた50気圧以下の低加圧条件で処理した際の殺菌効果について、菌種による殺菌効果を16SrRNA遺伝子を用いた菌種同定の結果から検討を加える。更に当技術の改善法を検討する。
134 抗腫瘍活性を有するガゴメ含有多糖を高度に活用した機能性食品の開発 佐々木 茂文 北海道立食品加工研究センター 長島 浩二 北海道立食品加工研究センター ガゴメに含まれる多糖の特性(粘稠性、機能性)を最大限に活用した食品を開発するために、食品加工工程における諸因子(pH、熱、共存成分)のガゴメ多糖の粘稠性と機能性に及ぼす影響を解析し、それらの低下を抑制する食品加工技術を開発して、ガゴメを活用した食品の高機能化を行う。
135 抗菌ペプチドを利用した発酵食肉製造技術の開発 山田 加一朗 北海道立食品加工研究センター 長島 浩二 北海道立食品加工研究センター バクテリオシン産生微生物を使用し、研究者の所属機関で製造法を開発した発酵生ハムに応用可能な製造条件を検討する。さらにこの製造法を応用して発酵ソーセージの製造法を検討する。
136 エゾシカ利用による凝乳酵素の開発 川上 誠 北海道立食品加工研究センター 長島 浩二 北海道立食品加工研究センター 北海道ではエゾシカの頭数調整として捕獲、一時養鹿が行なわれているが、この間出産される子鹿は少なくない。また、チーズを製造時に不可欠な凝乳酵素であるカーフレンネットは国際的に不足している。本課題では北海道の貴重な資源としてエゾシカを捉え、子鹿の消化器官から抽出する凝乳酵素の開発とこれを用いたナチュラルチーズの製造方法を提案するものである。
145 プロテオミクスに基づく発酵乳製品の機能性評価と生産プロセスの高度化 堀内 淳一 北見工業大学 有田 敏彦 北見工業大学 発酵乳製品はラクトフェリンに代表される機能性タンパクや様々な生理活性を持つ多様なペプチドを含有することが知られている。本研究では2次元電気泳動解析に基づくプロテオミクス技術を発酵乳製品製造プロセスに適用し、発酵製品中の機能性タンパク及びペプチドを網羅的且つ経時的に評価し機能性物質の生成過程を明らかにする。さらに得られた知見を乳製品製造工程に適用し、安定した機能性発酵乳製品製造プロセスの確立に資することを目的とする。
148 菌類細胞壁成分を利用した新規機能性素材の開発 加藤 陽治 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 β1,3-グルカン(BG)は、植物、菌類、細菌など自然界に広く分布し、強い免疫賦活作用や制癌作用を持つことから、機能性食品として販売されている。一方、α-1,3-グルカン(AG)は、BG、キチンおよびガラクトマンナンとともに細胞壁を構成する多糖成分であるが、その生理的機能性について十分な研究がされていない。本研究は、新たに開発した高純度AGの製造法を活用し、AGの機能性を明確にすることで、新規機能性素材を開発する。
151 機能性食品素材としての雑海藻の高度利用法の開発 前多 隼人 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 青森県内において未利用であり処理が問題となっている、いわゆる雑海藻の利用法の開発を目指す。特に抗肥満・抗糖尿病作用を持つ海洋性カロテノイドであるフコキサンチン含有海藻に注目し、有用種を探索する。また、食品素材として安全に使用できる有機溶媒を使わない新しいフコキサンチンの抽出法を開発する。フコキサンチンは褐藻類に含まれ、脂肪細胞での脂質代謝を促進する物質として機能性食品素材への利用が期待されている成分である。
153 フォトセンサと画像処理技術を活用したエダマメ用高精度選別機械の開発 張 樹槐 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 エダマメは、近年の農林水産施策を反映して収穫量・出荷量ともに増加傾向にある。しかし、エダマメの収穫適期は約5日と大変短く、しかも収穫直後から急速に品質の劣化が始まるため、収穫後の迅速な選別作業が必須である。従来のエダマメ選別機の誤選別率が約47%と高いため、その後の人手による精選別作業が不可欠となっている。そこで本研究は、この問題を解決するための手選別不要な高精度で高能率の選別機を開発することを目指す。
155 夏秋期のホワイトアスパラガス収穫法の開発 前田 智雄 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 アスパラガスは近年、夏秋期の「立茎栽培」や冬期間の「伏せ込み栽培」が開発され、ほぼ周年にわたり収穫できるようになってきた。また、ホワイトアスパラが注目され、冬〜春の作型ではホワイト収穫が行われているが、これまでの技術では夏秋期に高品質のホワイトを収穫することは困難であった。本課題では、立茎栽培期間中にホワイトアスパラを収穫する栽培法を開発する。これにより夏秋期にホワイトアスパラ生産ができ、他作型と組合せることで周年的にホワイトアスパラを供給することが可能となる。
162 ヤマノイモえそモザイクウイルス感染性クローンによる弱毒性遺伝子解析及び弱毒ウイルスの選抜 近藤 亨 青森県農林総合研究センター 津川 秀仁 青森県 ヤマノイモえそモザイクウイルス(CYNMV)は、毎年全国のナガイモ産地に発生して減収の大きな要因となっている。これまで弱毒ウイルスによる防除を検討し有効性が認められたが、現在用いている弱毒ウイルス株は、感染ナガイモの増殖中に遺伝子変異によると思われる症状の激化が見られ、実用上の問題になっている。本研究では、弱毒ウイルス感染性クローンを構築し、弱毒性を決定している遺伝子領域、変異位置を特定し、より弱毒性が安定した弱毒ウイルス株を選抜する。
163 アピオスの降圧ペプチドに関する研究と素材化への応用 岩井 邦久 青森県立保健大学 安保 繁 (財)21あおもり産業総合支援センター 豆科のアピオスは、新野菜として注目されている。我々は高血圧ラットにアピオスを与えたところ降圧効果を認め、降圧成分としてアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害ペプチドを見出した。そこで、本研究はアピオスの生理機能と有益性を明らかにする目的で、阻害ペプチドの詳細解明、より阻害活性の強いペプチドの探索、阻害ペプチドを効率的に得る処理法の開発を行う。これらの研究成果は、特に規格外アピオスの活用を促し、地域産業の振興に寄与する。
166 超臨界二酸化炭素を用いたホタテガイ内蔵からのEPAの精製 齊藤 貴之 八戸工業高等専門学校 佐々木 健一 八戸工業高等専門学校 ホタテガイは青森県の主要水産物であるが、加工品での出荷が多いことから廃棄物も大量に発生する。廃棄物の中で、中腸腺は、健康食品の原料として需要が多いEPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)を多く含有している。しかしながら、有害金属のカドミウムも高濃度に蓄積しているため、現在は焼却処理されている。本研究では、超臨界流体技術を用いてホタテガイ中腸腺からEPAのみを精製することを目的とする。
171 氷点下苗貯蔵による抽だい回避技術を利用したネギの新作型の開発 山崎 博子 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター 児島 清 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター ネギは一定以上の苗サイズで低温に遭遇すると花芽が分化するため、越冬作型では抽だいが発生しやすく、栽培が難しい。また、収穫期が9 月から11 月の短期間に集中する北東北地域のネギ産地では、収穫期の拡大(前進化)が望まれているが、冬春期の寒冷な気候や前述した花芽分化特性が大きな障害となっている。本課題では、新たな抽だい回避法として、生育の十分に進んだネギ苗を花芽未分化状態で保存できる氷点下苗貯蔵技術を活用し、北東北地域のネギの収穫期を前進化させる新たな作型を開発する。
199 カリンポリフェノールの抗糖尿病、抗肥満作用機構の解明と製品への応用 長澤 孝志 岩手大学 小川 薫 岩手大学 カリン抽出物は咳などの喉の炎症に効果があるといわれ、申請者の最近の検討から、カリンエタノール抽出物にきわめて強い抗酸化活性とともに血糖値低下作用や血中脂質濃度低下作用など、糖尿病、脂質異常症に対して効果があることが示された。これらの作用は、既存のブドウ種子ポリフェノールなどよりも強いものであった。しかし、カリンポリフェノールの組成、糖尿病、脂質異常症に対する作用機構は明確ではない。本研究課題ではこれらを明らかにすると同時に、抽出エキスを用いたカリンポリフェノールの製品の健康機能性へのエビデンンスを提示するものである。
259 天然物アナカルド酸を利用した抗炎症機能飼料の開発 豊水 正昭 東北大学 田村 光彦 独立行政法人科学技術振興機構 アナカルド酸に、酸化的リン酸化を解消するマイルドな脱共役作用があることを初めて発見し、その作用機構をすでに証明している。本研究では、①細菌感染性過剰炎症を呈するサルモネラ菌症モデル鶏を用いてアナカルド酸の抗炎症作用を検証する。流通時はアナカルド酸75%を含むカシューナッツ殻油であるので、②飼料としての実用性を肉用鶏への生カシューナッツ殻油と加熱カシューナッツ殻油給餌の最適レベル検討で明らかにする。
274 新規抗ストレス剤による豚肉品質向上技術の開発と応用 濱野 美夫 秋田県立大学 渡邊 雅生 秋田県立大学 本研究の目的は、これまで肉養鶏において効果を見出してきた新規抗ストレス剤の対象家畜を拡大させるため、ブタに対するその投与効果を明らかにすることである。この抗ストレス剤は肉用鶏の飼養段階から鶏肉品質の悪化を防ぐことができ、生肉のみならず加工処理した肉でも持続的にその効果を発揮する。しかし、その投与効果がブタにも適用されるかどうかは不明である。そこで、本研究ではブタに抗ストレス剤を投与し、体内代謝および肉の品質について評価を行う。
275 近赤外光を利用した貯蔵芋の糖含量の非破壊計測技術の開発 陳 介余 秋田県立大学 渡邊 雅生 秋田県立大学 貯蔵芋類を用いた加熱加工・製造時に、芋中のアスパラギンと還元糖成分が加熱によりメイラード反応して発がん性のアクリルアミドが生成する。従って、還元糖の高い芋などを用いないために、現状では抜き取り検査による化学分析により判定しているが、煩雑な前処理と分析時間が長いという欠点がある。本提案では、迅速分析が可能で、オンラインで全数検査できる可能性を持つ近赤外分光法を用いた貯蔵芋の品質計測技術の開発を行う。
291 ヤマブトウ剪定枝からのレスベラトロール・関連物質の簡便取得法の開発と機能解析 五十嵐 喜治 山形大学 高橋 政幸 山形大学 ヤマブドウ剪定枝におけるレスベラトロール・関連物質の濃縮時期を明らかにするとともに、その簡便な抽出・分離取得法の開発を行なう。さらには美白効果についてin vitro、メラノーマ細胞などを用いて検討し、化学構造と効果との関連を明らかにする。また、取得産物の抗糖尿病効果についても糖尿病疾患モデル動物を用いて検討し、取得産物の高度利用化のための基盤をつくる。
307 新規天然化合物 N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)の食品成分としての機能解明 柴田 公彦 福島工業高等専門学校 大隈 信行 福島工業高等専門学校 N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)は長い間、人工化合物であると考えられてきたが、最近の研究により赤貝、ハマグリ、ホタテ、岩ガキなど食品として愛好されている生物に広く含まれてことが明らかとなった。本研究では、この新規天然化合物NMDAの食品成分として機能を明らかにすることを目的とする。得られた知見をもとに需要が拡大している機能性食品などへ応用すること目指す。
312 添加物なしでも柔らかさが保たれる餅生地の開発 岡本 和之 茨城県農業総合センター 加藤 弘道 茨城県農業総合センター 糯米の胚乳デンプンはアミロペクチンのみから構成され、モチや大福など加工食品として食されている。一般的に、消費者が柔らかい食感を好むので、従来の加工食品には餅生地の硬化を抑えるため、アミラーゼやトレハロース等の添加物が利用されている。本課題はアミロペクチンの変異を利用し、添加物を使用せずに柔らかさを保つことができる餅生地を提供することによって糯米の新しい需要を創出するものである。
334 マルチ認識素子による動脈硬化危険因子検出プレートの開発 町田 幸子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 柏木 豊 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 動脈硬化の危険因子である変性LDL(Low density lipoprotein)は、多様な分子腫から構成されているが、酸化LDL受容体は、全分子種を認識する機能を有している。このマルチ認識能を認識素子として再構築した、動脈硬化危険因子検出プレートを開発する。さらに、再構築工程の簡略化を図り、低コストで特殊機器を必要としない、汎用性の高い動脈硬化予防効果を評価可能な技術として発展させる。
349 食品中有害金属のバイオセンシング技術開発 前田 勇 宇都宮大学 荘司 弘樹 宇都宮大学 機器分析を補う簡易検出技術を用いた食品・食材中の有害物質検出の需要が高まっている。本研究では食品検査に、開発した有害金属バイオセンサを応用するための技術開発を行う。室温または冷蔵でセンサ素子である細胞またはタンパク質―DNA複合体の活性を維持する保存法と、検出を阻害する食品中夾雑物質の効率的除去法について研究開発を行う。これにより、コストや処理能力に優れた有害金属の食品検査法を確立する。
356 ナスの下漬液を活用したナスニン包接体の開発 伊藤 和子 栃木県産業技術センター 島田 智 栃木県産業技術センター ナス浅漬け製造時に生じる下漬液中のナスニンを、脱塩行程を経て、合成吸着剤と酢酸を用いて抽出する技術を開発済みである。しかし、抽出液を真空凍結乾燥して得られる粉末は、酸性溶液でないと溶解せず、酢酸の臭いも残留している。この問題点を解決するため、ある種の物質を用いてナスニンを包接し、中性付近で安定した紫色を保つ色素粉末の作成を目指す。また、作成した粉末の抗酸化性をORAC法で評価する。
379 食用野菜酵素(ホスホリパーゼ)の皮膚改善作用の探索 福森 文康 東洋大学 上石 洋一 群馬県 これまでの研究により、キャベツやほうれん草に含まれる酵素画分が、乾皮症に関連する脂腺細胞の油滴に作用することが確認されている。本研究では、種々の食用野菜に含まれるタンパク成分の脂腺細胞に対する効果を比較して、活性の高い野菜の絞り込みを行う。さらに、野菜中のホスホリパーゼを分画して皮膚改善作用を測定することにより有効な分子種を特定して、それらの香粧品としての実用性を明らかにする。
404 ケミカルフリーを目指した微生物を用いる野菜苗の栽培技術の開発 坂本 一憲 千葉大学 中小路 尚匡 (財)千葉県産業振興センター 現在、食の安全や環境負荷軽減の観点から野菜苗栽培において化学肥料と農薬の使用を削減することが強く求められており、究極的にはケミカルフリー化が必要とされている。研究代表者はユーカリの根部から分離した微生物、Penicillium sp.EU0013株が野菜苗の生育を促進することを見い出した。本研究はEU0013株を活用し、野菜苗のケミカルフリー栽培を目指した新たな技術開発を実施するものである。
406 調理・加工工程での組織構造変化を利用した食品改質技術の開発 小川 幸春 千葉大学 中島 康彦 (財)千葉県産業振興センター 食品素材は調理・加工工程でその組織構造が変化する。例えば硬いコメ粒は炊飯工程によって軟らかな米飯となるが、その工程中では炊飯液の沸騰による細胞組織の断裂など微細な組織構造変化が生じている。本課題では、特に炊飯工程における米粒の組織構造変化に着目した新しい概念の食品改質技術確立およびその装置的な具現化を目的とする。本技術に基づいた炊飯装置を開発することにより、調理時における食品の改質が期待される。
416 作物の硝酸態窒素含量を低減させる天然物由来物質の探索と開発 児玉 浩明 千葉大学 小野 洋一 千葉大学 現代農業では欠かすことができない窒素肥料は作物の生長を促進する一方で、過剰な施肥は植物体内の硝酸濃度を上げてしまう。過剰な硝酸塩の摂取は人体に悪影響を与えると考えられており、硝酸塩濃度の低い作物を作り出す栽培技術の開発が求められている。海産物を好熱菌により高温発酵させた産物に植物の硝酸態窒素濃度を低減させる効果があることから、 本研究では硝酸態窒素濃度を低減化する物質の探索とその開発を行う。
427 炎症誘発物質の検出による牛乳房炎早期診断法の開発 水田 龍信 東京理科大学 船越 安信 東京理科大学 牛乳房炎は酪農経営を脅かす最大の病気であり、安定で安心な牛乳の供給という観点からも克服しなければならない重要な課題である。これまで乳房炎は病状がかなり進行しないと診断できず、治療も後手に回っていた。我々は炎症初期に壊死細胞から遊離する炎症誘発物質に注目し、これを検出することで乳房炎の早期発見につなげようと考えている。本研究では、この炎症誘発物質と乳房炎重症度の相関関係を検討する。
475 植物抽出物と病原菌誘引物質を組合わせた青枯病殺菌剤の開発 夏目 雅裕 東京農工大学 伊藤 和良 東京農工大学 青枯病菌は世界中に分布し、土壌中で数年間は生き残り宿主となる植物が植えられると感染して病害を起こすため、防除が困難な病害として恐れられている。我々はある種の植物成分が抗青枯病菌活性を示すことを見いだし、活性成分を単離した。しかし、その活性成分の殺菌力は化学薬剤と比較するとやや劣るため、宿主植物が分泌する青枯病菌誘因物質と組み合わせることにより、安全で環境負荷の少ない薬剤の開発を目指す。
486 ウンシュウミカン高含有カロテノイドを活用した歯周病予防ケア製品の開発 宮浦 千里 東京農工大学 平田 美智子 東京農工大学 βクリプトキサンチンはウンシュウミカンに含まれるカロテノイドであり、様々な疾患への予防効果が期待されている。申請者はβクリプトキサンチンの歯周病への予防効果を見出しており、安全なオーラルケア製品の実用化を目指している。本課題では、ウンシュウミカン由来のβクリプトキサンチンの歯周病予防の機能立証と製品形状を視野に入れた開発研究を実施し、歯周病予防ケア製品のプロトタイプを作製する。
492 糸球体腎炎に対する木質由来物質の有効性評価 矢ヶ崎 一三 東京農工大学 木下 麻美 東京農工大学 日本の慢性透析患者数は27万5千人余り(2007年12月)で、40年前のおよそ1280倍に著増している。透析導入患者の主要原因疾患は慢性糸球体腎炎と糖尿病性腎症である。従って、慢性糸球体腎炎からの透析導入を遅らせることは医療費削減の点からも重要である。本研究では、糸球体腎炎の三大症状(タンパク尿症、低アルブミン血症、脂質異常症)に対する木質由来物質の生体内代謝物の効果を検討することを目的とし、腎炎用食品の実用化を目指す。
494 マイタケ脂質中の皮膚改善物質の開発と応用 佐藤 隆 東京薬科大学 神谷 靖雄 独立行政法人科学技術振興機構 皮脂は皮表で皮脂膜を形成し、皮膚の生理学的な機能維持に重要な役割を担っている。皮脂量の減少は皮膚バリアー機能を低下させ、肌荒れ、乾燥症(乾皮症)や掻痒症と密接に関係している。本研究において、我々はこれまでに見出した皮脂産生促進作用を有するマイタケ残渣由来脂質について、その活性成分を同定し、乾燥症(乾皮症)や掻痒症の予防を指向した新規素材としての有用性および実用化の可能性を検証する。
520 植物の形状から健康状態を診るカメラの開発 佐野 元昭 桐蔭横浜大学 寺内 隆道 桐蔭横浜大学 植物工場などにおいて植物の育成環境を管理するためには、温度・湿度、水・肥料、日照などの制御が必要になるが、そのためには、植物の健康状態を常に監視することが重要である。本課題では、赤外線カメラ等を用いて葉の色や温度の他、「枝や葉の形状」を撮影し、その画像をリアルタイムに解析することによって、植物の健康状態を調べるシステムを開発したい。特に、植物が吸収している水分量と植物の形状との関係を調べたい。
544 作物の腋芽伸長抑制剤の開発 梅原 三貴久 独立行政法人理化学研究所 吉田 茂男 独立行政法人理化学研究所 作物の枝分かれは、花や種子の数や質に大きな影響を与えるため、農業や園芸分野において重要な形質である。昨年、ストリゴラクトンが植物の枝分かれを選択的に抑制することを報告した。しかしながら、ストリゴラクトンの合成は非常に手間とコストがかかる。そこで、様々なストリゴラクトン類縁体を合成し、イネのバイオアッセイ系を用いて、より簡易で活性が強い化合物を見出し、新たな腋芽伸長抑制剤の開発を目指す。
546 果菜類・果実の食感(果肉硬さ)判定技術の開発 池田 敬 明治大学 浅井 亮介 明治大学 食べ物のおいしさの判定の一つに食感があり、例えば消費者がスイカに求める項目の2位に歯ごたえが挙げられている。しかしこれまでの果実の物理的食感判定法は超音波などを用いて熟度を相対的に求めているに過ぎず、具体的な物理因子を実測した例はない。本研究では、農業生産・流通現場で求められる、果実・果菜類の品種間差・熟度の微少な測定を可能にする高精度センサーの開発と、その判定の応用検討を研究目標とする。
551 高機能食用色素の開発と応用 早瀬 文孝 明治大学 福場 一郎 明治大学 研究代表者はこれまで、醤油、味噌など、その加工・貯蔵により「褐色化」する食品を対象とした研究で、褐色化の過程で青色、赤色など様々な「色素」が生成することを見出してきた。さらに、これらの色素化合物の構造を明らかにするとともに、強い抗酸化作用を有することを見いだしている。本課題ではこの新規色素化合物の構造や機能を明らかにすることで、安定性・安全性に優れた疾病予防機能の高い食用色素の開発を目指している。
552 DNAマーカーを用いたイネ純度検定におけるバルク法の開発 田淵 宏朗 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター 山田 敏彦 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター イネの生産現場での品種純度維持および流通過程での不正な混米防止のためには、簡便・効率的・高精度な異品種混入検定方法の確立が必要である。本課題では、新潟県主要15品種純度検定用DNAネガマーカーセットについて、バルク法(複数のサンプルからまとめてDNAを調製し一度の反応で検定を行う方法)を適応し、イネの生産・流通現場等でのより実際的な品種純度検定方法の確立を目指す。
569 米ぬか由来新奇抗菌タンパク質の精製・同定とその食品素材への応用 高屋 朋彰 新潟大学 定塚 哲夫 新潟大学 本研究では、ヒト有害菌に対して直接的に抗菌活性を示すタンパク質成分を米ぬかから抽出し、それらの成分を単離同定し、構造を解析することを目的とした。また、それらの分子特性と抗菌スペクトルを明らかにし、構造と抗菌活性の関係を明らかにすることを目的とした。さらに、米ぬかから抗菌タンパク質成分を含む画分を効率的に抽出する方法を確立して、食品素材として利用することを目的とした。
572 チョコレートの血糖値上昇抑制効果の機構解明 佐藤 眞治 新潟薬科大学 佐藤 弘子 株式会社新潟TLO チョコレートの起源は非常に古く、健康を維持するための機能成分が豊富に含有していることが報告されている。原料であるカカオには種々の機能成分が含まれており、血糖値の上昇能であるグライセミックインデックスも低い。しかし、カカオの摂食後過血糖抑制効果の機構解明は行われていない。そこで、配合組成の異なるチョコレートを試作し、構成成分と摂食後過血糖抑制効果の定量的な関連性を明らかにするために本研究を行う。
624 機能性に富む低・未利用地域特産資源(規格外ジャンボ西瓜)を活用した加工製品の開発 深井 康子 富山短期大学 渡邉 博佐 独立行政法人科学技術振興機構 富山県黒部川流域で栽培されているジャンボ西瓜のうち約50%が規格外品(重量が不足)として廃棄され、地元の生産者からも開発が望まれている。本研究は西瓜の機能特性を活かした食品の開発を行うことが目的である。西瓜はリコピンや利尿作用のあるカリウムやシトルリンを多く含むことに着目し、本研究は高齢者を対象とした腎機能障害および咀嚼えん下障害などの改善に有効な健康的でおいしいジュースやゼリー製品の実用化に向け、その開発を目指す。
633 食品に含まれる最終糖化蛋白の健康評価法の開発 山本 博 金沢大学 長江 英夫 金沢大学 最終糖化産物(advanced glycation endproducts,以下AGE)は、糖尿病血管合併症の主要因である。生体内AGEの一部は食品に由来するが、 AGEには様々なものがあり、例えば、分子量の違いなどにより、血管を傷害したり、それを防止したりする。本研究では、そのAGEの内、食品に由来するものが善玉であるか、悪玉であるか評価する方法を開発する。
655 植物の高感度応答遺伝子を利用したカビ毒検出アッセイ系の開発 西内 巧 金沢大学 五十嵐 泰蔵 有限会社金沢大学ティ・エル・オー 病原性糸状菌の作物への感染により、食品等へのカビ毒が混入し、人畜の健康被害を引き起こすが、カビ毒の多様な分子種に対応する簡便で安価なアッセイ系がなく、検査体制が整備されていない。本研究では、カビ毒の各分子種に対して、それぞれを高感度かつ特異的に応答する植物遺伝子と、簡便かつ安価に検出できるGUSレポーター遺伝子を組み合わせたカビ毒検出アッセイ系の開発を行い、カビ毒汚染食品の撤廃を目指す。
667 数理モデルに基づく植物概日リズムの制御技術の開発と植物工場への応用 徳田 功 北陸先端科学技術大学院大学 山本 外茂男 北陸先端科学技術大学院大学 時計遺伝子を介した光サイクルの制御は植物工場において重要な技術である。これまでは環境サイクルとタンパク代謝系の同調が起こるように、環境刺激を試行錯誤的に調整する制御が行われてきたが、効率的化のためには、時計遺伝子の数理モデルを用いた、より高精度の制御法を設計する必要がある。本課題は、植物の遺伝子発現データの定量的性質を実現する数理モデルを構築し、得られたモデルから、時計遺伝子の最適制御技術を開発することを目的とする。
672 イネ発芽時ストレス耐性を強化する非遺伝子組換え種子テクノロジーの開発 吉岡 俊人 福井県立大学 奥野 信男 福井大学 厳しい環境下でも良好に発芽する作物種子を供給するために、種子のストレス耐性を強化する実用的な種子処理技術を開発する。本技術によりイネ種子の耐熱性を3℃上昇させ、イネ種子温湯消毒(種子を60℃程度の湯に浸漬して感染病害菌を死滅させる)の問題点を解決し、農薬を用いない殺菌消毒法による種子の供給を可能にする。
677 カニ殻に含まれるキチン、キトサンを分解する微生物農薬の開発 草桶 秀夫 福井工業大学 佐々木 博 福井工業大学 本研究は、カニ殻の有効利用に着目し、カニ殻に含まれるキチンおよびキチン誘導体物質のキトサンを分解する微生物を微生物農薬として応用することにある。キチンおよびキトサンを分解する微生物を活用し、野菜の病原菌に対する抗真菌性効果と微生物による野菜類の成長効果について検討する。カニ殻由来キチン、キトサンとキチン、キトサン分解菌を配合した土壌肥料を用い、モデル野菜としてポット苗を用いたトマトやナスの栽培を実施する。本研究は、化学農薬に変わる肥料としての効果を有する微生物農薬の開発に向けられ、新しいバイオ産業の創出につながることが期待される。
693 光合成リズムに合わせた白色LEDによる間欠照明栽培法 岡井 善四郎 福井大学 吉田 芳元 福井大学 炭酸固定反応時は光をほとんど必要としないため、間欠(パルス)照射により、光化学反応時のみ効率的に光を照射し、光合成効率を高め、電力節減を図る。具体的には三波長合成ハイパワー白色LEDを、連続照明から間欠照明に変更し、パルス周期、明期比率をパラメータにとり、連続光照明との生育の相違(光合成速度、栄養成分)、電力節減効果を調べ、ナス、ピーマンにおける最適照射条件を見出す。
709 タンニン測定を利用した高品質赤ワインの開発 奥田 徹 山梨大学 還田 隆 山梨大学 赤ワインの呈味を改善するための本質的な技術が望まれており、すでに見出した成果からタンニン濃度が重要であり、これの最適化が必要である。そのため、タンニンの測定にはタンパク質との結合による沈殿法と塩化鉄反応を利用した呈色反応を利用し、醸造初期におけるタンニンの減少時期を特定するものである。
740 食品機能評価への応用に向けたマウスマスト細胞ハイブリドーマの特性解析 河原 岳志 信州大学 福澤 稔 信州大学 マウス骨髄細胞由来マスト細胞(BMMC)とマウスマスト細胞株P815を細胞融合することで樹立した研究シーズである脱顆粒応答能と無限増殖能を併せ持つマスト細胞株(ハイブリドーマ)の特性付けを行うものである。検討項目としてアレルギー症状への関与からマスト細胞の特性として特に重要視されるヒスタミンとロイコトリエン類をターゲットに詳細な解析を行う。
744 ダイズのハイブリッド品種育種に向けた温度感応性雄性不稔植物の開発 齋藤 勝晴 信州大学 福澤 稔 信州大学 マメ科モデル植物のミヤコグサから温度感応雄性不稔系統を単離し、その原因遺伝子がNUP85であることを明らかにした研究シーズの展開である。ミヤコグサで得られた知見を利用し、現在自給が課題となっているダイズから温度感応性を示す雄性不稔系統を選抜することを目的とする。本課題では、ダイズを突然変異誘発剤で処理することよって点突然変異個体を作成し、nup85変異体のスクリーニングを行う。
745 穀類のポリフェノール成分富化技術の開発 藤田 智之 信州大学 福澤 稔 信州大学 外殻を有する穀類に加圧処理等を行い、穀類可食部のポリフェノール成分を富化する新たな技術の開発を目指したものである。小麦においては加水し、加温・加圧処理することで、製粉後の小麦粉中のポリフェノール成分を高める研究シーズを得ている。そこで、玄米および大麦等の処理方法について検討し、抗酸化性等の機能性を有するポリフェノール成分を数倍程度に高めた製品を提供することを目標とする。
760 キノコ菌床栽培におけるオガコの判別システムの開発 上辻 久敏 岐阜県森林研究所 前田 喜朗 独立行政法人科学技術振興機構 国産キノコの需要拡大で栽培用の菌床に用いられるオガコの需要も伸びている。キノコとオガコには相性があり、安定生産には基材となるオガコの選択が重要である。しかし、オガコ製造現場とキノコ栽培業者の間で、どのような基材が求められているのかについて統一された評価基準がない。本課題では岐阜県下で生産量の多いシイタケ等のキノコ栽培に使用されるオガコの適否を低コストで簡易に評価する判別システムを開発する。
764 イチゴ萎黄病を抑制する新規微生物資材の開発 堀之内 勇人 岐阜県農業技術センター 前田 喜朗 独立行政法人科学技術振興機構 イチゴ萎黄病は全国の産地で発生し、発病株は枯死するため最も甚大な被害を及ぼす病害である。対策は、栽培現場では農薬の利用が挙げられるが、今後安心安全な農業生産を継続するには、環境負荷の少ない効果的な微生物防除資材の開発が必要不可欠である。そこで、萎黄病の防除に有効な新規の微生物資材を開発するために、有用微生物のイチゴへの定着性を高く確保させることを目的とした研究である。
770 単分散水中油滴型エマルションを用いた氷結晶成長の制御 岩本 悟志 岐阜大学 安井 秀夫 岐阜大学 食品の冷凍時における氷の結晶成長は、食品の微細構造を破壊し品質劣化に繋がる。氷の結晶成長と周囲の水との関係が明らかになれば、品質劣化の少ない効率的な食品の冷凍方法が提案できる。本研究では、マイクロメートルオーダーで液滴径の揃った水滴が作製できるマイクロチャネル(MC)乳化法を用いて、油中水滴型エマルションを作製し、大きさが制御された水滴内での水の凝固を熱分析手法で詳細に測定し、水滴の大きさと水の過冷却状態について、詳細な検討を行う。
805 キノコから見出された植物生長調節物質のコメ栽培への応用展開 河岸 洋和 静岡大学 粟田 正志 静岡大学 食用キノコであるコムラサキシメジの培養液から芝の生長を促す物質が単離され、2-azahypoxanthine(AHX)と同定された。AHXは,芝だけでなく、多くの植物の成長を制御することが判明した。本研究では、AHXの農業への応用の可能性を探る第一歩として、コメ収量に及ぼす効果を詳細(施用時期、濃度など)に検討し、米作における実用性を評価する。
813 キレ−トシュガ−による新規栄養機能食品・医薬品素材の開発 村田 健臣 静岡大学 杉山 登英 静岡大学 研究シーズである高いミネラル結合能を有するキレートシュガーを活用し、食品・医薬品素材の開発を目的としたものである。このキレートシュガーは、天然糖質素材を原料とし簡便な酵素反応による合成が可能であることから、安全性や生産効率等の面から極めて実用性の高い素材である。本研究では、キレートシュガーの大量合成および各種ミネラルとのキレート形成能の評価を行い、実用化研究を行うものである。
825 果汁飲料の低アレルゲン化 近藤 徹弥 愛知県産業技術研究所 菅沼 幹裕 愛知県産業技術研究所 食物アレルギーの原因物質はたんぱく質であることが多く、良く知られている牛乳、卵、小麦、ソバ以外にも果実に含まれるたんぱく質がしばしばアレルギーを引き起こす。そこで本研究では、たんぱく質吸着能を有するセラミックスを利用して、果汁中アレルゲンたんぱく質を除去する技術を開発する。この方法は、シンプルかつ穏和な条件でアレルゲンたんぱく質を除去できるので、高品質な低アレルゲン化果汁飲料の製造を可能にする。
832 イチゴ苗重要病害を1時間で診断できる技術の開発 黒柳 悟 愛知県農業総合試験場 野口 正樹 NPO法人東海地域生物系先端技術研究会 イチゴ栽培において、イチゴ炭疽病および萎黄病の被害が拡大している。この病気は苗によって持ち込まれ、圃場に広がると清浄化が困難なことから、定植前の苗の病害診断が有効であるが、菌が感染しても外見上で判断することはできないため、発病前に感染の有無を判定できる技術が求められている。そこで、本課題は感染苗の早期除去および本圃汚染の回避を可能とするために、感染苗の迅速診断が可能なLAMP法により検査開始から判定まで1時間で診断できる技術を開発する。
978 ヒトの免疫細胞グルカン受容体を用いた免疫賦活食品の探索と評価系の開発 氏田 稔 名城大学 西村 亮 名城大学 ヒトの免疫細胞の表面にはβ-グルカン受容体が存在し、キノコなどに含まれる特定の構造のβ-グルカンが結合すると情報が伝達され、免疫細胞が活性化される。このような免疫賦活作用はヒトのがん治療にも応用されているが、その分子メカニズムには不明な点が多く、科学的に解明されているとは言いがたい。本研究では、組換えヒトβ-グルカン受容体を用いてβ-グルカンによる免疫賦活作用の分子基盤を明らかにするとともに、その知見を応用して新規の免疫賦活食品を探索・創製し、さらに免疫賦活作用に対する科学的な評価システムを開発することを目的とする。
979 ポリウロン酸による冷凍食品の離水抑制対策 山ア 栄次 三重県工業研究所 河合 真 三重県工業研究所 冷凍食品の離水は食品表面を水浸しにし、外観を損なうだけでなく大きな食感の劣化を伴うため、保水力の高い増粘安定剤を添加し、食品表面への水の移動を抑制する等の対策が講じられているが、冷解凍の繰り返しで効果の減少が報じられている。そこで、冷解凍の繰り返しに対応した離水抑制対策を検討する。
984 高級魚クエの水温および日長調整による成熟コントロール技術の開発 辻 将治 三重県水産研究所 増田 峰知 三重県農水商工部 暖海性魚のクエは低水温に対する耐性が低く海面養殖した場合、1年目の冬季にほとんど死亡してしまうが、ある程度成長した個体(全長20p、体重100g以上)は死亡しない。そこで、水温と日長の調節により任意の時期にクエ親魚を成熟させて採卵できる技術を開発することで、通常春季に行う種苗生産を秋〜冬季に行うことができ、その後水温の高い夏〜秋季に十分成長させることにより、冬季の死亡を回避し、クエ海面養殖の実用化が可能となる。
991 赤外分光法による日本酒製造プロセス定量化の開発 橋本 篤 三重大学 佐藤 之彦 三重大学 赤外分光法(FT-IR/ATR法)により日本酒、日本酒原料、およびそれらの基本構成成分の赤外線吸収特性を把握し、日本酒製造プロセスのモニタリング手法の確立を試みる。また、そのモニタリング情報に基づいた製造プロセスの定量化解析を行うことにより、科学的根拠に基づいた日本酒製造プロセスの改善・高度化を目指す。さらに、製品の赤外分光解析を行い、品質評価(きき酒)への科学的根拠の導入方法を検討する。
992 海藻資源の血管機能維持・改善効果について 柿沼 誠 三重大学 佐藤 之彦 三重大学 近年、我が国では肥満症、糖尿病、高脂血症、高血圧などの生活習慣病患者が急激に増加している。生活習慣病による血液性状の悪化は、血管細胞の機能異常を引き起こし、動脈硬化の進行や血栓症(心筋梗塞や脳梗塞)の発症リスクを高めることが知られている。本研究では、三重県産の食用海藻や未利用海藻を対象に、海藻成分の血管機能維持・改善効果を調べ、三重県産海藻資源の消費拡大や機能性食品素材への応用を目指す。
994 アクチン細胞骨格の重合調節を利用した耐病性イネの開発 小林 一成 三重大学 松井 純 三重大学 アジアの主要作物であるイネは、いもち病をはじめとする様々な病害によって収穫の20%以上を毎年失っている。従来の育種により耐病性品種の作出が試みられてきたが、強力で安定した耐病性の付与には未だ成功していない。最近代表研究者は、植物におけるアクチン細胞骨格の構築状態変化が耐病性シグナルの伝達に関与することを発見した。本課題では、この発見を実用技術に発展させることを目指し、アクチン細胞骨格を人為的に調節できる組換えイネを利用して、これまでに無い新たな戦略でイネに耐病性を付与する方法を開発する。
995 拮抗放線菌を活用した混植用ネギの開発 清水 将文 三重大学 松井 純 三重大学 ネギ類を混植するとウリ類などの土壌病害の発生が軽減される。代表研究者は、ネギ類の根圏に拮抗放線菌が高密度で生息することを突き止めた。本課題では、この拮抗放線菌を活用した混植用ネギの開発を最終目標とし、根圏放線菌の拮抗性検定および小規模混植試験を行い、病害抑制効果の高い放線菌株を選抜する。放線菌定着ネギで混植の病害抑制効果を向上・安定化すれば、将来的には混植が環境負荷の高い土壌燻蒸消毒の代替技術となり得る。
1020 性制御メカニズム解明による高価値魚生産技術の開発 三枝 仁 滋賀県水産試験場 大江 孝二 滋賀県水産試験場 ホンモロコの性比は通常雌雄1対1であるが、性分化期の水温により一方に偏る傾向にあるため、飼育水温を調節して高価値な雌魚のみの養殖用種苗生産が期待される。しかし、水温の性比への影響は個体差が大きく、安定した技術の確立には至っていない。そこで、この技術の安定化を図るため、ホルモン処理により雌雄単性群を作出し、性分化時期に特異的に発現する遺伝子を解析し、ホンモロコの性制御メカニズムの解明に取り組む。
1047 β−クリプトキサンチンを応用したメタボリックシンドローム予防法の開発 西野 輔翼 立命館大学 松田 文雄 立命館大学 β−クリプトキサンチンおよびイノシトールの含量を高めた温州ミカンジュースに関して、肝疾患(肝がん及び脂肪肝)の予防に有効であるのみならず、メタボリックシンドローム予防効果もある可能性があることが明らかとなってきたので、この点を培養脂肪細胞および肥満モデルマウスを用いた前臨床的研究によって確認する。本研究によって得られた基礎的研究データに基づいて、今後予定している臨床介入試験を実施するための態勢を整えることが、本研究の目的である。
1082 食肉加工のための新しい色素の開発と応用 竹谷 茂 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 ハムの製造において産生するニトロソミオグロビンは発癌物質ニトロソ化合物の生成の可能性が高く、食の安全性の面に問題があり、安全な発色法の開発が急がれる。高級食材の生ハムの鮮やかな赤色は亜鉛 プロトポルフィリン (Zn-PP) が主成分であり、亜硝酸塩を使わずにミオグロビンーヘムを発色させることで発癌性物質の生成を排除できる。本研究ではヘム合成酵素の逆反応を利用してミオグロビンからZn-PPの生成や安全な発色団を利用して新しい食肉処理法の開発をめざす。
1105 京野菜「みずな」の作付・出荷情報システムの開発 宮坂 寿郎 京都大学 大西 晋嗣 関西ティー・エル・オー株式会社 京都の農産物のブランドである京野菜の一種「みずな」を対象に、生産地域における出荷量の予測、平準化もしくは収益の最大化を行なうプログラムを開発する。産地の卸売価格を高めるためには出荷量の安定化が必要となる。そこで地域の農家からネットワークを通して作付情報を収集し、栽培情報をデータベース化して、それらの情報から出荷量予測および最適作付計画の生成を行なうWebベースのアプリケーションを構築する。このシステムを栽培地域に提示し、試験的に運用することで問題点を検討し、より実用的なアプリケーションの構築を目指す。
1108 三大疾病予防食品、医薬品への展開を想定した「共役リノレン酸」の実用生産 安藤 晃規 京都大学 土井 優子 関西ティー・エル・オー株式会社 分子内に共役した二重結合を持つ共役脂肪酸は、抗癌、抗動脈硬化、抗酸化作用を示し、日本における三大疾病、脳卒中、心筋梗塞、癌のリスクファクターを軽減する生理活性を有する。本研究は植物油から容易に得られる「α-リノレン酸」を原料とし、食経験豊かな乳酸菌を菌体触媒として用いることで、共役脂肪酸の一種である「共役リノレン酸」の実用生産法を開発し、機能性食品、医薬品への応用展開、あるいはこの変換反応を担う乳酸菌を利用した食品開発への端緒を提示することを目的とする。
1143 水中でのヘルムホルツ共鳴を応用した非接触体積計測法の開発 近藤 直 京都大学 笹田 滋 独立行政法人科学技術振興機構 生簀内を遊泳する個々の生魚の体積を非接触で測定し,個体に応じた質・量の餌を与えるシステムを開発することを最終的な目標とし,そのうちシステムの根幹となる水中でのヘルムホルツ共鳴を応用した非接触体積計測法を開発することを目的とする。本研究では,水中において共鳴現象を発生させるための共鳴体構造,アクチュエータや検出器の仕様等について理論・実験の両面から解析・検討を行う。
1285 新たな機能性食材としてのニンニク根の大量高速生産技術の開発 北宅 善昭 大阪府立大学 西村 紀之 大阪府立大学 アホエン前駆物質であるアニリンを多量含有する機能性野菜としてのニンニク根の大量高速生産を目的とし、高濃度のアニリンを含むニンニク根の高効率養液栽培技術を確立する。アホエンは加熱調理によりアニリンから変化する物質であり、抗酸化・抗菌・抗腫瘍・抗血栓などの生理活性を有する。主な研究内容は、根の成長およびアニリン生成を促進できる最適環境条件を求め、養液栽培による根の持続的生産体型を開発することである。
1287 家畜の経皮ワクチン用デリバリーシステムの開発 渡来 仁 大阪府立大学 西村 紀之 大阪府立大学 経皮ワクチンは、労力が低く安全であり高い免疫応答が誘導できるため、家畜の感染症予防において期待される技術である。これまで代表研究者は、リポソームを用いたワクチンデリバリーシステムの開発研究を通じて、家畜に対するリポソームワクチンに関して多くの研究業績を上げている。本研究では、経皮ワクチン用デリバリーシステムの確立を目指すために、経皮吸収能を示す最適なリポソーム粒径ならびに脂質組成を明らかにし、皮膚を介して抗原のデリバリーを可能にするリポソームを構築する。
1289 食中毒細菌カンピロバクター属菌の簡便で迅速な高感度検出キットの開発 山崎 伸二 大阪府立大学 西村 紀之 大阪府立大学 カンピロバクター食中毒は、近年我が国で発生件数が最も多く、内閣府の食品安全委員会でも最重要課題となっている。しかしながら、カンピロバクター属菌を簡便、迅速に検査できる方法がない。本研究では、食中毒原因菌として重要なカンピロバクター・ジェジュニ及びカンピロバクター・コリに対する選択培地と特異的かつ簡便・迅速に遺伝子レベルと免疫学的に検出できるキットを開発する。
1364 寒天混合系による食感制御を応用した咀嚼・嚥下補助食品の開発 吉村 美紀 兵庫県立大学 八束 充保 兵庫県立大学 高齢社会を迎えて、誤嚥防止と水分補給を目的とした嚥下補助食品の開発が求められている。日本において昔から食用とされてきた寒天、コンニャクマンナンなどの多糖類は、加工食品の素材としてだけでなく、生活習慣病予防において優れた様々な機能性をもつことが解明されつつある。コラーゲンペプチドも、皮膚中のコラーゲン合成の促進、血圧の上昇を抑制するなどの生理機能をもつことより注目を浴びている。寒天、コンニャクマンナン、コラーゲンペプチド混合系を用いて、濃度、混合割合、分子量および多分散性指数を制限した試料を調製し、その物性と固体状食品の食感に与える影響について検討して、咀嚼・嚥下補助食品の開発に資する。
1369 大和伝統野菜「ヤマトマナ」の機能と風味を活かした乾物加工品の開発 村 仁知 奈良女子大学 藤野 千代 奈良女子大学 大和伝統野菜「ヤマトマナ」は抗酸化性を有するアスコルビン酸やポリフェノールのみならず、抗炎症作用を有するイソチオシアナートをも含んでいることが解明されている。また、その前駆体であるグルコシノレートには抗肥満作用があることが明らかになりつつある。本研究では、その高い生理機能性を活かして「ふりかけ」や『粉末スープ』などの乾物加工品への応用を試み、健康食品としての有効性の評価を行ない、機能と風味を活かした保存食品を開発する。
1374 養殖トラフグの雄性化技術の開発と応用 澤田 好史 近畿大学 根津 俊一 近畿大学 トラフグは、オスの精巣(白子)が美味で珍重されるため、メスよりもオスの方が市場価値が非常に高い。代表研究者らは、人工孵化して飼育するトラフグのオスの比率を80%以上に高める技術の開発に成功した(特許出願中)。本研究では、この技術の完成度を飼育技術開発とオス化メカニズムの研究によりさらに高め、オスの比率が高いトラフグの安定的養殖生産とその商品化に取り組むことを目的とする。
1389 アミノペプチダーゼを用いた簡易アスパルテーム合成系の確立 有馬 二朗 鳥取大学 作野 友康 鳥取大学 アスパルテームはペプチド性ノンカロリー人工甘味料であり、広範にわたり食品産業に使用されている。しかしアスパルテームは化学的に合成されるのが通例であり、劇薬の使用や複雑な工程など、問題点は山積みである。申請者は、放線菌アミノペプチダーゼ(AP)を利用し、アスパルテームの合成に成功した。本研究課題では、APを利用した簡易アスパルテーム合成法の実現に向け、合成最適化を行うと共に固定化酵素の創製を行う。
1403 電気分解による自家中毒回避技術の植物工場への応用 浅尾 俊樹 島根大学 丹生 晃隆 島根大学 植物工場内で環境負荷の少ない閉鎖系養液栽培を行う際、栽培植物の根から培養液中に化学物質、すなわち自家中毒物質が滲出・蓄積し、植物の生育および収量低下につながる可能性が高い。その自家中毒物質を取り除く方法として電気分解が考えられ、本研究ではその最適条件および電気分解装置の性能条件の検証を行う。その結果、植物工場での効率的な食糧生産を図ることが期待できる。
1409 新規スクリーニング系を用いた環境にやさしい青枯病防除剤の開発 向原 隆文 岡山県生物科学総合研究所 梶谷 浩一 岡山大学 近年の環境意識の高まりの中で、環境負荷が大きな化学農薬は使用が制限される方向にある。本研究では、青枯病菌には作用するが土壌中の他の生物相には影響を与えない、新しいタイプの青枯病防除剤の開発を試みる。青枯病菌の植物感染能力を評価する新規スクリーニング系を用いて、「病原菌特異的に作用し、その病原性を制御する」環境負荷の少ない青枯病防除剤を見出す。
1410 ブドウの鮮度保持出荷のための果実減耗抑制資材の開発 尾頃 敦郎 岡山県農業総合センター 村上 英夫 岡山大学 我が国主要品種のブドウ「巨峰」や「ピオーネ」は種なし栽培が盛んであるが、輸送中や店舗販売時に穂軸の褐変や脱粒(房から粒が落ちる)しやすいことが問題である。特に、近年増加している海外輸出においては収穫から販売までの所要日数が多いため、水分蒸発による果実重の減耗によって穂軸の褐変、脱粒などの鮮度低下が問題となる。そこで、鮮度保持を目的とした効果的なブドウ穂軸への水分補給処理方法を明らかにする。
1411 発芽ブドウ種子の抗アレルギー作用成分の同定と機能性食品への展開 比江森 美樹 岡山県立大学 小林 東夫 岡山県立大学 これまでに、特殊な条件下で発芽させたブドウ種子エキスは、優れた抗アレルギー作用を有することを見出している。そこで、発芽ブドウ種子エキスの抗アレルギー作用を発揮する有効成分の同定とその作用メカニズムの解析を行い、本食品素材の機能性を明確にする。さらに、生産性の向上を目的として、有効成分を高濃度に蓄積する発芽条件を確立する。最終的に、未利用資源であるブドウ種子を有効活用した抗アレルギー作用を有する機能性食品の創作を目指す。
1418 飼料の腐敗を防止する新規な微生物製剤の開発 西野 直樹 岡山大学 遠藤 隆 岡山大学 酵母およびカビの生育を防止する新たなサイレージ(発酵飼料)用微生物製剤を開発する。国策として粗飼料の100%国内自給が掲げられているが、これを達成するにはサイレージの長期安定保存および好気的変敗防止技術が不可欠である。代表研究者らは、岡山県内の酪農家が製造したサイレージから、変敗抑制作用が期待される細菌2株を分離した。本課題では、これらの抗真菌作用を調べるとともに、新規な添加剤としての有用性を明らかにする。
1443 サルナシの抗炎症・抗発癌機能性に関する研究 有元 佐賀惠 岡山大学 秋田 直宏 岡山大学 マタタビ科のサルナシ(Actinidia arguta)果実は山村(例えば岡山県新庄村)の特産品として栽培されており、生食用のほか乾燥果実や加工品が販売されている。が、サルナシは産出量が多くなく知名度が低いため、機能性食品としての発癌予防や抗炎症効果の研究はなされていない。そこで、有用な機能性を見出して知名度をあげ、食品以外の用途(化粧品など)にも販路を拡げ、地域振興に役立てることを目的とする。
1451 忌避剤を用いた新規果実吸蛾類防除法の実用化開発 泉 洋平 岡山大学 村上 英夫 岡山大学 岡山県の主要な果樹である白桃栽培において、収穫直前の果実に被害を与え大きな経済的損失をもたらす果実吸蛾類(アカエグリバ等)の被害は年々深刻になってきている。現在効果的な防除技術は、黄色蛍光灯の灯火のみであるが、黄色蛍光灯は設置費および維持費が高価であることから、小規模農家では導入を躊躇している。黄色蛍光灯に変わる防除資材として、忌避物質sec-butyl-β-styryl ketoneを圃場に気散させる新しい防除方法の開発に取り組む。
1469 ジペプチドの医薬品や保健機能食品への開発 山田 康枝 近畿大学 隅田 誠 近畿大学 ジペプチドを中枢機能を改善する医薬品や保健機能食品へ利用可能にするために、脳内に存在するグルタミン酸受容体やGABA受容体への効果とヒト神経細胞機能への効果を検討する。天然に存在するジペプチドにはまだ生理機能が不明のものが多い。その中から新たに神経機能に効果のあるものを見つけ出すことで、副作用のない穏やかな効果をもつ医薬品あるいは保健機能性食品を生み出すことが可能である。
1485 完熟ピオーネ収穫時期判定振動装置の製作 櫻井 直樹 広島大学 とちむら ひろし (財)ひろしま産業振興機構 ピオーネはその大きさ、香り、味、糖度にすぐれ、高級ブドウとして広く消費者に好まれている。しかし流通の事情から、本来熟度に達する前に収穫され販売されているのが現状である。本課題では、申請者が新たに開発する小型熟度測定装置によりブドウを破壊することなくその熟度を経時的にモニターし、最も味覚に優れた完熟ピオーネを収穫する時期を非破壊判定するシステムを開発する。
1491 着床促進因子を添加したブタ凍結精液用完全合成融解液の開発 島田 昌之 広島大学 三原 博道 広島大学 養豚業において、母豚の産子数向上や空胎期間の縮小は生産性向上に重要である。このため、凍結精液による人工授精の導入が要望されているが、融解後の精子機能性低下による低受胎率が課題となっている。我々は、精漿が凍結精液の融解時に生じる受精障害の発生を抑制し、人工授精後の胚の着床を促進することを解明した。しかし、精漿成分は個体や季節による影響が大きく、安定的に人工授精に用いることができないだけでなく、病原体混入の危険性もある。そこで本研究では、精子の受精能および胚の着床促進能を保持した生体成分非混入な完全合成融解液を開発する。
1543 黒毛和牛繁殖のためのオス牛での性機能減退の新規診断・治療法の開発 角川 博哉 山口大学 浜本 俊一 山口大学 数億円を要する黒毛和種種雄牛の開発費は、様々なストレスのため性機能が早期減退し、回収前に十分量の精液を採取できない危険性がある。そのため子牛の取引評価額を決定する精液は高価になりがちで、農家における生産コストを増加させている。一方、申請者は、ある方法により性機能が活発な牛のみで特異な反応が起きる事を初めて見出した。そこで本課題では、この知見を起点として雄牛の性機能減退の診断法や治療法を開発する。
1548 小型水槽における水入れ替え無しの野菜高密度栽培法の開発 大成 博文 徳山工業高等専門学校 加治 哲徳 徳山工業高等専門学校 緑への「やすらぎ」や「安全な野菜」を求める生活者の指向が強まっている。本開発ではマイクロバブル技術を用い、小型水槽内において、水の入れ替えなしで、各種野菜を無農薬で高密度栽培する方法を開発し、「安全で格別に美味しい野菜」を提供することを目的とする。マイクロバブル水耕栽培において、夏場の水溶液の腐敗を防ぎ,高温栽培でも可能となることにより、野菜の大幅成長で従来の土栽培より数倍の高収穫短期栽培(6種類を対象)を目指す。
1555 レンコンの加工残渣(皮、節)由来ポリフェノール成分を活用した食酢の開発 山本 澄人 徳島県立工業技術センター 福田 和弘 徳島県立工業技術センター レンコンは徳島県の代表的な特産物の一つであり、盛んに加工品が生産されている。その一方で、原料として利用できない皮や節などの加工残渣が発生し、処理方法に苦慮している。本研究においては、レンコンの未利用部位を原料とした発酵食品の製造技術の確立を目指す。加工残渣となる皮や節の部分を原料とした食酢の加工条件を検討するとともに、食品としての機能性を評価し、エビデンスに裏付けられた機能性食品の開発を目指す。
1556 和菓子の賞味期限予測のための耐熱性芽胞菌増殖予測モデルの開発 岡久 修己 徳島県立工業技術センター 福田 和弘 徳島県立工業技術センター 和菓子の製造における加熱条件では、耐熱性芽胞菌が最終製品に残存する場合があり、低糖度の和菓子を開発するためには、糖度と耐熱性芽胞菌の増殖性の関係を把握する必要がある。本研究では、和菓子から分離した耐熱性芽胞菌から、高浸透圧ストレス耐性芽胞菌を選抜し、液体培地中での各種糖度及び水分活性における増殖性を調べ、得られたデータから、和菓子の賞味期限を予測する際の判断基準となる耐熱性芽胞菌の増殖予測モデルを開発することを目標とする。
1566 生理活性リゾリン脂質に富む抗潰瘍性サプリメントの開発 徳村 彰 徳島大学 斎藤 祐一 徳島大学 消化管潰瘍患者数は国内で年間120万人に達する。近年、脚光を浴びているリゾリン脂質メディエーターファミリーの代表格リゾホスファチジン酸 (LPA)は強力な創傷治癒作用を示すので、LPAを豊富に含有する食品素材は胃粘膜保護に有効であろう。本応募課題では,この可能性を動物モデルで検証し、胃潰瘍の予防や治療に有効なLPA含有天然素材を食品や漢方薬サプリメントとして開発することを目的に研究を展開する。それと共に、この観点からLPAを産生する食原性酵素の有効利用を図る。
1571 農産物由来ポリフェノールのPDE酵素阻害活性に基づいた新規生理活性の探索 湯浅 恵造 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 近年、農作物から様々なポリフェノールが同定され、機能性食品素材としての開発が期待されているが、未だその有効利用が十分になされていない。ある種のポリフェノールが細胞内セカンドメッセンジャーであるサイクリックヌクレオチドの分解を触媒するサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)を阻害することが明らかにされている。本研究では、PDE阻害活性を有するポリフェノールを探索し、その阻害活性に基づいて未だ有効利用されていないポリフェノールを新規機能性食品素材として開発することを目的とする。
1596 神経変性疾患予防食材の開発 福山 愛保 徳島文理大学 富田 基郎 徳島文理大学 神経細胞突起伸展作用を有するフェニルブタノイド二量体を有効成分として含有する食用植物を神経変性疾患予防食材として開発する。神経細胞突起伸展作用を有するフェニルブタノイド二量体を有効成分として含有するショウガ科植物バングレを利用することにより、アルツハイマー病等の神経変性疾患の予防及び/又は治療に有用な飲食品及び植物エキス並びに神経変性疾患の予防及び治療剤を包含する健康食材としての有効性を老化促進モデルマウスで検証する。
1601 卵胎生魚であるメバル類人工交配種の生産 山賀 賢一 香川県水産試験場 白川 武志 香川県産業技術センター 卵胎生魚のメバル類において,新養殖魚種の作出を目的として異種間交配を実施する。メバル類の多くは有用魚種であるが,成長が遅いなど養殖に不向きな点が多い。そこで新たに開発した人工授精技術を応用して,雑種強勢を狙ったタケノコメバルとメバルとの正逆交配を行う。人工授精の実施時期等最適な条件を調べるとともに,交配種の養殖魚としての特性が把握できる1万尾(正逆交配各5千尾以上)の生産を目指す。
1603 食用乳化剤を用いた食べられるナノサイズエマルションの省エネな調製法の開発 合谷 祥一 香川大学 塩崎 紀子 株式会社テクノネットワーク四国 エマルションは化粧品分野では乳液やクリームなどに用いられているが、脂溶性で高機能な有効成分を体内に取り込むためには、水に分散できるエマルションが有効である。ナノサイズのエマルションは、高機能成分の体内吸収性が増大し、水相と油相の分離が起こりにくく安定であり、脂っこさが低減する。 人が摂取しても安全な食品用乳化剤を用い、高速な攪拌機や高圧を使用する乳化装置を使用せずに、省エネな方法で食べることのできる微細なエマルションを得ることが本研究の目的である。
1626 バイオ水浄化システムを組み込んだ閉鎖循環飼育の開発 山本 義久 独立行政法人水産総合研究センター 岡 雅一 独立行政法人水産総合研究センター 世界的な魚需要の急増の受け皿として養殖産業は極めて重要であり、環境保全・高生産性が可能である閉鎖循環式養殖が脚光を浴びている。閉鎖循環飼育の水浄化システムでは水中の微細な懸濁物を除去する泡沫分離装置が有効であるが、装置の高いイニシャルコストの問題が潜在化している。そこで本研究では閉鎖循環システムに水中の懸濁物除去能力が優れた二枚貝等の水棲ろ過生物を利用にした「バイオ水浄化システム」の開発を目指す。
1633 「愛媛果試第28号」の高品質果実安定出荷のための高鮮度貯蔵技術の開発 井上 久雄 愛媛県農林水産研究所 喜多 景治 愛媛県農林水産研究所 県育成品種「愛媛果試第28号」は年末贈答用かんきつとして消費者の人気が高く、今後1月〜2月まで高品質な果実を安定的に出荷するための貯蔵技術が求められている。しかし、本品種は果皮が弱く、酸が低いため貯蔵性が低い。このため、貯蔵中の腐敗発生およびへた枯れや減酸を抑制するため、温州みかんで高い腐敗抑制効果を示すカワラヨモギ抽出物の効果的かつ実用的な処理技術を開発する。さらに、果皮の萎れを抑制するため、カワラヨモギ抽出物の処理に適した微細孔フィルム包装技術を開発する。
1635 スイーツなど新規食材用途に適したサトイモ品種の選抜と試作品の開発 淺海 英記 愛媛県農林水産研究所 栗坂 信之 愛媛県農林水産研究所 サトイモは古くから日本人が食用に供してきた食材であるが、用途は煮芋など総菜向けがほとんどで、加工用原料としての利用はほとんどない。そこで、サトイモの食材用途を新規に創出し、生産振興に資するため、愛媛県農林水産研究所で育成した新品種や保存品種の栽培、品質、機能性等の特性データを調査し、加工適性の高い品種を選抜する。さらに、選抜した品種を原材料に用いたスイーツなど加工製品の試作と評価を行う。
1646 柑橘由来の分岐ペクチンを用いた脂質吸収抑制剤の開発 辻田 隆広 愛媛大学 瀬野 英二 愛媛大学 ペクチンは、広く野菜や果物に含まれており、食品工業において食物繊維や増粘安定剤として使われている。代表研究者は、従来の方法では分解していた分岐した糖鎖を含むペクチン(分岐ペクチン)の抽出法を開発した。分岐ペクチンは、強い膵リパーゼ阻害作用を有する。本研究では、動物実験でこれらの分岐ペクチンの有効性について検討する。これらの結果を基に、柑橘由来の分岐ペクチンを用いた、肥満や高脂血症の予防に効果的で副作用の少ない脂質吸収抑制剤を開発する。
1649 小麦胚芽無細胞タンパク質合成系を用いた免疫活性・成長改善機能性餌料添加剤の開発 森田 勇人 愛媛大学 入野 和朗 愛媛大学 成長活性化因子は、脊椎動物の成長速度増進と免疫力向上活性を持つ。マダイの成長活性化因子では、構造上重要と考えられるアミノ酸に欠失/変異が導入されており、この欠質/変異を補完することで、内在的因子より高い生理活性を持つ機能性餌料添加剤を設計できると考えられる。本研究では、小麦胚芽無細胞タンパク質大量合成技術を応用して高活性マダイ機能性餌料添加剤を設計・合成し、成長速度・免疫力上昇効果の構造科学的見地からの解明並びに、養殖業への応用技術開発を行う。
1655 天然甘味料糖アルコールの簡易含量測定技術の開発 渡部 保夫 愛媛大学 入野 和朗 愛媛大学 果実や発酵食品に大量に含まれる天然甘味料であるソルビトール、マンニトール、アラビトール、グリセロールなどの糖アルコールの簡便な計測技術のニーズが高まってきている。 本研究では、これら糖アルコールに個別・特異的に反応する酵素を遺伝子組換えにより製造し、糖アルコール4種の測定技術を確立する。さらに、食品サンプルから本測定法に適する分析試料を得るための糖アルコール抽出法を確立する。
1671 促成ニガウリの新整枝法「収穫枝連続更新法」を用いた省力・多収生産技術の確立 橋田 祐二 高知県農業技術センター 山崎 浩司 高知県農業技術センター ニガウリは機能性の高い野菜として夏場を中心に消費が急速に拡大してきた。近年では、冬春期にも需要が増加しつつあり、高知県においても、一部の地域で促成栽培の取り組みが始まっている。しかし、高夜温での管理が必要なことや収量が十分でないことから産地形成が進んでいない。当センターでは、これまでに開発した整枝技術「収穫枝連続更新法」を用いると収量が向上することを確認した。そこで、より省力的な収穫枝連続更新技術を検討するとともに、ミツバチ交配における着果技術を明らかにし、10a当たり15t以上の省力・多収生産技術を開発する。
1672 軟X線照射花粉を利用したヒュウガナツの種なし果実安定生産技術の開発 廣瀬 拓也 高知県農業技術センター 田中 満稔 高知県農業技術センター果樹試験場 「ヒュウガナツ」は、単為結果性(受精せずに果実が着果すること)が低いため、種なし果実の生産は極めて不安定である。同様に単為結果性が低い「ブンタン」では、軟X線を照射した他品種の花粉を受粉することで種なし果実が生産できることが明らかにされている。そこで、この技術を用いて「ヒュウガナツ」の種なし果実を生産するために最適な花粉品種並びに軟X線照射適線量を明らかにする。
1686 ストレスが惹起する疲労を予防する食品の開発 川村 美笑子 高知女子大学 彼末 富貴 高知女子大学 生体内のMgは精神的ストレスにより量的に低下することから、中枢神経機能においても重要な役割を担っていることが知られている。本研究では、代表研究者らが開発・作出したミネラルトレハが、消化管からの吸収効率が良く、血漿Mgの回復作用を有するという特性を生かし、ストレスに起因する疲労を予防するための食品を開発することを目的とする。
1702 食品や血液中の機能性β-1,3-1,6-グルカンの特異的定量法の開発 永田 信治 高知大学 石塚 悟史 高知大学 キノコや海藻、酵母で免疫賦活能が期待される多糖は、β-1、3結合とβ-1、6結合でグルコースが連なるβ-グルカンである。原料、栽培法、土壌など環境条件でβ-グルカンの量と質は変化するので、特異的なβ-グルカン定量法はない。血中では微生物を認識する生体分子を用いてβ-グルカンの検出が行われるが、直接的な定量法ではない。そこで、β-1、3-グルカンとβ-1、6-グルカンに特異的な微生物酵素を用いた機能性β-グルカン定量法を確立する。
1707 植物油を用いた中間育成用養魚飼料の改善 深田 陽久 高知大学 北添 英矩 高知大学 養殖魚の多くは肉食であり、栄養源として炭水化物をうまく利用することができない。そのため、魚類の養殖に用いられる配合飼料(養魚飼料)の成分は、主にタンパク質(魚粉)と脂質(魚油)で構成されている。魚類は生命活動のエネルギーを主に脂質やタンパク質から産生しており、成長の効率化には脂質がエネルギー源として利用されることが望ましい。脂質のエネルギー転換効率は、脂質の脂肪酸構成によって影響を受けると考えられている。エネルギー転換効率が良い脂質源を用いることによって、餌料中のタンパク質が効率的に魚体に蓄積させ、養魚の成長改善を行うことを目的とする。
1708 健康食品を用いた害虫防除技術の開発 手林 慎一 高知大学 北添 英矩 高知大学 東南アジア地域で「虫除け草」との民間伝承が存在するフカノキ属植物の害虫抵抗性因子として2種の機能性脂質を見出した。我々はこれら機能性脂質を日常的に食物から摂取しているばかりか、健康食品に位置付けて積極的に摂取することもあることから、これら機能性脂質から食用可能な特定防除資材(特定農薬)を開発することが出来る。本研究では特定防除資材の指定に必要な、薬効に関する基礎データの取得を目標とする。
1711 天然成分を用いた新規食品の保存性向上に関する研究 笈木 宏和 久留米工業高等専門学校 石川 宗晴 独立行政法人科学技術振興機構 近年、若年者・高齢者の米離れが進み、手軽なパンの利用が進む一方、小麦アレルギーが問題とされている。そこで申請者らは手軽さでパンに相当する、ご飯を利用した新たな食品を開発している。本申請では、天然抗菌作用を持つ添加物を加えた製品化に向け、新たに作成した食品を、実際の工場にてマスベースで作成し、パッケージングを含めた商品として劣化の程度、微生物の腐敗の程度を観察し、実際の商品に適用する為の試験を行う。
1764 加圧熱水処理法を用いたタケからの機能性食品素材の開発 平島 剛 九州大学 深見 克哉 九州大学 近年、九州地方において竹林の無秩序な拡大が問題となっており、何らかの有効利用法を早急に検討する必要がある。本研究では、タケを原料とし、200℃近傍の加圧熱水にて処理することにより、得られた可溶化物を食品として利用することを志向し、抽出時間、温度などのパラメータをもとに最適な抽出条件の確立を目指し、さらに得られた抽出物の生理活性と安全性の評価を行う。
1779 天然植物からの有用成分高効率抽出技術の研究開発 林 伊久 福岡県工業技術センター 長田 純夫 九州工業大学 天然植物からの有用成分抽出方法として、90℃以上の熱水溶媒中で破砕攪拌抽出する方法が一般的であるが、有用成分が酸化変質し、目的外成分も同時抽出されるで、抽出率が40〜50%と低い。本研究では細胞膜内外に人工的浸透圧差を起こし、温度制御された溶媒を膜内外に往復通過させることにより、抽出率を80%以上に高めることを目指す。なお人工的浸透圧は溶媒の衝突エネルギーが圧力エネルギーに変換する水撃作用(特許出願中)を利用する。
1780 ヤーコン由来の新規天然化合物による実用美白素材の開発 楠本 賢一 福岡県工業技術センター 水城 英一 福岡県工業技術センター 国内の化粧品出荷実績は1.5兆円規模(2007年;日経バイオ年鑑)、その中で美肌を目指す機能性化粧品が飛躍的に拡大しており、美肌効果を持つ美白素材の開発が求められている。本提案では、新規性・優位性の高い機能性化粧品の開発への展開を目指して、福岡県南産の農作物ヤーコンから精製同定した新規の天然化合物が有する美白効果に関して、その性状を分子細胞レベルで明らかにする。
1793 未利用レンコンを活用した機能性食品素材の開発 鶴田 裕美 佐賀県工業技術センター 安田 誠二 財団法人佐賀県地域産業支援センター 佐賀県内で年間約1,000トン廃棄処分されており、未利用なレンコンの有効利用法が強く望まれている。これまでに、レンコンの葉や果実の生理活性や成分研究は行なわれているものの、可食部の生理機能に関する研究例は少ない。本研究では、肥満・糖尿病モデル動物を用いて、レンコンに含まれる病態改善効果を有する成分を検索し、未利用なレンコンの抽出成分を機能性食品素材としての産業利用を目指す。
1803 量子ドットを用いた麹菌産生グルコアミラーゼの高感度迅速測定法の開発 大庭 英樹 独立行政法人産業技術総合研究所 安部 英一 独立行政法人産業技術総合研究所 麹菌(Aspergillus oryzae)は製麹工程により固体麹とすることで清酒原料の米を分解する酵素であるグルコアミラーゼやα-アミラーゼを多量に産生する。特にグルコアミラーゼは米デンプンを酵母が資化可能なグルコースにまで分解する役割を担い、発酵過程のアルコールや香味成分などの生成に大きく関与し、製品の出来・不出来を左右することから、生産現場では製麹行程におけるグルコアミラーゼの迅速な活性測定法の開発が望まれている。本研究では量子ドットを用いた高感度で迅速なグルコアミラーゼ活性の測定法の開発を目的とする。
1811 香酸カンキツ「ゆうこう」が中性脂肪低下効果を発揮する成分及び作用機構の解明 田丸 靜香 長崎県立大学 末松 正典 独立行政法人科学技術振興機構 「ゆうこう」は長崎市およびその周辺の特定一部地域で樹生している香酸カンキツ類である。樹勢が強く豊産性で、果実は多汁で甘い香りがある。他のカンキツ類とは形質・性質が異なり、上述の地域で独自に繁殖されてきたオリジナルの品種であることが判明した。これまでに、「ゆうこう」の果肉、果皮、種子を分別・凍結乾燥した粉末を用いた動物実験で、血清や肝臓中性脂肪濃度を低下させることを明らかにした。本研究ではの脂質低下作用のメカニズム解明を行い、さらに作用を発揮する成分を同定することを目的とし、「ゆうこう」を用いた機能性食品の創製への道筋を開くことを目指す。
1816 還元剤選択的測定法を用いる食品の還元能評価と新規抗酸化物質の探索 岸川 直哉 長崎大学 竹下 哲史 長崎大学 近年、抗酸化効果を標榜する数多くの機能性食品が市販されてきている。そこで、還元剤を選択的に測定可能な化学発光法を用いて、様々な食品についてその還元能を測定し、抗酸化機能性食品としての評価を行う。さらに、優れた還元能を示した食品について、その含有成分を高速液体クロマトグラフィーにより分離してから還元能を測定することで、その還元能に寄与している活性本体の同定を行い、新たな抗酸化物質候補となる化合物の探索を試みる。
1819 超小型ワムシの培養技術開発と小型仔魚用餌料としての応用 萩原 篤志 長崎大学 竹下 哲史 長崎大学 生まれたばかりの海産魚は配合飼料を消化できない。そのため食用魚の稚魚を大量に育てる種苗生産では、培養したワムシ類を初期の餌として用いている。しかし培養可能なワムシ類の大きさは0.1〜0.3 mmであり、これより口径の小さい仔魚を飼育するための技法はない。本課題では、石垣島のマングローブ林で採集した希少な超小型ワムシ種Proales similis (サイズ0.04〜0.1mm)の餌料生物としての潜在性に着目し、その安定的な量産技法の開発と、これを用いた仔魚飼育研究に取り組む。
1875 狭小空間攪拌機構を備えた送帯式炒り葉機の開発 槐島 芳徳 宮崎大学 小林 太一 株式会社みやざきTLO 九州の特産品である釜炒り茶を製造するために市販されている種々の機械は、その性能が低いことや煎茶用の機械であるため、処理量の増加が見込めず、かつ高い品質の製品を安定的して得ること難しい。そこで我々は、高い品質で安定した生産が可能で処理量の増加が可能な送帯式炒り葉機の開発を行っている。これまでに取り組んできた本機の開発・研究より、殺青時の攪拌不足が釜炒り茶の品質に影響することが明らかとなった。そこで本課題では、この問題点を解消する狭小空間攪拌機構を新たに考案・開発して送帯式炒り葉機の実用化に関する技術を確立する。
1877 成長に関与する遺伝子多型の探索と黒毛和種子牛の発育との関連性の解明 石田 孝史 宮崎大学 坂東島 直人 宮崎大学 黒毛和種牛で現在最も重視されている経済形質は脂肪交雑であるが、飼料価格の高騰等もあり、今後は飼料効率をも考慮した増体能力に関する育種改良が重要である。本研究では牛の成長ホルモン(GH)、GH放出ホルモンおよび同抑制ホルモンの遺伝子DNA多型を探索し、母牛におけるDNA多型相互作用がその子牛の増体能力にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることで、我が国固有種である黒毛和種の振興を図るものである。
1881 整腸効果のすぐれた有用細菌による畜水産動物の安定生産 前田 昌調 宮崎大学 石川 正樹 宮崎大学 抗病性と、魚介類・家畜の成長促進機能を併せ持つ有用細菌(Pseudomonas sp. MS-1株)を投与することにより、飼育環境および魚介類、家畜体内の病原微生物を排除する。また、安価な培養基(バイオマス)の採用による培養コストの低減、培地組成の検討による当該細菌の機能強化、対象動物腸内の微生物群の分子生物学的解析等をおこなう。これらの研究により、養殖魚・家畜の安定生産方法を実用化する。
1888 カフェオイルキナ酸類による加齢障害予防効果の検討 倉田 理恵 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター 竹下 義隆 (財)宮崎県産業支援財団 サツマイモ茎葉部には、機能性物質であるポリフェノールが豊富に含まれており、その有効活用を産地で行いたいと考えている。近年、健康維持・増進のための機能性食品が多く市場に出ているが、その機能性は整腸作用や生活習慣病を対象にしたものがほとんどであり、加齢障害の予防や回復に繋がるような機能性食品はまだ開発されていない。そのため、加齢障害モデルマウスを使用し、食餌摂取での予防および回復効果の検討を行う。
1889 麹の糖化力を活用した新規菓子素材製造技術の開発 瀬戸口 眞治 鹿児島県工業技術センター 前野 一朗 鹿児島県工業技術センター サツマイモ菓子には、有色サツマイモの餡を用いた菓子類がある。しかし、大量の砂糖を使用していることから、ダイエットを意識する消費者群には敬遠され、市場拡大の足かせとなっている。このことから、砂糖無添加のサツマイモ菓子の開発が求められている。本研究は、清酒や焼酎の製造に用いられる米麹と蒸したサツマイモから、甘い芋餡や芋ジャムなどに類する菓子素材を、砂糖などの甘味料を用いず無添加で製造する技術を開発する。
1894 殻の軟化処理を行ったエビを用いた加工食品の開発 進藤 穣 鹿児島大学 遠矢 良太郎 鹿児島大学 殻の除去に手間が掛かり、安価で取引きされている小型エビを殻付きのまま食品の原料として利用する場合、ざらつき感のある食感となり、嚥下力が弱い高齢者や幼児が食する際、のどを詰まらせる事故が起こる可能性が考えられる。また、イセエビのような大型エビの殻も廃棄される場合がある。本試験研究は、加工食品の原料として再利用を目的に、粗酵素液や有機酸緩衝液を用いる殻の軟化処理の実用化を試みるものである。
1908 サトウキビの固体発酵による免疫賦活作用を有する食品素材製造方法 広瀬 直人 沖縄県農業研究センター 宮里 大八 琉球大学 サトウキビの黒麹菌による固体発酵産物はクエン酸を含有し、抗酸化性や抗変異原性を有するなど、サトウキビ由来の有用成分に加え、黒麹菌の固体発酵で生産される種々の酵素産物に由来する栄養機能性が期待できる。そこで、免疫賦活活性を指標として黒麹菌による最適発酵条件を検討し、高い機能性を有した食品素材の創出を目指す。また、サトウキビ搾汁残渣や製糖副産物(糖蜜)利用の可能性を検討する。
1909 食品用マイクロチャンネル型微細気泡生成技術の開発 宮田 恵守 沖縄工業高等専門学校 宮里 大八 琉球大学 本研究は微細な孔から気体を噴出して食品中に均質な微細気泡を生成する技術に関するものである。微細気泡に関する研究が進展し、多くの分野で成果を上げている。食品にはアイスクリームやホイップクリーム等、気泡を利用する食品も多いが、微細気泡の利用はこれからの状況である。高速な乱流で気泡を粉砕、微細気泡を生成する従来の方法では応用が困難なためである。新たに細孔(マイクロチャンネル)から気体を噴出して微細気泡を生成する技術を開発し、食品への応用を図る。
5(B) アンモニア揮散を抑制したメタン発酵消化液の施用機械の開発と実証 荒木 肇 北海道大学 清水 條資 独立行政法人科学技術振興機構 前年の研究でメタン発酵消化液を利用した稲作が可能となったことを発展させ、汎用型かつ肥料成分(アンモニア態窒素)の揮散を回避するメタン発酵消化液の施用機を製作する。製作機にはカルチを利用した土壌への施用および汚泥ポンプによる流量調節機能を設定する予定である。実圃場において、その作業性や消化液の地中散布効率およびアンモニア態窒素の揮散抑制効果および作物生育を検証する。
6(B) 分子相乗作用に基づく抗肥満素材開発 宮下 和夫 北海道大学 清水 條資 独立行政法人科学技術振興機構 海藻カロテノイド、フコキサンチンは、β3-ARの発現増大とPPARγの制御により、海藻中のEPAや18:4n-3などのω-3高度不飽和脂肪酸は、PPARγのリガンドとして、それぞれ抗肥満の中心因子であるUCP1の発現を増大させる。いずれも分子機構が解明された数少ない抗肥満成分であり、かつ、相乗的な抗肥満作用が期待できる。そこで、本課題では、UCP1を共通の抗肥満の鍵分子としているこれら成分間の相乗効果を利用することで、科学的基盤に基づいた抗肥満素材を開発する。
32(B) 穀類外皮等の未利用資源の資源化開発 江頭 祐嘉合 千葉大学 井上 里志 千葉大学 穀類外皮や大豆外皮等は通常廃棄される。本研究はこれら未利用資源を活用し食品分野で利用することを目的とする。これらの未利用資源には、機能性成分が豊富に含まれており、これらを動物の消化管で消化酵素の作用を受けやすい形態、あるいは腸内細菌に利用され易い形態にすると、機能性の発現が期待できる。本研究では、機能性を高めた食品素材の開発を目指す。さらに付加価値の高い化粧品素材への応用についても研究する。
52(B) 血管機能を相乗的に向上させる複合機能性成分の食品設計と利用開発 平山 匡男 新潟薬科大学 真島 操 (財)にいがた産業創造機構 食品中の抗酸化性ポリフェノール類は、心疾患抑制、視覚改善、血流改善など特有の健康機能を示し、その差別性は含まれる成分が鍵となる。その中でもプロアントシアニン類は特有の血管弛緩作用を示し、この作用は有機酸により相乗的に増強されることを発見した。本研究は、この増強作用を強める最も好適なプロシアニジン類と有機酸組成物を、各種の食品から加工方法、組成比、作用機序も含めて設計し、血管機能改善食品を開発することを目的とする。
56(B) 湿熱処理・部分糊化老化処理による低GI米粉の開発 菅原 正義 長岡工業高等専門学校 真島 操 (財)にいがた産業創造機構 現在、食糧自給率向上の点から米粉利用拡大が期待されているが、米粉原料としての米はこれまで食味を追求するあまり、こしひかりなどの寡占品種中心となり小麦粉代替用には適していない。水と熱のみを利用する安全な「湿熱処理」、「部分糊化・老化処理」による物性変化は、用途別の米粉のバラエティ増加につながり、食後血糖値上昇の穏やかな低GI化するため国民の健康維持に役立つ米粉食品が可能となる。
澱粉の糊化には、水分が重要な役割を持ち、低水分条件下での加熱処理である「湿熱処理」、「部分糊化・老化処理」は、澱粉粒内結晶構造に変化を与え物性が変化すると考えられる。
59(B) ニンニクを起源とする骨粗鬆症予防食品の開発研究 米田 幸雄 金沢大学 海野 徹 有限会社金沢大学ティ・エル・オー 骨関節系疾患の臨床的帰結は単なる生活の質(QOL)の低下にとどまらず、骨折や寝たきりになる場合が多く見受けられるが、これは超高齢化社会である我が国においては社会的また医療経済的に切迫する大問題である。一方、閉経後骨粗鬆症の骨密度減少には活性酸素(ROS)発生が関与するが、ニンニク中に高濃度含有されるピルビン酸がこのROS除去機能を示すことが明らかとなっている。本研究課題では、ニンニク成分ピルビン酸を含有する機能性食品の開発と製品化を通じて、特に骨粗鬆症の発症予防対策の確立を試みる。
65(B) 水稲における「光共生」適合微生物資材の開発 井上 直人 信州大学 福澤 稔 信州大学 本研究は水田のメタンガス抑制とコメの高位生産の両立を図るため水稲と光合成細菌の間で成立する光を媒介して成立する共生関係(「光共生」)を強化する微生物資材を開発するものである。イネは根から微弱な生体光を放出し有機酸などの物質も根圏に分泌している。他方、光合成細菌は光エネルギーを利用して硫化水素を分解し窒素固定も行っている。本研究ではこれらの共生を強化する微生物のスクリーニングを実際の水田で行う。
72(B) 温度補償型TOF-NIRSによる高精度果実非破壊ハイブリッド計測システムの開発 土川 覚 名古屋大学 吉田 勝 (財)名古屋産業科学研究所 超高速パルスレーザ光の物質内部伝播の時間変化から微量な成分情報を検出する時間飛行近赤外分光法(TOF-NIRS)と赤外線熱画像解析法を組み合わせたハイブリッド型オンライン非破壊計測システムを開発する。一日の温度変化が零下〜30℃にも達する選果場においても、オンタイムで温度補償する機能を付与することによって、常時高精度でウンシュウミカン・メロン等の果実の糖度・酸度および熟度を正しく推定することを目指す。
145(B) 沖縄産カンショの高度機能性成分を利用した応用研究 平良 淳誠 沖縄工業高等専門学校 宮里 大八 琉球大学 甘藷茎葉が有する血流改善効果、細胞系における過剰な一酸化窒素ラジカル(NO)産生抑制、酸化LDL産生抑制効果等に寄与する機能性成分を明らかにする。また、これまで詳細に検討されていない甘藷茎葉のミネラル類(微量元素を含む多元素)を解析し、有用ミネラル含量を定量する。さらに、これまでの研究で明らかにした甘藷茎葉の有する酸化ストレス予防効果を動物実験で検証し、科学的根拠に裏付けされたシーズにする。

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 脳科学:16件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
90 病態時血液脳関門に作用する薬物探索のためのインビトロ評価系の開発 片山 貴博 北海道大学 清水 條資 独立行政法人科学技術振興機構 脳虚血時には、血液脳関門(BBB)の破綻とともに末梢循環から脳実質への白血球の浸潤が認められる。研究者らは、最近、脳微小血管内皮細胞、アストロサイト、神経細胞からなる新規インビトロBBBモデルを開発した。本研究では、さらに白血球を加え、神経細胞傷害とBBB機能破綻、白血球浸潤に対する薬物作用を評価可能なインビトロ実験系を構築し、病態時BBBに作用する薬物探索のための新たなインビトロ評価系を確立する。
91 うつ・不安のメカニズム解明のための実験動物モデルの開発 南 雅文 北海道大学 清水 條資 独立行政法人科学技術振興機構 分界条床核は、不安、抑うつ、恐怖などの負情動の惹起に関与することが知られている脳領域であるが、分界条床核から他の脳領域への神経投射が負情動生起にどのように関与しているかは不明のままである。本研究では、レンチウイルスベクターによる遺伝子導入とイムノトキシン法を組み合わせることで、神経路特異的に神経細胞を除去することにより、負情動生起に関わる神経機構解析のための実験動物モデルを開発することを目的とする。
439 活性型・非活性型マイクロRNAの探索システムの開発と応用 北條 浩彦 国立精神・神経センター 小野 洋一 千葉大学 近年、マイクロRNAの転写後調節や塩基置換を伴う修飾が報告され、それに伴う遺伝子調節の多様化が予想されている。しかしながら従来の方法ではそれらを捉えることが難しく、その実態は殆んど分かっていない。そこで本研究はバイオアッセイに基づく活性型マイクロRNAの網羅的検出系を構築し、さらに従来のQ-PCRやDNAチップ解析の併用による活性型・非活性型マイクロRNAのスクリーニングシステムの確立を試みる。
556 大脳高次視覚野における皮質脳波双方向デバイスの開発と検討 戸田 春男 新潟大学 千原 恵子 (財)にいがた産業創造機構 皮質脳波(ECoG)法は、脳活動の電気的記録法の中でも比較的低侵襲性であり、fMRIや脳波に比べ高い時間・空間分解能をもつため、医療現場で使用実績がある。本提案では既存のECoG電極を改良し、広範囲の脳表への電気的入出力装置として応用するための動物モデルを開発する。このモデルでは視覚野の多点同時計測と微小刺激を行い、脳の情報処理を外部的に補佐する方法を探る。
619 脳における蛋白質の活性化を可視化できるマウスの作製と解析 石本 哲也 富山大学 佐貫 大三郎 富山大学 細胞骨格蛋白、転写因子などの蛋白質の活性化を捉える新規発光蛋白質プローブを開発した。本研究ではこれらを発現するトランスジェニックマウスを作製する。このマウスからの発光を計測することは、生きた動物の脳内の特定の蛋白質の挙動を、経時的視覚的に計測する新たな実験手法となる。PET、fMRIなど既存の計測法では計測できなかった行動中の蛋白活性化を計測することで、記憶のメカニズム解明に寄与する。
776 新規神経保護化合物フェニルチオシクロペンテノンの開発と応用 平田 洋子 岐阜大学 丸井 肇 岐阜大学 神経の生存・維持に重要な役割を果たす神経栄養因子はペプチド性であり、通常の末梢投与では脳への移行性は著しく低くその投与方法は脳内投与に限定される。このため、血液脳関門を通過しやすく神経栄養因子産生促進効果の高い低分子フェニルチオシクロペンテノン化合物の開発が望まれている。本研究では、動物病態モデルにおける化合物の末梢投与による有効性を検証し、脳内で神経栄養因子産生促進効果を示し、血液脳関門透過性を確認する。今後、化合物の構造修飾・最適化を行う事により、バイオアベイラビリティーの高い化合物を創製し、神経変性疾患の治療薬に向けた薬剤候補化合物の創製をめざす。
820 自閉症治療研究に用いるモデル動物の開発 岩田 圭子 浜松医科大学 小野寺 雄一郎 浜松医科大学 自閉症者死後脳におけるVery Low Density Lipoprotein 受容体 (VLDLR) mRNA発現の増加から、高機能自閉症児の血清中脂質代謝に着目した。その結果VLDL分画が、コレステロール・中性脂肪の双方で有意に低下することを臨床研究によりつきとめた。VLDLRの過剰発現が自閉症の発症に関連すると想定し、VLDLR過剰発現マウスの自閉症病態モデルとしての妥当性を評価する。
909 脳標的化薬物送達を目的とするシャトル-ステーション型ステントの開発 鈴木 弘美 名古屋大学 吉田 勝 (財)名古屋産業科学研究所 現在、気道・胆管・血管などの狭窄部位挿入し、内側から広げ支える治療器具として使用されている合金製ステントを、埋め込み型の薬剤除去システム【シャトルステーション型ステント】として改良し実用化を目指すものである。提案期間には模擬生体内条件から小動物血管を用いた利用効率を検討する。
1167 深部脳組織からのIn vivo Ca imaging可能な微細内視鏡のための画像処理システム開発 船曳 和雄 (財)大阪バイオサイエンス研究所 長谷川 新 (財)大阪市都市型産業振興センター 本研究は、in vivoで脳深部神経回路の観察及び神経活動記録が可能なイメージバンドル型微細内視鏡システムにおいて、イメージバンドルによる不連続かつ低コントラストの画像をonlineコンピュータ処理により補正し、高いコントラストの滑らかな画像データを作ることのできる高速画像処理システム開発を目的・目標としている。
1168 組換えアデノ随伴ウイルスベクターを用いた局所的RNA干渉(fRNAi)開発 ミハエル ラザルス (財)大阪バイオサイエンス研究所 長谷川 新 (財)大阪市都市型産業振興センター 脳内の様々な遺伝子および神経回路の空間的時間的機能解析を目的とし、局所的RNA干渉法および光遺伝学的手法の開発を行う。現在、カフェインの覚醒効果に重要なアデノシンA2A受容体に注目し、アデノ随伴ウイルスを用いたshRNAの導入によりラット脳の大脳基底核でA2A受容体の発現を抑制し、カフェインの効果に重要な部位の同定を試みている。また、光感受性オプシンを脳内局所に発現させ、光刺激により神経回路を制御し、カフェイン応答性神経回路を解明する。
1182 認知的コミュニケーションシステムの開発のための基礎研究 村田 哲 近畿大学 松本 守 近畿大学 本研究では、認知的コミュニケーションシステムの開発をめざす。そのため脳内の自他区別を基本としたコミュニケーションのメカニズムを探る。自他区別は内部モデルを基にした予測のメカニズムが関連していると思われる。そこで、サルを用いて腕や手の運動をしている最中の視覚のフィードバックに変化を加えて、大脳皮質の神経細胞の活動を記録し、身体意識のメカニズムを探る。結果は、他者の心を推測するコミュ二ケーションロボットの開発や自閉症や統合失調症などのリハビリテーションやサービス工学的な分野への応用が考えられる。
1223 次世代小型人工聴覚器の集積技術の開発とその応用 舘野 高 大阪大学 中村 邦夫 大阪大学 ヒト聴覚末梢系の構造と機能を模した新奇な次世代小型人工聴覚器を作製するための基盤技術を構築する。特に、微細加工技術を用いて作製する聴覚系様デバイスとin vitro神経細胞間の音信号―神経符号化変換器を試作する。本装置は、 音響センサ、音響信号を神経細胞に変換伝達する細胞インターフェース、微小信号増幅・細胞刺激器の3つの構成要素を小型・集積化して統合し、体内埋め込み型を目指して開発するマイクロデバイス複合体である。従来の人工聴覚器と比べて、小型・省電力性を大幅に改善し、信号伝達性能の向上を目指す。
1407 加算処理無しにin vivo の脳から光学的膜電位測定が可能な高輝度光源の開発 廣田 秋彦 島根大学 中村 守彦 島根大学 in vivoの脳から膜電位を光学的に同時記録する際、光の光電流変換時に取り除くことが出来ないショットノイズが発生する為、通常加算処理が必要である。加算処理を不要とするには、高輝度で安定した光源が必要である。高輝度であるが安定性の悪いアーク系光源の光量の変動分を検出し、暗いが高速に制御出来、安定の良いLEDを、変動分を相殺するように発光させ、両者を光ファイバーで混ぜることで高輝度超安定化光源とするアイデアを実用化する。
1838 MRIを用いた老人斑検出法の開発 米田 哲也 熊本大学 荒木 寛幸 熊本大学 社会の高齢化に伴い、アルツハイマー病(AD)の早期発見と予防のための、具体的な画像診断法が求められている。そこで本研究では、これまで保険診療機では描出不可能であると考えられてきた、ADの原因となる大脳新皮質上の老人斑を、これまで使用されてこなかったMRI位相情報を用いて検出する方法の開発研究を行う。
1845 中枢神経細胞特異的に自己防御因子の発現を誘導する薬物の創製 香月 博志 熊本大学 森田 高広 熊本大学 脳神経細胞はほとんど再生能力がなく、ひとたびダメージを受けると永続的に障害が残り得る。超高齢化社会を迎えた現在、中枢神経の変性を伴う疾患の克服は重要なテーマである。近年iPS細胞の作出などを受けて再生医学的アプローチが脚光を浴びているが、特に脳疾患に関しては再生医療の実現性は未知数である。本研究では、「脳を守る」という視点に立ち、中枢神経細胞特異的に自己防御因子の発現を誘導する薬物の創製を目指す。
1893 包括的脳保護作用による新規脳卒中治療薬の開発 宮田 篤郎 鹿児島大学 遠矢 良太郎 鹿児島大学 超高齢化社会を迎えた我が国において大きな問題となっている脳卒中は、神経やグリアの障害だけでなく血管障害による複合的な病態を呈する。脳内に豊富に局在するCNP(C型ナトリウム利尿ペプチド)のアストロサイトや神経細胞に対する保護作用に関する代表研究者らの知見を基盤として、本研究では神経・グリア・血管の機能的連関を考慮し、それらの包括的保護作用による新規の脳卒中治療薬の開発に寄与することを目的とする。

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 バイオインフォマティクス:6件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
25 超高速並列処理による次世代シーケンサ結果解析技術の開発 明石 浩史 札幌医科大学 一瀬 信敏 札幌医科大学 次世代シーケンサ等の生物学データの量的・質的な増大に対応するために、大量の配列タグデータをゲノム配列へ超高速でマッピングするシステムを国産並列処理OS・SSS-PCを用いて構築する。OSレベルの高速並列処理により超高速処理が可能なSSS-PC 上でDNA配列解析ソフトウエアの設計、既存ゲノムビューアの移植、独自可視化ビューアと解析インタフェースを開発し、大量のDNA配列情報の超ハイスループット解析への対応を可能にする。
46 遺伝子発現情報に基づく新規病気識別法の開発 岡田 吉史 室蘭工業大学 鈴木 雍宏 室蘭工業大学 本研究では、DNAチップ実験で得られた複数の病気クラスからなる遺伝子発現データを対象に、個々のクラスにおいて共通な発現パタンを示す遺伝子の最小単位である「モジュール」を抽出し、それらを未知サンプルのクラス分類に利用する、新しい病気識別法を提案する。本研究では、癌、自己免疫疾患、精神疾患など、臨床的に症状の多様性が著しいとされる病気への適用をとおして、本法の有用性を検討する。
547 遺伝子発現情報に基づくハイスループットな新規遺伝子探索法の開発 矢野 健太郎 明治大学 浅井 亮介 明治大学 分子生物学実験手法の発展に伴い、得られる実験データの大規模化が急速に進んでいる。これらの大規模データの解析には大型計算機を用いた解析でも膨大な計算時間を要する上、この状況はさらに強まる傾向にある。そこで本研究では標的遺伝子群を簡便に抽出、かつ汎用機での利用が可能なソフトウェア開発を最終目的とし、本応募研究においては、その解析手法の確立ならびにソフトウェアのプロトタイプの開発を実施する。
548 糖脂質修飾予測とGPIアンカー型タンパク質データベースの構築 池田 有理 明治大学 福場 一郎 明治大学 本課題では、翻訳後修飾のうち糖脂質GPIの修飾を受けるGPIアンカー型タンパク質を判別するバイオインフォマティクスツールを開発する。また、遺伝子クローンの譲渡を含むGPIアンカー型タンパク質データベースの提供を見据え、ヒトゲノムからGPIアンカー型タンパク質候補を予測する。また、GPIアンカー型タンパク質候補の構造や機能を確認する目的で、候補遺伝子のクローニングを行うための実験系を確立する。
1208 キラル薬物センシングにおける鏡像体識別能の新規増幅技術の創出 廣瀬 敬治 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 光学異性のある医薬品、特にエタノールアミンやカテコールアミン誘導体等は中枢神経系に対する重要な生理活性物質である。これらの光学純度検定は社会的な必要性も大きい。本研究では、これら要請に応えられる革新的な鏡像体識別の新規増幅技術を創出することを目的とする。実施内容は、センサ原理の創出、分子設計と合成、および評価である。特に技術的な理由から実現が困難とされている水中での鏡像体識別を実現し、本方法の有用性を実証する。
108(B) マルチチャンネルタンパク質フィンガープリントセンシングシステム 竹内 俊文 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 本研究では、複数種類のタンパク質インプリントポリマーを基板の決まった位置に形成させたマルチチャンネルタンパク質センサを開発することを目的とする。多数のタンパク質に対するマルチチャンネルセンサの複数の応答パターンをフィンガープリント化することで複雑なタンパク質群のフィンガープリント分析が可能かどうか検討する。

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 環境・生態:28件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
100 高鮮度食資源の安全保障に寄与するカンピロバクターの定量的蛍光イメージング法の開発 澤辺 智雄 北海道大学 東 陽介 独立行政法人科学技術振興機構 カンピロバクターは世界規模で問題視されている食中毒細菌で鮮度の高い生食肉で感染リスクが高い。本課題では「微好気条件下での集落形成培養」と「種特異的蛍光遺伝子プローブの反応」を融合させた培養併用蛍光in situ ハイブリダイゼーション(FISHFC)法を利用し、高温性カンピロバクターの24時間以内での分別定量法を開発する。また食品流通過程での本菌群の生態を理解し、食資源のリスク管理向上に寄与する。
137 耳石微細構造解析によるカラフトマス稚魚の成長履歴解析法の開発 虎尾 充 北海道立水産孵化場 竹内 勝巳 北海道立水産孵化場 近年、サケマス資源の回帰率向上のため「適期放流」が重要視されている。本技術は、サケマス放流事業における適期放流技術開発に必要な、成長履歴推定ツールとしての耳石微細構造の有効性を検証する。飼育実験および野外採集されるカラフトマス稚魚を用いて、1.耳石輪紋形成の日周性の検証、2.耳石径からの体長逆算推定法の確立、3.海水移行チェックを検索する。これらによって、カラフトマス稚魚降海後の成長率推定技術を確立する。
193 重水トレーサおよび近赤外線分光計による簡易植物内水移動測定法の開発 松嶋 卯月 岩手大学 小川 薫 岩手大学 農業における水利用の効率化は世界の食糧供給問題を解決する上で重要な課題である。そこで、植物内部の水移動を非破壊で可視化し、植物による水利用を簡易に計測できる手法を確立することを目的とする。最終的には、開発された手法を用い、乾燥地域での灌漑農業および植物工場などでの最適水管理システムの技術的パッケージを提供する。
196 砂漠化が進行する高塩類アルカリ条件下での耐性イネ科植物シオチガヤの生理機能 河合 成直 岩手大学 小川 薫 岩手大学 世界の農地は13億haのうち、毎年600万haが砂漠化により失われている。その面積は全陸地の4分の1であり、食料を海外に依存するわが国もこれに無縁ではない。本研究は世界の砂漠化が進行するNa型アルカリ土壌で生育できる塩類耐性植物シオチガヤの生理的特長を解明することを目的とする。その植物生理学的知見を持って、土壌劣化・砂漠化しつつある世界のアルカリ土壌地帯での植生の回復、環境保全、食糧生産に貢献しようとするものである。
204 誰にでもできる簡易な家畜の血中下垂体前葉ホルモン濃度測定系の完成 橋爪 力 岩手大学 中戸川 明広 岩手大学 家畜の血中下垂体前葉ホルモン濃度の測定は、アイソトープ(RI)を使う放射免疫学的測定法が実用化されているため、係る測定装置を有するごく一部の限られた研究機関しか測定できない。申請者は昨年度のJST委託研究費でRIの代わりに蛍光標識物を使う時間分解蛍光免疫測定法(TR-FIA)により、家畜の血中下垂体ホルモン濃度が測定できることを示した。本研究は、申請者が立ち上げたTR-FIAで種々の生理的条件下にある家畜の黄体形成ホルモン、成長ホルモン、プロラクチン等の血中濃度を実際に測定し、本技術が応用に適することを証明し、本技術を確立完成させるものである。
226 養殖へのキャビテーションテクノロジーの新展開 祖山 均 東北大学 田附 匡 株式会社東北テクノアーチ キャビテーションは、一般には流体機械に損傷を与える現象であるが、本研究では、逆転発想的研究により、キャビテーションをナマコなどの養殖に害となるプランクトンの殺滅などに活用するなど、代表研究者の有するキャビテーションテクノロジーについて養殖への新展開を図る研究である。本研究は低コストでキャビテーションを効率よく発生させて強力化して制御する点に特徴を有し、本研究により養殖へキャビテーションを活用するための最適条件を明らかにする。
417 高温環境下におけるトマト着果率低下の分子機構解明 園田 雅俊 千葉大学 小野 洋一 千葉大学 植物は生育適温を超えた環境下で栽培した時、生育不良を起こす。特に生殖器官はその影響を受けやすく、夏場における果菜類の着果率の低下は農業上大きな問題である。これまでにトマトをモデルとした研究から、この着果率低下は生殖器官の中でも雄性器官の不良によることを明らかにし、これらにスクロース代謝が関与している可能性を得た。本研究では高温耐性トマトの開発を目指し、高温時における着果率低下の分子機構解明を行う。
550 油汚染土壌を効率よく浄化する景観に配慮した植物および微生物の選抜 登尾 浩助 明治大学 福場 一郎 明治大学 石油類漏洩事故による土壌汚染浄化法の一つとして、植物を用いた比較的安価な浄化法が注目されている。我が国では、近年ようやく適切な植物の選抜が進みつつある状況である。本申請研究では、景観的に好ましい植物(特に草花)の内から石油類浄化を効果的に行う事ができる種類を選抜する。更に、サーモTDR法を使って実験中の石油類濃度をリアルタイムでモニターしながら、石油類の分解に直接寄与している微生物を明らかにする。
699 熱滅菌型空気清浄化装置の除菌効率改善に向けた実証研究 岩崎 博道 福井大学 坪内 彰 福井大学 免疫機能の低下した患者が増加しており、無菌室設置など感染防御を目的とした環境整備が大きな課題となっている。本研究では加熱滅菌法(3Dヒーター)を改良し、空気中の全ての浮遊細菌を焼却・無菌化することに初めて着眼した空気清浄化装置の実用化を目指す。すでに本装置が真菌の除菌効率に優れていることは確認済みだが、細菌の除菌が十分ではなく、除菌効率を改善するため現有装置改良を進める。
759 花粉の少ないヒノキ品種(岐阜県産精英樹)培養苗の開発 茂木 靖和 岐阜県森林研究所 前田 喜朗 独立行政法人科学技術振興機構 スギ・ヒノキ花粉症対策の一つとして、花粉の発生を抑制する花粉の少ない品種の利用がある。県内では、形質、成長を基に選抜された林業経営上の優良個体(精英樹)の中で2個体が花粉の少ない品種に認定された。ヒノキのクローン増殖には挿し木、接ぎ木などがあるが、これらの技術では短期間に大量の苗を育成するのが難しい。このため、本課題では短期間に大量の苗育成が可能な茎頂培養で、花粉の少ないヒノキ品種の培養苗を開発する。
791 ハイスループットな絶対嫌気性微生物の分離培養技術の開発 中村 浩平 岐阜大学 馬場 大輔 岐阜大学 地球上の広大な嫌気環境には、多くは機能未知の難培養嫌気性微生物が存在する。特にメタン菌や硫酸還元菌といった絶対嫌気性微生物は、非常に重要な役割を担う微生物種であるため培養技術が必要とされている。しかし、これらの純粋培養には熟練と手間を要し、絶対嫌気性微生物に関する研究は困難である。一方、応募者が開発した平板培養法は容易な絶対嫌気性微生物の分離培養法であり、ハイスループットな分離培養技術としての可能性を有する。本研究では、平板培養法を詳細に再評価し、絶対嫌気性微生物の分離用レディーメードキットの開発に向けた基礎的研究を行う。
812 野外環境下における生きた微生物検出用フィールド蛍光顕微鏡の開発 宮川 厚夫 静岡大学 神谷 直慈 静岡大学 地下、海底熱水系、深海底など極限環境にも多種類の微生物が生存し、メタンの生成やCO2循環等に関与して地球環境に大きな影響を及ぼしていると予想されている。蛍光顕微鏡では、これらの微生物群を迅速に高感度で検出できる能力が高いが、この目的に十分利用できるフィールド蛍光顕微鏡はない。以前、試作したフィールド蛍光顕微鏡について、検出感度・耐衝撃性・操作性に対する不具合を改善させ、実用機の開発につなげる。
913 植物病原菌由来の活性酸素生成エリシターによる植物免疫誘導剤の開発 川北 一人 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 植物病原菌に対する植物の耐病化に向けて、植物の活性酸素種生成が抵抗反応誘導の始動的役割を担うことに着目し、活性酸素生成誘導物質の探索を行ってきた。本課題では、これまでに得られた活性物質や関連化合物について、過敏感細胞死誘導能といった抵抗反応誘導活性の解析を行う。さらに病原菌の植物への接種試験により免疫誘導剤としての有用性を明らかにする。
915 イネ科作物ソルガムにおける菌根誘導型養分トランスポーター遺伝子の同定と省エネルギー農業への応用展開 畑 信吾 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 ソルガムは炭酸固定能の高いイネ科作物であり、重要な飼料作物であるほか近年はバイオエタノール原料としても注目されている。元々ソルガムは高温や乾燥条件に強いといわれるが、アーバスキュラー菌根菌との共生はその特徴をさらに助長すると期待される。本研究は、ソルガムのゲノムにコードされ菌根経由のリン酸ならびに窒素養分吸収に主要な役割を果たすトランスポーター遺伝子の同定や発現解析を通じて、環境に配慮した省エネルギー型農業の確立に貢献することをめざす。
916 改良型虫害抵抗性遺伝子の導入による耐虫性イネの創出 吉岡 博文 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 ウンカ、ヨコバイ類はウイルスを媒介することで、イネに深刻な被害を与えることが知られている。従来の虫害抵抗性遺伝子を導入する育種法では、抵抗性を克服した加害性バイオタイプの出現により防除が困難である。本課題では、虫害抵抗性遺伝子の分子作用メカニズムの解明と、恒常的に活性化した抵抗性遺伝子をウンカ、ヨコバイが加害した部位のみで働かせることにより、強力かつ持続的、実用的な耐虫性組換えイネの創出を目的とする。
922 葉緑体発光細胞を用いた環境調査キットの開発 松尾 拓哉 名古屋大学 井門 孝治 名古屋大学 本課題は遺伝子組み換えにより作製した葉緑体発光細胞を使って、土壌や水質を葉緑体の活性という点から評価するためのキットを開発することを目標とする。このキットは葉緑体発光細胞が保存されている保存バイアルと、発光基質液の入った基質バイアルから成り、検査方法は保存バイアルから細胞を採取し、発光基質液に懸濁し、調べたい土壌や水と混合するだけである。発光の強度からその土壌や水における葉緑体の活性を簡便に知ることが出来る。環境調査等を行う多くの機関・施設での利用が期待される。
1062 ポーラスコンクリートを用いたアオコの凝集および植栽基盤への適用 岡本 享久 立命館大学 柳瀬 圭志 立命館大学 プラズマエネルギーを負荷して沈降させたアオコを、水面の波の力と多層構造のポーラスコンクリートから生まれると予想される水流を利用して凝集、除去することが目的である。水中藻類にプラズマエネルギーをナノ秒程度の時間で負荷することで、容易に仮死状態となり沈降する。この処理により、湖のような閉鎖水域において発生したアオコなどを除去できる。ポーラスコンクリートを浮体状とすることで、水中において容易に移動可能となり、また、水流の力で孔部の水塊が入れ替わることで好気性が保たれ凝集したアオコが腐敗することなく、長期間の利用が可能である。本研究課題は、実験室屋外に設けた大型水槽およびアオコの発生が問題となっている草津市内の内湖において実施する予定である。
1110 ショウジョウバエを利用したミバエ類性フェロモンのバイオ生産技術の開発 西田 律夫 京都大学 土井 優子 関西ティー・エル・オー株式会社 ミバエ類は果実類に寄生する大害虫であり、近年、ナスミバエが日本に侵入している。代表研究者らは、防除に期待できるナスミバエの雄誘引物質を明らかにし、雌を誘引する性フェロモンへの代謝変換過程を解明した。しかし、これらの物質は構造が複雑なため大量合成が困難である。これより、性フェロモン生合成酵素系をミバエと近縁のショウジョウバエに導入して、構造の比較的単純な前駆物質から性フェロモンを継続的に産生させるバイオ生産技術の確立を試みる。
1114 環境浄化と物質生産に資する新しい有機ハロゲン化合物変換酵素の開発 栗原 達夫 京都大学 冨松 亮介 関西ティー・エル・オー株式会社 有機ハロゲン化合物は化学工業における最終製品や合成原料として重要であり、その酵素的変換法の開発はグリーンケミストリーの実現に寄与するものである。一方、有機ハロゲン化合物には環境汚染の原因物質として問題視されるものもあり、その分解菌や代謝酵素は環境保全の観点から重要である。本研究では、難分解性の有機フッ素化合物や不飽和脂肪族有機ハロゲン化合物に作用する微生物酵素の探索・特性解明・構造解析を行い、環境浄化や物質生産への応用に向けた基盤を構築する。
1417 汎用性の高い細胞観察用マイクロデバイスの開発 金原 和秀 岡山大学 高野 和潔 岡山県工業技術センター 微生物が形成するバイオフィルム(粘液状の集合体)は、食品加工や医療の現場で環境を汚染し、多くの問題を引き起こしている。そこで、バイオフィルム形成阻害剤の効率的な探索が可能なデバイスの開発が求められている。平成20年度に申請者らは、新規細胞観察用マイクロデバイスの開発に成功し特許を出願した。本課題では、実用化に向けて、顕微鏡の観察台上で環境制御が可能な箱に収納できるよう小型化を図ると共に、汎用性の高いデバイスを開発する。
1449 誘電解析法を用いた新しいバイオアッセイシステムの開発 安藤 元紀 岡山大学 薦田 哲男 岡山大学 水質検査や薬剤開発の一次スクリーニングに応用可能なこれまでにない新しいバイオアッセイシステムを開発する。本システムの新規性・独創性は,有害物質に鋭敏に反応する原生生物(ユーグレナ)を利用しその形態変化や増殖特性の変化を誘電解析法(インピーダンス解析法)というこれまでにない新しい測定技法に基づいて検出する点にある。水質環境モニターや新規合成化合物のスクリーニングに応用可能な新しい生物検定システムの確立を目指す。
1477 施設内栽培空間の最小化に伴う植物の生態反応の解明による超省エネ化 川口 岳芳 広島県立総合技術研究所 三善 正道 広島県立総合技術研究所 わが国の加温施設全体の90%(4.5万ha)を占めるパイプハウスにおいて、低コストで簡易に設置可能で、ハウス内部のビニルシートを上下移動させることで施設内容積を自由に変化させることができる「二軸駆動型施設容積可変システム」の開発を目指す。本研究では、施設内栽培空間の最小化による温度分布と温度変化の解析および温度変化に伴う栽培植物の生態反応の解明する。
1480 等温遺伝子増幅技術LAMP法を用いたツボカビ菌の迅速判定法の開発 長嶺 憲太郎 広島国際大学 山下 民治 (財)くれ産業振興センター カエルツボカビ症は、ツボカビ菌の感染によって起こる病気である。本研究では、両生類のなかで特に研究材料としても使われているアフリカツメガエルに寄生しているツボカビ菌のLAMP法を用いた検出方法の確立を目指す。本カエルは感染しても発病しないことが知られており、研究材料に適している。本法が確立できれば、他の両生類への応用も可能である。今回実用化を図るため、スワブからのDNA抽出と特異的増幅のためのLAMP用プライマー設計に焦点を絞って検討する。
1486 無人ヘリへのレーザースキャン装置搭載による森林の計測技術開発 奥田 敏統 広島大学 伊藤 勇喜 広島大学 GPS搭載型の自立飛行無人へりにレーザースキャン装置を搭載し、森林の林冠構造、現存量、樹冠(樹木の枝葉が覆っている部分)分布、葉群量(光合成を行っている部分)の定量化、林冠(森林の最上層)の凹凸構造、森林の内部構造などを正確かつ迅速に測定する技術を開発することを目標とする。その上で森林のCO2吸収量や森林内の生物多様性を広域に評価する技術を確立する。
1582 魚類飼育養殖由来アンモニア性窒素の除去資源化手法の開発 杉山 茂 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 水族館や水族館と類似した水環境で魚類を養殖する現場で、魚類の充血や出血のような循環系の障害とともに壊死を引起すアンモニア性窒素の除去またそれに伴う栄養源確保のため、排水処理から多量に生成するにもかかわらず有効な利用法のないマグネシウムアンモニウムフォスフェートの低温熱分解で得られるリン酸水素マグネシウムによるアンモニアの除去を上記水環境下に応用し、実使用に対する問題点を解決する。
1805 入浴施設の新衛生管理技術の開発と応用 田栗 利紹 長崎県環境保健研究センター 一丸 禎樹 長崎県 科学技術振興局 長崎県では、フローサイトメトリー技術により浴槽水中の細菌汚染の程度を2分間で評価し、細菌汚染と密接に関係するレジオネラ菌の存在をほぼ90%の正確性で判別できる新評価方法を開発した。本課題は、この新評価方法をさらに発展させて入浴施設の汚染度の評価から改善処理につながる新たな衛生管理技術を開発することを目的とし、新たなレジオネラ汚染対策技術を提案するものである。
1806 光励起緩和経路の精密設計に基づく高耐久性サンスクリーン用化合物の開発 重光 保博 長崎県工業技術センター 永田 良人 (財)長崎県産業振興財団 サンスクリーン(日焼け止め)に使用されているUV吸収化合物は、UV-A (280-320 nm:長期間暴露による慢性炎症)、UV-B(220-280 nm:直接的な皮膚損傷)、の両領域を効率よくカットし、耐久性にも優れていることが求められる。本研究では、量子化学理論計算に基づき、従来は考慮されてこなかった励起三重項状態間のエネルギー移動経路を最適化することで、光劣化速度を抑えた高耐久性サンスクリーン剤の開発を目指す。
83(B) 有機溶媒耐性酵母の耐性機構解明による耐性機能を強化した生体触媒の創製 黒田 浩一 京都大学 藤森 賢也 京都大学 微生物機能を用いた物質生産を有機溶媒中にて行う際、微生物への有機溶媒耐性賦与は生産性の向上に大きく貢献することができる。代表研究者は転写因子を改変することによって、酵母に世界で初めて有機溶媒耐性を賦与することに成功している。本課題では、転写因子の改変により発現レベルの上昇した遺伝子の中から、実際に耐性に関わるものを同定するとともに、耐性を示す有機溶媒の種類を調べることによって、有機溶媒耐性機構の解明を試みる。得られた基礎的知見を基に疎水性有機溶媒、親水性有機溶媒それぞれに対する耐性を向上させ、有機溶媒の性質に応じた有機溶媒耐性酵母を創製する。

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 物質生産:75件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
72 薬用植物「甘草」における機能性フラボノイド成分生成手法の開発 高上馬 希重 北海道医療大学 蛸島 武広 北海道大学 薬用植物カンゾウ(Glycyrrhiza uralensis)は漢方薬「甘草」として利用される。抗炎症、肝機能改善作用などの医薬品原料であり、甘味料、健康食品にも用いられる。グリチルリチンなどのトリテルペノイド化合物を多数含んでいるほかに、抗菌、抗アレルギー活性などのフラボノイド化合物が含まれる。本課題では、培養細胞の増殖条件、フラボノイド、トリテルペノイド化合物の生成条件の検討などを行い、医薬品や健康食品生産などへの応用を目標とする。
86 神経性疼痛治療薬開発を目指した海洋天然物の探索 酒井 隆一 北海道大学 清水 條資 独立行政法人科学技術振興機構 これまで研究者は海洋生物の二次代謝物に中枢神経のシナプス伝達を選択的に制御する化合物をいくつか見出し、その医薬資源としての有用性を示した。この知見を基に本開発研究は、マウス等の動物を用いた行動検定試験と培養神経細胞を用いた電気生理試験を併用し、海綿等の底生生物を材料にシナプス活動抑制成分を見出す。さらにその構造決定と生理活性の評価を行い、新薬創製の基礎となる「活性構造シーズ」を発掘するものである。
97 アラキドン酸カスケードを用いる海藻の化学分類法の開発 板橋 豊 北海道大学 東 陽介 独立行政法人科学技術振興機構 形態や構成成分及び数少ない現在の遺伝情報からでは分類が曖昧な海藻を明確に識別するための新しい方法の開発を試みる。すなわち、海藻に傷害を与えて細胞膜を構成するアラキドン酸を代謝させ、生成する一連の化合物(カスケード)を指標にして種を分類するもので、従来法とは全く異なる化学的分類法を確立する。得られる成果は、生物分類学と海藻を利用する産業に有益な情報を提供するものと考えられる。
99 ホタテガイ未利用部由来ラミナリナーゼを用いた高効率β-オリゴ糖製造法の開発 尾島 孝男 北海道大学 東 陽介 独立行政法人科学技術振興機構 北海道のホタテガイ養殖に伴い廃棄されている中腸腺(ホタテガイ未利用部)に含まれるラミナリナーゼ(β-1,3-グルカナーゼ;EC 3.2.1.6)を産業用酵素剤として製造するための基盤を整備する。さらに、本酵素を利用した生理活性β-オリゴ糖の製造、限定分解によるβ-グルカンの物性改変、β-グルカンの構造解析、糖転移活性を利用した新規ヘテロオリゴ糖およびβ-グルコシドの製造技術を開発する。
116 大腸菌を用いた抗ガン剤生産と酵素を用いた高活性誘導体合成法の開発 及川 英秋 北海道大学 蛸島 武広 北海道大学 研究者らが開発した発現カセット法を用いて、最近上市されたが量的供給に問題のある抗腫瘍性物質エクテナサイジン合成中間体の大腸菌による大量供給法を検討する。またごく最近我々は単純なアミノ酸とペプチドから、一挙にサフラマイシン骨格合成を行う酵素(SfmC)を見出したが、これを用いてこれまで十分検討されていないエクテナサイジン型誘導体の合成を行い、構造が単純ながらより高活性の誘導体を見出す。
138 セラミド高生産性担子菌菌糸体の増殖技術の開発 米山 彰造 北海道立林産試験場 加藤 幸浩 北海道立林産試験場 グルコシルセラミドやセラミドは植物、糸状菌、動物等に広く分布しており、近年、肌の保湿作用、抗アトピー効果、大腸癌抑制作用が期待される機能性素材として注目されている。本研究では担子菌のうち比較的成長速度が速いタモギタケ等を用い、菌糸体の高含有菌株を選抜するとともに、培養条件を検討し、効率的に純度の高いセラミドを得ることを目指す。
142 キシリトールを糖質原料としたアスタキサンチン生産プロセスの開発 多田 清志 北見工業大学 内島 典子 北見工業大学 アンチエイジングへの関心が高まっている中、アスタキサンチンは強力な抗酸化作用を有することから健康食品及び化粧品の新素材として期待されている。これまで研究者は、北海道で大量に産出される農産廃棄物を原料としたキシリトールの微生物生産を検討し、更にキシリトールからのアスタキサンチン生産の可能性を見出した。本研究では、キシリトールを糖質原料としたアスタキサンチンの微生物生産プロセスの実用化の見通しを得る。
146 食用担子菌の光誘導性タンパク質発現系の開発 佐藤 利次 北見工業大学 有田 敏彦 北見工業大学 担子菌は、木質等を栄養源にする特殊な微生物であり、医薬品原料や木質のバイオエタノール製造利用時のリグニン分解などの前処理利用の点で注目されている。しかし、育種や酵素生産のための担子菌における効率的な遺伝子発現制御系が確立されていないのが現状である。本研究は、形質転換系が確立されている食用担子菌シイタケの遺伝子プロモータを利用した発現制御可能な遺伝子発現系を開発することである。
152 全工程微生物処理による稲わらからのエタノール発酵技術の開発 殿内 暁夫 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 一般に稲わらなどの非食系バイオマスから効率良くエタノールを生産するためには、脱リグニン化とセルロースの糖化を効率よく行う必要があるが、この工程には様々な問題点が指摘されている。そこで、本課題では、稲わらにセルロース分解性糸状菌とエタノール発酵性酵母を共同で作用させることにより、稲わらからのエタノール生産の全工程(前処理、糖化、およびエタノール発酵)を微生物で行わせる低コストエタノール発酵技術の開発を行う。
213 ヒト口腔内から分離されたSelenomonas sputigena 由来のプラズマローゲン調整法の確立 神尾 好是 尚絅学院大学 田村 光彦 独立行政法人科学技術振興機構 老人性認知症の進行防止や先天性プラズマローゲン(Plasmalogen、PLと略)合成酵素遺伝子欠損症を持った新生児治療に有効性が認められているPLは、牛脳由来で製造され純度60%品で20万円/gと極めて高価であった。しかし狂牛病問題の発生によりそのソースが絶たれ、世界でPLの安全なソースの探索が実施されている。申請者は、ヒト口腔内から分離された嫌気性細菌Selenomonas sputigena(略:Ss菌)中に高濃度にPLが蓄積されていることを見出した。本研究では、(1) Ss菌の大量培養法の確立(ホエイ培地でのSs菌増殖条件の確立)、(2)Ss由来PLの安全性評価を実施する。さらに、(3)健常高齢者のSs菌の存在を定量的に検討する。
239 培養乳腺上皮細胞を用いた乳房炎予防用機能性飼料評価システムの開発 萩野 顕彦 東北大学 渡邉 君子 東北大学 乳牛の宿命的な病気である乳房炎は、乳腺上皮細胞への酸化ストレスに関係している。乳房炎を予防するためには、乳腺上皮細胞(ミルクを作る細胞)の酸化ストレスを抑える物質を探し出す必要があるが、現在はこれを評価するシステムが皆無である。そこで、培養ウシ乳腺上皮細胞を用いて坑酸化ビタミン類の乳腺における坑酸化能を評価できるシステムを開発する。次に、このシステムを用いて実際に乳房炎予防に効果のあると期待できる物質を選び出す。
311 有用なリン脂質製造のための,放線菌由来ホスホリパーゼAの開発 杉森 大助 福島大学 森本 進治 福島大学 本研究では、リゾレシチン製造のための酵素として有用な、新規ホスホリパーゼAの開発に繋がる基礎的研究を行うことを目的とする。まず、放線菌が分泌生産する高活性なホスホリパーゼAをスクリーニングにより見出す。酵素精製を行い、最適pH、最適温度、金属イオンや化学物質の影響、酵素の分子量、アミノ酸配列などの酵素学的特徴を明らかにする。これにより、酵素の新規性を確認する。
332 食経験微生物納豆菌を利用したタンパク質発現系の構築 木村 啓太郎 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 森 勝美 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 一般的安全性が認知されている食経験微生物は、組換えタンパク質発現ホスト細胞の有力な候補である。また、宿主特異性が高いバクテリオファージを利用した発現系は、組換え生物の適正管理の観点からも企業化に際して有利である。“納豆のネバネバ物質”を分解して効率よく納豆菌に感染することが知られている納豆菌ファージの“ネバネバ分解酵素遺伝子”(pghP)を用いて、納豆菌を利用したタンパク質発現系の構築を目指す。
366 安定同位体標識タンパク質の高産出のための共発現プラスミドベクターの開発 窪田 健二 群馬大学 小暮 広行 群馬大学 安定同位体で標識されたタンパク質を得るため、大腸菌を用いてM9培地(最少培地)で発現させ標識させるが、M9培地では菌体量がLB培地に比べ通常半分以下になり、その分タンパク質の収量を著しく減少させる。代表研究者らは最近ある特定のタンパク質を大量発現させるとM9培地での菌体の収量が通常の約2倍になることを発見した。これを利用して、M9培地で効率よく標識された目的タンパク質を得られる共発現プラスミドベクターの開発を目的とする。
381 高機能高電圧インパルス発生装置の開発と応用 前山 光明 埼玉大学 永井 忠男 埼玉大学 インパルス電圧発生装置(以下 IG)は、レーザ媒体の励起や廃ガス処理など各種放電プラズマを生成するために利用される電源である。本研究では、高速半導体素子であるIGBTとマルクス回路の単純な従属トリガー方式、および、充電効率が高い共振充電方法を利用した高速半導体化IGの開発を目的とする。IGBT素子の特性を利用し、出力パルス幅1μs以下、50kV、繰り返し周波数10kHzを目標とする。
420 省資源を志向した卑金属分子触媒の開発と応用 濱田 康正 千葉大学 中筋 公吉 千葉大学 従来、高効率不斉水素化反応は均一系貴金属触媒を用いて行われてきたが、これらは希少な貴金属である。申請者は第4周期の卑金属ニッケル(Ni)にも均一系分子触媒としての潜在力があることを見出した。この触媒は安価なNi塩を触媒前駆体として合成でき、高度な不斉水素化反応を触媒する。本研究の期間内に新規不斉配位子の開発を基盤として、高性能化高機能化を行い、従来の生産プロセスを置き換える革新的な技術に育てる。
466 マイクロリアクターを活用するビタミンD3の高選択的合成法の確立 布施 新一郎 東京工業大学 千木良 泰宏 東京工業大学 医薬品として重要なビタミンD3は、原料のプロビタミンD3の光反応とそれに続く熱反応により工業生産されているが、光の減衰による光反応の転化率の低さと、光反応生成物の不安定性から低収率にとどまっている。本発掘シーズ研究では薄い反応場を持つ光反応および熱反応マイクロリアクターを用いて光の減衰を抑え、なおかつ光反応生成物を損なうことなく速やかに熱反応に賦す手法によるビタミンD3の高効率的合成を目的とする。
542 糖質単一原料からの側鎖分岐型バイオポリエステルの微生物合成 柘植 丈治 東京工業大学 松本 進 東京工業大学 微生物によって合成されるバイオポリエステルは、生分解性および生体適合性の高い環境適応型の高分子材料として近年注目され開発が進んでいる。最近我々は、分岐型の側鎖を有し従来品より物性の優れた新規バイオポリエステルを前駆体物質から微生物を用いて合成することに成功した。本課題では、このポリエステルの安価な合成法の確立を目指し、糖質単一原料から微生物合成する手法を開発する。
626 糸状菌を用いた脂肪族鎖の高選択的水酸化技術の開発 小田 忍 金沢工業大学 西村 五宏 金沢工業大学 筆者らはごく最近、新規な糸状菌を用いた界面微生物反応により、微生物的にも有機合成的にもこれまで不可能とされてきたn-アルカン(n-デカン)脂肪族鎖内部の位置・立体選択的水酸化に成功した。この発見は、1960年代以降のn-アルカンを基質とする微生物反応に関する定説を打破するものである。本研究においては、これら特異な水酸化酵素の基質特異性を解明し、様々な医薬品合成のための有力なツールとなる脂肪族鎖内部の高選択的な水酸化技術を確立することを目的とする。
628 創薬支援ツールとしてのトランスポーター中和抗体作成技術の開発 加藤 将夫 金沢大学 奥野 信男 金沢大学 トランスポーターは医薬品に含まれる薬物分子の細胞内外への取り込み・排出に関わる膜タンパク質であり、医薬品の効果や副作用の大きさに関係する。本研究では、トランスポーターの持つ生理機能を中和するモノクローナル抗体作成のための基盤技術を確立する。得られた中和抗体は、製薬企業等における医薬品候補化合物のスクリーニングや、医薬品の新たな標的分子の探索用として順次実用化を図る。
659 ラジカル反応を基盤とする新規な分子標的型抗がん剤の創生 谷口 剛史 金沢大学 中村 尚人 有限会社金沢大学ティ・エル・オー 最近の研究で、代表研究者が全合成したステモナミド類の合成中間体が、膵臓がんに特異的に発現してそのアポトーシスを抑制するPimキナーゼを阻害することにより、vitroおよびマウスにおいて膵臓がん細胞の増殖を抑制することが確認された。そこで、この知見をもとに、複雑な多環性化合物を簡便に合成できる手法である連続的ラジカル環化反応(ラジカルカスケード反応)を活用して、難治性の膵臓がん等に有用な新規分子標的型抗がん剤のリード化合物を創生し、その活性向上を目指した構造最適化を行う。
664 タンパク質分解酵素「ネペンテシンⅠ」の効率的生産法の開発 濱田 達朗 石川県立大学 辻 寛司 石川県立大学 酸性プロテアーゼは、洗剤や食品製造加工、家畜向けおよび医薬用消化酵素など幅広く利用されている。食虫植物ウツボカズラ由来のネペンテシンTは、従来使用されている動物および細菌由来の酸性プロテアーゼと比較して、より広いpHレンジでの安定性や熱安定性、長期常温保存性などの点で優れている。本課題では、ネペンテシンTを様々な大腸菌株やメタノール資化酵母のタンパク質発現系にて効率的に大量生産する方法を確立する。
737 耐塩性セルラーゼ製剤の耐熱化と利用技術の開発 水野 正浩 信州大学 田草川 信雄 信州大学 海洋性糸状菌を用いて開発した、耐塩性セルラーゼを含む粗酵素剤の耐熱性を向上させること、及び、酵素製剤としての粗酵素剤の利用技術に関するものである。既に試作した粗酵素剤をバイオマス再生技術の酵素製剤として利用するには、さらに高い耐熱性が求められる。また、効果的な利用技術の検討も必要である。本研究では①粗酵素剤に含まれる耐熱性セルラーゼの割合を高める方法、②酵素製剤として有効な利用技術を検討する。
741 葛デンプン製造から生じる廃棄物繊維の機能性評価 廣田 満 信州大学 福澤 稔 信州大学 葛デンプンの製造に伴って、廃棄物として葛根繊維が大量に生じる。この葛根繊維から申請者はDPPHラジカル消去作用を指標に、強い活性を示す新規ラジカル消去物質を単離した。この化合物の構造、脂溶性に着目し、この化合物がラジカル消去活性に加え、カビや細菌に対する抗菌活性、炎症抑制活性を示す可能性が高いと考察した。本研究では化合物の生理活性についての基礎データを得て,機能性天然繊維としての利用につなげることを目的とする。
746 水溶性バイオマス多糖を原料としたエタノール生産システムの開発 中村 宗一郎 信州大学 福澤 稔 信州大学 クマザサに豊富に含まれ水抽出によって容易に調製することのできる水溶性バイオマス多糖のアラビノガラクタン及びキシログルカンを原材料としてバイオエタノールを安価に効率よく生産しようとするものである。本研究では研究シーズであるβグルコシダーゼ遺伝子を導入した組換え酵母を利用して、五炭糖発酵細菌を含む微生物種との組合せを用いた並行複発酵により、高収率のエタノールを安定して製造する条件についての検討を行う。
762 抗原リポソームを生産するカイコ形質転換細胞を利用した淡水魚ワクチンの開発 河村 敏 岐阜県生物工学研究所 前田 喜朗 独立行政法人科学技術振興機構 淡水サケ科魚類養殖業は、伝染性造血器壊死症(IHN)より大きな被害を受けているが、実用的なワクチン開発には未だ成功していない。一方、これまでの関連研究において、トランスポゾンベクターによる昆虫形質転換細胞を利用してIHN抗原蛋白質(IHNV-G)を細胞膜上に過剰生産することが可能となった。そこで、この技術を基盤にIHNV-Gとマトリックス(IHNV-M)の同時発現を行い、細胞膜上のIHNV-Gをリポソームとして出芽させて抗原リポソームを調製し、実用的有効性を有するIHNワクチンの持続生産技術を開発する。
795 ダイズイソフラボン分解菌のゲノム解析とO-DMA高生産株の開発 鈴木 徹 岐阜大学 馬場 大輔 岐阜大学 ダイズなどに含まれるイソフラボノイドは、女性ホルモン(エストロゲン)様活性を持ち更年期障害や前立腺がんを抑えることから大変注目されている。しかしこれは腸内細菌により分解されe-quolやO-DMAに変換される。代表研究者はこれらの変換に関与する微生物をヒト腸内から分離している。本研究ではこれまで報告の無いO-DMA産生菌(Clostridium SY7918株,新属)についてゲノム解析を行いO-DMA生産に関わる遺伝子群の解明とそれを用いたO-DMAの大量生産系の構築を目指す。O-DMAは、エストロゲンのアゴニストとしての作用が期待されており、今後サプリメントや医薬品への応用が期待されるが現在天然品は入手困難である。これらの用途開発に使用できる量の生産系の構築を目指す。
800 トマトの茎液流計測センサの開発 長澤 正氏 沼津工業高等専門学校 伊藤 悟 静岡大学 本課題では、トマトのような細い茎をもつ植物の茎を流れる液流を直接計測するセンサを開発する。近年、容易に入手できるようになった薄膜式白金測温抵抗体をこのセンサに応用し、低価格で取り扱いが容易なうえに長期間安定して動作するセンサを実現する。また、低価格化と利便性の向上のために、計測値を流量に換算するマイクロプロセッサを搭載した計測回路を実現する。本センサによりリアルタイムでの自動潅水制御の実現につながる。
824 麹菌を活用した生理活性タンパク質の効率的生産システムの構築 北本 則行 愛知県産業技術研究所 菅沼 幹裕 愛知県産業技術研究所 麹菌は伝統的な醸造食品や酵素剤の製造に用いられている産業的に重要な微生物である。麹菌は安全性が高く、タンパク質分泌能力に優れているため、有用タンパク質の生産のための宿主として用いられている。、代表研究者らが新たに作出したプロテアーゼ低生産性のタカアミラーゼA非生産麹菌と麹菌タカアミラーゼAの生合成・分泌に関わる細胞内プロセスとを組み合わせることによって、活性測定が困難な生理活性タンパク質の新規な効率的生産システムを構築する。
843 遺伝子工学を用いたイタコン酸高生産糸状菌の開発 金政 真 中部大学 古田 昭男 中部大学 イタコン酸は、合成樹脂や接着剤等の原料として重要かつ安全な有機酸であり、工業的にはもっぱら糸状菌Aspergillus terreusによって生産される。2008年、代表研究者らは本菌のイタコン酸合成酵素遺伝子の単離に世界で初めて成功し、本遺伝子がイタコン酸生合成において鍵となることを突き止めた。本課題では、イタコン酸製造を高効率化するために、本遺伝子を過剰発現させたイタコン酸高生産糸状菌の分子育種を目指す。
844 白髪モデル動物の開発;ヒトの白髪発症機構との類似性に迫る 加藤 昌志 中部大学 古田 昭男 中部大学 ヒトの白髪発症には極めて長い年月を要する。ゆえに、個体をトレイスしながらヒトの白髪の発症機構を研究することは、実質的に不可能でる。最近、代表研究者らは、ヒトのように加齢とともに少しずつ白髪を自然発症するモデル動物を樹立した(特許申請中)。本研究では、この新規に開発された白髪マウスの白髪発症機構について、形態学的手法や分子生物学的手法を用いて解析し、ヒトの白髪発症機構との類似点を検索する。
847 線虫を用いた、有用タンパク質の新しい生産法の開発 三輪 錠司 中部大学 牧野 琢磨 中部大学 現在、医療用として使用しうる、高品質な組み換え有用タンパク質の生産は、コストと時間がかかるわりには生産量が少ないため、非常に高価なものになっている。代表研究者は、線虫に目的のタンパク質を安価にそして大量に生産させる技術を開発した。この技術を活用することで、これまでは生産効率の悪かったヒト由来の有用タンパク質を、安価に大量にそして高品質に生産できる、組み換え有用タンパク質の革新的な生産法の開発を目指す。
851 ナノポーラス材料を酵素固定化担体として利用する新規バイオリアクターの開発 加藤 且也 独立行政法人産業技術総合研究所 渡村 信治 独立行政法人産業技術総合研究所 近年、均一孔のナノポーラス無機物質(NPS)が注目されており、その規則性の高さを活用して様々な応用が現在盛んに検討されている。 本研究では、NPSのナノ細孔へ酵素を固定化した新規なバイオリアクターを開発する。そのため、酵素のNPS細孔内への吸着特性を明らかにすると共に、固定化酵素の活性の安定性向上について検討し、溶液状の酵素と比較して、20%以上の活性安定性が上昇したNPS-酵素複合体の作製方法を最適化する。
858 医農薬品開発へ向けた有機分子へのフッ素導入法の開発 柴富 一孝 豊橋技術科学大学 河合 健 豊橋技術科学大学 含フッ素有機化合物はその特有の生物活性から創薬科学において大きな注目を集めている。例えば近年、薬物へフッ素を導入することによる生理活性の増強や代謝安定性の向上が数多く報告されている。しかしながら、有機分子への位置選択的・立体選択的なフッ素の導入法は限られており汎用性の高い手法の開発が求められている。本課題では、クロロフルオロ化合物の合成を鍵とした新たな有機フッ素化合物の合成法を確立する。
901 学習・記憶障害治療候補薬U-50,488類縁化合物の効率的新規合成法の開発 中村 修一 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 近年の高齢化社会を鑑みると、高齢者の生活環境の改善を可能とする医薬品の開発は重要である。このような観点から、最近になって痴呆によって誘発される学習・記憶障害の改善効果があると報告されたU-50,488およびその類縁体は非常に興味がもたれる。そこで本研究では、代表研究者が独自に開発してきた不斉触媒的アジリジン開環反応を適用し、U-50,488類の新規簡便合成法を確立する。
903 強力な酸化反応性を有する強靱なRuポルフィリン担持高分子触媒の開発 樋口 恒彦 名古屋市立大学 片山 恵美子 名古屋市立大学 代表研究者らが開発してきた、強力な酸化反応性と高い触媒回転数を兼ね備え、極めて失活しにくい「ルテニウムポルフィリンー芳香族ヘテロ環N-オキシド」系を活性を十分保ったまま高分子化する。これにより触媒の繰り返し使用を容易にし、反応の後処理も簡便な実用性の高い反応系を構築する。本反応系を用いて、医薬品の、別途合成困難な代謝物の一段階合成を初めとして、従来困難だった酸化生成物の合成効率化や、新合成経路の提供、新規酸化反応様式の発見などへの幅広い応用を行う。また酸化剤の効率的合成法も検討する。
951 高卵黄輸送能を有するトリ化ヒト抗体の開発と抗体生産への応用 村井 篤嗣 名古屋大学 森 典華 名古屋大学 鳥類の血液中に存在するトリ抗体(IgY)は卵黄形成の実質組織である卵胞へ選択的かつ高効率に輸送される。この性質を利用して、トリにヒト抗体(IgG)の遺伝子を導入して、生合成されたヒトIgGを卵から回収する試みがなされている。しかしながら、ヒトIgGはトリIgYに比べ卵黄への輸送能が劣るため、この欠点の改良が必要とされる。そこで、ヒトIgGの構造に改変を加えたトリ化ヒトIgGを新たに生産し、卵黄へヒト抗体を高濃度で蓄積させるための基盤技術を開発する。
983 色度分布特性の計測による真珠の色調・光沢の定量化技術の開発 青木 秀夫 三重県水産研究所 増田 峰知 三重県農水商工部 真珠の色調と光沢は重要な品質要素であるにもかかわらず、真珠が球体形状であることや直径が概ね10mm以下と小サイズであること等から、それらを客観的に計測・評価する実用的な手法は確立していない。そこで本研究では、真珠およびアコヤガイの貝殻真珠層の色調・光沢について、画像解析による色度分布特性等を利用した評価手法を開発するとともに、両者の関係から高品質真珠を生産するアコヤガイ貝殻真珠層色の基準について検討する。
1009 培養廃液を利用した抗体生産細胞の機能強化用培地添加剤の開発 小川 亜希子 鈴鹿工業高等専門学校 澄野 久生 鈴鹿工業高等専門学校 抗体医薬の発展は目覚ましく、市場は年10%成長で拡大を続けている。しかし、抗体生産に使用される動物細胞は、微生物に比べて生産効率が低いことが課題である。研究担当者は、抗体生産で生じる廃液の高分子成分は抗体生産を強化すること、その作用は既存の培地添加剤と異なることを見出した。そこで本課題では、抗体生産で生じる廃液を利用し、抗体生産細胞の機能強化を目的とした培地添加剤を開発する。
1080 機能性絹の効率的生産に向けたカイコの分子育種 小谷 英治 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 カイコの絹糸に細胞増殖・分化制御因子などを導入した機能性絹は、細胞増殖やヒトの生理機能に有効な影響を及ぼす繊維として有用である。しかし、転写産物調節性のRNA結合タンパク質の働きにより、メッセンジャーRNAが排除されるため、カイコ個体では外来タンパク質の生産効率が低下するケースもある。機能性絹の効率的生産のために、転写産物調節性のRNA結合タンパク質に対する遺伝子操作をカイコ個体で検討し、外来タンパク質の高効率生産性を有する個体を作り出すことを目的とする。
1084 簡便・高収量な動物細胞由来の転写・翻訳共役型無細胞タンパク質合成系の開発 長岡 純治 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 転写・翻訳が1つの反応系(チューブ内)で可能な無細胞タンパク質合成系を動物細胞(カイコ絹糸腺)由来の抽出液を利用して開発する。そのために、転写と翻訳反応に影響する条件の最適化を行う。また、新規な低濃度での翻訳が可能なmRNA構造の探索を行う。これらの成果を組み合わせ、既存系と比較して①DNAから簡便にタンパク質合成ができ、しかも、②合成タンパク質が高収量である、今までにない使い勝手の良い系の創造を目指す。
1086 癌診断に用いるタグ付き一本鎖抗体生産の最適化 岸本 通雅 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 抗体は複雑な構造を持ち、大量生産にはコストがかかる。そこで基質と結合する部分のみを取り出した一本鎖抗体の利用が検討されてきたが、立体傷害が生じ、検出がうまくいかないケースが多かった。そこで一本鎖抗体とペプチドタグを結合し、基盤に配置することで立体傷害を克服し、検出感度を高く維持することが考えられる。このタグ付き一本鎖抗体の遺伝子配列を酵母Pichia pastorisに組み込み大量生産し、プラスチック基盤と結合させる方法を構築し、癌診断等が簡便におこなえる技術開発をおこなう。
1092 枯草菌のγ-グルタミルトランスペプチダーゼを高活性グルタリル-7-アミノセファロスポラン酸アシラーゼに改変する技術の開発 鈴木 秀之 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 セフェム系抗生物質の半合成にグルタリル-7-アミノセファロスポラン酸アシラーゼは重要な酵素である。代表研究者は、大腸菌のγ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)に変異を導入し、これまでに報告のあるGL-7-ACAアシラーゼと同等程度の活性を大腸菌GGTに付与する技術を開発した。本研究では、元々GGT活性が高く、耐熱性、耐塩性であることが分かっている枯草菌GGTに大腸菌に導入した変異に相当する複数のアミノ酸置換を導入することにより、高いGL-7-ACAアシラーゼ活性を持った酵素を作成する。
1109 動物細胞における有用タンパク質高生産のための効率的mRNAパッケージング法の開発 増田 誠司 京都大学 土井 優子 関西ティー・エル・オー株式会社 組み換え型タンパク質性医薬品の成功は、転写を強く促す強力なプロモータの探索により達成され、新しいバイオ産業の育成へと結実した。代表研究者は、現在の動物細胞を用いた発現系では、転写されたmRNAを適切なパッケージングが遺伝子発現の律速段階となっていることを見いだした。本課題は、効率よくmRNAをパッケージングする能力を持つ因子を探索し、既存の発現系に組み合わせることで、簡便かつ高収率の動物細胞発現系の構築を目指す。
1115 低温でのタンパク質生産システムの開発 川本 純 京都大学 冨松 亮介 関西ティー・エル・オー株式会社 タンパク質研究において、目的タンパク質の大量生産は避けては通れない課題であり、従来の大腸菌や酵母、バキュロウィルスなどを用いた異種タンパク質生産システムでは困難とされる熱安定性の低いタンパク質や封入体を形成しやすいタンパク質を効率的に生産するタンパク質生産システムへのニーズは大きい。 本研究では、 0レC 付近でも良好に生育する南極海水由来の好冷微生物をタンパク質生産用宿主として利用することで、低温で効率のよいタンパク質の高生産システムを開発する。
1126 新規イソキノリンアルカロイド生産法の開発と応用 佐藤 文彦 京都大学 藤森 賢也 京都大学 高等植物が生産するイソキノリンアルカロイドには、ケシの生産するモルヒネや、オウレンが生産するベルベリン等、有用医薬品として利用されるものが多く存在する。レチクリンは、これらイソキノリンアルカロイド生合成系の重要な中間体であり、それ自身の生理活性にも期待が寄せられている。本課題では、遺伝子操作した大腸菌ならびに酵母細胞系を用いて、レチクリンを大量生産する技術を確立するとともに、レチクリンから派生するアルカロイド類の生産方法も確立する。
1134 糖類の位置選択的官能基化 川端 猛夫 京都大学 加藤 眞行 独立行政法人科学技術振興機構 本研究はグルコースの4つの水酸基に任意の官能基を位置選択的に順次導入する新技術の開発と、それに基づき(1)配糖体天然物の全合成、(2)糖鎖ライブラリーの構築、(3)新規糖を含む糖鎖合成中間体の供給を行う。糖類は感染過程や癌の転位などの細胞間相互作用や細胞の分化などの生命維持の根幹に関わっている。このような生命現象の探求やそれに基づく医薬品開発には多糖類や配糖体の精密合成が必須である。しかし合成技術の進歩した現在でも、糖類の複数存在する水酸基を直接官能基化できる非酵素的手法は皆無であった。一方、代表研究者は無保護グルコースの4位水酸基を99%以上の選択性で直接官能基化できる触媒の開発に成功した。この技術を基盤として上述の課題に取り組む。
1154 超高濃度変性剤に耐性を有するケラチン分解性プロテアーゼの開発 渡部 邦彦 京都府立大学 土井 優子 関西ティー・エル・オー株式会社 代表研究者は、独自に単離した好熱菌の研究から、界面活性剤などのタンパク質変性剤に対し従来の事例をはるかに超える濃度耐性を有するケラチン分解性プロテアーゼを発見した。ケラチンは皮膚、爪、羽毛などに大量に含まれる。本酵素の応用研究として食品・薬品製造、洗剤、プロテオーム解析に用いる研究用試薬、さらにはプリオンなどのバイオハザード除去、ヒトゲノム抽出用酵素などに応用できる強力なツールとしての開発をめざす。
1267 有機溶媒耐性リパーゼの高効率生産系の開発 荻野 博康 大阪府立大学 稲池 稔弘 大阪府立大学 リパーゼは難水溶性の脂質のエステル結合を加水分解する酵素である。また、水分濃度が低い場合には、その逆反応が進行し、機能性食品油やバイオディーゼルなど合成に利用される。これらリパーゼの基質は難水溶性であることや、水分濃度を低くするために、リパーゼの反応は有機溶媒存在下で用いられることが多い。しかしながら、酵素は有機溶媒存在下で容易に変性し、その触媒機能を喪失する。本研究では、有機溶媒耐性リパーゼの安価な多量取得を可能とする有機溶媒耐性リパーゼの高発現系を構築する。
1303 有機溶媒耐性P450融合型酵素による有用生理活性物質合成への可能性試験 今岡 進 関西学院大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 本課題は、有機合成に利用可能な有機溶媒耐性酵素を作出して、これまで化学的には困難であった有用生理活性物質の合成に利用することを目的とする。通常の有機合成反応において、炭素鎖の末端やベンゼン環に直接水酸基を導入することや立体選択的水酸基の導入は容易ではないが、チトクロームP450は、このような反応を行う酵素である。そこで、好熱菌由来のP450を単離してその三次構造安定性を利用して有機溶媒中で働く融合型酵素を作出し、有用生理活性物質合成利用への可能性試験を実施するものである。
1314 有機溶媒耐性型表層提示微生物を用いた難水溶性ファインケミカル合成法 田中 勉 神戸大学 上村 八尋 神戸大学 本研究では、表層に酵素を提示した酵母を用いて、難水溶性ファインケミカルの合成法の開発を行う。酵母の表層に有機溶媒耐性を高めることが既に知られているPEG等の両親媒性高分子を提示することで、酵母に有機溶媒耐性を付与し、その酵母の表層にファインケミカル合成反応を行う酵素を提示する。これにより、酵素及び酵母の有機溶媒耐性を維持したまま、有機溶媒中での光学分割を行い、効率的なファインケミカル合成法の確立を目指す。
1324 触媒法によるフッ素系医薬品合成の可能性の検討 網井 秀樹 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 本研究技術内容は、含フッ素医薬品化合物の新しい製造法の開発を基礎的に検討することである。具体的には、フッ素化芳香族医薬品化合物の効率的合成を目指した触媒的炭素-炭素結合形成反応を実施することである。銅錯体を触媒として用いる含フッ素官能基導入反応について、その適用基質の種類の拡張(医薬中間体となるアミド基やヒドロキシル基などを有する基質への含フッ素官能基導入反応の適用)を、本研究期間内に詳細に調査する。
1328 アルツハイマー病画像診断に用いるプローブ分子の高速合成法の開発と探索 林 昌彦 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 アルツハイマー病の発症前診断を可能にする方法として陽電子断層撮影(PET)が期待されるが、この撮像装置で脳アミロイド病変を可視化するための効率的な低分子プローブの探索とその効率的高速合成を実現することを目的とする。低分子プローブとして臨床段階で候補になっている化合物にはベンズチアゾール系、ベンズオキサゾール系などの複素環化合物やスチルベン系がある。筆者らの開発した「活性炭 酸素系」による合成でベンズチアゾール系、ベンズオキサゾール系は一段階で合成できるのでこの反応を利用する。
1419 作物種特異的な生育促進作用を持つ微生物農薬の開発 谷 明生 岡山大学 遠藤 隆 岡山大学 植物には様々な微生物が共存し、有機成分の無機化、窒素固定などを通じて植物の生育に貢献している。一方、植物は生長に伴い廃棄物としてメタノールを排出することはあまり知られていない。本研究では植物に共存して植物生育の促進作用を持ち、かつメタノールに生育できる微生物を網羅的にスクリーニングし、重要な作物の生育を促進するそれぞれ特異的な菌を見いだし、無害な微生物農薬として実用化することを目的とする。
1422 微生物代謝工学による“夢の繊維”PTT原料の製造技術の開発 虎谷 哲夫 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)はテトロンとナイロンの長所を併せもつ”夢の繊維材料”として注目されている。原料の1つトリメチレングリコール(TMG)が高価で未だ広く普及するには至っていない。本研究では、微生物法によりTMGを安価に製造するための基盤技術を開発する。具体的には、グリセロールを炭素源とし、生物の知恵に学ぶ微生物代謝工学の手法によりラジカル酵素を活用して効率的な変換を行う。
1432 水溶液中での効率的Nε-中鎖/長鎖脂肪アシル-L-リジン酵素合成方法の開発 中西 一弘 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 本研究では、Nε-アシル-L-リジンの効率的酵素合成法の確立を最終目標として、①申請者らが単離した放線菌由来の酵素Nε-アシル-L-リジン特異的アミノアシラーゼ大量生産のための培養条件の検討、②部分精製酵素を用いるεLau-Lys合成反応条件の検討と最適化、 ③εLau-Lys以外のNε-アシル-L-リジン合成反応条件の検討と生成物の物性調査の、3点について実施する。
1436 好酸性細菌への有用遺伝子の導入とタンパク質生産手法の開発 金尾 忠芳 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 好酸性独立栄養鉄硫黄酸化細菌には無機硫黄化合物を代謝する他に類を見ないユニークな酵素が存在する。これらの酵素を研究し、遺伝子工学的技術により改良すれば、石油精製過程で大量に発生する副産物の脱硫硫黄を効率的に処理できる可能性が期待される。このような酵素を研究し利用するためには、組み換え発現による大量生産が必要不可欠である。しかしながら宿主に広く用いられる大腸菌や酵母は中性で生育するため、このユニークな酵素を活性型で獲得することが出来ない。本研究では増殖力の旺盛な好酸性従属栄養細菌に、これら有用遺伝子を導入し、発現させる手法の開発を目的とした。
1442 両端にホルミルおよびカルボキシル基をもつブタジエンの新規合成法 佐竹 恭介 岡山大学 秋田 直宏 岡山大学 ブタジエン誘導体は精密有機合成化学では欠くことのできない4炭素シントンとして重要である。とりわけ、ジエン末端に適切な官能基を持たせることは合成中間体としての有用性を飛躍的に高めることになる。しかし、両末端に官能基をもつジエンは4つのジアステレオマーが存在し、特定の立体化学をもつものを準備するのは容易ではない。本研究では、ニトロベンゼン誘導体からわずか三段階の過程で、極めて高い収率にてZZ体のみを選択的に得る手法の確立をめざす。
1473 微生物による廃液中重金属イオンのナノ半導体結晶への変換回収 阪口 利文 県立広島大学 佐伯 達志 県立広島大学 本研究では,微生物の酸化還元反応を利用して、カドミウムや重金属類、レアメタル類をセレン、テルルなど酸素族金属様元素との化合物ナノ結晶粒子に変換・回収すること目的として、安定にナノ粒子を生成できる微生物株のスクリーニング、探索、属種同定、並びに生成ナノ粒子の観察・解析を行い、生化学、結晶学レベルから微生物による含セレン、テルルナノ結晶化合物の合成機構の解明を行い、材料合成技術としてのバイオプロセスによるセレンナノ結晶の合成法を開発する。
1487 有用脂質生産のための高性能宿主酵母創製技術の開発 船戸 耕一 広島大学 伊藤 勇喜 広島大学 酵母を用いた有用タンパク質生産の技術は既に実用化されており、医療や健康食品産業など幅広い分野で利用されている。一方、脂質生産技術に関しては、実用化に向けた成果が得られつつあるが、まだその多くは研究開発の段階にある。我々は、遺伝子組換え技術により出芽酵母を用いてヒト型セラミドを産生するシステムの開発に成功している。本課題では、ヒト型セラミドの生産効率の向上と他のヒト型スフィンゴ脂質の生産にも利用可能な汎用性の高い宿主酵母を創製することを目指す。
1522 アサリ人工種苗生産における赤潮プランクトン種ラフィド藻ヘテロシグマ・アカシオ(Heterosigma akashiwo)を活用した餌料添加技術開発試験 多賀 茂 山口県水産研究センター 大橋 裕 山口県水産研究センター 現在、アサリ人工種苗生産において利用している珪藻類は、梅雨時期には日照不足や低塩分化で大量培養が難しく量的確保が困難な状況からアサリの成長が停滞し生残率の低下を招く原因となっていることから、この時期に天然水域で大増殖する赤潮プランクトンのラフィド藻ヘテロシグマ・アカシオ(Heterosigma akashiwo)を大量培養し餌料活用にかかる技術開発試験を行う。
1535 コーヒー粕から医薬・化成品原料となる有用物質製造技術の開発 足立 収生 山口大学 殿岡 裕樹 山口大学 コーヒー粕は我が国でも大量に廃棄されている用途のない食品産業廃棄物で、実業的な付加価値を伴う処理技術開発が求められている。微生物触媒として「コーヒー粕麹」を開発して、コーヒー粕中に特徴的に高濃度に含まれる未利用有用物質を取り出す技術開発を行う。タミフル増産の隘路となっているシキミ酸の高速・高効率製造法にも繋がる、医薬・化成品原料として多用途なシキミ酸代謝経路中間体の製造を標的に研究を展開する。
1536 次世代型高温発酵技術を用いた廃棄食品からのエタノール生産 山田 守 山口大学 殿岡 裕樹 山口大学 申請者らがこれまでに確立した高温発酵技術を用いて、食品廃棄物からバイオエタノールへの経済的変換系を開発することを目的とする。食品廃棄物中には50%程度のデンプンが含まれるが、当面はこのデンプン資源を新規な高温発酵系によってバイオエタノールへ変換する。本技術が確立されれば、これまではコスト高が常に問題となっていたバイオエタノール燃料を安価に提供できるだけでなく、食品廃棄物削減にも貢献できると期待される。
1565 AgsAを用いた新規蛋白質安定化システムの開発 友安 俊文 徳島大学 斎藤 祐一 徳島大学 現在、天然資源の枯渇などの問題がますます深刻になってきている。そのような状況においては、いかに限られた資源を有効に使用するのかが問題となる。そこで、化学触媒の代わりに酵素を使用する事で、化学薬品や樹脂などを合成し、石油などの天然資源の節約を行う試みが行われている。しかしながら、蛋白質触媒には安定性の問題がありまだ工業的に実用化されている技術は少ない。そこで、そのような問題を改善する目的で分子シャペロンAgsAを用いた新規の蛋白質安定化システムの開発を進めている。
1569 D-アミノ酸含有生理活性ペプチド類の酵素的合成法の開発 川城 克博 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 最近、天然および合成起源のD-アミノ酸を含む生理活性ペプチドが見出されるようになり、これらの合成法としてプロテアーゼを触媒とする酵素法が注目されている。しかしながら、酵素の狭い基質特異性のため、D-アミノ酸のペプチド鎖への組み込みは不可能であった。本研究においては、カルバモイルメチル基をエステル部に持つ模倣基質をアシルドナーとして用い、D-アミノ酸を含む短鎖ペプチドの効率的な合成法の開発を行う。
1613 高純度アルギニン特異的蛋白分解酵素の量産系の開発 宮田 茂 香川大学 長崎 倶久 香川大学 Clostridium histolyticumのクロストリパイン(CloSI)は、アルギニンを認識して、タンパクを切断する特異性の高いプロテアーゼである。ペプチド解析や生理活性ペプチドの合成(マルチマー合成法における酵素切断)に利用されると共に、逆反応を用いた人工アミノ酸導入やバイオミメティック材料の合成にも応用される。市販されているが、純度や供給能力には問題があり、質的量的な改善を要する。我々が開発したClostridiumの組換えタンパク質発現系を用いて本酵素を高純度で大量、かつ簡便に得る技術を開発する。
1625 抗菌ペプチドの膜結合性評価に基づく高活性化技術の開発 福岡 聰 独立行政法人産業技術総合研究所 和田 英男 独立行政法人産業技術総合研究所 細菌感染症の治療で一般的に投与される抗菌剤は、耐性菌の出現や、菌の死滅後に外膜成分が血中に溶出し、致死率の高い敗血症の原因となるなど問題が残っている。ペプチド系抗菌剤は抗敗血症性で耐性菌の発生が少なく有用と考えられるが、低活性なことから実用化は進んでいない。本課題では、抗菌ペプチドのアミノ酸の部分的置換や、化学修飾により高活性な薬剤を開発する。同ペプチドの細菌外膜への結合による膜の高次構造や機能変化により得た、活性発現の構造指針に基づいて向上を図る。また、活性の定量的評価により実用性を検証する。
1632 キウイフルーツのツル(枝梢)の紙への利用技術開発 中村 仁 愛媛県産業技術研究所 門家 重治 愛媛県産業技術研究所 和紙の製造時には繊維の分散性を維持するため、水溶液の粘度を上げる必要があり、粘剤と呼ばれる増粘剤が用いられているが、現在使用されている粘剤は高価であり、その代替品が求められている。
我々は、愛媛県が全国1位の生産量を誇るキウイフルーツのツルからの抽出物が和紙の粘剤として有効であることを見出した。本研究では、ツル抽出物の抽出方法、保存方法、特性等を検討し、和紙製造での粘剤利用技術の開発を行う。
1763 高効率な部位特異的硫酸化タンパク質生産法の開発 角田 佳充 九州大学 深見 克哉 九州大学 タンパク質中のチロシン残基の硫酸化は、リン酸化や糖鎖修飾と並ぶタンパク質翻訳後修飾の一つであり、部位特異的なチロシン硫酸化が様々な生命現象において重要な働きをしていることが知られている。硫酸化タンパク質の医療・産業応用のためには,部位特異的な硫酸化チロシン含有タンパク質の効率的かつ安価な生産が必須であるが、まだ有効な方法がないのが現状である。そこで、タンパク質工学を用いることで、部位特異的硫酸化タンパク質の効率的で安価な大量生産法を確立するのが本課題の目標である。
1765 バイオディーゼル燃料生産用リパーゼ固定化シリカモノリスバイオリアクターの開発 川上 幸衛 九州大学 深見 克哉 九州大学 バイオディーゼル燃料は、酵素リパーゼを触媒とした原料油とアルコール間のエステル交換反応によって生産される。本研究では、基質溶液が貫通可能なシリカモノリス多孔体を骨格とし、アルキル基含有シリカをリパーゼの固定化ならびに活性化担体とした、高効率連続バイオリアクターシステムを構築する。その結果として、反応速度の面でもアルカリ触媒法に遜色のない、バイオディーゼル燃料のエコフレンドリーな低コスト高速生産法の確立をねらう。
1846 衝撃波負荷によるイグサ精油の高効率抽出と利用研究 嶽本 あゆみ 熊本大学 野田 耕右 熊本大学 音速を超えた速度で伝播する衝撃波は、伝播媒体の密度境界面で高速破壊現象(スポーリング破壊)を生じる。本申請者は、過去の研究で衝撃波による杉木材からの非加熱抽出実験により、樹木からの衝撃波による高い抽出効果を得ている。本課題では、これまでの研究成果を元に、高効率でイグサから精油を抽出する技術を確立することを目的とする。
1872 好気条件下において高エタノール発酵性を有するザイモモナス菌変異株の遺伝生化学的研究とその応用 林 毅 別府大学 安永 昌二 有限会社大分TLO これまで、好気条件下で高いエタノール発酵能を有するザイモモナス菌の変異株の単離に成功している。さらに本株は、高効率なエタノール発酵に有利な、付加的な機能も有していることが分かってきた。本課題では、本株の好気下発酵能とこの付加的機能がエタノール発酵に与える有用性を見出し、高性能エタノール発酵菌としての実用化を目指す。さらに好気下発酵能と付加的機能の発現に関わる遺伝子を解析し、さらなる高機能発現のための基盤研究を展開する。
43(B) スピーキング・プラント・アプローチによる知能的灌水制御の実用化研究 大幅 元吉 東京農工大学 寺内 隆道 桐蔭横浜大学 植物の根域部に多孔質セラミック管を配置し、これより低い位置に置かれた給水槽とを管路でつなぎ水を満たすことにより、栽培状態のままで吸水量が求められる。これに計測・制御システムを組み込めば、植物のリアルタイム吸水速度の計測と水ストレス状態の診断・制御が可能となる。本方式に基づく「スピーキング・プラント・アプローチ(植物との対話)」により、栽培目標に見合う最適な知能的灌水制御の実用化を目指す。
50(B) 椿油から動物性高級香料シベトンの合成 萩原 久大 新潟大学 長濱 勝介 新潟大学 麝香猫より分泌されるシベトンの香りは麝香の主成分であるムスコンに匹敵し、高貴で持続性のある香りとして珍重されている。しかし、製品を含めてワシントン条約で保護されているため極めて希少価値が高く、香料として用いられるには至っていない。一方、新潟県の県花である椿の乾燥種子には、重量比にして20%以上もの大量の油脂が含まれる。この油脂の90%を占めるオレイン酸グリセリドを原料とし、シベトンの供給を検討する。
136(B) 機能性を有するシリカナノファイバーバイオデバイスの開発と応用 山口 哲 福岡県工業技術センター 鍛治 茂樹 福岡県工業技術センター 本研究に用いるシリカナノファイバーは1.表面積が極めて大きい 2.空隙率が99%以上 3.高圧蒸気滅菌可能 4.化学的安定性が極めて高いなどの特徴を持っている。このシリカナノファイバー細胞培養担体を製品化するに当たり、シリカナノファイバーに高機能性・特異的性能を持たせる実用化研究を行うものである。

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 共通基礎研究(ライフサイエンス):53件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
59 ウニ/ナマコの腸内細菌酵素を用いた昆布フコイダンの低分子化 中川 純一 東京農業大学 西澤 信 東京農業大学 北海道海域に豊富に産する昆布において、非食部分の仮根は、血圧降下作用などの有用な薬理作用を持つとされる硫酸化多糖類フコイダンを大量に含むが、低分子化技術の不足から十分に利用できないのが現状である。本研究の目的は、昆布を食しているオホーツク海のウニ/ナマコの腸内細菌を探索し、特異的分解酵素を得て、医薬品原料やバイオ燃料として、北海道の未利用水産資源昆布フコイダンを活用する新技術を発掘することである。
104 ガス印加法による細胞の常温保存技術の開発 内田 努 北海道大学 吉田 光則 北海道大学 心筋細胞など凍結等による保存が困難な高付加価値の細胞種を保存し安定供給するため、細胞調整後Xeなどの麻酔作用ガスを印加することで、常温近傍の温度で保存・輸送に係る時間内で品質が保持され、抜圧後正常に培養可能な細胞保存法を検討し、実用化見通しを得ることを目標とする。
111 DING蛋白質を用いた難結晶性蛋白質の結晶化法の開発 田中 良和 北海道大学 城野 理佳子 北海道大学 蛋白質の構造情報は創薬研究をはじめ、様々な分野においても重要な役割を担っている。研究者らはDING蛋白質という機能未知蛋白質が極めて結晶化しやすい蛋白質であることを見出した。そこで本研究では、DING蛋白質の結晶化能を利用して、新規な結晶化を促進する融合蛋白質(結晶化タグ)を開発することを目指す。構造の不安定性により結晶化が困難な種々の蛋白質とDING蛋白質とを融合させて結晶化させ、その立体構造解析を行う系を構築する。
117 エボラウイルス制圧を目的とした抗ウイルス薬スクリーニング法の開発 南保 明日香 北海道大学 蛸島 武広 北海道大学 エボラウイルスはその高い病原性から、早急に制圧されなくてはならない感染症の1つであるにも関わらず、未だ有効な予防、治療法が確立されていない。本研究においては、将来的なエボラウイルスの制圧を目的とし、第一に、エボラウイルス感染を阻害する化合物を探索するためのスクリーニング法を開発する。第二に、スクリーニングによって得られた各種化合物のエボラウイルス感染に対する阻害効果の作用機序を細胞レベルで検討する。
147 北海道に生息する野生動物の進化系統学的検討と新規診断法の開発 平田 晴之 酪農学園大学 山田 龍翁 酪農学園大学 バベシア症は赤血球内寄生原虫を病因としダニ媒介性の人獣共通感染症である。北海道に生息する野生動物にバベシア原虫の感染が相次いで報告されてきており、野生動物から飼育動物やヒトへの感染が危惧されている。研究者らは2009年の北海道に生息するアライグマのバベシア原虫保有率を調査し5年前の調査結果と比較検討を行う、さらにアライグマから他の動物への感染拡大阻止のために本原虫に対する診断法の開発を目標とする。
154 高塩ストレス耐性細菌の取得方法の開発 姫野 俵太 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 本研究では、「リボソーム小サブユニットで活性化されるGTPase活性」というユニークな活性を有するRsgAの遺伝子を破壊することで大腸菌細胞が高濃度の塩に耐性になるという発見をもとにして、それを発展させることで、実用化に向けての新しい技術、すなわち「高塩ストレス耐性細菌の新規取得方法」を確立し、さらにその最適化を目指す。
185 遺伝子発現を指標とした牛体外受精胚の新規体外培養法の開発 澤井 健 岩手大学 今井 潤 岩手大学 牛卵子の体外受精後の体外発生率および胚移植後の受胎率の向上は優良牛の増産にとって不可欠かつ急務な課題となっている。そのためには、移植後の発生および受胎能力を指標とした胚の品質評価およびそれに基づいた体外培養系の開発が必要である。我々は前年度のシーズ発掘試験において、遺伝子発現解析による牛体外受精胚の品質評価に必要な解析技術と基礎的知見を得ることができた。本研究では、これら前年度に確立された評価法を利用して、遺伝子発現情報に基づく牛体外受精胚の新規体外培養系の開発を目標とする。
293 超高精度細胞呼吸測定システムの開発と応用 阿部 宏之 山形大学 小野 浩幸 山形大学 精度の高い呼吸計測技術は、細胞の機能解析や疾患の診断に極めて有効である。本研究では、これまで困難であった単一細胞レベルでの呼吸計測を可能とする電気化学計測技術を応用した超高感度呼吸測定装置を開発する。具体的には、超高感度マイクロ電極と計測感度に影響せず呼吸機能を損ねない非侵襲測定液を開発する。走査型電気化学顕微鏡とこれら要素技術をシステム化した「高精度細胞呼吸測定装置」を製作し、生物学的解析により装置の有効性・安全性(非侵襲性)を検証する。
343 遺伝子導入系統樹立を効率化するためのトレーサー遺伝子カセット開発 松田 勝 宇都宮大学 山村 正明 宇都宮大学 外来遺伝子導入魚作成時の飼育とスクリーニングに必要な労力軽減を可能とするトレーサー遺伝子カセットを開発しようとするものである。本研究では小型魚類であるメダカをモデル動物として、外見から外来遺伝子の有無を判定できる遺伝子カセットとともに、外来遺伝子を配偶子に持つ個体を早期に選別できる遺伝子カセットの開発を目指す。
403 Wntシグナル阻害剤エレウテリノシドの開発と応用 石橋 正己 千葉大学 石塚 勝巳 (財)千葉県産業振興センター 当研究室ではこれまでにWntシグナルを標的とした天然物のスクリーニングを行い、アヤメ科植物より活性成分として新規ナフトキノン配糖体エレウテリノシド類を単離した。そこで本研究では、種々の天然素材からさらなるスクリーニングを行うとともに、それらのWntシグナルに対する作用について詳細な活性発現機構の解明を行う。これらを通じて、天然物を素材とした新たな育毛剤または脱毛剤の開発に向けた研究をすすめる。
488 大腸菌の自己溶菌活性を用いた可溶化酵素のワンポット細胞破砕法の開発 黒田 裕 東京農工大学 平田 美智子 東京農工大学 大腸菌を宿主とした組み換えタンパク質の精製において、菌の細胞破砕は特に時間と労力を必要とする。本計画では、研究代表者らが最近発見したVanXの溶菌活性を用いて、大腸菌を機械的・化学的細胞破砕せずに、組み換えタンパク質を溶媒中に生産する技術を開発する。本技術は、全精製工程を一つの試験管内で行なうことを可能にするワンポット方式であり、酵素の媒介活性による化合物の生産などへの応用が期待される。
516 非正統的組換え抑制法の開発と標的ヒト遺伝子破壊技術への応用 足立 典隆 横浜市立大学 福島 英明 (財)木原記念横浜生命科学振興財団 標的遺伝子破壊法(ジーンターゲティング法)により、特定の遺伝子の機能を人為的に失わせることが可能になった。しかし、その効率は悪く、ごく限られた細胞株にしか適用されていないのが現状である。本研究では、ランダム挿入を引き起こす非正統的組換え反応の分子機構を明らかにし、この反応を抑制するための有効な戦略を見いだすことにより、任意の細胞株に適用可能な高効率標的遺伝子破壊法を開発することを目標とする。
529 In vitro virus法を用いた翻訳後修飾酵素の標的探索技術の開発 堀澤 健一 慶應義塾大学 藤本 弘一 慶應義塾大学 本提案は、生体内に300種類以上存在すると言われる翻訳後修飾を解析するため、研究代表者らが開発を進めてきたin vitro virus(IVV)法を応用し、試験管内で任意の修飾酵素の標的蛋白質を特異的かつ網羅的に同定する技術の構築を目的とするものである。具体的には、代表的な翻訳後修飾の一つ、ユビキチン化を触媒する転移酵素(E3)の標的となる被ユビキチン化蛋白質を特異的に検出する探索手法の確立を目標として設定する。
616 フルオロチアゾリジンジオン構造を基盤とした新型血管新生阻害薬の開発 藤原 朋也 富山大学 佐貫 大三郎 富山大学 血管新生阻害作用を持つチアゾリジンジオン類には2種の立体異性体が存在する。しかしながら、これらの立体異性体は生理的条件下で容易にラセミ化するため、一方のみを医薬品として有効利用することができない。本研究では、チアゾリジンジオン類のラセミ化しないミミックとしてフルオロチアゾリジンジオンを合成し、その光学活性体の血管新生阻害活性を調べることにより、新型血管新生阻害薬開発のシーズとしてのフルオロチアゾリジンジオンの有用性を明らかにする。
631 医薬品開発に有用な自動縮合反応剤の開発 国嶋 崇隆 金沢大学 奥野 信男 金沢大学 合成ロボットを使った反応の自動化は医薬品探索・開発に重要な技術である。本課題では、様々な反応の中でも実用化が難しいと考えられる脱水縮合反応の自動化剤の開発を行う。代表者らが開発したポリマー縮合剤を基に、混ぜるだけで効率よく反応し濾過だけで精製できる固定化反応剤を開発する。
646 新しい高純度有機酸化試薬の開発 松尾 淳一 金沢大学 渡辺 良成 金沢大学 既に市販されている有機合成用酸化試薬である、塩化N-t-ブチルベンゼンスルフィンイミドイルは、精製が困難であり、高純度試薬とすることができない。今回これを更に改良した試薬とするために、精製かつ取り扱い容易な結晶性の高い誘導体を見出す。その後、その誘導体がアルコールの酸化やカルボニル化合物の脱水素化を効率的に進行させることを確認し、市販品に代わる有機酸化試薬として市販することを目指す。
784 硫酸化構造特異的グリコサミノグリカン糖鎖結合分子プローブの開発 矢部 富雄 岐阜大学 小田 博久 岐阜大学 グリコサミノグリカン糖鎖は、動物細胞表面に広く存在し、分子内への複雑な硫酸基付加により多様な構造を形成して、細胞の機能調節に重要な役割を担っている。しかし、糖鎖構造の可視化が困難なことから、糖鎖を介した調節機構には不明な点が多い。そこで本研究課題では、組織中の細胞表面の糖鎖構造の変化をダイレクトに可視化するために、グリコサミノグリカン糖鎖の硫酸化構造を特異的に識別する分子プローブを開発する。
905 高度光制御NOドナーを基にした生細胞用試薬キットの開発 中川 秀彦 名古屋市立大学 片山 恵美子 名古屋市立大学 生細胞用光NOドナーと、これを用いた生細胞へのNO投与法の開発を行う。これまで独自に開発してきた新規な骨格を持つ光ケージドNO供与化合物(光照射でNOを遊離する化合物)をもとに、生細胞に適用可能とするための構造修飾を行い、これを用いて任意の位置の細胞に任意のタイミングでNOを作用させる方法の開発を進め、NOの細胞間拡散の研究や生体内生成を模した投与による研究を可能とする有用な試薬キットの開発を目指す。
907 発蛍光型ヒスタグ標識試薬の開発と応用 梅澤 直樹 名古屋市立大学 片山 恵美子 名古屋市立大学 本課題は、代表研究者が開発した「ヒスタグ(His6)と選択的に結合し、発蛍光する試薬」を改良し、電気泳動ゲル用染色試薬としての実用化を進める。従来技術のほとんどは、「発蛍光する」という性質を持たないため、信頼性の高い検出が困難であった。既に開発している試薬は、ヒスタグとの結合が弱いため感度が低く、実用的とはいえない。本課題では蛍光試薬とヒスタグとの結合を強めることで、実用性の高い試薬を開発する。
914 プロテインキナーゼ標的基質ハイスループット解析のプラットフォームの開発 兒島 孝明 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 代表研究者はW/Oエマルジョン中でマイクロビーズに固定化したプライマーを用いた鋳型DNA1分子からの増幅によって、DNAライブラリーをビーズ上に構築するビーズディスプレイ法を開発した。この手法と無細胞蛋白質合成法により、ライブラリー由来のペプチドを提示させた“ペプチドビーズライブラリー”を迅速かつ簡便に作製することができる。本研究課題は、この手法を用いた創薬分野での標的分子であるプロテインキナーゼ基質新規ハイスループット探索法の確立である。
918 酵母に見出した新規な寿命延長因子Ecl1ファミリーの解析と微生物産業への応用 饗場 浩文 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 代表研究者は、分裂酵母の経時寿命を延長させる新規遺伝子ecl1+, ecl2+, ecl3+を見出した。さらに、産業上有用な出芽酵母においても同様の遺伝子の存在と寿命延長効果を示す結果を得た。従って、ecl1+およびそのファミリー遺伝子を導入することで各種酵母の生理活性を長く保つための基盤が整った。本課題ではこれら遺伝子の機能解析を通して、発酵生産微生物の長寿命化と生産性の向上へと結びつけることを目指す。
920 好熱性藍色細菌の複数遺伝子を効率的に操作する方法 小内 清 名古屋大学 井門 孝治 名古屋大学 高等植物と同じ光合成メカニズムをもつ好熱性藍色細菌は、水素発生バイオ分子デバイス(人工光合成)の生体材料の供給源として近年着目されている。このデバイスの実用化の鍵は、光合成系蛋白質複合体の人為的な改良であり、複数の遺伝子を効率よく操作する遺伝子操作法が求められている。本課題では、代表研究者が確立した遺伝子移入技術を基盤として、複数の遺伝子操作を効率良く行うための実験ツールを開発して市販化を目指す。
921 組換え体MAPキナーゼ・キナーゼを用いた活性型MAPキナーゼの製造方法の開発 町田 泰則 名古屋大学 井門 孝治 名古屋大学 MAP キナーゼ (MAPK) は、真核生物におけるストレス応答や細胞増殖に関わるシグナル伝達系の中心にあるタンパク質リン酸化酵素である。MAPKがリン酸化するタンパク質を研究することは、ストレス耐性やガン化の仕組みを理解するために重要である。このような研究には、活性型のMAPKが必要であるが、その cDNAを用いて大腸菌で作らせた組換え体 MAPK タンパク質は不活性であり使用できない。本研究では、代表研究者が植物のMAPKの研究で発見した手法を応用して、動物のMAPKを簡便に活性化させる方法を開発し、大量生産を目指す。
1006 牛胎児血清に代わる培養添加剤の開発 荒木 聡彦 名古屋大学 羽田野 泰彦 (財)名古屋産業科学研究所 ほ乳類細胞の培養には牛胎児血清が広く利用されているものの、BSE問題の発生以降、血清中にプリオンタンパク質が混入する恐れから、安全性が問題視されている。また、牛胎児血清自体が高価であることから代替品の開発が盛んに行われている。一方、魚類はほ乳類との共通感染症がほとんど報告されておらず、安全面で非常に優位である。本研究課題では、魚類より回収した体液をベースとして、牛胎児血清に代わるほ乳類細胞の培養添加剤の開発を行う。
1037 感圧導電性糸を用いた生体センサの開発と応用 牧川 方昭 立命館大学 市原 岳洋 立命館大学 近年開発されたステインレス繊維混紡糸を衣服に編み込むことによって、体幹・体肢の動き、体表面の変形による感圧導電糸のインピーダンス変化を記録することにより、生体の柔軟な動き、変形を計測することが可能となる他、非接触容量結合型電極として用いることにより、心電図、筋電図などの生体電気現象を記録することが可能となる。本研究では着るだけで日常生活における心電図、呼吸曲線がモニタできるシステムの開発研究を実施する。
1041 海洋性藻類由来機能性生体分子のHSCCCによる高効率・大量単離法の開発 溝口 正 立命館大学 松田 純 立命館大学 世界の主なCO2固定源である海洋性藻類からの光合成色素類(クロロフィル及びカロテノイド)の高速向流クロマトグラフ(HSCCCと略す)による高効率・大量単離法の開発を目的とする。HSCCCを蒸発光散乱型検出器とOn-line接続することで、糖脂質類の単離・精製にも応用展開する。光合成生物が生産する機能性生体分子を漏れなく単離・利用するシステムの構築にチャレンジする。
1071 液液界面全電解用フローセルを用いた血清中カルシウムイオンの高精度定量 糟野 潤 龍谷大学 石原 英昭 龍谷大学 血清中のCa2+ 濃度の変動幅は 2.1〜2.6 mM と極めて狭く、電位が濃度の対数に比例するイオン選択性電極による定量は困難である。一方、近年、代表者が関与する研究グループで、多孔質テフロンチューブを利用したフロー系の液液界面クーロメトリー用セルを作製した。同セルを用いれば、Ca2+ や K+ のようなイオンを 99% 以上の効率と 0.1% 程度の精度でクーロメトリー定量が可能である。本研究では、FECRIT の医療検査への応用を目指して、血清中の他のイオンによる妨害を除去しながら、Ca2+ を正確かつ高精度に定量する方法を開発する。
1089 疾患モデルショウジョウバエを用いた新創薬プロセスの開発と応用 山口 政光 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 代表研究者らが樹立した筋ジストロフィー、神経変性疾患、白血病、癌・代謝性疾患モデルショウジョウバエを用いて、ゲノムワイドな遺伝的スクリーニングによる疾患バイオマーカー候補遺伝子の探索を行う。また合成化合物ライブラリーと土壌微生物培養液や植物抽出液由来の天然物を疾患モデルショウジョウバエへ経口投与することによるハイスループットスクリーニングを行い、治療薬候補物質を探索する。そしてこれらスクリーニングシステムを広く応用可能な新しい創薬プロセスとして確立する。
1091 生物発光温度計遺伝子の構築及び細胞内温度分布の時空イメージング 柄谷 肇 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 細胞内温度の生物発光イメージング計測法を新規に構築する。課題は次の二つの要素よりなる。i)発光微生物の発光酵素ルシフェラーゼ及び発光色変化(変調生物発光)を惹起する黄色蛍光タンパク質をコードする遺伝子を融合した生物発光温度計遺伝子を創製する。ii)哺乳類細胞を対象とする温度計遺伝子形質転換細胞の生物発光イメージング温度計測法の基本コンセプトを確立する。
1093 免疫不全や流血病関連酵素の生体内ターゲット分子の効率的なスクリーニング法の開発 天野 麻理 京都産業大学 物部 剛 京都産業大学 糖転移酵素欠失により免疫不全や流血病を発症する事を発見したが、その発病メカニズムは分かっていない。病理解明や治療法確立には、本酵素の生体内ターゲット分子を同定する事が不可欠であるが、いまだ効果的な方法はない。これには、本酵素が複数の分子認識機構を持つため、実験系が複雑になる点を克服する必要がある。本課題では、単純化した分子認識機能を持つ変異酵素群を用い、生体内ターゲット分子の効率的な同定法を確立し、分子レベルでの病理解明に繋げる。
1111 哺乳動物における雌雄の産み分け技術の開発 南 直治郎 京都大学 土井 優子 関西ティー・エル・オー株式会社 産仔の性を決定するのは精子であり、精子が持つ性染色体がXなのかYなのかによって生まれてくる産仔の性が決定される。本課題では、遺伝子組み換えを施した性染色体を持つ精子が受精できないような仕組みを開発し、単一の性の産仔のみを産む雄動物を作出する。遺伝子組み換え性染色体を持った精子は受精できないので、生まれてくる産仔は遺伝子組換え動物ではないため、食品を含め多くの利用価値を持つ。
1124 トランスジェニック動物マーカーの開発と応用 木下 専 名古屋大学 武野 彰 名古屋大学 トランスジェニック動物、特にマウスやラットは創薬等のモデル系として製薬企業・大学・試験機関等で広く利用されているが、系統維持のための遺伝子型の判定には生化学的検査(DNA抽出とPCR法)が必要であるため、時間・労力・コストがかかる。本試験研究では、汎用される発現プラスミドに(目的遺伝子発現ユニットに対して逆向きに)カセット化したマーカー遺伝子を組み込み、組織特異的に蛍光蛋白質を発現させることによって、1)遺伝子型の判定を瞬時・非侵襲・ランニングコストゼロで可能とするとともに、2)導入遺伝子コピー数の推定を可能とするものである。
1136 体外受精胚から受胎性の高い胚盤胞を高効率的に作出する新規合成培地の開発 山田 雅保 京都大学 加藤 眞行 独立行政法人科学技術振興機構 哺乳類着床前胚の体外培養は、動物の効率的生産、新生動物の創出そしてヒトの不妊治療において中枢的な役割を果たしている。本研究では、マウス体外受精胚の卵割期での発生を促進する因子、および、着床に必須の現象である胚盤胞の透明帯からの脱出と胚盤胞腔の拡張と維持を促進する因子の単離・同定を行い、さらに、それら生理活性因子を用いて受胎性の高い胚盤胞を高効率的に作出する合成培地の開発を目指す。
1137 近赤外発光特性を有するアミノ酸の開発 高谷 光 京都大学 加藤 眞行 独立行政法人科学技術振興機構 生体透過性の高い近赤外領域に発光特性を示す標識分子を開発することができれば、紫外・可視領域に発光・吸収スペクトルを示す生体物質に邪魔されることなく組織や細胞の明瞭なイメージングが可能となります。本研究では白金と希土類金属を組み合わせることによって近赤外領域での強い発光特性を示す金属結合型アミノ酸を開発します.また、これらを蛋白質に導入することによって,特定の病理組織、病変細胞を近赤外分光によって可視化できる新しい診断薬の開発を目指します。
1172 高性能ナノ粒子遺伝子導入・発現ベクターの開発と応用 長岡 康夫 関西大学 柴山 耕三郎 関西大学 非ウイルスベクターによる動物細胞内への遺伝子導入法は、遺伝子治療からiPS細胞の作製や形質転換を伴う基礎研究まで、現代生命科学の最先端を支える基本技術となっている。しかしながら、既存法では、導入遺伝子の核への移行性や核内での転写活性が低い等の理由で、必ずしも十分な遺伝子発現が得られないという問題を抱えている。本試験研究では、代表研究者らが進めている高性能ナノ粒子ベクターの開発を完成し、広範な実証実験のもと、その実用化を目指す。
1205 幹細胞から心筋細胞分化誘導可能なグルコース提示型培養面の開発 田谷 正仁 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 多分化能を有するヒト間葉系幹細胞から心筋細胞への分化を誘導する培養面の構築を行う。特に、リガンドとしてD-グルコースを提示した培養面上で、細胞の足場形成および骨格形成に伴う形態変化を誘因し、従来の液性因子の添加による手法とは異なる新規な分化シグナリングの制御手法を構築する。さらに、幹細胞を対象とした汎用性の高い培養面作成、ならびにその設計方針を確立することにより、医療用途に資する細胞培養プロセスの開発を目指す。
1280 新奇生体幹細胞標識抗体とその認識蛋白の機能特異性の解明と再生医学への応用 山手 丈至 大阪府立大学 金澤 廣継 大阪府立大学 再生医学研究において人工多能性幹細胞などの生体幹細胞の特性の解明は重要である。ラット生体幹細胞を標識する抗体A3の作製に成功した。そこで、本研究の目的は、①A3抗体とその認識蛋白の機能的な性状を解明し、さらに、② A3抗体を用いた生体幹細胞の正常組織での分布と、病変形成における役割を明らかにすることである。このA3抗体は、既存の幹細胞標識抗体とはその性状が異なることから、再生医学の基盤研究の構築において有用なツールになる。
1359 大気圧水蒸気プラズマを用いた滅菌技術の開発 菊池 祐介 兵庫県立大学 八束 充保 兵庫県立大学 医療機関や食品メーカにおいて用いられてきた従来の滅菌方法に代わる新しい滅菌技術として、プラズマ滅菌が近年注目されている。特に大気圧プラズマは真空排気系が不要であり、装置の低コスト化が期待される。プラズマガスとして大気圧空気を用いた結果が報告されているが、空気中に含まれる水蒸気の存在が滅菌に寄与している可能性が示唆されている。代表研究者らはこれまでに大気圧水蒸気プラズマの生成・物性評価を行っており、本研究では大気圧水蒸気プラズマを用いた安全で高効率な滅菌技術の開発に取り組む。
1390 ナマコ由来高硫酸化コンドロイチン硫酸の生理活性機能 保坂 善真 鳥取大学 作野 友康 鳥取大学 鳥取県近海でのナマコの水揚げ高は中国本土や香港での干しナマコの需要の高まりから、近年急増している。加工過程で生じるゆで汁中にはナマコ体内から溶け出したコンドロイチン硫酸(CS)が高濃度に含まれている。ナマコCSに化学構造が類似しているイカCSは骨分化促進・脂肪分化抑制活性などの陸棲動物由来のCSとは異なるユニークな機能を有する。本研究では、水産加工廃棄物の未利用資源としての積極的な活用をめざして、ナマコやそのゆで汁から効率的なCSの抽出方法を確立し、情報の少ないナマコCSが有するあらたな生理活性機能を明らかにし、ナマコCS有効活用の可能域を探索する。
1425 卵管・子宮内の物質環境を反映させた体外胚培養シートの開発と培養成績向上 松浦 宏治 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 卵管・子宮内に発現している蛋白質等の成長因子を含む培養系によって、胚培養成績を向上させることを目的とする。この胚発育に関与すると思われる物質を接触させるだけで被覆シートが得られるように考えている。具体的な目標は当該シートを用いて培養した際に、発育された胚内細胞数を上昇させることである。動物モデルで有用であることが示されれば、生殖補助医療にも応用でき、不妊治療の発展に貢献する可能性がある。
1430 キラルな空洞を有するポルフィリン二量体の合成と分析試薬への応用 依馬 正 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 π-πスタッキング相互作用で芳香族分子を包接するのに適した距離(約7Å)で2つのポルフィリン環を配置し、なおかつ、キラルなスペーサーを用いて2つのポルフィリンを連結することにより、キラルなホスト分子を構築する。光学異性体を識別するための分析試薬として実用化するために、以下の検討を行う:(1)合成法を改良する。(2)類縁体を合成する。(3)不斉識別機能を核磁気共鳴(NMR)スペクトルにより評価する。
1506 アユの冷水病に対するファージ療法の確立 中井 敏博 広島大学 榧木 高男 広島大学 アユの内水面漁業および養殖業はFlavobacterium psychrophilumを原因とする「冷水病」により毎年甚大な被害を受け続けている。本研究では、アユの冷水病の防除対策として、原因細菌を速やかに殺菌するバクテリオファージ(=ファージ)を利用した「ファージ療法」を確立することを目的として、先行研究において残された課題、特に自然感染に対する有効性とファージの大量培養・保存方法に焦点をあてて行う。
1591 有用生理活性物質の環境に優しい迅速合成法の開発 河村 保彦 徳島大学 牧野 正 徳島大学 地域特産の天然素材の中には、抗アレルギー作用、抗ピロリ菌活性、発ガン抑制作用など有用な作用を示す成分を含むものがある。しかしそれらの成分は稀少なものも多く、市場供給は困難である。この問題点を克服するため、入手容易な原料に電磁波合成法を適用する。医薬リード化合物、栄養食品素材、バイオテクノロジー分野の基本物質等、高価かつ市場需要の高い有用物質のより容易な利用をめざし、環境低負荷型迅速合成技術を開発する。
1620 人体数値モデルを用いた体内電流の数値解析による低周波治療への応用 太良尾 浩生 高松工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 肩こりなどの筋肉疲労改善や尿失禁治療に使用される低周波治療(低周波電流を体内に流して局所的に部位を刺激する治療)に関して、特定の部位のみを効率よく刺激できるような電極の位置や数を数値解析で検討する。通電させた場合に、どの部位でどの程度の電流密度となっているのかを検討し、従来よりも通電時間の短縮や他部位への影響を軽減できる可能性が期待できる。
1652 天然抗菌分子による点眼薬開発のための眼瞼マイボーム腺の培養と分泌膜小胞の活性化に関する研究 永井 彩子 愛媛大学 入野 和朗 愛媛大学 代表研究者らは、皮膚を乾燥や感染から保護する脂腺細胞の長期培養法を確立し、皮脂や抗菌機能を持つ新規分泌膜小胞、セボゾームの遊離を発見した。眼瞼マイボーム腺は、脂腺細胞ファミリーで、その機能不全はドライアイや炎症の原因となる。今回、マウスの同腺細胞の培養法を確立し、抗菌、保湿機能が期待できる膜小胞の分泌や機能についてセボゾームと比較検討し、これを有効な天然の点眼薬添加物として実用化する。
1687 抗生物質に依存しない画期的な微生物分子育種法の開発と有用素材生産への応用 芦内 誠 高知大学 安田 崇 株式会社テクノネットワーク四国 微生物の生産能力を実用レベルにまで押し上げるべく分子育種技術の開発が進んでいるが、その多くは根本的に安全性や環境調和という面で適切性を欠いている。すなわち、選択圧条件として抗生物質を大量に投入しなければならないのが現状である。本研究では、微生物細胞に導入された有用機能が抗生物質なしでも長期間安定に維持できる画期的な分子育種技術を確立するとともに、このシステムを活用し産業新素材として期待されているバイオポリアミド類の製造効率化を図る。
1766 タンパク質の1ステップマルチラベル化技術の開発 神谷 典穂 九州大学 深見 克哉 九州大学 タンパク質の特定部位を酵素により簡便且つ共有結合的に修飾する技術を基に、酵素の基質特性に適った新たな人工合成基質をデザインし、1ステップで複数の機能をタンパク質に付与する技術を開発する。特に、対象タンパク質として抗体を選択し、蛍光基と生体直交性を有する化学的官能基を、抗原認識能を損なうことなく共有結合的に1ステップで付与可能な新たな抗体ラベル化技術を確立する。
1774 難治疾患治療薬を指向したアポトーシス阻害剤の分子設計、合成、機能 新藤 充 九州大学 石川 宗晴 独立行政法人科学技術振興機構 異常亢進したアポトーシスの阻害は難治疾患治療薬として有望である。ボンクレキン酸(BKA)はミトコンドリア内膜タンパク質に結合することでアポトーシスを阻害するとされているが、量的供給の問題から機能の詳細は不明である。これまでの研究でBKAの十分量の合成を達成し、さらにいくつかの誘導体、類縁体の合成とアポトーシス阻害活性試験により重要な知見を得た。本研究では、より優れたアポトーシス阻害剤の合成及びその生物活性評価を行う。
1776 ペプチドリガンドによるタンパク質分離・解析用次世代型TLCシステムの開発 治京 玉記 中村学園大学 太田 嘉孝 (財)福岡県産業・科学技術振興財団 申請者らの開発した独自のファージディスプレイ法を用いて、タンパク質の活性部位に高親和性を有するペプチド配列を探索し、その配列ペプチドを合成(創製)する。その開発ペプチドを薄層担体に申請者考案の新規手法(N末端ペプチドの選択的化学修飾法)により固定化することにより、タンパク質を直接分離可能なTLCシステムの開発を目指す。
1825 アミノ酸および低分子量ペプチド解析プロトコールの開発 真木 俊英 長崎大学 藤原 雄介 長崎大学 病変の迅速なマーカー探索などのために、効率的で質の高いアミノ酸および低分子ペプチドの定性・定量分析法の開発が求められている。本研究では、これまでに開発した、質量分析のための光開裂性イオン化標識剤(特許出願中)を利用して、迅速に、アミノ酸およびペプチドの定性・定量を行うための解析プロトコールの確立を目指す。
1874 細胞表面タンパク質特異的プロテオーム解析用蛍光標識キットの実用化 榊原 陽一 宮崎大学 竹下 義隆 (財)宮崎県産業支援財団 プロテオーム解析においてプロテオームを比較的簡便に解析する方法として二次元電気泳動が知られるが、感度や解析対象が限定されるなどの短所があり技術的なブレークスルーが待ち望まれる。本研究では、従来の全タンパク質を標的とする発現解析から、特徴的な対象のみに絞り込むフォーカスドプロテオーム解析に対応するために、細胞表面タンパク質のみを特異的に解析するための蛍光標識キットの実用化を目指した研究を実施する。
1880 人工抗体ライブラリーを用いたRNA抗体の単離 剣持 直哉 宮崎大学 新城 裕司 宮崎大学 タンパク質に翻訳されないノンコーディングRNA(ncRNA)が生体内で多数見つかり、その生理作用に大きな関心が寄せられている。また、ヒト疾患との関連も示唆されており医薬品開発の標的としても有望である。本課題では、これらRNAに対する抗体(RNA抗体)を人工抗体ライブラリーをから単離する技術の開発を行う。得られた抗体は、医療や基礎研究分野におけるRNA検出・機能解析の重要なツールとして活用が期待される。
13(B) アルツハイマー病経口ワクチンのための植物由来天然物アジュバントの開発 吉田 泰二 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター 児島 清 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター アルツハイマー病(AD)の治療・予防法として、アミロイドβペプチド(Aβ)注射によりAβを脳内から除去するワクチン療法が提案されたが、炎症反応等の副作用が認められた。Aβ含有遺伝子組換え植物由来経口ワクチンは副作用が起こる可能性が少ないと考えられるが、アジュバントとしてコレラトキシンB サブユニット(CTB)の添加が必要とされる。このCTB は無毒であるが、ヒトへの投与は認められていない。本研究では、植物由来天然物アジュバントを見出し、CTB 無添加による安全で効果のあるAD 経口ワクチンを開発する。

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 その他(ライフサイエンス):44件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
51 節足動物における病原体コントロール用生菌剤の開発 嘉糠 洋陸 帯広畜産大学 田中 一郎 帯広畜産大学 マラリアなどの寄生虫性疾患は、蚊などの節足動物によって吸血を介し、家畜や人間に媒介される。節足動物の中腸は、それらの病原体が増殖・分化する上で重要な器官である。本研究では、マラリア媒介蚊の中腸内から研究者らが同定した好気性細菌を用いて、本菌が有する病原体増殖・分化の阻害効果を改変および活用することによって、節足動物による病原体伝播を制御することが可能な、新しいコンセプトの生菌剤開発を目指す。
52 肥育牛用バイオマス飼料の開発と応用 日高 智 帯広畜産大学 田中 一郎 帯広畜産大学 北海道内で年間10万t産出され、水分含量の多いポテトパルプを肉用牛用の飼料として通年利用できるように、フスマなどの低水分のバイオマスと混合して低水分バイオマス発酵飼料を調製する。これを肥育牛用飼料として配合飼料に替えてホルスタイン種去勢肥育牛に3カ月間給与し、肉量・肉質に及ぼす影響を検討する。
54 乳牛におけるβ-カロテンの卵巣機能および肝機能への効果の解明と酪農現場への応用 川島 千帆 帯広畜産大学 田中 一郎 帯広畜産大学 近年、乳牛の高泌乳化が進む一方で、繁殖性低下が問題になっている。これまでに研究者は分娩後の卵巣機能回復には、肝臓で産生されるインスリン様成長因子T(IGF-1)やβ-カロテンが関与し、分娩前のβ-カロテン給与は卵巣機能回復促進に加え、分娩後に必ず起こるIGF-1低下を軽減することを示した。本研究では、β-カロテンの卵巣および肝臓への作用のメカニズムを明らかにし、酪農現場での適切な活用法を構築する。
55 血液及びマダニ検体から小型ピロプラズマ原虫を検出するイムノクロマト法の開発 河津 信一郎 帯広畜産大学 田中 一郎 帯広畜産大学 ウシ小型ピロプラズマ病は、全国の牧野で発生し、放牧衛生上重要なマダニ媒介性の感染症で、その食料生産に与える影響は少なくない。一方、その野外診断については、原虫表在性主要タンパク質を標的とする診断法の試験開発が進められている。そこで本研究では、ウシおよびマダニでの原虫感染状況の双方をモニターする手法として、同原虫タンパク質を標的とする迅速診断イムノクロマト法を開発することを目的とする。
57 牛白血病発症牛の早期診断摘発法の開発と応用 猪熊 壽 帯広畜産大学 田中 一郎 帯広畜産大学 牛白血病発症マーカーとして血清チミジンキナーゼ(STK)活性が有用であることが明らかとなったが、現測定法は放射免疫法であり、一部特定施設でしか測定できない。本課題では牛のSTK活性を酵素免疫法により簡便・迅速に測定する方法を開発し、牛白血病発症牛の早期診断に応用することが目的である。生成物チミジル酸に対する抗体を作成することにより、チミジル酸定量のためのサンドイッチ酵素結合免疫吸着法を確立する。
61 木本性植物の香りのブランド化に関する研究 妙田 貴生 東京農業大学 西澤 信 東京農業大学 北海道の湿原に広く分布する木本性の植物ヤチヤナギ(Myrica gale L.)には強い芳香があり、リラクゼーション効果などの機能性が示唆されている。本研究は、北海道の香りのブランド化を目指してヤチヤナギの芳香成分に着目し、その機能性を解明して、有用な製品の開発へつなげるものである。
80 プロテアソームを分子標的とする新規制がん薬の開発 周東 智 北海道大学 伊藤 征也 (財)北海道科学技術総合振興センター プロテアソーム阻害活性を有する天然物ベラクトシンA(IC50 = 304 nM)の構造をもとに、先に20倍活性が強いビニルシス類縁体(IC50 = 15 nM)を見出した。これをリードとして、IC50ががんモデル動物に対して有効な化合物を創出し、制がん薬としての基礎的な評価を実施する。以上より、制がん薬としての製品化に向けた構造最適化に供する高活性類延体(新規制がん化合物)を獲得する。
170 網羅的ウイルスRNA単離法を利用した花きウイルス病害診断アレイの開発 小林 括平 (財)岩手生物工学研究センター 勝部 和則 (財)岩手生物工学研究センター cDNAアレイを用いて複数のウイルスを一括診断する場合、標識試料の作製には一般に個々のウイルス特異的な増幅法が用いられ、コスト高となっている。RNAウイルスのゲノムまたは複製中間体のdsRNAを効率的に単離し、網羅的逆転写、増幅、塩基配列決定によって、単一の試験でウイルスを網羅的に同定する方法を開発した。本研究では同法をアレイ検出用標識試料調製に応用し、花きにおける病原ウイルスcDNAアレイを用いた網羅的診断法を開発する。
179 イチゴ一季成り性品種の夏秋期安定生産に向けた連続出蕾技術の確立 佐藤 弘 岩手県農業研究センター 古川 勉 岩手県農業研究センター 業務用イチゴの国内生産量は7月〜11月に少なく、ほとんどを輸入に依存している。この時期、国内でも四季成り性品種を用いた業務用イチゴの生産が本格化したことから、実需者は国産にシフトしつつある。しかし、本品種は食味が劣るため、その課題解決が強く望まれている。研究代表者は食味に優れるが夏秋期生産が困難な一季成り性品種を用いて、この課題を解決できる知見を得ており、この知見を基に、夏秋期の安定生産に向けた実用技術を確立する。
180 トマトの生産性向上を可能とする3段摘心新栽培様式の確立 藤尾 拓也 岩手県農業研究センター 古川 勉 岩手県農業研究センター 本県のトマトの夏秋作型では多段栽培が主流であるが、収穫が8月に集中し秋期収量が低いことや、高度な栽培技術を要するため生産者間の収量較差が大きく、収量が低い現状にある。これに対し3段摘心栽培では栽培技術の平準化や生産安定性に優れるが、夏秋作型では年2回の作付が限界で土地生産性が低い。このため、新栽培様式を開発し、作付回数の増加による新たな多収技術として実用化に向けた最適な栽培条件を明らかにする。
187 児童および成人の運動能力の向上を支援するプログラムと計測法の開発 大川井 宏明 岩手大学 酒井原 啓人 岩手大学 【目的】近年、運動不足等による児童の運動能力の低下が懸念されているほか、高齢者にあっては日常生活動作の能力低下に伴う骨折等が社会問題化している。本研究では、発育期にある児童の運動能力の向上を、老化が進行中にある高齢者の運動機能の維持を目的とした新たなプログラムと客観的計測法を開発する。
【実施内容】①日常行ない得る簡易的運動プログラムをつくり、②その運動機能に対する影響を評価する計測法を確立する。
207 DNA鑑定技術による放流用ナマコ標識法の実用化に向けた開発 奥村 誠一 北里大学 及川 善裕 北里大学 ナマコはあらゆる物理的標識を離脱するため、魚類・貝類のような放流個体への物理的標識に基づく放流効果の評価は不可能であり、このことが放流事業を営む現場で大きな問題となっている。近年発達したマイクロサテライトDNA分析法は、いわゆるDNA鑑定技術であり、優れた個体識別法である。本研究は、これを標識とした放流事業の実用化に資することを目標とする。
210 ウイロイド感染株の治療によるキクの無病苗生産 瀬尾 直美 宮城県農業・園芸総合研究所 田村 光彦 独立行政法人科学技術振興機構 キクは、長年採穂による栄養繁殖を続けているため、ウイルスやウイロイドを保持していることが多い。ウイルスは茎頂培養により除去できるが、ウイロイドは茎頂組織に侵入するため、除去が困難である。そこで、ウイロイドの被害を回避するため、保有する特許技術等を活用して効率的にウイロイド無病株を作出し、無病苗生産を可能とする技術を開発する。
378 ジベレリン拮抗作用を有する新規植物生長調節剤の開発と利用 山口 五十麿 前橋工科大学 塚原 信孝 前橋工科大学 Gibberella fujikuroiの培養液から大量に得られるジベレリン活性を持たないGA13あるいは活性型のGA3を出発原料として、A環あるいはD環、あるいはその両者に修飾を加え、ジベレリン受容体GID1に結合するものの、ジベレリン活性を示さず、植物体内のジベレリンと拮抗的に作用し、植物の成長を抑制する矮化作用を示す新規な植物生長調節剤をスクリーニングし、有効利用法を探る。
398 機能化アミノ酸を組み込んだペプチドアプタマー合成法の確立 伊藤 嘉浩 独立行政法人理化学研究所 大谷 武 独立行政法人理化学研究所 非天然アミノ酸を含有するペプチド・アプタマーの調製法の確立ならびに規格化を行う。特に、これまでに我々が開発してきた安定な複合体を形成するリボソーム・ディスプレイ法を機械的に自動化できることを目指し、実験条件の規格化を行う。この技術の完成により、これまで抗体が用いられてきた既存の分析、診断、医薬などの主要なバイオ産業分野に革命的な変化をもたらすことが期待できる。
453 水の気化熱を利用した走査型電子顕微鏡用凍結乾燥装置の開発 桑田 正彦 創価大学 中江 博之 タマティーエルオー株式会社 生物試料を水に浸漬して減圧することにより、水の気化熱を利用して試料を凍結、さらに昇華乾燥まで連続して行う走査型電子顕微鏡(SEM)用試料凍結乾燥装置を開発する。これにより、液体窒素、有機溶媒や高圧二酸化炭素を使用せず、また、危険な薬品を使用した化学固定や脱水処理なしに、水のみを使用して安全かつ短時間に標本作製が可能となる。困難であった含水率が高く表皮の柔らかい試料を汎用SEMで観察可能とする。
612 インクジェット方式によるドラッグ・デリバリー・システム作成装置の開発 中村 真人 富山大学 岩瀬 洋一 富山大学 ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)は、薬剤の放出制御・体内分布制御を行い薬剤の治療効果を高め副作用を減らす次世代の薬剤治療技術である。申請者はインクジェット技術で生体材料の均一微粒子を作製する技術を開発してきた。本研究では、この技術を応用したDDS作製装置の開発を目指し、そのための基礎的技術として、インクジェット法に適したDDS基材を探索し、実際の薬剤・生理活性物質を加えた均一なDDS粒子の試作と評価検討を行なう。
635 言語聴覚障害児の訓練用文章カード作成に関する開発研究 能登谷 晶子 金沢大学 長江 英夫 金沢大学 ①正常発達幼児が通園している幼稚園・保育園で利用する絵本等から幼児期に理解できる日本語の文型を年齢毎に調査する。②正常発達をしている幼稚園児・保育園児の発話から日本語の基本的文型を年齢毎に調査する。③研究者が指導している言語聴覚障害児の指導経過から障害児に利用できる文章形態を調査する。④正常児と障害幼児の調査結果から試案文章カードを作成し、試行し、改良点を確認する。最終的には言語聴覚障害児向けの文章訓練用カードの作成・発売をめざす。
763 効率的突然変異育種による優良変異系統の作出 小枝 剛 岐阜県生物工学研究所 前田 喜朗 独立行政法人科学技術振興機構 岐阜県の鉢花は販売単価の低下により、経営が非常に厳しい状況に置かれている。こうした中、鉢花生産者からは、葉形・葉色および花色等に新しい特徴を持つ、これまでにない形質を持った新品種の育成が求められている。そこで、鉢花であるフランネルフラワー、スパティフィラムおよびシクラメンの組織培養物(カルス)に重イオンビームを照射し、作出した突然変異体の特徴および変異形質の安定性を把握するとともに突然変異系統から新品種候補となる優良系統を選抜する。
836 セレン原子を有する人工糖鎖の合成と酵素耐性の評価 安藤 弘宗 岐阜大学 杉本 勝之 特定非営利活動法人バイオものづくり中部 細胞表面の糖鎖は、がん転移、ウィルス細菌感染、炎症反応などの疾患および免疫現象に重要な働きを担う分子であり、糖鎖機能を基盤とした医薬開発が活発化している。糖鎖の医薬応用において、生体内での酵素による糖鎖の分解を防御することが大きな課題として残されている。本研究では、酵素による糖鎖の分解を抑制するために糖鎖分子中にセレン原子を導入した人工糖鎖を創製し、分解酵素に対する耐久性の高い糖鎖を探索する。
842 ヒトと類似した皮膚を持つモデル動物の樹立 飯田 真智子 中部大学 古田 昭男 中部大学 代表研究者らは、ヒトと類似した皮膚構造をもつマウスの開発に成功した。ヒト皮膚を用いた解析には、試験数や試験法に限界があるため、ヒトに近い皮膚モデルマウスが確立されれば、皮膚疾患のメカニズムやその治療法が飛躍的に進歩する。本研究では、様々な刺激に対する本マウスの皮膚細胞の応答性がヒトと類似しているかどうかを調べ、ヒト皮膚モデルとしての有用性を確立する。
890 ラセミ化しない安全なサリドマイドの開発 柴田 哲男 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 サリドマイドの分子は、不斉中心にフタロイル基を持つR体と、その鏡像であるS体によって構成されている。ラセミ体の服用により、催奇形性を併発する重篤な副作用が見られるため、催奇形性のないR体を薬剤として使用する必要がある。しかしながら、R体のみで構成されるサリドマイドであっても、投与後、体内でラセミ化しS体が生じてしまうため、たとえ光学活性体を使用しても副作用を回避できないという問題点が残っている。本課題では、ラセミ化しないサリドマイドを開発する。
990 創薬研究用ゼブラフィッシュ飼育水槽システムの開発研究 島田 康人 三重大学 加藤 貴也 三重大学 近年、創薬研究の新しいモデル動物として小型魚類ゼブラフィッシュが脚光を浴びている。ゼブラフィッシュはこれまで発生学の分野で活用されてきたモデル動物であるため、既存の飼育水槽システムでは、創薬研究分野で使用するには大きな問題がある。本研究では、医薬品投与・摂食量測定・行動解析・運動負荷・代謝量測定の5つの項目を評価できる創薬研究用ゼブラフィッシュ飼育システムの開発を目的とする。
1019 天然水域の生産力を利用したセタシジミ稚貝の中間育成技術の開発 久米 弘人 滋賀県水産試験場 大江 孝二 滋賀県水産試験場 放流効果の高いセタシジミ大型種苗の低コスト、省力、安定大量生産を目的として、天然水域の生産力を活用した中間育成技術を開発する。浮遊式育成カゴと垂下式育成カゴを製作し、琵琶湖およびその周辺内湖に設置して、初期育成後のセタシジミ稚貝の中間育成を試みる。併せて、定期的に水質調査等を行い、中間育成に適した水域を把握する。
1129 精子幹細胞による疾患モデルラットの作成へ向けたラット系統の検討 篠原 美都 京都大学 樋口 修司 京都大学 遺伝子改変動物は従来、卵子・初期胚を使った技術が中心に使われきたが、マウス以外の種では排卵数が少ないことやES細胞を用いた技術が使えないことから、実用的でない。研究代表者らは精子幹細胞の長期培養系を用いて遺伝子ノックアウト個体の作成に成功し、次の目標としてラットへの技術展開を目指している。本研究は様々なラット系統について精子幹細胞培養や移植の効率を比較し、遺伝子改変個体作成に適した系統を検索する。
1148 糖尿病合併症やがんの発症を予防する食品因子の評価系の開発 伊藤 友子 京都府立医科大学 羽室 淳爾 京都府立医科大学 2007年国民健康・栄養調査の結果で約2210万人と推計された糖尿病患者のうち、治療患者の合併症に罹っている割合は約7割以上を占め、合併症への進行はもはや命に関わる。現時点では糖尿病の完治はほとんど望めないとされ、合併症の発症予防が不可欠である。代表研究者は独自に開発した糖尿病合併症発症に関与するマーカーを指標に、胃粘膜および腸上皮細胞を利用して食品成分中より本合併症発症やがん発症を防御する因子を探索する簡便な評価系の確立を目指す。本課題達成と同時に、得られた成果をもとに、食品因子の生体内での機能を適切に評価するための系を確立する。
1150 手術結果予測機能を備える4次元画像による低侵襲手術支援システムの開発 浮村 理 京都府立医科大学 羽室 淳爾 京都府立医科大学 既存の内視鏡拡張現実感手術支援技術は、脳脊髄神経・心臓血管内操作など、適応領域が限定され、将来結果予測機能は備えておらず、また、静的なもので対象が移動すると空間的位置あわせを必要とした。本研究では、革新的なBody-GPSを導入するので、4次元的な重畳表示(手術継続中も動的に3次元画像が連動)が可能である。しかも外科領域の全手術で利用でき、新機能として結果予測機能を備える。
1206 体内ストレス解消を目指したリポソーム固定化膜モジュールの開発 馬越 大 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 アルツハイマー症や腎不全疾患など、ストレスを端緒とした疾病に悩まされる。特に、腎不全患者の透析処理に利用される既存人工腎臓の“生体適合性”は十分とは言えず、それを解決するために“生体の機能”に立ち返った人工腎臓の研究が必要である。本研究は、ストレス負荷が抑制/解消する次世代型人工臓器の創成を目指す。Break-throughのための“鍵”材料として、リポソーム固定化膜モジュールの開発に限定して検討する。
1278 犬のリンパ腫の治療に向けて〜新たな腫瘍マーカー測定系の開発〜 秋吉 秀保 大阪府立大学 金澤 廣継 大阪府立大学 本邦では核家族化の進行に伴い伴侶動物としての犬の飼育頭数は1300万頭に上ると推計されている。現在、人と同様に犬でも死亡原因の約半数が悪性腫瘍によるものと考えられており、家族の一員としてのペットの重要性が増している事から犬の腫瘍の治療に対する社会的ニーズは高まっている。犬に発生する悪性腫瘍のなかでもリンパ腫の発生率は7〜24%であるという報告があり、他の腫瘍と比較し発生率は高い。そこで本研究課題では、世界に先駆けて犬のリンパ腫における早期診断・治療効果判定のための腫瘍マーカーを開発することを目的とする。
1475 かき蓄養による風味改善技術の開発 工藤 孝也 広島県立総合技術研究所 岡崎 尚 広島県立総合技術研究所 一般的に、フライ等の加工用のかきは風味の弱いもの、殻付きおよび生食用かきは、風味の強いものが好まれる。また機能性を謳ったものでは、タウリンやグリコーゲン含量の高いもののニーズが高い。このようなニーズに応えるため、かきの風味を改善する技術を開発する。
1503 画期的植物生産性向上技術の開発 高橋 美佐 広島大学 榧木 高男 広島大学 申請者は大気中の窒素酸化物(NOx)が植物のバイオマス生産を触媒的に増加させることを世界に先駆けて発見し、この効果をバイタリゼーションと命名した。バイタリゼーションは各種の植物に認められる。主要作物についてその原因遺伝子をとらえて植物育種に利用すれば、省資源で環境負荷もなく、生産性を高めうる夢の技術が実現できる。本研究は、シロイヌナズナを用いて、バイタリゼーションの原因遺伝子を特定して、画期的植物生産性向上技術の開発をめざす。
1523 ユリウイルス病の被害を防止する弱毒ウイルスの研究 村本 和之 山口県農林総合技術センター 殿岡 裕樹 山口大学 山口県が育成した小輪系オリジナルユリを産地に普及するためには、健全な球根を安定的、低価格で生産者に供給することが必要であるが、ユリの球根増殖の過程においてウイルス感染が大きな障害となっている。本課題では、弱毒ウイルスを利用したウイルス防除技術を確立するため、ユリモットルウイルス(LMoV)の弱毒ウイルスの早期判別技術を開発し、その技術を利用して有効な弱毒ウイルスを選抜する。
1598 未利用植物資源の形質転換体の作出と機能性評価 西川 和孝 鳴門教育大学 木下 凱文 鳴門教育大学 未利用植物資源のハナタツナミソウには、グルコースの誘導糖(ウロン酸)であるグルクロン酸が結合した希少フラボノイドを含んでいる。そこで本研究では、今後不足することが予測される生薬オウゴンの代替物として、安定的供給のためにハナタツナミソウの培養系を確立させるとともにその二次代謝物質を調査する。さらに、応用研究として新規化合物の生合成を目的とした形質転換体の作出及び高機能性評価を行う。
1634 デルフィニウムの省力的採種を可能にする遺伝子の利用技術の開発 岡本 充智 愛媛県農林水産研究所 栗坂 信之 愛媛県農林水産研究所 作物の雄性不稔形質は、採種の省力化や育種の効率化、開花期間の延長に影響するため、農業上重要な特性である。これまでに、代表研究者はデルフィニウムの雄性不稔形質を利用し、自家受粉による落花の発生しない系統を育成している。そこで、本試験ではこの系統の遺伝形質を分子生物学的に解析することを目的とする。
1636 牛初乳乳清由来の新規創傷治療用製品の開発 小池 正充 愛媛県農林水産研究所 藤岡 一彦 愛媛県農林水産研究所 初乳には、抗菌効果や細胞増殖効果を持つ機能性成分が多く含有することが知られているが、飲用乳としての出荷は認められていないため、子牛の哺乳に用いる以外、その多くは廃棄処理されている。そこで本課題では、ホルスタイン種乳用牛から得られた初乳を乳清に分離し、その機能性成分を解析するとともに、乳清の細菌に対する抗・制菌試験や培養細胞を用いた増殖試験などを行うことで、牛初乳乳清の創傷治癒効果を実験室レベルで検証し、初乳の新たな用途開発を目指す。
1638 アジュバントを用いた世界初の魚類寄生虫ワクチンの開発 北村 真一 愛媛大学 神野 俊一郎 愛媛大学 ヒラメは、アジアで重要な養殖対象魚種となっている。しかし、寄生虫病の一つであるスクーチカ症が本養殖に甚大な被害をもたらしている。我々はこれまでに、本症に対して、不活化ワクチンが有効であることを明らかにした。本ワクチンの商品化のためには、ワクチン効果をさらに上げることが必要である。そこで、本課題では、アジュバントを用いて本ワクチンの有効率の改善を試みるとともに、安価なワクチンを製造するための基礎研究として新規虫体培養法の確立を目的とする。
1826 紫外線防護効果の高い化粧品添加物の高速スクリーニング技術の開発 荻 朋男 長崎大学 藤原 雄介 長崎大学 紫外性防護効果の高い化粧品添加用化合物の高速スクリーニング技術を新たに開発する。本研究者らがこれまでに開発した、蛍光比色(non-RI)によるDNA修復合成活性測定法(EdUアッセイ-論文発表)を応用し、スクリーニング対象となる天然物等の修復賦活能、紫外線DNA損傷防護効果、細胞毒性等を同時/網羅的に測定するシステムを構築する。最終的には開発されたシステムを運用し、有用な化粧品添加物を新たに取得することを目標とする。
1876 超高感度マルチ発光ELISA法を応用した翻訳後修飾SUMO化多重同時評価システムの構築 西片 一朗 宮崎大学 坂東島 直人 宮崎大学 (辞退)
1907 海藻を用いたヘアケア用素材の開発 上原 真希子 沖縄県工業技術センター 宮里 大八 琉球大学 人の毛髪は紫外線や洗髪、ブラッシングやカラーリングなど日常生活においてダメージを受け続けていることから、ほとんどの年代で関心がある。一方、最近の健康・安全志向から口にするものや肌に触れるものは天然由来のものが好まれる傾向にあり、医薬部外品や化粧品などにも天然素材が用いられている。本研究ではこのような天然素材の1つである海藻を用い、ダメージを受けた毛髪に対する改善効果を明らかにし、ヘアケア用素材の開発を目指す。
14(B) サケ未利用資源を高度有効活用したニホンウナギ稚仔魚の増養殖技術の開発 森山 俊介 北里大学 佐々木 守衛 (財)いわて産業振興センター ニホンウナギの養殖は未だ天然資源に依存し、また、養殖ウナギの多くはオス化し、成長に著しい個体差を生じる。それゆえ現在、ウナギの資源量の回復と生産性の向上に資する種苗生産および成長促進技術の開発が強く求められている。本研究は、サケ頭部の未利用資源から調製した成長促進活性成分およびメス化誘発成分がウナギ稚魚の成長促進に有効である研究成果に基づいて、健康で大型のウナギ仔稚魚を育成する成長促進技術の開発を図る。
36(B) 生体分子機能を損なわない抗体精製用アフィニティーカラムの開発 金澤 秀子 慶應義塾大学 湯浅 洋二郎 慶應義塾大学 我々が開発した機能性高分子を用いた分離担体は、従来法と異なり、タンパク変性させる有機溶媒や高塩濃度を必要とせず生理活性を損なうことなく分離可能であり、溶媒コストを大幅に削減し、廃液回収が不要となる。HPLC充填剤として既に実用化しているが、本課題では、さらに発展させ需要の多いバイオプロダクト用精製カラムを実用化する。ゲノム創薬で重要性が増大している抗体のアフィニティー精製など医療分野への応用が期待される。
88(B) より多様なウイルスに耐性を有する農作物の開発 世良 貴史 京都大学 内田 逸郎 独立行政法人科学技術振興機構 ウイルス感染による農作物の被害は、日本だけでなく世界においても甚大であり、感染に強い農作物の開発が強く求められている。各アグリ企業により、ブリーディング等を用いた耐性品種の改良がなされてきているが、有効な手段とは成り得ていない。ウイルスが侵入しても、そのウイルス複製を阻害することにより、ウイルスに全く感染しない植物の創出に成功している。本研究では、より多様なウイルス感染に対応できる、新たな手法の確立を目指す。
125(B) 最高級魚”クエ”のマイクロサテライトDNA解析による親魚選抜技術の開発 山下 浩史 愛媛県農林水産研究所 滝本 真一 愛媛県農林水産研究所 クエは最高級魚として、市場価格が高いことからマハタとならび養殖を希望する漁業者が多いが、現段階では種苗の質(抗病性・成長)が不安定なため、養殖対象種として定着していない。本研究では、“病気に強く、成長が良い” 優良系統のオス親魚を選抜する技術の開発を目的とする。手法は1尾のメス親魚の卵に複数のオス親魚の精子を交配して生産した稚魚を同一条件で飼育し、感染試験や飼育試験を行った後、高抗病性や高成長を示した稚魚のオス親魚をマイクロサテライトDNA解析による親子鑑別により特定するというものである。
139(B) 下痢原性大腸菌の病原毒性の強さの蛋白化学的な手法による評価 和田 昭裕 長崎大学 藤原 雄介 長崎大学 本研究は、H20年度の研究の結果として、当初の計画にあった本手法の最大の欠点である、病原菌特定のための煩雑さを大きく改善し、従来の遺伝子手法による病原体の特定方法と同程度の手間で、特定できる可能性のある方法を見出した。そこで本研究では、この成果の実証を行う。具体的には、培養上清の電気泳動パターンの解析のみで下痢原因となる菌株を特定することを目標とし、またガングリオシドをツールとして病原因子のパターンを解析することにより、毒性の強さの検出診断方法の開発を行う。

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