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平成20年度シーズ発掘試験 研究概要一覧
(生活・社会・環境分野、医療・福祉分野)


 エネルギー:36件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
76 超高密度の発熱体の創製−マイクロフレームによる任意形状燃焼面の実現− 中村 祐二 北海道大学 堀田 大介 北海道大学 ニードル型半導体ダイヤモンド電子源の高電圧パルス印加時における電子放出特性を高真空下で評価し、アプリケーション展開に必要な基礎データを取得する。電界放出型電子源では表面の影響を大きく受ける事が知られており、電子源評価装置にイオンポンプを増設し10-7Pa以上の高真空条件下におけるダイヤモンド電子源の電子放出特性、安定性特性評価を行う。
101 イオン交換膜ならびに電極板を用いた木材糖化液からの硫酸回収技術の開発 檜山 亮 北海道立林産試験場 斎藤 直人 北海道立林産試験場 木質資源をバイオエタノール等へ変換する技術で最も実用化に近い濃硫酸木材糖化法において、製造コスト削減の鍵となる硫酸と糖の混合液からの硫酸分離回収技術について、イオン交換膜による透析に独自の手法を組み合わせて、既存分離法よりも分離率と経済性が良い手法の開発を目指す。
110 有機光触媒の高活性構造化 阿部 敏之 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 広範な可視光エネルギーを利用できる有機材料を用いて、高い活性を有する光触媒界面を創出する。半導体特性を有する有機材料を用いて種々のフィルムを作製し、フィルムの作製条件・方法等を変更しながら、高活性光触媒機能の創出を図る。得られた有機光触媒の特性試験・評価は光電気化学法により、動的な視点に立脚して実施する。
132 スズ合金薄膜負極/集電体一体化技術を用いるリチウム二次電池の高性能化 宇井 幸一 岩手大学 中戸川 明広 岩手大学 リチウム二次電池の利用分野は、各種携帯用機器に留まらず、電動工具、系統連系用、もしくは車載用へと広がりつつあるが、機器側の要求を十分に満たすに至っておらず、さらなる高容量化が求められている。ここ数年、従来の黒鉛系負極と比べ、さらなる高容量化が可能なスズ合金が注目されている。しかし、充電(Li吸蔵)−放電(Li放出)時の体積膨張・収縮により、スズ合金にクラックが生成するため、集電体との間に電気的接触不良が発生し、サイクル特性の劣化を引き起こすという問題を有している。そこで本研究では、リチウム二次電池用負極の高性能化を目指し、スズ合金薄膜負極/集電体一体化技術を研究開発する。
181 世界最大の水蒸気吸着容量をゆするヒートポンプ用「多孔質炭素」の開発 西原 洋知 東北大学 芝山 多香子 東北大学 本試験では、従来の水蒸気吸着材の2 倍以上の水蒸気吸着容量をもつ、ヒートポンプ用「多孔質炭素」を開発することを目的とする。具体的には、鋳型法を用いて合成される高容量の多孔質炭素に異元素ドープ、親水性官能基導入、細孔径微小化を行い、これらの親水性増加に及ぼす影響を調べる。一方、こういった操作は容量低下を招く恐れがあるため、容量の変化についても調べる。それぞれの操作について、親水性と高容量を両立するための最適条件を明らかにする。
183 超高圧パルス噴霧燃焼によるCO2とNOxの同時低減 青木 秀之 東北大学 村上 雄一 仙台市産業振興事業団 最近、原油高のため低品位燃料の燃焼利用が増大しているが、燃焼効率の低下や環境汚染物質排出量の増加が懸念されている。この問題の解決のためには、加熱炉や乾燥炉等で行われる燃焼加熱操作における高効率低環境負荷燃焼が必要となる。本研究では超高圧パルス噴霧ノズルによる噴霧特性に着目し、噴霧燃焼実験を行い、強力な噴霧による燃焼効率の増大や、時空間的な温度・濃度の積極制御による環境汚染物質低減を目指す。
184 自動車排気熱発電用熱電変換材料の押出しプロセスの開発 陳 中春 東北大学 峠 竹彌 株式会社インテリジェント・コスモス研究機構 自動車排気熱や産業分野から排出されている未利用廃熱を電力に有効に変換するために、緻密・健全かつ高熱電性能を有するZn4Sb3単相材の新しい加工プロセスを開発することを目的とする。具体的には、粉末の「反応−押出しプロセス」を提案し、押出しの1工程でZnとSb粉末間の反応によるZn4Sb3熱電化合物の合成、および塑性加工による形状付与と緻密化を同時に実現し、押出し成形条件の最適化による熱電性能の向上およびプロセスの安定化を目指す。
199 泥炭と破砕木片の混合による新たな燃料の開発 対馬 雅己 秋田工業高等専門学校 三浦 喜一 あきた企業活性化センター 秋田県内の泥炭層は雄物川流域や八郎潟周辺等に大量に堆積している。近年石油の高騰や二酸化炭素の排出量の規制等から再度泥炭を見直し、これに付加価値を付け、大量に堆積している泥炭資源を再活用することが必要である。一方の材料である木片は、間伐材の再利用や木材の製材に伴って必然的に排出され、秋田県は豊富である。本研究は地場産業の活性化の観点から、泥炭とこれに破砕した木片を混合し、泥炭ペレットを開発する。
227 イオン液体物理吸収法による二酸化炭素分離回収技術の開発 児玉 大輔 日本大学 松岡 義人 日本大学 本シーズ発掘試験では、酸化炭素を化学吸収させるのではなく、イオン液体に物理吸収させて分離回収する技術を開発する。二酸化炭素のイオン液体に対する溶解メカニズムを解明し、今まで得られた溶解度データに基づいて、ガス吸収特性に優れたイオン液体の開発を目指す。また、イオン液体と分子性液体からなる多成分系の混合液体にガスを作用させることで起こるマクロ相分離が、分離精製や濃縮に展開可能であるかどうか検証する。
269 次世代リチウムイオン二次電池の負極電極材料の開発 山内 悠輔 物質・材料研究機構 青野 正和 物質・材料研究機構 リオトロピック液晶中において金属イオンを析出させ、メソポーラス金属を合成する。本研究においては、次世代のリチウムイオン二次電池の負極電極材料への応用を目指し、Sn系メソポーラス合金の合成を行う。特に、両親媒性分子を設計し、分子集合体の大きさを制御し、メソ細孔の大きさと構造をコントロールする。
307 エタノール産生への未利用資源由来セルロース有効利用法の開発 戸井田 敏彦 千葉大学 小林 邦彦 千葉大学 光触媒、特にアスターゼ型の二酸化チタンを用いて、緩和な条件下米籾殻、竹、落花生外殻などの未利用セルロース原料から、バイオマスを用いたエタノール産生に供するためのグルコースを効率よく産生するための最適条件を決定し、セルロースからエタノールを産生するための工程を確立する。
331 実用化に向けたコストダウンを目的とする半導体量子ドット増感太陽電池の開発 沈 青 電気通信大学 権 素蘭 株式会社キャンパスクリエイト 本課題では、コストダウンを目的として、@増感剤として従来の高価なRu有機色素より安価なCdSe量子ドットを用いること、A対極として従来のFTOにスパッタリングした白金薄膜よりも、安価で性能が高いCu2S薄膜の適用、B従来の不規則性ナノ粒子系の代わりに、規則性ナノ構造TiO2電極を用いることで、安価かつ簡便な新規型半導体量子ドット増感太陽電池の研究開発を目指す。
404 貴金属の有効利用を指向した省エネルギー型電極作成法の開発 八木 政行 新潟大学 中津 普門 新潟大学 白金、金、ルテニウムなどの貴金属は、センサー、電解合成セル、電池および太陽電池など様々なデバイスの電極に利用されている。これらの貴金属は多くの場合、真空蒸着法やスパッタリング法により電極基板表面に析出される。しかし、これらの方法では、貴金属を無駄なく(ほぼ100%)利用することは原理的に困難であるだけでなく、大型装置を用いて多量のエネルギーを必要とする。本研究では、貴金属資源を有効に利用しかつ省エネルギー型の電極作成法を開発するとともに、従来電極に比べ安価で高性能な貴金属電極を提供する。
445 酸素酸化を利用した軽油の超深度脱硫プロセス実用化への技術開発 村田 聡 富山大学 岩瀬 洋一 富山大学 申請者は、遷移金属触媒−アルデヒド−酸素を用いて軽油の脱硫を行う新しい手法を開発しており、本研究では、この新規酸化脱硫法を実用化する上で課題となる流通法への展開に関する技術開発を行う。この脱硫法は、現在工業化されている水素化脱硫と比較すると、迅速に反応が進行し、危険な試薬を使用せず、温和な条件で超クリーン軽油を得ることができるという大きな利点を持っている。検討は、主として触媒の開発(活性種や担体の探索)および反応条件を中心に行う予定である。
455 局所接触型マイクロ波加熱法を用いた噴霧生成機構の開発と応用 榎本 啓士 金沢大学 分部 博 金沢大学 輻射現象を利用するマイクロ波による加熱方式は、電熱線などを用いた熱伝達現象による加熱方式では困難であった微小体積・微小時間での熱量制御が容易に可能となるので、この機構を自動車原動機用燃料噴射装置(フューエルインジェクタ)に代表される液体微粒化装置に応用し、微粒化促進を目指した技術の確立と装置開発のための試験を行う。
458 世界最高レベルの耐久性を持つ有機薄膜太陽電池の開発 高橋 光信 金沢大学 五十嵐 泰蔵 有限会社金沢大学ティ・エル・オー 我々はこれまでに、素子面積1cm2の高耐久性逆型バルクへテロ接合型有機薄膜太陽電池の開発に注力してきた。しかしながら、特に電極材料である酸化チタン薄膜の大きな電気抵抗のために、エネルギー変換効率(η)が2.5%程度とまだ小さい。本申請において、逆型バルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池用として最適な酸化チタン薄膜を開発して、ηが3%以上の、実用化も視野に入るような高効率素子の実現を目指す。
504 色素増感太陽電池用酸化チタン電極の形成技術の開発 佐藤 哲也 山梨大学 鈴木 通夫 株式会社山梨ティー・エル・オー 色素増感太陽電池(DSC)用の酸化チタン(TiO2)薄膜を、低温合成法を用いて大面積基板上に均一に低コストで形成するプロセス技術に関するものである。TiO2 薄膜を約10μm 厚で製膜する技術の確立、および10cm 角サイズの非晶質TiO2 薄膜を均一に結晶化するための加熱装置の開発を通じ、ルテニウム錯体色素を用いた太陽電池セルを作製し、その有効性を検証するものである。
588 セラミックナノファイバーの大量合成技術を応用する新規キャパシタの開発 濱本 孝一 産業技術総合研究所 渡村 信治 産業技術総合研究所 金属塩溶液と高分子を混合したゲルを高電圧場においてエレクトロスピニングする手法により、電気電導性を有するペロブスカイト酸化物の機能性セラミックのナノ繊維を大量に合成する技術を開発している。本シーズ技術を利用したセラミックナノ繊維構造について、高比表面積と熱安定を生かした中0高温で利用可能な軽量かつ高充電容量の新規キャパシタ材料としての可能性を検証する。
596 石炭燃焼から発生するサブミクロンオーダーの粒子状浮遊物質低減剤の開発 二宮 善彦 中部大学 古田 昭男 中部大学 石炭燃焼からの粒子状浮遊物質(PM1)の発生量は、低品位石炭の使用に伴い増加傾向にある。電気集塵機は1μm程度の粒子の捕集効率が悪く、煙突からの微粒子の排出を抑えるためには、この大きさの粒子の発生を抑える必要がある。発生粒子の粒径制御を行うために、間伐材などを乾留して得られる木酢液をベースにした添加剤を開発し、さらにこの添加剤に脱硫機能をもたせることにより、脱硫・PM1の同時低減を目標に実施する。
610 ナノカーボンを利用した高容量Liイオン二次電池負極の開発 川崎 晋司 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 リチウムイオン二次電池は改良を重ね容量を少しずつ大きくしてきたが、既存材料での高容量化は限界に近づいている。実際、負極の実用材料はグラファイトであるが、すでに理論容量にほぼ達している。本研究はグラファイトに代わる高容量の負極材料を探索するため、さまざまな構造を有するナノカーボンを合成し、リチウム貯蔵特性を評価する。これにより高容量化に適した構造パラメータを見出し、負極の構造最適化を目指す。
752 機能変換酵素活用によるバイオエタノール高効率生産酵母の開発 小瀧 努 京都大学 年光 昭夫 京都大学 バイオマスの有効利用の一環としてバイオエタノールが注目さているが、食料価格高騰等の弊害が起きている。この問題の解決には、木質バイオマスなどの食料物質以外のバイオマスからのバイオエタノールの生産が必要である。本研究では、生物種としてはエタノール発酵で最も長い歴史を持っている酵母(S. cerevisiae)を用い、遺伝子組換・タンパク質工学的手法により酵素機能の高度化等を行い、木質バイオマスからの高効率エタノール生産系の実用化を目指す。
872 BDF製造プロセスにおける副生グリセリンの超音波による新規処理技術 坂東 博 大阪府立大学 亀井 政之 大阪府立大学 温暖化対策および化石資源枯渇に対する対策の一つであるバイオディーゼル燃料(BDF)の製造過程で発生するグリセリンは、反応性に乏しく価値の高い化学物質への適切な変換技術がない。そのためグリセンリンの廃棄処理がBDF製造コストを押し上げる一因となっている。本研究では、高温・高圧の化学反応場を生み出す超音波技術をグリセンリン処理に適用することにより、同物質を化学薬品原材料・燃料などの有価物に転換する技術開発を目的とする。
947 担子菌の物質変換能を利用したバイオリファイナリーの実現 岡本 賢治 鳥取大学 前田 尚良 鳥取大学 担子菌Lentinellus cochleatusにおいてエタノールやキシリトールへの効率的変換能力を見出した。デンプンやセルロースからも直接的にエタノール生産が可能なことから、環境調和型生産プロセスに有効と考える。食用や飼料作物と競合しないリグノセルロース資源を原料としたバイオ燃料生産システムの確立が急務である。本研究では、各種木質系バイオマスに対する発酵特性の検討を行い、多方面での展開が期待できるバイオリファイナリーの基盤構築を進める。
963 バイオディーゼルを高速1段製造する実用的触媒法の開発 押木 俊之 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 低炭素社会を見据えたクリーンエネルギー確保は、我が国に課せられた緊急課題である。本課題では、代表研究者が独自に発見した新規触媒系をバイオディーゼル(FAME)1段階製造法へ適用検討する。そして、現行法では原理的に実現できない実用的な高速製造法実現への目処をつける。
1005 低温領域で安定に作用する金、銀ナノ粒子触媒の開発 Galif Kutluk 広島大学 松井 亨景 広島大学 粒径が205nmの範囲におけるAuナノ粒子が低温域においてCOの酸化反応に高い活性効果を示しているが、自動車エンジンの定常作動温度ではAu粒子同士が凝集して失活するため、実用化に到っていない。本研究は高温におけるAu,Agなどの貴金属ナノ粒子同士の凝集を防止するため、ガス中蒸発法にて形成した金、銀ナノ粒子の表面にレーザーアブレーションにより生成した高融点金属(Ti,Ta,W)原子蒸気を固着させて、二元系ナノ粒子を形成させることにより、自動車エンジン低温領域でCO、HC除去する安定な触媒を開発する。
1039 低温域排熱回収発電のための環境低負荷スズ系熱電材料の開発 岸本 堅剛 山口大学 大城 和宣 有限会社山口ティー・エル・オー 室温〜200℃程度の排熱エネルギーを回収するのに好適な熱電材料を開発する。既存の低温域材料としてはビスマステルルが唯一であるが、環境物質アンチモン、セレンやテルルを主成分とするので、実用化は難しい。本課題では、その代替としてスズ化合物Mg2Snを基本とする低環境負荷材料を開発する。この材料は、熱電材料として具すべき電気的性能および熱的性能のうち、前者は既に比較的高い。課題は後者の改善である。熱伝導率低減を目指して、元素置換と原子充填の二つの手法を検討する。
1041 軽量・高容量な水素貯蔵材料の開発と応用 今村 速夫 山口大学 浜本 俊一 山口大学 マグネシウムの高い水素貯蔵能(MgH2: 7.6wt%)を生かして、MgH2をベースにしてボールミリング法によるナノ複合化を行うと、Mg系で問題となっている水素に対する反応性の低さや、水素の吸放出温度が高い欠点が改善できることを見出した。本課題では、高容量化が期待できるSiC/MgH2 などのMg系について、ナノ複合化によってMg水素化物を活性化して、車載用の貯蔵材料の実用化レベルである150℃以下の放出温度の達成を目指す。
1051 浸透圧発電用高水選択透過性モノリシックNPN積層荷電膜の開発 比嘉 充 山口大学 林 里織 有限会社山口ティー・エル・オー 浸透圧発電は海水と淡水を用いて高度差約300mに相当する圧力差を僅か長さ1m程度の膜モジュールで実現するため設備投資が少なく、低環境負荷で時間変動が少ないなどの長所がある。本研究では親水性高分子のポリビニルアルコールをベースにした正荷電層(P層)と負荷電層(N層)を多孔質膜の支持材上に交互積層後、不均一架橋構造を形成することで、高塩排除率、高水流束、耐膜汚染性、を有する浸透圧発電用モノリシックNPN積層荷電膜の開発を行う。
1091 マイクロ波―反応蒸留を用いたバイオデイーセル燃料の連続製造技術の検討 QUITAIN ARMANDO かがわ産業支援財団 加藤 俊作 かがわ産業支援財団 新興工業経済地域(中進国)を主体とした経済活動の活発化に伴い、原油を中心とした各種の原材料資源が急激に減少している。このような状況の中、クリーンな燃料としてバイオエネルギーが注目されている。その一つとして、動植物性油脂を原料にして製造されるバイオディーゼルがある。代表研究者らはマイクロ波を用いたバイオマスのエネルギー利用技術に関する研究を行っており、本提案ではマイクロ波加熱と反応蒸留を利用して、植物油からバイオディーゼル燃料の迅速な連続製造技術開発を検討する。
1103 光反応性液晶・高分子複合体からなる自律型太陽光制御デバイスの開発 荻原 昭文 高松工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 本課題では、光反応性液晶と高分子複合体からなる高屈折率な材料系を導入し、レーザ干渉露光を適用した光誘起相分離現象を生じさせることで微細な線幅を有する体積型格子構造を形成する。この体積型格子の回折機能を光制御に応用することで、可視から長波長域の範囲において、高い透過率と回折効率を有する光制御デバイスの開発を行う。
1164 ナノ構造組織制御による超伝導薄膜の特性向上 前田 敏彦 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 本研究では、自己磁場下で 100 万 A/cm2 を超える臨界電流密度 (Jc) を実現しているREBa2Cu3O7 (RE:Y 及び 希土類元素) 高温超伝導薄膜の高磁場下での特性向上に資する成膜プロセスを材料科学的手法により構築することを目的とする。成膜には Nd:YAG レーザの4倍高調波を用いた紫外光パルスレーザ蒸着法を用い、薄膜のナノスケール組織制御によりこれを実現する。
1190 金属硫化物を用いたロ−コスト燃料電池電極触媒の開発 清水 陽一 九州工業大学 田中 洋征 九州工業大学 固体高分子型燃料電池は、次世代分散型電源として注目されているが、現状では電極触媒に用いられる白金系触媒が高コストであり、実用化への大きな障害となっている。そこで、本研究では、耐久性に優れ、多彩な機能が期待される金属硫化物セラミックスに着目し、多成分系硫化物の合成、触媒のナノサイズ・高表面積化、反応機構解析等を行なうことで、金属硫化物系触媒の白金代替新規ローコスト・高活性電極材料の構築を目指す。
1210 ナノチタニア系無機プロトン伝導体の開発 松本 広重 九州大学 古川 勝彦 九州大学 本研究では、表面を酸で賦活処理したナノチタニアを利用し、熱的にも化学的にも、物理的にも安定なプロトン伝導体について検討する。いわば「無機材料版ナフィオン」とよべる、新しい燃料電池用電解質の創生を目指す。具体的には、緻密化、酸修飾の種類と方法を検討することにより、高い性能と安定性を兼ね備えたプロトン伝導体を開発する。
1291 エタノ―ルの酸化的改質反応を常温から駆動可能な触媒系の構築 永岡 勝俊 大分大学 安永 昌二 有限会社大分TLO これまでに還元したCeO2が常温で酸化され急激に発熱することを利用し、酸化的改質の常温駆動が可能となると考えた。実際,H2還元したRh/CeO2に常温でn-C4H10と空気の混合ガスを流通したところ、数秒後に触媒が赤熱し水素の生成も見られた。本研究では、この研究成果をエタノールの酸化的改質反応に応用する。バイオマスであるエタノールから常温無加熱で水素を取り出せれば、燃料電池と合わせることで、利便性に富む高効率なエネルギー供給システムを構築可能となる。
1302 焼酎粕を原料に用いる高効率水素発酵技術の開発 横井 春比古 宮崎大学 石川 正樹 宮崎大学 南九州地域の特産品である焼酎の製造工程では、大量に焼酎粕が排出される。焼酎粕は、高濃度の有機物を含有し、腐敗しやすい酸性の有機性廃棄物であり、その有効な処理処分法及び再利用法の開発が求められている。本研究課題では、水素発酵菌を用いて焼酎粕からクリーンエネルギーの水素を生産するために、発酵原料の簡易滅菌法と水素発酵菌の固定化法を検討し、焼酎粕から水素を高速かつ効率よく生産する技術を開発する。
36(B) バイオディーゼル油製造用グリーンサスティナブル触媒の開発 日高 重助 同志社大学 永田 和彦 同志社大学 国内で豊富に産出する「石灰石」を、温室効果ガスの削減に有効な軽油代替燃料である「バイオディーゼル油」の環境調和型製法に使用可能な固体触媒へと仕上げることができた。本研究では、2時間でバイオディーゼル燃料成分生成率96.5%となる高効率な反応操作の長期間繰り返しを目指し、耐久性の優れた実用触媒を開発する。

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 廃棄物処理:29件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
33 高度プラスチック分解性を有する新規微生物資材の開発と応用 大和田 琢二 帯広畜産大学 藤倉 雄司 帯広畜産大学 用途が非常に広く、主要なプラスチック廃棄物の素材であるポリウレタン(PUR)を高度に分解する微生物資材の開発と応用を目的とする。この目的を達成するために、PUR分解菌の遺伝子レベルでの同定とPUR分解活性を高く維持できる培養条件を検討する。また、培養された分解菌や酵素を実用化に即した形体にするため、分解酵素の性質と資材・製剤化の検討、並びに、種々のPUR原材料やその廃棄物に対する分解活性を検討する。
43 水産系副次産物を利用した高機能性材料に関する試験研究 下野 功 函館地域産業振興財団 澤谷 拓治 函館地域産業振興財団 我が国で毎年25万トンも発生するホタテガイ貝殻(水産系副次産物)を付加価値の高い機能性材料として有効利用することを目的に、ありふれた貝殻からは想像もつかない光学的機能を持った蛍光体材料を開発すための試験研究を行う。本課題では、これまでに培った製造プロセス技術をベースに、これに新しい技術をプラスし、貝殻製蛍光体の特性向上を図るための試験研究と、この貝殻製蛍光体を用いた応用製品の試作を行う。
87 メタン発酵消化液の高速処理技術の開発 鎌田 樹志 北海道立工業試験場 後町 光夫 北海道立工業試験場 家畜糞尿・生ゴミなど有機性廃棄物のメタン発酵処理で課題となっている消化液の処理について、木質チップなどの微生物担体を散水ろ床形式で用いた好気性高速発酵処理技術を応用し、コンパクトな処理装置による処理方法を確立する。本課題ではこれまでの研究成果をもとに、微生物担体の形状や種類および処理条件を検討し、消化液に対応した処理技術の開発を行う。
168 高次な環境浄化機能を有する酸化チタンナノチューブのシステム化 関野 徹 東北大学 清水 裕一 大阪大学 単材料でありながら分子吸着能と光触媒能を兼備した酸化チタンナノチューブ(TiO2 NT)について、高次の環境浄化システムへの応用を指向した機能・構造最適化に関する研究開発を目的とする。このために、多様な環境下での吸着・光触媒機能の更なる精査とメカニズム解明を行い、その最適化ならびに機能向上を図ると共に、浄化システムへ向けた構造化を行う。
209 磁気−フェライト処理による余剰汚泥の減容化システムの開発と応用 鈴木 雅史 秋田大学 森川 茂弘 秋田大学 下水処理等で発生する余剰汚泥は年間4,000 万dとも言われ、その処理には2 万円/dも必要となっている。これを減容化するため、本研究では汚泥中に入れたフェライト粒子を外部磁場によりコントロールし、余剰汚泥を粉砕・減容化する方法を開発するものである。特に外部磁場の照射方法とフェライト粉体の動き、余剰汚泥の粉砕・殺菌効果を詳細に調べ、ミニプラントを作製し汚泥減容化効果を調べ、最終的にゼロエミッションを目指すものである。
219 パルスパワープラズマ化学分解法における水滴噴霧化水処理技術の開発 南谷 靖史 山形大学 高橋 政幸 山形大学 本試験では、従来の方法では分解できない水中に溶解した有害有機物の分解を目指して、パルスパワープラズマ化学分解を利用する水滴噴霧化水処理技術を開発することを目的とする。具体的には、まず現状の装置で実験可能な実廃水に含まれる有害有機化合物の分解実証試験を行う。また,水処理では細菌の殺菌も必要とされるので大腸菌等の殺菌能力について検証を行う。その後、様々な物質が実験可能な水処理装置一式を製作し,実証試験を行う。
242 一般廃棄物溶融スラグ微粉末を結合材とするコンクリートの研究開発 福澤 公夫 茨城大学 中澤 哲夫 茨城大学 本研究は、一般廃棄物溶融スラグ微粉末およびフライアッシュの混合物をセメントの代替え品としてコンクリート製品に適用することを目的にしている。これにより、溶融スラグおよびフライアッシュを資源として有効利用できるばかりでなく、立地の難しくなっている管理型廃棄物処分場の著しい延命を可能とする。さらにセメントの製造に伴って排出される温室効果ガスである二酸化炭素の発生防止にも大きな貢献ができる。
263 新規カドミウム濃縮能力付与遺伝子の特定と利用 白岩 善博 筑波大学 林 良夫 筑波大学 カドミウムは重金属の中でも最も有害性の高い環境負荷物質である。本研究では、先行研究で得た高度のカドミウム蓄積能力を付与するプラスミドからカドミウム濃縮能力を付与する遺伝子を特定し、それを大腸菌など様々な微生物に導入し、カドミウム濃縮能を強化した形質転換体を作製する。そして、それを利用して工業廃液や環境中のカドミウムを除去するための新規性の高いバイオレメディエーション技術を開発する。
272 セルロース分解のための光触媒と反応システムの開発 岩井 秀和 宇都宮大学 山村 正明 宇都宮大学 現在、難分解性セルロースの主な再利用法・廃棄法として、生物学的発酵処理や、濃酸・アルカリまたは高温高圧下における化学工学的処理が行われているが、いずれも多くの時間や膨大なエネルギーが必要な方法である。本研究では、少ない手間とエネルギーで、セルロースを有効利用可能な原料に分解・生成するための光触媒の開発と、その触媒が有効に作用する反応システムを構築する。
285 廃石膏ボードの再資源化と地盤改良における利用 鵜飼 恵三 群馬大学 小暮 広行 群馬大学 廃石膏ボードは年間140万トンと大量に排出されており、その再資源化技術の開発が大きな課題になっている。本研究では、廃石膏ボードを加熱処理して得られる半水石膏の地盤改良材としての有効性を立証するため、基礎的および応用的な試験研究を行う。また実際の現場に適用してその適用性と問題点を明らかにする。本研究の成果により、廃石膏ボード、建設残土という廃棄物を同時にリサイクルするシステムが確立し、大きな社会貢献となる。
390 難分解性高分子リグニンの低分子量化技術の開発と応用 尾崎 宏 明治大学 諸石 昌人 明治大学 本研究は、地球上で最大の炭素資源である難分解性高分子量リグニンの低分子量化技術を開発し、実用化することを目標とする。そのために、エゾシカルーメン由来の Aspergillus Fumigatus よりリグニン分解酵素をコードしている遺伝子を獲得する。その結果として、低分子量化による燃料への転化など、また、セルロース微繊維の有効利用として、食用以外の植物資源を用いるバイオエタノール製造への応用が可能である。
413 混合培養系を用いた難分解性含塩素有機リン酸トリエステル類の完全分解 解良 芳夫 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 含塩素有機リン酸トリエステル類は、建築材料・電気用品・衣類・カーペット・カーテンなどに添加される難燃剤・可塑剤として、またPCB類の代用品として大量かつ広汎に使用されている。当該物質は難分解性で蓄積性があり、種々の毒性を有する。本課題では、我々が世界で最初に単離・同定した含塩素有機リン酸トリエステル類分解菌と、その分解生成物を更に分解できる分解菌との混合培養系を用いて、当該物質の完全分解システムの構築をめざす。
465 未活用バイオマスからの硫酸塩還元微生物による酢酸高速生成法の開発 池本 良子 金沢大学 奥野 信男 金沢大学 有効利用が求められている稲わら(含むもみ殻)や林地残材(間伐材)などのセルロース系バイオマスから、高速で酢酸を生成する技術を開発する。本方式では、セルロースから酢酸を生成する不完全酸化型硫酸塩還元微生物を下水汚泥から集積し、これを用いて先述のバイオマスから酢酸を生成する。さらに、下水汚泥から集積した硫黄酸化細菌を用いて、硫酸塩還元によって生成した硫化水素を硫酸塩に酸化することによって再利用する方式である。
479 工場排水中の微量重金属検出−回収ハイブリッド技術の開発 松井 栄樹 福井工業高等専門学校 上坂 治 ふくい産業支援センター 日本国内において重金属の多くは既に規制がなされ、凝集沈殿法等による回収が行われている。特に繊維産業ではアンチモン化合物をPET製造時の触媒や製品の難燃助剤として用いているが、現在のところ規制は行われていない。将来的な規制設置に備え、迅速・簡便に判定できる検出法と有効な回収法の開発が重要な課題である。本研究では検出と回収の役割をそれぞれ有機色素と微生物に分担させ、ハイブリッドな手法によるアンチモン検出−回収法を開発する。
497 ホルマリンとフェノールを繰返し同時除去可能な微生物製剤 内田 博之 福井大学 吉田 芳元 福井大学 我々は、セルロース樹脂に固定化したかびPaecilomyces FERM AP-2123が、1,000ppmのホルムアルデヒド(HCHO)と500ppmフェノールを含む水溶液に加えて混ぜるだけで、両物質を8回以上繰返し除去できることを見出した。我々は、この固定化かびをHCHOとフェノール含有廃水処理用微生物製剤として、またこの固定化かびを組み込んだHCHO自動除去装置の開発をめざしている。
534 シャワークリーニングによる環境汚染物質除去システムの開発 姫野 修廣 信州大学 清水 信孟 長野県テクノ財団 工場、機械工作施設、ゴミ集積施設等からの排出ガスには、環境汚染物質として粉塵のみならず悪臭成分などの化学汚染物質も含まれており、これらを同時に浄化するのは極めて難しい。本研究は直接接触凝縮効果を併用したシャワークリーニングにより、粉塵と化学汚染物質の同時除去を高効率で行おうとするものであり、装置のコンパクト化が可能という特徴も有する。ベンチスケールの装置を試作し、目標除去率の達成に向け検討する。
605 アスベスト建築廃棄物低温無害化処理装置の開発 橋本 忍 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 アスベストセメントをはじめとするアスベスト建築廃棄物に対して簡便に無害化する処理装置を製作する。それはまた、ポータブルオンサイトその場無害化処理装置の実験室レベルの試作品とする。学術的にも裏付けされた低温(低エネルギー)で確実なアスベストの処理装置の開発を目指す。その開発装置を用いて実際のアスベスト廃棄物の処理を行い、JISの規格に準拠したアスベストの無害化条件の基礎的データを収集する。
637 難分解性金属廃液の促進分解/金属回収同時処理法の開発 松田 仁樹 名古屋大学 安田 匡一郎 中部科学技術センター 本研究では、難分解性で毒性の高い金属シアノ錯体廃液に対して、シアノ基の湿式酸化促進分解および分解に伴う遊離金属の硫化物化による安定化・分離回収の同時達成による高度廃液処理技術の開発を目指す。このために1)金属シアノ錯体の湿式酸化分解機構の解明、2)湿式酸化分解に対する反応活性種の促進分解効果の定量的把握、3)湿式酸化反応場への硫化剤添加によるシアノ基の分解促進効果、金属成分の選択硫化特性の解明を実施する。
654 高比表面積アルミナをべースとした乾式フッ素回収技術 平林 大介 名古屋大学 安田 匡一郎 中部科学技術センター フロン類、ハロン類など複数ハロゲンを含むフッ素素化合物ガスから、フッ素成分のみを選択的分離濃縮する固定化材料開発を行う。固定化剤には普及性が高く安価な活性アルミナ(高比表面積品:150m2/g以上)を含む反応材を用いる.これを加熱条件下ドライプロセスでフッ素化合物ガス(フロン類,ハロン類)と作用させ、フッ素のみを選択回収することにより、高純度のリサイクル価値の高い高品位フッ素リサイクル原料を得る。
909 クラゲ有効利用法探索を目的としたクラゲ懸濁液濃縮装置の開発 福士 惠一 神戸大学 西原 圭志 神戸大学 漁業や発電所等において被害をもたらすクラゲの有効利用法を探索するために、小型の真空加熱濃縮装置を製作し、回収されたクラゲ懸濁液を用いて実証試験を行う。濃縮液の成分分析等を行うことにより、クラゲ真空加熱濃縮装置の大型化の実現可能性や、得られる濃縮液の有用性について検討することを目的とする。最終的には、ゴミ焼却場の廃熱等により得られる温水及び電力を利用した大型の真空加熱濃縮装置の開発を行う。
1031 街路樹木等の剪定廃材を利用した有機農法指向型害虫制御剤の開発 本田 計一 広島大学 三浦 毅 広島大学 本研究は、公共道路、公園、学校、工場などに広く植栽されている園芸樹木の剪定廃材を主に活用して、その抽出エキスや植物成分を適切に加工・改良することにより、低環境負荷型の有機農法に有効な害虫制御剤の開発を試みるものである。さらには他の特定の有効な植物のエキスも探索してその化学成分の検索を行うと同時に、上記樹木剪定廃材より得た素材に添加することにより、更に有用な農業資材の開発も検討する。
1035 高濃度アンモニアに耐性をもつ固定化細菌による亜硝酸化技術の開発 山ア 博人 宇部工業高等専門学校 大高 聰 山口大学 通常より100倍以上高濃度のアンモニアに耐性をもつ、固定化亜硝酸化細菌を培養した。高濃度のアンモニア処理を実施した処、ほぼ等量のアンモニウムイオンと亜硝酸イオンが生成し、それを平衡状態で持続した。この場合、水熱反応により容易に窒素と水に化学変化させることが可能である。本申請では、この固定化亜硝酸化細菌によるアンモニア処理の最適化、バイオリアクター作成とその連続式運転、細菌の遺伝子解析を実施する。
1052 海水による二酸化炭素分離回収 一森 勇人 阿南工業高等専門学校 宮城 勢治 阿南工業高等専門学校 地球温暖化ガスである二酸化炭素を回収するために、海水を火力発電所の煙道の二酸化炭素に噴霧して二酸化炭素を吸収する。さらに二酸化炭素を含んだ海水を機械式脱気機により分離回収する。
1109 バイオディーゼル燃料製造における洗浄排水の効率的処理技術の開発 福田 直大 愛媛県産業技術研究所 門家 重治 愛媛県産業技術研究所 バイオディーゼル燃料(BDF)の製造方法は、廃食油等をメチルエステル化し、水洗浄工程を経て精製するプロセスが一般的である。この水洗浄工程で発生する排水は、現在有効な処理方法がなく、その処理技術が重要な課題である。そこで本研究では、BDFの精製プロセスを見直し、排水中の残油分率を低減させ、続いて残存するグリセリンおよびメタノールを単一微生物で同時に除去する、化学・バイオの両プロセスを併用した効率的な排水処理技術を開発する。
1151 有機系捕集材と超音波利用による大気中VOC分解処理技術の開発 隅田 隆 高知県工業技術センター 津嶋 貴弘 高知県工業技術センター 揮発性有機化合物(VOC)は、シックハウス等で問題となっているように、アレルギー症状や呼吸器疾患等の健康被害のほか、様々な環境被害を引き起こす原因物質として社会問題となっている。本研究では、有機系材料による吸着・濃縮と、超音波キャビテーションの分解を併用した分解処理技術を確立させることにより、事業所から排出されるVOC の捕集分解処理技術の開発に取り組む。
1152 天然物質をベースとした捕集材による現場完結型六価クロム処理 山下 実 高知県工業技術センター 津嶋 貴弘 高知県工業技術センター 工業的に利用価値の高いクロム(Cr)だが、人工的に生成される六価クロムは強い毒性を示し、クロムを含む産業廃水の排出は厳しく規制されている。一方、汚染の中でも工場跡地等における六価クロム汚染土壌の処理は施設建設および土壌運搬に莫大な費用と時間を要することから関係企業を大きく圧迫している。そこで本研究ではこれまで当事業によって開発した六価クロム捕集材の高度な機能を利用し、現場完結型六価クロム除去システムの開発を行う。
1180 微量有害化学物質除去機能を付与した排水路材料の開発に関する研究 藤原 拓 高知大学 島崎 たどる 高知大学 本研究では、農薬等の微量有害化学物質の除去機能を付与した排水路材料を開発することにより、面的汚染源から排出された微量有害化学物質を排水路の面的ネットワークにより浄化するシステムの開発を行うことを最終目標としている。維持管理が困難な排水路で持続的な微量有害化学物質の除去機能を発揮するために、微量有害化学物質の吸着機能と分解機能を併せ持つ機能性排水路材料の開発を行い、除去に対する影響因子を検討する。
1236 マグネシウム系化合物を用いた製鋼スラグ固化剤の開発 阪本 尚孝 福岡県工業技術センター 平田 敬一郎 福岡県工業技術センター 現在、製鋼工程で排出されるアルカリ性スラグについて、冷却時における粉化抑制のためにホウ素系改質剤が利用されているが、土壌環境基準の強化に伴いホウ素の溶出抑制が重要となっている。本研究では、代表研究者が開発したマグネシウム系化合物を用いた改質手法を用いて製鋼スラグを室温でも安定な結晶相とし、必要なホウ素量の低減化を図るとともに、適正なマグネシウム系化合物選定により実用化を目指す。
1308 水系病原性微生物の泡沫への濃縮効果を利用した高感度検出技術 鈴木 祥広 宮崎大学 石川 正樹 宮崎大学 ノロウイルスを含む水試料に界面活性物質を添加し、分散気泡を送気して安定泡沫を発生させる。その分離回収した泡沫について病原性微生物の存否(遺伝子解析法)を調べることによって、簡便かつ高感度良くノロウイルスを検出する技術を開発する。

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 リサイクル:21件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
5 残廃土を再利用した調湿・調温・耐シックハウス建材の開発 岩渕 義孝 釧路工業高等専門学校 東藤 勇 苫小牧工業高等専門学校 本研究課題は、産業廃棄物である残廃土を再利用した調湿・耐シックハウス建材を開発するもので、さらに一歩進んで、調温機能も付与させた素材の製造プロセスを確立するものである。この素材は残廃土を原料に、低温焼結によって製造するもので、さらに小空隙を生み出す粒状発泡スチロールや、混練された木炭等有機質材料の炭素成分で被覆することによって、黒色化セラミックスが生み出される。
15 塩ビ含有廃プラスチックの化学原料化・燃料化リサイクル技術の開発 上道 芳夫 室蘭工業大学 加賀 壽 室蘭工業大学 耐塩素性プラスチック分解触媒を用いて、塩ビ含有ポリオレフィンを石油化学原料・燃料へ高効率転換可能なケミカルリサイクル技術の開発を目指す。金属修飾シリケート系触媒の塩ビ許容濃度と最適反応条件を検討し、さらに廃プラスチック中の塩ビ以外の不純物が触媒性能に及ぼす影響を明らかにする。これによって、塩ビの高度選別除去を必要としない廃プラスチックの触媒分解プロセス開発の見通しを得る。
103 酢酸カルシウム系多機能凍結防止剤の開発 伊藤 英信 北見工業大学 二俣 正美 北見工業大学 北海道オホーツク圏で発生するホタテ貝殻は年間15万トンにも達し、その有効利用法の開発が緊急の課題となっている。現在、多くのアイディアが実践され、すでに一部商品化もなされているが、廃棄貝殻全量の処理には遠く及ばないのが現状である。本研究では廃棄ホタテ貝殻を原料として、環境にやさしい酢酸カルシウムを主成分とした、多機能複合凍結防止剤を開発し、その融雪能力等を評価する。
167 簡便・高効率・非加熱インジウム回収方法の開発 加納 純也 東北大学 平泉 健 東北大学 本試験では、非加熱でかつ酸アルカリ溶液を使用しないメカノケミカル反応を利用して、廃棄された液晶パネルからインジウムを簡便に高効率で回収する方法を構築することを目的とする。液晶パネルから膜状になっているインジウムスズ酸化物(ITO)のみを効率よく回収する方法の開発と回収したITO 濃縮粉末にメカノケミカル法を適用し、選択的にインジウムのみを還元させ、簡便にインジウムを回収する方法の開発を目指す。
200 固相塩化反応を利用したタンタル及びニオブの選択的分離技術の開発 野中 利瀬弘 秋田工業高等専門学校 保坂 正晴 あきた企業活性化センター 本研究は、未だ国内で確立していないTaとNbの乾式分離法の実用化を目指し、固体塩化剤と反応促進剤を併用した塩化反応により、簡便かつ低環境負荷な分離精製技術を確立することを目的としたものである。具体的には、熱力学的に反応を進行させ得るBa系添加剤とFe系固体塩化物を併用して熱処理した時のレアメタルの塩化揮発挙動を実験的に明らかにし、冷却温度場の制御による各元素の分離精製を試みる。
206 超音波特殊反応場を利用した汚染土壌の浄化回収技術の開発 大川 浩一 秋田大学 森川 茂弘 秋田大学 本課題の目的は揮発性有機化合物(VOC)や有害微生物により汚染されている土壌を超音波照射により分解および殺菌洗浄し、さらにその土壌を超音波化学作用により沈殿回収するものである。全過程において、吸着剤、薬剤および凝集剤を必要としないことが特徴で、処理した土壌は再利用を可能にするものである。
210 製紙スラッジ焼却灰と珪藻土を用いた土壌改良剤製造技術の開発 和嶋 隆昌 秋田大学 森川 茂弘 秋田大学 本研究では、紙のリサイクル工程で排出される産業廃棄物である製紙スラッジ焼却灰に珪藻土を混合し、水熱処理を行うことで保水性・保肥性に優れた土壌改良剤を簡易に製造する新規有効利用法の開発を目的とするものである。現在、埋め立て処分されている製紙スラッジ焼却灰と、安価で豊富に存在し利用用途の開発が望まれる珪藻土の活用を目指し、土壌改良剤の作成条件とその機能について基礎的知見を得るものである。
328 FRP廃材リサイクルのための微粒子生成の研削加工プロセスによる高能率化 坂本 治久 上智大学 岸 敦夫 科学技術振興機構 FRP材料は、多くの優れた材料特性を有する反面、リサイクルが特に難しい材料でもある。そのようなFRP材料も、粒径10μm 以下の微粒子にすると、素材には無い液体への分散性やめっき成膜性などの特性が得られ、廃材を機能性材料に変えてリサイクルすることが可能になる。本研究では、FRP廃材を1工程で粒径を10μm 以下の微粒子に変える生成技術を開発するとともに、生成した.微粒子の機能性の評価とその応用法の提案も目指す。
384 光応答抽出剤を用いた無廃棄物型貴金属リサイクル技術の開発 竹下 健二 東京工業大学 林 ゆう子 東京工業大学 波長の異なる光(UV光、可視光)の照射によって抽出剤分子の構造を変化させることにより貴金属類を高選択回収できる「光応答型抽出プロセス」の構築を目指す。本プロセスでは光照射で貴金属を分離回収するために新たな化学物質の添加が不要であり、二次廃棄物発生を大幅に低減できる。光応答抽出剤にアゾピリジン化合物を、協同抽出剤に疎水性カルボン酸を用いることで光応答抽出効果を向上させ、本プロセスの実用化への道を開く。
387 セルロースからグルコースへの変換技術開発 室田 明彦 明治大学 諸石 昌人 明治大学 本研究の目的は、工学的な手法による環境保全型のセルロースからのグルコース変換技術開発である。この課題を解決するには、強固な構造を有するセルロースの脱結晶化工程の開発が必須である。しかしながら、この脱結晶化工程で実用化されているのは、アルケノール社(米国)が開発した70%硫酸を用いる方法が唯一である。本研究では非硫酸型触媒を用いる、低コストでより穏和な条件下でのグルコース製造を目指すものである。
416 オイルエマルジョンの分離システムの開発 小林 高臣 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 本研究では、アルカンや灯油が混在する水エマルションに超音波を照射して水と油成分を分離する技術を確立すると共に、これを利用した水−油成分の分離装置の開発を行う。具体的には超音波照射により、オイルエマルジョン内の水−オイルを分離する為の効率の最適化を探索し、超音波周波数、超音波強度、超音波素子の配置、反応容器の形状等の基礎的データ及び知見を蓄積する。
426 廃石膏ボードと汚泥からなる団粒状建設材料の開発 尾上 篤生 長岡工業高等専門学校 長谷川 雅人 にいがた産業創造機構 廃棄石膏ボードを加熱処理して粉末化された半水石膏(CaCO3・1/2H2O)を、産業廃棄物である建設汚泥にセメントあるいは消石灰とともに加えて混練することによって汚泥を団粒化し、運搬と締固め効率の良い埋め戻し材・裏込め材・盛土材等としてリサイクルする技術の確立を目的とし、団粒化汚泥の強度に及ぼす汚泥の初期含水比、各材料の配合割合、再泥化等の長期安定性を明らかにする。
428 塩化ビニール樹脂中の可塑剤の簡易・迅速分析技術の開発 佐伯 和光 富山県工業技術センター 谷野 克巳 富山県工業技術センター プラスチックを分別する際、プラスチックを種類ごとに分別するだけでなく、再生品の特性を向上させる目的で、同一種類のプラスチックでもグレードや使用されている添加剤ごとに分別することが非常に重要である。本研究ではプラスチック廃棄物のリサイクル技術向上のために、塩化ビニール樹脂中に複数種混在する可塑剤を簡易、かつ迅速に分析する手法を開発することを目的とする。
524 膜ろ過による廃液中の有機溶媒の分離・回収装置の開発 清野 竜太郎 信州大学 田草川 信雄 信州大学 有機溶媒を含有する廃液から、高分子膜を利用した膜ろ過(圧力1 MPa 程度)により有機溶媒のみを分離・回収する装置を開発するものである。
971 超高効率ラジカル酸化反応系を利用した活性炭繊維の再生 今村 維克 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 H2O2-電気分解処理とは,(1)導電性材料を希薄なH2O2水溶液に浸し,その状態で微弱な負電位を印加することで (2)導電性材料表面上で極めて高い酸力を有する ・OHを発生させ,(3)導電性材料表面上に吸着している有機物質を速やかに酸化分解・除去するものである.本研究では,有害有機物質が吸着した活性炭の再生にH2O2-電気分解処理を応用し,再生処理条件と吸着能の再生度の関係について検討する.
1045 廃プラスチックの化学的リサイクル技術を目指したポリマー合成の技術開発 上村 明男 山口大学 浜本 俊一 山口大学 本課題は、研究代表者の発明である「ガラス繊維強化不飽和ポリエステル(FRP)の新規な高効率解重合法」を利用した廃プラスチックのゼロエミッション化学リサイクルの実用化に向けて、問題の克服と更なる高効率化に取組むものである。本課題では、実用化に対応したスケールアップに目途を付けることを目指し、以下の目標に取組む。(1)回収モノマー成分の簡便な精製法の確立、(2)回収モノマーの脱色などの開発によるより高品質な再生プラスチックの合成。
1073 ヒドロキシアパタイト薄膜を用いた水溶性重金属の回収−再生プロセスの開発 杉山 茂 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 廃液から水溶性重金属をヒドロキシアパタイトで固定化回収し、代表研究者が開発した手法により固定化回収した重金属を再生させるとともに、ヒドロキシアパタイトも水溶性重金属の回収に再利用できるプロセスを開発する。具体的には水溶性鉛、カドミウム、コバルトについて検討し、水溶性カドミウム、コバルトに対しては既に可能性を示唆する結果を得ているので、実際にこれらの水溶性重金属のヒドロキシアパタイトによる回収−再生を複数サイクルできることを明らかにするとともに、対象水溶性重金属も拡大して検討する。
1251 アンモニア及びリン酸吸着材の再生液の共役的利用とリンの回収技術 荒木 宏之 佐賀大学 原 尚道 佐賀大学 本研究は、下廃水中に含まれるアンモニアとリン酸をゼオライトとハイドロタルサイトを用いて吸着し、これらの吸着材から共通の再生液を用いてアンモニアとリン酸を回収する技術の確立を目的としたものである。吸着材の再生に共通の再生液を使用することにより、リン酸とアンモニアの同時回収が行えるので、従来の技術よりは容易かつ低コストで吸着材の再生と枯渇資源であるリンの回収・再利用が可能となる。
1321 バイオディーゼル燃料の無廃水精製プロセスにおける低級脂肪酸除去 高梨 啓和 鹿児島大学 中武 貞文 鹿児島大学 経済産業省は、「揮発油等の品質の確保等に関する法律施行規則」において、バイオディーゼル燃料を混合した軽油中の不純物として、新たに低級脂肪酸の項目を追加した。他国の類似規格では低級脂肪酸は規格化されておらず、新たに精製が必要となった不純物である。そこで本研究では、乳化・解乳化によるBDFの精製技術に基づき、低級脂肪酸に関する規格値を満たすための技術開発を行う。
1325 ヒ素系防腐剤処理をした木材中に含まれるヒ素の簡易定量法 大木 章 鹿児島大学 中武 貞文 鹿児島大学 ヒ素系木材防腐剤(CCAなど)は特に防腐、防蟻効果が高いので、過去に電柱や建物土台として多く使用されてきた。近年、このような建造物を解体し、木材をリサイクルする場合に、木材中に含まれるヒ素の存在が問題視されるようになった。本課題の目的は、CCA処理木材中に含まれるヒ素の簡易定量法を開発することである。まず、木材中のヒ素を損失なくかつ簡易に溶液化する方法を開発する。そして、この溶液中のヒ素の簡易分析法と効果的に結合させる。
8(B) 石灰添加・磁気分離法による電気炉ダストからの亜鉛回収技術 長坂 徹也 東北大学 井元 尚充 東北大学 本試験では、主に電炉で生成される含亜鉛製鋼ダストを空気中で石灰と反応させ、ダスト中亜鉛の主成分であるZnFe2O4をZnOとCa2Fe2O5に相分離せしめた後に強磁場を作用させ、炭素熱還元によることなくダストからZnO を回収する技術を開発することを目的とする。具体的には、加熱ミリング装置によるダストとCaO の反応方式の開発、磁気分離装置の設計、随伴ハロゲン類の除去法の検討を行なう。

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 防災:12件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
143 自己拡散土壌増強剤の開発と応用 大河原 正文 岩手大学 小川 薫 岩手大学 近年、豪雨や地震が引き金となり全国各地で斜面崩壊、地すべりなどの土砂災害が頻発している。抜本的な防止対策を講じるためには斜面自体の強度を十分に大きくすることが重要である。本応募課題は、代表研究者が開発した土壌増強剤に新たに自己拡散機能を備えることで、自ら地盤内部浸透する自己拡散土壌増強剤を開発するものである。
173 建築物の構造ヘルスモニタリングと地震警報のためのオンライン波形情報活用システムの開発 源栄 正人 東北大学 芝山 多香子 東北大学 地震防災分野でのリアルタイム地震情報技術の実用化に伴い、建築物の構造ヘルスモニタリングによる損傷度評価や地震警報の重要性が広く認識され始めている。本開発では、構築済みの「基盤システム」のモニタリングデータに常時オンラインでアクセスできる環境を提供し、モニタリング情報をインターネットを介して広く世界に公開するために、利活用ソフトウェアの開発を行い、オンライン波形情報活用システムの確立を目指すものである。
273 高耐火性能を有する新規不燃材の開発 吉澤 伸夫 宇都宮大学 生田 四郎 宇都宮大学 持続可能な循環型社会の構築を目的として、バイオマスの主要資源である間伐材のロングライフ化利活用を検討する。木材の乾燥、材質改良技術として注目されている遠赤外線燻煙熱処理技術を用いてスギ間伐材を丸太のまま熱処理し、閉鎖壁孔の壁孔壁を破壊して透過性を向上させる。作成した壁孔壁破壊木材を用いて、難燃薬剤を注入し、防火指定地域で使用できる高耐火性能を有する耐火構造耐力壁(30分、45分、60分の耐火性能)を開発する。
441 落雷による被害の判定方法の確立と有効なアーズ設置法の技術開発 酒井 英男 富山大学 岩瀬 洋一 富山大学 落雷時の停電や迷走電流による製造会社・民家等への被害は少なくない。本課題では、瞬時(μ〜m秒)の雷電流が経路の土壌や物質に磁化として残る特性を利用して、電流が大地・建物等へ伝播する状況を把握する方法を開発する。そして、数ヶ月前の落雷も記録できる雷の化石となった残留磁化から、雷に起因する被害の判定法を確立する。有効な接地施工等の雷被害軽減のための研究も行う。
464 非常時に活躍する「電子アーミーナイフ」(ε-ARK)の携帯電話等での実装と検証 大野 浩之 金沢大学 平野 武嗣 金沢大学 申請者が提唱する「平常時にも非常時にも活躍する電子アーミーナイフ」(ε-ARK)というコンセプトに基づき(1)電子手帳や携帯電話などの常日頃から携帯する携帯型情報通信端末(以下、「携帯電話等」)上にε-ARK端末を実現し、(2)大規模災害発生直後のような通信環境や電源環境が極端に制限された状況にあっても、被災者や復旧担当の行政職員がε-ARKによって情報収集のみならず情報発信までも容易に実施できることを立証する。(3)そのために技術者のみならず能登半島地震の被災者等の非常時体験者を含めた試験運用を実施して評価を行う。
496 路面雪氷状態モデルによる地熱利用無散水システムの設計ソフトウェア開発 藤本 明宏 福井大学 吉田 芳元 福井大学 本課題では、地熱利用無散水システムの最適設計ツールを開発する。従来は、循環水温、地温や気象を一定とした定常設計であり、現実的かつ経済的とは言い難い。提案設計は、実現象に則した気象・地盤条件下で採熱部(地盤)、放熱部(舗装)および雪氷層を連成解析する非定常解析であり、路面状態を可視化させて、湿潤路面を維持するだけの採熱規模を決定できる。
703 斜面モニタリングシステムにおけるテンシオメータの改良 酒匂 一成 立命館大学 金丸 まや 立命館大学 降雨時の斜面崩壊を予知・予測するためには、土中の含水状態を把握することが重要である。これまでは、テンシオメータを用いて土中の間隙水圧を計測するシステムの開発を行ってきた。しかしながら、長期現地計測において晴天が続き土中の含水量が低下すると、テンシオメータ内に満たされていた脱気水が抜けてしまうことが多々生じ、その都度、現地へ脱気水の補充を行わなければならなかった。本研究では、テンシオメータへの自動給水機器の開発および脱気水の抜けにくい機構の開発を行い、メンテナンスの容易化を目指す。また、これまでのテンシオメータ設置経験に基づき、より設置が容易にできる構造となるよう改良を施す。
708 き烈近傍変位場情報に基づくコンクリート構造物の損傷診断システムの開発 日下 貴之 立命館大学 近藤 光行 立命館大学 鉄道用トンネルのコンクリート剥落事故に見られるように、コンクリート構造物の劣化や損傷が大きな社会問題となっている。このような事故を未然に防ぐためには、定期点検はもとより、構造部材の健全性を常時自動的に監視できるシステムの開発が必要とされている。本研究では、高性能化が著しいCCDカメラを用いて、コンクリート表面の変形状態を非接触で常時監視し、き裂周辺に発生する特異な変位場(ひずみ場)を理論的に解析することによって、観測者による人為的な判断なしに損傷の有無および損傷の程度を自動的に診断できるシステムを開発することを試みる。
751 土壌水分計付貫入計の応用による革新的な地盤環境探査技術の開発 小杉 賢一朗 京都大学 門林 剛士 京都大学 本研究の目的は、浅層地盤の硬度と土壌水分の鉛直分布を詳細に把握できる水分計付貫入計を応用することによって、革新的な浅層地盤環境探査技術を開発することである。高空間分解能・高精度の計測が可能な水分計付貫入計を、広範囲の地盤情報を迅速に把握できる電気探査や地中レーダーと組み合わせ、両者の短所を補完させることで、従来に無い迅速かつ正確な探査技術を開発する。この技術を応用することによって、がけ崩れ(表層崩壊)の危険性がある斜面土層内の水みちの特定、ため池の堤体の漏水箇所の特定、地すべり対策工施行地における地下水面形状の把握が行えるようになることを、目標に設定している。
880 帯電水ミストによる火炎制御技術の開発 足立 元明 大阪府立大学 亀井 政之 大阪府立大学 現在、初期消火は、スプリンクラーによる大量の水や化学薬剤の散布あるいは不活性ガスの放出により、行われている。しかし、パーソナルコンピュータなどの情報機器がオフィスに普及した今、従来の消火法は、これら情報機器に大きなダメージを与え、また、不活性ガスは吸引した人に健康被害を与えるなどの問題を持つ。これら問題を解決するために、極微小の帯電水ミストによる初期消火技術の開発を目指す。
1101 入院病棟を対象とした避難誘導計画再設計システムの開発 白木 渡 香川大学 倉増 敬三郎 香川大学 巨大地震の発生時、本震の後に直ちに建物内から屋外への避難が求められる。しかし、介助を必要とする入院病棟では、発生直後の速やかな避難誘導は困難であるという理由で、十分な検討がなされていないのが現状である。また、建設当時は避難を前提とした設計がなされておらず、避難誘導計画も現実を反映したものになっていない。そこで本研究では、標準的な中規模入院病棟を対象として、コンピューターによる避難シミュレーションを実施し、現行の避難誘導計画の問題点を明らかにするとともに、効果的な避難経路、避難誘導計画、及び職員配置を再設計するためのシステム開発を目指す。
22(B) 持続可能な地域総合防除のための鳥獣害対策支援GISの開発 辻野 和彦 福井工業高等専門学校 上坂 治 ふくい産業支援センター 近年、中山間地域を中心にイノシシ、クマ、サル、カラス等の野生鳥獣類による農作物被害が深刻な問題となっている。そこで、本課題では福井県鯖江市における持続可能な被害軽減策立案に資する支援情報の提供、ならびに住民の鳥獣害対策に関する意識啓発を目的として鳥獣害対策支援のための地理情報システム(GIS)を提案する。本研究期間においては、里地里山の環境変化を監視しながら獣害対策支援GISの実用化を探る。

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 生活:14件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
89 金属酸化物触媒を用いた水循環系内での結合塩素抑制方法の開発 浅野 孝幸 北海道立工業試験場 後町 光夫 北海道立工業試験場 殺菌に用いられる塩素はアンモニアと反応し、結合塩素の一種で不快臭があり健康影響も懸念されるクロラミンが発生する。クロラミンはさらに塩素と緩慢に反応して最終的には窒素となるが、塩素とアンモニアが常時供給される系内においては常時クロラミンが存在することになる。触媒によってこの反応を促進することにより簡易な装置によってクロラミン濃度の低減化を可能とする方法を開発する。
126 CVD法による球状ナノ酸化チタンの合成と高性能光触媒への応用 長谷川 章 八戸工業高等専門学校 佐藤 義夫 株式会社八戸インテリジェントプラザ 酸化チタン光触媒は、悪臭の分解、抗菌、防汚のほか、色素増感太陽電池への応用も検討されている。本課題は、代表研究者らが製品化に成功した「角柱状酸化チタン」光触媒の新しい知見をもとに新規球状ナノTiO2 の合成を目指すものである。具体的には化学気相成長(CVD)法の手法により数十nm 程度の球状ナノTiO2を合成する。光触媒活性については、市販の代表的な光触媒の半分以下の担持量で同程度のアセトアルデヒド分解性能を目指す。
130 鋳鉄製厨房用品への無機質塗料の塗装法開発と応用 長嶋 宏之 岩手県工業技術センター 町田 俊一 岩手県工業技術センター 岩手県の「南部鉄器」の鋳鉄製厨房用品には有機系塗料が使用されているが、有機化合物に不安を感じる消費者も多い。鋳鉄製品の表面処理として安全性の高いホーロー加工は高額な設備投資と技能の育成を要し、県内鋳造業に普及が進んでいない。本研究では、人体への影響が少なく、硬化後にはガラス質の塗膜を形成し、高い耐熱性・耐候性を有する無溶剤・無機質塗料の鋳鉄への塗装法確立と県内鋳造業で可能な塗装法への転換を目指す。
146 コンパクト化を目指した組立式伝統家具の構造開発とその応用 田中 隆充 岩手大学 小川 薫 岩手大学 伝統家具の輸出で問題とされる一要素として、輸送コストが挙げられる。本研究は、そのコスト削減のための方法として、輸送時は分解され、海外で使用される時は日本の格式ある伝統家具として成立する組立式の伝統家具を開発することを目的とする。輸送コストが安価と考えられる方法として、ユーザの手荷物として航空機で直接運搬することである。そこで、機内持込みサイズ内にコンパクト化できることを目指した構造開発を行う。
205 天然多孔質素材及びカラギーナンを用いた低環境負荷ヤマビル駆除材の開発 村上 英樹 秋田大学 保坂 正晴 あきた企業活性化センター 秋田県、神奈川県等、全国30府県で問題となっているヤマビル被害に対し、環境に負荷を与えることなく、駆除する方法を開発する。現在、ヤマビルの駆除には有害昆虫忌避剤として有名なディートが主に使われているが、人体や生物に対する毒性が海外で報告されており、大量に散布することができず、安全で効果的な駆除法が確立していないのが実態である。そこで本課題では、珪藻土、ゼオライト、カラギーナンを始めとする人体や環境に安全な物質に、ヤマビル忌避効果がある酢酸(木酢液)や塩化カリウムを組み合わせて、有害生物駆除材を作製する。
241 防臭食品容器を目的とした光触媒/DLC複合膜コーティング技術の開発 尾関 和秀 茨城大学 大谷 基祐 茨城大学 食品プラスチック容器の防臭性に対する消費者の関心は高い。また、その市場は大きい。本研究では、ガスバリア性、生体適合性に優れた膜と防臭機能を有する膜の複合化に着目、効率的な防臭・消臭効果をもつ薄膜の創製を目的とする。
303 水中微細気泡によるナノ物質ならびに凝縮性ガスの濃縮回収プロセスの開発 関口 和彦 埼玉大学 石井 博之 埼玉大学 ナノ物質を合成するクリーンルームや凝縮性(VOC)ガスを使用する印刷事業所等、空調技術と密接に関わる製造環境を対象として、ナノ物質やVOCガスを液中に濃縮捕集するプロセスの開発を行う。本手法は、ナノ物質やVOCガスの回収または液中処理プロセスへと発展できる基礎技術となり得るものである。
339 高感度においセンサ用感応膜の開発 杉本 岩雄 東京工科大学 川村 明博 東京工科大学 においセンサは感応膜で捕捉した気相分子の分子パラメータを把握する素子と捉えられる。高精度に読みとり、高感度で反応するには、におい分子の吸着脱離活性が高く、水蒸気の影響を受けにくいことが感応膜に要求される。本研究では多糖を高周波スパッタリングして炭素質薄膜を作製し、表面をワックスでコートすることにより高い吸着活性を維持しつつ、水蒸気の影響を受けにくい感応膜を提供することを目指す。この成果は計測分野を拡大し、信頼性の高い情報を提供できる技術として期待される。
584 自己組織化機能を有するタイルカーペットの開発 堀場 隆広 愛知県産業技術研究所 齊藤 秀夫 愛知県産業技術研究所 省エネのための部屋の温湿度表示、一人住まいの高齢者の異常発見、セキュリティ、火災の早期発見および非難誘導、RFIDタグのアクセスポイントなどに利用するためにセンサ付きタイルカーペットを開発する。このカーペットは近傍のカーペットと通信を行い、自己の配置形状やセンサの種類を自動認識する。これによってタイルカーペットの配置形状やセンサの種類を登録する必要がなくなり、タイルカーペットの配置の変更やセンサの変更が容易になる。
628 高度浄水処理のためのハイブリッド型膜分離法の開発 向井 康人 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 浄水処理で問題視されているトリハロメタンの前駆物質となるフミン質を完全に除去するため、限外濾過膜による分離法にポリ塩化アルミニウムによる凝集処理と粉末活性炭による吸着処理を組み合わせた高精度かつ高効率なハイブリッド型膜分離法を開発し、高度浄水処理プロセスを構築する。そのため、フミン質の凝集および吸着特性、凝集と吸着処理を併用したハイブリッド型膜分離特性、効率的処理プロセスの設計等について検討する。
671 有害化学物質の高効率分解法に関する実用化研究 勝又 英之 三重大学 新原 英雄 三重大学 サステイナブルな環境社会の実現を目指し、高次酸化プロセスを利用した有害化学物質の高効率分解法の確立を目指し、超音波処理と光フェントン反応の組み合わせで、迅速かつ安価なフロー系の実用化技術確立に向けた基礎的検討を行う。
すなわち、本課題では、有害化学物質の初期分解のみならず完全な無機化を目指しており、有害化学物質の中間体の同定を通して本システムにおける分解反応経路を解明するとともに、実用化を視野に入れたスケールアップした処理システムへの適応性検討を試みるものである。
794 見えないマークの開発とそれを用いた環境の知能化に関する研究 青柳 誠司 関西大学 柴山 耕三郎 関西大学 本研究は、人間の目には見えず機械(移動型ロボット等)のみに見える認識マークの開発を行い、その画像処理方法について検討する。マークをバーコードや2次元コード状にして様々な情報を持たせ、人間の生活空間を知能化する手法を提案・検討する。本認識マークは、1)画像処理における自然背景からの対象物体の抽出を容易にする、2)対象物体の理解(どのように機械が扱えば良いか等)を容易にする、3)人間に対して邪魔・目障りにならない、という特長を有する。
958 食の安全確保に向けた食品製造従事者の行動トレーサビリティの実現 平川 正人 島根大学 丹生 晃隆 島根大学 食の安全確保や鳥インフルエンザ等の感染症の蔓延防止に向けてトレーサビリティ技術の導入が推し進められているが、食材あるいは動物の移動に注目するだけでは不十分である。意識的あるいは無意識的に係わらず、関与する人間の行動がトラブルを引き起こす要因のひとつとして存在する。本課題では、食品の製造に従事する人々の食品衛生に係わる際の手指滅菌・消毒行為を管理・運用する仕組みについて試験研究を行ない、プロトタイプシステムを構築する。
1096 全方位超広角ステレオ視覚システムの開発と人間生活・活動ケアへの応用 山口 順一 香川大学 倉増 敬三郎 香川大学 本研究の目的は、人の行動と姿勢を自動認識して、生活や活動における安心・安全の確保を支援するシステムの開発である。システムの特徴は、視野角180度の魚眼レンズを装着したCCDカメラ2台を一定距離離しモジュ−ル化することでカメラ前方の全方位を両眼視すること、および、センサからの映像に対する三次元計測演算により立体形状認識そして人物移動形態決定を行うことである。

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 健康:18件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
35 イヌのブルセラ病の簡易診断法の開発と応用 度会 雅久 山口大学 大高 聰 山口大学 この数年で大阪、沖縄、静岡などのイヌの繁殖場で大規模なブルセラ病の流行が報告されている。ブルセラ病は流産を引き起こす疾病で、ブルセラ菌感染による人獣共通感染症である。流産以外の症状に乏しく、臨床症状のみによる診断は不可能である。大規模な流行が起きた場合、ブルセラ陽性犬は殺処分されるため動物愛護の観点からも問題は重大である。簡易診断法が存在しないことから、これまで検査が普及していなかった。本研究は簡易診断法を開発し、ブルセラ病の蔓延を防止することを目指す。
48 ヒト毒性軽減を指向したフェノキシ酢酸系および安息香酸系農薬の開発 遠藤 哲也 北海道医療大学 蛸島 武広 北海道医療大学 フェノキシ酢酸系および安息香酸系除草剤の多くは、モノカルボン酸トランスポーターにより吸収される。同トランスポーターと親和性の低い農薬を開発することでヒト毒性軽減が期待できる。また化学物質の生体毒性を予想するプログラム(KATE、国立環境研)を利用して、ほ乳類のみならず、魚類や甲殻類への毒性も予想し、生態系にも配慮した農薬の開発を進める。
268 線虫を用いたナノ材料の生体リスク評価技術の開発 乙部 和紀 農業・食品産業技術総合研究機構 安藤 益夫 農業・食品産業技術総合研究機構 サイズ効果により高い反応性を持つナノ材料は、生体内での酸化ストレスを助長する。そのリスク評価にはほ乳動物が使用されるが、膨大な費用と時間を要する。一方、体長1mm程の細菌食性線虫C. elegansは、ヒトとの遺伝的相同性がある、酸化ストレス応答性が高い、維持管理が容易等の特長を持つ。この特長を生かし、ナノ粒子摂取量と行動や寿命との関係を解析し、生体リスク評価を簡便・迅速に行えるキットを開発する。
346 カプサイシンを用いた副作用の無い骨転移癌の治療薬創出 稲田 全規 東京農工大学 平田 美智子 東京農工大学 「骨」に転移した癌の治療には、組織学的な閉鎖環境における確実な効果と副作用の無い創薬が健康を望む万人の願いである。本課題はIn vitro試験を用いたスクリーニングにより癌細胞への効果を示した、天然由来バニロイドの一種に絞った検討を行う。骨転移癌モデルマウスを用い、In vivo最終評価による安全性試験、副作用検定、癌抑制効果の検討により、将来的な臨床応用につながる研究開発を行う。
451 ウィルス感染予防に用いる徐放性芳香精油製剤等の開発 落合 宏 富山大学 佐貫 大三郎 富山大学 療養病棟や介護施設の環境衛生の保持はニーズの高い研究課題である。植物精油は、癒しやリラクゼーション作用の面から関心が高まりつつあるが、ある種の植物精油が発する芳香には、インフルエンザウイルス増殖制作用があることを見いだした。この知見を基に、本研究では、環境衛生保持の面から、有効濃度の芳香成分をいかに持続的に放出させるかの観点に立ち徐放剤添加植物精油剤の作製を試み、その有効性を芳香拡散距離や芳香暴露時間をパラメーターとしてインフルエンザウイルス増殖系や抗菌作用の面から検討する。
468 立位位置知覚能に焦点を当てた高齢者向け後方バランス訓練機器の開発 藤原 勝夫 金沢大学 長江 英夫 金沢大学 高齢者では、後方に転倒することが多く、後方バランスを改善する訓練法の開発が必要である。本研究では、床の前方移動によって身体前面の筋が活発に活動する後方バランス訓練法を開発する。課題は、1)座位、膝立ち位、立位での安静姿勢保時に床を前方に一過性に移動し、自動的に後傾姿勢を保持させる装置を開発し、2)その装置を用いた適切な訓練法(床前方移動の速度・振幅、訓練頻度)を提案すること、および3)適切な後傾姿勢の感覚参照系の形成状態を評価する方法を確立することである。
492 活性窒素種のラジカル反応を利用した放射線防護剤の開発 松本 英樹 福井大学 祝 一裕 若狭湾エネルギー研究センター 活性窒素種の一つである一酸化窒素(NO)ラジカルが有する放射線防護作用のメカニズムを解明し、実用可能な放射線防護剤の開発を行い、将来の応用を目指す。「ラジカルをラジカルで消去する」という発想から、副作用をもたない放射線防護剤の提案・開発・応用を行う。
放射線防護剤は当初軍事的な目的で開発され,その後がん放射線治療の補助薬(正常組織の保護剤)として研究されてきたが、未だに有効な当該薬剤は開発されておらず開発が切望されている。
819 口腔・胃・腸内共生細菌による水素ガス産生動態とその病態生理学的意義の解明 佐藤 英介 大阪市立大学 間 健一 大阪市立大学 近年、口腔内、胃、および大腸における共生細菌の分子機構解明が判明しつつある。しかし、そのホストと共生細菌の代謝的相互作用や分子論的実態の多くは不明である。申請者はヒトの口腔内や大腸内でも共生細菌により大量の水素ガスが産生されている事、歯磨きや口腔内殺菌により水素産生反応が阻害される事を見いだした。類似のガス代謝変化は抗生剤投与患者や消化機能病態患者等でも起こる事が予想される。本研究では、口腔・胃・腸内共生細菌による水素ガス産生動態を解析すると共に特定の食物により、細菌叢を調節して機能性食物により健康な生体ガス産生を制御することを目的とする。
830 飛沫ウイルスを不活化する新規カテキンの開発と感染防御への応用 開發 邦宏 大阪大学 高橋 佑嗣 大阪大学 我々は、これまでにリパーゼ触媒を用いて緑茶成分エピガロカテキンガレート(EGCG)にアシル基を修飾し、化学構造安定性やウイルス粒子不活能に優れたEGCGアシル誘導体の開発するためのノウハウを蓄積してきた。本課題では、その研究成果を応用し、インフルエンザ飛沫ウイルスを効率的に不活化し、動物やヒトがインフルエンザウイルスに感染することを未然に防ぐための技術を開発する。
869 微生物吸着能を有する架橋抗菌ハイドロゲルによるバイオフィルム不活化 奥田 修一 大阪府立大学 西村 紀之 大阪府立大学 食品製造環境や生活環境の微生物汚染に対処するために、キトサンやε-ポリリジンなど微生物を吸着できる正荷電と抗菌性を同時に有する天然高分子とヨウ素を包摂可能なポリビニルピロリドン(PVP),ポリエチレングリコール(PEG)などの水溶性高分子を放射線架橋法によりハイドロゲル化させ、微生物を積極的に抗菌性ゲル表面に吸着させ、ゲルより徐放されるヨウ素により効率良くバイオフィルムの殺菌を行うことを目標とする。
915 誘電泳動を利用した迅速な免疫測定法の開発 安川 智之 兵庫県立大学 八束 充保 兵庫県立大学 誘電泳動による微粒子の局所集積化に基づく迅速で簡便な免疫測定デバイスの開発を目的としている。分析対象物質を含む溶液中で誘電泳動により抗体修飾微粒子を抗原または抗体固定化基板に瞬時(数秒以内)に集積する。免疫複合体を構築し捕捉された微粒子の数または蛍光強度から定量を行う。固体表面への抗原および抗体の拡散による不均一反応に限定されていた免疫複合体の構築を、微粒子の誘電泳動による集積化により局所領域に強制的に集約し迅速化(5分以内)および簡便化する。
960 酵素を用いた新規血栓溶解剤の開発 上杉 佳子 岡山県生物科学総合研究所 梶谷 浩一 岡山大学 本研究は、申請者が見出した酵素を用いて新規な血栓溶解剤を開発しようとするもので、血栓症の予防に役立つ健康食品(トクホ)や治療薬を広く安価供給することを最終目標とする。血栓症は血管が血の塊で詰まる疾患であり、現在、死亡者の約3人に1人は血栓症によって死亡している。申請者は、これまでに高い血栓溶解効果を示唆する酵素を見出している。本課題では、本酵素の血栓溶解に関する定量的評価、動物実験を含めた生理活性試験および作用機序解明を実施する。
1106 MMOを利用した健康増進トレーニング支援システムの開発 金澤 啓三 詫間電波工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 本課題の目的は、QOL向上のための健康増進活動を支援する『多人数同時参加型オンライン(MMO)トレーニングシステム』の開発である。本システムは、自転車型の運動器具より入力された複数のユーザの運動をCG によって描かれるオンラインの共有仮想空間上の飛行機の推進力に変換し、人力飛行(有酸素運動)を行い可視化する。さらにユーザ同士のコミュニケーション(励まし合い/競争意識)を利用して、怠りがちなトレーニングの動機付けを刺激し、健康増進活動の継続を支援(=挫折を防止)するシステムである。
1143 脳機能を高める柑橘類活性物質の探索とサプリメントへの応用 古川 美子 松山大学 菊池 敏夫 えひめ産業振興財団 柑橘類には抗アレルギー作用、発ガン抑制作用など種々の機能をもつ成分が含まれるが、脳機能に作用する成分についてはほとんど調べられていない。本課題は、神経細胞内の基幹シグナル伝達分子であり、高次脳機能に不可欠の分子と解明されつつあるmitogen-activated protein kinase (MAPK)の活性化を指標として、柑橘類に含まれる脳機能活性物質を探索・解析し、脳活性化サプリメント開発へと発展させることを目的とする。
1169 クライアントの病状ステージに応じた新しい血糖コントロール食品の開発 川村 美笑子 高知女子大学 彼末 富貴 高知女子大学 本課題では、申請者が世界で初めて粉末化に成功したミネラルトレハが有する食後血糖値上昇を抑制する特性を生かし、クライアント(対象者)の病状ステージに応じた新しい血糖コントロール食品を開発することを目的とする。「新しい血糖コントロール食品」は、メタボリックシンドロームの有病者・予備群や高齢者の血糖コントロールを目的に、年齢・性差・健康状態・病歴などを視野に入れたエビデンスに裏付けられる食品として開発する。
1179 時間的制約のある生活習慣病ハイリスク者に有効なeラーニングプログラム確立に関する研究 都竹 茂樹 高知大学 北添 英矩 高知大学 「生活習慣病ハイリスク者の減少、医療費の適正化」を目的とした特定健診・保健指導の対象者の多くは、多忙な勤労する中年男性であり、時間的制約のあるハイリスク者に対する支援プログラムの開発は不可欠である。本研究では、時間・場所の制約が少ないeラーニング・プログラムを、国保ヘルスアップモデル事業での申請者の経験に基づいて開発する。
1231 サイズ均一多孔質炭素を用いた抗肥満薬の開発と薬効評価 平田 美由紀 九州大学 平田 徳宏 九州大学 本申請課題では、活性炭の消化管内物理吸着原理を利用した体重抑制作用による抗肥満薬の開発を目指して、活性炭の経口投与動物実験を行う。本提案のサイズ均一多孔質炭素は制御された条件で生成された高純度球形粒子であり、仕様を確定する必要がある医薬品として相応しいものであると考えられる。必須ミネラルバランスの点から薬効評価を行う予定である。
52(B) 天然物精油/粘土鉱物複合材料を用いた衛生害虫忌避製品の開発 武内 浩一 長崎県窯業技術センター 藤本 和貴 長崎県工業技術センター ドライプロセスにより天然物精油成分を粘土鉱物と複合化した機能性材料における防ダニ活性に着目し、フィールドにおける評価において、概ね6 カ月間のダニ忌避効果を確認した。今後、業務用資材として実用化を目指すに当たり、素材の安定性の確保、製造原価の低減が必要であり、そのために複合材料の構造状態の推定と防ダニ活性との関係解明、それに基づく複合材料の改良と実用的な形態付与、さらに安全性評価などに取り組む。

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 治療薬:89件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
8 肺コレクチンを用いたレジオネラ菌感染防御への応用 黒木 由夫 札幌医科大学 一瀬 信敏 札幌医科大学 レジオネラ菌は細胞内寄生菌で、レジオネラ肺炎が一旦発症すると、特に高齢者では重篤となり、社会的にも注目されている。肺コレクチンは、気道・肺胞に存在する生体防御レクチンで、呼吸器ににおける重要な自然免疫因子である。本研究では、レジオネラ菌の増殖、および、マクロファージに貪食された後の細胞内増殖に対する肺コレクチンの抑制作用とその機序を解明し、レジオネラ菌感染防御因子としてのコレクチンの臨床応用を目指す。
9 ジアシルグリセロールキナーゼα阻害によるメラノーマ治療 坂根 郁夫 札幌医科大学 一瀬 信敏 札幌医科大学 メラノーマは、NF(nuclear factor)-κBが常時活性化されおり、現在のところ有効な化学療法は存在しない。最近、ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)αの特異的阻害剤の投与によってNF-κB活性を阻害し、メラノーマの死を細胞レベルで誘導することが可能となった。そこで、この成果に基づき、DGKαを標的としたメラノーマに対する新たな治療薬を開発するための第2段階として非臨床試験を行い、本薬剤の実用化の見通しを得ることを目指す。
45 象牙質フォスフォフォリン由来ペプチドを用いた硬組織再生治療への応用 安田 善之 北海道医療大学 蛸島 武広 北海道医療大学 現在、骨を積極的に誘導する材料としては骨形成タンパク質(BMP)が有力であり、強力な骨形成誘導活性を示すが、担体の種類や価格などの問題を抱えている。そこで、骨誘導性象牙質フォスフォフォリン由来ペプチドと生体親和性を有するタイプIコラーゲンとを架橋剤を用いて複合し、複合体上でヒト骨髄細胞を培養することにより細胞ハイブリッド型人工骨を作製して、ヌードマウス大腿骨における新生骨誘導を目指す。最終的にはBMPの作用に匹敵するような硬組織再生材料を開発する。
79 腫瘍血管内皮マーカーの事業化-腫瘍血管を標的とする新規抗ガン剤ならびに早期診断システムの開発- 樋田 京子 北海道大学 清水 條資 科学技術振興機構 真に腫瘍血管に特異的な薬剤を開発するために腫瘍血管内皮マーカーを標的とした中和抗体、ワクチンなどの創薬開発、さらには腫瘍血管内皮特異マーカーのうち分泌タンパクはがんの血清マーカーとしての応用を目指す。
82 インスリン感受性糖輸送担体をターゲットとした糖尿病治療薬の開発 佐藤 久美 北海道薬科大学 東 市郎 北海道薬科大学 インスリン感受性糖輸送担体GLUT4は、骨格筋や脂肪細胞などに存在し、インスリン受容体に始まるインスリン情報伝達機構の最終段階に位置する。インスリン刺激によって細胞内プールから細胞膜上に移行するGLUT4が、細胞外の糖を細胞内に取り込んで血糖値を下げる。インスリン欠乏性糖尿病でもインスリン抵抗性糖尿病でもGLUT4が細胞膜上に出現しさえすれば、高血糖は改善される。本研究では、『細胞膜上へのGLUT4の出現』を目指して、関連情報伝達因子を活性化する物質、GLUT4発現誘導を促す物質を探索する。
112 糖鎖改変ウリナスタチンの医薬品への応用 柿崎 育子 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 ウリナスタチンは、1本のコアとなるタンパク質に1本のグリコサミノグリカン(GAG)糖鎖が結合したシンプルな構造のプロテオグリカンである。この分子は、タンパク質部分のプロテアーゼ阻害活性に基き、医薬品として使用されているが、GAG糖鎖の構造に基く本来の生理活性は十分には証明されていない。本課題では、このGAG糖鎖の機能探索を目的とし、GAG糖鎖を改変したUTIを糖鎖工学的に大量に調製し、その生理活性試験を行う。
113 Nrf2活性化に基づく脳血管障害予後改善剤評価法の開発 吉田 秀見 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 神経細胞は神経成長因子NGFなどの神経栄養因子を持続的に必要とする。酸化ストレス応答を制御する転写因子Nrf2は、活性化されるとNGFの発現を誘導することがわかってきた。グリア細胞は虚血や再潅流後の脳における神経細胞機能を保護・維持しようとする。脳血管障害の治療や予後改善のために、アストロサイトの潜在的な機能に注目し、Nrf2誘導剤等の組合せによる神経栄養因子産生の効果的活性化法を検討、評価する。
123 食品成分由来潰瘍性大腸炎治療薬の開発:治療効果と宿主の遺伝的背景との関係 猟山 一雄 青森大学 野呂 治 弘前大学 BALB/cマウスの急性潰瘍性大腸炎に対し、沢ワサビ由来のイソチオシアネートが、現在臨床で使用されているスルファサラジンと同等かそれ以上の効果がある(平成19年度JST支援による)。しかしながら、BALB/cマウスではDSSの飲用をやめると、すみやかに潰瘍性大腸炎が回復し、慢性化することがない。このことより、潰瘍性大腸炎誘発マウス自体の自己修復能力が高い場合にのみイソチオシアネートやスルファサラジの効果がみられる可能性がある。解決すべき問題点は自己修復能力が高くないマウスの系統で、上記化合物が有効かどうかを明らかにすることである。
166 骨格筋組織繊維化防止治療薬(肉離れ治療薬)の開発 永富 良一 東北大学 渡邉 君子 東北大学 本研究では生体内RNA 干渉法による繊維化関連遺伝子の抑制による筋損傷後の繊維化防止治療薬を開発することを目的とする。マウスに反復薬物投与あるいは反復伸張性収縮負荷による筋損傷を作成直後に、生体内RNA 導入法により繊維化に関与する遺伝子を一過性に抑制するsiRNA を投与することにより繊維化を防止できる至適条件を明らかにする。また回復後の再損傷にも有効かどうかを検討する。
171 生涯発現が持続する、新しい超音波遺伝子導入法の実用化研究 熊谷 啓之 東北大学 渡邉 君子 東北大学 超音波導入法は、ウイルスベクターを用いない、極めて安全な遺伝子治療法である。ところが従来の手法では、遺伝子発現の持続期間が極めて短いことが大きな欠点であった。そこで申請者は発現ベクターに工夫を施すことにより、マウスの生涯にわたり発現を持続させることに成功した。本研究では、この新たな手法の臨床的実用性を検証すべく、筋ジストロフィーモデルマウスを対象に、治療効果の持続性、および安全性を評価する。
172 転移性乳がん細胞を標的とした抗がん剤の開発と応用 権田 幸祐 東北大学 渡邉 君子 東北大学 がん化誘導因子を標的とする抗体型抗がん剤は「標的因子の活性阻害」や「免疫系細胞によるがん細胞駆除」を誘導する医薬品で近年急速に発展してきた。これまでに申請者は、乳がん細胞の転移能活性化因子を標的とするモノクローナル抗体を調製し、その分子活性を抑制することに成功してきた。本研究では、遺伝子工学的方法で抗体産生細胞から抗体遺伝子を単離し、「抗体分子構造のヒト化」と「抗体機能の強化」を行い、対がん効果を増強することで臨床への応用を目指す。
185 チャネルロドプシン−2遺伝子導入による視覚再生研究 富田 浩史 東北大学 猪股 俊行 東北大学 本試験では、生体親和性化合物を用いて、網膜の特定部位(黄斑部)にChR2 遺伝子を導入する技術を開発することを目的とする。具体的には、サルに対して黄斑部へ高頻度に遺伝子を導入できることの確認を行なう。さらに、最適と思われる遺伝子導入方法を決定し、ヒトと同様の黄斑部を有するサルに対して行い、黄斑部への遺伝子導入効率を調べる。
187 神経再生を促進するバナジウム化合物の創薬研究 福永 浩司 東北大学 渡邉 君子 東北大学 万能細胞 (iPS 細胞) の発見により神経再生医療への応用が期待できる。私達は末梢投与により脳梗塞後に脳神経細胞の新生を促進するバナジウム化合物を見いだした。バナジウム化合物はインスリン様作用による血糖降下作用を有している。本研究ではアルツハイマー病モデルおよび脳梗塞モデル動物を用いてバナジウム化合物の神経新生促進のメカニズムと臓器毒性、薬物動態を明らかにして、神経再生治療への臨床応用を目指す。
190 酸化LDL認識ペプチドを用いたメタボリックシンドローム改善薬の開発 蝦名 敬一 東北薬科大学 渡邉 君子 東北大学 本試験では、酸化変性脂質の誘発する機能を網羅的に制御することで可能となる、脳血管障害、粥状動脈硬化症、さらには糖尿病などのメタボリックシンドロームの画期的予防・治療薬の開発に資することを目的とする。具体的には、動脈硬化促進要因としてのサイトカインネットワークおよびメタボリックシンドローム惹起要因としてのアディポサイトカインネットワークにおけるペプチドの活性脂質機能制御メカニズムの解析を行なう。
191 5-アルキルイミノフラノースライブラリー構築を基盤とするゴーシェ病治療薬の開発 今堀 龍志 東北薬科大学 田村 光彦 科学技術振興機構 本試験では、安全なゴーシェ病SRT(Substrate Reduction Therapy)を目指した新規グルコシルセラミド合成酵素阻害剤(GCSI)として、5-アルキルイミノフラノース誘導体(5AIFD)をデザインし、その開発を目指す。グルコシルセラミドの構造を模倣した第一次直鎖型5AIFDライブラリーの構築、ライブラリーの活性評価によるリード化合物の探索、構造最適化によるオルトゴナルなグルコシルセラミド合成酵素阻害剤の開発を行なう。
192 認知症周辺症状(問題行動)を改善する薬剤の創製 中澤 孝浩 東北薬科大学 田村 光彦 科学技術振興機構 漢方薬の釣藤散や抑肝散は、認知症周辺症状の改善効果を示すことが報告されている。我々は、これらの有効成分がアルカロイドの生体内代謝物に由来することを発見した。認知症周辺症状の抑制に現在使われている薬剤は様々な副作用を示すが、本課題の開発薬剤は“臨床応用中の漢方薬”主成分の代謝物の誘導体であり、副作用のない抗精神病薬創製の可能性が極めて高い。本課題では、代謝物誘導体を合成、それら化合物の問題行動抑制活性を検証し、認知症問題行動改善効果を示す薬剤開発に繋げる。
204 骨形成阻害機構に着目した骨粗鬆症治療のための抗体医薬開発 小代田 宗一 秋田大学 森川 茂弘 秋田大学 骨粗鬆症は超高齢化社会の到来にともなってますます深刻な問題になる事が予想され、その有効な治療法の開発は急務である。申請者は、骨形成異常を引き起こす因子の合成を特異的に阻害する抗体の高効率作製系を開発した。本技術により作製した抗体を骨組織に導入することにより骨粗鬆症などの骨代謝異常による病態を改善する抗体治療薬を開発するものである。
224 タンパク質アクチノヒビンを用いた多剤耐性株に有効かつ副作用の少ない抗エイズ薬の開発 田中 晴雄 いわき明星大学 坂本 美穂子 いわき明星大学 エイズウイルス(HIV)の遺伝子はRNAであり、DNAを遺伝子とする生物より100万倍の強さで変異する。そのため、効果的なワクチン開発の見通しも立っていないし、抗HIV薬の効かない耐性株が容易に出現する。我々は、これまでの抗HIV薬とは異なる機構により、多剤耐性HIV株にも有効な新しい抗HIVタンパク質・アクチノヒビン(Actinohivin:AH)を発見した(日本特許 3962772,米国・豪州で登録済み)。本課題では、ポリエチレン・グリコール(PEG)化インターフェロン(半減期の長いC型肝炎治療薬)の例に倣って、PEG化AHを作製し、体内で半減期が長く安定でしかも副作用の少ないエイズ発症予防とエイズ治療を目的とした注射薬の開発を目指す。
248 出芽酵母を用いた脂質蓄積関連薬剤スクリーニングのための指標遺伝子・蛋白質の至適化 神坂 泰 産業技術総合研究所 小高 正人 産業技術総合研究所 ヒトなどの真核生物のモデル生物である出芽酵母サッカロミセス・セレビジアを用いて、脂質蓄積を制御する薬剤のスクリーニング系の開発を行う。既に遺伝子改変によって脂質含量が増加した株のDNAマイクロアレイ解析、プロテオーム解析によって、脂質蓄積の指標候補として同定された遺伝子、蛋白質の中から、脂質蓄積量との相関関係の検討などによって、更に至適化した指標セットを選定し、この酵母株を用いた薬剤のスクリーニング系を構築する。
265 生活習慣病モデルマウスを用いた薬剤スクリーニング法の開発 柳川 徹 筑波大学 林 良夫 筑波大学 本課題は過食、肥満、インスリン抵抗性、脂肪肝などのフェノタイプをもつA170遺伝子ノックアウトマウスが生活習慣病モデルマウスとして、薬剤の評価や治療法の効果判定に使用できるかを調べ、新規スクリーニング法としての有効性を確認するのが目的である。今回、とくに、食後高血糖改善薬の脂肪肝抑制効果について、本モデルマウスを用いて薬効の評価をおこない、本モデルマウスのスクリーニング法としての有用性を検討する。
276 新規糖尿病治療薬としてのグレリン受容体拮抗薬の開発 出崎 克也 自治医科大学 松枝 健一 自治医科大学 生体の血中グルコース濃度はインスリン等の血糖調節ホルモンによって厳密にコントロールされており、この血糖調節の破綻は糖尿病を来たし重篤な合併症を引き起こす。申請者は、新規ホルモン『グレリン』による生理的インスリン分泌抑制機構を明らかにし、グレリン機能の阻害によりインスリン分泌が亢進することを見出している。本研究では、膵β細胞グレリン受容体拮抗薬を開発し、インスリン分泌促進作用による新たな糖尿病治療法の開発基盤を構築する。
284 肝臓を標的とした新規2型糖尿病治療薬の開発 井上 裕介 群馬大学 小暮 広行 群馬大学 2型糖尿病は深刻な生活習慣病であり、現在までに多種類の治療薬が使用されている。しかし、その治療には個々の患者に応じた治療薬の選択が必要であり、多くの新規治療薬が開発段階にある。我々は、肝臓で高発現するHNF4αの肝臓特異的欠損マウスがグルカゴン受容体(GCGR)の発現減少に起因する血糖値低下を示すことを見いだした。本課題では、HNF4αを介してGCGRの転写を肝臓特異的に制御する因子を同定し、この因子を標的としたsiRNAなどにより、マイルドな薬効が期待される新規2型糖尿病治療薬の開発を目的とする。
291 新規β細胞分化誘導因子ベータセルリンδ4の受容体系解明とスーパーアゴニストの開発 小島 至 群馬大学 塚田 光芳 群馬大学 2型糖尿病に対する再生医療を実現するためには、内在性の膵幹細胞を分化させる有効かつ安全な膵β細胞分化誘導因子の開発がきわめて重要である。ベータセルリンδ4はこの条件を満たすきわめて有望な因子であることをこれまでに明らかにしてきた。本研究では、ベータセルリンδ4のシグナル伝達系を解明し、ベータセルリンδ4受容体の構造決定を行う。さらにその知見に基づきより有用なアゴニストの開発を目指す。
294 TRPV2を標的とした新規がん転移阻止法の開発 中川 祐子 群馬大学 塚田 光芳 群馬大学 本研究は我々が見出したがん細胞の遊走・転移に関する新規チャネル分子TRPV2を標的としたがん転移阻止法を確立することである。TRPV2チャネルはカルシウム透過性陽イオンチャネルで、がん細胞のポドゾームに集積するという特徴をもつ。TRPV2チャネル活性を抑制する方法、特に特異性の高い拮抗薬を探索したり、チャネル機能を制御する方法を確立し、これらによって新たながん治療法の開発を目指すものである。
300 前立腺組織内遺伝子発現に基づくテーラーメード内分泌治療法の開発 鈴木 和浩 群馬大学 塚田 光芳 群馬大学 前立腺癌に対する内分泌療法の個別化を実現するために、前立腺組織内に存在する男性ホルモン代謝酵素の遺伝子発現プロフィールから、LH-RHアゴニスト単独 対 抗男性ホルモン剤併用 の選択をするシステムの開発を目指す。針生検から組織を採集保存し、代謝酵素の合成系/異化系の遺伝子発現量比と治療反応性から、単独治療で十分な発現量比を設定する。この発現量比をもとに、実際の未治療症例に対して単独、あるいは併用治療を行い、その治療反応性から今回のシステムの妥当性を評価する。
314 フィブロネクチン由来反接着性ペプチドFNV14と抗癌剤を併用した急性骨髄性白血病の根絶治療法 深井 文雄 東京理科大学 加藤 篤行 東京理科大学 急性骨髄性白血病治療における臨床上最も重要な課題は再発防止にある。申請者らは、反接着性ペプチドFNIII14を抗がん剤と併用することによって、急性骨髄性白血病の根絶治療が可能であることを明らかにした。本研究では、ヒト血清中での安定化に最近成功した修飾ペプチドFNIII14のin vivoにおける効果を確認するとともに、更なる高機能化を目的として、修飾FNIII14のデンドリマー化による抗がん剤内包リポソームの調製を実施し、ヒト臨床治験を見据えた基礎的研究とする。
361 新しいベータアドレナリン受容体シグナルEpacの特異的刺激薬の開発と心不全治療への応用 奥村 敏 横浜市立大学 今井 紘 横浜市立大学 ベータアドレナリン受容体シグナルのうち近年報告された Epac (exchange protein directly activated by cyclic AMP) は心不全発症に抑制的に作用する主要な構成因子であると考えられる。本研究では Epac の特異的刺激薬を開発し新しい作用機序の心不全治療薬の開発を目標とする。
365 高特異性MMPインヒビターの設計によるがん転移抑制剤の開発 東 昌市 横浜市立大学 今井 紘 横浜市立大学 マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)は、細胞外のタンパク質分解を介して癌細胞の浸潤・転移能を支える。当該グループはβ-アミロイド前駆体蛋白質分子内のMMP-2選択的阻害領域を見出した。一方、癌細胞の細胞膜上に存在するコレステロール硫酸がMMP-7に特異的に結合し、癌の転移能を増強することを明らかにした。本研究では癌治療の有望な標的分子であるMMP-2およびMMP-7 とそれらの特異的結合分子との相互作用を詳細に解析し、これを基に高特異性阻害剤を設計することを目標とする。
378 全合成人工酸素運搬体(リポゾーム封入HemoCD)の開発 川口 章 東海大学 三瀬 隆 東海大学 本課題では、人工酸素運搬体(HemoCD)を全合成し、これをリポソーム封入などの血管外漏出防止措置を施した上で、主に脳梗塞や創傷治癒などの虚血性疾患での有用性を検討する。さらに、酸素親和性・粒子径・表面処理などを最適化して実用化を目指す。HemoCDは合成物で生物由来物質と違うため、1)感染症の危険がなく、2)豊富な原料からの量産とコスト低下が見込まれ、3)分子量が小さいため更なる機能向上などが期待される。
391 ヒト制御性樹状細胞を用いた免疫細胞療法の開発 佐藤 克明 理化学研究所 岩野 はるか 理化学研究所 本研究課題では、申請者が開発した制御性樹状細胞を用いた免疫細胞療法の免疫疾患に対する臨床開発を目標として、ヒト制御性樹状細胞の生体におけるT細胞機能制御効果をヒト免疫細胞の生着を可能とするヒト-マウス異種移植モデルを用いて明らかにする。具体的には作製したCIITA遺伝子RAG1遺伝子両欠損マウスに健常人ボランティアの血液から調製したヒト制御性樹状細胞とヒトT細胞を移植して、移植後のヒトT細胞の機能に及ぼす効果の解明を目的とする。
409 ヒトmiR-122を分解する新たなsgRNA剤の開発 梨本 正之 新潟薬科大学 佐々木 峰子 株式会社新潟ティーエルオー TRUE gene silencing (tRNase Z-utilizing efficacious gene silencing)法は、すべてのヒト細胞に存在する酵素tRNase Zと、7-30 ntの人工的にデザインされたsmall guide RNA (sgRNA)を用いて、がん遺伝子のmRNAやHIV-1 RNAなど、あらゆるRNAを特異的に切断することができる新たな技術である。本課題では、C型肝炎ウイルスの増殖に関係するmiRNAであるヒトmiR-122を特異的に分解するTRUE gene silencing 用sgRNA剤を開発することを目的とする。
448 神経系遺伝子発現に影響を与えるU型ピレスロイドの修飾と脳機能改善効果 津田 正明 富山大学 佐貫 大三郎 富山大学 従来の脳神経疾患治療薬の多くは、神経伝達部物質の再取り込みや分解抑制を介している。最近、記憶・学習など長期的な神経機能変化には、遺伝子発現の関与することが明らかになってきた。代表者らは、II型ピレスロイド殺虫剤デルタメトリン(DM)が神経細胞中で、脳由来神経栄養因子(BDNF)など神経機能発現にかかわる一連の遺伝子発現を効果的に誘導することを認めている(J. Pharm. Exp. Ther., 2006)。すでに、DMの新規類似化合物がBDNF誘導能を有していることを認めており、本課題ではこれら新規化合物の脳機能改善効果を調べ、次世代型脳神経疾患治療薬の開発を目指す。
450 糖尿病性合併症治療薬開発を指向した新規三環系化合物の合成と活性評価 豊岡 尚樹 富山大学 佐貫 大三郎 富山大学 現在、大きな社会問題になっている糖尿病性合併症治療薬の開発は極めて重要な課題の一つである。本研究では、既存の薬剤が抱える問題点(組織への移行性不良、過敏反応等)を克服することができる可能性を秘めた新規三環系化合物の合成と活性評価を行い、次世代型の糖尿病性合併症治療薬シーズを発掘することを目的とする。
462 組換えHGFによる骨折・関節傷害の再生修復技術の開発 松本 邦夫 金沢大学 渡辺 良成 金沢大学 骨折や関節傷害(靭帯や半月板の損傷・断裂など)は数ヶ月から数年に及ぶ長期療養期間を必要とし、治癒・復帰を早めることができれば医療費と順応のための負担が著しく軽減される。本研究では骨折・膝関節傷害に対する新しい再生治療法の基礎を確立するため、モデル動物に組換えHGF(肝細胞増殖因子)タンパク質を局所的に投与し、骨折や膝関節傷害の再生・修復が促進されることや治癒期間の短縮を明らかにする。
471 魚類ウロコを用いたがん細胞の骨転移能簡便スクリーニング法の開発 鷲山 幸信 金沢大学 長江 英夫 金沢大学 魚類のウロコはヒトの代替骨モデルとしての特徴を有している。この特徴を利用して本研究では、骨転移することが実験的に知られている様々ながん細胞を、ウロコを用いた擬似的な骨環境で培養し、がん細胞と骨芽細胞および破骨細胞の相互作用に基づく骨吸収マーカー、骨形成マーカーの量の変動を測定する。この変動の観測が示す結果により、がん細胞が有する骨への転移能をin vitro 環境で簡便に測定できるスクリーニング法を開発する。
483 がん特異的酢酸代謝を標的とした新規がん治療法の開発 吉井 幸恵 福井大学 巽 信夫 福井大学 我々はこれまでに、がん細胞において特異的な酢酸代謝経路が存在することを発見した。この経路は、細胞質性acetyl-coenzyme A (CoA) synthetase 2 (Acss2)によって触媒され、がんの低酸素生存において重要な役割を果たしていることが明らかになった。こうしたことから、Acss2遺伝子を標的としたRNAiなどの方法による遺伝子抑制により、がん治療が可能になると考えられる。そこで、本研究では、Acss2を標的とした新規がん遺伝子治療法を開発することを目的とする。
501 好中球を用いたアルツハイマー病の診断と新治療方法の開発 伊藤 正彦 山梨大学 菅原 幸雄 山梨大学 Protein kinase C(PKC)が低下しているアルツハイマー病(AD)患者の好中球のCon A cap 形成率を測定し、これがADの診断方法になることを第1の目的とする。 候補化合物によってAD患者のPKCを回復させ、α-secretaseを活性化し脳内のアミロイド前駆蛋白を可溶化・無害化に導き新しい治療薬とすることを第2の目的とする。
532 ステロール含有脂質ナノミセルの開発と褥瘡治療への応用 板野 直樹 信州大学 篠塚 由紀 株式会社 信州TLO ヒアルロン酸合成促進性ステロール化合物とリン脂質からなるナノミセルを開発して、創傷部位における効率的かつ持続的なヒアルロン酸合成の促進技術を確立し、褥瘡治療への応用を目指す。
554 免疫・アレルギー疾患治療薬を目指した新規ヒトインターロイキン-18 制御法の開発 木村 豪 岐阜大学 丸井 肇 岐阜大学 インターロイキン18(IL-18)は、ヒトの免疫異常疾患、アレルギー疾患等の悪化因子として報告されてきている。本研究では、IL-18の制御法の開発を目的とし、IL-18阻害機能を有する生物学的製剤の開発を行う。対症療法が主体である自己免疫・アレルギー疾患に対する新規治療薬として用いることができると思量される。
556 脳内シグナル伝達を活性化するピーナッツ渋皮成分の同定と抗うつ健康食品への応用 古川 昭栄 岐阜薬科大学 武藤 高義 岐阜県研究開発財団 脳由来神経栄養因子 (BDNF) は記憶・学習能などの高次脳機能に不可欠の基盤分子である。近年うつ病との相関が明らかにされているがタンパク質であるため臨床応用には問題点が多い。そこで本研究では、BDNFの主要な細胞内シグナル伝達経路であるERK1/2・MAPキナーゼ経路を脳で活性化する物質をピーナッツ渋皮成分から開発し、これを将来の抗うつ薬や健康食品へと発展させるための検討を行う。
622 UAAナンセンス変異におけるリードスルー効率の評価系の構築 稲田 利文 名古屋大学 井門 孝治 名古屋大学 ナンセンス変異は遺伝病の原因となる代表的な変異である。ナンセンス変異を持った異常mRNAから正常なタンパク質を合成させる最も単純でかつ根本的な方法は、ナンセンス変異での翻訳終結を阻害して翻訳を継続(リードスルー)させ、かつ正常な終止コドンでの翻訳終結は阻害しない低分子化合物を同定することである。申請者はUAAナンセンス変異におけるリードスルーを引き起こす薬剤の同定を最終目的として、様々な位置に存在するUAAナンセンス変異の読み飛ばし(リードスルー)効率を正確に評価するシステムの構築を行う。
644 ピリドキサールリン酸を用いた皮膚老化防止剤の開発 丹羽 利充 名古屋大学 久野 茂正 名古屋産業科学研究所 ビタミンB6誘導体の一種であるピリドキサミンが最終糖化産物(AGEs)生成抑制作用を持ち、糖尿病ラットの腎障害進展抑制効果を発揮することが報告されている。私共はピリドキサールリン酸がAGEsの前駆体となる3-デオキシグルコソン(3-DG)をトラップし、AGEsの生成を抑制することにより、腎不全合併症である腹膜硬化の軽減、また糖尿病性腎症の進行の抑制を認めた。ピリドキサールリン酸による皮膚老化防止作用について検討する。
694 ヒト白血病ウイルス1型(HTLV-1)感染の予防法の開発 三輪 正直 長浜バイオ大学 福崎 優太 長浜バイオ大学 ヒト白血病ウイルス1型(HTLV-1)は、成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルスとして知られる。現在、わが国では、感染者は100万人と推定され数十年の潜伏期の後に数%の割合でATLが発症する。HTLV-1の感染経路は主に母乳であるので、母乳感染を予防できればATLの予防につながる。我々は、細胞培養系で初乳中に多く含まれているラクトフェリンが感染を予防する予備的知見を得たのでこの効果を確かめたい。
695 抗がん剤創薬の新規ターゲットLSD1の阻害剤開発 水上 民夫 長浜バイオ大学 福崎 優太 長浜バイオ大学 LSD1は、ヒストンのメチル基の除去活性により、細胞がん化に繋がる転写シグナルをスイッチオンすることが最近明らかにされ、抗がん剤創薬の新規ターゲットとして大きな注目を集めている。本試験では、LSD1阻害剤の薬効評価・検証法の開発、抗がん剤開発の妥当性検証を設定課題とし、その解決により、当該薬剤の臨床試験開始の加速化を目標とする。
741 周期性四肢運動障害・むずむず脚症候群のバイオマーカーの同定(診断キット開発と根本的治療へ) 角谷 寛 京都大学 樋口 修司 京都大学 周期性四肢運動障害・むずむず脚症候群(RLS/PLMS)は一般の5-10%が罹患している頻度の高い原因不明の睡眠障害である。RLS/PLMS をマウスで再現する実験系を作出したので、この実験系と定量性を持ったプロテオーム解析を組み合わせることで、RLS/PLMS の診断用バイオマーカー並びに原因物質を同定することが本研究の目的である。本研究は、この疾患の診断キット、および、根本的治療法の開発にも繋がると考えられる。
754 代謝型グルタミン酸受容体をターゲットとする精神発達障害治療薬の開発 森吉 弘毅 京都大学 樋口 修司 京都大学 代謝性グルタミン酸受容体(mGluR)は 脳機能の発達維持に深く関わっており、精神発達遅滞や統合失調症との関連も示されていることから、これらの発達障害・精神疾患の治療薬開発の有力なターゲットとなっている。本研究ではmGluRの機能を調節する結合蛋白群との相互作用に着目し、従来とは異なる方向からmGluR活性を制御する方法を見出すことで、精神発達障害・精神疾患の新たな治療戦略の確立を目指す。
761 Chemical Geneticsを応用した内耳感覚細胞再生技術の開発 中川 隆之 京都大学 樋口 修司 京都大学 本研究では、小分子化合物により特定の遺伝子がコードするタンパクの機能を抑制するChemicalGenetics 技術を応用し、内耳感覚細胞を再生し、感音難聴治療に結びつけることを目的とする。内耳ドラッグデリバリーシステムを応用し、ノッチ情報伝達系阻害薬などを内耳に投与し、感覚細胞の再生を効率的に誘導する技術開発を行う。蝸牛器官培養系を用いて、感覚細胞再生効率の最適化を図り、in vivoにて有効性の解析を行う。
774 腫瘍組織に浸透可能な細胞間隙透過型siRNAキャリアーの開発 小暮 健太朗 京都薬科大学 内田 逸郎 科学技術振興機構 siRNA は、mRNA を特異的に切断することによって目的とする遺伝子の制御を行うことができる(RNAi)ため、ガンの治療薬として期待されている機能性核酸医薬品である。しかし、腫瘍組織内奥までsiRNA を送達する必要があり、実用化には至っていない。本研究では、申請者が培ってきたsiRNA デリバリー技術を駆使して、多層細胞組織である腫瘍組織内奥にまでsiRNA を効率的に送達可能なデリバリーシステムの開発を目指す。
776 天然物クルクミンおよびその類縁化合物を用いた心不全治療の開発 森本 達也 国立病院機構 樋口 修司 京都大学 我々は内因性ヒストンアセチル化酵素(HAT)活性を有する p300が心不全発症における遺伝子発現調節に極めて重要であることを示した。最近、天然物ウコンの主成分であるクルクミンがp300 の特異的アセチル化阻害作用を持ち、培養心筋細胞肥大を抑制すること、さらには、心不全ラットモデルにおいて、心不全の進行を抑制することを見出した(J Clin Invest 2008;118:868-878)。そこで、本研究の目的は、心筋細胞核をターゲットとした心不全治療の開発を目指すことである。
801 肝・胆・消化機能改善薬としての新規プロドラッグの開発 池川 繁男 近畿大学 松本 守 近畿大学 ウルソデオキシコール酸(UDCA)は、現在、肝・胆・消化機能改善薬として用いられているが、水に難溶性のため、注射や点滴による皮下投与や血管内投与ができないなど、適用範囲が限られている。そこで、胆汁酸の新規尿中代謝物と想定されるNAC抱合体がエステラーゼによって加水分解反応を受けて遊離型胆汁酸に変換されるばかりか、水に対する溶性が極めて高いという特徴的な物性に着目し、UDCAのNAC抱合体をプロドラッグとして開発すべく体内動態を明らかにする。
808 細菌自身のリボソーム不活性化を利用した耐性菌出現低確率抗生剤の開発 吉田 秀司 大阪医科大学 大野 安男 科学技術振興機構 本課題は細菌自身が有するリボソーム不活性化機構の解明を通じて耐性菌出現の可能性が低い薬剤を開発することを最終目標としている。細菌はストレスに曝されるとリボソームを二量体化して蛋白質合成活性を失わせる。この機構を欠損した細菌は自然界を長期間生存できないことから、細菌はこのストレス応答(蛋白質合成活性休止機構)をターゲットにした抗生剤に対して耐性を獲得しにくいことが予想される。本課題では研究期間内に薬剤デザインの基盤となる蛋白因子の機能ドメイン解析を行う。
822 新規抗炎症薬としてのジヒドロピリジン誘導体の開発 北川 誠一 大阪市立大学 間 健一 大阪市立大学 ジヒドロピリジン系カルシウムチャネルブロッカーのいくつかがヒト好中球の活性化を抑制することを最近明らかにした。臨床で用いられているカルシウムチャネルブロッカーのほとんどは鏡像(光学)異性体(S体とR体)の混合物である。我々は特定のブロッカーが鏡像異性体特異的に白血球機能制御作用を示すことを明らかにした。本研究の目的は、鏡像異性体特異的作用を解明し、白血球を標的とした新規抗炎症薬を開発することにある。
829 ウイルスベクターを用いたC型肝炎ウイルス感染評価系の開発 磯田 勝広 大阪大学 大野 安男 科学技術振興機構 C型肝炎ウイルス(HCV)は9.6 kbの長いRNAゲノムを有しており、未だ長いRNAをマウス肝臓に送達する技術は開発されていない。申請者は、長いRNAをマウス肝臓に送達できるウイルスベクターシステムを開発し、HCV粒子の産生を伴うことなく簡便にHCV感染を評価するシステムを構築してきた。本課題では、これら独自のシステムを用いて、HCV感染の危険性の無い、安全性と利便性を兼ね備えたHCV感染評価系を開発する。
835 歯根膜特異的ECMタンパクを用いた新規歯周組織再生治療薬の開発 山田 聡 大阪大学 大野 安男 科学技術振興機構 我々はこれまでに、歯周組織再生に必須の組織である歯根膜から単離した新規ECM(extracellular matrix; 細胞外基質マトリックス)タンパクPLAP-1(periodontal ligament associated protein-1; BiglycanとDecorinに高い相同性を示す新規プロテオグリカン様分子)が、歯根膜組織の恒常性維持および硬組織形成分化に重要な役割を担っていることを見出している。本課題では、この歯根膜特異的ECMタンパクPLAP-1の歯周組織再生における分子機能に着目することにより、新しい発想の歯周組織再生治療薬の開発を目指す。
881 熱帯熱マラリアの新規治療薬の開発 大西 義博 大阪府立大学 西村 紀之 大阪府立大学 熱帯熱マラリア原虫に特異的なアミノ酸配列を有する蛋白質を遺伝子組み換えにより合成精製し、結晶化後に蛋白質の構造解析を行う。これら蛋白質の立体構造をヒト由来の類似蛋白質のそれらと比較解析することで、新たな阻害剤すなわち低分子の新規治療薬が開発できるのかどうかを検証する。
949 除鉄を目的としたレチノイドによる慢性肝炎治療法の開発 土谷 博之 鳥取大学 足森 雅己 鳥取大学 C型慢性肝炎(CH-C)や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)などの慢性肝炎における病態の進展に、肝臓への鉄の過剰蓄積が関与していることが知られている。本研究の目標は、これらの慢性肝炎に対するレチノイド投与による新規除鉄療法を開発することである。そこで本研究では、慢性肝炎モデルマウスを用い、レチノイドによる肝臓除鉄効果を検討する。
961 血中ADMAを標的とした心血管疾患治療のための抗体療法の開発 木本 眞順美 岡山県立大学 湯浅 光行 岡山県立大学 心血管疾患の新しいリスクファクターとして、NO産生阻害活性を示すasymmetric dimethylarginine (ADMA)が同定されている。申請者らによるADMA代謝系の系統的な研究成果から、本疾患の治療法のターゲットとして、血中ADMA濃度を直接的に低下させる方法の有効性が示されている。本研究課題は、抗体工学(キメラ抗体作製、ファージデイスプレイ法など)を駆使して作製したADMA認識ヒト型モノクローナル抗体を血中ADMA制御薬とする。このように治療効果が高く副作用の少ない新規かつ実用的な心血管疾患治療法の開発を目指すものである。
962 抗腫瘍治療薬開発指向のフラビン類縁化合物の合成と高効率酵素阻害活性試験の研究 永松 朝文 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 本研究は、細胞増殖機能調節に関わっている酵素のプロテインキナーゼを阻害して腫瘍細胞の増殖を阻害する新規抗腫瘍薬開発に関する研究である。特に、デアザフラビン類縁化合物に関して、コンピューターを駆使したバーチャルスクリーニング系の構築を行い、この系より得られた活性情報を基にデザインした活性有効化合物のみを合成し、そのin vitroでの癌細胞への阻害活性試験およびin vivoでの抗腫瘍活性動物試験を行う新規高効率抗腫瘍薬開発研究である。
973 ボツリヌス毒素無毒成分を用いた腸管ターゲッティングDDSの開発 小熊 恵二 岡山大学 大村 祐章 岡山医学振興会 インスリンに代表されるように、ペプチド・タンパク質薬物の経口投与は、体内における不安定さゆえに困難を窮める。本応募課題では、ボツリヌス神経毒素複合体の赤血球凝集活性を示す無毒成分(HA)が小腸上皮細胞上の糖に結合して神経毒素を効率よく腸管から吸収させる特性を利用して、ペプチド・タンパク質保護作用を有する腸管ターゲッティング微粒子を開発することにより、ペプチド・タンパク質薬物の経口デリバリーシステムを目指す。
1047 血管病の原因となる受容体・蛋白の同定 川道 穂津美 山口大学 殿岡 裕樹 山口大学 本申請者らのグループは、世界に先駆けて血管病の本態となる血管異常収縮の原因分子スフィンゴシルフォスフォリルコリン(SPC)を見いだした。さらに、SPCが血管異常収縮を引き起こす細胞内の病的シグナル経路とその原因分子を同定し、その病的経路を選択的に遮断する特効薬を見いだした。しかし、理想的には、SPCが血管の細胞内へ病的シグナルを伝えた後に阻害する薬物ではなく、SPCが血管の細胞表面で作用する直前に阻止する方が、より確実で予防も可能となる。そのためには、SPCと結合する受容体・蛋白の機能を解明し、その機能を特異的に遮断することが必須であり、本研究ではSPC受容体・蛋白の精製と遺伝子クローニングを行うことを目指す。
1080 分子標的探索機能を備えたペプチドライブラリーからの抗がん作用ペプチドの同定 辻 大輔 徳島大学 平岡 功 徳島大学 本研究では、フォトアフィニティーラベル法を組み合わせることにより、相互作用するタンパクの特定を同時に行うことができるペプチドライブラリーを用いて、抗ガン活性或いは制ガン活性を持つ機能性ペプチドの探及び相互作用分子の同定を行い、分子メカニズムを解明した安全性の高い抗ガンペプチドの開発を目指す。具体的には、 @ in vitroスクリーニングによるペプチドライブラリーから機能性ペプチドの探策、 A フォトアフィニティーラベル法による相互作用タンパクの同定、 B in vivoでの抗ガン活性評価を行い、近い将来の臨床応用を目指した基盤研究を行う。
1083 プロテアーゼ耐性のユビキチン化阻害ペプチドの開発と応用 二川 健 徳島大学 大山 真吾 株式会社テクノネットワーク四国 運動器の廃用性萎縮の原因は、ユビキチンリガーゼ (分解すべき蛋白質にユビキチンを結合させる酵素 ) の異常な活性化である。本研究では、我々自身が発見した競合阻害オリゴペプチドを用いて、運動器 (筋・骨 )の廃用性萎縮治療薬の実用化を目指している。ペンタペプチド を大量に坐骨神経切除マウスの骨格筋に投与した。オリゴペプチドによるユビキチン化阻害や筋萎縮抑制効果は細胞実験から予想されたものより弱かった。その原因は、筋肉内に豊富に存在するアミノペプチダーゼによりペプチドが分解されているためであることがわかった。本研究では、ペプチドの N端を修飾したプロテアーゼ耐性のユビキチン化阻害ペプチドのより強力な筋萎縮抑制効果を in vivoで証明する。
1085 酸化ストレス誘導性細胞死を利用した新規癌治療法の開発と応用 福井 清 徳島大学 平岡 功 徳島大学 D-アミノ酸酸化酵素(DAO)は、D-体のアミノ酸を代謝し、活性酸素種として強い細胞毒性を有する過酸化水素を生成する。また、ヌクリングは酸化ストレス誘導性アポトーシス経路を構成する新規分子である。本研究は、この2 つの分子を新規癌治療法のシーズとして発掘し、抗癌剤のプロトタイプの開発と応用を目標とする。とくにポリエチレングリコールで修飾されたタンパク質分子は、癌組織への組織内取り込み効率が高くなることが期待される。
1119 がんミサイル攻撃機能を有する新規レクチン固定化人工細胞の実用化 加藤 敬一 愛媛大学 瀬野 英二 愛媛大学 我々の開発した海藻由来の新規レクチンESAは、癌細胞の異常糖鎖構造を分子認識して、癌細胞を標的・殺生する。このESAを癌攻撃ミサイル装置として利用し、流動性など従来のリポソームよりも多くの優れた特性を有する非イオン性界面活性剤Span80ベシクル(人工細胞)上に装着して、内部には抗癌剤を内包し、薬物送達システムの薬物運搬体に用い、従来よりも優れた新規な癌治療臨床応用をめざす研究を進める。
1120 リステリア菌による、より安全で効率的な遺伝子導入法の開発 丸山 砂穂 愛媛大学 瀬野 英二 愛媛大学 アレルギー疾患や感染症などに対する新しい治療法として、安全で効率的な遺伝子導入を行ったリステリア菌の開発を目的としている。細胞内寄生性細菌であるリステリア菌を遺伝子改変によって無毒化し、さらにNK細胞誘導や活性化という機能を効率よく引き出した菌株の開発、また菌体が効率よく感染する樹状細胞や腸管上皮細胞を標的として免疫機能を賦活化する方法を研究する。本研究の最終目標はリステリア菌を用いた遺伝子治療、経口的遺伝子ワクチン開発の基盤構築である。
1123 化学療法剤による口内炎・消化管炎症に対する症状緩和ドリンク含嗽剤の開発 荒木 博陽 愛媛大学 神野 俊一郎 愛媛大学 化学療法剤による難治性の口内炎は、QOLの著しい低下を招き、病院ではその対処に苦慮している。我々は化学療法剤による口内炎に対してローヤルゼリーの塗布が有効であることを、実験的に明らかにしてきた。加えて、化学療法剤投与では、口内炎のみならず消化管粘膜症状が多いことから、ローヤルゼリーをドリンク含嗽剤として、口に含んだ後に飲み込むことで、口内炎のみならず消化管粘膜症状の発症予防、症状の緩和、あるいは炎症の早期治癒が期待できる。
1129 動物の天然抗菌ペプチドの抽出精製と実用化技術 澄田 道博 愛媛大学 神野 俊一郎 愛媛大学 ヒトの皮脂腺は抗菌ペプチドを合成・分泌し、皮膚を感染から防御する機能を持つと考えられる。しかし、老齢化などにより同ペプチドの合成・分泌活性の低下に伴い、皮膚の防御機能が低下する。これを補う、副作用の少ない天然の抗菌ペプチドを開発する目的で、魚類組織等から、ヒトと共通のアミノ酸配列を持ち、抗菌活性の高いペフチドを抽出・精製し、感染予防の塗布薬としての実用化を試みる。
1131 無毒化リステリア菌を利用したがん治療法の開発 浅野 喜博 愛媛大学 瀬野 英二 愛媛大学 悪性メラノーマは皮膚ガンの一種で、転移により生命に関わる場合もある悪性度の高い腫瘍である。本研究では、遺伝子操作でリステリア菌の病原性を完全に除くとともに、宿主に強く免疫応答を誘導するリステリア菌の機能を残し、かつ強い腫瘍抑制効果を誘導可能な、安全で効率の良い遺伝子操作菌を作製する。これを用い、悪性メラノーマをモデル疾患として、従来の治療方針である「外科的な腫瘍の除去と術後の化学療法や放射線療法を行う」に代わる、新しいガン治療法開発を進める。
1132 脳梗塞治療に有用な骨髄前駆細胞動員促進物質の探索 田中 潤也 愛媛大学 入野 和朗 愛媛大学 脳梗塞が発症し、虚血に陥った病巣核心部では神経細胞死が起こる。病巣には、骨髄由来の球系細胞BINCsが集積し、病巣核心部で増殖するようになる。BINCsは、病巣拡大に対しての防波堤的な役割を果たしているが、自然状態ではBINCsの数は十分ではなく、中長期的な脳組織の破壊が進行する。本研究では、脳梗塞の予後改善のため病巣部により多数のBINCsを集積させることを目ざし、BINCsの骨髄からの動員と増殖を促進させる注射剤の開発を目指すものである。
1133 血管新生促進と抑制のバランス制御分子を標的とした血管ネットワーク形成特異的阻害剤の開発 東山 繁樹 愛媛大学 大山 真吾 株式会社テクノネットワーク四国 腫瘍血管新生の抑制は新たな制がん戦略であり、現在いくつかの薬剤が治療薬として認可を受けているが、副作用等の問題点も多く、さらにその精度を高める薬剤開発が必須である。われわれは血管新生促進と抑制のバランスを制御する分子を発見し、その作用機序も明らかにしている。その分子を標的とした抑制剤を、がん治療薬としての新たな腫瘍血管新生抑制剤として、開発・応用につなげる。
1172 皮膚癌多発マウスを用いた新規シグナル阻害軟膏の紫外線発癌の抑制効果 横川 真紀 高知大学 石塚 悟史 高知大学 紫外線による皮膚発癌のためには、表皮細胞のスタット3という細胞内シグナル伝達物質の過剰な活性化が必要十分条件であり、このシグナルの阻害が発癌を抑制することが明らかにされている。さらに、ヒトの紫外線による前癌症状、あるいは皮膚癌においてもこのシグナルは活性化している。今回、スタット3が恒常的に活性化された遺伝子改変マウスに生じる紫外線発癌が新規のスタット3阻害薬により抑制されるかどうか、また治療薬として効果的かどうかを検討する。
1201 糖尿病発症における性差を利用した糖尿病治療薬の開発 稲田 明理 九州大学 平田 徳宏 九州大学 男性は女性に比べて糖尿病の発症率が高いものの、60歳以上では女性の方が糖尿病人口は多いとされている(WHOの統計による)が、これら性差の原因解明の研究は、ほとんど無い。申請者が開発したTgマウスでは、性差が明確で、メスの大半の血糖値は回復している。そこで本研究では、女性ホルモンが作用する標的分子を同定し、その分子を活性化させる糖尿病治療薬の開発を目指す。
1207 癌栄養血管を標的とした新規癌遺伝子免疫療法の開発 久枝 一 九州大学 平田 徳宏 九州大学 本申請研究では癌/腫瘍の新生栄養血管に発現する遺伝子とユビキチン遺伝子の融合遺伝子を用いてDNAワクチンを行い、MHCクラスI分子を発現していない悪性のB16F10メラノーマ等に対する強い抗腫瘍免疫の誘導を試みる。この抗腫瘍免疫は癌細胞自体に対してではなく、特異的CTLがMHCクラスIと共に標的蛋白質エピトープを発現している 新生栄養血管を破壊することによる“兵糧攻め”効果を誘導することにある。
1217 アルツハイマー病モデルマウスにおける認知機能・病理学的解析法の開発 大八木 保政 九州大学 平田 徳宏 九州大学 アルツハイマー病(AD)の新規薬剤の簡便な有効性評価法として、ADモデルマウスを連続的に解析する手法を確立する。家族性AD関連の変異型PS1・APP・tau遺伝子を導入した3XTgマウスは、4ヵ月齢から記憶障害を呈し神経細胞内にアミロイドβ蛋白蓄積と神経原線維変化が見られる。薬剤投与前後でのモリス水迷路解析とその後の免疫染色による病理学的解析を連続的に行い、抗AD薬の臨床的効果を簡便に解析する方法を確立する。
1234 大腸がん細胞の浸潤・転移に対する新規阻害剤の開発に向けた基盤研究 鈴木 淳史 九州大学 山本 英樹 九州大学 大腸がんの患者さん全体の20030%ほどには転移(主に肝臓への転移)が認められ、それら転移したがんが原因で亡くなるケースも少なくない。本研究では、大腸がんの転移に対する予防と治療を可能にする革新的ながん薬物療法の開発に向けた基盤科学のひとつとして、大腸がんの悪性度が進行する過程で大腸がん細胞集団中に発生する浸潤・転移能を獲得した細胞を解析可能なモデルマウスを開発し、その有用性を評価する。
1262 海洋天然物ラメラリンをリード化合物とする新規抗がん剤の開発 岩尾 正倫 長崎大学 梅津 照彦 株式会社長崎TLO ラメラリン系海洋天然物は、悪性度の高い多剤耐性がん細胞に対して強い増殖抑制作用を示す。細胞増殖抑制の主要な作用機序はトポイソメラーゼ I の阻害である。本研究では、分子動力学シミュレーションにより得られたラメラリンD-DNA-トポイソメラーゼ I 三元複合体モデルに基づき、より有効と期待されるラメラリンDアナローグを設計・合成し、活性評価を行うことにより新規性の高い抗がん剤の創製を試みる。
1267 新型高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)感染症に対する治療用抗体製剤開発に関する研究 山城 哲 長崎大学 梅津 照彦 株式会社長崎TLO 高病原性鳥インフルエンザは、世界中で猛威を振るっており、家禽に対して大きな被害を与えている。最近では、本ウイルスの一部がヒトに感染、重症化する例が報告され、インフルエンザの世界大流行の可能性が示唆されている。本研究では、実際に高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染し回復したボランティアよりリンパ球の提供をうけ、インフルエンザ治療の可能性を有する中和抗体の作成を企図する。
1271 脳梗塞治療薬のスクリーニング 植田 弘師 長崎大学 梅津 照彦 株式会社長崎TLO 脳梗塞治療薬として承認されたtPAは、優れた効果を持つが、血液凝固系への作用をもつため、梗塞発症後3時間以内・CT所見による脳出血陰性という厳しい使用制限がある。現在の日本では3時間以内にCT所見を出せる医療インフラ整備は進んでいない。申請者が発見したPTaは、7時間後でも有効である他、血液凝固系とは無関係のため、CT所見も必要ない。本申請では、PTaの有効活性部位を特定し、ペプチド製剤としての開発を目指す。
1289 オートファジー性細胞死を誘導するペプチドミメティックの開発と応用 國安 明彦 熊本大学 松下 肇 熊本大学 オートファジー性細胞死を誘導する化合物は、がん治療の新たな創薬シーズとして注目されている。本研究では、腫瘍選択性の高い抗がん剤の開発を目指し、 我々が見出した腫瘍細胞株選択的にオートファジーを誘導する13merペプチドを活用し、本ペプチドの標的分子の同定ならびにペプチドミメティックスに よる安定性の高いオートファジー性細胞死誘導剤の創製を行う。
1307 PAMP(proadrenomedullinN-terminal 20 peptide)の臓器保作用を利用した医薬品の開発 北村 和雄 宮崎大学 石川 正樹 宮崎大学 PAMP(proadrenomedullin N-terminal 20 peptide) はアドレノメデュリン(AM)の前駆体から生合成される、降圧作用を有した生理活性ペプチドである。PAMP は降圧作用ばかりではなく、心筋障害の予防および治療薬としての有用性が明確となっている。本研究ではPAMP を将来循環器疾患治療薬として実用化するための基礎研究を推進し、医薬品として応用するための基盤の確立をめざす。
1312 日向夏のエステラーゼ阻害成分を用いたプロドラック吸収促進剤の開発 井本 真澄 九州保健福祉大学 竹下 義隆 宮崎県産業支援財団 エステル型プロドラッグは、吸収の際にエステラーゼによる加水分解を受け、その吸収量が減少する。代表研究者は、宮崎県産の柑橘類、日向夏(Citrus tamurana Hort.)果汁がエステラーゼ活性を強く阻害することを見出した。本研究では、日向夏中のエステラーゼ阻害成分を同定し、そのプロドラッグ吸収増大作用を指標に、日向夏成分を用いたプロドラッグ吸収促進剤を開発することを目標とする。
1317 がん治療を目指した低分子化ヒト抗体によるアポトーシス誘導 伊東 祐二 鹿児島大学 中武 貞文 鹿児島大学 低分子化抗体は、通常用いる完全ヒト抗体に比べ、生産コストの安さから医療への応用が期待されているが、がん治療効果として重要な抗体依存性細胞障害活性(ADCC)を保持していないことから、がん治療への応用が疑問視されている。本課題では、当該抗体が持つがん細胞に対する細胞死(アポトーシス)誘導能を、抗体エンジニアリングによる分子構造の改変によって強化することで、がん治療に応用できる低分子化抗体医薬の創製を目指す。
1319 腫瘍関連マクロファージを標的とした固形がん治療剤の開発 永井 拓 鹿児島大学 中武 貞文 鹿児島大学 がん組織に局在する腫瘍関連マクロファージ(TAMs)は、がん組織周囲の炎症反応に関与し、がんの増殖や転移を促進する。本研究では、代表研究者らが慢性炎症時の組織型マクロファージにおいて見出した成果をもとに薬剤を作製し、がん増殖・転移に対する抑制効果をマウスモデルで検討することを目的とする。
1320 CELRA法による網羅的生物活性機能評価システムの構築とその応用 宮田 篤郎 鹿児島大学 中武 貞文 鹿児島大学 CELRA(cis elements luciferase reporter assay)法とは、ルシフェラーゼレポーターアッセイ系を基盤として、代表研究者が新規に独自に開発した、複数の細胞内シグナル応答を同時にかつ高感度に検出する方法である。薬物毒性や薬効の評価など創薬研究のみならず、機能性食品開発への応用も可能な網羅的生物活性機能評価システムとしての発展性を持つ。
1323 異常アミロイドベーター分子を標的としたワクチン開発 杉村 和久 鹿児島大学 中武 貞文 鹿児島大学 アルツハイマー認知症は深刻な社会問題となっている。この予防・治療法の有力な手段はワクチンの開発であり、既に動物実験で、その免疫効果は実証されている。本課題は、代表研究者らが1998年にNature Biotechnology(16:267-270)に報告したペプチドミミック(構造模擬分子)の新規構築法(分子鋳型設計法)により、異常原因分子の構造を模倣したペプチドを設計し、これを免疫して、異常分子のみを標的とするワクチンを開発する事を目的とする。
1331 インスリン分泌障害を示す2型糖尿病モデルマウスの作製 山本 秀幸 琉球大学 伊良部 忠男 琉球大学 成人になって発症する2型糖尿病のほとんどは、過食や肥満によるインスリンの過剰分泌が引き金となる。現在、この2型糖尿病の発症機構を再現するモデルマウスは報告がない。応募者らは、インスリン分泌反応に、Ca2+/カルモデュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMキナーゼII)が関与することを見いだした。今回、2型糖尿病モデルマウスの作製を目的として、本酵素の遺伝子改変マウスを作製する。
1(B) 腸内細菌由来の活性物質を用いた新規消化器癌治療薬の開発と臨床応用 藤谷 幹浩 旭川医科大学 清水 條資 科学技術振興機構 LactobacillusやBacillus subtilis(B. subtilis)などのプロバイオティクスは、消化管癌の発育・進展を抑制することが種々の基礎的研究から示唆されている。しかし、その効果は菌の生着の程度により大きく左右されるため安定しない。我々はB. subtilisの培養上清から、世界で初めて腸管保護作用を持つ菌特異的な活性ペプチドを同定し、さらに、ある種の細菌由来ペプチドには抗腫瘍効果があることを見出した。これらの成果を基に、前臨床試験として、腸内細菌由来物質の抗腫瘍効果を、マウス発癌モデルを用いて明らかにする。
34(B) 新規siRNA高感度定量法を用いたがん治療におけるsiRNA投与法の最適化 前川 平 京都大学 樋口 修司 京都大学 我々はsiRNA をがん治療に応用するため、腫瘍増殖部位の特性を考慮したsiRNA の投与方法と効率よい新規DDSの開発、およびその治療効果と安全性の確認に主眼を置き研究を進めてきた。今回は今までに確立したマウスモデル、および治療効果を認めたDDSとsiRNA を用い、HPLCを用いたsiRNA 高感度定量法により正常組織、およびがん組織中のsiRNA 量を測定する。平行して治療効果も検討し、siRNA の血行動態を解析し、適切なsiRNA 投与量、投与方法を探索する。
35(B) 脂肪細胞由来セロトニン制御による肥満・心血管疾患合併症に対する治療戦略の開発 尾野 亘 京都大学 樋口 修司 京都大学 我が国において「メタボリックシンドローム」が高頻度に存在するとして注目を集めている。また、優れた抗肥満薬開発に対する社会的要請はきわめて高い。我々は、セロトニン産生の律速酵素であるtryptophan hydroxylase1(TPH1)が脂肪細胞分化に必須であることを、in vitro、in vivo の実験において見いだした。脂肪細胞由来のセロトニンが脂肪細胞自身の分化を制御するという知見は世界で初めてのものである。我々は既にセロトニン受容体拮抗薬による臨床研究を開始したが、さらに多施設の検討を通じて新規の抗肥満薬としての臨床データを集積し、その優位性、安全性につき検討する。

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 診断薬:55件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1 自然免疫能評価法の開発と医療・食品分野への応用 大谷 克城 旭川医科大学 清水 條資 科学技術振興機構 クローン病や潰瘍性大腸炎からなる炎症性腸疾患は、厚生労働省指定の特定疾患である。本疾患の診断は、問診、画像診断および病理組織診断を総合してなされており、簡便な診断法はない。申請者らはチロシンキナーゼを網羅的に検出するマルチキナーゼ抗体を開発し、この抗体を用いて潰瘍性大腸炎の発症に伴って発現量の変化するチロシンキナーゼを見出した。本申請ではこの現象が人でも観察されることを確認した上で、この抗体と患者の直腸擦過スメア検体を用いた簡便な診断法の開発、実用化を目指す。
2 炎症性腸疾患症例の直腸擦過スメア検体スクリーニング/診断キットの開発 谷口 隆信 旭川医科大学 清水 條資 科学技術振興機構 コレクチンは自然免疫を担う分子であり、感染に対する防御機構において重要である。これらの血中濃度を測定することにより自然免疫能を評価する系を確立することを目的とし、高感度に同時に多項目解析を行うことができるシステムの構築を行う。この系の確立により、医療においては、感染予防、治療方針、さらに予後の対策に応用でき、また、食品分野においては、機能性食品などの免疫系への作用を評価するシステムとして実用化を目指す。
47 歯周病原菌の新規ペプチド抗原の診断・予防への応用 磯貝 恵美子 北海道医療大学 蛸島 武広 北海道医療大学 アレイ解析の結果から、愛玩動物の口腔内には人の歯周病の原因菌が存在し、これが人獣共通感染症であることがわかった。歯周疾患の原因細菌のゲノム解析をアレイCGDによって行い、すでに解読されているゲノム情報との比較から基本的な細菌細胞の生命現象および病原性遺伝子に絞り込み、関連する多くの遺伝子のネットワークを解明し,ここでの情報をもとに新規のペプチド抗原を複数決定できた。診断用抗原として、これらのペプチドの臨床応用を試みる。さらに、ワクチン用抗原として愛玩動物の口腔から人への感染を遮断するため、動物用ワクチンを開発する。
54 腋窩臭減少効果をもつ薬剤の特定、腋窩臭分子の同定およびその測定法の開発 新川 詔夫 北海道医療大学 蛸島 武広 北海道医療大学 本研究は、多数のABCC11遺伝子型GGホモ接合体において、物質Xおよび偽薬を一定期間服用後、(1)腋窩臭減少の効果を二重盲検法で行い、且つ(2)候補の臭分子の減少を確認し、腋窩臭分子を同定するものである。
83 炎症性腸疾患の薬物治療におけるステロイド反応性の診断法の開発と実用化 齊藤 嘉津彦 北海道薬科大学 清水 條資 科学技術振興機構 ステロイドはクローン病や潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患の薬物治療上、必要欠かせざる存在である。しかし、ステロイド投与を受けた30%の患者は依存性や抵抗性を呈し、このような症例における重篤な副作用の発現や無効症例の存在は臨床的に問題である。本申請ではこれに関与する遺伝子のSNPやハプロタイプを解析、およびDNAのメチル化解析を行い、未解決であるステロイド依存性・抵抗性についての診断法を開発し、オーダーメイドのステロイド治療を実用化し、医療費の削減のみならず根本的な治療法の無いこれらの疾患の薬物療法に寄与しようとするものである。
84 感染性胃腸炎の主原因であるノロウイルスの感染増殖系の開発 工藤 伸一 北海道立衛生研究所 桂 英二 北海道立衛生研究所 ノロウイルスは、分離可能な細胞培養系や感染実験のための実験動物系がいまだ確立されていない。人工多能性幹細胞(iPS細胞)は多分化能を有し、重度複合免疫不全(SCID)マウスの皮下に接種すると奇形腫を形成することが知られ、その内部には消化管由来上皮様細胞を含むことが報告されている。また、多分化能を有するヒトEC細胞も培養条件によって内胚葉性の細胞に分化することが報告されている。本研究では、ヒトiPS細胞の利用の可能性を追求するとともにヒトEC細胞を用いて、ノロウイルスの感染増殖が可能な培養細胞系の開発を目指す。
121 リアルタイム被ばくマーカーの開発 中村 敏也 弘前大学 野呂 治 弘前大学 ヒアルロン酸の溶液にX線などの電離放射線を照射すると、この多糖は低分子化することが知られている。このような性質は生体内の他のいかなる多糖にも存在しない。そこで本課題では、放射線により低分子化したヒアルロン酸の特異的かつ高感度な検出法を中心とした放射線応答物質(ストレス応答たんぱく質等を含む)解析法の開発を目指す。これらを放射線照射した実験動物の尿あるいは血液等に応用し、リアルタイム被ばくマーカーとしての可能性を探る。
186 選択的IgM型モノクローナル抗体の高効率作成法の開発 武藤 哲彦 東北大学 猪股 俊行 東北大学 本試験では、遺伝子改変マウスを用いて、IgM型モノクローナル抗体を選択的に作成する方法を開発し、抗体医薬スクリーニングのより強固な基盤づくりへ貢献することを目指す。具体的には、ミエローマ細胞との融合細胞(ハイブリドーマ)を作成し、分泌される抗体について、IgM型抗体の頻度、抗原に対する親和性を確認する。さらに、このIgM抗体を線維芽細胞の培養液に添加し、線維芽細胞の増殖やアポトーシスを測定する。
247 エンド/エキソヌクレアーゼ活性を用いるDNA修復法の開発とPCR反応への応用 松井 郁夫 産業技術総合研究所 小高 正人 産業技術総合研究所 化石や古い骨などの古代生物試料に含まれる遺伝子DNAは短く断片化しているため、Polymerase chain reaction (PCR)法でのDNA増幅は極めて困難である。よって、超好熱性古細菌Pyrococcus horikoshiiの耐熱性構造特異的ヌクレアーゼや耐熱性DNAポリメラーゼ、耐熱性DNAリガーゼを組み合わせることにより、損傷修復反応とPCR反応を同一反応器中で連続的に行う反応系を開発する。
261 Nrf2システムを利用した癌細胞薬剤耐性評価法の開発と応用 石井 幸雄 筑波大学 林 良夫 筑波大学 肺癌は種々の抗癌剤に耐性であることが多く、耐性評価は適正使用の点からも重要である。転写因子Nrf2は薬剤耐性に関わる遺伝子の統一的誘導を介し、肺癌の薬剤耐性の中心的役割を果たす。Nrf2の活性化はKeap1分子により制御され、肺癌細胞には高率にKeap1分子の遺伝子変異が存在する。本研究では、同変異解析を中心にNrf2システム活性化の定量評価法を開発し、抗癌剤の耐性評価法として臨床応用を図る。
267 PET用酸素18のレーザー同位体分離法の開発 横山 淳 日本原子力研究開発機構 飯塚 隆行 日本原子力研究開発機構 PET用検査試薬の中で、陽電子放出核種フッ素18は、サイクロトロンを用い酸素 18から製造する。酸素18は天然に0.2%存在し、蒸留法で濃縮して製造するが、巨大な設備を必要とする。そこで、レーザーを用いた酸素18の高効率な同位体分離法を開発する。すでに2,3-ジヒドロピランの分解を利用して、一段で60%の濃縮に成功している。さらに2波長レーザー照射技術を用い、波長の最適な組合せを求め、高効率な大量濃縮システムを構築する。
286 血中浮遊上皮細胞での核内受容体CARの発現を指標とした薬物代謝能の測定法の開発と臨床応用 柿崎 暁 群馬大学 塚田 光芳 群馬大学 薬物代謝には、個体間に差があり、同じ量の薬剤を投与しても個体により副作用が異なる。薬物代謝の指標として、薬物負荷試験や肝臓組織での酵素活性の測定などが行われているが、負荷試験、組織採取は、患者へ侵襲があり頻繁には行えない。本研究では、患者末梢血中に浮遊する上皮細胞を、抗体結合マグネチックビーズを用い採取しRNAを抽出、real time PCR法にて、核内受容体CAR及び薬物代謝酵素群の発現を定量することにより、簡便に薬物代謝能を調べる検査法の開発を目的としている。
287 新規転写コリプレッサーによるホルモン感受性がんの評価法の開発 岩崎 俊晴 群馬大学 塚田 光芳 群馬大学 我々はレチノイン酸X受容体(RXR)と結合する新しいコリプレッサーを同定した。この蛋白はホルモン感受性腫瘍細胞に高い発現が認められ、また細胞増殖抑制因子として機能することが分かった。この蛋白の発現レベル測定によりホルモン感受性腫瘍の悪性度、予後予測が可能となる他、治療法選別の際の目安になることが期待できる。この蛋白の発現レベル測定による予後予測システムを商品化することを目標とする。
297 核酸による生理活性ペプチド検出システムの開発 尾崎 広明 群馬大学 小暮 広行 群馬大学 生理活性ペプチドである心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、血圧の制御や体液の調節に関与する重要なペプチドホルモンであり、その濃度測定は腎機能や心機能障害の診断、及び重症度の判定に利用される。本研究課題では、抗体に代わり得る標識化核酸アプタマーによるANP検出システムの開発行う。核酸アプタマーは、特定の分子に結合する核酸であり、試験管内選択法で創製できる。代表研究者は、既にANPに結合する核酸を得ている。核酸は化学的に合成できるため、抗体に比べて、安価に安定供給できメリットを持つ。
313 アポトーシスにおけるタンパク質限定分解の細胞周期選択性を指標とした抗癌剤選択法の開発 沖田 直之 東京理科大学 山内 進 東京理科大学 日本人における死因の第一位は「癌」であり、その効果的な治療は今日の医療における最重要課題の一つである。これまでに数多くの抗癌剤が開発されてきたが、その化学療法に際して、経験則に基づいて選択した抗癌剤を患者に投与するという「試しうち」的な側面があることは否めない。本課題は、アポトーシスにおけるタンパク質限定分解の細胞周期選択性を指標とした「科学的根拠に基づく癌治療」を行うための抗癌剤選択法の実用化を目指す。
338 ハプロタイプ診断のための対立遺伝子分離法の開発 加藤 輝 東京工科大学 山岸 勉 東京工科大学 近年、個別化医療実現に向けて、一塩基多型(SNP)をマーカーとする遺伝子診断が実用化されつつある。しかし、単一のSNPにより診断可能な疾患リスクや薬剤応答性の例は必ずしも多くはなく、ハプロタイプの解析によりはじめてそれらが明らかとなる場合がある。本課題は、DNAの分岐構造を利用した対立遺伝子の分離法と、分離後の各対立遺伝子のSNPを解析することによる簡便なハプロタイプ診断法の開発を目的とする。
349 ボツリヌス毒素の糖結合能を活かした新規な細胞識別システムの開発 西河 淳 東京農工大学 八木 茂 東京農工大学 C型ボツリヌス菌の産生する毒素は、神経毒素1分子と無毒タンパク質であるNTNHが1分子、HA1が6分子、HA2が3分子、HA3が3分子からなる巨大な複合体を形成しており、HA1とHA3がそれぞれ異なる糖鎖を認識して結合するレクチン活性を持つことから、様々な糖鎖構造に対して結合性が異なるという性質を持つ。そこで本プロジェクトでは、細胞の分化・癌化などにより微妙に変化する細胞表面の糖鎖構造を感度良くとらえる試薬としての毒素複合体の利用を検討するものである。
362 卵巣明細胞腺癌の診断マーカーの開発 荒川 憲昭 横浜市立大学 今井 紘 横浜市立大学 卵巣癌組織型の中で明細胞腺癌は特に悪性度の高い組織型である。我が国における明細胞腺癌の発生率は諸外国と比べて上昇しつつあるが、特異的な診断マーカーは確立していない。我々は卵巣癌細胞株のプロテオームを解析し、明細胞腺癌にて著しく増加している細胞膜結合型や分泌型であるタンパク質を5種類見いだした。本課題では、血液中における当該タンパク質もしくはその断片を検出するシステムを確立し、明細胞腺癌の診断における利用価値を評価する。
363 初期乳がん診断薬の開発と応用 秋本 和憲 横浜市立大学 今井 紘 横浜市立大学 初期乳がんモデルマウスを開発した。そこで、このモデルマウスの検体をプロテオーム解析し、血清で変動する分子を同定する。次に、患者の血清検体を用いてこの分子の有用性を検討する。これにより、マンモグラフィーや乳腺エコーを中心とした既存の検診システムに加えて、より簡便な一次スクリーニングとしての血清を用いた検診が可能となる。両システムを併用することにより、初期乳がん発見の精度が格段と高まることが期待される。
382 自己組織化タンパク質による超高感度バイオセンシングシステムの開発 小畠 英理 東京工業大学 千木良 泰宏 東京工業大学 疎水性が高く、かつ自己組織化能を有する抗体結合タンパク質を設計・合成し、これを利用した超高感度バイオセンシングシステムを構築することを目的とする。基本骨格となる疎水性構造を有するアミノ酸配列ドメインは、疎水性基板表面との強固な集積を可能とし、自己組織化ドメイン及び抗体結合ドメインは、基板へのタンパク質の配向を制御し、高密度な抗体集積を可能とするものである。これらのドメインが連結した新規タンパク質を遺伝子工学的に合成し、基板上に集積してその性能を評価する。
452 間質性腎炎の診断マーカーの探索と臨床応用 友杉 直久 金沢医科大学 増田 浩子 金沢医科大学 間質性腎炎は、腎臓の尿細管間質組織が炎症により破壊され、線維化にいたる予後不良の疾患である。そのため早期診断・治療により腎機能を維持することが重要である。現在、間質性腎炎の診断は、侵襲性の高い腎生検による組織所見で確定されている。本課題は、プロテオミクス技術を駆使して尿中から新規に発見したバイオマーカーを基軸とし、早期に間質性腎炎の診断を可能とする非侵襲性簡易診断キットの開発を目指す。
491 同一化学構造を持つ質量差1の安定同位体標識化合物9種の作製と利用法 松川 茂 福井大学 吉田 芳元 福井大学 カテコラミンなど、多くの脳内アミンの全ての変動を、部位別に一括して識別して検出できれば全脳の活動が物質面から把握できる。このために13Cを1個づつ増やしたアミン反応性同位体標識化合物を全部で8種類作製し、組織スライスの測定対象の4箇所に作製試薬をかけ同時に内部標準法を採用して、スライス上から集めた反応抽出液を混合しても部位別に一括質量分析して対的変動を計測する技術が可能なことを試験する。連続スライスでの分析で脳全体の変動分布が解明できる。
500 血中11-ケトテストステロン量に基づいたPCOS診断法の開発 矢澤 隆志 福井大学 齊藤 敏機 福井大学 男性ホルモン(アンドロゲン)は、卵胞の発育に必要不可欠であると同時に、合成が過剰になると卵胞の発育障害をもたらす。多嚢性卵巣症候群(PCOS)は、この典型で、男性化兆候を伴う排卵障害となり、多くの周産期の女性にとって深刻な問題となっている。本研究では、私たちが、哺乳類の卵巣で多く合成されることを見出したアンドロゲンの一種である11-ケトテストステロン(11-KT)やその合成経路が、PCOSによる不妊や生理(月経)不順のマーカーとなるか調べることを目的とする。
531 IgAーアルブミン複合体量の測定法の開発 藤田 清貴 信州大学 倉科 喜一 信州大学 Monoclonal IgA が血中から検出された場合に疾患が悪性の多発性骨髄腫か、良性の疾患(MGUS)であるか等を鑑別する方法としてIgA-アルブミン(Alb)複合体量の測定を行い、臨床現場で簡易に使用できる精度の高い測定キットを開発・提供するものである。
555 新規ながん診断を可能にするがん幹細胞指向性バイオイメージングプローブの創製 永澤 秀子 岐阜薬科大学 羽田野 泰彦 名古屋産業科学研究所 新しいがん治療の標的として注目される「がん幹細胞」は、がんの転移や再発に深く関わっていると考えられることから、その特異マーカーの探索・同定、検出、さらには阻害薬の開発は急務の課題である。そこで本研究では、がん幹細胞の「隠れ家」と考えられるニッチの重要な因子、低酸素環境を標的とした新規な近赤外イメージングプローブを開発し、本プローブを用いて、非浸襲的にがん幹細胞が存在する可能性が高い低酸素がん細胞を可視化することで、全く新しい概念の癌診断法の確立を目指す。これによりがんの早期発見、再発や転移の予測が可能になると期待される。
593 動脈硬化診断キットの開発 山下 均 中部大学 木本 博 中部大学 動脈硬化はメタボリックシンドロームと共に徐々に進行する病態であり、心筋梗塞や脳梗塞の原因となることから、動脈硬化の進行を予知し予防することが重要となる。最近申請者らは、細胞内の脂肪酸利用に働く脂肪酸結合蛋白質(FABP)の数種類が動脈硬化と深く係わることを見出した。本研究は、FABPの血中レベルを簡便かつ高感度で測定することにより動脈硬化の進行を早期に発見する診断キットを開発することを目的とする。
619 新規プローブ試薬によるオルガネラ酸化ストレス比較測定キットの開発 宮田 直樹 名古屋市立大学 羽田 裕 名古屋産業科学研究所 酸化ストレスは様々な疾患に関わる。その具体的影響を評価するためには、細胞内酸化ストレスの精密計測が有効であるが、その手法は未開拓といってよい。本課題では、オルガネラごとの酸化ストレスを電子スピン共鳴装置を用いて計測するためのプローブ試薬開発、及びモデル細胞系での実用性検証を行う。とくに核内酸化ストレス測定プローブを開発し、既に開発した他のプローブ試薬と合わせて、酸化ストレスをうけるオルガネラから病態や治療標的を判断する試薬キットとしての実用化をめざす。
639 新規タンパク血中濃度測定による精神疾患早期診断キットの開発 新田 淳美 名古屋大学 久野 茂正 名古屋産業科学研究所 我々は、覚せい剤精神病モデルマウスの脳側坐核において高い発現量を示す2種類のタンパクの同定に成功している。この2種類の分子が予備実験においてヒトの血液中に存在することも確認している。精神疾患は、患者本人のみだけでなく、家族や社会に対しても治癒が大きく望まれる疾患分野であり、早期に診断を行い治療が開始すればするほど、治癒率は高くなる。しかしながら、専門医にかかることなく病状を進行させてしまう患者の割合が非常に多い。そこで、本研究では、我々が見出した2つの新規タンパクの血液または尿中濃度を測定することによって精神神経疾患を早期に診断するキットの開発を試みたい。
682 乳癌治療の成績を改善する迅速診断キットの開発と応用 茶野 徳宏 滋賀医科大学 宮本 健二郎 滋賀医科大学 RB1CC1は新規の癌抑制因子で、乳癌組織におけるその発現評価は治療成績の早期診断を可能とする。更に、この診断とp53癌抑制因子の機能評価を組み合わせることはより詳細な予後判定を可能とし、治療法選択の判断指針にもなりうる。これら成果を実際の乳癌治療に生かすため、乳癌組織におけるRB1CC1、p53発現の迅速診断キットを作成する。これを本課題の目標とする。作成されたキットは乳癌に限らず、より多くの癌に対して有用な情報を提供することが可能である。
725 高感度・高速・低コストな次世代免疫診断法の開発 熊田 陽一 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 本研究では、独自に開発したポリスチレン親和性ペプチド(PS-tag)を用いてイムノアッセイの大幅な高感度化・高速化・低コスト化を一挙に実現することを目的とする。PS-tagを導入した抗体を独自の生産方法により大量生産し、イムノアッセイのコーティング用抗体試薬として使用することで、抗体試薬の生産コストの大幅な削減を目指す。さらに、独自に開発したOne-stepELISA 法を用いてイムノアッセイを行うことで高い検出感度を維持しつつ操作時間の大幅な短縮を目指す。
729 臨床応用可能な点突然変異部位検出用核酸プローブ試薬の開発 村上 章 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 SNPを検出する新規概念の核酸プローブの開発を行う。開発するプローブは遺伝子と完全に結合した時のみ蛍光を発するため、非結合プローブの除去操作を必要とせず、均一検体水溶液に添加するだけで遺伝子配列の変異を検出・同定することができる。本研究では医学部との共同研究のもとに臨床検体由来DNA中のSNP検出を試みる。また、MEMS技術に基づく多検体処理用チップを開発し、実践的なSNP解析システム開発を目指す。
803 新規バイオマーカーを用いた非アルコール性肝障害の早期診断法の開発 吉田 康一 産業技術総合研究所 上原 斎 産業技術総合研究所 本提案者らは、酸化ストレスに対して鋭敏に応答する脂質由来低分子化合物(ヒドロキシリノール酸およびヒドロキシコレステロール)の網羅的分析法を確立した。これらの化合物は動脈硬化症、糖尿病などの生活習慣病患者の血漿中で高値を示すことが明らかとなった。本プロジェクトでは、大学病院との共同研究体制のもと非アルコール性肝障害の早期診断に本バイオマーカーが有効であることを短期集中的に検証する。
804 自己励起蛍光タンパク質(BAF)を利用した新規発光分析試薬の開発 星野 英人 産業技術総合研究所 坪田 年 産業技術総合研究所 本課題は、外部励起光源に依存しない自己励起蛍光タンパク質・BAFに基盤を置く新技術である。従来の蛍光法と比較し、検出装置が簡便・安価であることと、バックグラウンドが零であり、本技術は極めて高感度の優れたシーズである。本来のBAF発光を抑制する特殊なタンパク質をBAFに組み込むことができれば、BAFとの結合切断時にのみBAF本来の発光が得られ、その結合部位の切断に特異的な特定プロテアーゼを有するウィルスや細菌等の高感度検出法としても応用が可能である。
806 大腸癌の早期発見に向けたレクチン固定化蛍光ナノスフェアの実証試験 佐久間 信至 摂南大学 大野 安男 科学技術振興機構 大腸内視鏡検査において、大腸粘膜内に留まる転移リスクのない発生初期の大腸癌をリアルタイムで診断し、内視鏡下で切除することを可能にする世界初の大腸内視鏡検査用造影剤を創製する。造影剤は、癌細胞粘膜側の特異抗原を認識する蛋白及び正常細胞との非特異的相互作用を抑制する高分子を表面に固定化し、内部に蛍光物質を内包したサブミクロンサイズの微粒子からなるナノメディシンである。大腸内投与後、病変に集積した造影剤の蛍光に由来する癌組織(明部)/正常組織(暗部)の蛍光コントラストに基づき、大腸癌の有無を診断する。
807 髄液中L−PGDSの機能解析によるアルツハイマー病の診断法の開発 松本 佳乃 大阪バイオサイエンス研究所 吉田 政樹 大阪市都市型産業振興センター アルツハイマー病では脳内でのアミロイドベータ(Aβ)の凝集、沈着が主要な病因である。申請者らは、髄液中の主要な蛋白である、リポカリン型プロスタグランジンD子合成酵素(L-PGDS)がAβに結合し、その凝集を抑制することをすでに報告している。そこで、本研究は、アルツハイマー病患者と健常人の髄液において、L-PGDSの性質を等電点二次元電気泳動法を用いて比較、検討し、アルツハイマー病の新規診断法の開発を目的とする。
833 微小病巣の早期検出を目指した新規MRI造影剤の開発 向 洋平 大阪大学 大野 安男 科学技術振興機構 本申請課題は、独自の金磁性ナノ粒子を応用することで、腫瘍の種類を問わず微小病巣をも造影可能な、新規MRI腫瘍造影剤の開発を目指すものである。粒子径の異なるコア構造を有する独自の金磁性ナノ粒子を基礎材料とし、その表面をポリエチレングリコール(PEG)で修飾したPEG化金磁性ナノ粒子の粒子設計を行う。本検討を通じ、SPIOの肝臓集積という問題を回避し、腫瘍への受動的ターゲティングを効率的に達成可能な最適分子を選択することで、将来的には腫瘍の種類を問わず微小病巣を造影可能な新規MRI造影剤の設計を目指す。
842 生体イメージングのためのマルチモーダル造影剤の開発 神 隆 大阪大学 大野 安男 科学技術振興機構 新規蛍光材料である半導体量子ドットを基盤として、生体のマルチモーダルイメージングが可能な造影剤の開発をおこなう。目標とするマルチモーダル造影剤の特性は、1)近赤外領域(700-900nm)で高輝度蛍光特性を有する, 2)光、MRI、X線の同時測定が可能, 3)毒性がなく生体親和性が高い, 4)大量合成が可能なことである。本課題では、生体を個体、臓器レベルでのマルチモーダルイメージング(光、MRI、X線)が可能な新規造影剤の開発、実用化をめざす。
901 新規がん抑制遺伝子TFLの遺伝子診断法 松井 利充 神戸大学 榑林 陽一 神戸大学 ヒト染色体分析から発見された癌遺伝子・がん抑制遺伝子を標的とした新しい抗がん剤の臨床開発が進んでいる。私達は低悪性度の濾胞性リンパ腫から中高度悪性群の瀰漫性大細胞型B細胞リンパ腫への形質転換に際し新たに出現した染色体転座より6番染色体長腕に位置する新しい「がん抑制遺伝子」を発見した。この遺伝子をTransformed follicular lymphoma (TFL) と名付け、その機能解析を進めてきた。本研究では、患者検体におけるTFL遺伝子欠損を明らかにする遺伝子診断法を確立することを目的とする。
907 胃発癌病原性ヘリコバクターピロリ感染診断の開発とその臨床応用 東 健 神戸大学 榑林 陽一 神戸大学 ピロリ菌は世界保健機構より1群の発癌因子に認定されている。しかし、ピロリ菌感染による胃癌発症のオッズ比は、約2〜23と国や地域により大きく異なる。本課題は、胃発癌病原性ピロリ菌感染診断キットを開発し、ピロリ菌感染による胃発癌リスク診断法を開発することを目的とし、ピロリ菌のoncoproteinであるCagAの存在とその分子多型をPCR(polymerase chain reaction)及びreal time PCRで識別する遺伝子診断キットを作製し、その診断能について解析する。
964 成人T細胞白血病・リンパ腫の早期発見・早期診断・予後推定法の開発 岡 剛史 岡山大学 大村 祐章 岡山医学振興会 成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)はその原因ウイルスであるHTLV−Iのキャリアーの中から数千人に一人の割合で発症する難治性の白血病である。現在日本で約100万人のHTLV−Iキャリアーがいるが、その中から発症する患者あるいは予後の比較的良い型から予後の悪い型のATLLに急性転化する患者を早期に発見し適切な治療を始めるための高感度・高精度検査法および患者の予後推定システムの開発を行う。
979 リンパ管標的リポソームを使ったリンパ浮腫診断用高精度蛍光造影剤の開発 大橋 俊孝 岡山大学 大村 祐章 岡山医学振興会 リンパ浮腫は、さまざまな原因によって生じる慢性疾患である。リンパ管静脈吻合術を確実に行うことによって手術成績が改善されつつある。しかしながら、手術適応の判断基準となるリンパ管の客観的機能診断法は確立されていない。本課題の目的は、リンパ浮腫の早期診断のためのリンパ管特異的造影剤の開発である。我々の持つ分子標的リポソーム技術により、リンパ管内皮をターゲットとした蛍光リポソーム作製と、リンパ管の機能的定量法の確立を行う。
980 急性脳炎・脳症の罹患リスクの判定技術の改良・開発 大内田 守 岡山大学 大村 祐章 岡山医学振興会 急性脳炎・脳症の中でもインフルエンザ脳症は主に6歳以下の子供が罹り、日本で毎年300人前後の患者が発生している。脳症発症後102日で死に至ることもあり、死亡率は30%、後遺症も25%の患者に認められる重篤な疾患である。できる限り早く治療を始めたほうが軽く済むが、インフルエンザに感染した際に誰が急性脳症に進行するか不明である。本課題は急性脳炎・脳症の罹患危険度検査法の実用化に向けての改良と検出効率の向上を目指す研究である。
1226 生体内レドックス反応解析用アミノ酸プローブの設計・合成 田中 正一 九州大学 山本 英樹 九州大学 生体内レドックス反応は恒常性維持に関与しており、この異常により活性酸素・フリーラジカルが過剰に発生したことが、生活習慣病・がんなどの原因の1つとなっている。このレドックス反応解析のためには、レドックス感受性の安定ラジカルを用いるスピンプローブ法が有用である。本研究では、生体内酸化ストレスに感受性が高く、生体類似成分でもある環状アミノ酸型のスピンプローブ剤の設計と合成を行う。
1229 有機ラジカルを用いたDNA型及び高分子型新規MRI造影剤の構築 唐澤 悟 九州大学 山本 英樹 九州大学 有機ラジカルをMRI造影剤のプローブとして用いる場合、臨床で汎用されているガドリニウム錯体に比べ低毒性であるという利点はあるが、感度(水プロトン緩和能)が低いことが問題点となる。本課題においては、スピン源を持つ分子のサイズを大きくすることで感度が上昇するという一般則に従って、DNAや樹状型分子に着目した。これら高分子化合物に複数個の有機ラジカルを導入することで、感度が高く、無毒性のMRI造影剤構築を目的に研究を遂行する。
1243 細胞内微小器官特異的に局在化する活性酸素捕捉システムの構築 塩路 幸生 福岡大学 坂本 弘明 福岡大学 活性酸素と呼ばれる不安定化学種は、細胞の中にあるさまざまな微小器官に対し酸化ストレスを与えることで疾病を引き起す。そこで、酸化ストレスを検出する方法として細胞内微小器官のひとつであるミトコンドリアに集積し、酸化ストレスを感知することで蛍光発光する数種の試薬を開発し、それらを併用することで細胞内での不安定化学種の特定や抗酸化剤の有効性を系統的に評価できるシステムを構築する。
1263 PET診断の普及を支援するための放射性68Ga供給システムの開発 原武 衛 長崎大学 梅津 照彦 株式会社長崎TLO PET装置を用いた診断は、主に早期がんの臨床診断に大きな貢献を果たしている。しかし、本診断方法は、大型サイクロトロン施設で製造された短寿命の放射性核種を必要とするため、その利用には制限がある。そこで、本研究では、短寿命放射線核種の小型ジェネレーターシステム、特にその中で最も重要な構成要素である分子吸着剤を開発することで、PET装置のさらなる普及に貢献することを目的とする。
1276 下痢原因となる病原細菌のガングリオシドプローブを用いた病原毒性の診断 和田 昭裕 長崎大学 梅津 照彦 株式会社長崎TLO コレラ等の下痢症は、未だに猛威を振るっており、先進国においても流行する可能性がある。現在の確定診断は、病原遺伝子の検出によるものだが、従来の方法では遺伝子変異の早い病原細菌、あるいは未知の細菌が検出できない可能性がある。本申請の方法は、ガングリオシドをツールとして用いて、病原毒素そのものの検出を試みるもので、将来的には未知の病原性下痢症にも対応できる診断方法の確立を目指す。
1280 蛍光を利用した薬剤耐性菌が産するメタロ-β-ラクタマーゼ検出法の開発 黒崎 博雅 熊本大学 松下 肇 熊本大学 院内感染の原因の一つとして、薬剤耐性菌が産生するメタロ-β-ラクタマーゼによるβ-ラクタム剤の不活化機構が挙げられる。このメタロ-β-ラクタマーゼを蛍光分光法により短時間でかつ簡便に検出し、病院内に存在する薬剤耐性菌の有無を判定する技術を開発する。
1285 初代細胞混合培養系での細胞選択的物質導入システムの開発 川原 浩一 熊本大学 松下 肇 熊本大学 異なる細胞集団が共存する環境下で、細胞同士の微小環境を壊すことな く、標的細胞のみを薬効評価することは、創薬スクリーニングにおいて 重要である。本試験では、in vivoにおける細胞選択的な薬物および遺伝子導入システムの開発につなげるべく、脳内免疫担当細胞ミクログリアへ選択的に取り込まれるペプチドリガンドを用いて、混合培養系における細胞選択的な物質導入法を確立する。
1286 心筋梗塞の超急性期診断のための特異的血中マーカー測定法の開発 竹屋 元裕 熊本大学 松下 肇 熊本大学 心筋梗塞の診断には、種々の血液マーカーが利用されているが、超急性期に有効なものは数少ない。私どもは心筋梗塞の急性期に血液単球に誘導される遺伝子の網羅的解析から、クラスAスカベンジャー受容体(SR-A)がごく早期から特異的に誘導され、単球表面にSR-A蛋白発現が誘導されることを明らかにした。そこで、本研究では心筋梗塞の超急性期診断を目的として、SR-Aに対する特異抗体を用いた簡便な測定法を開発する。
1303 プロアンジオテンシンー12の診断薬としての応用 加藤 丈司 宮崎大学 石川 正樹 宮崎大学 血中や組織中レニン・アンジオテンシン系(RA系)は、循環器および腎臓疾患の発症進展に深く関与している。現在、血中RA系活性を測定することは可能であるが、組織RA系を評価する手段はない。本研究では、新たな組織RA系ペプチド・プロアンジオテンシン-12(proang-12)の循環器および腎臓疾患における病態生理学的意義を明確にして、ヒトproang-12または関連ペプチドの測定系を確立することにより、組織RA系の新たな測定系ならびに評価手段の開発を目指す。
1306 尿中ナノベジクル中のアクアポリン2を指標とした腎疾患診断方法の開発研究 池田 正浩 宮崎大学 石川 正樹 宮崎大学 尿は患者が痛みを伴わずに入手できるため、非常に魅力的な検査材料である。しかしながら尿中タンパク質は、非常に種類が多いこと、またタンパク質の由来が不明確であるなどの欠点があったため、診断にはほとんど利用されてこなかった。我々は、それらの欠点を克服するものとして、尿中ナノベジクルと呼ばれる小胞に含まれるタンパク質に着目した。本研究は、尿中ナノベジクル中のタンパク質を調べて、新しい薬剤性腎障害の診断方法を開発しようとするものである。
1318 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の新しい診断マーカー探索とその臨床応用 宇都 浩文 鹿児島大学 竹下 義隆 宮崎県産業支援財団 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、単純性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に分けられる。NASHはNAFLDの約10%を占め、肝硬変に進展し肝細胞癌を発症する可能性ある進行性の疾患であるが、臨床の場で簡便かつ迅速に測定できる有用なNASHの診断マーカーは無い。本研究では、NASHの新しいバイオマーカーを探索し、そのマーカーを用いた診断法の臨床応用を目指す。
6(B) 血管内膜損傷の診断マーカーとしてのS100A12の有用性の検討 人見 次郎 岩手医科大学 大島 修三 いわて産業振興センター 動脈硬化の進行は、血管内膜の傷害により、脳梗塞、心筋梗塞の原因となるアテローム血栓症を引き起こす。アテローム血栓症の予防には、血管内膜の損傷の程度を把握できる診断薬の開発が期待されるが、現在、病変を正確に評価できる診断薬はない。申請者が発見したS100A12(CAAF1)蛋白は血管の内膜の損傷部位に局在を認め、その血中濃度の測定により頚動脈動脈硬化症の患者と健常者を区別することができる。そこで本研究ではS100A12の血管内膜の損傷の診断マーカーとしての価値を評価する。
12(B) 微生物の病原性抑制効果を有するシクロデキストリン誘導体の応用研究 伊藤 智志 宇都宮大学 山村 正明 宇都宮大学 シクロデキストリン(CD)は代表的な包接化合物として様々な用途に用いられている。本課題では、CDのトラップ対象として微生物間情報伝達機構(クオラムセンシング)のシグナル物質であるアシルホモセリンラクトン(AHL)に着目した。病原菌の多くはAHLを介して病原性発現を誘導することから、AHLを系から除去することで効果的に病原性を抑制できる。本課題では、AHLを選択的にトラップする新規CD誘導体を合成し、病原菌の病原性抑制技術への応用を行う。

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 治療技術(装置):23件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
51 薬液を注入できる局所麻酔注射シミュレータの実用化研究 工藤 勝 北海道医療大学 蛸島 武広 北海道医療大学 医科学的に満足できる局所麻酔注射訓練模型は存在しない。申請者は局所麻酔する神経幹付近へ針を刺す模擬演習装置(伝達麻酔モデル)および薬液を低圧で少量注入すると注入部位が生体と同様に膨らむ模擬演習装置(浸潤麻酔モデル)を発明した。理想的な局所麻酔注射シミュレータには、適正位置に針を刺し、低圧で薬液を注入できることが望まれる。申請者は、浸潤麻酔と伝達麻酔モデルを組合わせ、耐久性等を向上し高品質化した局所麻酔注射シミュレータの実用化を推進する。
109 牛腹腔鏡下第四胃変位整復手術の開発と応用 田口 清 酪農学園大学 山田 龍翁 酪農学園大学 本技術は従来の開腹手術によらず腹腔鏡下で牛の第四胃変位整復手術を簡便かつ安全に実施できる技術を開発するものである。この技術によって手術の侵襲性を最小にし、簡便化および短時間化を促進し、動物福祉と高い生産性回復率を達成することを目的とする。
163 次世代医療用自動無痛採血・投薬ユニットの開発と応用 山本 英毅 東北学院大学 引地 智 みやぎ産業振興機構 本研究では、無痛針と形状記憶素子を用いた無痛穿刺による自動採血・投薬ユニットの開発と応用を目的とし、携帯移動体端末化が可能な超小型自動分析・治療デバイスへ簡単に着脱できる、カートリッジ式自動無痛採血・投薬ユニットの開発を目指す。具体的には、微小出力直流電源で形状記憶素子を駆動し、世界最小径の無痛針で穿刺採血・投薬が可能な超小型自動無痛採血ユニットの設計製作と性能評価を検討する。
177 人工胎盤装置に応用できる膜人工肺の開発 松田 直 東北大学 渡邉 君子 東北大学 本試験では、これまで困難とされてきた成育限界児や重症心肺奇形児を救命することを目指し、ヒト胎盤循環を模した体外式補助循環回路 (人工胎盤) を開発することを目的とする。具体的には、胎盤という最も効率のよい生理的補助循環のコンセプトを応用してヒツジ胎仔を用いた慢性実験系を作成し、出生後も生理的な胎児胎盤循環を維持できる膜型人工肺の基本仕様 (膜面積と圧力損失の関係、酸素添加能、炭酸ガス排出能) を明らかにする。
231 鍼刺激による睡眠誘発装置の開発に向けて 小山 純正 福島大学 森本 進治 福島大学 われわれは、ラットにおいて仙骨(脊椎骨の最尾側)への鍼刺激が睡眠状態を誘発することを見出した。本実験では、この現象が、ヒトにおいても有効か否かを明らかにし、不眠治療に応用できる睡眠誘発装置を開発することを目的とする。具体的には、脳波の定量的な解析から、ヒトの仙骨への鍼刺激が覚醒・意識状態に及ぼす作用を調べ、さらに鍼刺激の方法、刺激のパラメーター、刺激の時期について検討する。
405 ラット実験腸炎に対する治療内視鏡による炎症性腸疾患の新規治療法開発 鈴木 健司 新潟大学 中津 普門 新潟大学 炎症性腸疾患は患者数が急増している原因不明の難病である。特に手術後再発が高頻度で生じるクローン病の消化管狭窄に対して、画期的な内科的治療法の確立が切望されている。我々は腸管線維化を生じるラット腸炎モデルを開発し、これに対しヒト用の極細径の気管支鏡をラットの大腸内視鏡として転用した治療内視鏡実験系を新たに確立した。既存薬剤および新規開発薬剤を内視鏡下に線維化を生じた大腸粘膜下へ注入することで炎症性腸疾患に対する画期的治療法を開発することを目指した。
629 乳癌に対する腫瘍特異的温熱免疫治療法の開発 今井 常夫 名古屋大学 上井 大輔 名古屋大学 鉄の微粒子(マグネタイト)に交番磁場を照射すると発熱する性質を癌治療に応用する。マグネタイトを脂質(リポソーム)で包んだナノ微粒子の表面に、乳癌に対するモノクローナル抗体(ハーセプチン)を結合させたハーセプチン結合マグネトリポソーム(HML)を開発した。再発乳癌組織にHMLを局所注射し、交番磁場照射で腫瘍特異的な温度上昇を生じさせ腫瘍を縮小させる温熱免疫療法を実施し、この治療法の安全性を確認する。
659 磁性微粒子標識法による革新的細胞移植法の開発 李 鍾國 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 従来の細胞移植は、細胞を標的部位に直接注入する方法がとられていたが、侵襲性や移植部位からの流出などの問題があった。本課題においては、あらかじめ磁性微粒子で標識した再生心筋細胞や内皮前駆細胞を、体外から磁場を与えた状態で、心腔内あるいは血管内の病変部付近でカテーテルから播種し、標的部位以外への流出なく移植細胞を的確にデリバリーする新規細胞移植法の確立を目標としている。
810 呼気中へのアンモニア排泄活性化による高アンモニア脳症の予防確認試験 中張 隆司 大阪医科大学 大野 安男 科学技術振興機構 高アンモニア脳症はしばしば致死的となる。申請者は肺胞上皮には重炭酸イオン(HCO3-)に依存したアンモニアの能動排泄機構が存在していることを見出した。今回は、「肺は排泄臓器である」という新しい概念をもとにして、高アンモニア脳症の予防的診断法と呼気アンモニア排泄の活性化による高アンモニア血症の治療法の開発を目的としている。申請課題では、呼気アンモニア測定装置を試作し、呼気へのアンモニア能動排泄によ無侵襲な高アンモニア脳症の新たな診断治療法を実用化するための可能性試験を行う。
825 赤外線レーザーを用いた早期消化管癌治療装置の開発 粟津 邦男 大阪大学 武井 廣見 科学技術振興機構 早期消化管癌の低侵襲な治療法として内視鏡治療が行われている。その中でも病変部を電気メスで切除する内視鏡的粘膜下層剥離術は、広範囲の病変にも適用可能であり、病変部を回収して病理診断を行うことができるという利点がある。その反面、治療に時間がかかることや熟練が必要で出血や穿孔のリスクがあるという難点がある。本試験では赤外線レーザーを用い、正常組織を傷つけずに早期胃癌病変部のみを選択的に切除することが可能な、安全かつ高効率な治療法の開発を行う。
975 光電変換色素を使った人工網膜(岡山大学方式人工網膜)の評価方法の確立 松尾 俊彦 岡山大学 高野 和潔 岡山県工業技術センター 特定の光電変換色素を表面に化学結合したポリエチレン・フィルム「岡山大学方式人工網膜」について、光を当てたときにフィルム表面に誘起される電位変化を測定する方法を確立する。この測定方法を確立することによって、人工網膜の性能向上や科学的な品質管理が可能になる。
985 ポルフィリン蓄積促進化合物の探索と光線力学的治療への応用 藤田 洋史 岡山大学 大村 祐章 岡山医学振興会 ポルフィリンを利用した光線力学的治療法は、癌細胞特異的に蓄積する性質と、光線照射により活性酸素を生成する性質の両方を組み合わせている。しかし、厚みのある癌組織では、その治療効果は低い。この欠点は、ポルフィリンの蓄積を促進することで克服できる。本課題では、申請者のポルフィリン量を、迅速に定量する技術を活用して、癌細胞においてポルフィリンの蓄積を促進する化合物を、検索することを目的とした。
1024 低出力超音波の顎関節症治療への応用 田中 栄二 広島大学 吉田 利兵衛 ちゅうごく産業創造センター 破壊した関節軟骨および滑膜の修復を目的とした変形性顎関節症の新規治療法を開発することを目的とする。本研究では、難治性骨折の治療補助器として臨床応用されている低出力超音波が関節軟骨細胞および滑膜細胞の代謝活性におよぼす影響を明らかとするとともに、変形性顎関節症患者を対象とした臨床試験を実施することを目標とする。
1040 脳血栓溶解用マイクロ撹拌器の開発 江 鐘偉 山口大学 井本 良 有限会社山口ティー・エル・オー 本課題は、血栓溶解用のマイクロ撹拌処理装置の実用化に向けて、小型化に高出力を求める相反の問題の克服と、更なる高効率化に取り組むものである。本課題は血栓部に微量の溶解剤を注入しながら効果的に血栓を撹拌し溶解するための血管内使用可能なマイクロ撹拌器を開発すると共に、血栓を攪拌しながらその溶解度を計測するin vivoセンシング技術とマイクロアクチュエータの発生変位を増幅させる変位拡大機構の設計技術の確立を目指す。
1050 難治性てんかん治療を目的とした脳内埋め込み型大脳局所冷却装置の開発 藤井 正美 山口大学 殿岡 裕樹 山口大学 我々はこれまで大脳を局所的に冷却する装置を試作し実験において脳局所冷却のてんかん放電抑制効果を明らかにしてきた. 今回はさらにてんかん治療を目的とした体内埋め込み型の冷却装置の開発、実用化を目指して研究を発展させる。具体的には1)ペルチエ素子からなる埋め込み型冷却装置の開発、2)冷却時ぺルチエ素子から発生する熱の放散システムの構築、3)てんかん性異常波を検知解析するシステムの構築と小型化、4)冷却温度を一定に制御できるシステムの構築と小型化、である。
1089 次世代歯科用磁性アタッチメントの開発研究 木内 陽介 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 歯科補綴物の維持装置である磁性アタッチメントの歯科臨床応用が広がるにつれて患者のQOLをより向上させるために、個々の患者に適した維持機能が求められ、臨床現場からフィードバックが生じている。本申請は磁性アタッチメントの維持力を大きくするだけでなく、安定性の良い義歯の維持装着が保たれるように復元力の大きい磁性アタッチメントの開発等、より機能の高い次世代磁性アタッチメントの開発を行っている。
1176 筋力訓練の指標となるリアルタイムの積分筋電計の実用化のための研究 石田 健司 高知大学 石塚 悟史 高知大学 今回作成するリアルタイム積分筋電計は、先ず最大筋力を発揮させて表面筋電から、その積分値を計算する。次にその値の何%の筋収縮を行なわせるかを「訓練目標値」として設定する。その訓練目標値まで筋収縮させる方法で、筋力増強訓練を行わせると、筋力の強い人も弱い人も、その人に応じた筋力訓練を設定することができることになる。更には24時間ホルター心電計の如く、四肢・体幹の積分値の24時間メモリー機能を付加することにより、筋のエネルギー消費量が評価でき、メタボリック症候群への応用も可能となる。
1218 再生医療用新型理想ウイルスベクターの開発 竹田 誠 九州大学 山本 英樹 九州大学 再生医療研究が克服すべき重要な課題のひとつは、宿主ゲノムに影響を与えることなく効率的に複数個の遺伝子を同時に発現させる技術の確立である。本研究は、申請者の麻疹ウイルス改変新技術を用いて(1)宿主ゲノムに影響を及ぼさず、(2)多数個の遺伝子を数週間にわたり発現でき、(3)効率よく標的とする細胞に感染し、(4)細胞傷害性が低い、(5)臨床応用に安全なウイルスベクターの開発を行うものである。
1221 疾病感受性ゲノム情報による集団リスク階層化技術の開発と応用 中島 直樹 九州大学 桜田 敏生 株式会社産学連携機構九州 「疾病管理」は対象をリスク階層化し高リスク群に第三者的に集中的に介入し、再階層化する新概念であり、日本での導入例はほぼ皆無である。疾病管理の成否を左右する最重要技術は集団リスク階層化の正確性であり、既に大学発事業として展開中の糖尿病疾病管理「カルナ」にて保有する技術と最近判明した糖尿病疾病感受性遺伝子の保有スコア計算を用い、更に精緻なリスク階層化法を開発し、低コストで高効率な疾病管理を可能とする。
1313 人工透析シミュレータ基本システムの開発 竹澤 真吾 九州保健福祉大学 竹下 義隆 宮崎県産業支援財団 28万名以上存在する人工透析患者は週3回の透析治療を受けており、年間で4,300万回以上の透析が全国で行われている。治療に携わるスタッフへの技術教育は、各々の施設に任されている。新人スタッフによる透析中の事故は多く、それらを未然に防ぐには、透析中に起こりうる異常事態やトラブルを再現するシミュレータが不可欠である。そこで、本課題ではシミュレータの基本部分を開発、臨床現場で問題点の洗い出しを行い、実用化を目指すステップとする。
15(B) 皮下埋め込み型骨導補聴器の性能および安全性評価と実用化への取り組み 小池 卓二 電気通信大学 比企 春夫 電気通信大学 従来の骨導補聴器の問題点を解決し、簡単な埋め込み手技で、良好な音質と快適な補聴環境を提供する皮下埋め込み型骨導補聴器の開発・評価を目的とする。体外ユニットで集音プロセッシング後、コイルにて磁場を作り、皮下側頭骨に埋め込んだ振動子を振動させ、骨伝導にて聴覚を獲得する新補聴システムである。伝音および混合難聴患者のみならず、老人性難聴への応用も可能なデバイス開発を目標とする。
44(B) 精密機械加工を用いた骨手術と関連技術との融合 森 隆治 島根大学 中村 守彦 島根大学 骨を精密加工して手術に用いる技術に4つの技術、旋盤とフライス盤の併用、CAD/CAM(画像による加工)、プラズマ(骨表面処理)、画像解析(CTから3D強度評価)を融合する。困難な手術が可能になり手術計画と患者説明に役立つことが期待できる。融合技術で手術適応が広がり患者理解が深まれば、治療法普及とともに事業化が加速する。動物実験で有効性を確認し、臨床試験実施の準備を行う。
51(B) 末梢血流障害の改善に向けた新型マイクロカテーテルによる低侵襲性遺伝子治療法の開発 寺本 憲功 九州大学 山本 英樹 九州大学 本申請研究は我々がこれまで行ってきた研究成果をさらに発展させ、ナノテクノロジーの医工学的原理を応用した低侵襲性遺伝子導入法にて血管腔内の病変部および狭窄部等の限局的な部位にのみ導入外来遺伝子を近距離で投与することが出来る“ダブル バルーン マイクロカテーテル”を用い、下肢の末梢血流障害の改善を目的とした“超”安心かつ安全な低侵襲性治療システムの早期確立とその臨床応用を目指す内容である。

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 診断技術(装置):57件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
7 回転パノラマX線画像上における計測器具の開発 細川 洋一郎 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 歯科臨床において発展の目覚しいインプラント処置においては、画像診断上、距離を高精度で測定する必要があり、その測定にはCTが最も適しているが、それを利用できない歯科医院も多い。一方、歯科医院では回転パノラマは広く普及しているが、この撮影法は画像上に特有の歪みがあり、2点間距離を画一の計算法では算出できない欠点がある。そこで本研究では、パノラマ装置用に距離測定器具を開発し、その精度を評価する。
67 自動生体上皮採取装置の開発と応用 坂井 直樹 北海道大学 清水 條資 科学技術振興機構 生体において腸管は栄養の消化・吸収のみならず、自然免疫および獲得免疫の発動といった生体防御にも深く関連している。小腸上皮の機能研究のためには、機能単位である絨毛および陰窩を採取する必要がある。我々はこれまでに、世界に先駆けてマウスおよびヒトの小腸上皮からの上皮細胞採取法に関するノウハウを蓄積してきた。本研究ではこれまでに蓄積したノウハウを用い、実験条件を制御し、実験者の技能に依存しない世界初の汎用的な上皮採取装置を開発する。
120 グリコアルブミンの非侵襲型光測定装置の開発 石原 弘規 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 平成15年、非侵襲携帯型血糖値測定計のプロトタイプを製作し公開した。また非侵襲グリコアルブミン(以下GA)値測定計を試作し、非侵襲測定が可能であることを確認した。しかし現状ではGA測定精度に問題がある(CV値25%程度)。今回近赤外分光法の精度を高めるため、新たな分析装置と光ファイバーセンサーを製作し、実際に患者で採血法と非侵襲皮膚プローブを用いた近赤外分光法による測定法を同時に行い比較する。
129 プロテインアレイを用いた蛋白定量解析の癌治療への応用 西塚 哲 岩手医科大学 大島 修三 いわて産業振興センター 超高密度逆相蛋白ライセートアレイシステムはマイクロドット方式のウェスタンブロットで、専用のマイクロアレイヤーを用いることで単位実験あたりのサンプル量を数nL程度まで減らすことが可能である。多種類の蛋白質検出による新規バイオマーカー探索や理論生物学の蛋白レベルでの検証が可能となる。本研究では、癌の化学療法における分子動態の解明を目的に、理論生物学と実験を組み合わせたアプローチで薬剤に対する癌細胞の反応を蛋白ネットワークレベルで検証する。
175 マウス用胎児心電図装置の開発 佐藤 尚明 東北大学 渡邉 君子 東北大学 本試験では、マウスの胎仔の心電図をマウス母体腹壁より計測する方法と装置を開発することを目的とする。具体的には、高インピーダンス皿電極の開発、高インピーダンス針電極との同時測定による計測精度の検証、40秒の低酸素付加による病態反映の確認試験を行う。
176 非侵襲組織標的性分子導入法を用いたがん確定診断法の開発 小玉 哲也 東北大学 渡邉 君子 東北大学 本試験では、非侵襲組織標的性分子導入法とポジトロン断層撮影法(PET)を用いたがん確定診断法を開発することを目的とする。具体的には、マウス側腹に 1cm 以下の固形腫瘍を作成し、ナノバブルと超音波を使った分子導入法で、NIS 遺伝子と腫瘍マーカープロモーター遺伝子からなる長期発現性プラスミドDNA を導入し、PET による腫瘍確定判断法の開発を行う。
179 各REGタンパク質の高感度ELISA系の確立とそのIBD早期診断への臨床応用 菅原 明 東北大学 渡邉 君子 東北大学 IBDは下痢・腹痛を伴う慢性炎症を特徴とし、再発と緩解を繰り返す原因不明の疾患である。現在IBDには適当なマーカーが無いために診断が煩雑・困難であることから、その簡便な早期診断法の確立が急務である。ごく最近、IBD患者の粘膜病変における種々のREG遺伝子の過剰発現が報告されており、血中REGタンパク質の測定がIBDの早期診断に有用である可能性が考えられる。本課題において我々は、既知の5種類のREGタンパク質に対するELISA系を確立することにより、IBDの早期発見・診断率を向上させることを目的としている。
207 光造形技術による高精度実物大顎口腔モデルの開発と臨床応用 田中 清志 秋田大学 森川 茂弘 秋田大学 本研究では、従来のX線CTで撮影したデータ(DICOM)から顎部分の光造形モデルを作製し、さらに、患者の石膏模型を高精度なX線CTで撮影し、ハレーションの無いデータと顎部分のデータを融合させて、光造形技術を利用した高精度な噛み合わせが得られる高精度実物大顎口腔モデルを開発して臨床応用するものである。したがって、高精度実物大顎口腔モデルを使って最適な顎口腔手術計画の立案支援シミュレーションが可能である。
290 糖尿病性マイクロアンギオパシーの非観血的モニタリング装置の開発 山越 芳樹 群馬大学 上石 洋一 群馬県 糖尿病における臓器障害として細小血管障害(マイクロアンギオパシー)があり糖尿病性網膜症や腎症を発症するので細小血管障害をモニタリングすることは糖尿病のリスク管理に大きな意義を持つ。研究代表者が考案した加圧型光センサを用いた皮膚毛細血管中のヘモグロビン濃度の計測法を用いて、細小血管障害を毛細血管中のヘモグロビン濃度変化として評価する新たな糖尿病性細小血管障害のモニタリング技術を開発する。
305 胸腹部4次元MRI画像の構築と肺疾患等の診断・治療への応用 羽石 秀昭 千葉大学 金田 欣亮 千葉県産業振興センター 本課題では、 MRI(Magnetic Resonance Imaging)を用いて、呼吸に伴う肺の局所的な動きを数値的に捉え、それにより疾患に対する診断および治療の能力を向上させることを目指す。そこでまず、空間3次元+時間軸、すなわち4次元のMRI画像を再構築するため、撮影プロトコルおよび再構築方法を確立する。さらに、得られた4次元MRI画像に対して、肺疾患の診断や治療計画に有効な画像解析方法を考案する。
327 心拍ゆらぎからの健康状態予知法の開発 矢澤 徹 首都大学東京 尾形 佑美子 首都大学東京 「心拍数のゆらぎ」から健康状態、とくに心疾患の状況を把握する技術を開発した。これは、通常は1秒前後の心拍間隔を、約2000拍に亘って統計処理し、「スケーリング指数」という、ゆらぎの変動係数を求め、その「指数」から健康状態を推定するものである。5分間で計測できる計算手法・プログラムを開発したが、従来の2000拍データと相関があることを実証し、実用化に一歩近づけることを開発目標とする。
345 既存の情報通信システムを利用した周産期における新遠隔医療検査法の確立 西原 京子 東京都医学研究機構 小澤 信幸 東京都医学研究機構 産科医療が充実していない遠隔地域や産科医療が集中して混みあっている地域における妊婦の負担を軽減すると共に、産科医療従事者の負担も少なくし、現在、産科医療で提供されている方法以上に優れた新検査法の開発を目指す。本研究者が開発製作した静電容量型加速度胎動センサー付胎動記録装置を用いて、既存の情報通信システムを利用して、新遠隔医療検査方法を開発する。具体的には、胎児のwell-beingの指標と考えられている胎動を妊婦が家庭で長時間記録し、医療機関で受け取って診断情報とする検査法である。
359 悪性黒色腫と色素細胞母斑のWeb上の自動識別システムの開発と実用化 彌冨 仁 法政大学 中條 隆雄 法政大学 これまで申請者は、極めて悪性度が高い皮膚癌である悪性黒色腫のweb上の自動診断システムを発表し(http://dermoscopy.k.hosei.ac.jp)改良を続けている。 システムは現在までに数値の上では、熟練皮膚科医と同等レベルの診断精度を実現しているが、実用化のためには信頼性、汎用性の強化が必要である。本研究では、アジア人に特異的に多く見られる特殊な形状の腫瘍の診断ならびに、皮膚科医が臨床で用いる診断指針に基づく診断根拠の提示の実現を目標とする。
386 アルブミン分子のブラウン運動に基づく血清(血漿)粘度測定装置の改良開発 岡崎 登志夫 北里大学 平田 伸 北里大学 血清(血漿)蛋白質主成分で、分子サイズ既知のアルブミン分子のブラウン運動の拡散係数から、アインシュタイン-ストークスの式に基づいて血清(血漿)粘度を測定する新しい方法及び装置を考案した。血液粘度の上昇が心筋梗塞や狭心症などの循環器障害やその他のさまざまな疾患の発症と関係することが知られている。血液の粘度に関する正確な情報を簡便に提供できる当該装置の実用化は、生活習慣病に関する予防医学の観点からも極めて有用であると考える。
398 関節軟骨の診断システムの開発 坂本 信 新潟大学 中津 普門 新潟大学 変形性関節症に至る関節軟骨の臨床評価には,これまでは関節鏡と押込み棒を併用して、その押込む感触と軟骨の表面状態を目視で診断している状態であり、客観的診断とはほど遠い状況である。本申請技術は、これまでの医師の経験的判断を用いずに、関節軟骨の損傷状態を定量的に明らかにするものであり、関節鏡と本技術から構成されるモニタリングシステムによる新たな診断装置によって、関節軟骨診断法を確立するものである。
399 Micro-CT装置を利用した骨石灰化度測定システムの開発 山子 剛 新潟大学 中津 普門 新潟大学 高齢者人口の増加に伴い骨粗鬆症による腰椎,大腿骨の骨折の増加およびそれに伴う医療費増大が大きな社会問題になっているが、未だその病態に関して不明な点が多く、治療法も完全には確立されていない。骨折は力学的負荷が引金になることから、骨折しやすくなった骨すなわち骨粗鬆症の病態解明および治療法の開発には、骨粗鬆症による骨組織の力学的変性状態を明らかにする必要がある。そこで本課題ではmicro-CT装置を利用して、骨組織の力学特性と密接な関連のある骨石灰化度を高精度に測定するシステムを構築すると共に、その石灰化度から骨の力学特性を推定する手法を提案する。
440 遺伝子検査の高速化を目指した液滴集積配置方式による遺伝子増幅装置の開発 黒澤 信幸 富山大学 岩瀬 洋一 富山大学 遺伝子増幅装置は、遺伝子診断を行う為に不可欠な装置であり、その需要は年々増加している。しかし遺伝子増幅には、手間と時間とコストがかかるのが現状である。そこで微量の反応液を直接平板上にスポットした状態で、遺伝子増幅反応を行うための液滴集積配置方式を考案し、これにより大幅なコストダウンと多検体・高速処理を実現するための画期的な遺伝子増幅装置を開発する。
454 簡易唾液採取用具の開発とストレス評価への応用 長澤 晋吾 金沢工業大学 南 宏之 金沢工業大学 簡易唾液採取用具を考案・作成し、唾液を用いたストレス評価分野への適用を目指すものである。従来品が混合唾液を採取するのに比し、舌下腺唾液のみの採取、かつ遠心分離操作等を省いた簡単な採取を可能にする。本課題では、綿を固定化したチップ用具の作成を試み、得られる唾液検体が分泌型IgA測定をはじめとするストレス検査に量的ならびに質的に満足出来ることを検証し、その実用化可能性を検討するものである。
467 男性型更年期障害の新規診断技術の確立 東 達也 金沢大学 奥野 信男 金沢大学 患者負担の少ない試料採取法と高い信頼性を有するLC-MS測定法の組み合わせにより、男性更年期障害の診断技術の確立を目的とする。すなわち、@ 無痛・無侵襲的に採取可能な唾液を血液に代わる検査試料として用いる。A 誤診頻度が比較的高いイムノアッセイではなく、信頼性に優れるLC-MSを基盤とする。B その際、LC-MS感度向上用試薬を活用してごく微量の唾液中男性ホルモンを精密計測し、それを基に男性更年期障害の新規診断技術を確立する。
473 簡易臨床検査法としての活性酸素消去発光分析の実用化 吉城 由美子 石川県立大学 辻 ェ司 石川県立大学 活性酸素(X:過酸化水素)、活性酸素消去因子(Y)、活性酸素消去調節因子(Z)の3種存在下における過酸化水素decomposition に基づく発光現象を利用し、活性酸素に対する恒常性を発光という同一手段で2方向(Y,Z方向)から捕え、“健康”と“疾病”の2次元解析を行う。健常者と有意差のあった疾病者検体からYおよびZ因子を単離、同定し、発光量の有意差の原因となる構造上の検索を行うことで、発光という新たな疾病のバイオマーカーの確立を目指す。
505 ポータブル長時間腸音記録分析システムの開発 阪田 治 山梨大学 鈴木 通夫 株式会社山梨ティー・エル・オー 腸管活動のモニタリングの指標として、腸が発生させる独特な音である腸音を利用して、連続的に腸管活動度の定量化・可視化を行うシステムの開発を行う。特に実用化の最大の障害である、腸音記録装置の音響信号センサ部の改良開発に取り組む。開発するシステムは、長期入院患者などの健康管理や、消化能力の低下した高齢者の食事計画管理への応用が期待できる。
507 病理診断用クライオバイオプシー装置の開発 大野 伸一 山梨大学 菅原 幸雄 山梨大学 標的とした臓器の標本採取部位以外を凍傷から防ぐための保温材と液体窒素(-196℃)を流す外筒をセットし、中心部にファイバースコープ生検鉗子を持つ装置を開発する。本装置による臨床診断用クライオバイオプシー法により、従来のバイオプシーでは、解析が不可能であった生きたヒト臓器の機能病理学的所見が得られるようになる。
509 上顎骨骨延長における延長量の3次元計測による評価方法の開発 中野 佳央 山梨大学 菅原 幸雄 山梨大学 本研究は、顎変形症での上顎骨の骨延長手術における骨延長量を経時的な定量かつ簡便な方法を確立することを目的とする。その方法として写真計測による3次元計測を応用し、デジタルカメラで時系列に患者を撮影、ソフトでデータを演算し、骨延長した計測値(移動量、方向、傾斜)を算出する。この結果、リアルタイムでの分析による即時の延長量と方向を決定でき、経験によらず、かつ、施設によらない治療が期待できる。
519 感覚疲労検査方法と検査装置の開発 降旗 建治 信州大学 田草川 信雄 信州大学 人の視覚・聴覚・皮膚触覚の特性を検査し、感覚疲労状態を敏感度で即時表示することを特徴とする感覚疲労検査方法と装置の開発を行う。具体的には、@検査時間の短縮可能な感覚刺激の呈示方法の開発、A被験者の実態に即して用いることができる基準値の構築と検査結果の表示方法の開発、B携帯可能な小型検査装置の試作を目標とする。
561 血中遊離癌細胞の検出に向けた腫瘍マーカー探索と迅速診断法の開発 福田 頼謙 静岡県立静岡がんセンター研究所 八十 昌夫 しずおか産業創造機構 本研究は、ヒト臨床サンプルに含まれる血中遊離癌細胞に対し、6 種の新規腫瘍マーカー遺伝子をPCR により増幅することで検出し、その腫瘍マーカーとしての評価を行うとともに、既存の方法に比べ高感度・迅速・安価・簡便な癌診断システムの開発を目指すものである。
570 皮膚内の血液の低酸素状態検出法に関する実証試験 庭山 雅嗣 静岡大学 出崎 一石 静岡大学 光を用いて筋肉と皮膚の酸素濃度を分離して測定する技術を用いて、模擬試料とヒト実測で、皮膚内の血液の酸素飽和度の測定精度を実証する。また、測定誤差の要因に関するデータを収集し、理論との整合の確認と対処法の検討を行う。
575 走査電子顕微鏡による透過二次電子像観察のための試料ホルダ開発 村中 祥悟 浜松医科大学 四本 喬介 浜松医科大学 走査電子顕微鏡(SEM)を用いて、透過電子顕微鏡(TEM)用薄膜試料の透過二次電子像が観察できる試料ホルダの開発・実用化を試みるものである。透過像観察の試料は、超薄切片、薄膜上の微生物・タンパク、レプリカ膜などとし、これらの試料が装着できる形状とする。得られる透過二次電子像のコントラスト・解像度及び試料移動等の操作性についてTEMに匹敵する性能を目指すと共に、薄膜試料のX線元素分析にも対応できる試料ホルダの開発をするものである。
609 動脈硬化度の精密測定装置開発のための試験研究 松本 健郎 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 早期動脈硬化の程度を血流を数分間遮断した後の上腕動脈の拡張度合いから判断するFMD検査が広く用いられている。しかし、血管拡張は血管内皮の血管拡張因子分泌能と平滑筋の弛緩能の両方に依存する。そこで本研究では、この二つの因子を分離して計測することを目指す。即ち、血管外圧を階段状に変化させ、その後のベイリス効果による径変化を計測することにより平滑筋の収縮弛緩能を推定する新たな手法の研究開発を行う。
678 ヒト用痒み(掻破行動)定量化システムの開発と応用 野呂 雄一 三重大学 新原 英雄 三重大学 アトピー性皮膚炎の治療分野では、治療薬の評価や症状の把握のために患者本人の感覚量である痒みを定量化して評価することが求められている。動物実験では、定量化は専ら掻破行動の回数を目視カウントすることにより実現されてきたが、最近では画像処理によりカウントを自動化するシステムも提案されている。しかし、このシステムをヒトへ応用することはプライバシーの観点から難しい。本研究では、映像ではなく手腕部に取り付けた加速度や振動(固体音)センサー等によって掻破行動を検知するシステムを開発し、臨床応用の可能性について検討する。
696 1粒子検出技術を応用した高感度ウイルス検査機器の開発 長谷川 慎 長浜バイオ大学 福崎 優太 長浜バイオ大学 インフルエンザウイルスなど大規模感染が危惧される病原体の高感度検出は危急の課題である。われわれは光計測技術を応用してウイルス1粒子を検出できる検査機器の開発を目指している。本提案では、ウイルス表面を蛍光抗体で標識し、溶液中の蛍光の動きを光センサーによるフォトンカウンティングにより検出することにより、比較的安価に実現可能な装置の基本原理を確立させる。
762 MRI用高温超伝導マグネットにおける微小電流減衰補償磁束ポンプの開発 中村 武恒 京都大学 増田 亜由美 京都大学 本研究の目的は、磁気共鳴断層撮影(Magnetic Resonance Imaging: MRI)装置の高温超伝導化を実現するため、微小電流減衰補償システムを開発することである。具体的には、申請者らが既に開発しているリニア型磁束ポンプをベースとした非接触かつ高温(20 K 程度以上)動作可能な微小電流供給装置を開発する。最終的には、ランニングコストならびにメンテナンスコストの両者を大幅に低減可能なMRI システム実現の可能性を検証する。
781 インテリジェント電極を用いる高感度・高信頼性尿糖センサの開発 盛満 正嗣 同志社大学 永田 和彦 同志社大学 本研究は、人尿中のグルコース濃度を決定する尿糖センサの検知極として、特異な反応選択性を有するインテリジェント電極を開発し、高感度でかつ長期的に高い信頼性を有する尿糖センサとしての応用を目的とする。インテリジェント電極の触媒には酸化イリジウム系混合酸化物を取り上げ、その微結晶構造を制御することで、従来検討されてきた白金に比べて極めて高い検出感度と、妨害反応に対する特異な反応抑制作用を有するセンサを開発する。
785 生体電気インピーダンス式筋肉量測定と運動処方連携システムの開発 米井 嘉一 同志社大学 永田 和彦 同志社大学 生体電気インピーダンス式筋肉量測定など非進襲性検査測定を行い、筋肉バランス補正の運動処方を画像コンテンツとして携帯電話にて提供し、万歩計情報のトレーニングデータをリアルタイムでのフィードバックが可能な双方向性健康増進システムを開発する。メタボリックシンドロームに対する特定保健指導に対応可能とすることで医療機関が利用しやすいシステムにする。健康指導に対する利用者の運動コンプライアンス向上を目指すものである。
797 鼻腔内の気流解析に基づく鼻閉感の新診断・治療法の開発 板東 潔 関西大学 中本 博幸 関西大学 鼻閉感患者や健常者のCT画像から鼻腔のコンピュータモデルを作成し、気流シミュレーションを行う。そして計算結果を比較および解析することにより、鼻閉感を引き起こす部位を明らかにし、また鼻閉感の程度を判定する流体力学的な診断指標を構築する。さらに鼻閉感の発症部位の除去手術を行った後の鼻腔モデルをコンピュータ上で作成し、その鼻腔に対する気流解析を行うことにより手術の術前シミュレーションを行う。
809 可溶性癌特異抗原及び癌患者血清中自己抗体の解析による新規膵臓癌診断マーカーの開発 中西 豊文 大阪医科大学 大野 安男 科学技術振興機構 4種類の培養ヒト膵臓癌細胞由来の可溶性タンパク質混合物を膵臓癌特異抗原とし、電気泳動にて分離し、4病期(PanIN分類:1A、1B、2、3期)の膵臓癌患者血清中に存在する自己抗体との結合の有無にて膵臓癌特異抗原を選別し、その膵臓癌特異抗原を検出・同定する。更に、同定癌特異抗原を固定化したELISA法を確立し、スクリーニングする。
849 臨床検体中インフルエンザウイルスの網羅的ゲノム検出法の開発 中屋 隆明 大阪大学 内田 国克 大阪大学 ヒト臨床検体からインフルエンザウイルスゲノムを検出するためにはRT-PCR法やLAMP法などの核酸増幅法が用いられているが、ウイルス抗原検出法であるイムノクロマト法と比較して操作性、利便性において改良すべき点が多い。本研究では抗インフルエンザウイルス抗体を用いて、ヒト由来試料よりウイルスゲノム(RNP)を選択的に濃縮し、新しいタイプのプローブを用いてウイルスゲノムをより迅速、簡便に検出するシステムの開発を目指す。
854 Biドープシリカファイバを用いたOCT用超広帯域赤外光源の開発 藤本 靖 大阪大学 武井 廣見 科学技術振興機構 本研究提案の技術内容は、Optical Coherence Tomography(OCT)用の新規の広帯域光源の開発に関するものである。主体は、我々が2001年に報告したBiドープシリカガラス(BiSG)という新しい蛍光体で、近赤外域1.3μm帯(1.0-1.6μm)において300nmに渡る広帯域な蛍光を示す特徴を持つ。この蛍光体をコアとする光ファイバを製作し、光ファイバベースで、安価なOCT用広帯域光源の開発を行う。目標値は帯域幅が300nm程度、出力が数mWとする。
900 メタボローム解析を用いた各種呼吸器検体の比較と新たなバイオマーカーの確立 小林 和幸 神戸大学 榑林 陽一 神戸大学 呼吸器疾患に関連する新たなバイオマーカーの検出と各種気道由来検体(肺胞洗浄液、気道被覆液、気道凝縮液)が、各呼吸器疾患に持つ意義を明らかにすることを目的とする。方法として、間質性肺炎および肺癌患者を対象に、各気道由来サンプルを採取し、メタボローム解析を行うことで、各サンプル採取法の相違点を明らかにし、各疾患の病態を最も反映する気道検体採取法を確立するとともに、新たなバイオマーカーとなるタンパクの同定を目指す。
902 腹部臓器の高分解能MR撮像のための体内RFコイル開発 松岡 雄一郎 神戸大学 榑林 陽一 神戸大学 当研究は、MRIで膵管、胆管の高分解能画像を取得するための消化管内設置可能なRFコイルを開発するものである。RFコイルに近い領域ほど高信号となるコイル特性を利用し、RFコイルは有線あるいは無線型として内視鏡を介して消化管内へ挿入し、撮像対象とする膵臓や胆嚢に近接させMR撮像を行い、膵管や胆管の高空間分解能断層像の描出を目指す。コイル調整は生体モデルあるいは摘出組織を対象として行い、動物実験で撮像条件、コイル構造の最適化を行う。
903 食道癌におけるMR内視鏡システムを用いた新たな診断法の開発 森田 圭紀 神戸大学 榑林 陽一 神戸大学 食道癌は予後不良な疾患とされてきたが、近年の内視鏡的治療・外科的治療・放射線化学療法の進歩により長期予後が望める症例も増加してきた。そのため食道癌におけるより詳細な質的診断を得ることを目的として、微小病変も発見可能な内視鏡に、計測量の多様性・空間領域の任意選択性・無被爆性などといった優れた特徴を持つMRIを組み合わせ、Augmented Reality(AR)技術による3次元画像の描出を目指した「MR内視鏡システム」の開発を計画した。
910 メタボローム解析を用いた農薬およびその代謝物の高感度測定系の確立 平井 みどり 神戸大学 榑林 陽一 神戸大学 近年、加工食品における農薬の混入が問題視されている。これらは長期間の摂取により健康に重大な被害を与える可能性があるが、少量の場合では原因物質を特定することは困難である。漢方薬や医薬品、いわゆる健康食品などは原材料として植物を使用しており、残留農薬の影響が懸念されている。そこで申請者は質量分析総合センターと協力し、代謝物を含めた農薬の高感度な測定系(メタボローム解析)を構築すると共に、生体からの検出系の構築を行う。構築した技術を用い、安全な医薬品開発への貢献を目指す。
955 膝安定性計測器の実用化 熊橋 伸之 島根大学 中村 守彦 島根大学 膝の不安定症は日常診療上遭遇する疾患であるが、膝蓋骨の不安定症の診断は明確な基準がない。我々は、膝蓋骨の不安定性を患者に恐怖感や不快感を与えることなく客観的にかつ定量的に評価な可能な膝安定性計測器をキシ・エンジニアリング株式会社と共同で開発した。本課題は本計測器を用いて膝蓋骨の安定、不安定を鑑別し、さらに手術前後の膝蓋骨の不安定性の評価を行うことである。
972 精子の簡易的評価システムの開発と応用 舟橋 弘晃 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 我が国の夫婦の10%は不妊であり、その半数は乏精子症等の男性要因に因る。本課題の目的は、精液中の精子の濃度と品質を物性および化学手法を利用して簡便に評価する技術の開発と応用展開にある。本課題は、新たに見出した手法を用いて簡易的精子濃度判定キットを開発するとともに、精子の受精能を評価するために既法を応用した簡易的な可視判定キットを開発する。
1044 蛍光膀胱鏡検査を用いた分子イメージングを応用した膀胱上皮内癌の新しい治療法の開発 松山 豪泰 山口大学 殿岡 裕樹 山口大学 蛍光膀胱鏡検査は蛍光前駆体物質5-aminolevulinic acid(5-ALA)を膀胱内に注入し、励起光照射で発生する赤色蛍光により、癌細胞に特異的に取り込まれた5-ALAを検出する技術であり、従来の方法では発見が困難であった膀胱上皮内癌を発見可能にする分子イメージング技術である。本研究の目的は同法を用いて発見した膀胱上皮内癌を内視鏡的に切除治療することにより膀胱癌の再発や進展を減少させる新しい治療法を開発することである。
1125 流体解析手法をもちいた眼房水の流れ解析モデルの開発 山本 康明 愛媛大学 神野 俊一郎 愛媛大学 近年、白内障や緑内障手術などの術後に発症する水疱性角膜症が問題となっているが、その原因は不明な点が多い。我々は、術後に変化する非生理的な眼房水動態が発症メカニズムに関与するのではないかと考えている。本研究では、各種術後眼を家兎で作製し、その房水動態を計測する。さらにそのデータをもとに流体解析ソフトでさまざまな非生理的房水動態を解析できる3次元眼球モデルを構築し、病態の解明や新しい手術治療法の開発や評価に応用する。
1144 時計型酸素飽和度測定プローブの開発 宮田 剛 新居浜工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 本課題では、日常生活での動きに対応できるウェアラブルなパルスオキシメータの開発を目的として、多機能性と装着安定性の面から腕時計型プローブを試作し、手首近傍で皮膚反射方式により動脈血酸素飽和度を計測する要素技術の確立を目指す。具体的には、微弱光電脈波を高い信号対雑音比(S/N比)で検出するために、現在まで申請者が提案してきたゲート動作アバランシェフォトダイオード(APD)による擬似ロックイン検出システムおよびボックスカー積分器を応用する。
1171 臨床検査としてのセレクチンリガンドをもつMUC1の意義 横山 彰仁 高知大学 大山 真吾 株式会社テクノネットワーク四国 我々はセレクチンリガンドを有する可溶性MUC1が存在すると考え、その測定法を開発し、SLAK と名付けた。予備的研究結果を踏まえて、本研究ではSLAKを臨床検査試薬とすることを目標とし、ARDS においてSLAK が既存のものよりもよい予後マーカーか検討し、さらにSLAKとDICとの関連を明らかにする。また、現在用いているエピトープよりも感度・特異度の高いSLAK 測定系を開発する。
1175 胸部CT画像によるじん肺自動診断の開発と応用 菅沼 成文 高知大学 島崎 たどる 高知大学 粉じん吸入によって発生するじん肺の医学的健診は胸部エックス線写真によって分類されるが、判定者間の不一致が十分に制御されない。これはじん肺分類に対する理解が不十分である医師が読影している可能性とたとえ十分に理解していても主観的な判定であるために生じる誤差を制御できていない可能性がある。日下、菅沼らが国際共同開発した職業性呼吸器病のための国際HRCT 分類を発展させ、木戸らが開発したびまん性間質性肺炎のスコア化のためのアルゴリズムを応用し、じん肺の自動スコア化を実現する。
1181 小児固形移植におけるEBウイルスの制御と対策 藤枝 幹也 高知大学 石塚 悟史 高知大学 強力な免疫抑制薬の登場により、EB ウイルス(EBV)未感染の若年者の移植が可能になる一方、EBV 感染にともなう致死的な移植後リンパ増殖症(PTLD)などの発症増加が懸念され、EBV 関連症状の予防と早期発見・治療が重要になるが、現在、確立されたシステムがない。そこで、移植後経時的な採血により、EBV 量、細胞性免疫(killer T 細胞数)および免疫状態(ATP 産生能)を同時に把握する方法を完成させ、免疫抑制薬調節の指標作りを目的とする。
1198 ナノバブルを利用した超音波遺伝子・ドラッグデリバリーシステムの確立 岩永 賢二郎 九州歯科大学 石川 宗晴 科学技術振興機構 リポソームに超音波造影ガスを封入した、ナノバブルリポソームに抗がん剤や遺伝子などを封入し、超音波照射によるバブルの圧壊により、細胞内に薬剤や遺伝子を導入する超音波バブルリポソーム法が使われている。本申請ではポリエチレングリコール(PEG)修飾リポソームに、癌細胞表面に過剰発現している受容体(EGFR)を認識する抗体を結合させた複合体を構成して、担がんマウスでの効果確認を行って、本手法のがん治療への応用可能性を調べる。
1212 レーザー誘起超音波法を用いた完全非接触型歯科インプラント固定率評価装置の開発 森田 康之 九州大学 山本 英樹 九州大学 歯科インプラントにおいて、術後の骨に対する固定率は、合併症を未然に防ぐため経時的に評価すべき重要な因子である。しかしながら現状では、確固たる評価法が確立されていない。そこで本研究では、レーザー誘起超音波法を用いて、植立後の歯科インプラントの骨への固定率を非接触かつ経時的に評価できるシステムを新しく開発することを目的とする。
1235 患者とともに聞いて診断する聴診器システムの開発 小山 倫浩 産業医科大学 田中 邦明 株式会社久留米リサーチパーク 患者の医療不信を招く原因に、医師から患者への情報の偏りが挙げられる。都市エリア事業試作品の、聴診音の抽出精度や、臓器障害に起因する異常聴診音の検知精度の向上させるとともに、メモリー機能等を追加することにより、実用化・商品化を目指す。その結果、患者病態の推移を医師・患者相互で共有することによる患者QOLの向上、更には教育中の医療従事者と熟達者とが同時に同じ音を聞くことによる評価技術習得を可能とする。
1266 母体血漿中胎盤特異的mRNA/miRNAを用いた胎盤機能検査の開発 三浦 清徳 長崎大学 梅津 照彦 株式会社長崎TLO 周産期医療の向上には、胎盤機能の正確な検査が欠かせないが、現在のhPL測定などの生化学検査やCTGなどの胎児モニタリングでは正診性が低い。そこで、安全にかつ早期に正確に胎盤機能を検査するために母体血漿中の胎盤特異的mRNAによる診断が考えられている。本診断方法はこれまでにもいくつかの妊娠合併症を検出できることが示唆されているが、発明者はこれに加え、miRNAについても検出を行うことで、総合的胎盤機能検査方法の開発を行う。
1272 関節リウマチの新たな血清診断ならびにそれを応用したテイラーメイド医療の確立 川上 純 長崎大学 梅津 照彦 株式会社長崎TLO 関節リウマチは、優れた薬剤が次々と開発されており、現在ではいかに早期診断を行うかが重要な課題となっている。早期診断の方法としては、抗CCP抗体を用いた方法が導入され、優れた結果を出している。その一方、申請者は本方法では早期診断が難しい場合もあることを明らかにした。本申請では、よりテイラーメイドに近い方法を用いて新たな関節リウマチ早期診断方法を確立することを目指す。
1297 安全性を有する新規ホルムアルデヒド非含有臓器保存液の開発 藤倉 義久 大分大学 安永 昌二 有限会社大分TLO 現在、肉眼臓器標本の長期保存に使用されている「ホルムアルデヒド」は平成20年3月より発ガン性物質に変更・格上げされ、労働作業環境や作業者の健康診断など厳しい規制が布かれることになった。
本研究は肉眼・組織標本作製においてホルマリンを全く用いず、代わりに親水性高分子モノマー混合液を使用することにより、標本を生体に近い形で、長期保存可能、直接触れても人体への影響がない、かつ廃棄時においても環境負荷の少ない方法を開発する。
21(B) 動態ディジタルレントゲンによる呼吸・循環機能新規診断システムの開発 真田 茂 金沢大学 長江 英夫 金沢大学 1.ディジタルX線動画像を対象として肺内換気と血流状態を解析する画像診断システムを試作する。その為の症例別アルゴリズムを、多数の正常例や病的症例を用いて解析評価する。
2.本研究で開発される呼吸・循環機能画像診断システムは、初期検査における診断情報を質・量ともに著しく向上させるとともに、救急救命患者や手術後患者の生命情報(呼吸機能や循環機能)が取得可能で、保健医療の低コスト化と国民の疾病予防・早期治療・健康維持に大きく貢献する。
29(B) 親子内視鏡によるヒト糸球体微小循環診断ソフトの開発 山本 徳則 名古屋大学 石山 慎一 名古屋大学 糸球体は毛細血管と尿細管で2つのユニで構成されている。その毛細血管は濾過機能に直接関与し、その血流を解析することは直接機能評価に結びつく。また尿細管周囲の毛細血管は腎臓の機能血管で腎臓虚血に直接関与する。この研究は腎臓でまたは生体で重要な、その糸球体毛細血管血流と尿細管周囲の血流を解析可能な独自のプログラムを作成することを目的とする。

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 人工臓器・医用材料:41件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
23 細菌が合成するナノ磁性ビーズ鎖の研究と医療技術への応用 澤田 研 室蘭工業大学 朝日 秀定 室蘭工業大学 高齢化が進む中で新規医療技術の開発は不可欠である。そこで、磁性細菌が合成するナノ磁気微粒子に注目した。この粒子はナノサイズで粒径が均一なマグネタイト結晶(磁石)が生体膜で包まれている。本申請では、1)磁気微粒子の産生に関わるタンパク質の機能解析 2)簡便かつ精製度の高い磁気微粒子の精製方法の検討 3)新規磁性細菌の検索 
細菌が合成する磁気ビーズを研究することで医療技術への応用に道を開く。
46 再石灰化促進作用を有する歯科材料の開発−虫歯修復材の耐久性向上を目指して− 伊藤 修一 北海道医療大学 蛸島 武広 北海道医療大学 近年、虫歯などの歯の硬組織欠損を歯科修復材料で再建を行い、歯を保存しようとする歯科保存修復学の分野の歯科臨床において、接着性修復物が、より頻繁に使用されている。しかしながら、接着修復物の脱落、修復物周囲の2次的な虫歯ができるなど長期的な耐久性には、まだまだ改善すべき点が多い。そこで、接着性修復物に含まれるフィラーに着目し、象牙質再石灰化誘導活性を有するフィラーを開発することにより、歯科修復材料の耐久性を向上させることができる。
78 道産キトサンを用いた歯槽骨再生ナノ複合体の開発と実用化 柏崎 晴彦 北海道大学 土方 健二 科学技術振興機構 歯周病患者の歯槽骨喪失による咀嚼機能の低下は、著しくQOLを損なうが、現状では失われた咀嚼機能を十分に回復させるような歯槽骨再生材料は存在しない。我々は、これまでに道産カニ由来のキトサンとハイドロキシアパタイト結晶がナノレベルで複合化した新規足場材料の合成に成功した。今回、この足場材料が細胞の遺伝子発現・表現型に与える影響を指標に、歯槽骨再生に最適なナノ構造と生理活性物質を付与した生命機能マテリアルを開発することを目的とする。
180 生体用多層リン酸カルシウムコーティング膜の最適化 成島 尚之 東北大学 山口 一良 科学技術振興機構 チタンインプラントの骨適合性向上を目的に、高周波マグネトロンスパッタリング法を用いた多層リン酸カルシウムコーティング膜構造の最適化を行なう。多層コーティング膜全体としての密着力、擬似溶液中でのアパタイト形成能などの生体外評価に加えて、多層リン酸カルシウムコーティングを施したチタン製インプラントの日本白色家兎大腿骨からの回転除去トルク測定や組織学的評価などを通して、コーティング膜構造と骨適合性の関係を明らかにする。
202 繰り返し重ね接合圧延法を利用した高強度純チタン生体材料の作成 宮野 泰征 秋田大学 森川 茂弘 秋田大学 生体材料の代表であるTi は、耐摩耗性等の改善のため合金化して実用されるが、近年、Al、V等の生体毒性が懸念されるようになっている。結晶粒の微細化は、合金元素をフリーで材料の機械的特性を改善する方法である。本研究では、繰り返し重ね接合圧延法でナノ組織純Ti 材料を作成し、その機械的特性、生体適合性について検討する。特に、小型、高強度が要求されるTi製デンタルインプラントへの適用性、対環境性について評価するものである。
208 臨床応用に向けた細胞分化・増殖を誘発する新規生体埋入材料の開発 福田 雅幸 秋田大学 森川 茂弘 秋田大学 歯科インプラントなどに使用される生体材料は、骨との接着特性や骨芽細胞の増殖特性を有するが、骨との接着に長期間を要するため、短期間で接着が実現できる第4 世代の生体材料が要求されている。骨と材料とを短期間で接着させるには、細胞の分化・増殖を促進させる必要があり、その促進因子として微量な酸素ラジカルと亜鉛イオンがある。本研究では、これらのイオン種の徐放機能をもつ新規の生体埋入材料の開発と臨床応用を目指すものである。
292 アクトミオシン駆動性のナノ粒子運搬体の構築 石川 良樹 群馬大学 塚田 光芳 群馬大学 DNAチップで代表されるバイオチップが広く医療の世界に貢献し始めている。現在のバイオチップは、いずれも物質が固相化されていて, 反応を進行させる機器、それを検出する測定機器が要求される。次世代バイオチップとして、固相化せずにチップ内でターゲット物質を運搬し、反応・検出まで行えるチップの開発が望まれる。本研究はその第一歩として、バイオチップに利用可能な物質の運搬体及び輸送方法の開発を目指す。
364 ヒト耳介軟骨幹/前駆細胞を用いた3次元形態を有する軟骨再生療法の開発 小林 眞司 横浜市立大学 今井 紘 横浜市立大学 ヒト耳介軟骨組織より“ヒト軟骨幹/前駆細胞“を分離・培養し、3次元形態を有するヒト軟骨組織を再構成し、医療応用するための細胞操作技術を開発する。さらに、“ヒト軟骨幹/前駆細胞“ の特性解析を推進するために、フローサイトメトリー(fluorescence activated cell sorter: FACS)と蛍光標識モノクローナル抗体を用いた精度の高い細胞分離法を駆使することにより“ヒト軟骨幹細胞“の純化方法を開発することを試みる。
374 iPS細胞を用いた角膜上皮細胞の開発と応用 鈴木 登 聖マリアンナ医科大学 木苗 貴秀 MPO株式会社 現在行われている同種角膜移植では提供者に限りがあり新規の細胞源が求められている。iPS細胞は遺伝子導入により樹立された多能性幹細胞で、胚性幹細胞に伴う倫理 的な問題点がない。我々は胚性幹細胞から角膜上皮細胞を分化誘導する手技を確立しているが倫理的な問題点により臨床応用は難しい。そこでiPS細胞から角膜上皮細胞の分化誘導を試みる。iPS細胞を用いる場合には倫理的な問題点を持たないため実用化は早いと考えられる。
377 電子線照射によるバイオメディカル材料の接合技術の開発 西 義武 東海大学 加藤 博光 東海大学 本研究グループでは、電子線(EB)照射処理による高分子材料のぬれ性、防曇効果、強度向上について研究を行い、バイオメディカル材料へのEB照射処理技術を追求してきた。さらに、本研究では、異種高分子間の新しい接合技術としてのEB照射処理について検討する。具体的には、ナイロンフィルムと接着基板として用いたシリコーンゴムやポリカーボネート、アクリル樹脂との接合技術を開発する。
388 骨誘導能を有するキレート硬化型ペースト状人工骨の開発 相澤 守 明治大学 諸石 昌人 明治大学 新しいメカニズムで硬化する「ペースト状人工骨(骨修復セメント)」を開発し、5年以内に上市する計画であるが、骨粗鬆症などの高齢な患者に臨床的に適用しても確実な骨癒合を得、さらに医者が安心して使用し、患者のQOLを向上させるため、本研究では、「次世代型ペースト状人工骨」の開発を指向し、「骨誘導を備えた新規な骨修復セメント」を創製し、それを医療用デバイスとして応用するための基盤技術を構築する。
395 移植用骨膜培養に特化したコラーゲン特殊コーティングされた基材の開発 奥田 一博 新潟大学 中津 普門 新潟大学 培養骨膜に骨形成能を発現させる機能を有し、かつ移植可能な基材を試作し、再生医療の普及と医療産業の活性化に貢献することを目標とする。ヒト骨膜をコラーゲンコートしたePTFEメッシュ上で培養した場合、剥離することなく増殖し、特別な分化誘導をかけなくともin vitroで石灰化物を形成する。メッシュ素材を生体吸収性ポリマーに代えて同様の基材を試作し、自家培養骨膜移植用に最適化したものに仕上げる。
482 熱滅菌型空気清浄化装置の実用化に向けた実証実験 岩崎 博道 福井大学 蓑輪 泰造 福井大学 近年、医療技術の進歩に伴い、感染に対する免疫機能の低下した患者が増加したため、無菌室設置をはじめ、感染防御を目的とした環境整備が大きな課題となっている。本研究では加熱滅菌法(3Dヒーター)を改良し、空気中のすべての浮遊細菌を焼却し、無菌化することに初めて着眼した空気清浄化装置の実用化への検討を目的とする。最も滅菌の困難とされる耐熱性芽胞菌の死滅について検証し、安全性を確立するとともに、病室での臨床応用についても実施する。これまでのHEPAフィルター式に比べ、高い無菌化効率を有することに加え、維持費の抑制が可能であり、実用化を目指す。
486 チタン繊維による人工肋骨の再生 佐々木 正人 福井大学 吉田 芳元 福井大学 呼吸器外科領域の胸壁合併切除術の際に行われる胸壁の再建に用いる至適人工素材が求められている。今回、組織親和性及び抗感染性の金属のチタンの極細繊維を使い、骨組織再生に成功した。それを使った肋骨切除後の人工肋骨再建実験を行い、有用性を検討する。ビーグル成犬の肋骨を切除し、その欠損部位に平均径が50ミクロンで空隙率が80%のチタン繊維の人工肋骨を植え、そのまま使用する群(非骨髄群)と骨髄移植を加える(骨髄群)群の2群に分けて、骨化の程度を確認し、人工肋骨としての可能性を探究する。
518 顎骨萎縮患者用人工歯根の開発 栗田 浩 信州大学 倉科 喜一 信州大学 顎骨量の不足する患者に適応可能で、長期予後良好な人工歯根を開発することを目的とする。骨延長型人工歯根の試作品の開発と動物での検証を行なう。
528 歯科用快削性セラミックスの開発 樽田 誠一 信州大学 田草川 信雄 信州大学 本研究は、アルミナとフッ素雲母(マイカと略す)の混合粉体の焼結で、歯科用の快削性セラミックスを、単純かつ容易な方法で製造する技術に関するものである。本研究の目標は、@快削性セラミックスの機械的強度および破壊靭性を高めること、A混合粉体の焼結工程でマイカ粒子からのフッ化物の一部が揮散する可能性があるため、そのフッ化物揮散を防止する技術を開発することである。
551 ケラチンおよびケラチンハイブリッドによる皮膚創傷剤の開発 棚橋 光彦 岐阜大学 小田 博久 岐阜大学 溶媒として尿素を使用し、融点以上で溶融させ、動物性バイオマスを高分子状態で保持、溶解する方法である。温度条件や処理時間を変えるだけで様々な動物性バイオマスを溶解することができる。 羊毛のケラチンの場合、完全溶解した溶液を水で希釈することにより、水に可溶のソフトケラチンと不溶のハードケラチンに分離でき、ソフトケラチンはキトサンとのハイブリッド化によりフィルムを調整し、皮膚創傷剤などメディカル分野へ利用を可能とする。
577 金銀Pdに代わる廉価で機械的性質に優れた歯科鋳造用N含有Co-Cr合金の開発 福井 壽男 愛知学院大学 安田 匡一郎 中部科学技術センター 金、パラジウムが急騰し、金銀パラジウム合金の安定した価格での供給に支障をきたしている。強度および延性を有し、廉価な安定供給可能な新しい合金創製が急務である。本提案の研究概要は、廉価で且つ従来の歯科健康保健適用の金銀パラジウム合金に勝るとも劣らない強度及び延性を有する粉末冶金による良質のN含有Co-Cr合金の創製を試みる。
624 ペプチドを単位としたECM模倣ステント被覆マテリアルの開発 加藤 竜司 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 本研究では、様々な閉塞・狭窄の治療に用いられるステントを対象とし、表面被覆のECM代替ペプチド設計を行う。我々の技術は、一度に数百〜千種類のペプチドをアッセイできるペプチドアレイ技術と、大量に得られた配列データを解析し、機能性を持つために重要な構造的ルールを抽出するバイオインフォマティクス解析手法である。本研究では、生体におけるECMを情報解析した結果に基づき、網羅的なペプチドアッセイを行い、実験結果と計算結果を融合させた新規手法で生体材料の設計を行う。
684 Ti合金製人工骨表面への人体に安全で環境負荷の低い多孔質形成法の開発 岡田 太郎 滋賀県工業技術総合センター 倉上 茂 滋賀県 骨折の治療において、高齢者等の回復力の弱い患者に対してはTi合金製の人工骨が使用される。人工骨には骨組織との長期的で強い結合性が求められるため、その表面に多孔質状の加工が施されており、再生した骨組織が多孔質部に入り込んで結合性を高め、治療後に緩んで外れてしまうという重大な医療事故の発生を防止している。本研究においては、Ti合金製人工骨表面を多孔質状に加工するために、食塩水をベースとする溶液中での電気分解を用いる。食塩水という入手・取り扱いが容易な溶液を用い、既存の加工法に比べ人体に安全かつ環境負荷の低い多孔質形成法を開発する。
702 腱・靭帯様再生コラーゲン組織の創製 山本 憲隆 立命館大学 近藤 光行 立命館大学 腱や靭帯などの生体組織は、線維束、線維、原線維の順に小さくなり、最終的にコラーゲン分子に至る階層構造をなしている。このような組織は、力学的環境の変化に対して、構造や力学的性質を変化させて適応する(リモデリング)能力を有している。そこで、コラーゲンのマイクロ・ナノレベルでの構造と力学的性質を考慮して、分離精製されたコラーゲンから再生組織を作成し、これに種々の負荷を作用させたときの組織形成について検討する。
795 温度応答性ゾル−ゲル転移を示す生分解性ポリマーを用いた医療デバイス 大矢 裕一 関西大学 瀬尾 寛 関西大学 室温ではゾル状態で、体温でゲル化するポリマーは、注射によりゲル化するインジェクタブルポリマーとしての応用が期待される。生分解性ポリエステルとPEGからなる、室温-体温間にゾル-ゲル転移温度を有し、ゲル状態で高い力学的強度を示す生体吸収性ポリマーを開発した。本研究では、このポリマーを用いて、薬物徐放型DDS、術後噴霧により膜化する癒着防止材、細胞増殖因子や幹細胞を封入した組織再生材料等の医療デバイス開発を行う。
802 細胞外マトリックス模倣人工タンパク質を用いた組織工学用材料の開発 柿木 佐知朗 国立循環器病センター 大野 安男 科学技術振興機構 iPS細胞の樹立に代表されるように、幹細胞研究は飛躍的な進展を遂げ、その医療応用をサポートするための組織工学的技術の確立は急務である。貴重な細胞ソースの諸機能を損なわせることなく培養・分化・移植などを行うためには、それら細胞種に応じた細胞外環境の設計、すなわち高機能な人工細胞外マトリックスの開発が重要となる。そこで本研究では、遺伝子工学的手法により、血管新生活性を有するアミノ酸配列を付与した構造タンパク質(人工細胞外マトリックス)の創製を目的とする。
812 ペプチドのβ−シート構造を利用した組織工学用足場の創出 平野 義明 大阪工業大学 辻 公志 科学技術振興機構 ペプチドの特徴的な2次構造であるβ−シート構造を用いて、その自己組織化能を利用し、組織工学用材料として3次元の細胞接着性足場を創出することを目的とする。β−シート構造を形成するペプチドと細胞との親和性を向上させるペプチドを融合することにより、飛躍的に多機能となるペプチドファイバーを分子設計する。キーとなるペプチドの合成・構造・細胞接着性足場の評価をはじめ、組織工学・再生医療用材料としての機能との相関性を、実験・理論の両面から系統的に行うことが可能である。
821 がん放射線療法増感剤としてのポリペルオキシドの開発 松本 章一 大阪市立大学 大野 安男 科学技術振興機構 放射線によるがん治療効果を高めるため様々な研究がなされているが、がん根絶にはより効果的な手法が切望されている。放射線が細胞に照射されると、遺伝子DNAに鎖切断が起こり、DNA損傷により細胞死をきたす。ここで、より効果的に損傷を加え、損傷の修復を阻害するような工夫を行えば、放射線感受性を増感できることが期待される。本研究課題では、ラジカルソースとして機能するポリペルオキシド骨格からなるナノ粒子を作製し、がん細胞への効率よいデリバリーを行い、放射線療法増感剤としての可能性を評価する。
824 新規バイオリアクターを用いた簡易型培養骨作製システムの開発 橋本 典也 大阪歯科大学 大野 安男 科学技術振興機構 患者から採取した間葉系幹細胞をin vitroで培養し、担体内で増殖、分化させ、培養骨を作製し、再び生体内に戻す治療が整形外科分野における骨再生先端医療である。そこで、本研究目的は、酸素の供給と同時に細胞老廃物の排出も可能にするバイオリアクターを開発し担体内で幹細胞の長期培養を行い、骨分化させ、安価でしかも省スペースで培養骨を作製するシステムを構築することである。
839 生体吸収性アパタイトナノパーティクルの高機能化 松本 卓也 大阪大学 内田 国克 大阪大学 骨再生を迅速に誘導する機能性骨補填材料の開発が求められている。これまでに、我々はハイドロキシアパタイトを硬組織再生用ドラッグのキャリアとして利用する手法の研究をすすめてきた。本手法においては、ドラッグの輸送効率向上やリリースの制御が重要となる。本研究では、我々の開発した化学的特性および生体吸収性を高めたアパタイトナノパーティクルのドラッグデリバリーキャリアとしての有用性についてin vitroならびにin vivoにて検討を行い、化学修飾の適正化を図る。
853 ボツリヌス毒素の粘膜バリア透過機構を利用した新規なDDSの開発 藤永 由佳子 大阪大学 大野 安男 科学技術振興機構 ペプチド製剤などの高分子量物質を経口投与や経鼻投与により体内に送達するDDS(ドラッグデリバリーシステム)では、粘膜バリアを自在に制御して物質を透過する必要がある。現状ではバリア機能を弱める物質の検索や粘膜上皮細胞への結合性を向上させるレクチンやナノ粒子などの“吸収促進剤”が開発途上であるが、粘膜のバリア機能を特異的かつ強力に制御できる物質は見出されていない。我々は、ボツリヌス毒素複合体が、消化管粘膜バリアを新規かつ巧妙な機構により制御することを発見した。本研究ではこの粘膜バリア制御機構を利用して新規DDSの開発を目指したい。
870 高効率な遺伝子導入のためのデンドロン脂質ベクターの開発 河野 健司 大阪府立大学 亀井 政之 大阪府立大学 目的:細胞の中に効率よく遺伝子を導入する技術は、iPS細胞の構築、樹状細胞免疫療法など先進医療において必須の基幹技術である。この目的のために現在、ウイルスを用いて行われているが、安全性の観点から、ウイルス以外の物質の利用が切望されている。本申請では、脂質と高分子の長所を併せ持つデンドロン脂質をベースとして、安全で高活性な人工遺伝子導入ベクターを開発する。
946 万能細胞から様々な細胞系譜へ分化誘導できる安全なトランスジーンデバイス 井上 敏昭 鳥取大学 山岸 大輔 鳥取大学 我々が創出した極小ヒト人工染色体 (Human Artificial Chromosome:HAC)は従来の遺伝子導入法と異なり癌化の懸念がなく多数のトランスジーンを安全かつ安定に運ぶベクターである。本研究では、万能細胞とも呼ばれるヒトiPS細胞を種々の細胞系譜へ安全かつ高効率に分化誘導させるため、必要な多数の遺伝子セットを組み込んだHACを構築し、キット化する。iPS細胞を用いた再生医療に必須のキットである。
967 口腔環境モデルによる抗菌物質デリバリーシステムの機能評価 吉田 靖弘 岡山大学 大村 祐章 岡山医学振興会 現在の口腔ケア製品は、抗菌物質を歯質表面に留める機能を有しておらず、長期的な抗菌効果は期待できない。申請者が開発した多糖誘導体は抗菌物質を歯質表面に運ぶ役割を担い、かつ、歯質表面に留めておくことから、類似機能を謳った市販品の約1〜10万倍の優れた抗菌効果を発揮する。本研究では、申請者が開発した抗菌物質デリバリー機能を有するう蝕・歯周病予防剤について口腔環境モデルにより機能評価を行う。
1007 新規培養法による造血幹細胞の体外増幅の開発 梶梅 輝之 広島大学 山田 一徳 広島大学 本研究では我々の開発した特殊非沈殿浮遊培養を用いてヒト骨髄あるいは臍帯血由来造血幹細胞を微小重力条件下で各種造血因子存在のもとに培養を行い、自己複製能を有した効率の良い造血幹細胞の体外増幅を目的としている。本培養法によるヒト造血幹細胞の増幅、生存維持、胚葉を越えた多分化能を免疫不全マウスを用いた異種間移植で実証し、造血幹細胞移植への臨床応用を考えている。
1084 生体用非磁性合金の開発 浜田 賢一 徳島大学 平岡 功 徳島大学 生体内、中でも血管内外で使用されている金属製デバイス(ステント、クリップ、動脈瘤塞栓用コイル等)は、磁気共鳴画像法(MRI)による撮像時に、アーチファクト(偽像)の発生にともなう周辺画像情報の消失という深刻な問題を惹起する。現在進められているMRIの超高磁場化にともない、この問題は深刻化が予想される。その解決のため、磁化率がほぼゼロでアーチファクトを発生させず、生体内で長期の使用が可能な新規生体用合金を開発する。
1134 形質転換による角膜上皮細胞の開発と角膜移植への臨床応用 白石 敦 愛媛大学 神野 俊一郎 愛媛大学 ES 細胞、iPS 細胞を用いた再生医療研究の発展は目覚しいが、奇形腫、癌化など臨床応用には多くのハードルが残っている。眼科領域でも培養角膜上皮移植が開発・臨床応用されているが、拒絶反応や、ドナー不足などの問題点は解決されていない。本研究ではヒト由来細胞・成分のみを用いて人工角膜を作製し、遺伝子操作無しに、自己の皮膚上皮幹細胞(side population(SP)細胞)を角膜上皮細胞に形質転換し、角膜上皮移植に応用する方法である。本方法では、癌化、拒絶反応などの可能性は極めて低く、また倫理的にも問題点はなく、早期の臨床応用が可能性である。
1146 人工鼓膜用パッチフイルムの開発 中川 克彦 新居浜工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 本研究は、鼓膜穿孔の組織再生を誘導する人工鼓膜を開発し、臨床応用することを目的とする。人工鼓膜は生体分解性高分子中に栄養因子等を含むナノファイバー・マットシートを電界紡糸法で作製し、移植後には鼓膜穿孔の組織再生に良好な環境が提供可能となる。患者自身の皮膚などを用いる場合は手術後、4ヶ月に一度、医者による脱皮した皮膚を除去する必要があるが、本人工鼓膜を用いると、皮膚除去などが不要となり、患者の負担が軽減される。
1205 正常子宮内膜幹細胞の同定と再生治療への応用 加藤 聖子 九州大学 京谷 香菜子 九州大学 我々は正常子宮内膜での前駆細胞の存在を報告している。今回、前駆細胞に発現が亢進している複数の表面マーカーの中から、幹細胞マーカーを同定し、効率的に子宮内膜幹細胞を分離・培養方法を確立し3次元培養下での子宮内膜構造形成の開発を目標とする。この研究により、3次元培養下での人工子宮内膜の再生が可能となり、子宮内膜機能不全が原因の不妊症の新規治療法の開発につながる。
1219 海綿骨を模倣した三次元連通気孔型人工骨置換材の開発 竹内 あかり 九州大学 平田 徳宏 九州大学 自家骨移植が骨再建術式の第一選択とされるのは、自家骨がリモデリングを受け、経時的に生体骨に置換されるためである。本研究課題では、海綿骨が生体骨に置換されやすいことに着目し、海綿骨の形態と組成を模倣した炭酸アパタイトフォームを調製する。さらに、得られたフォームを骨置換材として臨床応用するために必要となる細胞学的・組織学的所見を得ることを目的とする。
1269 酸化チタン光触媒抗菌作用を活用した医療用手術材料の開発と応用 小関 弘展 長崎大学 梅津 照彦 株式会社長崎TLO 医療分野において、治療のために体内に埋入するインプラントは多種にわたり、今日でも多くの患者に使用されているが、細菌感染の危険性が高い。術後インプラント関連感染症は、主に手術中の細菌暴露が原因であり、極めて難治癒性となる。本研究では、紫外線、および可視光照射下におけるTiO2の強い酸化殺菌能力を利用して、インプラント表面に抗菌活性を付与し、術後感染起炎菌に対する抗菌性の評価・検討を行う。これによりインプラント関連感染率を低下せしめ、化膿性関節炎や骨髄炎などの有効な治療法の確立を目指す。
1279 胚性肝細胞の代謝能維持に必須な支持細胞の誘導検出系の開発 横内 裕二 熊本大学 松下 肇 熊本大学 薬理モデルとして有用なヒトES細胞由来肝細胞の分化/代謝能維持には、胚性肝類洞壁細胞(embryonic hepatic sinusoidal cells, EHSC)が必要である。しかしEHSCの分化マーカーがこれまで存在しなかったため EHSC誘導因子の同定は困難であった。本計画では独自に同定したEHSC分化マーカーを用いて、EHSC誘導因子同定のために必須なツールである、in vitro EHSC誘導/検出系の確立を行う。
1322 医用素材としてのミニブタ万能細胞PiPSの開発と応用 佐藤 正宏 鹿児島大学 中武 貞文 鹿児島大学 鹿児島産ミニブタの胎仔性繊維芽細胞(以下、PEFと呼ぶ)のような分化型細胞に脱分化誘導し得る初期化遺伝子群を遺伝子導入・強制発現させることにより、様々な細胞型へ分化させることが可能な未分化型細胞、いわゆる万能細胞(porcine inducible pluripotent stem cell, PiPS)を作製する。
19(B) C57BL/6系統ES細胞を用いた遺伝子改変マウスの高速作成法の開発 崎村 建司 新潟大学 中津 普門 新潟大学 遺伝子改変マウスは、生命科学研究に無くてはならないリソースであるが、その作成には特殊な技術と時間さらに多大な費用を要する問題点があった。本研究の目的は、短時間でかつ安価に近交系遺伝子改変マウスの作成をするために、研究代表者が樹立したC57BL/6系統ES細胞株RENKAを用いて、組み換えベクターの作成の迅速化と相同組み換え頻度を上昇させる方法を開発することである。本成果は、これまで困難であったC57BL/6系統遺伝子組み換えマウスを容易かつ安価に作出する道を拓く。

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 福祉・介護:24件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
88 ALS病等による運動性構音障害患者のための発話支援システムに関する研究 橋場 参夫 北海道立工業試験場 鈴木 耕裕 北海道立工業試験場 ALS(筋萎縮性側索硬化症)や筋ジストロフィー等の難病によって身体の運動機能が低下し、音声によるコミュニケーションが困難になった人々のために、残された構音器官の能力を極力活用する方法によって、自らの口を使った自然な会話を可能にする発話支援システムを研究開発する。
90 表面筋電による深層筋活動計測技術の研究開発 中島 康博 北海道立工業試験場 綿貫 幸宏 北海道中小企業総合支援センター 本研究は、表面筋電計の筋電位計測データから手指の力を推定するため、表面筋電計による深層筋活動計測手法を検討する。2次元アレイ電極による表面筋電位分布計測法と前腕の導電率分布測定法を開発し、これらを用いて得られた筋電位信号を解析して前腕手指筋の筋活動を個別に推定することを目指す。
234 ヒトに近い感覚(触覚・温覚)を持つ障害者用義手の研究 鄭 耀陽 福島大学 森本 進治 福島大学 不慮の事故等で義手・義足頼らなければならない人の多くは、普通のヒトと同じような感覚(触覚・温度覚)の獲得を望んでいる。本研究では,われわれが開発したMCF(磁気混合流体)ゴムを用いて、人間の触覚に近い新しい義肢システムの開発を行い、人間と機械の調和を図る研究を行うものである。触覚と温度覚を兼ね備えたMCFゴムを義肢に取付け、触れたとか、熱い冷たいなどの感触をリアルタイムで計測し、障害者に伝達することで触覚と温度覚を同時に感じ取れるシステムの構築を目指す。
237 脳疾患者・高齢者のためのパソコン版自動車運転高次機能検査法の開発 池田 恭敏 茨城県立医療大学 小谷 純久 株式会社つくば研究支援センター 脳疾患者や高齢者では、運動機能の低下に加えて、記憶障害や注意障害そして遂行機能障害などのいわゆる高次脳機能障害を有することがある。しかし、自動車運転能力の予測に有効な高次脳機能検査法が確立していないため、運転免許センターにおける高齢者教習や、リハビリテーションの臨床における自動車運転の適否判断が非常に困難である。そこで本研究では、既存の検査法の中から、脳疾患者や高齢者の自動車運転技能と相関性の強い高次脳機能検査課題を抽出し、その検査課題の特性を反映したパソコン版自動車運転高次脳機能検査を開発する。
302 画像による自動検出技術を用いた顔面随意動作計測に関する研究 河合 俊宏 埼玉県総合リハビリテーションセンター 松原 加代子 神戸学院大学 筋萎縮性側索硬化症を初めとした難病患者が、在宅で療養する数が急増している。一方、難病の多くは未だに治療法が未解決のままである。病気の特徴で、進行しても機能が残りやすい顔に僅かに残る動きを計測する問題解決が求められている。本課題においては、これまでの臨床現場での知見を基に、ロボット技術を応用し、極めて個別な対応が必要とされる患者に対して、共通的に解決するプラットホームとなる計測手法について研究する。
433 視覚障害者理工系教育支援システムのハードウェア開発 高木 昇 富山県立大学 定村 茂 富山県立大学 本研究の目的は、視覚障害者の理工系教育で用いる数学教科書などの図を触図化するための実用的なコンピュータ支援システムを開発することである。この触図作成支援システムは、@図をイメージ・スキャナで電子化、A画像データから文字領域・非文字領域の分離、B文字認識・数式認識、C点字翻訳、D点字自動配置、E点字プリンタへの点図出力といった一連の処理からなる。本研究では、再構築可能デバイス(FPGA)を用いたハードウェア化により処理の高速化を実現し、システムの実用性向上を目指す。
521 自動車運転映像を用いた認知行動評価装置の開発 小林 正義 信州大学 倉科 喜一 信州大学 自動車運転時の視聴覚映像を提示し、映像に対応する被験者の認知・危険予測機能を手掌部(精神性)発汗反応によって評価するとともに、危険回避行動であるブレーキ動作の反応時間を計測する「自動車運転認知行動評価装置」を開発することを目的とする。開発した装置は運転適性検査の評価に役立つ装置としての使用が期待できる。
590 抗菌・超撥水材料の開発と応用 山内 五郎 大同工業大学 礒川 憲二 大同工業大学 生活における大気環境の重要性が叫ばれている。本研究では、抗菌・超撥水性材料を建物の壁面等に適用し、冬季または寒冷地では室内壁への結露を防ぎ、また汚れ成分そのものの付着防止によって、光触媒の効果を最大限に発揮することを目指す。可視光応答型光触媒の添加により、屋内外を問わず、防汚抗菌機能を実現する。 病院、老人介護施設、文化財保護施設、一般住居などへの広範な応用が期待できる。
666 医薬品・食品の嚥下機能評価システムの開発 松岡 敏生 三重県工業研究所 増田 峰知 三重県科学技術振興センター セルフメディケーション意識の高まりにより、医薬品を服用する機会は増大し、服用しやすい医薬品が求められている。そこで、医薬品や食品を嚥下する時の咽喉部の挙動に着目し、医薬品等を服用する時の咽喉部周辺部の運動、筋電位や振動を計測し、服用しやすさに影響を及ぼす因子を明らかにする。そして、医薬品や食品の嚥下動態(飲み込み動作)を客観的に評価するシステムの試作開発を行うとともに、その有効性を検証する。
712 車椅子の段差乗り越え機構の研究 岩本 太郎 龍谷大学 中山 勝一 龍谷大学 従来の自操式車椅子は数センチの段差でも乗り上げが困難である。この原因はキャスターの直径が制限されることにある。キャスターの構造を変え高い段差を乗り越えられれば、移動領域が拡大できる。機構的な工夫で問題を解決し、低価格で充電等の保守が不要な車椅子を開発する。機構の改良は3案あり、模型や実験装置で効果は確認したが、実際の車椅子に組み込み、実環境で強度、耐久性など実用上の問題点の摘出と改良を行う。
787 血行促進・傷の治癒を目的とした、近赤外線を照射するシートの開発 丹下 裕 舞鶴工業高等専門学校 辻 正 舞鶴工業高等専門学校 光線療法の一種である近赤外線治療では、体内の水やヘモグロビンに吸収されにくく、浸透性の高い630−1500nm 程度の波長が用いられる。近赤外線は、光作用と熱作用の両方により血流促進、疼痛軽減、骨再生促進、生体作用活性化、創傷治癒促進などの作用を有すると考えられている。本研究では、近赤外線の血流促進、疼痛軽減、創傷治癒促進効果に着目し、寝たきり老人や下半身不随者の血行促進・傷の治癒を目的とした、近赤外線を照射するシートの開発を行う。
788 次世代義足外観作成法の研究 佐々木 万弓 関西医科大学 和田 省二 関西医科大学 目的;健側と同様な義足外観を再現する。背景;義足は運動機能に主眼が置かれ、形状・皮膚色は重要視されていなかった。外観はロボットのようでも運動機能に優れた高機能の義足や、外観は優れていても手作業作成で高価な義足は存在するが、日常生活使用で運動機能と露出できる外観を併せ持つ義足作成は困難である。到達目標;健側下肢形状、皮膚色をデジタルデータで再現しミラーイメージにより形状再現する方法について検討する。
805 骨導超音波知覚を利用した最重度難聴者のための耳鳴遮蔽装置の開発 中川 誠司 産業技術総合研究所 佐藤 義幸 産業技術総合研究所 耳鳴の緩和法として、雑音を聴取させることで耳鳴を抑えるマスカー法が知られているが、重度難聴者には必ずしも有効でない。一方、骨導呈示された周波数 20000 Hz 以上の高周波音(骨導超音波)であれば、重度難聴者にも知覚される。本提案では、申請者らが培ってきた骨導超音波技術に耳鳴の知覚特性に沿った最適化を施すことにより、重度難聴者のための新型耳鳴遮蔽装置の開発に取り組む。
928 組み込みシステムを活用した高機能マットの開発 早川 恭弘 奈良工業高等専門学校 川端 治夫 八尾市 寝たきりや長時間車椅子で生活する被介護者は、機器と接触する身体部位に鬱血が生じ、肉体的負担が増大している。そこで、身体に作用する圧力分布を変化させ、鬱血、褥瘡などの症状を防止する「高機能マット」を開発することにより、被介護者の生活環境及び介護者の介護環境を改善することを目的とする。そのために、新しい構造のゴム要素を開発し、柔軟性を有する空気圧を使用する。さらに、空気圧制御システムの小型化を実現するために、空気消費量の低減化及び電子組込技術の活用を行う。
993 嚥下機能の低下した高齢者のためのたんぱく質含有粉末食品の開発 栢下 淳 県立広島大学 佐伯 達志 県立広島大学 日本では、高齢化社会の進展と共に、嚥下障害患者も増加し、適切な食事が提供されないために低栄養に陥ってしまう高齢者も多い。また、肺炎で亡くなる方は、7割が誤嚥性肺炎であるとの報告もある。本研究室では、聖隷三方原病院と共同研究により、摂食嚥下障害者に適する食品物性の客観的な基準を作成した。この基準をもとに、たんぱく質を豊富に含む、肉類を用い、食事基準に適応するような加工食品について検討を行ない、嚥下障害の人に対しても適切な物性のおいしい食事を提供しようと試みる。
1002 ベッドにおける生体情報検出装置の開発 米澤 良治 広島工業大学 馬場 榮一 広島工業大学 本研究は、ベッドマットレス内に超音波送受信器のみを設置し、マットレスの変形に伴う超音波伝播強度から生体信号(脈波、呼吸、体動)の記録を、就寝者に知覚されることなく行うことが出来る。本構成は、就寝者にセンサ装着等の負担をかけず、快適な睡眠が得られると同時に、就寝者に異常が発生したときはいち早くこれを検知することができる。
1016 表情理解・表出統合学習システムの開発と応用 若松 昭彦 広島大学 野村 啓治 ひろしま産業振興機構 本研究は、コンピュータを利用した、動画を用いた表情学習システムの開発を目標とする。動画は、顔写真等の静止画よりも理解しやすく、自閉症児が見落としやすい微妙な表情の変化も表現できる。本システムは、表情理解や表出に困難のある自閉症、知的障害、アスペルガー症候群、ADHD、LD等、発達障害の子どもの教育に限らず、一般児童生徒の社会的スキル学習などにも応用でき、対人関係能力の改善に効果を発揮することが期待される。
1020 安心リハビリテーション平行棒の開発と臨床応用 前島 洋 広島大学 山田 一徳 広島大学 リハビリテーション平行棒とは歩行障害のリハビリテーションにおける必須機器としてリハビリテーション室に装備されている。歩行機能の低下した高齢者や急性期患者では、歩行練習中に平行棒内からの救出を必要とすることがままある。本研究では、緊急時に安全かつ迅速に並行棒内から患者を救出することが可能な並行棒を試作する。患者・介助者が安心して平行棒歩行練習ができる平行棒を開発し、同構造の平行棒を業界のスタンダードとするべく臨床応用を図る。
1108 難聴児の家庭用聴力トレーニング機の開発研究 青野 洋一 愛媛県産業技術研究所 田所 祐史 愛媛県産業技術研究所 アメリカの臨床実験では、聴覚障害児を早期に適切なトレーニングをすれば、正常な子供たちと同程度までに言葉を習得することが分かっているが、聴力トレーニングに有効な市販の遊戯聴力測定機は大型で高価なため、聴力障害児の親からは家庭のパソコンでもトレーニングできる小型で安価なトレーニング機にできないかという要望が出ている。そこで本研究では、幅広い年齢(12歳以下まで)の子どもに対応した多様な褒美(玩具)が接続できる、家庭用の聴力トレーニング機を開発する。
1126 電動車椅子座席用空気圧分布可変マットの開発と応用 柴田 論 愛媛大学 神野 俊一郎 愛媛大学 下肢等に障害を持った搭乗者が電動車椅子を長時間利用する際、長時間にわたり同じ座位姿勢となり、臀部の接触面から受ける連続的な圧迫により臀部に痛みや創傷が発生する。これらを軽減するため、臀部と座椅子の間に空気圧制御により圧力分布を調整することが可能な空気圧シリンダマットを装着し、それらを自動制御することにより臀部の皮膚に生じている圧力分布を望ましいものへと調整するシステムの開発を目指す。
1140 歯音を用いた学習機能を有する重度身障者のコミュニケーションデバイスの開発 葛目 幸一 弓削商船高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 頸椎損傷やALSなどで、頭部の運動機能しか残されていない重度の身体障害者のためのコミュニケーション機器として「歯の接触音(歯音)」を用いた、ハンズフリーなコミュニケーションデバイスを開発する。本デバイスは、骨伝導ヘッドセットにより検出した歯音を制御信号として用い、ユーザの個人特性を自動的に学習する機能を組み込むことにより、誤動作の低減、低価格化を実現する。さらに本デバイスを用いた文字入力装置を開発する。
1165 袋詰め薬剤画像診断システムの開発 竹田 史章 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 現在、調剤薬局などで処方される薬は、朝昼晩などの服用時間に分けて袋詰めされ、患者に提供される。現場では、分包された薬に間違いがないか薬剤師二人がダブルチェックをしている。しかしながら、膨大な患者数を抱える医療機関では、大量の薬を二人でダブルチェックする作業は大変な労力となっている。本研究は、人間の作業手順と感性による判断を参考にし、先進的画像処理と知能化手法により解決を試みる研究である。
1167 非接触歩行信号検出技術を利用したリハビリテーション支援システムの開発 栗田 耕一 高知工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 ヒトの歩行に伴い発生する微弱な誘導電流を検出することにより、従来技術では困難だったヒトの歩行信号の完全非接触計測技術を開発した。本課題では、この技術を応用して、歩行リハビリテーションにおける改善の程度をリアルタイムでフィードバックする歩行リハビリテーション支援システムを開発する。検出した歩行信号を音や光、画像でリハビリ患者に表示するフィードバックシステムを試作し、リハビリにおける本システムの有効性を検証する。
1193 電気刺激を利用した歩行訓練装置の開発 田川 善彦 九州工業大学 田中 洋征 九州工業大学 不全下肢麻痺者に対する家庭用電気刺激歩行訓練装置を開発する.麻痺部位の機能改善には,退院後の一般家庭での持続的リハビリが不可欠である.本装置は,下肢と体幹への電気刺激により,下肢のサイクリング動作を実現し,これに同期した上半身のバランス制御により姿勢保持を行うものである.また訓練装置にバーチャルリアリティ技術を併用し,家庭でのリハビリが持続するよう訓練の履歴・評価機能,さらに娯楽性などを付加する.

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 その他:7件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
558 脂質メタボロミクスによるがん化学療法バイオマーカーの探索と検証 中村 光浩 岐阜薬科大学 前田 喜朗 科学技術振興機構 抗がん剤の有効性・副作用の評価のための高感度・高選択性のバイオマーカーが臨床現場で待ち望まれている。各種がん細胞を抗がん剤処理することにより様々な細胞内情報伝達系を介して細胞死が誘導されることが知られている。申請者は、細胞の生死に深く関与するスフィンゴ脂質代謝物(SL)に着目している。本研究では、質量分析を用いた脂質メタボロミクスを駆使して、抗がん剤反応性の新規SLバイオマーカーを特定し臨床で有用性の検証を行う。
649 固気二相流に対する三次元グリッドフリー数値解法の開発 内山 知実 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 微小な固体粒子と気流が相互作用を及ぼし合いながら流動する固気二相流を対象とした、先進的かつ実用的な三次元数値解法を開発する。流れ場を計算格子(グリッド)に分割する必要がない独創的なグリッドフリー解法であり、粒子と渦要素を追跡して流れを解析する、計算の安定性に優れたLagrange型解法である。本研究では、分散メモリ型の並列計算機クラスタを構築し、計算の高速化を実現し、噴流や混合層などの解析への適用例を通して、解法の高精度化を達成する。
672 高純度カーボンナノチューブ被覆金属ナノワイヤー製造法の確立と電磁波シールド新素材の開発 小塩 明 三重大学 加藤 貴也 三重大学 カーボンナノチューブ(CNT)と銅ナノワイヤー(CuNW)双方の特性を合わせ持った一次元ハイブリット構造体であるCuNW@CNTは、高い安定性と導電性、熱伝導性を有し、ファインパターン加工技術に対応できる電磁波シールド材として極めて適した導電性素材であると考えられる。本研究では、CuNW@CNTをはじめとするCNT被覆金属ナノワイヤーのベンチスケールへ至る製造法の確立と、それを初めて利用した電磁波シールド用導電性材料の開発を行う。
989 高効率マイクロリアクターの開発と応用 平野 博之 岡山理科大学 安井 茂男 岡山理科大学 申請者らがすでに特許出願を完了している技術に基づくマイクロリアクターの製作を目指す。このマイクロリアクターは、相互に溶解しない2種類の流体をマイクロチャンネル内で合流させることで、各々の流体セグメントが交互に出現する現象(液々二相スラグ流)を応用したものである。とくに各々の流体スラグが生成する際に生じる渦に着目し、これを有効に利用した構造のマイクロリアクターを設計製作し、各種効率の向上を図る。
1064 ポータブルなナノ秒パルスパワー発生装置および周辺技術の開発 下村 直行 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 パルス幅を短くしたナノ秒パルスパワーは、環境、材料、農業、医療などの分野から、さらに癌治療研究といった分野などさらに利用・研究分野の拡大が見込まれる。これら産業利用や応用研究の拡大を目的に、各部の見直しや最適化により、ナノ秒パルスパワー発生装置に可搬性を持たせ、また材料等の検討により動作安定性を向上させる。このような高電圧短パルスを容易に取り扱うために、周辺技術や計測技術の開発も同時に行う。
1071 リポソームの新規サイジング技術の開発 松木 均 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 リポソームは生体適合性が高く且つ優れた生体内分解性を有し、ドラックデリバリーシステム(DDS)の輸送担体として多用されているが、その正確なサイジングは難しい。本試験研究では、既存のリポソーム調製方法とは全く異なる方法である高圧力を用いたリポソームのサイジング技術の開発を行う。この手法は圧力成形の技術をミクロスケールな分子場で実現しようとするものであり、 DDSにおいて有用な技術となりうる。
1074 円周方向周回の超音波による非接触型パイプ減肉計測方法の開発 西野 秀郎 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 本研究は、パイプの円周方向に周回伝搬する超音波の一種である円周ガイド波を用いた配管の源肉欠陥検出法を構築することを目的とする。本方法では、超音波がパイプの周方向に伝搬する円周ラム波を利用することで、 20 mm程度のパイプ長手方向の幅で周方向全体の検査を可能とする。さらに空気を介して超音波を励起検出する空気超音波センサーを用いて、非接触で円周ラム波の欠陥での反射波と透過波を検出することで、ノッチ欠陥と広範囲源肉欠陥の検出実験を通じて示す。

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