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平成20年度シーズ発掘試験 研究概要一覧
(化学分野、農水・バイオ分野)


 無機・セラミック:49件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
74 液中グロー放電による植物由来プラスチック製造用触媒塩化クロムナノ粒子の開発 谷津 茂男 北海道大学 奈良林 直 北海道大学 バイオマス原料をプラスチック素材へ転換する高効率触媒として機能するクロム塩化物ナノ粒子を作り、その効果を検証する。具体的には、北海道大学で新たに開発された手法を基礎にクロムナノ粒子を創り、粒子表面を塩化クロム(II)にした後しょ糖液に加え、グルコースとフルクトース量の変化および生成されるヒドロキシメチルフルフラル(HMF)の収量を測る。従来からの石油化学工程につなげることが可能な現実的バイオマス利用を目指す。
128 木質バイオマスガス化炉産炭化物を利用した高機能炭素材料の開発 照井 教文 一関工業高等専門学校 佐々木 蔵寿 いわて産業振興センター 岩手県奥州市の木質バイオマスガス化発電施設のガス化炉から副産物として得られる炭化物はその構造から従来の活性炭などの炭素材料に類する吸着性能や導電性を示す可能性がある。この炭化物について、原材料や温度条件の違いによる構造や物性、吸着性能などの変化を評価するとともに、マイクロ波を利用した高機能化を検討し、さらにフィルムや繊維などの形状に加工することにより、新規機能性炭素材料への応用を検討する。
142 廃棄貝殻を原料とする天然系無機防カビ剤の開発と応用 成田 榮一 岩手大学 小川 薫 岩手大学 廃棄貝殻を原料とし、人体に安全で、かつ効果的な防カビ剤の開発と実用化を目指す。各種貝殻の焼成・粉砕による持続的防カビ性の発現原因を明らかにするとともに、この焼成貝殻粉末を配合・充填することにより合成樹脂やゴムに防カビ性を付与する技術を開発する。
188 希土類窒化ケイ素をホスト結晶とする「新規白色LED用蛍光体」の開発 末廣 隆之 東北大学 芝山 多香子 東北大学 希土類(RE)窒化ケイ素系物質をホスト結晶とする独自の物質探索指針に基づき、従来にない高耐熱性を実現する新規白色LED 用蛍光体を開発することを目的とする。具体的には、GRN プロセスを用いたRE2O3-SiO2 系の還元窒化により、共有結合性の増大に基づく耐熱性向上が期待される高窒素含有RE-Si-O-N 系物質の系統的合成を行い、広帯域発光に適したEu2+、Ce3+等の賦活により新規白色LED用 蛍光体としての特性発現を検討する。
189 均一板状酸化セリウム粒子の創製と新規機能性の発見 殷 しゅう 東北大学 町田 博 みやぎ産業振興機構 本試験では、紫外線遮蔽能を有する「酸化セリウム新規体質顔料」を開発することを目的とする。具体的には、体質顔料酸化セリウムの合成技術の開発を目標とし、400 nm 以下の波長の紫外光を吸収可能で、流動性に優れた酸化セリウム単分散板状ミクロン粒子を「溶液中での自己組織化反応」を利用して作成し、その光化学特性を明らかにする。
194 環境調和性を有する硬質工具材料の開発とその実用化 杉山 重彰 秋田県産業技術総合研究センター 斉藤 耕治 秋田県産業技術総合研究センター 金型や工具の材料である超硬合金は、結合材としてCoを多用しているが、近年、価格高騰や供給不安が指摘されている。本研究は、Coの代替材料としてSi3SiC2を取り上げ、実用化を進める。耐摩耗性、高温強度、耐食性に優れた超硬材料となることが期待できる。
213 低温湿式法によるセラミックコーティング製造技術を用いた高機能性材料の開発 鵜沼 英郎 山形大学 白澤 司朗 山形大学 本試験では、水溶液に浸したポリマー・ガラス・金属等の基材の表面に、60℃以下の温度で、SnO2 およびCeO2 などのセラミックコーティングを直接製造する技術を用いて高機能性材料を開発することを目的とする。具体的には、ポリカーボネート上への防傷性・光劣化抑制セラミックコーティングの形成、ポリマーフィラー用導電性ガラス繊維製造に適用して、実用化を図る。
215 有害物質特異吸着性ナノ多孔リン酸カルシウム被膜の開発 川井 貴裕 山形大学 村山 朋也 山形大学 主に硬組織修復材料として利用されているリン酸カルシウム化合物は、体内環境を模倣した水溶液に基板を浸漬させるだけで、その表面にナノメートルサイズの多孔質微結晶として析出させることができ、高機能な吸着薄膜としての応用が期待できる。この環境負荷の極めて小さいプロセスで得られる化合物が、様々な有害物質に相互作用する吸着材として利用できるようにその組成および形態を制御し、新しい環境浄化材料として展開する。
249 ホウ素中性子捕捉療法用薬剤粒子の表面状態制御に関する研究 石川 善恵 香川大学 倉増 敬三郎 香川大学 新しいガンの治療方法としてホウ素中性子捕捉療法(BNCT)が注目されている。BNCTとは大きな中性子吸収断面積を有する10B原子を選択的に腫瘍細胞に導入し、中性子照射により生成するα粒子で腫瘍細胞のみを選択的に破壊させる手法である。炭化ホウ素微粒子はBNCT用薬剤への応用が期待されており、本試験では炭化ホウ素微粒子に薬物輸送機能を付与するための表面化学修飾に最適な炭化ホウ素粒子表面を得るための技術開発を行う。
280 コンクリートアルカリ骨材反応抑制材としての新規リチウム型ゼオライト合成技術の開発 松本 泰治 栃木県産業技術センター 湯澤 修孝 栃木県産業技術センター アルカリ骨材反応(AAR)はコンクリートにひび割れを生じせ強度低下をもたらす。リチウム型ゼオライトは次世代型AAR抑制材として期待されている。これは、リチウムイオンの骨材不溶効果と、ゼオライトのアルカリイオン捕集効果の両方の効果を兼ね備えていることによる。本研究は高反応性かつ低価格な天然粘土鉱物を原料とすることで、既存のAAR抑制材より高機能で低価格の新規リチウム型ゼオライトの合成技術を開発する。
316 ハロゲン化物をベースとした全固体リチウム二次電池の開発 山田 康治 日本大学 松岡 義人 日本大学 岩塩型LiBrを基本構造とした複ハロゲン化物LiInBr4やLi3InBr6は330Kで10-3Scm-1以上の導電率を示す超イオン伝導体である。これらのハロゲン化物を有機電解質に代わる二次電池の固体電解質として用いることで、これまで用いられることがなかったスピネル型構造のハロゲン化物がカソード材料として、またエネルギー密度が最大となる金属リチウムがアノード材料として利用できる。このような材料の組み合わせから、これまでに例のない新しいタイプの二次電池を開発する。
498 電池材料用ナノ分散炭素微粒子材料の表面フッ素修飾技術の確立 米沢 晋 福井大学 奥野 信男 福井大学 フッ素ガスを用いた表面フッ素修飾により水あるいは有機溶媒中に均一分散可能な微粒子炭素材料を作製し、サイクル安定性に優れたリチウム二次電池電極材料の創出を行う。リチウム二次電池の電極は微粒子の集合体であるため、その粒子サイズや形態、表面状態のばらつきが性能に大きな影響を与える。特に炭素材料では、ナノオーダーの一次粒子を作製しても、凝集により大粒子化し、その特徴を有効に利用できないことが多い。そこで表面フッ素修飾技術を利用し、高容量二次電池の精密生産プロセスに適した特性を有する電極材料の創製を試みる。
510 強磁場を利用した高品質ホウ酸塩単結晶育成技術の開発 田中 功 山梨大学 還田 隆 山梨大学 酸化物単結晶育成における強磁場効果をホウ酸塩単結晶育成に適用して、磁気分離による融液中の気泡の除去を図り、気泡を含まないホウ酸塩単結晶を育成速度1mm/h 以上の高速で育成する技術を確立する。表面弾性波(SAW)素子や第二次高調波発生(SHG)素子などとして光情報通信機器やレーザ加工の分野で広く応用され、高速育成によりその製造コストの廉価化が期待できる。
511 高光透過率ルチル単結晶の高圧酸素アシスト効果を利用した育成法の開発 綿打 敏司 山梨大学 還田 隆 山梨大学 異種元素添加溶媒を用いた溶媒移動浮遊帯域溶融(TSFZ)法を用いブルールチル単結晶および透明ルチル単結晶の製造を産業利用可能なレベルで行う製造技術の開発である。製造工程における低コスト化・大きな環境保全効果をもたらす。将来的には、直径2cm・長さ10cm 程度の結晶を育成し、ルチルの高屈折率を利用したレンズ材料や窓材料、ブルールチルとしての宝飾品としてなどルチル結晶の用途拡大が期待できる。
512 高性能「歪みSi on Si(110)」電子デバイスの技術開発 有元 圭介 山梨大学 還田 隆 山梨大学 正孔移動度の向上に有効であると期待されているSi(110)基板上に成膜した「歪みSi/SiGeバッファー」構造を利用し、相補型金属酸化膜半導体トランジスタの動作特性を向上させようとするものである。従来の素子に対して正孔移動度を2倍程度向上させることを目的とする。これにより電子デバイスの高性能化と低消費電力化を目指すものである。
514 高誘電率を持つ強誘電体ナノ粒子材料の開発と応用 和田 智志 山梨大学 還田 隆 山梨大学 ナノシュウ酸塩(粒子径:10nm 以下)を用いた2段階熱分解法により、BaTiO3 ナノ粒子を真空中で合成することにより、室温で10,000 以上の巨大比誘電率を持つ強誘電体ナノ粒子材料を新たに開発する技術である。これにより業界が要求する、10μF/mm2 以上のフィルムキャパシタが実現し、将来の大容量高速情報通信に不可欠な基板内に電子部品を3 次元実装するシステムインパッケージが可能になる。
527 微細構造制御したリン酸カルシウム結晶のバイオおよび吸着材料応用 大石 修治 信州大学 田草川 信雄 信州大学 ゲル法により作製した微細構造制御リン酸カルシウム結晶(バイオクリスタル)をバイオ・吸着材料として応用する技術である。多孔質セラミックスが使用されている分野の材料の置き換えを目指す。吸着材や充填材の指標となるタンパク質吸着量(25mg/g)、あるいは細胞培養に重要な連通気孔(100〜300μm)と気孔率(60%)、生体親和性(細胞培養判定)を達成することを目標とする。
540 高効率・省エネルギーを目的としたマイクロ波を利用したマイクロ波加熱用発熱壁の開発 安達 直己 岐阜県セラミックス研究所 水野 正敏 岐阜県セラミックス研究所 マイクロ波を照射することでセラミックス自体が発熱することを利用した焼成技術の実用化を図る。マイクロ波加熱の際に被焼成体の表面温度と炉内温度の差が大きいと熱応力により割れを生じるため、表面からの放熱を抑制する技術が鍵となり、被焼成体とほぼ等価な発熱挙動を有する発熱壁を用いる必要がある。本来は、原料と同一材料で発熱壁を作製することが望ましいが、耐久性や成形性などの面から難しいため、擬似的に等しい発熱挙動を示す発熱壁を作製することで問題点を解決する。
560 ナノレベル複合組織の高温安定化セラミックス触媒を用いる排ガス無害化技術 小澤 正邦 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 家庭用、民生、工場等のVOC(揮発性有害有機化合物)分解や自動車排ガス処理では、環境浄化用セラミックスと触媒が重要な役割を果たすが、コストや長期的資源問題から、白金等の貴金属を低減もしくは使用しない触媒材料開発が重要である。本課題では、資源上、低廉かつ汎用性のある排気、VOC浄化用触媒(粉末原料)を実現するため、ナノレベルで触媒と担体の複合組織を制御し、その高温安定化された性質を活かしたセラミックス触媒を用い、排ガス無害化技術を開発する。
572 大型リチウムイオン二次電池に向けたリチウムイオン伝導体の開発 冨田 靖正 静岡大学 名和 英夫 静岡大学 ハロゲン化物を母体とした無機固体電解質を用いることを特徴とした大型リチウムイオン二次電池の開発に関するものである。電気自動車などに使用される全固体二次電池の実用化への最大の課題である活物質-電解質の界面抵抗をこの手法で低減することで、液体電解質に比べ安全性に優れ且つ高性能な全固体リチウムイオン二次電池の実現を目指す。
599 光感応性無機−有機ハイブリッドの合成と記録材料への応用 松田 厚範 豊橋技術科学大学 遠藤 一明 株式会社豊橋キャンパスイノベーション 大容量の情報を高速に記録再生できる次世代光メモリが強く望まれており、ホログラムメモリはその最有力候補として注目されている。本研究はホログラム記録可能な光感応性無機-有機ハイブリッド材料に関するものであり、従来の有機高分子フォトポリマーでは実現が困難であった、光・熱可逆反応に基づく書き換え性能、耐熱・耐久性、低収縮性を実現しようとするものである。具体的には、銀をドープしたオルガノシルセスキオキサン系膜の光記憶材料としての可能性について基礎的な検討を行なう。
607 中温プロトン伝導性ハイブリッド材料の開発 春日 敏宏 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 中温型燃料電池はエネルギー変換効率の向上、白金触媒の被毒低減等で注目されるが、これに対応できる新しい電解質の開発が鍵となっている。本研究では、独自の「リン酸塩ガラスのゲル化技術」と「有機無機ハイブリッド化技術」を駆使して、中温域・常圧・無加湿で1〜10mS/cm以上の高い伝導度を達成し、電極との圧着接合に有利な柔軟性を有する新型中温プロトン伝導性電解質材料を開発する。高性能化のために伝導体の膜化も行う。
616 広帯域発光蛍光体の開発と白色照明素子への応用 福田 功一郎 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 ある種の蛍光体は、母体結晶中に賦活剤と呼ばれる不純物イオンが分散した構造をもつ。賦活剤としての発光イオン種は一部のイオンに限定されるが、母体結晶の選択自由度は極めて高く、その構造に対応して多様な発光スペクトルを示す。今回,原子配列にある特徴を有する酸化物結晶を蛍光体母体とし、さらに複数の不純物イオンを共賦活することで演色性を改善し、広帯域な蛍光を発する長寿命・高輝度蛍光体の開発を目指す。
669 リチウム電池の高エネルギー密度化を目指した新規Si/C複合材料の開発 今西 誠之 三重大学 新原 英雄 三重大学 非水電解液系リチウムイオン電池の高エネルギー密度化ならびに安全性向上を達成する一つの方策として負極新材料としてのシリコンの適用を目指す。シリコンは充放電に伴う体積変化が大きく、サイクル劣化が起こる。本研究ではシリコンと炭素との複合化による問題の解決を図る。ハロゲンを含むポリマーとシリコン粒子を不活性雰囲気中で共焼結すると、シリコンと炭素が直接化学結合したSi/C複合体を作成することができる。異種ハロゲンを含む種々のポリマーを出発材料とすることで、構造安定性に優れたSi/C複合体を合成する。
683 高導電性と低熱伝導性が両立した酸化亜鉛熱電材料の開発 安達 智彦 滋賀県工業技術総合センター 倉上 茂 滋賀県 優れた熱電材料には高導電率と低熱伝導率の両立が不可欠である。アルミドープ酸化亜鉛(AZO)は高導電率・高熱伝導率な熱電材料であり、熱伝導率のさらなる低減が課題となっている。一般に熱伝導率の低減化は導電率を低下させるので、これらの両立は困難であった。申請者らは放電プラズマ焼結では高導電率・低熱伝導率が両立したAZOを作製できることを見いだしており、本研究において焼結条件の最適化とメカニズムの解明を目指す。
685 蒸散機能を有する壁面タイルの開発 高畑 宏亮 滋賀県工業技術総合センター 倉上 茂 滋賀県 これまでヒートアイランド現象の大きな要因として建物の屋上面、壁面の蓄熱が問題となっており、屋上緑化がかなり増えてきている現状である。しかし、壁面緑化については非常に緑化技術が難しく、またメンテナンスが必要であるということから、あまり進んでいない。そこでビル壁面に水の気化熱を利用した蒸散機能を有する素材を利用することにより、ビル周辺の内外温度の低下を図り、蒸散性や速度のコントロールが可能な多層構造体壁面タイルの研究である。
686 多孔質水酸化鉄(FeOOH)水環境浄化材の高強度化に係る研究 坂山 邦彦 滋賀県工業技術総合センター 倉上 茂 滋賀県 近年、レアメタルや金属材料等の価格高騰、健康や安全をキーワードに廃水の規制等が厳しくなっており、資源の回収や廃水処理の対策が重要となっている。滋賀県では、湖沼問題で対象物質となり、枯渇化が叫ばれているリン酸イオンに着目し、除去回収する材料として多孔質水酸化鉄の利用に係る研究を進めてきた。この材料はリン酸イオン以外の物質に対しても吸着能力を示すことが確認されており、実用化に向けて吸着材として利用するための研究を進める。
713 金属酸化物中空球状粒子による三次元規則構造体の作成とその光学的応用 青井 芳史 龍谷大学 石原 英昭 龍谷大学 材料の持つ機能性を最大限にかつ多元的に発現させ、応用・展開を図るためにはその材料の本質的な機能(物性)はもちろんのこと、その材料の形状または形態を高度に設計し最適化することが重要である。本研究では、光の波長程度、すなわち数百nmの粒径を有する金属酸化物(酸化チタン、酸化鉄等)の単分散中空球状粒子を作成し、その中空球状粒子を3次元的に規則配列させた構造体を構築することにより、屈折率の周期的変調構造を実現しフォトニック結晶デバイスや屈折率センサなどへの応用展開、実用化を目指す。
799 ミリ波照射による高性能窒化珪素粉末合成法の開発と実用化 三宅 正司 近畿大学 松本 守 近畿大学 従来法より一桁近く短時間で高性能かつ低コストの窒化シリコン粉末を合成するプロセスを開発して実用を目論むものである。具体的には高純度シリコン粉末にミリ波帯電磁波を照射して、シリコンの融点以下の低温条件で粒径のそろった窒化シリコン粉末を短時間(1−2時間)で合成し、粉末の高品質化と低コスト化を実現する。これにより新しい高性能窒化シリコン粉末合成法の確立と市場への展開をはかるものである。
816 マグネシウムシリサイド系熱電変換材料の耐酸化膜の開発 谷 淳一 大阪市立工業研究所 鈴木 義彦 科学技術振興機構 マグネシウムシリサイド系材料は、地球上に原料が豊富に存在し、毒性元素を含まず、安価で高性能が期待できるコストパフォーマンスの高い熱電変換材料であるが、大気中、中高温域で利用すると酸化により性能が劣化するため実用化には至っておらず、耐酸化性を向上させる必要がある。本研究では、マグネシウムシリサイド系熱電材料上に酸化防止膜としてスパッタ法による鉄ケイ化物(b-FeSi2)膜の形成技術を確立し、大気中で500℃付近の中温域でも利用できるマグネシウムシリサイド系熱電材料の開発を目指す。
845 放射線を利用した繊維の抗菌処理技術の開発 清野 智史 大阪大学 武井 廣見 科学技術振興機構 銀イオン水溶液に繊維を含浸させ、医療器具の滅菌等に利用されている放射線を照射することで銀イオンが還元反応され、繊維表面に微小な銀ナノ粒子を付着させることができる。銀ナノ粒子は繊維表面に強固に付着しており、高い洗濯耐久性を有している。この技術を繊維材料への制菌加工技術へと展開し、医療現場等で必要とされる制菌加工繊維製品を得ることを目的とする。銀イオン水溶液に繊維を含浸させ、医療器具の滅菌等に利用されている放射線を照射することで、繊維表面に微小な銀ナノ粒子を強固に付着させることができる。この技術を繊維材料への制菌加工技術へと展開し、医療現場等で必要とされる制菌加工繊維製品を得ることを目的とする。
846 規則性カーボン多孔体の新規合成手法の開発 西山 憲和 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 これまで無機鋳型法によって規則性カーボン多孔体が得られているが、合成が多段階にわたり原料コストがかかるといった問題があった。一方、我々は、無機鋳型を用いずに、有機−有機相互作用を利用してメソポーラスカーボンを1段階で合成する直接合成法に取り組んでいる。本合成手法は従来手法に比べ低コスト化が可能となる。また、無機鋳型剤を用いないため、従来の周期的ナノ構造炭素と異なる細孔構造、周期構造の炭素材料が合成できると期待される。
856 酸化物へテロナノワイヤを用いたクロスバー構造メモリデバイスの開発 柳田 剛 大阪大学 武井 廣見 科学技術振興機構 従来のリソグラフィー微細化限界を遥かに凌駕したナノ領域10nm以下での高集積化が可能となる遷移金属酸化物を用いた不揮発性メモリ素子を、@不揮発性メモリ効果、整流性及び電気伝導部位を兼ね備える酸化物ナノワイヤへテロ構造体を創成し、A作製されたヘテロナノワイヤをSiO2基板上でクロスバー構造化することにより実現する。
871 メカノケミカル効果を利用したアイラアイト巨大結晶の高速合成 岩崎 智宏 大阪府立大学 稲池 稔弘 大阪府立大学 新たな化粧品素材として利用が期待できる層状ポリケイ酸塩アイラアイトの合成プロセスにおいて結晶成長を促進するために、合成反応場として機械的エネルギー場を利用した新規な合成プロセスを構築する。本合成プロセスでは、メカノケミカル効果によって結晶成長を促進させるとともに、新たな結晶核の形成を抑制することで、従来の静的な水熱合成法では得られない大きさの結晶を短期間で合成する。
925 半導体無機材料の静電紡糸プロセスの開発及びガスセンサへの応用 飯村 健次 兵庫県立大学 八束 充保 兵庫県立大学 半導体材料は、その特異な性質を持ちダイオードやトランジスタのような今日の電子工学の基礎となる半導体素子を始めとして、様々な分野で利用されていることは言うまでもない。近年では、雰囲気ガスの吸着によって電気抵抗が動的に変化する特性を利用して、ガスセンサとしての応用が進んでいる。本課題は、半導体無機材料を静電紡糸法により繊維化することで、1次元構造を有する半導体材料を大量に生産するプロセスを開発するとともに、より高機能なガスセンサを開発することを目標とする。
957 高い誘電率と高い圧電定数をもつ鉛フリーな新規材料の開発と応用 秋重 幸邦 島根大学 北村 寿宏 島根大学 鉛フリーな圧電材料の開発の一環として、ここでは三重臨界点近傍組成のKF添加チタン酸バリウムに注目する。ゾル・ゲル法で作製したナノ粒子を原料として、スパークプラズマ焼成で、緻密セラミックスを合成する。XRDによる構造分析、SEMによる粒成長の観察、EPMAによる組成分析などを行い、更に、分極処理を施した圧電セラミックスの誘電特性・圧電特性を評価し、コンデンサー材料・圧電材料としての実用化の可能性を明らかにする。
966 超塑性発泡法を用いた閉気孔の選択的導入と低誘電率基板への応用 岸本 昭 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 高速スイッチングや高周波用途での伝送遅延を防ぐためには、絶縁基板の誘電率を下げることが有効である。本研究では絶縁体セラミックス基板を対象にして、閉気孔導入により多孔化させる技術の確立を目指とともに、低誘電率化させたい部分にのみ気孔を選択導入する新方式を提案する。
1060 光触媒(二酸化チタン)を用いた小型脱臭装置の開発 平島 康 徳島県立工業技術センター 福田 和弘 徳島県立工業技術センタ− 狭い空間で使用する小型脱臭装置の開発を行う。小型化のため、光触媒(二酸化チタン)を励起する紫外線光源にはLED等を使用する。さらに、光触媒効率を向上させるための二酸化チタン表面の加温,発光効率を高めるためのLED冷却、その両方、あるいは一方の操作を付加する。その適切制御により、従来の装置と比較して2倍以上の脱臭効率を有する小型脱臭装置の開発を行う。
1078 有機ハイドライド脱水素触媒として優れたシンタリング耐性を持つシリカ被覆Pt触媒の開発 中川 敬三 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 地球環境問題とエネルギーの安定供給に対する対策として水素利用技術の期待が高まる中,有機ハイドライドの脱水素反応を利用した水素貯蔵・供給システムが注目されている。この反応は吸熱反応であるため高温での反応が有利となるが、高温反応下では触媒担体上の貴金属粒子がシンタリングし、活性低下が起こるため、触媒の長寿命化が望まれている。本研究課題では、シリカ被覆Pt触媒を用いて有機ハイドライド脱水素反応を行い、高温反応下におけるシンタリング耐性に優れた触媒の研究開発を行う。
1079 メカニカルミリング法による結晶構造制御と新規固体電解質の創製 中村 浩一 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 リチウムイオンを荷電担体とする固体電解質はイオン2次電池を全固体化するための材料などへの応用が期待され、その開発は激しい国際競争の中にある。結晶を微細粉末化し非晶質化を進めるための方法として最近注目されている機械的加工力を利用したメカニカルミリング法を用いて、これまで固体電解質と考えられていなかった絶縁・圧電物質の結晶構造変化・非晶質化の制御を行うことで比較的低温からイオン拡散運動を誘起させることができると考えられる。これにより従来の焼結法などによる合成とは別の角度から新規固体電解質の創製へつなげていく。
1130 塞栓用球状フェライトの低温における作製 青野 宏通 愛媛大学 瀬野 英二 愛媛大学 癌患部の血管に磁性材料を塞栓させ、交流磁場により焼妁する新しい治療法ための球状フェライト粒子作製を行なう。一般的に、球状材料は、きわめて高い温度で粉霧・溶融することで作製は可能であるが、そのような方法で作製した磁性材料の発熱能は著しく低下する。本研究は、1200℃以下の低温で20030μmの球状フェライト材料の作製法を確立することを目的としている。また、フェライト以外のセラミックス材料への応用についても検討を行なう。
1185 ソルボサーマル反応による酸素還元触媒用硫化物の合成 柳澤 和道 高知大学 安田 崇 株式会社テクノネットワーク四国 イオウの沸点は444.6℃であり、高温での反応ではイオウが気相に移行してしまうために、硫化物の合成は、金属とイオウとの閉鎖系や硫化水素気流下での高温反応により実施されてきた。この方法では得られた硫化物粒子は非常に大きく成長してしまい、比表面積が小さいために触媒としては使用できない。本研究では、高温高圧下の有機溶媒中で、比表面積の大きな、微細な粒子からなる硫化物を合成する手法を確立し、高性能な酸素還元触媒を開発することを目的とする。
1202 貴金属合金ナノ粒子合成法の開発 永長 久寛 九州大学 緒方 道子 九州大学 Pt、Rh、 Ru、Pd などの貴金属を成分とした合金ナノ粒子は触媒材料として重要なキーマテリアルであり、これらの構造や物性をナノレベルで制御できれば、高活性、多機能、長寿命の触媒材料を調製できるため、貴金属使用量の低減につながる。本研究では、様々な還元方法(試薬還元法、光照射法、加熱法など)を適用することにより粒子径や構造、金属組成分布を自在に制御した合金属ナノ粒子を大量合成する手法を開発する。
1216 多元ドープによるバルクナノコンポジット構造ZnO系酸化物熱電材料の開発 大瀧 倫卓 九州大学 古川 勝彦 九州大学 本応募課題は、ZnOへの多元ドープにより、高い導電率σを保持したまま熱伝導率κが顕著に低下し、熱電性能が飛躍的に向上するという代表研究者の最新の知見に基づき、バルクZnO内部に生成するナノオーダーの複合組織構造(バルクナノコンポジット構造)と試料合成条件との関係を詳細に検討し、ZT=1 に迫る実用可能なn型酸化物熱電材料の開発を目的とするものである。
1255 リグニンの急速相分離による炭素ナノ微粒子の開発 亀川 克美 産業技術総合研究所 安部 英一 産業技術総合研究所 タイヤの補強素材として欠かせないカーボンブラックは重質油を高温で熱分解することにより製造されている。一方、木材を原料とする製紙プロセスにおいては大量のリグニンが副生するが、この再生可能資源の多くが焼却されている。ナノサイズの分子素材であるリグニンと無機化合物がナノレベルで複合化した材料を急速相分離により調製し、それを熱分解することによりカーボンブラック類似の炭素ナノ微粒子を製造する方法を確立する。
1298 マイクロメターサイズの新規複合材料の開発 豊田 昌宏 大分大学 近藤 晋一 大分大学 代表研究者により開発された炭素繊維の電気化学処理を経て熱処理膨張化された膨張化炭素繊維(ExCFs)は、ナノメーターサイズにまで微小化され、複合材料とした場合に、応力、弾性定数ともにバルクに対して50%以上向上することを見いだしている。また、300F/gを超える高い電気二重層容量を示すことも明らかにしている。これは、アクチュエーターとして使用した場合、大きな変位を示すことになる。このExCFsを利用して、マイクロアクチュエーターまで応用できる複合材料を作製する。
1304 二次電池用水酸化ニッケルナノシートおよびヘキサゴナルプレートの高機能化 酒井 剛 宮崎大学 石川 正樹 宮崎大学 比表面積が200 m2/gを超える高比表面積水酸化ニッケルを水熱処理することで合成できる水酸化ニッケルナノシートおよびヘキサゴナルプレートに水酸化コバルトおよび亜鉛を添加することによって、それぞれ導電性の向上と結晶性の制御を行うことにより、高比表面積水酸化ニッケルナノシートおよび高密度ヘキサゴナルプレートを主材料とする実用的な二次電池の正極材料を開発することを目的とする。
25(B) 半導体パッケージ用高分子基板の光触媒結晶薄膜による表面改質 手嶋 勝弥 信州大学 田草川 信雄 信州大学 本技術は、環境調和型プロセスの一種であるフラックス法による光触媒結晶薄膜の作製、薄膜の高分子基板表面改質への応用と薄膜の大面積化の確立に関する。現在,半導体パッケージ分野で用いられるデスミア処理(強酸・強アルカリなどの溶液による金属配線前処理)を光触媒結晶薄膜による表面改質手法で置き換え、環境負荷の大幅削減を目指す。高出力光源使用時の結晶薄膜の表面改質特性の把握、ならびに、脱溶液プロセスを実現するため、現行と同程度の@処理能力A光洗浄B粗面化およびC銅配線の密着性を達成することを目標とする。
31(B) ステイン法によるガラスのフルカラー着色技術の研究 角野 広平 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 ガラスの着色技術であるステイン法とインクジェットなどの印刷技術を組み合わせることによって、非常に簡便に、ガラス表面内に数十ミクロンオーダの3原色画素を形成し、ガラスのフルカラー着色・描画技術を開発することを目標としている。本課題では、特に、インクジェットによりガラス基板表面内にドット状に高精細な3原色画素を形成するための基礎技術を確立する。

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 有機化学:46件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
73 医薬合成原料光学活性シアノヒドリンの高純度合成法の開発 大熊 毅 北海道大学 吉田 光則 北海道大学 光学活性シアノヒドリン類は、α-ヒドロキシ酸、β-アミノアルコール等の医薬品、医薬原体の優れた合成原料である。アルデヒド類の不斉ヒドロシアノ化は、そのもっとも直接的な合成法の一つとして知られている。本研究では、研究代表者らが独自に開発した不斉ヒドロシアノ化触媒の機能向上を図り、高純度の光学活性シアノヒドリンをより少ない触媒量で合成する技術の開発を目指す。多彩なニーズに応える優れた方法論になり得る。
228 塩基識別型蛍光性核酸塩基(BDFプローブ)を用いたDNAインク検出法の開発 齋藤 義雄 日本大学 松岡 義人 日本大学 国内のみならず東南アジアをはじめ世界各地で、金券等に代表される有価証券や印刷物の真贋を迅速に判別するシステムの開発が急がれており、今後、非常に高い需要の見込まれる技術であると考えられている。本研究課題では我々の開発をすすめているBDFプローブを利用して、紫外線を照射するだけ蛍光発光により作成者にしかわからないDNAの有無を検出できるプローブを開発することを目的とする。そしてDNAインクのより有効な検出システムを開発する。
251 量産化可能なリサイクル型新規ナノサイズ触媒の開発 藤田 賢一 産業技術総合研究所 齊藤 敬三 産業技術総合研究所 触媒活性部位の鎖状ポリマーやデンドリマー等の球状ポリマーへの固定化により、触媒プロセスにおける技術的な利便性や化学的な有効性が明らかになりつつある。本研究開発では、触媒のポリマー固定化に基づく優位性を抽出することにより、量産化可能な新規ナノサイズ触媒をデザインし、酵素を用いたバイオプロセス同様に均一系触媒プロセスの効率的なリサイクルを達成させることを主目的とする。
299 光線力学療法に用いる新規ケイ素型光増感色素の開発と応用 堀内 宏明 群馬大学 小暮 広行 群馬大学 光線力学療法は新規癌治療法の一つであり、腫瘍に集積した光増感色素への可視光照射によって発生する一重項酸素を用いて癌細胞を死滅させる治療法である。我々はこれまでに光増感色素の一種であるポルフィリン類にケイ素を導入することにより、一重項酸素の発生効率が向上することを見出している。本課題では、この新技術を従来技術と結びつけることにより、新規ケイ素型高効率光増感色素を開発することを目指す。
309 神経幹細胞を標的とした神経疾患薬のリード探索 荒井 緑 千葉大学 富岡 登 千葉県産業振興センター 成体神経幹細胞を賦活化し神経疾患薬のリードとなる化合物を、幹細胞で働く転写因子の活性測定とニューロンの伸張を測定するアッセイ系を組み合わせて行い、独自に開発した効率的ワンポット反応を用いて合成する新規化合物ライブラリーから見出す。天然由来の有用な骨格に多種の置換基を、効率的に導入する反応を開発している。化合物ライブラリーを固相合成にて合成し、上記アッセイ系により創薬のリード化合物を見出すことを目的とする。
381 新規糖ペプチドチオエステル合成法を応用した糖タンパク質大量合成法の開発 北條 裕信 東海大学 北井 淳夫 横浜企業経営支援財団 糖タンパク質は、種々の生命現象に関与している。その機能解明を行うためには構造の明確な糖タンパク質が必要である。しかし、天然糖タンパク質は、糖鎖構造の異なる混合物であり、それを均一な糖タンパク質へと精製することは困難である。本研究では、がん転移因子を例として、新規なペプチドチオエステル合成法を用いた糖タンパク質の大量合成法を確立する。そして、糖タンパク質の機能解明、医薬応用研究を推進する目的で行う。
545 ペプチド系医薬品のプロドラッグ化法の開発 安藤 香織 岐阜大学 荒賀 年美 岐阜大学 近年、微量で強力な生理活性を有するペプチド化合物が数多く発見され医薬品として期待されているが、細胞膜透過性の低さから吸収されにくいという欠点を持っている。この解決策として、ペプチドの化学修飾により脂溶性を高め、細胞に吸収された後酵素作用によりドラッグを再生するプロドラッグ化法が考案された。十分な脂溶性を付与し、かつドラッグ再生後の副生成物が無害であることが必要となる。本研究ではクマリン誘導体を用いる方法についてシス選択的HWE反応を用いる高効率合成法の開拓と、それを用いる酵素作用によるドラッグの再生研究を行なう。
557 原子効率の高い触媒的ベンゾオキサゾール合成法の開発 上田 聡 岐阜薬科大学 前田 喜朗 科学技術振興機構 本研究では医薬品、機能性材料に見出される重要な基本骨格であるベンゾオキサゾールの効率的合成法の開発を目的とし、原子効率の高い芳香族C-H活性化を機軸とした新規な触媒的合成方法論の開発を推進する。本合成法では銅触媒存在下、オルト位に置換基を有さないベンズアニリドからベンゾオキサゾールを単一工程で得ることができる。本反応の工業的実用化に向けて、触媒活性の向上と基質一般性の拡張を課題に研究を展開する。
568 パイ共役拡張スタ−バ−スト型二光子吸収材料の開発 小林 健二 静岡大学 杉山 登英 静岡大学 高密度光記録媒体、三次元光造形、三次元蛍光イメージング等への応用が可能な、大きな二光子吸収断面積を有する新規1,2,4,5-テトラキス[4-(p-N-置換-N-オクチルアミノスチリル)フェニルエチニル]-3,6-二置換ベンゼンを合成する技術である。二光子吸収断面積2,500GM 以上を目指す。
608 高効率色素増感太陽電池を目指した新規増感色素の開発 小野 克彦 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 環境に無害な代替エネルギー創出技術として、色素増感太陽電池の研究が注目されている。実用化を達成するには光電変換効率の更なる向上が求められる。このためには革新的な技術や材料、特に新しい増感色素の開発が必要不可欠である。そこで、現在使用されているルテニウム色素の特性向上を目指し、配位子にドナー−アクセプタシステムを導入した新規色素を開発する。これにより、色素増感太陽電池の実用化への見通しを得る。
612 高病原性鳥インフルエンザ薬類縁体の効率的新規合成法の開発 中村 修一 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 21世紀のライフサイエンスを支える観点から,致死性の高いウイルスへの変異が確実視されるインフルエンザに対する薬剤の開発は急務である。特に変異型高病原性鳥インフルエンザに対しては世界的大流行が警告されており,新規抗インフルエンザ候補薬群の合成法の開拓は緊急の課題である。そこで,本申請では我々が独自に開発した技術を用い新規不斉触媒的アジリジン開環反応を開発し,新規抗インフルエンザ候補薬群の簡便合成の基盤技術の形成を行なう。
632 無溶媒条件下でのDMAP触媒によるエステル類の高速大量合成法の開発 坂倉 彰 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 代表研究者が開発した無溶媒条件下でのDMAP触媒エステル合成法を基盤として、様々なエステルを高収率で合成できる方法を開発する。本エステル合成法は縮合剤や反応溶媒を使用しないため、無駄な廃棄物質が生じず、極めて環境に優しい合成法であると言える。混合酸水物法に有効な新規カルボン酸無水物の開発やスケールアップに対応した反応条件の精査などを行うことにより、高品質なエステルを短時間かつ低コストで合成する方法を確立し、その実用化を図るための試験研究を行う。
634 バイオマスを原料とする化学製品中間体製造−果糖からのHMF合成 薩摩 篤 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 地球温暖化、石油資源の高騰と枯渇が懸念される中、再生可能資源であるバイオマスの利用が注目されている。その一方策として5-ヒドロキシメチル-2-フルアルデヒド(HMF)を各種化成品の中間体や樹脂の原料単量体とするバイオリファイナリーの構築が提案されている。この方式では糖の骨格を保持して化学原料を生産するため、骨格を分解する触媒改質に比べてエネルギー的に極めて有利である。HMFは果糖(フルクトース)の脱水反応により合成可能であり、種々の酸触媒による検討がなされている。本研究は、いままでの研究の成果をベースに、固体酸触媒によるフルクトース脱水反応の高効率化を試みる。
642 修飾ポリ酸触媒による高効率セルロース糖化反応 清水 研一 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 非食料バイオマスの資源化方法としてセルロースの分解による単糖類の合成が注目を集めている。従来、熱分解、硫酸や酵素による分解が検討されてきたが、経済性・環境調和性に問題があり本格的な実用化には至っていない。本研究では、水溶媒中でのセルロースの糖化に有効な固体触媒の開発を目的とする。種々のポリ酸(タングステン酸、ヘテロポリ酸)と多価カチオンから成る難容性塩を固体触媒に用い、反応器の腐食や廃液処理の問題のなく、かつ高い収率で単糖類を製造する方法を開発する。
643 自己イオン対型オニウム塩の設計に基づく新規非金属分子触媒の創製と応用 大井 貴史 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 従来型物質生産の諸問題が顕在化する中で化学合成の質的転換を図るには、決定的な反応性・選択性を低環境負荷型のプロセスとして実現し得る触媒創製のための基礎研究が不可欠である。本研究では、分子内でイオン対をなすキラルオニウム塩、特にアンモニウム塩を設計・合成し、その構造制御に基づく触媒機能の創出と、立体選択的高度分子変換法の開拓に取り組む。この実現により、「キラルイオン対の合理的分子設計に立脚した非金属分子触媒の創製と反応開発」という、希少金属資源の枯渇をも見据えた未来型物質生産を支えるための方法論を確立する。
650 高生理活性第三級アルコールの実用的合成法の開発 波多野 学 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 代表研究者は、ケトンへの有機亜鉛試薬の付加反応による第三級アルコールの触媒的不斉合成法を開発した。本技術を用いれば、従来非常に困難とされている触媒的かつ高エナンチオ選択的なケトンへの付加反応が速やかに進行する。本研究課題では、市場性が高く高生理活性を有する光学活性第三級アルコールの実用的合成法の開発を行う。具体的には、抗ヒスタミン剤、抗菌剤などとして有用な光学活性第三級アルコールの効率的大量合成法を確立する。
726 新規フルオロアルキル基含有二鎖型界面活性剤の開発とPFOA代替乳化剤への応用 川瀬 徳三 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 フッ素系界面活性剤は、高い化学的・生物学的安定性と極めて優れた界面活性を有している。しかし、工業的に重要なフッ素オイル用乳化剤のPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)やPFOA(パーフルオロオクタン酸)は、環境中に残留し、人や生物に蓄積することが問題である。本研究では、蓄積性の低い短鎖のフルオロアルキル基を両端に有する新規二鎖二親水基型界面活性剤の開発を行ない、物性測定・機能評価をもとに、PFOAに代わる高い界面活性能を有し、低生体内蓄積性の界面活性剤(乳化剤)への応用展開を図る。
742 新規有機EL材料の合成とデバイスへの応用 梶 弘典 京都大学 河島 俊一郎 科学技術振興機構 有機EL デバイスに用いる金属錯体材料において、これまで我々が行ってきた各種固体NMR 解析から得られた構造に関する知見に基づき、さらに優れた発光・電子輸送特性を有する新たな金属錯体の開発を目指す。また、その有機EL デバイスへの応用を目的とする。
753 アドへサミンの応用開拓研究 上杉 志成 京都大学 年光 昭夫 京都大学 本研究の目的は、細胞培養を促進する合成化合物「アドへサミン」の応用を開拓することである。アドへサミンは、合成化合物ライブラリーのスクリーニングで申請者らが偶然見つけ、命名した未発表分子である。このユニークな化合物をヒト培養細胞にかけるだけで、細胞は培養プレートに強く接着し、増殖する。アドへサミンやその合成類縁体は「細胞接着試薬」として有用だろう。本研究では、アドへサミンの更なる利用法を見付け出し、実際の応用へ向けた「原理の証明」をおこなう。
759 地球環境に優しい新規触媒の設計合成と 医薬品不斉合成プロセスへの活用 竹本 佳司 京都大学 樋口 修司 京都大学 光学活性な新薬の原体、中間体、あるいはジェネリック医薬品を効率よく安全に不斉合成する革新的技術を世界に先駆け開発し、「環境に優しい触媒で人に優しい医薬品を提供する」次世代型の新技術の確立を目指す。シーズ候補である「チオウレア(竹本)触媒」を活用して、重要医薬品の不斉合成を実施し、実用的なプロセス合成への可能性を探る。
760 ケージド化合物を利用した光制御可能なアポトーシス誘導ペプチドの開発 中瀬 生彦 京都大学 内田 逸郎 科学技術振興機構 抗癌剤を含めたアポトーシス誘導剤が数多く知られているが、何れの薬剤においても細胞への投与後に活性を制御することは困難であり、細胞外から活性をコントロールできる新規薬剤の創製が強く望まれている。本研究では、ケージド化合物で不活化されたアポトーシス誘導ペプチドを膜透過ペプチドによって細胞内へ導入させ、光による緻密な細胞死活性の制御を試み、薬剤としての実用化に向けた検討を行う。
775 (-)-Standishinalの不斉全合を基盤とした新規アロマターゼ阻害薬の開発 野出 學 京都薬科大学 内田 逸郎 科学技術振興機構 (-)-standishinalはアロマターゼ阻害活性を有しており、閉経後の乳癌治療薬として注目されている。近年、申請者は不斉Heck反応を用いたstandishinalの基本骨格である4a-methyltetrahydrofluorene骨格の構築法を開発している。そこで、本研究では本不斉Heck反応を鍵反応に用いstandishinal及びその類縁体を種々合成し、新規なアロマターゼ阻害薬の開発を行う。
800 新規二光子吸収・発光材料の創製 山口 仁宏 近畿大学 松本 守 近畿大学 二光子吸収特性を有する分子は、顕微蛍光像イメージング、3次元光メモリー、さらには光線力学療法によるがん治療にまで幅広い応用が期待されている。このような特性を持つ既存の分子は、中心骨格に、二重結合や芳香族環を組み合わせた「固い」π共役系を持つ化合物群である。そこで、本研究の目的は、これまで研究を行ってきた「固いπ共役系」であるオリゴフェニレンエチニレン類(三重結合とベンゼン環から構成されるオリゴマー)の各種誘導体を合成し、二光子吸収・発光特性を示す新規化合物群の創製を目指す事である。
837 ナノ分子デバイス作製に供する被覆共役ポリマーの新規合成法の開発 寺尾 潤 京都大学 樋口 堅太 大阪大学 本研究では化学的手法による単一分子デバイスの作製を目的とし、1)環状分子により被覆された共役分子の新しい合成法の開発を行い、共役鎖の両端に化学反応点または電極との結合部位を有する被覆共役分子の合成を試みる。2)異なる機能を持つ被覆共役分子がそれぞれ入った溶液にナノ電極を順に浸し、ナノギャップ間で連続的に化学反応を行うことにより、ビルドアップ方式によるナノ分子デバイスの新しい作製法の開発を試みる。
838 植物由来原料からの医薬品類の触媒的な製造法の開発 芝田 育也 大阪大学 樋口 堅太 大阪大学 複素環化合物は多くの機能分子を含み医薬品類、有機材料などに利用されている。それらの製造の際に、触媒的に一段で、副生成物を与えることなく得ることは重要な課題である。本研究では、そのオキサゾリジノンや環状カーボネートなどの複素環機能性分子を、高機能触媒、手法を開発することにより、簡便な方法で製造する。特に、出発原料として、乳酸ラクチドなどの植物由来原料を有効に利用する。
840 光触媒ー磁性ナノ粒子複合材料による太陽光を利用したクリーン酸化プロセス 森 浩亮 大阪大学 多田 英昭 大阪大学 太陽光を利用した選択的酸化反応プロセスに対して、真に実用的な光触媒の開発を目指し、可視光応答性、高表面積、磁性を同時に兼ね備えた多機能付与型光触媒を開発する。具体的には、磁性微粒子を核とし、その表面を多孔質シリカでコーティングを行う。さらに得られた触媒を、可視光照射下、酸素分子を用いた選択酸化反応に応用し、その実用的価値を実証する。反応後、触媒は磁石により容易に分離・回収できるため、操作性、安全性、経済性を兼ね備えた新規光触媒プロセスが構築できる。
841 光学活性な三重らせん錯体の合成と複合電子磁気材料への展開 森田 靖 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 我々が初めて合成に成功したオリゴイミダゾール類は、高い方向性や集積化能、電子構造制御能を持つ水素結合や配位結合を数多く形成し、古くから知られているポリチオフェンやポリピロールとは全く異なる電子構造と集積構造を有する化合物群である。本研究では、1) 8量体オクチイミダゾールの合成、2) 4個の金属イオンと3分子のオクチイミダゾールからなる光学活性な四核三重らせん錯体の合成、および 3) その結晶構造・電子構造を明らかにし、複合電子磁気材料への展開の基礎を築く。
848 官能基選択的アシル化反応を基盤とするエステルの環境調和型合成法の開発 大嶋 孝志 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 様々な官能基が存在する中で、特定の官能基のみと選択的に反応させることができれば、官能基の保護・脱保護といった不必要なプロセスを省略することができる。しかしながら、官能基本来の反応性を触媒的にコントロールすることは極めて困難である。そこで本申請課題では、最近我々が新規に開発した亜鉛四核クラスター触媒の高い酸素親和性を活用することで、様々なエステルの環境調和型合成プロセスを構築し、更に実用プロセスへの展開を検討する。
859 新規Wacker型反応による高効率なメチルケトンの一段階合成法の開発 實川 浩一郎 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 ワッカー(Wacker)反応は、末端オレフィンからメチルケトンを合成する重要な酸化反応であるが、反応装置の腐食や塩素化合物の副生などの問題があり、工業的な展開には新規触媒系の開発が必要である。我々はアミド溶媒中で酸素のみを酸化剤とする触媒を見いだした。これは銅などの共触媒や塩酸を全く用いず、ハロゲンフリーであるために環境に負荷をかけない特徴を有する。本研究ではこの触媒の適用を拡げて、メチルケトンのクリーンかつ高効率な一段階合成プロセスの開発を行う。
888 環境調和型有機ラジカル反応の開発 柳 日馨 大阪府立大学 阿部 敏郎 大阪府立大学 ラジカル反応が21世紀型の有機合成反応となるために、本研究では環境および健康リスク削減の観点からラジカル反応に適した新しい反応媒体、新しい反応試薬に対する検討を行い、ラジカル反応の刷新につなげたい。多くの有用なラジカル反応プロセスでは毒性のある有機スズヒドリドを還元型メディエーターとして用いてきたが、本研究では脱スズ型ラジカル反応を毒性の少ないホウ素ヒドリド種または光照射反応により達成する。
931 深部がんの選択的光治療と診断を目指した二光子吸収色素の開発 小川 和也 奈良先端科学技術大学院大学 戸所 義博 奈良先端科学技術大学院大学 二光子吸収は三次元位置選択的な光制御を可能とするため三次元光記録による記録密度の向上や深部がんの光線力学療法・診断等の応用が期待されている。特に深部がんの位置選択的光線力学療法・診断は飛躍的なQOLの向上が見込まれ、高齢化社会における先進医療として期待される。本課題では深部がんの位置選択的光治療と光診断を目指し、高い二光子吸収効率を有する水溶性ポルフィリンおよび蛍光性色素の開発を行う。
944 ガン細胞の増殖を抑制する高テロメラーゼ阻害活性物質の開発 大須賀 秀次 和歌山大学 稲木 良昭 和歌山大学 DNA末端に存在するテロメアやテロメアを延長する酵素のテロメラーゼは、細胞の老化や不死化で重要な役割を担っており、ガン化にも密接に関連していると考えられている。ヒトテロメア配列のGカルテットの複合体を安定化する小分子はテロメラーゼの作用を阻害するため、副作用の少ない抗ガン剤への応用が期待される。本研究では、らせん構造を持つらせん型化合物ヘテロヘリセンから、高いテロメラーゼ阻害活性を持つ新規誘導体を合成する事を目的とする。
948 「鉄」を触媒とする光学活性分子構築反応の開発 川面 基 鳥取大学 前田 尚良 鳥取大学 医農薬品合成に不可欠な遷移金属触媒不斉合成反応ではロジウムやパラジウムなど希少で高価な金属が多く用いられているが、将来的な金属供給問題などを考慮すると安価で低毒性な鉄を触媒とする触媒的不斉合成反応の開発が強く望まれる。本課題では、実現例が極めて少ない「鉄触媒による光学活性分子構築」として「不斉フッ素化反応」などの実現を目指し、鉄触媒によって様々な医薬品中間体合成が可能である事を示す。
977 廃水ゼロでアクリルアミドを製造する革新的触媒法の開発 石塚 章斤 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 紙力増強剤や高分子凝集剤などに用いられるアクリルアミドは、年間数十万トン生産され,アミド類の中でも大きな市場規模を持つコモディティケミカルズである。アクリルアミドの製造は、従来主に菌体もしくはそれから単離した酵素を利用したニトリル水和反応(バイオ法)によって行われている。本課題では現行のバイオ法を超える革新的触媒法を開発する。
988 有機触媒を用いるアミン類の選択的酸素酸化触媒反応 村橋 俊一 岡山理科大学 安井 茂男 岡山理科大学 本研究では環境調和型のクリーンな酸素酸化触媒プロセスの開拓を行う。金属錯体を触媒とする酸化触媒反応に対比して、有機触媒を用いて分子状酸素による温和な条件下、選択的にアミン類を酸化する環境負荷の少ない酸化触媒反応を開拓する。これは極めて困難な課題であるが、これまでにない有機触媒を用いることにより新しい原理が生まれ、工業化プロセスへの展開が期待できる。これらの新触媒反応の確立と評価を行う。
1021 ピエゾフルオロクロミック色素の開発と発光表示デバイスへの応用 大山 陽介 広島大学 榧木 高男 広島大学 これまでに、一連のオキサゾール系蛍光性色素の結晶が、圧力(磨砕)⇔熱による可逆的な結晶構造変化に伴う黄発光⇔赤発光のピエゾフルオロクロミズム特性を示すことを見出した。本研究では、オキサゾール系蛍光性色素の分子間相互作用を制御することで、圧力⇔熱による可逆的な色調と蛍光発光色の変化を伴った視野特性と耐久性に優れた書き込み・消去型の発光表示デバイスの開発を目標とする。
1022 可溶な両極性有機半導体を用いる塗布プロセスCMOSの開発 瀧宮 和男 広島大学 三浦 毅 広島大学 有機半導体の特徴は、塗布プロセスとの相性の良さの他に、単一の半導体材料でn型とp型の動作が可能な材料(両極性有機半導体)が開発できる点がある。これらの有機半導体の特徴を活かした材料開発と用途開発を目的とし、本研究では可溶性の両極性有機半導体の開発と、塗布プロセスを用いてCMOSインバータ等の理論回路形成へと応用展開を図る。塗布により簡便に製膜出来る両極性材料が開発できれば、例えば一つの基板上に二つの同一の電極の組を配置するだけでCMOSインバータなどの論理回路が形成でき、従来、極めて複雑な工程を経て作製されていたこれらの回路を簡便に作成できるようになると期待される。
1048 創薬につながるグアイアズレン誘導体の開発 村藤 俊宏 山口大学 浜本 俊一 山口大学 「グアイアズレン誘導体」は優れた抗菌作用を持ち、結膜炎や口腔・咽喉疾患、消化器系疾病などの治療に用いられている。しかし、近年では抗生物質に対する耐性菌の出現が問題化し、新規アズレン製剤の創出につながるリード化合物の開発が強く望まれている。本課題は、従来合成法では実現できないグアイアズレン系有用化合物ライブラリーの新構築と充実を狙うものである。分子構造と薬理活性の相関を系統的に解明し、産業的に大きな波及効果が期待できるライブラリーの構築へ展開する。
1070 抗MRSA活性テルペノイドを範とする新規抗菌剤の創製 宍戸 宏造 徳島大学 安田 崇 株式会社テクノネットワーク四国 本研究では、抗MRSA活性抗菌剤を含む新規抗菌剤の開発に直結するリード化合物の創製を目的とする。研究代表者らはこれまでに、キク科植物オナモミの微量成分で強力な抗MRSA活性を示すザンタチン及び関連テルペノイドの全合成に成功している。また、広範な抗菌活性を示すフォマレン酸の合成も達成しており、これらの天然物を範として広範な化合物ライブラリーを構築し、構造活性相関研究を機軸に新規且つ特異的な抗菌剤リード化合物の探索を行う。
1118 前駆体塗布法による有機電界効果型トランジスタの開発 宇野 英満 愛媛大学 小谷 哲哉 愛媛大学 有機電界効果型トランジスタ(OFET)材料として、ペンタセンなどの低分子のほか高分子が注目されている。低分子材料の特徴は、不溶性で塗布によるデバイス作成が困難である。一方高分子材料では、塗布により作成できるが、性能が一応の目安のアモルファスシリコンに大きく及ばない。申請者は、これを解決する方法として低分子可溶性前駆体を用いてデバイスを作成したのちに目的の物質に変化させる方法でこの問題を解決し、高性能なOFET の開発を目指す。
1139 ホスホールを基盤とする機能分子材料の開発 林 実 愛媛大学 安田 崇 株式会社テクノネットワーク四国 機能性有機材料開発において、各種ヘテロ元素を含む複素環化合物、特に最近では、リン元素を含むものが注目を集めている。一方、最近我々は、全く新規な複素環骨格を有するπ共役ホスホール化合物の合成に成功した。本課題では、この新規ホスホール化合物の特性を活かした新しいπ共役分子を対象として、新規有機機能性材料としての実用化に必要な物性発現を狙った誘導体合成を行う。
1187 バイオセンサー素子マイクロペルオキシダーゼの化学合成法の開発 坂本 寛 九州工業大学 大矢 伸宏 九州工業大学 マイクロペルオキシダーゼ(MP)は生体色素ヘムを含む機能性オリゴペプチドで、幅広い分野での応用が期待されている。しかし、MPは天然物由来であるため高価で、汎用性が制限されてきた。そこで、本研究では、ペプチド合成法とタンパク質化学修飾法を組合せ、MPを化学的に合成する方法を開発する。これにより、MPを安価に供給できるとともに、様々な化学修飾が可能となり、高機能なMPを創出することができる。
1192 有機化合物を用いた高感度フッ素センシングシステムの構築 柘植 顕彦 九州工業大学 田中 洋征 九州工業大学 アニオン類は、産業、環境分野で、重要な役割を果たしているだけでなく、生体関連分野においても注目されている。 特に、フッ素アニオンは、骨粗鬆症の原因解明、また治療法の開発においても重要な化学種である。 そこで、本試験研究では、発光特性を有する縮環芳香族を基盤とした化合物を合成し、フッ素アニオンと特異的に結合することで蛍光発光の強度が著しく増加する高感度フッ素センシングシステムの構築を行う。
1211 アデニンヌクレオチド透過担体に作用するアポトーシス阻害剤の開発 新藤 充 九州大学 石川 宗晴 科学技術振興機構 ボンクレキン酸は、ミトコンドリア内膜のアデニンヌクレオチド透過担体に結合しアポトーシスを阻害する重要な生化学試薬であるが分子レベルでの研究は未開拓である。本研究はこれまでのボンクレキン酸の合成法の開発を発展させ、さらに活性向上のための分子構造修飾や生体分子ハイブリッド化を行って、生物活性評価により有効なアポトーシス阻害剤のライブラリーの構築を行い、生化学試薬を実用化することで研究に貢献する。
10(B) DNAインターカレーター及びDNAラベル化を指向する新規検出試薬の研究開発 濱田 文男 秋田大学 森川 茂弘 秋田大学 1本鎖及び2本鎖DNAの判別が困難な新規DNA解析用診断試薬の開発を目的とし、下に示す2つの手法により達成するものである。
1)水溶性大環状オリゴ糖であるシクロデキストリン(CYD)と蛍光有機化合物(X)を1本鎖DNAと相互作用の無い適度な長さのリンカーを介して結合した新規DNA検出試薬の合成。
2)DNA上にCYDと包接し易い化合物(例:アダマンタン類等)をラベル化、蛍光性CYD(CYD−X)との包接によるDNAの認識手法の開発。
38(B) 安定動作n型半導体を指向した新規共役オリゴマーの開発と応用 安蘇 芳雄 大阪大学 清水 裕一 大阪大学 新規な分子設計に基づき、オリゴマー鎖長の調節によって電子物性の制御が可能なヘテロ芳香環を基本ユニットとして、有効にLUMOレベルを低下させ得る化学修飾と共役平面性保持の両立による共役オリゴマー化合物を創製し、n型半導体として有機薄膜エレクトロニクス素子への応用を行う。十分に安定なアニオン種の生成と薄膜状態での緊密なπスタッキングの発現に重きを置いた物質開発と塗布による成膜が可能な材料開発により、安定動作n型半導体を目指す。

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 高分子化学:34件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
139 低湿度下でも高いプロトン伝導性を有する新規芳香族炭化水素系高分子電解質膜の開発 芝崎 祐二 岩手大学 小川 薫 岩手大学 これまで開発された燃料電池用プロトン伝導性高分子電解質膜(PEFC)のうち、もっとも実用化に近いものが米デュポン社の開発したナフィオンRであるが、高価である上、耐熱性、機械特性、メタノール透過性に問題がある。一方、安定性向上を狙って開発されたエンプラ系PEFC用材料は、プロトン伝導度が低いことから、実用化は非常に遠い。そこで本研究では、エンプラ系材料にフッ素系樹脂の長所を導入し、全湿度下で高耐久性および高プロトン伝導性を有するPEFCの開発を目的とする。
217 高温下での光導波路材を目指した結晶性フッ素樹脂透明フィルムの開発 藤森 厚裕 山形大学 白澤 司朗 山形大学 本試験ではフッ素系共重合体を用い、連続使用温度260℃の耐熱性と高い寸法安定性を持ちつつ、更に高い光伝送効率を有するフィルム状光導波路材を創製し、高温状態に晒される光学素子中でも用可能な、耐候性新規光学素材を開発することを目的とする。具体的には、延伸によるフッ素系共重合体透明フィルムの均一成膜法の確立、ラメラ配列構造変化の検討、透過光強度変化の系統的評価等の用的試験を行なう。
258 光学活性導電性高分子を用いた反射光可変型回折格子の作成 後藤 博正 筑波大学 藤田 尚徳 筑波大学 コレステリック液晶電解液中で導電性高分子を電解合成し、電気化学的ドープ・脱ドープに基づく選択反射光の制御可能な可能な材料の合成、評価を行う。次にこの材料を用いて、反射型エレクトロクロミックデバイスを作成する。
301 超臨界流体雰囲気中の固体状物質の溶着方法の検討 山田 岳大 埼玉県産業技術総合センター 岩宮 保雄 埼玉県中小企業振興公社 近年では、環境に適応した溶着技術が求められている。そこで超臨界流体雰囲気下で固体物質の溶着技術を発明した。超臨界状態及び亜臨界領域の高圧下では、高分子化合物に多量にガスが溶解することで、可塑性が著しく増大するという現象が起きる。本研究開発は、この超臨界下の樹脂の特異現象を用いて、超臨界領域下で炭酸ガスを樹脂に含浸させて樹脂同士を溶着させる方法を検討し、この成形方法の可能性を探る。
317 生体分子機能を損なわないバイオプロダクト用精製カラムの開発 金澤 秀子 慶應義塾大学 湯浅 洋二郎 慶應義塾大学 機能性高分子を修飾した温度応答性分離担体を用いて,温度変化によりタンパクなどの生体高分子の吸脱着を制御し,分離精製を行うディスポーザブルな前処理精製カラムを開発する。タンパクを変性させる有機溶媒や高い塩濃度を必要とせず,全て水系で分離精製を行うため生理活性を維持して分離精製可能であり,溶媒コストも削減できる。ポストゲノムで重要性が増大している発現タンパクや核酸などの分離精製への応用が期待される。
341 白色発光ポリ(フルオレン-フルオレノン)共重合体の合成と特性評価 小西 玄一 東京工業大学 林 ゆう子 東京工業大学 青色発光有機EL素子として実用化されているポリフルオレンに適切な割合でフルオレノンを組み込んだ新規な構造のポリマー溶液が,溶媒の極性によらず高い量子効率で白色発光することを発見した。本研究では,フィルム状態でも純度の高い白色発光を得るための共重合体の組成やフィルム作製法の条件検討を行うとともに,電界発光によりEL素子としての性能を評価する。
354 環状トリアリールアミン包接錯体によるシリンダー構造を利用した光電変換素子の開発 土屋 康佑 東京農工大学 田中 公 東京農工大学 有機薄膜太陽電池はクリーンな次世代エネルギー生産技術として注目を集めているが、光電変換効率を向上する必要がある。本研究では、高い正孔輸送性能を有するポリ(トリアリールアミン)の環状オリゴマーを用いて、フラーレン等の電子輸送材料との包接錯体化合物の合成を行う。得られた包接錯体を用いて薄膜内のモルフォロジー制御を行い、効果的な電荷のパス形成を行うことで高効率な光電変換素子の作製を目指す。
355 植物由来原料から創る有機ラジカルポリマーとその二次電池応用 道信 剛志 東京工業大学 田中 公 東京農工大学 安定な有機ラジカルを側鎖に有する高分子は、大容量二次電池の電極活物質として有望である。本研究では、植物由来バイオマス「リグニン」の有効利用技術を組み込むことにより、カーボンニュートラルな高性能有機ラジカルポリマーの創製を目指す。重金属酸化物の優れた充放電特性に見合う代替効果を得るため、コスト・環境面も含めた有機素材の総合的な優位性確立を目指す。
396 化学磁気メモリー素子のためのらせん主鎖ポリラジカルの開発 金子 隆司 新潟大学 中津 普門 新潟大学 共役ポリマーに多数のラジカル種が導入された共役ポリラジカルでは、分子構造に依存して低分子ラジカルでは見られない空間または結合を介した強い磁気的な相互作用が実現すると期待されている。本応募課題では、共役ポリラジカル高分子主鎖の片巻らせん−非片巻らせんのコンフォメーション変化を化学的刺激により制御することで、その磁気応答を制御する、化学的に記録できる磁気メモリーの実現を目指し、ポリラジカル高分子薄膜における化学的刺激によるコンフォメーション変化と磁化変化の相関について探索する。
400 フラクタル構造により高密度にアミノ基を含む二酸化炭素分離膜の開発 寺口 昌宏 新潟大学 中津 普門 新潟大学 フラクタル構造を利用し、二酸化炭素と特異的に相互作用することが知られているアミノ基を高密度に導入した機能性高分子膜を合成し、二酸化炭素選択分離・濃縮を達成しようとするものである。温室効果ガスである二酸化炭素を工業排出ガス中または環境中からの選択分離・濃縮を膜分離により実現を目的とし、有機高分子単独の緻密膜としてはトップレベルの二酸化炭素透過係数、選択性を持つものの開発を目指すものである。
415 ゴム系複合材料の電気抵抗新規二面制御法開発と応用 五十野 善信 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 電子複写器の転写ロールには104〜107Ωm程度の体積抵抗率を有する導電性フィラー充填エラストマーが使用されるが、この体積抵抗値はパーコレーション閾値付近に対応するので、加工条件等にきわめて敏感で、制御困難であるため、簡便な抵抗制御法が要望されている。本課題では、安価な汎用カーボンブラック充填エラストマーに適用できる新規抵抗制御法の開発とその応用を図る。
494 ケブラーの溶解およびその溶液を利用した新規有機材料の開発 池田 功夫 福井大学 吉田 芳元 福井大学 フッ化テトラブチルアンモニウムを含むジメチルスルホキシドにケブラーを溶解し、均一系で化学修飾または他の高分子溶液とブレンドすることにより新規材料としてのケブラー誘導体および複合材料を調製する。誘導体化では、臭化アルキル類との反応によるアルキル化および種々の化合物のグラフト重合を検討する。また複合化では、PVAや脂肪族ナイロンなどとのブレンドで新規な有機材料の調製を検討する。
503 次世代ITO透明電極材料としての高導電性PEDOT/PSSナノ薄膜の開発 厳 虎 山梨大学 還田 隆 山梨大学 固体電解コンデンサや有機EL のホール注入層として広く用いられているPoly(3,4-ethylenedioxythiophene)/poly(4-styrenesulfonate) (PEDOT/PSS)に関するものである。このナノ薄膜を作製することで導電性と透明性を同時に改善させ、フレキシブル透明電極材料化し、実用化に供しようという研究開発である。
513 炭酸ガスレーザー超音速延伸法で作製した高強度ナノシートの開発 鈴木 章泰 山梨大学 鈴木 通夫 株式会社山梨ティー・エル・オー 減圧下の超音速流中で高出力レーザー(〜30W)を繊維に照射することで、ナノファイバーを容易に作製する方法(炭酸ガスレーザー超音速延伸)に関するものである。この方法により、高強度ナノシートの作製条件を明らかにする。さらに、得られた高強度ナノシートを補強材とするシートを作製し、産業用および医療用材料として検討する。
547 均一配向性・高秩序性をもつ導電性カラムナー液晶組成物の開発 坂尻 浩一 岐阜大学 荒賀 年美 岐阜大学 電子デバイスに利用されている液晶素子に導電性を付与する研究開発が行われている。本応募課題では、均一配向性・秩序性の向上を目的に、組織力に優れた低粘性の導電性カラムナー液晶組成物を開発する。達成するための手段は、該液晶組成物として有力視されている円盤状分子に、適当な光学活性アミド基を導入することにより、長距離規則的な超分子構造を構築させることである。化合物を合成した後、構造と特性を評価し、最適な該組成物を見出す。
583 ポリ乳酸と熱可塑性エラストマーのナノ相溶化材料の開発 福田 徳生 愛知県産業技術研究所 齊藤 秀夫 愛知県産業技術研究所 植物由来プラスチックであるポリ(L-乳酸)は、環境負荷低減材料として注目を集めているが、硬くて脆いという欠点があり、用途が限られている。本研究では、これまで培ってきたポリ乳酸の耐衝撃性改善技術などを応用発展させることにより、ポリ乳酸と熱可塑性エラストマーをナノレベルオーダーで互いに相溶化させる技術を確立することを目指し、ゴム状の柔軟性を有する植物度を付与した材料の開発を行う。
606 “クリック”反応を活用した重付加による耐熱・耐水性ポリエステルの開発 高須 昭則 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 本研究では、温和な条件下で進行するアジド基とアルキニル基による効率的・選択的な“クリック”反応を積極的に活用することで、重付加による新規ポリエステル(“クリックポリエステル”)の開発を行う。原料は脂肪族であるが、重合過程で生成するトリアゾール環(芳香環)が高分子主鎖中に必然的に導入される。この特徴を活かして温和な条件での新ポリエステル合成法を確立すると同時に耐熱・耐水性の向上を目指す。
615 迅速・簡便な新規環境モニタリングシステムの開発 樋口 真弘 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 有害物質や新種ウィルス等の迅速・簡便な環境モニタリングシステムの構築が全世界的に重要視されている。従来、特定の物質を高感度に認識する受容体が種々報告されいるが、これらは各々の認識対象物質に対しその都度、受容体の分子設計・合成を行わなければならず、また、その検出には大掛かりな分析システムを必要とした。本研究では、空港等における新規感染症の迅速な初期診断や、家庭でのパーソナルユーズの汚染物質の簡易モニタリングシステム構築を目的に、物質認識及び、その認識情報の変換・伝達機能を併せ持つセンシングチップを簡便・迅速に構築する手法の開発、及びそのシステム化に関する検討を行う。
689 伊吹山産カルシウム系化合物の表面改質による高機能化 神澤 岳史 滋賀県東北部工業技術センター 倉上 茂 滋賀県 滋賀県最高峰である伊吹山から産出する、良質な石灰岩を原料とする各種カルシウム系化合物が現在販売されている。本研究では滋賀県発の環境対応型高付加価値材料の開発を目指し、消石灰の新規表面改質技術の開発をはじめとする伊吹山産カルシウム系化合物の高機能化を行うことで本化合物の新用途への展開を図り、滋賀県の今後のさらなる活性化の一翼を担う新技術を確立する。
700 リサイクル可能な耐熱ポリブテン樹脂の成型加工技術の実用化 山下 基 立命館大学 松田 純 立命館大学 ポリブテン樹脂は高い力学性能と耐熱性をもち、数十回以上の再成型加工が可能なリサイクル性能を有する次世代の環境調和型ポリオレフィンである。しかしながらポリブテン樹脂をメルト状態から成型加工すると不安定結晶が生成され、その後安定結晶へと結晶相転移を起こし、これに伴ってひずみを生じることが実用化を行う上での大きな問題となっている。本課題 では、不安定相を経由せずに安定相をメルト中で直接成長させる手法を用いることにより、ひずみを回避するポリブテン樹脂の成型加工技術の実用化を目的とする。
727 ポルフィリンの高配向環状集積化薄膜による人工光合成アンテナの創製 浅岡 定幸 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 我々はこれまでに両親媒性側鎖型液晶ブロック共重合体を用いることにより、高配向性のシリンダー型ミクロ相分離構造の形成に成功している。本研究では、その相分離界面にポルフィリンを位置選択的に集積化させることによって、管状または環状に配列させ、植物の光合成反応中心を模した集光アンテナ構造を、高配向集積化させた機能性薄膜を簡便に作成する手法を開発する。
790 バイオエタノール濃縮用高分子膜の構造設計と膜分離法の開発 浦上 忠 関西大学 瀬尾 寛 関西大学 発酵法で得られるバイオエタノール(約10wt%)を省エネルギー的に濃縮することを目的とし、我々が開発した供給液と膜周辺に温度差をもたせる温度差制御気化浸透法に多孔質高分子膜を適応させることにより、10wt%エタノール水溶液に対して、従来にない高性能な透過速度(1kg/(uh) 以上)とエタノール選択性(90wt%以上)の膜性能を発揮する膜分離システムを構築する。
811 可逆的可溶化−不溶化が可能なポリスチレン担体の開発 下村 修 大阪工業大学 辻 公志 科学技術振興機構 一般に架橋高分子は、直鎖状高分子に比べると耐熱性や耐薬品性に優れる。この性質を利用し、有機合成用の担体として架橋ポリスチレンが多用されている。しかし溶液系の分析手法を用いることができないため反応のモニタリングが難しく利用の障壁となっている。そこで架橋高分子の架橋部に開裂−再結合可能な構造を導入することにより、可溶化―不溶化をコントロールできる架橋高分子を合成し、その詳細な性質を検討する。
860 刺激により易剥離可能な機能性粘着剤の開発と応用 舘 秀樹 大阪府立産業技術総合研究所 吉竹 正明 大阪府立産業技術総合研究所 現在、市販されている刺激応答性易剥離粘着剤は、硬化剤を用いて系全体を硬化させる方法が主流である。この方法では刺激応答性に乏しく剥離不良が問題となっている。研究代表者はこれまでに、粘着成分そのものが架橋反応に関与する粘着剤と潜在性化合物とを組み合わせ、新規な刺激応答性易剥離粘着剤の開発を行っている。本提案で粘着剤の最適化及び評価試験を行うことで、刺激応答性(30秒以内)と粘着コントラスト(刺激応答後の粘着力0.2N以下)に優れた刺激応答性易剥離粘着剤の開発を目指す。
934 無溶媒高速振とう法を用いたカーボンナノチューブの口径-らせん巻き性同時分割 内藤 昌信 奈良先端科学技術大学院大学 戸所 義博 奈良先端科学技術大学院大学 カーボンナノチューブ(CNT)は口径により電気的特性(半導体0金属)、グラフェンの右・左巻き方向により光学特性が決まる。そのため、ある特定の口径と巻き方向を持つCNT を同時かつ選択的に分別できれば、CNTの未開拓の用途が広がることが期待される。らせん高分子ポリシラン(PSi)と粉末状CNTを無溶媒下で高速振とうすると、選択的に特定口径のCNTがPSi と複合化するという知見を元に、本研究では、光学活性PSiを用いて電気特性と光学特性が均一に揃ったCNT 複合体の作製・分離技術を確立する。
937 塗れる・蒸着できる導電性高分子の開発 奥野 恒久 和歌山大学 稲木 良昭 和歌山大学 導電性高分子は、電導度の低さ、溶解性の悪さ、分散の悪さといった重大な問題を抱えているために用途が限定されている。この問題に対して、共役鎖のドナー性骨格を用いたラダー化ならびに自己ドーピングという手法でアプローチしていく。このような設計も基づいて合成された『塗れる・蒸着できる』ジアセチレン誘導体を重合し、新しい導電性ポリジアセチレンを合成、導電性高分子の広範囲での実用化を目指していく。
1029 環境配慮型フロアポリッシュの新規開発 白浜 博幸 広島大学 繁村 龍彦 くれ産業振興センター フロアポリッシュはビル床等の美観・保護のために用いられるワックス状の床保護剤である。しかし、そのメンテナンス作業、特に剥離作業時には強いアルカリ性の剥離剤が使われることも多く、これは作業環境および剥離廃棄物による環境破壊の観点からも好ましくない。
そこで、本研究では生分解性ポリマーエマルジョンを主成分中に含有配合した「環境配慮型フロアポリッシュ」(未だ上市されていない)を新規開発し、もって上記問題点を解決克服しようとするものである。
1042 溶解度制御を用いた結晶性高分子の新規ナノ構造微粒子の開発と応用 山本 隆 山口大学 浜本 俊一 山口大学 高分子微粒子は大きな比表面積を有することから多くの応用が考えられている。我々は、従来多く報告されている化学合成過程から得られる単純な球状粒子ではなく、特徴的なナノスケール構造を有する結晶性微粒子が混合溶媒系からの結晶化を制御することにより生成されることを見出した。本研究では、これら微粒子系の表面の物理修飾や化学修飾、さらには配列制御などによって、新たな機能を有するナノ微粒子システムの開発を目指す。
1062 合成高分子の化学構造分布を分析評価するクロマト技術の開発と応用 右手 浩一 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 エレクトロニクスやバイオメディカル分野などの先端用途に用いられる高分子材料は、その要求特性の向上が日々求められており、それを満たす高分子の化学構造はますます複雑になっている。しかし、現在の高分子特性解析技術は、このような実用高分子のスピーディーな技術開発に必ずしも対応できていない。本課題は、高分子クロマトグラフィーの新しい手法を組み合わせることにより、各種の実用的ビニル共重合体の組成分布・共重合連鎖・分岐構造ならびに立体規則性分布を、従来法に比べてよりシンプルかつ効率的に行うための方法論的開拓を行い、高分子材料の構造・物性相関解析への応用をめざす。
1082 タンパク類似構造を有する立体規則性高分子材料の開発と応用 田中 均 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 立体規則性高分子は、優れた機械強度等を有するものの、一般に金属触媒を用いるイオン重合法で製造されることが多く、そのため高いスキルが要求され、大量生産できない欠点があった。最近、既存の汎用工場設備の活用が可能で、また機能性官能基の導入が容易なラジカル重合法でタンパク類似構造を有する立体規則性高分子を簡便に合成する方法を見出したので、本研究では、このものをさらに効率よく高純度で合成するための研究等を行う計画である。
1203 高効率電気光学特性を有するモレキュラーグラスの開発 横山 士吉 九州大学 緒方 道子 九州大学 本研究では、従来の無機光スイッチング素子のNLO特性を大きく凌駕する高分子材料の開発を目的とする。代表研究者は、すでに従来比で100 倍近く高い超分極率を有するNLO色素の合成に成功している。よって、NLO色素を高濃度に分散し、かつ高配向性を実現するモレキュラーグラスの材料技術を開発することにより、高効率・安定な電気光学定数(目標値: r33=100pm/V)を示す高性能光スイッチング材料の実現が期待できる。
1223 高機能エレクトロクロミック高分子材料の開発と固体薄膜デバイス応用 長村 利彦 九州大学 緒方 道子 九州大学 紙資源の大量消費の問題とユビキタス社会の要請に答えるため、書き換え・畳み込み可能な電子ペーパーが注目されている。その方式の一つとして酸化還元によるエレクトロクロミズム(EC)があるが、実用化には多くの課題解決が必要である。本提案では、酸化還元により可逆的に三原色を発するEC 機能とイオン輸送機能を併せもつ高分子材料を開発を試み、最終目標として電子ペーパーに応用可能な全固体薄膜フルカラー表示デバイスの実現を目指す。
1282 ポリアミン固定化高分子粒子を用いた選択的エンドトキシン定量システムの開発 坂田 眞砂代 熊本大学 水野 優子 熊本大学 本研究では、血液や注射液中に微量混在しているエンドトキシン(リポ多糖: LPS) 濃度を約3ピコグラム/mL (約0.03エンドトキシンユニット(EU)/mL)ま で、高感度に定量可能な新規LPS測定システムの開発を目的とする。我々独自 の技術で開発されたLPS吸着体に、LPSと共雑物が混在した水溶液中からLPSだ けを特異的に吸着・濃縮させた後、吸着体-LPS結合体としてLPS定量試験を行 なうことで、共存物質の影響を受けずに試料中のLPSの正確な定量を試みる。
20(B) ナノマトリックス構造形成による天然ゴムの高機能化 河原 成元 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 本研究では、耐熱性、耐油性、耐候性に優れかつ弾性と粘性という二律背反の性質を相乗的に両立するソフトマテリアルを創製することを目的とする。具体的には、ナノマトリックス構造(厚さ数nm〜数十nmの高分子のマトリックスに平均直径1mm程度の天然ゴムが分散したナノ相分離構造)を有する天然ゴムについて、ナノマトリックス構造と力学物性との関係を明らかにし、マトリックスである少量ポリマーの機能と分散質である多量エラストマーの優れた粘弾性とを兼ね備えることにより、形状安定性に優れる粘弾性材料を創製する。

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 複合材料:90件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
18 マイクロ波シミュレーション専用計算機・FDTD/FITマシンの開発 川口 秀樹 室蘭工業大学 鈴木 雍宏 室蘭工業大学 電子機器の高速・高周波化に伴い、電磁ノイズの解析・予測等、産業応用の現場で電磁気的に現象を把握すべく数値計算への需要が急速に高まっている。しかしながら既存の計算機環境では計算結果を得るまでのターンアラウンドタイムが長く激しい開発競争下での要求に応えることができていない。これに対し本研究では、専用計算機というHPC技術方式に着目しマイクロ波シミュレーション専用計算機の開発を検討する。
22 耐熱性及びリサイクル性を有する新規バイオプラスチックスの開発と応用 平井 伸治 室蘭工業大学 加賀 壽 室蘭工業大学 シルク成形体は、シルク繊維のガラス転移温度が175℃であることから、ポリ乳酸にはない耐熱性を有する可能性がある。そこで、シルク成形体のガラス転移温度の測定により耐熱性を評価する他、竹繊維が配列したシルク成形体を作製し、一層の耐熱性の向上を図る。また、耐熱性と機械的特性を維持しながら、経済性とカーボンニュートラル社会構築の観点からそのリサイクルの可能性について調査する。
28 ウシ小型ピロプラズマ病血清診断用抗原の標準化 河津 信一郎 帯広畜産大学 田中 一郎 帯広畜産大学 ウシ小型ピロプラズマ病は、全国の牧野で発生し、その食料生産に与える影響は少なくない。一方、小型ピロプラズマ病の診断については、これまでに、原因原虫の粗精製タンパク質を抗原とした、血清診断法の試験開発がおこなわれてきた経緯がある。しかしながら、現行の血清診断法は精度・感度ならびに再現性の問題から野外一般での標準的な使用には至っていない。これらの状況を踏まえて本研究では、同原虫の組換えタンパク質を抗原とする血清診断法の開発とその標準化を目標とする。
50 自己修復能を有する歯科用歯質接着性レジンの開発 橋本 正則 北海道医療大学 蛸島 武広 北海道医療大学 歯科用接着性レジンにモノマー含有ナノカプセルを添加することにより自己修復能をもつ接着性レジンを開発する。歯冠修復用レジンは長期臨床使用において咬合圧、水分浸透、唾液中のエステラーゼ活性などより二次カリエスの誘発、レジン修復物の脱離により再治療を余儀なくされる。しかし、劣化によりレジン内にリーケージが生じてもナノカプセルが破裂し、その内部にあったモノマーが流出し、マトリックス内の触媒に触れて重合硬化する機序により自己修復材料の開発が可能となる。
53 光造形を活用した矯正歯科治療支援ツールの開発 上地 潤 北海道医療大学 蛸島 武広 北海道医療大学 矯正歯科治療では、顎骨や歯の位置を三次元的に変化させることから治療計画の立案と治療目標の設定を三次元で正確に行うことが重要となる。本研究では、製品設計の現場で広く用いられている光造形法を用いて、仮想空間上に設定した治療目標を実空間の矯正患者に正確に具現させるための矯正治療支援ツールを開発し、その有用性を検討する。
60 ペプチド合成酵素を用いた大腸菌による抗がん剤ライブラリー構築法の開発 及川 英秋 北海道大学 清水 條資 科学技術振興機構 培養が容易な大腸菌を用いた有用物質生産は、現在でもほとんど例がない。そこで最近我々が開発した発現カセット法をさらに発展させ、論理的設計が可能なペプチド合成酵素を自在に組み合わせて新たな抗がん剤ライブラリーを構築する手法を開発する。
61 安全性の高い生体内分子ガレクチンのインフルエンザ予防・治療薬としての実用化研究 宮崎 忠昭 北海道大学 東 陽介 科学技術振興機構 本課題では、ガレクチンのインフルエンザの予防・治療薬としての効果を判定し、ウイルスの感染、増殖および細胞死の抑制機構を解析することを目的とする。実施内容としては、細胞とマウスを用いた感染実験モデルでガレクチンのウイルス感染と増殖の抑制および病態改善の効果を検討する。
77 DMEを燃料とするオンデマンド水素生成技術の研究 藤田 修 北海道大学 奈良林 直 北海道大学 DME(ジメチルエーテル)を燃料とする超小型水素発生技術を確立し、オンデマンドで燃料電池に水素を供給できるシステムの構築を目指す。水素生成は触媒改質反応により行うが、この目的を達成するには改質反応器のON-OFFを自立的に、ある程度の応答性を持って実施できることが求められる。とくに、温度条件が低い場合のOFF状態からON状態へ移行が難しく、この点を解決する基本的な技術として吸着再生法を提案し、その有効性を明らかにする。
220 もみがら由来炭素粉体を用いた導電性ゴムの開発 飯塚 博 山形大学 村山 朋也 山形大学 農業系未利用物のひとつである籾殻を炭化焼成して得られるRHSC(Rice-Hull Silica Carbon)粉体をゴムに添加して、要求される電気的特性を安定的に付与した「導電性ゴム」の開発を行う。とくに、もみがらの天然多孔質構造中に含浸するフェノール樹脂の均一性を実現するため,最適な製造工程を確立し、製造条件と導電性の関連性等について検討を行なう。力学特性の測定についても併せて実施する。
221 マイクロバブルを用いた中空マイクロカプセルの開発と応用 幕田 寿典 山形大学 村山 朋也 山形大学 本試験では、カプセル生成プロセスの最適化および膜形成の多重化を行うことで、耐久性の高い実用的な機能性材料の創出を目指す。具体的には、メラミンホルムアルデヒド中空マイクロカプセル生成プロセスにおける各パラメータ(材料、温度、pH、反応時間など)が膜厚に及ぼす影響の明確化と最適条件の抽出、最適条件における中空マイクロカプセルを芯物質に、同一樹脂または異種樹脂材料によるカプセル化を行いカプセル膜の重層化を図る。
222 イオン液体を使った蓄電ゴム製造技術の開発 立花 和宏 山形大学 村山 朋也 山形大学 本試験では、伸縮性に富む「ゴム弾性」を最大限に生かし、折り曲げ自在という特異な利点を有する新しい電池技術としての「蓄電ゴム」の実用化を目指す。具体的には、@有機溶媒のほか、イオン液体について探索し、最適な溶媒を特定する。Aポリマーマトリクスへの浸透の促進、加熱して溶解度を上げてポリマーを溶解し冷却固化、架橋前のゴムに添加して混練等の方法を探索し、最適方法を提案する。B方式、応力、温度、時間の検討を行い、最適方法を提案する。
246 高効率紫外赤外線遮蔽用ポリマーナノコンポジット膜の開発 越崎 直人 産業技術総合研究所 名川 吉信 産業技術総合研究所 液相レーザーアブレーション法により調製した平均粒径3 nmのインジウムスズ酸化物ナノ粒子は極めて優れた赤外線反射特性を有している。そこでこのナノ粒子をポリマーマトリックス中に孤立・均一分散させる手法を開発することにより、現在市販されているフィルムやコーティング液に比較して希少金属であるインジウムの使用量を大幅に削減させた高効率紫外赤外線遮蔽用ポリマーナノコンポジット膜の開発を目指す。
270 生活支援用カーボンナノチューブ複合化高分子アクチュエータの開発 唐 捷 物質・材料研究機構 青野 正和 物質・材料研究機構 カーボンナノチューブ(CNT)は、極めて軽く、高い弾性率と強度をもつと同時に、高導電性や高熱伝導性等の機能を併せもつ高機能素材でもある。本研究では、カーボンナノチューブ分散高分子アクチュエータを高齢者や障害者の生活支援システムに最適な性能とすることを目標とし、イオン導電性高分子にカーボンナノチューブを均一分散し、マトリクスと架橋させることにより、アクチュエータ伸縮率や発生応力を大幅に向上させ、さらに性能劣化を格段に減少させるプロセスを開発する。
275 マイクロ波加熱法による表面改質技術の実用化開発研究 鈴木 昇 宇都宮大学 山村 正明 宇都宮大学 本研究は、研究室で開発したマイクロ波照射加熱法によるナノ粒子のシリカコーティングによる無機/無機複合ナノ粒子の製造法を、無機/有機複合ナノ粒子製造に向けて発展させるものであり、各種処理剤を用い表面改質したナノ粒子の製造技術を確立する。本製造技術の実用化により、表面改質化されたナノ粒子は化粧品、塗料、光触媒などの多くの分野で普及されることが期待される。また、本技術は他の多くのナノ複合材料に応用でき、製造技術の革新ともなる。
306 ゲート吸着型二酸化炭素分離材の応用 加納 博文 千葉大学 小林 邦彦 千葉大学 近年石油や天然ガスの代替エネルギーとして利用が期待されているバイオガスには40%程度のCO2が含まれており、これを除去してメタンガス95%にまで濃縮することが要望されている。本課題は、CO2を効率的に吸着・脱着するが故に非常に小さなエネルギーで再生も可能なゲート型吸着材の最適なCO2吸着除去条件を明らかにすることにより、バイオガスからのCO2吸着除去材、オフィスビルで問題となっているCO2濃度減少のための吸着材としての可能性を明らかにするものである。
321 環境の変化に応答する色素複合材料の開発 高木 慎介 首都大学東京 川原 正言 首都大学東京 申請者らは、ナノ層状化合物と機能性色素からなる複合材料について研究してきた。その結果、色素分子が高密度、かつ規則正しく並んだ色素複合材料の作製法の開発に成功した。色素分子を単層で配置できる独自の技術であり、分子本来の性能を発揮できることが特徴である。また、その膜を安定で透明な膜として成形する技術を見出し、色素透明膜としての応用を検討してきた。本課題では、色素分子の複合体内での可逆な配向変化を利用した環境応答性材料としての開発を目指す。
325 金触媒による長鎖脂肪酸の選択的合成 石田 玉青 首都大学東京 柏原 繁郎 首都大学東京 直径5 nm以下の金ナノ粒子を無機酸化物に担持した触媒を用いて、長鎖アルコールの酸化により長鎖脂肪酸を一段で選択的に合成することを目的に研究を行う。水またはアルコール類を溶媒、酸素を酸化剤として用い、高濃度、反応温度100℃以下、塩基無添加条件での高活性・高選択的反応を目指し、触媒担体の選択、反応条件の最適化を行う。触媒のリサイクル化についても検討する。
326 インクジェットによる規則配列ナノ構造体反応場の形成と超高速診断計測システムの開発 内山 一美 首都大学東京 川原 正言 首都大学東京 ナノ微粒子を含有した溶液をインクジェットで微小液滴として基板上に吐出し液滴内で自己集積化し規則配列構造体を得る。さらにこの微粒子を相互に連結し「高度規則化ナノ微粒子構造体」とすると、極めて大きな比界面積を持ち、機械的に極めて安定な反応場が形成される。この構造体に抗体を吸着後インクジェットを用いて極微少量の試薬・試料を送達し酵素免疫反応を行うことで超迅速・高精度な酵素免疫測定法を実現する。
329 マイクロカーボンファイバー層を含有する高収縮性ゴム人工筋肉の安定的な製造技術に関する検討 中村 太郎 中央大学 佐藤 矩正 中央大学 空気圧ゴム人工筋肉は、ソフトアクチュエータとして医療・リハビリ関連において実用の面から最も注目されているアクチュエータである。研究代表者によって発明されたマイクロ繊維層有する空気圧ゴム人工筋肉は、従来のMcKibben型人工筋肉と全く違った構造を有しており、2倍以上の収縮力・収縮量・耐久性が得られるが、構造上、安定的な製造が困難であった。本課題ではその性能を安定的に供給できるような技術を検討する。
332 ホタル生物発光系の発光波長改変指標の確立と制御技術の開発 牧 昌次郎 電気通信大学 小島 珠世 電気通信大学 ホタル生物発光系の発光波長改変指標を確立し、波長制御技術を創出する。ホタル生物発光系は発光効率が高く、研究用標識材料や排水・衛生検査薬として極日常的に利用されている。しかし発光色は黄緑色が主流であり、多色ニーズは高いが、科学的な発光波長制御技術は確立されておらず、世界的に指標なきランダムトライ&エラーが繰り返されている。本研究では、基質アナログによる波長制御技術と科学的指標の確立を実現する。
368 インフルエンザ感染阻害ペプチドの活性向上を目指した分子設計 佐藤 智典 慶應義塾大学 二見 精彦 慶應義塾大学 インフルエンザウイルスはヘマグルチニンを粒子表面に提示しており、ウイルスの感染において、ヘマグルチニンが宿主細胞の糖鎖を認識することで、ウイルスが細胞内に侵入することが知られている。本申請者は、ヘマグルチニンに結合してインフルエンザウイルスの細胞内への侵入を阻害するペプチドの開発を行っている。本研究では、インフルエンザ感染阻害ペプチドの感染阻害活性の向上を目指した分子設計について検討する。
397 チタン形状記憶合金ステントを用いた気管欠損部閉鎖法の開発 窪田 正幸 新潟大学 中津 普門 新潟大学 私たちは腸管の欠損部に対して縫合を必要としない吸収性素材を用いた被覆閉鎖法を開発した。しかし、この方法を気管欠損閉鎖法に応用した場合、欠損部が縮小してゆく過程で吸収性素材が内腔に垂れ下がり気道を閉塞する欠点が明らかとなった。今回は、吸収性素材の垂れ下がりを防止するために、内腔にステントとしてチタンとニッケル合金の形状記憶合金を用い良好な気管形成を図るもので、形状記憶合金は、冷却することで気管支鏡で抜去可能である。
401 超高圧処理/酵素処理併用による免疫寛容を誘導する食品の開発 小谷 スミ子 新潟大学 中津 普門 新潟大学 本研究では、加熱処理とは異なる新しい食品加工法である超高圧処理と酵素処理を併用して食物アレルギーの原因食品中のアナフィラキシー症状を誘発するB 細胞エピトープを壊し、免疫寛容を誘導するT 細胞エピトープを含むペプチドを作出するものである。これは、食品加工における超高圧処理の新たな利用方法を提供するとともに、食物アレルギーの予防および治療機能を有する食品を開発することを目的とするものである。
407 高吸着能力・強磁力を有する新規複合材料の開発と応用 川田 邦明 新潟薬科大学 千原 恵子 にいがた産業創造機構 強磁性体は医療分野を含む広範囲での応用が研究され、その用途は増加している。一方、活性炭など高い吸着能力を持つ材料は、浄化、脱臭、触媒など様々な用途で用いられている。そこで、本課題では、高吸着能力・強磁力を有する新規複合材料の作成技術を検討し,製造コストの低減化や製造工程の短縮化にも配慮した技術を確立する。さらに,応用のための基礎技術を検討する。これにより、様々な分野で用いるための基礎の確立を目標としている。
429 陽極酸化軽金属と熱可塑性樹脂の超音波接合 石黒 智明 富山県工業技術センター 谷野 克巳 富山県工業技術センター 軽金属(AlやMg)は機器軽量化を目的に普及しつつあり、各種素材とともに組み立てられ製品化される。また、AlやMgは耐食性改善のため陽極酸化がしばしば行われ、研究では、組み立て機構としてAlやMg上へ樹脂製ボス等の形成を目指し、陽極酸化材と熱可塑性樹脂の超音波接合について検討する。実験では、超音波接合条件と接合可否、引張せん断強さの関係について調べるとともに、せん断剥離状態の観察を行う。また、接合性向上のため、樹脂インサート材の使用や陽極酸化材の予熱の効果などについても検討する。
490 高強度を有する新規ポリマーアクチュエータ複合電極の開発と応用 庄司 英一 福井大学 吉田 芳元 福井大学 力学強度および伸縮性に優れる導電性織物を電極として用いる着想から、一段階接合により簡便に高強度な導電性布帛高分子複合電極(CFPCE)を製作し、アクチュエータとしての運動性能を見極める。従来法のアクチュエータ製造の問題点に、膜の溶媒溶解性等がメッキ成否に依存することによるイオノマー構造の制限、膜への直接的繰返しメッキでのメッキ厚の限界、電極薄層と膜材との伸縮性差による電極破壊等があるが、本方法ではこうした問題点が無い。高強度・耐熱性イオノマーを膜材とする検討も併せて行う。
516 触媒担体に用いる中空微粒子の開発 岡田 友彦 信州大学 坪井 開 長野県テクノ財団 中空状の微粒子を多量に製造する方法の開発である。この微粒子は、内表面と外表面に触媒を担持できるので、担持した触媒の大部分が活性点として機能し反応効率の飛躍的向上につながることが期待できる。安定した物性の粒子10 g(従来の100 倍程度)を一回の工程で生産することを目標とする。
548 医薬品をさらに効率的に開発するための消化管疾患モデル動物の作成 松山 勇人 岐阜大学 米華 真一郎 岐阜大学 本課題の目的は、腸神経細胞から活動電位を記録する手法が腸疾患治療薬候補の探索用途のシーズとなり得るか試験するための、試験用炎症性腸疾患動物の試作である。炎症誘発物質であるTNBS、DSS、OXAをそれぞれ別々のマウスに投与して腸に炎症を誘発し、炎症の程度を判定する。この結果を踏まえて薬物最適投与濃度や炎症誘発方法を見出し、簡便かつ安定的に腸管疾患マウスを作成することを目標とする。
550 第二級アルドール類の低コスト・低環境負荷型光学分割法の開発 船曳 一正 岐阜大学 荒賀 年美 岐阜大学 医薬品中間体として広範に利用されている第二級ハロゲン化アルドール類の低コスト・低環境負荷型光学分割法の確立を目的として、リサイクル可能なキラル認識機能を持つ選択的吸着材料の調製とこれを用いた光学分割システムの開発を行い、高価な重要医薬品の製造法の飛躍に活用する。
576 半導体故障解析のための三次元ドーパントプロファイリング法の開発 山本 和生 ファインセラミックスセンター 山本 義明 ファインセラミックスセンター 電子線ホログラフィーは位相差分布Φ(x,y)を測定し、半導体中のドーパント分布を直視観察する有効な手法の1つである。しかし従来法では厚み分布を実測できないため、数百ナノメートル以下の均一な厚さに研磨された試料の二次元的なドーパント分布解析が、一般的分析レベルの限度であった。本研究ではトモグラフィーとホログラフィーを組み合わせた画期的なアイデアに基づき、薄片化できない立体構造を有するMOSFET中のドーパントを三次元で分布解析する手法を開発する。
580 無機/有機ハイブリッド型プロトン導電性膜の開発 鈴木 正史 愛知県産業技術研究所 齊藤 秀夫 愛知県産業技術研究所 固体高分子形燃料電池(PEFC)の動作条件(温度、湿度)を改善することで、発電性能の向上と長寿命化が期待できる。そこで本研究では、安価な原料から簡潔なプロセスで合成でき、制御された無機構造と高分子鎖を含む膜骨格にホスホン酸基が化学的に固定化された構造を有し、かつ幅広い温湿度領域で良好なプロトン導電性を示す、PEFC用の新規無機/有機ハイブリッド型導電性膜の開発を行う。
586 薬物放出能を有するコアシェル型有機/無機複合ナノ粒子の開発 永田 夫久江 産業技術総合研究所 渡村 信治 産業技術総合研究所 世界的な高齢化社会の進展にともない、低侵襲かつ安全に薬物を患部へ送達するDDS用担体の開発が求められている。本研究では、代表研究者が開発したエマルション界面での有機/無機相互作用により微粒子を安定させる手法を用いて、生分解性高分子とリン酸カルシウムという生体に安全な材料のみからなるコアシェル型有機無機複合ナノ粒子の開発を行ない、そのDDS担体としての応用を目指す。
592 ヒトと類似した白髪発症機構を持つ新しい動物モデルの開発 加藤 昌志 中部大学 永井 義明 中部大学 白髪予防・治療剤は、ヒトで開発されるのが理想であるが、ヒトの白髪発症には非常に長い年月がかかるので、特にヒトを対象とした「白髪予防剤」の開発は現実的に不可能である。最近、研究代表者らは、ヒトのように加齢とともに少しずつ白髪を自然発症するモデル動物を樹立した(特許申請中)。本研究では、この新規に開発された白髪マウスの白髪発症機構について、主として形態学的手法を用いて解析し、ヒトの白髪発症機構との類似性を検討する。
623 ハイドロゲル表面への光応答基の導入と吸着特性の光制御 永野 修作 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 ハイドロゲルは、物質透過性や保持性などのバルク特性を持つため、良質な細胞培養基材として有望視されている生体材料である。本研究課題では、真空紫外光酸化を基盤とした優れたハイドロゲルの表面処理技術を確立するとともに、ハイドロゲルの表面のみに光応答基を修飾する新たな材料プロセッシングを提案し、ハイドロゲル本来の持つバルク特性を損なうことなく、表面濡れ性や物質の吸着特性を光制御する光機能化ハイドロゲルの構築を目指す。
633 発光性色素/粘土ハイブリッド固体材料を用いた芳香族分子センサーの開発 笹井 亮 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 本課題では、『層間に芳香族分子の種類や量に依存した単量体発光量子収率をもつ固体材料』の創製を目指し、無機固体ホストとしてカチオン交換性粘土を用い、その二次元ナノ層空間へ“発光性色素”と芳香族分子との選択吸着能及び色素分子間相互作用に伴う発光消光の抑制を担う“芳香族分子選択吸着能を有する界面活性剤”を共包接した材料の創製を目指す。さらに、材料への芳香族分子の吸着による発光特性評価、各芳香族類に対する選択性、センシング能への水の影響の解明などを行い、多くの有機化合物のセンシング可能な発光型センサーの開発を目指す。
656 新規なメタボリックシンドロームモデルラットを用いた、ビタミンCのインスリン作用改善効果の発掘 堀尾 文彦 名古屋大学 森 典華 名古屋大学 アスコルビン酸(ビタミンC:AsA)は抗酸化ビタミンとして知られており、ヒトでは体内で生合成されないため、野菜や果物などから摂取しなければならない。我々が作出した近交系統ラットであるSHR-odは、ヒトと同じようにAsA生合成が不能であり、メタボリックシンドロームでみられる肥満、インスリン作用不全(インスリン抵抗性)、高血糖、高血圧、脂質異常症、脂肪肝を呈するユニークなモデルである。本モデルを用いて、メタボリックシンドロームの根源ともいうべきインスリン抵抗性に対してAsAが抑制効果を示すことを検証し、AsAの新たな作用を発掘する。このことから、現代生活におけるAsAを含む食品やサプリメントなどの新たな価値を創生することを目的とする。
663 金属・酸化物二層複合水素貯蔵材料の貯蔵・放出特性試験 森田 健治 名城大学 松吉 恭裕 名城大学 現在、水素貯蔵材料に求められている条件は、吸収温度が常温で、放出温度が150℃以下且つ、吸蔵容量が5W%以上である。本研究の目的は、常温で水素を吸収する金属と150℃以下で水素を放出する酸化物セラミックスを二層構造に複合化することにより、水素貯蔵材料を構成し、その目標達成の可能性を試験することである。その実施内容は、真空中で酸化物セラミックス(例えば、Li2ZrO3)表面に金属(例えば、Pt)薄膜を蒸着し、水素ガスを吸収させて、吸蔵と放出特性をイオンビーム分析法と質量分析法を用いて測定する。更に、実用化を目指して、金属と酸化物セラミックスの組み合わせの最適化を行なう。
668 白色発光LEDのための有機/無機ハイブリッド蛍光体の開発 久保 雅敬 三重大学 加藤 貴也 三重大学 白色発光LEDは、省エネルギー・長寿命の特長を有し、次世代照明としても期待されているデバイスである。しかし、蛍光体の多くが希少元素を使用しているので、需要拡大に対する供給不安が懸念されている。本研究は、資源的な制約のない有機発光高分子であるπ共役高分子に着目し、シリカとハイブリッド化させることによって耐候性を付与させ、高輝度青色発光LEDの蛍光体として用いることで、高い演色性を有する白色発光LEDの開発を目指すものである。
707 センサネットワークのためのマイクロストレージネットワークシステムの開発 大久保 英嗣 立命館大学 松田 文雄 立命館大学 複数のセンサネットワークによって収集された環境情報を格納し、各種アプリケーションに対し、位置透過・リアルタイムに情報を配信するためのP2Pネットワークシステムの開発を行う。システムはP2Pデータポットと呼ばれる無線通信機能およびストレージ機能を持つマイクロサーバ(小型計算機)複数台から構成される。本システムのプロトタイプシステムを構築し、複数のセンサネットワークからの情報取得の可能性について実証を実施する。
735 電気泳動法を用いた単層カーボンナノチューブの分離精製法の開発と応用 鈴木 信三 京都産業大学 物部 剛 京都産業大学 単層カーボンナノチューブは、様々な直径やねじれ方(キラリティ)のものが存在しており、それぞれ光学的性質や電子状態(金属・半導体的性質)が異なる。本課題では、申請者らが開発を進めてきた「窒素中アーク放電法」を用いて作製した単層カーボンナノチューブを溶液中に孤立分散化させた後に、電気泳動法を適用して効率的に直径・ねじれ方のそろったナノチューブを分離精製する方法を確立し、その応用を図ることを目標とする。
743 発癌リスクを予測する遺伝子変異検出用オリゴヌクレオチドアレイの開発 丸澤 宏之 京都大学 樋口 修司 京都大学 本課題は、癌の発生前の各臓器で遺伝子編集酵素が標的とする遺伝子変異領域を特定し、遺伝子編集酵素により高頻度に変異が導入される遺伝子領域を搭載した遺伝子変異検出用オリゴヌクレオチドアレイを作成することにより、C型肝炎や慢性胃炎などの炎症性疾患からの発癌を予測する新しい診断技術系を構築することを目指す。
763 量子化学計算によるphotodynamic therapy増感剤の分子設計 長谷川 淳也 京都大学 年光 昭夫 京都大学 理論化学計算は、反応の予測や新規な分子設計において、重要な方法論となっている。分子の光吸収波長を制御する上では、分子の励起状態の性質を理解した上で分子設計することが効率的である。本応募課題は、我々が開発してきた精密な理論計算手法に基づき、ガンの有効な治療方法の一つであるphotodynamic therapy(PDT)における光増感剤となりうる分子の設計を行う。具体的には外部からの照射光を有効に吸収し、がん組織において一重項酸素を効率的に生成しうる分子を設計する。
766 貝殻ペプチドを利用した重金属処理剤の開発 豊原 治彦 京都大学 藤森 賢也 京都大学 これまで困難とされてきた重金属の凝集沈殿法による除去・回収を、申請者が開発した貝殻ペプチドを用いて行う。重金属イオンに対して凝集機能を有する貝殻ペプチドを、ムラサキイガイとフジツボを主成分とする発電所取水口付着廃棄物を分解することで作出し、これらをすでに開発済みの沈殿剤ハイドロトラッパーと架橋(ブリッジング)させることで重金属を沈殿させ、工場廃液や土壌汚染の原因となっている鉛、銅、クロム、アルミニウム、カドミウムの除去・回収を行う。
778 カーボンナノファイバー分散ペロブスカイト系新規熱電材料の開発 加藤 将樹 同志社大学 永田 和彦 同志社大学 新規ペロブスカイト型化合物CaO-nCa(Mn1-xVx)O3をマトリックスとし、これに高電気伝導性を有するカーボンナノフアイバー(CNF)を均一に分散し高密度に焼結させ、CNF添加により焼結体の電気伝導度σを著しく大きくし、かつ、熱伝導率κをほぼ一定とすることにより、高い無次元性能指数ZT =S2σT/κ [ここでSはゼーベック係数、Tは温度]を有する新しい熱電材料を開発する。なお、ここで、CNFを各種セラミックスに均一分散させた複合材料で、電気伝導度の格段の向上と、熱伝導率の一定性は既に確認済みである。
784 細胞接着性ナノフィルムの開発とその応用 東 信行 同志社大学 永田 和彦 同志社大学 最近の万能細胞による再生医療の研究には大きな注目と期待が寄せられている。この再生医療をささえる重要な柱の1つが、細胞の足場となる基材の開発であり、細胞の効果的な接着と増殖を促す表面が求められる。本研究では、我々がこれまでに確立してきたシーケンシャル・ペプチドや人工高分子とのハイブリッド・ペプチドの自己組織化技術をもとに、ここに細胞認識部位を組み込んだ新しいペプチド/高分子ナノフィルムの作成技術の開発を行う。
815 カラムリアクターのための触媒担持型高分子モノリスの開発 松川 公洋 大阪市立工業研究所 辻 公志 科学技術振興機構 エポキシ樹脂硬化過程でのスピノーダル分解により作製できる高分子多孔性構造体(モノリス)の表面にパラジウムナノ粒子を担持させた有機合成用カラムリアクターを開発する。このようなカラムリアクターは、原料溶液をカラム中に送液するだけでカップリング反応等が進行し、有機合成を極めて簡便に行うことが可能となる。金属配位能を有するエポキシモノリスを作製し、パラジウムイオンの吸着、還元でナノ粒子を形成させ、その触媒活性について検討する。
820 シークレット機能を有する光可逆フォトクロミック材料の開発と応用 小畠 誠也 大阪市立大学 渡辺 敏郎 大阪市立大学 光により書き込みと消去が可能であり、書き込んだ情報を加熱すると保存でき、しかも通常の条件では書き込んだ情報が目に見えず、紫外光をあてることにより書き込んだ情報が現れる新しい機能を持ったシークレット機能を有するフォトクロミック材料の開発と応用について研究を行う。このような機能材料は情報の保存と隠れた表示のできるシークレット表示材料への応用が可能である。
823 革新的光荷電分離分子システムの色素増感太陽電池への応用 鈴木 修一 大阪市立大学 中島 宏 大阪市立大学 本研究では、研究代表者が最近独自に設計した電子供与体(D)・電子受容体(A)連結型白金錯体の、1)D、A部の構造を変えることによる電荷分離状態生成の高効率化、2)架橋部位の構造を変化させることによる電荷分離状態の長寿命化を図り、太陽電池システムに応用して従来型よりも高い特性が引き出せるかを試験する。また、白金錯体で得られた知見を基にして、他の金属イオンへの応用も検討する。
828 次世代ブロードバンド通信対応型広帯域電波吸収体の開発 伊東 正浩 大阪大学 武井 廣見 科学技術振興機構 ユビキタスネット社会の確立にはブロードバンド無線通信が必要となるが、これには機器の誤作動等の電磁波障害が自ずと付随する。これに対し、本研究では、基幹技術となる透磁率の傾斜化に加えて、損失成分の付与によりインピーダンスの発振特性を緩和させることで、一般的な建材基準であるハーフインチの厚さで、次世代の通信規格として注目されるWiMAXおよびUWBに対応可能な高性能広帯域電波吸収体の開発を行なう。
831 導電性高分子/金属酸化物ナノハイブリッド膜のエレクトロクロミック素子への応用 橘 泰宏 大阪大学 武井 廣見 科学技術振興機構 導電性高分子は、電位印加により色が変化するエレクトロクロミック特性を有する。ところが、その実用化の上で、応答速度の向上が必要とされているが、そのために膜厚を小さくすると色濃度が低下する問題を抱えている。本課題では、申請者らが最近開発した導電性高分子・金属酸化物半導体ナノハイブリッド膜を用いて、金属酸化物部位を電極として機能させ、色濃度を保持したまま高分子層の高速色応答性を実現したエレクトロクロミック素子を開発する。
832 レーザー誘起多光子吸収過程を利用した新規光メモリー系の開発と応用 宮坂 博 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 フォトクロミズムを示すジアリールエテン(DAE)誘導体は、同一の励起波長でも可視一光子吸収過程ではほぼ反応せず、可視二光子吸収過程では効率良く(〜100%)反応する。つまり、一光子吸収過程でデータを読み出し、二光子吸収過程でデータを消去させる、単一波長による非破壊読み出し機能と光消去機能を併せ持つ光メモリー系の構築が可能である。そこで、本課題では、フォトクロミズムを示すジアリールエテン(DAE)誘導体を用い、顕微鏡下での単一波長による非破壊読み出し機能と光消去機能を併せ持つ超高密度光メモリー系の開発とその実用化を探る。
861 複合化による高機能性芳香族ポリアミド微粒子の開発 吉岡 弥生 大阪府立産業技術総合研究所 吉竹 正明 大阪府立産業技術総合研究所 我々は、これまでにナノ・サブミクロンサイズの芳香族ポリアミド微粒子を開発してきた。これら微粒子は、ポリアミド自身の優れた特性(耐熱性、耐薬品性、機械特性)を活かすことによって幅広い分野での応用展開が期待できるが、その実用化さらには高付加価値化には、用途に応じた新たな機能の付与およびその制御が必要不可欠である。このようなことから、本研究では新たな光学特性や耐水性の付与を目指して、他の機能性材料との複合化による芳香族ポリアミド微粒子の高機能化に取り組む。
863 新規な反応性全芳香族ナノポリイミド微粒子の製造と評価 浅尾 勝哉 大阪府立産業技術総合研究所 吉竹 正明 大阪府立産業技術総合研究所 ポリイミド微粒子は粒子径を100nm以下に微細化すると比表面積が急激に増大して、不溶不融の化学構造を有する全芳香族ポリイミドでも良好な成形加工性を示すと考えられる。さらに微粒子表面に官能基を付与すると高機能化し、用途が拡大する。本研究では、100nm以下のサイズの全芳香族ナノポリイミド微粒子製造技術と官能基の導入方法の確立を図るとともに、微粒子の物性、成形加工性および官能基の反応性の評価を行う。
878 微小結晶用磁場中誘電率測定装置の開発 西原 禎文 大阪府立大学 竹崎 寿夫 大阪府立大学 近年、次世代デバイスへの展開から強磁性・強誘電性・強弾性などの複数の強的性質を併せもつ物質(マルチフェロッイック物質)に注目が集まり,無機物質を中心に盛んに研究されている。現在、これら物質の物性調査には主に市販の「磁場中誘電率測定装置」が用いられているが、これは非常に高価であり、また、堅強な試料のみを対象としている。そのため市販の装置を用いて「小さい」「脆い」「難固性」などの性質を有する試料(有機結晶・微小結晶・粉末)の「磁場中誘電率測定」は困難である。従って、現在これら試料の測定を行うためには、高度な技術と特殊な装置を有する国内外の限られた施設に頼らざるを得ない状況にある。そこで,本研究では有機結晶・微小結晶・粉末を含む多彩な試料を対象とした安価・簡易・高精度の「磁場中誘電率測定装置」の実現を目指す。
886 青色発光高分子ポリフオレンの光酸化白色発光領域を用いた潜像形成 内藤 裕義 大阪府立大学 阿部 敏郎 大阪府立大学 有機高分子青色発光ダイオードに用いられるポリフルオレンあるいはその共重合体は、電流駆動や紫外光照射により550 nm付近に発光ピークを有する発光帯(G Bandと呼ぶ)が現れ、発光色が青色から白色に変化する。本研究では、紫外光露光により発光が白色化した劣化部位と未露光の青色発光部位とを用いた潜像(現像などの操作を施さないと目には見えない像のこと)形成技術を確立し、情報の秘匿や製品の真贋判定を可能にする。ここでは、ポリフルオレン薄膜に二次元バーコードを記録し(記録したコードは潜像である)、ブラックライト照明下でコードを読み出すという原理を用いる。
895 核酸性分子認識素子による疾病関連タンパク質高感度検出システムの開発 丸山 達生 神戸大学 中井 哲男 神戸大学 本研究では、抗体タンパク質と同等の分子認識能を有し、かつ塩基配列により様々な分子を認識可能な核酸を分子認識素子として用い、抗体タンパク質に依存しない新しい高感度分析方法の開発を目的とする。具体的には、この核酸性分子認識素子が分析対象分子を捕捉する現象を、核酸性分子認識素子に独自に開発した方法で化学的に複合化させた酵素により読み出し、検出感度の高感度化を図る。
897 ペプチドメタボロミクスによる大腸がんバイオマーカーの確立とその臨床応用 吉田 優 神戸大学 榑林 陽一 神戸大学 病態時の細胞では、疾患関連タンパク質の細胞外への分泌、あるいはプロテアーゼによる分解により代謝・分解された新たなペプチド産物が生成される。しかし、そのペプチド産物を網羅的、かつ包括的に解析した研究は十分に成果を達成していない。今回我々は高感度液体クロマトグラフィーと質量分析計とを組み合わせた複合解析システムを用いて、大腸がん特異的ペプチド性代謝産物を同定することで、新たな大腸がん特異的バイオマーカーを見出し、さらにその臨床応用を目指す。
914 フェノール樹脂を活用したソフトナノマテリアルの開発 鷲家 洋彦 兵庫県立工業技術センター 富田 友樹 兵庫県立工業技術センター 工業用ゴム材料に求められる機能は年々高くなる一方、新たな種類のゴムは出現していない。 これまでの研究から、ニトリルゴム(NBR)に対してフェノール樹脂を相溶化させることで引張強さおよび耐オゾン性等が飛躍的に向上することを明らかにした。本研究では、フェノール樹脂の相溶化技術を天然ゴム、ウレタンゴム等へ展開し、得られたゴムの組成と物性との関係を検討し、フェノール樹脂の特徴を取り入れた新規なソフトナノマテリアルを開発することを目的とする。
920 電気化学SNPタイピング法の開発 山名 一成 兵庫県立大学 八束 充保 兵庫県立大学 DNA 一塩基変異(SNP)の検出は、テーラーメイド医療における基本技術としてきわめて重要である。電気化学的SNP 検出法は、簡便で安価な実用的手法になりうるので、国内外で活発な研究開発が行われている。われわれは、電気化学SNP 検出のためのレドックスレポーターとしてアントラキノン(AQ)に着目し、AQ 修飾DNA を金電極上に固定化したDNA チップを作成した。これらのレドックス修飾DNAチップを用いて、1)ハイブリダイゼーション法と2)DNA鎖交換法を基盤とした電気化学SNP 検出の基礎技術を開発してきた。ここでは、PCR 増幅したDNAを検出対象にした試験研究を中心に行い、これらSNPセンサーの実用性を確認する。
922 カーボンナノチューブから作製したバルク材料によるガスセンサーの開発 中川 究也 兵庫県立大学 松井 康明 兵庫県立大学 カーボンナノチューブを原料としたスポンジ状のバルク材料を作製し、環境汚染ガスを選択的に検知するガスセンサーとして応用する技術を開発する。カーボンナノチューブを多孔性のスポンジ状バルク材料とすることで、ハンドリングを容易にし、加工性を高め、カーボンナノチューブ特有の機能性に加えて新たな特性の付与が可能となる。作製手法は代表研究者が凍結乾燥技術を援用した方法をすでに提案している。作製したバルク材料を環境汚染ガスセンサーとして実用化するために、どのような機能の付与が必要かを検討する。
927 ポリオレフィン系樹脂組成物の耐熱性向上 植村 哲 奈良県工業技術センター 高橋 晴雄 奈良県中小企業支援センター 高温殺菌可能な食品用容器のキャップ等に利用できるように、ポリオレフィン系樹脂の耐熱性向上の検討を行う。 耐熱性は、樹脂そのものの影響が大きいため、極性基を含む異種樹脂、弾性率の温度変化が少ない熱可塑性エラストマーとのブレンド、ポリマーアロイ、極性基のグラフト、樹脂の改質と層状珪酸酸塩に代表されるナノフィラーとの複合化等の検討をおこなう。混練・分散方法の検討を併せて進める事で耐熱性の向上を図る。
930 妊娠・授乳期の健康管理ポータブルデバイスの開発 芝崎 学 奈良女子大学 藤野 千代 奈良女子大学 現在の妊娠高血圧症には含まれていないが、むくみは妊娠期の健康管理の目安である。また、妊娠期から授乳期において骨密度が大きく変化することが考えられる。これらの2つを簡易に測定でき、利用者が自身の身体変化が容易に理解できる表示機能を有した健康管理デバイスの開発を目的とし、本研究では生体電気インピーダンス法を用いた体液バランス測定の応用と、骨伝導から骨の健康状態を推測できるポータブルデバイスを開発する。
932 滴定X線溶液散乱測定法による蛋白質-蛋白質相互作用解析法の開発 上久保 裕生 奈良先端科学技術大学院大学 戸所 義博 奈良先端科学技術大学院大学 マクロで見る生命活動は、多種多様な蛋白質群が織り成す集団的な振る舞いによって実現されている。従って、生命活動を理解し、その系を自在に制御するためには、構成要素である個々の蛋白質の相互依存関係を分子論的に明らかにしていくことが本質的であるといえる。現在、主に、バイオインフォマティクス分野で、要素間の相互依存性のデータベース化が進みつつある。しかしながら、現状では、あくまでも要素間のネットワークに特化した情報抽出にとどまっており、これらの事象を分子論的に解釈する基盤は整っていない。構造ゲノムプロジェクトの例を引くまでもなく、蛋白質が関与する現象を理解する上で、構造情報は必須であり、蛋白質群の離合集散過程を構造学的に解析していくことが必要不可欠といえる。そこで、本申請では、生理活性を司る蛋白質群が織り成す相互依存関係を構造学的に解析する手法を確立し、その応用を可能とする基盤を整備していくことを目的とする。
945 低消費電力素子用の高性能n型有機薄膜トランジスタ 田中 一郎 和歌山大学 稲木 良昭 和歌山大学 有機薄膜トランジスタ(TFT)は、軽量、フレキシブル、低コストなどの特徴を生かし、ディスプレイや電子ペーパーなどへの応用が期待されているが、今までに研究されている有機TFTはp型がほとんどで、消費電力が少ない相補型の素子構成に必要なn型の高性能TFTを作製した例は少ない。われわれは、結晶性制御層を用いてベンゾジチオフェンダイマー薄膜の結晶性を向上させ、高性能なp型有機TFTを実現した。本研究では、同様の手法を用いて、高性能n型有機TFTを開発する。
974 高効率バイオセパレーションツールとしての微粒子の表面空間設計 小野 努 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 タンパク質などの分離精製コストは非常に高く、穏和な条件下において高効率で分離が可能なバイオセパレーションツールが強く求められている。クロマトグラフィーが微粒子固体表面への吸着現象を利用しているのに対して、本手法では微粒子表面に水溶性高分子鎖をグラフトして溶離液層と水性二相系を構築し、微粒子表面を「面」としてではなく分離のための「空間」として利用した新規の分配型クロマトグラフィーの開発を目指す。
1008 歯科インプラント治療のためのγGTPを用いた診断システムの構築と新規治療法の開発 宮内 睦美 広島大学 前田 裕司 広島大学 歯牙喪失による口腔機能の回復手段としてインプラントの需要は爆発的に増加している。インプラントの長期安定性には、インプラント周囲炎の病状(疾患活動性)を正確に把握し、早期治療を行う事が重要となるが、疾患活動性を正確に表す指標はない。 我々はγGTPの歯肉溝での上昇が歯槽骨破壊の進行と相関する事を明らかとした。本研究では、疾患活動度把握のための検査法としてγGTPを用いた診断システムを構築するとともにγGTPを標的とした治療の確立を目的とする。
1010 温度変化で簡便に再生が可能な新しい複合化イオン吸着微粒子の開発 後藤 健彦 広島大学 榧木 高男 広島大学 工業廃水や地下水へのフッ素やリン酸等の陰イオン溶出が問題となっている。従来、これら有害陰イオンの主な除去方法はイオン交換樹脂による吸着除去であるが、吸着後の樹脂の再生処理に高濃度のアルカリ溶液が必要であり、それが新たな廃棄物となるなどの課題がある。これらの課題を解決するために感温性高分子および陽イオン基を持つ高分子を磁性粒子と複合化し、磁石を用いた回収と温度変化による再生が可能な微粒子型吸着材を開発する。
1049 電位制御可能なナノ層間化合物による着色廃水の新規処理技術の開発 中山 雅晴 山口大学 森 健太郎 山口大学 電気化学法を使ってマンガン酸化物ナノシートを導電性基板上に形成・積層させ、着色廃水の新規処理材として実用化を目ざす。具体的には、@処理材(マンガン酸化物)の作製と特性評価、A処理能力(容量・速度)の見積もり、B吸着・分解挙動の電位依存性の検討を行う。さらに廃水中に存在すると予想される夾雑物質の影響を調べ、対象物質のサイズ、電荷、分子間相互作用に基づく選択性を評価する。
1067 バルク状セルロースナノ繊維強化バイオマス複合材料の新規開発 高木 均 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 本研究では微生物が生産する高強度セルロースナノ繊維に注目し、このナノ繊維でバイオマス由来樹脂を強化したナノ複合材料を開発する。そこで本研究では予め乾燥条件を調整してナノ繊維マットを作製し、これに植物由来樹脂を含浸させて高い繊維含有率を有するバルク状複合材料を試作する。併せてさらなる強度の改善を目指して、セルロースナノ繊維の表面処理を行い、複合材料強度に及ぼす表面処理の影響についても調査を実施する。
1068 南海地震に対する地方都市耐震化へ向けた広域地盤構造推定システムの開発 三神 厚 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 南海地震の近い将来における来襲が確実視される中,大都市においては多額の費用を投じて地盤構造を調査し,構造物の地震時挙動に与える影響を検討している.地方都市においても,多少精度は落ちても何らかの調査を行い,適切な対策を講じなければならない.このような実態に即して,本研究では,(1) 地表の単点の常時微動記録を利用して地盤構造の概略を推定するシステムを構築する.観測された微動のH/Vスペクトルに理論曲線をフィッティングさせる従来の方法に,新たに本研究で求める「経験則」を最適化問題の制約条件として加えることでシステムを安定化させ,(2)微動観測,解析,結果表示を一体型にするためのプロトタイプを示す.
1077 siRNA-コラーゲン誘導体複合体を用いたRNA干渉法による眼治療法の開発 大内 淑代 徳島大学 平岡 功 徳島大学 高齢化社会になるに従い、生活習慣性の慢性疾患が増える傾向にあり、その治療は高齢者の生活の質や高齢化社会の医療費増大を鑑みると非常に重要な課題である。本応募課題では、糖尿病性網膜症や黄斑変性症などの治療を念頭に、我が国で開発されたアテロコラーゲンを二本鎖RNAのデリバリー系のリード化合物として利用し、その作用機序を明らかにするとともに、網膜細胞等に最適なコラーゲン誘導体を開発することを目的とする。
1086 メモリー機能を示す新規インテリジェントポリマー材料の創成 平野 朋広 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 これまでに、アルコールなどの添加剤存在下、低温でアクリルアミド誘導体のラジカル重合を行うと、イソタクチックからシンジオタクチックまでの幅広い立体構造を有するポリマーの合成に成功した。本課題では、N-アルキルアクリルアミド類の低温光ラジカル共重合を行い、新規感熱応答性ポリマーを合成する。複雑なモノマーを設計することなく立体規則性および共重合モノマー連鎖分布を制御するだけで、昇温時および降温時の相転移温度の差が非常に大きなポリマーを合成し、メモリー機能を有する新規インテリジェントポリマー材料としての開発を目的とする。
1147 超臨界二酸化炭素を利用した省力型害虫・鳥獣類防除剤の開発 堤 主計 新居浜工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 本研究は徐放速度が一定で、且つ、有効期間の長い害虫・鳥獣類防除剤を開発することを目的としている。徐放性を一定に保てる基盤材としてバイオマス系の生分解性ポリマーを用い、防除薬剤には天然由来の精油を用いる。天然由来の有用な精油は高揮発性であるため、従来の方法ではポリマー中に含浸させることは困難であったが、超臨界二酸化炭素を媒体に用いることにより、これまでにない害虫・鳥獣類防除剤の開発を試みる。
1178 白血病細胞増殖機構の網羅的解析・治療戦略決定への応用 池添 隆之 高知大学 石塚 悟史 高知大学 急性白血病は人口10万人あたり毎年約5-6人が発症する。既存の抗癌剤治療ではその生存率は40%以下の不治の病であり新規治療法の確立が急務とされる。急性白血病は個々の症例で細胞増殖を司っている細胞内シグナル伝達機構の活性化状況は多様性に富んでいる。これらシグナル活性化状況で予後を予測し患者を層別化して治療法を選択するシステムの構築を目指す。また、白血病細胞で特異的に活性化しているシグナルを標的とした新規治療法の確立のための基礎研究を開始する。
1184 加工性に優れた安全かつ高機能なハイブリッド材料の開発と応用 米村 俊昭 高知大学 島崎 たどる 高知大学 これまでの材料開発では、複数の機能を持たせるためには多様な物質を開発、利用する必要があり、さらに加工法や耐久性に制限があることも製品開発の大きな課題となってきた。我々の開発した銀含有ハイブリッド化合物は、長寿命かつ加工性に優れ、微量で効果を発揮し、複数の機能を兼ね備えている。本研究では、加工後の溶出量が少ないハイブリッド化合物の長所を活かして、人に直接接触する場での使用を念頭においた安全性の高い多機能材料の開発について検討する。
1195 高い水素ガスバリア性を有する新しい無機化合物複合化CFRPの開発 米本 浩一 九州工業大学 田中 洋征 九州工業大学 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)に柔軟な層状の結晶構造を持つ珪酸塩等の 粘土鉱物を一方向に高配向した層を形成させ,従来の金属や有機高分子材料等の ライナーを利用したものよりも遥かに高い水素ガスバリア性能を実現し,航空宇 宙機や自動車等への利用を目的とした軽量で実用的な液体あるいは水素ガスを貯 蔵する複合材タンク開発に向け,設計データを得るための機械材料特性試験を実 施する.
1242 アオサ・ポリ乳酸系グリーンコンポジットの開発 吉村 利夫 福岡女子大学 冨田 和弘 科学技術振興機構 ポリ乳酸は植物由来のプラスチックとして有名であるが、土壌中の生分解速度が遅く、用途によっては改善の必要がある。本研究では、現在生態系に悪影響を及ぼし、かつ廃棄物としての処理問題を抱えているアオサを用い、ポリ乳酸との複合体化並びに添加剤等の検討によって、良好な生分解速度を有し、農業分野等への利用を目的とした新規グリーンコンポジット(生分解性複合材料)を開発し、同時に廃棄物として問題となっているアオサの有効活用方法を提示するものである。
1259 耐熱性フレキシブル基板の開発と色素増感型太陽電池への応用 古川 信之 佐世保工業高等専門学校 高橋 栄功 長崎県産業振興財団 環状構造を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物を一部原料として用いた無色透明性ポリイミド共重合体、およびハイブリッド化によるコンポジットの高性能無色透明性基板を開発し、透明電極を付加したその基板上へとゾル−ゲル法酸化チタン、高分子系電解質で構成されるフレキシブル色素増感太陽電池を開発し、その実用性を検証する。
1273 ポリ酸塩−共役ロタキサン複合体を用いた光電変換材料の開発 村上 裕人 長崎大学 森 紅美子 長崎大学 電子供与体であるシクロデキストリン(CyD)包接フェニレンビニレン(PV)(ロタキサン構造を持つ)と電子受容体であるポリ酸塩(金属酸化物のクラスター)からなる複合体を構築し、その光誘起電子移動反応および電荷分離状態の詳細を明らかにし、ロタキサン特有のユニークな性質を組み込んだ有機・無機複合体から構築される本系を用いた高効率な光電変換材料(太陽電池など)の開発を目指す。
1281 高湿度対応型酸素ガスバリアフィルムの作製 佐藤 崇雄 熊本県産業技術センター 水野 優子 熊本大学 食品などの包装用フィルムは,内容物の酸化,湿気防止機能が必要であり,その指標として酸素ガスバリア性が重要となる。酸素ガスバリア性は,一般に高湿度環境下において劇的に減少するため,高湿度環境に対応した酸素ガスバリアフィルムの作製は必要不可欠である。そこで,本試験ではさきに開発した強固な会合力をもつオリゴ糖ポリマーからなるフィルムの結晶性を制御し高湿度対応型酸素ガスバリアフィルムの作製を検討する。
1287 自動車触媒の貴金属使用量削減を目指したアークプラズマ乾式触媒調製法の開拓 町田 正人 熊本大学 水野 優子 熊本大学 アークプラズマ放電(APG)を利用して、PtおよびPd地金から多孔性酸化物担体上にナノ粒子を直接析出させる新規な自動車触媒調製法を確立する。APG法特有の超高分散性および強固な貴金属−担体相互作用を利用して、優れた触媒活性と耐熱耐久性とを併せ持つ担持貴金属触媒を創生する。本技術を駆使して、世界中で待望されている自動車触媒における貴金属使用量の50%以上の削減を実現し、次世代型触媒調製技術としての実用化を目指す。
1314 脳微小血管を標的としたアルツハイマー病の治療薬の開発 小林 英幸 産業医科大学 杉本 準 科学技術振興機構 従来神経細胞を標的としてきた薬物に対して、微小血管のP糖蛋白質の機能に着目して、脳微小血管を標的とした新たなアルツハイマー病の治療薬を開発する。具体的には、@脳微小血管に作用し、脳から血液へのβアミロイド(Aβ)の排出能を高める生理活性ペプチドと、AAβによる脳微小血管の細胞障害を抑制するアドレノメデュリン(AM)の作用機構を明らかにする。
1315 アポミクシスを用いた自家不和合性系統のコンスタント的育成 陳 蘭 庄 南九州大学 杉本 準 科学技術振興機構 アポミクシスは母親の遺伝子型だけが種子を経由して子供に伝わる生殖様式である。この形質を利用すれば、一代雑種の固定や、育種年限の短縮、栄養繁殖性植物の種子繁殖性植物に変換可能になるなど、「緑の革命」以上の経済効果が期待されている。本課題では、育種、特にイネ科育種において突然変異によって得られている重要な育種材料の自家不和合性個体を人工的に得、かつ組換え植物の再生率を向上させることを目標とする。
1326 変性しない産業用酵素の創製法 徳永 正雄 鹿児島大学 中武 貞文 鹿児島大学 酵素の様々な方面での利用において、その高安定性が最も重要な特性である。「好塩性細菌」が生産する「好塩性酵素」は、何らかの原因で変性して活性を失っても、その要因が取り除かれれば、ただちに構造と活性を回復する「タフな酵素」である。代表研究者が見出した本成果をもとに、本課題では、理想的な産業用酵素を創製することを目的とする。
1327 環境調和を指向したカプセル化フェロモン製剤の開発 幡手 泰雄 鹿児島大学 中武 貞文 鹿児島大学 農作物の害虫防除の現場では、次々に殺虫剤に抵抗性を獲得する害虫の難防除化の懸念から、化学殺虫剤以外の防除手段の実現を求める声が多くなっている。本研究では、農作物の害虫の総合防除法の一つの手段として、昆虫フェロモンを内包するマイクロカプセル化農薬製剤の調製技術の確立と実証評価を行う。マイクロカプセル化によって昆虫フェロモンの微粒化および徐放制御等の新たな機能を保持することが可能となる。
3(B) バイオエタノールからの有用石油関連物質生産プロセスのための減圧浸透気化高速脱水用ハニカム状ゼオライトナノ結晶積層膜の開発 増田 隆夫 北海道大学 奈良林 直 北海道大学 バイオエタノールから石油化学有用物質を合成するプロセスの最重要の要素技術は,バイオエタノールの高度脱水用のコンパクトかつ高透過膜の技術である。ゼオライトナノ結晶積層脱水膜の現有技術をハニカムフィルター状ゼオライトナノ結晶積層膜の開発に展開する。合成した膜の耐サーマルショックの評価と,バイオエタノールの高速脱水を実施して,操作条件の最適化とプロセスシミュレーターを活用した経済評価を実施する。
13(B) ナノ金属粒子を用いた機能性繊維の開発とその応用 近藤 康人 群馬県繊維工業試験場 上石 洋一 群馬県 本研究では、高い消臭効果及び抗菌効果が認められたナノ金属触媒におけるアレルゲンの分解・除去を試みる。同時に、種々のナノ金属触媒を綿の下着やワイシャツなどへ実際に担持させ、消臭、抗菌効果及びアレルゲン分解性を評価する。さらに、これまでに開発してきた各種ナノ金属触媒の天然繊維への担持技術により、家庭での洗濯時に簡単にこれら触媒を既存の繊維製品に担持させる方法の確立を試みる。
37(B) 多孔質アノード酸化膜を利用した脱臭触媒材の開発 藤野 隆由 近畿大学 松本 守 近畿大学 19年度の研究成果では、触媒材を約15 nmの多孔質孔中に固定化することで、紫外光照射下に高い光触媒能を有する皮膜の作製に成功し、強い脱臭作用を発現することが分かった。20年度は、この脱臭触媒能をより一層向上させるために、表面積の増加と可視光応答化を目指す。表面積については、特開2007-204831の膜厚制御を応用することで解決できたが、新たに、孔径制御と可視光応答化に向けて、酸化チタンへのドーピングによる高活性脱臭触媒材の開発を目指す。
39(B) 伝統織物手法を用いたウェアラブル回路構成法の検討 黒田 知宏 大阪大学 河島 俊一郎 科学技術振興機構 近年様々なウェアラブル情報システムの提案・構築が行われているが、機器間の配線や無線通信用電源装置の重量などのために必ずしも容易に装用できるようにはなっていない。ウェアラブル機器実用化のためには、布上に実現された電気配線上に個別機器を設置することで、衣類と一体化した機器とする必要がある。本研究では導電性・非導電性の繊維と伝統織物の技法を適用して布自身に自由に回路を織り込める技術の確立を目指す。
45(B) 汎用性と環境調和性に優れた次世代型光学分割剤の最適化 依馬 正 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 汎用性と環境調和性に優れた次世代型光学分割カラムの開発を目指す。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の展開溶媒として超臨界または亜臨界二酸化炭素を用いることができるカラムをすでに試作済みである。今回、置換基やリンカーの種類を変えて大環状化合物の構造を最適化するとともに、合成法の改良とスケールアップ試験を行う。実施例を追加し特許の強化も行う。

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 表面加工、成膜:27件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
16 ワイドギャップ酸化物半導体薄膜作製技術の開発と応用 植杉 克弘 室蘭工業大学 加賀 壽 室蘭工業大学 ワイドギャップ半導体は、シリコンに比べて低損失、耐電圧、高温動作に優れたデバイスを実現できる材料として期待されている。本研究では、窒化ガリウム上に格子不整合が小さく、ワイドギャップの酸化物半導体薄膜を作製する技術の開発を進め、酸化物/窒化物半導体ヘテロ構造を用いたパワーデバイスの開発を目的とする。
55 世界初の歯根面バイオコ−ティングを活用した汚染抜去歯再植の実用化研究 村田 勝 北海道医療大学 蛸島 武広 北海道医療大学 保存不可能で抜去した歯を除菌後特殊コーティングにより、骨親和性の優れた非吸収性歯根に表面構造を改質して再度骨の中に埋めて骨結合を獲得し、噛み合わせを再構成する世界初の普及型医療技術を開発することである。
92 光触媒抗菌機能を有する有機樹脂基材の開発 齋藤 隆之 北海道立工業試験場 吉田 光則 北海道大学 光触媒は適切な方法・環境で利用すれば、抗菌機能を含む様々な機能が発揮される。本研究グループでは有機樹脂への光触媒抗菌機能の付与方法を検討し、基材の耐久性を保持しつつ抗菌機能を有する試作基材を開発した。しかし抗菌性能を十分発揮させるための、基材製造条件と微視的要因についてはまだ未解明な点が残っている。本研究ではさらに実用化に向けて、これらについて明らかにし、低コストでかつ実用的な抗菌性能と耐久性を有する基材の開発を目指す。
102 流動抵抗低減表面改質への撥水性溶射皮膜の応用 進藤 覚弥 北見工業技術センター運営協会 二俣 正美 北見工業大学 流体と固体界面に生じる流動抵抗(流体摩擦抵抗)は、船舶や航空機等の推進に際し多大なエネルギー損失を伴う。流動抵抗の低減方法として最近、船体への撥水性塗料の塗布、航空機翼へのリブレット(微細溝)の形成が検討されている。本研究は、接触角θ=140°以上の撥水性と表面粗さRa=10μm前後の微細凹凸を有する溶射皮膜に関し、水及び塩水に対する乱流・層流域での流動抵抗低減効果と耐久性を明らかにし、水中機器・船舶等へ応用する際に必要な基礎データを蓄積する。
140 結合分子接着剤を基点とするグラフト重合技術による材料表面の親水化 森 邦夫 岩手大学 小川 薫 岩手大学 機能性トリアジンチオール誘導体は接着性付与及び触媒吸着など、固体表面に種々の機能を付与する。本研究ではこの原理を活用して、重合性末端基をSUS表面に導入し、親水性モノマーを重合して親水性の低接触抵抗材料、特に医療機器であるカテーテルの表面処理に使用可能かどうかを研究する。
150 微細加工金型表面の撥水撥油機能付与離型処理技術の開発 平原 英俊 岩手大学 中戸川 明広 岩手大学 情報光通信などに利用されるプラスチック光学素子を成形するための金型は高精度化が進んでいる。しかしながら、金型の汚染劣化による製品の外観寸法不良が発生する場合があり、離型剤フリーや金型洗浄の自動化、メンテナンスフリーが求められている。本研究の目的は金型からプラスチックの型離れ性をコントロールするトリアジンジチオール誘導体による金型の離型表面処理技術を確立し、金型汚染防止技術を開発するものである。
319 ナノインプリント用金型電鋳のための厚膜レジスト微細・長深度加工技術開発 西川 宏之 芝浦工業大学 石村 協二 芝浦工業大学 本研究は集束プロトン線描画によるナノインプリント用金型の電鋳母型の実用化への開発を目的としている。インプリント技術は量産効果と大幅なコスト低減が期待でき、IT、バイオ、環境、エネルギー等と波及効果は高い。その課題の一つは金型製作技術である。本研究課題は、従来技術に比べコスト面、加工性能面等で優れるサブミクロン径の集束プロトンビーム描画により、ナノインプリント用金型電鋳用の微細母型を作成し、電鋳により金型作製を行う。
342 両親媒性ブロック共重合体の表面濃縮を用いた機能性表面の構築 石曽根 隆 東京工業大学 林 ゆう子 東京工業大学 本課題では、少量の新規両親媒性ブロック共重合体を塗布することで、塗装皮膜や金属やセラミックス、半導体との接着界面、また医療材料の表面に、親水性と生体適合性を示す薄膜を自発的に形成する手法を開発する。本手法は、ブロック共重合体中の親水性セグメントが優先的にミクロ相分離、表面濃縮を起こすものであり、生体適合性を示す表面が得られることから、医療材料を始め様々な分野への展開、利用が期待される。
373 微粒子ショットピーニングを用いた、高密着性DLC被覆アルミニウム材料の開発 中村 紀夫 神奈川県産業技術センター 有澤 邦夫 よこはまティーエルオー株式会社 アルミニウム合金を用いた部品の軽量化が重要となっているが、鉄系材料に比べ耐摩耗性や強度が低いために、新たな表面処理が必須である。一方、耐摩耗性に優れるDLCコーティングはアルミには親和性が低く、十分な密着強度が得られていない。今回、微粒子ショットピーニング硬化層を形成したアルミニウム合金基材にDLCをコーティングした結果、密着強度が大幅に向上することを見出した。本研究を通じて実用化技術を確立する。
406 環境に優しい生分解性膜分離材料の高機能化 田中 孝明 新潟大学 中津 普門 新潟大学 ポリ乳酸などの生分解性プラスチックを用いた膜分離材料は使用後に目詰まりした膜をコンポスト(堆肥)化処理できるため、生産現場における廃棄物の削減が可能である。本研究課題では代表研究者が開発に取り組んでいるポリ乳酸膜や生分解性ポリマーブレンド膜などの生分解性プラスチック膜を高機能化することにより,その分離特性を高め、応用範囲を広げることを目的とする。
442 プラズマフォーカス装置による低コスト・高品質のDLCパルス製膜技術の開発 升方 勝己 富山大学 岩瀬 洋一 富山大学 ダイアモンド様炭素(DLC)は、高硬度・低摩擦等の特性からコーティング材として幅広い応用が期待される。本課題では、高品質DLC膜生成を目指し、プラズマフォーカス(PF)装置を用いたパルス製膜技術の開発を行う。PFは大電流ピンチプラズマ生成装置であり、プラズマから高エネルギー密度の電子及びイオンビームが生成される。我々は、ビーム照射により生成されるプラズマによる高速製膜とビーム照射による膜質改善、パルス加熱による熱処理効果が同時に期待出来る製膜技術を開発した。この製膜法についてDLC膜の物性評価、製膜条件の最適化を通じてその実用化を目指す。
457 高い展延性を有する金属蒸着フィルムの開発と応用 岩森 暁 金沢大学 分部 博 金沢大学 プラスチックフィルム上に単金属薄膜を蒸着形成した金属蒸着フィルムは、電子機器や食品包装などの分野で幅広く使用されているが、プラスチックと金属では物性が大きく異なることから、成形加工時、金属薄膜層の割れ(展延性)や剥離(密着性)などの問題があり、広範囲での使用が制限されている。本研究は、ポリエステルなどのプラスチックフィルム上に合金薄膜を真空蒸着やスパッタリングなどの物理気相蒸着法を用いて形成することにより、割れや剥離などが起こり難く成形加工性に優れ、種々の金属色を実現できる金属蒸着フィルムの開発を目指す。
602 大気圧メゾプラズマを用いた切削残油除去・接着力向上システムの開発 滝川 浩史 豊橋技術科学大学 村田 勝英 豊橋技術科学大学 自動車製造において機械切削後の部品を接着剤によって接合する工程の際、金属加工面に付着している切削油を溶媒で除去している。環境面から見て、廃液が生じる工程を撤廃したいという要求がある。そこで、本研究では、溶媒の代わりに、室温〜約1000度の熱と豊富な化学活性種を同時に発生できる大気圧メゾプラズマを用い、金属加工面から切削油を除去すると同時に、表面改質を行って接着力を向上させるシステムを構築する。
692 セラミックス被覆綱の高機能化のための成膜後基板焼入れ処理条件に関する検討 田邉 裕貴 滋賀県立大学 松居 祐一 滋賀県立大学 鋼基板に薄膜を成膜した後に基板の焼入れを行う成膜後基板焼入れ処理により、薄膜の密着強度や耐摩耗性が大幅に改善されることがわかってきた。これらの効果は、主に成膜後基板焼入れ処理時の加熱過程においてもたらされるが、温度や時間などの加熱条件と薄膜の各種機械的特性との関係は十分明らかではない。本研究では、これらの関係を明らかにし、適切な成膜後基板焼入れ処理の条件を提案することを目的とする。
755 制御された孔径を有する多孔質シリコンへの電解重合を用いた酵素の固定化 深見 一弘 京都大学 年光 昭夫 京都大学 多孔質シリコンはフッ酸溶液中でシリコンを陽極酸化することにより得られる。その孔径は数nmから数10 μmまで実験条件を変えることで容易に作製できる。また、シリコン自体が半導体であることから多孔質シリコンを電極としてそのまま用いることが出来る。本研究では、これらの特徴を利用し、制御された孔径を有する多孔質シリコンへ酵素の固定化を導電性高分子の電解重合を介して行い、酵素の高い活性を維持した表面への固定化を目指す。
771 光触媒活性・高防錆性を有する亜鉛めっき酸化処理の開発 中村 知彦 京都府中小企業技術センター 河島 俊一郎 科学技術振興機構 亜鉛めっきの後処理として陽極酸化を行い、めっき表面に光触媒機能を持つ酸化亜鉛層を生成させる。その際酸化亜鉛層による防錆効果の検証と改善、光照射による酸化亜鉛層の耐久性について検討するとともに、亜鉛めっき浴種による光触媒活性の最適化を行い防臭、空気浄化、抗菌、防汚等の環境浄化、セルフクリーニング機能などの快適化機能を有する建築部材、装飾材料への亜鉛めっきの展開を目指す。
783 高分子/薄膜マイクロカンチレバーの創製と界面密着強度評価方法の開発 田中 和人 同志社大学 平尾 正三 同志社大学 携帯電話の可動部などに用いられるフレキシブルプリント基板は、高分子材料上に銅薄膜を成膜して作製されているが、実用下では、曲げ荷重が負荷されることが多く、銅薄膜と高分子基板のはく離を抑制し、製品の信頼性を向上させることが重要である。ここでは、集束イオンビームを用いてマイクロカンチレバーを創製するとともに、ナノインデンターを用いた曲げ試験により,高分子/薄膜界面の密着強度を定量的に評価する手法を開発する。
884 小型・軽量・低温動作の固体酸化物型燃料電池セルの開発 津久井 茂樹 大阪府立大学 稲池 稔弘 大阪府立大学 固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、高効率で触媒が不要など次世代のエネルギー装置として有望であるが、高温作動のため高価な耐熱材料やセラミックスなどの耐熱・脆性材料を使用しなければならない。これを解決するために、(1)低温作動(500〜700℃)、(2)耐震支持体、(3)小型の燃料電池セルを開発する。
891 プロセス化学を指向する革新的C−アシル化反応の開発と医農薬合成への応用 田辺 陽 関西学院大学 山本 泰 関西学院大学 医農薬・生理活性物質・天然物の合成で最も汎用されるアシル化反応に関し,研究代表者は,新薬等の開発に寄与すべく,革新的アシル化反応を開発し社会へコミットしてきた.ここで, total cost-effective な「速かろう・安かろう・良かろう」を基本的なコンセプトとするアシル化,特に炭素のアシル化のさらなる充実を図るプロセス化学を目指す.そのため, @ カルボン酸・エステル・酸クロリド間における選択的・高速・経済的C−アシル化の開発,A不斉C−アシル化反応の開発と最短段階・最高通算収率の全合成への応用,B React-IR 装置を駆使する反応機構の解明,を行う.
970 炭素ナノクラスター薄膜を利用したナノバイオインターフェースの開発 高口 豊 岡山大学 村上 英夫 岡山大学 独自に開発した炭素ナノクラスター(カーボンナノチューブもしくはフラーレン)薄膜作製技術とデバイス作製技術を応用し、炭素ナノクラスター薄膜をバイオインターフェースへと展開する。細胞活動を電気信号に、また、電気信号を細胞活動へと相互変換可能なインターフェースを構築することで、生体内の活動をコントロールしたりモニターしたりできることが期待され、まったく新しいタイプの医療材料への応用が可能となることが期待される。
1006 極めて低い光反射率を有する表面の開発 加藤 昌彦 広島大学 榧木 高男 広島大学 昨年度,米国大学の研究チームにより,ダーヤモンドライクカーボンを表面に形成させることにより,反射率の低減が可能であることが実験的に示された.本課題では,レーザー技術等を使用することにより,表面に微細な凹凸を形成させ,ダイヤモンドライクカーボンを上回る極めて低い光反射率を有する表面の開発を目指す.
1087 鋼板表面への粉体付着防止のための表面処理技術の開発と応用 米倉 大介 徳島大学 平岡 功 徳島大学 本技術は機械的な表面処理のみによって鋼板への粉体の付着を大幅に抑制し、粉体による排出タンクなどの閉塞問題を解決できる技術である。特に従来使用されてきた異種材料の被覆や摩耗を伴う攪拌機を使用する場合と比較して、異物混入の可能性が極めて低いことが特徴である。本処理は一部の粉体に対して著しい効果が確認されている。本研究では、適用可能な粉体の範囲を拡大させるために、鋼板の表面処理状態と各種粉体に対する本技術の効果を明らかにし、各々の粉体の材料特性に適した表面処理の設計指針の提案を行うものである。
1135 高分子ビーズ集合体を鋳型とするハニカム状セラミック薄膜の作製 板垣 吉晃 愛媛大学 神野 俊一郎 愛媛大学 高分子ビーズ集合体薄膜を鋳型として用いる新たなガスセンサ電極の構造制御法の開発を行う。サイズ制御された高分子ビーズを孔形成材として用いることにより、メソ-マクロ孔が三次元的に配列したハニカム状多孔質電極を作製する。これにより高いガス拡散性と反応場を有する電極膜が形成でき、感度と応答性に優れたガスセンサの創出が期待できる。本研究では、ppb領域のVOC検出を目指し、電極構造の最適化とその制御法の開発を行う。
1142 銀と脆性材料のラッピングにおける低摩耗ラップ板の開発 藤本 隆士 弓削商船高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 銀とガラスのラッピングにおいて、ラップ液の性状によっては、ガラスが一方的に研磨され、銀が研磨されない特異な現象が発現する。この現象を用いれば、銀材料を元にしたラップ板によるガラス研磨において摩耗しにくいラップ板の開発が可能となる。そのため、本現象のメカニズムについて明らかにすることと、塑性変形し難いラップ板の開発の2つが重要な課題である。本課題では、塑性変形し難いラップ板の開発を中心とする。
1145 バイオフィルムを用いた海洋生物の付着防止技術の開発 早瀬 伸樹 新居浜工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 海洋に浸漬したフィルター上に形成するバイオフィルムやイルカの皮膚から分離した細菌が形成するバイオフィルムに、フジツボや珪藻の付着を防止する活性を有することをこれまでに明らかにしている。このバイオフィルムの海洋生物付着防止機構を解明し、本機能の海洋生物付着防止技術への応用展開を図る。
1224 ナノダイヤモンド/アモルファスカーボン複合膜の高温用ヒートシンクへの応用 堤井 君元 九州大学 出田 光太郎 九州大学 半導体素子とヒートシンク間の密着性と放熱性向上には、熱膨張係数が小さく、熱伝導率が高く、導電率を制御できるヒートシンク材料が望まれる。ナノダイヤモンド膜は、ダイヤモンドナノ粒子が非晶質炭素膜に分散した新しいナノ構造複合膜である。本研究においては、熱膨張係数と導電率を制御して作製した膜の熱伝導率を評価し、高温パワーデバイス用ヒートシンクを開発することを目的とする。
30(B) 超高耐久性導電DLCコーティングの開発 大竹 尚登 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 DLC膜は,機械・工具の表面処理皮膜として加速度的に応用展開しているが,現状ではフレッティング損傷により超耐摩耗材として用いることが出来ない。そこで本研究は,これまで醸成してきた「セグメント構造DLC膜」を発展させ,碁盤の目構造を有するDLC膜を形成した上で,@新成膜方法により溝深さを従来の5〜10倍とする A溝部に導電性粒子含有高分子を導入する BDLC自身を積層構造化させることにより,超高耐摩耗性を有するDLC膜を開発するものである。

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 紙、繊維:17件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
40 木質系廃棄バイオマスから環境調和型高吸水性材料への変換技術開発 甲野 裕之 苫小牧工業高等専門学校 東藤 勇 苫小牧工業高等専門学校 ビートファイバー、ポテトパルプ等に代表される木質系廃棄物を出発物質とし、廃棄物中に含まれるセルロースを低置換度でアセチル化、リン酸化等を施すことにより、環境調和型高吸水・保水性材料への変換を行う。出発物質、温度などの反応条件を比較検討し、生成物の特性を評価検討する。汎用アクリル酸系吸水ポリマーに匹敵する性能・低コスト化を実現すると同時に生分解性を活かした新しい応用分野を開拓する事が目標である。
488 ポリアリレートナノ繊維マットの量産化に向けた溶融静電紡糸法の開発 小形 信男 福井大学 吉田 芳元 福井大学 技術内容:高強度・高耐熱性・高耐薬品性を有する溶融液晶性高分子からナノ維マットを作製するレーザ溶融静電紡糸技術 目的:申請者が開発したレーザ溶融静電紡糸法を発展させ、ポリアリレートナノ繊維マットを連続量産化できる基本技術を開発すること
目標: ポリアリレートから大型リチウムイオン電池に使用できるナノ繊維マットを開発すること
517 織物外観予測のための輝度分布測定装置および評価法の開発 金井 博幸 信州大学 清水 信孟 長野県テクノ財団 熟練者が主観的に評価している織物の素材感や光沢について、客観的な評価を実現するための計測装置および手法の構築が目的である。本研究では、@3次元空間の任意の観察点において、織物表面の光反射特性を輝度分布として計測する装置の構築、A専門検査員による布の視覚的な風合い(主観評価)を客観化するために、輝度分布から有効な特徴量を抽出することの2点について検討する。
578 金属処理繊維を用いたシート状海水電池の開発 安田 篤司 愛知県産業技術研究所 齊藤 秀夫 愛知県産業技術研究所 表面を金属でコーティングした糸・織物を用い、救命胴衣・救命ボートの表面材として使用することができ、海水等で濡れた時に救難信号を発信するための電源として利用可能な起電力を有するウェアラブルなシート状の電池を開発する。具体的には、めっき糸等金属処理糸を用いたシートを作製し、シート単独あるいは積層するにより、塩分濃度(約3.5%)以下の水溶液に浸漬した状態で、遠隔通信が可能レベルの電力を1時間以上得ることができるシート状電池を開発する。
581 オゾンマイクロバブルによる綿繊維の新規漂白技術の開発 小林 孝行 愛知県産業技術研究所 齊藤 秀夫 愛知県産業技術研究所 綿の漂白は現在主に、過酸化水素あるいは塩素系薬剤を用いる方法で行われている。しかし、これらの処理は多くの薬剤を使用することや、高温での処理であることから、環境やエネルギーの面から問題となっている。今回、通常の気泡にはない物性を持つと言われているマイクロバブルと高い酸化力を有するオゾンガスを組み合わせることで、綿の効率的かつ環境低負荷型漂白技術の検討及び実用化を目指す。
582 不織布状活性炭への分解・除去機能付与技術に関する研究 島上 祐樹 愛知県産業技術研究所 齊藤 秀夫 愛知県産業技術研究所 通常の活性炭は物理吸着が中心であるため、有害物質の除去を目的とした分野では、環境の変化によって有害物質が再放出される問題がある。また、吸着が飽和するとそれ以上吸着することができないため、数ヶ月程度で交換する必要もある。
このような課題を解決するため、不織布状の活性炭に各種触媒を担持させて、吸着作用により捕捉した物質を触媒の作用で分解・除去できる素材を開発して、トルエンやアセトアルデヒドが効率的に除去できる触媒/活性炭フィルターへの展開を図る。
690 洋装用ブラックフォーマル素材としての浜ちりめんの開発 森下 あおい 滋賀県立大学 松居 祐一 滋賀県立大学 浜ちりめんの肌触りや光沢感は、衣料用素材としての安定性ある感性価値といえ、風合いに関する高い品質が求められる洋装の婦人用フォーマルウェア分野において極めて有用である。本課題では消費者の意識調査から導き出したニーズと、消費性能、デザイン性に関わる評価実験を行い、感性と物性の両データからブラックフォーマルウェアとして必要な素材の最適な設計条件を求め、消費者の感性欲求を満たす洋装用浜ちりめんの開発を目指す。
736 絹織物の高機能化を目的とした環境調和型防縮加工技術に関する研究 吉村 央 京都市産業技術研究所 笹田 滋 科学技術振興機構 和装品によく用いられる絹織物に、化学薬品を使用せずに防縮加工を施す技術の実用化を目指す。本処理は環境、作業者、消費者に優しく、かつ通常の染色加工に用いる既存設備が利用可能であり、導入時の設備コスト負担が少ないことを特徴とするものである。本課題では実用化に向け,既存装置に取り付け可能な処理用機器を開発するとともに、本処理による染色堅牢度、色相、諸物性等の防縮性以外の消費性能への影響についても検討する。
737 御召緯(おめしぬき)用撚糸機が小ロットで高速製造可能な新規撚糸機の開発 末沢 伸夫 京都市産業技術研究所 河島 俊一郎 科学技術振興機構 高級着尺地の御召に欠かせない強撚糸である御召緯(おめしぬき)を生産するため、小ロット高速連続生産に対応し、糊付けも同時に可能な小型多機能撚糸機を開発する。この撚糸機は、スピンドル回転及び巻取機構にモータを使用して簡便に任意のより数を設定でき、高品質な御召緯が糊付けを含めた一工程で生産でき、撚りの高速化と連続運転化による生産性の向上を図る。さらに、実用化に向けて御召用途に留まらず新たな商品展開も提案する。
769 セリシン定着加工生糸へのハイドラフト加工の応用 徳本 幸紘 京都府織物・機械金属振興センター 西村 敏弘 科学技術振興機構 平成19年度に開発した「伸長形態を保持した(以下、ハイドラフト)生糸」は剛い糸特性を持つ。この糸特性を更に特化させることを目的とし、シルク素材にシャリ感を与える技術として以前からあるセリシン定着加工をハイドラフト加工と融合する研究を行う。また、この加工生糸を用いてハリ・コシの風合い特性の新たなシルク織物素材の開発を行い、丹後産地オリジナルの製品開発を可能にしようとするものである。
796 ゼラチン繊維の新規架橋方法の開発及びバイオマテリアルへの応用 田村 裕 関西大学 柴山 耕三郎 関西大学 本研究はゼラチン繊維の耐水性をコントロールする技術を完成させ、これを不織布や組み紐などに成形加工してバイオマテリアルとしての性能評価を行い、当該分野における実用化を目指すものである。ゼラチンは生体内に入れた場合に抗原性が低く、加えて生体吸収性が格段に早いため安全性が高く生体吸収性材料として極めて優れた性質を有しているが繊維化された実例はない。申請者は環境負荷の低い製造方法を開発してゼラチンの繊維化に成功し、新規な架橋方法により不溶化を進めていく。
991 製紙用パルプ液の繊維分散プロモータの開発 角田 勝 近畿大学 繁村 龍彦 くれ産業振興センター 本研究では抄紙機ヘッドボックスをモデル化した流路中に円柱状の分散プロモータを設置して、高濃度パルプ液の繊維の分散を促進する効果について申請者が開発した濃度解析法を用いて評価するとともに、最適な分散プロモータを開発することを目的とする。さらに、これらの研究を通じて、脱水設備の小型化と省エネルギーを計るべく、次世代抄紙機に向けて分散プロモータの適用について提言する。
1110 イオン液体を利用したペーパー状触媒の開発 大橋 俊平 愛媛県産業技術研究所 森川 政昭 愛媛県産業技術研究所 近年、環境への関心が高まり、産業界でも環境負荷を考慮し、有害な薬品などの化合物をなるべく使用しない、または出さないように製品を作る考え方(グリーンケミストリー)が注目されている。本研究では、イオン液体を利用し、合成物質との分離・再利用が容易なペーパー状触媒を開発する。得られたペーパー状触媒は高選択性と利便性を併せ持つグリーンケミストリー対応型触媒として期待できる。
1111 染料の組み合わせによるタオルへの機能性付与 中村 健治 愛媛県産業技術研究所 橋 俊明 愛媛県産業技術研究所 染料を組み合わせて染色し、洗濯を繰り返すことにより、色が徐々に変化するタオルを開発する。タオルは洗濯を繰り返すと硬化し、肌触りが低下する。そこで、色の変化とタオルの硬さに相関を持たせ、交換時期が視覚で判断できるようにする。また、この方法で染めた糸でジャガード織りしたタオルは、洗濯の繰り返しで様々なデザイン図柄がタオル上に表れ、色柄の変化を楽しむことも出来る。
1157 高い柔軟性・吸収性と強度を併せ持つガラス強化マーセルパルプシートの開発 遠藤 恭範 高知県立紙産業技術センター 関 正純 高知県立紙産業技術センター 紙の原料であるパルプを水酸化ナトリウムで改質(マーセル化)することで、紙の基本性能である柔軟性、吸水性、保水性が向上するが、強度(耐久性)が低下するために製品化は困難で、この問題は紙産業界における大きな課題である。そこで本研究ではパルプのマーセル化とガラス生成による補強を安価な処理で同時に行うことで、高い柔軟性や吸水性、保水性を持ちながら必要十分な強度を併せ持つ高品質な紙シートを作成できる新たな抄紙法を開発する。
1158 抗菌・抗かび活性を発揮する衛生用シートの開発 滝口 宏人 高知県立紙産業技術センター 関 正純 高知県立紙産業技術センター 従来の抗菌シート、抗カビシートは、抗菌剤や抗カビ剤の特性上、シートへの加工時に本来の機能性が著しく低下するため持続効果が低く、また、一定の条件でなければ効果を発揮しないものが多い。さらに、抗菌、抗カビ機能を同時に発揮する製品は少ない。そこで、本研究では、多核金属錯体化合物を使用して、充分な抗菌・抗カビ活性を発揮し、低コストでかつ安全性の高い衛生用シートを作ることを目的とする。
1174 紙表面上で疎水性機能材料含有マイクロカプセルを直接合成する手法の開発 市浦 英明 高知大学 島崎 たどる 高知大学 機能材料と紙の複合化は、従来バインダーを用いた塗工法が使用されてきた。しかしながら、バインダーが機能材料の表面を被覆するため、機能材料の機能を十分に発揮できない。そこで、本研究では、機能材料を含有したマイクロカプセルを紙表面上で直接合成することを試み、疎水性機能材料と紙との新しい複合化法の開発を試みる。本技術により、紙と疎水性機能材料のバインダーレス複合化技術の確立が期待される。

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 農業:44件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
41 天然糖質による誘導抵抗性を利用したイネの病害防除技術の開発 今井 亮三 農業・食品産業技術総合研究機構 清水 條資 科学技術振興機構 本研究では、食品中にも含まれる天然糖質であるトレハロースによって誘導されるイネいもち病菌抵抗性に関して、トレハロース処理の諸条件と抵抗性獲得の関係を明らかにし、最大の抵抗性を誘導する処理条件を決定する。また、トレハロース誘導抵抗性のマーカー遺伝子を同定し、それらの発現を抵抗性の検定に利用する。本研究により、トレハロースを用いた画期的な安全性をもった防除技術の開発を目指す。
65 メタン発酵消化液を代替肥料とした稲作の実現 荒木 肇 北海道大学 清水 條資 科学技術振興機構 バイオガスプラントでメタンガスとともに産出される消化液はその量が多く、システム維持には消化液の利用体系確立が必須である。消化液の窒素成分の多くはアンモニア態で、稲はアンモニア態窒素を効率的に吸収する。本研究では消化液を元肥として稲作に導入し、水田や稲体の養分動態、稲生育や米の収量・品質を従来の化学肥料施用体系と比較して、消化液の代替肥料としての効果的な利用方法を提案する。
69 糸状菌由来生理活性物質によるバレショマイクロチューバー技術の弱点の補完とその応用 松浦 英幸 北海道大学 土方 健二 科学技術振興機構 バレイショの分裂組織を無菌的に増殖し、マイクロチューバーを作成、これを種芋として用いる技術が注目されている。収穫時期に制限が無い点、病原菌およびウィルスフリーの植物体が大量に得られる点、従来の種芋より小径で輸送コスト、播種時のエネルギーコストが低く、これらの点で大変有望な技術である。しかしながら、初期生育段階での乾燥、低温耐性の点で問題点を抱えている。本課題ではマイクロチューバー誘導期に糸状菌由来の生理活性物質を施し上記問題点の克服を目指す。
70 ハスカップ苦味成分ロガニンの解析と未利用資源「葉」の有効利用 星野 洋一郎 北海道大学 蛸島 武広 北海道医療大学 ハスカップの果実には苦味を呈するものがあり、利用上の問題となっている。苦味成分ロガニンはイリドイド配糖体であり、健胃、血圧降下、抗菌性などの効果をもつ生薬として利用されている。そこで、ロガニンの供給原料としてこれまで未利用の部位(葉)に着目し、ロガニン含量の高い系統の選抜、ロガニン含量の季節変動の解析を進める計画である。
116 青森ヒバ油を配合した新規塗布剤によるリンゴ腐らん病防除の開発 佐野 輝男 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 リンゴ腐らん病は、樹の衰弱・枯死をもたらす重要病害である。罹病部の削取り・農薬塗布や泥巻きなどにより一定の防除効果が得られているが、治療痕からの再発、削取りや泥巻き作業の煩雑さ、放任園増加等による新たな発生など、解決すべき課題は多い。本研究では、抗菌性天然化合物・青森ヒバ油と、地域の天然物資源であり、物質吸着性に優れたベントナイトを組み合わせて、環境調和型の新規リンゴ腐らん病防除資材の開発と有効活用方法を検討する。
119 低コストで簡便迅速な土壌微生物診断法の開発 青山 正和 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 農家サイドでは土壌の健全性の指標となる土壌微生物診断の要望が強いが、現在のところ農協等で導入可能な土壌微生物診断法は開発されていないため、要望に答えることは難しい。そこで、代表研究者が考案した小型ルミノメーターを用いたATP分析に基づく土壌微生物量の測定法にマイクロTGGE法による土壌微生物の多様性解析法を組み合わせ、農業現場に近い事業所でも導入可能な低コストで簡便迅速な土壌微生物診断法を開発しようとするものである。
131 リンドウにおける効率的な花色選定技術の開発 中塚 貴司 岩手生物工学研究センター 勝部 和則 岩手生物工学研究センター リンドウ主産地の岩手県では、需要拡大をねらった花色の多様化が望まれている。従来の自然突然変異を利用した育種では、花色変異が劣性形質であるため効率が悪く、優良品種を育成するために多大な労力と時間を要してきた。本研究では播種1年以上経ないと識別できない花色を、播種後3ヶ月の幼苗段階で白花、ピンク花および青花の識別を可能とする早期花色識別技術を開発する。優良花色個体の早期選抜のみならず、育種親の選定や選抜育種期間の短縮、苗供給時の品種管理への利用が期待される。
158 シイタケ種菌の遺伝的劣化を検出するDNAマーカーの開発 千葉 直樹 宮城県農業・園芸総合研究所 田中 良 宮城県農業・園芸総合研究所 シイタケ種菌は拡大培養により生産されるが、この過程で菌株に遺伝的劣化が生じる場合があり問題化している。本試験ではシイタケ種菌から遺伝的に劣化した種菌を選別する手段として、劣化種菌を検出するDNA マーカー技術を開発する。
212 きのこ廃菌床由来カブトムシ堆肥を用いた有機育苗培土の開発 森岡 幹夫 山形県農業総合研究センター 伊藤 正善 山形県産業技術振興機構 有機栽培を行う場合、JAS法に適合した育苗培土は高価で種類も少なく、生育が不安定で有機農産物の生産拡大のネックとなっている。そこで、地域未利用資源であるきのこ廃菌床由来の「カブトムシ堆肥」を原料とした有機育苗培土を作製した。この育苗培土には野菜苗の生育促進効果や土壌病害の抑制効果が確認されたが、これらの要因となる物質の特定には至っていない。そこで、カブトムシ堆肥に含まれる生育促進物質や抗菌物質を特定し、さらに効果を高めた有機育苗培土を開発する。本課題では、各資材中の化合物を網羅的に解析するメタボローム解析により、カブトムシ堆肥に含まれる有効成分を分析し解明する。
367 高度節水型地中灌水法の計測・制御システム開発 大幅 元吉 桐蔭横浜大学 寺内 隆道 桐蔭横浜大学 負圧差灌水法は、土壌の乾燥程度に応じた自然灌水ができ、排液を出さないなど、原理的に非常に優れる。しかし、逆流現象や気泡集積・閉塞現象などが未解決なため、利用されない。そこで、独自の植物吸水量計測・制御システムを開発し、灌水状況の診断に基づく新たな抑制法を確立する。また、計測データと篤農家の経験知を融合させ、栽培目標に最適な灌水エキスパートシステムを構築し、高度節水型灌水法の知能化を図る。
427 米品種純度検定用DNAマーカーの開発 田淵 宏朗 農業・食品産業技術総合研究機構 安藤 益夫 農業・食品産業技術総合研究機構 米の品種銘柄について、消費者の視点からの表示内容への信頼性確保、および、生産者の視点からのブランド力維持には、原原種等生産時の品種純度維持が必要である。しかし、都道府県ごとに生産される品種群は異なるため、それらに柔軟に対応可能な検査手法の確立が必要である。本課題では新潟県をモデルケースとして、作付面積95%以上を占める主要品種群について、効率的な純度検定が可能なDNAマーカーを開発する。
506 放線菌選抜株を用いた植物成長促進及び病害防除用微生物資材の開発 早川 正幸 山梨大学 菅原 幸雄 山梨大学 バラの生育促進及び病害防除に高い効力を発揮する放線菌を、和紙片に固定した資材を高効率で製造する方法を目的とする研究である。既存の肥料や微生物資材の植物に対する効果は成長促進が主体であるのに対し、本方式は病害防除活性も併せ持つ優位性がある。この資材を高効率で製造することに加え有効期限の延長を図るための技術を開発することである。
544 天敵糸状菌によるコナガの新規微生物農薬の開発 神谷 克巳 岐阜県生物工学研究所 前田 喜朗 科学技術振興機構 コナガは野菜作物の世界的な難防除害虫であるが、従来の化学農薬に対しては薬剤抵抗性が発達し、環境問題や農業生産の安全面から使用が制限されていることから、今後安心安全な農業生産を継続するには、宿主が抵抗性を獲得しにくく環境負荷の少ない効果的な生物防除資材(微生物農薬)の開発が必要不可欠であるが、未だ開発されていない。そこで、コナガの生物防除資材として最も有力な、天敵糸状菌(昆虫疫病菌)を利用した微生物農薬を開発するために、候補となる糸状菌の生物学的特性を明らかにする。
553 組織培養によるワサビ優良苗高速生産技術の開発 田中 逸夫 岐阜大学 武藤 高義 岐阜県研究開発財団 本研究は以下の三つのプロセス・内容から構成されている。 @ 生育速度および根茎の品質・形状に優れた株を選抜し、その茎頂や腋芽・不定芽を組織培養する。従来法では培養速度が遅いため、特に高速生産と効率的な培養技術を確立する。 A 培養後のワサビ幼植物体順化過程で重要となる光強度・日長・気温・湿度などの環境条件を明らかにする。 B 順化が終わった苗を閉鎖型人工環境下で大量・高速に無菌条件下で育苗する。このプロセスでは、育苗時の環境条件および効率的な育苗装置と栽培方法を解明し、実用化技術を開発する。
566 アブシジン酸代謝不活性化阻害剤による植物ストレス耐性付与技術の開発 轟 泰司 静岡大学 杉山 登英 静岡大学 遺伝子組み換え技術とは異なる方法で植物のストレス耐性を強める物質(アブシジン酸代謝不活性酵素の阻害剤)を開発する研究である。既存のアゾール系阻害剤の欠点である副作用を大幅に軽減する新技術として新規性・優位性を有し、あらゆる植物種に対して利用の可能性を有する。
571 香る花創出用香気成分生合成前駆体の開発と応用 渡辺 修治 静岡大学 粟田 正志 静岡大学 水溶性香気前駆体を開発し香りのない切り花に吸収させることによって香気成分を発散させ香る花の創出を目指す研究である。遺伝子組換え技術や香気成分体の投与による香りの改変は未だ実現できていない。今までの研究により効果は既に実証されているので、今後、高効率に香気成分へと変換される前駆体の解明によって、より実用性の高い方法を見出そうとするものである。
640 遺伝子機能阻害による新規生物農薬の開発と応用 新美 輝幸 名古屋大学 久野 茂正 名古屋産業科学研究所 農作物の約3分の1を消失させる病害虫の防除に化学農薬が主に使用されてきたが、環境への負荷が大きいことから、天敵昆虫を利用した生物学的な害虫防除法が試みられている。本申請課題では、申請者が新規に開発したRNAi法を用いた翅形成阻害ナミテントウの作出法(特許出願済)に基づき、遺伝子機能阻害を行うことによって生物農薬として新規の有用形質を付与したナミテントウの開発と応用を目指す。
648 超高速パルスレーザ光による新規果実非破壊計測システムの開発 土川 覚 名古屋大学 久野 茂正 名古屋産業科学研究所 ナノ秒オーダーの超高速パルスレーザ光を物質に照射して、強度変化と光伝播の時間変化から微量な成分情報を検出する時間飛行近赤外分光法(TOF-NIRS)を導入し、これによってグレープフルーツ、メロン等の比較的直径が大きく果皮が厚い果実の糖度・酸度および熟度を正しく推定する新規果実非破壊計測システムを構築する。選果用ベルトコンベアを走行する果実の内部情報を0.2秒程度で検出することを目指す。
665 オゾン活用による次世代型の養液栽培管理技術の開発 黒田 克利 三重県工業研究所 増田 峰知 三重県科学技術振興センター 多様な養液栽培に応用可能となるオゾン養液生成装置による養液殺菌技術を開発した。実用化に当たり、本装置を組み込んだ養液栽培において、栽培作物の生育および養液の肥料組成への影響を明らかにし、施設内環境への影響を把握する。更に負の影響が出ない使用条件を明確にする。オゾン養液利用による優位性や安全性を評価し、生産性の安定、人と環境に優しい次世代型の養液栽培管理技術を構築する。
667 地産地消型エタノール生産システム構築に資する農作物糖化技術の開発 久松 眞 三重大学 岡谷 佳澄 三重大学 不要果実や規格外農産物などを利用し農家でも使用できる簡易的な地産地消型バイオエタノール生産システムの構築を目指す。モデル農作物から糖化液を作成し、半合成培地とブレンドして培養液を作成し、複合耐性酵母を用いてエタノール醗酵を行なう。高品質のものは食品に低品質のものはバイオ燃料に振り分けるシステムができると、農薬の適正使用や休耕地の利活用が活発となり、豊かな農業経営が育まれる。
697 新規HEFL照明を用いた付加価値の高い植物の作出 蔡 晃植 長浜バイオ大学 福崎 優太 長浜バイオ大学 我々は、エネルギー効率の非常に高いHEFL照明を開発し、これを用いた完全閉鎖型の植物工場でビタミンとミネラル含量が高く、無農薬で安全性の高い高機能性野菜を作出することに成功した。本研究では、本植物工場野菜の市場展開をめざし、HEFL照明を用いた植物工場でビタミンと鉄分や亜鉛などを多く含んだ市場価値の高いホウレンソウを作出すると共に、この適用範囲を薬用植物に広めることを目的とする。
721 ニホンミツバチ用分蜂群捕獲剤の開発 坂本 文夫 京都学園大学 谷 吉樹 京都学園大学 在来種のニホンミツバチは、耐寒性に優れ、病虫害に強いために飼育しやすく、独特の風味を持つその蜂蜜の愛好者は多い。しかし、セイヨウミツバチで実用化されている分蜂群捕獲剤や群の安定化剤が無いために、群の増殖には分蜂群を不確実な方法で巣箱に誘導する方法しかなく、逃亡する群に対しては回避する方法がない。これらの問題点を解決するために、ニホンミツバチ誘引物質を合成し、野外で使用できる製剤を開発するのが本研究の目的である。
773 最高品質遮光栽培茶を生み出す光環境の数値化 木村 泰子 京都府立茶業研究所 西村 敏弘 科学技術振興機構 京都府特産である遮光栽培茶(玉露・碾茶)は、その遮光資材により品質が大きく異なり、中でも茶の旨味成分であるテアニン濃度に違いがある。現在遮光資材の主流である「黒色化学繊維」により得られる茶のテアニン濃度は、伝統的な「本簀」(天然資材である葭簀、藁を用いた遮光方法)に及ばない。そこで「本簀」「黒色化学繊維」両遮光内の光環境とテアニン、カテキン等品質関連成分、その代謝・生合成との関連を明らかにし、テアニンが高濃度である遮光栽培茶を生み出す「本簀」の特性を明確にする。
898 多機能型高温耐性誘導剤の開発 山内 靖雄 神戸大学 柘原 岳人 神戸大学 植物を取り巻く環境は悪化の一途を辿っている。特に地球温暖化にともなう気温上昇と熱帯化は、光合成をはじめ植物の様々な機能に悪影響を及ぼし、生育の劣化をもたらしている。そのため、植物に高温耐性をもたらす施策の開発は喫緊の課題である。本研究では、遺伝子組換え技術によらない、植物内在性化学物質の簡便な処理によって植物の高温ストレス耐性能の向上をもたらし、活生育促進剤としての機能を持つ薬剤の開発を目的としている。
908 非破壊測定法を使用した有機肥料栽培野菜品質モニタシステムの開発 白石 斉聖 神戸大学 柘原 岳人 神戸大学 有機栽培野菜は安全・安心を期待されているが、栽培野菜の内部品質に関する報告は少ない。そこで野菜中硝酸イオンを指標として野菜品質モニタリングシステムを開発する。これまで簡便に短時間で硝酸イオン濃度を測定することは不可能であったが、代表研究者は近赤外線分光法を利用した新規非破壊型野菜内硝酸イオン濃度測定法を確立した。この測定手法を生産現場で使用可能とし、より安全・安心な有機肥料、有機栽培野菜を判別する手法の開発を行う。
950 植物ホルモンの代謝阻害機構に基づく園芸植物の新規生長促進方法の開発 板井 章浩 鳥取大学 山岸 大輔 鳥取大学 植物ホルモンの1つであるジベレリンは、ブドウやナシの果実肥大や野菜・花卉などの花成および生長制御に用いられている。本研究課題においては、ジベレリンとその代謝阻害剤をともに処理することにより、ジベレリンの効果を著しく向上させ、これまで効果の見られなかった園芸作物においても、生長促進方法を新規に開発することを目的とする。
995 イチゴ収穫の延長と前進化を図る栽培ベッド冷却技術の開発 伊藤 栄治 広島県立総合技術研究所 濱田 高義 くれ産業振興センター 申請者は、イチゴ栽培において可動式の栽培ベッドを立体配置し、従来の4倍の株数を導入できる『2段吊り上げシーソーシステム』を開発中である。本提案では、本システムの栽培技術である『イチゴ株据置栽培』において収穫期間を7月上旬まで延長し、『気化潜熱による培地冷却技術』を活用して花芽分化促進を図ることで、慣行より20日早い11月上旬から収穫を開始する技術を開発する。本技術開発後は、イチゴの周年収穫体系の確立に向け、技術展開を図る。
1012 OHラジカルの酸化力を利用した新規殺菌剤の開発−イチゴうどんこ病などへの適用 佐久川 弘 広島大学 秋田 直宏 広島大学 過酸化水素水に鉄を添加した光フェントン試薬は、数ppmの低濃度でも太陽光のもとでOHラジカルを持続的に生成する能力があり、有害有機物の排水処理等に近年用いられている。OHラジカルは活性酸素種の代表物質であり、病原菌防除に大きな効果が期待される。光フェントン試薬は、化学農薬に比べ安全性が高く、また太陽光や微生物により容易に分解されるので環境中での残留性が低いことが期待される。そこで,1)イチゴうどんこ病を対象に光フェントン試薬の処理条件、防除効果、効率的施用法等を検討し、2)トマトやキュウリなどの他作物への適用性を探り、3)作用機作の解明及び安全性や環境残留性を検討することで、特許取得および農薬としての実用化を図る。
1026 トウモロコシの高温ストレス耐性機構 藤田 耕之輔 広島大学 榧木 高男 広島大学 本研究は、トウモロコシの需要の高まりに対応するため、その生産力の向上を図るべく栽培様式および高収性品種の育種目標の確立を目指している。西南暖地では夏季の高温による子実収量の低減の解決が重要な課題である。そこで、申請者らは、@絹糸抽出前の穂軸形成期、A受精、B子実肥大初期などに対する高温(35℃)の影響について、生理生化学的手法による解明を図ると共に、ストレス耐性品種の具備すべく特性を解明する。
1034 人間工学に基づいて上肢挙上姿勢の頚肩腕部の筋負担を解消する補助器具の開発 宇土 博 広島文教女子大学 山崎 均 くれ産業振興センター ブドウやナシの栽培では、頭上約10cm の高さに、鋼線を格子状に張りめぐらせた平面的な棚を設置し、その棚に枝を誘引配置する。一方、果実は目の高さから頭の高さに位置する。枝梢や果実の管理収穫は、作業時間の7割を占める。これらの作業は、手を目の高さから頭上約10cmの高さに上げる上肢挙上姿勢で行うため、身体的負荷が非常に大きい。そこで、上肢挙上姿勢を補助し三角筋と僧帽筋に集中している筋負担を分散させて痛みや疲労を蓄積させない器具を開発する。
1037 モザイク病抵抗性ジネンジョ種苗の生産および品質保証技術の確立 伊藤 真一 山口大学 殿岡 裕樹 山口大学 国内で栽培されているヤマノイモ類のうち、ジネンジョは市場価値が最も高いとされているが、ウイルス(JYMV)感染に弱く、安定した収量を得るのが難しい。本研究では、弱毒化したJYMV(弱毒JYMV)をワクチンとして予めジネンジョに接種し、その干渉効果(弱毒JYMVが先に感染していると、同種の強毒ウイルスの感染が阻害される現象)によって、強毒JYMVが感染できないジネンジョ種苗を生産する技術の確立を目指す。また、ワクチン接種種苗から得られる担根体の品質を調査する。
1061 タデ藍の新品種早期作出のための葯培養技術の開発 村井 恒治 徳島県立農林水産総合技術支援センター 豊永 恭代 徳島県立農林水産総合技術支援センター 藍染め原料であるタデ藍は機械化が進まず、高齢化と共に栽培面積の減少が懸念されている。主要品種「小上粉」は収量が多く100年間変わらず栽培されているが、匍匐性で収穫に非常な労力を要する。一方、徳島農研の保存品種から、収穫機適性は高いが収量の劣る品種や今までにない多収の品種等を見いだした。また、収量が多く機械収穫適性の高い品種を作出するために人工交配で新系統を得た。そこで、優良な形質の系統を早期に固定するために、葯培養技術の開発を行う。これにより新品種の作出が早期に実現する。
1113 安価で省力的な軟弱野菜周年栽培システムの開発 安西 昭裕 愛媛県農林水産研究所 渡部 康男 愛媛県農林水産研究所 ‘エブ・アンド・フロー方式’は、給排水の精度が高く、病害の発生も抑制できるが、設備費等初期投資が高額で、小規模な生産者は導入が容易でない。そのため、葉菜類の生産事例はほとんどなく、試験研究事例も苗生産に留まる。そこで、当該方式と同等の性能があり、しかも自力施工が可能で安価である新規開発の簡易給排水システムを用いて、夏期や厳寒期に栽培が困難な数種の軟弱野菜について栽培技術を確立する。
1114 四倍体デルフィニウムの花持ち性の改善および花弁の汚れ防止技術の開発 岡本 充智 愛媛県農林水産研究所 栗坂 信之 愛媛県農林水産研究所 切り花として需要が期待できるデルフィニウムの花持ち性の改善技術を開発する。シネンシス系など二倍体デルフィニウムでは交配組み合わせにより、花持ちの良い形質を持つ個体が得られる。この特性は遺伝的に利用できるので、花持ちを良くするために使用されている鮮度保持剤の使用を削減することが可能である。そこで、この特性をエラータム系品種など四倍体デルフィニウムに導入し環境負荷の少ない開花調節技術を開発する。
1127 農業用落ち綿マルチシートの機能向上のための開発と応用 上野 秀人 愛媛大学 神野 俊一郎 愛媛大学 綿産業から大量に排出されている不要な落ち綿をリサイクル利用して作成された農業用マルチを用いて野菜を栽培したり、土壌に敷設することにより、実用化に向けた基礎研究を行う。具体的には、栽培実験や室内実験等で雑草抑制効果、作物生育増進効果、品質向上効果、土壌養分保持効果、環境保護効果についての精密測定を行い、本シートの機能を詳細に評価するとともに、さらなる機能向上に関するデータを得ることも目的とする。
1128 温水・温風熱ストレス処理による貯蔵果実の病虫害防除と品質改善 森本 哲夫 愛媛大学 小谷 哲哉 愛媛大学 申請者は、約40℃の温風による熱ストレス処理が貯蔵果実の品質保持や病虫害防除に有効であることを示した。一方、お湯に浸けて洗浄や殺菌を行う方法も病虫害防除や腐敗抑制に有効と思われる。そこで本研究では、温水による熱ストレス処理1(同時にマイクロバブルによる洗浄、電解水や銀イオン等による殺菌を行う)と温風による熱ストレス処理2(乾燥を兼ねる)を組み合わせた新しい貯蔵果実の品質改善と病虫害防除システムを開発したい。
1137 環境を考慮したビニールハウス無煙暖房装置の技術開発 尾上 清利 愛媛大学 田村 英樹 株式会社テクノネットワーク四国 本研究ではビニールハウスの暖房装置として、ドラム缶内側にセラッミックウールを貼り、その表面を金網で補強し、この内部に木材を搬入し、籾殻を隙間無く詰め込み、その上に点火剤の木炭を入れこれた木質バイオマスを用いた構造である。煙分は上部に堆積した高温の灰分に付着する無煙熱分解装置である。C2H4ガスは影響をおよぼす数値の十分の一の濃度である。また、火力調整及びCOガス等の除去については今後の研究課題である。
1155 施設栽培ピーマン、シシトウ黒枯病の環境負荷軽減型防除技術及び装置の開発 下元 祥史 高知県農業技術センター 山崎 龍一 高知県農業技術センター 現在高知県内のピーマン・シシトウ栽培では、2004年に国内では初めて発生が確認された黒枯病により大きな被害(ピーマン・シシトウの栽培面積の約23%:29haに発生)を受けている。そこで、農薬に頼るのではなく、これまで明らかにしてきた本病害の発生生態に関する基礎的知見に基づき、圃場内環境を人為的に操作して感染好適条件を排除し発病を抑制する環境負荷軽減型の防除技術および装置を開発する。
1156 食味のよい水稲新品種‘南国そだち’の7月収穫安定化技術の確立 坂田 雅正 高知県農業技術センター 山崎 龍一 高知県農業技術センター 高知県で7月に収穫される‘とさぴか’は冷害に弱く、‘ナツヒカリ’は食味が劣るため、今後普及拡大は期待できない。このことから、‘コシヒカリ’並に食味が優れ、7月22日に収穫可能な‘南国そだち’を育成した。しかし、安定的に7月収穫を図るには、近年みられる気象障害(少照、高温、フェーン風)による未熟粒の発生や青枯れ症の回避対策が不可欠である。そこで、気象障害を軽減する諸条件を明らかにし、7月収穫安定化技術を確立する。
1177 極晩生・極多収・良食味の品種候補‘村井79号’の西南暖地における適応性の検討 村井 正之 高知大学 石塚 悟史 高知大学 西南暖地においては、温暖化の影響によって登熟期の気温が上昇し、乳白米等の高温障害米が多発して品質が低下する傾向にあり、高温耐性または高温時の登熟を回避する水稲品種の育成が重要な課題である。村井は、気温の低下する秋に登熟する従来の品種より極晩生の系統‘村井79 号’の育成に成功した。村井79 号を高知県内の農家、香川県と福岡県にある試験研究機関で試作し、収量性、食味や品質などの詳細な調査を実施して、実際の生産栽培への検討を行うとともに品種登録のための資料とする。
1277 昆虫病原性糸状菌を用いた生物農薬の防除効果促進剤の開発 荒木 朋洋 東海大学 冨田 和弘 科学技術振興機構 本研究の目的は西南暖地で野菜類・花卉類など広範囲な農作物に被害を及ぼしている広食性の大型鱗翅目害虫であるハスモンヨトウを対象として,天敵糸状菌である緑きょう病菌を利用した被害低減技術を開発することである。従来,生物農薬としての天敵糸状菌製剤は微小害虫を対象とし,その使用方法が煩雑で普及を阻害している.本研究ではこれまで実用化されていない緑きょう病菌が野外ハスモンヨトウの優占天敵糸状菌であることから,その実用化のための使用法の改善技術の開発を行う。
1309 ポリフェノール高含有ブルーベリーの効率的育種を可能とするDNAマーカーの開発 國武 久登 宮崎大学 竹下 義隆 宮崎県産業支援財団 ブルーベリー葉には、ある種のポリフェノールが多く含まれ、さまざまな生理機能があることが分かってきた。そこで、ポリフェノール高含有ブルーベリーを効率的に選抜育種するため、cDNAサブトラクション法により、ポリフェノール生合成関連遺伝子を単離し、その遺伝情報からDNAマーカーを作製する。これらのマーカーはポリフェノール含量と相関があるため、今後の優良品種の作出において非常に有用である。
1311 低ビット解析法による農産物の高精度品質評価技術の開発 槐島 芳徳 宮崎大学 小林 太一 株式会社みやざきTLO 我々は、安価なパーソナルコンピュータやカメラ等を用いた農産物の低コスト品質評価技術の確立を目指している。これまでの研究成果より、低ビット画像を解析(以下、低ビット解析と言う)することでトマトの熟度を70%程度の精度で判定できることが判っている。そこで本課題では、この低ビット解析法を判別精度90%以上の実用的領域で使用するための諸条件を明らかにする。
1332 エンドファイトによる抵抗性誘導を活用したニガウリ病害の防除に関する研究 田場 聡 琉球大学 伊良部 忠男 琉球大学 近年、ツルレイシ(ニガウリ)は果実に含まれる栄養素が他の野菜と比べて高いことから健康食品として注目されている。しかし栽培地域が拡大している一方で、各種病害が発生し問題となっている。本作物に発生する病害は、一般的に化学薬剤による防除が行われているが、環境問題や食の安全に対する関心の高まりから、化学合成薬剤の多用が懸念されており、環境負荷の小さい病害虫防除法の開発が切望されている。そこで、本研究では、近年特に注目されている内生菌(エンドファイト)を利用したツルレイシ病害の防除法を開発するために選抜した有望菌を用いた防除法の開発を行うとともに、その実用性について検討する。

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 林業・水産・畜産:51件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
6 水産資源量調査のための海底画像からのホタテ高精度抽出 戸田 真志 公立はこだて未来大学 鈴木 孝司 公立はこだて未来大学 本研究の目的は、資源量調査のために撮影された海底観測画像群の解析により、そこに写るホタテなどの水産資源の数や大きさ、状態(生死)を自動的に計測可能なシステムの構築を図ることである。自動化にあたり、撮影環境は照度差が大きく且つ砂、泥等、多様な背景を有する高ノイズ環境である、など課題が多い。本研究では上記課題に対し、色相に着目した特徴量の開発と、その特徴量を用いた画像の高精度クラスタリング技術により解決を図る。水産資源は、本年度はホタテに特化して研究を進める。
29 ブラウンスイス種の乳を用いた高機能性乳製品の開発 花田 正明 帯広畜産大学 藤倉 雄司 帯広畜産大学 泌乳能力の改良が進んだホルスタイン(HF)種に代わり放牧飼養に適しているといわれているブラウンスイス(BS)種の導入により省穀物型の牛乳生産システムの構築が試みられつつある。放牧主体飼養への転換は穀物や化石燃料の使用量の減少による環境負荷の低減や食品の安全性の向上、乳牛の健康増進等が期待される。本研究では放牧主体飼養されたHF種とBS種の乳中の共役リノール酸やβカロチン含量を比較し、放牧主体飼養時におけるBS種の乳の特徴を明らかにし、機能性成分含量の高い乳製品の開発を試みる。
31 乳牛の成長ホルモンおよび黄体形成ホルモン受容体多型と卵巣機能との関連性の解明 清水 隆 帯広畜産大学 藤倉 雄司 帯広畜産大学 近年、乳牛の高泌乳化が著しく進んでいる一方で、卵巣周期回復の遅延や受胎率低下などの繁殖性の低下が深刻な問題になっている。乳生産に関与する成長ホルモン(GH)受容体や繁殖性に影響する黄体形成ホルモン(LH)受容体に多型のあることが示されているが、多型と繁殖性との関連性については不明である。そこで本研究では、高泌乳牛におけるGH受容体とLH受容体の多型を調査し、これらの多型と分娩後最初の主席卵胞の排卵の有無との関連性について検討する。
34 家畜糞尿の堆肥化促進および臭気抑制効果を有する炭化物資材の開発 谷 昌幸 帯広畜産大学 田中 一郎 帯広畜産大学 本研究では、家畜糞尿に添加することにより堆肥化促進効果などが期待できる炭化物資材を開発する。まず、木材チップなどに鉄イオン溶液を含浸させて炭化物を製造する技術を開発する。次に、得られた炭化物を家畜糞尿に添加した堆肥化試験を行って、堆肥化や腐植化、臭気抑制などに及ぼす影響を検証する。さらに、得られた堆肥が植物生育に及ぼす影響について検討を行う。
93 ウシ急性相蛋白の臨床応用の研究 中村 正明 北海道立根釧農業試験場 陰山 聡一 北海道立畜産試験場 乳牛の臨床検査マーカーとしての急性相蛋白の測定法の確立と、乳牛の急性相蛋白動態の解明を行う。獣医診療施設等で利用可能な検査方法の確立を目指す。本研究では、急性相蛋白のうち乳牛で鋭敏な動態を示すと考えられるハプトグロビンに注目し 、我々の確立した安価、迅速、簡易な測定方法を用いて、健康牛や疾病牛のハプトグロビンの測定値を蓄積し、ハプトグロビン動態の解明を行い、基準値を作成して臨床現場で使用できる検査方法の確立を目指す。
97 ワカサギ卵の生化学的手法による品質評価技術の開発 眞野 修一 北海道立水産孵化場 竹内 勝巳 北海道立水産孵化場 ワカサギの販売用種卵(放流用の生卵)の品質を評価するため、生化学的手法に基づく新技術を開発する。エネルギー量を表すATP量を種卵の発生段階で連続して測定し、受精から孵化までの正常値を明らかにする。また、人為的にストレスを加えた条件で飼育した卵を用い、正常値の検証を行う。得られた正常値を指標とし、ワカサギ種卵の品質評価に関する迅速で客観性の高い新技術を開発し、北海道産ワカサギ卵の高品質化を目指す。
98 積層木材による高機能パーティションの開発 石川 佳生 北海道立林産試験場 斎藤 直人 北海道立林産試験場 オフィス空間や店舗等で使われているパーティションをターゲットとした製品開発を目指し、主要材料に意匠性の自由度が高い積層木材(集成材、LVL、合板等)を使用することにより、温もりや柔らかさをもった意匠を実現するとともに、快適な室内空間を創出するために、光による安らぎの演出や室内の不快な音の低減など機能性の付与を検討する。
100 木材乾燥機を活用したアセチル化木材の効率的製造技術の開発 長谷川 祐 北海道立林産試験場 斎藤 直人 北海道立林産試験場 アセチル化による木材の化学的改質は、材質改善・新機能付与に有用な手法であるものの、処理に専用設備を必要とすること、薬剤コストがかさむことなどの理由から、普及が進んでいない。本研究は、アセチル化木材を効率的・低コストで製造するための技術開発を目的とし、木材産業において一般的な設備である木材乾燥機をアセチル化処理装置として活用する方法を検討する。
108 「食の安全」高度化を可能にする細菌叢プロファイリング法の開発と応用 村松 康和 酪農学園大学 横田 愽 酪農学園大学 主な食品媒介性病原細菌群の簡易、高感度かつ高特異的な検査系を確立し、「食の安全」高度化に貢献する。特許技術に基づ食品媒介性病原細菌群DNA検出プライマー最適化を行い、高感度・高特異的な細菌叢DNAプロファイリングにより、集約化・大規模化が急速に進む北海道酪農における、信頼度の高い「食の安全」の為の牛群管理高度化を目指す。
127 細胞外ガラス化液に浮遊しない状態でのウシ胚のガラス化超低温保存技術の確立 桃沢 健二 北里大学 加藤 哲也 21あおもり産業総合支援センター 本研究はウシ胚のガラス化超低温保存法において、非常に簡易な方法にてガラス化液量を必用最小限にコントロールすることで、ウシ胚に損傷を与えることなく保存を可能にする、全く新しいガラス化超低温保存技術の確立を目指すものである。
この方法により、従来法の課題であった、@生存率が低いこと、A設備が高価であること、B操作に熟練を要すること、などの解決が期待できる。
134 誰にでもできる簡易な家畜の血中下垂体前葉ホルモン濃度測定系の開発 橋爪 力 岩手大学 中戸川 明広 岩手大学 家畜の血中下垂体前葉ホルモン濃度の測定は、もっぱらアイソトープを使う放射免疫学的測定法(RIA)が実用化されているのみである。このため、特にウシやブタの生殖生理や生産生理に強く関わりを持つ黄体形成ホルモン、成長ホルモン、プロラクチン等の下垂体前葉ホルモン濃度の測定は、係る測定装置を有するごく一部の限られた研究機関しか測定できないのが実情である。そこで、本研究ではアイソトープの代わりに蛍光標識物を使う時間分解蛍光免疫測定法 (TR-FIA)に着目し、家畜の血中下垂体前葉ホルモン濃度を誰にでも簡単に測定できるような技術を開発する。
152 遺伝子発現解析を利用した牛体外受精胚の新規評価法の開発 澤井 健 岩手大学 今井 潤 岩手大学 牛卵子の体外受精後の体外発生率および胚移植後の受胎率の向上のためには、移植後の発生および受胎能力を指標とした胚の品質評価およびそれに基づいた体外培養系の開発が必要である。本研究では、遺伝子発現解析法を利用して、形態的分類にたよってきた牛胚の発生および受胎能力を新たな基準で評価し、効率的に個体にまで発生し得る胚の評価選別法および遺伝子発現情報に基づく新規体外培養系の開発を目標とする。
154 DNA鑑定技術を用いた放流用ナマコの新たな標識法の開発 奥村 誠一 北里大学 及川 善裕 北里大学 近年、我が国から中国へのナマコの輸出が急増し天然資源の枯渇が危惧される。そのため栽培漁業が重要視されるが、効果的な栽培漁業を行うには放流効果の評価が必要である。しかし、ナマコは物理的標識を離脱させるため、標識による放流効果の評価は困難である。本研究では、優れた個体識別法であるマイクロサテライトDNA分析技術を用いて、放流種苗の個体識別を可能にすることで、放流効果の評価に資することを目的とする。
155 サキシトキシン群麻痺性貝毒の無害化技術の開発 佐藤 繁 北里大学 及川 善裕 北里大学 麻痺性貝毒は複数の成分からなる化合物の総称である。これらのうちサキシトキシン(STX)は最も毒性が強くかつ著しく安定で、中性溶液中では加熱してもほとんど分解しないものとされてきた。申請者は最近、種々の植物の抽出液中でSTXが速やかに消失する現象、ならびに活性の本体がこれらに含まれるポリフェノールであることを見出した。本研究は貝類の食材としての安全性の向上に資するため、STXを効率よく除去できるポリフェノールならびに含有製品を見出すことを目標とする。
156 麻ひ性貝毒測定用ELISAキットの開発 児玉 正昭 北里大学 及川 善裕 北里大学 有毒渦鞭毛藻の発生で起こる麻ひ性貝毒による貝類の毒化は食品衛生上ならびに産業上の深刻な問題である。本試験は筆者らが開発したこの毒に対する新奇抗体作成技術を応用し、貝類の毒量を迅速に定量できる簡易測定法の開発を目的とする。毒は構造が類似した複数の成分からなり、抗体の反応性は成分ごとに異なる。代表研究者らはこの問題を解決する技術を既に開発しており、本試験ではこの技術を組み込んだ簡易測定ELISAキットの完成を目指す。
157 サケの未利用部位資源を高度有効活用したニホンウナギの種苗生産・養殖技術の開発 森山 俊介 北里大学 佐々木 守衛 いわて産業振興センター ニホンウナギの養殖には全て天然シラスウナギ資源が用いられているが、近年、資源量は激減している。また、養殖ウナギの多くはオス化し、成長に著しい個体差を生じる。それゆえ現在、ウナギを安定供給するための完全養殖技術の開発が強く求められている。本研究は、サケ頭部の未利用資源から調製した成長促進活性成分をベースとした増体用飼料を高度有効活用して、健康で大型のウナギ稚魚のみならず人工孵化仔魚を育成する増養殖技術の開発を図る。
254 AE法及び画像相関法の併用による木材接合部損傷モニタリング技術の開発 宇京 斉一郎 森林総合研究所 山本 幸一 森林総合研究所 1980年代より大規模化してきた木質構造物は今後寿命を迎え、台風や地震などによって蓄積された損傷のモニタリング技術の開発が急務となっている。本研究ではAE(アコースティックエミッション)法と、損傷位置等を特定可能なデジタル画像相関法を併用することによって、AE信号処理の高精度化を図り、木質構造物の要となる接合部の損傷検出システムの開発を行う。
296 重金属不溶出化効果を備えるバークたい肥の開発と応用 板橋 英之 群馬大学 上石 洋一 群馬県 土壌中の重金属を溶出させ ない特徴を持つバーク堆肥を市場に提供するために、バークを発行させた際に生成する物質が重金属を不溶化させるメカニズムの解明と、稲や野菜に土中の重金属が移行しないことの確認を行い、付加価値のあるバーク堆肥を開発する。さらに、鶏糞を混ぜることで肥効が高い鶏糞たい肥を併せて開発する。
334 クロマグロを含む主要養殖魚に対する簡易健康診断法の開発 青木 宙 東京海洋大学 松山 祐子 東京海洋大学 養殖魚において有効な健康診断法が確立されれば、疾病に対して適切な処置が行えるようになり、安定かつ安全に水産食資源を供給できるようになる。本研究では、1枚のスライドグラス上に生体防御関連遺伝子、ストレス応答遺伝子および魚類病原微生物に種特異的な遺伝子をスポットしたマイクロアレイ(DNAチップ)をデザインし、クロマグロを含む主要養殖魚の健康診断および種類の病原微生物感染を迅速に診断できるキットを開発する。
392 ドラッグデリバリーシステムを用いた牛過剰排卵技術の開発 内山 保彦 新潟県農業総合研究所 真島 操 にいがた産業創造機構 牛生産現場では生産性を高めるため受精卵移植技術が広く活用されている。その技術の中の過剰排卵誘起は、頻回にブタFSH製剤を注射するため、薬剤使用量の多さ、手技の煩雑さ、牛へのストレス等が問題である。これらを解決するため、1回で有効なFSH製剤を開発する必要がある。本研究では、投与作業の省力化、ブタFSH使用量の低減、胚の安定生産を目途として、ポリマーを用いたブタFSH徐放製剤の作成による新しい過剰排卵誘起プログラムを開発する。
436 竹粉とプラスチックを用いた屋外用カラー複合材料の開発 田近 克司 富山県農林水産総合技術センター 茅原 正毅 日本住宅木材技術センター 竹林の造林地への侵入による立木の枯損被害発生に対処するため、竹林の整備が進められる一方で、伐採した竹材の需要拡大を図る技術開発が強く求められている。本研究では、竹材を微粉砕した竹粉と熱可塑性樹脂等を混練、成型することにより、表面が硬く、寸法安定性に優れた竹粉・プラスチック複合材料の製造技術を開発する。製品用途として、着色した「屋外誘導タイル」等を目指す。
542 キノコ由来菌体外酵素の高効率生産系の開発 上辻 久敏 岐阜県森林研究所 武藤 高義 岐阜県研究開発財団 キノコの中でも白色腐朽菌と呼ばれるキノコは、木質中のリグニンを分解することができ、木質バイオマスの変換利用への応用が期待される生物である。その分解力は、多種多様な物質に対して有効である特徴をもつが長い期間を要する。そこで、分解の効率化をめざして、白色腐朽菌による分解の鍵となる菌体外酵素の大量生産系と回収方法を開発する。
543 カイコ形質転換細胞による淡水魚ワクチンの生産 河村 敏 岐阜県生物工学研究所 前田 喜朗 科学技術振興機構 淡水サケ科魚類養殖業は、伝染性造血器壊死症(IHN)と呼ばれるウイルス病の全国的な蔓延によりにより大きな被害を受けているが、安全なワクチンの開発には未だ成功していない。一方、これまでに実施した関連研究において、カイコで機能するトランスポゾンpiggyBacを活用したベクターにより作出した形質転換細胞を利用して、IHN抗原蛋白質の発現と精製が可能となった。そこで、この技術を基盤に発現効率の向上と分解抑制を含めた精製過程全体の改善に取り組み、IHNワクチンを実用レベルで持続生産するための実用技術の開発を行う。
549 再造林放棄地での牛放牧を利用した森林再生技術の開発 石田 仁 岐阜大学 米華 真一郎 岐阜大学 本研究では,ササの繁茂により森林更新が遅滞している再造林放棄地について、牛の放牧を利用する新しい森林再生システムを構築する。
近年、林木の収穫後に再造林しない放棄地が急増し、ササ類の密生による地表の光量不足のために、それの天然更新は進まない。そこで、この課題解決のために、森林管理学と動物生産栄養学の連携によって、森林の天然更新の大幅な促進と繁殖牛飼育(飛騨牛の繁殖用母牛)の低コスト化を図る。
574 海草類アマモの家畜・ペット飼料への活用に向けた成分分析、安全性等の研究 木村 賢史 東海大学 加藤 博光 東海大学 内湾域の水域に繁茂するアマモを枯死する前に回収し、水質汚濁防止と有用成分を含む飼料開発を目的とした研究である。アマモに含まれるCaやFe、炭水化物は飼料としての価値も高いため、今後、飼育試験を通じて有用性を実証するとともにビタミンや農薬などの含有量を調査していく。
658 核多角体病ウイルス耐性カイコの作出 柳沼 利信 名古屋大学 伊藤 靖浩 名古屋大学 カイコは世界中で飼育されている産業昆虫である。特に、非休眠性のカイコは年中飼育されているが、膿病と呼ばれる核多角体病ウイルスに感染されやすく、全滅する場合が多い。本課題では、核多角体病ウイルス感染増殖に不可欠な遺伝子をknockdownする形質転換カイコを作出することで、核多角体病ウイルスに耐性のカイコを作出することを目指す。
679 高水温耐性を有する餌料用珪藻株の作出と屋外培養器の開発 岡内 正典 水産総合研究センター 桑田 博 水産総合研究センター 本研究では,周年屋外での培養を可能にするために、15〜40℃といった広い水温条件下で増殖し、かつ餌料生物として栄養価の高い珪藻類を人為的に選抜育種すると共に、選抜された珪藻類株を対象にして、可能な限り安価で操作性に優れた屋外培養槽を開発し、周年、省エネ・省コスト化して屋外生産することを研究の目的とする。
691 高品質ホンモロコの養殖技術 杉浦 省三 滋賀県立大学 松居 祐一 滋賀県立大学 本研究はリン欠乏下で起こる生体内での特異的脂質代謝(ミトコンドリアの酸化的リン酸化抑制効果)を利用して、養殖魚の脂質とくにEPA・DHAなど人々の健康に有用な脂肪酸の含量を高める技術開発を行う。実施内容は低リン飼料でホンモロコを養成し、人為的に緩やかなリン欠乏を起こさせることで、魚体へのEPAやDHAの蓄積を促す。研究目的は滋賀の重要な水産資源で食文化を象徴するホンモロコの栄養価を高め、地産地消を通じて人々の健康に貢献することである。
738 鶏用有機酸カルシウム緩衝化抗病性飲料の実用化試験 八田 一 京都女子大学 伊藤 省二 科学技術振興機構 近年の細菌性食中毒患者、年間約1万人の内、ほぼ半数が鶏肉と鶏卵に由来するカンピロバクターとサルモネラ菌が原因である。両病原菌に対し、有機酸Ca が抗菌性を有することを応用し、本試験では、有機酸Ca配合貝殻溶解サトウキビ醸造酢(抗菌性飲料)をブロイラーへ投与する。そして、鶏の各成長段階で腸内細菌のカンピロバクターやサルモネラ菌等の消長を生菌数や16SrDNA 量から解析し、抗生物質や合成抗菌剤を必要としない無薬飼育の可能性を検討する。
745 超臨界二酸化炭素を用いる木材の化学加工 高野 俊幸 京都大学 中村 務 京都大学 木材の化学加工は、木材特有の欠点:“腐る”、“燃えやすい”、“寸法変化する”を改良するための重要な手段の一つであるが、実際には、(1)経済性が低い、(2)環境負荷が大きいなどの問題点がある。一方、最近、超臨界二酸化炭素を用いる反応が、グリーンケミストリーとして注目を集めている。そこで、本研究では、「環境に優しい木材の化学加工法の開発」を最終目標に、「超臨界二酸化炭素における木材のアセトアセチル化とその木材の性質」について検討する。
770 カンピロバクター及びサルモネラ菌非定着因子を持つ機能性飼料の開発 西井 真理 京都府畜産技術センター 伊藤 省二 科学技術振興機構 カンピロバクターとサルモネラ菌は細菌性食中毒原因菌の70%を占め、これらは主に鶏肉、鶏卵を介して感染するため、養鶏業界ではこれら細菌による鶏肉、鶏卵汚染防止技術開発が求められている。本研究では、in vitroでカンピロバクター及びサルモネラ菌増殖抑制効果が確認できた穀実由来の物質について、鶏腸管内への定着阻害効果を確認し、機能性飼料の開発の可能性を検討する。
959 写真測量を用いた森林フィールド調査手法の開発 米 康充 島根大学 北村 寿宏 島根大学 本課題では、代表者の開発による写真測量を用いた森林フィールド調査手法の実用化を図ることでフィールド調査の効率化を行い、森林空間の構造を高精度で簡便に把握するシステムを開発することを目的とする。システムの実用化にあたっては、(1)少人数・短時間でフィールド調査が可能なこと、(2)森林空間構造やバイオマスが計測可能なこと、(3)計測結果の可視化が可能なことを目標とする。
996 異なる熱処理方法を利用した高機能木質材料の開発 古山 安之 広島県立総合技術研究所 槙野 勝昭 ひろしま産業振興機構 1.常圧加熱(乾燥状態),加圧水蒸気加熱などによる熱処理において,温度や熱処理時間などの条件に伴う物性の変化を評価する。評価事項としては木材の寸法安定性や強度,接着性,耐光性などであり,熱処理条件により,木材の物性に及ぼす影響を明らかにする。2.常圧で水蒸気を併用して簡便な設備でありながら,できるだけ低い温度で材料の変色を抑えた熱処理を行う工程を検討する。また,物性の評価を行い,他の熱処理方法との比較を行う。
1009 物理的かく乱に強い干潟地盤埋設型の有用二枚貝養殖技術の開発 駒井 克昭 広島大学 三原 博道 広島大学 本研究では,高潮や高波、洪水などによる物理的かく乱に強い干潟地盤中での有用二枚貝の養殖技術の開発を行う。このため、有用二枚貝の生息に適した現地干潟地盤の埋没環境条件を定量的に探索し、干潟地盤中での養殖の可能性とその生息条件の把握、ならびに二枚貝の成長に適した環境を明らかにする。
1025 ブタ凍結精子の受精能力を低下させない融解液の開発と人工授精への応用 島田 昌之 広島大学 前田 裕司 広島大学 高い経済形質をもつ個体の精子による人工授精普及のために、ブタにおいても凍結精液の導入が望まれているが、ブタ精子の凍結が既存の技術では困難であり,人工授精の受胎率が50%以下と低いため実用化に至っていない。本研究は、申請者等の発明「受胎率および産子数向上豚凍結精子およびその製法」を利用して、精子の受精能を維持させ、かつ生体成分非混入な安全性の高い、安定供給可能な凍結精液融解液を開発するものである。
1057 木質材料に付加価値を付与する表面改質技術の開発 西岡 守 阿南工業高等専門学校 宮城 勢治 阿南工業高等専門学校 国産杉材あるいは市販の木質ボード(MDF)は、さらなる付加価値の付与が期待されている。本研究では付加価値をもった新しい杉材、MDFの開発として、木質材料表面の改質法を研究する。材料表面を圧しつつ、先端が半球状の工具を回転しながら移動することによって改質する。「高温(摩擦熱)」及び「高圧(圧縮)」による表面上の高温高圧状態を利用することで、緻密層の形成、吸水の抑制、無機物質の含浸、などの効果をもたらすことが予想される。
1093 潮間帯に生息する微細藻類と海洋深層水を用いた二枚貝養殖システム 一見 和彦 香川大学 倉増 敬三郎 香川大学 海洋深層水は火力発電所の冷却水等、様々な用途に対してその有用性が検討されている。深層水は豊富な栄養塩類を含んでいることから、有効利用した後の深層水で海産微細藻類を大量繁茂させることが可能である。本研究では著しく大きい増殖速度を持つ潮間帯の微細藻類を分離・培養し、海洋深層水中でどの程度の増殖能力を有するか明らかにすることを目的とし、これら微細藻類を餌料とした陸上で行う二枚貝養殖システムを確立することを目標とする。
1105 廃水ゼロの完全閉鎖循環飼育のための水の再利用技術 山本 義久 水産総合研究センター 桑田 博 水産総合研究センター 本研究では魚類飼育から出る廃水を生物に安全な天然素材の凝集剤を用いて処理し、処理水を飼育系に戻すことにより廃水を完全に再利用する技術開発を目指す。また、開発した技術を実際の稚魚飼育に適用してその有効性を検証することにより、廃水ゼロの閉鎖循環飼育システムの可能性を検討し、実用化に向けた課題を明らかにする。
1112 生分解性プラスチック接触材を利用したアマモ場造成技術開発 平田 伸治 愛媛県農林水産研究所 黒田 広樹 愛媛県農林水産研究所 水産研究センター 栽培資源研究所 波浪や潮流など水理的な制限要因によって減少しているアマモ場について、生分解性プラスチックの網状骨格体を有する接触材を海底に設置し、生育地盤の安定性を高め、アマモの地下部の生育と分枝伸張を助長させることによってアマモ場を保全・造成する技術を開発するものである。また、接触材の形状や大きさを試験して、既存藻場の保全手法や新たなアマモ場の造成手法としての実用性を試験するものである。
1115 マイクロサテライトDNA解析によるマハタ優良親魚選抜技術の開発 山下 浩史 愛媛県農林水産研究所 滝本 真一 愛媛県農林水産研究所 本研究では、“病気に強く、成長が良い”マハタ優良系統のオス親魚を選抜する技術の開発を目的とする。手法は1尾のメス親魚の卵に複数のオス親魚の精子を交配して生産した稚魚を同一条件で飼育し、感染試験や飼育試験を行った後、高抗病性や高成長を示した稚魚のオス親魚をマイクロサテライトDNA 解析による親子鑑別により特定するというものである。
1116 近赤外線装置を用いた珠入れ適期の特定による高品質真珠生産技術の開発 曽根 謙一 愛媛県農林水産研究所 滝本 真一 愛媛県農林水産研究所 本研究では、高品質真珠の安定生産を目的に、近赤外線装置により非破壊の状態でアコヤガイ貝柱のグリコーゲン含量を迅速に測定する手法を確立し、珠入れ適期の簡易判定技術を開発する。抑制篭に詰めたアコヤガイを定期的にサンプリングし、貝柱の一般成分と酵素活性の動態を調査するとともに近赤外線装置によりグリコーゲン含量の測定をおこなう。さらに、サンプリング時に挿核試験を実施し、取り出された真珠品質と一般分析より得たグリコーゲン含量から挿核適期を特定するとともに近赤外線装置より得た測定値の測定精度を検証する。
1138 世界初の魚類寄生虫不活化ワクチンの開発に関する研究 北村 真一 愛媛大学 神野 俊一郎 愛媛大学 ヒラメ養殖に最も大きな被害をもたらす寄生虫病としてスクーチカ症がある。現在のところ、本症に対する有効な治療薬は開発されておらず、新規ワクチンの開発が養殖現場から強く望まれている。そこで、本課題では、本症の予防を目指して、安全性の高い不活化ワクチンの有効性を明らかにすることを目的とする。ワクチンを実用化するためには、ワクチン抗原を大量に生産する必要があるため、原因虫の大量培養法についても検討する。
1154 牛の行動管理システムの開発 川原 尚人 高知県畜産試験場 吉田 均 高知県畜産試験場 牛の行動量は健康状態、ストレス、発情行動によって変動することが知られている。
そこで、本研究では牛の行動量を自動収集する低コスト機器の開発を目的とし、加速度センサを搭載した小型無線端末を牛に装着、アクセスポイントで収集したデータと行動量との関係について検討する。
1162 古紙および未利用木質資源から造った植物栽培用炭の鉢の開発 坂輪 光弘 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 古紙へのおが屑や樹皮の混合割合をハンドリング強度観点から調べる。さらに炭素化の最適条件を明らかにする。また、ホルムアルデヒドなどの有害物質の吸着能を明らかにする。特に植物などの栽培床に利用するので、水分含有下での有害物質の吸着特性を調べ、その機構を解明する。
1239 木質系残さまたは竹の活用による環境調和型養豚経営の確立 小山 太 福岡県農業総合試験場 木下 玲子 株式会社久留米リサーチ・パーク 混住化によって養豚業の臭気問題は地域社会において深刻な問題となっている。地域環境と調和し、省力的な養豚経営のため、豚舎床面にオガクズを敷く飼養法を志向する農家があるが、オガクズは高価なうえ入手が困難である。また,一方で、街路樹剪定枝は焼却処理に費用を要し、林地に繁茂する竹は伐採後の有効な処理法がない。そこで、街路樹剪定枝または竹を活用した低コストな飼養法の確立を目指す。
1250 鶏病予防を目的とした免疫賦活能を有する海藻由来成分の特定及びその利用 細國 一忠 佐賀県畜産試験場 安田 誠二 佐賀県地域産業支援センター 高病原性鳥インフルエンザ等の発生がグローバルな社会問題となっており、これら鶏病発生への対策及び予防法が種々検討されている。これまでに海藻を採卵鶏へ給与することにより、免疫賦活効果の一つである一酸化窒素の産生促進効果を確認している。本研究では、海藻に含まれる免疫賦活能を有する成分を分離・精製するために、鶏由来単核球を用いて評価を行い、安全性の高い免疫賦活作用を有した養鶏用飼料の開発につなげる。
1275 海産ミジンコの培養技術開発と仔魚用餌料としての応用 萩原 篤志 長崎大学 森 紅美子 長崎大学 生まれたばかりの海産魚は配合飼料を消化できず、生きた餌のみを利用できる。仔魚の大量飼育を行う種苗生産では、培養した海産ワムシ(サイズ0.1〜0.3 mm)を初期の餌に使い、ワムシの次の餌としてアルテミア(0.5〜1.0 mm)や冷凍したカイアシ類を用いるが、これらは外国の天然資源に依存した輸入品であるため価格変動が大きく、餌料としての安全面での確保も必要である。本課題では、アルテミアやカイアシ類の代替餌料の安定的な高密度培養技法を開発する。
1316 工学的手法を利用したハダムシの寄生を予防する新技術の確立 村瀬 拓也 鹿児島県水産技術開発センター 福留 己樹夫 鹿児島県水産技術開発センター ブリ類養殖において、ハダムシ(Neobenedenia girellae等)の寄生は病原体の感染門戸となり、大きな産業的被害をもたらしている。現在、ハダムシへの対策は淡水浴を中心とした、寄生後の駆除に主眼が置かれている。今回の研究では、ハダムシ卵の付着しやすい材質や付着構造を明らかにし、寄生前にハダムシ卵をトラップする工学的手法を用いた新たな駆除方法を考案する。
4(B) BSE血液中GFAP自己抗体検出による生前診断法の開発 横田 愽 酪農学園大学 山田 龍翁 酪農学園大学 牛海綿状脳症罹患牛50頭分の血清の解析を行った結果、グリア線維性酸性蛋白質(GFAP)に対する自己抗体と特異的ペプチドを発見した。そこで本研究の目的は、プリオン病に於けるGFAP自己抗体やペプチドの血液中への逸脱の機序を明らかにすること。さらに、これらの結果に基づいた生前診断の原理と、具体的測定方法(ELISA法及びHPLC等による機器分析)を構築する事である。
9(B) 新規抗ストレス剤による鶏肉保存品質向上技術の実用化研究 濱野 美夫 秋田県立大学 渡邊 雅生 秋田県立大学 本研究の目的は、新規に開発した抗ストレス剤を実用的段階に発展させるための効果を見出すことにある。この抗ストレス剤は肉用鶏の飼養段階から鶏肉品質の鮮度悪化を防ぐことができ、生肉のみならず加工処理した肉でも持続的にその効果を発揮する。しかし、その実用化と商品化への展開には実際の飼養条件下での実証研究がさらに必要である。そこで、本研究では実地試験を通じて抗ストレス剤の実用性を検討し、その商品化に向けた評価を行う。
48(B) 新しい真珠養殖技術開発を目指した分子不稔化の効率化技術の確立 三浦 猛 愛媛大学 入野 和朗 愛媛大学 アコヤガイを不稔化することが出来れば、真珠養殖の効率が飛躍的に良くなる。本研究では、分子生物学の手法を用い、アコヤガイを不稔化する技術を開発する。昨年度の本事業では、アコヤガイの生殖細胞でのみ発現する遺伝子のRNA干渉を行い、アコヤガイの配偶子形成を抑制することに成功した。本年度は、RNA干渉の効率を高め本技術の実用化を実現するために、高効率の不稔化を引き起こすターゲット遺伝子の検討、RNA導入法の改良、短期間で不稔化を引き起こす新規技術の開発を行う。

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 食品:68件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
26 酵母を併用した特長的芳香を有する新規発酵バターの開発 川原 美香 十勝圏振興機構 大庭 潔 十勝圏振興機構 乳及び乳製品から分離された新規酵母株を発酵バターの製造に応用し、クリーム中で良好な風味を生成する酵母株の発酵適性を評価し、従来の乳酸菌に加え、乳糖発酵性酵母を併用した特長的芳香を有する新しい発酵バターの開発を行い、製造技術の確立を目指す。
32 農産物由来スフィンゴ脂質による消化管炎症に対する効果に関する研究 大西 正男 帯広畜産大学 田中 一郎 帯広畜産大学 農産物より得られる機能性脂質であるスフィンゴ脂質(セラミド、セレブロシドなど)の消化管に与える影響について、特に消化器官への抗炎症、実際の疾病として大腸炎に対する効能について、薬剤投与による実験動物系を用いて研究し、これらの脂質の健康機能性を解明する。
36 農用馬の食肉転用に関する基礎的研究 島田 謙一郎 帯広畜産大学 藤倉 雄司 帯広畜産大学 ばんえい競馬などの能力検査に不合格した農用馬に対する有効な利用方法が現在求められている。その一つに肉用馬への転用が挙げられる。北海道で生産された馬は最終的な仕上げだけ九州で行い、と畜後、死後硬直が完了するまで枝肉で保管されず、すぐに部分肉まで解体されて低温流通されている現状にある。これは熟成せずに食べていることを意味する。本来なら熟成すれば美味しく食べられるのだから、熟成期間などを定めるためにも熟成中の詳細な変化を調べる必要がある。
37 セラミックを利用した高品質チーズの技術開発に関する研究 永島 俊夫 東京農業大学 西澤 信 東京農業大学 かつてから土鍋、かまど、屋根瓦など、我々の生活と文化に密着してきたセラミックは、今日その遠赤外線及び活性微弱エネルギーを吸収放射するという特性が再評価され、様々な分野において注目されている。このセラミックをチーズの原料である生乳の運搬過程(貯蔵タンク)と熟成過程における熟成庫の空調及び熟成棚などに用いることで、チーズの製造・熟成及び品質安定化の技術開発を目的とする。また、オホーツク地域の優良な地場産の材料を利用することによって、高品質かつ安心・安全なチーズの開発を目指す。
38 北海道産ホッキ貝の特色を生かした短期間食品熟成法の開発 岩波 俊介 苫小牧工業高等専門学校 東藤 勇 苫小牧工業高等専門学校 道内産業活性化のため、肝機能改善や血栓溶解作用などに効果のあるタウリンや旨み成分が多く含まれている苫小牧発ホッキ貝の特色を活かした食品の開発を行うものである。すなはち、試験器による温度管理を行った低温濃縮を用いた旨み成分の濃縮、熟成期間の短縮を行うための発酵条件、変性臭の原因になるオリの除去ならびに滅菌技術について確立し使用することを視野に入れ、旨味成分を最大限に引き出した食品の開発を行う。
49 魚類酵素の性質の解明と動物用医薬品への応用 関崎 春雄 北海道医療大学 蛸島 武広 北海道医療大学 寒流中に生息する魚類は低温適応性の酵素を持つことが明らかとされてきた。従って、今まで使用されてきた牛などの哺乳類の酵素と比較して、常温では高い活性が期待できる。本研究では、地の利を生かして殆どが廃棄されている寒流生息魚類の内蔵中の酵素を利用して、ペットブームで増加している小動物のための少量で効く医薬品の開発を目指す。
66 高度な選択性を有する魚卵アレルゲン検知系の開発 佐伯 宏樹 北海道大学 小川 晴也 北海道大学 魚卵アレルギー患者の発症数は食物アレルギーの中でも上位にあり、その原因食品はイクラとタラコがほとんどを占める。イクラについては目視によって忌避できるが、加工食品に混入したタラコは確認が難しい。そこで本研究では、魚種間のアレルゲン交差性を排除し、厚生労働省通知法で指定されたアレルゲン抽出溶媒の影響を受けず、さらに食品中で<10mg/kgレベルのタラコの含有が検出できる実用的な高感度ELISA系を開発する。
68 食肉中のエネルギー代謝促進物質の探索と実用化 若松 純一 北海道大学 小川 晴也 北海道大学 我々はこれまでの研究から、鶏肉や羊肉の摂取により、体温を上昇させることを確認した。そこで本研究では、鶏肉および羊肉による体温上昇機構を明らかにすることと有効成分を特定することを目的とし、動物実験を行って血液生化学検査、各種プロテオーム解析等により検討する。これにより、鶏肉および羊肉の機能を科学的に解明し、「食」を通じた生活の質改善を図るとともに、必要に応じて有効成分を抽出・濃縮し、エネルギー代謝改善のサプリメントの開発につなげる。
94 ナチュラルチーズの熟成工程における香気特性評価に関する研究 河野 慎一 北海道立食品加工研究センター 長島 浩二 北海道立食品加工研究センター 本研究ではナチュラルチーズの熟成期間中の香気成分について、官能評価、GCMSによる香気成分の測定、においセンサによる測定を行い、品質管理に利用可能な熟成の指標となる評価方法を開発することを目的とする。
95 醤油および発酵魚醤油製造用乾燥スターターの開発と応用 吉川 修司 北海道立食品加工研究センター 長島 浩二 北海道立食品加工研究センター 醤油醸造には Zygosaccharomyces rouxii, Candida versatilis および Tetragenococcus halophilusが用いられている。これらの微生物の培養は高塩分下で行われるため、培養日数がかかるだけでなく施設の維持管理が負担となり、乾燥スターターの開発が望まれているが、未だ技術開発がなされていない。本研究では流動層乾燥法を応用して、醤油醸造用の微生物を乾燥スターター化することを目的とする。
96 寒冷地でのマロラクティック発酵に適した新規乳酸菌株の特性発現機構の解明とその実用化試験 橋渡 携 北海道立食品加工研究センター 長島 浩二 北海道立食品加工研究センター 寒冷地での赤ワイン醸造に適した、低温および低pHで働く新規マロラクティック発酵(MLF)乳酸菌を取得した。本菌株の保持する耐寒性、耐酸性などの特性の発現機構を解明し、菌株管理ならびに育種技術を確立するとともに、当該株の実用化に向けて、大量培養技術、乾燥スターター化などの添加方法を検討することによって、寒冷地でのMLF管理技術の確立を目指す。
111 Nrf2の活性化に基づいたアルツハイマー病予防法の開発 伊東 健 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 いまや我が国は世界一の長寿国であるが、急速な高齢化の進行により、加齢を基盤とする脳変性疾患や認知症の患者が増加し社会的な問題となっている。本研究ではアルツハイマー病モデルマウスを用いて、酸化ストレス応答性転写因子Nrf2の活性化が病気の発症を遅延または病気の進行を抑制するかどうかを検討し、さらにその分子機構について明らかにする。
115 線虫誘引剤の開発と実用化試験 高田 晃 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 ニンニクの一大産地青森県ではイモグサレセンチュウによるニンニクの生育被害が深刻である。本課題では最近申請者らが見出した線虫誘引物質を線虫誘引剤として実用化することを目指す。具体的には実用的供給が可能な化学合成法を確立するとともに、イモグサレセンチュウ汚染圃場における実用化試験を行う。この線虫誘引剤が実用化できれば、土壌に生息する線虫を表層に集めて、効果不安定であった殺線虫剤や土壌くん蒸消毒による防除効果を飛躍的に向上させ、線虫を駆除できる。
122 インフルエンザ予防食品の開発 内山 大史 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 青森県は、全国一のナガイモ生産高を誇るが、一方では、規格外品や加工現場で発生する廃棄物が年々増加している。我々は、青森県産ナガイモのブランド化およびナガイモ未利用資源の有効活用について青森県の公設研究機関と共同研究を続けてきた。本研究は、この共同研究成果を基盤とした付加価値の高い機能性素材の開発を目指している。具体的には、ウイルス感染を予防する素材とその応用製品を開発する。
135 ローズマリー由来のカルノシン酸のヒト脂肪肝予防への応用 佐藤 拓己 岩手大学 小川 薫 岩手大学 社会問題となったメタボリックシンドロームは、肝機能の破綻が起点となって症状が現れる。肝細胞の機能を保護する化合物として、ローズマリー由来のカルノシン酸に注目している。カルノシン酸はKeap1/Nrf2経路を活性化する親電子性物質であり、肝細胞を保護する。本課題はカルノシン酸が、1)肝細胞を保護することをマウスで示すこと、さらに2)ヒトの脂肪肝を抑制することを証明する。これらの知見を基に、脂肪肝を予防する機能性食品の開発を目指す。
170 米糠トコトリエノールを利用した肥満になりたくない健康食品の開発 宮澤 陽夫 東北大学 田村 光彦 科学技術振興機構 本試験では、極めて高純度(≧90%)の米糠トコトリエノールの新規な抗肥満効果を肥満モデル動物を用いて検証(前臨床)することを目的とする。具体的には、高純度米糠トコトリエノールを経口投与することによって肥満モデルマウスの肥満抑制程度を体重変化で追跡しつつ、血中中性脂肪濃度、コレステロール濃度、血糖値を経時的に調べる。マウスの解剖によって内臓白色脂肪組織量を測定し、抗肥満効果を総合的に評価する。
195 脂質代謝改善作用を有するルパン型トリテルペン素材の開発 畠 恵司 秋田県農林水産技術センター 保坂 正晴 あきた企業活性化センター ルパン型トリテルペンは、植物二次代謝産物の一種で、我々はルパン型トリテルペンの生理機能に着目し、研究を進めてきた。その過程で、ルパン型トリテルペンの一つであるルペオールが、高脂肪食負荷マウスに対する脂質代謝改善作用を有することを突き止めた。そこで本課題では、給与動物臓器や各種細胞(脂肪細胞ならびに肝臓細胞)における脂質代謝遺伝子群の発現解析を行い、ルペオールの有する脂質代謝改善機構を解明する。
198 米澱粉系新規高機能性食品素材および添加剤の開発 藤田 直子 秋田県立大学 渡邊 雅生 秋田県立大学 トウモロコシ・コムギの値段の高騰に加え、我が国では、食品自給率の向上や食の安全の観点および休耕田の有効利用の面でも国産米の様々な食品等への利用が切望されている。我々が開発したスターチシンターゼIIIa型(SSIIIa)変異体米澱粉は、通常の米澱粉とは異なる独特の構造を持つ。本課題では、独特の澱粉構造に基づいたユニークな澱粉物性を利用して、従来澱粉の代替を含め、さまざまな機能性を付与した食品への応用利用法について検討し、米澱粉由来の新規高機能性食品素材および添加剤を開発する。
214 高健康機能性食品素材・成分としての枝豆葉の機能開発 五十嵐 喜治 山形大学 高橋 政幸 山形大学 無農薬で栽培されている枝豆(ダダチャ豆、神代豆)の葉をお茶などの高機能健康機能食品素材として利用することを目的として、枝豆葉に含まれる抗酸化・ラジカル消去性フラボノイドの探索・化学構造の解明とその機能検証、内在フラボノイドの変換反応による高機能化を行う。また、種子よりも高含量のγ-アミノ酪酸(GABA)については、収穫後における最適加工法を開発し、未利用資源としての枝豆葉を、ラジカル・酸化が要因となる疾病・老化の予防と、最適血圧の維持に有用な食品素材として開発する。
226 クリープ回復を利用した粘弾性特性 横田 理 日本大学 谷中 秀臣 日本大学 粘弾性部位の試験方法では、被測定物に優しい非接触式・非破壊での計測法により粘弾性特性を測定できることが望まれる。ここでは食品、軟体物や動物臓器の生体部位を対象にした被測定物の粘弾性特性を測定できる試験方法を提案し、簡易な試験装置の開発を試みる。提案する試験装置は、圧平する力に空気噴流を用いて、ノズルより流れ出る流体が粘弾性特性のある材料表面にくぼみを発生させる原理を利用している。発生したくぼみの大きさのクリープ回復を測定して被測定物の粘弾性特性を調べる。したがって被測定物の粘弾性特性を測定できる簡易的な試験方法を提案し、試験装置の改良と簡易な計測システムの開発を試みる。
233 「凍み」操作を応用した新規食品素材の開発 中村 恵子 福島大学 森本 進治 福島大学 本試験では、凍結脱水野菜を短期間で効率よく調製するための「凍み」操作の条件、特に脱水条件を明らかにし、対象食品を根菜類から果菜類へも広げ、新しい食感を持つ新規乾燥食品の可能性を探ることを目的とする。具体的には、ダイコンを用いた凍結・解凍条件の検討、脱水条件の検討を行なう。また対象食品をニンジン・ジャガイモ・キュウリ・ナスなどにも広げ、得られた凍み食品の組織構造、復水性、物性、食味等について評価する。
259 線虫を用いた抗肥満作用分子の選択・解析法の開発とその応用 坂本 和一 筑波大学 林 良夫 筑波大学 多価不飽和脂肪酸やポリフェノール類は、抗肥満作用やコレステロール除去作用をもつことが知られている。一方、線虫(C.elegans)は、ヒトと類似した脂質代謝機構を持ち、個体レベルの脂質解析が容易であることから肥満研究のモデル生物として有用である。本研究は、脂質代謝の鍵となる遺伝子に着目し、線虫を用いて肥満や生活習慣病の改善・予防に働く新規分子の選択方法を開発し、その科学的解析と実用化に向けた応用解析を行なう予定である。
264 不活性ガスの循環供給による低温噴霧乾燥技術の確立と食品への応用 北村 豊 筑波大学 林 良夫 筑波大学 スプレードライヤの乾燥塔内を減圧して乾燥温度を低下させながら、噴霧化流体に不活性ガスを用いることにより、熱や酸素による被乾燥物の変性を抑制する新規の噴霧乾燥法を開発する。ここでは、二流体ノズルに窒素を供給する減圧噴霧乾燥システムを新たに構築して、モデル食品の乾燥特性を実験的に明らかにするとともに、熱変性・酸化の容易な食品機能性成分の粉末化を行い、その実用性を評価する。
279 芽胞の比率を高めた納豆の発酵制御技術の開発 古口 久美子 栃木県産業技術センター 稲見 智 栃木県産業技術センター 納豆の芽胞には、生きたまま腸に到達し腸内で発芽することによる整腸作用が認められている。しかし、新しい納豆は芽胞数、芽胞比率ともに少なく、熟成が進んだ納豆は芽胞数、芽胞比率ともに上がるがアンモニアが増えて臭いがきつくなる。そこで、本研究開発は、低温でアンモニアの増加が少ない納豆菌TK-1株を用い、アンモニア臭の増加を抑えながら製品中の芽胞の比率を通常より高めるような納豆の発酵制御技術を開発するものである。
308 食品分野への利用を目指した未利用資源を活用した高次機能性食品素材の開発 江頭 祐嘉合 千葉大学 平 隆臣 千葉大学 未利用資源である穀類外皮は通常廃棄される。本研究はこれらを活用して食品分野で利用することを目的とする。これらの未利用資源には、ポリフェノールや機能性多糖類、タンパク質などが豊富に含まれているが、通常の形態でマウスやヒトに投与しても便秘改善作用しか示さない。しかし動物の消化管で消化酵素の作用を受けやすい形態、腸内細菌に利用され易い形態にすると、機能性の発現が期待できる。本研究では、これらを精製、加工し、機能性を高めた付加価値の高い食品素材の開発を目指す。
333 スペルト小麦を用いた食品の抗酸化性及びアレルギー性の検討 長尾 慶子 東京家政大学 木元 幸一 東京家政大学 小麦粉製品は主食、お菓子に至るまで食事の主役に位置し、アレルギー患者はその代替食品に大変苦慮している。小麦の原種であるスペルト小麦は、普通小麦と比較してアミノ酸やビタミン、ミネラルが豊富で小麦アレルギー耐性が高いといわれている。本研究では、スペルト小麦を使用した調理食品を試作し、アレルギー面と食の三次機能である抗酸化性を追及することで、代替小麦としての有用性と製品化を目的とする。
335 常圧温度スイング凍結乾燥技術の基礎的研究 鈴木 徹 東京海洋大学 清水 條資 科学技術振興機構 凍結食品の保存期間中における周囲温度の変動は表面乾燥の原因となり品質劣化の主要因となる。これまでは乾燥を抑える研究を行ってきたが、本研究では、逆に、それら知見を応用し凍結食品の雰囲気温度を積極的に周期変動(スイング)させることにより効率的な凍結乾燥技術を開発し、常圧型凍結乾燥装置の実用化を目指す。特に、真空ポンプ系が不要で、北海道の外気低温を利用することで大幅なエネルギーコストの削減が期待できる。
408 地産ベリー「ナツハゼ」のアントシアニン成分を活用する機能性食品の開発研究 平山 匡男 新潟薬科大学 真島 操 にいがた産業創造機構 赤ワインやブルーベリー、カシスなどは、心疾患抑制、視覚機能改善、血流改善など、それぞれ特有の機能を持ち、機能性食品として市場に流通しているが、その差別性の鍵は含有するアントシアニン成分にある。我々は、日本古来のベリーで、地域で食べられてきた「ナツハゼ」中のアントシアニン成分が、他のベリー類と異なる特有の組成であることを発見した。そこで、本課題では、その特性を活かした機能性を明らかにし、新しい差別性のある機能性食品を開発することを目的とする。
424 血糖値上昇抑制を目的とした米の湿熱処理加工 菅原 正義 長岡工業高等専門学校 真島 操 にいがた産業創造機構 米に湿熱処理を行い米澱粉の酵素分解性を低下させ、食べても急激な血糖値上昇のしにくい、低GI米を開発する。澱粉質食品では、消化速度が速いと短時間に多量の糖が吸収されるため急な食後血糖値上昇が起こり、インスリンが分泌されて血糖値が低下するが、多くのインスリンが必要となり糖尿病やメタボリック症候群の原因となる。この米に水蒸気しか使わない安全な湿熱処理を行い、低GI化を目指す。
437 食品および医薬品製造ラインにおける異物除去装置の開発 石田 弘樹 富山商船高等専門学校 定村 茂 富山県立大学 製造にヒトが携わる以上、人毛や衣類から落ちる繊維の混入を完全に防ぐことは不可能である。そのため製造ライン中に異物を検出し除去する装置が必要となってくるが、人毛や繊維などの検出は特に難しく、例えば、X線を利用した画像処理による検出装置(数千万円)が必要となる。しかし、中小規模の企業では、このような高額の設備を導入することが難しい現状にあると推測される。本研究では、顆粒状の原料中に混入した異物(人毛、繊維)を除去する安価な装置の開発を行う。
478 新規酵素による健康機能性食品の製造技術開発 木元 久 福井県立大学 谷内 博 北陸経済連合会 カニ殻などの食品産業廃棄物中に含まれるキチンは、そのオリゴ糖や単糖に生理機能が確認され、機能性食品としての需要が急速に高まっている。キチンは強固な結晶構造を有しているため、一般に酵素法ではなく強酸で低分子化が行われており、中和工程で生じる塩の廃水処理などが問題となっている。本試験では、環境負荷の低い方法として微生物酵素を用い、産業応用が可能なレベルにまでキチンの分解効率を高める研究を行う。
541 異物代謝酵素・抗酸化酵素の発現を誘導するファイトケミカルの探索 伊藤 雅史 岐阜県国際バイオ研究所 前田 喜朗 科学技術振興機構 転写因子NRF2はARE (Antioxidant Response Element)に結合し遺伝子の転写活性を促進することにより、第2相異物代謝酵素・抗酸化酵素の発現を誘導する。NRF2/AREシステムの活性化は、発がん物質の解毒、神経細胞保護において重要な役割を果たしていることが知られている。本課題では、ホタルルシフェラーゼをレポーター遺伝子とする細胞レベルの評価系を用いて、NRF2/AREシステムを活性化し異物代謝酵素・抗酸化酵素の発現を誘導する新規のファイトケミカルを探索する。
552 青果物の脂質過酸化レベルに基づいた鮮度値の開発 中野 浩平 岐阜大学 安井 秀夫 岐阜大学 青果物における「鮮度」は、消費者の購入動機の重要な判断基準であるにもかかわらず極めて曖昧な概念である。本課題は、生物体の老化に伴い進行する脂質の過酸化現象に注目し、青果物に含有する脂質関連物質の消長を化学分析により把握して青果物鮮度の定量的評価を実現する新しい指標となる「鮮度値」の開発を目指す。
579 原料米の酒質推定プログラムの構築 伊藤 彰敏 愛知県産業技術研究所 近藤 正夫 愛知県産業技術研究所 清酒業界では消費者の安全・安心あるいは地産地消のニーズを受け、醸造用アルコールや糖類等の副原料を添加しない米100%で製造された純米酒が急速にシェアを伸ばしている。また、原料米は醸造元のある地域で栽培された銘柄米を使用する動きが活発化している。しかし、一部の酒造米を除き、米の酒造適性に関するデータはほとんどなく、原料米の特徴が酒質に十分反映されているとは言い難い。本課題では、各種原料米の特徴を活かした清酒製造条件を容易に導き出せる酒質推定プログラムを構築する。
595 食品機能の評価におけるバイオマーカーの利用とその評価装置開発に関する研究 津田 孝範 中部大学 岡島 敏夫 中部大学 肥満、糖尿病の予防につながる食品を開発するためのバイオマーカーを特定して、このバイオマーカーを簡便に測定できるツールの開発を目指す。そのため、脂肪細胞を活用して食品の予防機能評価に適したバイオマーカーの特定とそのマーカーの簡便な測定システムの構築に必要な研究を行う。最終的に食品の疾病予防効果を評価できる測定ツールを完成させて、これを利用して食品関連企業との共同で有効な疾病予防食品を開発し、市場に提供する。
772 大腸経由で肝臓機能を亢進させる食品成分(ポリエステル)の開発 牛田 一成 京都府立大学 上條 栄治 龍谷大学 メタボリックシンドロームや高脂血症・脳卒中の予防は、大きな社会問題であり、有効な対策が求められている。本研究者らは、食品全般に含まれる微量成分(ポリエステル)が、大腸機能に直接生理作用を及ぼすに止まらず、代謝や物質生産などの肝臓の機能も亢進すること、そしてその変化は脳神経系や腎臓など他の器官にまで及ぶことを動物実験で見つけた。これらの基礎研究の成果を基に、食品に含まれる微量成分の肝臓から始まる多器官に及ぶ作用とその機構を解明する研究を進め、上述疾患の予防に実用化する。のみならず、器官ネットワークと健康の関係の解明を深める。
858 Aβ離散促進作用に注目したアルツハイマー病予防法の開発 里 直行 大阪大学 内田 国克 大阪大学 高齢化する現代社会において認知症の治療法・予防法の開発は重要課題である。そこで、我々はAβの離散およびクリアランスに注目しアルツハイマー病の予防法の開発を行う。独自に開発したin vitro Aβ sink assayおよびAβの脳室内投与モデルにおいて効果のあった天然物由来化合物に注目し、1)科学的エビデンスにもとづく機能性飲料としての開発、2)誘導体にもとづくAβ離散促進薬剤シーズの開発を目指す。
873 アラビナン分解酵素群を利用したアラビノース含有糖質の合成とその機能性評価 阪本 龍司 大阪府立大学 金澤 廣継 大阪府立大学 オリゴ糖の機能性を利用した様々な食品が利用されているが、糖鎖の化学的特性に基づくオリゴ糖の単離・精製の効率性が産業上の課題である。代表研究者らはアラビノキシランやアラビノガラクタンなどのアラビノースを構成要素とする糖鎖に強力な免疫促進活性や抗がん活性が認められるなど、その潜在的高機能性に着目した。本研究ではアラビナン分解酵素を用いた新規アラビノース含有オリゴ糖の効率的合成ならびにそれらの機能性評価を行う。
899 食肉熟成度の客観的評価法の開発 山之上 稔 神戸大学 鶴田 宏樹 神戸大学 身近で高機能な食品である食肉は、家畜の骨格筋を低温で一定期間熟成させて供給される。現在、食肉の熟成の良否また熟成度合は個々の状況で経験的に判断、評価されているが、食肉の流通や保存時の品質管理、さらに増大する輸入肉の評価等において客観的な熟成度評価法が必要とされる。本試験では熟成中の食肉軟化に着目し、筋原線維小片化の要因であるZ線のぜい弱性を熟成指標として測定する方法を確立し、食肉熟成度の客観的評価法を開発することを目的としている。
912 兵庫県産品を活用した生活習慣病改善食品素材の開発 吉田 和利 兵庫県立工業技術センター 富田 友樹 兵庫県立工業技術センター 兵庫県産品であるイチジクの生活習慣病改善作用について、これまでに生活習慣病モデル動物を用いた試験を実施したところ血糖値上昇抑制作用を見いだした。本研究ではイチジクの生活習慣病改善食品素材としての活用を目的に、血糖値上昇抑制作用の確認および食品素材としてのイチジクの成分・加工特性について検討し「糖尿病改善作用」を有する機能性飲料等の開発を目指す。
951 アミノペプチダーゼを用いた高汎用ジペプチド合成法の開発 有馬 二朗 鳥取大学 作野 友康 鳥取大学 近年、ジペプチドの生理活性に注目が集まり、簡易な新規酵素合成法も報告されつつある。しかし、その現状は一部のペプチド合成にとどまり、汎用性の観点からまだ開発の余地がある。申請者は、放線菌アミノペプチダーゼ(AP)によるジペプチド合成を試み、いくつかの合成に成功した。本研究ではジペプチドの高汎用合成法確立に向け、APを対象に高機能酵素の創成を行うことを目的とした。具体的にはAPの基質特異性に重要な残基を同定し、遺伝子工学的手法を駆使して様々なペプチド合成を可能にする酵素を創製する。
953 高電圧パルスを用いた電界冷蔵庫の開発 箕田 充志 松江工業高等専門学校 糸原 保 島根県 肉や魚などの食品の流通や保存において、その鮮度を長期間維持することが可能となれば、食材の廃棄の問題や消費期限の延長が期待できる。
これらを解決する手法として、食品の凍結状態を変化させることが有効と考えられる。現在、いくつかの技術によって食品の鮮度を維持するシステムが実現されている。
本研究では、高電圧パルスを用いて凍結状態を効果的に変化可能なシステムの開発を試みる。
983 新規アシラーゼを用いたタンパク質への部位特異的脂肪酸付加方法の開発 中西 一弘 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 タンパク質に脂肪酸を付加することにより、乳化性、脂溶性やゲル形成能などの物性及び抗原性の改善など、高度な機能の付与が可能となる。本研究では、放線菌の培養上清中から単離された新規アシラーゼを用いたタンパク質部位特異的脂肪酸付加方法を開発すると共にタンパク質機能を検証する。
998 加圧・減圧連続処理による食材表面の新規殺菌技術の開発 重田 有仁 広島県立総合技術研究所 山下 民治 くれ産業振興センター 生鮮食品、特に野菜や果実等の表面構造が複雑な食品については、従来の洗浄や次亜塩素酸処理では殺菌が困難である。本研究では、減圧と加圧の連続処理により炭酸ガス・エタノール蒸気等の殺菌剤を食品表面に効果的に吸着させる技術を開発し、これまで殺菌が困難であった食品の新たな表面殺菌技術を確立する。本研究では殺菌条件の最適化、大腸菌・カビ・酵母等、種々の微生物に対する殺菌効果の明確化を行う。
999 超音波による食品中の異物検出 青山 康司 広島県立総合技術研究所 山下 民治 くれ産業振興センター 食品の異物検出には、金属探知機、X線異物検出機などが利用されているが、これらでは検出できない異物も多く存在する。超音波技術は非破壊で内部の情報を得るのに有効な手法であるが、食品分野での利用例は少ない。 本研究では、食品への超音波照射で得られたエコー画像の解析に基づく異物検出システムを開発する。研究項目として、食品異物検査に適した超音波照射条件の検討、エコー画像に適した画像解析法の開発、対象食品の明確化を予定している。
1036 クリ渋皮軟化技術を実用化する低投資型渋皮剥き機の開発 平田 俊昭 山口県農林総合技術センター 殿岡 裕樹 山口大学 鬼皮剥き後のクリを加熱した水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、渋皮を軟らかくして、手作業での剥皮時間を短縮する技術を開発した。この剥きクリは、甘露煮での加熱工程を短縮できることや、クリの割れが少ない長所があり、菓子への需要が高い。剥きクリ製造コストを一層低減するため、既に開発している渋皮軟化技術と合わせて、家庭用洗濯機にブラシを装着し、水流とブラシ研磨により渋皮を剥く低価格な機械を開発する。
1038 茶カテキンの脳疾患に対する新しい機能の開拓 加治屋 勝子 山口大学 殿岡 裕樹 山口大学 (特許出願まで非公開)
1058 茶葉抽出液と乳酸菌を活用した発酵漬物の開発 宮ア 絵梨 徳島県立工業技術センター 福田 和弘 徳島県立工業技術センタ− 阿波番茶製造段階で多量に生じ、ほとんど廃棄処分されている茶葉の茹で汁(茶葉抽出液)にはカテキン類などの有用成分が豊富に含まれている。さらに後発酵茶の特徴である茶葉の発酵段階は、乳酸菌などの微生物資源として非常に価値がある。そこで、阿波番茶製造工程から分離した乳酸菌並びに茶葉浸出液を活用した付加価値の高い発酵漬物製造技術を開発し、徳島県の新たな特産品として商品化を目指す。
1063 発育鶏卵を用いた次世代型in vivo抗酸化物質評価法の開発 宇都 義浩 徳島大学 平岡 功 徳島大学 本応募課題は、安価でジェネティック制御下にあるため個体差・実験誤差が小さくスクリーニング実験に適しており、マウスやラットに比べて倫理的問題が非常に少なく、逃亡の危険性がないため動物舎等の特別な施設を必要としない個体である発育鶏卵(ニワトリ胎児が発育中の受精鶏卵)を用いて、機能性食品や天然物由来の抗酸化性物質のin vivo抗酸化活性および毒性を評価することのできる次世代型in vivo実験法を構築することである。
1081 ガス加圧法による新規酵素失活技術の開発 田村 勝弘 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 食品産業において殺菌と酵素失活は最も基本的なプロセスであり,専ら熱処理法が唯一の手段として適用されている。我々はこれまで、スダチ果汁などに有効な、「ガス加圧法」による非加熱殺菌技術を提案してきた。今回の申請は、もう1つの基本的プロセスである酵素失活に対して、ガス加圧法が有効であることを確認し、実用可能な技術にまで高めることを目的とする。
1092 半生麺・佃煮等加工食品の安全性確保法のための変敗菌叢の遺伝子解析法と迅速分析法の開発 末澤 保彦 香川県産業技術センター 白川 武志 香川県産業技術センター 麺類および海苔佃煮等の加工食品において、検出しにくい微生物や乳酸菌などの嫌気性菌による汚染・変敗が発生している。原因追及と対策のために、これら難培養性微生物等を含む微生物全体の菌叢を迅速・正確に把握する必要がある。そこで、微生物群の特定遺伝子をPCRで増幅し変性勾配ゲル電気泳動で分離し菌叢・菌種を判定する方法(PCR-DGGE法)を検討するとともに、ATP測定法やフィルム培地などの迅速微生物測定法の開発も検討する。
1097 低温細菌由来コラーゲン分解酵素の食肉への作用 小川 雅廣 香川大学 倉増 敬三郎 香川大学 低温細菌は低温で働く酵素を有しているので、その酵素は食品原料への応用が期待される。我々は硬い生肉を軟らかくするために、硬さの原因タンパク質コラーゲンを分解する酵素を低温細菌から検索した。その結果、コラーゲンを低温で分解する酵素を低温細菌 C35から見つけ精製した。本申請では、 C35菌のコラーゲン分解酵素を大量生産し生肉へ作用させて、その酵素が肉の組織や物性にどのような影響を及ぼすか調べる。
1121 レプチン感受性変更を介した新規機構による食物繊維の抗肥満効果の検討 岸田 太郎 愛媛大学 入野 和朗 愛媛大学 食物繊維が抗肥満効果を持つかは、その機構も含め未だ論争の最中にある。先の研究で我々はビート食物繊維が、高脂肪食摂取ラットにおいて摂取エネルギー及び体脂肪を低下させることを見出し、その際レプチンレセプター(LR)の視床下部遺伝子発現が増加していることを見出した。本研究は、ビート食物繊維摂取による視床下部LR 遺伝子発現の増加が摂取エネルギー量の低下に関与するを、LR 欠損ラットを用いて明らかにし、さらにLR 発現の増加に関与する食物繊維の性質を調べ、機構を解明することを目的とする。
1150 油の吸油率及び脂肪吸収率の少ない低カロリーパン粉の開発 笹山 新生 愛媛県産業技術研究所 毛利 作太郎 愛媛県産業技術研究所 メタボリックシンドロームが社会問題化し、消費者の健康志向が高まっている中、フライの衣やハンバーグ等の練り込み用材料に利用されるパン粉についても、吸油量の少ないパン粉の開発が望まれている。本研究では、コンニャクゲルや多糖類の添加による吸油率低減効果と、これらの機能性を利用した脂肪吸収率の低減効果について検討し、脂肪吸収を抑制できる低カロリーパン粉の開発を目指す。
1153 香味特性に優れた新規低価格帯清酒の開発 上東 治彦 高知県工業技術センター 津嶋 貴弘 高知県工業技術センター 酒税法改正により、発酵中のモロミに糖類を添加できるにことになり、普通酒の品質改善が図られる。そこで、普通酒醸造に適した酵母を開発する。@アルコール生成量が高い普通酒醸造のために、本県で育種してきたアルコール耐性の弱い吟醸酵母にイソアミルアルコール馴養法等によりアルコール耐性を付与し、普通酒醸造に適応できるよう改良する。A香気成分の生成しにくい普通酒醸造のために、酢酸イソアミルとカプロン酸エチルの両方の高いタイプの酵母を開発し、普通酒の香味の増強を図る。
1173 近赤外分光法を利用した海外輸出用乾物の高品質乾燥装置の開発 河野 俊夫 高知大学 島崎 たどる 高知大学 本研究課題では、我が国で生産する海外輸出向け乾物の高品質化を目的として、近赤外分光法を利用した新しい乾燥装置の開発を行う。近赤外分光法による非破壊内部品質評価機能を備えた新型乾燥装置を用いることにより、海外輸出用のインスタント食材、農産物・水産物・畜産物等の乾物の高品質化を図ることができる。これにより、我が国の乾物食材の輸出競争力の強化と販路拡大を目指す。
1182 錠剤化酵素を用いるビタミンB6分別定量キットの開発 八木 年晴 高知大学 石塚 悟史 高知大学 健康と精神活動を支える必須栄養素ビタミンB6は、天然に存在する6 種類の化合物の総称である。最近、ビタミンB6 の一つピリドキサミンに生活習慣病である糖尿病の合併症を予防し治癒する機能が見いだされるなど、ビタミン類の機能性に注目が集まってきている。本課題は、食品の持つ機能性とヒト血漿中のビタミンB6 濃度をより正しく評価するために必要なビタミンB6 分別定量用キットを開発し、キットを用いた場合の測定条件を確立するための研究を行うことを目的とする。
1183 高知産藻類からのアレルギーおよび糖・脂質代謝制御物質の探索と応用 富永 明 高知大学 石塚 悟史 高知大学 高知産藻類からアレルギーおよび糖・脂質代謝制御に効果のある種を同定し、有効な分画を抽出した後、新規機能性食品の産業創出に資することを目指す。高齢化による生活習慣病の増加や免疫調節機能の低下は国民の最大関心事であり、これらの疾患による医療費増大も社会問題化している。本研究は糖・脂質代謝調節や免疫調節の機能を強化する食品を開発することで、病気の予防と健康維持に貢献することを目的とする。
1220 乳幼児期の種々疾病予知・予防のための腸内フローラ解析システムの構築 中山 二郎 九州大学 深見 克哉 九州大学 乳幼児期の腸内フローラは日々変化しながら序々に安定した成人型フローラへと成熟する。近年の研究から、この成熟化の過程は個人個人で様々であり、定着する細菌の種類やタイミングあるいはバランスにより同時期あるいは後の健康状態が左右されることが示唆されている。本課題では、迅速性・簡便性・信頼性の三要素において優れた腸内フローラ解析システムを構築し、乳幼児期の種々疾病(特に各種アレルギー疾患、慢性の腸炎など)の早期予知・予防システムを確立することを目標とする。
1258 ビワ種子を含有する血糖上昇抑制作用を有する機能性食品の開発 田中 一成 長崎県立大学 梅津 照彦 株式会社長崎TLO ビワは長崎県の特産のひとつで、その出荷量は全国一である。そのうち、ビワ種子は、ビワ果実全体の1/3を占めるが、大部分は廃棄されている。本申請では、未利用資源であるビワ種子を用いて、血糖値上昇抑制作用を有する機能性食品の開発を行う。本成果は未利用資源の有効活用だけでなく、近年では価格低迷しているビワの価値を見直すことにつながり、地元ビワ栽培農家の振興を目指す。
1290 衝撃波負荷による植物油の搾油効率化技術の確立に関する研究 嶽本 あゆみ 熊本大学 野田 耕右 熊本大学 音速を超えた速度で伝播する衝撃波は、伝播媒体物質の密度境界面で透過波と反射波とに分かれる。この際生じる負圧力は、伝播媒体物質に対してスポーリング破壊をもたらす。植物細胞に衝撃波を負荷した場合、細胞壁表面等が破壊作用を受けるため、植物からの抽出効率が高くなる。すなわち植物油を得るために用いられている現行圧搾手法の前処理とすることで、現行の溶剤使用に替わる搾油技術の確立が期待される。
1294 新しいプロバイオティクスによるピロリ菌の増殖抑制効果の検討 村上 和成 大分大学 小林 茂 大分大学 Helicobacter pylori菌(ピロリ菌)は強酸下である胃の中で生息する細菌として発見されて以来、慢性胃炎、胃潰瘍および十二指腸潰瘍との関連が注目されるようになった。今では確実な胃発癌因子であるとも認定され、除菌治療は保険適用となっている。
このような病原菌に対して各個人が簡便に且つ安全に防御に取り組む事を可能にすることを目的として、新しいプロバイオティクス効果が期待できる菌を日常にある食品より分離培養し、経口摂取可能でかつ強酸性下でも抗ピロリ活性を持つ菌を同定し実用化を目指す。
1299 かんきつ類種子の機能性成分の抽出と機能性食品の開発への応用 望月 聡 大分大学 安永 昌二 有限会社大分TLO かんきつ類の種子は、現在ほとんどが廃棄処分されており、有効利用がなされていない。本研究においては、2種類のかんきつ類の種子に着目して、動物実験により、その機能性を明らかにする。種子に含まれる活性成分を種々の方法で抽出し、その抽出成分の効果を確認する。これらの知見に基づいて、活性成分を用いた機能性食品の開発を目指すことを本研究の目的とする。
1300 LC/TOF/MSを活用した残留農薬多成分一斉検索システムの開発 安藤 孝 宮崎県総合農業試験場 平木 永二 宮崎県総合農業試験場 農産物の相次ぐ残留農薬基準違反を受け、厚生労働省は、約250農薬に設けていた残留農薬基準を、平成18年に約800農薬に増やし規制を強化した。 しかし、残留農薬検査において、従来の目視主体の判定手法では、多大な時間がかかってしまう上、農産物由来成分を残留農薬と誤認しかねない状況にある。 本研究は、宮崎県が特許を有する迅速分析技術をベースに、分子量を精密に測定できるLC/TOF/MSの特性を活かした高精度検索システムの開発を目指す。
1301 高品質釜炒り茶の省エネルギーおよび高効率生産技術の開発 松尾 啓史 宮崎県総合農業試験場 高橋 保雄 宮崎県産業支援財団 本研究では、「釜炒り茶」の製茶機械の中でも最も開発が遅れている炒り葉機に関して、熱勘定等これまで明らかにされていない基礎的な構造やメカニズムの解析を行い、これを基に熱回収等の省エネ対策や排蒸機構等の改良などを実施する。このことにより、炒り葉機におけるランニングコストの削減と処理能力の向上を目指し、高品質「釜炒り茶」の安定生産を実現することで、衰退しつつある中山間地域経済の活性化に貢献することを目指す。
1329 甘藷茎葉の機能性と応用研究 平良 淳誠 沖縄工業高等専門学校 伊良部 忠男 琉球大学 本研究は、沖縄県で改良されてきた多品種甘藷の茎葉部の素材としての機能性を発掘し、最終的には加工素材(食品、化粧品)として進展させリサイクルさせることで地域産業の活性化を目指す。甘藷茎葉部にはポリフェノールや葉酸などの機能性成分含量が多いことから、様々な生理作用が予想される。本研究ではその機構解明研究として、血圧系に関与する分子の一酸化窒素ラジカル(NO)調節機構及び過剰の活性酸素によるLDLコレステロール産生抑制を解明する。また、チロシナーゼの酸化抑制及びメラニン生成軽減による美白作用も検討する予定である。
5(B) キチン系バイオマス資源の酵素分解技術と量産化に関する検討 戸谷 一英 一関工業高等専門学校 佐々木 浩二 岩手県南技術研究センター カニ殻など甲殻を原料として精製されたキチンから製造される天然型グルコサミンは関節痛軽減や美肌効果により食品や化粧品などで急速に市場が拡大しているが、製造工程が煩雑で大量の劇薬を使用する。代表研究者らはメカノケミカル粉砕技術と直接酵素分解法の組合せによりキチン質から本単糖を安価に安全に高収率で製造する“環境負荷低減技術”の実用化を目指している。本課題では、精製キチンを原料とした単糖の量産化検討と、従来不可能であったカニ殻からの直接単糖製造技術の確立を実施する。
11(B) 食品残留農薬の迅速スクリーニング分析用試料抽出法の開発 池畑 隆 茨城大学 高木 宣輔 茨城大学 食料の60%以上を輸入する我が国において、食の安全の確保は切実な問題である。筆者らは、食品の残留農薬を高感度で迅速に測定できる新分析法を提案し、2007年度シーズ発掘試験において、試料導入系の開発と標準農薬を用いた分析試験を実施した結果、30ppbの検出感度を達成した。本研究では第2ステップとして、実用化のために必要な1ppb以下の検出感度の達成と、食品から迅速に農薬試料を抽出する試料抽出法の開発を目的とする。

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 バイオテクノロジー:105件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
10 迅速な特定遺伝子検出を可能とするマイクロ波照射ハイブリダイゼーション法の開発 鈴木 正昭 産業技術総合研究所 太田 英順 産業技術総合研究所 遺伝子診断やクローニング等の研究においては核酸のハイブリダイゼーションの反応速度の遅いことが問題となっている。本研究ではマイクロ波によってハイブリダイゼーションを加速し、再現性・信頼性の高い実証装置およびこれに対して最適化されたハイブリダイゼーション液を開発することを目標とする。この装置はFISH法やサザン・ブロット法などの多様な用途に適用可能である。
30 セルロース系バイオマス分解性糸状菌の開発 小田 有二 帯広畜産大学 藤倉 雄司 帯広畜産大学 セルロース系バイオマスの糖化実験には糸状菌Trichoderma reesei由来のセルラーゼが広く利用されているが、実用化に際しては使用する酵素の大幅なコストダウンが必須となる。その打開策のひとつとして、セルラーゼを活発に生産する糸状菌の培養液を酵素源として使用する方法が考えられる。本研究ではTrichoderma reesei以外の糸状菌からセルロース分解活性の高い菌株を取得する。
52 薬用植物カンゾウの薬理成分トリテルペノイドの生成技術の開発 高上馬 希重 北海道医療大学 蛸島 武広 北海道医療大学 薬用植物カンゾウは漢方薬「甘草」として利用され、甘味料、健康食品としても広く用いられている。肝機能改善や抗炎症などの薬理作用をもつトリテルペノイド化合物を多種類含んでいる。カンゾウの成長は遅く、製品として育つまでには数年を必要とする。そのため、短期間に安定してトリテルペノイド化合物を生成する培養細胞開発が切望されている。本課題では、培養細胞の増殖条件、トリテルペノイド化合物の生成条件の検討を行い、医薬品や健康食品、化粧品製品などの生産に応用されることを目標とするものである。
56 巨大ポリペプチド高速固相合成法の新薬開発への応用 松浦 俊彦 北海道教育大学 清水 條資 科学技術振興機構 巨大ペプチド高速固相合成法を活用したポリペプチドの合成のみならず、ポリペプチドの機能(効き目)評価も連続的に行う全く新しいバイオチップを開発する。本提案では、水系環境下における生体分子間相互作用の高感度検出の条件検討を行い、新規バイオチップを用いた新薬開発への実用化の見通しを得る。
59 環境プロテオミクスに基づく汚染土壌修復法の開発 笠原 康裕 北海道大学 清水 條資 科学技術振興機構 環境修復は社会的課題であり、微生物を利用した環境修復法として、主に汚染化学物質を分解する微生物の探索・育種と環境抽出DNAの網羅的塩基配列決定からの有用分解遺伝子探索の面から進められている。本研究は、汚染土壌試料から総蛋白質を抽出し、その環境蛋白質プロファイルの変化から分解関連蛋白質群の検出・同定を行う。さらに検出され蛋白質情報より、有用遺伝子・微生物を特定し、汚染現場修復への可能性を目指す。
80 AKT活性特異的阻害ペプチドに基づく抗腫瘍剤の開発 野口 昌幸 北海道大学 須佐 太樹 北海道大学 ヒトのプロトオンコジンTCL1分子の結晶構造解析に基づいたAKT結合アミノ酸配列におけるアミノ酸の置換、修飾、重合化などの修飾を行い、これら修飾ペプチドのAKT結合性、活性阻害効果、特異性、分子学的な阻害機序、抗腫瘍効果を比較検証し、AKT活性をより特異的、効果的かつ安全に阻害する阻害薬剤の開発を試みる。
114 低分子RNA分離システムの開発と製品化 牛田 千里 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 生体内には様々な低分子RNAが存在し、個体の発生や細胞の分化、あるいは疾患と関係している。本課題では二次元電気泳動法を利用した低分子RNA分離システムを、さらに操作性よく、効率的に行えるように改善し、将来的な商品化や受注システム化を念頭にキットとして提供できるような形に整える。商品化に備えてシステムの有効性をアピールできるように、より多くの実施例をその確実性とともに示す。
118 ナチュラルプロモータを利用した再生神経の可視化ラットの作成 上野 伸哉 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 再生神経を可視化するため、再生時に発現する蛋白のナチュラルプロモータ部分をクローニングし、その下流にEGFPをはじめとした蛍光タンパクを組み込んだベクターを用い、トランスジェニックラットを作成する。この遺伝子改変ラットの作出により、組織が生きた状態での再生神経の同定が可能となる。神経障害および再生過程における神経活動機能変化を直接観察し、神経再生時の神経活動の役割解明を目指す。
136 ネコ尿タンパク除去キットの開発 山下 哲郎 岩手大学 小川 薫 岩手大学 ストレスの多い現代社会においてペットに安らぎを求める人が多くなり、ネコの飼育頭数は年々増加しているが、獣医療の発達やペットフードの普及によりペットの高齢化が進行し、腎臓病を患う飼いネコが増えている。本申請課題は、ネコの腎臓病の早期発見の目的で、ネコの尿タンパクを飼い主が簡便に測定できる検査方法の確立と検査キットを開発することを目指すものである。
151 岩手県久慈産琥珀とロシア産琥珀に含まれる機能性物質の差別化とその応用 木村 賢一 岩手大学 小川 薫 岩手大学 琥珀は新生代の第三紀の植物樹脂が地中で化石化したもので、日本ではロシア産と久慈産琥珀が装飾品として商業化されている。本研究は、琥珀の中に閉じ込められた新たな機能性物質を、Ca2+シグナル伝達に関わる遺伝子変異酵母を用いてそれぞれの琥珀から単離精製し、その構造や活性、並びに量を明らかにし、両琥珀を比較してその差別化を図る。そして、高血圧やアレルギーなどに対する機能性素材としての実用化の可能性を検討することを目的とした。
153 米由来アルツハイマー病経口ワクチンの安全な投与法の開発 吉田 泰二 農業・食品産業技術総合研究機構 児嶋 清 農業・食品産業技術総合研究機構 アルツハイマー病は、アミロイドベータペプチド(Aβ)の脳内蓄積が原因で発症する。この病気の予防法として、Aβ含有植物由来の経口ワクチンが考えられる。このワクチンには、免疫を増強させるためコレラトキシンB サブユニット(CTB)等の添加が必要である。CTB は無毒であるが、人への投与は現在認められていない。本研究では、米を用い、CTB 無添加あるいは低濃度添加で高い効果があるワクチン投与法を開発する。
160 新規酵母による海藻からバイオエタノール生産法の開発 金内 誠 宮城大学 渡邉 君子 東北大学 地球温暖化対策として、バイオエタノールが注目されているが、原料として、トウモロコシなど農作物を用いることにより、食料の不足や価格高騰を引き起こすなど大きい問題となっている。この課題では、海藻原料をとして、新規に分離した酵母を用いて、海藻を分解し、更にエタノール生産まで同一の菌株を用いるという特徴を持つ生産法を開発している。本課題により、地球温暖化対策に貢献できると試算されるものである。
196 放線菌を利用したダイオキシン類化合物の新規分解菌の作製と評価 春日 和 秋田県立大学 渡邊 雅生 秋田県立大学 本課題では、土壌中に残存するダイオキシン類を効率よく分解できる放線菌を育種することを目標としている。土壌細菌由来のジベンゾフラン(DF)分解遺伝子群を安全な放線菌宿主の染色体に導入し、遺伝子発現をも強化して、DF分解活性が強力かつ安定な菌株を作製する。このDF分解菌について、塩素化ダイオキシン類分解能や土壌系でのDF分解能を試験し、新規ダイオキシン分解系としての実用化の可能性を検討する。
197 皮膚の加齢指標となる遺伝子マーカーの探索 小西 智一 秋田県立大学 渡邊 雅生 秋田県立大学 加齢によって皮膚がどう変化するのかを遺伝子発現のレベルで明らかにし、加齢に特徴的なマーカー遺伝子を見つけるのが目的である。このために、複数の月齢にあるマウス真皮からRNAを抽出し、マイクロアレイによってトランスクリプトーム解析を行う。これらのマーカーは、加齢を遅らせる・あるいは若返らせるための医薬品・機能性食品・基礎化粧品を選択するスクリーニング系を作る基盤になる。
211 西洋ナシの世代促進技術の実用化 高品 善 山形県農業総合研究センター 伊藤 正善 山形県産業技術振興機構 桃栗三年柿八年というように果樹では、種を播いて実がなるまで5〜10年かかるため、新品種開発に10年以上を要する。時代によって変化する消費者ニーズにあった新品種を開発するには何世代にもわたり育種が必要であるが、1世代10年、5世代で50年を必要とする現状の育種手法では実施不可能である。一方、我々は花成制御遺伝子を導入した早期開花性西洋ナシを作出し、1〜2年で開花・結実させることに成功した。この技術を利用すれば、育種年限が画期的に短縮できる。しかし実際の育種に利用するには、安定的に花を咲かせ、種を十分獲得し、世代促進をする必要がある。そこで、本課題では、早期開花系統のシュート接ぎ木に最適な条件を検討し、開花を安定化させることで、次世代の獲得を容易にする。
232 昆虫の腸内共生微生物由来セルラーゼの精製とその特徴解明 杉森 大助 福島大学 森本 進治 福島大学 本試験では、中性域で作用し、古紙などを強力に糖化することが可能なセルロース分解酵素セルラーゼを開発することを目的とする。具体的には、糖化微生物の分類学上の同定、セルラーゼの精製とその特徴解明、セルラーゼ遺伝子のクローニングと塩基配列解析、セルラーゼ活性・触媒能力評価を行なう。
239 タンパク質結晶化分析装置の開発 若松 孝 茨城工業高等専門学校 柏渕 泰彦 株式会社ひたちなかテクノセンター 創薬を目的とするタンパク質結晶の構造解析には、良質なタンパク質結晶の供給が必要である。しかし、現状ではタンパク質結晶化のスクリーニングは、試行錯誤で行われており、多大な時間と労力を要する。そこで当試験研究では、高精度レーザ光計測技術を駆使して、タンパク質の結晶化状態を高感度に計測できる高精度スクリーニング技術の開発を目指し、タンパク質結晶化の高精度分析装置の開発を主目的とする。
244 タンパク質をゴルジ体に局在化させるための技術開発 横尾 岳彦 産業技術総合研究所 小高 正人 産業技術総合研究所 酵母細胞に有用な糖タンパク質を生産させるためには、酵母のゴルジ体に外来糖転移酵素を効率よく局在化させる技術開発が必要である。私達はこれまでに、酵母の糖転移酵素Och1pおよびMnn9pのゴルジ体への局在化に重要な領域を同定し、Och1pの局在に必要なタンパク質を発見した。これらの知見を活用し、Och1pおよびMnn9pに融合させた外来糖転移酵素の酵母ゴルジ体への高効率な局在化技術の開発を目指す。
250 新規遺伝子発現系を使ったバイオ医薬品製造法の開発 中西 真人 産業技術総合研究所 小高 正人 産業技術総合研究所 抗体医薬や組換えワクチンなど人体に直接投与するバイオ医薬品の生産技術として、遺伝子増幅が可能なハムスター由来CHO-DG44細胞を使った生産系が主に使われている。しかし、この系には、実用的なレベルにまで遺伝子を増幅するために1年以上の時間と高いコストを必要とする欠点がある。本課題では、細胞質で多コピーの遺伝子を安定に維持できる持続発現型RNAレプリコン技術を応用して、短期間で大量のタンパク質を生産できる技術の開発を行う。
252 変異型タンパク質のアミノ酸配列設計ソフトウエアの開発 本田 真也 産業技術総合研究所 小高 正人 産業技術総合研究所 タンパク質工学は、計画されたアミノ酸置換により分子物性を合目的的に改変することが可能であることを示してきた。しかし、置換には不測の影響を伴うことが一般的で、複数の性質を同時に向上させることは容易ではない。本課題は、任意のタンパク質の構造座標データを用いて、本来の機能を損なうことなく構造安定性のみを向上させた変異型タンパク質を製造することを支援する分子設計ソフトウエアを開発することを目的とする。
260 自己組換えを制御できる遺伝子導入ベクターの開発 三輪 佳宏 筑波大学 林 良夫 筑波大学 申請者は、抗生物質ドキシサイクリン(dox)の添加で、従来の転写のみに依存する方法よりも精密に遺伝子発現を制御できる新技術を開発している。そこで、これをCreなどの様々なDNA組換え酵素に応用し、目的遺伝子を発現させるベクターに自己組換えを起こす方法論を確立する。これは、役目が終わった段階で自由自在に除去できるベクター開発の基盤技術であり、iPS細胞の安全性を飛躍的に高めるための強力な技術となる。
271 植物ウイルスの新規外来遺伝子発現ベクターの開発 夏秋 知英 宇都宮大学 山村 正明 宇都宮大学 導入した遺伝子を発現するように植物ウイルスを改変したウイルスベクターは、遺伝子組換え植物と異なり短時間で目的とする外来遺伝子を発現させたい場合に極めて有用で、これまでにも多数の報告があるが、その多くは実験用植物のタバコやシロイヌナズナでの利用例である。そこで本課題では、植物体が小型で施設栽培技術が確立し、ウイルスベクター接種後の管理が容易なピーマンやトウガラシなどで利用可能な外来遺伝子発現ウイルスベクターを開発する。
281 キシロースからエタノールを生産する酵母の育種研究 関口 昭博 群馬県立産業技術センター 上石 洋一 群馬県 とうもろこしやサトウキビなどからのバイオエタノール生産は、穀物価格の高騰を招くなど、様々な課題を含んでいる。そこで、食物でない木質系バイオマスからのエタノール生産が必須の課題となっている。しかし木質系エタノールの製造には様々な課題があり、その一つが糖化液中に最大で30%含まれるキシロースの未利用問題があった。本研究は、微生物の作出とくにキシロースを効率よく発酵してエタノールを生産する酵母の作出にポイントを絞り、従来のエタノール発酵に使われるSaccharomyces cerevisiaeと、キシロースを栄養源とするPachysolen tannophilius,Pichia stipitisなどとの細胞融合、または変異誘導により、キシロースを高発酵する酵母の作出を目指す。
282 食用野菜中のホスホリパーゼを利用した工業用酵素製剤の開発 仁科 淳良 群馬県立産業技術センター 上石 洋一 群馬県 本研究の目的の一つは、食用野菜に含まれる酵素(ホスホリパーゼ)の特性と利用法を明らかにすることによる、産地廃棄される野菜の有効利用法の提案である。具体的には、これまで検討したキャベツ、大根、キュウリ、なすを含む様々な食用野菜の酵素活性を比較し、ターゲットとする野菜(最も酵素活性の高い野菜)を絞り込む。次に、100gスケールの野菜酵素抽出を行う。さらに、野菜酵素の反応条件の最適化、反応生成物の調査し工業用としての実用性を明らかにする。
298 高滞留性・選択性を有する新規の糖脂質含有薬剤ナノカプセルの開発と応用 平井 光博 群馬大学 小暮 広行 群馬大学 酸性糖脂質ガングリオシド(GD)を含む安定な脂質混合リポソーム作製法を検討し、高体内滞留性・高標的性薬剤ナノカプセルとしての新たな応用指針を確立する。そのために、代表研究者の中心的な研究手法である放射光X線・中性子線を用いたナノスケールの構造解析法、脂質混合系の物性評価法を駆使して、研究室にて精製した各種GDを含む安定な脂質混合リポソーム作製法を確立する。
344 植物ホルモンを認識する抗体を用いた不稔性植物の開発 鈴木 義人 東京大学 松尾 一也 東京大学 植物の品種改良における品種間の交配では、自家受粉を避けるために雄しべの除去という作業を伴う。従って花粉の伸長などの雄しべ側の機能が低下した植物(雄性不稔)はその労力を軽減させる意味で有用である。植物ホルモンの一種ジベレリン(GA)は、近年、花粉管の伸長にも重要な働きを持つことが判明した。本課題では、GA と結合性のある抗体を植物花粉に高発現させ、GAの機能阻害に基づく雄性不稔系統の作出技術を確立する。
347 毛包組織からの幹細胞分離技術の開発 吉野 知子 東京農工大学 田中 公 東京農工大学 頭髪は皮膚の中で複数の細胞種から構成された毛包組織によって構成されており、この組織の消失と再生システムを司る毛包幹細胞は薬剤開発のターゲットとして注目されている。本研究では抗体を発現したバイオナノ磁気ビーズを用いて、極微量に存在する幹細胞を高純度に分離する技術を確立する。本手法は、大型の装置を必要とせず、簡便に組織からの幹細胞分離が可能なため、診断・治療への応用範囲の拡大が期待できる。
348 短いペプチド系タグと低温発現技術の融合による組み換えタンパク質の可溶化法の開発 黒田 裕 東京農工大学 平田 美智子 東京農工大学 大腸菌を宿主とする組み換えタンパク質の大量発現系では、封入体形成が大きな問題となる場合が多い。本計画では、大腸菌内の封入体形成がタンパク質の熱安定性と溶解性の両者に由来する現象であることを踏まえて、現在までの研究で開発してきたタンパク質・酵素の溶解性を著しく向上させる短いペプチド系溶解性向上タグ(特願2007-303780号)とCspAプロモーターによる低温発現系を組み合わせた強力な封入体形成防止法の開発を提案する。
350 変形アプタマーによる酵素捕捉を利用した超高感度センシングシステムの開発 池袋 一典 東京農工大学 平田 美智子 東京農工大学 研究者は、平成18〜20年度にNEDOの産業技術研究助成事業で血糖値測定用センサーのグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を阻害するアプタマーを探索し、これで標的分子を簡便・迅速に検出するアプタマー酵素サブユニットを開発した。この際GDHの活性を阻害せず、抗体並みの結合能でGDHに結合するアプタマーも取得した。本研究では、これを用いて全く異なる原理で標的分子を高感度検出するシステムを開発する。
351 超高効率な針挿入を行う細胞操作方法の開発 中村 史 東京農工大学 平田 美智子 東京農工大学 研究者は細胞を精確に操作するツールとして、細胞に直径数百nmの針(ナノ針)を挿入し、操作するという技術「セルサージェリー」を開発している。ナノ針の使用により細胞操作の効率は大幅に向上したが、初代培養神経細胞など非常に針挿入しにくい細胞がある。あらゆる細胞に100%の効率で挿入操作を行うことが出来れば、細胞制御のための重要な要素技術になる。本研究では、ナノ針の磁気励振を行うことによって針を高速振動させ、膜貫通効率を飛躍的に上昇させる手法を開発する。
352 ナノ磁性粒子を利用したPCR-free遺伝子検出法の開発 田中 剛 東京農工大学 田中 公 東京農工大学 病原性細菌(大腸菌)の16S rRNAをターゲットとした即時性、簡便性に優れたPCR-free遺伝子検出法の開発を目的とする。本法の特徴は、PCRによる遺伝子増幅に代わり、ナノ磁性粒子を用いてRNAを磁気濃縮することで系内のRNA増幅する方法を採用する。蛍光標識DNAプローブをナノ磁性粒子上に濃縮されたRNAとをハイブリダイゼーションさせることで、RNA検出の高感度化を実現する。
366 フラジェリン変異体タンパクを利用した抗緑膿菌ワクチンの開発 武下 文彦 横浜市立大学 今井 紘 横浜市立大学 新規変異型フラジェリン(FliC R90A)を免疫することで、自然免疫抑制性抗体を誘導することなく、効率よく緑膿菌に対する感染防御能を賦与できることを世界で初めてあきらかにしている(特願2007-17446(外国出願PCT/JP2007/64065))。本研究課題は、FliC R90Aタンパクワクチンを作製し、マウスを用いた効果判定、臨床治験に必須の諸条件を最短期間で整えることを目標とする。
371 プロテオーム解析のためのオンチップ転写翻訳マイクロアレイの試作 土居 信英 慶應義塾大学 藤本 弘一 慶應義塾大学 DNAを固定したチップ上で無細胞転写・翻訳反応を行うことで、数千から数万種類のタンパク質を同時に調製し、直ちに機能解析に用いることができるReady-to-Use型のオンチップ転写翻訳マイクロアレイを実用化するために、本試験研究では約100種類のモデルタンパク質を用いたマイクロアレイを試作し、アレイの大規模化・高密度化に向けたデータ収集を行う。
383 人工核酸を用いた成熟miRNA選択的検出法の開発 清尾 康志 東京工業大学 松本 進 東京工業大学 生体内で20塩基程度のmiRNAが生体機能を制御していることが明らかになり、その活用はバイオ・ゲノム医療の最大課題である。本研究では独自の短鎖RNA選択的検出プローブの技術を発展させ、細胞内から成熟miRNAを選択的に検出する技術の確立を目指す。既に見出したプローブの性質の解明とこれらを搭載したmicroarrayの開発を行ない、miRNAの選択的・網羅的検出とバイオ研究ツール開発を目指す。
389 糖尿病モデルブタの性能試験 長嶋 比呂志 明治大学 北川 貞雄 明治大学 我々は遺伝子操作により、先天的に高血糖の症状を呈するブタの開発に成功した。このブタの成長過程における糖尿病症状(合併症も含む)の詳細な解析、すなわち各種血液生化学検査、病理検査、糖尿病治療薬に対する反応性試験などを行なう。さらに、生殖能力の有無を確認すると共に、生殖細胞(精子)の保存を行う。以上から、このブタを糖尿病モデル動物として確立し、将来的には糖尿病研究者に提供することを最終目的とする。
394 タンパク質低速合成大腸菌株AM68を利用した有用タンパク質生産システムの開発 伊東 孝祐 新潟大学 中津 普門 新潟大学 タンパク質生産システムは、バイオ研究、医薬品や産業用酵素の生産に必須な基盤技術である。現在最も多く利用されているタンパク質生産システムは大腸菌の系だが、ヒトなどの真核生物由来のタンパク質は、生理的活性を持ち得ない不溶性タンパク質として生産される例が多い。その主要な原因として、大腸菌内でのタンパク質合成速度が真核生物のそれに比べて早く、タンパク質が正常に折り畳まれないことがある。本課題では、タンパク質を低速に合成する大腸菌株AM68とタンパク質の折り畳みを促進するシャペロンを共同的に働かせることにより、有用タンパク質を安価かつ容易に大量生産するシステムを開発する。
402 機能性食品製造に利用可能なキチン分解酵素の開発 渡邉 剛志 新潟大学 中津 普門 新潟大学 近年、グルコサミンが変形関節症などに顕著な改善効果を持つことが注目されている。しかし、グルコサミンは苦みを持つため食品素材に適さず、また現在用いられている製法は環境への負荷が大きい。そこで、同様の効果がありさわやかな甘みを持つN-アセチルグルコサミンや、キチンオリゴ糖を、酵素分解によって得るために、食品に利用可能なキチン分解酵素を発酵微生物から探索する。そして、食品中のN-アセチルグルコサミンの増強、発酵微生物を利用したN-アセチルグルコサミンに富む食品の開発を検討する。
423 微生物の機能に基づいた検出技術の開発と脱窒素細菌群への適用 荒木 信夫 長岡工業高等専門学校 目黒 正義 にいがた産業創造機構 本研究では、脱窒素細菌群が共通して保有する脱窒素反応機能遺伝子のmRNA を標的としたFISH 法を開発することにより、処理プロセス内の活性汚泥から脱窒素機能を発揮している細菌群を、細胞を破壊することなく、かつin-situ で、網羅して検出する技術を開発する。
430 細胞スクリーニング用低コストチップの開発 大永 崇 富山県工業技術センター 谷野 克巳 富山県工業技術センター 本研究では、多数の細胞や微生物の中から必要な性質を持ったものを選び出すツールとして、1個の細胞や微生物を収納できる穴が格子状に多数配列した構造を持つチップを開発する。樹脂を用いる成形により低コストでチップを提供できるようにすると共に、チップ表面に反応性を導入して抗体、酵素、色素などを表面に固定できるようにする。これにより、穴に入った特定の細胞や微生物が産生する物質が穴の周りの発光や色の変化を生じさせ、その穴がマークされることで、スクリーニングを可能とする。
432 生物情報を活用した医薬品の製造工程改良と新規物質の生産 橋本 正治 富山県立大学 福井 敏 富山県立大学 これまでは解明が困難であった微生物由来医薬品の生合成過程を、生物情報を活用して遺伝子、蛋白質レベルで解明する。それらの知見を応用して医薬品製造工程の改良を行い、製造コストの低減を図る。さらに人為的に生合成遺伝子の改変を行い、有効性や安全性で既存薬を上回る新規医薬品のシードを創製する。
438 糖尿病性腎・網膜症予防薬の簡易スクリーニング法の開発 加藤 一郎 富山大学 佐貫 大三郎 富山大学 糖尿病性網膜症、腎症などの糖尿病合併症の予防とその治療は現代医学における最重要課題となっており、その根本的治療薬剤の開発は急務となっている。我々が新規に開発した糖尿病モデルマウス(変異型カムキナーゼ2α遺伝子導入マウス)は生後20週において糖尿病性腎病変と網膜病変を完成する。本課題では変異型カムキナーゼ2αマウスをモデル動物として用い、糖尿病合併症予防候補薬の簡易スクリーニング法を確立する。
472 油汚染環境を修復する微生物製剤の開発 井上 智実 石川県工業試験場 塚林 和雄 石川県産業創出支援機構 【目的】油汚染土壌の浄化に使用されている微生物製剤は、輸入製剤が主流であるため、国内土壌への適用性の観点から、国産微生物を用いた微生物製剤を開発する。【内容】@分離微生物の安全性評価:微生物の同定およびマウスを用いた急性毒性試験を行う。A分離微生物の製剤化条件の検討:凍結条件、凍結乾燥保護剤、保存方法の検討を行う。B混合微生物製剤の評価:鉱物油分解微生物と植物油分解微生物を製剤化後に混合し、複合油の分解活性を評価する。
476 未開拓電磁波領域を用いた細胞膜秩序ドメイン構造の制御技術開発 濱田 勉 北陸先端科学技術大学院大学 山本 外茂男 北陸先端科学技術大学院大学 本研究課題は、電磁波による細胞膜秩序ドメイン構造(脂質ラフト)の制御技術開発を目的とする。細胞膜は電磁波と特異的に相互作用することが考えられるが、検証はほとんど進んでいない。顕微鏡上に電磁波照射システムを構築し、生体模倣巨大リポソームによる試験管内系および培養細胞系の両レベルにおける細胞膜秩序ドメイン構造の制御を行う。
487 イオンビームによって変異処理した冬虫夏草菌による抗腫瘍性物質「コルジセピン」大量生産法の開発 榊原 三樹男 福井大学 吉田 芳元 福井大学 冬虫夏草に含まれている有効成分「コルジセピン」は、抗腫瘍・抗菌性および転移用抑制作用を持つ物質として医薬品(HIV感染症、白血病の治療薬)への展開が大いに期待されている物質である。本研究では、このコルジセピンに着目し、その生産能を実用化レベルにまで向上させることを目指した。具体的には、冬虫夏草の菌糸体に加速器シンクロトロンから放射される高エネルギーイオンビームを照射し、突然変異を誘発させ、従来の10倍以上のコルジセピン高生産株を誘導することに狙いを定め、コルジセピン大量生産法の確立を目指した研究を行う。
522 耐塩性・耐熱性を有する新規セルラーゼ製剤の開発 水野 正浩 信州大学 田草川 信雄 信州大学 耐塩性・耐熱性を有する海洋性糸状菌由来のセルラーゼを用いて、セルロース系バイオマスの分解に用いる新規セルラーゼ製剤の開発を行うものである。本酵素は、既存のセルラーゼと比較し高塩濃度で作用することが可能であることと、耐熱性に優れているという利点を有する。また、菌体の増殖が早く酵素分泌量も高いことから、セルラーゼ製剤として用いることでバイオマス分解におけるコスト低下を図ることが可能となる。
573 環境ホルモン汚染土壌浄化能を強化した担子菌の開発 平井 浩文 静岡大学 杉山 登英 静岡大学 環境汚染物質分解に優れた担子菌を利用したバイオレメディエーション技術を確立することを目的とする。担子菌が汚染土壌にて高発現するタンパク質を検索し,本タンパク質遺伝子プロモーターと,環境ホルモン類分解に優れた担子菌Phanerochaete sordida YK-624株の産生する新規リグニンペルオキシダーゼ(YK-LiP)遺伝子を連結・セルフクローニングし,土壌にてYK-LiPを高発現する担子菌を開発する。
613 金属イオン誘導によるタンパク質高発現系とのセンサーへの応用 田中 俊樹 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 微生物によるタンパク質発現を行う場合、糖誘導体が一般的に用いられている。この研究では、金属イオンを誘導物質として用いる系を構築する。即ち金属イオンを結合することで構造ができあがり、DNAへの結合、さらに転写を促進するタンパク質を構築する。このことで、金属イオン誘導型のタンパク質発現系ができる。この系を用い、発現されるタンパク質を蛍光性のタンパク質にすることにより金属センサーの開発への応用を図る。
620 新規関節リウマチモデル動物を用いた抗リウマチ薬の有効性に関する実用化実験 金澤 智 名古屋市立大学 羽田 裕 名古屋産業科学研究所 D1CCトランスジェニックマウスは、これまでのCIA(collagen-induced arthritis)モデルマウス等と比較して、ヒト関節リウマチに極めて類似した症状を示す。既存の抗リウマチ薬投与により実際に関節リウマチ様の症状が改善ないし治療できるか否かは、D1CCトランスジェニックマウス実用化において最重要課題の一つである.このデータを得る事で、本トランスジェニックマウスが治療薬開発の際のスタンダードマウスの一つとなる事を最終目標とする.
627 長生き酵母遺伝子の解析と微生物発酵生産性向上への応用 饗場 浩文 名古屋大学 伊藤 靖浩 名古屋大学 微生物による醸造や発酵生産は、日本が世界をリードする重要産業である。微生物を回分培養すると、対数増殖期から定常期を経て、生物活性が著しく損なわれる死滅期に入る。最近我々は分裂酵母を用いて、定常期での生存率を長期間維持させる新規遺伝子を見いだした。定常期での生存率は細胞の経時寿命と定義されることから我々はこの遺伝子を、「長生き遺伝子」と呼称している。本課題ではこの長生き遺伝子の機能解析をもとに、発酵生産微生物の長寿命化を図り、生産性の向上へと結びつけることを目指す。
631 低分子RNAを利用したRNA農薬による植物寄生性線虫防除法の開発 佐藤 豊 名古屋大学 野口 正樹 NPO法人東海地域生物系先端技術研究会 線虫による農作物被害は甚大であるが、線虫汚染土壌から線虫を完全に駆逐することは不可能であり、根本的な対策が待たれている。そこで、本試験により植物が生産する低分子RNAを線虫防除の農薬として利用する新規システムの開発を行う。線虫ではエサとして摂取した2重鎖RNA由来の低分子RNAがトリガーとなり、線虫の遺伝子発現が抑制される。そこで、線虫の増殖に必須な遺伝子の2重鎖RNAを植物に作らせることにより、その植物に寄生する線虫の増殖とそれによる被害を抑えるためのシステムを構築する。
636 脳内転写活性をイメージングする方法の開発 小野 健治 名古屋大学 吉田 勝 名古屋産業科学研究所 生体イメージングに用いられるMRIや光技術はそれぞれ長所と短所をもつ。前者は形態学的特徴を描出し断層像が得られるが遺伝子発現の解析には適さず、後者は遺伝子発現の計測には適するが生体物質による散乱や吸収のため断層撮影は難しい。遺伝子改変動物を用いた生体計測のニーズが高まる中、生体内遺伝子発現の空間的、時間的解析技術が求められている。そこで本研究では造影効果のある酸化鉄を高濃度に結合するフェリチン遺伝子を用いてMRIによる脳内遺伝子発現イメージングの開発と実用化を目指す。
652 花き分子育種のための花弁特異的発現誘導プロモーターの開発 白武 勝裕 名古屋大学 野口 正樹 NPO法人東海地域生物系先端技術研究会 花色、花の形、花持ち性などの改変を目的とした、花きの分子育種に必要となる「花弁特異的発現誘導プロモーター」の開発に取り組む。既に花弁で発現することが報告されている遺伝子のプロモーター領域を単離し、そのプロモーター下にGUSレポーター遺伝子をつなぎ、植物への形質転換またはボンバードメント法による組織片への遺伝子導入を行う。GUS染色が花弁特異的かを検定し、「花弁特異的発現誘導プロモーター」として利用可能なものを見出す。
660 恒温DNA増幅法の開発 梁 興国 名古屋大学 近藤 良治 名古屋大学 本申請者らは制限酵素とDNAポリメラーゼの併用により、通常のPCRの様に温度を昇降させることなく、一定温度に保ちながら極めて高効率にDNAを増幅させることに成功した。また、この増幅は広い温度範囲(25〜80℃)で行われることも明らかにしている。本シーズ発掘試験研究では、最適な制限酵素とDNAポリメラーゼを選択し、低温度領域(25〜50℃)において、高い特異性と高い増幅効率を持つ恒温DNA増幅法の開発を目指す。
688 新しい分析技術のための超高感度蛍光検査法の開発 白井 伸明 滋賀県工業技術総合センター 倉上 茂 滋賀県 わずか一滴の血液や唾液などから臨床検査や遺伝子検査が可能となるには、微量、高感度な分析技術の開発が必要とされている。そこで、1滴のサンプル中の蛍光分子プローブを従来の蛍光測定法よりもケタ違いに高感度に検出できる技術手法を開発し、医療や生命科学の研究、検疫・安全保障など安心安全な暮らしに必要なイノベーション技術につながる測定技術を確立する。
693 有用環境ゲノム資源発掘のシステム開発 阿部 貴志 長浜バイオ大学 福崎 優太 長浜バイオ大学 未利用な環境ゲノム資源を対象に、大量なゲノム断片の配列決定を行うメタゲノム解析として、産業的に有用な遺伝子を発掘する技術が開発されたが、大半の遺伝子情報は既存の情報学手法での機能推定が困難であった。異なった原理での遺伝子機能推定法の確立が急務である。我々が開発した一括学習型自己組織化マップ(BLSOM)法を技術の核に、「環境由来微生物ゲノムからの有用遺伝子発掘システム」の確立と製品化を目指す。
698 二波長全反射照明を用いたMicroTASにおける高感度生体分子検出技術 横川 隆司 立命館大学 工藤 真弓 立命館大学 本課題は、生体分子の高感度検出に用いられる全反射照明技術をMicroTAS (Micro Total Analysis Systems)の検出部に統合する技術開発をおこなうものである。励起用光源を簡易に導入できる光学系をMEMS技術により製作して、別途製作するMicroTASの検出部と接合する。これにより、MicroTAS内で扱う極微量溶液内の低濃度分子を高感度に蛍光検出することを目指す。
722 高効率で簡便な昆虫遺伝子導入ベクターの開発 伊藤 雅信 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 昆虫への遺伝子導入は、有用物質の生産(昆虫工場)や疾患モデルの研究・解析に欠くことができない基本的な技術である。キイロショウジョウバエのDNA型転移因子(トランスポゾン)の一種を利用した新規の高効率ベクターの研究開発を行う。このトランスポゾンの高効率転移メカニズムを明らかにし、その特徴を活かしたベクターの実用化により、昆虫への外来遺伝子導入技術の飛躍的な簡便化とコストダウンを目指す。
731 天然動物型タンパク質の構造解析に適したカイコ由来の無細胞タンパク質合成系の開発 長岡 純治 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 昆虫(カイコ)の器官(絹糸腺)抽出液を用いた、天然動物型タンパク質の構造解析に適した無細胞タンパク質合成系の開発を行う。そのために、多様な材料(カイコの系統や飼育方法)を利用して系を試作して比較・選択する。同時に、各反応系の特徴を生化学的に検討して、既存系の問題点を解決する施策を見出して、実行する。これらにより、新たな系の選択肢を提供するのみならず、今までにない使い勝手の良い系の創造を目指す。
733 難生分解性芳香族ポリエステル、PETを分解可能な酵素の開発と応用 平賀 和三 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 芳香族ポリエステル, ポリエチレンテレフタレート(PET)は、難生分解性であるためにPET は焼却や埋立て処理されている。我々は、世界に先駆けてPET を単独で分解可能な微生物の単離に成功し、最近、その酵素の精製に成功した。本プロジェクトは、従来不可能とされてきた、PET の酵素分解機構を明らかにし、PET 分解速度の向上や、応用を目指す。
744 レーザを活用する選択的・高効率遺伝子導入システムの開発 久保 康児 京都大学 藤森 賢也 京都大学 動物細胞への光学的な遺伝子あるいは外来物質の導入法を開発し、そのシステム化を図る。既に研究代表者は、植物細胞を対象とした光ピンセットによる遺伝子導入技術と、浮遊細胞のハンドリング技術を確立している(特許申請済み)。そこで、この技術を基に応用領域の拡大を目指して、微生物や動物細胞を対象とした手法を確立し、汎用性が高くかつ低侵襲なDDSを開発する。また、その課程において、マイクロスケールでハンドリング技術の向上を目指す。
746 酵母の有機溶媒耐性賦与のメカニズム解明と生体触媒開発への応用 黒田 浩一 京都大学 藤森 賢也 京都大学 微生物を用いた物質生産は有機溶媒中で行うことが多く、微生物の有機溶媒耐性は産業上、環境負荷低減にとって重要なファクターである。我々は転写因子に変異を導入することにより、酵母において世界で初めて有機溶媒耐性細胞の作製に成功している。本課題では、改変した転写因子の下流で働く遺伝子の中から、有機溶媒耐性に関わるものを同定して詳細な有機溶媒耐性獲得メカニズムを明らかにするとともに、得られる知見を用いて耐性を強化した、より実用的な有機溶媒耐性酵母の育種を行う。
749 非修飾核酸を用いた蛍光応答性アプタマーセンサーの開発 山東 信介 京都大学 是成 幸子 京都大学 非修飾型核酸プローブを用いた簡易アプタマーセンサーの構築に向けた研究試験を実施する。具体的には、核酸の“高次特定配列/構造”に結合した場合にのみ蛍光を発するインテリジェント蛍光分子をシグナル発信モジュールとして利用した新たなアプタマーセンサーの設計・開発を実施する。
756 より多様なウイルスに耐性を有する農作物の開発 世良 貴史 京都大学 年光 昭夫 京都大学 ウイルス感染による農作物の被害は、日本だけでなく世界においても甚大であり、感染に強い農作物の開発が強く求められている。各アグリ企業により、ブリーディング等を用いた耐性品種の改良がなされてきているが、有効な手段とは成り得ていない。我々は、ウイルスが侵入しても、そのウイルス複製を阻害することにより、ウイルスに感染しない植物の創出に成功している。本申請研究では、より多様なウイルス感染に対応できる、新たな手法の確立を目指す。
757 細胞内微小空間の温度変化を感知するフォトサーモセンサーの創製 清中 茂樹 京都大学 増田 亜由美 京都大学 細胞内の温度分布を蛍光の変化として読み出すことが可能なタンパク質ベースの温度センサー開発を開発する。温度感知部分としてコイルドコイルタンパク質の2量化解離を利用し、読み出し部分として蛍光タンパク質を用いる。この2種のタンパク質を適切に融合させたセンサータンパク質を細胞内小器官で発現させることで、細胞内局所の温度分布・変化を蛍光の強度値として可視化する。循環器病疾患の初期段階においては、代謝異常に基づく細胞レベルでの温度異常が起こることが知られており、これらの疾病に対する初期診断方法としての応用が期待される。
758 ミトコンドリア外膜を染色する蛍光イメージング試薬 川添 嘉徳 京都大学 内田 逸郎 科学技術振興機構 生細胞に適用しうる新規のオルガネラ用蛍光試薬を開発する目的で一万個の化合物をスクリーニングし、候補化合物SAを見出した。解析の結果SAは、ミトコンドリアの染色パターンと非常によい相関を示し、その外膜を特異的に染色することが明らかとなった。本研究計画では、様々なSA誘導体の合成及び、SAの細胞内標的蛋白質との結合様式を明らかにすることで、生命科学研究における道具としての使用に最適な試薬の開発を目指す。
764 代謝工学的手法による木質バイオマス由来五炭糖発酵酵母の育種 渡邉 誠也 京都大学 内田 逸郎 科学技術振興機構 化石燃料の代替エネルギーの最右翼はバイオエタノールである。しかし、我が国では諸外国のような農作物からの生産は不可能であり、木質系バイオマスを利用することが求められている。酵母は、大腸菌や他のバクテリアに比べてグルコースなどの六炭糖発酵とアルコール耐性には優れているが、木質系バイオマスに大量に含まれるキシロースなどの五炭糖を発酵できない。本課題は、キシロース代謝遺伝子群を人工的に導入した組み換え酵母を用い、六炭糖に比べて圧倒的に遅いキシロース発酵速度の向上を独創的な代謝工学的手法によって検討するものである。
817 熱帯性植物油脂をバイオディーゼルに変換する酵素法の開発 渡辺 嘉 大阪市立工業研究所 武井 廣見 科学技術振興機構 安価で大量供給が可能な熱帯性植物油脂は本格的なバイオディーゼル燃料(BDF)の導入に適した原料と期待される。一方、BDFの変換には、従来のアルカリ法より環境に優しく、副産物であるグリセリンの再利用も容易な酵素法の適用が好ましい。しかし、実用化に際しては高い反応率が達成されることや製造コストの削減も求められる。本研究は熱帯性植物油脂をBDFに変換する実用化可能な酵素法の確立を目指す。
844 ポリ乳酸プラスチック製造の効率化を目指した超乳酸耐性酵母の開発 杉山 峰崇 大阪大学 大野 安男 科学技術振興機構 近年の様々な環境問題から、ポリ乳酸に代表されるカーボンニュートラルプラスチックのコスト削減が求められている。出芽酵母は乳酸菌等と比較して強い酸耐性を示し、乳酸発酵における培地の中和とその後の乳酸塩の脱塩化処理工程を省略できる可能性を持つ。本研究では細胞内pHの維持が乳酸耐性化に重要であることから、高濃度乳酸条件下でも細胞内pHが安定な超乳酸耐性酵母を構築して、乳酸生産収率を向上させ、ポリ乳酸製造コストの削減を狙う。
852 糖鎖シーケンシングを目指したオリゴ糖ユニット解析法の開発 長束 俊治 大阪大学 武井 廣見 科学技術振興機構 蛋白質やDNAのシーケンシング法は、その生体分子の研究を飛躍的に発展させてきた。糖鎖分子は重要性が指摘されて久しいが、蛋白質やDNAと比べると、研究の一般的な広がりに乏しいのが現状である。その原因の一つに、シーケンシング法の未開発が上げられる。本研究では、化学的手法によるユニット構造への糖鎖の部分分解とHPLCを組み合わせた高感度分析法を開発する。将来、本手法をベースにして、シーケンシング法へと発展させることを目指している。
867 有機溶媒耐性固定化酵素の開発 安田 昌弘 大阪府立大学 稲池 稔弘 大阪府立大学 有機溶媒中で酵素反応を行わせると、加水分解反応の平衡を合成反応側へシフトできる、水難溶性の基質の濃度を高めることが出来るので反応速度を大きくできるなど、多くの利点がある。しかしながら、有機溶媒存在下では、ほとんどの酵素は迅速に失活してしまう。申請者は、有機溶媒存在下でのエステル交換反応やエステル合成反応に有用な大量に酵素リパーゼを固定化できる両親媒性粒子を合成した。本研究では、工業的に有用な酸化還元酵素などの固定化に適した両親媒性粒子の開発を行う。
874 癌特異的ERαコアクチベーターを利用した乳癌治療薬探索系の開発 山地 亮一 大阪府立大学 下田 忠久 大阪府立大学 乳癌特異的コアクチベーターは乳癌の増殖と進行に関わる遺伝子の発現を亢進するエストロゲン受容体(ERα)の機能を転写因子として増強するので、乳癌治療の分子標的となる。本研究では新規に同定した癌特異的ERαコアクチベータを利用して、ERαアゴニスト及びアンタゴニストの探索し、同時に同定したコアクチベータとERαの複合体形成を抑制する物質の探索が可能な評価系の構築を目指す。
892 ドメイン干渉を利用した遺伝子の機能発現抑制法の可能性試験 藤原 伸介 関西学院大学 大野 安男 科学技術振興機構 本研究は遺伝子の機能発現をタンパク質のフォールディング段階で抑制する技術の開発を目指す。従来のRNA干渉法やアンチセンス法とは異なり、タンパク質のフォールディング干渉を利用した抑制法が可能であるかを検証する。ドメイン構造の明確なモデル酵素を利用し、これを標的として部分ドメインを共発現させ、標的酵素分子の機能消失が可能であるかを調べる。また、in vitroでの実験を通じて干渉作用に必要な条件を導き、最終的には、特異的に遺伝子の機能発現を抑制する技術の一般化を目指したい。
926 チーズ由来細菌が生産する抗真菌タンパク質の開発と応用 岸本 憲明 近畿大学 松本 守 近畿大学 市販チーズからAspergillus nigerの胞子発芽と菌糸伸長を阻害する物質を生産する細菌を単離した。この細菌は培養液上清に約35 kDaの抗真菌物質を生産した。精製標品は100℃で60分加熱しても、またpH 2〜10に60分間保っても失活しなかったが、Proteinase Kで処理すると失活した。本研究では、この抗真菌タンパク質の構造を明らかにするとともに、動物細胞を用いた安全性確認、柑橘類におけるカビの生育抑制と、抗真菌タンパク質を添加した食パンや餅の抗カビ効果を明らかにする。
933 大腸菌のゲノム情報を活用したシステイントランスポーターおよび未知の代謝経路の探索とそのシステイン発酵生産への応用 大津 厳生 奈良先端科学技術大学院大学 谷 直樹 奈良先端科学技術大学院大学 生理的および工業的に重要なシステイン(Cys)は厳密で複雑な代謝制御を受けている。本課題では、Cys排出系に着目し、大腸菌のゲノム情報とリソースを活用し、Cysの代謝制御機構への理解を深め、Cysの発酵生産への有用性を実証する。具体的には、大腸菌非必須遺伝子ライブラリー(Keio collection)および合成致死遺伝子欠失株ライブラリーを用い、1)新規なCysトランスポーターの探索、2)未知のCys生合成経路の解明、3)本研究で得られた成果を活用し、Cys発酵生産の実用化の道を拓く。
968 自律的遺伝子変異能力を備えた新規細胞表層ディスプレー系の開発と応用 金山 直樹 岡山大学 遠藤 隆 岡山大学 遺伝子変異によるタンパク質機能改変では,変異の多くは不安定化や失活につながり,構造と機能を保持した変異体の効率的取得方法の開発が重要となっている。本研究は,遺伝子変異能力を有する細胞株を利用して,その変異能力により目的タンパク質遺伝子を改変し,かつ,細胞表面に発現させることにより,機能を保持した変異体タンパク質の作製を効率化する革新的な細胞表層ディスプレー系を構築する。
969 酵素を用いる“夢の繊維”ポリトリメチレンテレフタレート原料の製造 虎谷 哲夫 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 ポリトリメチレンテレフタレートはポリエステルとナイロンの長所を併せもつ”夢の繊維材料”として注目されているが、原料の1つトリメチレングリコール(TMG)が高価なため未だ広く普及していない。本研究では、グリセロールを酵素法により脱水した後、化学的に還元することで高純度のTMGを安価に製造することを目指す。固定化微生物菌体を酵素の袋として用いることで、変換と生成物分離とを効率的に行う。
981 植物種特異的な生育促進作用を持つ細菌の微生物農薬としての応用 谷 明生 岡山大学 遠藤 隆 岡山大学 植物には様々な微生物が共存し、有機成分の無機化、窒素固定などを通じて植物の生育に貢献している。植物は生長に伴い廃棄物として揮発性有機化合物(VOC)を排出することはあまり知られていない。本研究では植物に共存して植物生育の促進作用を持ち、かつVOCに生育できる微生物を網羅的にスクリーニングし、重要な作物の生育を促進するそれぞれ特異的な菌を見いだし、無害な微生物農薬として実用化することを目的とする。
986 ISFETを用いた多検体自動測定バイオセンサシステムの開発 毛利 聡 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 応答時間がmsecと短く、感応部が微細なISFET(イオン感応性電界効果トランジスタ)を用いて、pH測定をベースとする微量溶液中の細胞による産生物(CO2、NaHCO3、乳酸)のバイオセンシングシステムを構築する。また、拡張性を高めるための自動化システムとの組み合わせ(自動化ロボット部分のハードウエアと基本ソフトを作製)を進めて、実用化に向けて多検体の培養細胞の呼吸・代謝活性を迅速評価出来るシステムを構築する。
1011 新規分子設計を指向する放線菌由来工業酵素の機能開発 荒川 賢治 広島大学 榧木 高男 広島大学 放線菌は、9,000種を超える抗生物質の実に7割以上を生産する有用工業微生物である。それら生理活性物質は多段階酵素反応で作られており、各酵素の組み合わせを変えることで指数関数的に新規化合物が得られる可能性を秘めている。しかし酵素独自の基質特異性がネックとなり、適用範囲に限界があった。そこで本試験研究では我々が新たに見出した放線菌由来の生合成酵素に注目し、工業酵素としての実用化試験を行い、今までに例を見ない分子構築法の開発を目指す。
1018 IR/MAR遺伝子増幅法を蛋白質生産の基幹技術として産業化するための試験研究 清水 典明 広島大学 伊藤 勇喜 広島大学 代表研究者が独自な基礎研究から見いだし、開発してきたIR/MAR遺伝子増幅法は、動物細胞で組み換え蛋白質を工業生産させる画期的な方法である。しかし、巨大な市場を持つ抗体医薬品等、広汎な産業分野で基幹技術として利用されるようになるためには、残された2課題を解決することが望ましい。すなわち1)適用細胞の拡大と、2)発現抑制の効果的な解除法の樹立である。本研究では、これらについて最新の技術を用いて解決する。
1019 食品廃棄物のエタノール・メタン二段発酵処理システムの開発 西尾 尚道 広島大学 榧木 高男 広島大学 国内で大量に発生し、廃棄処分されている食品残渣・廃棄物を主対象に、無殺菌かつ通性嫌気性細菌を主体とする複合微生物系でエタノール・有機酸発酵を実施し、できるだけ高エタノール収率を安定的に得る条件を検討する。ついで、エタノールを回収すると共に、有機酸等を含む蒸留廃液は高速UASBメタン発酵処理する。得られたメタンは二発酵槽の加温及び蒸留の熱源に用いる。かくして、食品廃棄物より燃料用エタノールを取得することが出来る。
1023 シリカ結合タンパク質を利用したバイオ機能性ガラスの開発 黒田 章夫 広島大学 榧木 高男 広島大学 当研究グループによって発見されたシリカ結合タンパク質は、シリカ・ガラス表面に強く結合し、溶液中でも長期にわたって安定に保持されることが分かっている。本課題では、シリカ結合タンパク質と各種酵素類の融合タンパク質をガラス表面上へ固定化することで、生体由来の機能を付加したバイオ機能性ガラスの創製を目指す。また、付加した機能の活性調節を行うためにシリカ結合タンパク質の吸着・脱離の制御法を確立する。
1028 高機能金属結合タンパク質Vanabinによる重金属濃縮系の改良と応用 道端 齊 広島大学 榧木 高男 広島大学 我々は、鉄・銅・バナジウムと高選択的に結合する新規金属結合タンパク質Vanabinファミリー遺伝子群を元にした遺伝子組換え大腸菌による重金属濃縮系をシーズとして所有している。本研究ではより高機能な金属結合タンパク質の探索と改変によってこの重金属濃縮系の改良を進め、重金属汚染環境の修復、金属含有廃液の処理、海水からのレアメタルの高度濃縮、金属欠乏症や過剰症の診断に必須な金属タンパク質の高速・高感度検出方法の開発等に活用する道を開発する。
1032 マイクロチップ電気泳動法による遺伝子解析システムの開発(2) 廣川 健 広島大学 榧木 高男 広島大学 本研究の最終的な目標は、マイクロチップ電気泳動法による遺伝子解析法の確立である。この目的には、通常のマイクロチップ電気泳動法は感度・精度ともに不十分であるため、過渡的等速電気泳動によるオンライン前濃縮法により高感度化を、シーケンサで使用されているハードゲルを使用して高分離能化をはかる。本試験では、目的達成の鍵となるDNA分析用マイクロチップを試験期間中に試作し、DNA断片を試料として評価する。
1033 高感度ルシフェラーゼを用いた新規エンドトキシン検出法の確立 廣田 隆一 広島大学 榧木 高男 広島大学 エンドトキシンはグラム陰性菌の細胞壁構成成分であり、人体に対して強い毒性を示すことから、医薬品や食料品への混入の有無を調べることが法律で義務付けられている。また、臨床の現場においてはエンドドキシンショックを迅速に判断する手法が求められている。本課題では、申請者らが発明した世界最高の発光強度を持つルシフェラーゼを利用し、現行の手法に比べてさらに高感度で迅速なエンドトキシン測定法の開発を行う。
1043 機械傷による疑似虫害でのお茶のフレーバー成分増強技術の開発 松井 健二 山口大学 浜本 俊一 山口大学 ウンカ食害を与えた茶葉ではストレス応答が誘導され、花のようなフレーバー成分が増加し、お茶の商品価値を高める。草食昆虫による食害に代わって機械傷で同様の効果が得られれば、産業的に大きな展開が期待できる。そこで、本研究では疑似虫害装置を作成し、茶葉に機械傷を与え、フレーバー特性が向上する最適条件を見出し、最終的に疑似虫害による付加価値の高いお茶を安定して生産できる実用化技術の開発を目指す。
1046 フュージョンPCRと酵母の相同組換えによる新規DNA組換え技術の開発 赤田 倫治 山口大学 林 里織 有限会社山口ティー・エル・オー ゲノム研究により今や操作する遺伝子数が飛躍的に増加しているが、DNA組換え技術は旧来の大腸菌プラスミドを利用する方法に変化がない。本研究では,大腸菌遺伝子操作技術を革新し、プラスミドを全く使用しない組換えDNA構築法を開発する。制限酵素とリガーゼによる組換えを、フュージョンPCRと酵母の相同組換え反応に置き換え、酵母形質転換でクローニングを行う。確実性、安全性、保存性、コストで大腸菌に勝る方法となる。
1170 水熱・酵素複合技術を用いた廃棄・漂着海藻の高速糖化 奥田 和秀 高知大学 安田 崇 株式会社テクノネットワーク四国 海藻の粘質多糖成分は食用、薬用として広く工業的に利用されているが、セルロース成分はほとんど利用されていない。我々は、水熱・酵素複合技術を用いることにより、海藻の粘質多糖成分だけでなく、セルロース成分も高速に糖化できる新しい技術を開発した。本研究課題ではこの技術を用いて、自治体によっては年間2000〜3000 トンとされる廃棄・漂着海藻の多糖成分の単糖・オリゴ糖化を実現する。それにより、健康食品、医薬品やバイオエタノールなどへの応用の可能性を追求する。
1225 基質アナログを用いるポリケタイド新規生産システムの開発 田浦 太志 九州大学 山本 英樹 九州大学 ポリケタイド合成酵素(PKS)は開始基質であるacyl CoAにmalonyl CoA由来のC2単位を順次縮合して直鎖の中間体を生成し、これを閉環することにより種々の天然物を合成する酵素である。本課題では代表研究者がクローン化した各種植物PKSを大腸菌で高発現し、安価に合成可能な基質アナログと反応させることにより多様なポリケタイドの化合物ライブラリーを実現し、それらの生物活性を検討することで新規生理活性物質の探索を行う。
1232 澱粉枝作り酵素群の基質特異性の構造基盤と応用 木村 誠 九州大学 深見 克哉 九州大学 澱粉は地球環境問題から石油代替バイオエタノールや、各種産業(医薬、食品、製紙、繊維工業等)における主要な原材料としても利用されているが、さらなる有効利用のためには、様々な特性を付与した新規加工澱粉の創製が必須である。本申請研究では、イネ澱粉枝作り酵素(アミロペクチン分枝化酵素)群の基質特異性の構造基盤を解明するとともに、澱粉枝作り酵素をツールとした新規酵素加工澱粉(次世代ポリマー)の開発を試みる。
1233 高効率で安全な組換えウイルス増殖用カイコ細胞Bme21の無血清培養技術の開発 李 在萬 九州大学 深見 克哉 九州大学 近年、タンパク質製剤等の生産手段として、BmNPV-カイコ個体系が注目されており、実用化が進んでいる。タンパク質生産のためにカイコに接種する組換えウイルスは、培養細胞で増殖されるが、既存の細胞では増殖効率が低い。そこで、BmNPV増殖に好適なカイコ培養細胞Bme21を開発した。一方、多くの昆虫培養細胞は、その培養に牛胎児血清を要求し、カイコ個体への血清成分の混入は少ないものの、製品の安全性には疑問が残る。そこで、本課題では、Bme21細胞を基に、高効率で安全な組換えウイルス増殖用カイコ細胞の開発を目指す。
1237 有用物質生産用ナノファイバーリアクターの高性能化とその応用可能性評価 山口 哲 福岡県工業技術センター 鍛治 茂樹 福岡県工業技術センター エレクトロスピニング法にて作成されるナノファイバーを応用した再生医療及び有用物質生産用の細胞培養担体の研究開発を行ってきている。既存の担体と比較すると空隙率が高く、高圧蒸気滅菌が可能である利点から、バイオリアクター及び再生医療開発に極めて有効であるとの結果を得ている。本研究では、実際に有用物質生産能を有する細胞を用い、リアクターの更なる高性能化を目的とした研究開発を行うものである。
1241 安全な抗菌性物質としての機能性プロシアニジンの開発に関する研究 上西 秀則 福岡歯科大学 冨田 和弘 科学技術振興機構 植物由来のフラボノイドは抗酸化作用や抗変異原性など有用な生理活性があることが知られている。その中でも、カテキンの重合体であるプロシアニジンは、重合度が高まるほど単量体であるカテキンにはない有用生理活性を発揮する。本研究は、フラボノイドを多く含むブドウ果皮からアルコール抽出操作によって得られるプロシアニジンを、安全でヒトに優しい抗菌性物質としての開発・応用を目的として行うものである。
1246 超音波キャビテーション領域を有するマイクロリアクターの開発 油谷 英明 北九州工業高等専門学校 米倉 英彦 北九州産業学術推進機構 超音波エネルギーを積極的に化学反応に利用したソノケミストリー とマイクロリアクターを融合させ新たな化学反応場を提供する「ソノ・マイクロリアクター反応ユニット」の開発・製品化を目指す。 具体的には、音響レンズを用いた超音波照射によりキャビテーションをマイクロ流路中に発生させ、高温高圧の極限環境と各種励起種の導入を図る”重畳効果”により新たな反応場が期待できる。
1248 機能性フラーレンを利用する細胞評価チップの開発 礒田 隆聡 北九州市立大学 北井 三正 北九州産業学術推進機構 本研究は癌等の疾患細胞が数十ナノオーダーの粒子を特異的に認識し、細胞内に取込む「サイズターゲティング」機能を利用した新規診断法の開発を目的としている。ナノ材料としてフラーレンに着目し、数十nmのサイズに制御したフラーレン類を特定細胞に取込ませると細胞の導電性が増加する。この変化を電極センサで検知することで、従来の蛍光試薬検査法を代替する診断法を開発する。
1260 天然薬物特異的小型化抗体を用いた薬用成分検出キットの開発研究 宇都 拓洋 長崎国際大学 冨田 和弘 科学技術振興機構 近年、慢性病・生活習慣病の患者が増加する中、漢方薬や機能性食品の原料として生薬の需要の伸びが著しい。多くの原料生薬を海外からの輸入に頼る中、品質面が危惧されている。
本研究では、膨大な生薬サンプルの薬用成分含有量を、簡便そして安価に測定するべく、生薬成分特異的「小型化抗体」を用いたELISA法の開発を行う。本技術は、これまでのHPLCによる成分分析より数千倍の感度を持ち簡便かつ安価な分析キットの研究開発である。
1270 量子ドットを活用した天然有機生理素材の細胞内動態解析法の開発 松永 常典 長崎大学 梅津 照彦 株式会社長崎TLO これまでに、タンパク等の比較的大きな物質に対しては蛍光物質を結合させるなどの方法によってリアルタイムでイメージングする技術は確立されているが、天然有機生理物質等に関しては、イメージングすることが難しかった。本研究では、量子ドットを活用することで、天然有機生理素材が、どのように細胞膜に結合、取り込まれるかをリアルタイムでイメージングすることを目指す。
1278 炭酸ガスから環境調和型ポリエステルを合成する細菌の分子育種 松崎 弘美 熊本県立大学 坂田 敦子 熊本テクノ産業財団 環境問題が深刻化する中、生分解性プラスチック(PHA)の普及が期待されている一方、原材料が食物やバイオエタノールの原材料を兼ねる、材質が脆い、生産コストが高いなど、種々の問題がある。本研究では炭酸ガスを炭素源としてPHAを合成する微生物、R. eutrophaの遺伝子組換え株を作製し、菌株の分子育種を行い、炭酸ガスから可塑性の高い良質な生分解性プラスチック、P(3HB-co-3HA)の生産系の確立を目指す。
1283 バースト高周波高電界による細胞内刺激法の開発 勝木 淳 熊本大学 草野 民三 くまもとテクノ産業財団 MHz帯のバースト高周波高電界(電界100 kV/m以上、時間1 msec以下)は、細胞膜を通過し非熱的な電気刺激を直接細胞内に与えることができる。本効果によって、例えば、がん細胞にアポトーシスを誘導できる。従来の電気刺激装置では、低周波のため電気刺激は細胞内に入らなかった。本試験では、有意な動物細胞に対して、電界印加後の細胞反応のデータベースを構築し、本細胞刺激法の標準化を目指すと同時に、医療応用を検討する。
1284 SUMOポリマー化技術による高感度プロテインセンサーの開発 斉藤 寿仁 熊本大学 水野 優子 熊本大学 ユビキチン様タンパク質SUMOが分子重合する性質を利用することで、SUMO導入部位にさらに長鎖の蛋白質分子を結合させることも可能となる。この性質を用いて、血液や体液中の特異抗体、微量の健康被害物質のシグナルを増幅したり、細胞の機能操作を行う。
1295 DDSを目指した小口径炭カルナノチューブの合成法の開発 瀧田 祐作 大分大学 小林 茂 大分大学 無機化合物は一般に生体内で代謝されないが、炭酸カルシウムなどほんのわずかな化合物だけは代謝されるので、これらはDDSに適した素材である。代表研究者は直径が100nm程度の炭酸カルシウムのナノチューブの合成法を開発した。毛細血管の微少な穴を通り抜けるためには10〜100nmがよく、透過を容易にするためには、現在の生成物よりもう少し小さいナノチューブとする必要がある。そこで本研究では合成条件を検討して、直径が100nm以下の微少ナノチューブの合成法を開発できるか見極める。
1310 芳香環酸素添加酵素を利用したバイオマス資源の高機能化法の開発 廣瀬 遵 宮崎大学 小林 太一 株式会社みやざきTLO 地球温暖化問題や原油価格の高騰に伴ってバイオマス資源のエネルギーや化成原料としての利用が注目されている。本研究課題では、植物由来のバイオマスに含まれる代謝産物に[芳香環酸素添加酵素」を作用させることにより得られた派生物の機能性を評価する。さらに、同処理によって優れた機能を持った植物成分由来の非天然型ポリフェノールを取得する方法を開発する。
28(B) 線虫バイオセンサーによる、長寿・健康増進効果をもつ有益物質の探索と評価法 三輪 錠司 中部大学 永井 義明 中部大学 グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)などの解毒酵素が様々な外因性・内因性ストレスによる細胞や組織の損傷を防御すること、すなわち毒から生物を守ることに着目し、様々な融合遺伝子を組み込んだ線虫バイオセンサーを利用した長寿・健康増進に寄与する有益物質のハイスループットな探索・評価法を確立する。本課題の達成により病気の予防や長寿に役立つ新しい機能性食品や成分を効率的に発見することが期待できる。
41(B) 珪藻殻形成因子シラフィンの高機能化と多様な珪酸源による、新規ケイ酸質材料作成法の開発 松田 祐介 関西学院大学 辻 公志 科学技術振興機構 本研究は、様々な機能素材として利用可能な新規ケイ酸質材料作成法の開発を目指すものである。珪藻殻形成ペプチドSilaffinを用い、これを自己組織化型シリカ固体形成因子として利用することにより、従来のゾル−ゲル法に代わる、高付加価値のケイ酸質材料を創出する。そのために、様々な珪酸原料を用い、また、遺伝子工学的手法を用いて、Silaffinに結合選択性や構造鋳型性を付与することにより、制御された特定構造を有するケイ酸質材料作製のための要素技術を確立する。
43(B) 病原性細菌の分析・診断ツールの開発 山崎 良平 鳥取大学 山岸 大輔 鳥取大学 本研究では、細菌性髄膜炎の起因菌のうち髄膜炎菌に着目し、この細菌の同定、分析、および感染診断ツールの開発を目的とする。 髄膜炎菌の産生する糖鎖チップを使用して、1) 細菌糖鎖に結合する抗体の検出と抗体価の比較、2)糖鎖アレーを構築し、この構築したアレーによる同定、分析のためのターゲット糖鎖の選定、3)最後に診断に利用可能な糖鎖チップの開発を目指す。

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No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
174 紫外線遮蔽機能を有するリン酸セリウム系「新規体質顔料」の開発 佐藤 次雄 東北大学 芝山 多香子 東北大学 約3 eV のバンドギャップエネルギーを有し400 nm 以下の紫外光を吸収可能で、流動性に優れた「CePO4」の単分散板状ミクロン粒子を「水熱法」で作成しその光化学特性を明らかにすることにより、紫外線遮蔽能を有する「新規体質顔料」を開発することを目的とする。具体的には、雲母状CePO4 の製造最適条件の検討、すべり摩擦抵抗の測定および官能試験による使用感評価、化粧品用「ひまし油」の酸素酸化に対する酸化触媒活性評価、光照射による一重項酸素生成挙動評価を行う。
203 高効率に糸状菌から生産されるイソフラボンを美白成分とした化粧品の開発 小泉 幸央 秋田大学 森川 茂弘 秋田大学 メラニン色素は表皮最下層の基底層でチロシナーゼを介して生産される。本課題は、チロシナーゼ阻害活性を有する4’,7,8-トリヒドロキシイソフラボンを高生産性糸状菌株により生産させ、これを美白有効成分とした化粧品の開発を目的としたものである。
765 皮膚透過性を有する新規複合ペプチドの開発と応用 二木 史朗 京都大学 内田 逸郎 科学技術振興機構 近年、膜透過性のペプチドを用いたタンパク質や薬物の細胞内送達法が開発され、皮膚透過促進も可能であることが報告されている。一方、この方法は化粧品用途としての美白剤や抗酸化剤などへの応用も可能と考えられるが、効率的にもコスト的にも改良の余地は大きい。これらを考慮し、本研究では、新規ペプチドを用いた効率的皮膚透過法の開発とその応用に関して検討する。
889 ヒト水棲型嗅覚受容体の機能解析と新たな水溶性匂い分子の探索 廣田 順二 東京工業大学 西村 紀之 大阪府立大学 嗅覚受容体は、系統発生学的に水棲型と陸棲型の2つのファミリーに分類される。水棲型嗅覚受容体は魚類の嗅覚受容体に類似し、水溶性の匂い分子を受容するものと考えられている。またほぼすべての脊椎動物に保存されていることから、何らかの重要な生理機能をもつものと考えられる。本研究課題では、水棲型嗅覚受容体遺伝子の機能的発現系の構築し、新規“水溶性の匂い分子”の探索と同定を行う。
1095 シトシン誘導体及びILGを配合した新規アンチエイジング化粧品の開発 掛川 寿夫 香川大学 倉増 敬三郎 香川大学 不飽和脂肪酸からのアルデヒドの生成及び生成したアルデヒド類によるDNA障害の両方を効果的に抑制できるこれまでに無い全く新しいタイプのアンチエイジング化粧品を開発することを目的として、DNA障害性アルデヒド類を効率的に中和除去できるシトシン誘導体の大量合成方法、ILGの大量合成方法、これらシトシン誘導体とILGの化粧品製剤(美容液、クリーム、乳液、ローション等)への配合設計、これらを配合した化粧品製剤の機能性(アルデヒド生成抑制作用、アルデヒド中和作用、抗酸化作用、フリーラジカル消去作用、過酸化脂質生成抑制作用)等を検討する。

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