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平成19年度シーズ発掘試験 研究概要一覧(生活・社会・環境分野)


 エネルギー:50件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
34 自律駆動型水素吸蔵合金アクチュエータ実用化のための水素吸蔵放出特性試験 松村 一弘 函館地域産業振興財団 宮嶋 克己 函館地域産業振興財団 水素吸蔵合金(合金)は常温付近で多量の水素を吸蔵・放出する。この特性を用いれば小型高出力な自律駆動型水素吸蔵合金アクチュエータ(A-MHA)が構成できる。A-MHAは太陽光や廃熱など低密度熱エネルギを動力に変換できる。つまり、エネルギコストゼロで有益な仕事が得られる。本研究は、A-MHAの出力特性に影響する合金について、繰り返し水素の吸蔵・放出を行わせ特性を評価し、A-MHAの基礎データとする。
40 低廃棄物新規バイオディーゼル燃料の製造方法に関する技術開発 西川 孝二 北海道自動車短期大学 能戸 正 北海道自動車短期大学 本研究は、植物油等の生物由来原料油からバイオディーゼル燃料(BDF)を製造する手法として現在広く行われているメチルエステル化法に頼らず、原料油に対して、金属イオンを添加する手法を用いて、新規のBDFを製造する技術の開発を目的としている。添加物の混合比率を変化させ、機関性能試験を通して、この手法により製造されるBDFの性能評価を行うと共に、製造コストの低減を試み、その実用化を研究内容としている。
69 換気廃熱を利用する空気式融雪路盤の最適設計 富田 和彦 北海道立工業試験場 東藤 勇 苫小牧工業高等専門学校 換気排熱は温度と風量に制限を受けるため、その保有熱を融雪に最大限利用するためには、抵抗の少ない通風方式、並びに熱抵抗が小さく同時に融雪ムラの少ない熱特性に優れた融雪路盤が必須の条件となる。著者らは、融雪ムラの解消策として路面温度を均一化する路盤モデルを提案しており、本研究では、本モデルによる融雪路盤の最適設計のため、シミュレーション解析とその結果に基づく実証試験を行う。
101 有機半導体材料を基盤とした高活性光触媒の開発 阿部 敏之 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 広範な可視光エネルギーに応答する有機固体を用いた光触媒技術に関する研究である。さまざまな有機半導体を用いて可視域光触媒材料を作製する。特に作製条件や作製方法等を種々変更し、より活性の高い光触媒界面(固/液界面)の創出を図る。光触媒界面で起こる有機物の分解反応を通して活性をモニターする。分解速度の解析を行い、得られた速度データを特性評価の基本指標とする。
139 自己組織化作用を利用する新規有機薄膜太陽電池材料の開発 遠藤 智明 宮城工業高等専門学校 小野 堯之 宮城工業高等専門学校 新規な有機薄膜太陽電池材料として、同一分子内にn型、p型の半導体の性質を有するユニットを導入し、自己組織化の作用によって、電子移動層とホール移動層のネットワークが自己形成される材料の開発を行う。n型半導体ユニットの材料としては、C60誘導体、p型半導体ユニットの材料としては、ポリチオフェン誘導体を想定している。太陽電池の研究用として上市できる性能を有する化合物の開発を目指す。
157 マイクロスラッシュ噴霧流利用型超高熱流束電子冷却システムの開発 石本 淳 東北大学 井硲 弘 東北テクノアーチ 超高熱流束106 W/m2レベルの超高熱流束冷却性能を有する新型電子冷却システムを開発することを主目的とする.次世代のプロセッサは全体の発熱が大きいだけでなく,ナノオーダ配線により発熱密度が不均一となり複数の「ホットスポット」がプロセッサ上に現れることが予想されている.本研究は,このような次世代のプロセッサに対しても高い冷却性能を有する電子冷却システムを開発するため,超高熱流束冷却を可能にする冷媒として新たに微小固体窒素粒子からなるマイクロスラッシュの高速噴霧流を採用し,その基礎熱伝達特性に関する検討を行う.
193 ナノスケール二酸化鉛・高導電性ポリマーを用いた高電流・高容量鉛バッテリー 田口 正美 秋田大学 森川 茂弘 秋田大学 自動車が高度に電子化され、ナビゲーションシステムなど様々な機器を搭載するようになった今日、その電源である鉛バッテリーに対する大電流・大容量化の要求はきわめて厳しい。この要求に対処するには、製品開発に関して従来の鉛バッテリーに囚われない革新的な取組みが必要である。本研究では、特殊な方法で得られるナノスケールPbO2と高導電性ポリマーから、従来にはない電極活物質を調製し、新しいタイプの高電流・高容量鉛バッテリーを製造する。
197 新規緑藻によるバイオ燃料向け脂肪酸誘導体の生産効率向上に関わる培養条件検討 伊藤 卓朗 慶應義塾大学 田村 光彦 科学技術振興機構 本試験は、高増殖性の緑藻・Pseudochoricystis ellipsoidea(仮名)が産生する脂質代謝物質をバイオディーゼル原料として実用化にすることを目的とする。具体的には、油滴産生時に増加する親油性代謝物質の定性・定量解析を行うことにより有用物質を特定したのち、効率的に有用物質が蓄積する二酸化炭素濃度・光量・温度といった培養条件の決定を行なう予定である。
215 β-FeSi2熱電変換半導体を用いた高耐久性融雪パネルの開発 東 之弘 いわき明星大学 坂本 美穂子 いわき明星大学 本試験では、研究担当者らが開発した安価な素材で高いゼーベック係数を得ることができるβ-FeSi2 熱電変換半導体の発熱効果を応用し、強度面に優れた大型融雪パネルの開発を目指す。具体的には、300 mm 角熱電変換モジュールの製作、ゼーベック係数、熱伝導率、電気伝導率の測定、融雪パネルとしての実証評価を行なう。
225 木質バイオマス利用に向けた高効率スターリングエンジンの開発 篠木 政利 福島工業高等専門学校 島田 靖孝 いわき市 本研究の目的は,木質バイオマスを有効利用するための高効率スターリングエンジンを開発することである.具体的には、数値計算コードの開発、実証実験用スターリングエンジンの製作、熱交換器および再生器の最適化を行う.また学会活動を通して評価のフィードバックを行うとともに、木質ペレット利用のスターリングエンジンの可能性を調査し,設計指標の作成と実用化に向けた活動を開始する.
230 米由来の廃棄バイオマスの燃料資源化技術の開発と応用 金野 満 茨城大学 高木 宣輔 茨城大学 国内で大量に生産されている米由来のバイオマス資源の内、食料需要と競合しない米ぬか,稲わら等の廃棄バイオマスから燃料を製造し,それを利用する基盤技術を開発することを目的とし,@米ぬか油のモノエステル燃料化と性状分析および燃焼特性の把握,A稲わらのマイクロパウダー化と物性および燃焼特性の把握を試みる。
309 産業廃棄物を原料とする環境低負荷排熱発電素子の開発 飯田 努 東京理科大学 角田 勝則 東京理科大学 産業廃棄物シリコンを独自プロセスにより純化し,熱電変換材料マグネシウム・シリサイド(Mg2Si)の原料として用いる排熱発電素子製造プロセスを開発する。Mg2Siは,資源埋蔵量が豊富で資源枯渇の危惧が無く、生体への毒性や廃棄時の環境負荷が小さい環境低負荷半導体材料である。温室効果ガス削減には,排熱の電気エネルギーへの再資源化が不可欠であり,そのための排熱発電素子を量産性重視のプロセスにより試作する。
311 木質バイオマスを原料とするバイオディーゼル燃料製造用固体塩基触媒の開発 古川 茂樹 日本大学 中小路 尚匡 千葉県産業振興センター 地球温暖化対策としてバイオマス資源のエネルギー利用拡大が急務であり、植物油(主に廃食油)をバイオディーゼル燃料(以下BDFと称する)に変換する技術が注目されている。BDF合成には固体塩基触媒が最適と考えられ、木質バイオマスを原料とした高活性固体塩基触媒を開発することを目的とし、最適調製条件の探索を検討する。本触媒は使用済み後もそのまま燃料化できる上、燃焼させても二酸化炭素を増加させない優れた特徴を有する。
328 エネルギー回生ダンパ装置の研究開発 中野 和司 電気通信大学 須藤 慎 キャンパスクリエイト 経済産業省と国土交通省は、乗用車には04年度比で15年には燃費を23.5%改善することを義務付けると公表した。提案の新技術は、燃費を改善する効果がある。自動車1台に4本使用されている油圧ダンパ(ショック・アブソーバとも呼ばれている)は、自動車の振動を抑えるために、運動エネルギーを熱に変えてエネルギーを消費している。そこで、油圧ダンパを廃止し、発電機を利用して電気エネルギーとして回生するとともに、スカイフック理論等に基づいた理想的な減衰特性を実現できる、エネルギー回生電磁ダンパ装置を開発する。
361 パイプライン輸送における脈動性を用いた摩擦抵抗低減技術の開発 岩本 薫 東京農工大学 保坂 真一 東京農工大学 21世紀における持続可能な社会の構築のためには、有限であるエネルギーをより一層有効利用することが肝要である.本研究では,石油や天然ガスのパイプライン輸送において,エネルギー消費量のほとんどを占めている乱流摩擦抵抗によるエネルギー損失を抑制し,省エネルギーに寄与する基礎技術を開発することを目的とする.
392 エチレンとメタノールからの選択的プロピレン合成 馬場 俊秀 東京工業大学 林 ゆう子 東京工業大学 本研究では,エチレンとメタノールから選択的プロピレンの新規合成法を提案する。
      CH2=CH2 + CH3OH → CH2=CH-CH3 + H2O
触媒には新たに合成するゼオライト系物質を用い,SAPO-34によるエチレン単独でのプロピレン転化速度に比べ,プロピレン選択率80%を維持しながら,プロピレン生成速度を10倍速くすることを目指す。
393 メタン−メタノール直接転化反応に利用する生体触媒の大量調製法の構築 宮地 輝光 東京工業大学 林 ゆう子 東京工業大学 石油代替炭素資源である天然ガス主成分のメタンからメタノールを合成するプロセスは、メタノールが燃料あるいは種々の化学製品の原料となるため、特に重要である。本課題では、メタンをメタノールに直接変換する触媒として利用できる生体触媒、膜結合型メタン水酸化酵素(pMMO)を大量に調製することをめざす。特に本課題では、pMMOのうちメタン−メタノール転化反応にかかわる活性部位領域を含むドメインのみを大量調製する方法を確立する。
415 プリズム集光器を用いたコンパクト太陽追尾モジュールの開発 山田 昇 長岡技術科学大学 佐々木 峰子 新潟ティーエルオー 薄型集光器と簡便な追尾機構の導入により、高価な太陽電池セル(以下、PVセル)の面積を抜本的に削減し、民生用に普及可能な低コストで設置性に優れた集光型太陽光発電システムを開発する.本モジュールは、プリズム集光器の集光面に小面積のPVセルを貼った複数のパネルがリンクされ,追尾アクチュエータにより追尾動作する新型の集光型太陽光発電モジュールである。試作試験により性能を検証し、実用化への課題を明らかにする.
446 カプセル触媒によるジメチルエーテルの低温直接合成の技術開発 椿 範立 富山大学 岩瀬 洋一 富山大学 ジメチルエーテル(DME)はバイオマス,天然ガス等を原料とする合成ガスから,作ることが出来るため,石油代替効果と炭酸ガス削減効果が大きく,LPG代替燃料やディーゼル燃料として期待されている。現在DMEはメタノールの脱水反応を経る2段階反応で合成されている。我々は触媒表面に別の触媒を被膜したカプセル触媒の開発に成功している。この触媒は複数の触媒作用を示す優れた性能を持つ。本研究では,合成ガスから一段階でDMEを合成できるカプセル触媒の開発を行う。
477 逆送型高効率循環式ヒ−トパイプの開発 大西 東洋司 若狭湾エネルギー研究センター 祝 一裕 若狭湾エネルギー研究センター 当研究センターで開発した、気泡の膨張力と浮力を駆動力とする「泡ポンプ原理」を利用し、極めて効率の高い循環式ヒートパイプへの応用により、従来困難であった上部熱源から下部放熱部へと効率良く熱移送が可能なヒートパイプを開発する。
例えば、屋上の熱を階下に、屋内の熱を戸外路面に移送するなどの実用システムのモデルの試作と試験を行う。
481 融雪用自励振動ヒートパイプの開発 宮崎 芳郎 福井工業大学 上坂 治 ふくい産業支援センター 融雪においてヒートパイプは無動力で広い面積に熱を供給する方法として優れている。特に自励振動ヒートパイプは細管を何回も折り返しシート状に構成できるので従来の単管型ヒートパイプより、少ない本数で広い面積をカバー出来、埋設コストも安くなる。しかし熱輸送距離が短く長尺化が難しいという問題があった。本研究では逆止弁を用い、熱輸送距離を長くすることにより、一本で広い面積をカバーできる融雪面加熱用自励振動ヒートパイプを開発する。
487 レアメタルフリーポストリチウムイオン電池正極材料の開発 荻原 隆 福井大学 吉田 芳元 福井大学 エアロゾルナノ加工技術により導電性炭素を内包した高導電性リン酸鉄リチウムナノ粒子を合成する。リン酸鉄リチウム(LiFePO4)の導電性を10-1S/cmまで高め、シートセルベースでのリチウム二次電池の評価を行い、電気自動車(EV)としての要求性能である10C・150mAh/gの電気容量と2000サイクル充放電後の容量維持率90%の確保を目標とする。
488 ヒートアイランド防止のための路面冷却評価技術 福原 輝幸 福井大学 吉田 芳元 福井大学 当該システムはコンクリート製の高熱伝導防火水槽/舗装を用いて、夏の路面温度上昇を抑制し、ヒートアイランドを防止する。
具体的には、舗装と水槽の熱伝導率を2。5倍高め、夏期における舗装 ⇒水槽 ⇒周辺地盤への熱移動を促進させ、路面の熱回収を向上させる。
本課題は当該システムの路面冷却性能に及ぼす高熱伝導の有意性を野外実験から定量的に明らかにするものである。
510 高性能アイススラリーの微細管内における流動特性 熊野 寛之 信州大学 藤井 國久 信州大学 微細な氷結晶からなるアイススラリーは,閉塞の可能性が低くなるだけでなく,熱交換性能の向上などより高い性能を有する.また,微細な配管への流動も期待でき,低温の物流や電子機器の冷却等、広範囲な用途への応用が考えられる.本研究では,高分子材を添加することにより生成される非常に微細な氷結晶からなるアイススラリーを用いて,微細管内における流動特性を把握し微細間の設計応用に利用しようとするものである.
539 世界最小のマイクロコンバスタの開発とそれを用いた携帯用電源の開発 高橋 周平 岐阜大学 荒賀 年美 岐阜大学 炭化水素燃料の持つ高いエネルギー密度を微小な空間において活用するため、従来では不可能とされていた消炎直径以下の空間での燃焼を、多孔質のセラミックス管と触媒を用いて行う。これにより、内直径0.4mmというきわめて小さいに空間において、エネルギー発生密度10GW/m3、最高温度800K以上を達成させ、微小な高温点熱源として利用することができる。熱源自体としての利用だけでなく、熱電素子と組み合わせることで、小型電源としての応用が見込まれる。
565 水熱酸化による窒素含有バイオマス廃棄物のクリーン処理・熱回収装置の開発 岡島 いづみ 静岡大学 鈴木 孝典 静岡大学 含水率が高く腐敗しやすい家畜排泄物などの難処理窒素含有バイオマス廃棄物を、高圧加熱水蒸気と空気の混合流体を溶媒として用いて分解することにより、@乾燥や脱臭などエネルギーやコストがかかる前・後処理工程なしに、A短時間で二酸化炭素、水、窒素ガスといった無害な無機ガスまで完全分解でき、B分解時に発生する燃焼熱を効率よく回収・利用できる廃棄物のクリーン処理+エネルギー変換するためのプロトタイプの二段式水熱酸化反応装置を開発する。
566 バイオマス+プラスチック混合廃棄物からクリーン・高発熱量燃料合成装置の開発 佐古 猛 静岡大学 鈴木 孝典 静岡大学 本技術は、現在処理に困っている高含水率で腐りやすく場合によっては悪臭の発生する生ごみ等とプラスチックの混合廃棄物を、無害な200〜250℃の高温水を用いて、分別や乾燥といった人手やエネルギーを要する工程なしに、短時間にクリーンで高品位のエネルギー資源(石炭並みの高発熱量)に変換する技術を開発する。そして5 年以内に大学発ベンチャーによる実用化を目指す。
567 ジメチルエーテルを原料とした水素製造、それに用いる触媒の開発およびその大量試作 武石 薫 静岡大学 鈴木 孝典 静岡大学 燃料電池に必要な水素の貯蔵体として注目されているDMEから効率的に水素を製造できる触媒の開発を行う。われわれが開発した触媒は活性は高いが、多少高価になる可能性が大きい。そこで、新たに改良製法を開発することにより、安価な触媒にすることを試みる。本提案では1kgの大量試作を試み、実験室で従来行ってきた触媒調製(2g程度)での触媒との反応比較を行い、活性低下のない触媒とするのが目標である。
570 高耐熱性、高耐水蒸気性を有する自己複合化水素分離膜の開発と応用 永野 孝幸 ファインセラミックスセンター 山本 義明 ファインセラミックスセンター 水素は、現在その多くが複雑な製造工程を必要とする天然ガス(主成分:メタン)の水蒸気改質反応(800℃)によって製造されている。しかし、耐久性に優れた無機系水素分離膜を開発し、膜反応器を利用した天然ガスの水蒸気改質に応用することで、複雑な製造工程を一体化し500℃という低い反応温度でこれまでと同等のメタン転化率(80%)を得ることができる。本研究においてはアモルファスシリカ及びγ-アルミナ中間層の耐熱性、耐水蒸気性の向上を図り、膜反応器を用いた新しい水素製造システムの実用化を推進することにより、クリーンな省エネ社会の実現に貢献する。
601 柔軟性を有する人工毛皮面を用いた流動抵抗低減技術の開発 伊藤 基之 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 鮫肌を模擬したリブレット(微細な縦溝を持つ壁面形状)よりも流動抵抗低減効果が大きく、流れの変化が大きい工業製品への応用に適した新しい抵抗低減素材を開発する。本研究では、柔軟性を有する人工毛皮面に着目し、その最適な毛皮性状を明らかにする。さらに、実用化のための繊維の加工方法ならびに接着方法についても検討する。そして、開発した人工毛皮面を、ビル空調用配管、船底等へ適用することを目標とする。これにより、ビル空調用循環冷却水のポンプ動力のコスト削減、また、船舶の低燃費化に役立てる。
616 低毒性半導体ナノ粒子を用いる増感太陽電池の開発 鳥本 司 名古屋大学 大森 茂嘉 名古屋産業科学研究所 無機化合物の1つである半導体ナノ粒子は、量子サイズ効果の発現のために化学組成は全く同じであってもその形状に依存して、物理化学特性が大きく変化するという特徴をもつ。このような特徴は、有機色素にはない。本研究では、有機色素に代わる増感剤としてカルコパイライト構造半導体ナノ粒子をもちい、粒子サイズを精密に制御することにより、太陽光吸収特性を向上させる。さらに、酸化物半導体多孔質電極上に固定して増感太陽電池を作製し、そのエネルギー変換効率の向上を目指す。
642 分子クラスター二次電池の開発と応用 阿波賀 邦夫 名古屋大学 藤縄 祐 名古屋大学 携帯電話やポータブル電子機器には、広くリチウムイオン二次電池が使用されている。その負極には金属酸化物が用いられているが、充放電にはLiの浸入・排出過程を伴うことから、充放電時間の大幅な短縮はきわめて難しい。そこで本研究においては、二次電池の正極活物質に、配位子を介して遷移金属が結合した金属錯体クラスター分子を用いた『分子クラスター二次電池』を研究開発する。このような分子種を電子プールとして利用し、1分子の多段階酸化還元反応を利用することによって、高出力かつ迅速充放電を実現する。
661 高発電特性を有するYSZ/SDC-NiO 電解質膜のCVI 法による作製 菊地 憲次 滋賀県立大学 松居 祐一 滋賀県立大学 SDC-NiOのペレット上にCVI(Chemical Vapor Infiltration)法で透明で緻密なYSZ薄膜を作製する。SDC-NiOの面をカソードにして得た燃料電池の700℃での発電時の電力密度は同じ厚さのYSZ/SDC固体電解質を用いた燃料電池より約2.5倍大きくなる。さらに、NiOの含有率、NiOの粒径やSDCの粒径を制御して発電効率の向上を図り、YSZ/SDC固体電解質を用いた燃料電池より電力密度で4倍程度に大きくする固体電解質の作製を目的とする。
713 フラクタル形状を有する遮熱外壁の研究 酒井 敏 京都大学 高田 寛 京都大学 多数の小さな葉が一定の空間中にフラクタル構造(あるいは複数の三次元的なクラスター)をなすように分布するという植物の構造が、太陽光を遮りつつ、太陽光に由来する熱を効率よく大気へと放出するのに適しているのではないかとの着想を元に、効率的な遮光構造、および放熱構造を研究する。本研究は、現在問題視されている都市部のヒートアイランド現象を防止ないし抑制することを目的とする。
789 固体燃料を用いた携帯用マイクロ燃料電池の研究開発 杉野 隆 大阪大学 武井 廣見 科学技術振興機構 現在、固体高分子燃料電池の燃料開発は水素からメタノールへと移行して進められているが、メタノールは引火性があるため使用範囲が限定され、昨今のテロ対策等で航空機内への液体持込が制限されるなど、実用的な障壁が多い。また、メタノールは、白金電極の被毒、伝導膜のクロスオーバー等が問題となり、十分な発電性能が得られていない。本応募は、これらの問題を解決すると同時に、安全かつ軽量化が可能な固体燃料(ギ酸アンモニウム)を用いた携帯型燃料電池の開発をするための研究である。
819 生物的無毒化処理によるセルロース系バイオマスの効率的利用 片倉 啓雄 大阪大学 内田 国克 大阪大学 建築廃材等のセルロース系バイオマスを原料としてエタノールを製造する場合、酸加水分解による糖化反応が必要になるが、この時にフルフラールなどの発酵阻害物質が生じ、その後のエタノール発酵を阻害する。本研究では、酸加水分解液をある微生物で前処理することによって発酵阻害物質を除去し、エタノール発酵に用いる組換え大腸菌や酵母の活性を長期間維持し、これによりバイオマスエタノールの製造コストを低減させる。
826 溶融炭酸塩を用いた食品廃棄物の高付加処理法の開発 杉浦 公彦 大阪府立工業高等専門学校 阿部 敏郎 科学技術振興機構 現在,醤油や味噌メーカーから排出される食品廃棄物には,塩分が多く含有されているため,飼料化やメタン発酵によるガス化などは困難であり,地中埋設も塩分の流出により問題となっている.本研究は,溶融塩でこれら食品廃棄物をガス化するため,食品廃棄物中の塩,灰や硫黄分を溶融塩中に固定しながらガス化主成分であるCOとH2を得ることができる.従って,廃棄物処理のコスト低減が図れるばかりか,エネルギーを生み出すことができる高付加処理法である.本研究では,塩分含有率の高い醤油粕を用い,溶融塩ガス化の基本特性の取得を目的とする.
841 ビル風における風害低減に有効な風力タービンとその応用 金子 憲一 大阪府立大学 松田 元伸 大阪府立大学 近年、都市部での乱立した高層ビル周りでの強風によるビル風公害も問題になっている。従って、マンションや高層ビルなどで発生するビル風の低減に着目し、抗力を利用した垂直軸風力タービンを設置することで、発電と防風の両方が達成可能であると考えられる。本研究の目的は、ビル風の特有の性質を把握した上で、ビルのコーナー部分の剥離流だけでなく、ビル壁面に衝突する風が偏流をともなった上昇流となる流れと相反して、下降流となって流れる強風を低減するための風力タービンシステムを構築し、その可能性を追求する。
850 天然ワカメ由来クロロフィル増感太陽電池の開発 王 暁峰 関西学院大学 山本 泰 関西学院大学 色素増感太陽電池(DSSC)の開発は新しい増感色素の発見、特に有機合成を中心としてやっている。本研究の出発点は増感色素の高い効率と安い価格の両方を考えて、応用化を目指している。天然物ワカメにたくさん存在している色素であるクロロフィルcは増感色素として以上の二つの優点が含まれている。その上、天然のクロロフィルcが持っているマグネシウムを亜鉛に交換すれば、色素は酸化し難くなるし、安定性は高くなるはずである。
919 太陽エネルギーを駆動熱源とする可搬式小型吸着式製氷機に関する研究 本間 寛己 松江工業高等専門学校 糸原 保 島根県 本研究では小型で持ち運び可能な吸着式製氷機の試作機開発を行う.本システムは駆動熱源として太陽熱を想定している.また,電気を消費するのは冷却水を循環させるポンプ,吸着器を回転させるモータ,制御用IC程度であり,小型バッテリーでの稼働が可能である.従って,林業における作業小屋等の電気の供給ができない場所や,東南アジア等の日差しが強く電気インフラの敷設が遅れているところでの使用が期待できる.
985 超高透過性を有する水素分離膜のセルフチューニング製膜 都留 稔了 広島大学 榧木 高男 広島大学 クリーンエネルギーである水素の分離精製技術は、今後のエネルギー問題解決のキーテクノロジーである。本研究では,水素分離膜の製膜基材として細孔径5nmから0.5nmのナノ細孔を有する多孔性無機膜の製膜技術を確立し,ナノ細孔内および表面に金属担持することで水素選択透過性膜を創製することを研究目的とする。圧延法,無電解めっき法などの水素分離膜に比べて,低コスト・簡易的製膜法であるだけでなく,超薄膜製膜可能となるため高透過性が期待できる。
990 パルスデトネーションエンジンにおける排気平滑化技術の開発 遠藤 琢磨 広島大学 松井 亨景 広島大学 パルスデトネーションエンジン(PDE)とは、パルス的なデトネーションを利用する内燃機関である。デトネーションは燃焼温度が高いため、高い熱効率が期待できる。発電等のためにPDEでタービンを駆動する場合、最も重要な技術開発課題は「燃焼器からのパルス的な排気をタービン入口までに如何に平滑化するか」である。本研究では、燃焼器下流の流路形状を変化させてタービン入口位置における圧力波形を調べ、排気平滑化技術を開発する。
992 マイクロ伸長流動ノズルを用いたPGSS法によるポリマー微粒子製造 木原 伸一 広島大学 松井 亨景 広島大学 ポリマー微粒子は、現在、主として有機溶媒中での懸濁重合や破砕研磨により製造されているが、有機溶媒除去の高コスト化や熱に弱い成分を含む微粒子化には適用できない等の問題がある。本研究では、地球環境への負荷が小さく汎用性の高いポリマー微粒子製造方法として、ポリマー可塑化溶媒に超臨界二酸化炭素を利用したガス飽和・懸濁溶液 (PGSS) 法に、新規に開発するマイクロ伸長ノズルを用いたプロセスを提案し、ポリマー微粒子化の高度化を行う。
1009 低品位パーム油を用いたディーゼルエンジン燃料の調製技術の開発 佐伯 隆 山口大学 大高 聰 山口大学 近年、食油やその廃油を原料とした環境に優しいバイオ燃料の研究や実用化が進められている。しかし、廃食油の回収に費用がかかるうえ、その量も十分ではない。本研究は東南アジア諸国でその処分が問題となっている低品位なパーム油を原料とし、廃食油と混合することで、常温で均一分散した低粘度液体燃料を開発する。この際、大がかりな改質や反応を利用せず、廃食油とパーム油を混合し、極微量のレオロジーコントロール剤を使用する方法を用いる。このため本研究では、廃食油とパーム油の最適混合条件、添加剤の選定と最適化、および混合燃料の流動特性の評価について検討する。
1133 スピン転移型多孔性錯体による効率的水素ガス貯蔵材料の開発 松田 亮太郎 九州大学 古川 勝彦 九州大学 水素ガスは高いエネルギー密度を有し、石油の代替エネルギーとして最も有力なものである。しかしながら水素は分子の特性上、ガソリンのように高密度に貯蔵し運搬する事は困難であり大きな課題となっている。代替エネルギーとして広範に普及するためには、革新的な物質開発が必要である。本研究課題では集積型金属錯体の合成手法を用いて、スピン転移機能と吸着機能有する新しい細孔物質の合成を行い、高効率な吸着材料としての可能性を探索する。
1154 現在の海における鉄鉱床形成を模した人工鉄沈降・鉄分離技術の開発 清川 昌一 九州大学 中武 貞文 九州大学 近年,鉄の高騰により金属資源の見直しが急務になっている.鉄は,25億年前の地球上に酸素濃度が上昇したときに,そのほとんどが沈殿した化石燃料であり,有限の産物である.我々は現在の鉄沈殿作用が行われている地域に注目して,実際に自然界において鉄を作り出しているメカニズムを解明し,最終的には,自然界から人工的に金属鉄を回収する未来の資源増強技術を確立することをめざし,基本技術・基本モデルを確立することを目指す.
1173 新規電極構造を持ったバイオ燃料電池の開発と評価 綾戸 勇輔 産業技術総合研究所 若林 勝彦 産業技術総合研究所 バイオ燃料電池は、タンパク質等バイオ触媒を電極触媒として利用した燃料電池である。特に豊富に存在する糖、アルコール等が利用でき、常温で安全に運転できるため、超小型電源としての実用化が期待されている。しかしバイオ触媒は、温度やpH等外部環境の影響を受けやすく、電子移動反応が非常に起こりにくい。本応募課題では、ITO電極を用いたシンプルな電極構造を持つ新規バイオ燃料電池の開発と評価を行う。
1210 改質反応用貴金属代替Ni触媒の開発 永岡 勝俊 大分大学 安永 昌二 大分TLO この研究は独創的な卑金属触媒を用い、メタン改質に対するRu代替触媒としての有効性を実証するものである。触媒に関する特許が公開され、知的財産としての権利が確保されている。本研究において実用化に必要なDSS耐性、炭素耐性に対する知見を得ることにより、申請者が別テーマで共同研究を締結している企業と共同で、実用化を目指す予定である。
1235 メタンと二酸化炭素を含むバイオガスからの燃料電池用燃料(水素と一酸化炭素)の合成 松永 直樹 鹿児島大学 中村 恵造 鹿児島大学 燃料電池(SOFC)用燃料として、バイオガス中のメタン(CH4)と二酸化炭素(CO2)の水素(H2)と一酸化炭素(CO)へのガス改質法を検討する。目標としてCH4分解量を700℃で80 %以上とし、H2とCOの生成率を700℃でそれぞれ40 %以上とする。また、バイオガス改質燃料によるSOFCの発電性能は600 μm厚さの電解質で300 mW/cm2以上(800℃)を目標とする。
1237 中温作動用固体酸化物形燃料電池の正極材料の開発 鮫島 宗一郎 鹿児島大学 中村 恵造 鹿児島大学 固体酸化物形燃料電池(SOFC)の作動温度800〜1000℃(高温)を600〜800℃(中温)に低下させ、SOFCの普及を目指す。電解質には従来のイットリア安定化ジルコニアに替わり、高酸化物イオン導電体材料の希土類固溶セリア(RDC)を用いる。本研究では、RDC電解質と反応せず、電子導電性が高く、さらに酸素との反応性の高い正極材料を開発する。800℃、600℃でそれぞれ500、200mW/cm2の出力密度を目標とする。

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 廃棄物処理:19件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
11 高炉ダストを再活用した環境汚染物質の親環境型処理技術の開発 チャン ヨンチョル 室蘭工業大学 加賀 壽 室蘭工業大学 本研究開発は、製鋼用電気炉で発生する高炉ダスト(廃棄物)と硫酸塩還元菌との相互作用を活用し、有機塩素系化合物(TCE, DDT, PCB, endosulfan)や環境ホルモンによる汚染土壌をその場で浄化する画期的な親環境型処理システムである。本研究では高炉ダストの分解可能な有機塩素系化合物のデータベース構築及び分解特性を系統的に明確化させるとともに、硫酸塩還元菌の重金属安定化特性を検討し、実用化に向けた最適条件を見出す。
39 六価クロム(Cr6+)含有廃棄物の還元化処理法の実用化研究 岸 政美 北海道工業大学 蛸島 武広 科学技術振興機構 クロム(Cr)は酸性・アルカリ性の何れの場合でも有害な「六価クロム(Cr6+)」として溶解することが知られており、現在有効な除去処理法の開発に苦慮している。本研究では、木質抽出液および木材蒸煮液を用いた六価クロム(Cr6+)含有廃水および廃棄物の還元化による無害化処理の実用化研究を行う。「木質ボイラー残滓」、「発電ボイラー燃え殻」および「発電ボイラー煤塵」に対し「木質抽出液」および「木材蒸煮液」の各溶液を添加し、温度制御のもとで一定期間六価クロム(Cr6+)還元化処理試験を行う。
152 内熱式電磁溶融法による石炭灰の溶融減容化および利材化 谷口 尚司 東北大学 大野 健一 科学技術振興機構 わが国の石炭火力発電所から発生する石炭灰の総量は年間920万トン(2002年度)に上り、その75%がセメント原料に充てられているが、公共事業の縮小により、セメントの需要は減退しており、新たな利用先の開拓が求められている。石炭灰は嵩密度が小さく有害な重金属を含むため、ガラス化して減容化し、かつ重金属を封じ込めることが、最終処分あるいは利材化に有効である。本研究では、熱効率が高い内熱式の電磁溶融法によって、石炭灰の溶融・減容化および利材化を目指す。
189 廃棄珪藻土濾過助剤からのシリコンカーバイド及び金属シリコンの作製 村上 英樹 秋田大学 保坂 正晴 あきた企業活性化センター 本課題は、廃棄珪藻土濾過助剤から、簡易的な方法で、シリコンカーバイドと、珪素系高分子材料の原料となる金属シリコンを作製することを目的としている。現在、食品産業で大量に使用されている珪藻土濾過助剤は、使用後に有効利用されることなく、廃棄物として埋立処分されているので、これらの活用を目指す。
211 水蒸気接触法を用いた脱水性・乾燥性に優れた活性汚泥処理法の開発 高畑 保之 山形大学 村山 朋也 山形大学 下水処理施設等から排出される活性汚泥(下水・廃水の分解処理に用いるもので、微生物から構成される。)は、水分含有量が高く、処理に多大なコストを要することから、その減容化が大きな課題となっている。本応募課題は、水蒸気を活性汚泥に吹き付け接触させる方法(水蒸気接触法)により、活性汚泥の脱水性・乾燥性を飛躍的に向上させる効率的な活性汚泥処理法を開発するものである。本研究では、最適な処理プロセスを構築するため、水蒸気−活性汚泥接触の反応メカニズムと最適条件を解明し、効率的な装置の設計指針と運転管理法の検討を行う。
252 マイクロバブル技術を用いたバイオガス生物脱硫システムの開発 北村 豊 筑波大学 林 良夫 筑波大学 バイオ燃料の一つであるメタン発酵バイオガスに含まれる腐食性・毒性の強い硫化水素を,硫黄酸化細菌を利用した生物触媒により除去する生物脱硫法を確立する。ここでは触媒の活性化をマイクロバブル技術を用いた液相曝気法によって行なうことにより,従来の脱硫剤吸着法あるいは気相曝気法よりも安全で,効率が高く,かつ低コストでバイオガスを脱硫する技術の実用化を目指す。
255 放射線を用いたアスベストの無害化と可溶化に関する技術開発 永石 隆二 日本原子力研究開発機構 飯塚 隆行 日本原子力研究開発機構 アスベストは建築資材に多量に含まれ社会問題化しているが、高温溶融の処理法では1000度の高温加熱や大量の薬品を必要とする。そこで新たに放射線を用いた、環境適合性に優れたアスベストの処理法を開発する。すでにアスベストにガンマ線や電子線を様々な条件で照射し,構造変化や溶解度変化の予備的な知見を得ている。さらに研究を進め、粒状化や完全溶解による無害化を図り、環境負荷の低い画期的な処理法の開発を目指す。
257 生分解性プラスチック分解促進酵素の開発 北本 宏子 農業環境技術研究所 對馬 誠也 農業環境技術研究所 地球温暖化を防止するために、生分解性プラスチック(生プラ)の導入が図られている。しかし生プラは、使用中の崩壊や、使用後分解しにくいといった問題が、導入の障害になっている。提案者は既に、生プラ分解活性が高い微生物を分離し、生プラ分解酵素を単離している。本研究では、分解酵素の遺伝子とアミノ酸配列を明らかにする。また、酵素生産微生物をさらに効率よく分離する手法を開発する。
335 キヒトデ抽出物の抗真菌剤としての利用 石崎 松一郎 東京海洋大学 松山 祐子 東京海洋大学 本研究は、日本全国の沿岸部において採取されるキヒトデの有効利用方法を構築することが狙いである。キヒトデの抽出物に存在するさまざまな生理活性物質の中で特にヒトデサポニンの抗カビ作用の強さに着目し、天然成分由来の安全・安心な抗カビ剤の開発を目的としたキヒトデサポニンの高収率な回収方法を提案し、従来法とは異なるn-ブタノールを介さない新規抽出方法の開発と同時に有効成分であるヒトデサポニンの収率改善を目指す。
388 光化学分解によるディーゼル燃焼排ガス中NOxのカスケード除去試験 大山 龍一郎 東海大学 加藤 博光 東海大学 ディーゼル燃焼排ガス中のNOxを光化学分解する技術に関するものである。NOxの光化学分解には、結合解離エネルギーから189nm以下の波長の光が適しており、申請者は、キセノンランプからのエキシマ光によってNOxを選択的に光化学分解できることを実証してきた。今回、光解離酸素の再結合によるNO2へ変化等の問題を解決するため、光反応をカスケード構成にした照射システムを構築し、NOx除去プロセスを確立する。
428 ニッケルフェライトポーラスバルクを利用した高温エステルセンサー 末松 久幸 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 申請者らが発見した、ニッケルフェライトポーラスバルク材料における有機物吸脱着反応による電気抵抗率急変現象を活用し、環境ホルモンなどのエステル類を200℃以上で高温検知可能な素子を開発する。これにより、連続使用が不可能だった高温有機物センサーの実現を目指すことにより、煙突など高温下の環境浄化に寄与することを目指す。
431 稲わらの効率的メタン発酵技術の開発 小松 俊哉 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 下水道浄化センターの消化槽を利用した混合メタン発酵によって,未利用バイオマスから効率的なエネルギー回収が可能である。本課題では,稲わらを未利用バイオマスとして注目し,高温消化を適用した下水汚泥と稲わらの混合嫌気性消化法のシステムを構築することを目的とする。研究期間内の目標として,1)高濃度消化の系列も含めて連続実験を実施し,稲わらを投入した場合の消化特性を明らかにする。2)中温消化の結果も合わせてシステム全体のLCA評価を行う。
453 余剰汚泥からの共存型嫌気性プロセスによるエネルギーとりん回収技術の確立 池本 良子 金沢大学 奥野 信男 金沢大学 @バイオガス回収が可能なメタン発酵,A酸発酵を促進しリン回収可能な硫酸塩還元を活用した下水汚泥の嫌気性消化プロセスの実験的検討を行う。メタン発酵を主体とする嫌気性消化は,消化率が低いこと、リンの回収が困難などの指摘はあるが,資源回収システムとして見直されている。硫酸塩還元は,酸発酵とリン放出の促進に加え生成した硫化水素が脱窒に利用可能なことから,その利点を生かした共存型の嫌気性消化プロセスを提案する。従来型の嫌気性消化法と比較して大幅な汚泥発生量の削減とバイオガスおよびりんの回収,水処理系における窒素除去率の向上が期待出来る。
799 高次な環境浄化機能を有する酸化チタンナノチューブの高性能化 関野 徹 大阪大学 清水 裕一 大阪大学 本研究では、低温化学プロセスで合成される特異な低次元ナノマテリアルである酸化チタンナノチューブ(TiO2 NTs)に関し、その分子吸着メカニズム並びに光触媒機能とその相関を解明し、これを基礎に合成プロセス最適化や格子制御手法を併用することで、熱化学的に安定であり、多様な分子吸着機能と共に光触媒特性も共生的に兼備した全く新しい高次な能動型ナノ環境浄化材料ならびにそのシステム構築を目的とした研究開発を行う。
837 大気圧常温プラズマと吸着剤を利用した高効率小型VOC無害化技術の開発 黒木 智之 大阪府立大学 稲池 稔弘 大阪府立大学 有効な処理方法が確立されていない小規模な発生源からのVOC(揮発性有機物)排ガス対して、大気圧常温プラズマと吸着剤を利用した高効率小型VOC無害化技術の開発を目的とする。特に、病理検査室や解剖室では、キシレン排ガスによる人体への影響が懸念されているため、吸着剤によりキシレンの排出濃度を0.2 ppm以下まで削減し、常温プラズマにより吸着剤を短時間で再生させることを研究し、実用化可能レベルに近づける。
1005 シクロデキストリン成分をもつ球状ヒドロゲルの調製とバクテリア固定化担体としての応用 山ア 博人 宇部工業高等専門学校 大高 聰 山口大学 シクロデキストリン(CyD) は分子内に空洞をもっており、水中ではその中に芳香族などの有機物を迅速に取り込むことができる。本試験研究は、シクロデキストリン成分をもつ球状ヒドロゲルを新規に調製し、そのバクテリア固定化担体としての応用を検討するものである。
1057 簡易自動処理装置による高濃度ホウ素およびフッ素含有廃水の処理実証試験 掛川 寿夫 香川大学 福井 次郎 香川大学 低コストで簡単に実用化できる高濃度ホウ素およびフッ素含有廃水の簡易自動浄化処理装置を開発する。現在、ホウ素やフッ素を現実的な処理コストで浄化処理できる装置や技術的展望は無い。我々は、これまでの基礎研究において、ホウ素やフッ素を簡単に新基準未満まで浄化処理できる新しい凝集沈澱法を開発し、すでに特許出願している。本研究の目的は、この基礎的な処理技術を基に、実用可能で安価な簡易自動浄化処理装置を開発し、高濃度ホウ素およびフッ素含有廃水の処理実証実験を行うことである。
1200 水銀の除去・回収能を有する電気透析−微生物ハイブリット型バイオリアクターの開発と応用 岩原 正宜 崇城大学 石川 宗晴 科学技術振興機構 Hg2+を含んだ廃液の処理には、一般に物理・化学的方法が用いられているが、Hg2+含有廃液の濃度は多岐に亘り、沈殿や吸着によって二次的に生じた廃棄物の処理が必要となり、処理工程の複雑化、高い処理コストが課題となっている。本研究では、「Hg2+耐性菌を用いた微生物処理法」および「電気化学的処理法」の双方の利点を活かし、広いHg2+濃度の範囲で処理・回収ができるという特長をもつ新規な処理法を開発する。
1208 静電微粒化水滴の注入による廃油・廃液のリユース化技術の開発 金澤 誠司 大分大学 森岡 勝彦 大分大学 外食産業からでる廃油は年間数百万トンにもなる。印刷業界では印刷終了後,印刷機に残留するインキを石油系溶剤で洗浄するが,その廃液はそのまま廃棄されるため膨大な量になっている。これらの廃油・廃液が環境に及ぼす影響や資源の有効利用およびコストの削減を考えると再生により再利用するリユース技術の開発が必要である。本研究では,これまで行われてきた薬剤の投入やフィルターによる濾過ではない,まったく異なる発想に基づく静電気力と流体の現象をベースにした新しい廃油・廃液処理の技術を提案し,実際の処理に利用できる装置の開発を行うことを目的とする。

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 リサイクル:16件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
60 新規機能性ケイ酸塩を応用した13族元素分離回収材の合成と実用化評価 國仙 久雄 北海道薬科大学 東 市郎 北海道薬科大学 GaとInは高度な生活水準を支えるエレクトロニクス分野で用いられている重要元素であり、埋蔵量の少ない希少鉱物資源である。本研究では資源再利用のため、13族イオン含有廃液中からGaとInを選択的に回収するための機能性ケイ酸塩分離材の合成を行う。分離材は、予備研究を行っている溶媒抽出試薬を表面修飾したシリカゲル上に担持して合成する。この分離材の金属イオン回収能と選択性の評価を行い、事業化への実現性を検討する。
63 高比表面積を有する排煙処理用高反応消石灰の開発 長野 伸泰 北海道立工業試験場 後町 光夫 北海道立工業試験場 製糖副産物であるライムケーキを焼成・水和し、高い脱塩化水素・脱硫効率を有する排煙処理剤を安価にかつ容易に製造する技術を開発する。
110 高圧熱水反応を利用した省エネルギー型フィッシュミール製造プロセスの開発 本間 哲雄 八戸工業高等専門学校 小野 堯之 宮城工業高等専門学校 魚類等の水産加工残滓の再利用において処理能力、省エネルギー、環境調和等の課題を解決するため、高圧熱水処理による密閉型処理を中心とした省エネ型再利用プロセスの開発を行う。先ず、水産加工残滓からの高品位のフィッシュミール・バイオディーゼル燃料の製造研究を行って、その要素技術を熟成し、さらに可搬式処理装置開発に必要な知見を得て、漁港から小売業者までの広い市場を対象とした実用化を最終目標としている。
158 強磁場と相平衡を利用した新しい電気炉ダスト処理法の開発 長坂 徹也 東北大学 井元 尚充 東北大学 本試験では、ダストをCaO と反応させることにより、ZnO とカルシウムフェライトに相分離せしめた後、両相の磁気的性質の違いを利用して強磁場を作用させてZnO を分離・回収するオンサイト処理の実用化を目指す。具体的には、相転化速度の向上策の検討、最適の磁場設計、Waeltz 法等既存のEAF プロセスとの比較検討を行なう。
187 塩化揮発法による種々の資源からのレアメタルの分離精製プロセスの開発 野中 利瀬弘 秋田工業高等専門学校 保坂 正晴 あきた企業活性化センター 本試験研究は、鉱石などに種々の形態で含まれるレアメタルを、塩素化反応を利用して高効率に分離精製する環境負荷低減型プロセスについて、実用化に向けた最適な反応条件を見出すことを目的としたものである。ここでは、分離精製プロセスの過程で生成するレアメタルを含む複合化合物について、その塩化揮発反応ならびに炭素共存下における塩化揮発挙動を実験的に明らかにし、レアメタルの分離率が最も向上し得る処理条件を推算する。
202 大型攪拌翼を用いたセルロース分解酵素の反応促進に関する研究開発 高橋 幸司 山形大学 近藤 健夫 山形大学 木質廃棄物からバイオエタノール、有用有機酸を製造する上でセルロース加水分解は,必要不可欠な技術である。しかし,そのためには高価な酵素を多量に使用しなければいけない。本研究では,その問題を解決するために,撹拌条件および攪拌翼・槽の検討を行うことで酵素量添加量の大幅な削減を目的とする。また,その条件をもとに大型装置を用いた実証試験の検討も行う。
272 廃潤滑油等の再資源化技術に関する研究開発 鈴木 崇 群馬県立群馬産業技術センター 上石 洋一 群馬県 アルミニウム等の精密切削技術は超精密加工への移行が著しく、加工精度や歩留まり向上のために、潤滑油中の金属微粉末が一定量に達すると廃棄され廃油量が増加している。廃油量増加による産廃コスト増、石油製品高騰、環境負荷低減への関心の高まりから廃油有効利用技術が求められている。廃油中の金属微粉末が除去できれば化学工学的手法で高エネルギーガスなどに変換出来る可能性が高い。本研究では電気泳動現象を利用して分離が難しい金属微粉末を廃油から除去し、かつ再資源化する技術の確立を目指す。
358 耐薬品性に優れた鋳型高分子ゲルを利用する遷移金属捕集材料の開発 前山 勝也 東京農工大学 高田 誠 東京農工大学 耐薬品性、成型加工性に優れた芳香族ポリケトンの機能材料への利用展開を図ることを目的とし、耐薬品性に優れた遷移金属塩の効率的・選択的捕集剤の開発を行う。具体的には、捕集したい遷移金属塩を配位させた状態で重合・架橋反応を行い芳香族ポリケトンゲルを得た後、脱金属化により、鋳型ポリマーを得る。得られた空孔を利用して当該金属を選択的に捕集できるよう、適切な分子設計・反応設計を行う。
525 産業廃棄物灰から合成した触媒による汚染土壌の浄化 錦織 広昌 信州大学 坪井 開 長野県テクノ財団 本技術は産業廃棄物焼却灰の吸着・分解作用に注目し、これら灰からゾルゲル法を用いて高分散で多孔なシリカ系触媒の合成を行い、固相における土壌汚染の浄化を目指すものである。本提案では、実験室レベルで模擬汚染土壌を用いた小規模な浄化実験を行って混合条件の最適化をはかり、さらに実際の汚染現場でその効果を試すことにより実用の可能性を求めるものである。
624 古民家等の改修における古材の物性に関する非破壊評価法の開発と応用 佐々木 康寿 名古屋大学 伊藤 靖浩 名古屋大学 現在、木造建築物の改修・改築等においては、熟練大工の目視と経験によって、部材(木材)の再使用を決定しており、保有強度に関する科学的検証は行われていない。このため、代表研究者は、建築物の状態で部材の「応力波伝播速度」を測定することにより保有強度を推定する方法を新しく開発した(特許出願中)。今回、実大の構造部材(柱、梁など)に対して新開発の方法により強度を推定すると同時に、解体後、静的負荷による曲げ強度試験を実施し、両者から得られる強度値の比較・検討を行い、部材保有強度推定法の妥当性を確認し、実用化に結びつける。
722 生分解性プラスチックの非滅菌酸発酵での材料生成とその合成技術の開発 津野 洋 京都大学 藤森 賢也 京都大学 有機性廃棄物の利活用は石油への依存率を低下させるだけでなく、カーボンニュートラルな性質のために地球温暖化防止に対しても有効である。また、生分解性プラスチックは、環境に優しく、市場認識が高まりつつあり、年々その普及率が上昇している。このような背景を踏まえ、本研究では生ごみやその他の有機性廃棄物から非滅菌酸発酵により生成したL‐乳酸を原料として、生分解性プラスチックであるポリ乳酸合成技術の開発を行う。
943 バイオポリマー循環利用プロセスのためのセラミックス固定化酵素の開発 酒井 貴志 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 21世紀は石油ベースのオイルを基盤としたものづくりから、バイオ資源、バイオテクノロジーを基盤としたものづくり社会に変化しようとしている。ポリマーもバイオ資源からバイオテクノロジー(酵素)によって作り、使用後は酵素によってモノマーに戻す資源循環型のものが望まれる。生分解性バイオポリマーである。本研究では、ポリマー化にも、ポリマーの分解にも有効に働く実用的な多孔質セラミックス固定化リパーゼの開発と、効率的なポリマー・モノマー循環プロセスの開発を行う。
948 活性炭吸着有害有機塩素化物の直接電解還元無害化処理―活性炭循環系の構築 田中 秀雄 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 本試験研究は,活性炭に吸着された有害有機塩素化物の直接電解脱塩素化・無害化処理に関するもので,焼却炉などの排ガスや廃水処理,PCB廃油やダイオキシン汚染土壌の処理等で使用された活性炭のうち,特に高濃度の有害有機塩素化物を吸着した活性炭の無害化処理法を開発する.さらに既報の活性炭賦活法と組み合わせることにより,活性炭再生・循環系を構築する。
999 担体添加バイオスラリー法による実油汚染微粒子土壌の浄化 奥田 哲士 広島大学 榧木 高男 広島大学 油に汚染されている土地(土壌)を浄化する際に多く用いられる方法に土壌洗浄法があるが、そこでは通常大きな土壌のみが洗浄され、再利用されている。しかし、重量で全体の平均2割以上を占める100μm程度以下の微粒子画分に付着した油の浄化は難しく、通常は埋立処分されており、その浄化と再利用が望まれている。
本提案では、我々が取得した特許取得済の「担体添加バイオスラリー」法を基本に、これまで生物分解が非常に遅く問題となっていた上記の微粒子土壌上の油の生物浄化に関して、実際の汚染土壌に対して応用し、浄化速度を向上することを目的とする。
1074 レーザを用いた印刷用紙の再利用技術の開発に関する研究 井堀 春生 愛媛大学 神野 俊一郎 愛媛大学 使用済みのコピー用紙を通すだけで、印刷された部分を除去して印刷できるような装置があれば、印刷紙を手軽にリサイクルすることが可能であり環境保全に大きく貢献できる。また、シュレッダを使用することなく個人情報の消去をおこなうことができ、その場で消去の事実を確認できる利点もある。このような装置の実現を念頭に置き、本課題では、印刷用紙からトナーを除去する手法としてレーザを用い、そのレーザ照射条件を中心に検討する。
1146 産業廃棄物からの環境配慮型貴金属の分離・リサイクル方法の検討 渡邊 公一郎 九州大学 緒方 道子 九州大学 携帯電話やパソコンといった電子機器、燃料電池や自動車排ガス浄化触媒といった地球環境保護のための製品には、金及び白金族元素といった貴金属が多量に含まれており、その含有量は自然界の鉱床と比べるとはるかに高い。それらの廃棄物中から貴金属を高効率で回収・再利用できる手法は資源工学的見地からも早急な確立が望まれている。そこで本研究では、金属水酸化物を用いて、金及び白金族元素を経済的、安価かつ高効率に分離回収し、リサイクルする技術を開発する。

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 防災:18件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
94 地中探査レーダーによる知床峠積雪観測 佐藤 研吾 北見工業大学 百瀬 雅将 北見工業大学 地形、環境、風向などにより複雑に変化する積雪の堆積状況を知ることは重要である。雪渓・氷河の涵養機構や吹雪に伴う積雪の再配分機構を考える上で、堆積環境の把握は重要といえる。従来行われている断面観測や小規模なコアサンプル取得は、季節積雪の水当量や内部層構造は空間的変化に富むため、広範囲の堆積環境を知るという目的には不適当である。本研究では、電波を放射することで内部構造を非破壊かつ短時間で捕らえることのできるGPRを用いて、知床峠の積雪分布、積雪内部構造を観測し、知床における積雪特性について検討する。
318 地物データGISを活用した精緻な都市洪水流出予測モデルの開発 河村 明 首都大学東京 川原 正言 首都大学東京 都市型洪水被害の低減を目的として、人工的に形成された非常に複雑な都市型洪水流出に対し、まず、従来の土地利用情報のみならず、一つ一つのビルや家屋の地物データに、1/2500 地形図から得られる個々の土地利用要素の情報を抽出し、さらにマンホール、雨水・下水道網、河道網の情報を付加して洪水流出のための高度な地物データGIS を構築する。そして、正確な流出要素毎に水理・水文モデルを適用し、降雨の流出経路を物理的に忠実に表現可能な精緻な都市型洪水流出予測モデルを開発する。
353 土砂災害早期避難勧告発令用斜面モニタリングシステム開発 白木 克繁 東京農工大学 八木 茂 東京農工大学 豪雨時の土砂災害発生危険度の判定は、現在では主に降水情報に依存しており、地質や地形の相違を危険度予測に組み入れることが難しい。本課題では土壌水分情報や地下水位変動の観測値と、浸透数値シミュレーションによる予測値をカップリングさせてより確度の高い災害予測ができるシステムの構築を目指している。このためには地下水位などの地点情報がどの程度空間的代表性があるかを明らかにする必要がある。さらに、斜面における多点での土壌水分・地下水位変化の観測結果と、シミュレーション結果とどのように対応するかを明らかにし、新たな土砂災害発生危険度判定システムの構築を目指す。
419 縦渦励振発電を利用した電力自立型河川監視装置の開発 高橋 勉 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 本課題は河川の流速・水位などの測定と結果の無線送信を自動で行い,これらの動作に必要な電力を河川の流れのエネルギを電力に変換することにより自給できる装置を開発する.電力の発生には本申請者らが開発中の縦渦励振現象を利用した振動発電装置を使用し,流速測定にはリングから流出するカルマン渦による抗力変動を利用する.本課題では発電部の最適化と流速測定部の検討を目標とする.
465 土壌不均一性を考慮した土壌不溶化技術の確実化手法の開発 川西 琢也 金沢大学 平野 武嗣 金沢大学 土壌は極めて不均質な媒体であるにもかかわらず,従来の汚染対策はこの不均質性を定量的に考慮していない。本研究は,(a) 基礎実験としての吸着量・速度に関する回分実験,(b) 1次元パラレル流路モデルに流路性状に分布を与えたモデル解析,(c)同一条件下でのカラム実験による再現性の検討,を通じて土壌汚染不溶化技術に土壌不均質性が及ぼす影響を定量的に検討し,確実な不溶化技術の確立を目指す。
479 獣害対策支援のための地理情報システムの開発 辻野 和彦 福井工業高等専門学校 上坂 治 ふくい産業支援センター 近年、福井県では中山間地域を中心にイノシシ等の野生獣類による農作物被害が深刻な問題となっている。そこで本課題では、福井県鯖江市における持続可能な被害軽減策立案に資する支援情報の提供、ならびに、住民の鳥獣害に対する意識啓発を目的として、イノシシ被害対策支援のためのGISを提案する。具体的には、@衛星画像を用いた竹林の分類、AGPSを用いたイノシシの行動範囲の把握、B耕区単位の危険度評価による被害予報の3項目を検討する。
480 緑被の生長を阻害しない薬剤散布による表層地盤の安定化工法 辻子 裕二 福井工業高等専門学校 上坂 治 ふくい産業支援センター 「土と石の強化保存剤」は、土の間隙を保持しつつ土粒子の結合を強化させる働きがある。本課題では間隙を保持する同保存剤の特徴を利用し、CO2固定に寄与する緑被の生長を阻害することなく、斜面(法面)の表層部分を安定化させる方法(工法)を提案する。テンションクラック発生時や林道の設置を起因とした大規模崩壊の防止、地震時の法面崩壊の防止に寄与するものと推察される。本研究期間においては屋外実験斜面を用い、@薬剤散布による緑被の生長/枯死、A斜面(法面)強化の面での効果と持続性について言及し、実用化を探る。
489 熱・水・塩収支法による路面雪氷状態予測モデルの開発と凍結防止剤の最適化 藤本 明宏 福井大学 吉田 芳元 福井大学 本モデルは、凍結・圧雪路面の回避に最適な散布量と散布時期の決定を目的に、数時間先の路面雪氷状態を予測する。
具体的には、凍結防止剤散布下における大気/車両-雪氷層-舗装間の熱・水・塩収支を解き、雪氷温度および雪氷状態(塩濃度、雪氷厚、含氷率)の時間変化を評価する。
564 衛星画像を用いた大規模災害時救助支援用道路閉塞検知システムの開発 佐治 斉 静岡大学 藤田武男 静岡大学 近年入手が容易になっている衛星画像を入力データとし、 広域道路情報を自動解析することで、災害時の 救助活動に役立てられるシステムの構築を目的とする。具体的には、災害後に撮影された衛星画像を入力とし、 道路閉塞領域を自動検知し、救助活動時での ルート選定に役立つソフトウェアシステムの構築を行う。
665 防災を目的とした超音波による地中含水量評価システムの開発 深川 良一 立命館大学 金丸 まや 立命館大学 降雨による斜面崩壊を予知するために、土砂中の水分量のモニタリングが重要である。現在、その方法として間隙水圧計測をベースとするテンシオメータが使われているが、常時計測セル内の水の補給管理が必要である。また土砂の導電率や誘電特性を電気的に測定して水分を測定する方法もあるが、設置上の問題などがある。そこで本研究では、小型で容易に設置できて常時メンテナンスを必要としない土砂中水分モニタリング法として、超音波を利用した非接触計測法を提案し、実用化に向けて基礎特性と有効性を明らかにする。
671 感度安定型PZT素子を用いたインフラ構造物の健全性監視システムの開発 日下 貴之 立命館大学 矢野 均 立命館大学 トンネル等でのコンクリート剥落事故に見られるように、様々なインフラ構造物で老朽化や強度不足が問題視されるようになっている。従来、この種の構造物の健全性評価は、定期検査ベースで行われるのが一般的であったが、近年、構造欠陥の早期発見、検査コストの削減などの観点から、構造物中に各種のセンサーを埋め込むことによって、構造物の健全性を常時監視できるシステムの開発が精力的に行われている。本研究では、これまでに申請者らが開発した高性能PZT素子と損傷可視化技術を応用して、鉄道橋や道路橋などの健全性を常時監視できるシステムを開発し製品化することを狙う。
922 下水汚泥の有効利用による海岸砂地からの飛砂防止植生導入技術の開発 増永 二之 島根大学 糸原 保 島根県 冬期の日本海沿岸に広がる海岸砂地では、強風で飛砂被害が生じている。一方、バイオマスニッポン総合戦略に沿って、有機性廃棄物の有効利用が求められているが、品質やイメージの悪さが制限となり実効的な用途や手段が見つかっていない。本研究では、海岸砂地での飛砂を抑制する方法として海岸砂地の在来植物を用いた砂防植生の導入を可能にする新規の技術(砂防植生バッグ)を下水汚泥を利用して開発することにより、海外砂地での砂防と下水汚泥の有効利用を実現・促進できる技術の確立を目指す。
977 microRNAを標的とした新世代型バイオドジメトリー・マーカーの開発 達家 雅明 県立広島大学 三宅 哲雄 科学技術振興機構 放射線被曝災害への対応策のひとつとして被曝した可能性のある大人数に対し、迅速な被曝者の同定と被曝程度の判定が求められる。現在、欧米を中心に複数のバイオドジメトリー・マーカーを用いた災害対応のマニュアル化が試みられているが、応用可能な生化学的マーカー候補は少ない。本課題ではヒトのバイオドジメトリーをより簡便に実践応用可能にする次世代型マーカーとして放射線応答性のmicroRNAを検索する。
1041 自主防災組織で活用可能な津波避難シミュレーションシステムの開発 成行 義文 徳島大学 平岡 功 徳島大学 住民の個別属性ならびに道路ネットワークの閉塞・切断等を考慮した実用的で精度の高い動的津波避難シミュレーションシステムの構築を目的として,「道路ネットワーク・沿道建物数等のGISによる自動生成・取得手法」,「ペトリネットを用いた全住民のマルチエージェントモデル」ならびに「住民・家屋等の個別属性データの調査方法」等の開発を行い,それらを組込んだシステムを津波被災リスクの高い地域に適用してその有効性を検討する.
1056 瀬戸内海沿岸域における災害予測・事前防災対策システムの開発 白木 渡 香川大学 福井 次郎 香川大学 最近、瀬戸内海の沿岸域で発生し、大きな被害をもたらした「高潮災害」、「重油流出災害」の2つを取り上げ、セルオートマトン(CA)技術を応用した被害拡散予測・事前被害対策システムの開発を目的とする。システム開発の目標は、災害の種類、発生場所、気象条件、海域環境条件、地理条件等を入力すれば、被害の拡散状況とそれに対して実施した被害軽減策の効果がリアルタイムに評価可能な機能を具え、地域自治体(町、村)、学校、自治会単位で、事前防災・減災のための教育・訓練に使用できるシステム開発である。
1155 ソーラシステムを導入した携帯型斜面危険度診断システムの開発 安福 規之 九州大学 坪内 寛 九州大学 地盤内の水分量や疎密状態を個別に測定する機器は従来から存在するが、両者を同時に測定可能なシステムは見当たらない。本研究では、申請者らが先に開発した「携帯型重錘落下型変形係数測定(FWDM)装置」に電気・熱変動探査機能と斜面表層内での地盤剛性探査機能を付加した「斜面危険度診断システム」を開発する。表層地盤の剛性と共に地盤の水分量探査や地盤の疎密状態探査を同時に実施可能で、かつ斜面での測定が容易なシステムの開発をめざす。
1183 無線ネットワーク情報伝達技術などを活用したリアルタイム道路斜面 蒋 宇静 長崎大学 森 紅美子 長崎大学 日本の道路は、斜面崩壊の予防的措置を講ずる上で、自然環境や地震などの外的要因を受ける斜面損傷による被害の可能性を的確に評価する必要がある。本研究で個別要素法による岩盤斜面の損傷解析と崩壊後の到達距離の評価法を確立し、評価結果に基づいた経済的かつ継続的な斜面監視システムの開発と実用化を目的とし、斜面崩壊箇所の選定と当該箇所における中・長期的な監視ネットワークを構築して、地域の防災・安全確保を図る。
1221 高解像度人工衛星画像による分水界の判読法の高精度化 竹下 伸一 宮崎大学 石川 正樹 宮崎大学 近年急速に利用が進む高解像度人工衛星画像を用いて,撮影画像内の稜線・尾根線・分水界を自動判読する手法の開発とその高精度化を実施する.本研究では,画像内に含まれる陰影情報に基づいて,稜線・尾根線・分水界を精度良く判読することを可能とする技術の開発を行う.これまでの研究により画像内に含まれる陰影情報のみから稜線・尾根線・分水界の判読が基本的には可能であることを突き止めている.本課題ではこの技術の有効性を様々な条件の下で試行し,その判読精度を高めることを目的とする.

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 生活:4件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
133 伝統家具に使用するための簡易的接合部品の構造開発とその応用 田中 隆充 岩手大学 小川 薫 岩手大学 日本の伝統工芸技術を活用し、且つ、使い手が簡易的に組み立てられる接合部品を開発する。日本の伝統工芸は海外で大変高い評価を受けている反面、家具類のほとんどは組み立てが出来ないため、輸送コストがあがり、結果的に販売価格が高く販路拡大が難しい状況にある。そこで、伝統工芸の高級家具としての付加価値要素を損なわず、且つ強度とユーザービリティーが保持される接合部品の基礎的開発を行うことが目的である。
749 カモフラージュの解析による環境に調和したパターン作成システムの開発 坂東 敏博 同志社大学 南 了太 同志社大学 物作りをする際に、そのデザインは目立つよりも背景の環境と調和するパターンを選ぶ必要性が高まっている。背景のパターンとの調和を考える時、動物が長い進化の過程で獲得したカモフラージュが参考になる。本研究は、背景に従って体表パターンを変化させ見事なカモフラージュをする動物の体表パターンの画像解析を行い、背景に溶け込むために重要なパターンの特徴を明らかにすることで、背景にマッチしたパターン作成を支援するシステム開発を目指すものである。
842 カメ培養肝細胞を用いた簡便で再現性の高い環境汚染評価法の開発 鎌田 洋一 大阪府立大学 西村 紀之 大阪府立大学 卵生動物のオスが女性ホルモン活性のある汚染物質の曝露を受けると、ビテロジェニン(VTG)という卵黄前駆体が肝臓で合成され、血液中に放出される。私は野生のクサガメオスの血中VTG濃度と汚染物質の相関を調べ、環境の良否を評価してきた。本研究ではカメ肝細胞の培養システムを確立し、汚染物質によって肝細胞から誘導されるVTGをパラメータとして、簡便で再現性が高く、検査施設間等での変動のない安定した環境汚染評価法を開発する。
894 抗真菌活性を有する新規防臭剤の開発 鈴木 孝仁 奈良女子大学 藤野 千代 奈良女子大学 植林されたスギ、ヒノキ、ヒバの間伐材や他の木材に由来する精油成分を利用し、これまでのアルコールや塩素系の殺カビ剤とは異なる原理で微生物、とくに真菌(カビ)に増殖抑制効果を示す、安全な防菌防臭剤の開発を行う。顕微鏡観察法とクロマトグラフィーを組み合わせた解析方法によって、どのような抽出法と精油成分の混合比がカビの増殖の抑制に最も効果的なのかを判定しながら製品化につなげる。

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 健康:28件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
18 事象に関連した確率推論による疲労度の収束的推論システム 魚住 超 室蘭工業大学 朝日 秀定 室蘭工業大学 人間の疲労度は声や表情に表れる。本システムは、音声と顔つきに含まれる疲労情報をマイクとカメラにより事象(音声合成による質問)に対する反応として取得する。音声情報からはピッチや振幅,ゆらぎ等の特徴量を解析し、ユーザの動画像から瞬目の回数、眼の細さ等を解析する。ベイジアンネットワークを用いて複数の関連ネットワークから構成される疲労度の推論システムを構築し、音声での確認反応を取得するシステムである。
44 魚類の新たな生体指標蛋白を利用した環境エストロジェン評価系の構築 平松 尚志 北海道大学 小川 晴也 北海道大学 ビテロジェニン(卵黄前駆蛋白)は環境エストロジェン活性を評価する生体指標として汎用されているが,低濃度領域ではビテロジェニン誘導と生殖異常との相関が認められないこともある。本研究ではコリオジェニン(卵膜前駆蛋白)を用いることによる高感度測定法の開発を行なう。具体的には,ボラ科魚類の血清からコリオジェニンを分離精製,特異抗体を作製後SRID法による測定法を確立,ビテロジェニン法との比較を行なう。
113 歯垢形成抑制効果を持つ多糖の開発 吉田 康夫 岩手医科大学 佐々木 蔵寿 いわて産業振興センター 初期口腔バイオフィルムの主要な構成菌であるレンサ球菌と放線菌は、レセプター多糖(RPS)と呼ばれるレンサ球菌の菌体表層多糖と放線菌の2型繊毛を介して結合することが知られている。以前我々はIn vitroの実験系を用いて、GalNAcb1-3Galを含むRPSがこのレクチン様結合を強く阻害することを明らかにした。本研究では、流動系を用い実際にバイオフィルムを作製させ、同多糖のバイオフィルム阻害効果を明らかにする。
127 生物酸化と共沈によるヒ素汚染地下水の簡易浄化技術の開発 伊藤 歩 岩手大学 今井 潤 岩手大学 本技術は、地下水に含まれる亜ヒ酸(As(III))を、ヒ素酸化微生物によってヒ酸(As(V))へ酸化し、ヒ素を金属水酸化物ポリマーによって除去しようとするものである。本研究の目的は、ヒ素酸化微生物が生息する生物膜のプラスチック担体への形成の可能性とその形成条件を明らかにするとともに、共沈剤としての金属水酸化物ポリマーの有効性を明らかにすることである。最終的には、ヒ素汚染地下水の効率的な簡易浄化技術を開発する。
130 ローヤルゼリー機能代替ペプチドの応用開発 鈴木 幸一 岩手大学 小川 薫 岩手大学 ローヤルゼリーペプチドには、免疫賦活機能と女王バチ誘導補助因子機能があることを明らかにしている。しかし、製品開発のためにはいくつかの課題がある。糖鎖付加したローヤルゼリーペプチドが強力な免疫賦活活性を有しているが、製品化のためには、ローヤルゼリーに変わり得る機能代替ペプチドの応用開発を目指すことが重要な目的になる。
176 ガス除去フィルタの開発とその応用 野ア 淳夫 東北文化学園大学 半田 篤志 東北経済連合会 現在、室内空気汚染に対する有望な対策技術の一つとして空気浄化装置に期待が寄せられている。しかし、当該装置に設置される吸着方式のガス除去フィルタはある使用時間を超えると化学物質除去性能が著しく劣化し、それ以降の化学物質除去性能は期待できない現状にある。 本課題では代表研究者の開発した新技術により、化学物質除去性能の向上とその長期的維持のため、1)化学吸着剤をガス除去フィルタの濾材や吸着材に定期的に添加する機構、2)固相物理吸着材を定期的に交換する機構を確立するものである。
238 骨関節健康増進への応用を目指した動的な関節力学特性計測方法の開発 金子 文成 産業技術総合研究所 池田 喜一 産業技術総合研究所 変形性膝関節症(膝OA)による疼痛を予防する運動教室など,フィールドで使用することを想定した,動的な関節力学特性(DJMP)の計測装置を開発する。またその装置を用いて,膝前十字靭帯(ACL)損傷例および継続的医療の対象ではないが日常に膝痛を訴える膝OA症例について,DJMPの特徴を明らかにする。DJMPとして,膝関節に対して多方向から矩形状に負荷量が変化する負荷を与え,その時の応答を解析する。
254 発生工学技術を応用したカーボンナノチューブの生体リスク評価系の確立 高橋 智 筑波大学 林 良夫 筑波大学 カーボンナノチューブは、従来のマクロ材料にはない特性を有しており、エレクロトニクスをはじめ、バイオやエネルギー産業といった産業への応用が広く期待されている。しかし一方で、ナノ素材の安全性に対して社会的に様々な不安や懸念が持たれている。そこで本申請は、遺伝子工学技術を用いて、ナノ素材に対して、正常の動物より鋭敏な感受性を示すモニター動物を開発し、生体に対する鋭敏なリスク評価系の開発するものである。
271 マイタケ中に存在する神経細胞死抑制物質の探索と製造方法開発 仁科 淳良 群馬県立群馬産業技術センター 上石 洋一 群馬県 多くの認知症やストレス性のうつは神経細胞の死滅が原因で引き起こされることが分かっている。また、脂質等の血液脳関門を通過する可能性を持つ低分子物質による神経細胞死の抑制に関心が持たれている。本試験研究では、マイタケ中のリゾホスファチジルエタノールアミン(LPE)の抽出法の確立、抽出物中のLPEの純度向上法確立、実験動物の行動に対するLPEの作用測定を行うことにより、認知症やストレス性のうつの予防効果を持つ機能素材を実用化を目指す。
291 高熱流束プラズマジェットのVOC排ガス/ナノ粒子同時処理装置への展開 関口 和彦 埼玉大学 市川 世司 埼玉大学 ディーゼル車や工場から排出される、揮発性有機化合物(VOC)ガスや粒径が100 nm以下の超微小粒子(ナノ粒子)を対象とした、高熱流束マイクロプラズマジェット技術を用いた空気浄化手法を開発する。実際に実証装置を作製し、VOCガス/ナノ粒子の分解特性を除去率から把握するだけでなく、組成成分の観点からもその有効性を明らかにし、排ガス除去フィルターや空気清浄機への設置など、健康リスクを考慮した実用化研究を行う。
306 大気環境計測用小型サンプラーの開発 大坪 泰文 千葉大学 枝村 一弥 東京都 大気中には様々な汚染物質が存在し、環境対策のために行政により屋外での計測が行われているが、一般家庭内でも日常的に排出されている汚染物質があり、室内および個人暴露の状況を計測する必要がある。本研究は、個人レベルで使用可能な簡易型の大気環境汚染物質捕集用小型サンプラーの開発を目的としており、特に酸性ガスとオゾンの同時測定が可能な捕集用サンプラーを102年で実用化することを目指すものである。
449 DNAマイクロアレイにおける外部標準データベース構築 石垣 靖人 金沢医科大学 増田 浩子 金沢医科大学 DNAマイクロアレイによる網羅的な遺伝子発現解析は、疾患の治療標的やマーカーの探索に必須のツールとしてハードウエアとしては成熟してきた。現在必要とされているのは得られた膨大なデータをいかに効率よく正確に処理するかというソフトウエア面での開発である。本試験は補正方法とそれに必要な方法論を提供し、今後蓄積していく膨大なマイクロアレイデータの処理の精度向上を促進することを目指す。
451 施設入所高齢者の転倒予防のための擬似体験型歩行訓練器具の開発 佐藤 進 金沢工業大学 角井 嘉美 金沢工業大学 高齢化社会が急速に進行する我が国において、高齢者の転倒予防対策は重要課題の一つとされている。現在、様々な観点から高齢者の転倒予防に関する研究や取り組みが行われている。本研究は、環境への適応を重視した、現有の身体能力による効率的な高齢者のための転倒予防を意図し、居住環境内での移動を疑似的に体験できる歩行訓練装置の開発を主目的としている。
523 人工嗅覚細胞による健康モニタセンサの開発 木村 睦 信州大学 清水 信孟 長野県テクノ財団 生体内の嗅覚細胞に模倣したナノ構造体を人工的に構築し人体から発生する臭い分子を高選択的および高効率に捕捉するデバイス構築を目的とする。人工嗅覚細胞が模倣することができれば、臭い分子の追跡によって健康状態をモニタすることができる。ナノ空間を持つ臭い分子に対する人工レセプターの合成、臭い分子を濃縮するナノ界面の構築について開発を進め、人体から発生する健康情報のにおいを捕捉する健康センサへの展開を図る。
669 ヒトの筋出力特性を三次元曲面により評価する新手法の開発とその応用 伊坂 忠夫 立命館大学 西村 亮 立命館大学 これまでの筋出力特性の評価法において、これまで三次元曲面のデータが提示された研究はみられるが、定性的な評価のみで定量的な解析は行われていなかった。われわれは、すでに制御精度の高いインピーダンス可変測定装置を開発し、それを利用して、角度・角速度・トルクのデータを同時取得し三次元定量評価法を開発している。本研究ではさらに詳細な検討と実際のトレーニング場面へ応用するための試験的なトレーニング実験を行う。
724 医学用語シソーラスに基づいた効率的医療情報検索システムの開発 金子 周司 京都大学 樋口 修司 京都大学 インターネット上に氾濫する間違った医療健康情報は、一般市民だけでなく医療従事者および医学系学生にも悪影響を及ぼしつつある。本研究は、様々なポータルサイトが収集している情報から、科学的に実証された正しい情報のみを効率よく検索することを可能にする新しい医療情報検索システムを開発する。この新ポータルを活用すれば、一般市民が正しい医療健康情報を容易に得られるとともに、医学系大学や医療機関等に対してEBM(根拠に基づく医学)実践のための有用な教育資源となる。
839 新規な酵素を用いた新規なキチンオリゴ糖の調整とその利用 上田 光宏 大阪府立大学 下田 忠久 大阪府立大学 多糖類がエネルギー源だけでなく種々の生理機能を持っていることが明らかになりつつある.これまでに部分脱アセチル化したキチンに作用する新規な酵素の単離に成功した,その結果を基にして,今まで得ることが非常に困難であった重合度7以上の部分脱アセチル化キトオリゴ糖を作成し,これらのオリゴ糖の生理活性作用について検討する.さらに重合度の大きなオリゴ糖のできるメカニズムを酵素タンパク質レベルで解明する.
856 ランダム・セントロイド最適化法を用いた新調理システムによる健康調理条件の探索 後藤 昌弘 神戸女子大学 亀治中 吉男 神戸女子大学 スチームコンベクションオーブンを用いた煮物料理に焦点をおき,従来の調理法に比べ,より減塩もしくは減糖されて,おいしいく調製する最適調理条件の探索をランダム・セントロイドプログラムによって行う。また,加熱調理だけでなく,製造後ブラストチラーにより冷却し,保存した場合に調味液が浸透することが考えられることから,この冷却,保存を含めた条件設定で同様の調査を行い,クックチルで提供する場合とクックサーブで提供する場合の条件のちがいを明らかにする。また,これらの調理条件下での栄養成分の変化についても調査する。
878 ダイオキシン類の高感度多検体簡易測定法開発 芦田 均 神戸大学 鶴田 宏樹 神戸大学 現在、わが国においてダイオキシン類の汚染は年々減少しているが、分解性の低さ故に環境中には多くのダイオキシン類が存在する。そのため、環境中のダイオキシン類をモニタリングする必要性は高く、時間や費用がかかる公定法に代わる簡易法の開発と適用が望まれている。多くの簡易法が既知物質を測定対象としているのに対し、本課題では、ダイオキシン受容体の形質転換を指標として、ダイオキシン類の毒性を総括的に評価できる高感度多検体対応の簡易測定法開発を試みる。
924 長期治療患者のための受診タイミング自己管理システムの開発と実地評価 平川 正人 島根大学 丹生 晃隆 島根大学 長期治療が必要な患者の受診タイミングは必ずしも各患者の病状に見合う形で決められているとは言いがたい現状がある。その結果として、残念ながら治療のタイミングを逸するという事態も少なくない。本研究では、それぞれの患者が自分自身の体調管理を行い、各自の状況に合わせて診察を受けられるようにすることで、健全で健やかな日常生活の営みを支援する、携帯電話をツールに用いた受診タイミング自己管理システムの開発を目指す。
980 アスベスト検出酵素を利用した喀痰アスベスト検査法の開発 西村 智基 広島大学 安田 昌司 広島大学 本研究代表者らは、既にアスベスト(クリソタイル)に結合するタンパク質を発見し、それを利用した大気中あるいは建材中の簡便なアスベスト検出法を開発した。今後、アスベスト含有建築物等の解体・建て替えの増加に伴い、飛散アスベストの増加が心配されるが、現在のところ個人暴露を簡便に評価できる技術はない。そこでアスベスト検出酵素を用いた簡便な検出法を、生体試料(喀痰)用に改良し、個人暴露のモニタリング技術として応用開発する。
1055 快適空間創造のための快適度センシング技術の開発 土居 俊一 香川大学 福井 次郎 香川大学 快適な生活空間を創造するため、快適感を感じるときの人間の心身状態の特徴を科学的に捉えその心身状態に導く手法開発をめざす.このためには心身状態センシングが必要となるので,まず精神状態をよく反映する自律神経の活動を示す血流の脈波を利用した快適度センシング技術を開発する.また,五感により快適度を向上させるための手法のうち快適度に関連していると思われる嗅覚(香り)を用いた快適度制御手法の基礎検討を行う.
1063 カオリナイト系セラミックス処理による水の機能化と機能水の応用 佐藤 一石 徳島文理大学 細川 純 産業技術総合研究所 化学産業などの製造・開発現場は水が何らかの影響を及ぼすことを経験している。本研究は、現象論にとどまることなく基礎科学的視点から水の動的構造を明らかにし、得られた知見を各種産業の生産工程の革新などに応用することにより、新たな事業構築の基礎づくりを将来的な目標とする。ここでは、設置コストが低く実用性に優れるカオリナイト系粒状セラミックス処理水を研究の対象とし、水の機能化メカニズムの解明と、処理水の応用を探索する。
1081 栗渋皮中の血糖値上昇抑制物質の同定と利用 辻田 隆廣 愛媛大学 鈴木 貴明 愛媛大学 糖尿病は食生活の変化と共に、近年着実に増加している疾患の一つであり、病気の進行にともなって発現してくる様々な合併症が問題となる。申請者は栗の渋皮に糖分解酵素であるアミラーゼ阻害作用があり、食後血糖値の上昇を抑制することを発見した。栗は愛媛県の特産品であり、栗渋皮は剥き栗製造過程で産出する廃棄物である。本応募課題では廃棄物の有効利用をはかり、血糖値が気になる中高年を対象とした、血糖値上昇抑制機能性食品素材の開発を目的とする。
1115 斜め蒸着法による高効率光触媒の研究開発 能智 紀台 九州共立大学 中川 祥次 福岡県産業・科学技術振興財団 (辞退)
1144 酸化ストレス性疾患の予防・改善に向けた新規抗酸化物質の開発 山田 健一 九州大学 山本 英樹 九州大学 本研究では酸化ストレス性疾患の予防・改善に向けた新たな抗酸化物質を開発するための合成・評価を行う。代表研究者らは既に抗酸化能を有する新規ニトロキシルラジカルの合成に成功しており、多種類のニトロキシルラジカル化合物を保有している。これら化合物を中心に細胞・動物への適用と、さらなる化合物の開発を平行して行い、動物レベルで最適な物質を見出し、酸化ストレス性疾患の予防・治療を目指した研究を行う。
1158 標準化された多様な炭素ナノ同素体の肺障害評価系による安全性材料の開発 田中 昭代 九州大学 平田 徳宏 九州大学 本研究では、標準化炭素ナノファイバー材料(CNF)を用いた気管内投与による肺障害評価系を確立し、機能性の向上と安全で安心なCNFの開発を行う。CNFは、アスベスト繊維に類似した極細の繊維構造を有しているため、人体が吸入した場合、肺内に長期間貯留し、持続的に肺を損傷することによる健康障害が危惧されている。標準化CNFを用いた肺障害評価系を構築することによりCNFの毒性の比較を行うことが可能になる。
1170 鹿角霊芝中のβ−グルカンの高温高圧溶媒による高効率抽出 林 信行 佐賀大学 原 尚道 佐賀大学 代表研究者らが開発した高温高圧溶媒抽出法は、水のみでなく、アルコールやヘキサンなどの有機溶媒あるいは緩衝液などを用い、加圧環境下で100℃をはるかに超える高温度条件で抽出する抽出法で、従来法にはない特徴を有する。本課題では、健康補助食品として市場規模を拡大しつつある鹿角霊芝を対象に、薬効成分であるβ グルカン等の高効率抽出条件を確立し、得られた抽出物の生理活性評価と安全性評価を行う。

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 治療薬:75件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1 プロバイオティクスの有効成分を用いた新しい消化管疾患治療薬の開発 藤谷 幹浩 旭川医科大学 清水 條資 科学技術振興機構 Lactobacillus菌やBacillus subtilis菌などのプロバイオティクスの培養液を分析して,ヒト消化管組織に対して保護作用や抗炎症作用を持つ有効成分を同定し,新しい治療薬として臨床応用する.さらに,遺伝子導入技術を用いて,これらの有効成分を持続的に産生する菌株を育種し,消化管の恒常性維持に役立つ健康食品の開発や新しいプロバイオティクス療法の確立を目指す.
7 正常ヒト鼻粘膜上皮細胞培養系を用いた新しいDDS開発の基礎研究 澤田 典均 札幌医科大学 一瀬 信敏 札幌医科大学 鼻粘膜は、自然免疫の最前線で、インフルエンザやライノウイルスなど感染症の門戸であり、また近年その異常である鼻アレルギーが増加している。それらの治療の多くは対症療法である。本申請では正常ヒト鼻粘膜上皮細胞を用いて、鼻粘膜バリア制御機構を明らかにする。さらにその機構を応用して新しい治療薬開発や新しい薬物投与法を開発しようとするものである。
59 難治性呼吸器感染症の予防と治療を指向した新規肺投与型リポソーム製剤の開発 森本 一洋 北海道薬科大学 清水 條資 科学技術振興機構 結核菌やクラミジアなどの細胞内寄生菌に起因する呼吸器感染症は、起因菌の生存増殖特性により重篤かつ難治性の場合が多く、その対策は世界的に急務である。本研究では、これらの予防と治療を指向し、寄生菌及びその感染細胞である肺胞マクロファージを標的とした抗菌薬や免疫賦活剤を含有する新規なリポソームを用いた肺投与型DDS製剤の開発を行う。予防及び治療効果を重視し、患者に応用できる実用的な製剤の開発に焦点を絞る。
102 糖鎖改変ウリナスタチンの大量調製技術の開発と医薬品への応用 柿崎 育子 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 ウリナスタチンは、1本の芯となるタンパク質に1本のグリコサミノグリカン(GAG)糖鎖が結合したプロテオグリカンである。この分子は、タンパク質部分の各種プロテアーゼに対する阻害活性に基づき、医薬品として使用されている。しかし、GAG糖鎖部分の生理活性は十分に証明されていない。本課題では、このGAG糖鎖の機能探索を目的とし、GAG糖鎖を改変したウリナスタチンを糖鎖工学的に大量に調製する。
106 神経変性疾患治療薬の開発 中村 敏也 弘前大学 野呂 治 弘前大学 パーキンソン病やアルツハイマー病などの神経変性疾患においては、何らかの原因で不溶化したタンパク質が細胞内に蓄積するという共通点がある。この原因のひとつとして、細胞内タンパク質の過リン酸化が考えられている。研究代表者は最近、タンパク質のセリンやスレオニンへのリン酸化を抑制する可能性のある物質を見いだした。そこで、このタンパク質リン酸化抑制剤を利用することにより、神経変性疾患の治療薬の開発を目指す。
108 食品成分由来潰瘍性大腸炎治療薬の開発 猟山 一雄 青森大学 山口 紀久 21あおもり産業総合支援センター ヒト潰瘍性大腸炎の治療薬として臨床で使用されているものは、メサラジンなどごく限られたものであり、炎症性サイトカインや一酸化窒素合成酵素などの遺伝子転写因子であるNFκBの活性を阻害し、炎症を沈下させるとの報告がある。われわれは、沢ワサビ由来のイソチオシアネートに高いNFκB阻害活性をみいだし、そのメカニズムを推定したので、新規イソチオシアネート化合物を合成し、その効果を評価する。
162 膵島の発現するTissue Factor制御を目的とした新規膵島分離溶液の開発 後藤 昌史 東北大学 熊谷 望 東北大学 我々はこれまでに膵島移植特有な早期グラフト障害の機序を明確に解明し、その治療法を考案する上で有用なモデルの確立に成功している。本試験では、移植された膵島グラフト生着の鍵となる Tissue Factorを、効率よく制御し得るような薬剤を混入した臨床応用可能な至適膵島分離溶液を開発し、重症糖尿病に対する理想的根治療法として膵島移植を確立する事を目指す。
169 低分子組換え抗体の臨床応用に向けた新規調製プロセス開発 浅野 竜太郎 東北大学 渡邉 君子 東北大学 申請者らは、新規がん治療薬を目指した低分子組換え抗体の開発を行い、より安価な製造を目指して抗体医薬では、例のない大腸菌不溶性画分から、巻き戻しによる調製の検討を行ってきた。本試験では、新規がん治療薬の製造を見据えた低分子組換え抗体の調製プロセスの開発を目的とする。具体的には工業スケール化が可能な希釈法による巻き戻し、及び濃縮と精製を一連化させた吸着系カラムを用いた新規調製法を開発する。
173 認知症予防用プロリン異性化酵素薬剤の開発 内田 隆史 東北大学 渡邉 君子 東北大学 申請者らは、プロリン異性化酵素Pin1の活性低下が、アルツハイマー病の発症に関係することを見出し、Pin1を神経細胞に補充し、老人性痴呆を予防することを考えた。Pin1にProtein Transduction Domain (PTD)を付与したPTD-Pin1を作成し、細胞内に直接Pin1を導入する方法を確立し、Pin1を補充して、細胞のストレス抵抗性を増強することで、アルツハイマー病の予防薬を創出することを最終的な目的とする。
177 新規抗癌・抗カビ薬の評価と創薬開発 浪越 通夫 東北薬科大学 田村 光彦 科学技術振興機構 癌は発生メカニズムや病巣部位によって治療法が異なる厄介な病気であり、これまでの抗がん剤は臨床現場で満足されず、常に新規な抗癌剤が求められている。更に、抵抗力の衰えた癌患者に真菌が感染すると極めて重篤となる。抗癌と抗真菌性を併せ持つ治療薬も満足できるものはない。本研究課題では、特殊なホヤから単離した抗癌活性と抗カビ活性を併せ持つ新規化合物の抗癌(大腸癌)活性と抗カンジダ活性などを評価し、前臨床試験へ進める化合物を選抜する。
179 神経突起伸長作用をもつ糖鎖の神経再生の可能性試験 伊左治 知弥 東北薬科大学 渡邉 君子 東北大学 本試験の目的は、神経突起伸長作用のある糖鎖に注目し、神経ネットワークが再び形成できるかどうか初代神経培養細胞や脊椎損傷モデル動物を用いて試験を行い、脊椎損傷や脳梗塞の予後を改善する薬剤のリード化合物を創ることである。具体的には糖鎖の大量精製、初代培養での神経突起の伸長および神経シナプスの形成の検討、薬理試験を行なう。
235 出芽酵母を用いた脂質蓄積関連薬剤スクリーニング系の開発 神坂 泰 産業技術総合研究所 小高 正人 産業技術総合研究所 ヒトなどの真核生物のモデル生物である出芽酵母サッカロミセス・セレビジアを用いて、脂質蓄積を制御する薬剤のスクリーニング系の開発を行う。既に我々が遺伝子の過剰発現、破壊によって脂質含量を増加させた株を用いて、遺伝子発現、蛋白質発現などの解析を行い、脂質蓄積と相関して発現する遺伝子、蛋白質を同定する。その発現を脂質蓄積と相関する指標として、この酵母株を用いた薬剤のスクリーニング系を構築する。
253 DNAM−1 リガンドを標的とした消化器癌治療のための抗体療法の開発 田原 聡子 筑波大学 林 良夫 筑波大学 DNAM-1 (CD226)は、NKや細胞傷害性T細胞に発現し、細胞傷害活性やサイトカイン産生の活性化シグナルを伝達する受容体である。申請者は、DNAM-1リガンドが、ポリオウイルスレセプターファミリーに属するCD155およびCD112であることを明らかにした。本研究では、胃癌および大腸癌で発現が亢進するDNAM-1リガンドに対する抗体を用いて、これら消化器癌に対する新規抗体治療法を開発する。
264 ナノバブルの循環器疾患の予防・治療に関する研究 北條 行弘 自治医科大学 松枝 健一 自治医科大学 近年100-200 nmの微小な気泡(ナノバブル)の安定化が成功した。ナノバブルには様々な生理活性作用がある。我々はナノバブルが動脈硬化、高血圧、心不全などの心血管系疾患の予防・治療に有効かどうかを検討するため、細胞実験・動物実験を行っている。わが国の75歳以上の高齢者は何らかの心血管合併症を有しているのが現状であるが、ナノバブルを応用することで“健やかに老いる”ことを可能し、わが国の医療問題を解決する手段となることを期待している。
282 マラリア防御免疫を阻害する原虫内免疫低下因子の同定 鈴江 一友 群馬大学 長岡 範安 群馬大学 本課題では、人体の免疫低下を引き起こすマラリア原虫内因子の同定を目的とする。マラリアは年間患者数2億人を数え、人類に甚大な影響を及ぼしている感染症であるが、マラリアにかかっても免疫が成立しにくいことから、未だにワクチンは完成していない。我々はマウスモデルを用い、マラリア免疫の成立しにくい要因を解析したところ、感染の進行に伴って宿主が免疫低下を起こすことを見出した。本課題では原虫の持つ免疫低下因子を同定し、将来的に全く新しい手法によるマラリアワクチン開発を目指す。
285 新規肥満治療薬、糖尿病治療薬の開発 久保原 禅 群馬大学 塚田 光芳 群馬大学 細胞性粘菌Dictyostelium discoideum(和名:キイロタマホコリカビ)は土壌微生物の一種で、カビに良く似た淡黄色の子実体を形成する。近年我々は「細胞性粘菌由来の低分子物質DIF-1 [1-(3,5-dichloro-2,6-dihydroxy-4-methoxyphenyl)hexan-1-one]が各種哺乳類細胞の糖取込みを促進する」ことを発見した。本研究ではこの発見に基づき、全く新しいタイプの肥満・糖尿病治療薬の開発を目指す。
455 新規インドール化合物による骨粗鬆症治療薬の研究開発 鈴木 信雄 金沢大学 長江 英夫 金沢大学 急速な高齢化が進む我が国では、骨粗鬆症の患者数が増加の一途をたどり、大きな社会問題となっている。老人性の骨粗鬆症は骨芽細胞(骨を作る細胞)の活性が低下したことにより引き起こされるが、現時点で実用化されている治療薬は、主に破骨細胞(骨を壊す細胞)の活性を抑制する方式である。我々は、キンギョのウロコを用いた新規検定系を開発し、新規インドール化合物が骨芽細胞を活性化することを、最近見出した。そこで、哺乳類を用いた実験系によりキンギョで得られたデータを再確認し、実用的な骨粗鬆症治療薬の研究開発を行なう。
457 腫瘍血管新生を標的にした癌普遍的内用照射治療薬剤の開発 吉本 光喜 金沢大学 長江 英夫 金沢大学 血管新生は腫瘍増殖や転移に必須の役割を果たすことが知られているため、血管新生は癌治療を行う上で非常に魅力的な標的である。血管新生に特異的にターゲティングするためには、新生血管を構成する血管内皮細胞に特異的に集積する薬剤開発が重要である。本課題の目的は、血管内皮細胞に発現している血管内皮増殖因子受容体に特異的に結合するペプチドを合成し、臨床で使用されている治療用核種131Iで標識した癌内用照射治療薬剤の開発である。
459 バーチャルスクリーニング陽性物質を候補とする新規糖尿病合併症薬シーズ化合物開発 山本 博 金沢大学 長江 英夫 金沢大学 腎症,網膜症などの血管合併症を克服できるなら,糖尿病はもはや怖い病気ではなくなる。糖尿病患者の生命予後とquality of life(QOL)を損ねる元凶は血管合併症にほかならないからである。山本らは,糖化蛋白レセプター(receptor for advanced glycation endproducts, RAGE)が糖尿病血管合併症克服のための分子標的であることを世界に先駆けて明らかにした。平成18年度シーズ発掘試験で,ヒトRAGE蛋白の三次元構造に基づくバーチャルスクリーニングを行い,リガンド結合を阻止しうる数種の候補化合物を同定した。平成19年度試験ではこれらの化合物の薬効をインビボ評価し, 糖尿病血管合併症薬シーズ化合物の開発を目指す。
461 癌細胞特有の染色体欠損(遺伝子多型とアレル欠失)を利用した癌特異的治療薬開発 川上 和之 金沢大学 渡辺 良成 金沢大学 フッ化ピリミジン系抗癌剤の標的であるチミジル酸合成酵素(以下TS)の遺伝子型がヘテロの個体で、かつ、TS遺伝子座にアレル欠失を認める癌では正常組織と癌組織間に遺伝子型の相違が発生する。この相違を癌治療に利用し、TS阻害を癌特異的に増強する核酸医薬を開発する。具体的には、癌組織側で1本のみ残るアレルからのTS蛋白発現を特異的に抑制するsiRNAを設計し、その有効性をin vivo治療実験により検証する。
476 漢方薬の作用原理に基づく副作用がない糖尿病治療薬の探索 古林 伸二郎 北陸大学 大桑 優子 北陸大学 防已黄耆湯は6生薬からなる漢方方剤であり、肥満を伴う糖尿病患者において高血糖や脂質代謝異常を改善するとされる。防已黄耆湯は実験的糖尿病モデル動物の高血糖値を低下させ、その作用本体は粉防已であり、黄耆が粉防已の作用を増強することを見出した。この粉防已と黄耆との複合作用を成分レベルで明らかにし、この複合作用機序をインスリン遊離機構の面から解析し、新規糖尿病治療薬の開拓へと展開させたい。
484 非定型CpG DNAの作用特性に基づいた感染症重症化予防治療法の開発 伊保 澄子 福井大学 吉田 芳元 福井大学 非定型CpG DNA(特許査定済み)は、ユニークな方法でヒトの形質細胞様樹状細胞(pDC)に大量のIFN-α産生を引き起こし、Th1免疫を活性化する。当該CpG DNAの作用特性を取り入れた感染症重症化予防治療法を開発するため、平成19年度は、免疫不全患者や免疫回避ウィルス感染に起因する機能劣化pDCにIFN-α産生を誘導する方法として当該CpG DNAの有用性を調査し、感染症重症化予防治療法の開発基盤をつくる。
504 抗C型肝炎ウイルス治療薬評価に有用な迅速評価系(レプリコン細胞)の構築 山下 篤哉 山梨大学 菅原 幸雄 山梨大学 迅速かつ効率的な抗C型肝炎ウイルス治療薬のスクリーニング法を確立するためにレプリコン細胞の改良を行う。既に抗C 型肝炎ウイルス効果が認められているinterferon、 cyclosporin A、 myriocin、statin、bisphosphonate などを用いて、作製したレプリコン細胞の抗C 型肝炎ウイルス薬剤評価系としての有用性を確認する。
509 糖鎖工学を利用した新規遺伝子導入法の開発 高橋 将文 信州大学 杉原 伸宏 信州大学 GlcNAcを利用した新規の高効率遺伝子導入試薬としての開発と製品化の実現を目指すために、1.心血管細胞への遺伝子導入条件に関する検討、2.種々の細胞における遺伝子導入の可能性に関する検討、3.心筋傷害および血管傷害モデルマウスでの遺伝子導入に関する検討、を行う。
535 複数の神経変性疾患に有効な新規神経保護薬の創製とその実用化 平田 洋子 岐阜大学 丸井 肇 岐阜大学 神経変性疾患には酸化ストレス、不溶性タンパクの沈着など共通のメカニズムが関与することが示唆されている。私たちは岐阜大学内の有機合成の研究グループと密接に連携することにより、化合物の適切な修飾を行い新規の神経保護化合物を創製している。複数の細胞傷害系で網羅的にこれらの化合物を評価した結果、各種酸化ストレス、一酸化窒素、パーキンソン病モデル、その他様々な因子による細胞死を抑制することが分かった。このような手法で得られた化合物を様々な神経変性疾患の予防・治療に有効な医薬品に開発していくことが目的である。
569 含りん非天然物型化学合成物質による新規抗ガン剤の開発 藤江 三千男 浜松医科大学 四本喬介 浜松医科大学 バイオアッセイ法・遺伝子発現マイクロアレイや実験動物を用いて、含りん非天然型抗ガン作用物質のガン細胞に対する分子レベルでの作用機序を明らかにするとともに、ガン移植ヌードマウスで実際に効果があるかも検証するものである。また、約100種類の類似構造体のスクリーニングにより発見した抗ガン作用物質構造を基に分子設計した化合物の抗ガン作用を検証するものである。
572 ヒトサイトメガロウイルス弱毒ワクチン株の効率的作成 磯村 寛樹 愛知県がんセンター 瀬野 義隆 科学技術交流財団 重篤な胎児発育不全をおこす先天性ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染症を予防するため思春期のHCMVワクチン接種の実施が望まれる。しかし、HCMVは白血病等の治療で行われる造血幹細胞移植等の免疫不全状態で体内に潜伏しているHCMVが再活性化して肺炎、骨髄抑制等の重篤な合併症を引き起こす。ワクチン接収した株が将来、これらの合併症を引き起こす可能性を排除するために、我々は弱毒HCMVワクチン株を作成してきた。しかし、現時点の作成株では免疫原性も低下している可能性がある。その弱毒株の作成をこれまでに蓄積されたHCMVの遺伝情報をもとに、大腸菌内でHCMV遺伝子制御領域の特異的ターゲティングを駆使して免疫原性の低下がなく再活性化しない弱毒ワクチン株を作成する。
588 筋ジストロフィーに対する画期的新治療法のモデル動物を用いた基礎評価 土田 邦博 藤田保健衛生大学 吉田 勝 名古屋産業科学研究所 筋ジストロフィーは代表的な難治性疾患であり、現在に至るまで有効な治療法は存在しない。本研究課題では、モデル動物を用いて薬物療法と細胞移植治療の統合的な治療法の有効性の基礎評価を行なう。薬物療法としては、骨格筋形成の負の制御因子マイオスタチンを阻害する方法に着目し、細胞移植治療としては、セルソーテイングの手法で純化した骨格筋幹細胞を用いる。薬物療法と幹細胞移植療法を組み合わせる事で筋疾患の再生医療に対して新たな展開が期待される。
723 脂肪細胞由来セロトニン制御による肥満・心血管疾患合併症に対する治療戦略の開発 尾野 亘 京都大学 樋口 修司 京都大学 我が国においてメタボリックシンドロームは成人男性の2割を超えるという報告もあり、優れた抗肥満薬開発に対する社会的要請はきわめて高い。研究者らは、セロトニン産生の律速酵素であるtryptophan hydroxylase1(TPH1)が脂肪細胞分化に必須であることを見いだした。本研究の目的は、TPH1 遺伝子欠損マウスによる詳細な薬理作用の検討から、抗肥満薬の開発につなげることである。
725 腎グルコーストランスポータNaGLT1に着目した血糖降下薬の開発 増田 智先 京都大学 樋口 修司 京都大学 研究者らは、腎のみに発現するNa+/グルコーストランスポータNaGLT1の単離に成功し、NaGLT1は糸球体濾過された原尿中のグルコース再吸収を媒介するトランスポータであることを見出した。さらに、NaGLT1はグルコースに加えフルクトースも基質として認識すること、従来その存在が示唆されてきた腎フルクトース再吸収機構の実体であることを明らかにした。本研究では、NaGLT1遺伝子欠損マウスを作製し単糖類再吸収機構としての重要性と創薬標的としての可能性について明らかにする。
727 低酸素刺激に応答して蛍光を発する癌細胞を利用した創薬システムの開発 原田 浩 京都大学 樋口 修司 京都大学 癌・脳卒中・心筋梗塞等の疾患部位では血流が著しく低下し、細胞が低酸素環境に曝されていることが知られている。近年“低酸素環境”は上記疾病の病状悪化や予後不良を引き起こすことが報告され、有効な治療標的として注目されている。本研究では、代表研究者が創出した“酸素環境に応じて色を変える遺伝子組換え細胞”を利用して、新しい創薬システムを開発する。本技術を権利化し、さらに医薬品開発に実用化することによって、医学・ライフサイエンス分野の新たな産業の創出につなげたい。
729 難治性皮膚角化症・ダリエー病に対する治療薬の開発 高橋 健造 京都大学 樋口 修司 京都大学 ダリエー病は表皮に発現する正常なATP2A2蛋白量の低下が原因である比較的頻度の高い優性遺伝性の皮膚疾患で、醜形・悪臭を伴う皮疹が顔や胸部に発症する。難治性で現在の所、有効な治療法が存在しない。培養ヒト表皮細胞を用いた網羅的探索の結果、カンナビノイドとバニロイド作動薬が、ATP2A2蛋白の発現を亢進することを新たに見出した。近い将来の医師主導型治験を念頭に、実際に患者皮膚に使用可能で、より効果的な薬剤の選定を今回の研究の目的とする。
751 IL−1レセプターアンタゴニスト点眼剤の臨床開発 山田 潤 明治鍼灸大学 内田 逸郎 科学技術振興機構 IL-1レセプターアンタゴニスト(IL-1ra)はIL-1レセプターに強く結合し、IL-1の作用を阻害する。マウスモデルを用いたIL-1ra点眼の検討において、全層角膜移植の拒絶抑制効果やアロ抗原認識遅延効果、角膜炎症時のランゲルハンス細胞の遊走抑制効果、角膜新生血管抑制効果、前房内微小環境の維持効果などが明らかとなっている。IL-1ra点眼の至適濃度を決定するとともに、点眼による副作用や感染防御機構の脆弱化などを検討し、臨床への早期応用を目指す研究である。
752 新規RNA核外輸送因子による抗ウイルス性自然免疫調節作用の評価 木村 富紀 関西医科大学 大野 安男 科学技術振興機構 本課題は、IFN-αによる抗ウイルス自然免疫を調節し、ウイルス感染全般に有効性が期待できる薬剤の開発を目指す。これまで、IFN-α群mRNA核外輸送に関与が示唆される新規RNA輸送因子とアンチセンス(AS) RNAを見いだした。今回、これらの発現導入によるIFN-α群mRNAの核外輸送増加とウイルス感染阻害効果を検証し、その抗ウイルス性生物活性を検定できるスクリーニング系を確立する事で、目的とする抗ウイルス薬開発の為のリード化合物候補の獲得を目指す。
775 新開発の関節内投与型DDSを用いた家兎膝関節軟骨欠損部修復実験 北野 利夫 大阪市立総合医療センター 間 健一 大阪市立大学 関節内投与型ドラッグデリバリーシステム(DDS)により関節内に薬剤を投与し、関節軟骨欠損部の修復効果の組織的評価を目的とするin-vivo実験である。関節内投与型DDSとは、関節軟骨に作用する薬剤をリポソームに封入し、これを関節注入の手技により関節内に投与し、リポソームの関節潤滑機能の改善効果と薬剤徐放効果により、力学的ストレスを軽減しつつ軟骨修復促進作用を長期間持続させ軟骨修復の促進を期待するものである。部分的軟骨欠損部を作成した家兎膝関節に本関節内投与型DDSを投与し、組織学的評価を行う。
805 細菌の宿主細胞侵入モチーフを用いた粘膜免疫用ドラッグデリバリーシステムの構築 寺尾 豊 大阪大学 多田 英昭 大阪大学 申請研究では、ワクチン開発の問題のひとつとして挙げられている「効果的な免疫担当細胞への抗原輸送」を改善する粘膜免疫用ドラッグデリバリーシステムの開発を試みることとする。細菌由来の細胞侵入因子の機能ドメインを組み込んだ発現プラスミドを構築し、ドラッグデリバリー型のキメラ抗原発現システムを作製したいと考えている。
818 急性心筋梗塞におけるリモデリング促進因子抑制療法の開発 谷山 義明 大阪大学 内田 国克 大阪大学 我々は急性心筋梗塞の急性期に接着阻害因子ペリオスチンが分泌されておりその後の心拡大、および心機能悪化に影響を与えていることを突き止めた。ペリオスチン特異的モノクローナル中和抗体を用いて心機悪化を防ぐことに成功した。現在、更なる良好なモノクローナル抗体をスクリーニング中である。
859 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)モデルマウスを用いた病態解析とその臨床応用 林 祥剛 神戸大学 小野 英男 神戸大学 脂肪性肝炎(NASH)は、飲酒歴がないにも関わらずアルコール性肝炎と極めて類似した肝組織像を呈する。予後良好な脂肪肝と異なり、肝硬変、肝癌へと進展する可能性がある、早期診断が必要な疾患である。ウイルス性肝炎が制圧されつつある現在、非常に重要な疾患概念となってきているが、その発症機序は、いまだ明らかになっていない。我々は、血管内皮リパーゼの遺伝子欠損マウスに高脂肪食を与えることにより、NASHが容易に発症することを見出した。このヒトNASH類似のモデルマウスを用いて、NASH発症機序の解明、診断、薬剤の開発を試みている。
868 経口抗体療法の開発 谷口 泰造 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 昨年ノロウイルスによる食中毒が頻発し、風評被害の拡大を伴ったことから社会問題化し、早急な対策が望まれるところである。ところで、出産直後の新生児の免疫能、特に消化管からの感染予防には母親の母乳由来の抗体が重要な働きを演じている。 これらのことは、ノロウイルスなどの消化管感染予防における抗体投与の有効性を示唆するものと考えられる。 本研究では、消化管を介する感染の予防および治療に抗体を用いることを目指し、抗体を胃酸により失活させずに腸内へ移行させる経口投与法の開発を行う。
897 三重らせん構造を有する抗菌性ペプチドの開発 谷原 正夫 奈良先端科学技術大学院大学 戸所 義博 奈良先端科学技術大学院大学 抗菌性ペプチドは、哺乳類や両生類、昆虫等に幅広く存在し、細菌感染の防御に重要な役割を果たしている。また、薬剤耐性菌を誘導し難いことからも近年注目を集めている。代表研究者は、三重らせん構造を形成するコラーゲン様ポリペプチドの化学合成について報告してきた。本試験研究では、α-へリックス形成抗菌性ペプチドの構造に倣った三重らせん構造形成抗菌性ペプチドの設計と合成を行い、安定で高活性な新規抗菌性ペプチドを開発する。
929 内因性NOS阻害剤ADMAの代謝機構を活用した心血管疾患の新規な予防・治療法(薬)の開発 木本 眞順美 岡山県立大学 湯浅 光行 岡山県立大学 心血管疾患の有効な予防ならびに治療法の確立は緊急を要する課題である。最近、本疾患の新しいリスクファクターとして、内因性 NOS 阻害剤である asymmetric dimethyl- arginine (ADMA) が同定されている。本研究においては、血中ADMA 濃度を低下させる方法の開発を最終目標として、血管機能に直接影響しうるが、近すぎた存在ゆえに見過ごされて来た血液細胞におけるADMAの合成と分解に関わる代謝の全体像を検討し、心血管疾患の予防・治療のターゲットとなりうる因子を解明する。
931 肝臓癌及び腎臓癌遺伝子治療のためのREIC/Dkk-3アデノ随伴ウイルスベクターの開発 賀来 春紀 岡山大学 大村 祐章 岡山医学振興会 肝細胞癌が世界で4番目に罹患率の高い癌であり、日本でも年間死亡数が33000人に達する。また、腎癌は有効な化学療法に乏しい一方で、原発巣切除が遠隔転移巣コントロールに有効に作用するという特性を有する。本研究は、癌細胞選択的アポトーシス及び免疫活性化作用を持つREIC/Dkk-3遺伝子による、肝癌及び腎癌の遺伝子治療用アデノ随伴ウイルスベクター (adeno-associated virus: AAV)の開発を行う。癌特異的高発現分子のプロモーター(hTERT)を使用することで癌選択性を付与し、またAAVのセロタイプによる臓器親和性の違いを利用することで標的性を向上させ、効率的な癌遺伝子治療を実現する。
934 特異的プロモータを用いた肺腺癌に対する新規治療型ベクターの開発 松岡 順治 岡山大学 大村 祐章 岡山医学振興会 我々は、肺癌特異的に目的遺伝子を発現できるシステムを開発 (Fukazawa et al. Cancer Res. 2004 64(1):363-369)し、肺癌治療ベクター;Ad-TTS/BAXを作製し当該ベクターが、正常組織障害せず肺腺癌特異的に細胞死を誘導できることを明らかにした (Fukazawa T Matsuoka J et al. Mol Cancer Ther. 2007 6(1): 244-252)。特定抗癌剤が当該ベクターの抗腫瘍効果を増強させることが期待できるため、本研究にてこれらの併用効果の検討を行う。
939 新規in vitroヒト型抗体作製システムによる抗体医薬創製 金山 直樹 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 生体防御機能を担う抗体は,分子標的医薬としての利用が最近注目されている。医薬となり得る特異性を有する抗体は従来の方法では取得が困難であるが,申請者は,この問題を解決できるin vitro抗体作製システムを,ニワトリB細胞株DT40を用いて構築した。本研究では,DT40を用いたin vitro抗体作製システムにヒト抗体遺伝子を組込み,医薬に利用可能なヒトIgG抗体を迅速に作製できるシステムを構築する。
942 インスリン産生細胞を再生するベータセルリンの開発と応用 妹尾 昌治 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 ベータセルリン(BTC)はインスリンを分泌する膵島β細胞の分化を誘導する。しかし、BTCは細胞の増殖も促進するため、投与した場合に潜在的な悪性新生物の成長を助長する可能性がある。この懸念を回避するためには、BTCをErbB1受容体へ結合させないことが重要である。本研究では、BTCに微小な構造変化を加えてErbB1受容体への結合を低下させ、膵島β細胞の分化のみを誘導する実用的な糖尿病治療薬としてBTCの構造を最適化する。
945 MRSAやVRE等の多剤耐性菌に有効な医薬品の開発 土屋 友房 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)、多剤耐性緑膿菌などの多剤耐性菌に有効な医薬品シーズの開発を目指す。すでに代表者らは、MRSAやVREに対して試験管内レベルで極めて有効な物質を約10種、植物から単離・同定している。それらを中心に、実用化に向けて、作用点の解析、動物における感染治療試験などを行う。そして、出てくる問題点を改善し、誘導体・類似体の合成等を行い、実用化を目指す。
946 ピリジニウム塩誘導体が有する抗マラリア活性発現メカニズムの探索 佐々木 健二 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 当研究室で開発した簡便且つ安価に合成できるピリジニウム塩誘導体が,既存の抗マラリア薬を凌駕する抗マラリア活性を有することを見出しているが,この誘導体がどのようなメカニズムでマラリア原虫に対して活性を発揮するのかは不明である。従って,本誘導体がマラリア原虫にどのように取り込まれるのか,また,マラリア原虫のどのような部分にどのように作用しているのかを調べることにより,本誘導体の活性発現のメカニズムを明らかにすることが本研究の課題である。
954 ウィルスエンベロープを利用した標的型薬物運搬キャリヤの低抗原性化法 多田 宏子 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 ウィルスエンベロープから成る中空ナノ粒子は、標的組織特異的薬物運搬キャリヤとして注目されている。しかしウィルス蛋白質そのままの粒子では、@抗ウィルス抗体に認識されるため、抗ウィルス抗体保有患者に投与できず、A抗ナノ粒子抗体誘導能のため、連続投与できない事が、医薬応用時の問題点となっている。そこで、ウィルスエンベロープ蛋白質から抗原性領域そのものを欠失させる新手法により低抗原性化を達成し、このナノ粒子を医薬応用に最適な薬物運搬キャリヤにする方法を確立する。
955 痛風治療薬を志向した縮合ピリミジン類の酵素阻害分子設計と応用研究 信定 弘美 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 尿酸生成を阻害する薬剤は,痛風治療薬の有効な手段として,唯一アロプリノールが臨床で用いられている。しかし,これにも脈管炎,好酸球増多症や肝炎などの副作用が報告され,長期投与に安全な薬剤とは言い難い。本研究は,副作用のない少量で有効な痛風治療薬の開発が目的である。最近,当研究室で新規三環性の縮合ピリミジン類に,シーズとなるキサンチンオキシダーゼ(XO)阻害活性化合物を既に見出すことができた。本研究は,有機合成,酵素阻害試験およびコンピューター計算化学を用いた最適活性構造の研究による新痛風治療薬の開発が目標である。
986 拒絶反応を抑える次世代抗体医薬の前臨床試験 河本 正次 広島大学 榧木 高男 広島大学 臓器移植において免疫抑制剤の投与は必須であるが、現行薬剤には副作用と永続投与の問題がある。代表研究者はラットの生体肝移植モデルにて拒絶反応を抑える抗体が誘導されていることを発見した。本研究では、この抗体の免疫抑制剤としての薬効を動物移植モデルへの投与試験により検証すると共に、その作用メカニズムを分子レベルで解明することを目的とする。
996 イメージングを用いた神経変性疾患治療薬物候補のスクリーニング 酒井 規雄 広島大学 前田 裕司 広島大学 神経変性疾患発症の共通の分子機序は、異常凝集タンパク質の蓄積と考えられている。申請者らは、遺伝性脊髄小脳変性症14型(SCA14)の原因遺伝子γPKCに注目した。SCA14で見いだされた変異γPKCと蛍光タンパク質GFPとの融合タンパク質、変異γPKC-GFPの凝集体を誘導発現できる細胞を用いて、凝集体形成を軽減させる薬物をスクリーニングする。本スクリーニング系を用いて低分子の既知の多数のケミカルシャペロンを評価し、少なくとも10程度の活性化合物を同定する。本スクリーニング法の検出精度をより定量的に行う技術革新に取り組み、次のステップの計算化学による新規化合物候補の同定に繋げる。
1013 細胞膜女性ホルモン受容体を標的とした治療薬開発のための組換え動物の作製 水上 洋一 山口大学 殿岡 裕樹 山口大学 申請者は、GPR30が細胞膜に存在する女性ホルモン受容体であることを世界で初めて明らかにした。しかし、GPR30遺伝子の機能は十分に解明されていない。この申請はGPR30の遺伝情報を元に、GPR30が発現した組織だけが蛍光を発する組換え動物を作製し、女性疾患治療薬開発のモデル動物を作製することを目的にしている。この動物でこれまで未解明であった乳ガンや子宮ガン子宮筋腫などの女性特有の疾患の発症機序や治療薬の開発が可能になると確信している。
1021 血中中性脂肪低減薬の開発 根本 尚夫 徳島大学 安田 崇 テクノネットワーク四国 フィブラート系血中中性脂肪低減薬は、非常に低水溶性であり、消化器官疾病併発患者や意識不明患者対応には注射剤の開発が切望される。我々はこれまで自ら開発した枝分れ型グリセロールBGLを利用する事で、血中中性脂肪低減薬であるフェノフィブラートの高水溶性化新規誘導体合成に成功し高い薬効を明らかとしたので、初めてのフィブラート系注射液の開発を目指す。
1022 運動器(筋・骨)の萎縮原因遺伝子ユビキチン連結酵素の阻害剤 二川 健 徳島大学 大山 真吾 テクノネットワーク四国 本研究は、未だ開発されていない運動器(筋・骨)の廃用性萎縮治療薬の実用化を目指すものである。我々は、宇宙航空研究開発機構と共同で、寝たきりや宇宙フライトなどによる運動器の萎縮の原因は、ユビキチンリガーゼ(分解すべき蛋白質にユビキチンを結合させる酵素)の異常な活性化であることを見出した。この酵素の阻害活性を有する低分子化合物を筋萎縮モデルである尾部懸垂マウスや坐骨神経切除マウスに投与し、その運動器萎縮阻害効果を実証する。
1035 RNA helicase A の機能解明 ~ 骨代謝調節を目指して ~ 岡村 裕彦 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 Osterix は骨の発生に必須の転写調節因子であるが、これまではその遺伝子発現のみが注目され、翻訳後修飾や相互作用する因子については未知の点が多かった。我々は質量分析技術を用いて培養細胞内で Osterix と相互作用する因子を調べ、その中に RHA を見出した。RHA は DNA や RNA の構造変化に関わるとともに転写調節因子と結合してその活性を制御する。本研究では RHA が骨芽細胞の分化や骨代謝に与える影響について調べ、骨代謝疾患の治療薬開発の基礎を築くことを目指す。
1070 血管ネットワーク形成を特異的に阻害する核酸試薬を用いた抗腫瘍剤の開発・応用 東山 繁樹 愛媛大学 大山 真吾 テクノネットワーク四国 固形腫瘍の成長には血管新生が必須であり、血管新生は血管内皮細胞の増殖、遊走、ネットワーク形成、および管腔形成というステップを経て行われる。我々は独自の方法で、血管内皮細胞増殖に影響を与えずネットワーク形成にのみに関わる必須の転写抑制因子(Z因子)を見出し、そのZ因子の特異的siRNA(核酸治療薬)を用いたZ因子の遺伝子抑制にてネットワーク形成を完全にブロックできた。現在、本siRNAの核酸治療薬としての効果を調べるために、マウス個体における腫瘍血管新生の阻害実験を進めており、本研究課題のもと創薬事業化への展開を目指す。
1071 がんに対する革新的骨髄移植療法の開発 安川 正貴 愛媛大学 大山 真吾 テクノネットワーク四国 同種造血幹細胞移植(骨髄移植)は、今後、がん集学的治療において重要な地位を占めると思われる。この治療の課題は、移植されたリンパ球が患者組織を異物として認識しこれを攻撃する移植片対宿主病(GVHD)の克服である。そこで、この課題を解決する目的で、患者骨髄細胞にがん特異的細胞傷害性T細胞(腫瘍細胞の排除に関与している重要なリンパ球)から単離したT細胞レセプター遺伝子を導入して、全くGVHDが起こらずに、腫瘍細胞を効率的に排除できる免疫系を体内で構築し、安全で効率的な革新的骨髄移植療法を開発する。
1076 卵巣癌特異的遺伝子治療におけるキャリアー細胞の感染成立機構の究明 濱田 雄行 愛媛大学 田坂 謙介 愛媛大学 卵巣癌治療は、進行性癌に対する治療効果の改善は全く進んでいない。今回、開発を進めている治療法は、卵巣癌特異的IAI.3B遺伝子プロモーターの技術を活用した、局所注射のみで癌組織を完全治癒することを可能とする新たな遺伝子治療法である。今回、蛍光顕微鏡を用いてキャリアー細胞の断片化、標的癌細胞のキャリアー細胞断片の取り込み機構の一端を究明するとともに、さらに効率的なキャリアー細胞の感染成立を目指す。
1086 脂腺細胞のペプチド分泌の活性化と抗菌薬としての利用 澄田 道博 愛媛大学 鈴木 貴明 愛媛大学 申請者らは、哺乳類の脂腺細胞から遊離され、ヒストンを濃縮している新規膜小胞を発見し、セボゾームと名付けた。サケやカエルの皮膚分泌粘膜の抗菌分子と類似し、哺乳類でのブドウ球菌などに対する抗菌活性を初めて報告した。申請者らは、抗菌タンパク質の活性部位や、発現機構を解析し、ヒトの皮膚にも適用出来る、抗菌活性が高く細胞毒性の低いペプチドを合成し、皮膚の感染防御や、炎症の抑制などの実用化を試みる。
1101 シグナル伝達分子阻害薬によるアレルギー性結膜疾患の重症化抑制 福島 敦樹 高知大学 塩崎 紀子 テクノネットワーク四国 アレルギー性結膜疾患の重症化に必須の役割を果たすT細胞が活性化されるためにはシグナル伝達分子の活性化が重要であり、シグナル伝達分子の活性化を抑制することにより重症化の抑制が期待できる。本研究では、実験的アレルギー性結膜疾患を誘導した動物にT細胞の活性化に関与するp38やMEKの阻害薬を点眼液で投与し、結膜好酸球浸潤が抑制されるかどうか検討する。抑制を確認した後、結膜でどの細胞に作用しているかを確認する。以上の研究で得られた結果から重症アレルギー性結膜疾患患者をシグナル伝達分子阻害薬で治療する場合の基本的な事項が明らかとなる。
1108 ペルオキシダーゼ標的・増感放射線療法 KORTUCの開発とその適応疾患の拡大 小川 恭弘 高知大学 島崎 たどる 高知大学 現在の放射線治療に汎用されているリニアックを利用しつつ、過酸化水素により抗酸化酵素ペルオキシダーゼ/カタラーゼを不活性化するとともに、同時に発生する酸素により腫瘍局所を酸素化し、放射線抵抗性腫瘍を高感受性に変換する。これに基づいて、種々の局所進行悪性腫瘍に対する放射線治療効果を飛躍的に高めるための酵素標的・増感放射線療法 KORTUC (Kochi Oxydol-Radiation Therapy for Unresectable Carcinomas) を考案し、局注用の放射線/化学療法増感剤も初めて開発した。この全く新しい発想に基づいた世界初の酵素標的・増感放射線療法の高齢者乳癌および進行肝細胞癌等の適応疾患の拡大に向けて臨床例でのパイロットスタディおよび安全性確認のための動物実験を実施する。
1113 中和型抗ヒトIL-18抗体を用いた間質性肺炎の新規治療薬開発 星野 友昭 久留米大学 池田 敬史 久留米リサーチ・パーク 抗癌剤は放射線療法との併用により重篤な間質性肺炎を引き起こす。間質性肺炎治療にはステロイド剤が処方されるが、一部の間質性肺炎(分離不能型間質性肺炎)以外には効果がほとんどない。そのため、多くの間質性肺炎に有効な治療法の開発が急務である。本研究は間質性肺炎・肺障害の新規治療薬として、炎症性サイトカイン、IL-18に対する中和活性の高い抗ヒトIL-18抗体の開発を目指すものである。
1128 ユビキチンプロテアソーム系の活性化によるマラリアに対する2段階DNAワクチン 姫野 國祐 九州大学 田中 邦明 久留米リサーチ・パーク アフリカ熱帯地方の途上国を中心に、年間150〜270万人の死者があるとされているマラリアは発展途上国を主たる汚染地域とすることから、予防治療研究は遅れている。本研究はリコンビナントワクチンに比べて大量生産が容易で、コスト的にも優れているDNAワクチンの製造を目指すものであり、具体的にはユビキチンプロテアゾーム系を応用することにより、マラリア病原虫の開発を行うというものである。
1141 活性化破骨細胞のみを標的とした骨破壊制御抗体薬の開発 久木田 敏夫 九州大学 山本 英樹 九州大学 代表研究者は活発に機能する破骨細胞が発現するユニークな膜表面分子を見出しており、この分子が機能制御において重要な働きを有することを見出してきた。本研究は本分子とそれに関連する分子を標的とした破骨細胞機能を強力に制御する新規抗体薬の開発を行なうことを目的とする。本研究により、異常に活性化された破骨細胞の働きを自在にコントロールすることが可能となり、関節炎や歯周病に伴う炎症性骨破壊、骨粗鬆症の治療や予防において有効な抗体治療薬の開発につなげる。
1143 サンゴ由来の新規アレルギー性皮膚疾患治療薬の開発 宮本 智文 九州大学 山本 英樹 九州大学 本代表研究者はこれまでに、サンゴから分離した化合物に強い抗炎症活性を示すことを確認した。この化合物をリードとすることで、既存のステロイド剤とは異なり、副作用の少ない、天然由来のヒトに優しい新規な抗炎症、抗アレルギー剤の開発が可能となる。本課題研究では、サンゴから本化合物の大量調製法の確立及びマウスでの抗炎症、抗アレルギー作用の評価を行い、医薬品、化粧品としての実用化を目指す。
1178 耳垢型決定遺伝子ABCC11の機能に着目した腋臭・耳垢抑制薬の開発 吉浦 孝一郎 長崎大学 梅津 照彦 長崎TLO 腋臭症と湿型(べとべと)耳垢は相関すると一般にいわれている。最近、我々は耳垢型を決定している遺伝子を同定し、この遺伝子が細胞の内から外に物質を排出するトランスポーター・タンパク質をコードしていることを見出した。すなわち、腋臭は輸送蛋白が排出する物質(まだ同定していない)による臭いと考えられ(汗の腐敗臭ではない)、腋臭を予防する方法として、物質輸送を阻害することを発想した。本申請は、輸送蛋白の機能阻害剤を天然物および合成化合物から見出す研究である。
1191 経鼻ワクチン開発のための鼻粘膜M細胞標的センサー分子の創製 三隅 将吾 熊本大学 坂田 敦子 くまもとテクノ産業財団 近年、従来の経皮的なワクチン接種から経口ワクチン、経鼻ワクチンなど粘膜組織を介する種々のワクチンが開発されつつある。本研究課題では、粘膜組織に抗原特異的な免疫応答が誘導できるワクチン開発のために粘膜M細胞標的センサー分子の創製を目的とする。具体的にはSIV外被糖タンパク質と結合させたM細胞標的分子、MCTMのアカゲザルにおけるIgA誘導能を調べ、SIV感染の予防効果について検討を行う。
1194 細胞内送達が可能なハイブリッドタンパク質発現ベクターの開発とその応用 國安 明彦 熊本大学 津田 弘久 熊本大学 ファージディスプレイ法により見出した新規細胞膜透過ペプチド(CPP)は、マクロピノサイトーシス経路で速やかに標的細胞内に取り込まれる。目的とするタンパク質分子と本CPPおよびビオチン様ペプチドを組み込んだハイブリッドタンパク質は、培養細胞に添加するだけで、迅速な生物活性評価が可能である。このタンパク質を簡便に調製できる大腸菌発現ベクターは汎用性が高く、細胞生物学分野のみならずプロテオーム解析での応用も期待できる。
1207 ADAM8の機能解析から新しい喘息の予防・治療薬の開発へ 樋口 安典 大分大学 森岡 勝彦 大分大学 我々が最初に報告したADAM8はアレルギー炎症惹起に関与するが、特に喘息発作抑制を示し、喘息治療のターゲットになり得る。ADAM8はもともと生体内で微量に発現している蛋白で、これまでの治療薬と異なる作用機序で、副作用が低いと予想される。これまでADAM8の喘息発作抑制機能の報告はなく、各ドメインのリコンビナント蛋白を作製し、有効部位を特定して新しい種類の治療薬開発を目指す。
1215 IGSF4/TSLC1抗体を用いた抗体治療法の基礎研究 森下 和広 宮崎大学 石川 正樹 宮崎大学 成人T細胞白血病(ATLL)は HTLV1ウィルス感染に伴い発症する難治性白血病であり、感染者に対する予防や、白血病の治療法の開発が急がれている。我々は、ATLL ゲノム研究の途上でATLL白血病細胞特異的な表面抗原としてIGSF4/TSLC1を同定し、かつIGSF4特異的抗体を30種以上樹立した。これらの抗体中には細胞障害性活性を有する抗体が存在し、抗体療法としての可能性が高いため、これらIGSF4 抗体を用いたATLL に対する新規抗体療法を確立するための、非臨床試験の基礎実験を行う。
1216 分子シャペロン誘導剤による神経細胞死抑制法の開発 今泉 和則 宮崎大学 石川 正樹 宮崎大学 神経変性疾患の発症に小胞体ストレスが密接に関わることが知られている。小胞体分子シャペロンを過剰に発現させると小胞体ストレス誘導性神経細胞を救済することができる。小胞体分子シャペロンBiP/GRP78を誘導する低分子化合物を見い出すことができれば、神経変性疾患の治療につながる。そこでBiP誘導能をもった化合物を探索し、化合物BIX(BiP Inducer X)の開発に成功した。本研究課題ではこの化合物が神経変性疾患患者脳で起こる神経細胞死を救済できるか否かを細胞生物学的に明らかにする。さらにこの化合物の作用機序について詳細に解析する。
1217 エンドキニン由来の鎮痛薬の開発 西森 利數 宮崎大学 石川 正樹 宮崎大学 一般にタキキニンペプチドは興奮性であり、痛みの伝達に関与する神経伝達物質である。最近、タキキニンペプチドのうちエンドキニンCとエンドキニンDは興奮型ではなく抑制効果をもつことが報告されている。そこで、このペプチドを構成する一部のアミノ酸を置換したペプチドを合成し、このペプチドの疼痛関連行動に対する抑制効果を評価し、この合成ペプチドの鎮痛薬としての可能性について検討する。
1232 BVDVを用いた新規抗フラビウイルス薬の同定と開発 馬場 昌範 鹿児島大学 中村 恵造 鹿児島大学 本研究はフラビウイルス科に属するウイルスによって起こる重篤な慢性疾患で,未だに確固たる治療薬が開発されていないC型肝炎に対する治療法を確立することを目的とする。そのために,代表研究者が開発したウシウイルス性下痢症ウイルス(BVDV)を用いた新しい抗フラビウイルスアッセイ法を使い,多くの薬剤の中から,新しい抗フラビウイルス薬の同定と最適化を行うことにより,最終的にはC型肝炎ウイルス(HCV)に対して有効な薬剤の開発を目指す。
1243 肝再生治療薬HB-EGFの臨床化を目指した試験研究 小戝 健一郎 鹿児島大学 中村 恵造 鹿児島大学 急性肝炎には未だ根治的医薬がないため、102%は劇症肝炎と進展し、その際の致死率は約70%である。我々は新規増殖因子のHB-EGF(ヘパリン結合EGF様増殖因子)がHGFを凌ぐ治療作用(肝保護作用と肝再生促進作用の両面)で、劇症肝炎を予防できるという結果を得た。よって本課題では、HB-EGFの治療医薬としての実用化を目指し、適応拡大と前臨床の研究、ならびに治療メカニズムの解明を行う。
1244 糖鎖結合蛋白質を用いた悪性リンパ腫治療法の開発 森 直樹 琉球大学 伊良部 忠男 琉球大学 糖鎖結合蛋白質ガレクチン(Gal)はガラクトースを含む糖鎖構造に結合するレクチンであり、Gal9は2つの糖鎖と結合する部分がリンカーペプチドにより繋がった構造をしている。リンカーはプロテアーゼによる分解に感受性が高いが、リンカーを欠失したGal9は安定性が高い。Gal9はT細胞にアポトーシスを誘導するが、我々は成人T細胞白血病に対する抗腫瘍効果を安定化Gal9が有する事を明らかにしている。近年、B細胞性リンパ腫のエイズ患者での合併が問題になっており、本研究ではB細胞性リンパ腫に対する安定化Gal9の効果を検証する。

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 診断薬:40件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
8 悪性中皮腫(アスベスト肺癌)の特異的細胞表面マーカー探索と早期診断法の開発 中村 公則 札幌医科大学 一瀬 信敏 札幌医科大学 悪性中皮腫は極めて予後が不良であることで知られている。その主な原因は現在,早期発見の方法がほとんど無いことにある。申請者らは癌細胞特異的な細胞表面分子をスクリーニング・同定と同時に高性能なモノクローナル抗体を得ることが出来る独自の方法を樹立している。この方法を用いて悪性中皮腫の細胞表面マーカーの探索を行い、その結果得られた抗体を用いた早期診断法や病勢のモニター法の開発、実用化を目指す。
114 血管内膜損傷の診断マーカーとしてのS100A12の有用性の検討 人見 次郎 岩手医科大学 大島 修三 いわて産業振興センター 生活習慣病である糖尿病、高脂血症、高血圧はいずれも、血管の内膜の傷害と動脈硬化を進行させ、脳梗塞や心筋梗塞の原因となるアテローム血栓症を引き起こす。アテローム血栓症の予防には、血管内膜の損傷の程度を把握できる診断薬の開発が期待されるが、現状では病変を正しく評価することは難しい。本研究では申請者が発見した血管内膜の損傷部位に存在するS100A12(CAAF1)蛋白の動脈硬化症での血中濃度を解析することにより、S100A12の血管内膜病変の診断マーカーとしての価値を評価する。
126 新規糖尿病合併症マーカーとしてのアミノ酸―グルコース化合物の応用 喜多 一美 岩手大学 小川 薫 岩手大学 動物の体内では、高血糖状態が持続されるとアミノ酸とグルコースが結合する。このアミノ酸―グルコース化合物は、さらに多くの多段階反応を経て、糖尿病合併症の原因の一つである終末糖化物質に変化する。本研究では、終末糖化物質の前駆体の一つであるトリプトファンーグルコース化合物を糖尿病合併症の早期診断マーカーとして利用するために、血中トリプトファンーグルコース化合物の検出と定量化のための技術開発を目標とする。
236 骨髄高転移性乳癌細胞の転移マーカーの解析 岡田 知子 産業技術総合研究所 小高 正人 産業技術総合研究所 近年日本人女性に増えて来た乳癌は、高率に骨髄転移を起こし、激しい痛みにより患者の生活の質を低下させる。一方で、乳癌の骨髄転移マーカーは全く未解明のままであり、これを解析する事を本研究の目的とする。私達が近年新規に樹立した骨髄高転移性乳癌細胞と、その親株の遺伝子発現を比較解析し、発現の低下した遺伝子を強制発現させたり、発現の亢進した遺伝子の発現を抑制したりして、性状がどのように変化するかを解析する。
237 病原性微生物のヘリケース活性を阻害する物質を迅速・高感度・低コストにスクリーニングする技術の開発 秋光 信佳 産業技術総合研究所 小高 正人 産業技術総合研究所 ヘリケース蛋白質は二重鎖DNAあるいは二重鎖RNAを一本鎖へと乖離させる酵素であり、各種病原性微生物の増殖に必須な蛋白質である。したがって、病原性微生物のヘリケース蛋白質は薬剤開発の標的蛋白質として有望であり、ヘリケース蛋白質の活性のハイスループット検査技術は分子標的医薬品の開発にとって重要な基盤技術である。本研究では、申請者らが開発したヘリケース活性の迅速・高感度・低コスト検査技術を活用し、様々な病原性微生物由来のヘリケース蛋白質の活性検査キットを開発するための研究を行う。
261 微生物の病原性抑制効果を有する新規シクロデキストリン誘導体の合成研究 伊藤 智志 宇都宮大学 生田 四郎 宇都宮大学 シクロデキストリン(CD)は代表的な包接化合物として様々な用途に用いられている。本課題ではCDの包接対象として、微生物間情報伝達(クオラムセンシング)のシグナル物質であるアシル化ホモセリンラクトン(AHL)に着目した。微生物はAHLを介して病原性を発現するが、AHLを系から除去することで病原性の抑制が可能である。本課題ではAHLを選択的に包接可能な新規CD誘導体を合成し、微生物に対する病原性抑制効果を検討する。
280 修飾DNAを基盤とするサリドマイドセンサーの開発とその臨床分析への応用 澤井 宏明 群馬大学 小暮 広行 群馬大学 抗体と類似の機能を持つDNAあるいはRNAを基にしたアプタマーはバイオセンサーの新規な素材として有望である。本研究では、最近、種々の難病に対する薬効が認められているサリドマイドを特異的に認識して結合する修飾DNA アプタマーを試験管内選択法で調製し、さらに、この修飾DNAアプタマーに対して蛍光エネルギー移動(FRET)システムを適用して、サリドマイドを簡便に分析できる方法の開発とその応用を目指す。
283 標的応答型核酸プローブの開発と一塩基多型(SNP)検出への応用技術の開発 篠塚 和夫 群馬大学 長岡 範安 群馬大学 含ケイ素新規ピレン誘導体を活用し、相補的な塩基配列を持つ核酸と二重鎖形成を行った場合のみ発光する「標的応答型」特性を持った、優秀な検出性を持つ蛍光核酸プローブの開発を行う。さらに、このプローブを用い、これまでの類似の蛍光核酸プローブでは実現困難な、遺伝子中の一塩基の変異(SNPs)を簡便に検出できる、実用的なプローブへと発展させるための研究を行う。
284 血中浮遊上皮細胞での核内受容体CARの発現を指標とした薬物代謝能の測定法の開発と臨床応用 柿崎 暁 群馬大学 塚田 光芳 群馬大学 薬物代謝には、個体間に差があり、同じ量の薬剤を投与しても個体により副作用が異なる。薬物代謝の指標として、薬物負荷試験や肝臓組織での酵素活性の測定などが行われているが、負荷試験、組織採取は、患者へ侵襲があり頻繁には行えない。本研究では、患者末梢血中に浮遊する上皮細胞を、抗体結合マグネチックビーズを用い採取しRNAを抽出、real time PCR法にて、核内受容体CAR及び薬物代謝酵素群の発現を定量することにより、簡便に薬物代謝能を調べる検査法の開発を目的としている。
339 DNAの分岐構造を利用した一塩基多型(SNPs)の蛍光検出法の開発 加藤 輝 東京工科大学 山岸 勉 東京工科大学 遺伝子の一塩基多型(SNPs)を調べることにより,各個人の疾患の罹りやすさや医薬品の副作用の有無を予測できることから,その検出法は今後の「個の医療」の普及に必要不可欠と考えられている。一方,代表研究者らは,これまでにステロイド化合物の一種であるコール酸が3本のステムからなるDNAの分岐構造に結合することを見出している。本課題は,この現象を利用したSNPsの簡便な蛍光検出法の開発を目的とする。
376 骨転移を起こす前立腺癌を予測する診断薬の開発と応用 梁 明秀 横浜市立大学 小塚 彩 横浜市立大学 今回我々は、前立腺がんの骨転移の可能性を高い精度で診断できる抗体を開発した。これは手術時や検査時の前立腺癌組織標本を用いた免疫組織化学染色法により、将来的に骨転移を起こしやすい前立腺癌を約60070%の確率で予測することが可能である。本抗体による診断方法は、現在主流である「Gleason Score」による診断法とは異なる角度からがんの悪性度を評価するため、骨転移の可能性診断をより適切に行うことが可能であり、将来的には前立腺がんの治療の際にスタンダードな診断方法となる可能性が高い。
485 感染症診断のためのPETイメージング剤の開発 法木 左近 福井大学 吉田 芳元 福井大学 腫瘍患者、移植患者、高齢者などの死因として感染症は重要であるが、感染症に対する画像診断方法は、意外に乏しい。感染症に対するCTやMRIなどは病変部の滲出液や炎症細胞浸潤をとらえているにすぎない。FDG-PETでも炎症巣を描出できるが、これも、マクロファージに取り込まれたFDGによると考えられている。そこで、病原体自身に取り込まれる分子プローブを合成し、PETによって病原体の感染巣を描出する(画像化する)方法を開発している。
492 胃がん強毒性ピロリ菌感染症診断キットの開発 山川 雅希代 福井大学 小坂 忠夫 福井大学 全世界で50%を超える感染率を有するヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)感染は、日本での胃がん発症率・死亡率とも高く、年間10万人が新たに胃がんと診断され5万人が毎年胃がんで命を落としている。近年、ピロリ菌の遺伝子多型により胃がん発症に関与する強毒性を弱毒性に分類されることが明らかとなり、従来のピロリ菌感染症診断キットを改良した強弱毒性識別キットが強く望まれている。本研究は、我々のピロリ菌研究を基にして識別診断キットの開発を目標とする。
493 小児科溶血性連鎖球菌感染症の次世代型診断キットASLOの開発 藤井 豊 福井大学 小坂 忠夫 福井大学 小児科領域の主要な感染症の1つが溶連菌感染症で、ときに重篤な腎炎など後遺症が見られる。不幸にして診断に誤りがあると訴訟問題化する場合もあり、小児科医の減少が社会問題になっている。そのため、診断の精度を上げた次世代診断キットの開発が求められている。ASLOに用いられる高純度の溶血性毒素SLOを世界に先駆けて大腸菌から調製するシステムを開発した。この高純度SLOを用いた高精度ASLOを開発することを目標とする。
532 がん転移診断用新規リンパ節検出剤の開発 羽賀 新世 岐阜県保健環境研究所 西川 治光 岐阜県保健環境研究所 肺がんや乳がんなどでは、がんの周囲を大きく切り取るリンパ節郭清術が行われているが、がんの発生場所に一番近い、センチネルリンパ節に転移がなければ、その先には転移がないことが実証され、予めその検査を行うことで、無駄なリンパ節郭清を避ける先進的な医療が望まれている。
この検査にはセンチネルリンパ節の検出が不可欠であり、本課題では、現行法の短所を克服し、検出が平易で、患者への負担が少ない、安全性の高いセンチネルリンパ節検出剤を開発する。
536 RNA創薬を目指す高機能性核酸オリゴマーのPETプローブ化法の開発 北出 幸夫 岐阜大学 丸井 肇 岐阜大学 RNA分子の多様な機能が解明され、siRNAやmiRNAなどで代表されるRNA創薬が注目を浴びている。RNA分子を抗がん剤などの治療薬として臨床開発するためには、核酸オリゴマーへの陽電子放射断層画像撮影(PET)法の導入が重要な研究課題と考えられる。そこで本研究では、RNA分子の薬物動態や治療効果の計測を容易にするために、RNA分子の簡便なPETプローブ化法を開発する。
587 汎用糖鎖固定用抗体の作製とそれを用いた早期疾患診断用糖鎖チップの開発 林 宣宏 藤田保健衛生大学 吉田 勝 名古屋産業科学研究所 国内外における糖鎖研究の過程で蓄積された膨大な数の糖鎖リソースの活用を可能とする汎用糖鎖固定用抗体を作製し、得られた抗体を用いて糖鎖チップのプロトタイプの作製を行う。糖鎖リソースのなかで発ガンとの関連が指摘されているものを基盤に固定することで高精度、高感度な早期がん診断用糖鎖チップが作製できる。また、近年、アレルギー性疾患や糖尿病など、がん以外の多因子性疾患においても特異的な糖鎖の関与が解明され、その情報に基づいた当該疾患診断用糖鎖チップが開発可能である。
681 迅速かつ目視で評価可能な酵素阻害剤スクリーニングシステムの開発 宮武 智弘 龍谷大学 石原 英昭 龍谷大学 酵素活性や阻害作用のある多くの物質を評価・探索するため、阻害剤を含む酵素反応溶液中の基質(あるいは生成物)の濃度変化を蛍光強度の変化として検出し、様々な酵素阻害剤の活性を迅速かつ目視で評価できるスクリーニングシステムを開発する。この成果を医薬品等の開発でネックとなっている阻害剤の迅速スクリーニングへの応用を目指す。
697 エテノ型核酸を用いた核酸検出素子の開発 小堀 哲生 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 近い将来、オーダーメイド医療や予防医学の発展に伴って遺伝子診断の必要性が増加することが予想される。そこで我々は、プローブ核酸と標的核酸を混合し、蛍光を測定するだけで、遺伝子の診断ができる遺伝子診断法の開発を目指す。具体的には、活性なアルデヒド基を持つ4-オキソエナール骨格と核酸塩基とが反応し、蛍光性核酸として広く研究されているエテノ核酸を形成する付加反応を応用することにより、標的核酸の検出を目指す。
733 13C-標識アミノ酸誘導体の網羅的合成法の開発研究 今野 博行 京都府立医科大学 内田 逸郎 科学技術振興機構 本研究では、生命科学研究進展に向けた13C-標識化合物の効率的な合成法の開発を行う。天然には多くの複数の同位体元素が存在する。中でも13Cは原子核が安定な安定同位体であり、安全で特殊な装置などを必要としなくとも用いることが可能なことから、生体物質の定量や構造解析といった研究で用いられている。しかし、大変高価であり、その種類も限られていることから敬遠する研究者も多い。そこで、研究者は蛋白質やペプチド科学などへの貢献を期待して13C-標識アミノ酸類の網羅的合成法の開発を行う。
753 動脈硬化症における不安定プラーク検出法の開発 桝田 緑 関西医科大学 大野 安男 科学技術振興機構 (辞退)
769 塩基性蛋白質に着目した抗癌剤5-フルオロウラシル耐性マーカーの同定と診断法の予備的検討 境 晶子 大阪医科大学 大野 安男 科学技術振興機構 RFHR(radical-free and highly reducing)法は,等電点電気泳動法とは全く異なる分離原理をもつため塩基性蛋白質の分離能に優れている。この特性を活かし大腸癌細胞の5-FU感受性株と耐性株のプロテオーム解析を行った結果,耐性獲得によって変動した蛋白質を同定した。この中から耐性マーカーとして複数の蛋白質を選び出し,それら蛋白質の抗体を用いて抗癌剤耐性獲得の診断法の予備的検討を行うことが本研究の目的である。
861 補体媒介性細胞障害を利用した高感度の微量抗体測定法 小西 英二 神戸大学 小野 英男 神戸大学 感染症診断において、微量の抗体を確実に測定する社会的ニーズは大きい。病気の早期診断や献血の安全性検査などに大きく貢献する。しかし、標識抗体法など現在の主な抗体測定法は非特異的反応を生じるため、低レベルの抗体を高い信頼性で検出することは困難である。本応募課題は、哺乳類が有する精緻な特異的免疫機構を利用して、新しい微量抗体検出法の確立を目指す。予備実験では成功しており、本研究実施期間にプロトタイプを確立する。医療及び獣医療に広く利用可能な技術である。
862 ヘリコバクターピロリ感染による胃発癌リスク診断の開発 東 健 神戸大学 小野 英男 神戸大学 ピロリ菌は世界保健機構より1群の発癌因子に認定されている。本研究では、ピロリ菌感染による胃発癌リスク診断キットを開発することを目的とし、ピロリ菌の胃発癌に関与すると考えられる病原因子CagAの遺伝子型をPCRで識別する遺伝子診断キットを作製し、その診断能について解析する。本キットの開発により、約6000万人という多くの日本のピロリ菌感染者から胃発癌リスク高危険群を絞り、胃癌予防のためのピロリ菌除菌治療などの効率の良いオーダーメイド医療による胃癌予防が可能になる。
907 覚せい剤精神病のリスク予測および診断マーカーの開発 前田 武彦 和歌山県立医科大学 大野 安男 科学技術振興機構 覚せい剤精神病は妄想や幻聴を主体とする症状が休薬後も小康と持続を繰り返し、遷延・持続することを特徴とする。これまでに、申請者は生活習慣病関連分子の産生を調節する薬物が、覚せい剤精神病モデル動物に有効であることを報告してきた。本研究の目標は覚せい剤精神病における再燃現象の危険因子を生活習慣病関連分子の中から検索し、再燃発現のリスク予測あるいは診断マーカーとしての利用を目指した基礎的資料を提供することである。
936 難治性小児てんかんの早期発見技術の開発 大内田 守 岡山大学 大村 祐章 岡山医学振興会 1歳未満の小児の約8%には熱性痙攣がみられる。一般に、熱性痙攣は6歳までに治癒し積極的な治療を必要としないことが多いが、その良性経過を示す患者の中にはDravet症候群という難治てんかん患者が混在している。Dravet症候群患者は何度も痙攣を繰り返し、てんかん重積など危険な状態をもたらすため、早期に専門医の治療を必要とする。本課題は1歳未満の病初期に良性の熱性痙攣の中から難治てんかん患者を早期に選別する方法の実用化に向けての改良と検出効率の向上を目指す研究である。
951 多成分蛍光標識ペプチドライブラリーを用いる高効率創薬手法の開発 北松 瑞生 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 現行のペプチドライブラリー法ではいずれもライブラリーにビーズやファージといったサイズの大きな担持体を必要とするせいで、ライブラリーから特定のペプチドをスクリーニングしても,そのペプチドが遊離の状態で本来の活性を示す保証がない.そこで本研究では多種類の蛍光性アミノ酸を含むペプチドライブラリーを用いることで、担持体を必要とせず,標的蛋白質に結合するペプチドを溶液中で効率よく見出す方法を提案する.この方法はペプチド本来の活性を変えることがないので,極めて効率的にペプチド医薬を見つけることができる.
970 男性不妊症予防バイオマーカーの開発 矢間 太 県立広島大学 上水流 久彦 県立広島大学 熱ショックにより精子発生は著しく障害されるが、そのメカニズムは不明である。私たちはモデルマウス精巣では精母細胞以降に分化した生殖細胞が消失すること、モデルマウス精巣・血液精巣関門の機能に異常がないことを明らかにしている。さらにプロテオーム解析によって、モデルマウス精巣では特異的にα-fetoprotein (以下、AFP) の発現が促進されることを明らかにしている。精母細胞の細胞分裂停止とAFPとの因果関係が解明出来れば、精巣熱ショックによる男性不妊症発症メカニズム解明が可能である。
995 メタボリックシンドロームを予知、診断するバイオアッセイシステムの開発 浅野 知一郎 広島大学 前田 裕司 広島大学 我が国ではメタボリックシンドロームの患者が急激に増加しているが、この病態には肥大した内臓脂肪から分泌される種々の有害液性因子が関与している。我々は、ヒト由来の前駆内臓脂肪細胞に血清を添加し、細胞増殖や脂肪蓄積を誘導する程度を定量化するアッセイシステムを構築する。このバイオアッセイによって、内臓脂肪蓄積からのメタボリックシンドローム患者の発症を予知、さらに予防に役立てることを目的とする。
997 口腔癌の予後を予測する簡易診断キットの開発 工藤 保誠 広島大学 前田 裕司 広島大学 近年、口腔癌は増加傾向にあり、世界では年間50万人の患者が発生し、全体の癌で5番目に高い癌である。深部への浸潤や転移は、患者の予後に最も重要な因子であると考えられていることから、浸潤・転移の予測による癌の悪性度診断は、重要な課題となりうる。そこで、我々は、独自の解析から、口腔癌の浸潤・転移に関わる因子をいくつか同定し、それら因子が予後を判定する有用な因子であることを見いだした。そこで、本課題では、我々が同定した因子に着目し、浸潤・転移を早期に予測するための簡易診断ツールの開発を検討する。
1012 癌予防的診断のためのゲノムコピー数ハイスループット解析システム開発 末広 寛 山口大学 殿岡 裕樹 山口大学 ゲノムコピー数ハイスループット解析システムを開発し、癌発症前診断に応用可能な臨床検査法を確立する。具体的には@高効率・高精度に診断可能なDNAチップ開発(高効率化DNAチップ)、A高輝度な蛍光標識物質からなる診断試薬キット開発、B臨床検査として応用可能なハイスループット解析システム(DNAチッププロセッサーおよび解析ソフト)開発を行う。
1032 新規ミトコンドリア蛋白の発現パターンの解析とパーキンソン病治療への応用 三ツ井 貴夫 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 遺伝性パーキンソン病PARK2の原因遺伝子であるパーキンの転写産物は、新規の蛋白であるKlokin1によりミトコンドリアに運搬されその機能を促進することを我々は見出した。Klokin1には他にアイソフォームが存在し、種々の臓器において異なる発現パターンをとっていた。特に末梢血リンパ球おいてパーキンソン病と健常者の間でそのパターンが異なっていた。本研究ではKlokin 1の分子機序・機能を解明し、パーキンソン病治療への応用について検討する。
1040 胃粘膜表在性蛋白質に対する抗体を用いた胃がん内視鏡手術支援技術の開発 辻 大輔 徳島大学 平岡 功 徳島大学 本課題では、胃がん患者由来組織で顕著に減少しているガストロカイン1(GSK1)に対する抗体と、内視鏡検査用プローブとして開発した近赤外蛍光化合物とのコンジュゲートを作製し、手術後摘出された胃がん組織の局所免疫染色と近赤外蛍光観察を行い、がん特異的領域のみを外科的に切除するためのイメージング法の確立と、近い将来の臨床応用を目指した基盤研究を行う。
1142 生体での可視化を目指した8−オキソグアノシン蛍光人工プローブの開発 佐々木 茂貴 九州大学 山本 英樹 九州大学 グアニンの酸化体である8-オキソグアノシン(8-oxoG)は、老化や多くの疾患に関与していることが見出され、これら疾患に対するマーカーとして8-oxoGを定量的に計測する手法の確立が強く望まれている。本代表研究者らは、これまでに有機化学的手法を駆使して8-oxoGに対して特異的な蛍光応答を示す人工プローブ“8-oxoG-clamp”の開発に成功した。本課題では、本プローブを用いて水溶液中での検出を可能にし、生体内での利用を目指したin vivoイメージングの確立を目指す。
1169 アレルギー疾患における線維化を標的とした診断システムの確立 出原 賢治 佐賀大学 原 尚道 佐賀大学 アレルギー疾患の治療においてはステロイド薬などの治療薬への抵抗性が大きな障害となっており、アレルギー疾患の病態における線維化がその抵抗性の主要な要因となっている。本課題では、我々が気管支喘息線維化の構成成分として同定した細胞外マトリックスタンパク質のペリオスチンが、アレルギー疾患の線維化に対する診断マーカーとなり得るかを検討する。
1172 自己抗体プロファイルを用いた難治性神経疾患の髄液診断法の開発 末岡 栄三朗 佐賀大学 原 尚道 佐賀大学 神経難病である多発性硬化症の髄液診断マーカーとして有用なものはなく、治療方針の決定に苦慮する場合も多い。我々が発見した抗hnRNP A2/B1抗体は陽性率も高く、他の4種類の自己抗体と組み合わせた自己抗体プロファイルの作成により、他の類縁疾患との鑑別が可能と考える。本課題では、これまでに得られた成果を臨床診断に応用できるよう、高感度かつ簡便な診断システムとして確立することを目指す。
1180 ガングリオシドをツールとした病原細菌の病原毒性の診断 和田 昭裕 長崎大学 梅津 照彦 長崎TLO 病原細菌は、宿主の糖鎖を識別していること、また、その病原毒素の中には、糖鎖に結合することでその毒性を発揮することなど、糖鎖を介した情報伝達機構を持つことが知られている。すなわち、糖鎖に着目することで、病原細菌の病原毒性の強さや、未知の病原細菌や遺伝的変異を起こした病原細菌が認識する糖鎖をマーカーとした検出などが可能になる。本申請では、糖脂質のガングリオシドをツールとし、病原毒性の強度診断指標を開発する。
1192 ナチュラルプロテインチップによる自己抗体検出システムの開発 荒木 令江 熊本大学 坂田 敦子 くまもとテクノ産業財団 自己免疫異常を伴う疾患は多数報告されているが、その指標となる患者の自己抗体の検出は困難を伴い、特定の限られた疾患のみが検査の対象となっている。本研究では、ヒト脳神経系培養細胞可溶化蛋白質の一万個に及ぶ蛋白質からなるプロテオームマップと、これを電気的に膜上に転写したナチュラルプロテインチップを作成し、ヒト自己抗体を含む患者血清を用いたターゲット蛋白質の網羅的なスクリーニング・同定・プロファイリングシステムを構築し、脳神経系障害を伴う自己免疫疾患に対する検査キットを作成する事を目標にしている。
1218 プロアンジオテンシンー12の診断薬としての応用 加藤 丈司 宮崎大学 石川 正樹 宮崎大学 血中や組織中レニン・アンジオテンシン系(RA系)は、循環器および腎臓疾患の発症進展に深く関与している。現在、血中RA系活性を測定することは可能であるが、組織RA系を評価する手段はない。本研究では、新たな組織RA系ペプチド・プロアンジオテンシン-12(Proang-12)の循環器および腎臓疾患における病態生理学的意義を明確にして、ヒトProang-12または関連ペプチドの測定系を確立することにより、組織RA系の新たな測定系ならびに評価手段の開発を目指す。
1229 筋肉の新規タンパク質の有用性の検討 松田 貞幸 鹿屋体育大学 中原 義毅 鹿児島工業高等専門学校 本研究課題は、原因不明の心疾患、筋肉疾患の診断と治療に寄与することを目的とした研究である。 原因不明の心疾患、筋肉疾患のなかには、哺乳類の筋肉の筋原繊維で新しく発見されたタンパク質の変異あるいは欠損が原因となって起こるものがある、ということを立証するものである。 技術的には、本タンパク質の抗体を用いて各疾患の組織切片をスクリーニングし、本タンパク質の変異あるいは欠損による心疾患、筋肉疾患を免疫組織化学的に見い出すものであり、合わせて本タンパク質の遺伝子の塩基の変異を同定するものである。

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 治療技術(装置):21件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
159 2波長レーザ照射が可能な内視鏡治療装置の開発 松浦 祐司 東北大学 井元 尚充 東北大学 単一の波長のみで切開のみに使用されてきたのレーザ手術において、組織の切開に有効な波長と血液の凝固に有効な波長を合わせて用いることにより、止血をしながら効率的に切開・蒸散が可能なレーザ治療システムを開発することを目的とする。具体的には、各種の生体組織に応じた最適レーザ照射条件の探索、複数レーザ照射が可能な内視鏡レーザ装置の試作を行なう。
170 癌のリンパ管新生抑制によるリンパ節転移抑制法の確立 佐藤 靖史 東北大学 渡邉 君子 東北大学 癌のリンパ節転移におけるリンパ管新生の重要性が明らかとなり、リンパ管新生を効果的に制御する癌の治療法の確立が望まれている。申請者は、血管内皮細胞が産生し、自らに作用して血管新生を抑制する新規血管新生抑制因子であるバソヒビン(Vasohibin)およびそのホモログ(Vasohibin-2)を発見しているが、最近、バソヒビンは、リンパ管新生に対しても抑制作用のあることを見出している。本研究の目標は、独自の研究成果を背景とし、バソヒビンのリンパ節転移の抑制による癌治療法を確立することである。具体的には、マウスを用いた動物実験を用いて、バソヒビンが腫瘍リンパ管新生とリンパ節転移を抑制するか否かを検討する。
243 創外固定器の応用を高める新しい膝関節運動・支持装置の臨床応用化開発 石井 朝夫 筑波大学 小谷 純久 つくば研究支援センター 創外固定器用膝関節支持装置は、急性・慢性の膝関節機構損傷に対する早期運動や再生医療に使用可能である。代表研究者はヒト膝関節(大腿骨・脛骨関節)の動きを模したfour-bar linkage運動する創外固定器用膝関節支持装置を試作した。今回は臨床応用をより具体化するべく,同試作品の軽量化とX線撮影を考慮したデザイン上のスリム化を行うと同時に、膝蓋大腿関節部の膝蓋骨支持装置を開発し、両者を一体型とした臨床応用試作品を開発する。
289 カスタム集積回路による埋め込み型機能的電気刺激装置の開発 高橋 幸郎 埼玉大学 市川 世司 埼玉大学 中枢神経の機能障害による4肢麻痺患者の残存機能からの制御信号により、刺激パルス波形をコントローラーに組み込んだ計算機を通じて体内刺激装置に伝送して、患者の意図する動作を再建する機能的電気刺激(FES)を用いた運動機能再建に際し、本研究はカスタム集積回路を用いた完全埋め込み型刺激装置を開発することで、臨床応用を目指したFESシステムの実現を図るものである。
333 歯周病治療のための新規の殺菌用光線器具の開発に関する研究 渡辺 久 東京医科歯科大学 小沢 三千晴 東京医科歯科大学 本研究では,光エネルギーを応用した新たな口腔内除菌器具として、歯周ポケット内の歯周病細菌の殺菌用の治療器具および青色光線がヘッドから照射される光歯ブラシの開発を目指している。青色光線は、従来の青色のアルゴンレーザーおよびハロゲンライトを低出力で用い、青色光線の照射時間と殺菌効果および発熱量との関係について比較検討する。さらに、臨床的に応用が可能な低出力にて十分な殺菌効果を得るための光増感剤として新しい候補色素の検索と色素併用時の殺菌効果の増強の程度について検討を行う。
398 睡眠時無呼吸症候群治療用NIPPV鼻マスクのフィッティングシステム 尾田 雅文 新潟大学 中津 普門 新潟大学 本研究は、睡眠時無呼吸症候群の治療で用いられるマスク式陽圧人工呼吸器(NIPPV)用鼻マスク装着時において,しばしば生ずる褥瘡等の皮膚障害を解決することを目的とする。そのために,現在開発中のレーザー技術、超音波技術、有限要素応力解析技術を駆使した皮膚障害を生じにくくかつ個々人に適した鼻マスク形状を決定可能なシステムについて、臨床の現場,特に在宅医療における適用を考慮し,安価かつコンパクトで持ち運びのしやすさを目指した改良を施す.
408 組織移植のための血管縫合が可能な双眼ルーペの開発 柴田 実 新潟大学 中津 普門 新潟大学 本研究の目的は、組織移植や切断指再接着に必要な血管吻合が快適に行える双眼拡大鏡を開発、商品化することである。作業距離400ミリ程度で6〜8倍の拡大視野が得られれば指動静脈の吻合も可能となり、顕微鏡なしで拡大鏡下に指の再接着術を行うことまで可能となる。この目的に適した拡大鏡の開発については、これまで、全く手がけられていない状況であり、国内外ともに新しい開拓分野であるが、組織移植のための血管縫合が可能な双眼ルーペは国内外で広く貢献する。
506 超音波による骨接合用髄内釘横止め穴位置検出装置の開発 水口 義久 山梨大学 菅原 幸雄 山梨大学 本研究では,市販のターゲットデバイスを用い,髄内釘の軸に直交する方向に皮膚上で超音波探触子を移動させながら超音波を髄内釘に向けて入射させる。そして,髄内釘横止め穴付近から反射してくるエコー高さを測定し,髄内釘横止め穴の中心位置でエコー高さが最大となることに着目し,そこにスクリューねじを刺入し,骨と髄内釘を容易に固定できる髄内釘横止め穴の検出法を確立するとともに手術に必要な治具を考案する。
674 針先端形状を考慮した穿刺シミュレーションモデルの開発 山口 哲 立命館大学 柳瀬 圭志 立命館大学 近年、低侵襲外科手術療法の一つとして広く行われている穿刺療法は、従来の外科手術に比べ、患者への負担が少なく、術後の早期回復が可能である。しかし、医師の意図に反して穿刺中に針が曲がって進むことがあり、正しく患部に到達させることは非常に困難である。本研究では臓器のような軟性組織へ穿刺した際に針先端、側面に生じる物理現象を解明し、術中に的確な穿刺軌道を提示可能な穿刺シミュレーションモデルの構築を目指す。
728 空気圧を利用して免荷歩行できる装置の開発と臨床試験 黒木 裕士 京都大学 樋口 修司 京都大学 下肢手術後や低体力者の歩行リハビリテーションには水中歩行と介助歩行がある。前者は浮力で体重を軽減する長所があるが、溺水と感染症の危険、設備面と水使用のコスト高の欠点がある。後者は介助者の身体負担が大きくこれが人件費にかかる欠点がある。本課題では水中歩行でもなく介助歩行でもない新しい方法による歩行リハビリテーション治療機器を考案・開発して実用化を目指す。
806 医用ディスポーザブルリニアアクチュエータの開発 西川 敦 大阪大学 中村 邦夫 大阪大学 現行の医用ロボットに使用されている電気モータなどのアクチュエータには、清潔性と安全性の問題が数多く指摘されている。我々はこれらの問題を解決するため、医用ディスポーザブルリニアアクチュエータの開発を進めている。本アクチュエータは感電や発熱の危険性がないため安全であり、また全体を容易に滅菌できるため清潔で、さらに低コストで製作可能であるため他の多くの医療器具と同様にディスポーザブル化が可能である。現在、本アクチュエータを応用したディスポーザブル内視鏡手術支援ロボットの開発も並行して進めている。
858 早期食道・胃癌に対する新規内視鏡的治療法の開発 森田 圭紀 神戸大学 小野 英男 神戸大学 近年、消化管腫瘍に対する内視鏡的治療法は急速な発展を遂げ、従来の内視鏡的粘膜切除術(EMR)から内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の時代へと大きく変貌しつつある。ESDは大きさや粘膜下層の線維化の有無に関わらず腫瘍を一括完全切除でき、正確な病理組織学的評価を可能にしたが、手技習得が困難で出血や穿孔等の偶発症が多く、施行時間が長いという欠点もある。そこで安全・確実なESDの普及に向けて新たな処置具と2本の内視鏡を用いてESDを行う「Double scope-ESD」を発案し、早期食道・胃癌を対象にその有効性と安全性を評価することを目的に本研究を企画した。
917 神経変性疾患治療を目指したNrf2活性化薬剤およびNrf2活性化検出システムの開発 中曽 一裕 鳥取大学 前田 尚良 鳥取大学 近年,転写因子Nrf2が特定の転写調節領域を介して,抗酸化蛋白群の発現を誘導することが報告されている.このシステムは単独の転写因子を活性化することにより,複数の内在性抗酸化蛋白を誘導することが可能であり,これまでにない方向から抗酸化治療へ応用することが可能であると考えられる.本申請では,Nrf2活性化に注目した新規抗酸化療法の開発と,Nrf2活性化薬剤スクリーニングシステム開発に関する基盤技術の構築を目的とする.
926 移植骨を精密加工するフライス盤の実用性試験 森 隆治 島根大学 中村 守彦 島根大学 欠損を伴った骨折手術、関節の固定手術、背骨の固定手術では移植骨を用いて手術を行なう。本研究では、動物の手術モデルにおいて、移植骨を専用のフライス盤で精密に加工して、移植部位への勘合をより正確に行なう。従来の方法よりも、本方法を用いれば移植骨は周囲と早期に強固に癒合することが期待できる。実用化に成功すれば、骨の手術を受けた患者が早く社会復帰できるようになる。
1014 生分解性ポリマーステントの低摩擦・高強度化とその評価 南 和幸 山口大学 浜本 俊一 山口大学 “たが構造”を利用した生分解性ポリマー製の医療用ステントを実現するため、留置時の不具合を解決する構造とその加工技術を開発する。新構造の導入による強度・大きさの最適化を図るためにステント構造全体の構造設計をやり直し、改良品を試作する。拡張力、強度などの評価・確認を行い、実用に耐えうる機械特性を持ったステント構造の確立を目指す。
1079 体内の菅腔を縮小する次世代経カテーテルデバイスの開発 高橋 学 愛媛大学 田坂 謙介 愛媛大学 先天性心疾患である心房中隔欠損症には欠損孔を完全に閉口せず、縮小するだけで十分に健康を維持できる種類がある。閉口治療としては、開胸手術や閉鎖栓によりフタをする治療技術が確立されているが、人体への侵襲性、術後の安定性の問題点が存在する。そこで、本研究では、完全閉口せず微小クリップを用いて欠損孔を縮小する、次世代の菅腔治療用経カテーテルデバイスの開発を行う。
1098 患者の能力を最大限発揮させる効率的立ち上がり訓練機の開発 井上 喜雄 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 障害や高齢化で立ち上がりが困難になった患者が、安全かつ効果的にリハビリテーションを行うことを支援する吊り上げ型の立ち上がり訓練機を開発する。患者が常に最大限の力を発揮し効率的にリハビリテーションを行える機能、最も負担がかかる膝関節の負担を軽減する立ち上がり姿勢を学習させる機能、患者が回復状況を把握しながら訓練ができる機能を、既に開発した患者の関節モーメント推定技術およびインピーダンス制御による吊り上げ技術を駆使して実現する。
1139 血液中におけるソノポレーション効率の優れた新規ハイブリッド型ナノバブルの開発 −末梢血流障害の低侵襲性遺伝子治療法の早期臨床応用に向けて- 寺本 憲功 九州大学 山本 英樹 九州大学 本研究では四肢の末梢血流障害の改善に向けて局所および反復投与が可能でさらに血液中でもソノポレーションが行なえる低侵襲性遺伝子治療法における新規ナノディバイスの開発を研究目的とする。具体的には導入遺伝子が血液中のエンドヌクレアーゼにて加水分解されるのを防ぐ目的で導入遺伝子をコーティングする等、様々な方法を駆使し最終的には病態モデル動物を用いて導入効率の有効性を確認しながら優れた新規ナノディバイスの確立を目指す。
1157 レーザー照射装置と組み合わせた根管治療用歯科内視鏡の開発と応用 吉嶺 嘉人 九州大学 平田 徳宏 九州大学 根管治療(歯の根の治療)は細いファイル状の金属製器具を用いて行われるが、根尖部(根の先端部)を観察することは不可能であり手探りで処置するのが現状である。そこで、根管内で使用可能な内視鏡を用いて診断の補助とするとともに、レーザー照射器を組み合わせることで、直視しながら病巣を処置することが可能になる。この研究では、根管内での使用に適した形状を考案するとともに、使用時の熱などの歯周組織への影響を把握することで、より安全な使用法を探ることを目標とする。
1171 大腸菌発現系を利用した病原体認識分子のハイスループットスクリーニング 福留 健司 佐賀大学 原 尚道 佐賀大学 各種動植物のcDNAライブラリーを大腸菌で発現させて、各病原体分子を認識する分子を網羅的に同定する。我々は大腸菌で発現させたリコンビナント蛋白の病原体分子への結合を特異的に検出する方法を確立している。この検出感度は非常に高いので、病原体分子に特異的に結合する病原体認識分子を検索するハイスループットスクリーニングシステムの開発を目指す。
1219 新規生理活性ペプチドの臨床応用 山口 秀樹 宮崎大学 石川 正樹 宮崎大学 多施設共同研究により、培養細胞株から2つの新規生理活性ペプチドNERP (NeuroEndocrine Regulatory Peptide)を同定した。ラットを用いた検討で、1つは摂食を促進する作用、もう1つは昇圧ペプチドであるバソプレッシン分泌を抑制する作用を明らかにした。ヒトでの生理的および病態生理学的意義を明らかにするため、健常人および肥満や高血圧を有するメタボリックシンドローム患者での新規生理活性ペプチドの変動を検討し、疾患活動性マーカーとしての臨床応用を目指したヒト研究を展開する。

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 診断技術(装置):46件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
38 一般歯科医院で使える偏性嫌気性細菌培養装置の実用化研究 中澤 太 北海道医療大学 蛸島 武広 科学技術振興機構 感染根管には通性及び偏性嫌気性細菌が圧倒的優位に生息していることから、感染根管治療後に行う細菌培養検査は、充分な嫌気的条件下で行う必要がある。本研究では、嫌気性細菌用液体培地とpH指示薬を含むポリエチレン袋に、嫌気性混合ガスを充填することによって極めて高い嫌気度を確保し、簡便に且つ安価に一般歯科医院のチェアーサイドにおいて、精度良く細菌培養検査を行うための嫌気性細菌培養キットを開発・実用化する。
51 近赤外光を用いた脳浮腫モニタリング手法の確立 西村 吾朗 北海道大学 蛸島 武広 科学技術振興機構 本研究は光学的手法により脳浮腫を早期にモニタ可能とする技術を確立することが目的である。1μmを超える近赤外光領域を利用し浮腫形成を反映する組織の水の吸収および散乱特性を主として時間分解計測法を用いて評価する。これらのために高感度計測法を検討するとともに、小動物モデルを用いた組織の光学特性評価を行う。それにより、実用化に適した波長などの光学測定条件などを決定し、モニタリング手法の基礎技術を確立する。この結果をさらに、今までのMRIと異なるベッドサイドなどでのモニタが可能となるシステムへと展開することができる。
90 超音波顕微鏡による骨組織の粗鬆化度評価システムの開発 柴野 純一 北見工業大学 二俣 正美 北見工業大学 これまでに、超音波顕微鏡のCモード画像輝度値から超音波反射強度を推定する方法を考案し、XZモードによる表面波音速測定結果と合わせて、固体材料のミクロンオーダー微小領域の材料・力学特性を連続的にかつ迅速に測定するシステムを開発した。本研究では本法を応用して、粗鬆骨のような微細な不均一構造を有した骨組織の構造・材料特性及び力学特性測定法を構築し、粗鬆骨の粗鬆化度評価システムを開発する。
165 新生児中耳疾患の早期発見を目指した「スクリーニング用診断装置」の開発 和田 仁 東北大学 芝山 多香子 東北大学 本試験では、音響インピーダンス周波数特性計測による新生児のための中耳疾患スクリーニング用診断装置の開発を目指す。具体的には、プローブの作製、診断に用いる入力音の周波数と大きさ・外耳道圧の値を決定、新生児用から成人用まで広範囲に設定変更可能なプログラムを開発、それらを実現するハードの作製を行う。また理論解析による診断基準の作成も行なう。
172 ヒト胎盤幹(TS)細胞を用いた新規細胞毒性判定システムの開発 有馬 隆博 東北大学 渡邉 君子 東北大学 難治性小児疾患や奇形の発症原因として、有害化学物質の過剰摂取がある。これらの物質は、妊娠中胎盤を通して胎児に移行し、胎児の発育や出生後の成長に影響を及ぼすと考えられている。また、その長期間の蓄積により、母子双方の健康に重大な影響を及ぼすことも懸念されている。しかし、その細胞毒性機序や代謝動態については未だ明らかではない。そのため、本研究課題では分化誘導系の確立したヒト胎盤幹(TS)細胞を用い、環境ホルモンと重金属の影響について検討することを目的とする。さらに、この解析技術は新規細胞毒性試験(TST)法としてシステム化し、医薬品や食料品等の安全性評価法として実用化することを目標とする。
182 内視鏡装着用体内組織硬さ計測センサの開発 長南 征二 秋田県立大学 竹内 武 秋田県立大学 体内臓器の手術法である低侵襲治療では、切開した手術孔より内視鏡等を挿入し内部情報を収集,診断治療を行う。医師が施術中に体内組織について様々な情報を得ることは治療を的確に行ううえで重要であるが、現状では体内にある生体組織の硬さを直接測定する技術は開発されていない。本研究はこの点に鑑み、内視鏡先端へ装着する体内組織硬さ測定用センサを製作、センサのプロトタイプを用いて実験室レベルおよび臨床試験を行い、その実用化を目指すものである。
191 大腸菌由来LPSアレイを用いた感染症診断技術の開発 天野 憲一 秋田大学 鎌田 真一 秋田大学 腸管出血性大腸菌のO 血清型を診断するための簡便な診断技術をドットブロットを応用して開発を試みる。方法としてはドットブロットに用いるメンブレンに大腸菌のO 血清型を決定するLPSをスポットして、患者血清との反応によって診断する方法である。
この方法を開発したのちには、国内外に広めてゆき、どこでも簡便に腸管出血性大腸菌感染症の診断にできるようキット化したいと考えている。
207 屈折コントラストによる乳癌検診用トモシンセシス撮像法の開発 湯浅 哲也 山形大学 小野 浩幸 山形大学 高感度で3次元撮像情報を得ることができる,乳癌検診のためのX線屈折コントラストによるトモシンセシス撮像法の開発を目指す.X線の屈折現象は吸収の約1000 倍の感度を持つ.また,低被曝量で3次元情報を取得できるトモシンセシスというが近年注目されている.この両者を組み合わせることで,軟部組織で撮像が困難であった乳癌診断に応用が期待される.本申請にかかる研究では,トモシンセシス撮像法の再構成アルゴリズムを確立,検証することを目標とする.
208 医療診断用高速3次元超音波エコーシステムの開発 柳田 裕隆 山形大学 西岡 昭博 山形大学 超音波を用いた生体内の撮像のニーズは2次元像から3次元像へと変化してきている。しかし、既存の撮像方式で3次元の画像を得る際には、スキャン数が2次元撮像の時の100倍以上に増えるため、遅いシャッター速度で写真撮影することと似た現象が起こる。静止している臓器に対してはクリアな画像が得られるが、心臓やその近傍など動く臓器に対しては綺麗な動画が得られない。本研究では、ミリ秒オーダーのシャッタースピードを持つ医療診断用高速3次元エコーシステムを開発する。応募課題では、医療診断で使用可能なSN比の画像を得られるシステムにまで引き上げることを目的とする。
240 プロテインチップ用ナノチューブマトリクス 青柳 将 産業技術総合研究所 名川 吉信 産業技術総合研究所 本研究は臨床診断に必要不可欠なプロテインチップにおいてタンパク質固定化用の新規ナノチューブマトリクスの実用化に向けた試験を目的とする。
従来のプロテインチップはチップ作成および乾燥保存時にタンパク質が変性、失活する問題があった。申請者が開発している脂質ナノチューブは、親水性の表面と中空ナノ空間を有することから、タンパク質の固定化および乾燥状態での長期保存を可能にするマトリクスとして有望である。
281 紫外領域円二色性スペクトルを用いた血糖値測定システム 櫻井 浩 群馬大学 大沢 隆男 群馬大学 近年、糖尿病患者は急増しており、その克服は国家的課題にもなっている。本研究では紫外光領域の円二色性(旋光度を含む)を利用して、血液中のグルコースを高感度・高精度測定する手法を見出すことを目標とする。具体的には@グルコース濃度に対して高感度な測定であることA血液中のグルコース以外の脂肪やタンパク質、多くの電解質などと選択的に識別できること、を視点として、定量性の検討、臨床データの蓄積を行う。
313 Complex Regional Pain Syndrome 早期診断における拡散強調MR画像の有用性 中村 俊康 慶應義塾大学 二見 精彦 慶應義塾大学 局所の激しい疼痛、局所の血流異常、発汗、発毛異常、局所の浮腫を特徴とする難治性の疼痛疾患であるComplex Regional Pain Syndrome (複合性局所疼痛症候群 CRPS:反射性交感神経性ディストロフィーRSDともいう)では局所の浮腫が高率に発生する。そこで本研究ではCRPS動物モデルを用い、早期の水の拡散情報に鋭敏な拡散強調MR像でのCRPS超早期診断技術の確立を目指す。
315 液中における物体の超音波による姿勢制御試験 舘野 寿丈 首都大学東京 川原 正言 首都大学東京 水中に浮遊する微小な固体状の物体に超音波をあて,その物体の位置と姿勢を制御しようとする技術の開発を行う.物体の大きさが波長よりも十分小さい場合,物体は伝播する振動波の節の部分に集まることが知られているが,その技術では,物体の位置のみを拘束する.これに対し,本課題では振動波の特性を利用することで姿勢をも制御する技術の開発を行う.この技術が実現できれば,多くの検査装置への応用が期待できる.
317 インクジェットチップによる極微小試料送達と蛍光測定による超高速診断計測システムの開発 内山 一美 首都大学東京 川原 正言 首都大学東京 プリンタに、用いられているインクジェットマイクロチップにより試料・試薬をピコリットル〜ナノリットル単位で吐出し、微少液滴とする。この微少液滴を形成する表面を物理・化学的に機能化し、抗原抗体反応を実施し、高感度蛍光測定により分析する。従来の1/1000の試薬・試料量と1/10の測定時間で迅速・精密に診断可能な超高速計測システムを提案するものである。
325 血液検査による睡眠時呼吸障害のスクリーニングシステムの開発 川杉 和夫 帝京大学 船渡川 伊久子 帝京大学 睡眠時呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群を含む)患者を血液検査で簡便にスクリーニング(早期発見)するための、新たな診断技術を開発することが本研究の目的である。睡眠時呼吸障害患者および非患者を対象とした臨床研究を通じて、睡眠時呼吸障害との関連が推測されるマーカー候補について有効性を検討するため採血・検査を実施する。各マーカー候補に関する解析(疾患の有無や重症度との相関性解析等)を実施し、有効なマーカーの選定を行うことを目標とする。
348 鳥類赤血球に発現する薬物代謝酵素を指標にした環境汚染評価法の開発 渡辺 元 東京農工大学 高田 誠 東京農工大学 ウズラを用い、肝臓に誘導される薬物代謝酵素mRNAを解析する。鳥類は哺乳動物と異なり有核赤血球であるため、同様の酵素が赤血球でも発現していることが予想される。そこで、赤血球で発現している薬物代謝酵素のmRNAを解析し、投与された薬物と赤血球で発現する薬物代謝酵素mRNAの関連を明らかにする。その結果から、野鳥から採血して得た赤血球に発現する薬物代謝酵素を指標にして、野鳥が環境中から取り込んだ環境汚染物質の生物学的評価法を開発する。
365 東洋医学における脈診計測診断システムの基礎開発 武居 昌宏 日本大学 加根魯 和宏 日本大学 高齢化社会にあたって、未然に体調不良箇所を発見する診断システムが必要である。本課題では、家庭内で気軽に使える東洋医学脈診計測診断システムの実現を最終目標とする。実施内容は、その試験装置の製作を行い、模擬血管に対する三つの主応力変化をインプットとし、血流情報をパラメータとし、圧力センサとLCRメータにより測定したアウトプットの動脈圧変化パターンから、そのパラメータ値を類推し、その精度について検討する。
371 眼の加齢度計測装置の開発 岡嶋 克典 横浜国立大学 片桐 望 横浜国立大学 人間の眼の分光視感度は、加齢によって変化し、個人差も大きく、測定も困難である。しかし、視力測定のように簡便に分光視感度を測定できれば、個人の眼の加齢度を決定し、高齢者の眼の特性に合わせた視環境・デザイン・表示機器等をカスタムメイドできる他、眼疾患の予防や診断にも応用できる可能性がある。そこで本研究では、簡便に個人の分光視感度と眼の加齢度を推定でき、卓上に置ける程度に小型で可搬性を有する装置を開発する。
382 人の行動解析に有効で長時間使用ができる可搬型眼球運動測定装置の開発 山田 光穗 東海大学 加藤 博光 東海大学 本課題は、認知症の早期発見、リハビリにおけるモニターなどに使われる眼球運動測定装置に関するものであり、可搬型としての小型・軽量化を実現し、人間の行動解析を長時間に渡って可能とするものである。眼球運動測定装置は、眼球運動検出センサーと視野画像撮影カメラを顔に装着し、その出力を処理するモバイルパソコンで構成する。本課題では、主に超小型検出センサーと処理ソフトウェアの開発を行う。
402 皮膚疾患用広視野レーザ光干渉断層画像化装置の研究開発 趙 学峰 新潟大学 中津 普門 新潟大学 本研究の目的は、シュリンクフィッタ法(高精度レンズ締結方法)を用いた新開発f-thetaレンズにより、広領域・高精度な皮膚疾患用光コヒーレンストモグラフィー技術を確立することである。これまで開発した皮膚科用レーザ治療装置に備えることにより、アザ・ホクロの原因であるメラニン色素の深さと濃度分布が明らかになり、最適な治療に必要なレーザの波長および出力パワーを決定することができ、医師の技量に左右されない、自立型のピンポイントレーザ治療器が開発される。
405 腰椎回旋不安定性診断システムの開発 北原 恒 新潟大学 中津 普門 新潟大学 椎間板ヘルニアなど,多くの腰痛疾患の原因と考えられている腰椎回旋不安定性の診断装置の構築を目指す.回旋不安定性は,腰椎の回旋方向への力学的機能(荷重支持,可動性)が低下し痛みを伴う状態を言うが,有効な診断方法は確立されていない.本研究では,回旋不安定性の力学的測定装置の開発を行い,ブタ腰椎を用いて装置の安全性,有用性の検討後,臨床研究を行い,製品化に向けた基礎データを蓄積と更なる高精度化を目指す.
462 超音波波形(Aモード)を用いた新規簡便型筋力測定装置の開発 宮本 賢作 金沢大学 渡辺 良成 金沢大学 ○超音波波形(Aモード)より算出する筋収縮時・弛緩時変化率を応用した新規簡便型筋力測定装置の開発を最終目標とする。○超音波断層画像(Bモード)より,筋収縮と弛緩時の筋厚変化率から筋力を推定する可能性を我々の研究により見出した。本応募課題では,より簡便かつ新規なAモード超音波波形からの筋力推定法確立を目的とし,測定装置およびソフトウェアを試作する。○超音波波形ピーク値の筋収縮時と弛緩時の変化率と筋力との関連から新しいパラメタを算出することにより実用化への端緒を見出す。
534 非侵襲的体内脂質動態の診断装置開発 吉田 敏 岐阜大学 丸井 肇 岐阜大学 通常赤外分析によって、体内の脂質・脂肪酸の動態を、非侵襲的に体表面から検出できるアダプターとその装着システムを開発している。このシステムを改良し、普及型としてより簡便に操作できるようして実用化を目指す。
553 高感度脈波検出機能を有する筋疲労計測装置 庭山 雅嗣 静岡大学 出崎 一石 静岡大学 測定したい筋肉に3×5cm 程度の薄いシート状センサを当てるだけで,筋組織と動脈の酸素飽和度,脈拍の3 変量が,運動時でも無拘束でリアルタイムにわかる装置を実現することを目標とする。具体的には脈波検出回路とソフトウェアの改良を行い,擬似試料を用いた実験で微小血液量変化をどの程度の精度で測定できるかを検証する。また,実測を行い,筋収縮にともなう偽の拍動を見分ける手法を検討する。
656 微量試料中の溶存酸素分子数を絶対測定する装置の開発と応用 石田 哲夫 滋賀医科大学 宮本 健二郎 滋賀医科大学 本課題では、溶液中の酸素分子数の絶対測定を目指している。自然界には、空気飽和よりも低酸素の様々な環境がある。本課題で開発する方法は、低酸素下にある試料の酸素濃度測定を得意とする。測定原理は、酸素分子を等量の有機化合物に共有結合で完全捕獲してからその数を数えるもので、そのために高性能の二原子酸素添加酵素を利用する。当面は、実証試験のための装置を作製するが、将来的には野外でも使用できる小型の専用装置への改良を目標にしている。
692 迅速高感度臨床診断を目指した革新的イムノアッセイ技術の開発 熊田 陽一 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 本研究は、申請者が独自に開発した高感度なリポソームイムノアッセイと迅速かつ簡便なワンステップELISAの両方の利点を併せ持つ革新的なイムノアッセイ技術を開発することを目的とする。さらに、プレートの特殊コーティングおよび微細加工を駆使することでアッセイフォーマットを小型化し、数マイクロリットルのサンプル血液中からウィルス、感染症、アレルギー、癌マーカーの検出等、多種多様な医療診断が行えるマイクロアッセイキットの開発を目指す。
767 遺伝的網膜疾患の原因遺伝子の同定と診断チップの開発 古川 貴久 大阪バイオサイエンス研究所 吉田 政樹 大阪市都市型産業振興センター 失明にいたる網膜変性症は原因遺伝子が多種類で、正確な診断をすることが将来の治療のためにも重要である。我々は発生初期から視細胞が形成されないマウス網膜の網羅的遺伝子発現解析を行うことで、網膜疾患の原因遺伝子の候補を同定し、変異の同定をおこなうとともに、診断ジーンチップの開発を目指す。これによって、現時点では治療法のない患者の正確な診断と症状の進行度の予想や遺伝子治療への応用が期待される。
776 肝臓病診断用チップ開発に関する研究 田守 昭博 大阪市立大学 間 健一 大阪市立大学 現在、多くの研究機関において遺伝子多型と疾病との関連が検討されている。本研究ではウイルス性肝疾患における患者側因子を評価することで治療法の決定、予後予測を可能にする慢性肝疾患テーラーメード医療の確立を最終目的とする。また脂肪肝患者も対象とすることでメタボリックシンドロームにおける肝病態にも対応する計画である。今回は研究のスタートとして患者臨床経過の匿名化とデータベース化を行い対象患者よりDNAの収集を行う。
786 ビスマス・アルミドープ石英による近赤外広帯域分光光源の開発 中塚 正大 大阪大学 武井 廣見 科学技術振興機構 新しく開発されたビスマスとアルミイオンを共ドープした石英材料(JST/大阪大学特許)からの広帯域(帯域幅300nm)近赤外(波長1.2mm)発光を用いて新規な計測光源を開発しようとするものである。8000950nm波長の高出力LD励起が可能で10dB/5cmという大きな利得や多波長同時増幅も実証されている。本開発では材料の均質化と広い帯域幅を持つ平坦スペクトル制御の実現を目標にしている。
816 より正確、安全な縦隔リンパ節生検をめざした、バーチャルナビゲーションシステム(Virtual navigation sysytem)の開発 塩野 裕之 大阪大学 内田 国克 大阪大学 近年、撮影機器やコンピュータ処理能力の飛躍的な進歩により、画像情報を三次元構築し、あたかも実際の内視鏡検査をしているごとく動画を提示するバーチャル内視鏡が開発された。この研究では、患者のCTやPET画像データから、バーチャル縦隔鏡を作製し、術中の内視鏡画像と重ね合わせることにより、肺癌診療などにおいて従来から行われている縦隔鏡や気管支鏡生検を、より安全かつ確実に支援するナビゲーションシステムを開発する。
820 高病原性トリインフルエンザウイルス迅速診断法の開発 中屋 隆明 大阪大学 内田 国克 大阪大学 高病原性トリインフルエンザウイルス(H5N1)の主要な構造タンパク質を認識する複数のモノクローナル抗体を作製した。これらの抗体を各種担体と結合させ、この「担体-抗体複合体」を鼻汁・咽頭ぬぐい液(スワブ)と反応させ、凝集体の有無を確認することにより、H5型ウイルスの正確かつ迅速な診断・同定法の確立を目指す。
857 望みの抗体と酵素を連結可能なアダプター蛋白質の開発 田中 勉 神戸大学 塩野 悟 神戸大学 抗体−酵素融合蛋白質は免疫測定や医療診断に広く用いられている。しかし、市販されている抗体−酵素融合蛋白質の種類は限定されており、また調製法が困難であるためユーザー自身が自分の使いたい抗体と酵素を連結することは難しい。そこで本課題ではユーザーが使いたい望みの抗体と混合するだけで、シグナル検出のための酵素と抗体を連結可能なアダプター分子の開発を目指す。
860 昇温溶出アフィニティークロマトグラフィーによる一塩基多型の検出 勝田 知尚 神戸大学 小野 英男 神戸大学 テーラーメイド医療の実用化には、信頼性の高い一塩基多型(SNP)検出法が必要不可欠である。本研究では、申請者らがこれまでに開発した昇温溶出アフィニティークロマトグラフィー法を応用し、検査対象部位を含む断片の全長DNA試料からの単離、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による単離された断片の増幅、そして増幅された断片に対するSNP検出といった一連のプロセスを連続的に行うことにより、信頼性が高く、簡便なSNP検出法の開発を目指す。
927 酸化亜鉛(ZnO)ナノ微粒子による癌診断の技術開発 中村 守彦 島根大学 北村 寿宏 島根大学 バイオ領域において酸化亜鉛 (ZnO)を発光剤とする新しい技術を開発する。水に不溶性であるZnOを可溶化し、バイオ研究に適する安定した新規発光剤として供給できるよう、実用化に向けた研究を遂行する。特に、医療応用を鑑みて癌細胞認識機能の実現を狙いとした展開を図り、本技術が蛍光発光剤として癌診断に有用であることを実証する。 毒性の強いセレン化カドミウム (CdSe)に代わる実用化を目指す。
932 モデルマウスの検討と動脈硬化の可視化法に関する基盤研究 松浦 栄次 岡山大学 大村 祐章 岡山医学振興会 ヒトのメタボリック症候群に近い動脈硬化モデル動物を確立すると共に、新規に動脈硬化病変に特異的なモノクローナル抗体を作製する。それらを用い動脈硬化の存在部位やそれらの大きさが予知できる蛍光・発光イメージング装置および3次元CTによる非侵襲的な可視化法の確立に関する検討を行う。この種のアプローチは、動脈硬化に起因する生活習慣病の制圧に不可欠な試みであり、厚生行政上の経済効果が期待できる。
935 血中遊離DNA遺伝子解析による頭頸部癌の早期診断システムの開発 Gunduz Mehmet 岡山大学 大村 祐章 岡山医学振興会 頭頸部癌の生存率は、頸部のリンパ節転移が出現すれば急激に悪くなり、かつ臨床的な頸部転移(−)例でもかなりの率で微小転移を合併していることはしばしば経験される。
こうした微小転移は、現在の技術では検出できず、また後発・遠隔転移を的確に予測することも現時点では困難である。現在信頼性が高く、臨床的に応用可能な癌早期検出マーカーは同定されていない。従って、このプロジェクトを発展させることによって、高感度遺伝子早期診断システムを開発する。
959 病的な異常声帯振動の簡易可視化方法の開発と実用化 出口 真次 東北大学 東 英男 岡山大学 複数の振動源を同時に有した物体の複雑な運動挙動を、高速度カメラなど高価な装置を使わず、簡易かつ安価な方法によって可視化する技術の評価を目的とする。本技術は特に、局所的病変を患った声帯に特有な異常振動を観察対象として念頭に置いている。可視化は、複数個のLED光源および画像処理システムを用い、特定ストロボ発光タイミングを導入して実現される。本課題では将来の臨床応用に不可欠な性能の評価試験を実施する。
978 遺伝子診断用高速ゲル電気泳動システムの開発とその実用化 木下 英司 広島大学 鈴藤 正史 広島大学 ポストゲノム研究の中で遺伝子多型,特に,一塩基多型(SNP)は,疾患関連遺伝子の位置特定における有用なマーカー,あるいは,疾患の直接原因として注目されている。これらの遺伝子を詳細に解析することにより疾患の診断や予測が進み,更には,ゲノム創薬やオーダーメード医療へと発展することが期待される。しかし,これらを実現するためには,より高精度で,かつ,簡便・迅速・低コストに解析できるデバイスの開発が急務である。申請者は既に,SNPを特異的に認識する機能性ナノ分子(亜鉛サイクレン)の開発に成功している。本研究においては,このシーズとなる亜鉛サイクレンを用い,更には,高分離・分解能を維持できるポリアクリルアミドを泳動担体とし,かつ,糸を支持体とした糸ゲルを導入することで,高速・高感度にSNPを検出するための新しい原理に基づいた電気泳動分離法の確立とその実用化を目的とする。
979 リン酸基結合ナノ分子を用いた高感度メチル化DNA検出法の開発 木下 恵美子 広島大学 鈴藤 正史 広島大学 生体内のエピジェネティックス制御機構の中で,ゲノムDNAのメチル化は最もよく研究されている。特に癌細胞においては,遺伝子プロモーター領域のメチル化が癌抑制遺伝子の不活化機構として重要であることが知られ,この異常メチル化が癌診断の有用な分子マーカーとして注目されている。それ故に,標的ゲノム領域のDNAメチル化の有無を安定的に分析できる,より特異的で,かつ,簡便な検出技法の開発が急務である。
そこで本研究では,申請者が既に開発に成功しているリン酸基を特異的に捕捉するナノ分子(Phos-tag = 亜鉛錯体化合物)を用いたリン酸アフィニティー電気泳動法を,新たに開発するメチル化DNA検出技法の基盤原理とする。そして,同じサイズ(長さ,bp)のDNAにも関わらず5’端のリン酸基の有無によってメチル化塩基を含むアレルと含まないアレルとを高感度に分離検出できる新しい電気泳動法を,汎用性の高いスラブ型のミニゲル電気泳動装置を用いて確立し,実用化することを目的する。
1036 酸化鉄食品とナノテスラ磁気センサを用いた摂食,嚥下機能診断法の開発 市川 哲雄 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 ナノテスラ磁場変動を引き起こす被験試料を開発し、磁気インピーダンス効果に基づく磁気センサ(MIセンサ)で、ナノテスラ(nT)レベルの磁気変化を簡単に測定できる高感度磁気センサを組み合わせて、nT磁場変動試料が口から、咽頭、食道、胃に至る経路を追跡できるシステムを開発することを目的とする。試料を患者に飲ませ、そのセンサを頸、胸、胃の相当部の体表面に接着するだけで、その信号を簡単に処理することによってその試料が咽頭、気管、肺、胃にいっているかを同定できるシステムを目指す。
1042 カルプロテクチンを用いたポイント・オブ・ケア検査による歯周病診断法の開発 木戸 淳一 徳島大学 平岡 功 徳島大学 高齢者の歯の喪失の主な原因である歯周病の正確かつ客観的な診断法は未だない。本研究では歯周病部位の歯肉溝滲出液中の炎症マーカーであるカルプロテクチンをナノデバイスであるマイクロチップ電気泳動法により測定し、そのレベルと歯周病の疾患活動度との関連性を検討する。本研究において歯周病のバイオマーカー用マイクロチップの開発とこれを用いた歯周病診断法の研究は、予防に重点を置いた歯周病のポイント・オブ・ケア検査法の開発に繋がる。
1096 近赤外光を使った安全・簡便なリンパ観測装置の開発 木村 正廣 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 リンパ管を通じて転移するガンの診断のためにはリンパの観察が重要である。この診断装置として、本研究では従来のものに比べて小型・安価で、患者に被爆の危険を与えずに皮膚外からリンパを高感度で観察できる装置の開発を行う。造影剤の発光波長と光源波長はいずれも近赤外領域にあるので皮膚と生体組織に対する透過率が高く、皮膚の外部からの観察が可能となるだけでなく、人体にも安全である。
1116 チューブ接続が不要な微量液体秤量混合デバイスの開発 安田 隆 九州工業大学 末松 正典 科学技術振興機構 新薬候補化合物の最適濃度を網羅的に探索する現在の創薬デバイスの多くは、周辺機器とのチューブ接続が必要なため、操作の煩雑性、システムの大型化、チューブ内残留物の無駄などの問題がある。本課題では、チューブ接続が不要な創薬デバイスの提供を目指して、プラスチック基板上に構築したマイクロ流路中に濡れ性勾配表面と金属電極を形成することにより、一定量の微量液体を自動的に量り取り、2種類の微量薬液を様々な混合比で混合する技術を開発する。
1130 金ナノロッドの体内リアルタイムモニタリング法の開発 新留 琢郎 九州大学 古川 勝彦 九州大学 近赤外光は生体組織透過性が高く、バイオイメージングや治療用光源として利用が注目されている。また金ナノロッドはその近赤外光を強く吸収し、発熱もするため、バイオイメージングならびにフォトサーマル治療のナノ材料として期待されている。本研究ではマウス体内に投与した金ナノロッドをモニタリングする技術を開発する。近赤外光を発するLED と簡易カメラを用いる本手法は安価で簡便なモニタリングを可能にする。
1138 ミトコンドリア機能変化を指標とした新規脳血管障害画像化法の開発 大和 真由実 九州大学 山本 英樹 九州大学 「脳血管疾患」は我が国の死因の第3位を占め、その病態メカニズム研究および治療法開発が望まれている。「脳血管疾患」において脳血管障害時にミトコンドリア機能障害が惹起されることが知られている。本課題においては、脳虚血再灌流時におけるミトコンドリア電子伝達系の変化を明らかにし、その変化をニトロキシルラジカルの還元反応により解析することを目的とする。本原理を基礎とし、ミトコンドリア機能変化を指標とした脳血管障害画像診断法が確立されることが期待される。
1179 母体血漿中へ流入する胎盤特異的mRNAを標的とした胎盤機能の網羅的 三浦 清徳 長崎大学 梅津 照彦 長崎TLO 胎盤機能の正確な診断は、妊娠合併症の早期診断・治療につながることから産科領域の重要課題のひとつである。しかしながら、現在の方法は、母・胎児の健康状態、血液検査、および超音波検査等による臨床所見の総合的判断に過ぎない場合が多く、胎盤機能の診断は難しく客観的な方法は確立されていない。本申請では、胎盤特異的cell-free mRNAをターゲットとして、網羅的かつ客観的に正確な胎盤機能の診断を行える、非侵襲的な検査方法の開発を目指す。

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 人工臓器・医用材料:28件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
36 虫歯修復能を有する治療材料の開発 斎藤 隆史 北海道医療大学 蛸島 武広 科学技術振興機構 虫歯の治療に用いられる修復材料中の成分である接着性モノマーに対して合成技術を用いてCa塩を作製して虫歯の治療に用いる技術を開発する。従来は虫歯の治療において虫歯部分を機械的に除去して修復していた治療技術を、虫歯を完全に削ることなく修復後、残存した虫歯部分を再石灰化(虫歯によって溶けた無機成分が再生し、元来の組織に戻ること)させる技術に転換させることができ、歯をなるべく削らない治療法が確立する。
37 生体安全性に優れた歯科用セメントの開発 遠藤 一彦 北海道医療大学 蛸島 武広 科学技術振興機構 従来から歯科臨床で用いられてきたセメントは、いずれもアレルギー性を有する金属(Zn、Al)やレジンモノマーを含んでいる。本研究では、これらの毒性元素を含まない生体安全性の高いセメントを開発する。すなわち、リン酸カルシウム系のセメントをベースとして、高強度化と機能化(抗菌性など)を実現する。成分・組成を調整し、(1)仮着、(2)根管充填、(3)裏装、(4)合着などの用途に適したセメントを開発する。
48 自分の歯と同じくらいに噛み心地のよい人工歯根植立療法の実用化研究 石崎 明 北海道大学 清水 條資 科学技術振興機構 現行の人工歯根埋入法では、本来歯根と骨の間に介在すべき歯周靱帯が無いため、天然歯のような「噛む感じ」が全く無い。本研究によりその知覚神経を伴う歯周靱帯シートの作製を実現し、人工歯根と骨の間に介在させ、「噛む充実感」を伴う人工歯根療法を可能にする。
84 修飾アパタイト材料へのタンパク質吸着および脱離特性の評価 菅野 亨 北見工業大学 鞘師 守 北見工業大学 骨補填材等の生体材料としても使用されているヒドロキシアパタイト(HAp)は骨や歯の生体硬組織の主成分であり、生体HAp中には数重量%の炭酸イオンが含まれている。また近年、HAp材料の用途として、タンパク質医薬の薬物送達(ドラッグデリバリー)システムの担体に関心が持たれている。この見地から、本研究では、HAp構造内へ炭酸イオンを導入し、種々タンパク質の吸着および脱離特性の炭酸イオン含有量依存性を定量的に調べることを目的としている。
100 新規皮膚潰瘍・褥瘡治療薬の開発 今 淳 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 寝たきりの高齢者に認める皮膚潰瘍・褥瘡は難治であり、QOLを著しく低下させる。本研究の目的は効果の非常に強い皮膚潰瘍・褥瘡治療薬の開発である。皮膚の細胞外マトリックス成分に着目し、皮膚潰瘍の治癒に重要な因子を見出す。そしてそれぞれを精製し、特に青森県の地場産業廃棄物の活用を重視、これらを適切に組み合わせて効果が強くかつ精製自体が環境に優しい新規皮膚潰瘍・褥瘡治療薬の開発を目指す。
171 新規骨再生治療法確立のための幹細胞培養装置の開発 穴田 貴久 東北大学 渡邉 君子 東北大学 骨髄由来の間葉系幹細胞(MSC)は患者の骨髄から容易に分離可能で、多分化能を有するため、再生医療で用いる移植用細胞として有望視されている。本研究は生体外においてMSCの迅速な骨芽細胞への分化を可能とする培養装置の開発を目的とする。本装置を用いて分化誘導したMSCと担体材料を組み合わせることによって新規骨再生治療法を確立することを最終目標とする。
174 チタンインプラントへの多層化・傾斜化リン酸カルシウムコーティング 成島 尚之 東北大学 東城 恵里子 東北大学 骨形成能の向上を目的としたチタン表面へのスパッタリング法によるリン酸カルシウムコーティングは、現行の溶射法と比較して低プロセス温度、相制御が容易、薄膜化可能、などの優位点がある。本試験では、スパッタリング法によりチタン基板との密着性に優れたリン酸カルシウム膜と骨形成能に優れたリン酸カルシウム膜を多層化または傾斜化することによるチタンインプラントの骨適合性向上を図る。
195 飛躍的に遺伝子導入を可能とする新規ベクターの開発と培養表皮作製への応用 亀田 隆 秋田大学 森川 茂弘 秋田大学 染色体外で安定に維持され遺伝的変異を起こすことなく高効率の遺伝子導入を可能とするEpisome型ベクターを皮膚再生医学に応用し、培養表皮作製期間の短縮並びに品質の向上を目指す。本技術は表皮細胞の増殖・分化・アポトーシスを制御する遺伝子を培養表皮作製系に応用し、その根本的改良を試みるという遺伝子治療と再生医学の融合に特色がある。患者自身の細胞を用いた迅速かつ高品質なオーダーメイド医療が可能になると期待される。
210 ルシフェリン発光測定法を用いた血液ポンプ内血栓形成の実時間観測技術の開発 瀧浦 晃基 山形大学 村山 朋也 山形大学 本研究では,血小板が活性化され凝集するときに放出されるアデノシン三リン酸を,ルシフェリンを用いた発光観測で検知し,血液ポンプ内で発生成長する血栓を実時間観測する技術を確立することを目的とする.光電子増倍管や高感度CCDカメラによる発光観測で,ポンプ内で発生する血栓の時間・空間的観測を行い,将来的に血栓形成を起こさない血液ポンプ設計法について工学的指標を与えようとするものである.
220 新しいアパタイト真空焼結体を用いた切削加工による再生生体部品の開発 田村 賢一 日本大学 谷中 秀臣 日本大学 本研究では、病気やケガで骨自体を固定する金属製の補強プレートやネジを生体親和性がある骨材料のアパタイト単体で作製し、再生する生体部品の開発を目的とする。具体的には、新しい生体用アパタイトのチタンメディカルアパタイト(TMA)の真空焼結体を作製し、曲げ・衝撃試験による強度評価および現有の3D モデリングマシンや旋盤を用いて切削加工による補強プレートやネジを試作する。
259 高い細胞保持率をもつ複合足場材料の研究開発 川添 直輝 物質・材料研究機構 立石 哲也 物質・材料研究機構 損傷した生体組織・臓器を患者自身の細胞から再生し、機能回復をはかる再生医療が注目されている。再生医療では、細胞の足場として組織の再生に導く足場材料が重要である。高い細胞保持率と力学強度をもつ足場材料は、組織を効率よく再生する上で不可欠であるが、従来の材料はその要求を十分には満たしていなかった。そこで本試験では、90%以上の細胞保持率と形態安定性をもつ足場材料を材料複合化技術により作製する。
279 難消化性・難溶性高分子多糖を用いたDDS製剤の開発 窪田 健二 群馬大学 小暮 広行 群馬大学 慢性骨髄炎治療として、抗生物質の全身投与と共に外科的病巣除去の際の抗生物質の局所投与が効果的であると報告されている。通常の抗生物質製剤の作用持続が数時間程度であるという弱点を解決し、病巣部局所に高濃度で長期にわたり作用させるため、持続的溶出と生体患部埋め込みが可能な微粒子の調製を難消化性、難水溶性でゲル化能をもつ高分子多糖について検討し、徐放性と生体適合性を併せ持った抗生物質包含ゲル微粒子を簡便に作製する基礎技術を確立する。
401 石灰化能誘導が可能なヒト未分化歯根膜細胞の新規クローン化 吉江 弘正 新潟大学 中津 普門 新潟大学 本研究の目的は、歯周病に関する治療技術、薬剤、および基材の開発に有用な、生体内の歯根膜細胞に近似した細胞株を提供することにある。そのために、ユニークな細胞培養法、凍結保存法、クローニング法を開発・応用し、得られたクローンごとに増殖活性や分化誘導反応性を検討し、有望な株をいくつかに絞り込む。これらの細胞は、医療関連産業の製品開発を後方から支援する有力なツールとして実用化が期待される。
550 免疫細胞活性化ビーズの開発 丸山 宏二 静岡県立静岡がんセンター研究所 八十 昌夫 しずおか産業創造機構 本課題の目的は、抗原提示細胞(樹状細胞、DC)等の生細胞に代わり細胞障害性T細胞(CTL)を誘導できる人工ビーズの開発であり、MHC クラスIや共刺激分子等の蛋白を調製、これらを表面に接着させた磁気ビーズを作出する。現在広く用いられているDC によるCTL 誘導効果と同等もしくはこれを凌駕するデバイスを開発し、抗腫瘍効果を示すCTL の簡便な誘導法の確立と臨床応用を目標とする
551 先端医療応用に向けたsiRNA搭載リポソームの開発 浅井 知浩 静岡県立大学 鈴木 次郎 静岡県立大学 本試験研究では、一般的な非ウイルス系デリバリーシステムで用いられるリポプレックス(リポソーム/siRNA複合体)よりも有益性が高い、ワンステップで調製可能なsiRNA搭載リポソームを調製する。試験期間内に(1)ワンステップで調製したsiRNA搭載リポソームのキャラクタリゼーションおよび(2)小動物を用いたin vivo実験系における遺伝子ノックダウン効果の証明を実施することを目標とする。
732 義肢構造材用マグネシウム合金への高耐食Mg2Si被覆技術の開発 坂之上 悦典 京都府中小企業技術センター 笹田 滋 科学技術振興機構 義肢用構造材としては取り扱い性の観点から金属材料のアルミ合金が主流であるが、実用上最も軽いマグネシウム合金を元に、「安心、快適、満足」な義肢部材の提供を本研究の最終目的とする。義肢の日常使用では、汗や雨など水分・塩分が豊富にある環境にさらされ、特に耐食性における実用レベルでの使用における問題点は多い。そこで、環境負荷の低いシリコン元素を主成分としたドライプロセスにより、マグネシウム合金に対する耐食性に優れたマグネシウムシリサイド(Mg2Si)被覆技術の開発を行う。
756 高弾性ゲル形成能を示す温度応答性ポリマーによる低侵襲ドラッグデリバリーシステムの研究 大矢 裕一 関西大学 田中 久仁雄 関西大学 室温で水溶液(ゾル)状態で,体温に温められるとゲル化し,かつゲル状態で高い力学的強度を示す,脂肪族ポリエステルとポリエチレングリコールからなる新規な生分解性インジェクタブルポリマーを開発した。本研究では,このインジェクタブルポリマーをタンパク質など水溶性薬剤と共に皮下などに注射することで,投与した部位で薬物を徐放し,その後分解吸収される極めて低侵襲なインプラント型ドラッグデリバリーシステムを開発する。
764 巨大組織再建のための毛細血管網を有したスキャフォールドの作製 江橋 具 国立循環器病センター 大野 安男 科学技術振興機構 再生医療に用いられる移植用組織やスキャフォールドは、毛細血管構築の遅延により、移植後、周囲組織からの細胞浸潤あるいは移植した細胞が生存できないことが問題となっている。この問題は、特に、大きく厚みのある組織において顕著であるものの、革命的な解決法は未だ開発されていない。そこで本研究は、再生医療技術を用いた治療に応用できる、あらかじめ毛細血管網を有したスキャフォールドの作製を目的とする。
784 高機能性、高安全性の新規止血・組織接着剤の開発 長崎 健 大阪市立大学 渡辺 敏郎 大阪市立大学 近年の手術の特徴として迅速化・高度化があげあれる。そのため、伝統的な圧迫止血・縫合止血の限界が指摘されている。本研究では食品添加物や医薬外部品として承認済みで安全性に優れたポリアミンと菌類や酵母など微生物由来のグルカンから誘導されたポリアルデヒドを用いて、生体適合性が高く安全性・接着速度・強度に優れた近年の外科医療に適応した新規止血・組織接着剤の開発を目指す。
824 脂肪組織由来未分化間葉系幹細胞を用いた次世代型歯周組織再生療法開発 橋川 智子 大阪大学 妹尾 八郎 大阪大学 重度歯周炎患者を対象にした次世代の歯周組織再生療法を樹立する目的で、脂肪組織由来幹細胞の移入による歯槽骨、歯根膜、セメント質を含む新規歯周組織再生療法の確立を目指す。代表研究者らはすでに、ビーグル犬歯周病モデルを用いて脂肪組織由来未分化間葉系幹細胞移植実験を行っており、中程度歯周組織欠損部に歯周組織の再生誘導に成功している。今回、重度歯周病再生治療法の開発を目的に、脂肪由来幹細胞に加え、最も適切な再生誘導用足場材料を選定、補強する事を、ビーグル犬重度歯周病モデルで実施する。これにより、ヒトへのトランスレーショナルリサーチへの道を開く。
843 生体内輸送蛋白質を用いた難水溶性薬剤の新規ドラッグデリバリーシステム 乾 隆 大阪府立大学 西村 紀之 大阪府立大学 創薬において、高い薬剤活性があるにも関わらず、難水溶性であるために研究開発段階で脱落する薬剤が多い。本研究は、今日まで製薬企業で困難を極めていた薬剤溶解度に対する問題を解決するために、生体内輸送蛋白質であるリポカリン型プロスタグランジンD合成酵素を用いて、薬剤活性の高い難水性薬剤を可溶化し、疾患部に輸送するという全く新しいドラッグデリバリーシステムの確立を目指す。
881 脳障害治療を志向した細胞製剤の応用試験 松山 知弘 兵庫医科大学 大野 安男 科学技術振興機構 骨髄には多分化能を有する幹細胞が存在する。我々は骨髄細胞から、高いポテンシャルを持つ神経幹細胞を誘導する技術を独自に開発し、「脳障害治療を志向した細胞製剤の可能性試験」を通して、神経幹細胞産生の効率性を向上させ、かつ投与幹細胞の至適分化ステージを決定してきた。本研究では、その実用化に先立ち、本幹細胞が生体内投与により機能し脳機能改善に寄与するかを試験するために、作成された骨髄由来神経幹細胞の生体投与による効果を検討し、脳障害治療のための細胞製剤としての有用性を総合評価する。
933 ポリリン酸処理によるチタンインプラントの高機能化 吉田 靖弘 岡山大学 大村 祐章 岡山医学振興会 高齢社会の到来に伴い,インプラント治療の需要は益々増加すると予想される。しかし現在のインプラント治療は,術後,数ヵ月の治癒期間を要することが指摘されており,今後の革新的な技術開発が切望されている。本研究では,組織再生能に優れたインプラントの開発を目指し,ポリリン酸処理したインプラントの機能と安全性について動物実験を中心に検討する。さらに,インプラント−生体界面を詳細に評価することにより,製品化に必要な知見を集積する。
965 スーパーオキサイドセンサカテーテルの開発 辻岡 克彦 川崎医科大学 大村 祐章 岡山医学振興会 本研究では、スーパーオキサイド消去酵素(スーパーオキサイドジスムターゼ:SOD)固定化電極を利用したスーパーオキサイドセンサのin vivo計測、およびカテーテル型への改良による汎用性の向上を目的とする。
これまでに開発したスーパーオキサイドセンサを元に、センサ検出部形状の最適化を図り、より低侵襲、かつ、より幅広い測定部位に対応できるようカテーテル化を目指す。また、検知部表面へのSOD固定化法の改良による生体適合性の向上を図る。
1085 高分子ポリマーとゼラチン・マイクロカプセルを用いた人工神経の開発 羽藤 直人 愛媛大学 鈴木 貴明 愛媛大学 本研究は、人工神経という神経再生を誘導する医療用材料を開発し、臨床応用することを目的とする。人工神経は外筒と内筒の円柱状2層構造で、外筒は生体分解性の高分子ポリマーのナノファイバーを電界紡糸法で作製する。内筒はゼラチン・マイクロカプセルに神経栄養因子を結合させた構造で、移植後には神経再生に良好な環境が提供可能となる。今後、人工神経の長さや径、濃度を変化させ、モルモットを用いて最適な条件設定を行う予定である。
1122 コニカルスパイラルグルーブベアリングを用いた遠心血液ポンプ 塚本 寛 九州工業大学 田中 洋征 九州工業大学 人工心臓デバイスは、高信頼性・長寿命・QOL向上の観点から、現在以上の小型化、高効率化が不可欠である。本研究は、コニカルスパイラルグルーブ軸受を備え、全置換型血液ポンプに必要な全揚程5m、流量8L/minの磁気駆動血液ポンプを開発目標とする。これにより血栓生成の原因となる軸シール部の排除が可能となる上、長寿命、小型化が可能な構造となり、小児用デバイスとしても期待される。本ポンプ実用化のため、ロ-タ-及びケ−シング形状を改善しポンプ形状の最適化及び高効率化を目指す。
1165 Sr含有炭酸アパタイト骨置換材の開発 松家 茂樹 福岡歯科大学 石橋 慶憲 福岡歯科大学 炭酸アパタイトは破骨細胞による吸収を受け、最終的に生体骨との置換が期待できるため、骨欠損部位への代替骨としての開発が進められている。しかし、骨生成を促す骨伝導性に劣っており、骨欠損部の迅速な治癒を達成するためには、骨吸収性と骨伝導性を併せ持った材料を開発することが望ましい。Srは骨生成の促進効果を有し、炭酸アパタイト中のCaの一部をSrで置換したもの(以下、Sr含有炭酸アパタイトと呼ぶ。)は、より優れた骨置換材となり得ることが期待できる。そこで、本課題では、Sr含有炭酸アパタイトの合成技術を確立し、材料学的評価を行う。
1193 持続性・血中滞留性・肝臓選択的遺伝子・siRNAデリバリーシステムの開発 有馬 英俊 熊本大学 津田 弘久 熊本大学 細胞選択的並びに遺伝子発現の持続化を企図して、我々が開発したラクトシル化デンドリマー/α-シクロデキストリン結合体(PEG-Lac-α-CyD)にさらに化学修飾ならびにある機能性素材を添加して、超分子複合体を調製し、遺伝子やsiRNAの徐放/血中滞留/肝臓選択的デリバリーシステムを新規に構築する。この超分子複合体は、容易に調製可能であり、また、CyDはすでに臨床で使用されていることから、実用化の可能性は高い。

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 福祉・介護:20件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
24 遺伝子多型解析による伴侶犬の適性診断技術の開発 鈴木 宏志 帯広畜産大学 田中 一郎 帯広畜産大学 少子高齢化や核家族化の進展という社会構造の変化の中で、国民が「ペットを飼う」ことから「ペットと暮らす」ことを志向し、さらに動物に「癒しを求める」ことに移行している。本研究課題では、イヌの性格関連遺伝子の多型解析によって、国民の飼育目的の多様化に合致したペットを提供する。
330 超磁歪素子を用いた完全埋め込み型骨導補聴器の開発 小池 卓二 電気通信大学 田川 毅 キャンパスクリエイト 従来の骨導補聴器の問題点を解決し、簡単な埋め込み手技で、良好な音質と快適な補聴環境を提供する、完全埋め込み型の骨導補聴器を開発することを目的とする。体外ユニットで集音プロセッシング後、コイルにて磁場を作り、乳突部皮下の側頭骨に埋め込んだ超磁歪素子を振動させ、骨伝導にて聴覚を獲得する新補聴システム構築を目指し、難聴者に良質の会話や音楽を提供することで生活の質(QOL)を向上させると共に、社会参加型の自立支援を援助する。
396 RFID(無線ICタグ)を組み込んだ口腔内リモートコントローラーの開発 寺島 正二郎 新潟工科大学 目黒 正義 にいがた産業創造機構 重度障害者にとっては,一般の製品は勿論,福祉機器の操作においても困難が伴うため,新たな操作装置の開発が望まれている.
そこで,本研究では重度障害者においても最後まで残される生体の運動機能の1つである舌動作に着目し,舌先で操作ができるマウスピース型リモートコントローラーの開発を行う.尚,この装置はRFID技術を応用することにより無線化を図る.当該申請では試作機の開発を行うと共に有効性の検討を行う.
445 機能低下した下肢筋の補助を目的にした起立援助椅子の試作開発 鳥海 清司 富山大学 岩瀬 洋一 富山大学 介護予防や介護度改善のためには,対象者への介助を如何に最小限にとどめ,残存機能の増大を図るかが重要なポイントである.これまでのような人間の下肢をモータとリンクで置き換えた単純な動作でモデル化したような,関節トルクを基にした援助機器においては,健全な筋肉までをも退化させてしまう事から、筋肉の配列を考慮して筋肉の出力特性に基づいた援助機器の提供が望まれている.本研究では,軽度要介護者の起立動作を援助するために,二関節筋を含む下肢の筋肉配列で発揮される力関係を考慮して,機能低下した筋肉のみを補助する事が出来る装置の試作開発を目的とする.
448 視野障害者の生活支援機器の開発 下村 有子 金城大学 久野 光広 金城大学 視野狭窄者の視野は狭く、危険が多い。本研究では、健常者の視野を視野狭窄者に提供するためのハードウエア・ソフトウエアを構築し、実用化を図る。健常者の視野を視野狭窄者に提供するために、健常者の視野を頭部装着のカメラで入力し、画像処理後、視野画像を提供する。健常者の視野を絶えず提供するのではなく、危険な物体が向かってくるときのみ、その部分の視野を拡大し、健常者の視野を提供する。
454 無拘束心電・呼吸同時検出による健康・安全シルバーバスシステムの開発 本井 幸介 金沢大学 長江 英夫 金沢大学 本研究では、高齢者の健康・安全支援を目的とし、体にセンサ等を装着せず無拘束で入浴中の心電図及び呼吸波形を計測することにより高齢者の健康を自動チェックすると共に、水没の危険性をモニタ・アラームするシステムの構築を目的とする。本試験においては病院施設にシステムを構築し、心疾患等の患者・高齢者を対象とした計測を行い、健康・水没危険度の解析・表示アルゴリズムを開発し、プロトタイプシステムを完成させることを目的とする。
497 力学的(安全)・生理学的(安心)・心理学的(快適)な視点からの「杖」の開発 吉澤 正尹 福井大学 齊藤 敏機 福井大学 歩行補助具としての「杖」には、歩行床面の形状・傾斜・すべりに対応可能な【石突き】部による安全性、ヒトとの接点となる【握り】部へ体重を安心して預けられ、かつ快適な使用感が求められている。
本課題は、本来「杖」がもっているシンプルな構造を変えることなく安全・安心で快適に使用できるような【石突き】部と【握り】部において、特徴的な機能と形状をもった「杖」を試作し、筋電図と官能検査によって実証することである。
498 ユニバーサルデザインを目指す聴取補助装置実証機の開発 石川 稜威男 山梨大学 鈴木 通夫 山梨ティー・エル・オー 本研究では,健聴者と軽・中度難聴者の両者に違和感なく,かつ的確に情報を伝達できるように,無声子音などの小さな音を相対的に大きく増幅する聴取補助装置を試作し,軽・中度難聴者を被験者として評価試験を行い実用装置開発への目途をたてる。
575 導電性織物を利用した身体挙動検知システムの開発 池口 達治 愛知県産業技術研究所 齊藤 秀夫 愛知県産業技術研究所 導電性織物は特定の構造とすることによりその変形量を検出することができる。この理論を応用して身体の挙動を検知するシステムを開発する。従来、身体の挙動を検出するためには身体に加速度センサ等を貼り付けるかカメラを用いたモーションキャプチャーシステムなどを利用していた。本システムでは織物がセンサであるため身体に装着しても被験者の身体的・心理的負担が小さい。またモーションキャプチャーシステムと比較して小規模かつ安価である。
596 被介護者の安心と介助者の負担軽減を両立するパワーアシスト移動リフトの開発 三好 孝典 豊橋技術科学大学 大石 和彦 豊橋技術科学大学 本研究では、パワーアシスト技術を用いて、被介護者にとっても安心、かつ介助者にとっても負担の軽減が図れる移乗用リフトを開発する。従来の移乗においては、介助者が被介護者を直接抱きかかえる、または吊りリフトなどを用いていたが、介助者にとって負担が著しいことや、リフトが揺れるために不安感を覚える、などの課題を有していた。この問題点を解決すべく、介助者が被介護者を直接抱きかかえながらも、パワーアシスト吊り具が持ち上げ力を補助し、わずかな力で移乗を手助けできるワイヤ式介護用リフトの開発を目指す。
660 残存能力を生かす片手用アシスト機能付車椅子の開発 安田 寿彦 滋賀県立大学 松居 祐一 滋賀県立大学 片手しか車椅子操作に使用できない方のために、各種アシスト機能を有する自走式車椅子を開発し、残存能力を有効に活用した自立を支援する。片手で自走式車椅子を操作するために、「安定した直進性と確実な停止能力を生み出す操作機構」、「残存能力の低下を抑制する適度なパワーアシスト」および「“上り坂での逆転防止”、“下り坂での最大速度制限”、“その場旋回制御”などインテリジェントなアシスト機能」を実現する。
693 緊急車両の接近を聴覚障害者に提示するマルチモーダルインタフェースの開発 森本 一成 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 緊急車両の接近を自動的に検知し、それを運転中の聴覚障害者に振動と光により提示するマルチモーダルインタフェースを開発する。聴覚障害者が安心して安全な自動車運転を確保できる情報提示要素の抽出、設計ならびに評価を行う。
765 重度難聴者のための自動車等運転時における聴覚補助技術の開発 中川 誠司 産業技術総合研究所 佐藤 義幸 産業技術総合研究所 骨導超音波であれば,重度難聴者であっても知覚することができる.本課題では,骨導超音波知覚研究の成果を生かして,自動車等運転時における重度難聴者のための聴覚補助技術の開発を行う.まず,自動車運転時に強く求められる警告音の音源定位能について,骨導超音波知覚特性の定量的評価に取り組む.さらに,得られた知見を利用して,複数の指向性マイクロホンと骨導超音波スピーカを利用した自動車等運転時の聴覚補助システムの試作に取り組む.
855 インソール製作を簡略化するための足底測定法に関する研究 奥 英久 神戸学院大学 松原 加代子 神戸学院大学 現在、日本人の食生活や生活習慣が欧米化する中で、偏平足や外反母趾等による足部疾患が急増している。この予防・改善には、靴の中に挿入するインソール(中敷)が効果的であることが知られている。一方、インソールは、本人に適合しなければ逆効果となるため、臨床現場においては、対象者の足底形状に合わせて確実かつ簡便に製作する手法が求められている。本課題では、臨床現場で経験的に行われてきたインソール製作過程を分析し、個別の足底形状に適合するインソール製作手法、特に実用的な足底測定法について研究する。
964 CKCにおける二関節筋機能を利用した下肢筋力増強用着衣の開発と応用 河村 顕治 吉備国際大学 佐伯 達志 吉備国際大学 CKCの状態では股関節と膝関節で同時伸展が起こり、単関節筋と二関節筋とが協調して運動を行うが、二関節筋の収縮は抑制される。本来抑制されるべき大腿直筋(二関節筋)の代わりに弾力のあるベルトを突っ張ると下肢筋全体にバランスの良い筋収縮が起こることを利用して、高齢者の介護予防やスポーツトレーニングに利用できる着衣を開発する。これを装着することにより日常生活を行う中で自然に下肢筋力増強効果が得られると期待される。
972 RFIDを用いた失禁センサの開発 山田 憲嗣 広島工業大学 馬場 榮一 広島工業大学 近年寝たきり被介護者が増加している.介護者によるおむつ交換は定期的に行われるため介護の効率が悪く,費用面においても問題となってきている.これらの問題を解消する為,小型・薄型で失禁を感知できるセンサが必要である.本研究は,急速に普及しているRFID技術を利用し,超小型・薄型の失禁センサの開発を行うものである.
1025 高齢者の運動機能を維持する膝関節用インテリジェントパワーアシスト装具の開発 安野 卓 徳島大学 高尾 正幸 徳島大学 本研究では,歩行支援のための膝関節用インテリジェントパワーアシスト装具を開発し,QOL(Quality Of Life)の維持を最終目的とする.開発する装具は,要支援者が日常生活の中で使用することを想定し,現存する運動機能を最大限活用しながら,老化による運動機能低下を抑える機能を持つ.その機能は,加速度センサを用いて歩行状態を把握することにより,被験者に応じた膝関節の屈曲・伸張に不足した力(アシスト力)を推定し,関節筋機構を模擬した装具によって,推定されたアシスト力を実現するのが特徴である.
1103 全方向移動が可能な歩行訓練機の介護予防事業への展開に関する研究 石田 健司 高知大学 松崎 武彦 高知県産業振興センター 高知工科大学の王は、全方向移動が可能な歩行器を開発した。この動きは、オムニホイル式の特殊な車輪(特許)の電子制御により初めて可能となった。今回作成した歩行訓練機は、前後・左右・斜め前後・回転運動が可能で、これまでの歩行器にはできなかった機能を有する。今回本機器を介護予防や転倒予防の支援事業に展開するため、本機器の機能性・効果・安全性について医学的見地から、@独自の運動プログラムの構築、A前期・後期高齢者を対象とした臨床評価を重点的に分析する。
1114 視覚障害者の空間認識能力を考慮する最適経路探索 家永 貴史 九州システム情報技術研究所 坂本 好夫 九州システム情報技術研究所 視覚障害者へ経路案内を行う場合、晴眼者の場合と異なり、最短距離や道幅といった量的な要因だけでなく、個々の空間認識能力や歩行技術といった質的な要因を考慮して経路を選択する必要がある。本研究では、これを可能とする経路探索技術の実現を目指す。特に期間内では、質的要因を入れた最適経路探索のアルゴリズムの開発及びシステムの実装と評価を行い、実際に、視覚障害者や歩行訓練士からの協力と知見を得て視覚障害者向け音声地図の自動生成システムを開発する。
1124 意図推定機能を有する上肢動作介助ロボットの開発 榊 泰輔 九州産業大学 藤本 敏樹 九州産業大学 上肢の障害・麻痺患者や要介護高齢者における上肢動作をアシストするウエアラブル型ロボットにおいて、使い勝手の良さと高い操縦性を実現するため、使用者の意図を迅速に推定する機能を開発し実用化する。視線情報により動作を事後的に修正するこれまでの技術とは異なり、無意識の段階の意図を視線等の生体情報から推定し、運動指令をロボットコントローラに送り、ウエアラブル型ロボットによりアシスト動作を生じさせる。また、使用者の生体情報と随意的操作をもとにロボットの動作指令を生成することにより、動作の途中で使用者の意図が変化した場合でも容易に即応することが可能である。

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 その他:6件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
2 実体モデルをベースとする設計のための形状評価法の開発と応用 後藤 孝行 旭川工業高等専門学校 東藤 勇 苫小牧工業高等専門学校 実体モデルや実製品形状をベースとする形状設計法(リバースエンジニアリング)では、形状計測技術および曲面生成技術の向上に加えて、加工モデルとCADモデルおよび実体モデルとの形状評価法を確立することが重要である。本研究では、加工モデルがCADモデルおよび実体モデルと同形状であるのかを評価する方法を提案し、デザイナの感性を表現した実体モデルをベースとする形状設計方法の確立を目指す。
288 セラミックスと金属の拡散接合技術の開発と応用 巨 東英 埼玉工業大学 鈴木 勝也 中京大学 セラミックスと金属はそれぞれ優れた特性を有しており,その接合による複合化は化学工業,機械工業,電子工業等さまざまな分野に用いられる高耐腐食性複合材料を創製する技術である.しかし,異種材質間の接合は難しく,その問題の解決には,セラミックスと金属間に接合力を生じさせる方法,接合界面に生じる熱応力に起因するクラック発生の防止方法の技術を開発する必要があることを示した.本研究では化学的接合法のろう拡散ろう接法の中で研究例の少ない亜酸化銅と活性炭になる接合剤,黄銅粉末からなる接合剤及び銅と亜鉛からなる接合剤を用いる無加圧接合法により3Y-TZPとTi及びステンレス鋼などの接合を行い,拡散接合のメカニズムを解明するために接合界面付近微細組織の解析,接合強度を評価する.
321 5.8GHzマイクロ波および光触媒を用いた塩素系汚染物質の分解 堀越 智 上智大学 坂本 和夫 科学技術振興機構 本研究では、光触媒へ紫外線と周波数5.8GHzのマイクロ波を同時に照射できる装置を試作し、この装置を用いて塩素系化合物(塩素系農薬やダイオキシン類など)の迅速分解を行うことを目的とする。また、その分解メカニズムを解明することで本装置が二次汚染のないクリーンで効率の高い処理法であることを示す。本装置の周波数特性やエネルギー効率から、本装置の環境浄化装置としての実用性を明確にする。
360 渡り鳥尾腺ワックス中のマーカー分析による渡り経路の特定手法の開発 高田 秀重 東京農工大学 八木 茂 東京農工大学 本研究では渡り鳥の尾腺から体外に分泌されるワックス(羽にぬり撥水機能を維持する物質)中のマーカー化学物質を分析することから渡り鳥の渡り経路を簡便・迅速に特定する手法の開発を目指す。人為起源物質の中には特定の地域でのみ使用されている物質(マーカー化学物質)が多数存在する。尾腺ワックス中のマーカー化学物質の測定からその鳥のマーカー化学物質への曝露地域、渡り経路の特定ができる可能性がある。本研究ではその手法の確立を目的とする。
650 金属触媒不要のメタルフリーカーボンナノチューブ製造法の開発 小塩 明 三重大学 伊坪 明 三重県産業支援センター 本研究では生成時に金属触媒を用いることのない、完全な“メタルフリー”カーボンナノチューブの製造方法の開発と、本方法による高効率合成法の確立を目指す。これは、ごく最近我々が初めて開発に成功した、非金属化合物を触媒として、炭化水素を熱分解する化学気相成長法の一種である。カーボンナノチューブは、その構造の特徴から単層、多層、中空カップスタック等に分類することができるが、本方法により、これらの選択的形成ならびに高純度・高効率合成を実現し、金属不純物をまったく含まないカーボンナノチューブ材料を提供できる技術を開発することを目的とする。
1145 メカノセンシングバイオリアクターの開発 水野 大介 九州大学 緒方 道子 九州大学 細胞は力学刺激を化学信号に変換する(メカノセンシング)が、その複雑な分子メカニズムを生きた細胞を利用して解明することには限界がある。そこで、メカノセンサーが発現した細胞膜ベシクル内部に細胞骨格成分・無細胞蛋白質発現系を封入することで人工メカノセンシング細胞をつくり人工的に制御された環境下においてメカノセンシングに関連する因子群を単離・精製する。さらに人工メカノセンシング細胞の最適化・集積化により、力学荷重のもとでのみ発現される特異的な蛋白質を選択的に合成・生産する技術を確立する。

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