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平成19年度シーズ発掘試験 研究概要一覧(化学分野)


 無機・セラミック:37件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
31 室温乾燥型透明二酸化チタン膜の作製技術の開発と応用 古崎 毅 苫小牧工業高等専門学校 東藤 勇 苫小牧工業高等専門学校 本研究者は,ゾルゲル法の技術を応用して透光性に優れ,光触媒特性を有する二酸化チタン薄膜の作製方法を既に開発した(特許出願済み)。本研究では,その薄膜を外壁タイル等にコーティングしてその自浄効果を経時観察し,実用化に向けた研究開発を行う。また,申請者は,同様の方法により可視光照射により光触媒を有する二酸化チタン微粒子の合成に成功しており,それを用いた薄膜化技術の開発も併せて行う。
41 カーボンナノファイバーの高効率製造システムの実用化研究 向井 紳 北海道大学 佐藤 完二 科学技術振興機構 申請者らは、ラボスケールの装置を用いて炭化水素と有機金属からカーボンナノファイバー(CNF)を製造する際に、原料を液パルス状で装置の高温部に接触するように間欠導入するという簡便な方法でCNFの高効率製造が可能であることを見出している。本研究は液パルスインジェクション法と名付けたこの方法によるCNFの高効率製造システムの実用化を目的に実施する。具体的には高効率製造を達成しているラボスケールの装置をスケールアップし、工業スケールで運転する場合の重要因子を明らかにする。
91 青函排出泥を活用した電磁波シールドセラミックスの開発 伊藤 英信 北見工業大学 二俣 正美 北見工業大学 青函トンネルの排水沈殿槽に堆積する「茶泥」と呼ばれる廃棄物は主成分として酸化鉄と酸化マンガンを含み、1000℃以上で熱処理をするとマンガンフェライトが生成する。本研究では電磁波吸収機能を有する建材の製造を目的として、茶泥と道内産粘土と複合したフェライト組成傾斜型セラミックスを試作して電磁波シールド効果の高い組成(組合わせ)、焼結法を明らかにする。
111 化学気相析出法による酸化チタン前駆体の合成と高性能光触媒への応用 長谷川 章 八戸工業高等専門学校 小野 堯之 宮城工業高等専門学校 酸化チタンに代表される光触媒は、強力な酸化作用を利用して悪臭の分解、抗菌、防汚など様々な用途へ応用されている。なかでも病院や老人保健施設における悪臭除去や殺菌に対する需要は高い。光触媒の応用で問題となるのは、1)光触媒の固定化、2)分解速度などが挙げられる。本課題では、代表研究者らが開発した「角柱状酸化チタン」を化学気相合成法の手法により微細化して高表面積かつ密着性に優れた高性能光触媒の開発を目指すものである。
160 次世代フラットパネルディスプレイ用EL蛍光体BaAl2S4:Euの溶液法による合成プロセス開発 ペトリキン ヴァレリー 東北大学 熊谷 望 東北大学 BaAl2S4:Eu蛍光体は、TDEL(厚膜誘電体無機EL)平面 ディスプレイ開発におけるキーマテリアルである。金属硫化物間での固相反応は、BaAl2S4:Euの一般的な合成法である。従来法ではEuドーパントの均一な分散が困難であり、高価な出発原料BaCO3が用いられる。本提案の目標は、ELディスプレイ製造用スパッタ ターゲットに用いるBaAl2S4:Euの高品質粉末の工業化に 有望な、水系溶液プロセスによる新規合成法を開発する。
175 酸化亜鉛粒子膜の精密構造制御と高次機能化 殷 しゅう 東北大学 平塚 洋一 東北大学 溶液中での自己組織化反応を利用し、基板上にマイクロメートルレベルの酸化亜鉛柱状粒子を所定方向に成長、或いは配列させた粒子膜を直接溶液中で合成し、さらに粒子膜の表面構造及び形態をナノレベルで制御し、従来の方法で得られない発達した微細構造を有する高機能性無機酸化物粒子膜を合成する。また、均一な粒子膜合成条件の最適化およびスケールアップを行い、酸化亜鉛の形態に依存する新しい機能性について検証を行う。
267 結晶質無機イオン交換体からのナノサイズ板状蛍光体の作製 松本 泰治 栃木県産業技術センター 湯澤 修孝 栃木県産業技術センター 次世代蛍光体には、高発光効率、低速電子線励起等の特性が要求されていることからナノサイズの微粒子化が求められている。蛍光体のナノサイズ化は、表面積の増大による発光強度の減少が避けられない。この解決法として、本研究では、厚み方向が100nm以下のナノサイズである六角板状ゼオライトに、発光中心となる希土類元素としてテルビウムをイオン交換法で導入することにより、ナノサイズ緑色蛍光体を作製する。
344 破骨細胞応答型薬物放出材料の開発 吉岡 朋彦 東京工業大学 金古 次雄 東京工業大学 本申請では、骨の主成分に近いリン酸カルシウムを用いて、破骨細胞が関わる難治性骨疾患(転移性骨腫瘍・ガン)の治療に有効な薬物送達(DDS)担体の開発を目標とする。そのため、骨の代謝・免疫系のバランスを維持する薬剤を選定して上記材料に複合化する。
350 静電噴霧-熱フィラメント法を用いたダイヤモンド単結晶高速育成技術 松嶋 雄太 東京農工大学 田中 公 東京農工大学 ダイヤモンドは電気的絶縁性に優れ、高い熱伝導率、高硬度など、他の材料にないさまざまな有用な性質を有している。ダイヤモンド単結晶の高速成長技術の開発は、ダイヤモンドを工業材料として活用する道を広げるものである。本申請課題では、代表研究者がこれまで独自に開発してきた静電噴霧-熱フィラメント装置に改良を加え、毎時百ミクロンのダイヤモンド単結晶の高速成長を実現する。
423 高磁場と反応焼結法を用いた高性能非鉛圧電デバイスの開発 田中 諭 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 超伝導磁石を用いた高磁場空間で作製した酸化ビスマス粒子配向体に、金属酸化物を添加させて反応焼結を起こし、非鉛系の高性能圧電セラミックスとする技術を開発する。本研究では、焼結時の粒子配向体中への金属イオンの拡散機構を解明し制御することで、高い配向構造を維持し、かつ高密度の圧電セラミックスを得る。単結晶と同等の特性を達成することを目標とする。これらは鉛系圧電体に代わる高温作動高性能圧電デバイスへの応用が可能である。
429 原子・イオンレベルでの非破壊局所欠陥解析手法の開発と応用 黒木 雄一郎 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 様々な無機材料における多種多様な欠陥は、その物性(たとえば電気伝導度や機械的強度)に大きな影響を及ぼすことが知られている。しかし、その挙動については種々のメカニズムが存在しており、材料の特性改善のための指針を得るために体系化が強く望まれている。特に、イオン・原子空孔、置換、進入といったナノ領域での欠陥種、濃度、分布を光による非破壊的手法で詳細に調査することは、材料の特性向上に極めて効果的な分析手法である。本試験研究では、主にレーザーを用いた無機材料の欠陥解析手法を開発、応用することを目的とする。
482 衝突粉砕法による均質微粒化二次電池材料の開発 米沢 晋 福井大学 奥野 信男 福井大学 リチウム二次電池の電極は微粒子の集合体であるため、その粒子サイズや形態、表面状態のばらつきが性能に大きな影響を与えている。このことは需要の増加と昨今高度な安全性を要求される、高容量二次電池の精密生産プロセス開発において解決すべき緊急の課題である。本課題においては、衝突粉砕によりこれらの二次電池電極材料類の微細化と均一化を同時に試み、より安全かつ高性能な電極材料の創出を行う。
507 高効率LD励起固体レーザー材料の大型単結晶育成技術の開発 田中 功 山梨大学 鈴木 拓雄 山梨大学 本提案は、FZ法による単結晶育成において、加熱ランプによる非等方的加熱により成長方向などを制御して、大型単結晶育成が困難である結晶も作成可能である結晶育成技術である。本計画では、結晶成長時に特定の結晶学的方向に成長が卓越するため、大型単結晶育成が困難であったレーザー材料酸化物に適用し、加熱方法により結晶形状の扁平度を制御することで1/2 インチ以上の大口径で均一組成の大型単結晶育成に取り組む。
520 フラックス法による高性能光活性単結晶薄膜電極の開発 手嶋 勝弥 信州大学 藤井 國久 信州大学 本提案は、フラックス法により基板上に薄膜単結晶を形成する結晶育成法を応用して、色素増感太陽電池に好適な組成を持つ光活性単結晶薄膜を形成し、その複合化基板を光活性電極として電池としての評価を行うものである。計画では、「各種単結晶薄膜作成と触媒特性評価」、「導電性基板上への薄膜形成条件検討(特に低温化)」、「新薄膜により形成した太陽電池の評価」、の3段階で上記提案について検討する。
521 透明な相分離ガラスを母材とした高輝度蛍光体の開発 樽田 誠一 信州大学 藤井 國久 信州大学 本提案は、Euを添加し、微細なドロップレット相が析出した相分離ガラスが赤色で発光することを利用したガラスを母材とした蛍光体に関するものである。本ガラス蛍光体は、従来の赤色蛍光剤より合成が容易であり、添加剤の自由度が高く、透明であるなど有利な点が多い。白色発光ダイオードへの利用を想定して、本検討では、より長波長での強い発光となるように、添加剤、相分離構造の状態を変化させ、最適化をはかる。
546 ナノ複合粒子の準安定相化を利用する排ガス無害化用セラミックスの開発 小澤 正邦 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 無害化処理が必要であるベンゼン、トルエンなど芳香族揮発性有機化合物(VOC)や各種燃焼排ガスの浄化に有効なセラミックス触媒を提供する。貴金属類の使用しない全セラミックス化をめざし、低廉なVOC浄化触媒としてナノ複合粒子の準安定相を利用した排ガス処理用セラミックスを開発する。本触媒はセラミックスとして成形、焼成が可能であるため、各種形状の全セラミックス型VOC浄化触媒部材化が可能となる。
577 フレキシブル色素増感太陽電池用酸化チタン多孔膜の低温成膜技術 加藤 一徳 愛知県産業技術研究所 深谷 英世 愛知県産業技術研究所 フレキシブル色素増感太陽電池の実用化には負極の酸化チタン多孔膜を樹脂基板上に低温で成膜する必要がある。ナノサイズの酸化チタン微粒子を用いた電気泳動法により多孔膜を成膜後、「無電解析出法」および「ゾルゲル法」を併用してこの膜内に新たに酸化チタンを析出させることにより微粒子が相互に接合した多孔膜に改質する。膜の微構造、光電変換特性などから成膜および膜改質条件を最適化し、高光電変換効率のフレキシブル太陽電池を目指す。
580 新規リン酸系プロトン導電体を使用した中温作動燃料電池の開発 冨田 衷子 産業技術総合研究所 亀山 哲也 産業技術総合研究所 In3+ドープのリン酸第二スズ(Sn0.9In0.1P2O7)は、150から300℃の中温・無加湿条件で高いプロトン導電率(約0.2S/cm)を示す。本研究では、このSn0.9In0.1P2O7を電解質として使用することで中温・無加湿条件で作動する燃料電池を開発する。中温作動燃料電池の優位性を実証するために、無加湿条件や一酸化炭素含有燃料中での安定性を実証し、高性能化および耐久性向上のために電解質の膜化を行う。さらに白金代替電極触媒の探索を行う。
589 撥水性と光触媒活性を併せ持つ高機能表面の設計と性能評価 松田 厚範 豊橋技術科学大学 遠藤 一明 豊橋キャンパスイノベーション 本課題では、ゾル‐ゲル法で作製した種々の有機官能基Rを有するRSiO3/2-TiO2系無機−有機ハイブリッド透明膜に選択的に紫外光照射を行なってSi-C結合を開裂させ、さらに温水処理を行なうことによって光照射部分のみにアナターゼ微結晶を析出させる技術の開発を行う。得られるハイブリッド膜は、有機官能基Rに由来する撥水などの機能とアナターゼ微結晶由来の光触媒・親水性などの機能を併せ持つ高機能表面であり、セルフクリーニング、印刷など様々な分野への応用が期待される。
605 圧電アクチュエータ用鉛フリー積層薄膜の開発 柿本 健一 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 現行の圧電材料の多くには人体に有害となる鉛を含有しているが、これを排除するための代替材料技術が未だ確立されていない。本研究では環境と調和する循環型社会の実現のために、代替が困難と考えられている圧電体薄膜の鉛フリー化を目的にした材料開発研究を行う。アルカリニオブ酸系金属アルコキシドを主原料にして、化学溶液堆積(CSD)法によってシリコン基板上に積層薄膜を精密合成するプロセス開発とその特性評価を実施する。
617 金属ナノ粒子の高純度合成法の開発 岡崎 健一 名古屋大学 大森 茂嘉 名古屋産業科学研究所 液相化学合成法では、均一なサイズの金属ナノ粒子を大量に得ることができるが、前駆体として用いた化学種の分解生成物が共存する。そのため得られた粒子をそのまま触媒として利用することはあまり適切ではない。そこで、本研究では、未反応の前駆体や副生成物が生じない新規ナノ粒子合成法を開発する。具体的には、蒸気圧の極めて低い液体に、金属を真空蒸着することによって、バルク材料から直接的に金属あるいは合金のナノ粒子を作製するとともに、そのサイズ分布制御法を確立する。
619 マイクロエレクトロメカニカルシステムデバイス用非鉛系圧電体薄膜の開発 坂本 渉 名古屋大学 大森 茂嘉 名古屋産業科学研究所 本試験研究では、環境に優しい簡便かつ低コストな化学溶液法により、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)デバイス用非鉛系圧電体薄膜を開発し、発現する諸特性を評価して実用化への問題点と対策を明らかにする。ここでは、望む機能を達成するために重要な非鉛圧電体組成を有する前駆体溶液設計、実用化を見据えた基板上への直接作製および半導体プロセスに適応可能な加熱処理条件など作製条件の最適化、さらに圧電変位量向上のための結晶成長方位制御の達成も目指す。
633 高硬度で親油性の高いコーティング膜の低温合成技術 田邊 靖博 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 複雑形状を有する可動部材、あるいは耐熱樹脂へのコーティングを可能にする、硬くて高い親油性を有する高性能な低摩擦・低摩耗コーティング膜を溶液から低温で簡便かつ省エネルギーなプロセスで合成する。本プロセスの確立と材料の創出は、輸送機器のエネルギー効率向上、耐熱樹脂部材の耐久性向上、さらには機械システムの部材軽量化による省エネルギーに大きな貢献が期待できる。
638 大型複合セラミックの無焼結・ネットシェイプ成形 小橋 眞 名古屋大学 近藤 良治 名古屋大学 現用セラミックス部材の製造方法には高温が必要であるが、本研究では、低温での大型部材の合成と形状付与を同時に可能にする新たな製造方法の実用化について検討するものである。反応によりセラミックを化学合成する原料粉末を充填した精密鋳型中に、溶融金属を流し込み(無加圧浸透充填)、その後のin situ反応を利用して大型セラミックを無焼結でネットシェイプ合成する新しいプロセス(反応浸透合成法)を開発する。
689 ステイン法によるガラスのフルカラー着色のための基礎的研究 角野 広平 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 ステイン法とは、銀や銅の無機化合物を含むペースト(ステイン)をガラスに塗布し、熱処理することによって、これらのイオンをガラス表面内に導入し、ガラスそのものの表面付近を着色する技術である。本研究は、フルカラー着色の実現を最終目標としており、そのために、本課題では、ガラスの組成、溶融条件と発色との関係について調査し、同じガラス基板上で、三原色を同時に発色させるための基礎技術の確立を目指す。
703 高付加価値を有する新規鉄系天目釉薬の開発 橋田 章三 京都市産業技術研究所 伊藤 省二 科学技術振興機構 天目釉に代表される不安定な釉薬に的を絞って、色調・質感などの付加価値が高く、かつ安定で、再現性の良い、実用化が可能な、従来の伝統技術だけでは実現できない新規の鉄系天目釉薬の開発を目指す。本研究は、当センターが保有する50万テストピースの釉薬およびデータを基に、鉄系釉薬の一種である青磁釉や禾目天目に析出する結晶の発現機構や不安定要因を明らかにすることで新規鉄系天目釉薬を開発するものである。
791 酸化物ナノワイヤ構造を用いた不揮発性メモリ素子の開発 柳田 剛 大阪大学 武井 廣見 科学技術振興機構 ボトムアップ的に作製されるナノ領域10nm以下の酸化物ナノワイヤをテンプレートとした新規ナノへテロ構造を高温プロセスで作製し、作製されたヘテロナノワイヤをシリコン基板上の電極間に低温プロセスでポジショニングすることにより、従来のリソグラフィー微細化限界を遥かに凌駕したナノ領域10nm以下での高集積化が可能となる遷移金属酸化物を用いた不揮発性メモリ素子を実現する。
834 高気孔率・高強度を有する炭化ケイ素(SiC)多孔体の新規合成と自動車用セラミックガスタービン燃焼触媒担体の開発 間渕 博 大阪府立大学 武井 廣見 科学技術振興機構 自動車用セラミックガスタービン(CGT)は燃費の大幅な低減と、多種類の燃料が使用できることで注目されている。しかし、その燃焼条件は高温、高圧となるためNOx排出量が多く、このために低NOx化を実現する高度な触媒燃焼技術の開発が必須である。本課題では、超高温でも使用可能なセラミックス材料である炭化ケイ素(SiC)に着目し、申請者らが新規に開発した化学気相反応法を用いた合成プロセスにより、高気孔率・高強度を有するSiC多孔体を作製し、これらを自動車用CGTの燃焼触媒担体に応用するための試験研究を行う。
1026 同一成分で赤から黄・緑、青へと変化する新規酸窒化物顔料の開発と応用 森賀 俊広 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 紫外光で応答する光触媒として研究が進められている酸化チタンと酸化ランタンを組み合わせ、酸素の一部を窒素で置き換えたペロブスカイト型酸窒化物LaTiO2Nを用い、鮮やかな色あいを呈する原色系(赤・黄・緑および青)の無機顔料を完成させることを目的とする。この酸窒化物の利点は、実用化し大量生産する際に、原材料は全く変えることなく原材料と反応させるガスの流量を変化させるだけでその呈色を変えることができ、原料調達や生産・リサイクルに対するコストダウンが図れる点にある。
1069 耐久性に優れた軽量陶器瓦の研究開発 菅 雅彦 愛媛県窯業試験場 安岡 史朗 愛媛県窯業試験場 阪神淡路大震災以降、防災瓦の開発が進んでいるが、近年は屋根瓦の軽量化が主流になっている。陶器瓦は、屋根材のなかでも耐久性が高いことから、シェアの50%以上を占めているが、その軽量化は、原料土の微粉砕による強度向上のみで行っているため、最軽量品で110kg/坪程度のものしかなく、金属屋根や化粧スレートに匹敵するものは開発されていない。これまでの手法では、陶器瓦のこれ以上の軽量化は困難な状況にあるため、繊維強化セラミックスの手法を新たに適用することで、陶器瓦の強度を従来の瓦に比べ1.5倍程度まで向上させ、さらに、厚みを薄くすることが可能な軽量瓦の開発を行う。
1088 結晶配向セラミックスの簡易作製技術の確立 中山 享 新居浜工業高等専門学校 村上 哲也 東予産業創造センター 多結晶体であるセラミックスの場合は一般に1つ1つの単結晶粒子をその特定の結晶軸に並べることはできず、その優れた特性は消失してしまう。セラミックスにおいても1つ1つの単結晶粒子を特定の結晶軸に並べる技術はあるものの、大掛かりで高価格な装置が必要であり大形状のセラミックスを作製することが非常に難しい。また、量産性にも大きな問題を抱えている。本応募課題では、低価格で簡易な装置で結晶配向セラミックスを量産できる技術に関するものである。
1153 生親和性の評価における炭素ナノ物質の表面構造及びサイズ制御技術の開発 尹 聖昊 九州大学 古川 勝彦 九州大学 炭素材料は形状や表面等の構造によって機能が決定され、その制御技術が最も重要であることから、炭素ナノ物質の人体への影響においても微細構造やサイズが大きく関わっていると推測できる。本課題では、これまで蓄積してきたカーボンナノファイバーの合成及び構造の制御技術に基づき、多様な炭素ナノ繊維及び粒子を調製し、表面、形状、サイズ、繊維型と粒子型の四項目で数種の比較群として分類、確保する。これらの炭素ナノ物質の細胞への影響及び毒性を精密に評価し、さらにドラッグデリバリーシステムの開発等積極的な利用法を検討することを目標とする。
1159 有機-無機複合体を前駆体として用いる高結晶性酸化物ナノ粒子の調製 木田 徹也 九州大学 安部 英一 産業技術総合研究所 高結晶性かつ球状で粒度分布が狭い酸化物ナノ粒子は種々の機能性デバイスの基盤材料として期待されている。本研究では、有機無機ハイブリッド複合体を前駆体として用いて、高沸点有機溶媒中で複合体を熱分解させることによって高品質なナノ粒子を調製する手法の確立を目指す。さらに調製したナノ粒子を用いてメソポーラスなガス感応膜を作製し、揮発性有機化合物(VOC)に対して高感度なガスセンサの実現を図る。
1168 籾殻からのゼオライト/多孔質籾殻炭の水熱合成と新規イオン交換材料への応用 勝木 宏昭 佐賀県窯業技術センター 安田 誠二 佐賀県地域産業支援センター 農産廃棄物である籾殻を部分炭素化処理して製造されているくん炭は多孔質炭素材であり、土壌改良剤やガス吸着剤として利用されているが、イオン交換能の向上や多孔質特性の改善が求められている。本研究では、水熱合成法により籾殻炭の表面をゼオライト化して農作物の生育に必要な陽イオン交換能、及び土壌微生物の棲みかとなるミクロ・メソ多孔体骨格を持つ複合多孔体を開発することを目的とし、未利用バイオマスの新規農業用機能性資材としての活用を目指す。
1181 メソポーラスシリカの常圧・低温・迅速合成法の開発 森口 勇 長崎大学 高橋 栄功 長崎県産業振興財団 研究者等は高規則性ヘキサゴナル構造を有するメソポーラスシリカを、常圧・低温での数分間の反応で調製できる方法を見出した。本合成法の特長は、テンプレートの使用量が少なくかつリサイクルできること、安価なケイ酸Na粉末も原料に利用できること、操作が極めて簡便で短時間合成できることなどであり、従来法より格段に低コスト化できる。本方法を工業用プロセスに展開し、メソポーラスシリカを利用した排ガス・排水処理への応用を具体化することを目標に、吸着剤としてのゲスト選択性向上、細孔径の精密制御、安定性向上、耐水性付与を集中的に検討する。
1196 排ガス浄化に有効な新規塩基性多孔体の開発 池上 啓太 熊本大学 水野 優子 熊本大学 高規則性シリカ系メソ多孔体骨格内に塩基性酸化物クラスタを形成し、そのヘテロ接合面に発現する塩基点および細孔構造に基づく特異な吸着特性との協奏効果により、有害排気ガス中に含まれる酸性ガス(SOx, NOx, CO2)を高速吸着かつ無害化する高機能性排ガス浄化触媒を開発する。塩基性酸化物の局所構造および化学組成を最適化するとともに、耐熱性に優れた材料設計を展開することによって、室温から800℃程度の高温に至るまでの幅広い範囲で作動可能な排ガス浄化技術の構築を目指す。
1214 高比表面積水酸化ニッケルの新規調製法の開発と二次電池への応用 酒井 剛 宮崎大学 石川 正樹 宮崎大学 高出力二次電池の正極材料には主に水酸化ニッケルが用いられている。二次電池のさらなる高性能化・高エネルギー密度化には、水酸化ニッケルの特性向上が必要であり、そのためには、水酸化ニッケルの高比表面積化、高密度化、および結晶性の向上等が必要となる。申請者は、従来の6〜20倍に相当する200 m2/g以上の高比表面積水酸化ニッケルが合成できることを最近見出した。本研究では、高比表面積を有する水酸化ニッケルの製造方法を確立するとともに、水酸化ニッケルの微細構造、細孔容積等を調べ、さらにナノ構造を制御する手法を開発する。

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 有機化学:43件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
27 新規芳香族アミノ酸修飾反応を用いた固定化ペプチドライブラリーの生理活性スクリーニング法の開発 橋本 誠 帯広畜産大学 田中 一郎 帯広畜産大学 新規芳香族アミノ酸特異的修飾反応による誘導体化を確立する事により、新しいコンセプトでのペプチド固定化法を開発し、生理活性ペプチドスクリーニングへの応用をはかる。
105 ブルー相を用いた高速・高コントラスト表示媒体の開発 吉澤 篤 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 ブルー相III(BPIII)において電界誘起BPIII-ネマチック(N)相転移により明暗表示をする液晶表示媒体を開発する。本媒体はラビングプロセスを必要とせずに高いコントラストと高速応答が得られることを特徴とする。BPIIIはnm オーダーではねじれネマチック構造を持つが、光の波長(μm)オーダーでは等方性という性質を持つ。電圧無印可のBPIII では等方性で良好な黒表示が得られ、電圧印可でネマチック相が誘起され、均一な明表示が得られる。
128 ウルトラクリーン潤滑剤の開発 南 一郎 岩手大学 今井 潤 岩手大学 新たな液体として注目されているイオン液体は、@熱・酸化安定性に優れA難燃性Bほとんど蒸発しないC熱容量が大きい、などの潤滑油としてふさわしい性質を備えている。本研究では潤滑性と分子構造の関係を解析し、特に清浄性が要求される環境下で使用する機器をターゲットとした潤滑剤分子を設計する。さらに実験室レベルでの評価とメカニズム解析を通して既存油と比べた優位性を検討する。
178 抗ウイルス薬開発を目的とする新規双環性ヌクレオシド誘導体の合成 吉村 祐一 東北薬科大学 田村 光彦 科学技術振興機構 AIDS治療に使用される抗HIV薬には、薬剤耐性の問題が常に存在する。そのため、今なお新規抗HIV薬の開発は緊急を要する課題といえる。本課題は、抗HIV薬の内、核酸系逆転写酵素阻害剤に注目し、同阻害剤の新規誘導体の開発を目的とする。ラミブジンは代表的な核酸系逆転写酵素阻害剤であるが、このラミブジンをもとに新規双環性イソヌクレオシドを設計し、その合成とHIVを含む抗ウィルス活性の評価を行う。
247 金属内包フラーレンに基づく機能性センサーの開発 赤阪 健 筑波大学 藤田 尚徳 筑波大学 フラーレンの内部に常磁性金属原子を閉じ込めた金属内包フラーレンは、金属原子からフラーレンケージへの電子移動によって通常の空フラーレンに比べ電子受容能、供与能が非常に優れていると共に、磁性化反磁性化も非常に容易であることから大変興味深い化合物として注目されている。本研究では金属内包フラーレンが有する、非常に優れた電子的性質と磁気特性に着目し、さらに有機ドナー分子との超分子系を構築することによって外部環境応答型の機能性センサーへの展開を目指す。
295 自己組織現象を利用した分子センサーシステムの開発と化学検査への適用 久保 由治 埼玉大学 望月 弘章 埼玉大学 化学センサーは,未知の自然の仕組みを知る強力な手段であるばかりでなく,環境分析を通じてその保全技術に寄与する。本研究では,その開発にナノ構造体構築法として注目されている「自己組織化」を適用する。すなわち,化学センサーに必要な被検査物質認識部位と光学的応答部位をそれぞれ分子部品で提供し,被検査物質が添加されるとセンサーとして組織化・機能発現が達成されるシステムの開発をすすめる。
301 新規イソフラボンを基盤とする癌細胞選択的アポトーシス誘導物質の開発 石橋 正己 千葉大学 石塚 勝巳 千葉県産業振興センター マメ科植物の一種より単離した新規イソフラボン成分ブランジシアニンA,B及びCは癌細胞選択的にアポトーシスを誘導するデス受容体の発現を亢進した.本研究では,その新規イソフラボン成分のアポトーシス誘導作用に関して詳細な定量的評価,作用機序解明を行い,必要に応じてイソフラボン構造の化学的改変を行うことにより,最も有用な小分子化合物を創製する.それを通じて,癌治療薬等の新しい医薬品候補化合物を提案する.
305 エイズ治療薬等材料創成の大幅な低コスト化の実現を目指した複素環芳香族化合物のテーラメード合成法の開発 吉田 和弘 千葉大学 平 隆 臣 千葉大学 限られた地球上の資源をより有効に活用し、人類の福祉に貢献する多くの有用物質を供給するためには、芳香族化合物の洗練された合成手法の開発が必要である。特に、複素環芳香族化合物は、先端材料物質や工業薬品、医薬品等における重要物質として幅広く用いられており、これらの真に有用な合成法の開発が強く望まれている。本研究計画の目的は、オレフィンメタセシス反応を利用する全く新しいタイプの複素環芳香族化合物合成法を開発することである。
322 夾雑イオンに影響されない含フッ素亜鉛イオン蛍光プローブ試薬の研究開発 田中 潔 成蹊大学 枝村 一弥 東京都 亜鉛イオン(Zn2+)はDNAの転写調節などに対して重要な役割を演じている。これまでに開発されているZn2+の蛍光プローブ試薬は、Ca2+等の夾雑イオンの影響を受けやすい。そこで本研究では、夾雑イオンに影響されないZn2+蛍光プローブ試薬を開発することを目的とした。具体的には、Zn2+の捕捉部位にフッ素原子を導入した含フッ素蛍光プローブを合成し、夾雑イオン下でのZn2+の特異的捕捉性を検討する。
332 蛍光性π拡張複素環化合物の開発と材料化 平野 誉 電気通信大学 鈴木 基子 キャンパスクリエイト 我々は簡便な縮合反応を用いて、ピラジノイミダゾール(PI)の縮環したヘキサアザアントラセン(HAA)化合物が合成できることを見出した。これらは溶液中で優れた蛍光性を示す化合物である。本研究では、PI-HAA基本構造に、薄膜状態での蛍光性、導電性、安定性が発現できるよう化学修飾を施した新規誘導体の合成を行い、これらの化合物を用いて有機EL素子(OLED)に応用可能な蛍光・導電性薄膜材料の開発を目指す。
362 多成分縮合反応による強力な抗乳がん剤、抗骨粗鬆治療薬の創製 椎名 勇 東京理科大学 加藤 篤行 東京理科大学 天然ステロイド系ホルモンに類似したトリアリールブテン類はエストロゲン拮抗剤として働き、乳がんや骨粗鬆症の治療薬として広く利用されている。我々は新規3成分カップリング反応を開発してこれらの短工程供給を可能とする優れた手段を明らかとし、次世代の骨粗鬆症治療薬として有望視されているラソフォキシフェンの全合成法を明らかとしている。本研究では上述の既知化合物、あるいはこれらから派生したより高活性なタモキシフェン類縁体合成のプロセス化を図り、大規模かつ生産性の高い物質供給法の確立、ならびに新薬開発のシーズ発掘を試みる。
366 酵素機能を有する新規酸化剤系の創製と未利用天然資源への高度利用 飯田 隆 日本大学 志村 夏美 日本大学 本応募課題は、天然チトクロムP-450の酵素機能に限りなく類似した新規バイオミメティク酸化剤(金属ポルフィリン錯体触媒 / 酸素ドナー系酸化剤)を開発し、それを利用して脂溶性の未利用有機天然資源(ステロイド,テルペノイド)から水溶性の有用生理活性物質の産生を企てるものである。具体的にはコレステロールを用いてスクアラミンの合成を計画している。本計画が達成されれば、これまで多段階ルートを経なければ合成できなかった様々な医薬品の短段階合成が可能になり、これら医薬の低コスト化につながるものと考えている。
537 新規マンニッヒ反応を基盤とするホルムアルデヒド−フリー合成プロセスの開発 船曳 一正 岐阜大学 荒賀 年美 岐阜大学 ホルムアルデヒドはPRTR対象物質の中でも最優先的に削減すべきリスク削減対象物質であるため、これを用いない医薬品合成プロセスの開発は重要な課題である。本研究では、安価で容易に入手できる含ハロメチルアルデヒド誘導体とエナミンを用い、パーキンソン病の抗コリン薬のひとつである塩酸トリヘキシフェニジル(アーテン?、セドリーナ?)の中間体を一挙に合成できるホルムアルデヒド−フリーな新規合成プロセスを開拓する。
545 固体基質を用いる無溶媒接触還元反応 門口 泰也 岐阜薬科大学 大森 茂嘉 名古屋産業科学研究所 最近我々の研究室では、固体の基質(アルキン)を白金族触媒(固体)と共に水素雰囲気下撹拌するのみで、還元が効率的に進行し固体の生成物(アルカン)が定量的に得られる、いわゆる固相(基質)−固相(触媒)−気相(水素)間の接触還元を発見した。本研究では、この無溶媒還元の一般性を確立するとともに、これまで断念されてきた難溶性基質の還元にも適用する。廃溶媒を出さないクリーンかつ低コストの工業プロセス構築が望まれており、本還元法の適用に期待が持たれる。
549 低コストで簡便な手法による芳香族化合物の直接酸化製造法の開発 押川 達夫 沼津工業高等専門学校 小野 義光 浜松科学技術研究振興会 本研究は光触媒を用いた芳香族化合物(アルキルベンゼン類)の直接酸化よりカルボニル化合物やエポキシド化合物を化学選択的に製造するというものである。研究シーズである「低圧水銀灯と光触媒を組みああわせた水溶液酸化システム」を元に、光源を紫外線LED化することで低エネルギーコスト化を図り、ガラス管内面に光触媒を担持させることでフロー系とする、システム装置の開発を行う。ターゲットはアルキルベンゼン系とする。
552 化学物質に応答し可逆的にゾル-ゲル転移する親水性低分子ゲル化剤の開発 山中 正道 静岡大学 粟田 正志 静岡大学 本試験研究は、水系環境でのゲル化に焦点を絞り、アニオン応答型低分子ヒドロゲル化剤の開発を行う。低分子オルガノゲル化剤の化学構造に、親水性官能基としてオリゴエーテル鎖、糖鎖を導入した分子を、有機合成化学の手法を用いて合成する。合成した化合物群の、水および各種溶媒における低分子ゲル化剤としての機能を評価し、さらにゲル化した系においては、アニオン応答型ゾル−ゲル相転移について検証を行う。
618 非金属系超原子化ヨウ素化合物を触媒に用いる高効率環境低負荷型アルコール酸化反応の開発と実用的応用 ウヤヌク ムハメット 名古屋大学 大森 茂嘉 名古屋産業科学研究所 環境に優しい有機分子酸化剤である超原子価ヨウ素が触媒的に作用する真に有効な酸化反応の開発を行う。まず、既存の超原子価ヨウ素化合物を出発点に置いて、その構造骨格と酸化能力及び安定性の関係を精密に検討する。新規超原子価ヨウ素化合物の設計を行い、アルコールの酸化による力量の高いカルボニル化合物の合成プロセスの実現を目指す。そして、ラセミアルコールの酸化反応による速度論的分割に有効な不斉酸化触媒を設計する。
620 イオン交換ヘテロポリ酸による高効率固体ルイス酸触媒の開発 清水 研一 名古屋大学 大森 茂嘉 名古屋産業科学研究所 Friedel-Crafts反応は医薬品や香料の製造に必要不可欠な反応であるが廃棄物を多量に副生する点が問題である。固体酸触媒とカルボン酸を用いるアシル化反応は従来法と比べ副生成物を大幅に減少できるが、反応性が低いため多量の触媒や高い反応温度など過酷な反応条件が必要とされている。本研究では金属イオン交換ヘテロポリ酸を固体ルイス酸触媒として用い高効率でFriedel-Crafts反応を促進させることを目的としている。
621 多価カチオン導入ヘテロポリ酸による高効率エステル化触媒の開発 薩摩 篤 名古屋大学 大森 茂嘉 名古屋産業科学研究所 エステル化反応には酸触媒として均一系の硫酸などが用いられるが、廃酸などの廃棄物が大量に生成する。これに対し高活性、分離が容易でリサイクル可能な固体酸触媒として多価カチオンを導入ヘテロポリ酸を、申請者らは報告している。本申請研究では、この新規な固体酸触媒によるエステル化の適用範囲を幅広く検討し、他の脱水環化等にも応用するとともに、その構造と反応機構の検討を行い、実用化に向けて基盤を固める。
717 π共役型置換基を持つホスホールの合成と光学材料への展開 俣野 善博 京都大学 是成 幸子 京都大学 ホスホールは、ピロールの窒素原子をリン原子で置換した化合物であるが、ピロールやチオフェンとは大きく異なる光物性や電気化学特性を示すことが知られている。芳香族性の小さいホスホールは、特にπ共役系の置換基を有する場合、環内に剛直な1,3-ジエン構造を有することから、拡張π電子系化合物を構成し、機能性色素としての利用が期待される。本研究では、リンの特性が賦与されたπ 電子系分子の創製と利用をめざし、(i)α位あるいはβ位にπ共役型置換基を持つホスホールの簡便かつ効率的な合成法の確立、(ii)π共役型ホスホールの特性を活かした非線形光学材料や発光材料の開発と機能評価を行う。
718 固体状態で強発光するパイ共役系材料の開発 清水 正毅 京都大学 是成 幸子 京都大学 次世代表示素子用材料として注目を集める有機電界発光(EL)材料の基礎を担うのは、特異的な光・電子機能を有するパイ共役分子である。一方、表示素子は、固体状態の有機材料によって構成される。したがって、固体状態においてこそ高効率で発光するパイ共役分子の創出が有機EL材料の進歩に必須である。この研究課題では、研究者らが開発した反応を基盤として、立体化学の制御された新規共役オリゴエンを広範に合成し、固体状態で高効率かつ強発光するパイ共役系材料の創出をめざす。
758 ハロゲン化炭化水素溶媒代替粉体を用いるインプラント技術に適した粉体の実用化試験 佐々木 洋 近畿大学 大野 安男 科学技術振興機構 有害化学物質リスク削減基盤技術の一つであるインプラント技術を実現するために,ハロゲン化炭化水素溶媒を代替する粉体を用いた化学反応プロセスを具現化する。粉体分散媒を用いた選択的酸化反応および水素化反応の工業化を目標に安価な粉体材料を選択し,その粉体の物理的特性(形状・比表面積・細孔径分布・嵩密度)と反応活性との相関関係から各反応プロセスに適した粉体を特定し,高機能な樹脂原料を製造することを最終目的とする。
760 ガンの診断と治療に有用なバイファンクショナルな化合物の創製 若宮 建昭 近畿大学 松本 守 近畿大学 近年、ガンの治療にホウ素(10B)原子を内在する化合物を腫瘍細胞に集め、熱中性子線を照射して腫瘍細胞を破壊する療法(BNCT)が注目を浴びている。また、ガンの診断のためにフッ素(19F)原子を含む化合物を腫瘍細胞に集め、これを核磁気共鳴(NMR)で測定する磁気共鳴イメージング(MRI)法が進歩している。本研究課題は、ガンの診断と治療の両方に利用できるような、10Bと19Fを一分子中に有する化合物を創製し、新たなガン医療への取り組みを目指す。
792 酸化剤を必要としない効率的アルコール酸化反応系の開発 満留 敬人 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 アルコール酸化反応は、医薬・香料中間体として有用なアルデヒド及びケトンを合成する重要な工業反応である。しかし、従来のアルコール酸化反応の多くは有害な酸化剤を用いた量論反応にて行われており、反応後に生成する廃棄物の処理など原子効率の低さに問題があった。そこで、代表者のグループでは無機層状化合物ハイドロタルサイト(HT)に銀を固定化した触媒Ag/HTを用い、酸化剤を必要としないアルコール酸化反応系を開発した。本課題研究ではAg/HT触媒系の適用範囲を拡張し、クリーンかつ高効率なカルボニル化合物合成プロセスの開発へと展開する。
793 常温・常圧下で行うケトンの光化学的クリーン合成 白石 康浩 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 「ケトン」は有機合成の根本となる最も重要な化合物であり、多くの化学製品がケトンを原料として生産されている。ケトン類は、通常、アルコールやオレフィンの酸化により合成される。しかしながら、これらのプロセスは、高価かつ爆発性の高い酸化剤を必要とするほか、多量の有害廃棄物を生成する非効率的なプロセスである。申請者らは、安価かつ安全なアセトンを反応試薬として、常温・常圧下での光化学反応によりオレフィンからケトンを合成する新技術を開発した。本研究では、本技術の多種多様なケトン類合成への応用と、本技術の化学的メカニズムの解明、さらに技術改良に基づく実用プロセスへのアップグレードを図る。
795 安定な開殻有機分子を基盤にした分子結晶性二次電池の開発 森田 靖 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 独自に開発した空気中でも安定に取り扱うことが可能な有機分子を活物質として用いた二次電池の基礎と応用についての研究を展開する。リチウムイオン二次電池に支えられている巨大な先端二次電池市場への進出、および新しい電池の特徴を活かしたデバイスやシステム開発を通した豊かな暮らしや社会への活用を念頭にする。
797 金属クラスターを含有する有機分子の分子蛍光の増強に関する研究 劉 虹ウェン 大阪大学 清水 裕一 大阪大学 次世代ディスプレイや次世代照明に利用可能な有機発光ダイオード(OLED)は、高い発光効率、低消費電力且つ低作動電圧という特長を持ち、その発光メカニズムをはじめとする基礎研究、OLEDの高輝度・高効率・長寿命化に大変重要である。本研究では、金属ナノクラスターを含有する有機分子を様々な作製条件下で作製し、走査トンネル顕微鏡(STM: Scanning Tunneling Microscopy)のチップからの電子注入による励起及び光励起を行い、試料から発光をナノスケールで観察し、その発光のメカニズムを解明し、発光増強技術を確立させる。
802 自然界豊富科学種の触媒的直接反応開発 馬場 章夫 大阪大学 多田 英昭 大阪大学 自然界にもっとも多く存在している化合物群のひとつであるアルコールは、脱離能力の低いOH基を有しており、他の原子団で直接置換することは触媒条件では不可能とされてきた。現状では、OH基を一旦別の脱離能の高い化学部位へ変換させるか、過剰の酸の添加を必要とする。本研究ではインジウム塩を触媒として用いることで、ケイ素求核種によるアルコールの触媒的直接置換反応を検討し、工業的基礎変換反応の開発を目的とする。
807 新規精製用タグによる合成ペプチドの生産及び精製キットの開発 相本 三郎 大阪大学 土居 幹生 大阪大学 タンパク質やペプチドを高品質で収率良く合成する技術の開発が求められている。タンパク質やペプチドの効率的な生産における一つのボトルネックは、粗生成物の精製過程である。本研究は、伸長し続けたペプチド鎖だけに導入されるように設計されている特殊な精製用タグを用いて、タンパク質やペプチドを収率良く精製する技術を開発することを目的としたものである。本研究を通してペプチドの効率的な生産方法と精製キットの開発を目指す。
823 ハロペルオキシダーゼの酵素機能に基づいた環境調和型ハロゲン化プロセスの開発 平尾 俊一 大阪大学 樋口 堅太 大阪大学 ハロゲン化物は医薬品や有機材料合成における重要な合成中間体である。申請者は、酵素ハロペルオキシダーゼがハロゲン化物イオンを触媒的に酸化することに着眼し、この機能に基づいた触媒設計により水を反応溶媒として用いる環境に優しいハロゲン化触媒が開発できると考えた。本研究では、活性中心に存在するバナジウム等の遷移金属を検討し、ハロゲン化物イオンを触媒的にハロニウムイオンに変換する環境調和型プロセスの構築を目指す。
836 反応性ビラジカルを用いた革新的有機EL素子の設計と開発 池田 浩 大阪府立大学 稲池 稔弘 大阪府立大学 有機EL素子の研究開発は多環芳香族化合物を用いるのが世界の潮流であるが、本研究では化学反応を用いて反応性励起ビラジカルを発生させ,それを用いた革新的有機EL素子の開発を計る.この“非常識的”アプローチで,1)低分子による長波長発光の簡易実現,2)三重項分子の利用による内部発光量子効率の増大(現状は理論上最大25%,本研究では75 100%),3)高い耐久性をもたらす新機構等の革新的改良が期待できる.
867 機能性有機薄膜を指向するπ共役が拡張したチアゾール誘導体の設計と合成 森 敦紀 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 ドナー,アクセプター型のπ共役系が拡張したチアゾール誘導体を,申請者が最近開発した新規有機合成法であるパラジウム触媒を用いるCH結合置換反応を利用することにより合成し,その発光特性を分光学的特性,電気化学的特性を分析することにより評価する。
901 三次元光記録を目指した二光子吸収色素の開発 小川 和也 奈良先端科学技術大学院大学 戸所 義博 奈良先端科学技術大学院大学 二光子吸収は三次元位置選択的な光制御を可能とするため三次元光記録や深部がんの光線力学療法等の応用が期待されている。特に高効率な二光子吸収能を有するフォトクロミック分子は次世代の高速かつ大容量の記憶システムを可能とする。本課題では二光子吸収色素とフォトクロミック色素を連結させることで三次元光記録デバイスの実現に向けた高効率二光子吸収フォトクロミック色素の開発をおこなう。
953 高効率分子構築法を利用したイオンチャンネル制御分子の開発 門田 功 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 閉鎖性海域である瀬戸内海では赤潮が頻発し、深刻な社会問題となっている。主な被害である魚介類の大量死や二枚貝の毒化は、赤潮プランクトンが生産する神経毒が原因である。これらの化合物はイオンチャンネルに作用し、極微量でも強い毒性を示す。本研究では、生理活性に着目し、天然物をモデルとした分子設計を行うことでイオンチャンネルを制御する分子を開発し、毒性発現のメカニズムを解明するとともに、新しい医薬資源としての活用を目指す。
963 フェニレン−ジイニレン骨格を有する新規発光材料の開発と応用 折田 明浩 岡山理科大学 安井 茂男 岡山理科大学 本研究では、スルホンとアルデヒドとを出発原料に用いて、ベンゼンとブタジインとが交互に連結したフェニレン−ジイニレンを効率よく合成できる実用的な方法を確立する。また、フェニレン−ジイニレンの蛍光材料としての特性を調査するとともに、ベンゼン環上に置換基を導入することで、発光波長の自在なチューニングを実現する。
最終的には、フェニレン−ジイニレンを発光層に利用したデバイスを作製し実用的な有機ELデバイスとしての可能性を探る。
974 感光性を有する有機半導体と薄膜トランジスタ 大下 浄治 広島大学 繁村 龍彦 くれ産業振興センター これまで使われてきた無機材料を、より軽量・安価で、加工性に優れた有機材料に置き換えようという研究が進んでいる。その中でも、有機半導体材料は、電子ペーパー、フレキシブルディスプレイなどの基幹材料として非常に重要である。本研究では、有機薄膜トランジスタ(TFT)に実用可能なレベルの良好なキャリア輸送性を有し、同時に加工性の面から有利なレジスト性を有する新しいタイプの有機材料を創出することを目的とする。
1039 金属ストロンチウムを用いる簡便で有用なGrignard代替試薬の開発と応用 三好 徳和 徳島大学 平岡 功 徳島大学 エステルへのジアルキル化反応におけるGrignard手法はアルキル化剤としてとても有用であるが、予めGrignard試薬を調製してからエステル等の基質と反応する必要があり手間と時間がかかる反応である。しかしそれ以外の手法は殆どないのも現実である。そこで、アルキルハライドと金属とエステル等の基質を混ぜるだけのOne-potで行えるBarbier型手法でジアルキル化反応を行い、種々の化合物合成法を確立すれば、工程を省くことが出来、コスト削減の面からもより有用であると考えられる。
1082 フルオロイソインドールの新規合成法の開発と有機電子材料への応用 宇野 英満 愛媛大学 鈴木 貴明 愛媛大学 多フッ素置換多環縮合芳香族化合物は、電界効果型トランジスタに用いるとn型のデバイスとなるため、有機デバイス材料としての応用研究の進展が期待された。しかし、多フッ素置換多環縮合芳香族化合物は合成が困難であるため、特定の研究者のみがこれらの物質によるデバイスの研究を行っているのが現状である。本研究では、多環縮合芳香族化合物を用いたn型デバイスの開発に向け、テトラフルオロイソインドールやその類縁化合物の簡便かつ高効率な合成法の確立と、これらの化合物を用いた高純度フッ素化ベンゾポルフィリン合成法を開発し、これらの物性を明らかにする。
1100 新規有機不斉触媒の開発と利用 小槻 日吉三 高知大学 安田 崇 テクノネットワーク四国 本研究は、独自の分子設計に基づく新規な有機不斉触媒の開発、それを利用した高効率な不斉触媒反応への展開、およびその生物活性天然物合成への応用にある。これを実行するにあたり、具体的な到達目標を次の3点に集約し検討する。@ 含窒素複素環系誘導体を基軸とする新規有機不斉触媒の開発。A 有機不斉触媒を駆使した高効率な不斉触媒反応の開発。B 本不斉触媒反応を活用する生物活性天然物のエナンチオ選択的合成。本研究により、環境に優しい合成化学的方法論としての新規な不斉触媒反応の開発、その応用としての生物活性天然物のエナンチオ選択的合成という両分野において独自性を確立し、21世紀型有機触媒不斉合成技術の確立をめざす。
1125 ミトコンドリアを標的とするアポトーシス阻害剤の開発研究 新藤 充 九州大学 石川 宗晴 科学技術振興機構 ミトコンドリア内のアデニンヌクレオチド輸送担体(ANT)はアポトーシス制御の一端を担うが詳細は不明である。ボンクレキン酸はANT を阻害することでアポトーシスを阻害する重要な生化学ツールであるが供給方法に難がありきわめて高価である。本研究ではボンクレキン酸の効率的大量合成法を開発し、その知見を元に、医薬品開発を視野に入れたより有効なアポトーシス阻害剤の開発をめざす。
1134 光学活性機能物質の高純度大量合成用不斉固体触媒の開発と応用 稲永 純二 九州大学 古川 勝彦 九州大学 本課題においては、高性能・高耐久性の新規不均一キラル錯体触媒を創出し、光学活性機能物質を高純度で大量に生産することのできるフロープロセスを開発することを目的とする。具体的には、高性能超分子固体触媒の調製、触媒構造解析、触媒能評価、及び不斉触媒反応カラムの作製と性能評価を行う。また、本課題の推進により光学活性医薬品重要中間体を高純度で大量に生産できるプロセスを開発しライフサイエンス研究や医薬業界の発展に貢献することを目標とする。
1201 光線力学療法用薬剤として機能する新規両親媒性フラーレン誘導体の合成 八田 泰三 崇城大学 冨田 和弘 科学技術振興機構 本研究テーマは、1)細胞認識能と水溶性を付与する糖単位(SUG)(或はポリエチレングリコール単位(PEG))、およびDNAとの会合力を高めると同時に水溶性を付与するカチオン性親水基のピリジニウム基(Py+)を併せ持つ新規両親媒性フラーレンC60誘導体の系統的合成、2)水中におけるそれらの溶解性と自己会合挙動を解明することにより各種粒径サイズのフラーレン会合体ライブラリーを構築することである。
1249 医薬品リード化合物としてのエラグ酸類縁体大量合成法の開発 安里 英治 琉球大学 伊良部 忠男 琉球大学 エラグ酸類縁体は一般的な抗酸化物質でもあり、美白効果、制がん・ウイルス作用を有し、化粧品や医薬品としての商品価値が高い天然成分である。一方、天然植物からエラグ酸類縁体を精製単離する方法は、含有量やその抽出効率の点から大量供給が難しく、応用研究を目指した大量合成法の確立とともに、新規エラグ酸類縁体の探索研究は重要な課題である。本研究では合成化学的に「エラグ酸配糖体」「新規エラグ酸類縁体」にアプローチするとともに、これらエラグ酸誘導体の医薬品リード化合物としての可能性を検証する。

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 高分子化学:33件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
3 生分解性架橋ポリアスパラギン酸の合成とその吸水能に関する研究 梅田 哲 旭川工業高等専門学校 東藤 勇 苫小牧工業高等専門学校 ポリアスパラギン酸の中間体であるポリスクシンイミドの効率的かつ実用的な合成、生成したポリスクシンイミドの加水分解で得られるポリアスパラギン酸変性体、および架橋ポリアスパラギン酸の合成とその機能評価を行うものである。
55 生体適合性を有する人工臓器用ポリノルボルネン複合材料の開発 佐藤 敏文 北海道大学 奈良林 直 北海道大学 高強度を有するポリノルボルネンに極性部位を導入することにより、ポリノルボルネンの低接着性や低含水率性等の欠点を改良し、生体適合性を付加する技術を提供する。具体的には、「極性基を有するモノマーとノルボルネンを安価に共重合する技術の提供」、ならびに、「生成ポリマーの極性基にポリ乳酸を導入することで高強度かつ生体適合性を有する新規なポリノルボルネン−ポリ乳酸複合材料の開発」が目標となる。
65 微細多孔質高分子膜によるバイオセンサーの開発 吉田 光則 北海道立工業試験場 鴨田 秀一 北海道立工業試験場 本研究は自己組織化法を用いてバイオセンサーの一つである表面プラズモン共鳴センサーチップの生体関連基質の固定化に用いる新規の機能性膜を開発するものである。その作製方法やセンサーチップの金薄膜と微細多孔質高分子膜との付着方法及び用いるポリマーの種類、膜の表面処理などについて検討する。
81 化学修飾反応によるポリイミド微粒子の機能化 渡邉 眞次 北見工業大学 鞘師 守 北見工業大学 ポリイミド(PI)粒子に化学反応を行うことにより粒子の機能化を行う。PI粒子表面をヒドラジンで処理してアミノ基、さらにブロモイソブタンアミドに変換し、ここからリビングラジカル重合を行い、表面に他の高分子鎖がついたPI微粒子の作製を試みる。表面に高分子鎖があると構造の異なる高分子と混ざりやすくなり、優れた構造材料が得られると期待される。
86 糖応答性色素放出ポリマーの薄膜化による目視型糖検出チップの作製 兼清 泰正 北見工業大学 内島 典子 北見工業大学 簡便かつ正確に糖濃度を測定可能な新規センシング材料の開発を行う。そのために、酵素に代わる次世代の糖質インターフェイスとして注目されるボロン酸を用い、糖との結合に応じて色素を放出する機能性薄膜を基板上に複合化する。これを用いて、糖濃度に応じて多色変化を示す目視型センシングチップの実現を目指す。
107 アルギン酸を用いた燃料電池用電解質膜の開発 葛西 裕 青森県工業総合研究センター 山口 紀久 21あおもり産業総合支援センター 直接メタノール形燃料電池(DMFC)において、フッ素樹脂系電解質膜はメタノールが電解質膜を透過しやすく電位の低下をもたらすという問題がある。また、製造プロセスが複雑であるため高価であり、フッ素を含んでいることから製造時や使用後の廃棄時に環境負荷が大きい。本研究では生体由来材料であるアルギン酸のような多糖類を用いて、メタノール透過性が低く、環境負荷が低い、かつ製造プロセスが単純なDMFC用電解質膜の製造技術を確立する。
168 ポリイミドナノ粒子を用いた次世代低誘電率層間絶縁膜の開発 石坂 孝之 東北大学 平泉 健 東北大学 大規模集積回路の高密度化に伴う信号遅延問題のため、2013 年には誘電率(k)2以下の層間絶縁膜が必要になるとされている。本研究ではポリマーの中でも最高レベルの高耐熱性、高強度、高粘弾性を有するポリイミド(PI)を用いて、粒子表面や内部に空孔を有する多孔性PI ナノ粒子の作製を行う。更に、得られた多孔性ナノ粒子を用いて、粒子内部、且つ、粒子間に空隙を有する膜を作製する。以上よりk<2(@1MHz)の次世代低誘電率膜の開発を行う。
213 フッ素系共重合体の延伸に伴う微細構造変化と光学機能の発現 藤森 厚裕 山形大学 白澤 司朗 山形大学 極めて高結晶化度のフッ素系共重合体の高温延伸により形成される,新規透明素材のナノ微細構造変化を解明する.結晶性高分子は,結晶領域と非晶領域の共存状態であり,透過する可視光はその界面で屈折を繰り返し,不透明となる.しかし極めて結晶性の高いフッ素樹脂は,延伸に基づく微細構造変化により,極めて均質な結晶体となり,透明性を発現出来ることを見出した.本研究では,フッ素系共重合体の高温延伸による配向変化を小角X 線散乱並びに広角X 線回折により解析し,光透過性の相関関係について検討を行う.
214 ポリマーブラシを利用した高イオン伝導性イオンチャンネルの形成 佐藤 貴哉 鶴岡工業高等専門学校 田村 光彦 科学技術振興機構 高いイオン伝導性と難燃性を併せ持つイオン液体モノマーを合成した。本研究ではこのモノマーに表面開始原子移動ラジカル重合法を適用して、ナノサイズシリカ微粒子上に分子鎖長の揃ったイオン伝導性ポリマーブラシを形成する技術を確立する。さらにポリマー/シリカ複合粒子がイオン液体中で形成するコロイド結晶をイオン伝導場として利用する新しい難燃型ポリマー電解質を開発し、その実用性評価を行う。
373 ネガ型反応現像画像形成による高性能かつ低環境負荷型感光性エンプラの開発 大山 俊幸 横浜国立大学 北 憲 横浜国立大学 我々は、市販エンプラなどに感光性を付与する手法として「反応現像画像形成(RDP)」を開発しているが、実用化に向けて感度や感光剤添加量などに問題点があった。本研究では、最近見出した新手法である「ネガ型RDP」について原理の詳細な解明を行い、その知見をもとに感光剤量の低減や高感度化などを実現し、エレクトロニクス実装における従来型感光性エンプラの代替を始めとする様々な分野に応用可能な実用レベルの感光性エンプラを開発することを目標とする。
460 分子鋳型を用いた立体識別型分離剤の開発とクロマトグラフィー充填剤への応用 国本 浩喜 金沢大学 渡辺 良成 金沢大学 分子鋳型ポリマー法では,分離対象となる光学活性物質と相互作用可能な官能基を有する機能性モノマーおよび架橋剤を共存させて重合する.反応後にポリマー内から鋳型分子を除去することにより,鋳型分子と相補的な結合部位を有するポリマーを得る.本研究では,分子鋳型ポリマー法を用いて高純度の光学活性体が要求される5-置換1,3-オキサゾリジン-2-オン誘導体に対して立体選択性に優れた分離材料を開発し,それを充填剤としてクロマトグラフィーに応用する.
473 新規リポソーム融合技術に基づく細胞模倣マイクロラボラトリーの開発 濱田 勉 北陸先端科学技術大学院大学 山本 外茂男 北陸先端科学技術大学院大学 細胞サイズの人工脂質2分子膜小胞(リポソーム)を反応場とする新規のマイクロラボラトリーを開発する。実際の生体膜とほぼ同じ構造・組成を備えたリポソームは、種々の生化学反応実験に最適な細胞模擬空間を作り出す事が出来る。集光レーザーにより形成された局所的なエネルギー場を利用したリポソーム融合法を確立し、化学反応を自在にコントロール可能な細胞模倣マイクロラボラトリーを構築する。
486 ゴム材料の最大弱点である酸化劣化の克服とゴム材料の新展開 瀬 和則 福井大学 吉田 芳元 福井大学 ゴム材料はシス型ポリイソプレンであるが、高分子主鎖に2重結合を有するため酸化劣化による高分子主鎖分解が生じ易く、これがゴム材料の最大弱点であった。そこでビニル型ポリイソプレンとのcis-PIs/vinyl-PIs高分子ブレンドを作成して、この弱点を克服する。この高分子ブレンドのガラス転移温度はcis-PIsのそれよりも数10℃高いため、飛躍的な熱安定性も期待でき、劣化克服に寄与する。更に、ゴム材料の高機能化を目指して、圧電素子や導電性高分子への新展開も探究する。
657 新規多孔質ポリ乳酸フィルムの孔径制御による高機能化 山中 仁敏 滋賀県工業技術総合センター 川嶋 眞生 滋賀県産業支援プラザ ポリ乳酸は、バイオマスの有効利用また生分解性を有することから環境負荷の小さい材料として注目されている。一方、多孔質フィルムはその高機能性を利用して菌除去等のフィルター、電池用のセパレーター等の幅広い用途に利用されている。
我々はこれまでの研究開発により、ポリ乳酸で1〜5μmの連続気孔多孔質フィルムおよび0。1〜8μmの独立気泡多孔質フィルムの開発に成功している。このフィルムを高機能化して実用化するために、孔径の分布を小さくしたフィルムの開発、また平均孔径が違えたフィルムの作製を開発する。
680 生理活性を有する高分子量酵素法ポリフェノールの開発 辻本 敬 龍谷大学 石原 英昭 龍谷大学 近年、環境にやさしい高分子材料の開発が注目されているが、製品そのものだけでなく合成プロセスにおいても毒性の少ない触媒や試薬等の使用が切望されている。本研究では生体触媒である酵素を重合触媒に利用し、水中において高分子ポリフェノールの合成を行う。また、得られるポリフェノール微粒子を担持体として利用し、機能化を検討する。
690 超音波を用いたソフトマテリアルに対する新しい非接触解析法の開発 則末 智久 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 近年のレーザー回折・動的光散乱技術の進歩により、サブミクロン構造体の大きさや分布を容易に解析できるようになった。その一方でこれらの手法には、気泡による反射や試料の乳濁の問題がある。本研究では、超音波が“媒体を振動して伝わる波”であることに注目した、新しい時間相関法をベースとする非接触ミクロン構造解析法を開発する。それにより、不透明で中身が判断できない反応物の分子ダイナミクスを高速に分析できる新しい技術を開発し、機能性複合材料や発泡材料のリアルタイム解析へと応用する。
691 乳酸エステルの直接重縮合によるポリ乳酸の合成 小林 四郎 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 近年バイオマスプラスチックとしてポリ乳酸が注目されている。ポリ乳酸は乳酸から六員環状ラクチドに導き、その開環重合により製造されているが、その乳酸はバイオマスから乳酸エステルを経由して製造される。本試験研究では乳酸エステルから直接ポリ乳酸を合成する反応を開拓することにより、ポリ乳酸製造の大幅なコスト削減が可能なプロセスの構築を目的とする。実施内容としては、種々のアルコールと乳酸とのエステルを基質として、酵素触媒により重合を試みる。
716 選択的にカーボンナノチューブを可溶化する共役系高分子の開発と応用 梅山 有和 京都大学 是成 幸子 京都大学 カーボンナノチューブ(CNT)複合材料の開発に、CNTのあらゆる溶媒への極めて低い溶解性が大きな障害となっている。本研究では、効率良く、かつ選択的にCNTの束状構造を解きほぐして有機溶媒中に単離分散させる新規共役系高分子を開発することを目的とする。さらに得られる複合体の溶液中および薄膜状態での特性、特に光電気化学的性質を解明する。単離分散することで電荷輸送能の向上したCNTを活用し、高効率な光電変換系の構築を目指す。
739 光分解性ペプチド・ナノ薄膜の開発とその応用 古賀 智之 同志社大学 永田 和彦 同志社大学 本課題は、容易に微細加工できる多機能バイオ表面の開発を目指すものである。具体的には、固体表面上でのアミノ酸・無水物のグラフト重合技術をベースに、ここに光分解性分子を組み入れた新しいポリペプチド・ナノ薄膜の作成技術の開発を行う。さらに、光によるナノ薄膜の加工原理を確立するとともに、人工ペプチドの二次元ナノ〜マイクロ・パターンニングについても検討を行う。
759 ジクロロシランの電極還元反応によるポリシランの精密重合法の開発 石船 学 近畿大学 根津 俊一 近畿大学 新規光機能性材料として注目されて久しいポリシランの合成法に関しては、適用できるモノマーの多様性と、分子量分布の制御など更なる分子構造の制御法が求められている。従来法と比較して格段に温和な条件でのSi−Si結合生成を実現したクロロシラン類の電極還元反応手法を基礎に、ジシラン添加や溶存イオンの制御による分子量分布の狭隘化およびタクティシティーの制御など検討し、より精密で実用的な重合技術を開発する。
774 メタクリル系新規耐熱性透明樹脂の開発 松本 章一 大阪市立大学 武井 廣見 科学技術振興機構 エレクトロニクス関連高分子材料に対する要求、特に耐熱性透明有機高分子材料の重要性が増し、新規耐熱性樹脂の開発が望まれている。本研究課題では、側鎖に環構造やかさ高い置換基を導入することにより、光学特性に優れた新規メタクリル系耐熱透明樹脂の開発を行う。光学特性、力学特性、熱特性に優れた新規材料を得るため、置換基の構造設計と最適化、材料の各物性評価により、メタクリル系新規耐熱性透明樹脂の開発を進める。
851 生分解性プラスチックの加工性向上を目指した結晶性・熱安定性に関する研究 尾崎 幸洋 関西学院大学 山本 泰 関西学院大学 PHB系プラスチックは、結晶化速度が遅いために加工しにくく、2次結晶化の進行により成型加工後に物性低下が起こるといった課題を抱えており、実用化に向けて更なる改良が望まれる。そこで、本研究では、PHBおよびその共重合体の加工向上のため結晶構造や熱的挙動を、1)赤外スペクトルの温度変化の測定、2)DSCおよび広角X線回折の温度変化の測定、3)SPring-8における時間分解小角、広角X線散乱―DSC同時測定より、明らかにすることを試みる。
883 キトサンを用いた新規生分解性材料の開発 平瀬 龍二 兵庫県立工業技術センター 富田 友樹 兵庫県立工業技術センター 我々はこれまでの研究において、ある種の塩の水溶液がキトサンを溶解することを見い出した。また、キトサン溶解液から水を除去して得られるフィルム等の材料のなかには可塑化されエラストマー的な物性を有するものがあることも把握している。本課題では、キトサンと塩からなる新規な組成物の用途開発を目的としている。キトサン、塩の組成および力学的な物性との関連について検討し、適用できる分野の探索を行う。
898 環境汚染物質用超高感度・超高速検出システムの開発 内藤 昌信 奈良先端科学技術大学院大学 戸所 義博 奈良先端科学技術大学院大学 ケイ素高分子“ポリシランPSi”が酸素、窒素、フッ素を含む低分子化合物と特異的に相互作用することを利用し、ホルムアルデヒド、フッ素イオン、NOX、SOX などの環境汚染物質の定量を超高感度(10-12 M程度)かつリアルタイムで検出するシステムを開発する。環境汚染物質の定量は、ナノグラム天秤である水晶発振子(QCM)を用いることで高感度化とリアルタイム検出を同時に実現する。
899 モレキュラーバンドエンジニアリングによる新規発光性分子ワイヤの創成 尾之内 久成 奈良先端科学技術大学院大学 戸所 義博 奈良先端科学技術大学院大学 近年、高性能ナノ発光素子の更なる小型化が切望されている。本研究では、半導体固体物理学におけるバンド理論に基づく共役分子の設計(モレキュラーバンドエンジニアリング)により一分子的な半導体発光素子の開発が可能であると考え、異なるバンドギャップを有する共役ユニットを周期的かつ直交に有する新規発光性高分子を合成する。得られる高分子は製膜性や可塑性に優れるため、フレキシブルな有機半導体レーザーなどへの実用が期待できる。
908 米糠由来のフェルラ酸を主成分とするDDS用ベシクルの開発 坂本 英文 和歌山大学 稲木 良昭 和歌山大学 フェルラ酸は米糠から抽出された天然由来物質である。この化合物の水酸基に二鎖型のジアルキルアミノ基を付与した両親媒性化合物は水溶液中でベシクルを形成することが期待できる。そこで、この化合物で予め水溶液に溶解させておいた有機分子を内部に取ませたベシクルを作製し、フェルラ酸のビニル基部位と感熱性モノマーを重合して、生体内などで温度により有機物の放出が可能であるカプセルを作製する。基本分子が天然成分であるため、生体内での分解も期待できる。
916 多様性オリゴペプチド−シリカナノハイブリッドによる新規分離カラムの開発 櫻井 敏彦 鳥取大学 前田 尚良 鳥取大学 多環芳香族やニトロ多環芳香族はダイオキシン類やPCB類と同様の内分泌攪乱作用を有する可能性が示唆されているものの,構造異性体が多数存在しているためこれらの精密分離が困難である。本研究は,seq-オリゴペプチド固定化シリカによる新たな精密認識システムの構築により,構造異性体との相互作用を利用した新たな分離・分析技術をカラム化により実現することを目的としている。最終的には人工レセプターへの展開を睨む。
949 伸びきり鎖結晶(シシ構造)の高密度生成によるポリ乳酸の高強度・高耐熱性化 木村 邦生 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 申請者は、生分解性ポリエステルであるポリ乳酸を流動下で結晶化させることによって、分子鎖が折りたたまれることなく伸びきって結晶化したシシ構造(右写真参照)を生成させる方法を発見した。シシ構造は結晶内で高分子鎖が伸びきって配列しているため、非常に高強度で高い融点を示す。本研究の目的は、上述の方法を用いて、系中に通常の結晶化物とは結晶構造のみが異なるだけのシシ構造を高密度に生成させて、従来材以上の高強度かつ高耐熱性を引き出したポリ乳酸のセルフコンポジット材料を開発することである。
984 内分泌かく乱化学物質除去機能を持つ複合化磁性ナノ粒子の開発 後藤 健彦 広島大学 榧木 高男 広島大学 現在、排水中の有害化学物質は主に活性炭により吸着除去されているが、活性炭再生処理に用いる有機溶媒が2次廃棄物になるという課題がある。そこで再生可能な吸着剤として磁性ナノ粒子に30040℃の転移温度を境に親・疎水性が可逆的に変化する感温性高分子をコーティングした複合化粒子を開発することを目的とする。この粒子は、高分子との疎水性相互作用により疎水性有害物質を吸着し、磁石により回収することが可能である。
1018 第四アンモニウム塩を固定化したウレタン系樹脂の抗菌特性 武知 博憲 徳島県立工業技術センター 大村 芳正 徳島県立工業技術センター 固定化殺菌剤に着目し、第四アンモニウム塩を用いて、担体に固定化を試み、その殺菌活性の解明を検討したい。固定化坦体(ウレタン系樹脂)と固定化反応させることにより、機能性高分子材料を作成する。得られた機能性高分子材料をシェイクフラスコ法、フィルム密着法により抗菌性の評価を行い、また他の機能性についても検討する。
1027 高機能官能基を有する立体規則性高分子材料の開発と応用 田中 均 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 立体規則性高分子は、優れた機械強度、熱特性等を有するものの、一般に金属触媒等を用いるイオン重合法で製造されるため、高いスキルが要求され、大量生産できない欠点があった。最近、この規則性高分子を既存の汎用工場設備の活用が可能で、またイオン重合では困難な機能性官能基の導入が容易なラジカル重合法で簡便に合成する方法を見出したので、本研究では、このものをさらに効率よく高純度で合成するための研究を行う計画である。
1090 天然繊維をベースとした六価クロム捕集材の開発 山下 実 高知県工業技術センター 津嶋 貴弘 高知県工業技術センター クロムは、単独では無毒で工業的な利用頻度も高い。特に耐蝕性耐摩耗性高温での強靭性に優れ、食器などのメッキは殆どクロムが使用されており、代替品は特にない。しかし人工的に生成される六価クロムは強い毒性を示し、廃水は水質汚濁防止法で厳しく規制されている。処理方法としては還元中和沈殿法が頻用されているが、プロセスが複雑であり大量のスラッジ処理も問題となっている。そこで本研究では、複雑なプロセスを必要とせず六価クロムを直接捕集するための天然繊維をベースとした捕集材の開発を行う。
1209 生分解性高分子の液晶材料化と強化複合材料の開発 氏家 誠司 大分大学 森岡 勝彦 大分大学 合成高分子の代替として,生分解性高分子の開発が行われているが,まだ実用化という観点からは十分ではない.生分解性高分子の特徴としては,利用しているときには十分な機能を果たすが,不要になったときには紫外線や微生物などで分解されることがあげられる.樹脂としては携帯電話,パソコンや車のボディーなどへの利用があり,繊維としては漁網への使用が考えられる.パソコンや車,漁網への応用では十分な強度・弾性率などの実現が要求される.そこで,本課題では,生分解性高分子の強度・弾性率を向上させるために,生分解性高分子への液晶性の付与と自己集合性微細繊維とのコンポジット化を行い,生分解性をもった加工性のよい新しい強化高分子材料を開発する.

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 複合材料:80件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
16 三元遷移金属硫化物における強磁性発現材料の開発 本藤 克啓 室蘭工業大学 朝日 秀定 室蘭工業大学 三元遷移金属硫化物の一つである非磁性Rb2Ni3S4は一度水につけた後乾燥させることで強磁性が出現する物質である。この物質について,水含浸時間及び乾燥時間に対する磁化の依存性を調べ,水による磁性コントロールの可能性について見通しを得る。
50 発現カセット法を用いた大腸菌による有用生物活性物質生産系の確立 及川 英秋 北海道大学 蛸島 武広 科学技術振興機構 大腸菌による様々な生物由来の異種タンパク発現の有用性は確立されていたものの、複数の酵素を同時に発現させての有用物質生産は困難であった。そこで最近我々が開発した異種発現法により、臨床試験で有望視されていながらホヤから微量しか供給されない抗腫瘍性物質エクテナサイジンの生産に適用する。
54 含水バイオエタノールからの有用石油関連物質合成 増田 隆夫 北海道大学 奈良林 直 北海道大学 精製前の含水粗バイオエタノールを原料に用い、触媒反応により、石油関連物質への選択的合成の技術開発を実施する。反応機構の解明と、粗バイオエタノール中に含まれる各種有機系不純物が触媒に及ぼす影響を検討する。また、生成物精製用水分離膜の合成とそれを蒸留塔に組み込んだ高度分離システムの提案を行う。さらに、プロセスシミュレータを用いて提案する分離の経済評価を実施する。
79 立木での非破壊評価法の道産針葉樹への適用と応用 安久津 久 北海道立林産試験場 斎藤 直人 北海道立林産試験場 北海道の主要造林樹種であるトドマツとアカエゾマツを対象とし、立木の応力波伝播速度を用いた非破壊評価法の確立を目標とする。そのため、立木の応力波伝播速度の樹種特性を把握し、センサーの打込み部位や輪生節の影響などから誤差を小さくするための測定方法を検討する。さらに、立木の伝播速度と丸太や製材のヤング係数の関係から、立木の伝播速度で丸太や製材のヤング係数が推定できる汎用性のある関係式を提示する。
85 木質由来導電性メソ孔炭素の電気二重層キャパシタ電極特性 鈴木 勉 北見工業大学 内島 典子 北見工業大学 鉄塩を水溶液含浸した木材を800-850℃で炭化し、高導電性で直径4nmのメソ孔に富む木炭を製造した後水蒸気賦活、微粉化、酸洗浄して電気二重層キャパシター(DELC)電極としての特性を調査する。これらの結果から、導電性、4nmメソ孔の存在、比表面積等がDELC特性に及ぼす影響を明らかにし、通常の活性炭を用いるDELC電極との性能比較を行って上記の木炭由来DELC炭素電極の実用化可能性を検討する。
122 河川護岸への適用を考慮した自己崩壊型ポーラスコンクリートの開発 小山田 哲也 岩手大学 細越 健志 岩手県 近年、景観や環境、そこで生息する動植物に優しい河川護岸が求められている。
本研究は、河川護岸に植物を根付かせるため、護岸に使用するカキ殻を用いたコンクリートの時限的崩壊条件と、自然に影響を与えない護岸形成用の材料を検討する。
コンクリートを崩壊させるには、使用材料や配合、施工方法等の要因が影響するものと考えられるが、崩壊後に自然に調和し、悪影響を及ぼさない条件選定が必要であり、本課題で検討する。
147 インピーダンス計測によるコンクリート壁・柱内部の含有塩分成分および埋め込み配管の非破壊評価装置の開発 芳賀 昭 東北学院大学 三浦 吉臣 仙台市産業振興事業団 本課題の目的は、物のリニューアル工事の工期短縮・低コスト化の実現を目指してコンクリート構造物および内部に埋設されたCD配管の評価・検出を非破壊的に行う装置を開発するものである。コンクリート構造物の電気的インピーダンス測定により、@コンクリート構造物の含有塩分濃度を、Aコンクリート中のCD配管(可とう性の樹脂管)を、非破壊的に評価し検出する装置の開発である。
155 インクジェット式電子回路印刷用銅ナノ粒子合成および酸化防止技術開発 バラチャンドラン ジャヤデワン 東北大学 峠 竹彌 東北大学 導電性ナノ粒子インクを原料としたインクジェット印刷法が提案されている。その原料として銅ナノ粒子分散インクの開発が望まれており、酸化雰囲気中でも安定な銅ナノ粒子開発が大きな課題となっている。“ポリオールプロセス”を用いてナノ粒子合成を行ってきたが、現時点で得られた粒子の直径は最終目的であるインクの原料としては大きいことから、粒子径の更なる減少と酸化雰囲気中での安定性を有する銅粒子の実現を目指す。
239 大気中での微小アパタイト皮膜作製技術の開発 清水 禎樹 産業技術総合研究所 名川 吉信 産業技術総合研究所 歯科医療インプラント用の金属小片表面に、生体親和性に優れたアパタイト皮膜を大気中で溶射・作製する技術を開発する。卓上型プラズマ装置を利用した作製技術であり、直径サブmm〜数mmの大気圧プラズマ中に、アパタイト粉末などを導入し、ノズル下流に設置したインプラント用金属片表面にアパタイト粉末をコーティングさせる。将来的に歯科医自らが医療現場で実施できるような簡易技術の開発を目指す。
249 細胞組織体の非侵襲的な回収を可能とする培養皿の開発 福田 淳二 筑波大学 藤田 尚徳 筑波大学 微細加工技術や電気化学的な手法を用い、in vitroにおいて2次元細胞シートや3次元細胞組織体の形成を誘導し、かつ非侵襲的に回収する技術を確立する。これにより、医療分野または研究開発用ツールとして利用できる培養器具を創製する。
258 高配向カーボンナノチューブファイバの開発とコンポジット素材への応用 唐 捷 物質・材料研究機構 青野 正和 物質・材料研究機構 カーボンナノチューブ(CNT)は、極めて軽く、高い弾性率と強度をもつと同時に、高導電性や高熱伝導性等の機能を併せもつ高機能素材でもある。我々は、純水中に分散させたCNTを電気泳動法を用い、金属チップ先端に集積・成長させることに成功した。本研究では、この技術を応用し、高導電性及び高熱伝導性をもつ軽量・高強度・高弾性の構造用あるいはコンポジット素材と成る、高配向のCNT集積体としての長尺ファイバ作製プロセスを開発する。
260 磁気バリ取り技術の実用化試験研究 進村 武男 宇都宮大学 生田 四郎 宇都宮大学 細長いパイプの外側からドリル加工するとパイプ内にバリが発生する。パイプ内に通常のバリ取り工具が行き届かないため,内面のバリ取りは困難を極める。本試験研究は,永久磁石を利用した新しい内面のバリ取り技術:「磁気バリ取り技術」を提供している。細長いパイプ内にバリ取り用小形永久磁石工具を挿入し,パイプ外に設置した磁石によりパイプ内の磁石工具に磁気力(加工圧力と運動力)を作用させてパイプ内面のバリ取りと表面仕上げを行う新しい手法である。
263 水浸法による超音波乳ガン検診装置の要素技術の開発 飯沼 一浩 国際医療福祉大学 山下 信 小山工業高等専門学校 現在、超音波による乳がん検診は検査技師が手動で行っている。しかし、時間がかかりかつ技師の技能に大きく依存するなど検診には不向きであり、自動化された検診装置の開発が強く望まれている。本研究では、超音波ビームの電子走査および機械走査を併用した水浸法による自動超音波検診装置の実用化を目指し、最も重要な機械走査部分の機能試作を行い実際に画像データの収集を行って、実用化のための問題点と解決策を明らかにする。
269 マイクロカプセルを用いた抗菌・高消臭機能性繊維の開発 近藤 康人 群馬県繊維工業試験場 上石 洋一 群馬県 医療現場では、術後の傷や褥瘡防止などガーゼやシーツ等の繊維に抗菌・脱臭機能が要望されている。そこで、本研究では表面積の大きなマイクロカプセル(超多孔質シリカ粒子)にナノレベルで金属触媒を添着し、それを繊維に吸着させることで繊維自体に高い抗菌および消臭活性を持たせる。また、病原菌はほとんどマイナスに帯電していることから、プラスに帯電した繊維を開発し、病原菌を引き寄せ、マイクロカプセル上の金属触媒により殺菌するシステムを開発する。本研究成果は消臭ガーゼ、褥瘡防止シーツ、消臭肌着など天然繊維に展開することを目標とする。
308 再構築歯胚に用いる代替細胞の探索 友岡 康弘 東京理科大学 加藤 篤行 東京理科大学 マウス胎児歯胚は上皮組織と間葉系組織からなっており、両組織(細胞)から人工的に歯胚を再構築し、歯の製造を可能にした。しかし、ヒトを想定した場合、胎児の歯胚は必ずしも入手は容易ではない。そこで成体の口腔内細胞を用いて歯胚を構築する技術を開発中で、口腔内細胞を用い歯胚上皮組織に代替しうる実験結果を得ている。しかし歯を再構築できる頻度は40%以下である。そこで本支援を受け、1)その効率を上げる技術の開発。2)口腔内の他の部位から高頻度で代替する細胞を探索する。
324 プラズマガス化システムによる廃携帯電話の効果的処理 稲葉 次紀 中央大学 佐藤 矩正 中央大学 本システムは、プラズマを用いて、安全かつ効率的にプラスチックを主体とする廃携帯電話などの都市廃棄物を、有用なガス燃料として再利用可能なエネルギー源に変換するシステムである。これまで、プラスチック類は焼却処理されており、発生熱量は発電や給湯などで再利用されてきたが、排ガス処理等の問題が有る。本システムを用いることで、プラスチック廃棄物類から、H2、CO、CO2、CxHyなど有用なガス燃料の回収が期待できる。
326 強靭耐摩耗用DLC膜作製法の改良 田中 勝己 電気通信大学 高橋 めぐみ キャンパスクリエイト 低価格の設備投資により、炭化水素の熱分解を利用して機械的強度に優れた強靭な耐摩耗用DLC膜を、膜厚制御して材料表面上に作製する(技術内容)。現段階で我々が持つ特許技術の改良により炭化水素の分解温度を更に下げ、金属製接触部品表面にDLC膜を堆積加工し(目的、実施内容)、耐磨耗強度に優れ、画期的に使用時間の延びた工業製品を開発する技術を啓発する(目標)。
359 大口径シリコンウェーハの形状測定技術の確立 夏 恒 東京農工大学 江口 元 東京農工大学 本研究課題は、大口径シリコンウェーハの形状測定技術を確立することを目的とする。大口径ウェーハは測定時の支持によって変形するので、形状測定の再現性が低く、満足できる測定技術が未だに確立されていない。そこで、大口径シリコンウェーハの測定において避けては通れない非測定物の変形問題と、低い測定再現性の原因を明らかにし、ウェーハの変形量をFEM解析で求め、補正によりサブミクロン精度の形状測定を実現する。
368 フォスファターゼ調節医薬の開発 町並 智也 明星大学 佐野 浩 木原記念横浜生命科学振興財団 カリウムイオン包接能を有する環状糖脂質グルコリプシンは、フォスファターゼ調節活性を持ち、新規な糖尿病治療薬リードとして期待される。グルコリプシンと環状糖脂質類とのアルカリ金属イオン包接能の相似性に着目して、新規合成法により、包接能を有する各種環状糖脂質を合成し、立体構造を明らかにする。合成した環状糖脂質についてフォスファターゼ活性とアルカリ金属イオン包接能との関連性を調べるとともに、構造活性相関の研究を進める。
370 炭素系複合ナノ材料の開発 荻野 俊郎 横浜国立大学 片桐 望 横浜国立大学 炭素は、その結合様式によって、グラファイト、ダイヤモンド、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル、カーボンナノウォール、など、異なる形状と性質を発現する。本計画では、炭化水素を原料とする熱化学気相成長での成長条件の制御によって、同一基板上にこれらの異なる形態の炭素材料を作り分け、複合化させることによって、新たな機能を有する炭素系複合材料を創出する。カーボンナノチューブとカーボンナノウォール・ダイヤモンドとの複合構造を目標とする。
372 ゼオライトを出発原料とした窒化物蛍光体の開発 脇原 徹 横浜国立大学 片桐 望 横浜国立大学 本研究では各種原子が原子レベルで均一に混合されている “ゼオライト”に着目し、これをアンモニアガス中で窒化させることにより、発光中心元素の局所周辺環境が制御された窒化物蛍光体の開発を行うことを目標としている。特に、本研究ではEuイオン交換ゼオライトと各種金属元素化合物の混合物を窒化させ、新規窒化物蛍光体の作製を行う。また、合成条件を最適化させることにより200℃での発光の相対強度が室温の80%以上の蛍光体の開発を目指す。
374 ゲルテンプレート法によるナノ多孔性シリカを用いた近赤外光遮蔽材 車田 研一 横浜国立大学 北 憲 横浜国立大学 ある種の有機物質は近赤外光(波長1000nm前後)を選択的に吸収するので、それらの有機物質を必要な部位に分散するのは近赤外光遮蔽には有効な方法である。そこで本計画ではそれらの有機光フィルター性物質を今後の発展的応用が期待される高空隙率ナノポーラスシリカのナノ孔へ安定に固定化(カプセル化)することをねらう。これにより製品ポットライフおよび安全なハンドリングが保証される。申請者らは従来までにナノ孔空隙率80%の多孔質シリカを簡便・安定に作製する方法を確立している。本計画では、全シリカ重量に対して10-20%の有機光フィルター性物質をナノ孔内に安定に格納する技術の確立を目的とする。
378 多糖を利用したタンパク質/ペプチドの経口投与製剤の開発 佐藤 智典 慶應義塾大学 佐野 浩 木原記念横浜生命科学振興財団 遺伝子やタンパク質/ペプチドの生体内での安定性を向上し、細胞との親和性を付与するドラッグデリバリーシステムは次世代の製剤として注目されている。本研究ではタンパク質/ペプチドの生体内でのデリバリーを目指した微粒子作製において、経口投与に適した多糖の活用の可能性を探索する。生体適合性に優れた天然由来の多糖を利用することで、実用化が期待される経口投与可能なタンパク質/ペプチドのデリバリーシステムを構築する。
404 電解重合法による導電性マイクロファイバーの作製とスマート・アクチュエータの開発 山内 健 新潟大学 中津 普門 新潟大学 本研究では、電解重合法により導電性マイクロファイバーをワンステップで作製して、マイクロサイズの新規スマート・アクチュエータを開発することを研究目的としている。この手法を開発することで、無機化合物や生体関連物質などを複合化したマイクロファイバーの作製も可能となり、外部刺激に応答して機能するセンサ(人工感覚器)やアクチュエータ(運動素子)などの生物模倣デバイスの開発が期待できる。
420 流動性複雑流体の平面伸張粘度測定法の開発 白樫 正高 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 フィルム加工,コーティング,液晶ディスプレイの製造等では高分子や液晶などの複雑流体を原料として薄い膜を一方向に引き延ばし厚さを減少させるような流れ(平面伸張流)が使用される.この流れを予測し制御するには変形と張力の関係を規定する平面伸張粘度が必要であるが,市販の測定機は存在しない.本研究は,市販の粘度計に部品を追加するだけで複雑流体の平面伸張粘度を測定する手法を確立し,装置を開発することを目的とする.
421 環境浄化機能を有する新規添加型酸化セリウム光触媒の開発 斉藤 信雄 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 光触媒は有害物質の除去やエネルギー創成などの幅広い分野において近年、盛んに研究されている。本申請者は最近、異種元素を添加した酸化セリウムが水分解反応に対し、高い光触媒活性を持つことを新たに見出した。光触媒においては、高い光触媒活性を持つことはもとより、毒性の低い化合物で構成されることが求められる。本申請課題では、この2つの機能を兼ね備えた添加型酸化セリウム光触媒を用い、環境中の有害物質の除去を目指す。
424 ナノマトリックス構造形成による天然ゴムの高機能化 河原 成元 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 耐熱性、耐油性、耐候性に優れかつ弾性と粘性という二律背反の性質を相乗的に両立するソフトマテリアルを創製することを目的とする。厚さ数nm〜数十nmのガラス状高分子または結晶性高分子のマトリックスに平均直径1mm程度の天然ゴムを分散した熱力学的に非平衡なナノマトリックス構造を形成すること検討する。マトリックスである少量ポリマーの耐熱性、耐油性、耐候性および剛性と多量成分であるエラストマーの粘弾性とを兼ね備えることにより、高機能制振材料を作る。
427 異種積層材料の精密成形・切断法の開発と展開 永澤 茂 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 本研究では,くさび刃の押抜き加工において切刃に微小な上下・左右の2方向振動を付加し,励起振幅条件が異種積層材の切断性に及ぼす影響を明らかにすることを目的として,既存の法線(横)揺動励起式装置に対してまず接線揺動励起式装置を新たに追加して2自由度軌跡励起を実現する.これらを用いて異種積層板材の切断・曲げ成形に対して,精密加工性能を実験的に解析するものである.
450 紫外線反射防止サングラスレンズ開発とその効果の実証 小島 正美 金沢医科大学 増田 浩子 金沢医科大学 太陽紫外線による眼疾患には急性で一過性の角・結膜傷害と長期曝露による翼状片や白内障が知られている。眼の健康維持にはこれらの有害光線を出来るだけ浴びないことが重要とされている。本課題は最大で100%に達する紫外線のレンズ裏面反射に焦点を当て、眼内に進入する紫外線、青色光をレンズ特殊裏面反射防止コートにより減少させることで加齢性眼疾患の予防、軽減が可能なサングラスレンズを試作しその効果を確認する。
522 カーボンナノチューブと金属からなる金属繊維とその樹脂複合材の開発 宋 星武 信州大学 藤井 國久 信州大学 本研究ではCNTと金属を複合化した繊維をさらに母材と複合化することでCNTと金属の物性の両方を利用することにより新しい母材強化用フィラーとしての適用を目的し,第1ステップとしてCNT高含有金属フィラーを開発し,次に母材と複合化させ諸特性の調査と応用分野への実証を行う.
538 色素増感型フレキシブル太陽電池の高性能増感剤の開発 松居 正樹 岐阜大学 荒賀 年美 岐阜大学 酸化亜鉛色素増感太陽電池用の増感剤を開発する。有機色素増感剤として、現段階ではインドリン色素が最高の性能を示すことがわかっている。本研究では、インドリン骨格を有する色素の精密合成、長波長化、および分子の構造改変によって、増感剤としての最適化行い、高変換効率インドリン色素を開発する。
540 脱塩系粒子分散液を用いるエレクトロレオロジー流体の開発 木村 浩 岐阜大学 荒賀 年美 岐阜大学 本研究は電場の印加・除去への応答性が極めて優れ、かつ粒子の分散安定性の良いエレクトロレオロジー(ER)流体の開発を目的とする。本目標のER流体が開発できれば、ミリ秒レベルで電場のON・OFFに可逆的に応答する電気-力学変換素子としての種々の実用化が期待できる。具体的には、申請者らが見出した分散安定性が極めて良い脱塩系の粒子分散液をベースにして、脱塩度合いと分散させる粒子組成について系統的に検討し、実用開発に移行し得る優れたER流体を開発する。
543 α−マンゴスチンのオプティマイゼーションとガン細胞アポトーシス誘導活性 飯沼 宗和 岐阜薬科大学 前田 喜朗 科学技術振興機構 ガン疾患の予防、再発防止、既存の抗ガン剤との相乗効果に資する伝承薬物を広く世界に求め今日まで探索研究を続けてきた。その研究成果として、オトギリソウ科植物マンゴスチン(東南アジア産する樹木で、その果実は果物の女王といわれている)果皮のエキス(主成分はキサントン誘導体:α-マンゴズチン及びγ-マンゴズチン)にヒト由来の数種ガン細胞に対して、アポトーシス誘導活性、自然免疫力増強活性、抗ガン剤との相乗効果等が認められた。α-マンゴズチンをプロトタイプとして、その各種誘導体を合成し、医薬品候補のオプティマイゼーションについて検討する。
579 水ガラスを用いた有機ー無機複合材料の開発 井上 眞一 愛知工業大学 今井 淳夫 愛知工業大学 有機高分子化合物の特性(強靭性、耐熱性および耐候性など)の向上手段として、無機化合物との複合化は非常に重要である。とりわけブレンド手法ではなく、無機化合物を有機高分子化合物の結合内に導入する分子レベルでの複合化が重要である。本研究は安価な水ガラス(ケイ酸ナトリウム水溶液)から酸分解・有機溶媒抽出によって得られるシラノールを用いて有機高分子化合物(ポリウレタン化合物など)との分子レベルでの複合化により耐熱性の向上を行うものである。
586 高保水性樹脂の開発に関する研究 山本 敦 中部大学 木本 博 中部大学 本研究では水分の保持力が強く、しかも物理的な強度を持った基材を開発し、これを導入した繊維状樹脂を、高親水性揮発性物質のための高機能性吸着剤としての基礎評価を行なう。ここで作成した樹脂は、フィルタ材質の表層として応用展開すれば室内空気中の親水性の高い有害物質や悪臭成分の捕集剤として、また壁紙やカーテンの素材とすれば湿度調整機能性の用途が期待される。
608 荷電コロイド結晶を用いた大型・高品質フォトニック材料の開発 山中 淳平 名古屋市立大学 羽田 裕 名古屋産業科学研究所 本課題では、本代表研究者らが最近見出した、一方向加熱による大型・高品質コロイド単結晶の作成原理に基づき、当該単結晶をフォトニック結晶として実用化するための試験研究を実施する。具体的には、 (a)回折波長:可視光領域(400〜800 nm)の任意の値、(b)回折波長の空間均一性:標準偏差0.1%以下、(c)回折効率:99.5 %以上、(d)結晶端面に結晶格子面が平行に配向、の諸特性を持ち、かつ(e)単結晶サイズ:1cm×1cm×4cm以上のコロイド結晶を、(f)数十分以内に作製することを目標とする。
610 新しい可視光応答型光触媒の開発に関する研究 鈴木 憲司 名古屋大学 安田 匡一郎 中部科学技術センター 太陽エネルギーを有効に利用するために可視光応答型光触媒の開発が求められている。ブラウンミラライト型複合酸化物であるカルシウムフェライト(Ca2Fe2O5)粉末をメチレンブルー水溶液に分散し、可視光のみの照射で、濃青色から淡青色へに脱色することを確認した。また、反射スペクトルから求めたCa2Fe2O5の吸収端は633nm(1.96eV)であり、可視光応答型光触媒として有効であることが確認された。本研究では、ブラウンミラライト型複合酸化物であるカルシウムフェライトの可視光応答型光触媒への実用化を図る。
611 ブロック共重合体パターンを鋳型とした微細造形技術の開発 関 隆広 名古屋大学 安田 匡一郎 中部科学技術センター ブロック共重合体が形成するミクロ相分離構造は、光や電子線リソグラフィーの高価な装置を要せずして数10nmサイズレベルの規則パターンが自発的に形成されるため、高分子ナノテクノロジー分野における新たな展開が切望されている。当グループでは、水面展開単分子膜系において、平面に大面積にて再現良く規則パターンを形成する手法を開発した。本研究は、この規則パターンを鋳型に用いて、安価な真空紫外光照射装置にて汎用高分子膜に数10 nmの微細な造型を施す手法の開発と確立を試みる。
613 発光性色素 / 粘土ハイブリッド固体材料を用いた温湿度センサーの開発 笹井 亮 名古屋大学 安田 匡一郎 中部科学技術センター 本研究課題では、無機固体ホストとしてカチオン交換性粘土を用い、その二次元ナノ空間へ”発光性色素”と色素間の分子間相互作用による発光消光の抑制を担う"短鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩"を共包接することで『層間の水分量に依存した単量体発行量子収率をもつ固体材料』を創製し、発光型湿度センサーへの実用を目指す。また、近年問題となりそのオンサイトでのセンシングが必要とされている各種有害有機化合物の吸着に伴う発光性色素の発光量子収率変化について精査することにより、湿度にとどまらず多くの有機化合物をセンシング可能な発光型センサーの開発も目指す。
626 ノーマリオフ型 GaN MOSFET の開発 水谷 孝 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 ノーマリオフ型GaN FETは高周波、高耐圧、高出力で動作するトランジスタとして期待が高い。しかし従来のデバイスでは寄生抵抗が大きい、オン電流が小さいという課題を有していた。本研究ではこの課題を解決する方法として新たに提案したゲートオーバーラップ構造MOSFETによりゲート順バイアス電圧の増大を図るとともに、これにより寄生抵抗の低減・オン電流の飛躍的増大を実現する。
634 多孔質ナノ微粒子凝集体の調製と触媒の展着・高分子材料への分散 棚橋 満 名古屋大学 近藤 良治 名古屋大学 各種高分子材料中への触媒の新規均一分散技術の開発を目的とした研究である。シリカナノ粒子の水溶液分散系(コロイダル水溶液)の安定度を制御することにより、広大な比表面積を有する多孔質シリカナノ粒子凝集体を調製する。このシリカ凝集体の表面に触媒機能を有する種々の金属酸化物を展着し、溶融混練法により、この触媒担持シリカ凝集体を各種高分子材料中で破砕・分散させる。このようにして、通常の高分子材料にない優れた特性を有するポリマーコンポジットを簡便に調製するプロセスの確立に取り組むと同時に、調製したコンポジットの各種特性評価も実施しコンポジット材料の用途探索も試みる。
641 フレキシブル透明磁性ナノコンポジット材料の開発 余語 利信 名古屋大学 近藤 良治 名古屋大学 分子設計した金属−有機化合物前駆体を出発原料に用いて、in situ合成法により、ナノ粒子の結晶性と粒径を制御し、ポリマーマトリックスと化学結合を生成させ、凝集と光散乱を防止することにより、透明でフレキシブルな磁性膜を調製する。特に、マトリックスポリマーの3次元構造、分子量および吸光係数を制御して、成形性とともにその機械的強度を向上させ、フレキシブルかつ磁性透明ナノコンポジットの磁気光学材料としての製造法を確立する。
663 バクテリアセルロース・コンポジットの流動誘起構造の解析と成形技術への応用 千葉 訓司 滋賀大学 宇佐美 照夫 滋賀大学 デザートなどの食材「ナタデココ」に含まれるバクテリアセルロースと呼ばれる極細繊維のシートに樹脂を注入すると、複合材料として優れた強度特性を発揮する。更に、紙のように曲げられる次世代の薄型ディスプレイの基板にもなり得る可能性がある。この有望な複合材料を有効に利用するためには、ナノファイバーの構造を用途に応じて制御する成形技術が不可欠であり、この試験研究では、ナノファイバーの流動誘起構造を制御するための基本的な知見を得ることを目的とする。
667 ライフサイエンスのためのナノバイオエレクトロニクスの開発研究 磯野 吉正 立命館大学 工藤 真弓 立命館大学 本研究目的は、MEMS技術およびナノ加工技術を用いて「電界効果トランジスタ(FET)型ナノバイオデバイス」を開発することにより、同デバイス内で生じる抗原抗体反応を電荷信号として検知する、新規なラベルフリー・タンパク分析技術を確立することである。
本研究で提案するデバイスは、新規なライフサイエンス・ツールとして活用できるだけでなく、将来のバイオエレクトロニクスへの発展も期待できるデバイスである。
668 牛乳をベースとする新規機能性調味液の製造法の開発 若山 守 立命館大学 松田 文雄 立命館大学 食は生の源であり、健康な生活を送るうえで最も基本となるものである。近年、食に対して、美味しさはもちろんのこと、基本としての栄養に加えて付加的な機能を付与した機能性健康食品が人気を集めている。本応募課題では、生産調節が難しく、余剰生産においては廃棄処分せざるを得ない状況にある牛乳の有効活用技術として、牛乳をベースとする発酵調味液の生産法の開発を行うことを目的としている。牛乳をベースとすることにより、これまでにない風味を持つと共に、牛乳に含まれる機能性成分を十分に保持した日本発の西洋料理に適した機能性調味液を創出することを目標にしている。
688 一次元ホール輸送材料としての色素修飾アミロース-ヨウ素包接錯体の開発 森末 光彦 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 従来の色素増感型太陽電池では、還元剤として使用されるヨウ素の拡散過程を伴いながらバルク電解質溶液中をホール輸送することで増感色素の還元を行っていた。ここではヨウ素を配列させることによって、ホール輸送の高効率化を達成することを目標とする。 第一段階として本研究ではヨウ素がアミロースの螺旋構造に包接されて一次元に配列する「ヨウ素-デンプン反応」として知られる着色反応に着目し、太陽光の受光部位となる色素を修飾したアミロースを新規に合成し、 これとヨウ素との包接錯体の組織化を行う。
708 伝統織物手法を用いたウェアラブル回路構成法の検討 黒田 知宏 大阪大学 河島 俊一郎 科学技術振興機構 近年様々なウェアラブル情報システムの提案・構築が行われているが、機器間の配線や無線通信用電源装置の重量などのために必ずしも容易に装用できるようにはなっていない。ウェアラブル機器実用化のためには、布上に実現された電気配線上に個別機器を設置することで、衣類と一体化した機器とする必要がある。本研究では導電性・非導電性の繊維と伝統織物の技法を適用して布自身に自由に回路を織り込める技術の確立を目指す。
714 光機能分子における励起ダイナミクスの精密解析と理論テクノロジー 江原 正博 京都大学 是成 幸子 京都大学 次世代の発光素子として期待される有機EL分子の光電子過程について、精密な量子化学理論に基づく研究を行い、光励起ダイナミクスと光物性との相関を明らかにし、新規の高効率な光機能分子を理論設計する。また、生体光化学センサーとして有用な蛍光プローブ分子の光電子過程とその溶媒効果を明らかにし、蛍光発光の定量的な理論制御を行う。
719 ハイパワーリチウムイオン電池用CNF-酸化物複合負極材料の開発 安部 武志 京都大学 是成 幸子 京都大学 ハイブリッド自動車用リチウムイオン電池には、高出入力特性と高サイクル特性が求められる。これらの要求を満たすため、静電噴霧熱分解法を用いて1ステップで数十〜数百ナノメートルサイズの酸化物微粒子をカーボンナノファイバー上に析出させた複合負極材料を開発する。この複合負極材料によれば、リチウムイオンの拡散パス、電荷移動抵抗および電極の電子抵抗を同時に低減し、電池の高出入力化を図ることができる。また、酸化物として高電位を示すものを用いることにより、電解液の還元分解を抑制し、長寿命化も図る。
744 太陽熱エネルギーを利用した熱音響冷却システムの基礎検討 坂本 眞一 同志社大学 蔵野 慎介 同志社大学 熱エネルギーと音エネルギーの相互変換現象である熱音響現象を応用し、太陽熱エネルギーを利用した熱音響冷却システムの基礎検討を行う。本システムは新たに電気エネルギーを投入すること無く、また、非常にシンプルで耐久性の高いものとなる。本試験研究では、太陽光エネルギーをシステムに入力し、駆動させる方法の検討を行う。@太陽熱エネルギーを集める方法:集光パネルやレンズの設計、A太陽光エネルギーを入力させる方法:熱交換器の設計、を確立する。その方法を用い、B試作システムを駆動させることを目標とする。
745 合成同時焼結による高強度を有する緻密なサイアロンセラミックスの開発 廣田 健 同志社大学 中尾 敦信 同志社大学 サイアロンセラミックスは高強度、高硬度、耐熱性、耐食性等の秀れた特性を有するが、難焼結性であるため緻密な材料が得られにくい。また、絶縁性であり、密部品作製用の放電加工が採用できなかった。本研究では、合成同時焼結法により混合原料粉体から直接サイアロンを合成し、かつ、電気伝導性の高いカーボンナノファイバー(CNF)をサイアロンマトリックス中に均一に分散させて、上記課題を一挙に解決するものである。
754 帯電臓器に対するMRI造影剤の最適投与システムの開発 池田 耕士 関西医科大学 大野 安男 科学技術振興機構 MRI検査で用いる造影剤の造影効果は臓器の荷電状態が関与している可能性がある。例えば陽性に荷電した内耳器官である蝸牛は造影剤の血管透過性に影響を及ぼしているという仮説が提唱されている。本提案では荷電状況の異なる造影剤を用いてモルモットおよび健常ヒトの蝸牛を撮影し、造影挙動の変化を検討する。帯電臓器に対する安定した造影MRI検査法のデータベースを構築することが将来の目標である。
757 多孔質アノード酸化膜を利用した脱臭触媒材の開発 藤野 隆由 近畿大学 阿部 敏郎 科学技術振興機構 アノード酸化皮膜の膜厚を自在に制御でき、300mm以上の厚い膜を短時間で形成可能な技術で、10m2/g以上の多孔質で大表面積を有する皮膜の作製に世界で初めて成功した。この皮膜を交直ハイブリッド二次電解することで、孔中にマンガンやルテニウムなどの金属の任意量を析出させることができ、その後、熱処理することで高性能脱臭剤の開発が可能となる。
762 生分解性フォトニック結晶の開発とナノリリザーバーデバイスへの応用 藤島 武蔵 近畿大学 松本 守 近畿大学 フォトニック結晶のひとつである反転オパール型多孔質体を生分解性高分子を用いて作製できることが明らかとなっている。この生分解性フォトニック結晶は、サイズ制御されたマクロ孔の3次元周期配列構造により、特定波長の電磁波を回折する性質(構造発色性)を有する。本研究では、新規に生分解性・生体親和性に優れた生分解性フォトニック結晶を作製し、光機能をもつナノリザーバーデバイスへと応用する。
796 多孔性中空炭素シェルに内包させた金属ナノクラスター触媒の合成 池田 茂 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 本研究では、代表研究者が最近独自に見出した新しい固体触媒の形態であるPtナノクラスター(PtNC)を内包する多孔性中空炭素の合成手法を、十分な収量が得られる方法に転換するとともに、さまざまな金属ナノクラスターに拡張することで一般化を図る。これにより、凝集不安定で、かつ回収再使用が不可能であった金属ナノクラスター触媒を、安定で回収再使用が容易な有機合成用の固体触媒へと変換させ、汎用性ある新規固体触媒ライブラリ構築のための基礎技術を確立する。
821 磁気的機能を付与した均一分散金属ナノ粒子含有コーティング樹脂材料の開発と応用 山内 智央 大阪大学 樋口 堅太 大阪大学 ナノ粒子の粒径制御や、凝集なく高分子樹脂中に高分散させることは非常に困難であり、簡便な方法で金属ナノ粒子が均一分散したポリマー系ナノコンポジット材料が求められている。当グループ゚は、マイクロ波加熱による金属ナノ粒子の迅速かつ簡便な合成法や粒径制御された単分散ナノ粒子合成に関して多数報告してきた。今回、それらの知見を活用することで、導電性、磁気的特性を必要とする電子材料用途へのポリマー系ナノコンポジット材料において応用を図る。
828 高機能・高活性を有する金属/TiO2ウニ状微粒子光触媒の開発 日置 亜也子 大阪府立産業技術総合研究所 武井 廣見 科学技術振興機構 申請者らはこれまでに、針状TiO2微粒子の一端を一点に束ねた構造(ウニ状構造)を有する高活性微粒子光触媒を開発している。本研究では、これに金属ナノ粒子を複合化させて、1. より高い触媒活性(複合化による触媒活性 20 %向上)、2. より大きい体積(より小さい粒子密度)(粒径1〜10μm程度)を有する高ハンドリング性、という相反する特長を有する金属/TiO2ウニ状微粒子光触媒を開発し、大気・水質浄化材への利用を目指す。
838 キシロース及びその重合体を代謝する休眠遺伝子発現菌株の育種 岸田 正夫 大阪府立大学 下田 忠久 大阪府立大学 農産及び木質廃棄物のバイオエネルギーなどへの再資源化にはセルロースと並んで多量に含まれるキシロース及びその重合体を代謝できる微生物の育種が重要である。酵母菌のゲノム上にはペクチン分解酵素の休眠遺伝子の存在が示唆されており、キシロース及びその重合体を代謝する酵素群についても休眠遺伝子として持つ微生物の可能性が示唆される。本研究ではこれらのキシロース及びその重合体代謝酵素の休眠遺伝子発現突然変異体を育種し、有効活用することを目的とする。
847 超臨界二酸化炭素を用いた新規な高機能性化粧品の設計 綿野 哲 大阪府立大学 巴月 康彦 大阪府立大学 本研究では、超臨界二酸化炭素を用いて、化粧品に使用できる基材粒子の微粒化と、無機・有機系紫外線遮蔽剤との複合化、さらに、抗酸化作用、消炎・抗炎症作用、保湿などに有効な種々の有効成分のナノカプセル化などの複合化を試みるとともに、複合化のメカニズム、粒子物性の制御法などに関する科学的な検証を行う。さらに、本手法により設計された複合化粒子の化粧品としての特性を評価し、高効率な製造方法の確立を目指す。
849 貴金属・磁性体複合型ナノ触媒の開発 水越 克彰 東北大学 武井 廣見 科学技術振興機構 超音波還元法を用いて貴金属イオンを還元し、微小かつ均一な粒径分布を有するナノ粒子として磁性酸化鉄の表面に固定化して、高活性を示す触媒の調製を行う。磁場によって回収した触媒の活性を再度評価し、繰り返し使用においても高活性を維持できる触媒の開発を目指す。
870 キャリヤー輸送膜とガス吸収法のハイブリッド化による高効率ガス分離法の開発 松山 秀人 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 透過物質と選択的に反応する物質(キャリヤー)を組み込んだキャリヤー輸送膜は、ヘモグロビンの酸素輸送に代表される生体機能を模倣した機能性膜であり、極めて高い選択性と透過性を示す。例えば燃焼排ガス中のCO2を分離・回収する場合、CO2と選択的に反応するアミン類をキャリヤーとして用いると、CO2の効率的な分離・濃縮が達成できる。ここでは、中空糸膜(キャピラリー膜)を多数束ねたキャリヤー輸送膜を用い、ガス分離系への適用を検討する。
875 生体自己組織化構造リポソームの高収率生成法の開発 鈴木 洋 神戸大学 中井 哲男 神戸大学 本研究では生体自己組織化構造であるリポソームの高収率生成法を確立する.リポソームはリン脂質膜に空洞を有し,この構造を利用してドラッグデリバリーシステムへの応用が期待されている.その目的のためには,毛細血管を流動させるためのリポソームサイズが限定的に求められる.しかしながら,従来のリポソーム生成法では,サイズ分布が広く,要求されたサイズに対する収率が非常に低い.本研究では,サイズを制限するマイクロ流路内での生成法を確立し,高収率リポソーム製造法に関するシーズを確立するものである.
882 インクジェットプリンター用フォトクロミック色素の開発 山口 忠承 兵庫教育大学 大内 権一郎 神戸大学 可視光や紫外光照射によって可逆に色が変化する材料はフォトクロミック材料と呼ばれている。中でも有機材料であるフォトクロミックジアリールエテン誘導体は、光照射によって着色と消色の反応を1万回以上繰返すことの可能な材料である。現在、学術的研究は盛んであるがこの材料の実用化は進んでいない。本課題では、実用化に向けて紙媒体に親和性を持つ水溶性フォトクロミック染料への材料転換技術に関する研究を行う。
886 カーボンナノチューブを用いた高発電効率燃料電池電極の開発 佐野 紀彰 兵庫県立大学 山口 學 兵庫県立大学 固体電解質型燃料電池に用いる電極を,カーボンナノチューブを用いて作製する。特に本研究では,カーボンナノチューブの表面にPtナノ粒子を担持させる技術を開発する。カーボンナノチューブの成長条件およびPtの担持の条件を最適化し、Pt質量あたりの発電効率が従来のPtナノ粒子担持炭素粒子を使用した電極と比較して約100倍以上になるように向上させることを目標とする。
887 セルロースナノファイバーで木材由来熱硬化樹脂を強化したバイオマス複合材 岸 肇 兵庫県立大学 山口 學 兵庫県立大学 再生可能であり二酸化炭素排出削減に寄与する植物バイオマスの有効利用が求められている。本研究では木質バイオマスを原料に用い合成した樹脂をバイオマスファイバーにて強化した複合材を創出する。より詳細には、木質バイオマスの特定成分を単離処理せず全成分を樹脂原料に用い、そのバイオマス由来樹脂をセルロースナノファイバーにて強化し、バイオマス成分を6割以上含有する高強度・高剛性グリーンコンポジットを目指す。調製された複合材は、高付加価値なバイオマス材料になると期待する。
895 高い親和性を有する蛍光性亜鉛イオンキレーターを用いる生細胞解析 三方 裕司 奈良女子大学 藤野 千代 奈良女子大学 近年、生きた細胞内に存在する情報伝達物質を蛍光で検出するためのプローブが盛んに開発されている。情報伝達物質の動態を高い空間分解能と高い時間分解能で測定するためには、目的にあった化合物の合成研究と、蛍光顕微鏡を駆使した研究との融合的な取り組みが不可欠である。本研究計画は、申請者の合成化学的知見を活かし、生物学者との共同研究により、細胞内での複雑なダイナミズムを高い空間および時間分解能で視覚化するプロジェクトである。
900 蛋白質活性状態の新規構造解析法の確立と基盤整備 上久保 裕生 奈良先端科学技術大学院大学 戸所 義博 奈良先端科学技術大学院大学 蛋白質の機能を解析する為には、溶液条件下で生じる蛋白質の動的構造変化を明らかにすることが本質的である。X線溶液散乱測定法は、溶液中に存在する蛋白質の構造情報を抽出することができる手法として、古くから活用されてきた。しかしながら、従来、解析に用いることができる散乱曲線は、原点近傍の小角領域に限られており、空間分解能の制限から蛋白質の骨格構造を解析することは不可能であった。本研究では、特に、蛋白質の生理機能発現過程に注目することにより、蛋白質の生理活性状態の骨格構造を解析する、全く新しい手法を確立し、その応用を可能とする基盤を整備していくことを目的とする。
1008 遺伝子発現データの視覚化によるオーダーメイド医療の実現に関する研究 宮本 貴宣 山口大学 森 健太郎 山口大学 本研究は、American Association for Cancer Research 97th Annual Meetingにおいて公表したマイクロアレイの可視化手法の利用に関するものである。本可視化手法を利用することで疾患の予後予測(たとえば、癌の1年以内の再発予測)を実現することが可能になると考えられる。GUIベースの疾患の予後予測システムを構築することで、情報工学の専門知識のないものであっても操作できるシステムを提供する。
1024 機能性シリカナノ粒子を用いた放射線変色材料シートの開発と応用 三好 弘一 徳島大学 土取 孝弘 テクノネットワーク四国 病院等の医療現場や原子力発電所の作業現場などで、不用意な放射線被曝を防止するために、0.01Gy程度の低線量放射線をリアルタイムに、かつ広い面積で検出できるものを開発しようとするものである。具体的には、今回開発しようとしている「機能性シリカナノ粒子」が放射線に照射されると化学変化で金微粒子を生成させ着色することを利用して、放射線の存在を検出しようとするものである。なお、この機能性シリカナノ粒子をシート面に塗布できるようにすることにより、大きな面積を有する場所でも検出が可能となる。
1109 銀含有多機能高付加価値ハイブリッド材料の開発と応用 米村 俊昭 高知大学 島崎 たどる 高知大学 これまでの材料開発の多くは、作用機序の違いから、複数の機能を持たせるためには別々の物質を利用せざるを得なく、さらに加工法や耐久性に制限があることも製品開発の大きな課題となっている。我々の開発した銀含有ハイブリッド材料は、これらの問題点を改善し、微量で効果を発揮し、長寿命で、複数の機能を兼ね備えている。本研究では、これまでに開発したハイブリッド材料に改良を施すことにより、 性能や利便性の向上を図るとともに、様々な材料への加工性について検討する。
1137 生体挿入型生体レドックス計測共振器の開発 市川 和洋 九州大学 山本 英樹 九州大学 本研究では、局所生体レドックス(酸化還元状態)を非・低侵襲的画像化するために、生体挿入型生体レドックス計測用共振器の開発を目的とする。具体的には、生体挿入に適した共振器の共振方式の検討、最適被覆材料の探索、感度・形状特性解明を行なう。また、これら検討に基づき製作した共振器を動物モデルへ応用し、その有用性を検証する。本共振器は、生体への留置・挿入により局所生体レドックス評価を可能とし、胃潰瘍あるいは消化器系のレドックス疾患局所解析などへの応用が期待される。
1149 細胞センシング機能を有する糖鎖修飾金ナノ粒子の開発 北岡 卓也 九州大学 深見 克哉 九州大学 糖鎖は細胞の接着・分化誘導・免疫等に関わるシグナル伝達を司り、生体システムにおいて重要な役割を果たしている。この糖鎖機能を生体外で利用するには、1つでは弱く特異性の低い相互作用を増幅させる「糖鎖クラスター化」が必須である。我々は、構造性糖鎖β-D-Glc1→4-D-Glcユニットの合成とAu(111)表面への集密化について独自技術を有している。これを駆使して、構造性糖鎖素子を介して生体機能糖を密に表面修飾した金ナノ粒子を合成する。これにより、糖鎖との相互作用で細胞をその場センシングする新規ナノバイオセンサーを開発し、細胞工学分野で薬物アッセイ等に有用な新材料創出を目指す。
1152 新規ポルフィセン光増感剤の合成とハイブリッド触媒の開発 嶌越 恒 九州大学 西川 洋行 九州大学 一重項酸素は、有機合成反応や光線力学療法(PDT)など様々な用途に用いられており、高効率な一重項酸素発生試薬の開発は学術的にも産業的にも高ニーズな研究課題である。本研究では、一重項酸素の発生剤として、可視部に強い光吸収帯を有するポルフィセンに着目し、ポルフィセン環骨格に様々な置換基を導入すること及び金属と錯形成(Pd, Zn など)させることで、可視光照射でほぼ100%の量子収率を示す光増感剤等を開発する。
1162 ナノチューブ状シリカの効率的な製造に関する研究 野見山 加寿子 福岡県工業技術センター 山口 雅裕 福岡県工業技術センター 界面活性剤と芳香族化合物とが、水中で形成するひも状分子集合体をシリカ合成の鋳型とすることにより、ナノ細孔をもつチューブ状シリカを製造する。これまでは、大量合成を試みた際に、得られるシリカの収率や比表面積等の特性が安定しなかったため、応用展開への妨げとなっていた。合成段階での鋳型となる分子集合体の安定な生成条件、シリカ前駆体との最適な反応条件を明らかにして、ナノチューブ状シリカの効率的な製造方法の確立を目指す。
1166 有機溶剤を用いないナノ分散塗装システムの開発 三島 健司 福岡大学 坂本 弘明 福岡大学 有害なトルエンなどの有害化学物質(VOC)を大気中に大量に放出する従来の塗装技術と異なり、超臨界二酸化炭素をトルエンに代わる機能性溶媒として利用することで、VOCの劇的な削減を可能とする超臨界二酸化炭素ナノ塗装技術を開発する。本研究では、超臨界高速攪拌技術を塗装技術として活用することで、トルエンなどの有害有機溶媒を利用しない環境にやさしい塗装技術が開発され実用化が可能となる。
1195 電気化学−触媒ハイブリッドに基づく飲料水用硝酸性窒素浄化技術 町田 正人 熊本大学 水野 優子 熊本大学 高分子固体電解質膜/電極複合素子への通電によって、電極触媒表面に活性な水素種を生成させ、その還元作用を利用して、飲料水(地下水)中に含まれる有害な硝酸性窒素を選択的に窒素ガスへと浄化する。反応機能および触媒作用に及ぼす通電効果のメカニズム解析と電極触媒のナノ構造設計を通して浄化性能を向上し、阻害因子の解決を図る。世界中で待望される小型、低コストの浄水器への応用を目指したメンブレンリアクタの基礎を確立する。
1197 カーボンナノチューブ合成基板電極を用いた直接電子移動型バイオ電池の作製 冨永 昌人 熊本大学 水野 優子 熊本大学 生体分子(タンパク質や酵素)と電極間の直接的な電子移動反応において、カーボンナノチューブ(CNT)が優れた電極として機能することを見いだしつつある。しかしながら、その再現性と安定性に未だ問題がある。本研究では、再現性の良さと安定性を兼ね備えた酵素固定化CNT基板電極を作製することで、高出力な直接電子移動反応型酵素電池を開発する。課題達成により、アウトプット電位の大幅なロスのないバイオ電池、生体内の各種酵素を用いた様々な酵素センサーの開発に応用できる。
1220 過酸化水素によるアルケン類の高性能エポキシ化光触媒の開発と応用 白上 努 宮崎大学 石川 正樹 宮崎大学 エポキシ化合物は様々な有機合成材料の中間体として大変重要な化合物である。工業的にはアルケン類からの塩素法並びに有機過酸化物法による合成法が主流であるが、環境リスクの面から考慮すると、今後は脱塩素あるいは脱過酸化物による合成方法の確立が早急に望まれている。申請者は過酸化水素を酸素源とするシクロヘキセンの高選択的エポキシ化反応を誘起する可視光触媒の開発に成功している。本研究では、開発した光触媒系を用いて付加価値の高いエポキサイドの合成への適用を検討し、実用化を指向した高性能エポキシ化光触媒プロセスの構築すると共に、Eファクターの低い環境に配慮したエポキサイド合成法の開発を目指すことを目的とする。
1230 ナノ・マイクロ粒子を混合した高熱伝導・電気絶縁性樹脂材料の開発 小迫 雅裕 鹿児島工業高等専門学校 中原 義毅 鹿児島工業高等専門学校 本課題は、熱伝導性および電気絶縁性の双方を同時に向上させることができる新しいポリマー複合材料の開発を目的としたものである。ポリマー材は汎用的なエポキシ樹脂を選定する。通常のミクロンサイズの無機フィラー高充填エポキシ樹脂にナノサイズの無機フィラーを少量添加することで、複合材料の熱伝導率と絶縁破壊強度の大幅向上を目指し、試料創製(フィラー種類および配合率の検討)および特性評価を一貫して実施する。
1247 絶縁基板上薄膜トランジスタのための製膜と結晶化後の基礎評価に関する研究 野口 隆 琉球大学 伊良部 忠男 琉球大学 要素研究として、製膜およびその解析評価技術を確立をする。また、TFTの高性能化(チャネル、電極)のための熱、レーザー、結晶化実験を、外部研究機関の協力を得て推進する。特に、製膜と熱処理の基礎データ取得に注力し、その後の素子研究の土台とする。具体的には、製膜装置や実験装置など導入、準備しつつ、高純度のアモルファスSi製膜、Si中への不純物のドーピング、結晶化後の電気的特性と結晶性の解析を行ない、素子性能に関連する条件、基本的な導電機構と結晶化との関連などについて検証する。

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 表面加工、成膜:36件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
10 バイオアルコールによるAl合金の腐食挙動とその防食表面技術の開発 世利 修美 室蘭工業大学 加賀 壽 室蘭工業大学 自動車用エネルギーとしてのバイオアルコールによるエンジン部材等の自動車部品の腐食劣化が指摘されている。アルミニウムの腐食に対しては、表面の不純物金属間化合物が有害である。この金属間化合物相の除去がアルミニウムの防食に一義的に有効である。本研究はアルミニウム部材の防食技術の実用化を目指す視点から、バイオアルコールによる腐食反応のメカニズムを実験的に調べ、その発生条件を解明し、劣化防止のための実用的な表面処理技術の研究開発を行う。具体的には、アルミニウムの表面皮膜を不連続にしている金属間化合物を選択的に除去し、表面に陽極酸化皮膜あるいはめっき処理を施し防食する。上記の方法を複合化し、アルミニウム表面の耐バイオアルコール防食技術に関する実用化の見通しを得る。
43 耐摩耗性向上を目指した新規熱プラズマCVD法によるTiN−基板上への硬質酸化物コーティングの技術開発 清野 肇 北海道大学 佐藤 完二 科学技術振興機構 金属切削工具において,環境問題や高効率化の観点から高温(〜1000℃)での性能維持が課題となっており,工具表面のTiNコーティングへの高温酸化対策が求められている.本研究では切削工具の耐熱性向上を目的に,熱プラズマCVD法においてアルコキシドを前駆体,水蒸気を酸化剤として用いることで, TiN膜を酸化させずにその上に遮熱および耐酸化性能を持つ硬質酸化物をコーティングする技術の確立を目指す.
87 固体電解質膜作製のためのドライプロセス技術の開発 阿部 良夫 北見工業大学 内島 典子 北見工業大学 電子機器の超小型エネルギー源として期待される薄膜バッテリーや薄膜スーパーキャパシタには、高イオン伝導性の固体電解質膜が必須である。本研究では、代表的なドライプロセス技術であるスパッタリング法において、水蒸気を反応ガスとして用いることで、プロトン伝導性のTa2O5固体電解質膜を作製する。
99 医療用樹脂基材への新規多層構造DLC薄膜コーティング 中澤 日出樹 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 体内で使用される医療用樹脂製器具の開発にあたり、材料に生体適合性、すなわち生体組織や血液との低い反応性、および優れた表面潤滑性・耐摩耗性を保持させることがきわめて重要な課題である。本研究では独自に開発したプラズマ化学気相成長装置を用いて、樹脂など熱に弱く変形しやすい基材に対し、新規に開発したダイヤモンドライクカーボン(DLC)多層構造により、DLCの優れた特性を生かしながらも膜剥がれが生じ難い実用可能なDLCコーティング技術を開発する。
192 高圧二酸化炭素処理による高導電性高分子薄膜作製技術の開発と応用 寺境 光俊 秋田大学 森川 茂弘 秋田大学 導電性高分子は基礎・応用両面から近年再び注目を集めている新素材であるが、化学的安定性や伝導度の低さが実用上の問題点である。申請者は、導電性高分子膜を高圧二酸化炭素/有機溶媒混合系で処理することで膜の電導度を10-500倍高くできることを見いだした。この新知見を元に高い電導度をもつ導電性高分子膜を作製し、等価直列抵抗が従来品の1/10となる高性能電解コンデンサ作製への基礎的知見を得る。
198 高機能めっき皮膜を用いた信頼性の高い電子基板の開発 三井 俊明 山形県工業技術センター 仁藤 庸一 山形県工業技術センター 電子部品の表面実装には無電解ニッケル−リン/金めっきを施したプリント配線基板が多く用いられているが、近年のはんだの鉛フリー化に伴い、めっき上でのはんだはじき、接合不良等の問題が多く発生している。本研究ではこれらの問題を解決するため、鉛フリーはんだとの接合信頼性の高い新たなニッケル−リンめっき皮膜を開発する。また、このめっき技術を用いて信頼性の高い車載用電子基板の実用化を目指す。
218 有機酸を含むハフニア複合膜による高耐久性・高滑水性表面材料 西出 利一 日本大学 志村 夏美 日本大学 本研究では、環境に優しい水溶液プロセスを用いて、高硬度で撥水性を有し,かつ高耐久性と高滑水性を備える表面機能性材料を開発することを目的とする。具体的には、ゾルーゲル法により,有機酸を含むハフニア−有機複合ゾルの作製プロセスを確立する。ついで、そのゾルを用いて得られたハフニアー有機複合膜の構造や組成を解析するとともに表面機能を調べる。
224 硬質微粒子分散めっきによるマイクロ金型の高硬度化技術の開発 三瓶 義之 福島県ハイテクプラザ 大河原 薫 福島県ハイテクプラザ 本研究はフォトリソグラフィーと電気めっきの組み合わせにより作製するマイクロ金型の硬度を上昇させる研究である。粒径1μm以下の炭化タングステン(WC)微粒子を数十μmオーダーの微細めっきパターン中に分散させることで、従来のマイクロ金型に比べて大幅に硬度を上昇させることを目標とする。本研究でマイクロ金型の高硬度化技術が確立されれば、マイクロ金型による加工の適用範囲および耐久性を向上させることができる。
275 シルクフィブロインを用いる幼児の知能開発フィギュア商品の開発 河原 豊 群馬大学 上石 洋一 群馬県 幼児の知能開発分野でプラスチック製のフィギュアが用いられているが、幼児への化学物質汚染が危惧されるため、より安全な素材で出来ているフィギュアが求められている。そこで、安全な環境素材であるシルク由来の柔軟なフィブロインフィルムを知能開発フィギュアの表皮に展開して、上記の諸問題の解決を図る。また、フィルムの柔軟性とフィブロインに含まれる機能性アミノ酸に着目して、食品・医療分野への展開を進める。
292 機能性糖鎖を表面に配置したシリカ微粒子の簡便な合成法の開発 照沼 大陽 埼玉大学 望月 弘章 埼玉大学 近年、糖鎖が生体内でさまざまな機能を発揮していることが明らかとされている。その機能は糖鎖単体ではきわめて微弱であるが、糖鎖を高密度に集積化することにより3桁ほど対象物質に対する親和力が向上する現象があり、その現象は「糖鎖クラスター効果」として知られている。糖鎖クラスター効果を発揮させるため高分子側鎖に糖鎖を導入する方法は多数報告されているが、我々はこれまで独自な発想によりカルボシランデンドリマーを使用する方法を開発してきた。本研究では、より合成が容易で糖鎖クラスター効果に加えて、発光性、磁性等を個別あるいは同時に発揮可能なガラス微粒子の作成法を提案し、その手法を確立することを目指す。
310 シリコン基板一体の貴金属多孔質層の形成とその応用 早瀬 仁則 東京理科大学 原谷 裕三 東京理科大学 多孔質シリコンをPt多孔質へ改質出来ることを見出し,この多孔質層を触媒層とする新しい薄型燃料電池を提案・試作してきた.シリコン基板と触媒層が一体であるため,従来型に必要な触媒層保持構造は必要ない.本研究では AuやPdの多孔質層を形成し,その上に微量のPtやRuを析出させることにより,希少貴金属使用量を抑えた基板一体型の触媒層を形成し,この触媒性能の向上を目指す.
351 高分子エレクトロニクスデバイスへ向けた薄膜パターンの無溶媒形成技術 臼井 博明 東京農工大学 田中 公 東京農工大学 高分子デバイスの開発には高分子薄膜の微細パターンを形成する必要があるが、フォトリソグラフの手法を適用することは困難である。そこでモノマーの物理蒸着と光照射による重合を組み合わせ、高分子薄膜パターンを無溶媒で形成する、新規真空ドライプロセスを開発する。すなわち機能性モノマーを光重合開始剤と組み合わせて蒸着し、光照射部分のみに選択的に高分子薄膜を成長させ、真空中ワンバッチで製膜及びパターン化を行う。
397 ダイヤモンド薄膜の環境制御化学研磨技術の開発 西口 隆 新潟大学 小田原 勝夫 MMS ダイヤモンド薄膜のローカル結晶方位に依存しない、グローバル平坦化化学研磨条件の確立を目的とし、現在実用化されているダイヤモンド多結晶薄膜を対象にした最適化学研磨条件を研磨雰囲気の制御により明らかにする。
426 高窒素含有・超硬質アモルファスカーボンナイトライドの創製 伊藤 治彦 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 本研究課題は高窒素含有・高硬度を合わせ持つアモルファス窒化炭素(a-CNx)薄膜の形成を目的とし、以下の研究を行う。a-CNxの形成方法として、ArのプラズマフローによるBrCNの分解反応で生成したCNラジカルを基板上に堆積させ、同時に、外部から別のRF電源を用いて基板ステージにRFバイアス電圧を印加する。電子とイオンの移動度の違いによって基板上に負の直流成分が現れ、イオン(主にAr+)が引き付けられて膜表面を衝撃、結合改質を生じさせる。目標は硬度40 GPaを上回るa-CNxを再現性よく形成させることである。
471 高硬度ナノ炭素膜中の水素含有量を制御した長寿命切削工具の開発 安井 治之 石川県工業試験場 塚林 和雄 石川県産業創出支援機構 従来のダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜は、2000HV程度の低い硬さと膜中に多くの水素を含むことから、アルミ合金に対して摺動特性には優れるが、耐摩耗特性が低く、切削工具としての利用は困難であった。そこで、DLCとナノダイヤモンドを多層化したハイブリッドナノダイヤモンド(HND)膜や水素フリーDLC膜などの高硬度ナノ炭素膜中の水素含有量を共鳴核反応分析法を用いて定量評価し、その含有量や硬さを制御した長寿命切削工具を開発する。
513 超臨界二酸化炭素を用いた溶体噴霧法による有機半導体薄膜創製技術の開発 内田 博久 信州大学 藤井 國久 信州大学 本技術は,超臨界二酸化炭素に有機半導体原料を溶解させた溶体を,微細ノズルを通して基板に噴霧し基板上で結晶粒を薄膜成長させることにより有機半導体薄膜を創製するものである.高分子を始めとするあらゆる基板に対して簡単に高品質の有機薄膜を創製することができ,かつ環境調和型・省エネルギー型技術である.本課題では,試験レベルがほぼ終了した本技術の電子産業分野での実用展開を目指して,「技術の汎用性の強化」と「薄膜の自由設計の実現」を目標とする.
571 合金選択酸化法による表面改質技術の開発 北岡 諭 ファインセラミックスセンター 安田 匡一郎 中部科学技術センター 本研究では、熱力学平衡計算を基に予測した酸素分圧下において、耐熱性鉄基合金に含まれる所定の成分のみを選択酸化させることにより、合金表面にAl溶湯に対して耐久性に優れる酸化物膜を形成する技術を開発する。本技術で得られる酸化物膜はAl溶湯に対し優れた非濡れ性と耐摩耗性を合わせ持つことから、Al鋳造用治工具の耐久性の飛躍的向上とメンテナンス費用の大幅削減、並びに、鋳造製品の品質向上を達成することが期待できる。
592 プラズマ溶射法による窒化アルミニウム皮膜作製技術の開発 山田 基宏 豊橋技術科学大学 松井 一雄 豊橋技術科学大学 窒化アルミニウムは安定した溶融状態を持たない材料であるため、原料の溶融を前提とする溶射法による皮膜作製は不可能とされてきた。これに対し、本研究では金属原料粉末とプラズマとの反応を利用した反応性プラズマ溶射法を用いて成膜を試みる。特に、原材料をアルミニウム/窒化アルミニウム複合粉末とするなどの工夫を施し、窒素プラズマとの反応を用いて最終的に窒化アルミニウム皮膜を形成するプロセス開発を行うものである。
593 フィルタードアークプラズマビームによる細管内壁へのスーパーDLCコーティング 滝川 浩史 豊橋技術科学大学 村田 勝英 豊橋技術科学大学 燃料インジェクションノズル、樹脂成形ノズル、あるいは造糸ノズルなどでは、細管内に摺動性耐磨耗コーティングを施すことが望まれている。摺動性耐磨耗コーティングとしては、無潤滑で摩擦抵抗が極めて低く、高硬度で、かつ相手攻撃性が低いダイヤモンドライクカーボン(DLC: Diamond-Like Carbon)膜が望まれている。本研究では、磁界によって制御したビーム性高純度カーボンプラズマを用いて、細管内にDLC薄膜を形成する技術を確立する。
612 導電性を有する耐摩耗性DLCコーティング法の開発 大竹 尚登 名古屋大学 安田 匡一郎 中部科学技術センター 本研究は、代表研究者らの開発した「セグメント構造DLC膜」を発展させ、具体的には従来の連続膜に対して碁盤の目の構造を有するDLC膜を形成し(セグメント構造)、さらにこの溝部に金属を導入することにより、導電性を有し、かつ高い耐摩耗性を有するDLC膜を開発する研究である。既に基礎的試験でセグメント構造にすることにより摩耗が改善されること、及びその原因がアブレシブ摩耗の低減であることが確認できており、自動車部品や機械部品等、導電性が必要不可欠で、かつ高い耐摩耗性性能が要求される幅広い部材への適用が期待される。
623 フッ素樹脂のパルスプラズマ昇華によるガス無供給でのフッソ含有DLC成膜 上坂 裕之 名古屋大学 長谷川 健 名古屋産業科学研究所 フッ素含有DLC(Diamond−Like Carbon)は、DLC本来の高硬度・低摩擦・低摩耗といった良好な機械特性を備えつつ、C-F結合に起因する低表面エネルギー面を形成する。よって、次世代のDLCのひとつとして期待され、撥水膜、生体材料との付着を抑制する膜、金型と樹脂成型品との離型性を向上する膜などへの応用が期待されている。本研究では、フッ素系固体樹脂のパルスプラズマ昇華現象を利用した新しいフッ素含有DLC成膜法を提案する。提案方法は、従来のプラズマCVD法のようにガス供給の必要がなく、従って簡素な装置構成により低コストでフッ素含有DLC成膜が行える。
639 ナノ分子膜によるリサイクル可能な超はっ水繊維の開発 石崎 貴裕 名古屋大学 近藤 良治 名古屋大学 本研究では、膜厚1〜2nmの有機単分子膜の「疎水性官能基(ナノレベル)」と「繊維本来の凹凸構造(マイクロレベル)」の特性を融合させ、超はっ水性発現の必要条件である「ロータス効果」を巧みに繊維に導入し、「リサイクル可能な超はっ水繊維」の開発をめざす。ナノ分子膜を被覆した超はっ水繊維は被覆前の繊維と見た目に遜色が無いため、衣類、傘、布帛への応用展開が可能である。
649 パルス変調ガス導入方式によるナノ材料の精密成長制御プロセスの開発 佐藤 英樹 三重大学 伊坪 明 三重県産業支援センター 本研究では、化学気相成長(CVD)法によるナノ材料形成プロセスにおいて、リアクタ内へのガス導入にパルス変調を施すことにより、カーボンナノチューブ(CNT)等のナノ材料を、従来方法より高精度で成長制御することが可能な新規CVD方法の開発を目的とする。本方法により、リアクタ内へのガス流量制御を従来よりも精密に行うことが可能になり、これにより従来より精密なナノ材料形成プロセスの構築が可能となる。
710 全固体リチウム二次電池の電解質−電極界面のナノ構造設計 岸田 恭輔 京都大学 大浦 俊彦 京都高度技術研究所 リチウム二次電池の安全性向上策の一つとして、固体電解質を用いた全固体リチウム電池の開発が提案されている。この場合、電池特性は固体電解質−電極界面の構造に左右されるため、界面構造の制御が実用化には必須である。本研究では、様々な表面処理を施したペロブスカイト系固体電解質に正極を蒸着したモデル系を用いて、表面処理と界面構造ならびに電池特性の相関を解明することにより、ナノ界面構造設計による電池特性制御法の確立を目指す。
721 カーボンナノチューブを利用した高効率遺伝子導入アレイ 井上 祐貴 京都大学 中屋 百合恵 京都大学 本研究では、遺伝子機能およびその相互作用ネットワークを生細胞レベルで解析する技術として、カーボンナノチューブとエレクトロポレーションを組み合わせた新規な高密度・高効率遺伝子導入アレイの作製を目指す。エレクトロポレーション、つまり電気刺激による遺伝子導入の際、電極表面に修飾されたカーボンナノチューブ先端から電場が集中することにより、細胞に障害を与えることなく効率的に細孔が形成され、電極に位置特異的に担持された遺伝子を高効率に導入できると期待される。
770 高レーザー耐力光学素子応用のためのフッ化物系材料の複合的表面加工処理技術の開発 神村 共住 大阪工業大学 阿部 敏郎 科学技術振興機構 紫外レーザー光源の短波長化、高出力化では光学素子表面のレーザー損傷が性能向上の大きな障壁となっている。紫外域での表面レーザー損傷耐力の低下の原因は主に光学素子表面に形成されている表面変質層である。CaF2などのフッ化物系光学材料では石英ガラスより極めて優れた紫外透過特性を持つためにさらに高い表面レーザー損傷耐性の実現が期待できる。本研究では、新しい複合的表面加工処理技術を世界で初めてフッ化物系光学材料表面に応用することで、既存の石英ガラス光学系の4.0倍以上の超高レーザー耐力表面を実現する。
773 銀ナノ粒子の水溶液中調製と高分子素材への吸着技術の開発 藤原 裕 大阪市立工業研究所 武井 廣見 科学技術振興機構 粒径を制御した銀ナノ粒子の懸濁液を水溶液中でその場作製することを目的とし,金属イオン還元法などの簡便な手法を開発する。この懸濁液から銀ナノ粒子を高分子素材に高被覆率・高分散吸着させるために,ナノ粒子・高分子素材双方の表面修飾剤を開発する。吸着銀ナノ粒子を無電解めっき開始触媒として応用することを本試験研究の目標として,めっき反応に対する触媒活性の高い銀ナノ粒子の作製条件および吸着条件を明らかにする。
825 環境半導体β-FeSi2の高品質エピタキシャル膜成長への挑戦 瀧川 靖雄 大阪電気通信大学 彦坂 明宏 大阪電気通信大学 化学洗浄したシリコン基板を短時間でも空気中に暴露すると有機カーボン汚染が付着するがこの汚染をアルゴン雰囲気中で極端紫外光Arエキシマランプ光(波長126nm)を照射すると簡単に除去できることを見出している。この新技術と独自に開発した2段階溶融法によって作製した巨大ε-FeSiターゲットにArFエキシマパルスレーザーを照射してアブレーション種をシリコン基板と熱反応させることにより良質のβ-FeSi2エピタキシャル薄膜を作製する新技術である。さらにレーザーアニールを施してインターネット通信用発光材料に転嫁させる新技術の開発である。
937 新規OHラジカル発生系を利用した金属表面上の油汚れの超効率的除去技術の開発 今村 維克 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 金属材料の加工段階で付着した研磨剤や潤滑油などの油汚れを従来法の1/100以下のエネルギーで完全に除去する技術の開発を目的とする.洗浄原理としては,有機性汚れ物質が付着した金属表面上でのH2O2の電気分解によるOHラジカルの発生およびラジカル酸化反応(H2O2-電気分解)を応用する.本研究では,モデル油汚れを付着させた金属基板を種々の条件下でH2O2-電気分解洗浄したときの脱離過程を解析し,洗浄に要するエネルギーの大幅な削減を図る.
982 陽極酸化法における耐食性と装飾性に優れたマグネシウム皮膜の創生 矢吹 彰広 広島大学 伊藤 勇喜 広島大学 マグネシウムは比強度が高く,軽量なため,様々な分野で実用化研究が盛んに行われている。マグネシウムを使用する際の問題は耐食性と装飾性の両者を満たす表面処理が困難なことである。また,環境の問題から重金属やフッ素などを使用しない処理法が望まれている。本課題では有害物質を含まない処理液を用いてマグネシウムの陽極酸化を行い,耐食性と装飾性に優れたマグネシウムの創成を行う。装飾性については表面形状の制御技術の開発を行う。
983 コロイドテンプレート法を利用した中空ナノ粒子及びポーラス粒子の合成 Ferry Iskandar 広島大学 葛籠 勝彦 広島大学 中空粒子およびポーラス粒子は触媒特性、光散乱特性、断熱性といった特徴および耐熱性の特徴を持っており、様々の分野に応じて適用されている。しかし、今まで研究・報告された中空粒子とポーラス粒子の粒子径は、サブミクロンまたは数ミクロン以上のものがほとんどであり、応用分野が限られている。本研究では100nm以下の球形で単分散の中空ナノ粒子およびポーラスナノ粒子の合成方法を開発することを目的としている。また、合成された粒子の特性(触媒特性および光学特性などの物理的特性)の評価も検討を行う。
1028 DC−RF併用スパッタ法による光触媒アナターゼ型TiO2スパッタ薄膜の高速製膜法の開発と応用 富永 喜久雄 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 ガラス基板や壁面素材上にTiO2膜をコーティングするにあたり高速の膜作製法を開発し、膜の特性向上をはかる。その手法として、対向ターゲット式プレーナマグネトロンスパッタ法やアンバランスプレーナマグネトロンスパッタ法において、DC電源とRF電源を同時に印加し大電力をターゲットに投入できるようにする。このことで10−20分で1ミクロン厚さのTiO2を達成する。この技術をベースにして、光触媒性能の向上の要因について検討をしていく。
1037 ホログラフィック2光子造形法の開発と応用 早崎 芳夫 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 ホログラフィック2光子造形法は,空間光変調素子上の計算機ホログラムにより生成した複数のビームにより高スループットにナノ構造を形成できる手法である.2光子造形法が,数十ナノメートルの高分解能で3次元マイクロ構造物を作製できることは広く知られている.課題は,加工スループットやエネルギー利用効率の向上である.提案手法は,作製構造物に応じた計算機ホログラムを設計することにより課題を克服する.
1084 液体中高密度プラズマ処理による高機能性表面繊維製造法の研究 豊田 洋通 愛媛大学 鈴木 貴明 愛媛大学 液中プラズマは、液体中の泡の中で高密度プラズマを発生させたものである。プラズマは液体中の泡で包含されているので、基材表面にそのプラズマを接触させても、液体の効果により基材表面が熱から保護される。本研究では液体中の高密度プラズマを、繊維基材に接触させ、繊維基材表面を熱的に損傷することなく高密度プラズマから供給されるラジカルに作用させ、高機能性表面を持った繊維を製造する方法を開発する。
1188 鉛フリー&ウイスカフリーを指向した球状セルロース複合型錫めっき技術の創成 永岡 昭二 熊本県工業技術センター 草野 民三 くまもとテクノ産業財団 天然高分子セルロース球状微粒子の環境調和性、耐熱性に着目し、これを鉛フリーハンダに活用する技術開発を行う。粒径、界面の制御に関する検討を行い、ウィスカフリー複合メッキ技術として確立する。従来の代替鉛としては、高価なビスマス、銅、亜鉛などが用いられていたが、溶融温度や強度などの面で扱いにくさが指摘されていた。
1198 水中衝撃波を利用した表面処理技術による表面粒子複合工具の開発 田中 茂 熊本大学 野田 耕右 熊本大学 本研究では、水中衝撃波を利用し、硬質粉末粒子を加速させ高圧力下の母材金属に衝突させると、母材金属表面近傍に粒子複合層が形成される。加工時間は10μs程度と非常に短く、大型で複雑な装置を必要としない技術である。メカニズムの究明、工具材料への応用可能性の調査を研究の目的とし、硬質粉末+各種金属複合化実験、摩耗試験、熱特性試験、数値解析及び高速度ビデオカメラによる現象観察を実施する。

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 紙、繊維:9件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
242 酢酸菌由来のセルロースナノファイバーを用いる機能性フィルムの創製 菱川 裕香子 森林総合研究所 山本 幸一 森林総合研究所 酢酸菌が菌体外に産生したセルロースナノファイバーは、産生直後に、3次元網目構造を形成する。このような構造体に対して、水中カウンターコリジョン法を適用することにより、3次元の網目が解きほぐされ、セルロースナノファイバー分散水を得ることができる。本課題では、このセルロースナノファイバー分散水を用いてフィルムを調製し、得られたフィルムの諸物性を評価し、その知見をもとに応用展開を検討することを目的とする。
470 レーザー光とインクジェットプリントを併用した難染性繊維の染色技術開発 沢野井 康成 石川県工業試験場 奥野 孝 石川県産業創出支援機構 スーパー繊維の一つであるアラミド繊維は、高強度・耐熱性等の優れた性質を有するが、後加工による染色が困難である。そのため、本研究ではアラミド繊維の新規染色技術の確立を目的とする。インクジェットプリント手法等で昇華性の染料を塗布した各種アラミド繊維布表面へのレーザー光による実験より、照射条件の最適化と染料面からの検討を行うことで、環境負荷の少ない染色技術の開発を目指す。
662 充填材料としての再生反毛わたの品質評価と感性価値製品への適用 與倉 弘子 滋賀大学 宇佐美 照夫 滋賀大学 充填材料としての再生反毛わたの品質評価と、それを用いた感性価値のある製品の開発を目標とする。再生わたの素材特性として力学特性と熱・水分移動特性を取り上げる。まず、再生わたの素材特性と使用時の快適性との関係、繰り返し圧縮による性能変化の範囲と特徴を明確にする。そして、「人の感性との適合性」と「繊維資源の有効利用」の視点を踏まえた感性価値のある充填材料として、用途の開発に資する技術的方途を提案する。
702 炭素モノフィラメントを用いた高密度製織技術の開発 白井 治彦 京都市産業技術研究所 伊藤 省二 科学技術振興機構 炭素繊維の極細単糸を高密度で製織した極薄の織物を開発し、実用性能として張強度、電磁波シールド性などの評価を行う。本研究では機械化が可能な高密度の製職技術を工夫することで、高密度かつ超極薄で柔軟な炭素繊維マイクロファブリックを開発する。
869 熟練者の感覚技能を継承する−皮革の触感のデジタル化− 井上 真理 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 皮革製品の良し悪しは現在でも熟練者の勘と経験によって判断されている。後継者の育成がままならない時代になり、このような感覚の伝承が困難になりつつある。本研究では、布の風合いを基本的な力学特性と表面特性でデジタル化したこれまでの手法を用いて、皮革独特の、熟練者の感覚を継承するために、触感をデジタル化し、さらに柔らかさや伸びにかかわる皮革独特の触感と物理的な特性値との関係を明らかにする。
967 高濃度パルプ繊維分散評価技術の開発 角田 勝 近畿大学 繁村 龍彦 くれ産業振興センター 本研究ではパルプ液流れのパルプ繊維濃度を光切断法を用いて同定し、その瞬時の分布を算出する解析手法を考案するとともに、時間的に変動する繊維濃度分散の評価技術を開発して濃度むらを定義する方法を提案する。さらには、光透過法による点計測法とも比較し、その有用性と高効率化を検証することを目的とする。これらの研究を通じて、高濃度抄紙機技術の実用化への途について検討する。
1065 柑橘成分の有する貯穀害虫忌避性を用いた防虫紙の研究 西田 典由 愛媛県紙産業研究センター 篠原 広充 愛媛県紙産業研究センター 穀物や穀粉は、貯蔵中に貯穀害虫により食害を受けるが、これにより多量の食料が失われており、その対策が求められている。柑橘精油は、代表的な貯穀害虫であるコクゾウムシに対し、忌避性を有する。これを紙やフィルム等に担持させることで、防虫性のある食品保存用の包装等を作製することを目的とする。柑橘精油の分析、バイオアッセイによる閾値の検討、紙やフィルム等への担持法およびその評価を行う。
1066 機能性粉体の点担持技術による新規シート状材料の研究開発 高橋 雅樹 愛媛県紙産業研究センター 篠原 広充 愛媛県紙産業研究センター 各種機能性を有する粉体を、不織布などのシート状素材に担持・複合化する場合に、使用するバインダー樹脂により粉末が埋没し、本来の機能性が低減することが問題となっている。本研究では、新規なバインダーの利用や塗料化技術に取り組み、機能性粉体の有する機能特性を活かしたままで不織布シートに担持・複合化する技術を確立し、新規シート状材料を研究開発する。
1111 界面重合反応を活用した新規ナノファイバーの合成法とナノファイバーの特徴を有するシート状素材の開発 市浦 英明 高知大学 島崎 たどる 高知大学 本研究では、界面重合反応を利用して、不織布等のシート状素材表面上でナノファイバーの合成を試みる。本技術は、水溶性高分子の濃度および有機溶媒の組成を変化させて、界面重合を行った高分子の形態が変化する“自己組織化的現象”を利用しており、ナノファイバーの合成と同時にシート状素材に定着できる点が最大の特色である。シート表面上でナノファイバーの合成を行い、その機能を併せ持つシート状素材の開発が期待される。

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 農業:35件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
28 イネ科牧草の物理的強度測定装置の開発と応用 本江 昭夫 帯広畜産大学 藤倉 雄司 帯広畜産大学 植物の葉や茎のように、柔軟性があり柔らかい物質の曲げ・せん断・引張り強度を測定するために、独自に測定装置を開発する。曲げ強度には3点支持の測定装置を使用する。せん断強度の測定装置では、部品をハサミと同軸となるように円運動させる方法を採用する。引張り試験のために新型クランプを開発する。これらの測定装置を応用して、今後のイネ科作物の育種における新たな指標の確立を目指す。
29 実用型根菜類肥大生長量測定装置の開発 柴田 洋一 帯広畜産大学 藤倉 雄司 帯広畜産大学 てん菜、ダイコン、ニンジン等、根菜類の根部の生育状況を簡便に知る方法として、屋外圃場において、非破壊的に、リアルタイムで連続測定する実用的な小型装置を開発し、肥培管理のタイミングの最適化、収穫時期の決定、収量予測等生産性の向上に資する。
56 ハスカップの胚乳を利用した新品種育成技術の応用と加工品開発研究 星野 洋一郎 北海道大学 鈴木 雍宏 科学技術振興機構 北海道に自生するベリー類の一種ハスカップは、果実が小さく食味の良い系統が少ないという問題点がある。果実が大きく食味の良い系統を育成するために、野生系統の選抜と倍数性育種に取り組み、新規系統を作出してきた。ハスカップの消費拡大にはそれぞれの特徴を活かした加工品の開発が必要である。そこで本課題では、新規系統の評価と加工適性試験を実施し、ハスカップの魅力をより引き出した加工品の開発を目標とする。
74 かび毒簡易検査キット開発のための高精度モノクローナル抗体の作製 竹内 徹 北海道立中央農業試験場 陰山 聡一 北海道立中央農業試験場 かび毒の簡易検査法としては、抗原抗体反応を利用した手法がもっとも適しているが、現場で使用できる簡易検査キットを開発するためには、精度が高い抗体を作製する必要がある。そこで、本試験では、コムギ赤かび病菌が産生するかび毒デオキシニバレノールに関して、簡易測定法に使用するための精度が高いモノクローナル抗体を作製する。
75 硬質小麦の品種開発を目的とした分子マーカーの開発 鈴木 孝子 北海道立中央農業試験場 陰山 聡一 北海道立中央農業試験場 小麦には、主にうどんに使う軟質小麦とパンや中華めんに使う硬質小麦がある。小麦の硬質性は、ピュロインドリン遺伝子の変異によって決まる。そこで、硬質小麦品種の開発のために、ピュロインドリン遺伝子のタイプを判別するための分子マーカーを開発する。さらに、分子マーカーは、育種選抜のルーチンに利用できるように、簡易で精度が高いものに改良する。
76 いちごリレー苗における花芽分化促進技術 田中 静幸 北海道立花・野菜技術センター 陰山 聡一 北海道立中央農業試験場 現在北海道で生産するいちごリレー苗ではクリスマス時期に果実を出荷することはできない。花芽分化を促進し、苗の付加価値を高める技術を開発する。いちご苗の花芽分化促進技術として、短日処理法、体内窒素制御法、子苗採苗時期の検討を行い、果実収穫開始期、収量、品質等について調査する。
103 マイコパラサイト代謝物を母格とした新規抗生物質の開発 橋本 勝 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 リンゴ果実においてLambertella corni-maris は、植物病原菌Monilinia fructigenaに対してマイコパラサイト現象を引き起こす。本現象機構解明の過程で、極めて広い抗菌活性、極めて低い細胞毒性を示すlambertellol類を見出した。しかし安定性に問題あり、そのままでの実用化は難しい。そこで合成安定類縁体からよりすぐれた物質を探索し、新規抗菌剤として実用化を探る。
104 リンゴ台木品種マルバカイドウの矮性台木化に向けた実用化研究 原田 竹雄 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 (辞退)
116 新規植物成長調整剤の実用化研究 臼井 紀子 岩手県農業研究センター 川嶋 明澄 岩手県農業研究センター 岩手県農研センターでは、あるアミノ酸の一種を添加した培地でリンドウを培養した結果、顕著な生育促進効果のあることを観察している。本研究では、当該物質が無菌培養のリンドウ以外の条件や作目で生育に及ぼす効果を調査するとともに、最大効果を発揮する処理方法について検討し、種苗生産場面等の使用を想定した安価で安全安心な植物成長調整剤への実用化を目指す。
125 新規澱粉特性を有するヒエ新品種「長十郎もち」の利用 星野 次汪 岩手大学 今井 潤 岩手大学 最近、食の多様化や米アレルギーなどにより、雑穀、特にヒエが注目されているが、ヒエにはモチ(糯)性が存在しないため、米と混合炊飯するとボロボロ感が強くなり、ヒエの食味改善が求められている。そこで、モチ性遺伝子(Wx)、モチ性(Wx)蛋白質の変異を解析し、品種登録したモチ性品種の栽培適地を確定し、加工・利用特性を明らかにし、米の代替食品、米とのブレンド、和菓子など、従来にない利用法を提案する。
185 環境保全型優良種子生産に向けた種子検査技術の確立 藤 晋一 秋田県立大学 渡邊 雅生 秋田県立大学 水稲の重要病害であるいもち病およびばか苗病は種子により伝染する。病害の発生を防ぐため、化学農薬による種子消毒が一般に行われるが、食の安全性や環境に配慮した農業のあり方が求められる昨今、化学農薬を必要としないクリーンな種子の生産が農業現場で求められている。本研究ではゲノム情報に基づく病害診断法により、いもち病およびばか苗病に対して化学農薬を必要としないクリーンな種子の選別が可能な検査方法を確立する。
231 熱ショックを利用した農作物の病害抵抗性誘導技術の開発と応用 佐藤 達雄 茨城大学 高木 宣輔 茨城大学 作物がごく短時間40℃以上の高温に遭遇することにより耐病性やストレス耐性を増強させることに着目し、これを農薬代替技術として利用することを目指す。最初に生育中の農作物に対して温湯散布や一時的な施設の密閉による熱ショック(一時的な高温)を与え、病害抵抗性や老化防止に関わる遺伝子を強制的に発現させる技術を開発する。次に現行の栽培体系への組み入れを前提とした処理方法を検討し、実用的な処理技術としての展開を図る。
287 作物別のウイルス病診断システムの構築 宇賀 博之 埼玉県農林総合研究センター 久保田 篤男 埼玉県農林総合研究センター 各地域の農作物には治療法のないウイルス病が多く発生している。これらウイルス病の回避には、罹病作物の早期診断と駆除、媒介生物の特定、適期・適剤防除などが重要である。本研究では、キュウリに感染する複数ウイルスの同時診断法を開発する。また、生産現場への早急なフィードバックが行えるように、設備や技術背景、拡大防止のためのベクターの特定など、様々な状況に対応した目的別診断システムを構築する。
297 植物の自己防御反応を利用した環境低負荷型害虫防除剤の開発 瀬戸 秀春 理化学研究所 泉名 英樹 理化学研究所 難防除性の農業害虫による作物被害は、野菜、花卉、果樹からイネまで広範に渡り、世界的に問題となっている。本研究は、植物が本来持っている害虫食害に対する防御反応を起動あるいは活性化する植物内生の低分子化合物をリードとして、植物に虫害抵抗性を付与することにより、当該農業害虫から農作物を護る環境低負荷型防除剤の開発を目指すものである。
320 環境ストレスに強いイネの開発 小柴 共一 首都大学東京 尾形 佑美子 首都大学東京 地球温暖化、あるいは、食糧問題への対策として悪環境に耐性を有する植物の開発が強く求められている。我々は、塩、乾燥ストレス時にイネの根で発現する遺伝子(RSOsPR10)を恒常的に発現させることにより、乾燥や塩などに強いイネを作出した。本課題においては、この過剰発現イネの塩や乾燥への耐性獲得機構について詳細な検討を加えるとともに、本組換え体の成長、稔実率、種子の栄養価など総合的な生育評価を進める。
433 マルチライン用異品種混入・花粉交雑検定ネガマーカーの開発 田淵 宏朗 農業・食品産業技術総合研究機構 安藤 益夫 農業・食品産業技術総合研究機構 イネいもち病真性抵抗性に関するマルチライン「コシヒカリ新潟BL1〜4号」による病害抑制効果を長期維持するには、交雑による抵抗性遺伝子脱落系統や他品種の混入を防止する必要がある。しかし、目視形質による選抜・抜き取りが困難なため、検査法の早急な開発が求められている。本課題では、「コシヒカリ新潟BL1〜4号」について、異品種混入・花粉交雑を効率的に検定できるDNAネガマーカーセットの開発を行い、問題の解決を図る。
490 高出力光半導体による果菜類栽培の研究 岡井 善四郎 福井大学 吉田 芳元 福井大学 現在固体素子光源として、唯一太陽光に近いインコヒーレントな光源である、三波長合成ハイパワー白色LEDを使用して、他の栽培用光源に劣らない光源パネルを製作し、まだ栽培報告のない果菜類の栽培を行う。将来の完全制御型果菜類植物工場の光源として有効であるか、太陽光との栽培実験により差異を確かめる。土壌栽培より優れた特徴を有している水耕栽培を取り入れ、果菜類栽培における最適栽培条件を見出す。
502 微生物を利用したブドウ病害防除法の開発 高柳 勉 山梨大学 還田 隆 山梨大学 灰色カビ病に拮抗性を示す細菌を用いた新たなブドウ病害防除法の開発を目的としている。申請者はこれまで無罹病のブドウ果実から分離した微生物のうち、灰色かび病菌に対して拮抗性を示す2 株の細菌を得た。本年度はこの細菌を用いてブドウ組織上での定着性や拮抗メカニズムを解明することで生物農薬としての適応性を確認する。本技術の確立により、化学農薬に変わる次世代の農薬「生物農薬」への応用が期待できる。
503 早期薬剤耐性診断法の減農薬ブドウ栽培への展開 鈴木 俊二 山梨大学 還田 隆 山梨大学 ブドウの主要病原菌である灰色カビ病菌の早期薬剤耐性を診断する方法を開発する。
H18年度シーズ発掘試験で、ブドウ病原菌を早期に検出する技術を確立した。分子生物学的手法を用いて、病気が肉眼で観察される前に病原菌の薬剤耐性を迅速に診断する方法を確立することにより、薬剤耐性菌に効果のない不必要な薬剤散布を減らし、必要な最小限の農薬を効果的に散布する。これにより、減農薬ブドウ栽培を目指す。
530 土壌微生物群集を作物栽培に好適な構成に誘導する土壌改良材の開発 吉村 明浩 岐阜県生物工学研究所 前田 喜朗 科学技術振興機構 土壌微生物は、作物栽培において肥料成分の分解、輸送などの様々な役割を果たす。そのため、微生物の量あるいはその群集構成を調整することは、効率的な施肥や適切な薬剤散布を可能にし、環境にやさしい作物栽培に繋がると期待できる。本研究は、このような土壌改良に適当な資材として見出した非晶質クエン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体の実用化に向けて、微生物に及ぼす影響を評価し、最適な施用条件を明らかにすることを目的とする。
578 ライスヌードル用水稲育種素材の開発 中村 充 愛知県農業総合試験場 野口 正樹 東海地域生物系先端技術研究会 ライスヌードル用水稲品種の育種素材を開発する。米の澱粉組成(アミロース、アミロペクチン含有量やその構造)はいくつかのタイプに分類することができる。そこで各澱粉組成タイプの米粉に馬鈴薯澱粉等の澱粉を配合して製麺試験と官能試験を実施し、製麺性と官能評価がともに高くなる米の澱粉組成タイプを選定する。次に、多収性品種と上記で選定した澱粉組成タイプ品種の交配、または交配後代の初期選抜を行い、育種素材を得る。
646 ブドウ果粒の長期貯蔵技術の確立 輪田 健二 三重県科学技術振興センター 増田 峰知 三重県科学技術振興センター ブドウは果房単位で販売するのが一般的であるが、販売単価が高く、消費が伸び悩んでいる。また、4倍体大粒系ブドウの「巨峰」や「安芸クイーン」は房単位では日持ち性が悪い。そこで、房ではなく果粒単位での日持ち性を把握するとともに、果粒を容器に入れて保存する方法を検討し、果粒パック販売に適した果粒単位での長期貯蔵技術を確立する。
734 切り花の観賞期間を延長する開花速度抑制剤の探索 佐藤 茂 京都府立大学 伊藤 省二 科学技術振興機構 園芸花きの観賞期間は、蕾が開いて満開になるまでの期間と、満開になった花が萎れるまでの期間を合わせたものである。主要花きのバラやトルコギキョウでは、前者の期間が長いことが品質のよい花きとみなされ商品価値が高い。そのためこの期間を延長する薬剤の開発が求められている。本研究では、花の生け水に施用して、花弁の展開速度を抑制する薬剤(花をゆっくり咲かせる薬剤)の探索と実用化を試みる。
877 新規作物保護剤の開発 佐々木 満 神戸大学 鶴田 宏樹 神戸大学 人口の急激な増加による世界的な食糧不足が予測される中、生産性の向上をはかるための作物育種面での新技術や新しい作物保護方法の開発が必要である。それには環境保全型農業を志向した環境保全型作物保護技術を確立することが重要である。本課題は、環境への負荷を大幅に軽減するため、生物活性天然物をリードに見出した脂肪酸関連化合物を環境中で分解されやすく残留性の少ない作物保護剤として開発することを主眼としている。
896 誘引物質を用いた水生有害貝類の長期制御システムの確立 遊佐 陽一 奈良女子大学 藤野 千代 奈良女子大学 日本の侵略的外来種ワースト100に挙げられているスクミリンゴガイとサカマキガイの2種に対しては、農薬の使用が不可能あるいは十分有効でないため、誘引物質を用いた効率よい制御が望まれる。代表研究者らは、両種に対する選好性の高い誘引物質の開発を行ったが、長期残効性が問題であった。そこで、この2種に対する残効性の高い誘引剤を開発し、これら巻貝を長期間抑制する手法の実用性を確認する。
913 イネの倒伏防止に有用な新規短稈遺伝子d60のDNA本体の単離と利用 富田 因則 鳥取大学 佐々木 茂雄 鳥取大学 世界にわずか1つしかなかったイネの短稈遺伝子sd1に替わる新規の遺伝子d60のDNA本体の獲得とその利用によりイネを短稈化し、耐倒伏性品種を迅速に育成する方法を開発する。地球温暖化に伴う度重なる大型台風の来襲で倒伏による多大の収穫減と品質劣化が問題になっており、短稈遺伝子d60による台風に強い新品種の開発が急務である。d60はイネに普遍的に存在する配偶子致死遺伝子galと共存すると配偶子が致死となり、d60を既存品種に移入する際にはF2で8長稈:1 短稈の比に分離する特異的な遺伝をするため、植物の選抜が難しい。そこで、Galの人為突然変異なくしては自然界では得られなかった貴重な短稈遺伝子d60周辺のゲノム解析により、d60のDNA本体の獲得とその利用をはかる。
915 菌類・きのこ類の機能性多糖を利用した植物免疫活性化技術の開発に関する研究 児玉 基一朗 鳥取大学 山岸 大輔 鳥取大学 菌類、特にきのこ類は多種多様な多糖類を含み、それらが免疫増強活性などヒトにおける有益な薬理作用を有することはよく知られている。一方、植物病においては、菌由来の細胞壁多糖類が病害抵抗性を誘導することが見出されている。本課題では、「菌類きのこ遺伝資源研究センター」保存の多様な菌類きのこ資源を活用して、植物免疫増強活性を有する機能性多糖類をスクリーニングすることにより、新規かつ有効な植物病害防除剤を実用化し、“環境に優しい植物病害防除技術の確立”を目指す。
1002 甘草抽出物による植物病害防除機作の解明 宮川 久義 農業・食品産業技術総合研究機構 家常 高 農業・食品産業技術総合研究機構 甘草とはマメ科多年性の薬草で、古代ギリシャの時代から人類が利用してきた生薬である。甘草根よりグリチルリチン酸を抽出する過程で得られた抽出物が糸状菌に起因するキュウリ、トマトの病害に対し防除効果を有することを明らかにしたが、その防除機作については不明の点が多い。そこで甘草抽出物に含まれる活性成分の特定及びそれらの植物及び病原菌に対する作用機作を解明して、新規の病害防除法開発のシーズとする。
1068 デルフィニウムの遺伝的特性を利用した花持ち性改善技術の開発 岡本 充智 愛媛県農業試験場 栗坂 信之 愛媛県農業試験場 切り花として需要が期待できるデルフィニウムの花持ち性の改善技術を開発する。一般にデルフィニウムは落弁しやすいが、栽培中のデルフィニウムにおいて、花持ちの良い個体が見られる。この特性を遺伝的に利用することができれば、花持ちを良くするために使用されている金属やホルモンなどの化学薬品を含む鮮度保持剤の使用を削減することが可能である。そこで、その特性を遺伝的に解明し環境負荷の少ない開花調節技術を開発する。
1106 良食味・極早生・短稈の新品種‘ヒカリッコ’の高知県における適応性と耐冷性の検討 村井 正之 高知大学 石塚 悟史 高知大学 村井が育成した良食味・極早生・短稈の新品種ヒカリッコ(コシヒカリの同質遺伝子系統)を南国市(高知県農業技術センター他の2箇所)、安芸市、香南市野市町、高知市、春野町および四万十市の高知県内7箇所で栽培し、収量、出穂期などの特性を調査する。比較品種は、コシヒカリ等を用いる。各地で収穫された玄米中のアミロースや蛋白質を分析し、食味官能試験を実施する。試験結果に基づき、ヒカリッコを現在の奨励品種と比較し、食味や収量性の優劣、地域適応性などを検討する。また、同品種の耐冷性を検定する。
1176 園芸用光合成有効波長域増幅フィルムの実用化に向けた実証試験 西村 安代 長崎総合科学大学 山中 孝友 長崎総合科学大学 施設栽培の外張りフィルムは、施設内の光環境に多大な影響を及ぼし、植物の成育を大きく左右する。光合成では特に赤色光波長域が有効であるとされている。この特性に着目し、光合成であまり必要ではない波長域(緑色)を赤色光波長域に変換し、赤色光域を増幅させる園芸用光合成有効波長域増幅フィルムの開発が進められている。そこで、光合成有効波長域増幅フィルムの特性を明確に把握し、有効的な作物や効果的な栽培方法等を確立し、開発、普及ポイントを提案する。
1186 昆虫病原性糸状菌製剤への補助剤による防除効果促進技術の開発 荒木 朋洋 九州東海大学 冨田 和弘 科学技術振興機構 本研究の目的は西南暖地で野菜類・花卉類など広範囲な農作物に被害を及ぼしている広食性の大型鱗翅目害虫であるハスモンヨトウを対象として,天敵糸状菌である緑きょう病菌を利用した被害低減技術を開発するものである.従来,生物農薬としての天敵糸状菌製剤は微小害虫を対象とし,その使用方法が煩雑で普及を阻害している.本研究ではこれまで実用化されていない緑きょう病菌が野外ハスモンヨトウの優占天敵糸状菌であることから,その実用化のための使用法の改善技術の開発を行うものである.
1211 非破壊による農産物の品質(含残留農薬)検査技術 永田 雅輝 宮崎大学 小林 太一 みやざきTLO 本課題は食の安全・安心・健康を確保するために,出荷現場で農産物を非破壊により品質検査するシステムの開発を目標とする。本課題では分光画像法を用いて,安全・安心面から残留農薬検査法,健康面から機能性色素検査法の計測技術を提案する。この方法により品質を二次元的に評価できて,また分布状態の把握も可能となって,これまでよりも高精度な品質検査を達成できるものである。
1227 複数種植物病原ウイルスの簡易同時診断法の開発と応用 菅野 善明 南九州大学 平井 澄夫 科学技術振興機構 植物ウイルス病の診断法として検定植物への接種試験や電子顕微鏡観察・遺伝子診断・血清学的診断法などがあるが、血清診断は安価で簡易であることから広く一般にウイルスの診断法として用いられている。しかしながら、従来のDIBA法による血清診断法では一回の検定で1種類のウイルスの診断しかできない。そこで一枚のシート上で複数種のウイルスの診断を可能にする方法を開発する。
1245 未利用植物資源を活用した根こぶ線虫病の防除に関する研究 田場 聡 琉球大学 伊良部 忠男 琉球大学 根こぶ線虫病は、作物栽培において国内のみならず世界的に被害を生じている病害である。一般的には土壌消毒剤や殺線虫粒剤などによる化学的防除が行われている。しかし、化学合成薬剤のみによる防除では、環境への負荷やリサージェンス現象の発生が危惧される。そこで、近年環境負荷の小さい天敵微生物や植物成分を用いた生物防除が注目されている。本研究では沖縄に生息する雑草、害草と呼ばれる未利用植物を用いてネコブセンチュウに対する抗線虫性(殺虫、不動化、忌避および孵化阻害作用)を評価し、最も強い効果を有する植物種を選抜した。今後はこれら未利用植物を用いて実用レベルの研究を行う予定である。

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 林業・水産・畜産:40件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
5 海洋ユビキタスセンシングによる冷水塊の解明 和田 雅昭 公立はこだて未来大学 鈴木 孝司 公立はこだて未来大学 毎年夏季に北海道西部の沿岸に流れ込むとされている冷水塊の存在をユビキタスセンシングの技術により科学的に証明することを目的とする.冷水塊はホタテ養殖などの水産業に被害を与えることが経験的に知られている.そこで,臼谷沖の海域に開発した9基の多層計測式ユビキタスセンサを投入し,水面下の水温分布を可視化し冷水塊の解明を試みる.
26 豚増殖性腸炎新規特異抗原検出診断キットの開発 古岡 秀文 帯広畜産大学 田中 一郎 帯広畜産大学 豚の増殖性腸炎はLawsonia intracellularis(以下L.i)を原因菌とする致死性下痢症で,欧米を中心として流行がみられている.本研究ではこれまでに考慮されていないL.i関連特異抗原を新たに同定し,それに対する抗体の作製,さらには簡易診断キットの開発を目標に研究を進める.
32 放牧飼育で変動するウシ特異的発現マーカー因子の探索とそれを利用した放牧畜産物の判定システム開発 小酒井 貴晴 農業・食品産業技術総合研究機構 清水 條資 科学技術振興機構 消費者の手元に届く畜産食品が放牧飼育されたウシから生産された乳や食肉であると、消費者に科学的根拠を持って提供する技術がない。そこで、1)放牧されたウシに特異的発現する遺伝子群を探索・検出する。さらに、2)そのマーカー遺伝子群により発現・誘発される代謝因子を探索する。最終的に、これらの検出技術を応用させ、生産者と消費者の両者に対して、科学的根拠に基づいた放牧畜産品判定システムの開発を目指す。
58 生体器官をつかった養魚飼料開発用実験装置の開発 木原 稔 北海道東海大学 清水 條資 科学技術振興機構 安価で成長効率の良い魚類養殖用飼料を開発することは、養殖漁業を支えるために必須である。水中であり、生体内であるという可視化・評価が困難な環境ではなく、魚類の「消化」という現象を実験装置として確認できれば、これまでの飼料試験のように魚を長期間飼育する必要が無く、設備・時間・労力そして費用を大幅に削減できる。本研究では魚類用飼料を効率的に開発することを目的に、魚類の消化器官をつかった消化実験装置とその評価システムを確立する。
62 非破壊分析によるコンブの品質評価技術の開発 宮崎 亜希子 北海道立釧路水産試験場 清水 條資 科学技術振興機構 コンブの品質は、従来、実入りの状態、異物や白粉の有無、色沢等の外観によって評価(等級付け)されているが、より客観的な品質評価手法の開発を目的とし、近赤外分光法により、コンブのうま味成分の測定法を確立する。
73 牛の赤カビ中毒症制御のためのデオキシニバレノール現地検出技術の開発 川本 哲 北海道立畜産試験場 小関 忠雄 北海道立畜産試験場 デオキシニバレノール(DON)などのカビ毒による乳牛の赤カビ中毒症を予防するために、給与飼料中のDON汚染を監視することが重要である。しかし現在、DONは実験室での測定に限られるため、検体数は制約され、給与飼料の汚染状況は十分に監視されていない。そこで、特別な分析機器や操作を必要としない酪農現場で実施できるDON現地検出技術を開発する。なお、本技術はフロンティア研究所とともに共同開発する。
77 ホットプレスを用いた熱圧硬化処理木材の開発 澤田 哲則 北海道立林産試験場 斎藤 直人 北海道立林産試験場 圧縮木材の歴史は古く,20世紀前半には広葉樹材を高温圧縮する技術が欧州で実用化されている。日本においては第二次世界大戦中の飛行機部材開発を目的とした強化木の研究に端を発し,現在は軟質な針葉樹材,スギを主とした人工造林木の材質改善技術として研究・利用が進んでいる。本研究はこれら圧縮木材の生産技術を応用・シフトさせて,従来のものとは内容の異なる熱圧硬化処理木材の開発を行おうとするものである。
78 芳香性を有する木質材料の開発 秋津 裕志 北海道立林産試験場 斎藤 直人 北海道立林産試験場 木材は、接触温冷感、視覚、聴覚などの感性に優れた材料である。より快適な室内環境を形成させるために、芳香成分の放散をコントロールし、低濃度で長期的に芳香成分の放散を持続させることが可能な材料を開発する。
80 きのこを用いた機能性アミノ酸(GABA)の富化技術の開発 原田 陽 北海道立林産試験場 斎藤 直人 北海道立林産試験場 γ−アミノ酪酸(ギャバ)は、血圧上昇抑制作用や精神安定作用のあることが知られている。本課題では、担子菌(きのこ)由来の内在酵素を利用することにより、機能性アミノ酸であるギャバ含有量を大幅に高めると同時に、きのこ独特の風味および機能性を併せ持った素材を作出することを目的とする。栽培法、保存法および加工法を改良することにより、ギャバ富化技術の最適化を行う。
95 BSE血液のメタボローム解析による生前検査診断への応用 横田 博 酪農学園大学 山田 龍翁 酪農学園大学、酪農学園大学短期大学部 本研究の目的は、BSE血液中の代謝物や逸脱生体成分を網羅的に分析し、生前診断に応用するものである。スクレーピーマウスやBSEウシ血液中代謝物を電気泳動装置や質量分析機などを用いて網羅的に分析し、病態特異的シグナルを検索し特定する。その後、シグナル生体成分に対する特異抗体を作成し、ELISA等を用いた簡便な生前診断に応用してゆく。
132 スギ樹皮抽出物を原料とする天然抗酸化剤の開発 小藤田 久義 岩手大学 小川 薫 岩手大学 未利用資源である樹皮を有効活用するには、可溶成分を抽出・分離し、それぞれの生理機能を生かした高付加価値商品に転換したのち、残渣を農業用または緑化用資材とするカスケード(多段階)的な利用法が望ましい。スギ樹皮からパラフィン系溶剤にて抽出される脂溶性成分には、主要物質としてフェルギノールとよばれるテルペノイド化合物が含まれている。フェルギノールは強力な抗菌活性と抗酸化活性を併せ持つ生理活性物質であり、本研究では、その抗酸化能の実用的評価および作用機構の解明について検討する。
136 サケ頭部の未利用部位を有効活用したウナギ稚魚の成長促進技術の開発 森山 俊介 北里大学 佐々木 守衛 いわて産業振興センター ウナギの養殖に用いる種苗は全て天然シラスウナギに依存しているが、近年、資源量は激減している。また、養殖ウナギの多くはオス化し、成長に個体差を生じる等の問題を抱えている。本研究は、サケ頭部の未利用部位から調製した成長促進活性成分を高度有効活用して、ウナギ自身の成長促進機構を活性化させて、健康で大型の稚魚を育成し、生産性を向上させる増養殖技術の開発を図る。
141 ウシ精子の保存補助物質(PAS)の開発とその応用 小林 仁 宮城大学 渡邉 君子 東北大学 精子の被覆抗原として知られるラクトフェリンを、精子の凍結保存における保存補助物質(PAS)としての応用を検討する。本試験では、耐凍性の低い精子にラクトフェリンを添加して凍結保存を行い、ラクトフェリン添加が凍結融解精子の運動性および受精に及ぼす影響を検討する。具体的には、精子の運動性解析、細胞膜の状態、細胞内cAMP 濃度およびミトコンドリアの活性を測定することでラクトフェリンのPASとしての有効性を調べる。
184 新規抗ストレス剤による鶏肉保存品質向上技術の開発 濱野 美夫 秋田県立大学 渡邊 雅生 秋田県立大学 本研究の目的は複数の天然素材からなる新規抗ストレス剤を開発し、それを鶏肉生産において商品化する実現可能性を見出すことにある。既に開発した抗ストレス剤は生体のストレスが起因となる鶏肉品質の悪化を防止することができる。さらに本研究では、この抗ストレス剤作用の強化と用途拡大を図るため、新たな天然素材がもつ機能を組み合わせた抗ストレス剤の実用的効果を検討する。
199 ソフトシェルクラブ生産技術開発 本登 渉 山形県水産試験場 冨樫 滋 山形県企業振興公社 ソフトシェルクラブは、脱皮後の甲羅の柔らかいカニであり、その食味と希少性から市場において珍重され高価格を維持している。本課題は、ソフトシェルクラブ生産技術を開発し、安定供給、地域ブランド化を目指す。
206 家畜尿への浸漬による果樹剪定枝の飼料価値の改善及び飼料製品としての開発 高橋 敏能 山形大学 高橋 政幸 山形大学 果樹剪定枝をチップ化し生化学的処理を施すことにより、肉牛における栄養価と飼料としての嗜好性の改善と第一胃からの温室効果ガス(メタン)放出抑制の実証を行い、汎用性が高い飼料製品として開発することが目的である。具体的には、果樹剪定枝チップを家畜尿への浸漬による飼料の保存性、in situ における消化率の向上とメタン生成抑制の検証を行い、尿中アンモニアのアルカリ処理による栄養価と飼料としての嗜好性の検証を行なう。
334 船外機における冷却水系統の洗浄システムの開発 酒井 久治 東京海洋大学 伊東 裕子 東京海洋大学 本研究は,船外機の冷却水通路の洗浄の目的とする。基本となる技術は,冷却水にホタテ貝殻の粉末,圧縮空気を混入させ,冷却水通路壁面に付着した汚れを除去するものである。この技術を利用して,船外機の冷却水系統を洗浄する。研究内容は,基礎実験と実機実験に分けられ,前者は汚れたアクリル管を供試して洗浄効果を定量的に把握する。後者は得られた最適条件を適用し船外機を洗浄するものである。これにより,船外機の冷却水系統を洗浄できることを目標とする
364 ホスファターゼ発現によるポプラの成長速度の促進およびセルロース生合成能の向上 海田 るみ 日本女子大学 神谷 靖雄 つくば研究支援センター タバコ細胞およびシロイヌナズナ植物体でパープルホスファターゼを過剰発現させた結果、成長速度の促進およびセルロース含量の増加が確認された。本研究では、モデル樹木であるポプラにパープルホスファターゼを過剰発現させ、パープルホスファターゼの成長促進作用を検証する。パープルホスファターゼの過剰発現により樹木の成長を早めることが可能となれば、地球温暖化防止対策やバイオマス生産性向上につながる人工林を創る。
478 遺伝子マーカーを用いた硫酸還元細菌の迅速計数法の開発 近藤 竜二 福井県立大学 祝 一裕 若狭湾エネルギー研究センター 本研究では、硫酸還元細菌の機能遺伝子をマーカーとして、分子生物学的手法を応用した、多検体を迅速に計数する方法を確立し、迅速計数方法の標準キットの開発を目指す。
硫酸還元細菌は、汚濁の進行した海域での青潮や水田の老朽化(秋落ち現象)を起こさせ、鉄パイプやコンクリート腐食の原因となる硫化水素を生成する微生物の一群である。生態解明が強く求められているが、その細菌数を正確に計数する方法が未確立なのが現状である。
527 性転換雄アユ精子の凍結保存技術の開発と全雌アユ生産への応用 桑田 知宣 岐阜県河川環境研究所 三浦 航 岐阜県河川環境研究所 雌アユのみを生産することができれば、高値で取引されている子持ちアユを効率的に生産できるため、代表研究者は雌アユのみを生産できる技術を開発し実用化した。しかし、技術の要である性転換雄アユの精子の質にバラツキがあること、その精液の保存期間が短いことが普及拡大の妨げとなっている。この問題を解決するために本研究では、成熟ホルモンの投与によって性転換雄の精巣から運動活性のある良質な精子を得る技術とその精子を凍結保存する技術を開発する。
529 キノコ由来ペルオキシダーゼ大量生産技術の開発 上辻 久敏 岐阜県森林研究所 武藤 高義 岐阜県研究開発財団 キノコの中でも白色腐朽菌と呼ばれるキノコは、木質中のリグニンを分解することができ、木質バイオマスの変換利用への応用が期待される生物である。その分解力は、多種多様な物質に対して有効である特徴をもつが長い期間を要する。そこで、分解の効率化をめざして、白色腐朽菌による分解の鍵となる菌体外酵素の大量生産系を開発する。
531 カイコ形質転換細胞による淡水魚ワクチンの生産 河村 敏 岐阜県生物工学研究所 前田 喜朗 科学技術振興機構 淡水サケ科魚類養殖業は、伝染性造血器壊死症(IHN)と呼ばれるウイルス病の全国的な蔓延により大きな被害を受けている。このため、安定した養殖業を継続し、振興を図るには、高い予防効果を有する安全なワクチンの開発が必要であるが未だ成功していない。一方、これまでの関連研究において、組換えウイルスを使用せず、カイコで機能するDNA型トランスポゾンpiggyBacを活用したベクターにより作出した形質転換細胞を利用して、IHNの抗原蛋白質の発現が可能となった。そこで、この手法を用いてコンポーネントワクチンを持続生産するための実用技術の開発を行う。
677 外来緑化植物種の生態調査に基づく地域産樹木種による緑化手法に関する開発 宮浦 富保 龍谷大学 上條 栄治 龍谷大学 2005年に施行された「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」で規制対象となる植物種には、従来の緑化工事で頻繁に用いられてきた植物種が多く含まれている。本研究では、緑化工事に用いられた植物を特定外来生物として扱うことの適否を科学的に明らかにし、更に代替の地域産緑化植物種を選定し、緑化に利用する具体的な方法を提案することを目的としている。
678 琵琶湖沿岸部・河口部におけるアユの生態調査とアユ資源保護への応用 遊磨 正秀 龍谷大学 上條 栄治 龍谷大学 冬季のアユ仔稚魚の生態に関しては、砂浜海岸や河口の岸際に生息することが判明し始めたが、海と川を回遊する一般のアユとは異なり、琵琶湖ですごすアユ仔稚魚の生態情報は皆無に等しい。本研究では、漁業者の協力のもとに、琵琶湖におけるアユ仔稚魚の生息場所利用を明らかにし、アユ仔稚魚が利用していると予想される琵琶湖砂礫浜や河口における環境整備に関してアユ資源保全のための新たな施策に資することを目的とする。
704 有機酸緩衝化貝殻溶解サトウキビ醸造酢の調製と鶏への飲水投与抗病性試験 八田 一 京都女子大学 伊藤 省二 科学技術振興機構 平成17年に発生した食中毒の原因菌1位はサルモネラ菌、2位がカンピロバクターである。その感染は主にサルモネラ菌が鶏卵、カンピロバクターが鶏肉由来で、養鶏業界では生産物の食中毒菌汚染防止対策が緊急課題である。本課題は鶏卵の卵殻強化および鶏の抗病性を高め、鶏卵や鶏肉への食中毒菌汚染を防止する鶏用機能性飲料の研究開発に関する。
737 捕食寄生甲虫を利用した新たな樹体内害虫防除技術の開発 浦野 忠久 森林総合研究所 福山 研二 森林総合研究所 樹木や果樹の樹体内に生息する昆虫に寄生しそれを殺す性質を有する日本在来の捕食寄生性天敵であるサビマダラオオホソカタムシを利用した天敵農薬の開発をめざす。これまでに人工大量飼育を可能にしており、マツノマダラカミキリに対する殺虫効果を明らかにしている。実用化に向けて本研究では、サビマダラオオホソカタムシのより広範な害虫種に対する殺虫効果を室内実験により解明する。
750 伐採木材の効率的運搬法の開発−原料チップの効率的な搬送− 土井 正好 舞鶴工業高等専門学校 笹田 滋 科学技術振興機構 新たな木材運搬法として木材伐採現場において木材を粉砕し、そのチップを車載可能な林道まで輸送する方式を考案した。本課題は、@吸気輸送方式とAスラリー輸送方式について木材チップの輸送性を検証するものである。実験は50〜200m長のチューブを設置し、@吸気輸送方式はチップをコンテナに附属したファンからの吸引によりチューブ輸送する。一方、Aスラリー輸送方式についてはチューブ片端に水ポンプを接続して流水へのチップ混入によりチューブ輸送し、フィルターを通じてチップを分離する。実験条件は、チップの大きさ、チューブ行程及び傾斜を変えて輸送性を比較する。
1010 間伐材と鋳鉄製籠による沿岸漁礁の開発と実用化の研究 関根 雅彦 山口大学 大高 聰 山口大学 消波効果を持ち半永久的に集魚効果が維持できる沿岸魚礁の技術開発を行い、沿岸魚礁の製品化、及び山口湾再生工法へ応用する。
沿岸漁獲高が激減した山口湾で、鋳鉄製籠と間伐材、竹材等のリサイクル材の組み合わせを変えた全4タイプの魚礁を設置し、集魚効果の確認、構造物としての耐久性の確認、メンテナンスのしやすい構造の開発を行う。
1020 天然高分子を利用した超軽量有機成形培地の開発 金磯 牧夫 徳島県立農林水産総合技術支援センター 駒留 勇人 徳島県立農林水産総合技術支援センター 生分解性素材である木質系繊維を超軽量に成形し、野菜などの養液栽培に使用されている難分解性のロックウールに代わる培地として利用する技術の開発を行う。木質系繊維を軽量に成形する方法にパルプモールド法があるが、本法はそれをベースとして天然高分子を繊維間の接着剤として利用しさらに軽量に成形する。この培地の基材となる繊維そして接着剤は両者とも天然素材であり環境に与える負荷の少ない資材といえる。
1049 色落ち海苔の多糖を活用した抗アレルギー食品素材の開発 岡崎 勝一郎 香川大学 福井 次郎 香川大学 海苔の色落ちは天候やその他の要因で毎年発生するが、商品とはならずほとんどが廃棄されている。これを有効利用する目的で、海苔の細胞壁に多量に含まれるポルフィラン多糖に着目した。本発掘試験では、この多糖を効率的かつ短時間で調製する技術を確立するため中空糸膜を用いた精製方法を検討するとともに、精製多糖の免疫細胞に与える影響をマウスのマクロファージ培養細胞株と脾臓細胞を用いて細胞性免疫応答の増強効果とアレルギー応答の抑制効果を調べることにより、未利用色落ち海苔の健康食品素材としての有用性を確立する。
1050 樹皮の液化に関する研究 鈴木 利貞 香川大学 福井 次郎 香川大学 樹皮は、樹木の約10〜20%を占める組織であり、木材加工の現場では大量の廃棄樹皮が発生する。木材工業者にとっては、有効利用したい原料であるが、現状では焼却や堆肥に利用される程度であり、樹皮の利用状況は極めて遅れている。本研究では、樹皮を効率的に液化させる技術の開発を目的とする。液化樹皮は、生分解性樹脂、発泡資材、接着剤、塗料等への応用利用が期待される。
1054 黒毛和種の新規成長ホルモン受容体遺伝子多型の簡易判別法の確立 大久保 武 香川大学 福井 次郎 香川大学 日本の代表的な肉用牛品種である黒毛和種の成長ホルモン受容体遺伝子にはヨーロッパ系牛品種では認められない新規遺伝多型が存在することを明らかにした。本事業ではこの新規成長ホルモン受容体遺伝子多型の簡便な判別方法を開発し、有用肉用牛生産の遺伝マーカーとして育種に応用するほか、和牛(黒毛和種)牛肉と乳用種あるいは外国産牛肉を区別するための遺伝子判別用マーカーの一つとして利用することを目的とする。
1061 養魚用高効率生物ろ過システムの開発 山本 義久 水産総合研究センター 桑田 博 水産総合研究センター 環境保全型の養魚技術として陸上での閉鎖循環飼育が注目され、省エネ・省コスト型の閉鎖循環飼育システムの構築が必要とされている。そこでシステムの心臓部の生物ろ過装置に、これまで養魚分野には応用されていない新しいろ過方式について、一般的なろ過方法との硝化能力の比較、適正なろ材の検討、大型装置での適正構造の把握等の要素解析をすることにより、産業規模での実用可能な装置を開発する。
1067 親子鑑別によるマハタ高品質種苗供給のための優良親魚選抜技術の開発 山下 浩史 愛媛県水産試験場 鈴木 貴明 愛媛大学 バラツキの少ない優良系統親魚の確立を目的に、マハタが性転換魚種であるという特徴も鑑み、DNA多形による親子鑑定技術を利用し、優良雄親魚の選抜を行う。方法は、1尾のメス親魚と多数のオス親魚の組み合わせ交配を同時に実施し、一定期間混合飼育した後DNA多型による親子鑑定を行い、飼育法や水槽間差といった環境的要因を除去し、雄親魚ごとの成長や抗病性における遺伝的要因のみを検出するというものである。なお、本技術開発研究により得られる優良系統から生産されたマハタ種苗は、生産管理が出来るため、安定して高品質なマハタの出荷が可能となる。
1083 分子不稔化技術を用いた新しい真珠養殖技術の確立 三浦 猛 愛媛大学 鈴木 貴明 愛媛大学 真珠養殖では、母貝(アコヤガイ)の成熟した生殖腺が分泌する物質が真珠の質に悪影響を与える。成熟しないアコヤガイ(不稔化アコヤガイ)を作成することができれば、母貝の生殖腺の影響の無い品質の高い真珠を作ることが可能となり、真珠養殖の効率が飛躍的に良くなるものと考えられる。そこで本研究は、RNA干渉法により生殖細胞特異遺伝子の作用を抑制し、生殖細胞を形成できない不稔化アコヤガイの作出を試みる。
1102 アブラソコムツ等未利用魚の食品素材への利用技術の開発 森岡 克司 高知大学 松崎 武彦 高知県産業振興センター マグロ漁業などで混獲されるアブラソコムツは筋肉に多量のワックスを含むため、食用として利用できない。食用に供するには、何らかの処理をしてワックスを食品として安全な1%以下まで除去する必要がある。そこで申請者は、すり身原料としての利用を意図し、まずワックスを筋肉から1%以下まで除去できる技術について検討し、その方法を開発した。(特願2006- 31607) 本研究は、申請者が開発した方法で魚肉から調製したすり身について、実用化の際、問題となるその品質について評価、改善し、高品質なすり身を調製する方法を明らかにするものである。
1107 主要海産魚に感染するイリドウイルスワクチンの開発 大嶋 俊一郎 高知大学 石塚 悟史 高知大学 魚類イリドウイルス感染症は、主要海産魚に感染し大きな被害を出している。本研究課題では、有効性の高いワクチンを提供するために、マダイ由来の培養細胞を作製し、効率よくウイルスを培養できるシステムを構築した。また、一方で、現在、流行しているイリドウイルスを西日本各地より収集しており、現流行株に対するワクチンの作製を目指す。
1182 高密度培養に適した高ストレス耐性ワムシ品種の開発と産業への展開 萩原 篤志 長崎大学 森 紅美子 長崎大学 海産ワムシ類(サイズ0.1〜0.3mm)は代表的な餌料プランクトンとして世界中で用いられているが、大量かつ安定的に培養することは必ずしも容易でなく、仔魚の大量飼育を行う種苗生産上業の懸案大きな問題となっている。本課題では、増殖能力とストレス耐性に秀でた新品種のワムシ開発を目的とする。天然から採集したワムシの生物機能を精査して優良株を選抜すると共に、目標とする性能をもった交雑株を作出し、大量培養槽内での実証試験を行う。
1233 マダニ由来の新規抗菌分子の抗インフルエンザウイルス効果の検証 藤ア 幸蔵 鹿児島大学 中村 恵造 鹿児島大学 代表研究者が独自に発見したシスタチンやディフェンシンなどのマダニの新規抗菌蛋白が有する各種インフルエンザウイルスに対する不活化効果を、in vitroあるいはin ovoにおいて立証し、新らしい抗インフルエンザウイルス薬の開発に資する。
1234 健脳成分プラスマローゲンを水産廃棄物から回収する技術の開発 安藤 清一 鹿児島大学 中村 恵造 鹿児島大学 高齢者の認知症予防に必須のプラスマローゲンは現状では専ら哺乳動物から抽出されているが、牛海綿状脳症問題から安全性への懸念もあり、他の安全な供給源の確保が急務である。一方、鹿児島県内をはじめ各地域水産業界では、水産加工後の廃棄物処理が大きな課題である。水産廃棄物を有用バイオマス資源として位置づけ、プラスマローゲン原料としての有効利用技術を確立することにより、安全・安心な健脳機能性食品など高付加価値製品開発による新規事業創出と地域活性化を目指す。

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 食品:56件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
35 水分状態を指標とした乾燥中華食材の機械乾燥技術の研究開発 小西 靖之 函館地域産業振興財団 宮嶋 克己 函館地域産業振興財団 乾燥アワビは日本製が国際的に最も評価が高く、香港・台湾等に大量に輸出されているが、その製造は天日乾燥にて行われており、機械乾燥を用いた製造例はない。
本研究では、北海道産のエゾアワビなど乾燥工程中のアワビなどの水分状態変化を明らかにし、それらを指標としてボイル工程や機械乾燥工程の最適操作設計を行う。更に同様な技術を用いて、ナマコ等の中華食材の機械乾燥工程の最適条件の確立を目指す。
45 DHAを高レベルにもつリン脂質の発酵生産 奥山 英登志 北海道大学 須佐 太樹 北海道大学 最近、機能性脂質の分子形態の基づく差別化が進み、その抗腫瘍性や抗酸化性などの生理機能から、DHAを含むリン脂質(DHA-PL)が注目されている。現在のDHA-PLの主な供給源は魚油である。本研究では、DHAを含む脂肪を高レベルで蓄積するラビリンチュラ類微生物を材料として用い、その代謝調節によってDHA含量のより高いDHA-PLを発酵生産する。安全性の高い健康食品素材の提供を目指す。
57 道産ネギ属食材活用による性的機能老化改善食品の開発研究 西村 弘行 北海道東海大学 清水 條資 科学技術振興機構 一般に加齢に伴う性的機能の老化は、20〜30代の若い層にまで広がり出生率低下の点で懸念される。古くからニンニクやタマネギなどネギ属植物は精力食材として知られて来たが、科学的実証はこれまでなかった。これまで本課題代表研究者らは、性的機能老化改善物質として含硫アミノ酸を同定し、特許出願(特願2006-30844)を行った。そこでネギ属含硫アミノ酸を合成し、血清中の男性ホルモンであるテストステロン量増加効果を検証すると共に、タマネギ等の食材活用の新規機能性食品を開発する。
61 北海道産天然物を活用する糖尿病に有効な機能性食品素材の開発 渡辺 一弘 北海道薬科大学 東 市郎 北海道薬科大学 近年、機能性食品等の開発が盛んであるが、これらの中には、その有用性に関して科学的根拠に乏しいものも多い。本研究では、北海道産エゾウコギとサケ卵巣から、小腸における糖質吸収抑制及び食品ではこれまで例が無いインクレチン機能亢進作用を有する機能性食品素材の探索を目的とし、さらにその実用化を目指す。これらの作用を有する素材は、日本人の2型糖尿病患者に多い食後高血糖の抑制に有用である。エゾウコギエキス及びサケ卵巣ペプチドおよびそれらの分画は、共同研究先より提供を受ける。
70 プロピオン酸菌を利用した乳製品の高付加価値化 川上 誠 北海道立食品加工研究センター 長島 浩二 北海道立食品加工研究センター プロピオン酸菌の中には乳酸発酵し、整腸効果などの機能性が期待される菌種が存在する。しかし、多くの菌株は耐胃酸性、耐胆汁酸性が低くプロバイオティクスとしての利用が難しい状況にある。本課題では耐酸性、耐胆汁酸性に優れ、機能性を有するプロピオン酸菌を選抜し、これらを単独利用または各種乳業用スターター(乳酸菌、ビフィズス菌)と併用することによって、発酵乳、ナチュラルチーズ等の乳製品開発を目指す。
71 道産小果実残渣を活用したメタボリックシンドローム予防食素材の開発 太田 智樹 北海道立食品加工研究センター 長島 浩二 北海道立食品加工研究センター 本研究では北方系果実であるハスカップやアロニアなどの小果実の加工残渣から内臓肥満を基盤としたメタボリックシンドロームを予防する食素材を開発するために、残渣中に含まれる脂肪蓄積阻害や脂肪分解促進作用などの機能を有する成分を効率的に利用してその生産方法や用途開発など、実用化に際して必要な技術の確立を目指すものである。
96 遊牧民の民族飲料「馬乳酒」からの分離菌を用いた新規発酵乳(もしくは乳酒)の検討 石井 智美 酪農学園大学 山田 龍翁 酪農学園大学、酪農学園大学短期大学部 酪農王国北海道では、牛乳飲用消費が減少し問題になっている。牛乳中には、高齢化社会を控えた今日、カルシウムをはじめ必要とされる栄養が豊富に含まれている。そうした牛乳を有効活用するために、モンゴル国で遊牧民が大切に伝えてきたウマの乳を発酵させた発酵乳「馬乳酒」に注目した。「馬乳酒」は複数の乳酸菌・酵母の発酵によってつくられ、免疫賦活作用があることで知られている。本研究はモンゴル国の「馬乳酒」から分離・同定した複数種の乳酸菌・酵母を用いて、牛乳をベースに機能性を持つ新規発酵乳の開発を目指すものである。
98 リンゴ搾汁残渣由来有用オリゴ糖の低コスト分離システムの開発 加藤 陽治 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 リンゴ搾汁残渣を微生物酵素を用いて糖化する際に、ウロン酸と中性糖からなるオリゴ糖が得られる。これらのオリゴ糖は、整腸作用などの機能性に加えて、新たな機能性が期待されるオリゴ糖である。しかし、リンゴ搾汁残渣から得られるオリゴ糖は混合物であるため、この状態での利用法は制限される。簡便で、量的に処理可能な低コスト分離システムを開発する。最終的目標は有用オリゴ糖の市場開拓を図ることにある。
112 微粉砕・非晶質化キチン系バイオマス資源の酵素分解技術の確立 戸谷 一英 一関工業高等専門学校 丸山 政之 岩手県南技術研究センター カニ殻やエビ殻を原料とし、メカノケミカル粉砕という新規な粉砕機構により微粒子化・非晶質化を行い、キチン分解酵素に対する感受性を向上させ、穏和な酸素反応だけで単糖(N-アセチル-D-グルコサミン)や、高級キチンオリゴ糖の製造原料となる二糖(ジ-N-アセチルキトビオース)を直接生産するバイオプロセスの構築への取り組み。有害な薬品を極力使用しない“環境負荷低減技術”であり、粉体工学と糖鎖工学とを組み合わせた、まさに異分野融合型のバイオプロセスである。効率のよいキチン分解酵素の選択と、二糖を単糖に分解する酵素の選択、反応の最適化を行う。
123 血中アディポネクチンレベルを高める雑穀ヒエの機能食品素材の開発 西澤 直行 岩手大学 田山 敬太郎 岩手県 増え続ける2型糖尿病を食品で改善・予防をすることは我が国の健康増進、医療費削減に貢献する上で極めて重要である。本課題では、他に研究例のない岩手産雑穀ヒエから抗2型糖尿病機能等を有するアディポネクチンの血中レベルを高める機能性成分を、2型糖尿病モデルマウスのアディポネクチン遺伝子発現から解明する。研究成果は、岩手大学発ベンチャーの(有)いわて西澤商店との連携で機能性雑穀パンへの実用化を目指す。
131 神経回路再生を促進するローズマリー由来のカルノシン酸 佐藤 拓己 岩手大学 小川 薫 岩手大学 神経変性疾患は、脳の特異的な部位の神経回路機能の破綻が起点となって症状が現れる。これを予防・治療するためには神経回路を再生させる化合物が有効である。私は、ローズマリー由来のカルノシン酸が神経回路を再生させる作用を有することを見出している。ローズマリー抽出物を、脳機能を改善する機能性食品として実用化することを目的として、本研究は、カルノシン酸が神経回路再生作用を発現するための分子基盤を明らかにする。
137 雑魚の臭気に着目した使用可能期間予測手法と延長技術の開発 毛利 哲 宮城県産業技術総合センター 佐藤 明 宮城県産業技術総合センター 本試験では、脂肪族性臭気の評価や酸化促進活性の強度によって臭気発生の予測法を開発することを目的とする。具体的には、魚種毎に問題となる成分の確定と使用可否濃度を決定する。また発生メカニズム(酸化促進活性)に着目し臭気発生がその強度に依るか否かを見出し、使用可能期間を予測する。
188 体脂肪蓄積性の低い新規アセチル基含有食用油脂の開発 池本 敦 秋田大学 保坂 正晴 あきた企業活性化センター 秋田で食用油として使われていたアケビ種子抽出油脂は、通常の植物油とは異なり主成分が1,2-ジアシルグリセロ-3-アセテート(DAGA)で、体脂肪蓄積性が低い特性を有していた。しかし、実用化には原料の確保の面で問題がある。本研究では、アケビ種子のアセチル基転移酵素を用いたバイオテクノロジー的手法により、通常の植物油を原材料として同様の特性を持ったアセチル基含有油脂を製造する方法を確立し、新規健康油を開発することを目的とする。
190 極めて高い活性酸素消去能を有するカバノアナタケの老化予防効果の実証と生活習慣病改善食品の開発 杉山 俊博 秋田大学 保坂 正晴 あきた企業活性化センター カバノアナタケは制がん作用の他にも、糖尿病・動脈硬化症・高血圧・心筋梗塞などの生活習慣病に効くと言われ、高価でありながら世間では盛んに用いられている。本提案では、現存するキノコの中で最も高い「活性酸素消去能」を有するカバノアナタケを疾患モデル動物に投与して、果たして病気が予防できるかを科学的に検証する。そして、カバノアナタケを活性酸素に起因する生活習慣病の「老化予防」に有効な機能性食品として開発する。
232 食品の残留農薬分析のための試料導入法の開発 池畑 隆 茨城大学 高木 宣輔 茨城大学 最近、諸外国から輸入される野菜・果物などに許容量を超える残留農薬が検出されて食の安全に対する懸念が広がっており、食品の安全検査体制の一層の強化が求められている。本研究は、高感度で分子選択性の高いレーザーイオン化質量分析法に、新たに食品試料導入装置を組み合わせた、残留農薬等のオンサイト迅速測定装置を開発し、食の安全をハード面から支援することを目的としている。
244 天然有機物由来フルボ酸を用いた抗アレルギー物質の研究開発 山田 パリーダ 筑波大学 角井 修 筑波大学 本研究開発は、天然有機物抽出フルボ酸(FA)を用いた抗アレルギー物質の研究開発を目的とする。既往研究より、カナダ産草炭抽出FAの化学伝達物質遊離阻害活性は確認されている。当研究により、生化学手法にてその作用メカニズムを分子レベルで突き止め、動物実験より効果の確認を行うことで、抗アレルギーサプリメント、食品添加剤、化粧品添加剤などとなり得る新規天然抗アレルギー物質を開発する。当研究より、食品や化粧品製造メーカに対し新規付加価値製品用シーズ提供が可能になる。
245 カフェオイルキナ酸を用いたアルツハイマー症予防食品の研究開発 礒田 博子 筑波大学 角井 修 筑波大学 フェオイルキナ酸の安全性を確認するため、動物実験を行い、アルツハイマー発症抑制製品および老化防止製品としてのカフェオイルキナ酸の実用化を目指す。 具体的には、ラットなどの動物を用いて、カフェオイルキナ酸の投与による影響を毒性試験により評価する。その評価方法としては、毒性の強さを定量的に表すためにLD50(半数致死量)を求め、カフェオイルキナ酸の安全性を確認する。
246 チュニジアオリーブ由来 apigenin 7-glucosideの白血病細胞分化誘導作用 韓 o奎 筑波大学 角井 修 筑波大学 すでに特許出願しているチュニジアオリーブ由来apigenin 7-glucosideによる ヒト白血病細胞の顆粒球への分化誘導のメカニズム解明を行うことにより、がん予防機能性食品の素材開発につなげる。白血病細胞の分化は、増殖抑制とアポトーシスによるものであるため、分子レベルでのメカニズム解析が必要である。具体的には、細胞毒性及びアポトーシスに関する細胞周期解析、マルチカスパーゼ解析、ウエスタンブロッティング、リアルタイムRT-PCRによる解析を行うこととする。
251 気体調節と半導体技術を組合わせた生化学、工学融合による新規青果物検疫処理技術の開発 弦間 洋 筑波大学 林 良夫 筑波大学 青果物の輸出入時における燻蒸等の植物検疫処理は、現在、燻蒸処理として臭化メチルや青酸ガスなどの有毒薬剤が使用されているが、地球温暖化など環境への悪影響や残留農薬による健康被害の懸念がある。そのため、薬剤を使用せず、40℃以上の高温と50%以上の高濃度炭酸ガスを組合わせた雰囲気による生化学的処理技術と半導体製造における工学的洗浄技術を融合した新規燻蒸処理技術を開発し、無農薬かつ超短時間処理を可能とするものである。
268 織物電極を利用した新規殺菌装置の開発 北島 信義 群馬県繊維工業試験場 上石 洋一 群馬県 本応募課題は、織物製造技術を用いて微細な織物電極を製作し、この織物電極にパルス電界を印加することにより対象物を殺菌(パルス殺菌)する新規殺菌装置の開発に関するものである。本研究では、織物電極の形状に関する検討及びエネルギー効率の良い殺菌処理槽の試作を行い、実用化を念頭に置いた食品用殺菌装置の開発を行うことを目的とする。
302 新規微生物酵素”IOE”を用いた環境負荷低減型ヨウ素除菌剤の開発 天知 誠吾 千葉大学 平 隆 臣 千葉大学 ヨウ素はカビや細菌の芽胞などに対する殺菌力が強く、金属腐食性が少ないため、食品工場等における除菌剤への利用が期待できる。しかしながら、遊離ヨウ素は水に難溶のため、界面活性剤などの安定剤に包接する必要があり、環境負荷が高い欠点がある。本研究では、申請者が海洋細菌より発見した新規な分泌性酵素“IOE”を用いて、環境負荷が少なく、低コストで、かつ除菌力に優れた、新しいタイプのヨウ素除菌剤を開発する。
354 ポリメトキシフラボノイドを活用した歯周病予防ケア製品の開発 宮浦 千里 東京農工大学 平田 美智子 東京農工大学 歯周病は細菌感染が原因の生活習慣病であり、患者数は2000万人を超えている。新規の歯周病評価システムを用いて、カンキツ由来のポリメトキシフラボノイドが歯周病の予防効果を示すことを見出した。そこで、ポリメトキシフラボノイドの高機能化と製品の形状を視野に入れた解析を実施し、歯周病予防ケア製品(歯磨き剤、デンタルリンスなど)としての実用化を目指した開発研究を行なう。
380 食育を通した糖尿病予防ストラテジー 井上 肇 聖マリアンナ医科大学 雨森 千恵子 神奈川科学技術アカデミー 現在20歳以上の国民の6人に1人にあたる1620万人が糖尿病あるいは予備軍とされる。さらに現在透析治療を必要とする慢性腎不全患者25万人の内40%以上が糖尿病に由来する腎不全である。透析治療は糖尿病性腎症患者の社会復帰を促すが、同時に莫大な医療費も拠出する。生活習慣病に見る労働力の低下、治療に関わる医療費の削減の抜本的対策には例えば糖尿病自体の発症を予防する、あるいは発病を遅延させる事以外に無い。本研究課題は食育の観点から機能性食品を用いた糖尿病発症のインターベンションを試みることである。
395 マイタケ酵素を利用した高血圧予防食品素材の開発 西脇 俊和 新潟県農業総合研究所 真島 操 にいがた産業創造機構 タンパク質の分解により派生するアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害ペプチドは、高血圧の改善・予防作用をもつとして注目されている。本研究は、食用キノコであるマイタケに豊富に含まれるタンパク質分解酵素を利用して、ダイズタンパク質を分解し、ACE阻害ペプチドを作出するものである。これは、マイタケの新たな利用方法を提供するとともに、ダイズ、マイタケの栄養的、機能的特徴を生かしつつ、高血圧予防機能を付与した食品素材の開発を目的としている。
400 米由来機能性タンパク質の特性評価と動物性タンパク質代替食品素材の開発 谷口 正之 新潟大学 中津 普門 新潟大学 イネ由来のシステインプロテアーゼ阻害成分の食肉中のプロテアーゼ活性に対する阻害作用を解明することができれば、その成分を動物性タンパク質を代替する新しい植物タンパク質素材として、有効活用できると期待される。本試験研究では@精白米などから抽出した米タンパク質中のプロテアーゼ阻害成分の生化学的な特性を解明する。また、A食肉の原料などのプロテアーゼによる品質劣化(軟化)を、米タンパク質を用いて防止する技術を開発する。最終的にB精白米などからプロテアーゼ阻害活性を含有するタンパク質の製造技術を開発する。
411 新潟県産プチヴェールを用いた機能性食品開発 西田 浩志 新潟薬科大学 内山 雅彦 にいがた産業創造機構 「プチヴェール」は、ケールと芽キャベツの交配により日本で誕生した。ビタミンやミネラルなどの栄養素を豊富に含んでいることから近年注目を集めている。しかし、その機能性を科学的に検討した例は少ない。本研究では食品としてのプチヴェールの機能性を疾病予防および疾病改善の観点から評価する。とくに、メタボリック症候群の予防や改善、さらに抗ガン活性など複数の機能性を指標にして研究を進め、付加価値を持った新潟県特産の野菜として紹介すると共に商品化の可能性を検討する。
413 食品中の難培養性微生物の検出技術の開発と応用 重松 亨 新潟薬科大学 佐々木 峰子 新潟ティーエルオー 現在の一般的な食品中の微生物検査法は固体培地での増殖を指標としているため、生きているが固体培地では増殖しない難培養性微生物の検出には対応できない。最近、難培養性微生物の一部が液体培養では増殖することが分ってきた。本研究では、食品中の微生物を、マイクロプレートを用いた液体培養法に基づき、分離・培養し検出する技術を開発する。この技術により、従来の手法で検出可能な微生物に加えて、液体培地で増殖可能な難培養性微生物を比較的簡便・ハイスループットに検出することを可能とする。
432 食味・保存性の優れた災害備蓄用低水分蒸煮・部分アルファ米の開発 菅原 正義 長岡工業高等専門学校 内山 雅彦 にいがた産業創造機構 食味・保存性に優れた低水分蒸煮・部分アルファ米化により災害用備蓄や早炊き可能な米飯開発を目的とする。低水分蒸煮は米飯周辺に溶出澱粉糊液(おねば)ができないため、アルファ米製造工程における乾燥が容易で乾燥後のアルファ米粒の損傷が少ない。また、低水分蒸煮では米粒中の澱粉が完全に糊化せず、部分アルファ米となるため、炊飯・煮沸調理後の食味・食感が通常のアルファ米・早炊き米に比較して優れている。
463 超音波を利用した凝固制御による食品の高品質冷凍技術の開発 多田 幸生 金沢大学 平野 武嗣 金沢大学 食品の凍結保存は,低温化と活性水分の低減により品質の長期維持を図るものであるが,凍結の過程で細胞レベルでのミクロ現象が生じ,これが機械的・膠質的な凍結損傷に繋がる.本課題は,超音波照射により細胞内外の氷晶形成を制御し,高品質な冷凍を実現する技術の開発を目的とする.具体的には,食品組織を供試した定在音場中での凍結実験を行い,凍結特性を操作条件と関連づけるとともに,装置構造の最適化を追究する.
541 高級和牛のおいしさ評価のための画像技術の開発 加藤 邦人 岐阜大学 水谷 嘉之 岐阜大学 高級和牛の格付けは、専門の格付員により「霜降の度合い」、「肉の色と光沢」、「肉のしまりときめ」、「脂肪の色と光沢」について行われているが、牛肉のおいしさを決める要因には化学的な味覚と食感のような物理的な味覚がある。現在までの可視光画像処理技術では格付員の経験によって培われた目視での評価に迫ることはできず、解析的評価はシンプルな分光計測のレベルに留まっている。そこで本研究では、不可視光領域まで拡張したマルチバンド画像解析技術を応用し、高級和牛のおいしさを経験をつんだ格付員に近づく定量的に評価できる手法を開発する。
544 ポリフェノール類の機能性固体分散体の調製と応用 戸塚 裕一 岐阜薬科大学 前田 喜朗 科学技術振興機構 健康食品に含有されるポリフェノール類のうち脂溶性の化合物は、ハンドリングに問題があり、更に製品化されている場合でも、体内での吸収性の評価は行われておらず、成分のイメージだけがメディアにより先行しているのが現状である。高齢化を迎える日本での予防医療の向上のためには、真に人体への吸収性を向上させるような、固体分散体の調製が必要である。そこで応用・製品化を最優先課題とするために、@安全性が確立されている添加剤、A環境問題を考慮したプロセスを用いて、ポリフェノールの機能性を高めることを可能とする固体分散体を調製する。
684 発芽黒大豆抽出液の機能性食品としての開発 深見 治一 京都学園大学 谷 吉樹 京都学園大学 ”丹波の黒豆“で有名な地域特産の黒大豆を発芽させることにより、有用なオリゴペプチド、アミノ酸類、アントシアニンの誘導体などが生成することが期待される。発芽時期に合わせて、発芽黒大豆を水抽出画分やアルコール抽出画分などに分画し、in vitro活性試験を検討する。機能性を示した画分については、動物実験等で確認を行い、新規機能性食品素材として開発につなげる。また、活性成分の同定も検討する。
876 食品内部の微生物汚染を可視化するインピーダンス・トモグラフィ装置の開発 豊田 淨彦 神戸大学 柘原 岳人 神戸大学 微生物による食品の成分変化を検出する電気インピーダンス微生物法と、測定対象の導電率の空間分布を画像化するインピーダンス・トモグラフィ法の機能を融合し、食品内部の微生物汚染を、非破壊、迅速、簡便に可視化する装置を開発する。微生物汚染の検出に最適な測定周波数の探索と画像再構成アルゴリズムの開発により、検出空間分解能と検出感度を明らかにする。
891 メタボリックプロファイリング技術を活用した機能性付加飲用柿酢の開発 田中 健 奈良県工業技術センター 高橋 晴雄 奈良県中小企業支援センター 柿に大量に含まれている機能性物質(抗酸化性物質)ポリフェノールを効率よく利用して、従来品に比較してポリフェノールを高濃度に含有し、香味バランスを改良したマイルドで飲用しやすい柿酢ドリンクを商品開発する。飲用柿酢の開発には、多変量解析・データーマイニング等の統計学的処理を行うメタボリックプロファイリング技術、酵素などを利用した高濃度ポリフェノール化技術を応用する。
892 大和伝統野菜「ヤマトマナ」の生理機能を活かした新しい食品の開発 高村 仁知 奈良女子大学 高橋 晴雄 奈良県中小企業支援センター 大和伝統野菜ヤマトマナは抗酸化性を有するアスコルビン酸やポリフェノールのみならず、抗炎症作用を有するイソチオシアナートをも含んでいることが解明されている。本研究では、その高い生理機能性の損失を少なくした長期保存法の開発ならびにパンおよび菓子類への応用を試み、健康食品としての有効性の評価を行ない、機能性を損なわない保存法および製法を見いだす。これにより、ヤマトマナを利用した、大和ブランドおよび健康志向を合わせ持つ新しい食品の開発につなげる。
962 動物細胞を用いたタンパク質ラジカルスカベンジング活性測定法の開発 益岡 典芳 岡山理科大学 安井 茂男 岡山理科大学 生体内にタンパク質ラジカルが生成すると細胞は大きな傷害を受け、細胞死や壊疽を引き起こすことが予想される。その傷害を予防する化合物を検索する手段としては、安定ラジカルまたは酵素を使って生成させたスーパーオキサイドラジカルの消去力を測定する方法が広く行われている。本研究では、生体内で起こる現象をより正確に反映させるため、細胞内にタンパク質ラジカルを生成させラジカルスカベンジング活性を測定する方法を開発する。タンパク質ラジカルの消去力を持つ食品の検索および傷害予防に役立てる。
969 嚥下機能の低下した高齢者のための食品の開発 栢下 淳 県立広島大学 西岡 和恵 県立広島大学 低栄養、脱水、誤嚥性肺炎のリスクを有する嚥下に障害のある高齢者が増加している。本研究室では、嚥下障害者に対して先進的な栄養管理を実施している聖隷三方原病院で提供されている段階的な嚥下食の物性を測定し、報告した。得られた結果を基に、嚥下障害者に適した物性の調理方法を検討する。特に、嚥下障害者では、低栄養状態のリスクが高いので、たんぱく質を含む食材を用いて検討を行う。
989 新たな機能性柑橘成分を利用した抗肥満ヘルスケア食品の開発 平田 敏文 広島大学 秋田 直宏 広島大学 瀬戸内海地方の柑橘資源を利用した新規食品素材の探索に関する地域研究を発展させ,坑肥満活性成分を含有することが見出された品種を利用したヘルスケア食品の創生・商品化を目的として,以下の試験研究を行う。(1)細胞実験および動物実験によって,同品種の食品素材としての安全性を検討する。(2)他品種の抗肥満活性成分のスクリーニングおよび新たな抗肥満活性成分の解明を行い,新たな有用品種の探索と開拓を図る。
1030 スダチの発酵促進作用を利用した発酵食品の開発 横井川 久己男 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 スダチは徳島県の誇るブランド品であり、その高度利用が望まれている。本研究では、スダチ特有の風味を有するスダチワインやスダチパン等の発酵食品を短時間で効率的に製造する技術の確立を目的とする。スダチ果汁は酵母に対して特異な作用を有するため、スダチ果汁の添加濃度を制御することにより、パン酵母やワイン酵母の増殖と発酵を制御する条件を検討する。また、酵母の増殖と発酵に影響を与える生理活性物質をスダチから単離して同定することも平行して行う。
1031 粉体の新規非加熱殺菌技術の開発 田村 勝弘 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 粉体材料が多い医療品分野における生薬(漢方)や食品分野における香辛料などに有効な「非加熱殺菌法」が長年検討されてきた。だが、決定的な方法がないのが現状である。そこで、我々の周囲に存在する安全で安価な気体を利用した新規非加熱粉体殺菌技術を開発する。本気体については、100気圧程度の加圧により強い殺菌力を示すことを液状食品については既に実証済みであり、粉状材料についても十分効果を発揮するものと予測している。
1038 カテキン代謝菌を用いたお茶成分由来新規機能性物質の開発とその効率化 間世田 英明 徳島大学 平岡 功 徳島大学 お茶は日本人に愛され、古来より薬用としても用いられてきた。しかし、その薬効の多くが明らかにされておらず、飲食後、体内微生物による関与の詳細も不明な点が多い。そこで、お茶の中に含まれる生理活性物質を代謝する微生物を用いて、生理活性物質を更なる機能性物質に変換するとともに、微生物での代謝効率を高めるために、生理活性物質の輸送トランスポーターを検索し、人為的にコントロールすることを目指す。
1043 低温細菌由来コラーゲン分解酵素の構造及び生化学的性質の解析 小川 雅廣 香川大学 塩崎 紀子 テクノネットワーク四国 微生物の酵素は幅広い分野で利用されている。微生物の中には低温でも生育する低温細菌がおり,それらは低温で高い触媒活性を発揮する低温酵素をもつ。低温酵素は温めなくても効率よく働くので,食品等の原料加工への応用が期待される。申請者らは,牛スジなどの硬い生肉を生のまま軟らかくするため,硬さの原因タンパク質コラーゲンを分解する低温細菌のスクリーニングを行った。その結果,強いコラーゲン分解酵素をもつ低温細菌を発見した。本課題では,その酵素を精製し性質を調べ,実用化への可能性を探る。
1044 イムノアフィニティーカラムを用いた加工食品中のオクラトキシンAとBの分析法の確立 川村 理 香川大学 塩崎 紀子 テクノネットワーク四国 オクラトキシンAとBは、腎発がん性を有しているマイコトキシンで、穀物や飼料の汚染し、熱安定性が高いので、コーヒー、チュコレートやハムなど多種多様な加工食品からも検出されている。しかし、加工食品では様々な夾雑物が存在し、汎用されている物理化学的クリーンナップ法では夾雑物の除去ができない場合が多い。そこで、本研究ではモノクローナル抗体を用いたイムノアフィニティーカラムを用い加工食品中の簡便かつ高感度分析法を確立することを目的とする。
1064 未利用魚介類を原料とした色が薄く、生臭さ及びうまみが改善された新規発酵調味料の研究開発 新谷 智吉 愛媛県工業技術センター 石丸 尚志 愛媛県工業技術センター 魚介類の未利用部位を原料とした、色が薄く、生臭さ及びうまみが改善された、新規発酵調味料の開発を目的とする。魚介類に醤油麹を加えて熟成させることにより、ある程度うまみを有し、色が薄く、生臭さを改善することができるが、より良い発酵調味料とするには、うまみ成分をより増加させる必要がある。本研究では、作製・熟成方法を検討し、魚介類の効率的な分解による新規発酵調味料の開発を目指す。
1089 海水中のホウ素除去システムの開発 川北 浩久 高知県工業技術センター 津嶋 貴弘 高知県工業技術センター 海水中にはホウ素が約4.5mg/L含まれており、これをRO(逆浸透膜)脱塩処理した水にも約2mg/L程度のホウ素が残留している。今回、海水を原料としたRO脱塩水に残留するホウ素の適切な除去方法について、イオン交換樹脂及び現在大手企業にて開発中のRO膜を用いた除去条件について検討する。
1099 非結球アブラナ科葉菜類(プチベール)の出荷規格外及び廃棄部位の有効利用を目指した機能性食品素材の開発 渡邊 浩幸 高知女子大学 高村 禎二 高知女子大学 アブラナ科の野菜類に含まれる酵素活性を残したまま、野菜類を乾燥して粉末化する技術をもとに、機能を保持したアブラナ科野菜の加工食品への応用や過剰栽培や規格外野菜の有効利用としても利用できる。非結球アブラナ科葉菜類(プチベール)を対象作物とし、乾燥した野菜について、生鮮状態と比較して保持された食品機能の程度を評価し、それらの機能を生かした素材開発を行う。プチベールに存在するグルコシノレート類の分布部位、分類、乾燥粉末後の含有量の変化、食品機能の特徴、加工食品への応用へと展開する。
1104 酵素法ビタミンB6分別定量キットの開発 八木 年晴 高知大学 石塚 悟史 高知大学 近年の安全・安心な健康増進の手段として、食品中の機能性成分に注目が集まっており、様々な保健食品の製品開発が進んでいる。そのような中、それらの機能性に対する評価方法の確立が、食品分野で重要な課題となっている。健康と精神活動を支える必須栄養素ビタミンB6は、天然に存在する6種類の化合物の総称である。最近、ビタミンB6の一つピリドキサミンに生活習慣病である糖尿病の合併症を予防し治癒する機能が見いだされたため、食品中や血漿中の本ビタミンの含有量測定法すなわちビタミンB6分別定量法のニーズが高まっている。しかし、現在、食品中や血漿中のビタミンB6を分別定量する実用的な方法は無い。本課題は、食品の持つ機能性とヒト血漿中のビタミンB6濃度をより正しく評価するために必要なビタミンB6分別定量用キットを開発し、キットを用いた場合の測定条件の確立を目的とする。本キットは特異性と感度を上げるために酵素を用いることを特徴とする。
1126 糖尿病予防成分の迅速獲得のためのα-グルコシダーゼ固定化アフィニティークロマトグラフ法の構築 松井 利郎 九州大学 冨田 和弘 科学技術振興機構 糖尿病予防作用を有する食品機能性成分のほとんどは、糖質の腸管内での分解阻止を前提として単離・同定されている。他方、その同定法は逐次の阻害活性測定と古典的なクロマトグラフィーとの併用であり、新たに生理活性成分を見出すまでには多大な労力と時間を要する。そこで本研究では、糖質分解終末酵素(a-グルコシダーゼ)を固定化したアフィニティークロマトグラフ法を新たに提案し、多成分混合系である食品からの糖質分解酵素阻害成分の迅速獲得法を構築する。
1151 アンチエイジング乳酸菌の探索 片倉 喜範 九州大学 深見 克哉 九州大学 本研究は、抗老化・延命への寄与が指摘されているNAD依存性脱アセチル化酵素であるサーチュインに着目し、その活性化・発現増強を指標として個体の抗老化・延命を実現しうる食品成分の探索を行うものである。本研究では、独自に構築した、腸管系細胞における哺乳類サーチュイン、SIRT1の発現追跡システムを用い、食品成分としての乳酸菌の発現増強活性の探索を行い、抗老化・延命食品の探索を行うものである。
1175 乳酸菌代謝生産物質における癌細胞増殖抑制因子の探索及び作用機序の解明 野嶽 勇一 長崎国際大学 高橋 栄功 長崎県産業振興財団 ウシ乳清を栄養源として十数種の乳酸菌による複合培養から調製した新規の乳酸菌生産物質(PS-H1)が、多種類の培養癌細胞に対して強力な増殖抑制能を示すことを見出した。そこで、癌細胞増殖抑制能を有するPS-H1成分の精製及び大量調製系の構築を試み、この特異な保健効果の作用機序を分子レベルで解明すること、また、最終的には動物実験や遺伝子発現試験を経て、この乳酸菌生産成分を癌予防・治療へ特化した新規の「医療品」、「サプリメント(機能性食品)」や「食品添加物」としての開発に直結する基礎を構築すること、を目的としている。
1199 衝撃波による柑橘類果実の減酸処理装置の開発 前原 弘法 熊本大学 野田 耕右 熊本大学 衝撃波を柑橘類果実に負荷させることにより酸度が低下する。そこで、柑橘類果実に簡便に、減酸が可能になる衝撃波技術を応用した、処理装置の開発を目的とする。これまで、酸度が高すぎる柑橘類は、低級品として、商品価値がないものは廃棄されていた。衝撃波を負荷することにより、酸度を低下させ、商品価値を高めて資源を有効利用しようとするものである。衝撃エネルギーは電気を利用し、放電現象によって生じる衝撃波を柑橘類に効率よく負荷させる処理装置を開発する。
1224 大規模スクリーニングを可能とする簡便なナチュラルキラー活性測定法の開発 江藤 望 宮崎大学 武藤 弘之 宮崎大学 生体内で腫瘍細胞やウイルス感染細胞の排除を行っているナチュラルキラー(NK)細胞を賦活化する成分のスクリーニングに際して、現行の方法では、健常人から採血して得たヒト末梢血単核球(PBMC)を用いている。しかし健常人から一定品質のPBMCを多く集めることは極めて困難である。本課題では、NK細胞賦活化成分の簡便且つ大規模なスクリーニングを可能とする方法を開発する。
1226 不眠症改善を目的とした睡眠促進物質(SPS)カルノシンの応用 井本 真澄 九州保健福祉大学 平井 澄夫 科学技術振興機構 本研究で注目するジペプチド カルノシンについては、「睡眠作用」に関する報告はこれまでなく、申請者はこのカルノシンが睡眠促進物質(Sleep Promoting Substance, SPS)として有力であることを見出し、特許出願している。カルノシンは、魚介類および哺乳類の筋肉中に多く含まれ、経口および腹腔内投与でも有効であることから、魚肉あるいは食肉から「不眠症」治療・改善に有効な新しいSPSを探索すると共に、食品に付加価値をつけることを目標とする。
1239 食品中の異物検出のための軟X線スペクトル装置の開発 守田 和夫 鹿児島大学 中村 恵造 鹿児島大学 農産物や食品の安全性確保のための非金属異物の検出のニーズは高まっている。現状で使われているX線異物検出機はX線透過像が不鮮明であり、検出精度も低い。軟X線領域でのスペクトル計測が実現すれば、極めて精度の高い異物検出が可能になる。また、コンプトン散乱や線質硬化現象を利用すれば、異物の有無ばかりでなく、異物の種類の特定をも可能になる。本課題では、安価でしかも高精度のセンサーを組み込んだ軟X線スペクトル計測装置の開発を行い、農産物及び食品中の非金属異物検出のための計測技術の確立を図るものである。
1240 新規1,5−アンヒドロ−D−フルクトース誘導体の調製と性質 安部 淳一 鹿児島大学 中村 恵造 鹿児島大学 海藻の酵素と澱粉から生産される1,5-アンヒドロ-D-フルクトースは、抗菌性、抗酸化性、抗炎症性などの有益な機能が現在次々に見出されつつある。この糖は、そのまま食品工業に利用することができるが、誘導体化することによりこの糖の持つ性質が強化され、さらに高度に利用できることが期待できる。本課題では、機能的、経済的に優れた1,5-アンヒドロ-D-フルクトース誘導体の調製法を確立し、その性質を評価することを目的とする。
1246 養殖ヒトエグサ由来硫酸化多糖の機能性開発 小西 照子 琉球大学 伊良部 忠男 琉球大学 緑藻類のヒトエグサは、沖縄では養殖産業の一つに挙げられる。本研究では、ヒトエグサ藻体より硫酸化多糖を抽出し、その機能特性について検討する。これにより養殖ヒトエグサの食以外の利用法を探索するとともに、本藻体の付加価値を高める。特に本研究では、細胞レベルで消化器系ガンの阻害活性について検討し、健康補助食品への利用の可能性を検討する。また、化粧品への利用に向け、皮膚繊維芽細胞増殖活性効果などについても検討する。

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 バイオテクノロジー:83件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
12 木質系バイオマスのリグニンからの酵素法による芳香族化学原料生産系の開発 安居 光国 室蘭工業大学 加賀 壽 室蘭工業大学 白色腐朽菌は木質系バイオマスのうちリグニンを分解することが出来る。この酵素はリグニンから環状構造だけを切り出し、バイオマス資源の有効活用を図ることができる。石油製品から合成をすることに対して,香料等の原料となるハイドロキノン,キノンを安全に効率的に生産することが可能になり、白色腐朽菌の酵素の生産性を高めることを目的としている。
25 イヌ熱ストレス蛋白質複合型癌ワクチンの研究開発 嶋田 照雅 帯広畜産大学 田中 一郎 帯広畜産大学 現在癌はイヌにおいて最も死亡率の高い疾患であることから、近年獣医療でも免疫療法特に癌ワクチン療法の研究開発が進められている。しかしながら、癌ワクチン療法では、癌抗原の選択と免疫補助効果の弱いアジュバントが問題となっている。そこで本研究では、多種の癌細胞に共通して発現する癌抗原と強い免疫補助効果を持つ熱ストレス蛋白質(HSP)に注目し、人工的に調製したタンパク質を複合した実用可能なHSP複合型癌ワクチンの研究開発を行う。
30 ビタミンCが分解しにくいニンジンの開発 得字 圭彦 帯広畜産大学 藤倉 雄司 帯広畜産大学 ニンジンのアスコルビン酸オキシダーゼAAO遺伝子を標的としたRNA干渉を起こさせ、AAOの活性を抑え、ビタミンCの増量を目指す。ニンジンの栄養価を高めるとともに、他のビタミンCを多く含む野菜とのミックスジュースのような加工品の可能性を広げる。
46 相補的長鎖オリゴヌクレオチドを用いた特異抗体の多種・大量生産技術開発 渡辺 雅彦 北海道大学 清水 條資 科学技術振興機構 合成ペプチドや発現蛋白を用いた従来の抗体作成法は、費用や対象範囲等においてそれぞれに長所と短所を抱えていた。本シーズ研究では、両者の長所を生かした新たな抗体作成法として、「相補的な長鎖オリゴヌクレオチドを用いた新たな抗体作成法を開発し確立」する。特に、実験的に有用性の高いマウス・ラットと臨床的に有用性の高いヒトの分子に対するそれぞれ特異抗体を、安価で同時にかつ効率良く作成するための方法開発を行う。
47 新たに同定されたマクロファージ・サブセットの抗腫瘍活性の解析とがん治療への応用 笠原 正典 北海道大学 清水 條資 科学技術振興機構 我々は,ラットの血球動態を解析している過程で,強い抗腫瘍活性を有する新しいマクロファージの集団を同定し,これをCD4/CD8 double-positive subset(以下,DP細胞)と命名した.本研究計画では,ラットDP細胞の抗腫瘍作用を解析するとともに,ヒトにおいてDP相当細胞を同定し,同細胞を用いたがんの免疫療法の開発を目指す.
49 新規な不均一化酵素によるイソマルトオリゴ糖の製造と実用化 木村 淳夫 北海道大学 清水 條資 科学技術振興機構 これまで主に2糖や3糖の短鎖オリゴ糖が利用の対象になり、産業に大きく貢献してきた。一方、4030糖の中鎖や長鎖オリゴ糖にも優れた機能が予想されるが、効率的な製造法がない。最近、イソマルトオリゴ糖の2糖や3糖から、グルコース残基を転移・伸長させ、4012糖の中鎖イソマルトオリゴ糖を与える新規酵素(不均一化酵素;転移酵素の一種)を発見した。中鎖オリゴ糖の実用化を目指し、効率的な製造法を確立するための試験を行う。
64 爆砕法と遺伝子組み換え機能性酵母を用いた高効率草本系バイオエタノール生産に関する研究 北口 敏弘 北海道立工業試験場 後町 光夫 北海道立工業試験場 北海道内に豊富に存在し、食料と競合しない草本系バイオマスを原料とした高効率なバイオエタノール生産方法を開発することを目的として、@ ヘミセルロースの過分解抑制とリグニン除去ができる爆砕条件の検討、Aこの前処理に適合したヘミセルロース、セルロース糖化の酵素生産とC5,C6糖代謝を同時に行う機能を持つ酵母の構築とB 爆砕産物によるエタノール発酵試験を行う。
89 新たな微生物変換系の開発と効率化 〜P450を用いた変換反応を効率化するRedox Partnerの開発と応用〜 住佐 太 北見工業大学 内島 典子 北見工業大学 シトクロムP450を触媒酵素とした微生物変換の系は、様々なファイン・ケミカルの生産に応用されつつある。本研究は、こうしたP450の触媒反応をより効率的に行い、本格的な工業生産レベルを目指すものである。そのために、既に遺伝子配列および反応特異性が明らかになっているP450をターゲットとし、それらの活性をより効率的に引き出す新規のRedox Partner遺伝子を取得、機能的に発現させる系を開発する。
119 トランスポゾン配列を利用したリンドウ品種識別技術の開発 西原 昌宏 岩手生物工学研究センター 勝部 和則 岩手生物工学研究センター 岩手県特産の花きであるリンドウは公的機関及び民間により多数の品種が育成されている。近年は海外にも輸出されるなど一層の需要拡大が期待されている。その一方では品種の育成者権を保護するための科学的根拠に基づく品種識別技術の確立が急務とされている。しかし、従来手法だけでは他殖性が強く、交雑の進んでいるリンドウの系統識別が困難である。そこでリンドウゲノム中に散在するトランスポゾン(転移因子)を利用し、品種識別技術を開発する。
134 ネコ尿タンパク測定キットの開発 山下 哲郎 岩手大学 小川 薫 岩手大学 ストレスの多い現代社会においてペットに安らぎを求める人が多くなり、ネコの飼育頭数は年々増加しているが、獣医療の発達やペットフードの普及によりペットの高齢化が進行し、腎臓病を患う飼いネコが増えている。本申請課題は、ネコの腎臓病の早期発見の目的で、ネコの尿タンパクを簡便に測定できる臨床検査方法の確立と臨床検査キットを開発することを目指すものである。
135 リンゴ小球形潜在ウイルスのX線結晶解析によるウイルス粒子構造解析とその応用 磯貝 雅道 岩手大学 小川 薫 岩手大学 これまでリンゴ小球形潜在ウイルス(ALSV)のウイルスベクター化に成功しているが、このALSVウイルスベクターから発現させたタンパク質は植物体中で分解され、植物体中でのタンパク質生産には適用できていない。そこで、植物体中で分解されずに蓄積するウイルス粒子の性質に着目し、ウイルス粒子表面に有用ペプチドを提示させることで植物体中に有用ペプチド生産させる新たなALSVウイルスベクターの開発する。
154 マトリックス無しのタンパク質質量測定可能なTOF-MS用導電性基板の開発 佐藤 義倫 東北大学 大野 健一 科学技術振興機構 タンパク質はイオン化により熱分解を起こすため、親イオンの質量が測定できない。熱的に安定なイオン化しやすいマトリックス分子を仲立ちして電荷を目的のタンパク質に移動させて親イオンを測定するが、それぞれのタンパク質に合わせたマトリックスが必要になる。本試験では、平面配向した多層カーボンナノチューブの固化体基板を使用し、マトリックス無しでタンパク質質量を測定できる飛行時間型質量分析用導電性基板を開発する。
226 セラミド合成酵素スフィンゴミエリナーゼの開発 杉森 大助 福島大学 八代 勉 福島大学 セラミド合成酵素“スフィンゴミエリナーゼ”の実用性評価を行い,セラミド製造を1工程で,かつ低コストで可能にする事を目的とする。具体的には、本酵素の遺伝子クローニングを行い、大量発現系を構築し、産業上有用な酵素の提供を目指す。さらに,酵素の触媒機能を人工的に改変し,産業上有用な酵素の提供を可能にする.
270 キシロース資化能を有する酵母の育種研究 関口 昭博 群馬県立群馬産業技術センター 上石 洋一 群馬県 資源の少ない日本では、木質や稲ワラ、麦ワラを原料とするエタノール製造が検討されている。現在までに、木質系エタノール製造法のかなりの部分が確立されているが、いまだに木質系エタノールはコストが高い点が解決できていない。コストダウンの切り札としてグルコース(酵母発酵によりエタノールに変換可能)とともに大量に生成するキシロースからエタノールを製造する技術の確立が望まれているが達成されていない。本研究では、キシロースのエタノール変換を最終目標として、これまで培った酵母の育種技術を利用し、キシロース資化能とエタノール高生産能を有する酵母の育種を試みる。
274 金属基板を用いた低コスト色素増感太陽電池の研究開発 藤野 正家 群馬工業高等専門学校 上石 洋一 群馬県 製造コストが安く、大面積化が容易な色素増感太陽電池の要素技術を開発する。色素を吸着したチタニア電極の基板材料を従来の透明導電性金属酸化物からより導電性に優れた金属に置き換える。これにより、電極基板に起因する内部抵抗を低減し、実用化上問題となっている大面積化にともなう変換効率の大きな低下を解消する。同時に、金属化による生産コストの低減を目指す。
278 微生物培養液からの新規生理活性物質検索系の開発 武田 茂樹 群馬大学 小暮 広行 群馬大学 Gタンパク質共役受容体(GPCR)はヒトに約850種類程度存在すると考えられており、臨床で用いられる治療薬の60%以上はこれらの受容体のいずれかに作用するものである。本研究では新たに調整した426種類の糸状菌の培養上精のライブラリーから、当研究室で開発したGPCRの活性測定系を用いて新しい生理活性物質を検索する。
356 ペプチドリガンドの新規探索法in silico panning法の開発 池袋 一典 東京農工大学 平田 美智子 東京農工大学 酵素・レセプターのペプチドリガンドはそのアミノ酸配列の多様性が膨大で、実験で探索するのは難しい。そこでdocking simulationにより、任意のペプチドの標的酵素に対する結合能を計算し、遺伝的アルゴリズムにより、そのアミノ酸配列を組換えて、コンピュータ内で標的酵素に対するリガンドを進化させ、スクリーニングする、in silico panning 法を開発した。本申請でその改良と応用を試みる。
357 アフィニティートラップリアクターの新展開 清水 幸輔 東京農工大学 保坂 真一 東京農工大学 申請者らが開発したアフィニティートラップリアクター(ATR; 酵素と基質を捕捉するリガンドを固定化したバイオリアクター)は、多くの夾雑物を含む試料から基質を選択的に捕らえて効率的に反応を進め、さらには反応生成物の精製をも可能とする世界初の技術である。本研究では、この技術をさらに発展させ、産業利用するための基盤を構築する。
363 ナノ粒子を利用した細胞イメージング・癌治療技術の開発 大塚 英典 東京理科大学 山内 進 東京理科大学 近年、タンパク質分子レベルの高感度検出法に裏打ちされた、信頼性が高くかつ簡便な疾病検査・治療技術の確立が強く望まれている。本研究はこれまで手掛けて来た金属ナノ粒子合成法に関する経験的蓄積を利用して,高感度生体分析を達成しようとするものである。本課題では、独自の発想の表面官能基と特定ポリマーの組み合わせにより、高感度のナノ粒子分散液を現出し、新たな医療工学技術の創出を目的とする。
375 インターフェロン応答性プロモーターの遺伝子ワクチンへの応用 武下 文彦 横浜市立大学 小塚 彩 横浜市立大学 CMVプロモーターにIFN反応性の転写因子結合配列(エンハンサー)を付加し、インターフェロンに反応して転写活性が増強され得るプロモーター(インターフェロン応答性プロモーター)を開発した。本研究課題では1)マウス感染症モデルおよび移植がんモデルを用いてIFN応答性プロモーターを応用したワクチンの予防・治療効果を解析し、2)ウイルスベクターを用いたワクチンへの応用も検討することを目的とする。
391 高精度・高感度認識が可能な革新的修飾プローブの開発と応用 大窪 章寛 東京工業大学 松本 進 東京工業大学 遺伝子診断を精密かつ高感度に行うために、塩基部アミノ基にアシル基を残したままでも、従来のDNAプローブより高い二重鎖形成能と塩基識別能を有する革新的な修飾DNAプローブ「保護プローブ」を開発する。このプローブの合成過程では、アミノ基の脱保護行程を省略できるため短時間でプローブ合成が可能である。また、従来法では脱保護行程でプローブの大幅な脱離が問題となったが、このプローブでは脱離が全く生じない。
406 C57BL/6系統ES細胞を用いた遺伝子改変マウスの高速作成法の開発 崎村 建司 新潟大学 中津 普門 新潟大学 ノックアウトマウスなど遺伝子改変マウスは、生命科学研究に無くてはならないリソースであるが、その作成には特殊な技術と時間、さらに多大な費用を要する。本研究は、短時間でかつ安価に近交系遺伝子改変マウスを作成する方法を開発することを目的に、我々が樹立した効率的に生殖系列細胞に分化するC57BL/6系統ES細胞株RENKAを用いて、マウス作成のボトルネックとなる、組み換えベクター構築の迅速化と相同組み換え頻度を上昇させる方法を開発する。
407 放出速度と生体適合性を最適化可能な複合型薬物徐放材料の開発と応用 田中 孝明 新潟大学 中津 普門 新潟大学 本研究課題は,ゲルと生分解性多孔質材料を組み合わせた新規な薬物徐放材料の開発を目的とする。手術時に埋め込み,抗菌剤を局所的に徐放して手術部位の感染を防止することにより,組織再生を確実に行うための材料である。本薬物徐放材料はゲル濃度により薬物の放出速度を,多孔質材料の内部構造により力学的生体適合性を制御する点を特徴とする。抗生物質ゲンタマイシンやストレプトマイシンなどの放出速度及び材料の力学的特性の最適化を検討する。
412 酵母によるバイオマスからの2−デオキシーシローイノソースの発酵生産システムの開発 高久 洋暁 新潟薬科大学 佐々木 峰子 新潟ティーエルオー 2-デオキシ-シロ-イノソース(DOI)は、炭素六員環構造を持つベンゼン系化合物であり、医薬・農薬、酸化抑制剤や香料等の各種有用化学品の合成のための非常に重要な中間原料である。本技術は、試験管内或いは生体内でグルコースを炭素六員環化合物であるDOIに閉環する反応を触媒するDOI合成酵素を作用させることにより、これまで化学合成が困難であったDOIをグルコースから容易に合成することが可能とした。本研究では原料としてバイオマスを利用し、酵母を利用したDOI生産システムの構築を目指す。
430 PCB分解酵素系の塩化安息香酸分解菌での発現 福田 雅夫 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 環境中の汚染浄化に有効な手段と期待されるPCB(ポリ塩化ビフェニル)の微生物分解では、分解産物として塩化安息香酸(CBA)が蓄積することがネックとなっている。本課題では多様なCBAを分解できるCBA分解菌バークホルデリアNK8株に、強力PCB分解菌ロドコッカスRHA1のPCB分解酵素系遺伝子を導入して高発現させるシステムを構築し、浄化に有効な完全分解システムの構築をめざす。
469 放射菌によるP450系酵素群の大量発現系の開発 荻野 千秋 神戸大学 五十嵐 泰蔵 金沢大学ティ・エル・オー 放線菌はストレプトマイシンに代表される様々な抗生物質など2次代謝物(生物の成育に関係のない有用物質)を大量に生産する工業的利用価値の高い宿主であることが以前から知られている。しかしながら、遺伝子工学的アプローチを行い、有用物質(タンパク質)の生産性を高めた報告例は殆どない。本研究では、既に構築した放線菌における汎用性遺伝子組み換え生産システムをベースに、これまで、大腸菌などでは発現が困難とされているP450酵素群の大量分泌生産を目指す。
516 汎用放線菌遺伝子操作ベクターシステム開発 片岡 正和 信州大学 藤井 國久 信州大学 放線菌の遺伝子を簡易に操作できるよう、@主要な組み替え菌である大腸菌の能力を十分に利用できるシャトルベクターを開発、A遺伝子発現を簡便にリアルタイムで検出できるベクターシステムの構築、B遺伝子発現を自在にコントロールできる発現ベクターシステムを構築する。
放線菌−大腸菌シャトルベクターを開発することで、簡単に、任意の遺伝子発現をリアルタイムに検出、調節することが可能となる。
548 定量位相顕微鏡による生物細胞の定量解析技術に関する研究開発 池田 貴裕 光産業創成大学院大学 袴田 祐治 光科学技術研究振興財団 デジタル・イメージホログラフィ技術を導入した定量位相顕微鏡に高速撮像装置を組み込み、得られた細胞の3次元情報と時間情報を時空間解析することにより、細胞膜の物理量(弾性率、張力値など)の定量測定を行う。本顕微鏡と蛍光顕微鏡の複合観察により、細胞膜の物理量とタンパク質の発現状態の比較を行い、新しい細胞の定量解析技術を開発する。本技術は生物・医療・創薬分野で役立つ複合顕微鏡及び、細胞自動解析装置開発に貢献できる。
557 抗菌性物質と生体膜の相互作用を検出・解析する単一GUV法の開発 山崎 昌一 静岡大学 藤田 武男 静岡大学 申請者が開発した単一巨大リポソーム(GUV)法は物質と生体膜の相互作用に関する新しい質の情報が獲得できる。本研究はこの実験方法や解析方法の最適化を行うことで、抗菌物質のスクリーニングの方法や、生体膜と物質の相互作用の研究に用いられる実験キットの開発を目指している。本年度は単一GUV法の実験方法の最適化のために、1個のGUVと物質の相互作用を同時に多くのGUVで観測できるシステムの構築のための要素技術の開発を行う。
581 ユニバーサル核酸を利用する一塩基多型解析技術 片岡 正典 自然科学研究機構 瀬野 義隆 科学技術交流財団 ポストゲノム時代の最重要課題である一塩基多型解析技術において、従来法に比してコスト・タイムパフォーマンスを大きく改善しうる新手法の基本技術について開発する。研究者がすでに開発済みの、核酸塩基の種類に拘わらず塩基対を形成する人工核酸塩基(ユニバーサル塩基)に、蛍光発光特性を付与し、そのユニバーサル塩基と4種の天然塩基の複合体について構造と発光特性を広く調査し、一塩基多型解析技術に応用可能な蛍光性ユニバーサル核酸を開発する。
585 モデル動物(線虫)を用いた有害物質感知バイオセンサーの研究 三輪 錠司 中部大学 永井 義明 中部大学 モデル動物である線虫を用いて、残留農薬などの食品危害物質や薬物など外来異物(以下、毒物と総称する)の代謝経路に働く様々な分子を標識することで、これら毒物やそれを緩和する物質を迅速、簡便、経済的に検出できる“生きた”バイオセンサーを作製してゆき、広範囲の毒物とその毒性緩和物質のスクリーニング法を開発してゆくことを目的とする。毒物の検出能だけでなく、その毒性を中和したり緩和したりする食品や物質のスクリーニングも同時におこなう機能をもつことで、科学に基づいた「安全と安心」の備わった社会づくりに貢献する。
590 環状型RNAアプタマー調整法の安価大量精製法への応用と実用化 梅影 創 豊橋技術科学大学 上松 正和 豊橋キャンパスイノベーション RNAアプタマー薬剤開発において、効能持続性と副作用の懸念の排除は相反する課題である。申請者はこの相反する課題を、環状化という単純な手法によって克服可能であることを示してきた。本研究では、高価であるため薬剤が発展途上国に行き届かないといった治療薬の南北問題解決への貢献を目的とし、前述の環状化手法を大腸菌内発現系へ応用した環状RNAアプタマーの安価かつ大量創製法および簡便な迅速精製法の開発を行う。
600 IPTG代替品を指向した新規糖鎖高分子の開発 高須 昭則 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 大腸菌の遺伝子組み換え技術を応用したタンパク質の生合成の発現量(生産量)は、社会的な需要を十分満たすには至っていない。大腸菌を発現ホストとして用いる場合、lacプロモーター による発現システムが用いられ、ガラクトース残基がリプレッサーと作用にすることによってmRNAの翻訳が開始される。これまでは、イソプロピル チオガラクトシド(IPTG)が最も大きな効果を示すことが知られてきた。本研究では、IPTG代替品を指向した新規複合糖質を合成し、発現効率の向上や発現時間の短縮を目指す。
651 代謝工学的手法を用いたバイオマスからのアクリル酸生産 粟冠 和郎 三重大学 岡谷 佳澄 三重大学 アクリル酸は、アクリル繊維やアクリル樹脂の原料として重要な物質であるが、現在はすべて石油由来である。本研究は、微生物の発酵機能を代謝工学的に改変し、バイオマス(糖質または乳酸)からアクリル酸を生産できる微生物を分子育種することを目的とする。プロピオン酸発酵関連遺伝子を導入し大腸菌を用いて研究を行う。ランダム突然変異の導入などにより遺伝子の改変を行うことにより、プロピオン酸の代わりにアクリル酸を蓄積する微生物を選択・育種する。
652 変異種海藻イチイヅタからのキシリトール製造技術の開発 荒木 利芳 三重大学 岡谷 佳澄 三重大学 糖アルコールの一種であるキシリトールは虫歯予防や糖尿病患者用甘味料として注目をあびているが、ショ糖と比較して高価なため、より安価な製造法の開発が求められている。本研究では、イチイヅタ(Caulerpa taxifolia)などの海藻の細胞壁を構成しているβ-1,3-キシランから、申請者が開発した3種類のキシリトール変換酵素を用いて、キシリトールを安価で大量に製造する新技術を開発することを目的とする。
654 生体分子認識を行うPEG被覆プロテオリポソームの開発と応用 湊元 幹太 三重大学 松井 純 三重大学 膜受容体は、情報伝達系の上位分子であり、種々の疾病に関連する。特に膜受容体に対する自己抗体産生が引き金となる自己免疫疾患は重篤で、抗体と膜受容体の反応を、固相化蛋白質を用い探索することは診断・創薬等の強力なツールである。本試験では私たちが開発した膜受容体提示型プロテオリポソーム調製技術に、ポリエチレングリコール(PEG)被覆リポソームを採り入れ、膜蛋白質抗原を作製、高感度高忠実度の分子認識システムを開発する。
655 ボルテックス方式を軸とした各種リポソーム簡便作製技術の開発と応用 吉村 哲郎 三重大学 松井 純 三重大学 薬物送達システム及び細胞内遺伝子導入等において脚光を浴びているリポソームには、多重層(MLV)、小さな一枚膜(SUV)、大きな一枚膜(LUV)及び巨大(GUV)リポソーム等、幾つもの種類が存在する。我々は最近、ボルテックス方式のみを軸としたMLVの簡易作製技術を開発した。本研究においては、ボルテックス方式により、MLVだけでなく、SUV、LUV、GUV等、全てのリポソームを容易に作製できる統一的技術を開発し、それによる機能性リポソーム作製への応用を試みる。
696 ヘム結晶化阻害を基盤とする抗マラリア薬の開発 亀井 加恵子 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 マラリア原虫は赤血球内でヘモグロビンを分解するが、遊離するヘムが有毒なためにヘムを結晶化して無毒化する機構を持つ。ヘム結晶化を阻害する化合物は抗マラリア薬となる可能性があるため、これまでにヘム結晶化阻害物質のスクリーニング方法を開発した。本研究では、ヘム結晶化阻害物質をスクリーニングする。さらに、ヘム結晶化阻害物質の抗マラリア活性を明らかにし、抗マラリア薬の開発に資する。
699 マウス神経幹細胞を利用した効率の良い中枢神経発生系の開発 黒坂 光 京都産業大学 物部 剛 京都産業大学 幹細胞技術の進歩に伴い、神経疾患に対する再生医療の期待が高まっているが、未だ安定した神経細胞の再生系は開発されていない。神経細胞の分化には,効率の良い細胞再生系と、安定したタンパク質発現系が必要である。本研究の目的は、マウス初代培養神経幹細胞などに、神経特異的な糖転移酵素を利用した安定なタンパク質発現系を導入することで、効率の良い神経細胞分化系の開発を試みることである。
700 5’末端翻訳領域デファレンシャルデスプレー(5’RDD)法の検討と改良 別所 親房 京都産業大学 物部 剛 京都産業大学 従来のデファレンシャルデスプレー(DD)法は、発現量に差のある遺伝子群を簡便、高感度に表示する優れた方法であるが、mRNAの生物学的情報に乏しい3’末端非翻訳領域を表示する欠点があった。この問題を解決するために、cDNAの5’末端未知領域を増幅する5’RACE法を応用し、mRNAの5’末端翻訳領域を表示する5’RDD法として特許申請した。この方法は、1本鎖cDNA の5’末端に、既知配列のオリゴヌクレオチド(ON)またはオリゴdA (OdA)を結合したものと、ONまたはOdAに相補的なプライマーと任意プライマーを用いてPCRし、DNA産物を寒天ゲル電気泳動して蛍光表示する。
709 新規リジンα-オキシダーゼの開発とL-ピペコリン酸生産への応用 三原 久明 京都大学 藤田 聡美 関西ティー・エル・オー 本課題では、部位特異的変異および分子進化工学などのタンパク質工学的手法を駆使して、新規リジンα-オキシダーゼを開発する。これにより得られる高効率リジンα-オキシダーゼをΔ1-ピペリデイン-2-カルボン酸レダクターゼと共にリジン高生産大腸菌株内で発現させることにより、医薬中間体として有用なL-ピペコリン酸の効率的な発酵生産系の構築を目指す。
715 非修飾DNAを用いた遺伝子診断に向けた機能性蛍光色素の開発 山東 信介 京都大学 是成 幸子 京都大学 本試験研究では、非修飾型DNAプローブを用いた細胞外遺伝子配列検出の応用に向けた研究試験を実施する。具体的には、DNAの“特定配列/構造”に結合した場合にのみ蛍光を発するインテリジェント蛍光分子(機能性蛍光色素)を利用する。標的遺伝子配列と結合した場合にのみ“特定配列/構造”が形成されるようなDNAプローブを設計し、本機能性蛍光色素と組合せ、安価/安定な非修飾DNAを用いた簡易遺伝子診断系の構築を目指す。
720 標的遺伝子変異ラットの効率的な作出方法 真下 知士 京都大学 中屋 百合恵 京都大学 ENUミュータジェネシスにより作製された多数のミュータントラット個体群の中から、目的の遺伝子の突然変異ラットを選抜することで、遺伝子変異ラットを効率的に作製する方法を開発する。ラットは生理実験や、新薬開発、安全性評価試験等に広く用いられているが、ES細胞がないため、標的遺伝子変異ラットを作製することができなかった。本技術により、ヒト遺伝性疾患の原因遺伝子をターゲットとした標的遺伝子変異モデルラットを作製することが可能となる。
726 メタボローム解析と心筋代謝シミュレーションを用いた新しい心不全バイオマーカーの単離 塩井 哲雄 京都大学 樋口 修司 京都大学 心不全の発症と進展に心筋代謝の異常が関与している。本研究では、心不全モデル動物のメタボローム解析を行い、心不全の心筋代謝異常を明らかにする。さらに、メタボローム解析によって得られたデータを元に心筋代謝シミュレーション・システムを構築し、心不全の診断と治療に対する効果的な介入点を見つける。
730 DNA毒性の、高感度検出アッセイ系の樹立 武田 俊一 京都大学 樋口 修司 京都大学 産業で使用される化学物質の安全性は、化審法の規定によって、野生型の正常細胞を使って評価される。発がん性の原因になる化学物質による染色体DNA損傷を、正常細胞はすみやかに修復する。そこで発がん性をより高感度に検出する目的のために、様々なDNA修復経路欠損細胞を使って発がん性を検出する手法の開発を提案する。
763 無機酸化物ナノ蛍光体を用いたナノ領域バイオイメージング 伊藤 征司郎 近畿大学 松本 守 近畿大学 われわれが独自に開発した低環境負荷合成法により、希土類イオンドープ無機酸化物蛍光体ナノ粒子(ナノ蛍光体)を合成し、このものをナノメートルオーダーの空間分解能を有するナノバイオセンサに応用する。ナノ蛍光体を表面改質処理することで,量子収率を飛躍的に向上させるとともに、特定のたんぱく質、細胞などを検出できる部位を結合することで、これらを個々に検知できるナノバイオセンサを構築する。
766 好熱菌を用いた難分解性動物タンパク質に対するリサイクルバイオテクノロジー 茂里 康 産業技術総合研究所 小黒 啓介 産業技術総合研究所 難分解性動物タンパク質は産業廃棄物として排出される。これらはくず肉や羽毛廃棄物、廃水中の毛髪に多量に含まれるが、難分解性でかつ付加価値のある再利用先の展開が無いため未利用資源として廃棄される。本研究は、我々が単離した難分解性動物タンパク質に対し高い分解活性を有する好熱菌を用い実用レベルでの分解特性の検討、分解に有効な微生物系の確立、分解物中の活性物質の探索を目指し、試験研究を行うものである。
768 二次元ゲルプラスチック化法による機能性プロテオミクスの新しいツールの創出 和田 明 大阪医科大学 大野 安男 科学技術振興機構 本研究の目的は、蛋白機能の包括的解析を行うためのプロテインチップを、二次元ゲルをプラスチック化することによって作成することである。この「ゲルプラスチック」は水溶液中で可逆的に元のゲルに戻るので、全蛋白質の機能を一挙的かつ包括的にゲル上で測定することができる。さまざまな生物の蛋白質を分離した二次元ゲルをプラスチック化して供給すれば、機能性プロテオミクスに新しい展望を拓くことができる。
783 軟体動物および節足動物の血液主要成分を利用した環境調和型酸化触媒の開発 伊東 忍 大阪市立大学 三刀 基郷 大阪市立大学 タコやイカなどの軟体動物、およびカニやエビなどの節足動物の血液中には二核銅活性中心を有する酸素運搬タンパク質ヘモシアニンが多量に含まれている。本研究ではこのような呼吸系のタンパク質であるヘモシアニンに摂動を加えることにより、タンパク質の活性中心に取り込まれた分子状酸素を活性化し、各種基質の酸素化反応を触媒する新しいタイプの環境調和型酸素化触媒の開発を目指す。
785 超臨界流体中での酵素活性を利用した生体由来組織の脱細胞化 澤田 和也 大阪成蹊短期大学 東別府 良彦 大阪成蹊学園 本研究では、生体由来組織から細胞成分を除去し、構造タンパクのみからなるスキャフォールドの作成を目指す。また、媒体や化学薬剤等の残存による組織への影響を無くすため、二酸化炭素やフッ素系媒体等、常温・常圧で気体状態である媒体を利用し、それらの超臨界状態での処理を行う。さらに、細胞分解を効果的に進めるために酵素活性も利用する。これにより、生体に対して安全性の高いスキャフォールド調製を目指す。
794 細胞毒性を示す生体触媒の高効率生産系の確立 西岡 求 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 生物変換反応(バイオ酸化反応など)を担う酵素タンパク質を組換え体酵素として生産させようとしたとき,宿主細胞に対して細胞毒性を示す場合も多い.細胞毒性の原因は様々なものが考えられるが,細胞内で生じる酸化ストレスは,共通性の高い因子として挙げられる.生体触媒生産効率化のために,このような細胞内酸化ストレスと培養環境に起因する細胞外ストレスに対して,細胞の「基礎体力」を増強させ,細胞が受けるストレスを自己解消できる細胞を創出する.
801 細胞内移行ペプチドを用いた効率的かつ簡便な新規遺伝子導入技術の開発 吉岡 靖雄 大阪大学 多田 英昭 大阪大学 疾患関連遺伝子などを標的細胞・組織に導入し、その機能を解析する試みは定法となっている。しかしウイルスベクターですら、リンパ球・悪性腫瘍・幹細胞など重要な標的細胞への遺伝子導入が困難であり、遺伝子導入効率・汎用性・簡便性に優れた革新的遺伝子導入法の開発が待望されている。本研究では、細胞内に効率的に物質導入可能な因子である細胞内移行ペプチドを用いウイルスベクターを化学修飾することで、これまで遺伝子導入困難であった条件下・細胞・組織において応用可能な新規遺伝子導入法の開発を試みる。
822 ヘムタンパク質を基盤とするバイオ超高感度酸素センサーの開発 林 高史 大阪大学 樋口 堅太 大阪大学 生体組織における溶存酸素は、様々な生理現象に関与しており、医療現場や、培養細胞などの生体試料の評価において、高感度かつ容易に検知できる酸素センサーの開発が必要とされている。 本課題では、幅広い生体反応を担っているヘム蛋白質を一種の「バイオセンサー材料」と捉えて、そのヘムタンパク質の構成要素である「ヘム」の構造や化学的性質を、化学修飾により制御し、生体内もしくは生体試料中で機能する新しい超高感度酸素センサーの開発を目的とする。
852 ゲノム初期化因子の簡易スクリーニング法の開発研究 木下 勉 関西学院大学 山本 泰 関西学院大学 成体の体から採取した細胞を初期化し、発生初期の胚性の細胞へ戻すことができれば、自分のES細胞を作り出すことが可能となる。この技術を確立するためには、成体細胞の核に含まれるゲノムを初期状態に戻す働きをする初期化因子が必須である。本研究では、かかる初期化因子の簡易スクリーニング法の開発のため、ゲノムの初期化状態を検出する遺伝子の作製、及び試験管内(in vitro)検出法の確立・検証を行なう。
853 金めっき技術を応用した新規免疫学的検出技術の開発 西方 敬人 甲南大学 安田 耕三 甲南大学 本研究課題は、既存の「簡便かつ安全な金めっき浴」の技術を、バイオ領域の技術に応用・移転するものであり、免疫学的手法(ウエスタンブロッティングおよび免疫組織染色とin situハイブリダイゼーション)における検出感度の飛躍的向上を図るものである。さらに本検出法の実用性の高さと応用範囲の広さを示すとともに、汎用検出キットを組み立て、抗体マーカーを用いた高感度のガン診断法の確立を目指している。
871 油水界面を用いるタンパク質の電気抽出分離・分析法の開発 大堺 利行 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 最近,代表研究者が原理を見いだしたタンパク質の逆ミセル電気抽出法を用いて,タンパク質の選択的かつ迅速な分離・分析法を開発する。マイクロフロー電解セルを用いて,油水界面の電位差を制御しながらタンパク質を選択的に界面移動させ,タンパク質を電流として検出・分離する。この独創的で新規な装置の性能(選択性,迅速性,定量性など)を調べ,クロマトグラフィーなどの従来法では困難だった比較的多量のタンパク質の選択的分離を試みる。
890 微生物変換法を用いた希少ヒドロキシ脂肪酸の生産技術開発 岸本 憲明 近畿大学 松本 守 近畿大学 ロイヤルゼリー(RJ)にのみ含まれている希少脂肪酸10-ヒドロキシ-trans-2-デセン酸(10HDA)を、安定供給可能なtrans-2-デセン酸(2DA)から微生物変換法で容易に生産する方法を確立した。RJには多様な生理活性が報告されているが、RJ成分を安定供給する方法が確立されていない。このことがRJの作用機作を解明する障害となっている。そこで本研究では、2DA誘導体を基質とし微生物を用いて高濃度の10HDAを安定生産できる実験室規模の変換システムを確立する。
893 ほ乳類網膜組織再生のための細胞外基質の開発研究 荒木 正介 奈良女子大学 藤野 千代 奈良女子大学 本研究は、臨床応用への技術還元を目的に、機能的なほ乳類網膜組織の再生を中期目標とする基礎技術開発を目指し、特に、その第1段階として、申請者が開発した器官培養技術をほ乳類網膜再生に応用できる可能性を実験的に検証する。この組織培養技術は、従来のプレート培養ではなく、フィルターとゲルで組織をサンドイッチにして培養する新しい手法で、両生類の網膜組織の再生を可能にした。ゲルに用いるさまざまな細胞外基質タンパク質について、最も優れた効果をもつ分子を探索する。
905 新規な生物活性をもつコラーゲン・バイオマテリアルの開発と応用 森本 康一 近畿大学 大野 安男 科学技術振興機構 I型コラーゲンは動物細胞の足場としてあるいは機能発現に欠かすことのできない重要なタンパク質である。I型コラーゲンを果実由来の酵素で限定加水分解した産物には,これまでに見られなかった性質が現れ,また会合体の形態が異なることを明らかにした。本研究の目的は,この新規コラーゲンの分子レベルでの特徴と細胞との相互作用を調べ,新しいバイオマテリアルとしての応用性と発展性を探ることである。
914 プロテインサイエンスによるコンフォメーション病の治療法の開発 河田 康志 鳥取大学 佐々木 茂雄 鳥取大学 アルツハイマー病やパーキンソン病などの脳神経変性疾患はコンフォメーション病とも言われ,病気に関わる蛋白質がアミロイド線維を作り,細胞内外に一定量以上蓄積すると発症する。しかし,病気ごとに原因蛋白質がそれぞれ異なっており,その蓄積量を個々に推定することは難しい。本研究では,様々なアミロイド病の原因蛋白質のアミロイド線維核に反応し,検出できる新規なユニバーサル診断材料の開発とその応用に関わるプロテインサイエンス研究を行う。
921 イオン交換性鉱物を用いた1stepプラスミド精製法の開発 永田 善明 島根県産業技術センター 川谷 芳弘 島根県産業技術センター 大腸菌からのプラスミドDNA精製法であるアルカリSDS法の大幅な簡略化と時間短縮を目的として、菌体溶解液の脱塩、除タンパク質、除界面活性剤をイオン交換性鉱物などを用いて1stepで行う方法を開発する。また、塩化セシウム密度勾配遠心後のプラスミド溶液に含まれる高濃度の塩化セシウムと臭化エチジウムを、イオン交換性鉱物などを用いて1stepで除去する方法を開発する。
928 血管形成促進作用を有する天然物化合物の解明と創薬開発 松原 主典 広島大学 湯浅 光行 岡山県立大学 虚血性心疾患や閉塞性動脈硬化症のような血管障害では、心筋や下肢組織の血流確保が困難となり重篤な結果をもたらすことから、新たな血管を形成し血流を確保する血管新生療法の開発が行われて来ている。しかし、血管形成促進物質の多くは高分子のタンパク質であり、遺伝子治療といった特殊な技術が必要となる。一方、薬草など天然物由来の低分子性血管形成促進物質は、安全で取り扱いが容易な経口投与薬剤の開発に繋がる可能性が高い。本研究では、天然物に含まれる血管形成促進物質を利用した血管形成促進剤開発の基盤を確立する。
941 バイオプロセスによる重要医薬中間体の環境調和型不斉合成 依馬 正 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 クロピドグレルは血小板凝集阻害活性を有しており、血栓によって引き起こされる脳梗塞や心筋梗塞の再発予防薬として使用されている。プラビックス (クロピドグレル硫酸塩の商品名) は、年間売上高が世界第2位にランクされている。遺伝子組換え大腸菌を用いた新規製造法により、クロピドグレルの鍵中間体である(R)-o-クロロマンデル酸メチルエステルを対応するケトンの不斉還元にて合成し、これをコア技術とした環境調和型製造法を確立する。
944 多様な非天然アミノ酸が導入可能なタンパク質合成系の創製 大槻 高史 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 蛋白質の特定部位に非天然のアミノ酸を導入することができれば、創薬および蛋白質研究に対して多大な貢献が見込まれる。既存の非天然アミノ酸導入システムでは、蛋白質への導入が不可能な非天然アミノ酸が多数存在する。その原因の一つは非天然アミノ酸がEF-Tuという因子と適合しないことであった。本研究では、多様な非天然アミノ酸の蛋白質への導入を可能にすることを目的とし、EF-Tuを改変して非天然アミノ酸の導入を検討する。
947 グリコーゲン利用に関わる輸送体の異常検出キットの開発 表 弘志 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 グリコーゲン蓄積異常に関わる輸送体の異常を検出するキットの開発を目指す。グリコーゲンの制御された合成と分解は正常な糖の利用に必須である。グリコーゲンの分解物であるグルコースリン酸は小胞体内でさらに分解される。この過程の輸送体(NPT4)が異常をきたすとグリコーゲンの利用が制限され、低血糖や免疫不全などの症状がでる。病気の原因である輸送体の異常を検出するキットを開発し、迅速な診断や治療薬の開発に貢献する。
950 ポリスチレン高親和性ペプチドタグを用いた革新的蛋白質相互作用解析システムの開発 中西 一弘 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 本格的なポストゲノム時代を迎えている中、蛋白質相互作用解析法の開発は、医薬品開発などにおいて必要不可欠なツールである。本研究では、従来法で使用される疎水性PS Plateではなく、親水性PS Plateを用い、PS Plateに対して高親和性を有するペプチドタグに目的蛋白質を連結する、あるいはペプチドタグ付き蛋白質をスペーサとしてペプチドに連結することを原理とする、高感度汎用蛋白質相互作用解析システムを開発する。
966 深海微生物由来タンパク質を利用した高圧・低温耐性ナノデバイスの創製 仲宗根 薫 近畿大学 繁村 龍彦 くれ産業振興センター 現在、バイオ素材とナノテクノロジーを融合した「バイオナノテクノロジー」は21世紀の潮流の一つになっている。有用物質(酵素、生理活性物質生産)生産等の触媒システムに求められる特性として、「耐熱性」や「高圧力・低温耐性」などの機能が求められる特質であるが、特に高圧・低温に関しては深海微生物にのみ与えられた機能として大変有効である。本研究は上記背景に基づき、深海微生物由来タンパク質の耐圧・耐冷性を理解し、その特性を利用した高圧・低温耐性ナノデバイスの創製を目的としている。
971 大豆発酵による有用成分の生成とその効率的生産・分離技術の確立 渡部 緑 広島県立食品工業技術センター 山下 民治 くれ産業振興センター 大豆は多様な機能性を有する食材として知られているが,発酵熟成させることにより新たな機能性も付加されることが明らかとなってきた。我々はこれまでに大豆発酵食品の大腸がん前がん病変抑制作用等に関する研究を行っており,その活性の主要成分は発酵工程で生成される高分子物質であると考えている。本研究では,この高分子有用成分を効率的に生成する発酵条件について検討する。さらに,膜処理による有用成分の効率的な濃縮・分離技術の確立を目指す。
987 光増感色素による病院・畜舎内空気の脱臭・殺菌技術の開発 正岡 淑邦 広島大学 榧木 高男 広島大学 色素触媒の働きによってオゾンよりも酸化力の強い一重項酸素が発生する。この原理を応用し、既存のエアコンなどに追設して畜舎内や病院内の空気中の悪臭成分と鳥インフルエンザなど感染症の原因になる浮遊性病原微生物とを、一重項酸素で酸化分解して死滅させる事が可能になる。
この方法で汚染空気を洗浄して水溶液に溶解させるスクラバーと、マイクロバブル内の酸素を基に色素増感反応によって発生させた一重項酸素で水溶液を消臭・滅菌するカラム、とから成る装置を開発する。
998 植物乳酸菌の産生する抗菌ポリペプチドの高度利用技術開発 的場 康幸 広島大学 山田 一徳 広島大学 本研究では, 汗疹や体臭の原因となるグラム陽性細菌に対し有効な抗菌ポリペプチドを産生する乳酸菌を探索し, かつ, その乳酸菌から抗菌ポリペプチド合成遺伝子を取得する。さらに, 本遺伝子を組み込んだトランスジェニックカイコを用いて,「抗菌シルク」の創出をめざす。特に, 効率的抗菌活性発現のためには, 抗菌ポリペプチド合成遺伝子を絹のフィブロイン層で発現させるべきか, あるいは, セリシン層で発現させるべきかが検討課題となる。
1033 創薬のためのプロテアーゼ阻害剤探索法の開発 辻 明彦 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 プロテアーゼ阻害剤は、抗炎症剤、降圧剤、感染治療薬として利用されているが、ヒトゲノムには、多くの未知プロテアーゼがコードされ、これらのプロテアーゼは創薬の魅力的な対象である。しかし遺伝子からプロテアーゼを発現し、阻害剤開発のために必須の情報である切断特異性について調べるのは非常に困難で、時間がかかる。本プロジェクトでは、血清プロテアーゼインヒビターであるアンチトリプシンの改変体ライブラリーを利用した、敏速簡便なプロテアーゼ切断特異性解析法を開発する。
1051 マイクロサテライトマーカーおよびミトコンドリアSNPsを利用したニッポンバラタナゴの遺伝的同定法の開発 池田 滋 香川大学 福井 次郎 香川大学 マイクロサテライトマーカーおよびミトコンドリアSNPsをマーカーとして利用し,香川県東部のため池をその数少ない生息地とする,絶滅危惧種のニッポンバラタナゴの遺伝的同一性を迅速かつ正確に判定する方法を開発する.鱗1枚からゲノムDNAの分離と増幅を行い,魚体の損傷を抑えるとともに,マーカーはDNAチップ化して,ユーザー(絶滅危惧魚種の研究者や保全を行うNPO,高校理科教師の研究会など)の利便性を高める.
1091 新規海洋細菌を用いた抗腫瘍生理活性色素の生産 榎本 恵一 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 細菌が産生する色素の中には青紫色素ヴィオラセインや赤色色素プロディジオシンのように抗腫瘍作用、原虫に対する抗生作用、免疫抑制活性を示すものがある。しかし、これらの色素を産生する代表的な細菌が病原性をもつため、大量培養による色素の生産は困難であった。本研究では、海水中より分離した安全性の高い新規海洋細菌を用いてこれらの色素の簡便かつ効率的な生産方法を確立する。
1105 キレーター脂質を用いる薬物輸送系の開発 本家 孝一 高知大学 石塚 悟史 高知大学 任意の細胞に薬物を高効率に運搬・導入する基盤技術が求められている。本研究課題では、標的細胞の表面に特異的に結合するリポソームを作製することにより、標的細胞内に薬物を高効率に導入する新技術を開発する。
1118 癌細胞統合シミュレータの開発 倉田 博之 九州工業大学 大矢 伸宏 九州工業大学 癌細胞の多様な情報,すなわち表現型 (臨床知見)・ゲノム・ポストゲノム・遺伝子機能を含むあらゆる階層の情報,をノードとする統合ネットワークモデルを構築し,癌の創薬ターゲット分子を予測するシミュレータを開発する.ここでブレークスルーとなる技術は,複雑な癌細胞ネットワークモデルを簡略化することによって最小要素ネットワークを構築する技術である.
1127 新規バイオプロセスの実用化に向けたシトクロムP450活用システムの開発 一瀬 博文 九州大学 冨田 和弘 科学技術振興機構 シトクロムP450 (P450) は多種多様な化合物への水酸化反応を触媒し、極めて多様性に富んだ生体触媒である。申請者は木材腐朽担子菌の優れた物質変換能とP450機能多様性に着目している。 担子菌P450の有用性は、バイオマス変換・バイオレメディエーション・創薬・化学品合成など様々な分野で注目されており、本研究では、担子菌P450の網羅的機能解析を通じてケミカルプロセスでは困難な反応を可能とするP450を探索する。
1140 生合成酵素を用いたテトラヒドロカンナビノール新規生産システムの開発 田浦 太志 九州大学 山本 英樹 九州大学 大麻の活性成分テトラヒドロカンナビノール(THC)は鎮痛、鎮吐及び抗炎症等の活性を有し、慢性疼痛や多発性硬化症などの神経性難病や緑内障の適用にて米英など諸外国で医薬品として認可されている。本課題では低コスト、高効率で且つ高品質なTHCの生産システムの確立を行う。具体的には、THCの前駆物質THC-acidの生合成酵素の大量発現系の構築、酵素反応効率の向上検討を行ない、これら半合成的アプローチによりTHCの新たな生産システムの確立を目指す。
1150 イネ澱粉枝作り酵素の触媒機構の解明と澱粉工業への有効利用 木村 誠 九州大学 深見 克哉 九州大学 植物はエネルギー源として澱粉を合成し蓄積する。澱粉は人類共通の食糧として利用されているだけでなく、各種医薬、食品、製紙、繊維工業等における主要な原材料としても利用されている。澱粉はブドウ糖がα-1,4グリコシド結合により結合したアミロースとブドウ糖がα-1,6結合により分枝したアミロペクチンから構成され、両ポリマーの含有比により、澱粉の糊化性などの物理的特性が決定される。本申請試験研究では、イネ澱粉アミロペクチン合成酵素・枝作り酵素の基質認識と触媒反応の構造基盤を原子レベルで解明し、食品工業および澱粉工業への有効利用を探る。
1161 迅速・簡単な一塩基多型タイピング方法の開発 奥村 史朗 福岡県工業技術センター 石川 宗晴 科学技術振興機構 遺伝子の一塩基多型(SNP)のタイピング方法について種々検討されているが、現状では高価な測定器や試薬を用いて経験を積んだ分析者が行うことが必要である。本研究では、迅速かつ簡易にSNP のタイピングが可能なシステムの構築をめざし、SNP検出リガンドに特長を持たせて簡易測定できるようにして、検査需要の喚起が行える手法の開発を行う。
1167 肥満研究支援のための脂肪細胞チップの開発 中澤 浩二 北九州市立大学 北井 三正 北九州産業学術推進機構 本課題では、メタボリックシンドロームのような肥満研究のための新しい研究支援ツールとして、脂肪細胞チップの開発を行う。具体的には、マイクロ流路を有する基板上に脂肪細胞がアレイ化された「脂肪細胞チップ」を開発し、脂肪滴の蓄積やアディポカイン分泌などを定量的に評価・解析出来ることを実証する。研究成果を基に機能性食品や医薬品などが肥満に与える効果を評価可能な「細胞チップ」として製品化することを目標とする。
1189 環境調和型バイオポリエステル生産システムの開発 松崎 弘美 熊本県立大学 坂田 敦子 くまもとテクノ産業財団 化学合成プラスチックの多くは分解されないため、様々な環境問題を引き起こしている。そのため微生物由来のバイオポリエステル、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は生分解性プラスチックとして期待されている。PHAの実用化のためには物性面と生産コストの問題を克服する必要があり、これまでに丈夫なPHAの生合成に成功している。本研究では、もう一つの課題であるコスト面を解決するため、生合成関連遺伝子の機能を解明し、遺伝子制御さらには安価バイオマスの利用によって、PHAの効率的生産を行うことを目的とする。
1212 生理活性糖鎖をターゲットとした分子設計ソフトウェアの開発 湯井 敏文 宮崎大学 平井 澄夫 科学技術振興機構 多様な生理活性が期待される分岐状糖鎖分子がとりうる立体配座空間を効率的に探索し、重要配座の予測を目的とした立体配座探索プログラムを開発する。立体配座探索の基本アルゴリズムには遺伝アルゴリズムを採用し、さらに糖鎖の立体化学特性をふまえた適切な探索手続きを考案する。併せて実際の糖鎖配座探索に適用し、適切な探索手順についても検討する。以上の成果から、生理活性糖鎖の分子設計ツールとしての可能性を探る。
1223 電子スピン共鳴法による生体物質の抗酸化能の計量デ−タベ−ス化 中島 暉 宮崎大学 武藤 弘之 宮崎大学 ヒドロキシルラジカル及びスーパーオキシドラジカルは、人体内で発生しうる重要な活性酸素である。これらの不安定なフリーラジカル類は、スピントラップ剤を用いて準安定なフリーラジカル(スピンアダクト)とし、電子スピン共鳴法で計測することができる。抗酸化物質が、これらの活性酸素ラジカルをスピントラップ剤と競争反応的に消去すると、観測できるスピンアダクトの量が減少する。この方法を用いれば、抗酸化物質の抗酸化能を計量することができる。本研究の目的は、この原理により、種々の水溶性及び脂溶性の抗酸化物質について前述した2種類のラジカル消去能を求め、2次元的抗酸化能データベースを作成することである。物質の抗酸化能のデータは、生命科学、食品化学など多くの分野で、ニーズが高く、有用なデータベースが構築できると考えられる。

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 化粧品:8件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
72 ブタ腸内細菌叢による肉質評価法の開発 山内 和律 北海道立畜産試験場 小関 忠雄 北海道立畜産試験場 腸内細菌の16SrDNAにより腸内細菌叢を明らかにし、それらと豚肉の関連を調査して腸内細菌叢による豚肉評価方法を開発する。ホエイなどを利用する養豚など特徴のある養豚に対して腸内細菌叢を基に適切な給与量および給与方法を設定する技術を開発することが本研究の目的である。
164 紫外線遮蔽機能を有する「新規体質顔料」の開発 佐藤 次雄 東北大学 芝山 多香子 東北大学 450 nm 以下の波長の光を吸収可能で、流動性に優れた含水リン酸セリウムの単分散板状ミクロン粒子を水熱法で作成し、紫外線遮蔽能を有する新規体質顔料を開発することを目的とする。具体的には、製造最適条件の検討、薄膜透過スペクトルの測定、試料のすべり摩擦抵抗の測定および官能試験、光照射下における一重項酸素生成特性評価を行う。
262 天然フェノール配糖体に着目した親水性チロシナーゼ阻害剤の創製 二瓶 賢一 宇都宮大学 生田 四郎 宇都宮大学 皮膚や植物組織の褐変はチロシナーゼによる酸化反応に端を発している.従って,この酵素反応の阻害剤は化粧品,アンチエイジング剤及び抗酸化剤などに応用可能である.チロシナーゼの基質に類似するフェノール類は強力な阻害活性を示すことが分かっているが,それらの大半は水に難溶,かつ細胞毒性を有している.そこで本試験では植物中の水溶性フェノール配糖体に着目し,親水性チロシナーゼ阻害剤の開発を目指す.
265 魚類由来コラーゲン関連物質による機能性材料の創製 飯島 道弘 小山工業高等専門学校 山下 信 小山工業高等専門学校 食品から化粧品・医学に至るまで幅広い分野で用いられているコラーゲンは、その大部分を占めていた牛由来のものが敬遠され、魚類や他の原料への変換が迫られるようになってきている。しかし、これまで、魚類由来のものは熱変性温度が低いことから利用面での制約があった。本研究では、特に熱変性温度が高い特定の魚類由来コラーゲンに注目し、その誘導体の抽出・精製方法の最適化と機能化、及び化粧品用やサプリメント材料としての有効性を把握し、機能性材料としての幅広い製品展開を図る。
323 高圧力処理による香水の熟成期間短縮技術の研究開発 清水 昭夫 創価大学 中江 博之 タマティーエルオー 一般に香水は、数十種類から数百種類の香料成分を調合してつくられるが、調合後すぐに出荷されるのではなく、半年から1年以上冷暗所で静置して自然熟成させる必要がある。そこで、高圧力処理により熟成を促進し、わずか1日程度で熟成させる技術を開発する。また、そのメカニズムの解明を試みる。この技術により新製品開発時間や香水製造時間の大幅な短縮、熟成時に必要なエネルギーや保管場所を削減することが期待される。
355 加水分解ケラチン含有高湿潤フェイスマスクの創製 野村 義宏 東京農工大学 平田 美智子 東京農工大学 羽毛の主要タンパク質であるケラチンは、フェザーミールとして利用されてきたが、環境問題ならびに設備コストの問題から焼却処分されている。その利用用途の開発として、より付加価値の高い化粧品用基材としての可能性に関し研究を進める。すなわち、加水分解ケラチンを基材とした湿潤性のゲルを作製し、美顔目的のフェイスマスクを試作する。
508 ヒアルロン酸合成促進性天然化合物の皮膚機能性向上に関する応用研究 板野 直樹 信州大学 篠塚 由紀 信州TLO ヒアルロン酸合成促進活性の認められた植物性天然化合物を用いて、皮膚組織におけるヒアルロン酸合成に対する活性、皮膚の機能性改善と保水性向上作用を実証する。
ヒアルロン酸産生促進効果は動物試験により実証する。ヒト皮膚への塗布後、パッチテストによる皮膚ヒアルロン酸含量の測定と皮膚水分含量測定そして弾力性試験を実施し、皮膚組織の機能性と保水性を評価する。本技術を確立することで化粧品などへの利用が可能となる。
1241 高分子−シリカ複合ナノ粒子の分散安定性と物質固定化評価 山元 和哉 鹿児島大学 中村 恵造 鹿児島大学 新規な固定化処理法である静水圧処理により高分子-シリカ複合体を調製し、化粧品添加物およびトナー・記録材料の調製を目指す。モデル添加物として既に市販材料として用いられているポリビニルアルコールおよびシリカから構成されるナノレベルの複合体および表面物性が制御可能な機能性複合体の調製を検討する。得られた複合体の分散安定性、モデル物質の担持能を評価する。

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