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平成19年度シーズ発掘試験 研究概要一覧(農水・バイオ分野)


 紙、繊維:9件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
242 酢酸菌由来のセルロースナノファイバーを用いる機能性フィルムの創製 菱川 裕香子 森林総合研究所 山本 幸一 森林総合研究所 酢酸菌が菌体外に産生したセルロースナノファイバーは、産生直後に、3次元網目構造を形成する。このような構造体に対して、水中カウンターコリジョン法を適用することにより、3次元の網目が解きほぐされ、セルロースナノファイバー分散水を得ることができる。本課題では、このセルロースナノファイバー分散水を用いてフィルムを調製し、得られたフィルムの諸物性を評価し、その知見をもとに応用展開を検討することを目的とする。
470 レーザー光とインクジェットプリントを併用した難染性繊維の染色技術開発 沢野井 康成 石川県工業試験場 奥野 孝 石川県産業創出支援機構 スーパー繊維の一つであるアラミド繊維は、高強度・耐熱性等の優れた性質を有するが、後加工による染色が困難である。そのため、本研究ではアラミド繊維の新規染色技術の確立を目的とする。インクジェットプリント手法等で昇華性の染料を塗布した各種アラミド繊維布表面へのレーザー光による実験より、照射条件の最適化と染料面からの検討を行うことで、環境負荷の少ない染色技術の開発を目指す。
662 充填材料としての再生反毛わたの品質評価と感性価値製品への適用 與倉 弘子 滋賀大学 宇佐美 照夫 滋賀大学 充填材料としての再生反毛わたの品質評価と、それを用いた感性価値のある製品の開発を目標とする。再生わたの素材特性として力学特性と熱・水分移動特性を取り上げる。まず、再生わたの素材特性と使用時の快適性との関係、繰り返し圧縮による性能変化の範囲と特徴を明確にする。そして、「人の感性との適合性」と「繊維資源の有効利用」の視点を踏まえた感性価値のある充填材料として、用途の開発に資する技術的方途を提案する。
702 炭素モノフィラメントを用いた高密度製織技術の開発 白井 治彦 京都市産業技術研究所 伊藤 省二 科学技術振興機構 炭素繊維の極細単糸を高密度で製織した極薄の織物を開発し、実用性能として張強度、電磁波シールド性などの評価を行う。本研究では機械化が可能な高密度の製職技術を工夫することで、高密度かつ超極薄で柔軟な炭素繊維マイクロファブリックを開発する。
869 熟練者の感覚技能を継承する−皮革の触感のデジタル化− 井上 真理 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 皮革製品の良し悪しは現在でも熟練者の勘と経験によって判断されている。後継者の育成がままならない時代になり、このような感覚の伝承が困難になりつつある。本研究では、布の風合いを基本的な力学特性と表面特性でデジタル化したこれまでの手法を用いて、皮革独特の、熟練者の感覚を継承するために、触感をデジタル化し、さらに柔らかさや伸びにかかわる皮革独特の触感と物理的な特性値との関係を明らかにする。
967 高濃度パルプ繊維分散評価技術の開発 角田 勝 近畿大学 繁村 龍彦 くれ産業振興センター 本研究ではパルプ液流れのパルプ繊維濃度を光切断法を用いて同定し、その瞬時の分布を算出する解析手法を考案するとともに、時間的に変動する繊維濃度分散の評価技術を開発して濃度むらを定義する方法を提案する。さらには、光透過法による点計測法とも比較し、その有用性と高効率化を検証することを目的とする。これらの研究を通じて、高濃度抄紙機技術の実用化への途について検討する。
1065 柑橘成分の有する貯穀害虫忌避性を用いた防虫紙の研究 西田 典由 愛媛県紙産業研究センター 篠原 広充 愛媛県紙産業研究センター 穀物や穀粉は、貯蔵中に貯穀害虫により食害を受けるが、これにより多量の食料が失われており、その対策が求められている。柑橘精油は、代表的な貯穀害虫であるコクゾウムシに対し、忌避性を有する。これを紙やフィルム等に担持させることで、防虫性のある食品保存用の包装等を作製することを目的とする。柑橘精油の分析、バイオアッセイによる閾値の検討、紙やフィルム等への担持法およびその評価を行う。
1066 機能性粉体の点担持技術による新規シート状材料の研究開発 高橋 雅樹 愛媛県紙産業研究センター 篠原 広充 愛媛県紙産業研究センター 各種機能性を有する粉体を、不織布などのシート状素材に担持・複合化する場合に、使用するバインダー樹脂により粉末が埋没し、本来の機能性が低減することが問題となっている。本研究では、新規なバインダーの利用や塗料化技術に取り組み、機能性粉体の有する機能特性を活かしたままで不織布シートに担持・複合化する技術を確立し、新規シート状材料を研究開発する。
1111 界面重合反応を活用した新規ナノファイバーの合成法とナノファイバーの特徴を有するシート状素材の開発 市浦 英明 高知大学 島崎 たどる 高知大学 本研究では、界面重合反応を利用して、不織布等のシート状素材表面上でナノファイバーの合成を試みる。本技術は、水溶性高分子の濃度および有機溶媒の組成を変化させて、界面重合を行った高分子の形態が変化する“自己組織化的現象”を利用しており、ナノファイバーの合成と同時にシート状素材に定着できる点が最大の特色である。シート表面上でナノファイバーの合成を行い、その機能を併せ持つシート状素材の開発が期待される。

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 農業:35件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
28 イネ科牧草の物理的強度測定装置の開発と応用 本江 昭夫 帯広畜産大学 藤倉 雄司 帯広畜産大学 植物の葉や茎のように、柔軟性があり柔らかい物質の曲げ・せん断・引張り強度を測定するために、独自に測定装置を開発する。曲げ強度には3点支持の測定装置を使用する。せん断強度の測定装置では、部品をハサミと同軸となるように円運動させる方法を採用する。引張り試験のために新型クランプを開発する。これらの測定装置を応用して、今後のイネ科作物の育種における新たな指標の確立を目指す。
29 実用型根菜類肥大生長量測定装置の開発 柴田 洋一 帯広畜産大学 藤倉 雄司 帯広畜産大学 てん菜、ダイコン、ニンジン等、根菜類の根部の生育状況を簡便に知る方法として、屋外圃場において、非破壊的に、リアルタイムで連続測定する実用的な小型装置を開発し、肥培管理のタイミングの最適化、収穫時期の決定、収量予測等生産性の向上に資する。
56 ハスカップの胚乳を利用した新品種育成技術の応用と加工品開発研究 星野 洋一郎 北海道大学 鈴木 雍宏 科学技術振興機構 北海道に自生するベリー類の一種ハスカップは、果実が小さく食味の良い系統が少ないという問題点がある。果実が大きく食味の良い系統を育成するために、野生系統の選抜と倍数性育種に取り組み、新規系統を作出してきた。ハスカップの消費拡大にはそれぞれの特徴を活かした加工品の開発が必要である。そこで本課題では、新規系統の評価と加工適性試験を実施し、ハスカップの魅力をより引き出した加工品の開発を目標とする。
74 かび毒簡易検査キット開発のための高精度モノクローナル抗体の作製 竹内 徹 北海道立中央農業試験場 陰山 聡一 北海道立中央農業試験場 かび毒の簡易検査法としては、抗原抗体反応を利用した手法がもっとも適しているが、現場で使用できる簡易検査キットを開発するためには、精度が高い抗体を作製する必要がある。そこで、本試験では、コムギ赤かび病菌が産生するかび毒デオキシニバレノールに関して、簡易測定法に使用するための精度が高いモノクローナル抗体を作製する。
75 硬質小麦の品種開発を目的とした分子マーカーの開発 鈴木 孝子 北海道立中央農業試験場 陰山 聡一 北海道立中央農業試験場 小麦には、主にうどんに使う軟質小麦とパンや中華めんに使う硬質小麦がある。小麦の硬質性は、ピュロインドリン遺伝子の変異によって決まる。そこで、硬質小麦品種の開発のために、ピュロインドリン遺伝子のタイプを判別するための分子マーカーを開発する。さらに、分子マーカーは、育種選抜のルーチンに利用できるように、簡易で精度が高いものに改良する。
76 いちごリレー苗における花芽分化促進技術 田中 静幸 北海道立花・野菜技術センター 陰山 聡一 北海道立中央農業試験場 現在北海道で生産するいちごリレー苗ではクリスマス時期に果実を出荷することはできない。花芽分化を促進し、苗の付加価値を高める技術を開発する。いちご苗の花芽分化促進技術として、短日処理法、体内窒素制御法、子苗採苗時期の検討を行い、果実収穫開始期、収量、品質等について調査する。
103 マイコパラサイト代謝物を母格とした新規抗生物質の開発 橋本 勝 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 リンゴ果実においてLambertella corni-maris は、植物病原菌Monilinia fructigenaに対してマイコパラサイト現象を引き起こす。本現象機構解明の過程で、極めて広い抗菌活性、極めて低い細胞毒性を示すlambertellol類を見出した。しかし安定性に問題あり、そのままでの実用化は難しい。そこで合成安定類縁体からよりすぐれた物質を探索し、新規抗菌剤として実用化を探る。
104 リンゴ台木品種マルバカイドウの矮性台木化に向けた実用化研究 原田 竹雄 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 (辞退)
116 新規植物成長調整剤の実用化研究 臼井 紀子 岩手県農業研究センター 川嶋 明澄 岩手県農業研究センター 岩手県農研センターでは、あるアミノ酸の一種を添加した培地でリンドウを培養した結果、顕著な生育促進効果のあることを観察している。本研究では、当該物質が無菌培養のリンドウ以外の条件や作目で生育に及ぼす効果を調査するとともに、最大効果を発揮する処理方法について検討し、種苗生産場面等の使用を想定した安価で安全安心な植物成長調整剤への実用化を目指す。
125 新規澱粉特性を有するヒエ新品種「長十郎もち」の利用 星野 次汪 岩手大学 今井 潤 岩手大学 最近、食の多様化や米アレルギーなどにより、雑穀、特にヒエが注目されているが、ヒエにはモチ(糯)性が存在しないため、米と混合炊飯するとボロボロ感が強くなり、ヒエの食味改善が求められている。そこで、モチ性遺伝子(Wx)、モチ性(Wx)蛋白質の変異を解析し、品種登録したモチ性品種の栽培適地を確定し、加工・利用特性を明らかにし、米の代替食品、米とのブレンド、和菓子など、従来にない利用法を提案する。
185 環境保全型優良種子生産に向けた種子検査技術の確立 藤 晋一 秋田県立大学 渡邊 雅生 秋田県立大学 水稲の重要病害であるいもち病およびばか苗病は種子により伝染する。病害の発生を防ぐため、化学農薬による種子消毒が一般に行われるが、食の安全性や環境に配慮した農業のあり方が求められる昨今、化学農薬を必要としないクリーンな種子の生産が農業現場で求められている。本研究ではゲノム情報に基づく病害診断法により、いもち病およびばか苗病に対して化学農薬を必要としないクリーンな種子の選別が可能な検査方法を確立する。
231 熱ショックを利用した農作物の病害抵抗性誘導技術の開発と応用 佐藤 達雄 茨城大学 高木 宣輔 茨城大学 作物がごく短時間40℃以上の高温に遭遇することにより耐病性やストレス耐性を増強させることに着目し、これを農薬代替技術として利用することを目指す。最初に生育中の農作物に対して温湯散布や一時的な施設の密閉による熱ショック(一時的な高温)を与え、病害抵抗性や老化防止に関わる遺伝子を強制的に発現させる技術を開発する。次に現行の栽培体系への組み入れを前提とした処理方法を検討し、実用的な処理技術としての展開を図る。
287 作物別のウイルス病診断システムの構築 宇賀 博之 埼玉県農林総合研究センター 久保田 篤男 埼玉県農林総合研究センター 各地域の農作物には治療法のないウイルス病が多く発生している。これらウイルス病の回避には、罹病作物の早期診断と駆除、媒介生物の特定、適期・適剤防除などが重要である。本研究では、キュウリに感染する複数ウイルスの同時診断法を開発する。また、生産現場への早急なフィードバックが行えるように、設備や技術背景、拡大防止のためのベクターの特定など、様々な状況に対応した目的別診断システムを構築する。
297 植物の自己防御反応を利用した環境低負荷型害虫防除剤の開発 瀬戸 秀春 理化学研究所 泉名 英樹 理化学研究所 難防除性の農業害虫による作物被害は、野菜、花卉、果樹からイネまで広範に渡り、世界的に問題となっている。本研究は、植物が本来持っている害虫食害に対する防御反応を起動あるいは活性化する植物内生の低分子化合物をリードとして、植物に虫害抵抗性を付与することにより、当該農業害虫から農作物を護る環境低負荷型防除剤の開発を目指すものである。
320 環境ストレスに強いイネの開発 小柴 共一 首都大学東京 尾形 佑美子 首都大学東京 地球温暖化、あるいは、食糧問題への対策として悪環境に耐性を有する植物の開発が強く求められている。我々は、塩、乾燥ストレス時にイネの根で発現する遺伝子(RSOsPR10)を恒常的に発現させることにより、乾燥や塩などに強いイネを作出した。本課題においては、この過剰発現イネの塩や乾燥への耐性獲得機構について詳細な検討を加えるとともに、本組換え体の成長、稔実率、種子の栄養価など総合的な生育評価を進める。
433 マルチライン用異品種混入・花粉交雑検定ネガマーカーの開発 田淵 宏朗 農業・食品産業技術総合研究機構 安藤 益夫 農業・食品産業技術総合研究機構 イネいもち病真性抵抗性に関するマルチライン「コシヒカリ新潟BL1〜4号」による病害抑制効果を長期維持するには、交雑による抵抗性遺伝子脱落系統や他品種の混入を防止する必要がある。しかし、目視形質による選抜・抜き取りが困難なため、検査法の早急な開発が求められている。本課題では、「コシヒカリ新潟BL1〜4号」について、異品種混入・花粉交雑を効率的に検定できるDNAネガマーカーセットの開発を行い、問題の解決を図る。
490 高出力光半導体による果菜類栽培の研究 岡井 善四郎 福井大学 吉田 芳元 福井大学 現在固体素子光源として、唯一太陽光に近いインコヒーレントな光源である、三波長合成ハイパワー白色LEDを使用して、他の栽培用光源に劣らない光源パネルを製作し、まだ栽培報告のない果菜類の栽培を行う。将来の完全制御型果菜類植物工場の光源として有効であるか、太陽光との栽培実験により差異を確かめる。土壌栽培より優れた特徴を有している水耕栽培を取り入れ、果菜類栽培における最適栽培条件を見出す。
502 微生物を利用したブドウ病害防除法の開発 高柳 勉 山梨大学 還田 隆 山梨大学 灰色カビ病に拮抗性を示す細菌を用いた新たなブドウ病害防除法の開発を目的としている。申請者はこれまで無罹病のブドウ果実から分離した微生物のうち、灰色かび病菌に対して拮抗性を示す2 株の細菌を得た。本年度はこの細菌を用いてブドウ組織上での定着性や拮抗メカニズムを解明することで生物農薬としての適応性を確認する。本技術の確立により、化学農薬に変わる次世代の農薬「生物農薬」への応用が期待できる。
503 早期薬剤耐性診断法の減農薬ブドウ栽培への展開 鈴木 俊二 山梨大学 還田 隆 山梨大学 ブドウの主要病原菌である灰色カビ病菌の早期薬剤耐性を診断する方法を開発する。
H18年度シーズ発掘試験で、ブドウ病原菌を早期に検出する技術を確立した。分子生物学的手法を用いて、病気が肉眼で観察される前に病原菌の薬剤耐性を迅速に診断する方法を確立することにより、薬剤耐性菌に効果のない不必要な薬剤散布を減らし、必要な最小限の農薬を効果的に散布する。これにより、減農薬ブドウ栽培を目指す。
530 土壌微生物群集を作物栽培に好適な構成に誘導する土壌改良材の開発 吉村 明浩 岐阜県生物工学研究所 前田 喜朗 科学技術振興機構 土壌微生物は、作物栽培において肥料成分の分解、輸送などの様々な役割を果たす。そのため、微生物の量あるいはその群集構成を調整することは、効率的な施肥や適切な薬剤散布を可能にし、環境にやさしい作物栽培に繋がると期待できる。本研究は、このような土壌改良に適当な資材として見出した非晶質クエン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体の実用化に向けて、微生物に及ぼす影響を評価し、最適な施用条件を明らかにすることを目的とする。
578 ライスヌードル用水稲育種素材の開発 中村 充 愛知県農業総合試験場 野口 正樹 東海地域生物系先端技術研究会 ライスヌードル用水稲品種の育種素材を開発する。米の澱粉組成(アミロース、アミロペクチン含有量やその構造)はいくつかのタイプに分類することができる。そこで各澱粉組成タイプの米粉に馬鈴薯澱粉等の澱粉を配合して製麺試験と官能試験を実施し、製麺性と官能評価がともに高くなる米の澱粉組成タイプを選定する。次に、多収性品種と上記で選定した澱粉組成タイプ品種の交配、または交配後代の初期選抜を行い、育種素材を得る。
646 ブドウ果粒の長期貯蔵技術の確立 輪田 健二 三重県科学技術振興センター 増田 峰知 三重県科学技術振興センター ブドウは果房単位で販売するのが一般的であるが、販売単価が高く、消費が伸び悩んでいる。また、4倍体大粒系ブドウの「巨峰」や「安芸クイーン」は房単位では日持ち性が悪い。そこで、房ではなく果粒単位での日持ち性を把握するとともに、果粒を容器に入れて保存する方法を検討し、果粒パック販売に適した果粒単位での長期貯蔵技術を確立する。
734 切り花の観賞期間を延長する開花速度抑制剤の探索 佐藤 茂 京都府立大学 伊藤 省二 科学技術振興機構 園芸花きの観賞期間は、蕾が開いて満開になるまでの期間と、満開になった花が萎れるまでの期間を合わせたものである。主要花きのバラやトルコギキョウでは、前者の期間が長いことが品質のよい花きとみなされ商品価値が高い。そのためこの期間を延長する薬剤の開発が求められている。本研究では、花の生け水に施用して、花弁の展開速度を抑制する薬剤(花をゆっくり咲かせる薬剤)の探索と実用化を試みる。
877 新規作物保護剤の開発 佐々木 満 神戸大学 鶴田 宏樹 神戸大学 人口の急激な増加による世界的な食糧不足が予測される中、生産性の向上をはかるための作物育種面での新技術や新しい作物保護方法の開発が必要である。それには環境保全型農業を志向した環境保全型作物保護技術を確立することが重要である。本課題は、環境への負荷を大幅に軽減するため、生物活性天然物をリードに見出した脂肪酸関連化合物を環境中で分解されやすく残留性の少ない作物保護剤として開発することを主眼としている。
896 誘引物質を用いた水生有害貝類の長期制御システムの確立 遊佐 陽一 奈良女子大学 藤野 千代 奈良女子大学 日本の侵略的外来種ワースト100に挙げられているスクミリンゴガイとサカマキガイの2種に対しては、農薬の使用が不可能あるいは十分有効でないため、誘引物質を用いた効率よい制御が望まれる。代表研究者らは、両種に対する選好性の高い誘引物質の開発を行ったが、長期残効性が問題であった。そこで、この2種に対する残効性の高い誘引剤を開発し、これら巻貝を長期間抑制する手法の実用性を確認する。
913 イネの倒伏防止に有用な新規短稈遺伝子d60のDNA本体の単離と利用 富田 因則 鳥取大学 佐々木 茂雄 鳥取大学 世界にわずか1つしかなかったイネの短稈遺伝子sd1に替わる新規の遺伝子d60のDNA本体の獲得とその利用によりイネを短稈化し、耐倒伏性品種を迅速に育成する方法を開発する。地球温暖化に伴う度重なる大型台風の来襲で倒伏による多大の収穫減と品質劣化が問題になっており、短稈遺伝子d60による台風に強い新品種の開発が急務である。d60はイネに普遍的に存在する配偶子致死遺伝子galと共存すると配偶子が致死となり、d60を既存品種に移入する際にはF2で8長稈:1 短稈の比に分離する特異的な遺伝をするため、植物の選抜が難しい。そこで、Galの人為突然変異なくしては自然界では得られなかった貴重な短稈遺伝子d60周辺のゲノム解析により、d60のDNA本体の獲得とその利用をはかる。
915 菌類・きのこ類の機能性多糖を利用した植物免疫活性化技術の開発に関する研究 児玉 基一朗 鳥取大学 山岸 大輔 鳥取大学 菌類、特にきのこ類は多種多様な多糖類を含み、それらが免疫増強活性などヒトにおける有益な薬理作用を有することはよく知られている。一方、植物病においては、菌由来の細胞壁多糖類が病害抵抗性を誘導することが見出されている。本課題では、「菌類きのこ遺伝資源研究センター」保存の多様な菌類きのこ資源を活用して、植物免疫増強活性を有する機能性多糖類をスクリーニングすることにより、新規かつ有効な植物病害防除剤を実用化し、“環境に優しい植物病害防除技術の確立”を目指す。
1002 甘草抽出物による植物病害防除機作の解明 宮川 久義 農業・食品産業技術総合研究機構 家常 高 農業・食品産業技術総合研究機構 甘草とはマメ科多年性の薬草で、古代ギリシャの時代から人類が利用してきた生薬である。甘草根よりグリチルリチン酸を抽出する過程で得られた抽出物が糸状菌に起因するキュウリ、トマトの病害に対し防除効果を有することを明らかにしたが、その防除機作については不明の点が多い。そこで甘草抽出物に含まれる活性成分の特定及びそれらの植物及び病原菌に対する作用機作を解明して、新規の病害防除法開発のシーズとする。
1068 デルフィニウムの遺伝的特性を利用した花持ち性改善技術の開発 岡本 充智 愛媛県農業試験場 栗坂 信之 愛媛県農業試験場 切り花として需要が期待できるデルフィニウムの花持ち性の改善技術を開発する。一般にデルフィニウムは落弁しやすいが、栽培中のデルフィニウムにおいて、花持ちの良い個体が見られる。この特性を遺伝的に利用することができれば、花持ちを良くするために使用されている金属やホルモンなどの化学薬品を含む鮮度保持剤の使用を削減することが可能である。そこで、その特性を遺伝的に解明し環境負荷の少ない開花調節技術を開発する。
1106 良食味・極早生・短稈の新品種‘ヒカリッコ’の高知県における適応性と耐冷性の検討 村井 正之 高知大学 石塚 悟史 高知大学 村井が育成した良食味・極早生・短稈の新品種ヒカリッコ(コシヒカリの同質遺伝子系統)を南国市(高知県農業技術センター他の2箇所)、安芸市、香南市野市町、高知市、春野町および四万十市の高知県内7箇所で栽培し、収量、出穂期などの特性を調査する。比較品種は、コシヒカリ等を用いる。各地で収穫された玄米中のアミロースや蛋白質を分析し、食味官能試験を実施する。試験結果に基づき、ヒカリッコを現在の奨励品種と比較し、食味や収量性の優劣、地域適応性などを検討する。また、同品種の耐冷性を検定する。
1176 園芸用光合成有効波長域増幅フィルムの実用化に向けた実証試験 西村 安代 長崎総合科学大学 山中 孝友 長崎総合科学大学 施設栽培の外張りフィルムは、施設内の光環境に多大な影響を及ぼし、植物の成育を大きく左右する。光合成では特に赤色光波長域が有効であるとされている。この特性に着目し、光合成であまり必要ではない波長域(緑色)を赤色光波長域に変換し、赤色光域を増幅させる園芸用光合成有効波長域増幅フィルムの開発が進められている。そこで、光合成有効波長域増幅フィルムの特性を明確に把握し、有効的な作物や効果的な栽培方法等を確立し、開発、普及ポイントを提案する。
1186 昆虫病原性糸状菌製剤への補助剤による防除効果促進技術の開発 荒木 朋洋 九州東海大学 冨田 和弘 科学技術振興機構 本研究の目的は西南暖地で野菜類・花卉類など広範囲な農作物に被害を及ぼしている広食性の大型鱗翅目害虫であるハスモンヨトウを対象として,天敵糸状菌である緑きょう病菌を利用した被害低減技術を開発するものである.従来,生物農薬としての天敵糸状菌製剤は微小害虫を対象とし,その使用方法が煩雑で普及を阻害している.本研究ではこれまで実用化されていない緑きょう病菌が野外ハスモンヨトウの優占天敵糸状菌であることから,その実用化のための使用法の改善技術の開発を行うものである.
1211 非破壊による農産物の品質(含残留農薬)検査技術 永田 雅輝 宮崎大学 小林 太一 みやざきTLO 本課題は食の安全・安心・健康を確保するために,出荷現場で農産物を非破壊により品質検査するシステムの開発を目標とする。本課題では分光画像法を用いて,安全・安心面から残留農薬検査法,健康面から機能性色素検査法の計測技術を提案する。この方法により品質を二次元的に評価できて,また分布状態の把握も可能となって,これまでよりも高精度な品質検査を達成できるものである。
1227 複数種植物病原ウイルスの簡易同時診断法の開発と応用 菅野 善明 南九州大学 平井 澄夫 科学技術振興機構 植物ウイルス病の診断法として検定植物への接種試験や電子顕微鏡観察・遺伝子診断・血清学的診断法などがあるが、血清診断は安価で簡易であることから広く一般にウイルスの診断法として用いられている。しかしながら、従来のDIBA法による血清診断法では一回の検定で1種類のウイルスの診断しかできない。そこで一枚のシート上で複数種のウイルスの診断を可能にする方法を開発する。
1245 未利用植物資源を活用した根こぶ線虫病の防除に関する研究 田場 聡 琉球大学 伊良部 忠男 琉球大学 根こぶ線虫病は、作物栽培において国内のみならず世界的に被害を生じている病害である。一般的には土壌消毒剤や殺線虫粒剤などによる化学的防除が行われている。しかし、化学合成薬剤のみによる防除では、環境への負荷やリサージェンス現象の発生が危惧される。そこで、近年環境負荷の小さい天敵微生物や植物成分を用いた生物防除が注目されている。本研究では沖縄に生息する雑草、害草と呼ばれる未利用植物を用いてネコブセンチュウに対する抗線虫性(殺虫、不動化、忌避および孵化阻害作用)を評価し、最も強い効果を有する植物種を選抜した。今後はこれら未利用植物を用いて実用レベルの研究を行う予定である。

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 林業・水産・畜産:40件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
5 海洋ユビキタスセンシングによる冷水塊の解明 和田 雅昭 公立はこだて未来大学 鈴木 孝司 公立はこだて未来大学 毎年夏季に北海道西部の沿岸に流れ込むとされている冷水塊の存在をユビキタスセンシングの技術により科学的に証明することを目的とする.冷水塊はホタテ養殖などの水産業に被害を与えることが経験的に知られている.そこで,臼谷沖の海域に開発した9基の多層計測式ユビキタスセンサを投入し,水面下の水温分布を可視化し冷水塊の解明を試みる.
26 豚増殖性腸炎新規特異抗原検出診断キットの開発 古岡 秀文 帯広畜産大学 田中 一郎 帯広畜産大学 豚の増殖性腸炎はLawsonia intracellularis(以下L.i)を原因菌とする致死性下痢症で,欧米を中心として流行がみられている.本研究ではこれまでに考慮されていないL.i関連特異抗原を新たに同定し,それに対する抗体の作製,さらには簡易診断キットの開発を目標に研究を進める.
32 放牧飼育で変動するウシ特異的発現マーカー因子の探索とそれを利用した放牧畜産物の判定システム開発 小酒井 貴晴 農業・食品産業技術総合研究機構 清水 條資 科学技術振興機構 消費者の手元に届く畜産食品が放牧飼育されたウシから生産された乳や食肉であると、消費者に科学的根拠を持って提供する技術がない。そこで、1)放牧されたウシに特異的発現する遺伝子群を探索・検出する。さらに、2)そのマーカー遺伝子群により発現・誘発される代謝因子を探索する。最終的に、これらの検出技術を応用させ、生産者と消費者の両者に対して、科学的根拠に基づいた放牧畜産品判定システムの開発を目指す。
58 生体器官をつかった養魚飼料開発用実験装置の開発 木原 稔 北海道東海大学 清水 條資 科学技術振興機構 安価で成長効率の良い魚類養殖用飼料を開発することは、養殖漁業を支えるために必須である。水中であり、生体内であるという可視化・評価が困難な環境ではなく、魚類の「消化」という現象を実験装置として確認できれば、これまでの飼料試験のように魚を長期間飼育する必要が無く、設備・時間・労力そして費用を大幅に削減できる。本研究では魚類用飼料を効率的に開発することを目的に、魚類の消化器官をつかった消化実験装置とその評価システムを確立する。
62 非破壊分析によるコンブの品質評価技術の開発 宮崎 亜希子 北海道立釧路水産試験場 清水 條資 科学技術振興機構 コンブの品質は、従来、実入りの状態、異物や白粉の有無、色沢等の外観によって評価(等級付け)されているが、より客観的な品質評価手法の開発を目的とし、近赤外分光法により、コンブのうま味成分の測定法を確立する。
73 牛の赤カビ中毒症制御のためのデオキシニバレノール現地検出技術の開発 川本 哲 北海道立畜産試験場 小関 忠雄 北海道立畜産試験場 デオキシニバレノール(DON)などのカビ毒による乳牛の赤カビ中毒症を予防するために、給与飼料中のDON汚染を監視することが重要である。しかし現在、DONは実験室での測定に限られるため、検体数は制約され、給与飼料の汚染状況は十分に監視されていない。そこで、特別な分析機器や操作を必要としない酪農現場で実施できるDON現地検出技術を開発する。なお、本技術はフロンティア研究所とともに共同開発する。
77 ホットプレスを用いた熱圧硬化処理木材の開発 澤田 哲則 北海道立林産試験場 斎藤 直人 北海道立林産試験場 圧縮木材の歴史は古く,20世紀前半には広葉樹材を高温圧縮する技術が欧州で実用化されている。日本においては第二次世界大戦中の飛行機部材開発を目的とした強化木の研究に端を発し,現在は軟質な針葉樹材,スギを主とした人工造林木の材質改善技術として研究・利用が進んでいる。本研究はこれら圧縮木材の生産技術を応用・シフトさせて,従来のものとは内容の異なる熱圧硬化処理木材の開発を行おうとするものである。
78 芳香性を有する木質材料の開発 秋津 裕志 北海道立林産試験場 斎藤 直人 北海道立林産試験場 木材は、接触温冷感、視覚、聴覚などの感性に優れた材料である。より快適な室内環境を形成させるために、芳香成分の放散をコントロールし、低濃度で長期的に芳香成分の放散を持続させることが可能な材料を開発する。
80 きのこを用いた機能性アミノ酸(GABA)の富化技術の開発 原田 陽 北海道立林産試験場 斎藤 直人 北海道立林産試験場 γ−アミノ酪酸(ギャバ)は、血圧上昇抑制作用や精神安定作用のあることが知られている。本課題では、担子菌(きのこ)由来の内在酵素を利用することにより、機能性アミノ酸であるギャバ含有量を大幅に高めると同時に、きのこ独特の風味および機能性を併せ持った素材を作出することを目的とする。栽培法、保存法および加工法を改良することにより、ギャバ富化技術の最適化を行う。
95 BSE血液のメタボローム解析による生前検査診断への応用 横田 博 酪農学園大学 山田 龍翁 酪農学園大学、酪農学園大学短期大学部 本研究の目的は、BSE血液中の代謝物や逸脱生体成分を網羅的に分析し、生前診断に応用するものである。スクレーピーマウスやBSEウシ血液中代謝物を電気泳動装置や質量分析機などを用いて網羅的に分析し、病態特異的シグナルを検索し特定する。その後、シグナル生体成分に対する特異抗体を作成し、ELISA等を用いた簡便な生前診断に応用してゆく。
132 スギ樹皮抽出物を原料とする天然抗酸化剤の開発 小藤田 久義 岩手大学 小川 薫 岩手大学 未利用資源である樹皮を有効活用するには、可溶成分を抽出・分離し、それぞれの生理機能を生かした高付加価値商品に転換したのち、残渣を農業用または緑化用資材とするカスケード(多段階)的な利用法が望ましい。スギ樹皮からパラフィン系溶剤にて抽出される脂溶性成分には、主要物質としてフェルギノールとよばれるテルペノイド化合物が含まれている。フェルギノールは強力な抗菌活性と抗酸化活性を併せ持つ生理活性物質であり、本研究では、その抗酸化能の実用的評価および作用機構の解明について検討する。
136 サケ頭部の未利用部位を有効活用したウナギ稚魚の成長促進技術の開発 森山 俊介 北里大学 佐々木 守衛 いわて産業振興センター ウナギの養殖に用いる種苗は全て天然シラスウナギに依存しているが、近年、資源量は激減している。また、養殖ウナギの多くはオス化し、成長に個体差を生じる等の問題を抱えている。本研究は、サケ頭部の未利用部位から調製した成長促進活性成分を高度有効活用して、ウナギ自身の成長促進機構を活性化させて、健康で大型の稚魚を育成し、生産性を向上させる増養殖技術の開発を図る。
141 ウシ精子の保存補助物質(PAS)の開発とその応用 小林 仁 宮城大学 渡邉 君子 東北大学 精子の被覆抗原として知られるラクトフェリンを、精子の凍結保存における保存補助物質(PAS)としての応用を検討する。本試験では、耐凍性の低い精子にラクトフェリンを添加して凍結保存を行い、ラクトフェリン添加が凍結融解精子の運動性および受精に及ぼす影響を検討する。具体的には、精子の運動性解析、細胞膜の状態、細胞内cAMP 濃度およびミトコンドリアの活性を測定することでラクトフェリンのPASとしての有効性を調べる。
184 新規抗ストレス剤による鶏肉保存品質向上技術の開発 濱野 美夫 秋田県立大学 渡邊 雅生 秋田県立大学 本研究の目的は複数の天然素材からなる新規抗ストレス剤を開発し、それを鶏肉生産において商品化する実現可能性を見出すことにある。既に開発した抗ストレス剤は生体のストレスが起因となる鶏肉品質の悪化を防止することができる。さらに本研究では、この抗ストレス剤作用の強化と用途拡大を図るため、新たな天然素材がもつ機能を組み合わせた抗ストレス剤の実用的効果を検討する。
199 ソフトシェルクラブ生産技術開発 本登 渉 山形県水産試験場 冨樫 滋 山形県企業振興公社 ソフトシェルクラブは、脱皮後の甲羅の柔らかいカニであり、その食味と希少性から市場において珍重され高価格を維持している。本課題は、ソフトシェルクラブ生産技術を開発し、安定供給、地域ブランド化を目指す。
206 家畜尿への浸漬による果樹剪定枝の飼料価値の改善及び飼料製品としての開発 高橋 敏能 山形大学 高橋 政幸 山形大学 果樹剪定枝をチップ化し生化学的処理を施すことにより、肉牛における栄養価と飼料としての嗜好性の改善と第一胃からの温室効果ガス(メタン)放出抑制の実証を行い、汎用性が高い飼料製品として開発することが目的である。具体的には、果樹剪定枝チップを家畜尿への浸漬による飼料の保存性、in situ における消化率の向上とメタン生成抑制の検証を行い、尿中アンモニアのアルカリ処理による栄養価と飼料としての嗜好性の検証を行なう。
334 船外機における冷却水系統の洗浄システムの開発 酒井 久治 東京海洋大学 伊東 裕子 東京海洋大学 本研究は,船外機の冷却水通路の洗浄の目的とする。基本となる技術は,冷却水にホタテ貝殻の粉末,圧縮空気を混入させ,冷却水通路壁面に付着した汚れを除去するものである。この技術を利用して,船外機の冷却水系統を洗浄する。研究内容は,基礎実験と実機実験に分けられ,前者は汚れたアクリル管を供試して洗浄効果を定量的に把握する。後者は得られた最適条件を適用し船外機を洗浄するものである。これにより,船外機の冷却水系統を洗浄できることを目標とする
364 ホスファターゼ発現によるポプラの成長速度の促進およびセルロース生合成能の向上 海田 るみ 日本女子大学 神谷 靖雄 つくば研究支援センター タバコ細胞およびシロイヌナズナ植物体でパープルホスファターゼを過剰発現させた結果、成長速度の促進およびセルロース含量の増加が確認された。本研究では、モデル樹木であるポプラにパープルホスファターゼを過剰発現させ、パープルホスファターゼの成長促進作用を検証する。パープルホスファターゼの過剰発現により樹木の成長を早めることが可能となれば、地球温暖化防止対策やバイオマス生産性向上につながる人工林を創る。
478 遺伝子マーカーを用いた硫酸還元細菌の迅速計数法の開発 近藤 竜二 福井県立大学 祝 一裕 若狭湾エネルギー研究センター 本研究では、硫酸還元細菌の機能遺伝子をマーカーとして、分子生物学的手法を応用した、多検体を迅速に計数する方法を確立し、迅速計数方法の標準キットの開発を目指す。
硫酸還元細菌は、汚濁の進行した海域での青潮や水田の老朽化(秋落ち現象)を起こさせ、鉄パイプやコンクリート腐食の原因となる硫化水素を生成する微生物の一群である。生態解明が強く求められているが、その細菌数を正確に計数する方法が未確立なのが現状である。
527 性転換雄アユ精子の凍結保存技術の開発と全雌アユ生産への応用 桑田 知宣 岐阜県河川環境研究所 三浦 航 岐阜県河川環境研究所 雌アユのみを生産することができれば、高値で取引されている子持ちアユを効率的に生産できるため、代表研究者は雌アユのみを生産できる技術を開発し実用化した。しかし、技術の要である性転換雄アユの精子の質にバラツキがあること、その精液の保存期間が短いことが普及拡大の妨げとなっている。この問題を解決するために本研究では、成熟ホルモンの投与によって性転換雄の精巣から運動活性のある良質な精子を得る技術とその精子を凍結保存する技術を開発する。
529 キノコ由来ペルオキシダーゼ大量生産技術の開発 上辻 久敏 岐阜県森林研究所 武藤 高義 岐阜県研究開発財団 キノコの中でも白色腐朽菌と呼ばれるキノコは、木質中のリグニンを分解することができ、木質バイオマスの変換利用への応用が期待される生物である。その分解力は、多種多様な物質に対して有効である特徴をもつが長い期間を要する。そこで、分解の効率化をめざして、白色腐朽菌による分解の鍵となる菌体外酵素の大量生産系を開発する。
531 カイコ形質転換細胞による淡水魚ワクチンの生産 河村 敏 岐阜県生物工学研究所 前田 喜朗 科学技術振興機構 淡水サケ科魚類養殖業は、伝染性造血器壊死症(IHN)と呼ばれるウイルス病の全国的な蔓延により大きな被害を受けている。このため、安定した養殖業を継続し、振興を図るには、高い予防効果を有する安全なワクチンの開発が必要であるが未だ成功していない。一方、これまでの関連研究において、組換えウイルスを使用せず、カイコで機能するDNA型トランスポゾンpiggyBacを活用したベクターにより作出した形質転換細胞を利用して、IHNの抗原蛋白質の発現が可能となった。そこで、この手法を用いてコンポーネントワクチンを持続生産するための実用技術の開発を行う。
677 外来緑化植物種の生態調査に基づく地域産樹木種による緑化手法に関する開発 宮浦 富保 龍谷大学 上條 栄治 龍谷大学 2005年に施行された「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」で規制対象となる植物種には、従来の緑化工事で頻繁に用いられてきた植物種が多く含まれている。本研究では、緑化工事に用いられた植物を特定外来生物として扱うことの適否を科学的に明らかにし、更に代替の地域産緑化植物種を選定し、緑化に利用する具体的な方法を提案することを目的としている。
678 琵琶湖沿岸部・河口部におけるアユの生態調査とアユ資源保護への応用 遊磨 正秀 龍谷大学 上條 栄治 龍谷大学 冬季のアユ仔稚魚の生態に関しては、砂浜海岸や河口の岸際に生息することが判明し始めたが、海と川を回遊する一般のアユとは異なり、琵琶湖ですごすアユ仔稚魚の生態情報は皆無に等しい。本研究では、漁業者の協力のもとに、琵琶湖におけるアユ仔稚魚の生息場所利用を明らかにし、アユ仔稚魚が利用していると予想される琵琶湖砂礫浜や河口における環境整備に関してアユ資源保全のための新たな施策に資することを目的とする。
704 有機酸緩衝化貝殻溶解サトウキビ醸造酢の調製と鶏への飲水投与抗病性試験 八田 一 京都女子大学 伊藤 省二 科学技術振興機構 平成17年に発生した食中毒の原因菌1位はサルモネラ菌、2位がカンピロバクターである。その感染は主にサルモネラ菌が鶏卵、カンピロバクターが鶏肉由来で、養鶏業界では生産物の食中毒菌汚染防止対策が緊急課題である。本課題は鶏卵の卵殻強化および鶏の抗病性を高め、鶏卵や鶏肉への食中毒菌汚染を防止する鶏用機能性飲料の研究開発に関する。
737 捕食寄生甲虫を利用した新たな樹体内害虫防除技術の開発 浦野 忠久 森林総合研究所 福山 研二 森林総合研究所 樹木や果樹の樹体内に生息する昆虫に寄生しそれを殺す性質を有する日本在来の捕食寄生性天敵であるサビマダラオオホソカタムシを利用した天敵農薬の開発をめざす。これまでに人工大量飼育を可能にしており、マツノマダラカミキリに対する殺虫効果を明らかにしている。実用化に向けて本研究では、サビマダラオオホソカタムシのより広範な害虫種に対する殺虫効果を室内実験により解明する。
750 伐採木材の効率的運搬法の開発−原料チップの効率的な搬送− 土井 正好 舞鶴工業高等専門学校 笹田 滋 科学技術振興機構 新たな木材運搬法として木材伐採現場において木材を粉砕し、そのチップを車載可能な林道まで輸送する方式を考案した。本課題は、@吸気輸送方式とAスラリー輸送方式について木材チップの輸送性を検証するものである。実験は50〜200m長のチューブを設置し、@吸気輸送方式はチップをコンテナに附属したファンからの吸引によりチューブ輸送する。一方、Aスラリー輸送方式についてはチューブ片端に水ポンプを接続して流水へのチップ混入によりチューブ輸送し、フィルターを通じてチップを分離する。実験条件は、チップの大きさ、チューブ行程及び傾斜を変えて輸送性を比較する。
1010 間伐材と鋳鉄製籠による沿岸漁礁の開発と実用化の研究 関根 雅彦 山口大学 大高 聰 山口大学 消波効果を持ち半永久的に集魚効果が維持できる沿岸魚礁の技術開発を行い、沿岸魚礁の製品化、及び山口湾再生工法へ応用する。
沿岸漁獲高が激減した山口湾で、鋳鉄製籠と間伐材、竹材等のリサイクル材の組み合わせを変えた全4タイプの魚礁を設置し、集魚効果の確認、構造物としての耐久性の確認、メンテナンスのしやすい構造の開発を行う。
1020 天然高分子を利用した超軽量有機成形培地の開発 金磯 牧夫 徳島県立農林水産総合技術支援センター 駒留 勇人 徳島県立農林水産総合技術支援センター 生分解性素材である木質系繊維を超軽量に成形し、野菜などの養液栽培に使用されている難分解性のロックウールに代わる培地として利用する技術の開発を行う。木質系繊維を軽量に成形する方法にパルプモールド法があるが、本法はそれをベースとして天然高分子を繊維間の接着剤として利用しさらに軽量に成形する。この培地の基材となる繊維そして接着剤は両者とも天然素材であり環境に与える負荷の少ない資材といえる。
1049 色落ち海苔の多糖を活用した抗アレルギー食品素材の開発 岡崎 勝一郎 香川大学 福井 次郎 香川大学 海苔の色落ちは天候やその他の要因で毎年発生するが、商品とはならずほとんどが廃棄されている。これを有効利用する目的で、海苔の細胞壁に多量に含まれるポルフィラン多糖に着目した。本発掘試験では、この多糖を効率的かつ短時間で調製する技術を確立するため中空糸膜を用いた精製方法を検討するとともに、精製多糖の免疫細胞に与える影響をマウスのマクロファージ培養細胞株と脾臓細胞を用いて細胞性免疫応答の増強効果とアレルギー応答の抑制効果を調べることにより、未利用色落ち海苔の健康食品素材としての有用性を確立する。
1050 樹皮の液化に関する研究 鈴木 利貞 香川大学 福井 次郎 香川大学 樹皮は、樹木の約10〜20%を占める組織であり、木材加工の現場では大量の廃棄樹皮が発生する。木材工業者にとっては、有効利用したい原料であるが、現状では焼却や堆肥に利用される程度であり、樹皮の利用状況は極めて遅れている。本研究では、樹皮を効率的に液化させる技術の開発を目的とする。液化樹皮は、生分解性樹脂、発泡資材、接着剤、塗料等への応用利用が期待される。
1054 黒毛和種の新規成長ホルモン受容体遺伝子多型の簡易判別法の確立 大久保 武 香川大学 福井 次郎 香川大学 日本の代表的な肉用牛品種である黒毛和種の成長ホルモン受容体遺伝子にはヨーロッパ系牛品種では認められない新規遺伝多型が存在することを明らかにした。本事業ではこの新規成長ホルモン受容体遺伝子多型の簡便な判別方法を開発し、有用肉用牛生産の遺伝マーカーとして育種に応用するほか、和牛(黒毛和種)牛肉と乳用種あるいは外国産牛肉を区別するための遺伝子判別用マーカーの一つとして利用することを目的とする。
1061 養魚用高効率生物ろ過システムの開発 山本 義久 水産総合研究センター 桑田 博 水産総合研究センター 環境保全型の養魚技術として陸上での閉鎖循環飼育が注目され、省エネ・省コスト型の閉鎖循環飼育システムの構築が必要とされている。そこでシステムの心臓部の生物ろ過装置に、これまで養魚分野には応用されていない新しいろ過方式について、一般的なろ過方法との硝化能力の比較、適正なろ材の検討、大型装置での適正構造の把握等の要素解析をすることにより、産業規模での実用可能な装置を開発する。
1067 親子鑑別によるマハタ高品質種苗供給のための優良親魚選抜技術の開発 山下 浩史 愛媛県水産試験場 鈴木 貴明 愛媛大学 バラツキの少ない優良系統親魚の確立を目的に、マハタが性転換魚種であるという特徴も鑑み、DNA多形による親子鑑定技術を利用し、優良雄親魚の選抜を行う。方法は、1尾のメス親魚と多数のオス親魚の組み合わせ交配を同時に実施し、一定期間混合飼育した後DNA多型による親子鑑定を行い、飼育法や水槽間差といった環境的要因を除去し、雄親魚ごとの成長や抗病性における遺伝的要因のみを検出するというものである。なお、本技術開発研究により得られる優良系統から生産されたマハタ種苗は、生産管理が出来るため、安定して高品質なマハタの出荷が可能となる。
1083 分子不稔化技術を用いた新しい真珠養殖技術の確立 三浦 猛 愛媛大学 鈴木 貴明 愛媛大学 真珠養殖では、母貝(アコヤガイ)の成熟した生殖腺が分泌する物質が真珠の質に悪影響を与える。成熟しないアコヤガイ(不稔化アコヤガイ)を作成することができれば、母貝の生殖腺の影響の無い品質の高い真珠を作ることが可能となり、真珠養殖の効率が飛躍的に良くなるものと考えられる。そこで本研究は、RNA干渉法により生殖細胞特異遺伝子の作用を抑制し、生殖細胞を形成できない不稔化アコヤガイの作出を試みる。
1102 アブラソコムツ等未利用魚の食品素材への利用技術の開発 森岡 克司 高知大学 松崎 武彦 高知県産業振興センター マグロ漁業などで混獲されるアブラソコムツは筋肉に多量のワックスを含むため、食用として利用できない。食用に供するには、何らかの処理をしてワックスを食品として安全な1%以下まで除去する必要がある。そこで申請者は、すり身原料としての利用を意図し、まずワックスを筋肉から1%以下まで除去できる技術について検討し、その方法を開発した。(特願2006- 31607) 本研究は、申請者が開発した方法で魚肉から調製したすり身について、実用化の際、問題となるその品質について評価、改善し、高品質なすり身を調製する方法を明らかにするものである。
1107 主要海産魚に感染するイリドウイルスワクチンの開発 大嶋 俊一郎 高知大学 石塚 悟史 高知大学 魚類イリドウイルス感染症は、主要海産魚に感染し大きな被害を出している。本研究課題では、有効性の高いワクチンを提供するために、マダイ由来の培養細胞を作製し、効率よくウイルスを培養できるシステムを構築した。また、一方で、現在、流行しているイリドウイルスを西日本各地より収集しており、現流行株に対するワクチンの作製を目指す。
1182 高密度培養に適した高ストレス耐性ワムシ品種の開発と産業への展開 萩原 篤志 長崎大学 森 紅美子 長崎大学 海産ワムシ類(サイズ0.1〜0.3mm)は代表的な餌料プランクトンとして世界中で用いられているが、大量かつ安定的に培養することは必ずしも容易でなく、仔魚の大量飼育を行う種苗生産上業の懸案大きな問題となっている。本課題では、増殖能力とストレス耐性に秀でた新品種のワムシ開発を目的とする。天然から採集したワムシの生物機能を精査して優良株を選抜すると共に、目標とする性能をもった交雑株を作出し、大量培養槽内での実証試験を行う。
1233 マダニ由来の新規抗菌分子の抗インフルエンザウイルス効果の検証 藤ア 幸蔵 鹿児島大学 中村 恵造 鹿児島大学 代表研究者が独自に発見したシスタチンやディフェンシンなどのマダニの新規抗菌蛋白が有する各種インフルエンザウイルスに対する不活化効果を、in vitroあるいはin ovoにおいて立証し、新らしい抗インフルエンザウイルス薬の開発に資する。
1234 健脳成分プラスマローゲンを水産廃棄物から回収する技術の開発 安藤 清一 鹿児島大学 中村 恵造 鹿児島大学 高齢者の認知症予防に必須のプラスマローゲンは現状では専ら哺乳動物から抽出されているが、牛海綿状脳症問題から安全性への懸念もあり、他の安全な供給源の確保が急務である。一方、鹿児島県内をはじめ各地域水産業界では、水産加工後の廃棄物処理が大きな課題である。水産廃棄物を有用バイオマス資源として位置づけ、プラスマローゲン原料としての有効利用技術を確立することにより、安全・安心な健脳機能性食品など高付加価値製品開発による新規事業創出と地域活性化を目指す。

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 食品:56件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
35 水分状態を指標とした乾燥中華食材の機械乾燥技術の研究開発 小西 靖之 函館地域産業振興財団 宮嶋 克己 函館地域産業振興財団 乾燥アワビは日本製が国際的に最も評価が高く、香港・台湾等に大量に輸出されているが、その製造は天日乾燥にて行われており、機械乾燥を用いた製造例はない。
本研究では、北海道産のエゾアワビなど乾燥工程中のアワビなどの水分状態変化を明らかにし、それらを指標としてボイル工程や機械乾燥工程の最適操作設計を行う。更に同様な技術を用いて、ナマコ等の中華食材の機械乾燥工程の最適条件の確立を目指す。
45 DHAを高レベルにもつリン脂質の発酵生産 奥山 英登志 北海道大学 須佐 太樹 北海道大学 最近、機能性脂質の分子形態の基づく差別化が進み、その抗腫瘍性や抗酸化性などの生理機能から、DHAを含むリン脂質(DHA-PL)が注目されている。現在のDHA-PLの主な供給源は魚油である。本研究では、DHAを含む脂肪を高レベルで蓄積するラビリンチュラ類微生物を材料として用い、その代謝調節によってDHA含量のより高いDHA-PLを発酵生産する。安全性の高い健康食品素材の提供を目指す。
57 道産ネギ属食材活用による性的機能老化改善食品の開発研究 西村 弘行 北海道東海大学 清水 條資 科学技術振興機構 一般に加齢に伴う性的機能の老化は、20〜30代の若い層にまで広がり出生率低下の点で懸念される。古くからニンニクやタマネギなどネギ属植物は精力食材として知られて来たが、科学的実証はこれまでなかった。これまで本課題代表研究者らは、性的機能老化改善物質として含硫アミノ酸を同定し、特許出願(特願2006-30844)を行った。そこでネギ属含硫アミノ酸を合成し、血清中の男性ホルモンであるテストステロン量増加効果を検証すると共に、タマネギ等の食材活用の新規機能性食品を開発する。
61 北海道産天然物を活用する糖尿病に有効な機能性食品素材の開発 渡辺 一弘 北海道薬科大学 東 市郎 北海道薬科大学 近年、機能性食品等の開発が盛んであるが、これらの中には、その有用性に関して科学的根拠に乏しいものも多い。本研究では、北海道産エゾウコギとサケ卵巣から、小腸における糖質吸収抑制及び食品ではこれまで例が無いインクレチン機能亢進作用を有する機能性食品素材の探索を目的とし、さらにその実用化を目指す。これらの作用を有する素材は、日本人の2型糖尿病患者に多い食後高血糖の抑制に有用である。エゾウコギエキス及びサケ卵巣ペプチドおよびそれらの分画は、共同研究先より提供を受ける。
70 プロピオン酸菌を利用した乳製品の高付加価値化 川上 誠 北海道立食品加工研究センター 長島 浩二 北海道立食品加工研究センター プロピオン酸菌の中には乳酸発酵し、整腸効果などの機能性が期待される菌種が存在する。しかし、多くの菌株は耐胃酸性、耐胆汁酸性が低くプロバイオティクスとしての利用が難しい状況にある。本課題では耐酸性、耐胆汁酸性に優れ、機能性を有するプロピオン酸菌を選抜し、これらを単独利用または各種乳業用スターター(乳酸菌、ビフィズス菌)と併用することによって、発酵乳、ナチュラルチーズ等の乳製品開発を目指す。
71 道産小果実残渣を活用したメタボリックシンドローム予防食素材の開発 太田 智樹 北海道立食品加工研究センター 長島 浩二 北海道立食品加工研究センター 本研究では北方系果実であるハスカップやアロニアなどの小果実の加工残渣から内臓肥満を基盤としたメタボリックシンドロームを予防する食素材を開発するために、残渣中に含まれる脂肪蓄積阻害や脂肪分解促進作用などの機能を有する成分を効率的に利用してその生産方法や用途開発など、実用化に際して必要な技術の確立を目指すものである。
96 遊牧民の民族飲料「馬乳酒」からの分離菌を用いた新規発酵乳(もしくは乳酒)の検討 石井 智美 酪農学園大学 山田 龍翁 酪農学園大学、酪農学園大学短期大学部 酪農王国北海道では、牛乳飲用消費が減少し問題になっている。牛乳中には、高齢化社会を控えた今日、カルシウムをはじめ必要とされる栄養が豊富に含まれている。そうした牛乳を有効活用するために、モンゴル国で遊牧民が大切に伝えてきたウマの乳を発酵させた発酵乳「馬乳酒」に注目した。「馬乳酒」は複数の乳酸菌・酵母の発酵によってつくられ、免疫賦活作用があることで知られている。本研究はモンゴル国の「馬乳酒」から分離・同定した複数種の乳酸菌・酵母を用いて、牛乳をベースに機能性を持つ新規発酵乳の開発を目指すものである。
98 リンゴ搾汁残渣由来有用オリゴ糖の低コスト分離システムの開発 加藤 陽治 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 リンゴ搾汁残渣を微生物酵素を用いて糖化する際に、ウロン酸と中性糖からなるオリゴ糖が得られる。これらのオリゴ糖は、整腸作用などの機能性に加えて、新たな機能性が期待されるオリゴ糖である。しかし、リンゴ搾汁残渣から得られるオリゴ糖は混合物であるため、この状態での利用法は制限される。簡便で、量的に処理可能な低コスト分離システムを開発する。最終的目標は有用オリゴ糖の市場開拓を図ることにある。
112 微粉砕・非晶質化キチン系バイオマス資源の酵素分解技術の確立 戸谷 一英 一関工業高等専門学校 丸山 政之 岩手県南技術研究センター カニ殻やエビ殻を原料とし、メカノケミカル粉砕という新規な粉砕機構により微粒子化・非晶質化を行い、キチン分解酵素に対する感受性を向上させ、穏和な酸素反応だけで単糖(N-アセチル-D-グルコサミン)や、高級キチンオリゴ糖の製造原料となる二糖(ジ-N-アセチルキトビオース)を直接生産するバイオプロセスの構築への取り組み。有害な薬品を極力使用しない“環境負荷低減技術”であり、粉体工学と糖鎖工学とを組み合わせた、まさに異分野融合型のバイオプロセスである。効率のよいキチン分解酵素の選択と、二糖を単糖に分解する酵素の選択、反応の最適化を行う。
123 血中アディポネクチンレベルを高める雑穀ヒエの機能食品素材の開発 西澤 直行 岩手大学 田山 敬太郎 岩手県 増え続ける2型糖尿病を食品で改善・予防をすることは我が国の健康増進、医療費削減に貢献する上で極めて重要である。本課題では、他に研究例のない岩手産雑穀ヒエから抗2型糖尿病機能等を有するアディポネクチンの血中レベルを高める機能性成分を、2型糖尿病モデルマウスのアディポネクチン遺伝子発現から解明する。研究成果は、岩手大学発ベンチャーの(有)いわて西澤商店との連携で機能性雑穀パンへの実用化を目指す。
131 神経回路再生を促進するローズマリー由来のカルノシン酸 佐藤 拓己 岩手大学 小川 薫 岩手大学 神経変性疾患は、脳の特異的な部位の神経回路機能の破綻が起点となって症状が現れる。これを予防・治療するためには神経回路を再生させる化合物が有効である。私は、ローズマリー由来のカルノシン酸が神経回路を再生させる作用を有することを見出している。ローズマリー抽出物を、脳機能を改善する機能性食品として実用化することを目的として、本研究は、カルノシン酸が神経回路再生作用を発現するための分子基盤を明らかにする。
137 雑魚の臭気に着目した使用可能期間予測手法と延長技術の開発 毛利 哲 宮城県産業技術総合センター 佐藤 明 宮城県産業技術総合センター 本試験では、脂肪族性臭気の評価や酸化促進活性の強度によって臭気発生の予測法を開発することを目的とする。具体的には、魚種毎に問題となる成分の確定と使用可否濃度を決定する。また発生メカニズム(酸化促進活性)に着目し臭気発生がその強度に依るか否かを見出し、使用可能期間を予測する。
188 体脂肪蓄積性の低い新規アセチル基含有食用油脂の開発 池本 敦 秋田大学 保坂 正晴 あきた企業活性化センター 秋田で食用油として使われていたアケビ種子抽出油脂は、通常の植物油とは異なり主成分が1,2-ジアシルグリセロ-3-アセテート(DAGA)で、体脂肪蓄積性が低い特性を有していた。しかし、実用化には原料の確保の面で問題がある。本研究では、アケビ種子のアセチル基転移酵素を用いたバイオテクノロジー的手法により、通常の植物油を原材料として同様の特性を持ったアセチル基含有油脂を製造する方法を確立し、新規健康油を開発することを目的とする。
190 極めて高い活性酸素消去能を有するカバノアナタケの老化予防効果の実証と生活習慣病改善食品の開発 杉山 俊博 秋田大学 保坂 正晴 あきた企業活性化センター カバノアナタケは制がん作用の他にも、糖尿病・動脈硬化症・高血圧・心筋梗塞などの生活習慣病に効くと言われ、高価でありながら世間では盛んに用いられている。本提案では、現存するキノコの中で最も高い「活性酸素消去能」を有するカバノアナタケを疾患モデル動物に投与して、果たして病気が予防できるかを科学的に検証する。そして、カバノアナタケを活性酸素に起因する生活習慣病の「老化予防」に有効な機能性食品として開発する。
232 食品の残留農薬分析のための試料導入法の開発 池畑 隆 茨城大学 高木 宣輔 茨城大学 最近、諸外国から輸入される野菜・果物などに許容量を超える残留農薬が検出されて食の安全に対する懸念が広がっており、食品の安全検査体制の一層の強化が求められている。本研究は、高感度で分子選択性の高いレーザーイオン化質量分析法に、新たに食品試料導入装置を組み合わせた、残留農薬等のオンサイト迅速測定装置を開発し、食の安全をハード面から支援することを目的としている。
244 天然有機物由来フルボ酸を用いた抗アレルギー物質の研究開発 山田 パリーダ 筑波大学 角井 修 筑波大学 本研究開発は、天然有機物抽出フルボ酸(FA)を用いた抗アレルギー物質の研究開発を目的とする。既往研究より、カナダ産草炭抽出FAの化学伝達物質遊離阻害活性は確認されている。当研究により、生化学手法にてその作用メカニズムを分子レベルで突き止め、動物実験より効果の確認を行うことで、抗アレルギーサプリメント、食品添加剤、化粧品添加剤などとなり得る新規天然抗アレルギー物質を開発する。当研究より、食品や化粧品製造メーカに対し新規付加価値製品用シーズ提供が可能になる。
245 カフェオイルキナ酸を用いたアルツハイマー症予防食品の研究開発 礒田 博子 筑波大学 角井 修 筑波大学 フェオイルキナ酸の安全性を確認するため、動物実験を行い、アルツハイマー発症抑制製品および老化防止製品としてのカフェオイルキナ酸の実用化を目指す。 具体的には、ラットなどの動物を用いて、カフェオイルキナ酸の投与による影響を毒性試験により評価する。その評価方法としては、毒性の強さを定量的に表すためにLD50(半数致死量)を求め、カフェオイルキナ酸の安全性を確認する。
246 チュニジアオリーブ由来 apigenin 7-glucosideの白血病細胞分化誘導作用 韓 o奎 筑波大学 角井 修 筑波大学 すでに特許出願しているチュニジアオリーブ由来apigenin 7-glucosideによる ヒト白血病細胞の顆粒球への分化誘導のメカニズム解明を行うことにより、がん予防機能性食品の素材開発につなげる。白血病細胞の分化は、増殖抑制とアポトーシスによるものであるため、分子レベルでのメカニズム解析が必要である。具体的には、細胞毒性及びアポトーシスに関する細胞周期解析、マルチカスパーゼ解析、ウエスタンブロッティング、リアルタイムRT-PCRによる解析を行うこととする。
251 気体調節と半導体技術を組合わせた生化学、工学融合による新規青果物検疫処理技術の開発 弦間 洋 筑波大学 林 良夫 筑波大学 青果物の輸出入時における燻蒸等の植物検疫処理は、現在、燻蒸処理として臭化メチルや青酸ガスなどの有毒薬剤が使用されているが、地球温暖化など環境への悪影響や残留農薬による健康被害の懸念がある。そのため、薬剤を使用せず、40℃以上の高温と50%以上の高濃度炭酸ガスを組合わせた雰囲気による生化学的処理技術と半導体製造における工学的洗浄技術を融合した新規燻蒸処理技術を開発し、無農薬かつ超短時間処理を可能とするものである。
268 織物電極を利用した新規殺菌装置の開発 北島 信義 群馬県繊維工業試験場 上石 洋一 群馬県 本応募課題は、織物製造技術を用いて微細な織物電極を製作し、この織物電極にパルス電界を印加することにより対象物を殺菌(パルス殺菌)する新規殺菌装置の開発に関するものである。本研究では、織物電極の形状に関する検討及びエネルギー効率の良い殺菌処理槽の試作を行い、実用化を念頭に置いた食品用殺菌装置の開発を行うことを目的とする。
302 新規微生物酵素”IOE”を用いた環境負荷低減型ヨウ素除菌剤の開発 天知 誠吾 千葉大学 平 隆 臣 千葉大学 ヨウ素はカビや細菌の芽胞などに対する殺菌力が強く、金属腐食性が少ないため、食品工場等における除菌剤への利用が期待できる。しかしながら、遊離ヨウ素は水に難溶のため、界面活性剤などの安定剤に包接する必要があり、環境負荷が高い欠点がある。本研究では、申請者が海洋細菌より発見した新規な分泌性酵素“IOE”を用いて、環境負荷が少なく、低コストで、かつ除菌力に優れた、新しいタイプのヨウ素除菌剤を開発する。
354 ポリメトキシフラボノイドを活用した歯周病予防ケア製品の開発 宮浦 千里 東京農工大学 平田 美智子 東京農工大学 歯周病は細菌感染が原因の生活習慣病であり、患者数は2000万人を超えている。新規の歯周病評価システムを用いて、カンキツ由来のポリメトキシフラボノイドが歯周病の予防効果を示すことを見出した。そこで、ポリメトキシフラボノイドの高機能化と製品の形状を視野に入れた解析を実施し、歯周病予防ケア製品(歯磨き剤、デンタルリンスなど)としての実用化を目指した開発研究を行なう。
380 食育を通した糖尿病予防ストラテジー 井上 肇 聖マリアンナ医科大学 雨森 千恵子 神奈川科学技術アカデミー 現在20歳以上の国民の6人に1人にあたる1620万人が糖尿病あるいは予備軍とされる。さらに現在透析治療を必要とする慢性腎不全患者25万人の内40%以上が糖尿病に由来する腎不全である。透析治療は糖尿病性腎症患者の社会復帰を促すが、同時に莫大な医療費も拠出する。生活習慣病に見る労働力の低下、治療に関わる医療費の削減の抜本的対策には例えば糖尿病自体の発症を予防する、あるいは発病を遅延させる事以外に無い。本研究課題は食育の観点から機能性食品を用いた糖尿病発症のインターベンションを試みることである。
395 マイタケ酵素を利用した高血圧予防食品素材の開発 西脇 俊和 新潟県農業総合研究所 真島 操 にいがた産業創造機構 タンパク質の分解により派生するアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害ペプチドは、高血圧の改善・予防作用をもつとして注目されている。本研究は、食用キノコであるマイタケに豊富に含まれるタンパク質分解酵素を利用して、ダイズタンパク質を分解し、ACE阻害ペプチドを作出するものである。これは、マイタケの新たな利用方法を提供するとともに、ダイズ、マイタケの栄養的、機能的特徴を生かしつつ、高血圧予防機能を付与した食品素材の開発を目的としている。
400 米由来機能性タンパク質の特性評価と動物性タンパク質代替食品素材の開発 谷口 正之 新潟大学 中津 普門 新潟大学 イネ由来のシステインプロテアーゼ阻害成分の食肉中のプロテアーゼ活性に対する阻害作用を解明することができれば、その成分を動物性タンパク質を代替する新しい植物タンパク質素材として、有効活用できると期待される。本試験研究では@精白米などから抽出した米タンパク質中のプロテアーゼ阻害成分の生化学的な特性を解明する。また、A食肉の原料などのプロテアーゼによる品質劣化(軟化)を、米タンパク質を用いて防止する技術を開発する。最終的にB精白米などからプロテアーゼ阻害活性を含有するタンパク質の製造技術を開発する。
411 新潟県産プチヴェールを用いた機能性食品開発 西田 浩志 新潟薬科大学 内山 雅彦 にいがた産業創造機構 「プチヴェール」は、ケールと芽キャベツの交配により日本で誕生した。ビタミンやミネラルなどの栄養素を豊富に含んでいることから近年注目を集めている。しかし、その機能性を科学的に検討した例は少ない。本研究では食品としてのプチヴェールの機能性を疾病予防および疾病改善の観点から評価する。とくに、メタボリック症候群の予防や改善、さらに抗ガン活性など複数の機能性を指標にして研究を進め、付加価値を持った新潟県特産の野菜として紹介すると共に商品化の可能性を検討する。
413 食品中の難培養性微生物の検出技術の開発と応用 重松 亨 新潟薬科大学 佐々木 峰子 新潟ティーエルオー 現在の一般的な食品中の微生物検査法は固体培地での増殖を指標としているため、生きているが固体培地では増殖しない難培養性微生物の検出には対応できない。最近、難培養性微生物の一部が液体培養では増殖することが分ってきた。本研究では、食品中の微生物を、マイクロプレートを用いた液体培養法に基づき、分離・培養し検出する技術を開発する。この技術により、従来の手法で検出可能な微生物に加えて、液体培地で増殖可能な難培養性微生物を比較的簡便・ハイスループットに検出することを可能とする。
432 食味・保存性の優れた災害備蓄用低水分蒸煮・部分アルファ米の開発 菅原 正義 長岡工業高等専門学校 内山 雅彦 にいがた産業創造機構 食味・保存性に優れた低水分蒸煮・部分アルファ米化により災害用備蓄や早炊き可能な米飯開発を目的とする。低水分蒸煮は米飯周辺に溶出澱粉糊液(おねば)ができないため、アルファ米製造工程における乾燥が容易で乾燥後のアルファ米粒の損傷が少ない。また、低水分蒸煮では米粒中の澱粉が完全に糊化せず、部分アルファ米となるため、炊飯・煮沸調理後の食味・食感が通常のアルファ米・早炊き米に比較して優れている。
463 超音波を利用した凝固制御による食品の高品質冷凍技術の開発 多田 幸生 金沢大学 平野 武嗣 金沢大学 食品の凍結保存は,低温化と活性水分の低減により品質の長期維持を図るものであるが,凍結の過程で細胞レベルでのミクロ現象が生じ,これが機械的・膠質的な凍結損傷に繋がる.本課題は,超音波照射により細胞内外の氷晶形成を制御し,高品質な冷凍を実現する技術の開発を目的とする.具体的には,食品組織を供試した定在音場中での凍結実験を行い,凍結特性を操作条件と関連づけるとともに,装置構造の最適化を追究する.
541 高級和牛のおいしさ評価のための画像技術の開発 加藤 邦人 岐阜大学 水谷 嘉之 岐阜大学 高級和牛の格付けは、専門の格付員により「霜降の度合い」、「肉の色と光沢」、「肉のしまりときめ」、「脂肪の色と光沢」について行われているが、牛肉のおいしさを決める要因には化学的な味覚と食感のような物理的な味覚がある。現在までの可視光画像処理技術では格付員の経験によって培われた目視での評価に迫ることはできず、解析的評価はシンプルな分光計測のレベルに留まっている。そこで本研究では、不可視光領域まで拡張したマルチバンド画像解析技術を応用し、高級和牛のおいしさを経験をつんだ格付員に近づく定量的に評価できる手法を開発する。
544 ポリフェノール類の機能性固体分散体の調製と応用 戸塚 裕一 岐阜薬科大学 前田 喜朗 科学技術振興機構 健康食品に含有されるポリフェノール類のうち脂溶性の化合物は、ハンドリングに問題があり、更に製品化されている場合でも、体内での吸収性の評価は行われておらず、成分のイメージだけがメディアにより先行しているのが現状である。高齢化を迎える日本での予防医療の向上のためには、真に人体への吸収性を向上させるような、固体分散体の調製が必要である。そこで応用・製品化を最優先課題とするために、@安全性が確立されている添加剤、A環境問題を考慮したプロセスを用いて、ポリフェノールの機能性を高めることを可能とする固体分散体を調製する。
684 発芽黒大豆抽出液の機能性食品としての開発 深見 治一 京都学園大学 谷 吉樹 京都学園大学 ”丹波の黒豆“で有名な地域特産の黒大豆を発芽させることにより、有用なオリゴペプチド、アミノ酸類、アントシアニンの誘導体などが生成することが期待される。発芽時期に合わせて、発芽黒大豆を水抽出画分やアルコール抽出画分などに分画し、in vitro活性試験を検討する。機能性を示した画分については、動物実験等で確認を行い、新規機能性食品素材として開発につなげる。また、活性成分の同定も検討する。
876 食品内部の微生物汚染を可視化するインピーダンス・トモグラフィ装置の開発 豊田 淨彦 神戸大学 柘原 岳人 神戸大学 微生物による食品の成分変化を検出する電気インピーダンス微生物法と、測定対象の導電率の空間分布を画像化するインピーダンス・トモグラフィ法の機能を融合し、食品内部の微生物汚染を、非破壊、迅速、簡便に可視化する装置を開発する。微生物汚染の検出に最適な測定周波数の探索と画像再構成アルゴリズムの開発により、検出空間分解能と検出感度を明らかにする。
891 メタボリックプロファイリング技術を活用した機能性付加飲用柿酢の開発 田中 健 奈良県工業技術センター 高橋 晴雄 奈良県中小企業支援センター 柿に大量に含まれている機能性物質(抗酸化性物質)ポリフェノールを効率よく利用して、従来品に比較してポリフェノールを高濃度に含有し、香味バランスを改良したマイルドで飲用しやすい柿酢ドリンクを商品開発する。飲用柿酢の開発には、多変量解析・データーマイニング等の統計学的処理を行うメタボリックプロファイリング技術、酵素などを利用した高濃度ポリフェノール化技術を応用する。
892 大和伝統野菜「ヤマトマナ」の生理機能を活かした新しい食品の開発 高村 仁知 奈良女子大学 高橋 晴雄 奈良県中小企業支援センター 大和伝統野菜ヤマトマナは抗酸化性を有するアスコルビン酸やポリフェノールのみならず、抗炎症作用を有するイソチオシアナートをも含んでいることが解明されている。本研究では、その高い生理機能性の損失を少なくした長期保存法の開発ならびにパンおよび菓子類への応用を試み、健康食品としての有効性の評価を行ない、機能性を損なわない保存法および製法を見いだす。これにより、ヤマトマナを利用した、大和ブランドおよび健康志向を合わせ持つ新しい食品の開発につなげる。
962 動物細胞を用いたタンパク質ラジカルスカベンジング活性測定法の開発 益岡 典芳 岡山理科大学 安井 茂男 岡山理科大学 生体内にタンパク質ラジカルが生成すると細胞は大きな傷害を受け、細胞死や壊疽を引き起こすことが予想される。その傷害を予防する化合物を検索する手段としては、安定ラジカルまたは酵素を使って生成させたスーパーオキサイドラジカルの消去力を測定する方法が広く行われている。本研究では、生体内で起こる現象をより正確に反映させるため、細胞内にタンパク質ラジカルを生成させラジカルスカベンジング活性を測定する方法を開発する。タンパク質ラジカルの消去力を持つ食品の検索および傷害予防に役立てる。
969 嚥下機能の低下した高齢者のための食品の開発 栢下 淳 県立広島大学 西岡 和恵 県立広島大学 低栄養、脱水、誤嚥性肺炎のリスクを有する嚥下に障害のある高齢者が増加している。本研究室では、嚥下障害者に対して先進的な栄養管理を実施している聖隷三方原病院で提供されている段階的な嚥下食の物性を測定し、報告した。得られた結果を基に、嚥下障害者に適した物性の調理方法を検討する。特に、嚥下障害者では、低栄養状態のリスクが高いので、たんぱく質を含む食材を用いて検討を行う。
989 新たな機能性柑橘成分を利用した抗肥満ヘルスケア食品の開発 平田 敏文 広島大学 秋田 直宏 広島大学 瀬戸内海地方の柑橘資源を利用した新規食品素材の探索に関する地域研究を発展させ,坑肥満活性成分を含有することが見出された品種を利用したヘルスケア食品の創生・商品化を目的として,以下の試験研究を行う。(1)細胞実験および動物実験によって,同品種の食品素材としての安全性を検討する。(2)他品種の抗肥満活性成分のスクリーニングおよび新たな抗肥満活性成分の解明を行い,新たな有用品種の探索と開拓を図る。
1030 スダチの発酵促進作用を利用した発酵食品の開発 横井川 久己男 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 スダチは徳島県の誇るブランド品であり、その高度利用が望まれている。本研究では、スダチ特有の風味を有するスダチワインやスダチパン等の発酵食品を短時間で効率的に製造する技術の確立を目的とする。スダチ果汁は酵母に対して特異な作用を有するため、スダチ果汁の添加濃度を制御することにより、パン酵母やワイン酵母の増殖と発酵を制御する条件を検討する。また、酵母の増殖と発酵に影響を与える生理活性物質をスダチから単離して同定することも平行して行う。
1031 粉体の新規非加熱殺菌技術の開発 田村 勝弘 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 粉体材料が多い医療品分野における生薬(漢方)や食品分野における香辛料などに有効な「非加熱殺菌法」が長年検討されてきた。だが、決定的な方法がないのが現状である。そこで、我々の周囲に存在する安全で安価な気体を利用した新規非加熱粉体殺菌技術を開発する。本気体については、100気圧程度の加圧により強い殺菌力を示すことを液状食品については既に実証済みであり、粉状材料についても十分効果を発揮するものと予測している。
1038 カテキン代謝菌を用いたお茶成分由来新規機能性物質の開発とその効率化 間世田 英明 徳島大学 平岡 功 徳島大学 お茶は日本人に愛され、古来より薬用としても用いられてきた。しかし、その薬効の多くが明らかにされておらず、飲食後、体内微生物による関与の詳細も不明な点が多い。そこで、お茶の中に含まれる生理活性物質を代謝する微生物を用いて、生理活性物質を更なる機能性物質に変換するとともに、微生物での代謝効率を高めるために、生理活性物質の輸送トランスポーターを検索し、人為的にコントロールすることを目指す。
1043 低温細菌由来コラーゲン分解酵素の構造及び生化学的性質の解析 小川 雅廣 香川大学 塩崎 紀子 テクノネットワーク四国 微生物の酵素は幅広い分野で利用されている。微生物の中には低温でも生育する低温細菌がおり,それらは低温で高い触媒活性を発揮する低温酵素をもつ。低温酵素は温めなくても効率よく働くので,食品等の原料加工への応用が期待される。申請者らは,牛スジなどの硬い生肉を生のまま軟らかくするため,硬さの原因タンパク質コラーゲンを分解する低温細菌のスクリーニングを行った。その結果,強いコラーゲン分解酵素をもつ低温細菌を発見した。本課題では,その酵素を精製し性質を調べ,実用化への可能性を探る。
1044 イムノアフィニティーカラムを用いた加工食品中のオクラトキシンAとBの分析法の確立 川村 理 香川大学 塩崎 紀子 テクノネットワーク四国 オクラトキシンAとBは、腎発がん性を有しているマイコトキシンで、穀物や飼料の汚染し、熱安定性が高いので、コーヒー、チュコレートやハムなど多種多様な加工食品からも検出されている。しかし、加工食品では様々な夾雑物が存在し、汎用されている物理化学的クリーンナップ法では夾雑物の除去ができない場合が多い。そこで、本研究ではモノクローナル抗体を用いたイムノアフィニティーカラムを用い加工食品中の簡便かつ高感度分析法を確立することを目的とする。
1064 未利用魚介類を原料とした色が薄く、生臭さ及びうまみが改善された新規発酵調味料の研究開発 新谷 智吉 愛媛県工業技術センター 石丸 尚志 愛媛県工業技術センター 魚介類の未利用部位を原料とした、色が薄く、生臭さ及びうまみが改善された、新規発酵調味料の開発を目的とする。魚介類に醤油麹を加えて熟成させることにより、ある程度うまみを有し、色が薄く、生臭さを改善することができるが、より良い発酵調味料とするには、うまみ成分をより増加させる必要がある。本研究では、作製・熟成方法を検討し、魚介類の効率的な分解による新規発酵調味料の開発を目指す。
1089 海水中のホウ素除去システムの開発 川北 浩久 高知県工業技術センター 津嶋 貴弘 高知県工業技術センター 海水中にはホウ素が約4.5mg/L含まれており、これをRO(逆浸透膜)脱塩処理した水にも約2mg/L程度のホウ素が残留している。今回、海水を原料としたRO脱塩水に残留するホウ素の適切な除去方法について、イオン交換樹脂及び現在大手企業にて開発中のRO膜を用いた除去条件について検討する。
1099 非結球アブラナ科葉菜類(プチベール)の出荷規格外及び廃棄部位の有効利用を目指した機能性食品素材の開発 渡邊 浩幸 高知女子大学 高村 禎二 高知女子大学 アブラナ科の野菜類に含まれる酵素活性を残したまま、野菜類を乾燥して粉末化する技術をもとに、機能を保持したアブラナ科野菜の加工食品への応用や過剰栽培や規格外野菜の有効利用としても利用できる。非結球アブラナ科葉菜類(プチベール)を対象作物とし、乾燥した野菜について、生鮮状態と比較して保持された食品機能の程度を評価し、それらの機能を生かした素材開発を行う。プチベールに存在するグルコシノレート類の分布部位、分類、乾燥粉末後の含有量の変化、食品機能の特徴、加工食品への応用へと展開する。
1104 酵素法ビタミンB6分別定量キットの開発 八木 年晴 高知大学 石塚 悟史 高知大学 近年の安全・安心な健康増進の手段として、食品中の機能性成分に注目が集まっており、様々な保健食品の製品開発が進んでいる。そのような中、それらの機能性に対する評価方法の確立が、食品分野で重要な課題となっている。健康と精神活動を支える必須栄養素ビタミンB6は、天然に存在する6種類の化合物の総称である。最近、ビタミンB6の一つピリドキサミンに生活習慣病である糖尿病の合併症を予防し治癒する機能が見いだされたため、食品中や血漿中の本ビタミンの含有量測定法すなわちビタミンB6分別定量法のニーズが高まっている。しかし、現在、食品中や血漿中のビタミンB6を分別定量する実用的な方法は無い。本課題は、食品の持つ機能性とヒト血漿中のビタミンB6濃度をより正しく評価するために必要なビタミンB6分別定量用キットを開発し、キットを用いた場合の測定条件の確立を目的とする。本キットは特異性と感度を上げるために酵素を用いることを特徴とする。
1126 糖尿病予防成分の迅速獲得のためのα-グルコシダーゼ固定化アフィニティークロマトグラフ法の構築 松井 利郎 九州大学 冨田 和弘 科学技術振興機構 糖尿病予防作用を有する食品機能性成分のほとんどは、糖質の腸管内での分解阻止を前提として単離・同定されている。他方、その同定法は逐次の阻害活性測定と古典的なクロマトグラフィーとの併用であり、新たに生理活性成分を見出すまでには多大な労力と時間を要する。そこで本研究では、糖質分解終末酵素(a-グルコシダーゼ)を固定化したアフィニティークロマトグラフ法を新たに提案し、多成分混合系である食品からの糖質分解酵素阻害成分の迅速獲得法を構築する。
1151 アンチエイジング乳酸菌の探索 片倉 喜範 九州大学 深見 克哉 九州大学 本研究は、抗老化・延命への寄与が指摘されているNAD依存性脱アセチル化酵素であるサーチュインに着目し、その活性化・発現増強を指標として個体の抗老化・延命を実現しうる食品成分の探索を行うものである。本研究では、独自に構築した、腸管系細胞における哺乳類サーチュイン、SIRT1の発現追跡システムを用い、食品成分としての乳酸菌の発現増強活性の探索を行い、抗老化・延命食品の探索を行うものである。
1175 乳酸菌代謝生産物質における癌細胞増殖抑制因子の探索及び作用機序の解明 野嶽 勇一 長崎国際大学 高橋 栄功 長崎県産業振興財団 ウシ乳清を栄養源として十数種の乳酸菌による複合培養から調製した新規の乳酸菌生産物質(PS-H1)が、多種類の培養癌細胞に対して強力な増殖抑制能を示すことを見出した。そこで、癌細胞増殖抑制能を有するPS-H1成分の精製及び大量調製系の構築を試み、この特異な保健効果の作用機序を分子レベルで解明すること、また、最終的には動物実験や遺伝子発現試験を経て、この乳酸菌生産成分を癌予防・治療へ特化した新規の「医療品」、「サプリメント(機能性食品)」や「食品添加物」としての開発に直結する基礎を構築すること、を目的としている。
1199 衝撃波による柑橘類果実の減酸処理装置の開発 前原 弘法 熊本大学 野田 耕右 熊本大学 衝撃波を柑橘類果実に負荷させることにより酸度が低下する。そこで、柑橘類果実に簡便に、減酸が可能になる衝撃波技術を応用した、処理装置の開発を目的とする。これまで、酸度が高すぎる柑橘類は、低級品として、商品価値がないものは廃棄されていた。衝撃波を負荷することにより、酸度を低下させ、商品価値を高めて資源を有効利用しようとするものである。衝撃エネルギーは電気を利用し、放電現象によって生じる衝撃波を柑橘類に効率よく負荷させる処理装置を開発する。
1224 大規模スクリーニングを可能とする簡便なナチュラルキラー活性測定法の開発 江藤 望 宮崎大学 武藤 弘之 宮崎大学 生体内で腫瘍細胞やウイルス感染細胞の排除を行っているナチュラルキラー(NK)細胞を賦活化する成分のスクリーニングに際して、現行の方法では、健常人から採血して得たヒト末梢血単核球(PBMC)を用いている。しかし健常人から一定品質のPBMCを多く集めることは極めて困難である。本課題では、NK細胞賦活化成分の簡便且つ大規模なスクリーニングを可能とする方法を開発する。
1226 不眠症改善を目的とした睡眠促進物質(SPS)カルノシンの応用 井本 真澄 九州保健福祉大学 平井 澄夫 科学技術振興機構 本研究で注目するジペプチド カルノシンについては、「睡眠作用」に関する報告はこれまでなく、申請者はこのカルノシンが睡眠促進物質(Sleep Promoting Substance, SPS)として有力であることを見出し、特許出願している。カルノシンは、魚介類および哺乳類の筋肉中に多く含まれ、経口および腹腔内投与でも有効であることから、魚肉あるいは食肉から「不眠症」治療・改善に有効な新しいSPSを探索すると共に、食品に付加価値をつけることを目標とする。
1239 食品中の異物検出のための軟X線スペクトル装置の開発 守田 和夫 鹿児島大学 中村 恵造 鹿児島大学 農産物や食品の安全性確保のための非金属異物の検出のニーズは高まっている。現状で使われているX線異物検出機はX線透過像が不鮮明であり、検出精度も低い。軟X線領域でのスペクトル計測が実現すれば、極めて精度の高い異物検出が可能になる。また、コンプトン散乱や線質硬化現象を利用すれば、異物の有無ばかりでなく、異物の種類の特定をも可能になる。本課題では、安価でしかも高精度のセンサーを組み込んだ軟X線スペクトル計測装置の開発を行い、農産物及び食品中の非金属異物検出のための計測技術の確立を図るものである。
1240 新規1,5−アンヒドロ−D−フルクトース誘導体の調製と性質 安部 淳一 鹿児島大学 中村 恵造 鹿児島大学 海藻の酵素と澱粉から生産される1,5-アンヒドロ-D-フルクトースは、抗菌性、抗酸化性、抗炎症性などの有益な機能が現在次々に見出されつつある。この糖は、そのまま食品工業に利用することができるが、誘導体化することによりこの糖の持つ性質が強化され、さらに高度に利用できることが期待できる。本課題では、機能的、経済的に優れた1,5-アンヒドロ-D-フルクトース誘導体の調製法を確立し、その性質を評価することを目的とする。
1246 養殖ヒトエグサ由来硫酸化多糖の機能性開発 小西 照子 琉球大学 伊良部 忠男 琉球大学 緑藻類のヒトエグサは、沖縄では養殖産業の一つに挙げられる。本研究では、ヒトエグサ藻体より硫酸化多糖を抽出し、その機能特性について検討する。これにより養殖ヒトエグサの食以外の利用法を探索するとともに、本藻体の付加価値を高める。特に本研究では、細胞レベルで消化器系ガンの阻害活性について検討し、健康補助食品への利用の可能性を検討する。また、化粧品への利用に向け、皮膚繊維芽細胞増殖活性効果などについても検討する。

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 バイオテクノロジー:83件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
12 木質系バイオマスのリグニンからの酵素法による芳香族化学原料生産系の開発 安居 光国 室蘭工業大学 加賀 壽 室蘭工業大学 白色腐朽菌は木質系バイオマスのうちリグニンを分解することが出来る。この酵素はリグニンから環状構造だけを切り出し、バイオマス資源の有効活用を図ることができる。石油製品から合成をすることに対して,香料等の原料となるハイドロキノン,キノンを安全に効率的に生産することが可能になり、白色腐朽菌の酵素の生産性を高めることを目的としている。
25 イヌ熱ストレス蛋白質複合型癌ワクチンの研究開発 嶋田 照雅 帯広畜産大学 田中 一郎 帯広畜産大学 現在癌はイヌにおいて最も死亡率の高い疾患であることから、近年獣医療でも免疫療法特に癌ワクチン療法の研究開発が進められている。しかしながら、癌ワクチン療法では、癌抗原の選択と免疫補助効果の弱いアジュバントが問題となっている。そこで本研究では、多種の癌細胞に共通して発現する癌抗原と強い免疫補助効果を持つ熱ストレス蛋白質(HSP)に注目し、人工的に調製したタンパク質を複合した実用可能なHSP複合型癌ワクチンの研究開発を行う。
30 ビタミンCが分解しにくいニンジンの開発 得字 圭彦 帯広畜産大学 藤倉 雄司 帯広畜産大学 ニンジンのアスコルビン酸オキシダーゼAAO遺伝子を標的としたRNA干渉を起こさせ、AAOの活性を抑え、ビタミンCの増量を目指す。ニンジンの栄養価を高めるとともに、他のビタミンCを多く含む野菜とのミックスジュースのような加工品の可能性を広げる。
46 相補的長鎖オリゴヌクレオチドを用いた特異抗体の多種・大量生産技術開発 渡辺 雅彦 北海道大学 清水 條資 科学技術振興機構 合成ペプチドや発現蛋白を用いた従来の抗体作成法は、費用や対象範囲等においてそれぞれに長所と短所を抱えていた。本シーズ研究では、両者の長所を生かした新たな抗体作成法として、「相補的な長鎖オリゴヌクレオチドを用いた新たな抗体作成法を開発し確立」する。特に、実験的に有用性の高いマウス・ラットと臨床的に有用性の高いヒトの分子に対するそれぞれ特異抗体を、安価で同時にかつ効率良く作成するための方法開発を行う。
47 新たに同定されたマクロファージ・サブセットの抗腫瘍活性の解析とがん治療への応用 笠原 正典 北海道大学 清水 條資 科学技術振興機構 我々は,ラットの血球動態を解析している過程で,強い抗腫瘍活性を有する新しいマクロファージの集団を同定し,これをCD4/CD8 double-positive subset(以下,DP細胞)と命名した.本研究計画では,ラットDP細胞の抗腫瘍作用を解析するとともに,ヒトにおいてDP相当細胞を同定し,同細胞を用いたがんの免疫療法の開発を目指す.
49 新規な不均一化酵素によるイソマルトオリゴ糖の製造と実用化 木村 淳夫 北海道大学 清水 條資 科学技術振興機構 これまで主に2糖や3糖の短鎖オリゴ糖が利用の対象になり、産業に大きく貢献してきた。一方、4030糖の中鎖や長鎖オリゴ糖にも優れた機能が予想されるが、効率的な製造法がない。最近、イソマルトオリゴ糖の2糖や3糖から、グルコース残基を転移・伸長させ、4012糖の中鎖イソマルトオリゴ糖を与える新規酵素(不均一化酵素;転移酵素の一種)を発見した。中鎖オリゴ糖の実用化を目指し、効率的な製造法を確立するための試験を行う。
64 爆砕法と遺伝子組み換え機能性酵母を用いた高効率草本系バイオエタノール生産に関する研究 北口 敏弘 北海道立工業試験場 後町 光夫 北海道立工業試験場 北海道内に豊富に存在し、食料と競合しない草本系バイオマスを原料とした高効率なバイオエタノール生産方法を開発することを目的として、@ ヘミセルロースの過分解抑制とリグニン除去ができる爆砕条件の検討、Aこの前処理に適合したヘミセルロース、セルロース糖化の酵素生産とC5,C6糖代謝を同時に行う機能を持つ酵母の構築とB 爆砕産物によるエタノール発酵試験を行う。
89 新たな微生物変換系の開発と効率化 〜P450を用いた変換反応を効率化するRedox Partnerの開発と応用〜 住佐 太 北見工業大学 内島 典子 北見工業大学 シトクロムP450を触媒酵素とした微生物変換の系は、様々なファイン・ケミカルの生産に応用されつつある。本研究は、こうしたP450の触媒反応をより効率的に行い、本格的な工業生産レベルを目指すものである。そのために、既に遺伝子配列および反応特異性が明らかになっているP450をターゲットとし、それらの活性をより効率的に引き出す新規のRedox Partner遺伝子を取得、機能的に発現させる系を開発する。
119 トランスポゾン配列を利用したリンドウ品種識別技術の開発 西原 昌宏 岩手生物工学研究センター 勝部 和則 岩手生物工学研究センター 岩手県特産の花きであるリンドウは公的機関及び民間により多数の品種が育成されている。近年は海外にも輸出されるなど一層の需要拡大が期待されている。その一方では品種の育成者権を保護するための科学的根拠に基づく品種識別技術の確立が急務とされている。しかし、従来手法だけでは他殖性が強く、交雑の進んでいるリンドウの系統識別が困難である。そこでリンドウゲノム中に散在するトランスポゾン(転移因子)を利用し、品種識別技術を開発する。
134 ネコ尿タンパク測定キットの開発 山下 哲郎 岩手大学 小川 薫 岩手大学 ストレスの多い現代社会においてペットに安らぎを求める人が多くなり、ネコの飼育頭数は年々増加しているが、獣医療の発達やペットフードの普及によりペットの高齢化が進行し、腎臓病を患う飼いネコが増えている。本申請課題は、ネコの腎臓病の早期発見の目的で、ネコの尿タンパクを簡便に測定できる臨床検査方法の確立と臨床検査キットを開発することを目指すものである。
135 リンゴ小球形潜在ウイルスのX線結晶解析によるウイルス粒子構造解析とその応用 磯貝 雅道 岩手大学 小川 薫 岩手大学 これまでリンゴ小球形潜在ウイルス(ALSV)のウイルスベクター化に成功しているが、このALSVウイルスベクターから発現させたタンパク質は植物体中で分解され、植物体中でのタンパク質生産には適用できていない。そこで、植物体中で分解されずに蓄積するウイルス粒子の性質に着目し、ウイルス粒子表面に有用ペプチドを提示させることで植物体中に有用ペプチド生産させる新たなALSVウイルスベクターの開発する。
154 マトリックス無しのタンパク質質量測定可能なTOF-MS用導電性基板の開発 佐藤 義倫 東北大学 大野 健一 科学技術振興機構 タンパク質はイオン化により熱分解を起こすため、親イオンの質量が測定できない。熱的に安定なイオン化しやすいマトリックス分子を仲立ちして電荷を目的のタンパク質に移動させて親イオンを測定するが、それぞれのタンパク質に合わせたマトリックスが必要になる。本試験では、平面配向した多層カーボンナノチューブの固化体基板を使用し、マトリックス無しでタンパク質質量を測定できる飛行時間型質量分析用導電性基板を開発する。
226 セラミド合成酵素スフィンゴミエリナーゼの開発 杉森 大助 福島大学 八代 勉 福島大学 セラミド合成酵素“スフィンゴミエリナーゼ”の実用性評価を行い,セラミド製造を1工程で,かつ低コストで可能にする事を目的とする。具体的には、本酵素の遺伝子クローニングを行い、大量発現系を構築し、産業上有用な酵素の提供を目指す。さらに,酵素の触媒機能を人工的に改変し,産業上有用な酵素の提供を可能にする.
270 キシロース資化能を有する酵母の育種研究 関口 昭博 群馬県立群馬産業技術センター 上石 洋一 群馬県 資源の少ない日本では、木質や稲ワラ、麦ワラを原料とするエタノール製造が検討されている。現在までに、木質系エタノール製造法のかなりの部分が確立されているが、いまだに木質系エタノールはコストが高い点が解決できていない。コストダウンの切り札としてグルコース(酵母発酵によりエタノールに変換可能)とともに大量に生成するキシロースからエタノールを製造する技術の確立が望まれているが達成されていない。本研究では、キシロースのエタノール変換を最終目標として、これまで培った酵母の育種技術を利用し、キシロース資化能とエタノール高生産能を有する酵母の育種を試みる。
274 金属基板を用いた低コスト色素増感太陽電池の研究開発 藤野 正家 群馬工業高等専門学校 上石 洋一 群馬県 製造コストが安く、大面積化が容易な色素増感太陽電池の要素技術を開発する。色素を吸着したチタニア電極の基板材料を従来の透明導電性金属酸化物からより導電性に優れた金属に置き換える。これにより、電極基板に起因する内部抵抗を低減し、実用化上問題となっている大面積化にともなう変換効率の大きな低下を解消する。同時に、金属化による生産コストの低減を目指す。
278 微生物培養液からの新規生理活性物質検索系の開発 武田 茂樹 群馬大学 小暮 広行 群馬大学 Gタンパク質共役受容体(GPCR)はヒトに約850種類程度存在すると考えられており、臨床で用いられる治療薬の60%以上はこれらの受容体のいずれかに作用するものである。本研究では新たに調整した426種類の糸状菌の培養上精のライブラリーから、当研究室で開発したGPCRの活性測定系を用いて新しい生理活性物質を検索する。
356 ペプチドリガンドの新規探索法in silico panning法の開発 池袋 一典 東京農工大学 平田 美智子 東京農工大学 酵素・レセプターのペプチドリガンドはそのアミノ酸配列の多様性が膨大で、実験で探索するのは難しい。そこでdocking simulationにより、任意のペプチドの標的酵素に対する結合能を計算し、遺伝的アルゴリズムにより、そのアミノ酸配列を組換えて、コンピュータ内で標的酵素に対するリガンドを進化させ、スクリーニングする、in silico panning 法を開発した。本申請でその改良と応用を試みる。
357 アフィニティートラップリアクターの新展開 清水 幸輔 東京農工大学 保坂 真一 東京農工大学 申請者らが開発したアフィニティートラップリアクター(ATR; 酵素と基質を捕捉するリガンドを固定化したバイオリアクター)は、多くの夾雑物を含む試料から基質を選択的に捕らえて効率的に反応を進め、さらには反応生成物の精製をも可能とする世界初の技術である。本研究では、この技術をさらに発展させ、産業利用するための基盤を構築する。
363 ナノ粒子を利用した細胞イメージング・癌治療技術の開発 大塚 英典 東京理科大学 山内 進 東京理科大学 近年、タンパク質分子レベルの高感度検出法に裏打ちされた、信頼性が高くかつ簡便な疾病検査・治療技術の確立が強く望まれている。本研究はこれまで手掛けて来た金属ナノ粒子合成法に関する経験的蓄積を利用して,高感度生体分析を達成しようとするものである。本課題では、独自の発想の表面官能基と特定ポリマーの組み合わせにより、高感度のナノ粒子分散液を現出し、新たな医療工学技術の創出を目的とする。
375 インターフェロン応答性プロモーターの遺伝子ワクチンへの応用 武下 文彦 横浜市立大学 小塚 彩 横浜市立大学 CMVプロモーターにIFN反応性の転写因子結合配列(エンハンサー)を付加し、インターフェロンに反応して転写活性が増強され得るプロモーター(インターフェロン応答性プロモーター)を開発した。本研究課題では1)マウス感染症モデルおよび移植がんモデルを用いてIFN応答性プロモーターを応用したワクチンの予防・治療効果を解析し、2)ウイルスベクターを用いたワクチンへの応用も検討することを目的とする。
391 高精度・高感度認識が可能な革新的修飾プローブの開発と応用 大窪 章寛 東京工業大学 松本 進 東京工業大学 遺伝子診断を精密かつ高感度に行うために、塩基部アミノ基にアシル基を残したままでも、従来のDNAプローブより高い二重鎖形成能と塩基識別能を有する革新的な修飾DNAプローブ「保護プローブ」を開発する。このプローブの合成過程では、アミノ基の脱保護行程を省略できるため短時間でプローブ合成が可能である。また、従来法では脱保護行程でプローブの大幅な脱離が問題となったが、このプローブでは脱離が全く生じない。
406 C57BL/6系統ES細胞を用いた遺伝子改変マウスの高速作成法の開発 崎村 建司 新潟大学 中津 普門 新潟大学 ノックアウトマウスなど遺伝子改変マウスは、生命科学研究に無くてはならないリソースであるが、その作成には特殊な技術と時間、さらに多大な費用を要する。本研究は、短時間でかつ安価に近交系遺伝子改変マウスを作成する方法を開発することを目的に、我々が樹立した効率的に生殖系列細胞に分化するC57BL/6系統ES細胞株RENKAを用いて、マウス作成のボトルネックとなる、組み換えベクター構築の迅速化と相同組み換え頻度を上昇させる方法を開発する。
407 放出速度と生体適合性を最適化可能な複合型薬物徐放材料の開発と応用 田中 孝明 新潟大学 中津 普門 新潟大学 本研究課題は,ゲルと生分解性多孔質材料を組み合わせた新規な薬物徐放材料の開発を目的とする。手術時に埋め込み,抗菌剤を局所的に徐放して手術部位の感染を防止することにより,組織再生を確実に行うための材料である。本薬物徐放材料はゲル濃度により薬物の放出速度を,多孔質材料の内部構造により力学的生体適合性を制御する点を特徴とする。抗生物質ゲンタマイシンやストレプトマイシンなどの放出速度及び材料の力学的特性の最適化を検討する。
412 酵母によるバイオマスからの2−デオキシーシローイノソースの発酵生産システムの開発 高久 洋暁 新潟薬科大学 佐々木 峰子 新潟ティーエルオー 2-デオキシ-シロ-イノソース(DOI)は、炭素六員環構造を持つベンゼン系化合物であり、医薬・農薬、酸化抑制剤や香料等の各種有用化学品の合成のための非常に重要な中間原料である。本技術は、試験管内或いは生体内でグルコースを炭素六員環化合物であるDOIに閉環する反応を触媒するDOI合成酵素を作用させることにより、これまで化学合成が困難であったDOIをグルコースから容易に合成することが可能とした。本研究では原料としてバイオマスを利用し、酵母を利用したDOI生産システムの構築を目指す。
430 PCB分解酵素系の塩化安息香酸分解菌での発現 福田 雅夫 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 環境中の汚染浄化に有効な手段と期待されるPCB(ポリ塩化ビフェニル)の微生物分解では、分解産物として塩化安息香酸(CBA)が蓄積することがネックとなっている。本課題では多様なCBAを分解できるCBA分解菌バークホルデリアNK8株に、強力PCB分解菌ロドコッカスRHA1のPCB分解酵素系遺伝子を導入して高発現させるシステムを構築し、浄化に有効な完全分解システムの構築をめざす。
469 放射菌によるP450系酵素群の大量発現系の開発 荻野 千秋 神戸大学 五十嵐 泰蔵 金沢大学ティ・エル・オー 放線菌はストレプトマイシンに代表される様々な抗生物質など2次代謝物(生物の成育に関係のない有用物質)を大量に生産する工業的利用価値の高い宿主であることが以前から知られている。しかしながら、遺伝子工学的アプローチを行い、有用物質(タンパク質)の生産性を高めた報告例は殆どない。本研究では、既に構築した放線菌における汎用性遺伝子組み換え生産システムをベースに、これまで、大腸菌などでは発現が困難とされているP450酵素群の大量分泌生産を目指す。
516 汎用放線菌遺伝子操作ベクターシステム開発 片岡 正和 信州大学 藤井 國久 信州大学 放線菌の遺伝子を簡易に操作できるよう、@主要な組み替え菌である大腸菌の能力を十分に利用できるシャトルベクターを開発、A遺伝子発現を簡便にリアルタイムで検出できるベクターシステムの構築、B遺伝子発現を自在にコントロールできる発現ベクターシステムを構築する。
放線菌−大腸菌シャトルベクターを開発することで、簡単に、任意の遺伝子発現をリアルタイムに検出、調節することが可能となる。
548 定量位相顕微鏡による生物細胞の定量解析技術に関する研究開発 池田 貴裕 光産業創成大学院大学 袴田 祐治 光科学技術研究振興財団 デジタル・イメージホログラフィ技術を導入した定量位相顕微鏡に高速撮像装置を組み込み、得られた細胞の3次元情報と時間情報を時空間解析することにより、細胞膜の物理量(弾性率、張力値など)の定量測定を行う。本顕微鏡と蛍光顕微鏡の複合観察により、細胞膜の物理量とタンパク質の発現状態の比較を行い、新しい細胞の定量解析技術を開発する。本技術は生物・医療・創薬分野で役立つ複合顕微鏡及び、細胞自動解析装置開発に貢献できる。
557 抗菌性物質と生体膜の相互作用を検出・解析する単一GUV法の開発 山崎 昌一 静岡大学 藤田 武男 静岡大学 申請者が開発した単一巨大リポソーム(GUV)法は物質と生体膜の相互作用に関する新しい質の情報が獲得できる。本研究はこの実験方法や解析方法の最適化を行うことで、抗菌物質のスクリーニングの方法や、生体膜と物質の相互作用の研究に用いられる実験キットの開発を目指している。本年度は単一GUV法の実験方法の最適化のために、1個のGUVと物質の相互作用を同時に多くのGUVで観測できるシステムの構築のための要素技術の開発を行う。
581 ユニバーサル核酸を利用する一塩基多型解析技術 片岡 正典 自然科学研究機構 瀬野 義隆 科学技術交流財団 ポストゲノム時代の最重要課題である一塩基多型解析技術において、従来法に比してコスト・タイムパフォーマンスを大きく改善しうる新手法の基本技術について開発する。研究者がすでに開発済みの、核酸塩基の種類に拘わらず塩基対を形成する人工核酸塩基(ユニバーサル塩基)に、蛍光発光特性を付与し、そのユニバーサル塩基と4種の天然塩基の複合体について構造と発光特性を広く調査し、一塩基多型解析技術に応用可能な蛍光性ユニバーサル核酸を開発する。
585 モデル動物(線虫)を用いた有害物質感知バイオセンサーの研究 三輪 錠司 中部大学 永井 義明 中部大学 モデル動物である線虫を用いて、残留農薬などの食品危害物質や薬物など外来異物(以下、毒物と総称する)の代謝経路に働く様々な分子を標識することで、これら毒物やそれを緩和する物質を迅速、簡便、経済的に検出できる“生きた”バイオセンサーを作製してゆき、広範囲の毒物とその毒性緩和物質のスクリーニング法を開発してゆくことを目的とする。毒物の検出能だけでなく、その毒性を中和したり緩和したりする食品や物質のスクリーニングも同時におこなう機能をもつことで、科学に基づいた「安全と安心」の備わった社会づくりに貢献する。
590 環状型RNAアプタマー調整法の安価大量精製法への応用と実用化 梅影 創 豊橋技術科学大学 上松 正和 豊橋キャンパスイノベーション RNAアプタマー薬剤開発において、効能持続性と副作用の懸念の排除は相反する課題である。申請者はこの相反する課題を、環状化という単純な手法によって克服可能であることを示してきた。本研究では、高価であるため薬剤が発展途上国に行き届かないといった治療薬の南北問題解決への貢献を目的とし、前述の環状化手法を大腸菌内発現系へ応用した環状RNAアプタマーの安価かつ大量創製法および簡便な迅速精製法の開発を行う。
600 IPTG代替品を指向した新規糖鎖高分子の開発 高須 昭則 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 大腸菌の遺伝子組み換え技術を応用したタンパク質の生合成の発現量(生産量)は、社会的な需要を十分満たすには至っていない。大腸菌を発現ホストとして用いる場合、lacプロモーター による発現システムが用いられ、ガラクトース残基がリプレッサーと作用にすることによってmRNAの翻訳が開始される。これまでは、イソプロピル チオガラクトシド(IPTG)が最も大きな効果を示すことが知られてきた。本研究では、IPTG代替品を指向した新規複合糖質を合成し、発現効率の向上や発現時間の短縮を目指す。
651 代謝工学的手法を用いたバイオマスからのアクリル酸生産 粟冠 和郎 三重大学 岡谷 佳澄 三重大学 アクリル酸は、アクリル繊維やアクリル樹脂の原料として重要な物質であるが、現在はすべて石油由来である。本研究は、微生物の発酵機能を代謝工学的に改変し、バイオマス(糖質または乳酸)からアクリル酸を生産できる微生物を分子育種することを目的とする。プロピオン酸発酵関連遺伝子を導入し大腸菌を用いて研究を行う。ランダム突然変異の導入などにより遺伝子の改変を行うことにより、プロピオン酸の代わりにアクリル酸を蓄積する微生物を選択・育種する。
652 変異種海藻イチイヅタからのキシリトール製造技術の開発 荒木 利芳 三重大学 岡谷 佳澄 三重大学 糖アルコールの一種であるキシリトールは虫歯予防や糖尿病患者用甘味料として注目をあびているが、ショ糖と比較して高価なため、より安価な製造法の開発が求められている。本研究では、イチイヅタ(Caulerpa taxifolia)などの海藻の細胞壁を構成しているβ-1,3-キシランから、申請者が開発した3種類のキシリトール変換酵素を用いて、キシリトールを安価で大量に製造する新技術を開発することを目的とする。
654 生体分子認識を行うPEG被覆プロテオリポソームの開発と応用 湊元 幹太 三重大学 松井 純 三重大学 膜受容体は、情報伝達系の上位分子であり、種々の疾病に関連する。特に膜受容体に対する自己抗体産生が引き金となる自己免疫疾患は重篤で、抗体と膜受容体の反応を、固相化蛋白質を用い探索することは診断・創薬等の強力なツールである。本試験では私たちが開発した膜受容体提示型プロテオリポソーム調製技術に、ポリエチレングリコール(PEG)被覆リポソームを採り入れ、膜蛋白質抗原を作製、高感度高忠実度の分子認識システムを開発する。
655 ボルテックス方式を軸とした各種リポソーム簡便作製技術の開発と応用 吉村 哲郎 三重大学 松井 純 三重大学 薬物送達システム及び細胞内遺伝子導入等において脚光を浴びているリポソームには、多重層(MLV)、小さな一枚膜(SUV)、大きな一枚膜(LUV)及び巨大(GUV)リポソーム等、幾つもの種類が存在する。我々は最近、ボルテックス方式のみを軸としたMLVの簡易作製技術を開発した。本研究においては、ボルテックス方式により、MLVだけでなく、SUV、LUV、GUV等、全てのリポソームを容易に作製できる統一的技術を開発し、それによる機能性リポソーム作製への応用を試みる。
696 ヘム結晶化阻害を基盤とする抗マラリア薬の開発 亀井 加恵子 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 マラリア原虫は赤血球内でヘモグロビンを分解するが、遊離するヘムが有毒なためにヘムを結晶化して無毒化する機構を持つ。ヘム結晶化を阻害する化合物は抗マラリア薬となる可能性があるため、これまでにヘム結晶化阻害物質のスクリーニング方法を開発した。本研究では、ヘム結晶化阻害物質をスクリーニングする。さらに、ヘム結晶化阻害物質の抗マラリア活性を明らかにし、抗マラリア薬の開発に資する。
699 マウス神経幹細胞を利用した効率の良い中枢神経発生系の開発 黒坂 光 京都産業大学 物部 剛 京都産業大学 幹細胞技術の進歩に伴い、神経疾患に対する再生医療の期待が高まっているが、未だ安定した神経細胞の再生系は開発されていない。神経細胞の分化には,効率の良い細胞再生系と、安定したタンパク質発現系が必要である。本研究の目的は、マウス初代培養神経幹細胞などに、神経特異的な糖転移酵素を利用した安定なタンパク質発現系を導入することで、効率の良い神経細胞分化系の開発を試みることである。
700 5’末端翻訳領域デファレンシャルデスプレー(5’RDD)法の検討と改良 別所 親房 京都産業大学 物部 剛 京都産業大学 従来のデファレンシャルデスプレー(DD)法は、発現量に差のある遺伝子群を簡便、高感度に表示する優れた方法であるが、mRNAの生物学的情報に乏しい3’末端非翻訳領域を表示する欠点があった。この問題を解決するために、cDNAの5’末端未知領域を増幅する5’RACE法を応用し、mRNAの5’末端翻訳領域を表示する5’RDD法として特許申請した。この方法は、1本鎖cDNA の5’末端に、既知配列のオリゴヌクレオチド(ON)またはオリゴdA (OdA)を結合したものと、ONまたはOdAに相補的なプライマーと任意プライマーを用いてPCRし、DNA産物を寒天ゲル電気泳動して蛍光表示する。
709 新規リジンα-オキシダーゼの開発とL-ピペコリン酸生産への応用 三原 久明 京都大学 藤田 聡美 関西ティー・エル・オー 本課題では、部位特異的変異および分子進化工学などのタンパク質工学的手法を駆使して、新規リジンα-オキシダーゼを開発する。これにより得られる高効率リジンα-オキシダーゼをΔ1-ピペリデイン-2-カルボン酸レダクターゼと共にリジン高生産大腸菌株内で発現させることにより、医薬中間体として有用なL-ピペコリン酸の効率的な発酵生産系の構築を目指す。
715 非修飾DNAを用いた遺伝子診断に向けた機能性蛍光色素の開発 山東 信介 京都大学 是成 幸子 京都大学 本試験研究では、非修飾型DNAプローブを用いた細胞外遺伝子配列検出の応用に向けた研究試験を実施する。具体的には、DNAの“特定配列/構造”に結合した場合にのみ蛍光を発するインテリジェント蛍光分子(機能性蛍光色素)を利用する。標的遺伝子配列と結合した場合にのみ“特定配列/構造”が形成されるようなDNAプローブを設計し、本機能性蛍光色素と組合せ、安価/安定な非修飾DNAを用いた簡易遺伝子診断系の構築を目指す。
720 標的遺伝子変異ラットの効率的な作出方法 真下 知士 京都大学 中屋 百合恵 京都大学 ENUミュータジェネシスにより作製された多数のミュータントラット個体群の中から、目的の遺伝子の突然変異ラットを選抜することで、遺伝子変異ラットを効率的に作製する方法を開発する。ラットは生理実験や、新薬開発、安全性評価試験等に広く用いられているが、ES細胞がないため、標的遺伝子変異ラットを作製することができなかった。本技術により、ヒト遺伝性疾患の原因遺伝子をターゲットとした標的遺伝子変異モデルラットを作製することが可能となる。
726 メタボローム解析と心筋代謝シミュレーションを用いた新しい心不全バイオマーカーの単離 塩井 哲雄 京都大学 樋口 修司 京都大学 心不全の発症と進展に心筋代謝の異常が関与している。本研究では、心不全モデル動物のメタボローム解析を行い、心不全の心筋代謝異常を明らかにする。さらに、メタボローム解析によって得られたデータを元に心筋代謝シミュレーション・システムを構築し、心不全の診断と治療に対する効果的な介入点を見つける。
730 DNA毒性の、高感度検出アッセイ系の樹立 武田 俊一 京都大学 樋口 修司 京都大学 産業で使用される化学物質の安全性は、化審法の規定によって、野生型の正常細胞を使って評価される。発がん性の原因になる化学物質による染色体DNA損傷を、正常細胞はすみやかに修復する。そこで発がん性をより高感度に検出する目的のために、様々なDNA修復経路欠損細胞を使って発がん性を検出する手法の開発を提案する。
763 無機酸化物ナノ蛍光体を用いたナノ領域バイオイメージング 伊藤 征司郎 近畿大学 松本 守 近畿大学 われわれが独自に開発した低環境負荷合成法により、希土類イオンドープ無機酸化物蛍光体ナノ粒子(ナノ蛍光体)を合成し、このものをナノメートルオーダーの空間分解能を有するナノバイオセンサに応用する。ナノ蛍光体を表面改質処理することで,量子収率を飛躍的に向上させるとともに、特定のたんぱく質、細胞などを検出できる部位を結合することで、これらを個々に検知できるナノバイオセンサを構築する。
766 好熱菌を用いた難分解性動物タンパク質に対するリサイクルバイオテクノロジー 茂里 康 産業技術総合研究所 小黒 啓介 産業技術総合研究所 難分解性動物タンパク質は産業廃棄物として排出される。これらはくず肉や羽毛廃棄物、廃水中の毛髪に多量に含まれるが、難分解性でかつ付加価値のある再利用先の展開が無いため未利用資源として廃棄される。本研究は、我々が単離した難分解性動物タンパク質に対し高い分解活性を有する好熱菌を用い実用レベルでの分解特性の検討、分解に有効な微生物系の確立、分解物中の活性物質の探索を目指し、試験研究を行うものである。
768 二次元ゲルプラスチック化法による機能性プロテオミクスの新しいツールの創出 和田 明 大阪医科大学 大野 安男 科学技術振興機構 本研究の目的は、蛋白機能の包括的解析を行うためのプロテインチップを、二次元ゲルをプラスチック化することによって作成することである。この「ゲルプラスチック」は水溶液中で可逆的に元のゲルに戻るので、全蛋白質の機能を一挙的かつ包括的にゲル上で測定することができる。さまざまな生物の蛋白質を分離した二次元ゲルをプラスチック化して供給すれば、機能性プロテオミクスに新しい展望を拓くことができる。
783 軟体動物および節足動物の血液主要成分を利用した環境調和型酸化触媒の開発 伊東 忍 大阪市立大学 三刀 基郷 大阪市立大学 タコやイカなどの軟体動物、およびカニやエビなどの節足動物の血液中には二核銅活性中心を有する酸素運搬タンパク質ヘモシアニンが多量に含まれている。本研究ではこのような呼吸系のタンパク質であるヘモシアニンに摂動を加えることにより、タンパク質の活性中心に取り込まれた分子状酸素を活性化し、各種基質の酸素化反応を触媒する新しいタイプの環境調和型酸素化触媒の開発を目指す。
785 超臨界流体中での酵素活性を利用した生体由来組織の脱細胞化 澤田 和也 大阪成蹊短期大学 東別府 良彦 大阪成蹊学園 本研究では、生体由来組織から細胞成分を除去し、構造タンパクのみからなるスキャフォールドの作成を目指す。また、媒体や化学薬剤等の残存による組織への影響を無くすため、二酸化炭素やフッ素系媒体等、常温・常圧で気体状態である媒体を利用し、それらの超臨界状態での処理を行う。さらに、細胞分解を効果的に進めるために酵素活性も利用する。これにより、生体に対して安全性の高いスキャフォールド調製を目指す。
794 細胞毒性を示す生体触媒の高効率生産系の確立 西岡 求 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 生物変換反応(バイオ酸化反応など)を担う酵素タンパク質を組換え体酵素として生産させようとしたとき,宿主細胞に対して細胞毒性を示す場合も多い.細胞毒性の原因は様々なものが考えられるが,細胞内で生じる酸化ストレスは,共通性の高い因子として挙げられる.生体触媒生産効率化のために,このような細胞内酸化ストレスと培養環境に起因する細胞外ストレスに対して,細胞の「基礎体力」を増強させ,細胞が受けるストレスを自己解消できる細胞を創出する.
801 細胞内移行ペプチドを用いた効率的かつ簡便な新規遺伝子導入技術の開発 吉岡 靖雄 大阪大学 多田 英昭 大阪大学 疾患関連遺伝子などを標的細胞・組織に導入し、その機能を解析する試みは定法となっている。しかしウイルスベクターですら、リンパ球・悪性腫瘍・幹細胞など重要な標的細胞への遺伝子導入が困難であり、遺伝子導入効率・汎用性・簡便性に優れた革新的遺伝子導入法の開発が待望されている。本研究では、細胞内に効率的に物質導入可能な因子である細胞内移行ペプチドを用いウイルスベクターを化学修飾することで、これまで遺伝子導入困難であった条件下・細胞・組織において応用可能な新規遺伝子導入法の開発を試みる。
822 ヘムタンパク質を基盤とするバイオ超高感度酸素センサーの開発 林 高史 大阪大学 樋口 堅太 大阪大学 生体組織における溶存酸素は、様々な生理現象に関与しており、医療現場や、培養細胞などの生体試料の評価において、高感度かつ容易に検知できる酸素センサーの開発が必要とされている。 本課題では、幅広い生体反応を担っているヘム蛋白質を一種の「バイオセンサー材料」と捉えて、そのヘムタンパク質の構成要素である「ヘム」の構造や化学的性質を、化学修飾により制御し、生体内もしくは生体試料中で機能する新しい超高感度酸素センサーの開発を目的とする。
852 ゲノム初期化因子の簡易スクリーニング法の開発研究 木下 勉 関西学院大学 山本 泰 関西学院大学 成体の体から採取した細胞を初期化し、発生初期の胚性の細胞へ戻すことができれば、自分のES細胞を作り出すことが可能となる。この技術を確立するためには、成体細胞の核に含まれるゲノムを初期状態に戻す働きをする初期化因子が必須である。本研究では、かかる初期化因子の簡易スクリーニング法の開発のため、ゲノムの初期化状態を検出する遺伝子の作製、及び試験管内(in vitro)検出法の確立・検証を行なう。
853 金めっき技術を応用した新規免疫学的検出技術の開発 西方 敬人 甲南大学 安田 耕三 甲南大学 本研究課題は、既存の「簡便かつ安全な金めっき浴」の技術を、バイオ領域の技術に応用・移転するものであり、免疫学的手法(ウエスタンブロッティングおよび免疫組織染色とin situハイブリダイゼーション)における検出感度の飛躍的向上を図るものである。さらに本検出法の実用性の高さと応用範囲の広さを示すとともに、汎用検出キットを組み立て、抗体マーカーを用いた高感度のガン診断法の確立を目指している。
871 油水界面を用いるタンパク質の電気抽出分離・分析法の開発 大堺 利行 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 最近,代表研究者が原理を見いだしたタンパク質の逆ミセル電気抽出法を用いて,タンパク質の選択的かつ迅速な分離・分析法を開発する。マイクロフロー電解セルを用いて,油水界面の電位差を制御しながらタンパク質を選択的に界面移動させ,タンパク質を電流として検出・分離する。この独創的で新規な装置の性能(選択性,迅速性,定量性など)を調べ,クロマトグラフィーなどの従来法では困難だった比較的多量のタンパク質の選択的分離を試みる。
890 微生物変換法を用いた希少ヒドロキシ脂肪酸の生産技術開発 岸本 憲明 近畿大学 松本 守 近畿大学 ロイヤルゼリー(RJ)にのみ含まれている希少脂肪酸10-ヒドロキシ-trans-2-デセン酸(10HDA)を、安定供給可能なtrans-2-デセン酸(2DA)から微生物変換法で容易に生産する方法を確立した。RJには多様な生理活性が報告されているが、RJ成分を安定供給する方法が確立されていない。このことがRJの作用機作を解明する障害となっている。そこで本研究では、2DA誘導体を基質とし微生物を用いて高濃度の10HDAを安定生産できる実験室規模の変換システムを確立する。
893 ほ乳類網膜組織再生のための細胞外基質の開発研究 荒木 正介 奈良女子大学 藤野 千代 奈良女子大学 本研究は、臨床応用への技術還元を目的に、機能的なほ乳類網膜組織の再生を中期目標とする基礎技術開発を目指し、特に、その第1段階として、申請者が開発した器官培養技術をほ乳類網膜再生に応用できる可能性を実験的に検証する。この組織培養技術は、従来のプレート培養ではなく、フィルターとゲルで組織をサンドイッチにして培養する新しい手法で、両生類の網膜組織の再生を可能にした。ゲルに用いるさまざまな細胞外基質タンパク質について、最も優れた効果をもつ分子を探索する。
905 新規な生物活性をもつコラーゲン・バイオマテリアルの開発と応用 森本 康一 近畿大学 大野 安男 科学技術振興機構 I型コラーゲンは動物細胞の足場としてあるいは機能発現に欠かすことのできない重要なタンパク質である。I型コラーゲンを果実由来の酵素で限定加水分解した産物には,これまでに見られなかった性質が現れ,また会合体の形態が異なることを明らかにした。本研究の目的は,この新規コラーゲンの分子レベルでの特徴と細胞との相互作用を調べ,新しいバイオマテリアルとしての応用性と発展性を探ることである。
914 プロテインサイエンスによるコンフォメーション病の治療法の開発 河田 康志 鳥取大学 佐々木 茂雄 鳥取大学 アルツハイマー病やパーキンソン病などの脳神経変性疾患はコンフォメーション病とも言われ,病気に関わる蛋白質がアミロイド線維を作り,細胞内外に一定量以上蓄積すると発症する。しかし,病気ごとに原因蛋白質がそれぞれ異なっており,その蓄積量を個々に推定することは難しい。本研究では,様々なアミロイド病の原因蛋白質のアミロイド線維核に反応し,検出できる新規なユニバーサル診断材料の開発とその応用に関わるプロテインサイエンス研究を行う。
921 イオン交換性鉱物を用いた1stepプラスミド精製法の開発 永田 善明 島根県産業技術センター 川谷 芳弘 島根県産業技術センター 大腸菌からのプラスミドDNA精製法であるアルカリSDS法の大幅な簡略化と時間短縮を目的として、菌体溶解液の脱塩、除タンパク質、除界面活性剤をイオン交換性鉱物などを用いて1stepで行う方法を開発する。また、塩化セシウム密度勾配遠心後のプラスミド溶液に含まれる高濃度の塩化セシウムと臭化エチジウムを、イオン交換性鉱物などを用いて1stepで除去する方法を開発する。
928 血管形成促進作用を有する天然物化合物の解明と創薬開発 松原 主典 広島大学 湯浅 光行 岡山県立大学 虚血性心疾患や閉塞性動脈硬化症のような血管障害では、心筋や下肢組織の血流確保が困難となり重篤な結果をもたらすことから、新たな血管を形成し血流を確保する血管新生療法の開発が行われて来ている。しかし、血管形成促進物質の多くは高分子のタンパク質であり、遺伝子治療といった特殊な技術が必要となる。一方、薬草など天然物由来の低分子性血管形成促進物質は、安全で取り扱いが容易な経口投与薬剤の開発に繋がる可能性が高い。本研究では、天然物に含まれる血管形成促進物質を利用した血管形成促進剤開発の基盤を確立する。
941 バイオプロセスによる重要医薬中間体の環境調和型不斉合成 依馬 正 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 クロピドグレルは血小板凝集阻害活性を有しており、血栓によって引き起こされる脳梗塞や心筋梗塞の再発予防薬として使用されている。プラビックス (クロピドグレル硫酸塩の商品名) は、年間売上高が世界第2位にランクされている。遺伝子組換え大腸菌を用いた新規製造法により、クロピドグレルの鍵中間体である(R)-o-クロロマンデル酸メチルエステルを対応するケトンの不斉還元にて合成し、これをコア技術とした環境調和型製造法を確立する。
944 多様な非天然アミノ酸が導入可能なタンパク質合成系の創製 大槻 高史 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 蛋白質の特定部位に非天然のアミノ酸を導入することができれば、創薬および蛋白質研究に対して多大な貢献が見込まれる。既存の非天然アミノ酸導入システムでは、蛋白質への導入が不可能な非天然アミノ酸が多数存在する。その原因の一つは非天然アミノ酸がEF-Tuという因子と適合しないことであった。本研究では、多様な非天然アミノ酸の蛋白質への導入を可能にすることを目的とし、EF-Tuを改変して非天然アミノ酸の導入を検討する。
947 グリコーゲン利用に関わる輸送体の異常検出キットの開発 表 弘志 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 グリコーゲン蓄積異常に関わる輸送体の異常を検出するキットの開発を目指す。グリコーゲンの制御された合成と分解は正常な糖の利用に必須である。グリコーゲンの分解物であるグルコースリン酸は小胞体内でさらに分解される。この過程の輸送体(NPT4)が異常をきたすとグリコーゲンの利用が制限され、低血糖や免疫不全などの症状がでる。病気の原因である輸送体の異常を検出するキットを開発し、迅速な診断や治療薬の開発に貢献する。
950 ポリスチレン高親和性ペプチドタグを用いた革新的蛋白質相互作用解析システムの開発 中西 一弘 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 本格的なポストゲノム時代を迎えている中、蛋白質相互作用解析法の開発は、医薬品開発などにおいて必要不可欠なツールである。本研究では、従来法で使用される疎水性PS Plateではなく、親水性PS Plateを用い、PS Plateに対して高親和性を有するペプチドタグに目的蛋白質を連結する、あるいはペプチドタグ付き蛋白質をスペーサとしてペプチドに連結することを原理とする、高感度汎用蛋白質相互作用解析システムを開発する。
966 深海微生物由来タンパク質を利用した高圧・低温耐性ナノデバイスの創製 仲宗根 薫 近畿大学 繁村 龍彦 くれ産業振興センター 現在、バイオ素材とナノテクノロジーを融合した「バイオナノテクノロジー」は21世紀の潮流の一つになっている。有用物質(酵素、生理活性物質生産)生産等の触媒システムに求められる特性として、「耐熱性」や「高圧力・低温耐性」などの機能が求められる特質であるが、特に高圧・低温に関しては深海微生物にのみ与えられた機能として大変有効である。本研究は上記背景に基づき、深海微生物由来タンパク質の耐圧・耐冷性を理解し、その特性を利用した高圧・低温耐性ナノデバイスの創製を目的としている。
971 大豆発酵による有用成分の生成とその効率的生産・分離技術の確立 渡部 緑 広島県立食品工業技術センター 山下 民治 くれ産業振興センター 大豆は多様な機能性を有する食材として知られているが,発酵熟成させることにより新たな機能性も付加されることが明らかとなってきた。我々はこれまでに大豆発酵食品の大腸がん前がん病変抑制作用等に関する研究を行っており,その活性の主要成分は発酵工程で生成される高分子物質であると考えている。本研究では,この高分子有用成分を効率的に生成する発酵条件について検討する。さらに,膜処理による有用成分の効率的な濃縮・分離技術の確立を目指す。
987 光増感色素による病院・畜舎内空気の脱臭・殺菌技術の開発 正岡 淑邦 広島大学 榧木 高男 広島大学 色素触媒の働きによってオゾンよりも酸化力の強い一重項酸素が発生する。この原理を応用し、既存のエアコンなどに追設して畜舎内や病院内の空気中の悪臭成分と鳥インフルエンザなど感染症の原因になる浮遊性病原微生物とを、一重項酸素で酸化分解して死滅させる事が可能になる。
この方法で汚染空気を洗浄して水溶液に溶解させるスクラバーと、マイクロバブル内の酸素を基に色素増感反応によって発生させた一重項酸素で水溶液を消臭・滅菌するカラム、とから成る装置を開発する。
998 植物乳酸菌の産生する抗菌ポリペプチドの高度利用技術開発 的場 康幸 広島大学 山田 一徳 広島大学 本研究では, 汗疹や体臭の原因となるグラム陽性細菌に対し有効な抗菌ポリペプチドを産生する乳酸菌を探索し, かつ, その乳酸菌から抗菌ポリペプチド合成遺伝子を取得する。さらに, 本遺伝子を組み込んだトランスジェニックカイコを用いて,「抗菌シルク」の創出をめざす。特に, 効率的抗菌活性発現のためには, 抗菌ポリペプチド合成遺伝子を絹のフィブロイン層で発現させるべきか, あるいは, セリシン層で発現させるべきかが検討課題となる。
1033 創薬のためのプロテアーゼ阻害剤探索法の開発 辻 明彦 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 プロテアーゼ阻害剤は、抗炎症剤、降圧剤、感染治療薬として利用されているが、ヒトゲノムには、多くの未知プロテアーゼがコードされ、これらのプロテアーゼは創薬の魅力的な対象である。しかし遺伝子からプロテアーゼを発現し、阻害剤開発のために必須の情報である切断特異性について調べるのは非常に困難で、時間がかかる。本プロジェクトでは、血清プロテアーゼインヒビターであるアンチトリプシンの改変体ライブラリーを利用した、敏速簡便なプロテアーゼ切断特異性解析法を開発する。
1051 マイクロサテライトマーカーおよびミトコンドリアSNPsを利用したニッポンバラタナゴの遺伝的同定法の開発 池田 滋 香川大学 福井 次郎 香川大学 マイクロサテライトマーカーおよびミトコンドリアSNPsをマーカーとして利用し,香川県東部のため池をその数少ない生息地とする,絶滅危惧種のニッポンバラタナゴの遺伝的同一性を迅速かつ正確に判定する方法を開発する.鱗1枚からゲノムDNAの分離と増幅を行い,魚体の損傷を抑えるとともに,マーカーはDNAチップ化して,ユーザー(絶滅危惧魚種の研究者や保全を行うNPO,高校理科教師の研究会など)の利便性を高める.
1091 新規海洋細菌を用いた抗腫瘍生理活性色素の生産 榎本 恵一 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 細菌が産生する色素の中には青紫色素ヴィオラセインや赤色色素プロディジオシンのように抗腫瘍作用、原虫に対する抗生作用、免疫抑制活性を示すものがある。しかし、これらの色素を産生する代表的な細菌が病原性をもつため、大量培養による色素の生産は困難であった。本研究では、海水中より分離した安全性の高い新規海洋細菌を用いてこれらの色素の簡便かつ効率的な生産方法を確立する。
1105 キレーター脂質を用いる薬物輸送系の開発 本家 孝一 高知大学 石塚 悟史 高知大学 任意の細胞に薬物を高効率に運搬・導入する基盤技術が求められている。本研究課題では、標的細胞の表面に特異的に結合するリポソームを作製することにより、標的細胞内に薬物を高効率に導入する新技術を開発する。
1118 癌細胞統合シミュレータの開発 倉田 博之 九州工業大学 大矢 伸宏 九州工業大学 癌細胞の多様な情報,すなわち表現型 (臨床知見)・ゲノム・ポストゲノム・遺伝子機能を含むあらゆる階層の情報,をノードとする統合ネットワークモデルを構築し,癌の創薬ターゲット分子を予測するシミュレータを開発する.ここでブレークスルーとなる技術は,複雑な癌細胞ネットワークモデルを簡略化することによって最小要素ネットワークを構築する技術である.
1127 新規バイオプロセスの実用化に向けたシトクロムP450活用システムの開発 一瀬 博文 九州大学 冨田 和弘 科学技術振興機構 シトクロムP450 (P450) は多種多様な化合物への水酸化反応を触媒し、極めて多様性に富んだ生体触媒である。申請者は木材腐朽担子菌の優れた物質変換能とP450機能多様性に着目している。 担子菌P450の有用性は、バイオマス変換・バイオレメディエーション・創薬・化学品合成など様々な分野で注目されており、本研究では、担子菌P450の網羅的機能解析を通じてケミカルプロセスでは困難な反応を可能とするP450を探索する。
1140 生合成酵素を用いたテトラヒドロカンナビノール新規生産システムの開発 田浦 太志 九州大学 山本 英樹 九州大学 大麻の活性成分テトラヒドロカンナビノール(THC)は鎮痛、鎮吐及び抗炎症等の活性を有し、慢性疼痛や多発性硬化症などの神経性難病や緑内障の適用にて米英など諸外国で医薬品として認可されている。本課題では低コスト、高効率で且つ高品質なTHCの生産システムの確立を行う。具体的には、THCの前駆物質THC-acidの生合成酵素の大量発現系の構築、酵素反応効率の向上検討を行ない、これら半合成的アプローチによりTHCの新たな生産システムの確立を目指す。
1150 イネ澱粉枝作り酵素の触媒機構の解明と澱粉工業への有効利用 木村 誠 九州大学 深見 克哉 九州大学 植物はエネルギー源として澱粉を合成し蓄積する。澱粉は人類共通の食糧として利用されているだけでなく、各種医薬、食品、製紙、繊維工業等における主要な原材料としても利用されている。澱粉はブドウ糖がα-1,4グリコシド結合により結合したアミロースとブドウ糖がα-1,6結合により分枝したアミロペクチンから構成され、両ポリマーの含有比により、澱粉の糊化性などの物理的特性が決定される。本申請試験研究では、イネ澱粉アミロペクチン合成酵素・枝作り酵素の基質認識と触媒反応の構造基盤を原子レベルで解明し、食品工業および澱粉工業への有効利用を探る。
1161 迅速・簡単な一塩基多型タイピング方法の開発 奥村 史朗 福岡県工業技術センター 石川 宗晴 科学技術振興機構 遺伝子の一塩基多型(SNP)のタイピング方法について種々検討されているが、現状では高価な測定器や試薬を用いて経験を積んだ分析者が行うことが必要である。本研究では、迅速かつ簡易にSNP のタイピングが可能なシステムの構築をめざし、SNP検出リガンドに特長を持たせて簡易測定できるようにして、検査需要の喚起が行える手法の開発を行う。
1167 肥満研究支援のための脂肪細胞チップの開発 中澤 浩二 北九州市立大学 北井 三正 北九州産業学術推進機構 本課題では、メタボリックシンドロームのような肥満研究のための新しい研究支援ツールとして、脂肪細胞チップの開発を行う。具体的には、マイクロ流路を有する基板上に脂肪細胞がアレイ化された「脂肪細胞チップ」を開発し、脂肪滴の蓄積やアディポカイン分泌などを定量的に評価・解析出来ることを実証する。研究成果を基に機能性食品や医薬品などが肥満に与える効果を評価可能な「細胞チップ」として製品化することを目標とする。
1189 環境調和型バイオポリエステル生産システムの開発 松崎 弘美 熊本県立大学 坂田 敦子 くまもとテクノ産業財団 化学合成プラスチックの多くは分解されないため、様々な環境問題を引き起こしている。そのため微生物由来のバイオポリエステル、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は生分解性プラスチックとして期待されている。PHAの実用化のためには物性面と生産コストの問題を克服する必要があり、これまでに丈夫なPHAの生合成に成功している。本研究では、もう一つの課題であるコスト面を解決するため、生合成関連遺伝子の機能を解明し、遺伝子制御さらには安価バイオマスの利用によって、PHAの効率的生産を行うことを目的とする。
1212 生理活性糖鎖をターゲットとした分子設計ソフトウェアの開発 湯井 敏文 宮崎大学 平井 澄夫 科学技術振興機構 多様な生理活性が期待される分岐状糖鎖分子がとりうる立体配座空間を効率的に探索し、重要配座の予測を目的とした立体配座探索プログラムを開発する。立体配座探索の基本アルゴリズムには遺伝アルゴリズムを採用し、さらに糖鎖の立体化学特性をふまえた適切な探索手続きを考案する。併せて実際の糖鎖配座探索に適用し、適切な探索手順についても検討する。以上の成果から、生理活性糖鎖の分子設計ツールとしての可能性を探る。
1223 電子スピン共鳴法による生体物質の抗酸化能の計量デ−タベ−ス化 中島 暉 宮崎大学 武藤 弘之 宮崎大学 ヒドロキシルラジカル及びスーパーオキシドラジカルは、人体内で発生しうる重要な活性酸素である。これらの不安定なフリーラジカル類は、スピントラップ剤を用いて準安定なフリーラジカル(スピンアダクト)とし、電子スピン共鳴法で計測することができる。抗酸化物質が、これらの活性酸素ラジカルをスピントラップ剤と競争反応的に消去すると、観測できるスピンアダクトの量が減少する。この方法を用いれば、抗酸化物質の抗酸化能を計量することができる。本研究の目的は、この原理により、種々の水溶性及び脂溶性の抗酸化物質について前述した2種類のラジカル消去能を求め、2次元的抗酸化能データベースを作成することである。物質の抗酸化能のデータは、生命科学、食品化学など多くの分野で、ニーズが高く、有用なデータベースが構築できると考えられる。

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 化粧品:8件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
72 ブタ腸内細菌叢による肉質評価法の開発 山内 和律 北海道立畜産試験場 小関 忠雄 北海道立畜産試験場 腸内細菌の16SrDNAにより腸内細菌叢を明らかにし、それらと豚肉の関連を調査して腸内細菌叢による豚肉評価方法を開発する。ホエイなどを利用する養豚など特徴のある養豚に対して腸内細菌叢を基に適切な給与量および給与方法を設定する技術を開発することが本研究の目的である。
164 紫外線遮蔽機能を有する「新規体質顔料」の開発 佐藤 次雄 東北大学 芝山 多香子 東北大学 450 nm 以下の波長の光を吸収可能で、流動性に優れた含水リン酸セリウムの単分散板状ミクロン粒子を水熱法で作成し、紫外線遮蔽能を有する新規体質顔料を開発することを目的とする。具体的には、製造最適条件の検討、薄膜透過スペクトルの測定、試料のすべり摩擦抵抗の測定および官能試験、光照射下における一重項酸素生成特性評価を行う。
262 天然フェノール配糖体に着目した親水性チロシナーゼ阻害剤の創製 二瓶 賢一 宇都宮大学 生田 四郎 宇都宮大学 皮膚や植物組織の褐変はチロシナーゼによる酸化反応に端を発している.従って,この酵素反応の阻害剤は化粧品,アンチエイジング剤及び抗酸化剤などに応用可能である.チロシナーゼの基質に類似するフェノール類は強力な阻害活性を示すことが分かっているが,それらの大半は水に難溶,かつ細胞毒性を有している.そこで本試験では植物中の水溶性フェノール配糖体に着目し,親水性チロシナーゼ阻害剤の開発を目指す.
265 魚類由来コラーゲン関連物質による機能性材料の創製 飯島 道弘 小山工業高等専門学校 山下 信 小山工業高等専門学校 食品から化粧品・医学に至るまで幅広い分野で用いられているコラーゲンは、その大部分を占めていた牛由来のものが敬遠され、魚類や他の原料への変換が迫られるようになってきている。しかし、これまで、魚類由来のものは熱変性温度が低いことから利用面での制約があった。本研究では、特に熱変性温度が高い特定の魚類由来コラーゲンに注目し、その誘導体の抽出・精製方法の最適化と機能化、及び化粧品用やサプリメント材料としての有効性を把握し、機能性材料としての幅広い製品展開を図る。
323 高圧力処理による香水の熟成期間短縮技術の研究開発 清水 昭夫 創価大学 中江 博之 タマティーエルオー 一般に香水は、数十種類から数百種類の香料成分を調合してつくられるが、調合後すぐに出荷されるのではなく、半年から1年以上冷暗所で静置して自然熟成させる必要がある。そこで、高圧力処理により熟成を促進し、わずか1日程度で熟成させる技術を開発する。また、そのメカニズムの解明を試みる。この技術により新製品開発時間や香水製造時間の大幅な短縮、熟成時に必要なエネルギーや保管場所を削減することが期待される。
355 加水分解ケラチン含有高湿潤フェイスマスクの創製 野村 義宏 東京農工大学 平田 美智子 東京農工大学 羽毛の主要タンパク質であるケラチンは、フェザーミールとして利用されてきたが、環境問題ならびに設備コストの問題から焼却処分されている。その利用用途の開発として、より付加価値の高い化粧品用基材としての可能性に関し研究を進める。すなわち、加水分解ケラチンを基材とした湿潤性のゲルを作製し、美顔目的のフェイスマスクを試作する。
508 ヒアルロン酸合成促進性天然化合物の皮膚機能性向上に関する応用研究 板野 直樹 信州大学 篠塚 由紀 信州TLO ヒアルロン酸合成促進活性の認められた植物性天然化合物を用いて、皮膚組織におけるヒアルロン酸合成に対する活性、皮膚の機能性改善と保水性向上作用を実証する。
ヒアルロン酸産生促進効果は動物試験により実証する。ヒト皮膚への塗布後、パッチテストによる皮膚ヒアルロン酸含量の測定と皮膚水分含量測定そして弾力性試験を実施し、皮膚組織の機能性と保水性を評価する。本技術を確立することで化粧品などへの利用が可能となる。
1241 高分子−シリカ複合ナノ粒子の分散安定性と物質固定化評価 山元 和哉 鹿児島大学 中村 恵造 鹿児島大学 新規な固定化処理法である静水圧処理により高分子-シリカ複合体を調製し、化粧品添加物およびトナー・記録材料の調製を目指す。モデル添加物として既に市販材料として用いられているポリビニルアルコールおよびシリカから構成されるナノレベルの複合体および表面物性が制御可能な機能性複合体の調製を検討する。得られた複合体の分散安定性、モデル物質の担持能を評価する。

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