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平成19年度シーズ発掘試験 研究概要一覧(化学分野)


 無機・セラミック:37件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
31 室温乾燥型透明二酸化チタン膜の作製技術の開発と応用 古崎 毅 苫小牧工業高等専門学校 東藤 勇 苫小牧工業高等専門学校 本研究者は,ゾルゲル法の技術を応用して透光性に優れ,光触媒特性を有する二酸化チタン薄膜の作製方法を既に開発した(特許出願済み)。本研究では,その薄膜を外壁タイル等にコーティングしてその自浄効果を経時観察し,実用化に向けた研究開発を行う。また,申請者は,同様の方法により可視光照射により光触媒を有する二酸化チタン微粒子の合成に成功しており,それを用いた薄膜化技術の開発も併せて行う。
41 カーボンナノファイバーの高効率製造システムの実用化研究 向井 紳 北海道大学 佐藤 完二 科学技術振興機構 申請者らは、ラボスケールの装置を用いて炭化水素と有機金属からカーボンナノファイバー(CNF)を製造する際に、原料を液パルス状で装置の高温部に接触するように間欠導入するという簡便な方法でCNFの高効率製造が可能であることを見出している。本研究は液パルスインジェクション法と名付けたこの方法によるCNFの高効率製造システムの実用化を目的に実施する。具体的には高効率製造を達成しているラボスケールの装置をスケールアップし、工業スケールで運転する場合の重要因子を明らかにする。
91 青函排出泥を活用した電磁波シールドセラミックスの開発 伊藤 英信 北見工業大学 二俣 正美 北見工業大学 青函トンネルの排水沈殿槽に堆積する「茶泥」と呼ばれる廃棄物は主成分として酸化鉄と酸化マンガンを含み、1000℃以上で熱処理をするとマンガンフェライトが生成する。本研究では電磁波吸収機能を有する建材の製造を目的として、茶泥と道内産粘土と複合したフェライト組成傾斜型セラミックスを試作して電磁波シールド効果の高い組成(組合わせ)、焼結法を明らかにする。
111 化学気相析出法による酸化チタン前駆体の合成と高性能光触媒への応用 長谷川 章 八戸工業高等専門学校 小野 堯之 宮城工業高等専門学校 酸化チタンに代表される光触媒は、強力な酸化作用を利用して悪臭の分解、抗菌、防汚など様々な用途へ応用されている。なかでも病院や老人保健施設における悪臭除去や殺菌に対する需要は高い。光触媒の応用で問題となるのは、1)光触媒の固定化、2)分解速度などが挙げられる。本課題では、代表研究者らが開発した「角柱状酸化チタン」を化学気相合成法の手法により微細化して高表面積かつ密着性に優れた高性能光触媒の開発を目指すものである。
160 次世代フラットパネルディスプレイ用EL蛍光体BaAl2S4:Euの溶液法による合成プロセス開発 ペトリキン ヴァレリー 東北大学 熊谷 望 東北大学 BaAl2S4:Eu蛍光体は、TDEL(厚膜誘電体無機EL)平面 ディスプレイ開発におけるキーマテリアルである。金属硫化物間での固相反応は、BaAl2S4:Euの一般的な合成法である。従来法ではEuドーパントの均一な分散が困難であり、高価な出発原料BaCO3が用いられる。本提案の目標は、ELディスプレイ製造用スパッタ ターゲットに用いるBaAl2S4:Euの高品質粉末の工業化に 有望な、水系溶液プロセスによる新規合成法を開発する。
175 酸化亜鉛粒子膜の精密構造制御と高次機能化 殷 しゅう 東北大学 平塚 洋一 東北大学 溶液中での自己組織化反応を利用し、基板上にマイクロメートルレベルの酸化亜鉛柱状粒子を所定方向に成長、或いは配列させた粒子膜を直接溶液中で合成し、さらに粒子膜の表面構造及び形態をナノレベルで制御し、従来の方法で得られない発達した微細構造を有する高機能性無機酸化物粒子膜を合成する。また、均一な粒子膜合成条件の最適化およびスケールアップを行い、酸化亜鉛の形態に依存する新しい機能性について検証を行う。
267 結晶質無機イオン交換体からのナノサイズ板状蛍光体の作製 松本 泰治 栃木県産業技術センター 湯澤 修孝 栃木県産業技術センター 次世代蛍光体には、高発光効率、低速電子線励起等の特性が要求されていることからナノサイズの微粒子化が求められている。蛍光体のナノサイズ化は、表面積の増大による発光強度の減少が避けられない。この解決法として、本研究では、厚み方向が100nm以下のナノサイズである六角板状ゼオライトに、発光中心となる希土類元素としてテルビウムをイオン交換法で導入することにより、ナノサイズ緑色蛍光体を作製する。
344 破骨細胞応答型薬物放出材料の開発 吉岡 朋彦 東京工業大学 金古 次雄 東京工業大学 本申請では、骨の主成分に近いリン酸カルシウムを用いて、破骨細胞が関わる難治性骨疾患(転移性骨腫瘍・ガン)の治療に有効な薬物送達(DDS)担体の開発を目標とする。そのため、骨の代謝・免疫系のバランスを維持する薬剤を選定して上記材料に複合化する。
350 静電噴霧-熱フィラメント法を用いたダイヤモンド単結晶高速育成技術 松嶋 雄太 東京農工大学 田中 公 東京農工大学 ダイヤモンドは電気的絶縁性に優れ、高い熱伝導率、高硬度など、他の材料にないさまざまな有用な性質を有している。ダイヤモンド単結晶の高速成長技術の開発は、ダイヤモンドを工業材料として活用する道を広げるものである。本申請課題では、代表研究者がこれまで独自に開発してきた静電噴霧-熱フィラメント装置に改良を加え、毎時百ミクロンのダイヤモンド単結晶の高速成長を実現する。
423 高磁場と反応焼結法を用いた高性能非鉛圧電デバイスの開発 田中 諭 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 超伝導磁石を用いた高磁場空間で作製した酸化ビスマス粒子配向体に、金属酸化物を添加させて反応焼結を起こし、非鉛系の高性能圧電セラミックスとする技術を開発する。本研究では、焼結時の粒子配向体中への金属イオンの拡散機構を解明し制御することで、高い配向構造を維持し、かつ高密度の圧電セラミックスを得る。単結晶と同等の特性を達成することを目標とする。これらは鉛系圧電体に代わる高温作動高性能圧電デバイスへの応用が可能である。
429 原子・イオンレベルでの非破壊局所欠陥解析手法の開発と応用 黒木 雄一郎 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 様々な無機材料における多種多様な欠陥は、その物性(たとえば電気伝導度や機械的強度)に大きな影響を及ぼすことが知られている。しかし、その挙動については種々のメカニズムが存在しており、材料の特性改善のための指針を得るために体系化が強く望まれている。特に、イオン・原子空孔、置換、進入といったナノ領域での欠陥種、濃度、分布を光による非破壊的手法で詳細に調査することは、材料の特性向上に極めて効果的な分析手法である。本試験研究では、主にレーザーを用いた無機材料の欠陥解析手法を開発、応用することを目的とする。
482 衝突粉砕法による均質微粒化二次電池材料の開発 米沢 晋 福井大学 奥野 信男 福井大学 リチウム二次電池の電極は微粒子の集合体であるため、その粒子サイズや形態、表面状態のばらつきが性能に大きな影響を与えている。このことは需要の増加と昨今高度な安全性を要求される、高容量二次電池の精密生産プロセス開発において解決すべき緊急の課題である。本課題においては、衝突粉砕によりこれらの二次電池電極材料類の微細化と均一化を同時に試み、より安全かつ高性能な電極材料の創出を行う。
507 高効率LD励起固体レーザー材料の大型単結晶育成技術の開発 田中 功 山梨大学 鈴木 拓雄 山梨大学 本提案は、FZ法による単結晶育成において、加熱ランプによる非等方的加熱により成長方向などを制御して、大型単結晶育成が困難である結晶も作成可能である結晶育成技術である。本計画では、結晶成長時に特定の結晶学的方向に成長が卓越するため、大型単結晶育成が困難であったレーザー材料酸化物に適用し、加熱方法により結晶形状の扁平度を制御することで1/2 インチ以上の大口径で均一組成の大型単結晶育成に取り組む。
520 フラックス法による高性能光活性単結晶薄膜電極の開発 手嶋 勝弥 信州大学 藤井 國久 信州大学 本提案は、フラックス法により基板上に薄膜単結晶を形成する結晶育成法を応用して、色素増感太陽電池に好適な組成を持つ光活性単結晶薄膜を形成し、その複合化基板を光活性電極として電池としての評価を行うものである。計画では、「各種単結晶薄膜作成と触媒特性評価」、「導電性基板上への薄膜形成条件検討(特に低温化)」、「新薄膜により形成した太陽電池の評価」、の3段階で上記提案について検討する。
521 透明な相分離ガラスを母材とした高輝度蛍光体の開発 樽田 誠一 信州大学 藤井 國久 信州大学 本提案は、Euを添加し、微細なドロップレット相が析出した相分離ガラスが赤色で発光することを利用したガラスを母材とした蛍光体に関するものである。本ガラス蛍光体は、従来の赤色蛍光剤より合成が容易であり、添加剤の自由度が高く、透明であるなど有利な点が多い。白色発光ダイオードへの利用を想定して、本検討では、より長波長での強い発光となるように、添加剤、相分離構造の状態を変化させ、最適化をはかる。
546 ナノ複合粒子の準安定相化を利用する排ガス無害化用セラミックスの開発 小澤 正邦 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 無害化処理が必要であるベンゼン、トルエンなど芳香族揮発性有機化合物(VOC)や各種燃焼排ガスの浄化に有効なセラミックス触媒を提供する。貴金属類の使用しない全セラミックス化をめざし、低廉なVOC浄化触媒としてナノ複合粒子の準安定相を利用した排ガス処理用セラミックスを開発する。本触媒はセラミックスとして成形、焼成が可能であるため、各種形状の全セラミックス型VOC浄化触媒部材化が可能となる。
577 フレキシブル色素増感太陽電池用酸化チタン多孔膜の低温成膜技術 加藤 一徳 愛知県産業技術研究所 深谷 英世 愛知県産業技術研究所 フレキシブル色素増感太陽電池の実用化には負極の酸化チタン多孔膜を樹脂基板上に低温で成膜する必要がある。ナノサイズの酸化チタン微粒子を用いた電気泳動法により多孔膜を成膜後、「無電解析出法」および「ゾルゲル法」を併用してこの膜内に新たに酸化チタンを析出させることにより微粒子が相互に接合した多孔膜に改質する。膜の微構造、光電変換特性などから成膜および膜改質条件を最適化し、高光電変換効率のフレキシブル太陽電池を目指す。
580 新規リン酸系プロトン導電体を使用した中温作動燃料電池の開発 冨田 衷子 産業技術総合研究所 亀山 哲也 産業技術総合研究所 In3+ドープのリン酸第二スズ(Sn0.9In0.1P2O7)は、150から300℃の中温・無加湿条件で高いプロトン導電率(約0.2S/cm)を示す。本研究では、このSn0.9In0.1P2O7を電解質として使用することで中温・無加湿条件で作動する燃料電池を開発する。中温作動燃料電池の優位性を実証するために、無加湿条件や一酸化炭素含有燃料中での安定性を実証し、高性能化および耐久性向上のために電解質の膜化を行う。さらに白金代替電極触媒の探索を行う。
589 撥水性と光触媒活性を併せ持つ高機能表面の設計と性能評価 松田 厚範 豊橋技術科学大学 遠藤 一明 豊橋キャンパスイノベーション 本課題では、ゾル‐ゲル法で作製した種々の有機官能基Rを有するRSiO3/2-TiO2系無機−有機ハイブリッド透明膜に選択的に紫外光照射を行なってSi-C結合を開裂させ、さらに温水処理を行なうことによって光照射部分のみにアナターゼ微結晶を析出させる技術の開発を行う。得られるハイブリッド膜は、有機官能基Rに由来する撥水などの機能とアナターゼ微結晶由来の光触媒・親水性などの機能を併せ持つ高機能表面であり、セルフクリーニング、印刷など様々な分野への応用が期待される。
605 圧電アクチュエータ用鉛フリー積層薄膜の開発 柿本 健一 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 現行の圧電材料の多くには人体に有害となる鉛を含有しているが、これを排除するための代替材料技術が未だ確立されていない。本研究では環境と調和する循環型社会の実現のために、代替が困難と考えられている圧電体薄膜の鉛フリー化を目的にした材料開発研究を行う。アルカリニオブ酸系金属アルコキシドを主原料にして、化学溶液堆積(CSD)法によってシリコン基板上に積層薄膜を精密合成するプロセス開発とその特性評価を実施する。
617 金属ナノ粒子の高純度合成法の開発 岡崎 健一 名古屋大学 大森 茂嘉 名古屋産業科学研究所 液相化学合成法では、均一なサイズの金属ナノ粒子を大量に得ることができるが、前駆体として用いた化学種の分解生成物が共存する。そのため得られた粒子をそのまま触媒として利用することはあまり適切ではない。そこで、本研究では、未反応の前駆体や副生成物が生じない新規ナノ粒子合成法を開発する。具体的には、蒸気圧の極めて低い液体に、金属を真空蒸着することによって、バルク材料から直接的に金属あるいは合金のナノ粒子を作製するとともに、そのサイズ分布制御法を確立する。
619 マイクロエレクトロメカニカルシステムデバイス用非鉛系圧電体薄膜の開発 坂本 渉 名古屋大学 大森 茂嘉 名古屋産業科学研究所 本試験研究では、環境に優しい簡便かつ低コストな化学溶液法により、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)デバイス用非鉛系圧電体薄膜を開発し、発現する諸特性を評価して実用化への問題点と対策を明らかにする。ここでは、望む機能を達成するために重要な非鉛圧電体組成を有する前駆体溶液設計、実用化を見据えた基板上への直接作製および半導体プロセスに適応可能な加熱処理条件など作製条件の最適化、さらに圧電変位量向上のための結晶成長方位制御の達成も目指す。
633 高硬度で親油性の高いコーティング膜の低温合成技術 田邊 靖博 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 複雑形状を有する可動部材、あるいは耐熱樹脂へのコーティングを可能にする、硬くて高い親油性を有する高性能な低摩擦・低摩耗コーティング膜を溶液から低温で簡便かつ省エネルギーなプロセスで合成する。本プロセスの確立と材料の創出は、輸送機器のエネルギー効率向上、耐熱樹脂部材の耐久性向上、さらには機械システムの部材軽量化による省エネルギーに大きな貢献が期待できる。
638 大型複合セラミックの無焼結・ネットシェイプ成形 小橋 眞 名古屋大学 近藤 良治 名古屋大学 現用セラミックス部材の製造方法には高温が必要であるが、本研究では、低温での大型部材の合成と形状付与を同時に可能にする新たな製造方法の実用化について検討するものである。反応によりセラミックを化学合成する原料粉末を充填した精密鋳型中に、溶融金属を流し込み(無加圧浸透充填)、その後のin situ反応を利用して大型セラミックを無焼結でネットシェイプ合成する新しいプロセス(反応浸透合成法)を開発する。
689 ステイン法によるガラスのフルカラー着色のための基礎的研究 角野 広平 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 ステイン法とは、銀や銅の無機化合物を含むペースト(ステイン)をガラスに塗布し、熱処理することによって、これらのイオンをガラス表面内に導入し、ガラスそのものの表面付近を着色する技術である。本研究は、フルカラー着色の実現を最終目標としており、そのために、本課題では、ガラスの組成、溶融条件と発色との関係について調査し、同じガラス基板上で、三原色を同時に発色させるための基礎技術の確立を目指す。
703 高付加価値を有する新規鉄系天目釉薬の開発 橋田 章三 京都市産業技術研究所 伊藤 省二 科学技術振興機構 天目釉に代表される不安定な釉薬に的を絞って、色調・質感などの付加価値が高く、かつ安定で、再現性の良い、実用化が可能な、従来の伝統技術だけでは実現できない新規の鉄系天目釉薬の開発を目指す。本研究は、当センターが保有する50万テストピースの釉薬およびデータを基に、鉄系釉薬の一種である青磁釉や禾目天目に析出する結晶の発現機構や不安定要因を明らかにすることで新規鉄系天目釉薬を開発するものである。
791 酸化物ナノワイヤ構造を用いた不揮発性メモリ素子の開発 柳田 剛 大阪大学 武井 廣見 科学技術振興機構 ボトムアップ的に作製されるナノ領域10nm以下の酸化物ナノワイヤをテンプレートとした新規ナノへテロ構造を高温プロセスで作製し、作製されたヘテロナノワイヤをシリコン基板上の電極間に低温プロセスでポジショニングすることにより、従来のリソグラフィー微細化限界を遥かに凌駕したナノ領域10nm以下での高集積化が可能となる遷移金属酸化物を用いた不揮発性メモリ素子を実現する。
834 高気孔率・高強度を有する炭化ケイ素(SiC)多孔体の新規合成と自動車用セラミックガスタービン燃焼触媒担体の開発 間渕 博 大阪府立大学 武井 廣見 科学技術振興機構 自動車用セラミックガスタービン(CGT)は燃費の大幅な低減と、多種類の燃料が使用できることで注目されている。しかし、その燃焼条件は高温、高圧となるためNOx排出量が多く、このために低NOx化を実現する高度な触媒燃焼技術の開発が必須である。本課題では、超高温でも使用可能なセラミックス材料である炭化ケイ素(SiC)に着目し、申請者らが新規に開発した化学気相反応法を用いた合成プロセスにより、高気孔率・高強度を有するSiC多孔体を作製し、これらを自動車用CGTの燃焼触媒担体に応用するための試験研究を行う。
1026 同一成分で赤から黄・緑、青へと変化する新規酸窒化物顔料の開発と応用 森賀 俊広 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 紫外光で応答する光触媒として研究が進められている酸化チタンと酸化ランタンを組み合わせ、酸素の一部を窒素で置き換えたペロブスカイト型酸窒化物LaTiO2Nを用い、鮮やかな色あいを呈する原色系(赤・黄・緑および青)の無機顔料を完成させることを目的とする。この酸窒化物の利点は、実用化し大量生産する際に、原材料は全く変えることなく原材料と反応させるガスの流量を変化させるだけでその呈色を変えることができ、原料調達や生産・リサイクルに対するコストダウンが図れる点にある。
1069 耐久性に優れた軽量陶器瓦の研究開発 菅 雅彦 愛媛県窯業試験場 安岡 史朗 愛媛県窯業試験場 阪神淡路大震災以降、防災瓦の開発が進んでいるが、近年は屋根瓦の軽量化が主流になっている。陶器瓦は、屋根材のなかでも耐久性が高いことから、シェアの50%以上を占めているが、その軽量化は、原料土の微粉砕による強度向上のみで行っているため、最軽量品で110kg/坪程度のものしかなく、金属屋根や化粧スレートに匹敵するものは開発されていない。これまでの手法では、陶器瓦のこれ以上の軽量化は困難な状況にあるため、繊維強化セラミックスの手法を新たに適用することで、陶器瓦の強度を従来の瓦に比べ1.5倍程度まで向上させ、さらに、厚みを薄くすることが可能な軽量瓦の開発を行う。
1088 結晶配向セラミックスの簡易作製技術の確立 中山 享 新居浜工業高等専門学校 村上 哲也 東予産業創造センター 多結晶体であるセラミックスの場合は一般に1つ1つの単結晶粒子をその特定の結晶軸に並べることはできず、その優れた特性は消失してしまう。セラミックスにおいても1つ1つの単結晶粒子を特定の結晶軸に並べる技術はあるものの、大掛かりで高価格な装置が必要であり大形状のセラミックスを作製することが非常に難しい。また、量産性にも大きな問題を抱えている。本応募課題では、低価格で簡易な装置で結晶配向セラミックスを量産できる技術に関するものである。
1153 生親和性の評価における炭素ナノ物質の表面構造及びサイズ制御技術の開発 尹 聖昊 九州大学 古川 勝彦 九州大学 炭素材料は形状や表面等の構造によって機能が決定され、その制御技術が最も重要であることから、炭素ナノ物質の人体への影響においても微細構造やサイズが大きく関わっていると推測できる。本課題では、これまで蓄積してきたカーボンナノファイバーの合成及び構造の制御技術に基づき、多様な炭素ナノ繊維及び粒子を調製し、表面、形状、サイズ、繊維型と粒子型の四項目で数種の比較群として分類、確保する。これらの炭素ナノ物質の細胞への影響及び毒性を精密に評価し、さらにドラッグデリバリーシステムの開発等積極的な利用法を検討することを目標とする。
1159 有機-無機複合体を前駆体として用いる高結晶性酸化物ナノ粒子の調製 木田 徹也 九州大学 安部 英一 産業技術総合研究所 高結晶性かつ球状で粒度分布が狭い酸化物ナノ粒子は種々の機能性デバイスの基盤材料として期待されている。本研究では、有機無機ハイブリッド複合体を前駆体として用いて、高沸点有機溶媒中で複合体を熱分解させることによって高品質なナノ粒子を調製する手法の確立を目指す。さらに調製したナノ粒子を用いてメソポーラスなガス感応膜を作製し、揮発性有機化合物(VOC)に対して高感度なガスセンサの実現を図る。
1168 籾殻からのゼオライト/多孔質籾殻炭の水熱合成と新規イオン交換材料への応用 勝木 宏昭 佐賀県窯業技術センター 安田 誠二 佐賀県地域産業支援センター 農産廃棄物である籾殻を部分炭素化処理して製造されているくん炭は多孔質炭素材であり、土壌改良剤やガス吸着剤として利用されているが、イオン交換能の向上や多孔質特性の改善が求められている。本研究では、水熱合成法により籾殻炭の表面をゼオライト化して農作物の生育に必要な陽イオン交換能、及び土壌微生物の棲みかとなるミクロ・メソ多孔体骨格を持つ複合多孔体を開発することを目的とし、未利用バイオマスの新規農業用機能性資材としての活用を目指す。
1181 メソポーラスシリカの常圧・低温・迅速合成法の開発 森口 勇 長崎大学 高橋 栄功 長崎県産業振興財団 研究者等は高規則性ヘキサゴナル構造を有するメソポーラスシリカを、常圧・低温での数分間の反応で調製できる方法を見出した。本合成法の特長は、テンプレートの使用量が少なくかつリサイクルできること、安価なケイ酸Na粉末も原料に利用できること、操作が極めて簡便で短時間合成できることなどであり、従来法より格段に低コスト化できる。本方法を工業用プロセスに展開し、メソポーラスシリカを利用した排ガス・排水処理への応用を具体化することを目標に、吸着剤としてのゲスト選択性向上、細孔径の精密制御、安定性向上、耐水性付与を集中的に検討する。
1196 排ガス浄化に有効な新規塩基性多孔体の開発 池上 啓太 熊本大学 水野 優子 熊本大学 高規則性シリカ系メソ多孔体骨格内に塩基性酸化物クラスタを形成し、そのヘテロ接合面に発現する塩基点および細孔構造に基づく特異な吸着特性との協奏効果により、有害排気ガス中に含まれる酸性ガス(SOx, NOx, CO2)を高速吸着かつ無害化する高機能性排ガス浄化触媒を開発する。塩基性酸化物の局所構造および化学組成を最適化するとともに、耐熱性に優れた材料設計を展開することによって、室温から800℃程度の高温に至るまでの幅広い範囲で作動可能な排ガス浄化技術の構築を目指す。
1214 高比表面積水酸化ニッケルの新規調製法の開発と二次電池への応用 酒井 剛 宮崎大学 石川 正樹 宮崎大学 高出力二次電池の正極材料には主に水酸化ニッケルが用いられている。二次電池のさらなる高性能化・高エネルギー密度化には、水酸化ニッケルの特性向上が必要であり、そのためには、水酸化ニッケルの高比表面積化、高密度化、および結晶性の向上等が必要となる。申請者は、従来の6〜20倍に相当する200 m2/g以上の高比表面積水酸化ニッケルが合成できることを最近見出した。本研究では、高比表面積を有する水酸化ニッケルの製造方法を確立するとともに、水酸化ニッケルの微細構造、細孔容積等を調べ、さらにナノ構造を制御する手法を開発する。

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 有機化学:43件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
27 新規芳香族アミノ酸修飾反応を用いた固定化ペプチドライブラリーの生理活性スクリーニング法の開発 橋本 誠 帯広畜産大学 田中 一郎 帯広畜産大学 新規芳香族アミノ酸特異的修飾反応による誘導体化を確立する事により、新しいコンセプトでのペプチド固定化法を開発し、生理活性ペプチドスクリーニングへの応用をはかる。
105 ブルー相を用いた高速・高コントラスト表示媒体の開発 吉澤 篤 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 ブルー相III(BPIII)において電界誘起BPIII-ネマチック(N)相転移により明暗表示をする液晶表示媒体を開発する。本媒体はラビングプロセスを必要とせずに高いコントラストと高速応答が得られることを特徴とする。BPIIIはnm オーダーではねじれネマチック構造を持つが、光の波長(μm)オーダーでは等方性という性質を持つ。電圧無印可のBPIII では等方性で良好な黒表示が得られ、電圧印可でネマチック相が誘起され、均一な明表示が得られる。
128 ウルトラクリーン潤滑剤の開発 南 一郎 岩手大学 今井 潤 岩手大学 新たな液体として注目されているイオン液体は、@熱・酸化安定性に優れA難燃性Bほとんど蒸発しないC熱容量が大きい、などの潤滑油としてふさわしい性質を備えている。本研究では潤滑性と分子構造の関係を解析し、特に清浄性が要求される環境下で使用する機器をターゲットとした潤滑剤分子を設計する。さらに実験室レベルでの評価とメカニズム解析を通して既存油と比べた優位性を検討する。
178 抗ウイルス薬開発を目的とする新規双環性ヌクレオシド誘導体の合成 吉村 祐一 東北薬科大学 田村 光彦 科学技術振興機構 AIDS治療に使用される抗HIV薬には、薬剤耐性の問題が常に存在する。そのため、今なお新規抗HIV薬の開発は緊急を要する課題といえる。本課題は、抗HIV薬の内、核酸系逆転写酵素阻害剤に注目し、同阻害剤の新規誘導体の開発を目的とする。ラミブジンは代表的な核酸系逆転写酵素阻害剤であるが、このラミブジンをもとに新規双環性イソヌクレオシドを設計し、その合成とHIVを含む抗ウィルス活性の評価を行う。
247 金属内包フラーレンに基づく機能性センサーの開発 赤阪 健 筑波大学 藤田 尚徳 筑波大学 フラーレンの内部に常磁性金属原子を閉じ込めた金属内包フラーレンは、金属原子からフラーレンケージへの電子移動によって通常の空フラーレンに比べ電子受容能、供与能が非常に優れていると共に、磁性化反磁性化も非常に容易であることから大変興味深い化合物として注目されている。本研究では金属内包フラーレンが有する、非常に優れた電子的性質と磁気特性に着目し、さらに有機ドナー分子との超分子系を構築することによって外部環境応答型の機能性センサーへの展開を目指す。
295 自己組織現象を利用した分子センサーシステムの開発と化学検査への適用 久保 由治 埼玉大学 望月 弘章 埼玉大学 化学センサーは,未知の自然の仕組みを知る強力な手段であるばかりでなく,環境分析を通じてその保全技術に寄与する。本研究では,その開発にナノ構造体構築法として注目されている「自己組織化」を適用する。すなわち,化学センサーに必要な被検査物質認識部位と光学的応答部位をそれぞれ分子部品で提供し,被検査物質が添加されるとセンサーとして組織化・機能発現が達成されるシステムの開発をすすめる。
301 新規イソフラボンを基盤とする癌細胞選択的アポトーシス誘導物質の開発 石橋 正己 千葉大学 石塚 勝巳 千葉県産業振興センター マメ科植物の一種より単離した新規イソフラボン成分ブランジシアニンA,B及びCは癌細胞選択的にアポトーシスを誘導するデス受容体の発現を亢進した.本研究では,その新規イソフラボン成分のアポトーシス誘導作用に関して詳細な定量的評価,作用機序解明を行い,必要に応じてイソフラボン構造の化学的改変を行うことにより,最も有用な小分子化合物を創製する.それを通じて,癌治療薬等の新しい医薬品候補化合物を提案する.
305 エイズ治療薬等材料創成の大幅な低コスト化の実現を目指した複素環芳香族化合物のテーラメード合成法の開発 吉田 和弘 千葉大学 平 隆 臣 千葉大学 限られた地球上の資源をより有効に活用し、人類の福祉に貢献する多くの有用物質を供給するためには、芳香族化合物の洗練された合成手法の開発が必要である。特に、複素環芳香族化合物は、先端材料物質や工業薬品、医薬品等における重要物質として幅広く用いられており、これらの真に有用な合成法の開発が強く望まれている。本研究計画の目的は、オレフィンメタセシス反応を利用する全く新しいタイプの複素環芳香族化合物合成法を開発することである。
322 夾雑イオンに影響されない含フッ素亜鉛イオン蛍光プローブ試薬の研究開発 田中 潔 成蹊大学 枝村 一弥 東京都 亜鉛イオン(Zn2+)はDNAの転写調節などに対して重要な役割を演じている。これまでに開発されているZn2+の蛍光プローブ試薬は、Ca2+等の夾雑イオンの影響を受けやすい。そこで本研究では、夾雑イオンに影響されないZn2+蛍光プローブ試薬を開発することを目的とした。具体的には、Zn2+の捕捉部位にフッ素原子を導入した含フッ素蛍光プローブを合成し、夾雑イオン下でのZn2+の特異的捕捉性を検討する。
332 蛍光性π拡張複素環化合物の開発と材料化 平野 誉 電気通信大学 鈴木 基子 キャンパスクリエイト 我々は簡便な縮合反応を用いて、ピラジノイミダゾール(PI)の縮環したヘキサアザアントラセン(HAA)化合物が合成できることを見出した。これらは溶液中で優れた蛍光性を示す化合物である。本研究では、PI-HAA基本構造に、薄膜状態での蛍光性、導電性、安定性が発現できるよう化学修飾を施した新規誘導体の合成を行い、これらの化合物を用いて有機EL素子(OLED)に応用可能な蛍光・導電性薄膜材料の開発を目指す。
362 多成分縮合反応による強力な抗乳がん剤、抗骨粗鬆治療薬の創製 椎名 勇 東京理科大学 加藤 篤行 東京理科大学 天然ステロイド系ホルモンに類似したトリアリールブテン類はエストロゲン拮抗剤として働き、乳がんや骨粗鬆症の治療薬として広く利用されている。我々は新規3成分カップリング反応を開発してこれらの短工程供給を可能とする優れた手段を明らかとし、次世代の骨粗鬆症治療薬として有望視されているラソフォキシフェンの全合成法を明らかとしている。本研究では上述の既知化合物、あるいはこれらから派生したより高活性なタモキシフェン類縁体合成のプロセス化を図り、大規模かつ生産性の高い物質供給法の確立、ならびに新薬開発のシーズ発掘を試みる。
366 酵素機能を有する新規酸化剤系の創製と未利用天然資源への高度利用 飯田 隆 日本大学 志村 夏美 日本大学 本応募課題は、天然チトクロムP-450の酵素機能に限りなく類似した新規バイオミメティク酸化剤(金属ポルフィリン錯体触媒 / 酸素ドナー系酸化剤)を開発し、それを利用して脂溶性の未利用有機天然資源(ステロイド,テルペノイド)から水溶性の有用生理活性物質の産生を企てるものである。具体的にはコレステロールを用いてスクアラミンの合成を計画している。本計画が達成されれば、これまで多段階ルートを経なければ合成できなかった様々な医薬品の短段階合成が可能になり、これら医薬の低コスト化につながるものと考えている。
537 新規マンニッヒ反応を基盤とするホルムアルデヒド−フリー合成プロセスの開発 船曳 一正 岐阜大学 荒賀 年美 岐阜大学 ホルムアルデヒドはPRTR対象物質の中でも最優先的に削減すべきリスク削減対象物質であるため、これを用いない医薬品合成プロセスの開発は重要な課題である。本研究では、安価で容易に入手できる含ハロメチルアルデヒド誘導体とエナミンを用い、パーキンソン病の抗コリン薬のひとつである塩酸トリヘキシフェニジル(アーテン?、セドリーナ?)の中間体を一挙に合成できるホルムアルデヒド−フリーな新規合成プロセスを開拓する。
545 固体基質を用いる無溶媒接触還元反応 門口 泰也 岐阜薬科大学 大森 茂嘉 名古屋産業科学研究所 最近我々の研究室では、固体の基質(アルキン)を白金族触媒(固体)と共に水素雰囲気下撹拌するのみで、還元が効率的に進行し固体の生成物(アルカン)が定量的に得られる、いわゆる固相(基質)−固相(触媒)−気相(水素)間の接触還元を発見した。本研究では、この無溶媒還元の一般性を確立するとともに、これまで断念されてきた難溶性基質の還元にも適用する。廃溶媒を出さないクリーンかつ低コストの工業プロセス構築が望まれており、本還元法の適用に期待が持たれる。
549 低コストで簡便な手法による芳香族化合物の直接酸化製造法の開発 押川 達夫 沼津工業高等専門学校 小野 義光 浜松科学技術研究振興会 本研究は光触媒を用いた芳香族化合物(アルキルベンゼン類)の直接酸化よりカルボニル化合物やエポキシド化合物を化学選択的に製造するというものである。研究シーズである「低圧水銀灯と光触媒を組みああわせた水溶液酸化システム」を元に、光源を紫外線LED化することで低エネルギーコスト化を図り、ガラス管内面に光触媒を担持させることでフロー系とする、システム装置の開発を行う。ターゲットはアルキルベンゼン系とする。
552 化学物質に応答し可逆的にゾル-ゲル転移する親水性低分子ゲル化剤の開発 山中 正道 静岡大学 粟田 正志 静岡大学 本試験研究は、水系環境でのゲル化に焦点を絞り、アニオン応答型低分子ヒドロゲル化剤の開発を行う。低分子オルガノゲル化剤の化学構造に、親水性官能基としてオリゴエーテル鎖、糖鎖を導入した分子を、有機合成化学の手法を用いて合成する。合成した化合物群の、水および各種溶媒における低分子ゲル化剤としての機能を評価し、さらにゲル化した系においては、アニオン応答型ゾル−ゲル相転移について検証を行う。
618 非金属系超原子化ヨウ素化合物を触媒に用いる高効率環境低負荷型アルコール酸化反応の開発と実用的応用 ウヤヌク ムハメット 名古屋大学 大森 茂嘉 名古屋産業科学研究所 環境に優しい有機分子酸化剤である超原子価ヨウ素が触媒的に作用する真に有効な酸化反応の開発を行う。まず、既存の超原子価ヨウ素化合物を出発点に置いて、その構造骨格と酸化能力及び安定性の関係を精密に検討する。新規超原子価ヨウ素化合物の設計を行い、アルコールの酸化による力量の高いカルボニル化合物の合成プロセスの実現を目指す。そして、ラセミアルコールの酸化反応による速度論的分割に有効な不斉酸化触媒を設計する。
620 イオン交換ヘテロポリ酸による高効率固体ルイス酸触媒の開発 清水 研一 名古屋大学 大森 茂嘉 名古屋産業科学研究所 Friedel-Crafts反応は医薬品や香料の製造に必要不可欠な反応であるが廃棄物を多量に副生する点が問題である。固体酸触媒とカルボン酸を用いるアシル化反応は従来法と比べ副生成物を大幅に減少できるが、反応性が低いため多量の触媒や高い反応温度など過酷な反応条件が必要とされている。本研究では金属イオン交換ヘテロポリ酸を固体ルイス酸触媒として用い高効率でFriedel-Crafts反応を促進させることを目的としている。
621 多価カチオン導入ヘテロポリ酸による高効率エステル化触媒の開発 薩摩 篤 名古屋大学 大森 茂嘉 名古屋産業科学研究所 エステル化反応には酸触媒として均一系の硫酸などが用いられるが、廃酸などの廃棄物が大量に生成する。これに対し高活性、分離が容易でリサイクル可能な固体酸触媒として多価カチオンを導入ヘテロポリ酸を、申請者らは報告している。本申請研究では、この新規な固体酸触媒によるエステル化の適用範囲を幅広く検討し、他の脱水環化等にも応用するとともに、その構造と反応機構の検討を行い、実用化に向けて基盤を固める。
717 π共役型置換基を持つホスホールの合成と光学材料への展開 俣野 善博 京都大学 是成 幸子 京都大学 ホスホールは、ピロールの窒素原子をリン原子で置換した化合物であるが、ピロールやチオフェンとは大きく異なる光物性や電気化学特性を示すことが知られている。芳香族性の小さいホスホールは、特にπ共役系の置換基を有する場合、環内に剛直な1,3-ジエン構造を有することから、拡張π電子系化合物を構成し、機能性色素としての利用が期待される。本研究では、リンの特性が賦与されたπ 電子系分子の創製と利用をめざし、(i)α位あるいはβ位にπ共役型置換基を持つホスホールの簡便かつ効率的な合成法の確立、(ii)π共役型ホスホールの特性を活かした非線形光学材料や発光材料の開発と機能評価を行う。
718 固体状態で強発光するパイ共役系材料の開発 清水 正毅 京都大学 是成 幸子 京都大学 次世代表示素子用材料として注目を集める有機電界発光(EL)材料の基礎を担うのは、特異的な光・電子機能を有するパイ共役分子である。一方、表示素子は、固体状態の有機材料によって構成される。したがって、固体状態においてこそ高効率で発光するパイ共役分子の創出が有機EL材料の進歩に必須である。この研究課題では、研究者らが開発した反応を基盤として、立体化学の制御された新規共役オリゴエンを広範に合成し、固体状態で高効率かつ強発光するパイ共役系材料の創出をめざす。
758 ハロゲン化炭化水素溶媒代替粉体を用いるインプラント技術に適した粉体の実用化試験 佐々木 洋 近畿大学 大野 安男 科学技術振興機構 有害化学物質リスク削減基盤技術の一つであるインプラント技術を実現するために,ハロゲン化炭化水素溶媒を代替する粉体を用いた化学反応プロセスを具現化する。粉体分散媒を用いた選択的酸化反応および水素化反応の工業化を目標に安価な粉体材料を選択し,その粉体の物理的特性(形状・比表面積・細孔径分布・嵩密度)と反応活性との相関関係から各反応プロセスに適した粉体を特定し,高機能な樹脂原料を製造することを最終目的とする。
760 ガンの診断と治療に有用なバイファンクショナルな化合物の創製 若宮 建昭 近畿大学 松本 守 近畿大学 近年、ガンの治療にホウ素(10B)原子を内在する化合物を腫瘍細胞に集め、熱中性子線を照射して腫瘍細胞を破壊する療法(BNCT)が注目を浴びている。また、ガンの診断のためにフッ素(19F)原子を含む化合物を腫瘍細胞に集め、これを核磁気共鳴(NMR)で測定する磁気共鳴イメージング(MRI)法が進歩している。本研究課題は、ガンの診断と治療の両方に利用できるような、10Bと19Fを一分子中に有する化合物を創製し、新たなガン医療への取り組みを目指す。
792 酸化剤を必要としない効率的アルコール酸化反応系の開発 満留 敬人 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 アルコール酸化反応は、医薬・香料中間体として有用なアルデヒド及びケトンを合成する重要な工業反応である。しかし、従来のアルコール酸化反応の多くは有害な酸化剤を用いた量論反応にて行われており、反応後に生成する廃棄物の処理など原子効率の低さに問題があった。そこで、代表者のグループでは無機層状化合物ハイドロタルサイト(HT)に銀を固定化した触媒Ag/HTを用い、酸化剤を必要としないアルコール酸化反応系を開発した。本課題研究ではAg/HT触媒系の適用範囲を拡張し、クリーンかつ高効率なカルボニル化合物合成プロセスの開発へと展開する。
793 常温・常圧下で行うケトンの光化学的クリーン合成 白石 康浩 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 「ケトン」は有機合成の根本となる最も重要な化合物であり、多くの化学製品がケトンを原料として生産されている。ケトン類は、通常、アルコールやオレフィンの酸化により合成される。しかしながら、これらのプロセスは、高価かつ爆発性の高い酸化剤を必要とするほか、多量の有害廃棄物を生成する非効率的なプロセスである。申請者らは、安価かつ安全なアセトンを反応試薬として、常温・常圧下での光化学反応によりオレフィンからケトンを合成する新技術を開発した。本研究では、本技術の多種多様なケトン類合成への応用と、本技術の化学的メカニズムの解明、さらに技術改良に基づく実用プロセスへのアップグレードを図る。
795 安定な開殻有機分子を基盤にした分子結晶性二次電池の開発 森田 靖 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 独自に開発した空気中でも安定に取り扱うことが可能な有機分子を活物質として用いた二次電池の基礎と応用についての研究を展開する。リチウムイオン二次電池に支えられている巨大な先端二次電池市場への進出、および新しい電池の特徴を活かしたデバイスやシステム開発を通した豊かな暮らしや社会への活用を念頭にする。
797 金属クラスターを含有する有機分子の分子蛍光の増強に関する研究 劉 虹ウェン 大阪大学 清水 裕一 大阪大学 次世代ディスプレイや次世代照明に利用可能な有機発光ダイオード(OLED)は、高い発光効率、低消費電力且つ低作動電圧という特長を持ち、その発光メカニズムをはじめとする基礎研究、OLEDの高輝度・高効率・長寿命化に大変重要である。本研究では、金属ナノクラスターを含有する有機分子を様々な作製条件下で作製し、走査トンネル顕微鏡(STM: Scanning Tunneling Microscopy)のチップからの電子注入による励起及び光励起を行い、試料から発光をナノスケールで観察し、その発光のメカニズムを解明し、発光増強技術を確立させる。
802 自然界豊富科学種の触媒的直接反応開発 馬場 章夫 大阪大学 多田 英昭 大阪大学 自然界にもっとも多く存在している化合物群のひとつであるアルコールは、脱離能力の低いOH基を有しており、他の原子団で直接置換することは触媒条件では不可能とされてきた。現状では、OH基を一旦別の脱離能の高い化学部位へ変換させるか、過剰の酸の添加を必要とする。本研究ではインジウム塩を触媒として用いることで、ケイ素求核種によるアルコールの触媒的直接置換反応を検討し、工業的基礎変換反応の開発を目的とする。
807 新規精製用タグによる合成ペプチドの生産及び精製キットの開発 相本 三郎 大阪大学 土居 幹生 大阪大学 タンパク質やペプチドを高品質で収率良く合成する技術の開発が求められている。タンパク質やペプチドの効率的な生産における一つのボトルネックは、粗生成物の精製過程である。本研究は、伸長し続けたペプチド鎖だけに導入されるように設計されている特殊な精製用タグを用いて、タンパク質やペプチドを収率良く精製する技術を開発することを目的としたものである。本研究を通してペプチドの効率的な生産方法と精製キットの開発を目指す。
823 ハロペルオキシダーゼの酵素機能に基づいた環境調和型ハロゲン化プロセスの開発 平尾 俊一 大阪大学 樋口 堅太 大阪大学 ハロゲン化物は医薬品や有機材料合成における重要な合成中間体である。申請者は、酵素ハロペルオキシダーゼがハロゲン化物イオンを触媒的に酸化することに着眼し、この機能に基づいた触媒設計により水を反応溶媒として用いる環境に優しいハロゲン化触媒が開発できると考えた。本研究では、活性中心に存在するバナジウム等の遷移金属を検討し、ハロゲン化物イオンを触媒的にハロニウムイオンに変換する環境調和型プロセスの構築を目指す。
836 反応性ビラジカルを用いた革新的有機EL素子の設計と開発 池田 浩 大阪府立大学 稲池 稔弘 大阪府立大学 有機EL素子の研究開発は多環芳香族化合物を用いるのが世界の潮流であるが、本研究では化学反応を用いて反応性励起ビラジカルを発生させ,それを用いた革新的有機EL素子の開発を計る.この“非常識的”アプローチで,1)低分子による長波長発光の簡易実現,2)三重項分子の利用による内部発光量子効率の増大(現状は理論上最大25%,本研究では75 100%),3)高い耐久性をもたらす新機構等の革新的改良が期待できる.
867 機能性有機薄膜を指向するπ共役が拡張したチアゾール誘導体の設計と合成 森 敦紀 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 ドナー,アクセプター型のπ共役系が拡張したチアゾール誘導体を,申請者が最近開発した新規有機合成法であるパラジウム触媒を用いるCH結合置換反応を利用することにより合成し,その発光特性を分光学的特性,電気化学的特性を分析することにより評価する。
901 三次元光記録を目指した二光子吸収色素の開発 小川 和也 奈良先端科学技術大学院大学 戸所 義博 奈良先端科学技術大学院大学 二光子吸収は三次元位置選択的な光制御を可能とするため三次元光記録や深部がんの光線力学療法等の応用が期待されている。特に高効率な二光子吸収能を有するフォトクロミック分子は次世代の高速かつ大容量の記憶システムを可能とする。本課題では二光子吸収色素とフォトクロミック色素を連結させることで三次元光記録デバイスの実現に向けた高効率二光子吸収フォトクロミック色素の開発をおこなう。
953 高効率分子構築法を利用したイオンチャンネル制御分子の開発 門田 功 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 閉鎖性海域である瀬戸内海では赤潮が頻発し、深刻な社会問題となっている。主な被害である魚介類の大量死や二枚貝の毒化は、赤潮プランクトンが生産する神経毒が原因である。これらの化合物はイオンチャンネルに作用し、極微量でも強い毒性を示す。本研究では、生理活性に着目し、天然物をモデルとした分子設計を行うことでイオンチャンネルを制御する分子を開発し、毒性発現のメカニズムを解明するとともに、新しい医薬資源としての活用を目指す。
963 フェニレン−ジイニレン骨格を有する新規発光材料の開発と応用 折田 明浩 岡山理科大学 安井 茂男 岡山理科大学 本研究では、スルホンとアルデヒドとを出発原料に用いて、ベンゼンとブタジインとが交互に連結したフェニレン−ジイニレンを効率よく合成できる実用的な方法を確立する。また、フェニレン−ジイニレンの蛍光材料としての特性を調査するとともに、ベンゼン環上に置換基を導入することで、発光波長の自在なチューニングを実現する。
最終的には、フェニレン−ジイニレンを発光層に利用したデバイスを作製し実用的な有機ELデバイスとしての可能性を探る。
974 感光性を有する有機半導体と薄膜トランジスタ 大下 浄治 広島大学 繁村 龍彦 くれ産業振興センター これまで使われてきた無機材料を、より軽量・安価で、加工性に優れた有機材料に置き換えようという研究が進んでいる。その中でも、有機半導体材料は、電子ペーパー、フレキシブルディスプレイなどの基幹材料として非常に重要である。本研究では、有機薄膜トランジスタ(TFT)に実用可能なレベルの良好なキャリア輸送性を有し、同時に加工性の面から有利なレジスト性を有する新しいタイプの有機材料を創出することを目的とする。
1039 金属ストロンチウムを用いる簡便で有用なGrignard代替試薬の開発と応用 三好 徳和 徳島大学 平岡 功 徳島大学 エステルへのジアルキル化反応におけるGrignard手法はアルキル化剤としてとても有用であるが、予めGrignard試薬を調製してからエステル等の基質と反応する必要があり手間と時間がかかる反応である。しかしそれ以外の手法は殆どないのも現実である。そこで、アルキルハライドと金属とエステル等の基質を混ぜるだけのOne-potで行えるBarbier型手法でジアルキル化反応を行い、種々の化合物合成法を確立すれば、工程を省くことが出来、コスト削減の面からもより有用であると考えられる。
1082 フルオロイソインドールの新規合成法の開発と有機電子材料への応用 宇野 英満 愛媛大学 鈴木 貴明 愛媛大学 多フッ素置換多環縮合芳香族化合物は、電界効果型トランジスタに用いるとn型のデバイスとなるため、有機デバイス材料としての応用研究の進展が期待された。しかし、多フッ素置換多環縮合芳香族化合物は合成が困難であるため、特定の研究者のみがこれらの物質によるデバイスの研究を行っているのが現状である。本研究では、多環縮合芳香族化合物を用いたn型デバイスの開発に向け、テトラフルオロイソインドールやその類縁化合物の簡便かつ高効率な合成法の確立と、これらの化合物を用いた高純度フッ素化ベンゾポルフィリン合成法を開発し、これらの物性を明らかにする。
1100 新規有機不斉触媒の開発と利用 小槻 日吉三 高知大学 安田 崇 テクノネットワーク四国 本研究は、独自の分子設計に基づく新規な有機不斉触媒の開発、それを利用した高効率な不斉触媒反応への展開、およびその生物活性天然物合成への応用にある。これを実行するにあたり、具体的な到達目標を次の3点に集約し検討する。@ 含窒素複素環系誘導体を基軸とする新規有機不斉触媒の開発。A 有機不斉触媒を駆使した高効率な不斉触媒反応の開発。B 本不斉触媒反応を活用する生物活性天然物のエナンチオ選択的合成。本研究により、環境に優しい合成化学的方法論としての新規な不斉触媒反応の開発、その応用としての生物活性天然物のエナンチオ選択的合成という両分野において独自性を確立し、21世紀型有機触媒不斉合成技術の確立をめざす。
1125 ミトコンドリアを標的とするアポトーシス阻害剤の開発研究 新藤 充 九州大学 石川 宗晴 科学技術振興機構 ミトコンドリア内のアデニンヌクレオチド輸送担体(ANT)はアポトーシス制御の一端を担うが詳細は不明である。ボンクレキン酸はANT を阻害することでアポトーシスを阻害する重要な生化学ツールであるが供給方法に難がありきわめて高価である。本研究ではボンクレキン酸の効率的大量合成法を開発し、その知見を元に、医薬品開発を視野に入れたより有効なアポトーシス阻害剤の開発をめざす。
1134 光学活性機能物質の高純度大量合成用不斉固体触媒の開発と応用 稲永 純二 九州大学 古川 勝彦 九州大学 本課題においては、高性能・高耐久性の新規不均一キラル錯体触媒を創出し、光学活性機能物質を高純度で大量に生産することのできるフロープロセスを開発することを目的とする。具体的には、高性能超分子固体触媒の調製、触媒構造解析、触媒能評価、及び不斉触媒反応カラムの作製と性能評価を行う。また、本課題の推進により光学活性医薬品重要中間体を高純度で大量に生産できるプロセスを開発しライフサイエンス研究や医薬業界の発展に貢献することを目標とする。
1201 光線力学療法用薬剤として機能する新規両親媒性フラーレン誘導体の合成 八田 泰三 崇城大学 冨田 和弘 科学技術振興機構 本研究テーマは、1)細胞認識能と水溶性を付与する糖単位(SUG)(或はポリエチレングリコール単位(PEG))、およびDNAとの会合力を高めると同時に水溶性を付与するカチオン性親水基のピリジニウム基(Py+)を併せ持つ新規両親媒性フラーレンC60誘導体の系統的合成、2)水中におけるそれらの溶解性と自己会合挙動を解明することにより各種粒径サイズのフラーレン会合体ライブラリーを構築することである。
1249 医薬品リード化合物としてのエラグ酸類縁体大量合成法の開発 安里 英治 琉球大学 伊良部 忠男 琉球大学 エラグ酸類縁体は一般的な抗酸化物質でもあり、美白効果、制がん・ウイルス作用を有し、化粧品や医薬品としての商品価値が高い天然成分である。一方、天然植物からエラグ酸類縁体を精製単離する方法は、含有量やその抽出効率の点から大量供給が難しく、応用研究を目指した大量合成法の確立とともに、新規エラグ酸類縁体の探索研究は重要な課題である。本研究では合成化学的に「エラグ酸配糖体」「新規エラグ酸類縁体」にアプローチするとともに、これらエラグ酸誘導体の医薬品リード化合物としての可能性を検証する。

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 高分子化学:33件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
3 生分解性架橋ポリアスパラギン酸の合成とその吸水能に関する研究 梅田 哲 旭川工業高等専門学校 東藤 勇 苫小牧工業高等専門学校 ポリアスパラギン酸の中間体であるポリスクシンイミドの効率的かつ実用的な合成、生成したポリスクシンイミドの加水分解で得られるポリアスパラギン酸変性体、および架橋ポリアスパラギン酸の合成とその機能評価を行うものである。
55 生体適合性を有する人工臓器用ポリノルボルネン複合材料の開発 佐藤 敏文 北海道大学 奈良林 直 北海道大学 高強度を有するポリノルボルネンに極性部位を導入することにより、ポリノルボルネンの低接着性や低含水率性等の欠点を改良し、生体適合性を付加する技術を提供する。具体的には、「極性基を有するモノマーとノルボルネンを安価に共重合する技術の提供」、ならびに、「生成ポリマーの極性基にポリ乳酸を導入することで高強度かつ生体適合性を有する新規なポリノルボルネン−ポリ乳酸複合材料の開発」が目標となる。
65 微細多孔質高分子膜によるバイオセンサーの開発 吉田 光則 北海道立工業試験場 鴨田 秀一 北海道立工業試験場 本研究は自己組織化法を用いてバイオセンサーの一つである表面プラズモン共鳴センサーチップの生体関連基質の固定化に用いる新規の機能性膜を開発するものである。その作製方法やセンサーチップの金薄膜と微細多孔質高分子膜との付着方法及び用いるポリマーの種類、膜の表面処理などについて検討する。
81 化学修飾反応によるポリイミド微粒子の機能化 渡邉 眞次 北見工業大学 鞘師 守 北見工業大学 ポリイミド(PI)粒子に化学反応を行うことにより粒子の機能化を行う。PI粒子表面をヒドラジンで処理してアミノ基、さらにブロモイソブタンアミドに変換し、ここからリビングラジカル重合を行い、表面に他の高分子鎖がついたPI微粒子の作製を試みる。表面に高分子鎖があると構造の異なる高分子と混ざりやすくなり、優れた構造材料が得られると期待される。
86 糖応答性色素放出ポリマーの薄膜化による目視型糖検出チップの作製 兼清 泰正 北見工業大学 内島 典子 北見工業大学 簡便かつ正確に糖濃度を測定可能な新規センシング材料の開発を行う。そのために、酵素に代わる次世代の糖質インターフェイスとして注目されるボロン酸を用い、糖との結合に応じて色素を放出する機能性薄膜を基板上に複合化する。これを用いて、糖濃度に応じて多色変化を示す目視型センシングチップの実現を目指す。
107 アルギン酸を用いた燃料電池用電解質膜の開発 葛西 裕 青森県工業総合研究センター 山口 紀久 21あおもり産業総合支援センター 直接メタノール形燃料電池(DMFC)において、フッ素樹脂系電解質膜はメタノールが電解質膜を透過しやすく電位の低下をもたらすという問題がある。また、製造プロセスが複雑であるため高価であり、フッ素を含んでいることから製造時や使用後の廃棄時に環境負荷が大きい。本研究では生体由来材料であるアルギン酸のような多糖類を用いて、メタノール透過性が低く、環境負荷が低い、かつ製造プロセスが単純なDMFC用電解質膜の製造技術を確立する。
168 ポリイミドナノ粒子を用いた次世代低誘電率層間絶縁膜の開発 石坂 孝之 東北大学 平泉 健 東北大学 大規模集積回路の高密度化に伴う信号遅延問題のため、2013 年には誘電率(k)2以下の層間絶縁膜が必要になるとされている。本研究ではポリマーの中でも最高レベルの高耐熱性、高強度、高粘弾性を有するポリイミド(PI)を用いて、粒子表面や内部に空孔を有する多孔性PI ナノ粒子の作製を行う。更に、得られた多孔性ナノ粒子を用いて、粒子内部、且つ、粒子間に空隙を有する膜を作製する。以上よりk<2(@1MHz)の次世代低誘電率膜の開発を行う。
213 フッ素系共重合体の延伸に伴う微細構造変化と光学機能の発現 藤森 厚裕 山形大学 白澤 司朗 山形大学 極めて高結晶化度のフッ素系共重合体の高温延伸により形成される,新規透明素材のナノ微細構造変化を解明する.結晶性高分子は,結晶領域と非晶領域の共存状態であり,透過する可視光はその界面で屈折を繰り返し,不透明となる.しかし極めて結晶性の高いフッ素樹脂は,延伸に基づく微細構造変化により,極めて均質な結晶体となり,透明性を発現出来ることを見出した.本研究では,フッ素系共重合体の高温延伸による配向変化を小角X 線散乱並びに広角X 線回折により解析し,光透過性の相関関係について検討を行う.
214 ポリマーブラシを利用した高イオン伝導性イオンチャンネルの形成 佐藤 貴哉 鶴岡工業高等専門学校 田村 光彦 科学技術振興機構 高いイオン伝導性と難燃性を併せ持つイオン液体モノマーを合成した。本研究ではこのモノマーに表面開始原子移動ラジカル重合法を適用して、ナノサイズシリカ微粒子上に分子鎖長の揃ったイオン伝導性ポリマーブラシを形成する技術を確立する。さらにポリマー/シリカ複合粒子がイオン液体中で形成するコロイド結晶をイオン伝導場として利用する新しい難燃型ポリマー電解質を開発し、その実用性評価を行う。
373 ネガ型反応現像画像形成による高性能かつ低環境負荷型感光性エンプラの開発 大山 俊幸 横浜国立大学 北 憲 横浜国立大学 我々は、市販エンプラなどに感光性を付与する手法として「反応現像画像形成(RDP)」を開発しているが、実用化に向けて感度や感光剤添加量などに問題点があった。本研究では、最近見出した新手法である「ネガ型RDP」について原理の詳細な解明を行い、その知見をもとに感光剤量の低減や高感度化などを実現し、エレクトロニクス実装における従来型感光性エンプラの代替を始めとする様々な分野に応用可能な実用レベルの感光性エンプラを開発することを目標とする。
460 分子鋳型を用いた立体識別型分離剤の開発とクロマトグラフィー充填剤への応用 国本 浩喜 金沢大学 渡辺 良成 金沢大学 分子鋳型ポリマー法では,分離対象となる光学活性物質と相互作用可能な官能基を有する機能性モノマーおよび架橋剤を共存させて重合する.反応後にポリマー内から鋳型分子を除去することにより,鋳型分子と相補的な結合部位を有するポリマーを得る.本研究では,分子鋳型ポリマー法を用いて高純度の光学活性体が要求される5-置換1,3-オキサゾリジン-2-オン誘導体に対して立体選択性に優れた分離材料を開発し,それを充填剤としてクロマトグラフィーに応用する.
473 新規リポソーム融合技術に基づく細胞模倣マイクロラボラトリーの開発 濱田 勉 北陸先端科学技術大学院大学 山本 外茂男 北陸先端科学技術大学院大学 細胞サイズの人工脂質2分子膜小胞(リポソーム)を反応場とする新規のマイクロラボラトリーを開発する。実際の生体膜とほぼ同じ構造・組成を備えたリポソームは、種々の生化学反応実験に最適な細胞模擬空間を作り出す事が出来る。集光レーザーにより形成された局所的なエネルギー場を利用したリポソーム融合法を確立し、化学反応を自在にコントロール可能な細胞模倣マイクロラボラトリーを構築する。
486 ゴム材料の最大弱点である酸化劣化の克服とゴム材料の新展開 瀬 和則 福井大学 吉田 芳元 福井大学 ゴム材料はシス型ポリイソプレンであるが、高分子主鎖に2重結合を有するため酸化劣化による高分子主鎖分解が生じ易く、これがゴム材料の最大弱点であった。そこでビニル型ポリイソプレンとのcis-PIs/vinyl-PIs高分子ブレンドを作成して、この弱点を克服する。この高分子ブレンドのガラス転移温度はcis-PIsのそれよりも数10℃高いため、飛躍的な熱安定性も期待でき、劣化克服に寄与する。更に、ゴム材料の高機能化を目指して、圧電素子や導電性高分子への新展開も探究する。
657 新規多孔質ポリ乳酸フィルムの孔径制御による高機能化 山中 仁敏 滋賀県工業技術総合センター 川嶋 眞生 滋賀県産業支援プラザ ポリ乳酸は、バイオマスの有効利用また生分解性を有することから環境負荷の小さい材料として注目されている。一方、多孔質フィルムはその高機能性を利用して菌除去等のフィルター、電池用のセパレーター等の幅広い用途に利用されている。
我々はこれまでの研究開発により、ポリ乳酸で1〜5μmの連続気孔多孔質フィルムおよび0。1〜8μmの独立気泡多孔質フィルムの開発に成功している。このフィルムを高機能化して実用化するために、孔径の分布を小さくしたフィルムの開発、また平均孔径が違えたフィルムの作製を開発する。
680 生理活性を有する高分子量酵素法ポリフェノールの開発 辻本 敬 龍谷大学 石原 英昭 龍谷大学 近年、環境にやさしい高分子材料の開発が注目されているが、製品そのものだけでなく合成プロセスにおいても毒性の少ない触媒や試薬等の使用が切望されている。本研究では生体触媒である酵素を重合触媒に利用し、水中において高分子ポリフェノールの合成を行う。また、得られるポリフェノール微粒子を担持体として利用し、機能化を検討する。
690 超音波を用いたソフトマテリアルに対する新しい非接触解析法の開発 則末 智久 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 近年のレーザー回折・動的光散乱技術の進歩により、サブミクロン構造体の大きさや分布を容易に解析できるようになった。その一方でこれらの手法には、気泡による反射や試料の乳濁の問題がある。本研究では、超音波が“媒体を振動して伝わる波”であることに注目した、新しい時間相関法をベースとする非接触ミクロン構造解析法を開発する。それにより、不透明で中身が判断できない反応物の分子ダイナミクスを高速に分析できる新しい技術を開発し、機能性複合材料や発泡材料のリアルタイム解析へと応用する。
691 乳酸エステルの直接重縮合によるポリ乳酸の合成 小林 四郎 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 近年バイオマスプラスチックとしてポリ乳酸が注目されている。ポリ乳酸は乳酸から六員環状ラクチドに導き、その開環重合により製造されているが、その乳酸はバイオマスから乳酸エステルを経由して製造される。本試験研究では乳酸エステルから直接ポリ乳酸を合成する反応を開拓することにより、ポリ乳酸製造の大幅なコスト削減が可能なプロセスの構築を目的とする。実施内容としては、種々のアルコールと乳酸とのエステルを基質として、酵素触媒により重合を試みる。
716 選択的にカーボンナノチューブを可溶化する共役系高分子の開発と応用 梅山 有和 京都大学 是成 幸子 京都大学 カーボンナノチューブ(CNT)複合材料の開発に、CNTのあらゆる溶媒への極めて低い溶解性が大きな障害となっている。本研究では、効率良く、かつ選択的にCNTの束状構造を解きほぐして有機溶媒中に単離分散させる新規共役系高分子を開発することを目的とする。さらに得られる複合体の溶液中および薄膜状態での特性、特に光電気化学的性質を解明する。単離分散することで電荷輸送能の向上したCNTを活用し、高効率な光電変換系の構築を目指す。
739 光分解性ペプチド・ナノ薄膜の開発とその応用 古賀 智之 同志社大学 永田 和彦 同志社大学 本課題は、容易に微細加工できる多機能バイオ表面の開発を目指すものである。具体的には、固体表面上でのアミノ酸・無水物のグラフト重合技術をベースに、ここに光分解性分子を組み入れた新しいポリペプチド・ナノ薄膜の作成技術の開発を行う。さらに、光によるナノ薄膜の加工原理を確立するとともに、人工ペプチドの二次元ナノ〜マイクロ・パターンニングについても検討を行う。
759 ジクロロシランの電極還元反応によるポリシランの精密重合法の開発 石船 学 近畿大学 根津 俊一 近畿大学 新規光機能性材料として注目されて久しいポリシランの合成法に関しては、適用できるモノマーの多様性と、分子量分布の制御など更なる分子構造の制御法が求められている。従来法と比較して格段に温和な条件でのSi−Si結合生成を実現したクロロシラン類の電極還元反応手法を基礎に、ジシラン添加や溶存イオンの制御による分子量分布の狭隘化およびタクティシティーの制御など検討し、より精密で実用的な重合技術を開発する。
774 メタクリル系新規耐熱性透明樹脂の開発 松本 章一 大阪市立大学 武井 廣見 科学技術振興機構 エレクトロニクス関連高分子材料に対する要求、特に耐熱性透明有機高分子材料の重要性が増し、新規耐熱性樹脂の開発が望まれている。本研究課題では、側鎖に環構造やかさ高い置換基を導入することにより、光学特性に優れた新規メタクリル系耐熱透明樹脂の開発を行う。光学特性、力学特性、熱特性に優れた新規材料を得るため、置換基の構造設計と最適化、材料の各物性評価により、メタクリル系新規耐熱性透明樹脂の開発を進める。
851 生分解性プラスチックの加工性向上を目指した結晶性・熱安定性に関する研究 尾崎 幸洋 関西学院大学 山本 泰 関西学院大学 PHB系プラスチックは、結晶化速度が遅いために加工しにくく、2次結晶化の進行により成型加工後に物性低下が起こるといった課題を抱えており、実用化に向けて更なる改良が望まれる。そこで、本研究では、PHBおよびその共重合体の加工向上のため結晶構造や熱的挙動を、1)赤外スペクトルの温度変化の測定、2)DSCおよび広角X線回折の温度変化の測定、3)SPring-8における時間分解小角、広角X線散乱―DSC同時測定より、明らかにすることを試みる。
883 キトサンを用いた新規生分解性材料の開発 平瀬 龍二 兵庫県立工業技術センター 富田 友樹 兵庫県立工業技術センター 我々はこれまでの研究において、ある種の塩の水溶液がキトサンを溶解することを見い出した。また、キトサン溶解液から水を除去して得られるフィルム等の材料のなかには可塑化されエラストマー的な物性を有するものがあることも把握している。本課題では、キトサンと塩からなる新規な組成物の用途開発を目的としている。キトサン、塩の組成および力学的な物性との関連について検討し、適用できる分野の探索を行う。
898 環境汚染物質用超高感度・超高速検出システムの開発 内藤 昌信 奈良先端科学技術大学院大学 戸所 義博 奈良先端科学技術大学院大学 ケイ素高分子“ポリシランPSi”が酸素、窒素、フッ素を含む低分子化合物と特異的に相互作用することを利用し、ホルムアルデヒド、フッ素イオン、NOX、SOX などの環境汚染物質の定量を超高感度(10-12 M程度)かつリアルタイムで検出するシステムを開発する。環境汚染物質の定量は、ナノグラム天秤である水晶発振子(QCM)を用いることで高感度化とリアルタイム検出を同時に実現する。
899 モレキュラーバンドエンジニアリングによる新規発光性分子ワイヤの創成 尾之内 久成 奈良先端科学技術大学院大学 戸所 義博 奈良先端科学技術大学院大学 近年、高性能ナノ発光素子の更なる小型化が切望されている。本研究では、半導体固体物理学におけるバンド理論に基づく共役分子の設計(モレキュラーバンドエンジニアリング)により一分子的な半導体発光素子の開発が可能であると考え、異なるバンドギャップを有する共役ユニットを周期的かつ直交に有する新規発光性高分子を合成する。得られる高分子は製膜性や可塑性に優れるため、フレキシブルな有機半導体レーザーなどへの実用が期待できる。
908 米糠由来のフェルラ酸を主成分とするDDS用ベシクルの開発 坂本 英文 和歌山大学 稲木 良昭 和歌山大学 フェルラ酸は米糠から抽出された天然由来物質である。この化合物の水酸基に二鎖型のジアルキルアミノ基を付与した両親媒性化合物は水溶液中でベシクルを形成することが期待できる。そこで、この化合物で予め水溶液に溶解させておいた有機分子を内部に取ませたベシクルを作製し、フェルラ酸のビニル基部位と感熱性モノマーを重合して、生体内などで温度により有機物の放出が可能であるカプセルを作製する。基本分子が天然成分であるため、生体内での分解も期待できる。
916 多様性オリゴペプチド−シリカナノハイブリッドによる新規分離カラムの開発 櫻井 敏彦 鳥取大学 前田 尚良 鳥取大学 多環芳香族やニトロ多環芳香族はダイオキシン類やPCB類と同様の内分泌攪乱作用を有する可能性が示唆されているものの,構造異性体が多数存在しているためこれらの精密分離が困難である。本研究は,seq-オリゴペプチド固定化シリカによる新たな精密認識システムの構築により,構造異性体との相互作用を利用した新たな分離・分析技術をカラム化により実現することを目的としている。最終的には人工レセプターへの展開を睨む。
949 伸びきり鎖結晶(シシ構造)の高密度生成によるポリ乳酸の高強度・高耐熱性化 木村 邦生 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 申請者は、生分解性ポリエステルであるポリ乳酸を流動下で結晶化させることによって、分子鎖が折りたたまれることなく伸びきって結晶化したシシ構造(右写真参照)を生成させる方法を発見した。シシ構造は結晶内で高分子鎖が伸びきって配列しているため、非常に高強度で高い融点を示す。本研究の目的は、上述の方法を用いて、系中に通常の結晶化物とは結晶構造のみが異なるだけのシシ構造を高密度に生成させて、従来材以上の高強度かつ高耐熱性を引き出したポリ乳酸のセルフコンポジット材料を開発することである。
984 内分泌かく乱化学物質除去機能を持つ複合化磁性ナノ粒子の開発 後藤 健彦 広島大学 榧木 高男 広島大学 現在、排水中の有害化学物質は主に活性炭により吸着除去されているが、活性炭再生処理に用いる有機溶媒が2次廃棄物になるという課題がある。そこで再生可能な吸着剤として磁性ナノ粒子に30040℃の転移温度を境に親・疎水性が可逆的に変化する感温性高分子をコーティングした複合化粒子を開発することを目的とする。この粒子は、高分子との疎水性相互作用により疎水性有害物質を吸着し、磁石により回収することが可能である。
1018 第四アンモニウム塩を固定化したウレタン系樹脂の抗菌特性 武知 博憲 徳島県立工業技術センター 大村 芳正 徳島県立工業技術センター 固定化殺菌剤に着目し、第四アンモニウム塩を用いて、担体に固定化を試み、その殺菌活性の解明を検討したい。固定化坦体(ウレタン系樹脂)と固定化反応させることにより、機能性高分子材料を作成する。得られた機能性高分子材料をシェイクフラスコ法、フィルム密着法により抗菌性の評価を行い、また他の機能性についても検討する。
1027 高機能官能基を有する立体規則性高分子材料の開発と応用 田中 均 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 立体規則性高分子は、優れた機械強度、熱特性等を有するものの、一般に金属触媒等を用いるイオン重合法で製造されるため、高いスキルが要求され、大量生産できない欠点があった。最近、この規則性高分子を既存の汎用工場設備の活用が可能で、またイオン重合では困難な機能性官能基の導入が容易なラジカル重合法で簡便に合成する方法を見出したので、本研究では、このものをさらに効率よく高純度で合成するための研究を行う計画である。
1090 天然繊維をベースとした六価クロム捕集材の開発 山下 実 高知県工業技術センター 津嶋 貴弘 高知県工業技術センター クロムは、単独では無毒で工業的な利用頻度も高い。特に耐蝕性耐摩耗性高温での強靭性に優れ、食器などのメッキは殆どクロムが使用されており、代替品は特にない。しかし人工的に生成される六価クロムは強い毒性を示し、廃水は水質汚濁防止法で厳しく規制されている。処理方法としては還元中和沈殿法が頻用されているが、プロセスが複雑であり大量のスラッジ処理も問題となっている。そこで本研究では、複雑なプロセスを必要とせず六価クロムを直接捕集するための天然繊維をベースとした捕集材の開発を行う。
1209 生分解性高分子の液晶材料化と強化複合材料の開発 氏家 誠司 大分大学 森岡 勝彦 大分大学 合成高分子の代替として,生分解性高分子の開発が行われているが,まだ実用化という観点からは十分ではない.生分解性高分子の特徴としては,利用しているときには十分な機能を果たすが,不要になったときには紫外線や微生物などで分解されることがあげられる.樹脂としては携帯電話,パソコンや車のボディーなどへの利用があり,繊維としては漁網への使用が考えられる.パソコンや車,漁網への応用では十分な強度・弾性率などの実現が要求される.そこで,本課題では,生分解性高分子の強度・弾性率を向上させるために,生分解性高分子への液晶性の付与と自己集合性微細繊維とのコンポジット化を行い,生分解性をもった加工性のよい新しい強化高分子材料を開発する.

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 複合材料:80件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
16 三元遷移金属硫化物における強磁性発現材料の開発 本藤 克啓 室蘭工業大学 朝日 秀定 室蘭工業大学 三元遷移金属硫化物の一つである非磁性Rb2Ni3S4は一度水につけた後乾燥させることで強磁性が出現する物質である。この物質について,水含浸時間及び乾燥時間に対する磁化の依存性を調べ,水による磁性コントロールの可能性について見通しを得る。
50 発現カセット法を用いた大腸菌による有用生物活性物質生産系の確立 及川 英秋 北海道大学 蛸島 武広 科学技術振興機構 大腸菌による様々な生物由来の異種タンパク発現の有用性は確立されていたものの、複数の酵素を同時に発現させての有用物質生産は困難であった。そこで最近我々が開発した異種発現法により、臨床試験で有望視されていながらホヤから微量しか供給されない抗腫瘍性物質エクテナサイジンの生産に適用する。
54 含水バイオエタノールからの有用石油関連物質合成 増田 隆夫 北海道大学 奈良林 直 北海道大学 精製前の含水粗バイオエタノールを原料に用い、触媒反応により、石油関連物質への選択的合成の技術開発を実施する。反応機構の解明と、粗バイオエタノール中に含まれる各種有機系不純物が触媒に及ぼす影響を検討する。また、生成物精製用水分離膜の合成とそれを蒸留塔に組み込んだ高度分離システムの提案を行う。さらに、プロセスシミュレータを用いて提案する分離の経済評価を実施する。
79 立木での非破壊評価法の道産針葉樹への適用と応用 安久津 久 北海道立林産試験場 斎藤 直人 北海道立林産試験場 北海道の主要造林樹種であるトドマツとアカエゾマツを対象とし、立木の応力波伝播速度を用いた非破壊評価法の確立を目標とする。そのため、立木の応力波伝播速度の樹種特性を把握し、センサーの打込み部位や輪生節の影響などから誤差を小さくするための測定方法を検討する。さらに、立木の伝播速度と丸太や製材のヤング係数の関係から、立木の伝播速度で丸太や製材のヤング係数が推定できる汎用性のある関係式を提示する。
85 木質由来導電性メソ孔炭素の電気二重層キャパシタ電極特性 鈴木 勉 北見工業大学 内島 典子 北見工業大学 鉄塩を水溶液含浸した木材を800-850℃で炭化し、高導電性で直径4nmのメソ孔に富む木炭を製造した後水蒸気賦活、微粉化、酸洗浄して電気二重層キャパシター(DELC)電極としての特性を調査する。これらの結果から、導電性、4nmメソ孔の存在、比表面積等がDELC特性に及ぼす影響を明らかにし、通常の活性炭を用いるDELC電極との性能比較を行って上記の木炭由来DELC炭素電極の実用化可能性を検討する。
122 河川護岸への適用を考慮した自己崩壊型ポーラスコンクリートの開発 小山田 哲也 岩手大学 細越 健志 岩手県 近年、景観や環境、そこで生息する動植物に優しい河川護岸が求められている。
本研究は、河川護岸に植物を根付かせるため、護岸に使用するカキ殻を用いたコンクリートの時限的崩壊条件と、自然に影響を与えない護岸形成用の材料を検討する。
コンクリートを崩壊させるには、使用材料や配合、施工方法等の要因が影響するものと考えられるが、崩壊後に自然に調和し、悪影響を及ぼさない条件選定が必要であり、本課題で検討する。
147 インピーダンス計測によるコンクリート壁・柱内部の含有塩分成分および埋め込み配管の非破壊評価装置の開発 芳賀 昭 東北学院大学 三浦 吉臣 仙台市産業振興事業団 本課題の目的は、物のリニューアル工事の工期短縮・低コスト化の実現を目指してコンクリート構造物および内部に埋設されたCD配管の評価・検出を非破壊的に行う装置を開発するものである。コンクリート構造物の電気的インピーダンス測定により、@コンクリート構造物の含有塩分濃度を、Aコンクリート中のCD配管(可とう性の樹脂管)を、非破壊的に評価し検出する装置の開発である。
155 インクジェット式電子回路印刷用銅ナノ粒子合成および酸化防止技術開発 バラチャンドラン ジャヤデワン 東北大学 峠 竹彌 東北大学 導電性ナノ粒子インクを原料としたインクジェット印刷法が提案されている。その原料として銅ナノ粒子分散インクの開発が望まれており、酸化雰囲気中でも安定な銅ナノ粒子開発が大きな課題となっている。“ポリオールプロセス”を用いてナノ粒子合成を行ってきたが、現時点で得られた粒子の直径は最終目的であるインクの原料としては大きいことから、粒子径の更なる減少と酸化雰囲気中での安定性を有する銅粒子の実現を目指す。
239 大気中での微小アパタイト皮膜作製技術の開発 清水 禎樹 産業技術総合研究所 名川 吉信 産業技術総合研究所 歯科医療インプラント用の金属小片表面に、生体親和性に優れたアパタイト皮膜を大気中で溶射・作製する技術を開発する。卓上型プラズマ装置を利用した作製技術であり、直径サブmm〜数mmの大気圧プラズマ中に、アパタイト粉末などを導入し、ノズル下流に設置したインプラント用金属片表面にアパタイト粉末をコーティングさせる。将来的に歯科医自らが医療現場で実施できるような簡易技術の開発を目指す。
249 細胞組織体の非侵襲的な回収を可能とする培養皿の開発 福田 淳二 筑波大学 藤田 尚徳 筑波大学 微細加工技術や電気化学的な手法を用い、in vitroにおいて2次元細胞シートや3次元細胞組織体の形成を誘導し、かつ非侵襲的に回収する技術を確立する。これにより、医療分野または研究開発用ツールとして利用できる培養器具を創製する。
258 高配向カーボンナノチューブファイバの開発とコンポジット素材への応用 唐 捷 物質・材料研究機構 青野 正和 物質・材料研究機構 カーボンナノチューブ(CNT)は、極めて軽く、高い弾性率と強度をもつと同時に、高導電性や高熱伝導性等の機能を併せもつ高機能素材でもある。我々は、純水中に分散させたCNTを電気泳動法を用い、金属チップ先端に集積・成長させることに成功した。本研究では、この技術を応用し、高導電性及び高熱伝導性をもつ軽量・高強度・高弾性の構造用あるいはコンポジット素材と成る、高配向のCNT集積体としての長尺ファイバ作製プロセスを開発する。
260 磁気バリ取り技術の実用化試験研究 進村 武男 宇都宮大学 生田 四郎 宇都宮大学 細長いパイプの外側からドリル加工するとパイプ内にバリが発生する。パイプ内に通常のバリ取り工具が行き届かないため,内面のバリ取りは困難を極める。本試験研究は,永久磁石を利用した新しい内面のバリ取り技術:「磁気バリ取り技術」を提供している。細長いパイプ内にバリ取り用小形永久磁石工具を挿入し,パイプ外に設置した磁石によりパイプ内の磁石工具に磁気力(加工圧力と運動力)を作用させてパイプ内面のバリ取りと表面仕上げを行う新しい手法である。
263 水浸法による超音波乳ガン検診装置の要素技術の開発 飯沼 一浩 国際医療福祉大学 山下 信 小山工業高等専門学校 現在、超音波による乳がん検診は検査技師が手動で行っている。しかし、時間がかかりかつ技師の技能に大きく依存するなど検診には不向きであり、自動化された検診装置の開発が強く望まれている。本研究では、超音波ビームの電子走査および機械走査を併用した水浸法による自動超音波検診装置の実用化を目指し、最も重要な機械走査部分の機能試作を行い実際に画像データの収集を行って、実用化のための問題点と解決策を明らかにする。
269 マイクロカプセルを用いた抗菌・高消臭機能性繊維の開発 近藤 康人 群馬県繊維工業試験場 上石 洋一 群馬県 医療現場では、術後の傷や褥瘡防止などガーゼやシーツ等の繊維に抗菌・脱臭機能が要望されている。そこで、本研究では表面積の大きなマイクロカプセル(超多孔質シリカ粒子)にナノレベルで金属触媒を添着し、それを繊維に吸着させることで繊維自体に高い抗菌および消臭活性を持たせる。また、病原菌はほとんどマイナスに帯電していることから、プラスに帯電した繊維を開発し、病原菌を引き寄せ、マイクロカプセル上の金属触媒により殺菌するシステムを開発する。本研究成果は消臭ガーゼ、褥瘡防止シーツ、消臭肌着など天然繊維に展開することを目標とする。
308 再構築歯胚に用いる代替細胞の探索 友岡 康弘 東京理科大学 加藤 篤行 東京理科大学 マウス胎児歯胚は上皮組織と間葉系組織からなっており、両組織(細胞)から人工的に歯胚を再構築し、歯の製造を可能にした。しかし、ヒトを想定した場合、胎児の歯胚は必ずしも入手は容易ではない。そこで成体の口腔内細胞を用いて歯胚を構築する技術を開発中で、口腔内細胞を用い歯胚上皮組織に代替しうる実験結果を得ている。しかし歯を再構築できる頻度は40%以下である。そこで本支援を受け、1)その効率を上げる技術の開発。2)口腔内の他の部位から高頻度で代替する細胞を探索する。
324 プラズマガス化システムによる廃携帯電話の効果的処理 稲葉 次紀 中央大学 佐藤 矩正 中央大学 本システムは、プラズマを用いて、安全かつ効率的にプラスチックを主体とする廃携帯電話などの都市廃棄物を、有用なガス燃料として再利用可能なエネルギー源に変換するシステムである。これまで、プラスチック類は焼却処理されており、発生熱量は発電や給湯などで再利用されてきたが、排ガス処理等の問題が有る。本システムを用いることで、プラスチック廃棄物類から、H2、CO、CO2、CxHyなど有用なガス燃料の回収が期待できる。
326 強靭耐摩耗用DLC膜作製法の改良 田中 勝己 電気通信大学 高橋 めぐみ キャンパスクリエイト 低価格の設備投資により、炭化水素の熱分解を利用して機械的強度に優れた強靭な耐摩耗用DLC膜を、膜厚制御して材料表面上に作製する(技術内容)。現段階で我々が持つ特許技術の改良により炭化水素の分解温度を更に下げ、金属製接触部品表面にDLC膜を堆積加工し(目的、実施内容)、耐磨耗強度に優れ、画期的に使用時間の延びた工業製品を開発する技術を啓発する(目標)。
359 大口径シリコンウェーハの形状測定技術の確立 夏 恒 東京農工大学 江口 元 東京農工大学 本研究課題は、大口径シリコンウェーハの形状測定技術を確立することを目的とする。大口径ウェーハは測定時の支持によって変形するので、形状測定の再現性が低く、満足できる測定技術が未だに確立されていない。そこで、大口径シリコンウェーハの測定において避けては通れない非測定物の変形問題と、低い測定再現性の原因を明らかにし、ウェーハの変形量をFEM解析で求め、補正によりサブミクロン精度の形状測定を実現する。
368 フォスファターゼ調節医薬の開発 町並 智也 明星大学 佐野 浩 木原記念横浜生命科学振興財団 カリウムイオン包接能を有する環状糖脂質グルコリプシンは、フォスファターゼ調節活性を持ち、新規な糖尿病治療薬リードとして期待される。グルコリプシンと環状糖脂質類とのアルカリ金属イオン包接能の相似性に着目して、新規合成法により、包接能を有する各種環状糖脂質を合成し、立体構造を明らかにする。合成した環状糖脂質についてフォスファターゼ活性とアルカリ金属イオン包接能との関連性を調べるとともに、構造活性相関の研究を進める。
370 炭素系複合ナノ材料の開発 荻野 俊郎 横浜国立大学 片桐 望 横浜国立大学 炭素は、その結合様式によって、グラファイト、ダイヤモンド、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル、カーボンナノウォール、など、異なる形状と性質を発現する。本計画では、炭化水素を原料とする熱化学気相成長での成長条件の制御によって、同一基板上にこれらの異なる形態の炭素材料を作り分け、複合化させることによって、新たな機能を有する炭素系複合材料を創出する。カーボンナノチューブとカーボンナノウォール・ダイヤモンドとの複合構造を目標とする。
372 ゼオライトを出発原料とした窒化物蛍光体の開発 脇原 徹 横浜国立大学 片桐 望 横浜国立大学 本研究では各種原子が原子レベルで均一に混合されている “ゼオライト”に着目し、これをアンモニアガス中で窒化させることにより、発光中心元素の局所周辺環境が制御された窒化物蛍光体の開発を行うことを目標としている。特に、本研究ではEuイオン交換ゼオライトと各種金属元素化合物の混合物を窒化させ、新規窒化物蛍光体の作製を行う。また、合成条件を最適化させることにより200℃での発光の相対強度が室温の80%以上の蛍光体の開発を目指す。
374 ゲルテンプレート法によるナノ多孔性シリカを用いた近赤外光遮蔽材 車田 研一 横浜国立大学 北 憲 横浜国立大学 ある種の有機物質は近赤外光(波長1000nm前後)を選択的に吸収するので、それらの有機物質を必要な部位に分散するのは近赤外光遮蔽には有効な方法である。そこで本計画ではそれらの有機光フィルター性物質を今後の発展的応用が期待される高空隙率ナノポーラスシリカのナノ孔へ安定に固定化(カプセル化)することをねらう。これにより製品ポットライフおよび安全なハンドリングが保証される。申請者らは従来までにナノ孔空隙率80%の多孔質シリカを簡便・安定に作製する方法を確立している。本計画では、全シリカ重量に対して10-20%の有機光フィルター性物質をナノ孔内に安定に格納する技術の確立を目的とする。
378 多糖を利用したタンパク質/ペプチドの経口投与製剤の開発 佐藤 智典 慶應義塾大学 佐野 浩 木原記念横浜生命科学振興財団 遺伝子やタンパク質/ペプチドの生体内での安定性を向上し、細胞との親和性を付与するドラッグデリバリーシステムは次世代の製剤として注目されている。本研究ではタンパク質/ペプチドの生体内でのデリバリーを目指した微粒子作製において、経口投与に適した多糖の活用の可能性を探索する。生体適合性に優れた天然由来の多糖を利用することで、実用化が期待される経口投与可能なタンパク質/ペプチドのデリバリーシステムを構築する。
404 電解重合法による導電性マイクロファイバーの作製とスマート・アクチュエータの開発 山内 健 新潟大学 中津 普門 新潟大学 本研究では、電解重合法により導電性マイクロファイバーをワンステップで作製して、マイクロサイズの新規スマート・アクチュエータを開発することを研究目的としている。この手法を開発することで、無機化合物や生体関連物質などを複合化したマイクロファイバーの作製も可能となり、外部刺激に応答して機能するセンサ(人工感覚器)やアクチュエータ(運動素子)などの生物模倣デバイスの開発が期待できる。
420 流動性複雑流体の平面伸張粘度測定法の開発 白樫 正高 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 フィルム加工,コーティング,液晶ディスプレイの製造等では高分子や液晶などの複雑流体を原料として薄い膜を一方向に引き延ばし厚さを減少させるような流れ(平面伸張流)が使用される.この流れを予測し制御するには変形と張力の関係を規定する平面伸張粘度が必要であるが,市販の測定機は存在しない.本研究は,市販の粘度計に部品を追加するだけで複雑流体の平面伸張粘度を測定する手法を確立し,装置を開発することを目的とする.
421 環境浄化機能を有する新規添加型酸化セリウム光触媒の開発 斉藤 信雄 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 光触媒は有害物質の除去やエネルギー創成などの幅広い分野において近年、盛んに研究されている。本申請者は最近、異種元素を添加した酸化セリウムが水分解反応に対し、高い光触媒活性を持つことを新たに見出した。光触媒においては、高い光触媒活性を持つことはもとより、毒性の低い化合物で構成されることが求められる。本申請課題では、この2つの機能を兼ね備えた添加型酸化セリウム光触媒を用い、環境中の有害物質の除去を目指す。
424 ナノマトリックス構造形成による天然ゴムの高機能化 河原 成元 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 耐熱性、耐油性、耐候性に優れかつ弾性と粘性という二律背反の性質を相乗的に両立するソフトマテリアルを創製することを目的とする。厚さ数nm〜数十nmのガラス状高分子または結晶性高分子のマトリックスに平均直径1mm程度の天然ゴムを分散した熱力学的に非平衡なナノマトリックス構造を形成すること検討する。マトリックスである少量ポリマーの耐熱性、耐油性、耐候性および剛性と多量成分であるエラストマーの粘弾性とを兼ね備えることにより、高機能制振材料を作る。
427 異種積層材料の精密成形・切断法の開発と展開 永澤 茂 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 本研究では,くさび刃の押抜き加工において切刃に微小な上下・左右の2方向振動を付加し,励起振幅条件が異種積層材の切断性に及ぼす影響を明らかにすることを目的として,既存の法線(横)揺動励起式装置に対してまず接線揺動励起式装置を新たに追加して2自由度軌跡励起を実現する.これらを用いて異種積層板材の切断・曲げ成形に対して,精密加工性能を実験的に解析するものである.
450 紫外線反射防止サングラスレンズ開発とその効果の実証 小島 正美 金沢医科大学 増田 浩子 金沢医科大学 太陽紫外線による眼疾患には急性で一過性の角・結膜傷害と長期曝露による翼状片や白内障が知られている。眼の健康維持にはこれらの有害光線を出来るだけ浴びないことが重要とされている。本課題は最大で100%に達する紫外線のレンズ裏面反射に焦点を当て、眼内に進入する紫外線、青色光をレンズ特殊裏面反射防止コートにより減少させることで加齢性眼疾患の予防、軽減が可能なサングラスレンズを試作しその効果を確認する。
522 カーボンナノチューブと金属からなる金属繊維とその樹脂複合材の開発 宋 星武 信州大学 藤井 國久 信州大学 本研究ではCNTと金属を複合化した繊維をさらに母材と複合化することでCNTと金属の物性の両方を利用することにより新しい母材強化用フィラーとしての適用を目的し,第1ステップとしてCNT高含有金属フィラーを開発し,次に母材と複合化させ諸特性の調査と応用分野への実証を行う.
538 色素増感型フレキシブル太陽電池の高性能増感剤の開発 松居 正樹 岐阜大学 荒賀 年美 岐阜大学 酸化亜鉛色素増感太陽電池用の増感剤を開発する。有機色素増感剤として、現段階ではインドリン色素が最高の性能を示すことがわかっている。本研究では、インドリン骨格を有する色素の精密合成、長波長化、および分子の構造改変によって、増感剤としての最適化行い、高変換効率インドリン色素を開発する。
540 脱塩系粒子分散液を用いるエレクトロレオロジー流体の開発 木村 浩 岐阜大学 荒賀 年美 岐阜大学 本研究は電場の印加・除去への応答性が極めて優れ、かつ粒子の分散安定性の良いエレクトロレオロジー(ER)流体の開発を目的とする。本目標のER流体が開発できれば、ミリ秒レベルで電場のON・OFFに可逆的に応答する電気-力学変換素子としての種々の実用化が期待できる。具体的には、申請者らが見出した分散安定性が極めて良い脱塩系の粒子分散液をベースにして、脱塩度合いと分散させる粒子組成について系統的に検討し、実用開発に移行し得る優れたER流体を開発する。
543 α−マンゴスチンのオプティマイゼーションとガン細胞アポトーシス誘導活性 飯沼 宗和 岐阜薬科大学 前田 喜朗 科学技術振興機構 ガン疾患の予防、再発防止、既存の抗ガン剤との相乗効果に資する伝承薬物を広く世界に求め今日まで探索研究を続けてきた。その研究成果として、オトギリソウ科植物マンゴスチン(東南アジア産する樹木で、その果実は果物の女王といわれている)果皮のエキス(主成分はキサントン誘導体:α-マンゴズチン及びγ-マンゴズチン)にヒト由来の数種ガン細胞に対して、アポトーシス誘導活性、自然免疫力増強活性、抗ガン剤との相乗効果等が認められた。α-マンゴズチンをプロトタイプとして、その各種誘導体を合成し、医薬品候補のオプティマイゼーションについて検討する。
579 水ガラスを用いた有機ー無機複合材料の開発 井上 眞一 愛知工業大学 今井 淳夫 愛知工業大学 有機高分子化合物の特性(強靭性、耐熱性および耐候性など)の向上手段として、無機化合物との複合化は非常に重要である。とりわけブレンド手法ではなく、無機化合物を有機高分子化合物の結合内に導入する分子レベルでの複合化が重要である。本研究は安価な水ガラス(ケイ酸ナトリウム水溶液)から酸分解・有機溶媒抽出によって得られるシラノールを用いて有機高分子化合物(ポリウレタン化合物など)との分子レベルでの複合化により耐熱性の向上を行うものである。
586 高保水性樹脂の開発に関する研究 山本 敦 中部大学 木本 博 中部大学 本研究では水分の保持力が強く、しかも物理的な強度を持った基材を開発し、これを導入した繊維状樹脂を、高親水性揮発性物質のための高機能性吸着剤としての基礎評価を行なう。ここで作成した樹脂は、フィルタ材質の表層として応用展開すれば室内空気中の親水性の高い有害物質や悪臭成分の捕集剤として、また壁紙やカーテンの素材とすれば湿度調整機能性の用途が期待される。
608 荷電コロイド結晶を用いた大型・高品質フォトニック材料の開発 山中 淳平 名古屋市立大学 羽田 裕 名古屋産業科学研究所 本課題では、本代表研究者らが最近見出した、一方向加熱による大型・高品質コロイド単結晶の作成原理に基づき、当該単結晶をフォトニック結晶として実用化するための試験研究を実施する。具体的には、 (a)回折波長:可視光領域(400〜800 nm)の任意の値、(b)回折波長の空間均一性:標準偏差0.1%以下、(c)回折効率:99.5 %以上、(d)結晶端面に結晶格子面が平行に配向、の諸特性を持ち、かつ(e)単結晶サイズ:1cm×1cm×4cm以上のコロイド結晶を、(f)数十分以内に作製することを目標とする。
610 新しい可視光応答型光触媒の開発に関する研究 鈴木 憲司 名古屋大学 安田 匡一郎 中部科学技術センター 太陽エネルギーを有効に利用するために可視光応答型光触媒の開発が求められている。ブラウンミラライト型複合酸化物であるカルシウムフェライト(Ca2Fe2O5)粉末をメチレンブルー水溶液に分散し、可視光のみの照射で、濃青色から淡青色へに脱色することを確認した。また、反射スペクトルから求めたCa2Fe2O5の吸収端は633nm(1.96eV)であり、可視光応答型光触媒として有効であることが確認された。本研究では、ブラウンミラライト型複合酸化物であるカルシウムフェライトの可視光応答型光触媒への実用化を図る。
611 ブロック共重合体パターンを鋳型とした微細造形技術の開発 関 隆広 名古屋大学 安田 匡一郎 中部科学技術センター ブロック共重合体が形成するミクロ相分離構造は、光や電子線リソグラフィーの高価な装置を要せずして数10nmサイズレベルの規則パターンが自発的に形成されるため、高分子ナノテクノロジー分野における新たな展開が切望されている。当グループでは、水面展開単分子膜系において、平面に大面積にて再現良く規則パターンを形成する手法を開発した。本研究は、この規則パターンを鋳型に用いて、安価な真空紫外光照射装置にて汎用高分子膜に数10 nmの微細な造型を施す手法の開発と確立を試みる。
613 発光性色素 / 粘土ハイブリッド固体材料を用いた温湿度センサーの開発 笹井 亮 名古屋大学 安田 匡一郎 中部科学技術センター 本研究課題では、無機固体ホストとしてカチオン交換性粘土を用い、その二次元ナノ空間へ”発光性色素”と色素間の分子間相互作用による発光消光の抑制を担う"短鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩"を共包接することで『層間の水分量に依存した単量体発行量子収率をもつ固体材料』を創製し、発光型湿度センサーへの実用を目指す。また、近年問題となりそのオンサイトでのセンシングが必要とされている各種有害有機化合物の吸着に伴う発光性色素の発光量子収率変化について精査することにより、湿度にとどまらず多くの有機化合物をセンシング可能な発光型センサーの開発も目指す。
626 ノーマリオフ型 GaN MOSFET の開発 水谷 孝 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 ノーマリオフ型GaN FETは高周波、高耐圧、高出力で動作するトランジスタとして期待が高い。しかし従来のデバイスでは寄生抵抗が大きい、オン電流が小さいという課題を有していた。本研究ではこの課題を解決する方法として新たに提案したゲートオーバーラップ構造MOSFETによりゲート順バイアス電圧の増大を図るとともに、これにより寄生抵抗の低減・オン電流の飛躍的増大を実現する。
634 多孔質ナノ微粒子凝集体の調製と触媒の展着・高分子材料への分散 棚橋 満 名古屋大学 近藤 良治 名古屋大学 各種高分子材料中への触媒の新規均一分散技術の開発を目的とした研究である。シリカナノ粒子の水溶液分散系(コロイダル水溶液)の安定度を制御することにより、広大な比表面積を有する多孔質シリカナノ粒子凝集体を調製する。このシリカ凝集体の表面に触媒機能を有する種々の金属酸化物を展着し、溶融混練法により、この触媒担持シリカ凝集体を各種高分子材料中で破砕・分散させる。このようにして、通常の高分子材料にない優れた特性を有するポリマーコンポジットを簡便に調製するプロセスの確立に取り組むと同時に、調製したコンポジットの各種特性評価も実施しコンポジット材料の用途探索も試みる。
641 フレキシブル透明磁性ナノコンポジット材料の開発 余語 利信 名古屋大学 近藤 良治 名古屋大学 分子設計した金属−有機化合物前駆体を出発原料に用いて、in situ合成法により、ナノ粒子の結晶性と粒径を制御し、ポリマーマトリックスと化学結合を生成させ、凝集と光散乱を防止することにより、透明でフレキシブルな磁性膜を調製する。特に、マトリックスポリマーの3次元構造、分子量および吸光係数を制御して、成形性とともにその機械的強度を向上させ、フレキシブルかつ磁性透明ナノコンポジットの磁気光学材料としての製造法を確立する。
663 バクテリアセルロース・コンポジットの流動誘起構造の解析と成形技術への応用 千葉 訓司 滋賀大学 宇佐美 照夫 滋賀大学 デザートなどの食材「ナタデココ」に含まれるバクテリアセルロースと呼ばれる極細繊維のシートに樹脂を注入すると、複合材料として優れた強度特性を発揮する。更に、紙のように曲げられる次世代の薄型ディスプレイの基板にもなり得る可能性がある。この有望な複合材料を有効に利用するためには、ナノファイバーの構造を用途に応じて制御する成形技術が不可欠であり、この試験研究では、ナノファイバーの流動誘起構造を制御するための基本的な知見を得ることを目的とする。
667 ライフサイエンスのためのナノバイオエレクトロニクスの開発研究 磯野 吉正 立命館大学 工藤 真弓 立命館大学 本研究目的は、MEMS技術およびナノ加工技術を用いて「電界効果トランジスタ(FET)型ナノバイオデバイス」を開発することにより、同デバイス内で生じる抗原抗体反応を電荷信号として検知する、新規なラベルフリー・タンパク分析技術を確立することである。
本研究で提案するデバイスは、新規なライフサイエンス・ツールとして活用できるだけでなく、将来のバイオエレクトロニクスへの発展も期待できるデバイスである。
668 牛乳をベースとする新規機能性調味液の製造法の開発 若山 守 立命館大学 松田 文雄 立命館大学 食は生の源であり、健康な生活を送るうえで最も基本となるものである。近年、食に対して、美味しさはもちろんのこと、基本としての栄養に加えて付加的な機能を付与した機能性健康食品が人気を集めている。本応募課題では、生産調節が難しく、余剰生産においては廃棄処分せざるを得ない状況にある牛乳の有効活用技術として、牛乳をベースとする発酵調味液の生産法の開発を行うことを目的としている。牛乳をベースとすることにより、これまでにない風味を持つと共に、牛乳に含まれる機能性成分を十分に保持した日本発の西洋料理に適した機能性調味液を創出することを目標にしている。
688 一次元ホール輸送材料としての色素修飾アミロース-ヨウ素包接錯体の開発 森末 光彦 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 従来の色素増感型太陽電池では、還元剤として使用されるヨウ素の拡散過程を伴いながらバルク電解質溶液中をホール輸送することで増感色素の還元を行っていた。ここではヨウ素を配列させることによって、ホール輸送の高効率化を達成することを目標とする。 第一段階として本研究ではヨウ素がアミロースの螺旋構造に包接されて一次元に配列する「ヨウ素-デンプン反応」として知られる着色反応に着目し、太陽光の受光部位となる色素を修飾したアミロースを新規に合成し、 これとヨウ素との包接錯体の組織化を行う。
708 伝統織物手法を用いたウェアラブル回路構成法の検討 黒田 知宏 大阪大学 河島 俊一郎 科学技術振興機構 近年様々なウェアラブル情報システムの提案・構築が行われているが、機器間の配線や無線通信用電源装置の重量などのために必ずしも容易に装用できるようにはなっていない。ウェアラブル機器実用化のためには、布上に実現された電気配線上に個別機器を設置することで、衣類と一体化した機器とする必要がある。本研究では導電性・非導電性の繊維と伝統織物の技法を適用して布自身に自由に回路を織り込める技術の確立を目指す。
714 光機能分子における励起ダイナミクスの精密解析と理論テクノロジー 江原 正博 京都大学 是成 幸子 京都大学 次世代の発光素子として期待される有機EL分子の光電子過程について、精密な量子化学理論に基づく研究を行い、光励起ダイナミクスと光物性との相関を明らかにし、新規の高効率な光機能分子を理論設計する。また、生体光化学センサーとして有用な蛍光プローブ分子の光電子過程とその溶媒効果を明らかにし、蛍光発光の定量的な理論制御を行う。
719 ハイパワーリチウムイオン電池用CNF-酸化物複合負極材料の開発 安部 武志 京都大学 是成 幸子 京都大学 ハイブリッド自動車用リチウムイオン電池には、高出入力特性と高サイクル特性が求められる。これらの要求を満たすため、静電噴霧熱分解法を用いて1ステップで数十〜数百ナノメートルサイズの酸化物微粒子をカーボンナノファイバー上に析出させた複合負極材料を開発する。この複合負極材料によれば、リチウムイオンの拡散パス、電荷移動抵抗および電極の電子抵抗を同時に低減し、電池の高出入力化を図ることができる。また、酸化物として高電位を示すものを用いることにより、電解液の還元分解を抑制し、長寿命化も図る。
744 太陽熱エネルギーを利用した熱音響冷却システムの基礎検討 坂本 眞一 同志社大学 蔵野 慎介 同志社大学 熱エネルギーと音エネルギーの相互変換現象である熱音響現象を応用し、太陽熱エネルギーを利用した熱音響冷却システムの基礎検討を行う。本システムは新たに電気エネルギーを投入すること無く、また、非常にシンプルで耐久性の高いものとなる。本試験研究では、太陽光エネルギーをシステムに入力し、駆動させる方法の検討を行う。@太陽熱エネルギーを集める方法:集光パネルやレンズの設計、A太陽光エネルギーを入力させる方法:熱交換器の設計、を確立する。その方法を用い、B試作システムを駆動させることを目標とする。
745 合成同時焼結による高強度を有する緻密なサイアロンセラミックスの開発 廣田 健 同志社大学 中尾 敦信 同志社大学 サイアロンセラミックスは高強度、高硬度、耐熱性、耐食性等の秀れた特性を有するが、難焼結性であるため緻密な材料が得られにくい。また、絶縁性であり、密部品作製用の放電加工が採用できなかった。本研究では、合成同時焼結法により混合原料粉体から直接サイアロンを合成し、かつ、電気伝導性の高いカーボンナノファイバー(CNF)をサイアロンマトリックス中に均一に分散させて、上記課題を一挙に解決するものである。
754 帯電臓器に対するMRI造影剤の最適投与システムの開発 池田 耕士 関西医科大学 大野 安男 科学技術振興機構 MRI検査で用いる造影剤の造影効果は臓器の荷電状態が関与している可能性がある。例えば陽性に荷電した内耳器官である蝸牛は造影剤の血管透過性に影響を及ぼしているという仮説が提唱されている。本提案では荷電状況の異なる造影剤を用いてモルモットおよび健常ヒトの蝸牛を撮影し、造影挙動の変化を検討する。帯電臓器に対する安定した造影MRI検査法のデータベースを構築することが将来の目標である。
757 多孔質アノード酸化膜を利用した脱臭触媒材の開発 藤野 隆由 近畿大学 阿部 敏郎 科学技術振興機構 アノード酸化皮膜の膜厚を自在に制御でき、300mm以上の厚い膜を短時間で形成可能な技術で、10m2/g以上の多孔質で大表面積を有する皮膜の作製に世界で初めて成功した。この皮膜を交直ハイブリッド二次電解することで、孔中にマンガンやルテニウムなどの金属の任意量を析出させることができ、その後、熱処理することで高性能脱臭剤の開発が可能となる。
762 生分解性フォトニック結晶の開発とナノリリザーバーデバイスへの応用 藤島 武蔵 近畿大学 松本 守 近畿大学 フォトニック結晶のひとつである反転オパール型多孔質体を生分解性高分子を用いて作製できることが明らかとなっている。この生分解性フォトニック結晶は、サイズ制御されたマクロ孔の3次元周期配列構造により、特定波長の電磁波を回折する性質(構造発色性)を有する。本研究では、新規に生分解性・生体親和性に優れた生分解性フォトニック結晶を作製し、光機能をもつナノリザーバーデバイスへと応用する。
796 多孔性中空炭素シェルに内包させた金属ナノクラスター触媒の合成 池田 茂 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 本研究では、代表研究者が最近独自に見出した新しい固体触媒の形態であるPtナノクラスター(PtNC)を内包する多孔性中空炭素の合成手法を、十分な収量が得られる方法に転換するとともに、さまざまな金属ナノクラスターに拡張することで一般化を図る。これにより、凝集不安定で、かつ回収再使用が不可能であった金属ナノクラスター触媒を、安定で回収再使用が容易な有機合成用の固体触媒へと変換させ、汎用性ある新規固体触媒ライブラリ構築のための基礎技術を確立する。
821 磁気的機能を付与した均一分散金属ナノ粒子含有コーティング樹脂材料の開発と応用 山内 智央 大阪大学 樋口 堅太 大阪大学 ナノ粒子の粒径制御や、凝集なく高分子樹脂中に高分散させることは非常に困難であり、簡便な方法で金属ナノ粒子が均一分散したポリマー系ナノコンポジット材料が求められている。当グループ゚は、マイクロ波加熱による金属ナノ粒子の迅速かつ簡便な合成法や粒径制御された単分散ナノ粒子合成に関して多数報告してきた。今回、それらの知見を活用することで、導電性、磁気的特性を必要とする電子材料用途へのポリマー系ナノコンポジット材料において応用を図る。
828 高機能・高活性を有する金属/TiO2ウニ状微粒子光触媒の開発 日置 亜也子 大阪府立産業技術総合研究所 武井 廣見 科学技術振興機構 申請者らはこれまでに、針状TiO2微粒子の一端を一点に束ねた構造(ウニ状構造)を有する高活性微粒子光触媒を開発している。本研究では、これに金属ナノ粒子を複合化させて、1. より高い触媒活性(複合化による触媒活性 20 %向上)、2. より大きい体積(より小さい粒子密度)(粒径1〜10μm程度)を有する高ハンドリング性、という相反する特長を有する金属/TiO2ウニ状微粒子光触媒を開発し、大気・水質浄化材への利用を目指す。
838 キシロース及びその重合体を代謝する休眠遺伝子発現菌株の育種 岸田 正夫 大阪府立大学 下田 忠久 大阪府立大学 農産及び木質廃棄物のバイオエネルギーなどへの再資源化にはセルロースと並んで多量に含まれるキシロース及びその重合体を代謝できる微生物の育種が重要である。酵母菌のゲノム上にはペクチン分解酵素の休眠遺伝子の存在が示唆されており、キシロース及びその重合体を代謝する酵素群についても休眠遺伝子として持つ微生物の可能性が示唆される。本研究ではこれらのキシロース及びその重合体代謝酵素の休眠遺伝子発現突然変異体を育種し、有効活用することを目的とする。
847 超臨界二酸化炭素を用いた新規な高機能性化粧品の設計 綿野 哲 大阪府立大学 巴月 康彦 大阪府立大学 本研究では、超臨界二酸化炭素を用いて、化粧品に使用できる基材粒子の微粒化と、無機・有機系紫外線遮蔽剤との複合化、さらに、抗酸化作用、消炎・抗炎症作用、保湿などに有効な種々の有効成分のナノカプセル化などの複合化を試みるとともに、複合化のメカニズム、粒子物性の制御法などに関する科学的な検証を行う。さらに、本手法により設計された複合化粒子の化粧品としての特性を評価し、高効率な製造方法の確立を目指す。
849 貴金属・磁性体複合型ナノ触媒の開発 水越 克彰 東北大学 武井 廣見 科学技術振興機構 超音波還元法を用いて貴金属イオンを還元し、微小かつ均一な粒径分布を有するナノ粒子として磁性酸化鉄の表面に固定化して、高活性を示す触媒の調製を行う。磁場によって回収した触媒の活性を再度評価し、繰り返し使用においても高活性を維持できる触媒の開発を目指す。
870 キャリヤー輸送膜とガス吸収法のハイブリッド化による高効率ガス分離法の開発 松山 秀人 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 透過物質と選択的に反応する物質(キャリヤー)を組み込んだキャリヤー輸送膜は、ヘモグロビンの酸素輸送に代表される生体機能を模倣した機能性膜であり、極めて高い選択性と透過性を示す。例えば燃焼排ガス中のCO2を分離・回収する場合、CO2と選択的に反応するアミン類をキャリヤーとして用いると、CO2の効率的な分離・濃縮が達成できる。ここでは、中空糸膜(キャピラリー膜)を多数束ねたキャリヤー輸送膜を用い、ガス分離系への適用を検討する。
875 生体自己組織化構造リポソームの高収率生成法の開発 鈴木 洋 神戸大学 中井 哲男 神戸大学 本研究では生体自己組織化構造であるリポソームの高収率生成法を確立する.リポソームはリン脂質膜に空洞を有し,この構造を利用してドラッグデリバリーシステムへの応用が期待されている.その目的のためには,毛細血管を流動させるためのリポソームサイズが限定的に求められる.しかしながら,従来のリポソーム生成法では,サイズ分布が広く,要求されたサイズに対する収率が非常に低い.本研究では,サイズを制限するマイクロ流路内での生成法を確立し,高収率リポソーム製造法に関するシーズを確立するものである.
882 インクジェットプリンター用フォトクロミック色素の開発 山口 忠承 兵庫教育大学 大内 権一郎 神戸大学 可視光や紫外光照射によって可逆に色が変化する材料はフォトクロミック材料と呼ばれている。中でも有機材料であるフォトクロミックジアリールエテン誘導体は、光照射によって着色と消色の反応を1万回以上繰返すことの可能な材料である。現在、学術的研究は盛んであるがこの材料の実用化は進んでいない。本課題では、実用化に向けて紙媒体に親和性を持つ水溶性フォトクロミック染料への材料転換技術に関する研究を行う。
886 カーボンナノチューブを用いた高発電効率燃料電池電極の開発 佐野 紀彰 兵庫県立大学 山口 學 兵庫県立大学 固体電解質型燃料電池に用いる電極を,カーボンナノチューブを用いて作製する。特に本研究では,カーボンナノチューブの表面にPtナノ粒子を担持させる技術を開発する。カーボンナノチューブの成長条件およびPtの担持の条件を最適化し、Pt質量あたりの発電効率が従来のPtナノ粒子担持炭素粒子を使用した電極と比較して約100倍以上になるように向上させることを目標とする。
887 セルロースナノファイバーで木材由来熱硬化樹脂を強化したバイオマス複合材 岸 肇 兵庫県立大学 山口 學 兵庫県立大学 再生可能であり二酸化炭素排出削減に寄与する植物バイオマスの有効利用が求められている。本研究では木質バイオマスを原料に用い合成した樹脂をバイオマスファイバーにて強化した複合材を創出する。より詳細には、木質バイオマスの特定成分を単離処理せず全成分を樹脂原料に用い、そのバイオマス由来樹脂をセルロースナノファイバーにて強化し、バイオマス成分を6割以上含有する高強度・高剛性グリーンコンポジットを目指す。調製された複合材は、高付加価値なバイオマス材料になると期待する。
895 高い親和性を有する蛍光性亜鉛イオンキレーターを用いる生細胞解析 三方 裕司 奈良女子大学 藤野 千代 奈良女子大学 近年、生きた細胞内に存在する情報伝達物質を蛍光で検出するためのプローブが盛んに開発されている。情報伝達物質の動態を高い空間分解能と高い時間分解能で測定するためには、目的にあった化合物の合成研究と、蛍光顕微鏡を駆使した研究との融合的な取り組みが不可欠である。本研究計画は、申請者の合成化学的知見を活かし、生物学者との共同研究により、細胞内での複雑なダイナミズムを高い空間および時間分解能で視覚化するプロジェクトである。
900 蛋白質活性状態の新規構造解析法の確立と基盤整備 上久保 裕生 奈良先端科学技術大学院大学 戸所 義博 奈良先端科学技術大学院大学 蛋白質の機能を解析する為には、溶液条件下で生じる蛋白質の動的構造変化を明らかにすることが本質的である。X線溶液散乱測定法は、溶液中に存在する蛋白質の構造情報を抽出することができる手法として、古くから活用されてきた。しかしながら、従来、解析に用いることができる散乱曲線は、原点近傍の小角領域に限られており、空間分解能の制限から蛋白質の骨格構造を解析することは不可能であった。本研究では、特に、蛋白質の生理機能発現過程に注目することにより、蛋白質の生理活性状態の骨格構造を解析する、全く新しい手法を確立し、その応用を可能とする基盤を整備していくことを目的とする。
1008 遺伝子発現データの視覚化によるオーダーメイド医療の実現に関する研究 宮本 貴宣 山口大学 森 健太郎 山口大学 本研究は、American Association for Cancer Research 97th Annual Meetingにおいて公表したマイクロアレイの可視化手法の利用に関するものである。本可視化手法を利用することで疾患の予後予測(たとえば、癌の1年以内の再発予測)を実現することが可能になると考えられる。GUIベースの疾患の予後予測システムを構築することで、情報工学の専門知識のないものであっても操作できるシステムを提供する。
1024 機能性シリカナノ粒子を用いた放射線変色材料シートの開発と応用 三好 弘一 徳島大学 土取 孝弘 テクノネットワーク四国 病院等の医療現場や原子力発電所の作業現場などで、不用意な放射線被曝を防止するために、0.01Gy程度の低線量放射線をリアルタイムに、かつ広い面積で検出できるものを開発しようとするものである。具体的には、今回開発しようとしている「機能性シリカナノ粒子」が放射線に照射されると化学変化で金微粒子を生成させ着色することを利用して、放射線の存在を検出しようとするものである。なお、この機能性シリカナノ粒子をシート面に塗布できるようにすることにより、大きな面積を有する場所でも検出が可能となる。
1109 銀含有多機能高付加価値ハイブリッド材料の開発と応用 米村 俊昭 高知大学 島崎 たどる 高知大学 これまでの材料開発の多くは、作用機序の違いから、複数の機能を持たせるためには別々の物質を利用せざるを得なく、さらに加工法や耐久性に制限があることも製品開発の大きな課題となっている。我々の開発した銀含有ハイブリッド材料は、これらの問題点を改善し、微量で効果を発揮し、長寿命で、複数の機能を兼ね備えている。本研究では、これまでに開発したハイブリッド材料に改良を施すことにより、 性能や利便性の向上を図るとともに、様々な材料への加工性について検討する。
1137 生体挿入型生体レドックス計測共振器の開発 市川 和洋 九州大学 山本 英樹 九州大学 本研究では、局所生体レドックス(酸化還元状態)を非・低侵襲的画像化するために、生体挿入型生体レドックス計測用共振器の開発を目的とする。具体的には、生体挿入に適した共振器の共振方式の検討、最適被覆材料の探索、感度・形状特性解明を行なう。また、これら検討に基づき製作した共振器を動物モデルへ応用し、その有用性を検証する。本共振器は、生体への留置・挿入により局所生体レドックス評価を可能とし、胃潰瘍あるいは消化器系のレドックス疾患局所解析などへの応用が期待される。
1149 細胞センシング機能を有する糖鎖修飾金ナノ粒子の開発 北岡 卓也 九州大学 深見 克哉 九州大学 糖鎖は細胞の接着・分化誘導・免疫等に関わるシグナル伝達を司り、生体システムにおいて重要な役割を果たしている。この糖鎖機能を生体外で利用するには、1つでは弱く特異性の低い相互作用を増幅させる「糖鎖クラスター化」が必須である。我々は、構造性糖鎖β-D-Glc1→4-D-Glcユニットの合成とAu(111)表面への集密化について独自技術を有している。これを駆使して、構造性糖鎖素子を介して生体機能糖を密に表面修飾した金ナノ粒子を合成する。これにより、糖鎖との相互作用で細胞をその場センシングする新規ナノバイオセンサーを開発し、細胞工学分野で薬物アッセイ等に有用な新材料創出を目指す。
1152 新規ポルフィセン光増感剤の合成とハイブリッド触媒の開発 嶌越 恒 九州大学 西川 洋行 九州大学 一重項酸素は、有機合成反応や光線力学療法(PDT)など様々な用途に用いられており、高効率な一重項酸素発生試薬の開発は学術的にも産業的にも高ニーズな研究課題である。本研究では、一重項酸素の発生剤として、可視部に強い光吸収帯を有するポルフィセンに着目し、ポルフィセン環骨格に様々な置換基を導入すること及び金属と錯形成(Pd, Zn など)させることで、可視光照射でほぼ100%の量子収率を示す光増感剤等を開発する。
1162 ナノチューブ状シリカの効率的な製造に関する研究 野見山 加寿子 福岡県工業技術センター 山口 雅裕 福岡県工業技術センター 界面活性剤と芳香族化合物とが、水中で形成するひも状分子集合体をシリカ合成の鋳型とすることにより、ナノ細孔をもつチューブ状シリカを製造する。これまでは、大量合成を試みた際に、得られるシリカの収率や比表面積等の特性が安定しなかったため、応用展開への妨げとなっていた。合成段階での鋳型となる分子集合体の安定な生成条件、シリカ前駆体との最適な反応条件を明らかにして、ナノチューブ状シリカの効率的な製造方法の確立を目指す。
1166 有機溶剤を用いないナノ分散塗装システムの開発 三島 健司 福岡大学 坂本 弘明 福岡大学 有害なトルエンなどの有害化学物質(VOC)を大気中に大量に放出する従来の塗装技術と異なり、超臨界二酸化炭素をトルエンに代わる機能性溶媒として利用することで、VOCの劇的な削減を可能とする超臨界二酸化炭素ナノ塗装技術を開発する。本研究では、超臨界高速攪拌技術を塗装技術として活用することで、トルエンなどの有害有機溶媒を利用しない環境にやさしい塗装技術が開発され実用化が可能となる。
1195 電気化学−触媒ハイブリッドに基づく飲料水用硝酸性窒素浄化技術 町田 正人 熊本大学 水野 優子 熊本大学 高分子固体電解質膜/電極複合素子への通電によって、電極触媒表面に活性な水素種を生成させ、その還元作用を利用して、飲料水(地下水)中に含まれる有害な硝酸性窒素を選択的に窒素ガスへと浄化する。反応機能および触媒作用に及ぼす通電効果のメカニズム解析と電極触媒のナノ構造設計を通して浄化性能を向上し、阻害因子の解決を図る。世界中で待望される小型、低コストの浄水器への応用を目指したメンブレンリアクタの基礎を確立する。
1197 カーボンナノチューブ合成基板電極を用いた直接電子移動型バイオ電池の作製 冨永 昌人 熊本大学 水野 優子 熊本大学 生体分子(タンパク質や酵素)と電極間の直接的な電子移動反応において、カーボンナノチューブ(CNT)が優れた電極として機能することを見いだしつつある。しかしながら、その再現性と安定性に未だ問題がある。本研究では、再現性の良さと安定性を兼ね備えた酵素固定化CNT基板電極を作製することで、高出力な直接電子移動反応型酵素電池を開発する。課題達成により、アウトプット電位の大幅なロスのないバイオ電池、生体内の各種酵素を用いた様々な酵素センサーの開発に応用できる。
1220 過酸化水素によるアルケン類の高性能エポキシ化光触媒の開発と応用 白上 努 宮崎大学 石川 正樹 宮崎大学 エポキシ化合物は様々な有機合成材料の中間体として大変重要な化合物である。工業的にはアルケン類からの塩素法並びに有機過酸化物法による合成法が主流であるが、環境リスクの面から考慮すると、今後は脱塩素あるいは脱過酸化物による合成方法の確立が早急に望まれている。申請者は過酸化水素を酸素源とするシクロヘキセンの高選択的エポキシ化反応を誘起する可視光触媒の開発に成功している。本研究では、開発した光触媒系を用いて付加価値の高いエポキサイドの合成への適用を検討し、実用化を指向した高性能エポキシ化光触媒プロセスの構築すると共に、Eファクターの低い環境に配慮したエポキサイド合成法の開発を目指すことを目的とする。
1230 ナノ・マイクロ粒子を混合した高熱伝導・電気絶縁性樹脂材料の開発 小迫 雅裕 鹿児島工業高等専門学校 中原 義毅 鹿児島工業高等専門学校 本課題は、熱伝導性および電気絶縁性の双方を同時に向上させることができる新しいポリマー複合材料の開発を目的としたものである。ポリマー材は汎用的なエポキシ樹脂を選定する。通常のミクロンサイズの無機フィラー高充填エポキシ樹脂にナノサイズの無機フィラーを少量添加することで、複合材料の熱伝導率と絶縁破壊強度の大幅向上を目指し、試料創製(フィラー種類および配合率の検討)および特性評価を一貫して実施する。
1247 絶縁基板上薄膜トランジスタのための製膜と結晶化後の基礎評価に関する研究 野口 隆 琉球大学 伊良部 忠男 琉球大学 要素研究として、製膜およびその解析評価技術を確立をする。また、TFTの高性能化(チャネル、電極)のための熱、レーザー、結晶化実験を、外部研究機関の協力を得て推進する。特に、製膜と熱処理の基礎データ取得に注力し、その後の素子研究の土台とする。具体的には、製膜装置や実験装置など導入、準備しつつ、高純度のアモルファスSi製膜、Si中への不純物のドーピング、結晶化後の電気的特性と結晶性の解析を行ない、素子性能に関連する条件、基本的な導電機構と結晶化との関連などについて検証する。

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 表面加工、成膜:36件

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
10 バイオアルコールによるAl合金の腐食挙動とその防食表面技術の開発 世利 修美 室蘭工業大学 加賀 壽 室蘭工業大学 自動車用エネルギーとしてのバイオアルコールによるエンジン部材等の自動車部品の腐食劣化が指摘されている。アルミニウムの腐食に対しては、表面の不純物金属間化合物が有害である。この金属間化合物相の除去がアルミニウムの防食に一義的に有効である。本研究はアルミニウム部材の防食技術の実用化を目指す視点から、バイオアルコールによる腐食反応のメカニズムを実験的に調べ、その発生条件を解明し、劣化防止のための実用的な表面処理技術の研究開発を行う。具体的には、アルミニウムの表面皮膜を不連続にしている金属間化合物を選択的に除去し、表面に陽極酸化皮膜あるいはめっき処理を施し防食する。上記の方法を複合化し、アルミニウム表面の耐バイオアルコール防食技術に関する実用化の見通しを得る。
43 耐摩耗性向上を目指した新規熱プラズマCVD法によるTiN−基板上への硬質酸化物コーティングの技術開発 清野 肇 北海道大学 佐藤 完二 科学技術振興機構 金属切削工具において,環境問題や高効率化の観点から高温(〜1000℃)での性能維持が課題となっており,工具表面のTiNコーティングへの高温酸化対策が求められている.本研究では切削工具の耐熱性向上を目的に,熱プラズマCVD法においてアルコキシドを前駆体,水蒸気を酸化剤として用いることで, TiN膜を酸化させずにその上に遮熱および耐酸化性能を持つ硬質酸化物をコーティングする技術の確立を目指す.
87 固体電解質膜作製のためのドライプロセス技術の開発 阿部 良夫 北見工業大学 内島 典子 北見工業大学 電子機器の超小型エネルギー源として期待される薄膜バッテリーや薄膜スーパーキャパシタには、高イオン伝導性の固体電解質膜が必須である。本研究では、代表的なドライプロセス技術であるスパッタリング法において、水蒸気を反応ガスとして用いることで、プロトン伝導性のTa2O5固体電解質膜を作製する。
99 医療用樹脂基材への新規多層構造DLC薄膜コーティング 中澤 日出樹 弘前大学 工藤 重光 弘前大学 体内で使用される医療用樹脂製器具の開発にあたり、材料に生体適合性、すなわち生体組織や血液との低い反応性、および優れた表面潤滑性・耐摩耗性を保持させることがきわめて重要な課題である。本研究では独自に開発したプラズマ化学気相成長装置を用いて、樹脂など熱に弱く変形しやすい基材に対し、新規に開発したダイヤモンドライクカーボン(DLC)多層構造により、DLCの優れた特性を生かしながらも膜剥がれが生じ難い実用可能なDLCコーティング技術を開発する。
192 高圧二酸化炭素処理による高導電性高分子薄膜作製技術の開発と応用 寺境 光俊 秋田大学 森川 茂弘 秋田大学 導電性高分子は基礎・応用両面から近年再び注目を集めている新素材であるが、化学的安定性や伝導度の低さが実用上の問題点である。申請者は、導電性高分子膜を高圧二酸化炭素/有機溶媒混合系で処理することで膜の電導度を10-500倍高くできることを見いだした。この新知見を元に高い電導度をもつ導電性高分子膜を作製し、等価直列抵抗が従来品の1/10となる高性能電解コンデンサ作製への基礎的知見を得る。
198 高機能めっき皮膜を用いた信頼性の高い電子基板の開発 三井 俊明 山形県工業技術センター 仁藤 庸一 山形県工業技術センター 電子部品の表面実装には無電解ニッケル−リン/金めっきを施したプリント配線基板が多く用いられているが、近年のはんだの鉛フリー化に伴い、めっき上でのはんだはじき、接合不良等の問題が多く発生している。本研究ではこれらの問題を解決するため、鉛フリーはんだとの接合信頼性の高い新たなニッケル−リンめっき皮膜を開発する。また、このめっき技術を用いて信頼性の高い車載用電子基板の実用化を目指す。
218 有機酸を含むハフニア複合膜による高耐久性・高滑水性表面材料 西出 利一 日本大学 志村 夏美 日本大学 本研究では、環境に優しい水溶液プロセスを用いて、高硬度で撥水性を有し,かつ高耐久性と高滑水性を備える表面機能性材料を開発することを目的とする。具体的には、ゾルーゲル法により,有機酸を含むハフニア−有機複合ゾルの作製プロセスを確立する。ついで、そのゾルを用いて得られたハフニアー有機複合膜の構造や組成を解析するとともに表面機能を調べる。
224 硬質微粒子分散めっきによるマイクロ金型の高硬度化技術の開発 三瓶 義之 福島県ハイテクプラザ 大河原 薫 福島県ハイテクプラザ 本研究はフォトリソグラフィーと電気めっきの組み合わせにより作製するマイクロ金型の硬度を上昇させる研究である。粒径1μm以下の炭化タングステン(WC)微粒子を数十μmオーダーの微細めっきパターン中に分散させることで、従来のマイクロ金型に比べて大幅に硬度を上昇させることを目標とする。本研究でマイクロ金型の高硬度化技術が確立されれば、マイクロ金型による加工の適用範囲および耐久性を向上させることができる。
275 シルクフィブロインを用いる幼児の知能開発フィギュア商品の開発 河原 豊 群馬大学 上石 洋一 群馬県 幼児の知能開発分野でプラスチック製のフィギュアが用いられているが、幼児への化学物質汚染が危惧されるため、より安全な素材で出来ているフィギュアが求められている。そこで、安全な環境素材であるシルク由来の柔軟なフィブロインフィルムを知能開発フィギュアの表皮に展開して、上記の諸問題の解決を図る。また、フィルムの柔軟性とフィブロインに含まれる機能性アミノ酸に着目して、食品・医療分野への展開を進める。
292 機能性糖鎖を表面に配置したシリカ微粒子の簡便な合成法の開発 照沼 大陽 埼玉大学 望月 弘章 埼玉大学 近年、糖鎖が生体内でさまざまな機能を発揮していることが明らかとされている。その機能は糖鎖単体ではきわめて微弱であるが、糖鎖を高密度に集積化することにより3桁ほど対象物質に対する親和力が向上する現象があり、その現象は「糖鎖クラスター効果」として知られている。糖鎖クラスター効果を発揮させるため高分子側鎖に糖鎖を導入する方法は多数報告されているが、我々はこれまで独自な発想によりカルボシランデンドリマーを使用する方法を開発してきた。本研究では、より合成が容易で糖鎖クラスター効果に加えて、発光性、磁性等を個別あるいは同時に発揮可能なガラス微粒子の作成法を提案し、その手法を確立することを目指す。
310 シリコン基板一体の貴金属多孔質層の形成とその応用 早瀬 仁則 東京理科大学 原谷 裕三 東京理科大学 多孔質シリコンをPt多孔質へ改質出来ることを見出し,この多孔質層を触媒層とする新しい薄型燃料電池を提案・試作してきた.シリコン基板と触媒層が一体であるため,従来型に必要な触媒層保持構造は必要ない.本研究では AuやPdの多孔質層を形成し,その上に微量のPtやRuを析出させることにより,希少貴金属使用量を抑えた基板一体型の触媒層を形成し,この触媒性能の向上を目指す.
351 高分子エレクトロニクスデバイスへ向けた薄膜パターンの無溶媒形成技術 臼井 博明 東京農工大学 田中 公 東京農工大学 高分子デバイスの開発には高分子薄膜の微細パターンを形成する必要があるが、フォトリソグラフの手法を適用することは困難である。そこでモノマーの物理蒸着と光照射による重合を組み合わせ、高分子薄膜パターンを無溶媒で形成する、新規真空ドライプロセスを開発する。すなわち機能性モノマーを光重合開始剤と組み合わせて蒸着し、光照射部分のみに選択的に高分子薄膜を成長させ、真空中ワンバッチで製膜及びパターン化を行う。
397 ダイヤモンド薄膜の環境制御化学研磨技術の開発 西口 隆 新潟大学 小田原 勝夫 MMS ダイヤモンド薄膜のローカル結晶方位に依存しない、グローバル平坦化化学研磨条件の確立を目的とし、現在実用化されているダイヤモンド多結晶薄膜を対象にした最適化学研磨条件を研磨雰囲気の制御により明らかにする。
426 高窒素含有・超硬質アモルファスカーボンナイトライドの創製 伊藤 治彦 長岡技術科学大学 福島 忠男 長岡技術科学大学 本研究課題は高窒素含有・高硬度を合わせ持つアモルファス窒化炭素(a-CNx)薄膜の形成を目的とし、以下の研究を行う。a-CNxの形成方法として、ArのプラズマフローによるBrCNの分解反応で生成したCNラジカルを基板上に堆積させ、同時に、外部から別のRF電源を用いて基板ステージにRFバイアス電圧を印加する。電子とイオンの移動度の違いによって基板上に負の直流成分が現れ、イオン(主にAr+)が引き付けられて膜表面を衝撃、結合改質を生じさせる。目標は硬度40 GPaを上回るa-CNxを再現性よく形成させることである。
471 高硬度ナノ炭素膜中の水素含有量を制御した長寿命切削工具の開発 安井 治之 石川県工業試験場 塚林 和雄 石川県産業創出支援機構 従来のダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜は、2000HV程度の低い硬さと膜中に多くの水素を含むことから、アルミ合金に対して摺動特性には優れるが、耐摩耗特性が低く、切削工具としての利用は困難であった。そこで、DLCとナノダイヤモンドを多層化したハイブリッドナノダイヤモンド(HND)膜や水素フリーDLC膜などの高硬度ナノ炭素膜中の水素含有量を共鳴核反応分析法を用いて定量評価し、その含有量や硬さを制御した長寿命切削工具を開発する。
513 超臨界二酸化炭素を用いた溶体噴霧法による有機半導体薄膜創製技術の開発 内田 博久 信州大学 藤井 國久 信州大学 本技術は,超臨界二酸化炭素に有機半導体原料を溶解させた溶体を,微細ノズルを通して基板に噴霧し基板上で結晶粒を薄膜成長させることにより有機半導体薄膜を創製するものである.高分子を始めとするあらゆる基板に対して簡単に高品質の有機薄膜を創製することができ,かつ環境調和型・省エネルギー型技術である.本課題では,試験レベルがほぼ終了した本技術の電子産業分野での実用展開を目指して,「技術の汎用性の強化」と「薄膜の自由設計の実現」を目標とする.
571 合金選択酸化法による表面改質技術の開発 北岡 諭 ファインセラミックスセンター 安田 匡一郎 中部科学技術センター 本研究では、熱力学平衡計算を基に予測した酸素分圧下において、耐熱性鉄基合金に含まれる所定の成分のみを選択酸化させることにより、合金表面にAl溶湯に対して耐久性に優れる酸化物膜を形成する技術を開発する。本技術で得られる酸化物膜はAl溶湯に対し優れた非濡れ性と耐摩耗性を合わせ持つことから、Al鋳造用治工具の耐久性の飛躍的向上とメンテナンス費用の大幅削減、並びに、鋳造製品の品質向上を達成することが期待できる。
592 プラズマ溶射法による窒化アルミニウム皮膜作製技術の開発 山田 基宏 豊橋技術科学大学 松井 一雄 豊橋技術科学大学 窒化アルミニウムは安定した溶融状態を持たない材料であるため、原料の溶融を前提とする溶射法による皮膜作製は不可能とされてきた。これに対し、本研究では金属原料粉末とプラズマとの反応を利用した反応性プラズマ溶射法を用いて成膜を試みる。特に、原材料をアルミニウム/窒化アルミニウム複合粉末とするなどの工夫を施し、窒素プラズマとの反応を用いて最終的に窒化アルミニウム皮膜を形成するプロセス開発を行うものである。
593 フィルタードアークプラズマビームによる細管内壁へのスーパーDLCコーティング 滝川 浩史 豊橋技術科学大学 村田 勝英 豊橋技術科学大学 燃料インジェクションノズル、樹脂成形ノズル、あるいは造糸ノズルなどでは、細管内に摺動性耐磨耗コーティングを施すことが望まれている。摺動性耐磨耗コーティングとしては、無潤滑で摩擦抵抗が極めて低く、高硬度で、かつ相手攻撃性が低いダイヤモンドライクカーボン(DLC: Diamond-Like Carbon)膜が望まれている。本研究では、磁界によって制御したビーム性高純度カーボンプラズマを用いて、細管内にDLC薄膜を形成する技術を確立する。
612 導電性を有する耐摩耗性DLCコーティング法の開発 大竹 尚登 名古屋大学 安田 匡一郎 中部科学技術センター 本研究は、代表研究者らの開発した「セグメント構造DLC膜」を発展させ、具体的には従来の連続膜に対して碁盤の目の構造を有するDLC膜を形成し(セグメント構造)、さらにこの溝部に金属を導入することにより、導電性を有し、かつ高い耐摩耗性を有するDLC膜を開発する研究である。既に基礎的試験でセグメント構造にすることにより摩耗が改善されること、及びその原因がアブレシブ摩耗の低減であることが確認できており、自動車部品や機械部品等、導電性が必要不可欠で、かつ高い耐摩耗性性能が要求される幅広い部材への適用が期待される。
623 フッ素樹脂のパルスプラズマ昇華によるガス無供給でのフッソ含有DLC成膜 上坂 裕之 名古屋大学 長谷川 健 名古屋産業科学研究所 フッ素含有DLC(Diamond−Like Carbon)は、DLC本来の高硬度・低摩擦・低摩耗といった良好な機械特性を備えつつ、C-F結合に起因する低表面エネルギー面を形成する。よって、次世代のDLCのひとつとして期待され、撥水膜、生体材料との付着を抑制する膜、金型と樹脂成型品との離型性を向上する膜などへの応用が期待されている。本研究では、フッ素系固体樹脂のパルスプラズマ昇華現象を利用した新しいフッ素含有DLC成膜法を提案する。提案方法は、従来のプラズマCVD法のようにガス供給の必要がなく、従って簡素な装置構成により低コストでフッ素含有DLC成膜が行える。
639 ナノ分子膜によるリサイクル可能な超はっ水繊維の開発 石崎 貴裕 名古屋大学 近藤 良治 名古屋大学 本研究では、膜厚1〜2nmの有機単分子膜の「疎水性官能基(ナノレベル)」と「繊維本来の凹凸構造(マイクロレベル)」の特性を融合させ、超はっ水性発現の必要条件である「ロータス効果」を巧みに繊維に導入し、「リサイクル可能な超はっ水繊維」の開発をめざす。ナノ分子膜を被覆した超はっ水繊維は被覆前の繊維と見た目に遜色が無いため、衣類、傘、布帛への応用展開が可能である。
649 パルス変調ガス導入方式によるナノ材料の精密成長制御プロセスの開発 佐藤 英樹 三重大学 伊坪 明 三重県産業支援センター 本研究では、化学気相成長(CVD)法によるナノ材料形成プロセスにおいて、リアクタ内へのガス導入にパルス変調を施すことにより、カーボンナノチューブ(CNT)等のナノ材料を、従来方法より高精度で成長制御することが可能な新規CVD方法の開発を目的とする。本方法により、リアクタ内へのガス流量制御を従来よりも精密に行うことが可能になり、これにより従来より精密なナノ材料形成プロセスの構築が可能となる。
710 全固体リチウム二次電池の電解質−電極界面のナノ構造設計 岸田 恭輔 京都大学 大浦 俊彦 京都高度技術研究所 リチウム二次電池の安全性向上策の一つとして、固体電解質を用いた全固体リチウム電池の開発が提案されている。この場合、電池特性は固体電解質−電極界面の構造に左右されるため、界面構造の制御が実用化には必須である。本研究では、様々な表面処理を施したペロブスカイト系固体電解質に正極を蒸着したモデル系を用いて、表面処理と界面構造ならびに電池特性の相関を解明することにより、ナノ界面構造設計による電池特性制御法の確立を目指す。
721 カーボンナノチューブを利用した高効率遺伝子導入アレイ 井上 祐貴 京都大学 中屋 百合恵 京都大学 本研究では、遺伝子機能およびその相互作用ネットワークを生細胞レベルで解析する技術として、カーボンナノチューブとエレクトロポレーションを組み合わせた新規な高密度・高効率遺伝子導入アレイの作製を目指す。エレクトロポレーション、つまり電気刺激による遺伝子導入の際、電極表面に修飾されたカーボンナノチューブ先端から電場が集中することにより、細胞に障害を与えることなく効率的に細孔が形成され、電極に位置特異的に担持された遺伝子を高効率に導入できると期待される。
770 高レーザー耐力光学素子応用のためのフッ化物系材料の複合的表面加工処理技術の開発 神村 共住 大阪工業大学 阿部 敏郎 科学技術振興機構 紫外レーザー光源の短波長化、高出力化では光学素子表面のレーザー損傷が性能向上の大きな障壁となっている。紫外域での表面レーザー損傷耐力の低下の原因は主に光学素子表面に形成されている表面変質層である。CaF2などのフッ化物系光学材料では石英ガラスより極めて優れた紫外透過特性を持つためにさらに高い表面レーザー損傷耐性の実現が期待できる。本研究では、新しい複合的表面加工処理技術を世界で初めてフッ化物系光学材料表面に応用することで、既存の石英ガラス光学系の4.0倍以上の超高レーザー耐力表面を実現する。
773 銀ナノ粒子の水溶液中調製と高分子素材への吸着技術の開発 藤原 裕 大阪市立工業研究所 武井 廣見 科学技術振興機構 粒径を制御した銀ナノ粒子の懸濁液を水溶液中でその場作製することを目的とし,金属イオン還元法などの簡便な手法を開発する。この懸濁液から銀ナノ粒子を高分子素材に高被覆率・高分散吸着させるために,ナノ粒子・高分子素材双方の表面修飾剤を開発する。吸着銀ナノ粒子を無電解めっき開始触媒として応用することを本試験研究の目標として,めっき反応に対する触媒活性の高い銀ナノ粒子の作製条件および吸着条件を明らかにする。
825 環境半導体β-FeSi2の高品質エピタキシャル膜成長への挑戦 瀧川 靖雄 大阪電気通信大学 彦坂 明宏 大阪電気通信大学 化学洗浄したシリコン基板を短時間でも空気中に暴露すると有機カーボン汚染が付着するがこの汚染をアルゴン雰囲気中で極端紫外光Arエキシマランプ光(波長126nm)を照射すると簡単に除去できることを見出している。この新技術と独自に開発した2段階溶融法によって作製した巨大ε-FeSiターゲットにArFエキシマパルスレーザーを照射してアブレーション種をシリコン基板と熱反応させることにより良質のβ-FeSi2エピタキシャル薄膜を作製する新技術である。さらにレーザーアニールを施してインターネット通信用発光材料に転嫁させる新技術の開発である。
937 新規OHラジカル発生系を利用した金属表面上の油汚れの超効率的除去技術の開発 今村 維克 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 金属材料の加工段階で付着した研磨剤や潤滑油などの油汚れを従来法の1/100以下のエネルギーで完全に除去する技術の開発を目的とする.洗浄原理としては,有機性汚れ物質が付着した金属表面上でのH2O2の電気分解によるOHラジカルの発生およびラジカル酸化反応(H2O2-電気分解)を応用する.本研究では,モデル油汚れを付着させた金属基板を種々の条件下でH2O2-電気分解洗浄したときの脱離過程を解析し,洗浄に要するエネルギーの大幅な削減を図る.
982 陽極酸化法における耐食性と装飾性に優れたマグネシウム皮膜の創生 矢吹 彰広 広島大学 伊藤 勇喜 広島大学 マグネシウムは比強度が高く,軽量なため,様々な分野で実用化研究が盛んに行われている。マグネシウムを使用する際の問題は耐食性と装飾性の両者を満たす表面処理が困難なことである。また,環境の問題から重金属やフッ素などを使用しない処理法が望まれている。本課題では有害物質を含まない処理液を用いてマグネシウムの陽極酸化を行い,耐食性と装飾性に優れたマグネシウムの創成を行う。装飾性については表面形状の制御技術の開発を行う。
983 コロイドテンプレート法を利用した中空ナノ粒子及びポーラス粒子の合成 Ferry Iskandar 広島大学 葛籠 勝彦 広島大学 中空粒子およびポーラス粒子は触媒特性、光散乱特性、断熱性といった特徴および耐熱性の特徴を持っており、様々の分野に応じて適用されている。しかし、今まで研究・報告された中空粒子とポーラス粒子の粒子径は、サブミクロンまたは数ミクロン以上のものがほとんどであり、応用分野が限られている。本研究では100nm以下の球形で単分散の中空ナノ粒子およびポーラスナノ粒子の合成方法を開発することを目的としている。また、合成された粒子の特性(触媒特性および光学特性などの物理的特性)の評価も検討を行う。
1028 DC−RF併用スパッタ法による光触媒アナターゼ型TiO2スパッタ薄膜の高速製膜法の開発と応用 富永 喜久雄 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 ガラス基板や壁面素材上にTiO2膜をコーティングするにあたり高速の膜作製法を開発し、膜の特性向上をはかる。その手法として、対向ターゲット式プレーナマグネトロンスパッタ法やアンバランスプレーナマグネトロンスパッタ法において、DC電源とRF電源を同時に印加し大電力をターゲットに投入できるようにする。このことで10−20分で1ミクロン厚さのTiO2を達成する。この技術をベースにして、光触媒性能の向上の要因について検討をしていく。
1037 ホログラフィック2光子造形法の開発と応用 早崎 芳夫 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 ホログラフィック2光子造形法は,空間光変調素子上の計算機ホログラムにより生成した複数のビームにより高スループットにナノ構造を形成できる手法である.2光子造形法が,数十ナノメートルの高分解能で3次元マイクロ構造物を作製できることは広く知られている.課題は,加工スループットやエネルギー利用効率の向上である.提案手法は,作製構造物に応じた計算機ホログラムを設計することにより課題を克服する.
1084 液体中高密度プラズマ処理による高機能性表面繊維製造法の研究 豊田 洋通 愛媛大学 鈴木 貴明 愛媛大学 液中プラズマは、液体中の泡の中で高密度プラズマを発生させたものである。プラズマは液体中の泡で包含されているので、基材表面にそのプラズマを接触させても、液体の効果により基材表面が熱から保護される。本研究では液体中の高密度プラズマを、繊維基材に接触させ、繊維基材表面を熱的に損傷することなく高密度プラズマから供給されるラジカルに作用させ、高機能性表面を持った繊維を製造する方法を開発する。
1188 鉛フリー&ウイスカフリーを指向した球状セルロース複合型錫めっき技術の創成 永岡 昭二 熊本県工業技術センター 草野 民三 くまもとテクノ産業財団 天然高分子セルロース球状微粒子の環境調和性、耐熱性に着目し、これを鉛フリーハンダに活用する技術開発を行う。粒径、界面の制御に関する検討を行い、ウィスカフリー複合メッキ技術として確立する。従来の代替鉛としては、高価なビスマス、銅、亜鉛などが用いられていたが、溶融温度や強度などの面で扱いにくさが指摘されていた。
1198 水中衝撃波を利用した表面処理技術による表面粒子複合工具の開発 田中 茂 熊本大学 野田 耕右 熊本大学 本研究では、水中衝撃波を利用し、硬質粉末粒子を加速させ高圧力下の母材金属に衝突させると、母材金属表面近傍に粒子複合層が形成される。加工時間は10μs程度と非常に短く、大型で複雑な装置を必要としない技術である。メカニズムの究明、工具材料への応用可能性の調査を研究の目的とし、硬質粉末+各種金属複合化実験、摩耗試験、熱特性試験、数値解析及び高速度ビデオカメラによる現象観察を実施する。

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