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地域結集型共同研究事業

平成19年度事業終了地域事後評価報告書

平成20年5月
独立行政法人科学技術振興機構 産学連携事業本部 地域事業推進部


4. 地域別評価
4−4 高知県
課題名 次世代情報デバイス用薄膜ナノ技術の開発
事業総括 羽方 将之(カシオ電子デバイス株式会社 代表取締役社長)
研究統括 平木 昭夫(高知工科大学 教授)
新技術エージェント 佐藤 俊一(カシオ計算機株式会社 デバイス事業部 副主管)
中核機関 (財)高知県産業振興センター
コア研究室 高知工科大学C棟1階
行政担当部署 高知県商工労働部商工振興課

1*事業目標の達成度及び波及効果並びに今後の展望

 研究開発ポテンシャルがほとんどない地域でのスタートというハンディを乗り越え、新しい研究開発拠点の基盤整備を行い、当県の新産業創出と経済効果寄与という県の悲願に向け、ほぼ順調に進んだことは評価に値する。100件を越す特許出願、3件のベンチャー起業等、ZnO-TFTを起爆剤として情報デバイス産業の基礎を構築する点についてはある程度達成されたものの、今後は、情報デバイス産業の創出に向けた明確な研究開発ロードマップが必要である。また、さらなる展開に向けては地域への人材集積を図る必要がある。

2*研究開発目標の達成度及び成果並びに今後の展望

 インジウム系透明電極に代わる材料によるTFT技術の開発に成功し、希少元素対策の上では重要な貢献を果たした。ZnO薄膜関連技術についても、我が国トップレベルの成果を出すなど研究レベルでは評価できる。ただし、現状はプロトタイプ、試作品が完成した段階であり、ZnO-TFTの実用化への道のりはなお遠く、さらに検討を要する。また、今後の発展には、継続的な研究開発体制を整備していくことが重要である。

3*成果移転に向けた取り組みの達成度及び今後の展望

 新商品開発に向けての企業の研究参加も見られるものの、本質的には大学での基礎研究の成果が中心であった。当該産業分野のグローバル競争を考慮したとき、地域内では産業の裾野が狭いため、技術移転等の事業化への取組には、主力となる企業の存在が不可欠である。また、県外企業や関連業界の参入を促し、多くの人材を吸引できる運営が望まれる。さらに、ビジネスとしてZnOがインジウムの代替となるかどうかの試算も必要である。

4*都道府県等の支援及び今後の展望

 ZnOに対する県の悲願達成に向けた強い意欲と体制が伺える。こうち産業振興基金の設立等、新産業の創出には積極的であり、本課題へのイニシアチブをさらに期待したい。高知工科大学の運営者としての県の支援は妥当であり、大学の維持だけでなく、地域産業との橋渡しに向けた地道な活動にも期待したい。ただし、今後の実用化・事業化や、地域COE構築に向けての明確なビジョンや具体的な産業政策が不可欠であり、特定の企業との連携に固執することのない、県に根ざした長期的な戦略が望まれる。


◆ 研究開発の目標と達成状況

◆ 事業実施期間中における学術的、技術的、対外的活動実績

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