1*事業目標の達成度及び波及効果並びに今後の展望
中間評価を受けて、サブテーマを整理したこともあり、事業目標はほぼ達成できたといえる。また、産学官による海洋研究ネットワークの構築により、今後事業を展開するための要素技術の芽が生まれた点は評価できる。
しかし、今後の実用化に向けた展開についてのシナリオが明確になっていないため、ビジネスモデルをより具体的に描き、モデルを実現する際に隘路となる技術やシステムの開発に集中するなどのさらなる取組が必要である。
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2*研究開発目標の達成度及び成果並びに今後の展望
当初テーマを赤潮被害軽減技術、特産魚種の種苗生産の具体的2テーマに絞り込むことで目に見える成果が得られた。その一例として、赤潮発生に関与するプランクトン図説の作成は局所での用途に限定されるが実用的かつ特徴的な成果といえる。今後は他の定量的なアプローチと統合して、他地域でも活用できるグローバルな手法の一つとして実用化されることを期待したい。
しかしながら、全体的に実用化に向けては課題が残るテーマも多い。第1分野の赤潮予察システムは、リモートセンシング技術などと連動させて、有効性の検証を継続的に行って精度向上をはかる必要がある。第2分野ではワムシの大量保存技術は展開が期待できるが、アルギン酸オリゴマーを免疫賦活剤として実用化するにはさらなる技術開発が必要である。
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3*成果移転に向けた取り組みの達成度及び今後の展望
研究段階から民間の事業者の参加を得て海洋研究ネットワークを形成したことで、地域特産魚の種苗量産技術に実用化の目処をつけたことは、地域の産業に即効的に貢献し、評価できる。
今後は、赤潮対策のような国際貢献も視野に入れるべき技術活用と、海洋生物育成技術のような地域振興を目的とするビジネスモデルを分けて考え、前者は開発技術の権利を確保しつつ国際的なプロジェクトへと展開し、後者は地域連携による推進を目指してほしい。
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4*都道府県等の支援及び今後の展望
海洋県である長崎の特徴を生かした地に足が付いた取組が認められる。
しかし、長崎県のリーダーシップが見えにくいため、今後は科学技術部署、産業部署、環境部署あるいは水産部署が連携し、今回の成果を共有化し育てていくための継続的かつ積極的な指導が求められる。そのうえでマリンバイオクラスター構想においては、いかにクラスターを構築するかという現場の視点を重視しつつ、人材育成に取り組むことが重要である。
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