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地域結集型共同研究事業

平成16年度事業開始地域中間評価報告書



平成19年2月
独立行政法人科学技術振興機構 産学連携事業本部 地域事業推進部

4. 地域別評価
4−1 大阪府
課題名 ナノカーボン活用技術の創成
事業総括 遠藤 彰三  ((財)大阪科学技術センター 副会長)
研究統括 中山 喜萬 (大阪大学大学院工学研究科 教授)
新技術エージェント 阿部 敏郎(JST研究成果活用プラザ大阪 科学技術コーディネータ)
掛川 宏弥(大阪ガスケミカル(株)事業推進室 部長)
米田 明彦(クリエイション・コア東大阪ゼネラルマネージャー)
中核機関 (財)大阪科学技術センター 技術・情報振興部 地域結集事業推進室
コア研究室 大阪府立産業技術総合研究所 新技術開発棟・第6実験棟
行政担当部署 大阪府商工労働部産業労働企画室 新分野育成課
1*事業進捗状況及び今後の見通し
 進捗としてはほぼ順調であり、ナノカーボン材料の機能特性を見出す等の現象論レベルでは成果を得ている。しかしながら学術的な検討が不足しており、体系化された科学技術基盤形成までには至っていない。機能特性を見出すだけでなく機能発現のメカニズムの解明等により、ナノカ−ボン活用技術を科学技術として体系化していく必要がある。また、特許に関しては件数、戦略とも十分ではないので、特許戦略の構築とそれに沿った出願増に期待する。
 フェーズUに向けては事業総括をはじめとする企業化推進側がしっかりとイニシアチブをとり、体制を構築していく必要がある。用途探索、事業化志向の強い企業の参画、企業、大学、コア研の役割の明確化等に事業総括の強力なリーダーシップを期待する。   

2*研究開発進捗状況及び今後の見通し
(総論)
 研究統括の強力なリーダーシップにより、要素技術の開発という面では一定の成果がみられる。しかしながら、取得すべきデータ、付与すべきパラメーターが不足しているなど、科学的な視点が充分でない面がある。根幹的な技術の確立のためには、科学的な面からのアプローチが必要である。また、研究論文数が十分とは言えないので、上記の科学的アプローチによる論文数の増加にも期待する。
 フェ−ズTでは25程度の小テーマを実施したが、今後は成果の用途と品質、コストのバランスを見極め、企業化が見込めないテーマは打ち切るなど、絞り込みを行う必要がある。また、こうしたバランスを考慮して設定された数値的目標値を共有できる体制を構築し、研究開発を実施していくことを期待する。

(各論)
サブテーマ名 コ メ ン ト
独創的ナノカーボン材料の大量合成技術の開発
  • テーマ1−1「高配向カーボンナノチューブの制御された合成プロセスの開発及び合成装置の開発」におけるカーボンナノチューブの合成能力目標値は基準が不明確である。基準を明確にし、必要ならば正しい数値目標に変更されたい。
  • テーマ1−2「カーボンナノコイルの制御された合成プロセスの開発及び合成装置の開発」におけるカーボンナノコイルの合成能力に関しては、目標値と現状のギャップが大きい。目標とする合成能力を達成するためのアプローチを明確にし、ブレークスルーすべき問題点・課題を精査した上で取り組む必要がある。
高配向カーボンナノチューブを用いた高機能材料の開発
  • テ−マ2−1「カーボンナノチューブによる紡糸・撚糸技術の開発」においては長尺の製糸に成功したことは評価できるが、コストに見合う用途の探索が課題である。
  • テ−マ2−2のモバイル用スーパーキャパシタ開発においては、競争相手と比較した際のコストパフォーマンスを含めた先進性、優位性を明らかにした上で行う必要がある。
カーボンナノコイルを用いた高機能材料の開発
  • テーマ3−1−3「カーボンナノコイル分散樹脂含浸開繊炭素繊維の開発」およびテ−マ3−2−1「電磁波吸収材の開発においては電磁波吸収性や制振性」においてはよい特性が出ている。今後、複合材料としての実用化を進めるためには、どのようなスペックが求められているのか、数値目標を定めた上で取り組む必要がある
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  • テ−マ3−1−1「カーボンナノコイルの樹脂との分散複合技術の開発」およびテ−マ3−1−2「カーボンナノコイルを用いた高機能複合樹脂の開発」においては機械的特性が中心の樹脂組成物のフィラーとして、カーボンナノチューブやカ−ボンナノファイバーではなくカーボンナノコイルを使用する意義を明確にする必要がある。
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3*成果移転に向けた活動状況及び今後の見通し
 新技術エージェントを中心とした外部企業への働きかけ等の努力がみられる。参画企業、サンプル供給企業が多いことも評価できるが、企業にとって当事業が各々の企業戦略の中でどのような位置づけにあるか、成果の活用に対して強い意志を持っているかどうかの意識確認が必要である。また、ナノカーボン材料の応用展開先として、その特性を必要とする部材の発掘が必要で,従来部材の代替品としての機能性、コスト性の検討が必要である。
 実用性評価においてはタイムリーにナノカーボン材料を作成し、適材適所にサンプル供給し、供給した材料に評価が与えられ、それが研究にフィードバックされるような体制作りが求められる。

4*都道府県等の支援状況及び今後の見通し
 コア研の整備、ナノカーボン産業形成クラスター調査等の取り組みは評価できる。今後は、ナノカ−ボン材料の有用性のアピ−ル、企業参画の促進等で事業総括の活動をサポ−トできるような中核機関の体制を構築していくことを期待する。
 また、大阪府は2度目の結集型事業の実施であるので、前回実施時の中間評価、事後評価、追跡調査報告の指摘を参考にし、教訓を活かし、地域の新産業創出構想の中での結集型事業の位置付けを明確にしていき、早急に地域COEの具体的構想を策定することを期待する。

◆(参考1)事業の目標・概要

◆(参考2)フェーズI における学術的、技術的、対外的活動実績

◆(参考3)フェーズI における研究項目と実施体制

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