1*事業進捗状況及び今後の見通し
進捗は概ね良好であり、京都大学を中心とした研究体制の下で将来の科学技術基盤が形成されつつあることは評価できる。今後、各々の要素技術をシステム化し、企業化に向けて進むためには、これまでの大学主導型から企業を中心にした出口主導の体制に移行する必要があり、そのためには事業総括の一層のリーダーシップが期待される。また、成果の企業化に向けて、具体的なビジネスプランが研究現場で共有化されるよう、新技術エージェントの活躍にも期待する。
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2*研究開発進捗状況及び今後の見通し (総論)
個々の研究開発の進捗は概ね順調と判断される。テーマ毎に差はあるもののプロジェクト開始から経時的に成果が蓄積し、論文発表及び特許出願件数の増加として結実してきており評価できる。しかしながら、最終目標に対する共通理解が不足しているため、テーマ毎の有機的な連携が弱く、企業化を目指した研究意識が希薄なテーマも見受けられる。数値目標を定めた研究開発計画を立案し、目標に対して不充分なテーマは打ち切る、今ある優れた技術を利用する新規テーマを加える等大胆な戦略が望まれる。
テーマTのデバイス開発、特に腕時計型臨床検査装置の開発については、他所で行われている同類研究に対しての優位性や独自性が明確となるよう、また定量的な数値目標も設定した上で、要素技術のシステム化に取り組む必要がある。
テーマUにおける動物実験は異なる企業で個別に実施されているが、 開発するナノテク材料の相互の評価とイメージング・ターゲティング機能の評価に資するように、動物実験全体のデザインを構築し、有機的連携の元に実施すべきである。
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(各論)
サブテーマ名 |
コ メ ン ト |
1. |
ナノデバイスによる医療用検査システムデバイスの開発 |
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- 中テーマT-2 腕時計型デバイスは、用途目標と、実用化されたときの優位性を明確にして開発を進めることが求められる。
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2. |
ナノテク材料による医療用イメージングとターゲティング技術開発 |
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- 中テーマU-1の4つのナノテク材料開発は、いずれも充分な独創性をもって進められているが、総花的であり、フェーズU以降は選択と集中が求められる。
- 小テーマU-1-@「刺激応答ナノ磁性複合粒子の開発」はすでに材料としてできあがっていると判断されるので、企業化に向けた戦略構築が必要である。
- 中テーマU-2 イメージング・ターゲティング材料、DDS材料の開発は、興味深い技術であるが企業化には時間がかかるので、フェーズUの期間内で達成すべき目標の明確化が求められる。
- イメージング材料はDDSとの組み合わせで進めることが望まれる。また、PET検査との組み合わせも期待される。
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3*成果移転に向けた活動状況及び今後の見通し
具体的な製品ターゲットの設定は、市場やユーザーの意見等に基づいて行い、企業化戦略を策定する必要があり、新技術エージェントはエンドユーザーの視点から研究者にニーズを伝え、研究者は既開発品の活用なども考慮して、世界的なレベルで競争力のある研究開発を進めることが望まれる。最も企業化の可能性の高いテーマに集中して推進し、成功例を一つでも示すことも一案である。
小テーマU-1-C「疾患特異的ナノキャリアの開発」と、U-2-A「DDSの開発・試作」には大手製薬企業の早めの参画が求められる。
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4*都道府県等の支援状況及び今後の見通し
コア研究室の整備をはじめ、京都市はハード・ソフトの両面でよく支援していると言える。京都大学と有力企業に恵まれた京都市の地域環境にあって本事業に対する期待は大きいので、人材育成も含めて、他の地域で実施している地域結集型事業にも良い影響を及ぼす優れた成果を数多く生み出すことを期待する。そのためには関西圏のバイオ広域連携など、他の事業やプロジェクトとの連携も進め、本事業の位置づけと京都市の役割を明確にする一層の支援が求められる。
また、日本では同様な医工連携プロジェクトがいくつか実施されており、本事業がどのような独自性があって、どのような成果が挙がっているか京都市から全国に発信・PRすることが望まれる。
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