平成18年3月 独立行政法人科学技術振興機構 地域振興事業評価委員会 |
(参考1)地域別事業概要 | ||||||||||||||||||||
(ii) 福井県
事業の目標・概要
本県の主要産業である電気機械、一般機械、眼鏡、繊維、化学・プラスチックなどの産業は、従来技術である刃物や工具、大量の熱や薬品による加工での限界から脱して、機能性素材創成・加工産業へ転換することが緊急の課題となっている。一方、地域内には新たな産業技術基盤となる光ビーム関連の研究者が集積している。これらのニーズとシーズに基づき、財団法人福井県産業支援センターの下に地域内の産学官を結集し研究開発を行い、光ビームによる機能性材料加工・創成に関するネットワーク型COE形成を図る。
研究テーマの概要は以下のとおりである。
1.高輝度Yb:YAG 固体レーザ技術に関する研究
従来の代表的な固体レーザであるNd:YAGレーザに対して高効率、高出力で広い波長可変スペクトル幅を有し、フェムト秒超短パルス発生の可能なYb:YAGレーザの小型で高密度励起による超短パルス発振器及び増幅器の設計法を確立し、高出力、高速繰り返しの超短パルス発振システムを実現する。 Yb:YAGレーザは、LDによる直接励起が可能なため、高効率なレーザ動作が実現でき、さらに小型で全固体のシステムであるため、安定度も高く、取り扱いも容易で長寿命なシステムが実現できる。ここでの成果を2および3の研究へ展開する。 2.高輝度光ビーム加工技術に関する研究
短パルス固体レーザを搭載した多機能フォトンマシニングセンタを開発する。本研究では、まず既存のナノ秒パルスレーザによる多機能加工を可能とするフォトンマシニングセンタを試作する。次に、ナノ秒パルスYb:YAGレーザさらには超短パルスYb:YAGレーザを搭載した多機能フォトンマシニングセンタを開発して、基本波と紫外域の波長でビーム径10μm、加工精度1μm以下の超微細加工特性を実現する。 また、レーザアブレーション機構と最適加工条件を解明する。現状のナノ秒以上のパルスレーザによる加工法に比べ、フェムト秒域の超短パルスレーザによるアブレーション加工では加工精度の向上が可能であるが、アブレーション現象の詳細な解明と最適な加工条件が十分には解明されていない。本研究ではレーザアブレーション現象のその場観察システムを開発し、高感度・超高速特性を実現する。さらに、レーザアブレーション加工現象の可視化によるシミュレータを開発して、各種材料の最適な加工条件を実現する。 3.高輝度光ビームによる薄膜形成技術に関する研究
高出力パルスレーザを用いた超鏡面精密洗浄技術の開発と機能性薄膜の創成を行う。レーザ光洗浄装置を試作して、単結晶シリコン表面の異方面の表面配向性向上と高密度薄膜磁性媒体製膜法の探索を行い、その成果に基づいてシリコン超鏡面基板を作製し、さらに、超高密度記録媒体を作製する条件を確立する。また、この装置を利用してレーザ光による各種の硬質薄膜の剥離と装飾のための表面加工技術を確立する。 高出力パルスレーザを用いて長寿命HIDランプを創成する。本研究では、無電極HIDランプの放電管寿命を極度に短くしているエッチングやハロゲン化金属との反応機構を詳細に解明するとともに、レーザ光照射法と放電スパッタ法を併用した円筒状・球状等の石英容器壁への表面改質・薄膜付与装置を開発し、40,000時間を越す長寿命の放電管を実現する技術を確立する。 レーザ誘起光化学反応を用いて選択薄膜成長技術を開発する。本研究は、レーザ誘起光化学反応を用いた選択薄膜成長技術を確立し、これと光描画技術とを融合することによって、任意の場所に任意の構造のデバイスを選択的に形成しようとするものである。 事業実施期間中の研究項目と実施体制
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