事業目標の達成度及び波及効果並びに今後の展望
タンパク質の機能に関する新たな発見・発明、タンパク質解析に係る新技術の開発による事業の創出など事業開始時に設定した目標に対して、個々の研究の達成度は高く、一部ではあるが商品化等の成果も上がっており、事業として着実に進捗したと言える。
しかしながら、事業化のイメージがやや明確さを欠いており、今後の波及効果、展望については十分期待できるとは言えない。共同研究機関として多くの企業が参画し研究開発が進められたことで、横浜市が掲げる「ライフサイエンス都市横浜」構想の核となる部分は形成されつつあるので、今後、研究シーズをもとにした事業化のための戦略を十分に練り、上記構想の早期実現を目指すことを期待する。
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研究開発目標の達成度及び成果並びに今後の展望
機能性タンパク質の解析に関する研究について、論文発表や特許出願等多くの研究成果が出ており、個々の研究テーマの進捗については一定の評価ができる。特に、テーマ1「薬物候補低分子化合物とタンパク質の相互作用を網羅的かつ迅速に解析する新技術の開発」については、タンパク質の構造解析の中心機器である700MHzのフロー型NMR装置に、タンパク質回収装置を設置し、一体化したシステムとして構築するなど研究開発目標に対する達成度が高く、今後のさらなる研究の進展が見込まれる。
また、テーマ2「細胞機能上重要なタンパク質を網羅的かつ迅速に同定する新技術の開発」についても、細胞接着分子ラミニン5及び関連分子の効果的な発現系の確立など、今後の培養器材や研究試薬への応用が期待されることから、一定の評価はできる。
しかしながら、研究成果を事業に結びつけるという視点からのアプローチが弱く、新たな産業を生むほどの成果が上がっているとは言い難い。今後、国内外へ研究成果を波及させ事業展開するための明確なビジョンを持って研究開発が進められることを期待する。
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成果移転に向けた取り組みの達成度及び今後の展望
各テーマに対し複数の企業が共同研究に参画し、その結果商品化まで至ったものもいくつかあることは評価できる。また、一部のテーマは都市エリア産学官連携促進事業や地域新生コンソーシアム研究開発事業など他府省の事業に橋渡しされ事業展開が図られていることも一定の評価ができる。
しかし、独創的かつレベルの高い研究開発でありながら、現在商品化されたものは事業規模が比較的小さいものが多い。今後は、研究成果を大きな事業に育てる仕組みの構築も望まれる。
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都道府県等の支援及び今後の展望
横浜市が「ライフサイエンス都市横浜」の実現に向け、積極的に事業展開していることは評価できる。フェーズUまでに行われたレベルの高い研究成果を実用化まで繋げるには時間がかかるため、持続的に成果を出していくためにも、横浜市の継続的な支援が必要不可欠であり、横浜市がイニシアティブを発揮して事業展開の戦略を立て、研究開発を支援していくことが期待される。
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