評価一覧評価目次地域別評価 福井県 > 研究開発の目標と達成状況
地域結集型共同研究事業

平成17年度事業終了地域事後評価報告書

平成18年3月
独立行政法人科学技術振興機構 地域振興事業評価委員会


4. 地域別評価
4−2 福井県
研究開発の目標と達成状況
(終了報告書に基づく)
テーマ名 目標 達成状況
I 高輝度Yb:YAG 固体レーザ技術に関する研究
従来の代表的な固体レーザであるNd:YAGレーザに対して高効率、高出力で広い波長可変スペクトル幅を有し、フェムト秒超短パルス発生の可能なYb:YAGレーザの小型で高密度励起による超短パルス発振器及び増幅器の設計法を確立し、高出力、高速繰り返しの超短パルス発振システムを実現する。 レーザビーム品質と変換効率、超パルス発生に優位性を持つYb:YAG結晶を用いた超小型高輝度のマイクロチップレーザ装置を開発した。独自の光励起、熱放散の構造により小指爪ほどの大きさの結晶によりレーザ発振モジュールとしては連続出力300W、市販レーザの9倍の輝度を持つ性能が得られた。
Yb:YAGレーザの波長変換法を開発する。 希土類カルシウムオキシボレート(GdYCOB)結晶の研究から、独自に開発したオプチカルコンタクトデバイスにより、赤外光を紫外光に変換させることに世界で初めて成功し、これによりポータブルペン型紫外レーザ光源を開発した。
II 高輝度光ビーム加工技術に関する研究
短パルス固体レーザを搭載した多機能フォトンマシニングセンタを開発する。ナノ秒パルスYb:YAGレーザさらには超短パルスYb:YAGレーザを搭載した多機能フォトンマシニングセンタを開発して、基本波と紫外域の波長でビーム径10μm、加工精度1μm以下の超微細加工特性を実現する。 レーザ加熱金属粉末焼結による光造形と高速切削加工技術を融合した複雑形状金型加工に適した金属光造形複合加工機の開発、レーザによるITO薄膜微細加工、溝、切断の精密加工を行うレーザアブレーション精密加工機などを開発した。金属光造形複合加工機はプラスチック射出整形用金型加工機として商品化され、従来の金型加工の工期に比べ時間の短縮とともに、コスト低減、さらには中空形状のものが一体として加工できるメリットがある。
レーザアブレーション機構と最適加工条件を解明する。レーザアブレーション現象のその場観察システムを開発し、高感度・超高速特性を実現する。さらに、レーザアブレーション加工現象の可視化によるシミュレータを開発して、各種材料の最適な加工条件を実現する。 加工表面リアルタイム観察、加工表面静的精密観察、プラズマ誘導電流計測、プラズマ発光スペクトル計測、プラズマ発光時間変化計測の、5つの機能を備えたリアルタイムレーザ加工モニタリングシステムのプロトタイプ試作を行った。
III 高輝度光ビームによる薄膜形成技術に関する研究
高出力パルスレーザを用いた超鏡面精密洗浄技術の開発と機能性薄膜の創成を行う。 フェムト秒レーザを照射することにより、難加工硬質膜のダイヤモンド状カーボン膜結晶の形状、サイズをナノ領域で制御し、耐熱性や導電性に優れた構造に改質する技術を開発した。
高出力パルスレーザを用いて長寿命HIDランプを創成する。 Yb:YAGパルスレーザ照射によるアブレーション成膜では、シリコン炭化物、窒化物薄膜形成技術の基礎を確立した。
レーザ誘起光化学反応を用いて選択薄膜成長技術を開発する。 またレーザ誘起によるNH3の光分解により、窒化インジウム系薄膜を低温で選択的に形成する有機金属気相薄膜成長技術を開発し、こうして得られた薄膜は、硫化水素ガスを分解脱臭する光触媒活性を有することを初めて見出した。

戻る


This page updated on Mar 31, 2006
Copyright©2006 Japan Science and Technology Agency.