 事業進捗状況及び今後の見通し
多くの研究機関や企業との連携のもとに、概ね基本計画通りに研究は進捗しており、プロジェクトの趣旨に添った良好な成果が得られるなど達成度は高い。また、アグリリソースのバイオインフォマティクス構築の観点からも着々と技術基盤が出来つつある。さらには、近畿大学、和歌山大学、県の試験研究機関等がネットワークを構築して研究開発を進めており、研究基盤が整備されつつあることも一定の評価ができる。
しかしながら、一部のテ－マに関しては、実用化に向けての戦略が抽象的であり、具体性に欠けるものがある。今後、事業総括、研究統括の一層のリーダーシップのもと、国の試験研究機関や企業等とも連携を深め、実用化に向けたテーマの重点化を十分に検討した上で事業を推進していくことが必要である。また、アグリバイオインフォマティクスの確立に注力し、海外をも視野に入れた事業展開が図られることを期待する。
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 研究開発進捗状況及び今後の見通し
（総論）
イネ、海藻、アコヤガイ、ウシなどについては、明確な育種技術上の成果が上がっており、順調であるといえる。また、地域の特産品であるウメ、カキなどについても、過去の実績を活かして研究が進められており、研究全般の進捗状況は評価に値する。
しかしながら、研究対象が農業、水産業、畜産、医療と広範に渡っており、やや総花的な印象を受ける。また、基礎研究あるいは純学術的には高い価値を持ち、将来への期待があるものの、目標達成には大きな困難が予想される研究も見受けられる。
広範な研究対象のすべてをカバーして有効な出口の見える開発に結びつけることは困難も大きいので、ニーズや実用化の可能性等も勘案して重点化を検討し、実用化に向けて研究開発を推進することが肝要である。
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（各論）
| テーマ名 |
コ メ ン ト |
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１ 有用アグリリソースのタンパク質発現解析と制御技術の開発 |
・ テーマ１－１「ゲノム情報を利用した遺伝子発現情報解析技術の開発」は、イネのトランスポゾンディスプレイ法の確立など、その成果は高く評価できる。
・ テーマ１－２「プロテオーム情報を利用したアグリリソースの網羅的キャラクタライズ化技術の開発」のゲノム解析が行われていない生物種のプロテオーム解析については、独自性はあるが、困難が予想されるため、十分な努力が必要である。
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２ 有用アグリリソースの高効率生産・利用技術の開発
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・ 多種多様なテーマではあるが、研究自体は順調に進捗していると評価できる。
・ テーマ２－５「有用アグリリソース／アパタイト複合材料を利用した機能素材応用技術の開発」は、競合も激しく、実用化の可能性を考慮して研究の継続を検討することが望まれる。
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 成果移転に向けた活動状況及び今後の見通し
テーマ毎に特許出願、発表等は順調に行われており、特に、期待を抱かせる多くの研究成果を積極的に権利化していることは評価できる。今後、実用化に向けて、外国出願やメンテナンスなどの特許戦略をより充実することが望まれる。
また、得られた成果を事業として成立させるためには、現在の研究成果を適正に評価し、新たな企業等の参画などニーズを踏まえた研究開発が重要であり、実用化への道筋が示せないテーマについては、見直し等を行うことも必要と考えられる。
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 都道府県等の支援状況及び今後の見通し
人的資源、研究環境の整備などへの県の支援については一定の評価ができる。また、地域ＣＯＥの構築を目指し、地域産業との連携を見据えた和歌山バイオ研究センター構想は妥当であり、今後の推進に期待したい。
今後、事業化を進めるためには県からの支援が不可欠であり、県が強力なリーダーシップを発揮して、ソフト面も含めた具体的支援策をさらに充実することが望まれる。
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