医農連携という県の戦略はターゲットが明確であり、地域COE構築に向けた具体的な構想の下、宮崎大学を中心として公設試や民間企業等の研究機関を巻き込み、県としっかり連携をとって事業推進している点は高く評価できる。 また、熱意ある研究リーダーと新技術エージェントの優れた指導の下、本事業への参加者の意欲も高く、事業推進体制が十分に整備され機能している。医学分野と農学分野の2つのテーマのバランスが良く、コホート研究等により蓄積されたデータを活用して研究成果も着実に得られており、技術基盤の形成は全体的に順調であると評価できる。今後、事業目標達成に向け、2つのテーマの連携を一層深め、若手研究者を長期的に育てる方針を県が維持していくことが望まれる。
それぞれのテーマの中で新規性、優位性、将来性のある成果が上がっており、研究成果発表や特許出願も順調で、2年弱の研究成果としては、十分な進捗であると評価できる。2種類のコホート研究の成果を最大限に活用し、C型肝炎およびATL(ヒトT細胞白血病)の克服と関連健康産業に向けた技術基盤が着実に形成されつつあり、今後に期待がもてる。 テーマ1−3「ウイルス発がん予防のための高機能性食品の探索及び有用性の解明」が本事業における医農連携のキーとなるので、積極的に推進しフェーズUにおいて両分野の連携が一層深められることを期待する。
外国出願2件を含め権利化に対して意欲的で、商品化に関しては未知数であるものの、かなり高水準の成果がでており、新産業創出・地域COE形成に役立つものと期待できる。 新技術エージェントを中心として構築している特許戦略はすぐれており、研究成果の技術移転や実用化へのシナリオも明確で具体化されている。今後は、共同研究参画企業以外の製薬企業や健康産業関連企業などにおける具体的な出口開発の成熟が課題であるが、地域振興という観点からは、事業化する際に他地域の企業と地域企業との棲み分けを十分に考慮する必要がある。また、高機能性食品については、販売力のある企業の参画が望まれる。
知財活用エージェントの配置、フェーズVにおける食品機能研究所の設置構想など、地域COE構築に向けた構想が具体的で明確になっており、本事業による地域産業活性化への県の熱意と意欲が感じられ、評価できる。 食品機能研究所構想を核としたバイオ・メディカル産業クラスターの形成には、人的ネットワークが必要であり、そのための人材育成支援策が期待される。また、医学分野への支援も期待されるところであり、特にコホート研究の継続には県の支援が必要不可欠である。今後は、他事業への展開や日本全国、さらには世界に目を向けた連携への支援も期待する。