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地域結集型共同研究事業

平成16年度事業終了地域事後評価報告書



平成17年3月
独立行政法人科学技術振興機構 地域振興事業評価委員会


4. 地域別評価
4−1 岩手県
◆(参考1)事業の目標・概要
 岩手県は、強磁場発生技術や磁気計測技術の研究が進展する中で、本県における超電導工学研究所盛岡研究所、岩手大学における超電導研究の高い研究ポテンシャルを活用して、磁気という全く新しいアプローチにより産業廃棄物処理、資源リサイクル、非汚染材料等の新素材、食品の加工・貯蔵、農水産物や製品の検査技術、環境モニタリング等の研究開発に取り組む事が必要となってきている。
 本事業においては、地域における諸課題の解決、地域からの地球環境保全への貢献とともに、新しい磁気科学の分野を開拓し、環境関連などの新技術・新産業の創出に資するネットワーク型磁気活用COEの形成を目指している。
 研究テーマの概要は以下のとおりである。

1.磁場活用技術の開発
 強磁場を利用した磁気分離(地熱水からのヒ素の分離除去)、磁場中での配向制御による新機能有機高分子の構造制御、次世代食品加工・発酵制御等による、強磁場と環境工学、表面・界面工学、食品工学等との融合を図る。
 ・固液磁気分離技術の開発
 ・磁気利用による新規導電性複合体の創製
 ・トリアジンチオールを用いる薄膜製造、機能評価
 ・感磁性有機自己集合薄膜製造・機能評価
 ・結晶制御における磁場効果
 ・磁気利用による食品加工・貯蔵方法の開発
 ・免疫系への磁場の影響
 ・磁気利用による耐性ばね組織制御及び水素脆化制御技術

2.磁気計測技術の開発
 SQUIDを応用した極微磁気計測システム(心疾患診断・治療のための心磁計システムの構築、多機能SQUID顕微鏡、半導体・食品等への産業用SQUID応用検査機器)の開発と産業用MRIシステム(鮭の雌雄判別及びその他の農畜産物への応用)の開発による、磁場磁気計測による対象物の同定、探査、選別のためのシステム開発を行う。
 ・心疾患治療評価のための心磁計の開発
 ・先進磁気シールドシステムの開発
 ・多機能SQUID顕微鏡の開発
 ・産業用SQUID応用機器の開発
 ・鮭の雌雄判別システムの開発

3.磁気活用要素技術の開発
 酸化物高温超電導体(バルク材)の磁化システムと磁場環境形成技術の開発、バルク材料物性評価技術の開発による、磁場形成及び材料評価技術の開発を行う。
 ・磁化システム・磁場形成技術の開発
 ・材料評価技術開発

 平成13年度に行われた中間評価において、磁気を応用した技術課題が広範囲に及ぶことから、実用化に向けたコスト分析等、産業的有用性についての十分な比較検討を行い、重点化が必要であるとの指摘を受け、事業化を指向した絞り込みを行い最終的には11の小テーマ(事業開始時31テーマ)まで絞り込んだ。

 フェーズIIまでの主たる研究成果例は、以下の通りである。

1.磁場活用技術の開発
・熱水中からヒ素を除去する分離技術及び地熱水ヒ素分離装置の試作
・トリアジンチオール等を利用した磁場製膜応用製品の試作
・磁場晶析装置の開発及び有機光学材料の結晶化技術
・Co−Ni基耐熱バネ材の生産性向上及び耐熱組織制御技術
・脂質ブルーミング防止及び食酢等の熟成技術
・新鮮保存技術を用いた冷凍早採りわかめの商品化

2.磁気計測技術の開発
・64chSQUIDセンサーを用いた次世代心磁計システムの構築
・簡易磁気シールドシステムの実用化
・可搬非破壊検査装置(モバイル型SQUID装置)及びレーザーSQUID顕微鏡の試作
・鮭の雌雄判別(1秒/匹)装置の試作

3.磁気活用要素技術の開発
・3.5T対向型バルク磁場装置の試作
・バルク材料等の熱伝導率等を温度4〜300K、磁場0〜10Tの範囲で測定可能な全自動熱物性測定装置の開発及び測定結果をデータベース化・Web公開

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