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地域結集型共同研究事業

平成14年度事業開始地域中間評価報告書



平成17年3月
独立行政法人科学技術振興機構 地域振興事業評価委員会


4. 地域別評価
4−3 滋賀県
課題名 環境調和型産業システムの構築のための基盤技術の開発
事業総括 井上 嘉明 (滋賀県審議員、前工業技術総合センター 所長)
研究統括 山岡 仁史 (滋賀県立大学工学部 教授、京都大学 名誉教授)
新技術エージェント 川嶋 眞生 (企業組合STEP-21理事長、元住友電気工業(株))
中核機関 財団法人滋賀県産業支援プラザ
コア研究室 地域結集型共同研究事業プロジェクト推進室内
行政担当部署 滋賀県商工観光労働部新産業振興課
1 事業進捗状況及び今後の見通し
 琵琶湖を有する滋賀県として重要性の高い環境保全と経済発展を両立しうる環境調和型産業システムの構築を目指して研究開発を行っており、ゼロエミッションとリユースの要素技術が立ち上がりつつある状況にある。
 また、全ての排出物を有効活用し、しかも環境へ低負荷で行うことを実現するのは困難であるにも拘わらず、成果も一部出始め、順調に推移している点は評価できる。
 コスト分析や実環境での適用性等、今後検討すべき課題も多いが、環境県として存在をアピールできるように、工場内にとどまらず県内での実地のフィールドでの実用化テストまで進めることが必要である。

2 研究開発進捗状況及び今後の見通し
(総論)
 個々の要素技術によって差異はあるが、概ね順調である。また、特許出願は19件あり、一応の評価ができる。
 学問的な視点から資源の再利用や環境浄化、既存技術の高度化はできており、実験室レベルでの成果は出ているので、今後は、実フィールドでの適用性評価や、地元の環境面でのニーズに対応する新技術の確立への注力を期待する。同時に、経済性も含め、実用化に耐えうるか否かの検証も必要である。
 また、個別の廃棄物処理技術の組み合わせに終わらぬよう、シーケンシャル・ユースとしての全体的なシステム統合に向けた強化が望まれる。

(各論)
サブテーマ名 コメント
1.シーケンシャル・ユース・プロセス技術の開発
 ・ 生産工程からの廃液のリユースにニッケル触媒を利用するシステム、熱硬化性樹脂のリユースに期待される超臨界炭酸ガスによるプラスチックの可塑化、硝酸態窒素を完全に除去する廃水処理、廃水からのリンの吸着回収等、企業での実用化が望まれる研究が進められている。
 ・ 今後、実用化につながる成果が創出されるよう研究開発を進めることが求められる。
2.シーケンシャル・ユース化新材料の開発
 ・ 有用物質の捕集が可能な高分子材料(ポリマー)の研究成果については、一定の評価ができる。しかしながら、このポリマーの産業的意義、実用化についてはなお一段の努力が必要と考えられる。
3.シーケンシャル・ユース・システム構築法とプロセス評価手法の開発
 ・ システムとプロセスを評価する方法が提案されているが、その提案が他の評価方法に比べてどのような特徴が有るのかを示すことが望まれる。
 ・ サブテーマ1及び2と連携して、その研究成果を具体的に評価して、シーケンシャル・ユースを取り入れた工場が提案されることが望まれる。

3 成果移転に向けた活動状況及び今後の見通し
 環境保全活動の限界、あるいは資源枯渇のすう勢の中で、資源のカスケード使用、リユースの技術は県の産業育成に必要な要素であり、フェーズIIでは、具体的に既存の工場のいずれかのプロセスをつないで、実用化の事例が見せられることを期待する。
 共同研究企業との連携強化、特許出願推進、成果の情報発信など、実用化に向けた一定の活動が行われているが、一つ一つの成果を事業化するだけではなく、事業所単位で広く適用するという方向ができれば、社会性も高く、大きな成果移転が見込まれる。

4 都道府県等の支援状況及び今後の見通し
 地域COEを目指し、県は熱心に取り組んでいると思われる。
 県がゼロエミッションの達成を目的として、シーケンシャル・ユース・システムを提案するには、県下の企業群と一体となった技術開発が欠かせない。そのためには、共同研究に参加する企業の工場現場のデータや、県が所有している環境分析用産業連関表に使う最新のマテリアルフロー・データがコア研究室の研究者にリアルタイムで提供されるように、一層の県の支援が求められる。また、地域全体の広域ゼロエミッションといった観点からの県の長期的な支援も期待する。

◆(参考1)事業の目標・概要

◆(参考2)フェーズI における学術的、技術的、対外的活動実績

◆(参考3)フェーズI における研究項目と実施体制

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