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地域結集型共同研究事業

平成13年度事業開始地域中間評価報告書



平成16年1月
独立行政法人科学技術振興機構 地域振興事業評価委員会

5. 地域別評価
5−1 青森県
課題名 大画面フラットパネルディスプレイの創出
事業総括 天童 光宏 (青森県商工労働部長)
研究統括 内田 龍男 (東北大学工学部教授)
新技術エージェント 末永 洋一 (青森大学経営学部(兼総合研究所)教授)
青木 茂雄 (元ホシデン株式会社副社長)
中核機関 財団法人21あおもり産業総合支援センター
コア研究室 青森県工業総合研究センター八戸地域技術研究所
行政担当部署 青森県商工労働部新産業創造室
1*事業進捗状況及び今後の見通し
 急激に発展している液晶分野に積極的に挑戦し、県の施策によってクリーンルーム建設を進めるなど、地域COE構築に向けた科学技術基盤が形成され始めている。また、企業出身の技術者をプロジェクトマネージャーとして雇用するなど体制強化のための努力も進めている。
 しかし、研究が各大学において分散してなされており、コア研究室が共同研究の中核としての役割を果たしていない。また、液晶技術を青森県において産業化する戦略も十分ではない。今後は、分散している技術をコア研究室に集中させるような事業実施体制の早急な確立と、競争の激しい液晶分野の研究開発の成果をいかにして実用化するかに向けたビジョンの策定及び戦略的な事業推進のため、事業総括と研究統括がよりリーダーシップを発揮することが必要である。

2*研究開発進捗状況及び今後の見通し
(総論)
 フィールドシーケンシャル方式・OCBモードという新しい方式で、性能の高い試作品ができており、事業開始時の目標に対する進捗としては一定の評価ができる。市場競争の激しい分野であることから、外部の市場動向に応じて反射型表示素子に関連するテーマの取り止め等、目標設定を変更することはやむを得ない面もあるが、的確に状況判断し理由を明確にした上で計画変更を実施していくことが必要である。

(各論)
サブテーマ名 コ メ ン ト
A−1 超高速、低電力、高輝度、広視野角液晶表示モードの創出
  • 6インチフィールドシーケンシャル方式・OCBモードのデモ機製作は、新規方式であり成果として評価できる。
  • 地域COE構築のためにも特許によって技術を抑えておくべきであるが、特許申請件数が少ない。
  • テーマが細分化されすぎており、テーマ間の協力と議論を活発に行うことによる相乗作用を考えると非効率と思われる。リーダーが同一の小テーマは統合することが望まれる。
A−2 液晶応答速度の高性能化
  • 新規の液晶材料研究に関して、基盤的知見からの掘り起こしを模索している部分は評価できる。
  • 全体として役割が細分化され過ぎており、各小テーマの実績が有機的に統合されているか疑問である。また、小テーマ13「材料の供給」は研究テーマとしては妥当ではなく、テーマの統廃合を検討すべきである。
A−3 高性能ディスプレイの測定、設計、評価技術の確立
  • 各小テーマは新しいものへの挑戦である点は評価できるが、ほとんどが現在進行中であり、成果は今後に期待する。
B−1 新駆動素子構造の創出
  • 埋め込み配線形成の目標設定と研究の進捗は評価できるが、特許申請件数・発表件数が少ない。
  • 全小テーマは同一研究者、同一使用装置であり、一貫した各工程と考えられるので統合すべきである。
  • 東北大学が参画している他の国家プロジェクト「低消費電力次世代ディスプレイ製造技術共同研究施設整備事業」との成果の切り分けを明確にすべきである。

3*成果移転に向けた活動状況及び今後の見通し
 情報管理に留意しながら、地元企業を中心に本事業への参画を促しており、成果移転により地域活性化を目指す方向性は妥当なものと評価できる。大画面フラットパネルディスプレイの事業化に必須と考えられる、資金力のある企業との連携が十分できているとは言い難いため、本研究・開発から得られる各要素技術・部品の企業化・産業化を目指すなどの事業展開も視野に入れた戦略構築、及び特許取得への一層の努力が望まれる。

4*都道府県等の支援状況及び今後の見通し
 コア研究室へのクリーンルーム建設や企業出身者を招聘してのFPD研究部設置など、本事業への支援に関する県の熱意が感じられる。しかし、八戸のコア研究室からむつ小川原地区のクリスタルバレイ構想へ結びつけた地域COE形成の道筋は不明確であり、今後、産業界を巻き込んだ具体的なアクションプラン作成に向けて県のリーダーシップ発揮が求められる。

◆(参考1)事業の目標・概要

◆(参考2)フェーズI における学術的、技術的、対外的活動実績

◆(参考3)フェーズI における研究項目と実施体制

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