戦略的基盤技術力強化事業

【施策・事業概要】

  1. 事業名称  戦略的基盤技術力強化事業

  2. 所管官庁  中小企業総合事業団

  3. 開 始 年  平成15年度

  4. 予  算  31億9,400万円 (平成15年度)

  5. 事業概要
     中小企業が主たる担い手となる産業分野で、我が国製造業全体の競争優位や我が国経済活性化への波及効果が特に高いと考えられる基盤的・戦略的分野について、しわが国製造業全体の底上げを通じた国際競争力の強化を目指す。
     具体的には、当該分野の優れた技術を有する中小企業と、当該技術のユーザー企業(自動車・電機等)や素材メーカー、大学等が共同で行う競争力強化のために鍵を握る研究開発を、戦略的かつ集中的に研究開発を実施する。そのため国の提示した対象技術分野について公募を行い、優れた提案について事業団から中小企業者等に研究開発を委託する。

  6. 研究対象
    特に平成15年度から3年間は金型及びロボット部品分野を集中的に研究開発を実施する。(研究開発実施期間終了後3年以内に事業化が図れるレベルであること)
    〔金型分野〕
    金型産業の空洞化を阻止し、高付加価値化等を通じた国際競争力を維持・確保する上で必要とされる金型技術課題
    @ 新素材加工金型技術/金型加工技術
    鋳造/ダイカスト/射出成形技術、 鍛造/プレス/粉末冶金技術
    A超微細・精密・複雑構造部品成形加工金型技術/金型加工技術
    超微細構造部品成形加工技術
    超精密・複雑構造部品成形加工金型技術/金型加工技術
    B 新素材を用いた高機能金型技術/金型加工技術
    C 次世代金型技術/金型加工技術

    〔ロボット部品分野〕
     病院や福祉施設、家庭等で活躍するロボットなど、製造現場以外で活用される次世代ロボットに必要な基盤的要素技術(モータ、カセンサ、画像・音声認識等)を確立し、次世代ロボットの早期実用化を図る。
     ・生活支援分野・危険作業代替分野・ビジネス支援分野の技術課題に必要とされるロボット部品技術課題、アクチュエータ関連技術、センサ関連技術、画像認識関連技術、音声認識関連技術

【事業スキーム】
  1. 助成対象・要件
    下記の要件を満たした共同研究体の事業管理法人

    @事業管理法人・構成メンバー・総括研究代表者(プロジェクトリーダー)、副総括研究代表者(サブリーダー)を設置すること。(日本国内に本社があり、国内で研究開発を行っていること)
    Aプロジェクトリーダー、サブリーダーのどちらかが中小企業に属しており、かつ両名とも研究計画の企画立案と実施、成果管理について総括を行う能力、時間を融資、実用化技術開発の製品開発にかかる高い知見を有すること。
    B共同研究体の構成メンバーは、原則として複数の民間企業を含む構成とし、研究の中核部分の実施は、中小企業者であること。またユーザー企業及び研究機関の参加は原則。
    C参加企業における中小企業者の割合が2/3以上、又は、共同研究体の構成メンバーである各中小企業者が受ける委託費の合計が、事業団から共同研究体への委託費総額のうち機器設備費を差し引いた金額の2/3以上である必要がある。
    D中小企業としての鉱工業技術研究組合が、研究開発を行う場合は、その組合唖に属する企業が構成メンバーとして共同研究体に参画し、集中してプロジェクトの全部を行う場合、構成メンバーとの間では再委託契約は必要ない。この場合のプロジェクトの構成メンバーは2/3以上が中小企業でなければならない。

  2. 研究期間  2〜3年

  3. 研究課題の採択
     事業団内に設置する審査委委員会にて評価採点を行い、その結果をふまえて事業団が採択案件を決定する。その際も技術面に重きを置きつつ。事業化面及び中小企業施策面について、また事業実施に際しての共同研究体の適切性を勘案して、技術評価、事業化評価、政策評価の3点から審査を行う。
     審査は原則書面で行い、必要に応じて実地調査及びヒアリングを実施する。

    〔技術評価〕
     国際競争力強化につながる意欲的な研究開発であり、その目的が明確で、的確な研究開発体制を有していることについて審査する。
    • 提案事業と募集対象事業の整合性
    • 技術内容の新規制、独創性、改善制又は技術基盤強化性
    • 技術目標値の妥当性と達成に向けた課題と解決方法、それを達成する実施体制及び能力
    • 研究開発費の妥当性

    〔事業化評価〕
    研究開発成果が結実した場合どの程度の波及効果があるか(事業体の事業化能力を含む)、コスト面における市場導入の可能性等について審査する。
    • 予想される市場規模及び市場占有率の妥当性
    • 製品化の見通しの明確性
    • 事業化目標値を達成するための経営的基盤力
    • 事業化計画の妥当性

    〔政策評価=中小企業政策との適合性〕

  4. 採択実績  30件 (応募162件)(平成15年度)

  5. 1課題当たり助成規模  1億円以内/年

  6. 知的財産権の帰属等
     本事業の研究開発事業で得られた知的所有権の帰属に関しては、産業活力再生特別措置法第30条(日本版バイドール条項)により委託者である事業管理法人に属する場合は、事業団に属する場合の2通りの選択がある。
    @ 委託者に帰属する場合
     以下の4項目を訳すれば受託者に帰属することができる。なお出願等に係る費用および事務は受託者が負担する。
    • 当該委託に係る発明等を行った場合は遅滞なく事業団に届け出る。
    • 国の要請に応じて公共の利益のために求める場合には、無償で当該知的所有権を実施する権利を事業団に許諾する。
    • 当該知的所有権を相当期間活用していないと認められ、かつそのことに正当な理由が認められない場合、国の要請に応じてその活用を促進するために求める時は当該知的所有権を実施する権利を第三者に許諾する。
    • 知的所有権の活用については本事業の趣旨に添ったものとすること
    A 事業団に帰属する場合
     出願、拒絶査定、特許年金等全ての費用を事業団が負担する。使用権に関する申請がなされた場合、事業団の規定に基づき申請者に対して使用権の実施を許諾する。製品が販売された場合、実施料を事業団に納付しなければならない。

【実施状況】
  1. 地域性
     当該事業を執行する事業形態は下記の3パターンが見られるが、地域事業としての性格を持っていると思われる形態として、提案機関が第三セクター、又は大学である「A」の形態が挙げられる。
     A = 〔提案機関〕 + 企業 + 大学
     B = 〔提案機関〕 + 企業 + 企業
     C = 〔提案機関〕 + 企業
     〔提案機関〕 = 第三セクター、大学、企業

  2. 新事業創出効果
     応募の段階で、研究開発成果が実用化した場合の効果、研究開発期間終了後3年後の年度の売上高、新規雇用者数等の見通しについての説明が求められるなど、事業化を念頭においた計画策定が求められている。また同時に、予想される市場規模及び市場占有率、その製品価格及び性能等優位性の根拠、製品化のための技術開発内容と開発スケジュール、生産・販売・市場獲得などの具体的な事業化計画を記した「事業化計画説明書」の作成も求められるなど計画段階からかなり高い事業化プランが必要とされる。

  3. 研究の評価・審査
     研究開発実施期間が最長で3年度にわたるが、契約は単年度毎に行い1年目の契約期間終了後に、委託事業の成果及び次年度の事業計画を改めて審査し、次年度の契約を締結するか否か、継続の場合の条件等について継続審査を行う。なお本事業は事業化を目標としており、研究開発終了後1年目に事後評価、3年目に追跡調査、5年目に最終評価を行い、必要に応じて郵送調査および現地調査、ヒアリングを実施する。

  4. 他事業との関係(重複応募等への対応) (他事業との関係)
     同一内容で他の公的機関から資金の交付を受けた提案者は公募の対象外としている。同種の事業として中小企業庁「中小企業技術開発産学官連携促進事業」が挙げられるが、下記の理由により助成要件との重複による混乱はないと考えられる。
    @「中小企業技術開発産学官連携促進事業」は公設試験研究機関を中心とした産学官連携を促進する狙いで設けられている事業であり、基盤技術力強化事業のような組み合わせによる産学官連携は考慮されていない。
    A基盤技術力強化事業は、テーマが「基盤技術」に限られているので(15年度事業は「金型」と「ロボット」の3年間開発事業)このテーマでの棲み分けが可能である。
    B予算規模も10分の1であり、(全体予算規模 2.5億円、1事業規模 2.5千万円に対して基盤技術力強化事業規模30億円、1事業規模1億円)応募対象企業においても区分けが明確である。

    施策概要へ戻る メニューへ戻る