大学発事業創出実用化研究開発事業

【施策・事業概要】

  1. 事業名称  大学発事業創出実用化研究開発事業

  2. 所管官庁  新エネルギー・産業技術総合開発機構

  3. 開 始 年  平成15年度(平成14年度は経済産業省大学連携推進課所管)

  4. 予  算
    平成14年度  22億2,000万円
    平成15年度  24億1,000万円

  5. 事業概要
     本事業は「大学発ベンチャー1000社」計画の一環として、大学等(大学、高等専門学校及び大学共同利用機関、国の試験研究機関及び試験研究に関する業務を行う独立行政法人)における研究成果の技術移転による事業化を促し、大学の持つ技術の有効利用による新規産業・市場創出を促進する目的で創設された。
     具体的には、事前調査事業(F/S)と研究開発事業(R&D)に分けて公募を行う。
    @ 事前調査事業(F/S)
    民間事業者が中小企業である場合に限り、事業化可否を判断するための事前調査を支援する。

    A 研究開発事業(R&D)
    大学等における研究成果を活用して、民間事業者と大学等が連携して行う事業化可能性を探索するための研究開発を支援することにより、民間事業者による大学等の研究成果の事業化を促進する。

  6. 研究対象
     科学基本計画において示された重点指針に対応した、新たな産業・雇用創出に資する技術課題のうち、以下の8分野で、ヒトクローン、実験を伴う開発等の経産業省所管以外の技術開発及び、原子力に関する技術開発は除かれる。

    @ライフサイエンスA情報通信 
    B環境Cナノテクノロジー・材料
    Dエネルギー E製造技術 
    F社会基盤 Gフロンティア


【事業スキーム】

  1. 助成対象・要件
    〔助成事業者の要件〕
    @大学等と連携して、市場性等の観点からその研究成果を評価・選別し、利権化を行い、民間事業者へ移転する事業を業務として行う事業者であって、日本国内に所在する承認TLO、認定TLO。(TLO以外にも定款等に大学等の研究成果を技術移転する行為を行う旨が記載されている者も含む)
    A助成対象となる研究開発もしくは事前調査及びその成果を的確に遂行するに足るマネージメント能力を有すること。
    B当該研究開発または事前調査に係る経費その他の事務について、的確な管理体制及び処理能力を有すること。

    〔資金に関する要件〕
    @事前調査事業(F/S)
    「技術移転を扱う組織」に対し、「資金提供事業者」となる中小企業が当該事前調査を的確に遂行するために必要な資金を提供すること。「資金提供事業者」は、中小企業基本法における中小企業であること(複数の中小企業等も可)。
    A研究開発事業(R&D)
    「技術移転を扱う組織」に対し、「資金提供事業者」となる民間事業者が当該研究開発を的確に遂行するために必要な強い金(研究費、調査費等)を提供すること。「資金提供事業者」は、法人格の有無を問わず、複数の民間事業者やベンチャーキャピタルなどを含むコンソーシアム型式も可

    〔助成内容に関する要件〕
    @ 事前調査事業(F/S)
    • 研究開発の前段階にあり、シーズの有効性の確認及び、実用化研究への発展の可能性について調査研究を行う事業であること。
    • 当該調査終了後、1年以内に研究開発事業(R&D)へ提案できる内容であること。
    • 資金提供事業者となる中小企業が、助成事業者との契約に基づき、調査を的確に遂行しうる必要な資金を提供すること。
      ※ F/Sに採択されても、その後のR&Dへの採択を約束されるものではない。

    A 研究開発事業(R&D)

    • 市場創出につながる社会的ニーズに対応した研究開発であること。
    • 大学等の研究者の研究成果(特許等)を活用し、民間事業者による事業化を行うことを前提とした研究開発であること。
    • 資金提供事業者が、助成事業者との研究契約に基づき、研究費等を年間500万以上拠出すること。
    • 助成事業者から研究成果を有する大学等に対して研究開発費を提供し、大学等において主体的に研究開発を実施すること。
    • 事業化実施事業者等において、研究開発の終了後2年以内に事業化を行うことを前提とした、具体的な事業化計画を作成していること。
    • 事業化実施事業者において、研究開発の終了後2年以内に事業化が行われない場合には、助成事業者は、当該研究成果の事業化を希望する他の企業に実施権を付与すること。

  2. 研究期間
    @ 事前調査事業(F/S)  6カ月程度
    A 研究開発事業(R&D)  3年以内

  3. 研究課題の採択
    @ 「事前評価者(外部専門家)」による書面評価
    A 上記の書面評価を参考にしての「採択審査委員会(外部有識者及びプログラムオフィサーで構成)」による採択候補の決定
    B NEDOの役職員で構成される契約・助成審査委員会による採択候補の審査を経て、採択する研究テーマの決定

  4. 採択実績
    平成14年度43件(応募68件)経済産業省で実施
    平成14年度追加公募9件(応募32件)
    平成14年度補正予算106件(応募154件)
    平成15年度F/S13件(応募9件)
    R&D13件(応募39件)

  5. 1課題当たり助成規模
    @ 助成金の予算区分
     研究開発テーマの内容及び「資金提供事業者」に応じて、産業技術開発、中小企業新技術開発、エネルギーの3区分に分類
    A 研究開発の助成額
    • 事前調査事業(F/S)
      助成額 : 1件当たり、年間400万円以下
      助成率 : 提供資金額の2倍までを限度とする

    • 研究開発事業(R&D)
      助成額 : 1件当たり、年間1,000万円以上
      助成率 : 提供資金額の2倍までを限度とする


【実施状況】
  1. 地域性・新事業創出効果
     事業目的が大学等における研究成果の技術移転による事業化を促し、新たな産業の創出を目指して、実施される事前調査事業(F/S)及び研究開発事業(R&D)の2事業について助成するもので、特に、R&Dの成果の事業化は、その事業化そのものが新事業の創出である場合が多い。
     また、R&Dの応募機関であり、民間事業者へ移転する事業を担当する「技術移転を扱う組織」と、実用化研究開発を行う「大学等」及び資金提供事業である「中小企業」が同一地域内である場合は、地域ネットワークの強化、地域内技術力の蓄積等大いに地域性が発揮されるものとみられている。
     特に「技術移転を扱う組織」が地域中小企業支援機関や地域TLOの場合は、その傾向が強い。

  2. 事業成果の評価・事業化計画及び事業化の報告・収益納付
    @ 事業成果の評価 
     研究開発期間の最終年度に移行する際の中間評価及び、終了年度に終了事業者評価が実施される。(中間評価の結果によっては事業計画の見直しや中断が要求される場合がある)
    A 事業化計画及び事業化等の報告
     「技術移転を扱う組織」は研究開発事業完了後、「資金提供事業者」が行う事業化のために作成された「事業化計画書」の提出及び、研究開発事業完了後5年間、毎年度、事業化状況報告書及び収益状況報告書の提出が求められている。
     また、「技術移転を扱う組織」は、本助成事業に基づき発明、考案等の産業財産権等を、助成事業年度の終了5年以内に出願若しくは取得した等の場合には、産業財産権等届出書の提出が義務づけられている。

    B 収益納付
     原則、研究開発期間終了後5年以内は、当該研究開発の成果に関して知的所有権の許諾等により収益が生じた場合は交付規定に従い、交付された助成金の全部又は一部に相当する金額をNED0技術開発機構に納付することが定められている。

  3. 他事業との関係(重複応募等への対応)
     他事業との重複応募は禁止されている。


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