先端技術を活用した農林水産研究高度化事業

【施策・事業概要】

  1. 事業名称  先端技術を活用した農林水産研究高度化事業

  2. 所管官庁  農林水産省 農林水産技術会議事務局 地域研究課

  3. 開 始 年  平成14年

  4. 予  算
    平成14年度  18億810万円
    平成15年度  19億7,680万円

  5. 事業概要
     本事業は、生産及びこれに関連する流通、加工等の現場に密着した農林水産分野の試験研究の迅速な推進を図るため、研究課題の公募及び研究実施に当たっての産学官連携の強化により、優れた発想を活かし、先端技術等を活用した質の高い試験研究を促進する目的から創設された。
     平成15年度は地域の農林水産業・食品産業等の活性化を図るため新たに「地域活性化型研究」を創設した。

  6. 研究対象
     制度を大きく「研究領域設定型研究」と「地域活性化型研究」の二つに区分している。(基礎的・基盤的な研究を研究内容の主体とすることはできない。)

    〔研究領域設定型研究〕
     農林水産行政上の要請により、緊急性・重要性が高く、試験研究の成果が生産現場や政策立案に資するものとして毎年度設定される研究領域に対応した研究課題を対象とする。
     平成15年度までは全国ベースで研究領域を設定していたが、各地方独自の施策課題に臨機応変に対応する、16年度より新たに地方段階で地方農政局等が自ら研究領域を設定する「地方領域設定型研究」を創設し、地域の農林水産研究の推進、地域経済の活性化を図る予定である。

    〔地域活性化型研究〕
     地域における生産現場に由来する技術シーズの活用又は地域ニーズへの対応を図るものであって、その成果の生産現場(生産及びこれに関連する流通、加工等の現場)への早期普及が見込まれる研究課題を対象とする。

    @独創的現場シーズ活用型研究
    農林漁業者の有する農林水産現場の独創的な技術シーズを活用し、農林漁業者が参画する研究
    A地域競争型研究
      地域固有の特産作物等地域資源又は地域の技術シーズを活用し、地域産業を活性化する研究
    B広域ニーズ・シーズ対応型研究
      複数の地域が抱える共通問題を効果的かつ効率的に解決するための研究

【事業スキーム】

  1. 助成対象・要件 
     応募する研究機関は研究の推進に係る運営管理等を行う中核機関であり、中核機関は原則として以下の@からCのセクターのいずれかの機関であって、少なくとも1以上の他セクターの機関と共同研究を行うことが必要である。
     独創的現場シーズ活用型研究については、Cの農林漁業者を中核機関又は共同機関として含まなければならない。
     セクター@ 都道府県、市町村及び公立試験研究機関
     セクターA 大学及び大学共同利用機関
     セクターB 独立行政法人、特殊法人及び認可法人
     セクターC 民間企業、公益法人、協同組合及び農林漁業者

     中核機関は研究課題を受託できる財政的健全性を有し、かつ研究課題の実施に責任を持たなければならない。また、中核機関には研究遂行に十分な時間を確保でき、総括する能力を有する研究総括者を置かなければならない。

  2. 研究期間  3年以内
    (この期間で成果を挙げることが困難と考えられるものは5年以内とする)

  3. 研究課題の採択
     1次審査として外部専門家による書面審査をもとに農林水産技術会議事務局がヒアリング審査の対象課題を選定する。2次審査は外部専門家及び外部有識者を構成員とする研究課題評価分科会を開催し、研究総括者に対するヒアリング審査を行う。
     審査の具体的な観点は下記の通り。
    @ 必要性
      科学的・技術的意義、社会的・経済的意義、事業の趣旨との整合性
    A 効率性
    研究計画・実施体制の妥当性
    B 有効性
    目標の明確性・達成可能性、研究成果の普及性・発展性、波及可能性

  4. 採択実績
    平成14年度  30件 (応募266件)
    平成15年度  54件 (応募389件)

  5. 1課題当たり交付金額 500〜5,000万円程度/年
    間接経費は直接経費の30%に当たる額を上限として計上可能

  6. 知的財産権の帰属等
     委託研究を実施することにより特許権等の知的所有権が発生した場合、次に掲げる要件を遵守することを条件に、中核機関に帰属することができる。
     また、中核機関と共同機関との再委託に係る知的所有権の帰属先も、同様の条件により共同機関とすることができる。
    @研究成果が得られた場合には、知的所有権の出願を行う事前に、遅滞なく(30日以内)国に報告すること。
    A国が公共の利益のために特に必要があるとして要請する場合、国に対し当該知的所有権を無償で利用する権利を許諾すること。
    B 当該知的所有権を相当期間活用しておらず、かつ正当な理由がない場合に、国が特に必要があるとして要請するとき、第三者への実施許諾を行うこと。

  7. 事業のフロー

【実施状況】

  1. 地域性
     本事業は平成14年度に創設された制度であるが、研究開発の成果が農林水産業の現場に還元されるような研究課題を採択すべく、15年度は、地域の農林水産業・食品産業等の活性化を図るため地域の技術シーズの活用や地域ニーズに対応した研究を推進する「地域活性化型研究」を創設、16年度には、地方の実情に応じた各地方独自の施策課題に臨機応変に対応するため地方段階で地方農政局等が自ら研究領域を設定する「地方領域設定型研究」を創設する予定であり、地域性を重視し変革をすすめている。
     特に「地域活性化型研究」では、地域への波及効果についての説明が求められるとともに、「地域競争型研究」については、応募段階から地域固有の特産作物等地域資源又は地域の技術シーズを明確にすること、また、「広域ニーズ・シーズ対応型研究」については複数地域の研究者間との共同研究体制のとり方についても記載要件となっているなど、地域性をかなり意識した制度となっている。
     なお、15年度に、多数の応募があり、16年度の募集ではこうした地域のシーズやニーズに応えるため、採択率の向上を図るとしている。

  2. 新事業創出効果
     本事業は生産及びこれに関連する流通、加工等の現場に密着した農林水産分野の試験研究の迅速な推進を図り、地域の農林水産業・食品産業等の活性化を目指すものであり、新事業創出を直接の目的とした競争的研究資金ではないものの、本事業を通じて、地域の産学官連携が深まり、地域の研究開発力全体の底上げが図られることにより、その研究成果が地域における新事業創出につながることは十分期待されるものである。

  3. 研究の評価・審査
     実施された研究課題については、当該研究課題の研究実施期間の最終年度に事後評価を実施する。ただし、研究実施期間が5年間であるものについては、このほか、研究開始3年度目に中間評価を行う。
     また、研究終了後、一定期間経過したものについて、実施された研究課題がもたらす波及効果の把握等のためにフォローアップ調査を実施する。

  4. 他事業との関係(重複応募等への対応)
     応募する研究課題と同一の課題名又は内容で、既に農林水産省又は他省庁等の研究制度による採択を受けている場合、又は採択が決定している場合は、審査の対象から除外される。また、類似性の高い研究を実施している場合には、本事業への提案課題との役割分担や仕分けを応募書類に明確に記載する必要がある。
     本事業について同一の者が研究総括者として2件以上申請することは差し控えてほしい。なお、同一の者が研究の分担者として複数研究課題に参画することは差し支えないが、研究専従率の算出と報告が必要である。


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