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地域イノベーション創出総合支援事業
重点地域研究開発推進プログラム「育成研究」
平成20年度終了課題 事後評価報告

平成21年2月
独立行政法人科学技術振興機構
 産学連携事業本部 地域事業推進部



(1)JSTイノベーションサテライト岩手

課題名: 脳血管疾患診断マーカーの同定と新規診断薬の研究開発
代表研究者岩手医科大学 医学部 教授 人見 次郎
共同研究企業等(株)バイオス医科学研究所、バイオ・ラッド ラボラトリーズ(株)、東北化学薬品(株)
研究期間平成18年1月〜平成20年9月(平成17年度採択)
 
【総評】脳血管疾患のうち、アテローム血栓性脳梗塞の原因血管となる内頚動脈の動脈硬化症の患者と健常者を区別できる血清中分子を探索し、2分子を同定出来たことは大きな成果である。期間中に臨床試験には至らなかったが、本成果を用いてモノクロナール抗体を作成し、診断薬を開発することは可能であり、実用化に向けての山場を越える事が出来たものと評価する。


課題名スパッタ法によるZnO系透明導電膜の実用化技術の開発
代表研究者岩手大学 工学部 教授 道上 修
共同研究企業等(株)倉元製作所
研究期間平成18年1月〜平成20年9月(平成17年度採択)
 
【総評】本課題の最重要開発であるスパッタリング用のターゲット材料に関しては実用化に向けた総合的な問題解決が出来た。研究の進展により副次的な実施項目を絞り込むなど目的指向の研究姿勢が結果を生んだと言える。ターゲット材とスパッタ技術により、高温に耐えられないプラスチック材にITO(インジウム・スズ酸化物)より比抵抗が小さく成膜出来る技術を構築出来たことは評価できる。


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(2)JSTイノベーションサテライト新潟

課題名ナノメートル領域までの表面粗さ測定を向上させる標準面実量器の製作
代表研究者長岡技術科学大学 工学部 准教授 明田川 正人
共同研究企業等新潟県工業技術総合研究所、(株)第一測範製作所、八海クリエイツ(株)
研究期間平平成18年 2月〜平成20年 9月(平成17年度採択)
 
【総評】超精密五軸加工機を用いた機械加工により、三次元ランダム面を有する標準面実量器を粗さパラメータの設計値に対して1%以下の差異にて試作できる微細加工技術を確立した点は評価できる。電子線描画によるナノメートルサイズの標準面実量器作製技術および評価手法に課題が残る。ISO/TC213への提案を検討しており、直接的な実量器の販売以外にも間接的な経済効果が期待できる。


課題名有機物被覆複合ナノ粒子量産用パルス細線放電装置開発
代表研究者長岡技術科学大学 極限エネルギー密度工学研究センター 特任教授 新原 晧一
共同研究企業等新潟県工業技術総合研究所、ナミックス株式会社、マコー株式会社
研究期間平成18年 2月〜平成20年 9月(平成17年度採択)
 
【総評】気相法による高エネルギー変換効率のナノ粒子作成法として知られているパルス細線放電法によるナノ粒子の量産化装置のプロトタイプを開発するものであり、粒子作製速度として4 Hz周期の放電にて484 g/hという装置性能を確認した点は評価できる。得られたナノ粒子を用いたペーストが10-4Ωcmの電気抵抗率を示すことを確認した。さらにウェットブラスト用ナノ粒子としてはリフトオフへの効果を見いだすなど、予想以上の成果も得られている。装置の電極部分改良やペースト特性評価などの課題が明確になったため、さらなる研究開発を要する。企業化に向けた新たな展開を期待したい。


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(3)JSTイノベーションサテライト徳島

課題名高周波バリア放電プラズマと鉄系酸化触媒を用いた微粒子の低温酸化によるディーゼル排気後処理装置の開発
代表研究者徳島大学 大学院ソシオテクノサイエンス研究部 教授 木戸口善行
共同研究企業等(株)長峰製作所
研究期間平成18年12月〜平成20年9月(平成18年度採択)
 
【総評】ディーゼル排気後処理装置の要素技術としては良くできている。商品化のために、開発した装置の耐熱性、耐振性、経年変化による特性劣化など試験による評価を継続し、安定したプラズマ放電を確保する新しい手法の開発などの残された課題を早急に解決し、実用化に取り組んで欲しい。 研究中に開発された安価な触媒を使用したフィルタ部単独としても商品化の価値が非常に高いと思われる。別途に企業化に取り組むことを期待したい。


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(4)JSTイノベーションサテライト高知

課題名天然資源(枇杷種子由来エキス・室戸海洋深層水)を利用した健康飲料品の開発
代表研究者高知大学教育研究部・医療学系 教授/医学部 附属病院薬剤部長 西岡 豊
共同研究企業等(株)小谷穀粉、(株)OSK室戸マリンフーズ
研究期間平成18年1月〜20年9月(平成17年度採択)
 
【総評】3年間の育成研究の成果として、花粉症対策の健康飲料品の試験販売が達成され、なおかつ地域一次産業への貢献度も大きく、多大な成功を収めていると非常に高く評価できる。産学連携による商品化の意義は大きく、今後も改良製品開発やその他の製品の事業化が大いに期待される。


課題名無電極マイクロ波放電を用いた無水銀紫外光源
代表研究者高知工科大学 電子・光システム工学科 教授 八田 章光
共同研究企業等愛媛大学、(株)アドテックプラズマテクノロジー、(株)オーク製作所
研究期間平成18年1月〜平成20年9月(平成17年度採択)
 
【総評】育成研究の成果として、マイクロ波長尺ランプに関する技術的な新知見が得られているので、実用化の可能性はあると考えられる。企業化・事業化へ向けて、開発体制の再構築による目標設定の見直しが必要と思われる。この研究成果が活用された場合の社会的貢献や経済効果は大きいと思われるので、さらなる研究継続が望まれる。


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(5)JSTイノベーションサテライト宮崎

課題名SPG膜を利用したナノバブル生成装置の開発とその実用化プロセスへの応用
代表研究者宮崎県工業技術センター 主任研究員 久木崎雅人
共同研究企業等宮崎大学、清本鐵工(株)、吉玉製鍍(株)、(株)キヨモトテックイチ
研究期間平成18年1月〜 平成20年3月(平成17年度採択)
 
【総評】 シラスポーラスガラスの特性を活用してナノメートルサイズの気泡(バブル)を発生させる基本技術を基にして、高濃度オゾン含有水を生成する装置の開発を行った。気泡の大きさが小さくなることによって気泡の表面積が大きくなることと寿命が長くなることが特徴である。実験室レベルでのオゾン水生成装置は完成しており、今後の実用化に向けた市場調査とスケールアップ技術の完成が望まれる。


課題名光ファイバーセンサーの開発
代表研究者宮崎大学 工学部 教授 横谷 篤至
共同研究企業等鹿児島大学、(株)東横エルメス
研究期間平成18年1月〜平成20年3月(平成17年度採択)
 
【総評】従来の電気式歪みセンサーに比して格段の利点を持つ光ファイバーセンサーの心臓部であるファイバーブラッググレーティング(FBG)を安価にしかも連続的に作成する技術とその歪みに相当する波長変化量を短時間で確実に計測する技術の開発を目指すものであり、特に前者においては作成用のレーザーの開発から着手し、短期間の内に確かな技術に仕上げたことは高く評価できる。今後の光ファイバーセンサーの市場が大きく拡大することが予想される中にあって、重要な要素技術を確立したことから実用化、商品化に向けて大きく進捗したと考えられる。


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(参考)

プログラムオフィサー名簿
氏名 所属
平山 健一 JSTイノベーションサテライト岩手 館長
花木 真一 JSTイノベーションサテライト新潟 館長
今枝 正夫 JSTイノベーションサテライト徳島 館長
長尾 高明 JSTイノベーションサテライト高知 館長
黒澤 宏 JSTイノベーションサテライト宮崎 館長

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