評価報告書 > 評価対象研究開発課題の個別評価

大学発ベンチャー創出推進
平成20年度終了課題事後評価報告書

4.評価対象研究開発課題の個別評価

1.研究開発課題名称

データマップ法と概念グラフによる次世代検索エンジンの研究開発

2.開発代表者、起業家 氏名(所属)

開発代表者:廣川 佐千男 (九州大学 教授)
起業家:宥免 達憲

3.研究開発の目的

 大量の文書を扱う検索システムでは、検索結果について、分かりやすい全体像提示と効率的な絞り込みが大きな課題となっている。本研究開発では、自然言語により文書を複数の観点から多次元的に分析するため、その中から任意に選んだ2つの観点に従って、検索結果をマトリックス状に表示するデータマップ法による検索エンジンを開発する。さらに、文書群に含まれる特徴語の概念的な上下関係をグラフとして可視化する概念グラフによる検索エンジンを開発する。本技術により、視覚的にも言語的にも認識しやすく、関連の全体像を俯瞰できるため、論文や特許情報の検索だけでなく、企業情報、商品カタログの検索や分析等への新たな展開も期待できる。

4.事後評価内容

A)成果
 大量の文書を対象にした検索エンジン技術を開発し、検索結果を俯瞰する技術およびデータ分析技術などの応用技術も開発している。また、これらの成果をいくつかの既存Webサイトに対して試験適用し、その導入効果を把握し、事業化に向けての市場性を評価した。これらの成果をもとに、平成20年9月に株式会社Laflaを設立した。
本事業期間中の特許出願数:3件
B)評価
@研究開発計画の達成度
 検索エンジンの試作を行い、技術成果はほぼ目標を達成することが出来た。既存Webサイトに適用して、事業面から技術成果を評価することは適切と考える。技術成果を有効に活用できる応用分野に辿り着く必要があり、応用分野の開拓を継続的に進めて欲しい。
A知的財産権の確保
 コア技術は出願済みであり、今後は、アプリケーション・サービス分野の特許出願を期待する。 
B起業計画の妥当性
 特定の企業から技術成果が高い評価を受けているが、ニーズはユーザ毎に異なるため広がりが認められない。他技術との差別化ポイント(検索時間、検索結果の満足度など)とユ−ザから見たメリットを整理し、収益構造までを考慮した事業モデルの構築が必要と考える。
C新産業創出の期待度
 情報洪水といわれている現在、利用者が必要としている情報を大量の情報の海の中から検索して情報を提示するというニ−ズは高まっている。ニ−ズに合致した技術が開発できれば、新産業を創出出来る期待は大きい。
D総合・その他
 Web上の情報検索・マイニングは情報産業だけでなく、あらゆる産業に横断的に必要とされるものであり、データ検索・分析サ−ビスは広い分野で期待されている。事業を育て大きくするには、ニーズ・サービス先行型の取り組みも必要と考える。この分野は技術開発も盛んで、競争が激しいので、新技術開発の積極的推進も重要である。

■ 目次に戻る ■