評価報告書 > 評価対象研究開発課題の個別評価

大学発ベンチャー創出推進
平成20年度終了課題事後評価報告書

4.評価対象研究開発課題の個別評価

1.研究開発課題名称

骨関連手術支援システムとしての3D-GBS(3 dimensional guidance for bone surgery)の開発

2.開発代表者、起業家 氏名(所属)

開発代表者: 村瀬 剛 (大阪大学 講師)
起業家:五島 誠

3.研究開発の目的

 整形・形成外科領域などの骨を扱う手術では、画像を用いた術前計画が特に重要であるが、従来の単純X線画像を用いた術前計画は正確とは言い難く、手術成績が必ずしも良くなかった。本研究開発では骨関連手術を対象にして、独自理論に基づいた最適手術シミュレーションを行うソフトウェア、手術支援部材としてのサージカルテンプレート及び最適形状骨補填剤の設計・製造方法を開発する。さらに、これら一連の行程を3D-GBSとして統合して、広く骨関連手術全般に対応した手術支援システムを構築する。高度な医療を低コストでより多くの一般医療機関に普及させることができ、新規医療産業を創生するとともに、最新の良質な医療技術を社会に広め、国民医療の向上に貢献できる。

4.事後評価内容

A)成果
 コンピュ−タ画像処理技術を活用してCTデ−タから骨の3次元モデルを再構築し、最適な手術を支援するシミュレ−ション技術を開発した。また、術前計画に忠実な手術を支援するカスタムメイド手術部材を設計・製造する技術も開発できている。これらの成果をもとに、平成21年4月に株式会社オルスリ−を設立した。 
本事業期間中の特許出願数:0件
B)評価
@研究開発計画の達成度
 開発したシミュレ−ション技術を27件の臨床例に適用・検証するなど、目標通りの成果を達成出来ている。ユ−ザ(医師)へのマ−ケティングも効率的に行われている。また、国際学会の発表を効果的に行い、本技術の知名度も高めている。
A知的財産権の確保
 本研究開発中は臨床デ−タの裏付け確認を優先していたので、特許出願がない。今後の特許出願を期待する。
B起業計画の妥当性
 シミュレータ普及とサージカルテンプレート販売の協調的なビジネスモデルが構築できている。医療分野への進出には困難は予想されるが、ユ−ザの評価、臨床例が積み上げられているので期待を持てる。先ずは、事業化を急ぐよりも実績と賛同者の獲得に注力すべきである。
C新産業創出の期待度
 多くの患者を救う技術であり、広く普及することを期待する。一般に医療技術と工学的技術の融合は重要な課題であり、本技術が普及すれば、医療分野におけるIT技術の優れた活用例となるものと思われる。海外市場への展開も検討する必要がある。
D総合・その他
 研究成果の国際会議での発表と受賞、臨床応用への迅速な評価フイ−ドバック、他大学病院との協業など、本研究開発課題の成果は高く評価できる。治験期間や認可などを十分に考慮し、海外市場も視野に入れた事業展開を期待する。

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