評価報告書 > 評価対象研究開発課題の個別評価

大学発ベンチャー創出推進
平成17年度採択課題事後評価報告書

4.評価対象研究開発課題の個別評価

1.研究開発課題名称

家畜用分娩監視遠隔通報装置の開発と実用化

2.開発代表者、起業家 氏名(所属)

開発代表者:松井 寛二(信州大学 教授)
起業家:清水 義治

3.研究開発の目的

 従来の家畜分娩監視装置は、長時間膣内にセンサー等を取り付けて計測する方式であるため、分娩動物に悪影響を与えると懸念されている。本研究開発では、電磁誘導センサーで分娩開始を検出する非侵襲的で、衛生的、かつ簡便な分娩監視遠隔通報装置を開発し、製品化する。本技術は、分娩を監視する労働負荷を軽減し、分娩時のリスクを最小限にするなど畜産技術の向上に貢献する。

4.事後評価内容

A)成果
 大規模牧場での使用に対応するため、牛4頭まで同時使用可能な遠隔通報装置を開発した。現在、この装置を用いて最終的な性能試験を実施中であり、この動物実験結果を総合的に評価し、動物種別、飼育形態別に最終的な製品スペックを決定する。
本事業期間中の特許出願数:5件
B)評価
①研究開発計画の達成度
 プロトタイプは出来たが、操作が簡単で安定した性能をもつ実用機の完成を目指して、更なる研究開発が必要である。
②知的財産権の確保
 本方式に関する限り、特許対策は問題ないと思われるが、他社の類似システム(膣内へのプローブ挿入が中心)との差別化を図るために、特許マップによる戦略的な考察が必要である。
③起業計画の妥当性
 「個人事業」「インターネット通信販売」方式を計画しているが、それにこだわることなく、競合商品に打ち勝つためにも本技術の費用対効果を定量化し、今以上に足を使って市場に参入することが肝要である。そのためにも発売までに技術を完成させフィールド試験を十分に行うことにより、信用と実績を勝ち得ることが重要である。
④新産業創出の期待度
 信頼性の高い機器であれば、大きな需要が見込まれる可能性がある。長野県だけでなく全国の家畜生産地の理解を得るための努力が望まれる。
⑤総合・その他
 酪農業に寄与する重要な技術であるので、技術の早期完成を目指すべきである。センサーの装着方式および無線技術いずれにおいても、今以上に画期的な方式の考案が望まれる。各地の公設試などと連携を取っていくことも必要と思われる。

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