評価報告書 > 評価対象研究開発課題の個別評価

大学発ベンチャー創出推進
平成17年度採択課題事後評価報告書

4.評価対象研究開発課題の個別評価

1.研究開発課題名称

コンシクエントポールPMベアリングレスドライブシステムの研究開発

2.開発代表者、起業家 氏名(所属)

開発代表者:千葉明(東京理科大学 教授)
起業家:楊仲慶

3.研究開発の目的

 モータドライブの効率を向上する技術が待望されている中、本研究開発では、従来の機械的な軸受けに替わり、電磁力により非接触で主軸を支持して回転する画期的なコンシクエントポール型ベアリングレスモータを開発する。希土類の永久磁石を用いることにより、少ない電流で大きい電磁支持力を発生させるなど種々の改良・工夫を加えることにより効率化を図った同ドライブシステムは省エネルギー組込型モータとしてコンプレッサやブロア、ポンプなど多くの機器に適用されるものと期待される。

4.事後評価内容

A)成果
 希土類の永久磁石を使用することにより少ない電流で大きい電磁支持力を発生させることのできる機構、コントローラの小型化、空気中や水中での磁気支持系の挙動の解析などにより、従来のベアリングレスモータに比べ固定子と回転子のギャップ長を大きくし、かつ安定的に回転子を5軸能動制御できるコンパクトで効率化なベアリングレスモータの開発に成功した。これらの結果を基にモーターソリューション株式会社を設立した。
本事業期間中の特許出願数:6件
B)評価
①研究開発計画の達成度
 ベアリングレスドライブそのものや関連するソフトウエアについてほぼ順調に開発が進展した。本技術の競合製品に対する優位性を具体的にユーザーに示すことが望まれるほか、ポンプなど各用途へ適用し、実用化に向けての課題の解決が必要である。
②知的財産権の確保
 装置特許を中心に着実に出願されている。海外出願も3件ほど出願しているが、今後のビジネス展開を考えると、なお一層、戦略的に推進する必要がある。
③起業計画の妥当性
 当面は、試作以外の量産は行わず、技術開発や知財等のライセンスを事業とするという堅実なビジネスモデルである。当該技術の特徴を効果的に引き出せる製品化方針を明確にし、それを基に更なる顧客を開拓するような事業計画の検討も望まれる。
④新産業創出の期待度
 有用な技術であり、非接触という特長を活かした特殊な高付加価値市場を創出する可能性がある。
⑤総合・その他
 ベアリングレスドライブや関連するソフトウエアなどの優れた技術を開発した。製品の魅力的な特徴をできるだけ定量的にアピールすることにより、種々の用途分野における優良顧客を発掘することが重要である。新たなモータ技術として大きく社会に貢献することを志向して戴きたい。

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